説明

冷凍システムのための潤滑剤蒸留器及びリザーバ

油含有冷媒が入ってくるための入口と、ガス状の冷媒のための出口と、冷媒含有油のための出口とを有する容器を備える冷媒から油を分離するための圧縮機で使用する潤滑剤蒸留器。分離構造体は入ってくる油含有冷媒から、転移する油含有冷媒を分離するために設けられ、該油含有冷媒は、冷媒含有油用の出口付近で進行的に冷媒含有油に変化する。加熱装置はガス状冷媒と冷媒含有油の形成を促進するために、入ってくる油含有冷媒と転移する油含有冷媒を加熱するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機内の冷媒からの潤滑剤(油)の分離に関し、より詳細には潤滑剤蒸留器中の冷媒からの潤滑剤の分離に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー圧縮機又はヘリカル圧縮機は、冷凍サイクルの一環として冷媒を圧縮する、空気調整用途に一般的に使用されている。スクリュー圧縮機は、かみ合いスクリューあるいはヘリカル・ロータを含んでなる。ツインロータ構造は最も一般的な設計だが、対で共働するようにそれぞれが重なったボア内に収容された3つあるいはそれ以上のロータを有するスクリュー圧縮機も又知られている。典型的なスクリュー圧縮機のロータは、それぞれの端部が吸入口側と吐出口側におけるハウジング鏡板の軸受内に実装される。冷媒は、スクリューロータによって吐出口側に向かって圧縮され、ポートと吐出管を通って吐出される。
【0003】
通常の用途においては、スクリュー圧縮機の軸受とロータを潤滑させるのに油と冷媒の溶液又は混合物が使用される。この潤滑剤は、冷媒が通過して圧縮される間に冷媒中に混入するようになる。この混入した潤滑剤が分離されて何らかの手段で回収さない場合、凝縮器と液管を通り、蒸発器に蓄積されて液状の冷媒と混合される。その結果、蒸発器の伝熱効果が低下する。また、油の気泡が生成し、それが圧縮機内に入る吸入流に混入されるため、圧縮機の冷媒流速が低減する。もっと悪いことに、軸受とロータに潤滑性を与える潤滑剤が最終的に枯渇してしまう。
【0004】
過去においては、圧縮機のすぐ下流で油分離器が利用されていた。油分離器は潤滑剤を分離するが、常に申し分のない結果を与えるというものではなかった。例えば、そのような分離器で除去された潤滑剤は高圧である上、油と一緒に相当量の冷媒が混ざっている場合が多い。そのため、潤滑剤の粘度が低下し、軸受潤滑剤としての有用性を劣化させる。分離器の使用は又、圧縮された冷媒の圧力を低下させ、これは望ましくない。分離器は又、その壁部に作用する内部圧力の搏動に起因する音を発散させる場合がある。さらには、分離器の圧力容器が相当な大きさであるために、システムのコストが増大する。
【0005】
潤滑剤を分離するための別の取り組みとしては、蒸発器に取り付けられた濃縮機、即ち蒸留器、時として、例えば、米国特許第6,182,467B1号公報等におけるように発生器とも称される、を使用することによるものである。そのようなシステムにおいて、蒸発器に残留する油と冷媒の混合物の一部は圧縮機内へ流入するようになっており、そこにはいく分かの液状冷媒を蒸発させるために、混合物を加熱するための手段が設けられている。そのため、残留液はより高い割合で油分を含有するようになる。蒸発させる冷媒の量を適切に選択することにより、軸受の潤滑剤として使用するのに十分な粘度を有する液体が得られる。
【0006】
図3を参照すると、そのような従来の潤滑剤蒸留器が詳細に示されており、蒸留器28は、液面線より下方にある蒸発器から排出される油含有冷媒7のための入口32、ガス状冷媒用の出口34、分離工程を経た濃縮された油を流出させる油出口36を備える容器30を含んでなる。蒸留器/リザーバ(溜め)28は、入ってくる油/冷媒混合物を加熱するためにそれらに伝熱する高温の冷媒流がそこを通って流れるコイル42をさらに備える。コイル42は、高温冷媒用の入口38と、伝熱プロセスを経て冷却された冷媒用の出口40を有する。
【0007】
