説明

再生ペレット製造方法とその装置

【課題】捩り癖がなくバージン材料に劣らない均一な再生ペレットの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】供給された連続樹脂材料Rを捩ってコヨリ状紐材R1を形成し、次いでコヨリ状紐材R1に張力を掛けて延伸させ、次いで外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラ70にて延伸されたコヨリ状の延伸紐材R2を点状に圧縮し、然る後、点状に圧縮されて形成された前記圧縮紐材R3を凹状圧痕の間隔よりも広い間隔で切断して再生ペレットPを形成することを特徴とするもので、連続樹脂材料Rを捩ってこれをコヨリ状紐材R1とした後、このコヨリ状紐材R1に張力を掛けて延伸させることで捻り癖を解消し、圧縮後、切断して捻り癖のない再生ペレットPを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断屑のような帯状或いは糸状の連続樹脂材料を利用した再生ペレットの製造方法並びにそれらの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題に対する意識の向上やコスト削減等の観点から、樹脂製品の成形現場では、成形過程で発生する多量の不良品(例えば、試運転時の適正な規格製品が成形できるまでの生産準備段階での成形品や、成形時のトラブルによる不良品)や或いはバルーン成形によるフィルム製造時や合成樹脂織布の製造時に発生する端部の切断帯等(これらを連続樹脂材料という。)を原料として再利用することが一般に行われている。
【0003】
この一例として、例えば特許文献1には、成形不良品(或いはロス原料)である連続樹脂材料を再生原料とする再生ペレットの製造技術が開示されている。この技術では、テープ状の連続樹脂材料を紐状にし、これを電極ロールにて加熱熔融することによってその形状を保持させ、然る後、前記紐状の連続樹脂材料を切断機にて短寸長に切断することにより再生ペレットを成形するようにしていた。その加熱熔融時に熱の掛け過ぎによって表面部分の薄い連続樹脂材料の品質が劣化(連続樹脂材料の変質或いは焼け焦げの発生など)し、これが成形品の黒点発生その他、品質不良の原因になっていた。
【0004】
そこで、特許文献2では捻り時に少し張力を緩めて連続樹脂材料に捻り代を与えつつ連続樹脂材料を捻って紐状にし、これを歯車状の一対の圧縮ローラで連続した点状に圧縮して圧縮点の接触している連続樹脂材料同士を圧着させ、続いてこれを短寸で切断し、再生ペレットとしていた。この場合は特許文献1のように加熱溶融しないので、再生ペレットの熱による劣化はないが、捻ったものを圧縮するので、紐状となったものに捩り癖が発生し、これを切断した再生ペレットにも捩り癖が残ってしまう。
【0005】
この再生ペレットを射出成形機のホッパに供給すると、ホッパ内でこの捩り癖により、隣接する再生ペレット間に隙間が発生してバージン材料だけの場合に比べて嵩密度がどうしても低下し、正確な計量が阻害されるという問題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭49−9560号
【特許文献2】特開2006−21519
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来例の問題点に鑑み、本発明は品質劣化がないことは勿論、捩り癖がなくバージン材料に劣らない均一な再生ペレットの製造方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明方法は、「供給された連続樹脂材料(R)を捩ってコヨリ状紐材(R1)を形成し、次いでコヨリ状紐材(R1)に張力を掛けて延伸させ、次いで外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラ(71a)(71b)にて延伸されたコヨリ状の延伸紐材(R2)を点状に圧縮し、然る後、点状に圧縮されて形成された前記圧縮紐材(R3)を切断して再生ペレット(P)を形成する」ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の再生ペレット製造装置(A)は、請求項1の方法を実施する第1の装置(図1参照)で、
(2a) 連続樹脂材料(R)をガイドしつつ送り出す材料供給部(10)と、
(2b) 材料供給部(10)から供給された連続樹脂材料(R)に捻りを掛けてコヨリ状紐材(R1)を形成する捻り部(50)と、
(2c) 捻り部(50)の下流側に配設され、捻り部(50)から出たコヨリ状紐材(R1)に張力を掛けて延伸させる延伸部(60)と、
(2d) 外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラ(71a)(71b)を有し、延伸部(60)から出た延伸紐材(R2)を点状に圧縮して圧縮紐材(R3)を形成する圧縮部(70)と、
(2e) 前記圧縮部(70)の出口側に設けられ、前記圧縮紐材(R3)を切断して再生ペレット(P)を形成する切断部(80)と、
(2f) 延伸部(60)、圧縮部(70)及び切断部(80)が取り付けられた機構搭載部(30a)と
(2g) 回転軸(CL)が連続樹脂材料(R)の材料供給部(10)からの送り方向と略並行となるようにして、材料供給部(10)から送り出された連続樹脂材料(R)をガイドしつつ前記機構搭載部(30a)の周囲を回転させ、前記連続樹脂材料(R)の送り方向を途中で反転させた後、前記延伸部(60)にガイドする回転部(30)とで構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の再生ペレット製造装置(A)は、請求項1の方法を実施する第2の装置(図10参照)で、
(3a) 連続樹脂材料(R)をガイドしつつ送り出す材料供給部(10)と、