通常、蒸発器内に残留している油状の冷媒混合物から潤滑剤を生成するそのような蒸留器を使用することは既知の技術であり、蒸留器の作用による潤滑剤の粘度は3〜20センチポワズ(cP)(3〜20mPas)である。しかしながら、いくつかのスクリュー圧縮機、特に低速で作動する圧縮機の場合、少なくとも50cP(50mPas)という、より高い潤滑剤粘度が要求される。従来の蒸留器でより高い粘度の潤滑剤を達成する取り組みは決して満足できるものではない。例えば、冷媒を蒸発させるために供給される熱量を単純に増大させれば、ある程度潤滑剤の粘度は高くなるなるであろうが、システム効率を算出する際に供給される余分な熱を計算しなくてはならないため、システム効率に対する深刻なペナルティを背負い込むことにもなり得る。さらには、従来の蒸留器は、運転の待機中に適当な潤滑剤粘度を得ることにおいて欠点を有し、これは蒸発器から油含有冷媒が流入する速度を急激に増大させる結果となる。そのような運転の過渡現象中、入ってくる液体は蒸留器からあふれて、しばらくの間蒸留器内に留まっていた液体と混ざって粘度を下げる傾向がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、冷媒から潤滑剤を分離するための、圧縮機で使用される改善された潤滑剤蒸留器を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、高粘度の潤滑剤を生成し、かつ蒸発器から蒸留器への油含有冷媒の流速が増大する運転の待機中(during operating transients)に高粘度を維持する改善された潤滑剤蒸留器を提供することにある。
【0010】
これらの目的、並びに以降で明らかとなるその他の目的等は、本発明の冷媒から潤滑剤を分離するために圧縮機内で使用する潤滑剤蒸留器によって達成される。蒸留器は、油含有冷媒が入ってくる入口、ガス状冷媒の出口、及び冷媒含有油の出口を有する容器を備える。分離構造体は、入ってくる油含有冷媒から(相)転移する油含有冷媒を分離するために提供され、油含有冷媒が冷媒含有油用出口に近づくにつれ、進行的に冷媒含有油に変化していく。ガス状の冷媒と冷媒含有油の形成を容易にするために、入ってくる油含有冷媒と転移する油含有冷媒とを加熱するための加熱装置が使用される。
【0011】
本発明を完全に理解するべく、添付の図面と一緒に以下の詳細な説明に言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を詳細に参照すると、図1には圧縮機2を備えた冷凍システム1の概略図が示されている。
【0013】
周知のように、満液式蒸発器3は、主としてガス状の冷媒を管4を介して圧縮機2に送る。ガス状冷媒は圧縮機2によって圧縮され、圧縮機の軸受とロータを潤滑するのに使用される潤滑剤が圧縮機2を通過する間にその潤滑剤に混入する。圧縮機2からは、冷媒が、混入した油と共に管5を通って凝縮器6に到達する。圧縮されたガス状冷媒は、凝縮器内で冷却されて液相に転移し、管11を通って膨張弁(図示せず)を介して蒸発器3に達する際に、油との混合物又は溶液となる。蒸発器3では、その中の冷媒によって冷却すべき環境が冷却される。図示するように、蒸発器内で液状の冷媒7が冷媒から沈降することはよくあることである。この冷媒7は、圧縮工程並びに付随する潤滑化中に油が混入した結果、潤滑剤、即ち油含有であることが普通であり、その油含有冷媒分は、管8を介して、以下でより詳細に説明する、本発明の原理による潤滑剤蒸留器128へ移動する。この潤滑剤分は、油ポンプ(図示せず)を用いて排出され、軸受とロータの潤滑のために管13を通って圧縮機2へ輸送される。
【0014】
図2を参照して、圧縮工程中に油がどのようにして冷媒に入っていくかの例をさらに説明する。図2には、相互にかみ合うスクリュー・ロータ14と15、及びスクリュー・ロータの吸入側の軸受17、冷媒入口18及び吐出ポート20を含むロータ・ハウジング12を備えるスクリュー圧縮機が示されており、さらに排気側軸受23と、排気管26に連結された排気ハウジング24を含む排気軸受ハウジング22を備える。動作において、ロータ14を駆動ロータとした場合、ロータ14が回転することにより、かみ合う他方のロータ15が回転する。ロータ14と15の共働回転により、ガスの容積を捕らえて圧縮し、高温の圧縮冷媒ガスを吐出ポート20へと運ぶようにかみ合うロータ14と15の溝内へ吸込入口18を介して冷媒ガスを引き入れる。さらに、かつ同時に、ロータを効率的に潤滑させるのに潤滑剤をスクリュー・ロータ内に注入するため、結果として油は冷媒と混ざる。同時に、潤滑剤は又、吸入側軸受17と吐出側軸受23に送られる。いく分又は全ての軸受潤滑剤は又、内部に漏れ、最終的には通過する冷媒に混入される場合もある。潤滑剤を含む高温の圧縮冷媒は上述のシステム1を通って移動する。本発明は、圧縮機の潤滑に使用する潤滑剤を冷媒から分離するのに用いられる。
【0015】
本発明はスクリュー圧縮機で使用するように示されているが、その他の型の圧縮機にも同様に適用することができる。
【0016】
図1を参照しつつ図4に示すように、本発明の潤滑剤蒸留器である蒸留器128は、液位線より下にある、蒸発器から排出される油含有冷媒7用の入口132と、ガス状冷媒用の出口134と、分離工程を経た高粘度の潤滑剤を流出させるための潤滑剤用出口136を備える耐圧性容器130を含んでなる。蒸留器128は、耐圧性容器130の内壁部分と連係して作用する間仕切り140によって作られた一連の液体リザーバ138を備える。この実施態様では、油含有冷媒7中のいく分かの液体冷媒を蒸発させるための熱が電熱器150によって与えられ、これは耐圧性容器130の底壁151に近接している。容器130内への配置を含む電熱器のその他の配列、及び熱を提供するためのその他の手段、例えば、高温の液状又はガス状冷媒又は熱水が入った管を提供するなども又、本発明の実施態様に対して適応性を有する。
【0017】
リザーバ138のいずれかのリザーバ中の液体に作用する熱によって生成したガス状冷媒は、上昇して蒸発器3又は通路4のいずれかに接続された(図示せず)ベント134を通って最終的に出て行く。蒸留器128を通る液体の流れは、重力Gの影響によるものであり、図示するように、容器130は入口132から下方に向かって傾斜している。図4において、流れは右から左に生じ、各間仕切り140の最上部の上を各リザーバ138を、138aから138eまで順に進む。列の最も上流にあるリザーバは、入口132に連結しており、通常油含有冷媒7を高い割合で収容する。列の最も下流にあるリザーバ138eは、潤滑剤出口136に接続されており、潤滑剤リザーバとして機能する。それらの最上部Tの上を通る流れが発生するような間仕切り140の構造は、本発明の様相の一つである。図4において模式的に152で示される油含有量の多い液体又は気泡は、液体/気泡152の密度が、リザーバ138に存在する他の液体の密度よりも低いため、浮力によって最上位のリザーバ138へ上昇する傾向がある。そのため、油を多く含む液体及び気泡は、リザーバ138内で間仕切り140の最上部の上で、かつリザーバ内の他の液体の上を流れる。このようにして、リザーバ138内の液体の油濃度は、流れがリザーバ138の列を138aから138eまで下流へと進むにつれて増大する。この方法によって、潤滑剤リザーバとして機能する最も下流にあるリザーバ138e中で高粘度の潤滑剤が生じる。運転の待機中、入口132を介して最も最上流のリザーバ138aへ入ってくる油含有冷媒の流入速度が増大する際、蒸留器128を通る液体の流速も又増大する。しかしながら、液体が冷媒を多く含み、その密度が油に富んだ液体又は気泡152より高いため、前述したように、より油に富んだ液体及び気泡152が間仕切りの最上部の上を通って下流まで流れるように導かれる。従って、そのような待機中でさえ、さらなる冷媒に富んだ液体の下流への進行は妨げられ、最も下流のリザーバ中の高粘度の潤滑剤は十分に保持される。
【0018】
高粘度の潤滑剤を生成するために冷媒を蒸発させるさらなる利点は、液状の冷媒と油の混合物あるいは溶液から蒸発する冷媒の移動が、自由面の面積対容積の比率が増大するについれていっそう良くなることが知られているため、リザーバ138をその自由面の面積対容積の比率が可能な限り大きくなるよう設計することによって実現できる。従って、経済的な構成の範囲内において、リザーバ138の深さ(図の紙面に垂直な方向におけるリザーバ138の大きさ)と長さは、高さに対して最大となるようにしなくてはならない。
【0019】
他の好ましい実施態様を図5及び図6に示す。図5を図1と共に参照すると、上述と同様に、蒸留器228は、液位面より下方にある、蒸発器から排出される油含有冷媒7用の入口232、ガス状冷媒用の出口234及び分離工程を経た高濃度の潤滑剤を流出させるための潤滑剤出口236を備える耐圧性容器230を含んでなる。蒸留器228は、間仕切り240で作られた一連の液体リザーバ238aから238gをさらに備える。リザーバ238aから238g及び間仕切り240は、好ましくは比較的高い導電性を有する鋼鉄、アルミニウム又は銅などのシートメタルを、リザーバ238の列全体と間仕切り240の組全体が高い導電率を有する材料からなる、図6に示すように細長く平坦な形状を有するパン(pan(平たい鍋状))形状の単一部品242となるようスタンピングによって作製される。この実施態様においては、油含有冷媒7中のいく分かの液状冷媒を蒸発するための熱は、凝縮器、又は図1に示すような圧縮機2の吐出管5から分岐したタップ39から排出され、図5の入口260を介して流入し、かつ伝熱プロセスを経て冷却されると出口262を通って流出する高温の冷媒ガス流によって与えられるのが好ましい。図6を参照しながら以下により詳細に説明するが、冷媒は、単一部品242と適合する底部244によって画定される内部通路を通って流れる。パン242は、図示する角度で従来の方法、例えばろう付け、溶接、ボルト締め、あるいはシム(shimming)などを用いて容器230内に固定されている。