(3b) 材料供給部(10)に対して相対的に回転し、供給された連続樹脂材料(R)に捻りを掛けてコヨリ状紐材(R1)を形成する捻り部(50)と、
(3c) 捻り部(50)の下流側に配設され、捻り部(50)から出たコヨリ状紐材(R1)に張力を掛けて延伸させる延伸部(60)と、
(3d) 外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラ(71a)(71b)を有し、延伸部(60)から出た延伸紐材(R2)を点状に圧縮して圧縮紐材(R3)を形成する圧縮部(70)と、
(3e) 前記圧縮部(70)の出口側に設けられ、点状に圧縮されて形成された前記圧縮紐材(R3)を切断して再生ペレット(P)として形成する切断部(80)と、
(3f) 延伸部(60)、圧縮部(70)及び切断部(80)が取り付けられた機構搭載部(30a)と
(3g) 機構搭載部(30a)を回転させる回転部(30)とで構成されたことを特徴とする。
【0011】
本再生ペレット製造方法及びその装置(A)では、まず、連続樹脂材料(R)に捻りを付与してコヨリ状紐材(R1)とするが、このときに生じた捩り癖は次の延伸によって解消される。そしてこれを点状に圧縮した後、ペレット状に切断した時には捩り癖のない再生ペレット(P)とすることができる。
【0012】
請求項4は請求項2に記載の再生ペレット製造装置(A)に再生ペレット排出用のダクト機構部(90)を更に設置した例で、
(4a) 円形で、回転部(30)に設けられて回転部(30)と共に同軸回転し、外周面(92a)及び内周面(92b)が開口した中空の回転ダクト(91)と、
(4b) 回転ダクト(91)の外周面(92a)を取り囲み、回転ダクト(91)の開口せる外周面(92a)に対面する内周面(94)が開口している固定ダクト(93)と、
(4c) 切断部(80)からの再生ペレット(P)を回転ダクト(91)の開口している内周面(92b)に移送する切断側移送ダクト(96)と、
(4d) 回転ダクト(91)から移動して固定ダクト(93)で捕集された再生ペレット(P)を外部に移送する搬出側移送ダクト(97)とで構成されていることを特徴とする。
【0013】
このようにダクト機構部(90)を更に設置した場合、切断側移送ダクト(96)から回転ダクト(91)に供給された再生ペレット(P)の大半はそのまま重力に従って落下し、固定ダクト(93)を通って搬出側移送ダクト(97)から外部に移送されるが、回転ダクト(91)が回転部(30)と共に同軸回転することで、その一部は回転ダクト(91)の内周面に触れて跳ね飛ばされる。跳ね飛ばされた再生ペレット(P)は回転ダクト(91)の遠心力と自重により固定ダクト(93)内に落下して効果的に捕集され、最終的には全ての再生ペレット(P)が固定ダクト(93)を通って搬出側移送ダクト(97)を介して外部に移送される。
【0014】
請求項5はフィン(98)に関するもので、「フィン(98)又はフィン(98)に沿って描かれた軌跡と外周開口縁との交点(Q)において、回転ダクト(91)の回転方向に対してフィン(98)が回転ダクト(91)の内側に傾斜するように配置されている」ことを特徴とするもので、フィン(98)がこのようになっておれば、回転ダクト(91)の回転によって外周面(92a)方向に風が流れて切断部(80)では吸引方向の風になり、搬出側移送ダクト(97)側では搬出方向の風となるので再生ペレット(P)の移行がスムーズとなる。
【発明の効果】
【0015】
以上から本発明では従来のように加熱による品質劣化がなくしかも見掛け比重が高く、且つ、捩り癖のない均一な再生ペレットを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の再生ペレット製造装置の主要部を断面した正面図であり、円形内はその変形例である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1の圧縮部の拡大正面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】本発明に使用される圧縮用ローラの正面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】本発明の切断部の拡大斜視図である。
【図8】圧縮紐体を示す一部省略斜視図である。
【図9】ペレットを示す斜視図である。
【図10】本発明装置の他の例の主要部を断面した正面図である。
【図11】本発明装置に使用する巻取体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。本発明に係る再生ペレット(P)の製造装置(A)は第1、2実施例があり、以下これらを図面に従って順次説明する。本発明の説明は第1実施例(図1〜7)を代表例とし、第2実施例(図10)は説明の繁雑さを回避するために共通部分は省略して、原則として異なる部分のみを説明するものとする。
【実施例1】
【0018】
第1実施例の製造装置(A)は、図示していないが、バルーン成形により成形された筒状の樹脂フィルムを上下一対のローラ間に通して内部の空気を抜くと共に折りたたまれた両端を裁断し、フィルム本体部分を巻き取ると共に裁断屑である端部(この部分が連続樹脂材料(R)となる。)を図1に示すようにインラインで供給を受けるようになっている。本実施例では3枚の連続樹脂材料(R)の供給を上中下の3方向から受けている。勿論、裁断屑である連続樹脂材料(R)を別途巻き取って連続樹脂材料巻上体(W)(図11参照)とし、これを用いて連続樹脂材料(R)の供給を行ってもよい。なお、供給される連続樹脂材料(R)が3枚以上の場合は、最外側の連続樹脂材料(R)に挟まれた内側の連続樹脂材料(R)は搬送中に最外側の連続樹脂材料(R)の間からはみ出すことがあるため、図示していないが、後述する材料供給部(10)のいずれかの部分で後述する圧縮部(70)と同様の構造のもので圧着しておくことが好ましい。
【0019】
連続樹脂材料(R)の材質は、捩ることができ、延伸させることが出来、且つ、その表面に点状に圧痕(Y)を形成し、この圧痕(Y)部分を形成する部分が互いに融着或いは接着して捻りを維持することができるようなものであればどのようなものであってもよく、本実施例では、厚み10〜100μm、幅10〜100mmの合成樹脂フィルム(低密度(或いは高密度)ポリエチレン樹脂)や、自動織機にて機織される布の両側端のカット部分(通常、耳端と呼ばれている部分で、複数本の縦糸に短い横糸が絡まったもの)が使用される。勿論、これらに限られず、前述の条件が達成できるものであればどのようなものでもよい。ここでは合成樹脂フィルムの裁断屑のようなもの、合成樹脂織布の端部の裁断屑で縦糸と横糸が編織されたような長尺連続体を含む概念でこれらを連続樹脂材料(R)と呼ぶ。
【0020】
また、圧縮紐体(R3)は、図8に示すように、コヨリ状に捩り且つこれに張力を掛けて延伸した延伸紐材(R2)を点状に圧縮してその外周面に凹状圧痕(Y)を形成したものである。なお、前記凹状は、断面が略U状、略V状や略コ状等の形状も含む概念である。
【0021】
本製造装置(A)は、図1に示すように、装置本体(1)、材料供給部(10)、回転部(30)、捻り部(50)、延伸部(60)圧縮部(70)及び再生ペレット回収用のダクト機構部(90)を備えており、前記回転部(30)の主要構成である回転フレーム(31)内には回転フレーム(31)に対して静止状態を保つ機構搭載部(30a)に前記延伸部(60)、圧縮部(70)、切断部(80)及びダクト機構部(90)の一部が設置されている。
【0022】
装置本体(1)は装置本体(1)の骨格となる部分であり、鉄骨を組み合わせたフレーム(1a)と回転部(30)を覆うカバー(1c)で構成されている。フレーム(1a)は細長の棒状部材(例えば、角パイプ、L形鋼やH形鋼などの形鋼)にて形成されている。
【0023】
フレーム(1a)の入口側プレート(3)の上面には材料供給部(10)の縦プレート(11)が立設されており、入口側から導入ガイドローラ(12)、導入ガイドローラ(12)から一段下がったところに駆動ローラ(13)、連続樹脂材料(R)を挟み込んでこれを駆動ローラ(13)に押圧する補助ローラ(13a)、導入ガイドローラ(12)より高い位置に設けられた一対の中間ガイドローラ(14)(16)、中間ガイドローラ(14)(16)の間に上下方向に設けられたスライダ(18)に沿って上下方向に移動して送られる連続樹脂材料(R)に対して一定張力を常時与えるダンサーローラ(15)及び下流側の中間ガイドローラ(16)の下方に設けられ、連続樹脂材料(R)の第1の捻りの起点(Nb1)となる出口ローラ(17)などのローラ類が縦プレート(11)の前面に設置されており、縦プレート(11)の背面に駆動ローラ(13)を駆動するための駆動モータ(19)、出口ローラ(17)の回転速度を調整するための回転速度調整モータ(20)が設置されており、回転速度調整モータ(20)と出口ローラ(17)とは無端ベルト(21)で接続されている。
【0024】
回転部(30)は、左右一対で円板状の回転プレート(32a)(32b)、回転プレート(32a)(32b)間に掛け渡され、回転プレート(32a)(32b)の外周縁部に例えば120°間隔で固定された3本の連結パイプ(33)(勿論、本数及び間隔は限られるものではない。)、回転プレート(32a)(32b)の中心から外方向に向かってそれぞれ設置された中空の回転軸(34a)(34b)で構成された回転フレーム(31)を有し、回転フレーム(31)の回転軸(34a)(34b)はフレーム(1a)の回転部支持台部の両端に設けられた軸受ブロック(4)にそれぞれ支持されている。
【0025】
入口側の回転軸(34a)は中間部分に通孔(35a)が形成されており、この通孔(35a)から最も近い1の連結パイプ(33a)までL形の入口側連結プレート(36a)が設置されており、回転軸(34a)内及び入口側連結プレート(36a)に複数個の入口側ガイドローラ(37a)〜(37d)が回転可能に設置されている。最初の入口側ガイドローラ(37a)は回転軸(34a)の回転と共に出口ローラ(17)に対して回転し、最初の捻りの終点(Ne1)となる。この間で最初の捻りが連続樹脂材料(R)に付与され、連続樹脂材料(R)は緩やかな捻りのコヨリ状紐材(R1)となる。入口側ガイドローラ(37a)と出口ローラ(17)に掛け渡された連続樹脂材料(R)は回転軸(34a)の中心を通ることになる。この中心が回転フレーム(31)の回転軸(CL)となる。そして最後の入口側ガイドローラ(37d)は連続樹脂材料(R)が通過してその経路(K)となる連結パイプ(33a)の入口側開口に臨むように配置され、入口側ガイドローラ(37a)〜(37d)によって連続樹脂材料(R)の方向が緩やかに変更されるようになっている。
【0026】
出口側の回転軸(34b)にも中間部分に通孔(35b)が形成されており、この通孔(35b)から前記連結パイプ(33a)の出口までL形の出口側連結プレート(36b)が設置されており、回転軸(34b)内及び出口側連結プレート(36b)に複数個の出口側ガイドローラ(38a)〜(38d)が回転可能に設置されている。最初の出口側ガイドローラ(38a)は前述のように連結パイプ(33a)の出口側開口に臨むように配置されており、最後の入口側ガイドローラ(37d)との間に連結パイプ(33a)を通過するコヨリ状紐材(R1)を回転軸(CL)の周りで回転させつつ支持搬送している。そしてこれら前記出口側ガイドローラ(38a)〜(38d)がコヨリ状紐材(R1)をガイドし、その送り方向を途中で反転させる反転ローラ(38)である。本実施例では反転ローラ(38)は4個の出口側ガイドローラ(38a)〜(38d)で反転方向を緩やかに変えるようにしているが、勿論、1個で行ってもよいことはいうまでもない。そして、最後の出口側ガイドローラ(38d)は後述する導入ガイドローラ(58)と対になり、出口側ガイドローラ(38d)が第2の捻りの起点(Nb2)、導入ガイドローラ(58)が第2の捻りの終点(Ne2)となって連続樹脂材料(R)に第2の捻りを付与する。従って、出口ローラ(17)から入口側ガイドローラ(37a)〜(37d)、連結パイプ(33a)、出口側ガイドローラ(38a)〜(38d)を経て導入ガイドローラ(58)に至る間が捻り部(50)となる。