【0020】
リザーバ238のいずれか中の液体に作用する熱によって生じたガス状の冷媒は、容器230内で上昇し、最終的に、蒸発器3又は通路4のいずれかに接続された(図示せず)ベント234を通って出て行く。蒸留器228を通る液流は、重力Gとパン242の配向の影響によって生じる。図5を再び参照すると、流れは入口232から始まり、間仕切り240の列の上を通って一連のリザーバ238aから238gへと右から左へ生じており、最も下流のリザーバ238hで終わっている。入口232に接続されている、列の最上流にあるリザーバ238aには、通常油含有冷媒7が高い割合で入っている。列のうち最下流にあるリザーバ238hは、潤滑剤出口236に接続され、潤滑剤リザーバとして機能する。間仕切り240は、それらの最上部Tの上を通って流れが生じるよう構成されている。その他に関して、図5に示す実施態様の様相は高濃度の潤滑剤の生成と維持に関連しており、これは前述の図4に示す実施態様と同様である。
【0021】
図6を参照すると、高温の冷媒ガス流用の耐圧性の通路は、高温の冷媒ガス流のための上方の境界かつ側面の境界として(上述の)高導電性材料からなる単一部品242と、好ましくは、242と同様に高い導電性を有する単一のシートをスタンピングすることによって形成された下方の単一部品244を用いて作製され、底部境界と側面の境界242と244を気密に、好ましくはろう付けによって適切に結合させる。入口260と出口262は、気密になるよう適切に、好ましくはろう付けによってアッセンブリ242と244に結合させるか、あるいは又単一部品242と244の一体的な部分として形成することができる。
【0022】
本発明の別の実施態様によれば、図7を参照すると、蒸留器328は、容器内の空間を2つの領域AとBに分割する、コイル342中に配置された少なくとも1つの平坦な分離パン344を備え、このパン344は、その表面上を液体が流れるよう下方に向かって傾斜している。パン344によるこの分割は、2つの分離領域AとBを生じさせるため、油含有冷媒を冷媒含有油から分離するのに有効である。従って、油含有冷媒と冷媒含有油はすぐには混ざらないため、そのような混合が生じて分離工程を弱める従来技術の欠点を避けることができる。パン344は、油状の冷媒での効果的な伝熱を促進するために、コイル342と密接に接続し、かつ長く平坦な形状を有することが好ましい。平坦な形状により、油含有冷媒が薄層状に広がり、それにより蒸留工程並びに油含有冷媒からの潤滑剤の分離が改善される。そのため、空洞346の上方部分に設けられた領域Aは蒸留領域として機能し、そこには冷媒約90〜95%の油状冷媒が飽和温度かつ圧力で蒸発器から入ってくる。コイル中の高温冷媒から熱が伝達されて油状冷媒の冷媒部分が蒸発し、油含有冷媒から分離される。分離された冷媒蒸気は出口334から排出される。
【0023】
領域Bにおいては、10〜40%の冷媒を有する油からなる潤滑剤が集まり、パン344を容器330の底部に向かって下方に移動する。コイル342の代替として、パンに必要な熱を供給するのに、点線で示す電熱器348を用いることができる。
【0024】
動作において、冷媒90〜95%の油含有冷媒が、蒸発器から入口332を通って容器330に入り、パン344上に到達し、凝縮器又は圧縮機の吐出管から排出された高温の冷媒が入口338に入りコイル342を通って循環する。コイル中の高温冷媒から熱が伝達されることによって油を含む冷媒は飽和温度に達し、冷媒の大部分が蒸発する。この冷媒蒸気は気体として出口334を介して、パンの傾斜した方位へ出て行き、液体は領域Aを通ってパンを流れ落ちていき容器330の底部の領域Bに滴り落ちる。コイル中の冷媒による加熱は領域Bへも及ぶが、冷媒を含む油を直接加熱するものであり、さらに残っている冷媒を蒸発させ、蒸気として出口334を介して容器から流出し、一方、油は出口336を介して容器から流出する。冷却されたコイル中の冷媒は出口340を通って容器から排出される。
【0025】