【0027】
機構搭載部(30a)は長方形の板で、回転軸(34a)側のその端面において平面視T形にて円板(2a)が取り付けられ、回転軸(34a)側の回転プレート(32a)とで回転ダクト(91)の本体部分を構成している。回転タクト(91)内側で円板(2a)の外面には軸受ハウジング(2b)が設置されており、回転軸(34a)と同軸に設けられた中空連結軸(34a1)との間にベアリング(42a)が取り付けられて回転軸(34a)を回転可能に取り付けられている。そして、回転軸(34a)に対して静止状態で取り付けられた円板(2a)の内面側に一方のスリップリング装置(41)の本体が固着され、スリップリング装置(41)の回転軸(41a)が中空連結軸(34a1)に固着されて回転軸(34a)と同軸回転している。
【0028】
一方、機構搭載部(30a)の回転軸(34b)側の端部に設けられた切欠には回転フレーム(31)の回転軸(CL)を中心とする軸受ハウジング(2d)が設置されており、これが回転プレート(32b)の内側に突出した回転軸(34b)の先端部分にベアリング(42b)を介して取り付けられており、回転する回転軸(34a)(34b)に対して機構搭載部(30a)が両端支持され、機構搭載部(30a)に外力を掛けて揺動させようとしない限り機構搭載部(30a)は静止状態を保つようになっている。
【0029】
回転軸(34b)の反対側の端部には他方のスリップリング装置(40)の回転軸(40a)が固定され、スリップリング装置(40)の本体部分はフレーム(1a)に立設された取付プレート(44)に固定され、スリップリング装置(40)とこのスリップリング装置(40)と一対となって働くスリップリング装置(41)との間に図示しない給電用の配線が設けられている。そしてスリップリング装置(41)を介して機構搭載部(30a)に搭載されている後述の駆動モータ類や機器類を作動させるための電力を供給することが出来る。なお、これらスリップリング装置(40)(41)には固定側に設けられた給電ブラシが回転側のスリップリングに摺接し、給電ブラシとスリップリングを介して給電している。
【0030】
そして静止状態を保つ機構搭載部(30a)に捻り部(50)の終端となる導入ガイドローラ(58)が、回転軸(34b)の内側の開口に臨む位置に取り付けられている。この導入ガイドローラ(58)に対して対となって相対回転する最後の出口側ガイドローラ(38d)により、導入ガイドローラ(58)と出口側ガイドローラ(38d)との間を通過するコヨリ状紐体(R1)に第2の捻りを付与する。従って、最後の出口側ガイドローラ(38d)が第2の捻りの起点(Nb2)となり、導入ガイドローラ(58)が第2の捻りの終点(Ne2)となる。そしてこの部分のコヨリ状紐体(R1)の通過経路は回転軸(34b)の回転軸(CL)に一致する。
【0031】
導入ガイドローラ(58)の直上には延伸始端ローラ(61)が回転可能に支持されており、延伸始端ローラ(61)から斜め下方向で延伸始端ローラ(61)から離間した位置に延伸終端ローラ(64)が回転可能に支持されている。そして、必要に応じて延伸始端ローラ(61)と延伸終端ローラ(64)との間に補助ガイドローラ(63)が回転可能に支持されている。延伸始端ローラ(61)及び延伸終端ローラ(64)にはそれぞれを駆動する駆動モータ(62)(65)が無端ベルト(62a)(65a)を介して接続されている。前記補助ガイドローラ(63)は延伸始端ローラ(61)と延伸終端ローラ(64)とを結ぶ直線から離れた位置に設けられており、延伸始端ローラ(61)や延伸終端ローラ(64)に巻きつく延伸紐体(R2)の巻き付き角度が適切となる位置に設けられる。また、駆動モータ(62)(65)の回転速度は両者間を通過する延伸紐体(R2)に適切な延伸が加わるように調整することが出来るようになっている。なお、図1(b)に示すように導入ガイドローラ(58)に代えて延伸始端ローラ(61)をこの位置に配置することは可能である。
【0032】
圧縮部(70)のローラ取付プレート(77)は、略L字形状に折り曲げ形成された板状の部材であり、その前面側には、2対のローラが前後に並んで取り付けられており(図3,4参照)、前側の一対のローラが圧縮用ローラ(71a)(71b)であり、後側の一対のローラが引出用ローラ(75a)(75b)である。
【0033】
一方の圧縮用ローラ(71a)(可動側)は、ローラ取付プレート(77)に固定されたトグルクランプ(72)の先端に回動可能に取り付けられており、他方の圧縮用ローラ(71b)(固定側)は、ローラ取付プレート(77)に固定されたモータ(73)の回転軸の先端に固着されている。なお、回転軸の中段部分には、ギア列(74)を構成する1つのギアが取り付けられている。ここで、トグルクランプ(72)を固定側の圧縮用ローラ(71b)側に向けて倒すと、圧縮用ローラ(71a)が圧縮用ローラ(71b)側に向かって移動し、圧縮用ローラ(71a)と圧縮用ローラ(71b)とが所定の力で圧接するようになっている。
【0034】
各圧縮用ローラ(71a)(71b)は、その外周面に凹所が形成された円板状の部材であり、本実施例では、図5、6に示すように、その外周面に凹所が形成された複数(本実施例では6枚)の円盤状部材(71c)をネジなどの締結部材により一体化することにより構成されている(各円盤状部材(71c)の間には若干の隙間が設けられている)。なお、固定側の圧縮用ローラ(71b)には、その軸方向両端に円盤状部材(71c)よりも大きな外径を有するストッパー部材(71d)が取り付けられている。
【0035】
また、一方の引出用ローラ(75a)(可動側)は、ローラ取付プレート(77)に固定されたトグルクランプ(76)の先端に回動可能に取り付けられており、他方の引出用ローラ(75b)(固定側)は、ローラ取付プレート(77)の前面側に取り付けられたギア列(74)を構成するギアを介して回動自在に取り付けられている。なお、連結するギア列(74)によって圧縮用ローラ(71b)と引出用ローラ(75b)とは同じ角速度で回転することになる。
【0036】
ここで、トグルクランプ(76)を固定側の引出用ローラ(75b)側に向けて倒すと、可動側の引出用ローラ(75a)が固定側の引出用ローラ(75b)に近接する。なお、引出用ローラ(75a)(75b)間の距離は、圧縮用ローラ(71a)(71b)から送り出された圧縮紐体(R3)を弛み無く下方に送り出すことができ、且つ、圧縮用ローラ(71a)(71b)と引出用ローラ(75a)(75b)との間において圧縮紐体(R3)に過剰な張力がかかった場合には、引出用ローラ(75a)(75b)と圧縮紐体(R3)とがスリップして圧縮紐体(R3)が該張力によって切断されることがないよう適宜設定される。
【0037】
各引出用ローラ(75a)(75b)は、圧縮用ローラ(71a)(71b)にて形成された圧縮紐体(R3)を圧縮用ローラ(71a)(71b)に付着したままの状態になることなく確実に切断部(80)に送り出すことができるよう設けられるもので、その材質としては、その送り出し時に滑ることがないよう、圧縮紐体(R3)との摩擦係数が大きなものが良く、ウレタンゴムなどの弾性材料が好適に採用される。なお、引出用ローラ(75a)(75b)の外径は、圧縮用ローラ(71a)(71b)の外径よりも若干大きめに設定されており、各引出用ローラ(75a)(75b)の外周面は平滑面となっている。
【0038】
切断部(80)は、ケーシング(81)と、カッター(82)、モータ(83)及びブロア(84)とで構成されている。カッター(82)は、工具鋼等の剛性材料からなる略円盤状部材であり、図7に示すように、その外周面には、複数の刃(82a)が所定間隔を隔てて形成されている。なお、刃(82a)の数や刃(82a)同士の間隔は、目的とする再生ペレット(P)の大きさに合わせて、圧縮紐体(R3)の送り出し速さやカッター(82)の回転速度などを考慮して適宜設定される。該カッター(82)は、ケーシング(81)に固定されたモータ(83)にて回転駆動されている。
【0039】
ケーシング(81)は中空部材で中央の円形の中空部分にカッター(82)が一方向に回転可能に収納されており、引出用ローラ(75a)(75b)に近接した位置に切断ガイド(85)が設置されている。この切断ガイド(85)のカッター側の面にカッター(82)の回転軌跡に沿う円弧状の凹み(87)が形成されており、凹み(87)の中央に圧縮紐体(R3)が押し出される切断用の切断孔(86)が穿設されている。また、ケーシング(81)の上部にはブロア(84)のノズル(84a)が設けられており、ブロア(84)から噴き出された風がケーシング(81)のカッター収納部分に吹きこまれるようになっている。ケーシング(81)の下部には円筒状の切断側移送ダクト(96)が斜め下方に向けて設けられており、その先端は回転ダクト(91)の内面壁を構成する円板(2a)に設けられた透孔(2e)に挿入されている。
【0040】
再生ペレット回収用のダクト機構部(90)は、回転ダクト(91)、固定ダクト(93)、切断側移送ダクト(96)及び搬出側移送ダクト(97)とで構成されている。回転ダクト(91)は、その外面壁を構成し、回転軸(34a)に取り付けられて共に回転し且つその外周縁に連結パイプ(33)が取り付けられている前側の回転プレート(32a)と、前記前側の回転プレート(32a)の内側にて所定の間隔をあけ且つ本実施例では等間隔で3箇所宛て連結パイプ(33)に取り付けられているリング状の内側回転プレート(32c)とで構成されており、内側回転プレート(32c)は前述の固定状態で配設されている円板(2a)に面一で且つ両者間に殆んど隙間がない状態で配置されている。従って、回転プレート(32a)と内側回転プレート(32c)とで構成される回転ダクト(91)の外周面(92a)及び内周面(92b)は全面が開放していることになる。
【0041】
そして、外面壁となる前側の回転プレート(32a)と内面壁となる内側回転プレート(32c)との間に切断側移送ダクト(96)から投入された再生ペレット(P)が回転プレート(32a)と内側回転プレート(32c)を貫通して固定された複数の連結パイプ(33)に対して衝突を避けるために両者間にフィン(98)が設置されている。
【0042】
フィン(98)の形状は、フィン(98)そのもの或いはフィン(98)に沿って描かれた軌跡と内側回転プレート(32a)の外縁との交点(Q)において、回転ダクト(91)の回転方向に対してフィン(98)が回転ダクト(91)の内側に傾斜するように配置されている。さらに必要に応じて設けられる第2のフィン(98a)は連結パイプ(33)を挟んで第1のフィン(98)の反対側に設けられ、その起点は第1のフィン(98)内側の端部に一致し、終点は外縁に一致する。
【0043】
固定ダクト(93)は回転ダクト(91)の開口している外周面(92a)を取り囲み、回転ダクト(91)の外周開口に対面する固定ダクト(93)の内周面(94)が開口しているリング状の樋のような形状のもので、対面する回転ダクト(91)の外周面(92a)と固定ダクト(93)の内周面(94)との開口幅が一致するように外壁部分は回転プレート(32a)に一致し、内壁部分は内側回転プレート(2a)に一致する。そしてその下面部分に搬出側移送ダクト(97)に開口する排出口(93a)が形成されている。