図8を参照すると、図7の代替実施態様が示されている。図8においては、上述と同じコイル142の配置、出口及び入口に加えて、2つのパン444aと444bが使用されている。図8に示す実施態様には、領域AとBの間に第三の領域ABが追加されており、この領域は出口434を通って容器430から排出させる冷媒を、油含有冷媒からさらに分離するよう機能する。領域ABは、領域Aについて上述したのと同様の方法で機能し、領域Aにおいて説明したプロセスを補充するステップとして作用する。パン444aと444bは、それぞれ下方に向かって傾斜しており、パン444aの傾斜はパン344の傾斜よりも少なく、パン444bに液体を導く。パン444bは、パン444aの最下点450と、パン444bの最上点452とがほぼ垂直方向で一致するよう、パン444aとは反対向きに傾斜しているが、1つのパンから次のパンへの液流を可能にするよう十分にずれている。領域AとB、並びに残りの入口及び出口における動作は、パンの配置が異なるためそれらの配置に適応してはいるが、図7の実施態様について上述したのと同様である。
【0026】
本発明の好ましい実施態様を図示しながら説明してきたが、当業者等であれば他の変更を見い出すであろう。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲でのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、冷凍システムの概略図である。
【図2】図2は、吐出端と吐出管との連結を示すスクリュー圧縮機の単純化した概略図である。
【図3】図3は、従来の蒸留器の単純化した概略図である。
【図4】図4は、本発明の潤滑剤蒸留器の実施態様の単純化した概略図である。
【図5】図5は、本発明の潤滑剤蒸留器の実施態様の単純化した概略図である。
【図6】図6は、図5に示す潤滑剤蒸留器の一部材の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の油蒸留器の代替実施態様を示す図である。
【図8】図8は、図7に示す油蒸留器の代替実施態様を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤含有冷媒が入ってくるための入口と、ガス状の冷媒のための出口と、冷媒含有潤滑剤のための出口とを有する容器と、
前記入ってくる潤滑剤含有冷媒から、転移する潤滑剤含有冷媒を分離するための手段であって、前記潤滑剤含有冷媒は、前記冷媒含有潤滑剤のための出口付近で前記冷媒含有潤滑剤へと進行的に変化する、分離するための手段と、
前記ガス状の冷媒と前記冷媒含有潤滑剤の形成を促進するために、前記入ってくる潤滑剤含有冷媒と転移する潤滑剤含有冷媒を加熱するための手段、
とを含んでなることを特徴とする、圧縮機で使用する、冷媒から潤滑剤を分離するための潤滑剤蒸留器。
【請求項2】
前記分離するための手段が、前記容器内に配置される間仕切りを含んでなり、前記潤滑剤含有冷媒を前記転移する潤滑剤含有冷媒と前記冷媒含有潤滑剤から分離することを特徴とする、請求項1記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項3】
前記仕切りが、前記潤滑剤含有冷媒と転移する潤滑剤含有冷媒の流れを横断するように延在することを特徴とする、請求項2記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項4】
前記間仕切りが、そこを通って前記潤滑剤含有冷媒が前記冷媒含有潤滑剤へ転移するよう移動することができる多数のリザーバを形成することを特徴とする請求項3記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項5】
前記分離するための手段が、多数の間仕切りを備えるパンを含んでなることを特徴とする、請求項1記載の潤滑剤蒸留器及びリザーバ。
【請求項6】
前記加熱するための手段が、前記パンと一体であることを特徴とする、請求項5記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項7】
前記加熱するための手段が、潤滑剤とそれを通って流れる高温冷媒を含んでなることを特徴とする、請求項6記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項8】
前記加熱するための手段が電熱器を含んでなることを特徴とする、請求項6記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項9】
前記パンが、前記加熱するための手段と非常に密接していることを特徴とする、請求項5記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項10】