【0044】
搬出側移送ダクト(97)は、その一端開口部が排出口(93a)の接続され、他端開口部が貯留槽(99)に接続された筒体で、貯留槽(99)に集められた再生ペレット(P)は必要に合わせて順次取り出される。
【0045】
回転部(30)の駆動はフレーム(1a)に装着されたモータ(5)によって行われる。該モータ(5)は回転軸(34b)に固着されたスリップリング装置(40)の回転軸(40a)に装着されたプーリ(8)とモータ(5)の回転軸(5a)に装着されたプーリ(7)とを無端ベルト(6)にて接続し、モータ(5)の回転を回転軸(40a)に伝えることによって行われる。
【0046】
次に本実施例のペレットの製造装置(A)を用いて再生ペレット(P)を製造する方法について説明する。ペレットの製造装置(A)を用いて再生ペレット(P)を製造する際には、まず、別途用意した導入用の紐(図示せず)を所定の送り経路、即ち、材料供給部(10)、入口側ガイドローラ(37a)〜(37d)、回転フレーム(31)の経路(K)となる連結パイプ(33a)、出口側ガイドローラ(38a)〜(38d)、延伸部(60)に通し、その先端部を圧縮部(70)の引出用ローラ(75a)(75b)間に挟み込み、更に切断部(80)の切断ガイド(85)の切断孔(86)に通す。次いで、導入用の紐の後端にインラインで供給されている連続樹脂材料(R)(或いはインラインでなければ連続樹脂材料巻上体(W))の先端を連結する。連結方法は導入用の紐の後端をリング状にし、そのリングに連続樹脂材料(R)を通し、導入用の紐を引っ張った時にリングが締まり、通された連続樹脂材料(R)を縛り、連結する。通し代は連続樹脂材料(R)が抜け出ないような長さにする。
【0047】
然る後、本装置(A)を作動させる。モータ(5)が回転すると、モータ(5)の回転力が無端ベルト(6)を介して、ベアリング(2)によってそれぞれ回動自在に支持されている回転軸(34b)に伝達され、静止状態を保持している機構搭載部(30a)の周囲を回転フレーム(31)が回転する。前記機構搭載部(30a)には延伸部(60)、圧縮部(70)、切断部(80)及び一方のスリップリング装置(41)などが搭載されているため、当然これらも静止状態を保つ。
【0048】
材料供給部(10)が作動すると駆動ローラ(13)の働きによりインラインで(或いはインラインでなければ連続樹脂材料巻上体(W)から)供給された連続樹脂材料(R)が引き取られ、そして出口ローラ(17)の働きで連続樹脂材料(R)の回転部(30)への供給が始まる。回転部(30)への供給速度の調整は回転部(30)による連続樹脂材料(R)の引き取り速度に合わせて回線速度調整モータ(20)によって行われる。材料供給部(10)での引き取り速度と回転部(30)への供給速度の不均衡はダンサーロール(15)の上下方向のスライドにより吸収され、常に一定の張力で連続樹脂材料(R)が出口ローラ(17)に供給されることになる。出口ローラ(17)では連続樹脂材料(R)の巻着角度は270°±30℃である。そして、出口ローラ(17)の巻着終端が連続樹脂材料(R)の第1の捻り起点(Nb1)となる。
【0049】
出口ローラ(17)の第1の捻りの起点(Nb1)を出た連続樹脂材料(R)は回転部(30)の回転軸(34a)内に設けられた第1入口側ガイドローラ(37a)に掛け渡され、方向を変えて第2入口側ガイドローラ(37b)〜第4入口側ガイドローラ(37d)へと向かい、経路(K)となる連結パイプ(33)を通過して第1出口側ガイドローラ(38a)に掛け渡され、反転方向に方向が変わるように第2、3出口側ガイドローラ(38b)(38c)へと向かい、回転軸(34b)内に設置された第4出口側ガイドローラ(37d)経て回転フレーム(31)に設置され、第2の捻りの終点(Ne2)となる導入ガイドローラ(58)に至る。
【0050】
ここで、出口ローラ(17)から第1入口側ガイドローラ(37a)に至る捻り開始状態のコヨリ状紐体(R1)及び第4出口側ガイドローラ(37d)から導入ガイドローラ(58)に至る捻り終了状態のコヨリ状紐体(R1)は、それぞれ回転軸(34a)(34b)の回転中心に一致して搬送される。そして、回転軸(34a)(34b)を回転中心としてその周囲を回転する経路(K)となる連結パイプ(33a)により出口ローラ(17)の第1の捻りの起点(Nb1)である捻り開始点から導入ガイドローラ(58)の第2の捻りの終点(Ne2)との間で連結パイプ(33a)の1回転に付き、2回の捻りが付与される。コヨリ状紐材(R1)の捩り度合いは、回転フレーム(31)の回転数(即ち、モータ(5)の回転速度)と連続樹脂材料(R)の供給速度(即ち、モータ(73)の回転速度)との関係によって適宜定められる。
【0051】
続いて導入ガイドローラ(58)の第2の捻りの終点(Ne2)から方向を変えたコヨリ状紐体(R1)は延伸始端ローラ(61)に至り、約3/4巻きされた状態で補助ガイドローラ(63)を介して延伸終端ローラ(64)に至り、約3/4巻きされた状態で圧縮部(70)へと送り出される。補助ガイドローラ(63)は必要に応じて設けられるもので、延伸始端ローラ(61)及び延伸終端ローラ(64)での約3/4巻きの巻き付け角度を担保するためのものである。なお、導入ガイドローラ(58)をなくし、直接、延伸始端ローラ(61)をこの場所に設置し、延伸始端ローラ(61)を導入ガイドローラの役目を兼務させるようにしてもよい。
【0052】