前記パンと前記間仕切りが、同一の材料部材から一体的に形成されることを特徴とする、請求項5記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項11】
前記潤滑剤含有冷媒が入ってくるための入口と前記冷媒含有潤滑剤のための出口が、前記パンに接続されていることを特徴とする、請求項5記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項12】
前記パンが、高位端と低位端を有し、前記冷媒含有潤滑剤のための出口が前記低位端にあり、かつ前記潤滑剤含有冷媒が入ってくるための入口が前記高位端にあることを特徴とする、請求項5記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項13】
前記分離するための手段が、前記容器内に配置される仕切りを含んでなり、前記油含有冷媒を前記冷媒含有油から分離することを特徴とする、請求項1記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項14】
前記仕切りが、パンを含んでなることを特徴とする、請求項13記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項15】
前記パンが、ガス状冷媒の形成を増大させるためにその上を前記油含有冷媒が広がることが可能な細長く平坦な表面を備えることを特徴とする請求項14記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項16】
前記容器が、前記パンの下にある低位領域を備え、前記パンが前記冷媒含有油が前記低位領域へ下に向かって流れるように傾斜していることを特徴とする、請求項15記載の潤滑剤蒸留器及びリザーバ。
【請求項17】
前記仕切りが、前記加熱するための手段と非常に密接していることを特徴とする請求項13記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項18】
前記入ってくる潤滑剤含有冷媒を前記冷媒含有潤滑剤から分離するために、前記分離するための手段が第1及び第2の仕切りを含んでなる前記容器であることを特徴とする請求項1記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項19】
前記仕切りのそれぞれが、前記潤滑剤含有冷媒がその上を誘導される平坦な面を備えることを特徴とする請求項18記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項20】
前記第1及び第2の仕切りが、流れを下向きに誘導するよう下向きの角度に配置されることを特徴とする請求項18記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項21】
前記第1と第2の仕切りのそれぞれが高位端と低位端を含み、前記第1の仕切りの該低位端は、前記第2の仕切りの該高位端と実質的に垂直に一致することにより、前記第1の仕切りから前記第2の仕切りまでの流れを促進することを特徴とする請求項20記載の潤滑剤蒸留器。
【請求項22】
前記容器が3つの領域を備え、第1の領域は前記第1の仕切りの上にあり、第2の領域は、前記第1及び第2の仕切りの間にあり、かつ第3の領域は前記第3の仕切りの下にあり、冷媒が前記第1及び第2の領域中の前記潤滑剤からの蒸気として分離され、かつ、潤滑剤は前記第3の領域に集められかつ前記容器から排出されることを特徴とする請求項18記載の潤滑剤蒸留器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−511784(P2006−511784A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563802(P2004−563802)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040523
【国際公開番号】WO2004/058375
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591003493)キャリア コーポレイション (161)
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
【Fターム(参考)】