延伸始端ローラ(61)及び延伸終端ローラ(64)で構成される延伸部(60)では、延伸始端ローラ(61)及び延伸終端ローラ(64)それぞれに駆動モータ(62)(65)がそれぞれ設置されており、延伸始端ローラ(61)に対して延伸終端ローラ(64)の1.1〜1.2倍、最大1.5倍の引っ張り速度で回転するようになっており、捻り癖が生じていたコヨリ状紐体(R1)を強く延伸して捻り癖を解消して捻り癖のない延伸紐体(R2)とする。同時にこの延伸によって、捻られて大半の部分で接触状態にあるもののなお樹脂材料間に残存していた隙間が追い出され、延伸紐体(R2)の密度が向上する。
【0053】
延伸終端ローラ(64)を出た延伸紐体(R2)は圧縮部(70)に送られ、圧縮用ローラ(71a)(71b)を通過することにより点状に圧縮されて圧縮紐体(R3)が形成される。圧縮用ローラ(71a)(71b)の外周面には、凹所が形成されているので、コヨリ状紐材(R1)が圧縮用ローラ(71a)(71b)で点状に圧縮されると、同紐体(R1)の表面には圧縮用ローラ(71a)(71b)の外周面の凹凸形状に応じて圧痕(Y)が所定間隔を隔てて形成され、この圧痕(Y)によって圧縮紐材(R3)を構成する樹脂材料の層がその材質によって互いに圧着或いは融着されることになるので、その後の短寸に切断した時でも膨れたりほぐれてしまうことはない。
【0054】
なお、上述したように、圧縮用ローラ(71a)(71b)を構成している円盤状部材(71c)の外周面に凹所が形成されており、且つ、各円盤状部材(71c)の間には若干の隙間が設けられているので、圧縮紐体(R3)の表面にその長手方向に沿って形成された圧痕(Y)群は、あたかも背骨のような意匠を与えることになる。
【0055】
なお、延伸紐材(R2)が圧縮用ローラ(71a)(71b)にて圧縮されると、圧縮用ローラ(71a)(71b)通過後の圧縮紐体(R3)の長さは、延伸紐材(R2)に比べて若干長くなる。従って、本実施例では上述したように圧縮用ローラ(71b)と引出用ローラ(75b)との角速度が同じであるため、引出用ローラ(75b)の外径を圧縮用ローラ(71b)の外径よりも若干大き目に設定することでこれに対応するようにしている。
【0056】
なお、引出用ローラ(75a)(75b)の回転速度を圧縮用ローラ(71a)(71b)の回転速度よりも若干速くなるように設定して圧縮紐体(R3)が圧縮用ローラ(71a)(71b)と引出用ローラ(75a)(75b)との間で弛まないようにすることも可能である。そして、圧縮用ローラ(71a)(71b)を通過して形成された圧縮紐体(R3)が引出用ローラ(75a)(75b)によって切断部(80)に送り出される。
【0057】
引出用ローラ(75a)(75b)から送り出された圧縮紐体(R3)が切断部(80)に導出されると、圧縮紐体(R3)は、カッター(82)の回転によって所定長さに連続的に切断され、これにより再生ペレット(P)が形成される。なお、再生ペレット(P)の軸方向の長さは、カッター(82)の回転速度や圧縮紐体(R3)の送り速度を適宜調整することによって自在に調整することが可能である。
【0058】
そして、切断された再生ペレット(P)は、カッター(82)の遠心力によってカッター(82)の円周方向に弾き飛ばされる。切断部(80)にはブロア(84)が設置されているので、切断部(80)のケーシング(81)に吹き込まれたブロア(84)からの風はケーシング(81)内を流れ、ケーシング(81)の下面開口に接続されているダクト機構部(90)の切断側移送ダクト(96)に流れる。切断された再生ペレット(P)もこの風に乗って切断側移送ダクト(96)に流れることになる。勿論、自重によって落下するようにして装置(A)の下方に集めるようにしてもよい。以下、ダクト機構部(90)に集積する場合を説明する。
【0059】
ダクト機構部(90)では、カッター(82)の作動と同時に作動して回転ダクト(91)が回転フレーム(31)と共に回転する。切断側移送ダクト(96)の透孔(2e)は回転ダクト(91)の内周面(91a)より中心側に位置しているから、切断側移送ダクト(96)を流れてきた再生ペレット(P)は内周面(91a)より回転ダクト(91)に投入される。大半の再生ペレット(P)はそのまま回転ダクト(91)を落下して回転ダクト(91)の外周面(92a)を取り囲むように設置されている固定ダクト(93)の底面側に流れ込み、そのまま搬出側移送ダクト(97)に流れ込む。
【0060】
一方、回転ダクト(91)に流れ込んだ再生ペレット(P)の一部は回転ダクト(91)の内壁や後述のフィン(98)に接触してその時の衝撃によって跳ね上げられたり摩擦によってそのまま持ち上げられたりして回転ダクト(91)と共に移動するが、何れかの地点で回転ダクト(91)の外周面(92a)から固定ダクト(93)の内周面(94)を通って固定ダクト(93)内に入り、固定ダクト(93)の内周面に沿って落下し、前記大半の再生ペレット(P)と合流する。
【0061】
また、回転ダクト(91)は複数本の連結パイプ(33)と共に回転しているから、1回転の間に連結パイプ(33)が切断側移送ダクト(96)の開口の前方を横切ることになるが、連結パイプ(33)の両側にスムーズな曲線を持つフィン(98)(98a)が設けられているので、切断側移送ダクト(96)の開口から回転ダクト(91)内に投入された再生ペレット(P)は主としてフィン(98)にガイドされて落下する。そして、このフィン(98)(98a)は回転ダクト(91)と共に回転するので、扇風機の羽根のような役割を果たし、フィン(98)(98a)の回転による風で再生ペレット(P)は固定ダクト(93)から搬出側移送ダクト(97)へと円滑に運ばれる。
【0062】
搬出側移送ダクト(97)は本実施例では貯留槽(99)に接続されていて前記風によって再生ペレット(P)が貯留槽(99)に運ばれて集積され、適時搬出される。勿論、搬出側移送ダクト(97)から直接外部に搬出されるようにしてもよい。
【0063】
このようにして形成された再生ペレット(P)は、図9からも分かるように、樹脂材料を螺旋状にて圧着により密着状態で巻回した積層体の外周面に凹状圧痕(Y)を形成した短寸のもので、捻り癖もなくバージン材料に近い密度をもつ。
【0064】
なお、上述実施例では、装置(A)の回転軸(34a)(34b)が水平方向となるように設けられているが、縦方向に設けてもよいし、斜め方向であってもよい。
【0065】
また、切断部(80)の構成は上述実施例に限定されるものではなく、図示しないが、カッターの回転軸を圧縮紐体(R3)の供給方向に対して略直交する方向に設けるよう構成してもよい。
【0066】
図10は本発明装置(A)の第2実施例で、捻り部(50)、延伸部(60)及び圧縮部(70)が回転部(30)内に搭載され、切断部(80)は回転部(30)外に配置され、材料供給部(10)から供給された連続樹脂材料(R)はストレートに捻り部(50)に供給されている例で、この場合は回転部(30)の1回転で1回の捻りがなされることになる。従って、捻りの開始(起点(Nb1))は第1実施例と同様、出口ローラ(17)となるが、終点(Ne1)は導入ローラ(37a)で、これに延伸開始ローラ(61)が続くことになる。なお、導入ローラ(37a)に替えて延伸開始ローラ(61)を導入ローラ(37a)の位置に設置することは可能である。それ以外は第1実施例と同じである。
【0067】
なお、上述の実施例ではインラインで連続樹脂材料(R)を本発明の製造装置(A)に供給するようにしていたが、上流設備から排出された連続樹脂材料(R)を筒軸(X)に一旦巻き上げて連続樹脂材料巻上体(W)を形成し、この連続樹脂材料巻上体(W)を本発明の製造装置(A)にセッティングすることによって製造装置(A)に連続樹脂材料(R)を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
(A)・・・再生ペレット製造装置
(P)・・・再生ペレット
(R)・・・連続樹脂材料
(R1)・・コヨリ状紐材
(R2)・・延伸紐材
(R3)・・圧縮紐材
(2)・・機構搭載部
(10)・・材料供給部
(30)・・回転部
(50)・・捻り部
(60)・・延伸部
(70)・・圧縮部
(80)・・切断部
(71a)(71b)・・圧縮用ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された連続樹脂材料を捩ってコヨリ状紐材を形成し、次いでコヨリ状紐材に張力を掛けて延伸させ、次いで外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラにて延伸されたコヨリ状の延伸紐材を点状に圧縮し、然る後、点状に圧縮されて形成された前記圧縮紐材を切断することを特徴とする再生ペレットの製造方法。
【請求項2】
連続樹脂材料をガイドしつつ送り出す材料供給部と、
材料供給部から供給された連続樹脂材料に捻りを掛けてコヨリ状紐材を形成する捻り部と、
捻り部の下流側に配設され、捻り部から出たコヨリ状紐材に張力を掛けて延伸させる延伸部と、
外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラを有し、延伸部から出た延伸紐材を点状に圧縮して圧縮紐材を形成する圧縮部と、
前記圧縮部の出口側に設けられ、前記圧縮紐材を切断して再生ペレットを形成する切断部と、
延伸部、圧縮部及び切断部が取り付けられた機構搭載部と
回転軸が連続樹脂材料の材料供給部からの送り方向と略並行となるようにして、材料供給部から送り出された連続樹脂材料をガイドしつつ前記機構搭載部の周囲を回転させ、前記連続樹脂材料の送り方向を途中で反転させた後、前記延伸部にガイドする回転部とで構成されたことを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項3】
連続樹脂材料をガイドしつつ送り出す材料供給部と、
材料供給部に対して相対的に回転し、供給された連続樹脂材料に捻りを掛けてコヨリ状紐材を形成する捻り部と、
捻り部の下流側に配設され、捻り部から出たコヨリ状紐材に張力を掛けて延伸させる延伸部と、
外周面に凹凸が形成された一対の圧縮用ローラを有し、延伸部から出た延伸紐材を点状に圧縮して圧縮紐材を形成する圧縮部と、
前記圧縮部の出口側に設けられ、点状に圧縮されて形成された前記圧縮紐材を切断して再生ペレットとして形成する切断部と、
延伸部、圧縮部及び切断部が取り付けられた機構搭載部と
機構搭載部を回転させる回転部とで構成されたことを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項4】
円形で、回転部に設けられて回転部と共に同軸回転し、外周面及び内周面が開口した中空の回転ダクトと、
回転ダクトの外周面を取り囲み、回転ダクトの開口せる外周面に対面する内周面が開口している固定ダクトと、
切断部からの再生ペレットを回転ダクトの開口している内周面に移送する切断側移送ダクトと、
回転ダクトから移動して固定ダクトで捕集された再生ペレットを外部に移送する搬出側移送ダクトとで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の再生ペレット製造装置。
【請求項5】
フィン又はフィンに沿って描かれた軌跡と外周開口縁との交点において、回転ダクトの回転方向に対してフィンが回転ダクトの内側に傾斜するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の再生ペレット製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−91188(P2013−91188A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233309(P2011−233309)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(591038451)株式会社マルヤス (6)
【Fターム(参考)】