説明

冷凍・冷蔵システム

【課題】冷凍機、ショーケース含めた冷媒回路全体の負荷の状態に基づいて過負荷に係る判定等を行うことができる冷凍・冷蔵システムを得る。
【解決手段】冷媒を圧縮して吐出する圧縮機203及び熱交換により冷媒を凝縮させる凝縮器204を有する1又は複数の冷凍機200と、冷媒を減圧する膨張弁103及び減圧に係る冷媒との熱交換により貯蔵庫内の空気を冷却する蒸発器104を有する1又は複数のショーケース100とを配管接続して冷媒を循環させる冷媒回路を構成し、冷凍機200及びショーケースにおける負荷の状態を判断し、また、判断に基づき過負荷状態の原因を判定し、出力する処理を行う冷凍機用コントローラ202とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1または複数の冷凍機(コンデンシングユニット)と店舗等の屋内に設置した1または複数のショーケースとにより冷媒回路を構成する冷凍・冷蔵システムに関するものである。特に冷媒回路の負荷に関する処理を行うものである。
【背景技術】
【0002】
店舗等の屋内に配置されるショーケースと冷凍機(コンデンシングユニット)とを配管接続して冷媒回路を構成する1又は複数の冷凍・冷蔵装置を有する冷凍・冷蔵システムがある。例えば、冷凍機は圧縮機、凝縮器を有し、ショーケースは膨張弁、蒸発器を有しており、これらの機器を配管接続して冷媒回路を構成している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
また、ショーケースと冷凍機とを、各種信号の送受信(通信)ができるように通信線又は無線等によって通信接続している。また、冷凍機、ショーケースをそれぞれ複数台通信接続しているような場合には、上位コントローラとなる集中管理制御装置をさらに通信接続して、各冷凍機、各ショーケースと通信を行えるようにしていることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−205194号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−074537号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上記の特許文献のような冷凍・冷蔵システムでは、例えば、冷凍機、ショーケースの一方の負荷の状態に基づいて制御を行っている。このため、空気調和装置のような環境等に対応した多様な制御を行うことができなかった。これは、冷凍・冷蔵システムでは、例えば冷却対象となる物品の品質保持を損なわない運転を行う制御を優先しているからである。しかしながら、例えば、冷凍・冷蔵システムを設置している店舗等において、品質保持をはかりつつ、全体として電力消費の増大を抑えたいという要求もある。
【0006】
このような場合には、冷媒回路全体の負荷についてより正確な状態を把握することができれば、結果的に、冷却対象となる物品の品質保持を損なうことなく、例えば、店舗全体の電力消費の増大を抑えることができる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、冷凍機、ショーケース含めた冷媒回路全体の負荷の状態に基づいて過負荷に係る判定等を行うことができる冷凍・冷蔵システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る冷凍・冷蔵システムは、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機及び熱交換により冷媒を凝縮させる凝縮器を有する1又は複数の冷凍機と、冷媒を減圧する絞り装置及び減圧に係る冷媒との熱交換により貯蔵庫内の空気を冷却する蒸発器を有する1又は複数のショーケースとを配管接続して冷媒を循環させる冷媒回路を構成し、冷凍機及びショーケースにおける負荷の状態を判断し、また、判断に基づき過負荷状態の原因を判定し、出力する処理を行う処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、冷凍装置とショーケース含めた冷媒回路全体の負荷状態を判断等する処理手段を備えるようにしたので、店舗(屋内)における冷却制御を行う冷凍・冷蔵システム全体として過負荷状態時の運転状態表示等が可能となり、冷却に係わる物品の温度が上昇して質を低下させてしまうことを防ぐ等、システムの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷凍・冷蔵システムの構成を表す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る冷凍機200及びショーケース100の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る過負荷判定処理の手順の一例を表す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る冷凍機200の負荷の状態を判断するためのテーブルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る冷凍・冷蔵システムの構成を表す図である。図1のシステムにおける冷媒循環に係る系統については、例えば圧縮機、凝縮器を有する冷凍機200aと膨張弁、蒸発器を有するショーケース100aとを冷媒配管207aにより接続して冷媒回路(冷凍サイクル回路)を構成している。同様に、冷凍機200bとショーケース100bとを冷媒配管207bにより接続し、冷媒回路を構成している。ここで、図1では冷媒配管207a、207bを1つの線で示しているが、冷媒を循環させるために少なくとも2本の管で接続している。以下、特に区別する必要がない場合は、同種の機器等について、添字を省略した記載により説明を行う場合がある。
【0012】
次に、本実施の形態の冷凍・冷蔵システムにおける通信系統について説明する。図1に示すように、本実施の形態のシステムでは、冷凍機200、ショーケース100について、それぞれ制御装置となる冷凍機用コントローラ202、ショーケース用コントローラ102を設けている。そして、冷凍機用コントローラ202とショーケース用コントローラ102とを伝送線302で通信可能に接続している。また、各冷凍機用コントローラ202、集中管理制御装置300を集中伝送線304に接続して通信可能としている。例えば、本実施の形態における集中伝送線304、伝送線302は多重伝送線であってもよい。また、集中管理制御装置300は、ショーケース100が設置されている店舗等(屋内)の空気調和を行う空気調和装置(空気調和システム)400を制御する制御装置(図示せず)と通信可能に接続している。
【0013】
図2は実施の形態1に係る冷凍機200及びショーケース100の概略構成図である。上述したように、冷凍機200が有する圧縮機203及び凝縮器204とショーケース100が有する膨張弁103及び蒸発器104と冷媒配管207により接続して冷媒回路を構成している。また、本実施の形態では、冷媒回路上に液溜205及びアキュームレータ206を配置している。ここで、図2では、冷凍機200とショーケース100とをそれぞれ1台ずつ冷媒配管207で接続しているが、例えば、1台の冷凍機200に対して複数台のショーケース100を並列に配管接続するようにしてもよい。また、複数台の冷凍機200に対して1又は複数台のショーケース100を配管接続することもできる。
【0014】
冷凍機200において、圧縮機203は、冷媒を吸入し、圧縮して高温・高圧の状態にして送り出す(吐出する)。ここで、本実施の形態では、例えば冷凍機用コントローラ202からの指示に基づいて、運転周波数を任意に変化させて圧縮機203の容量(単位時間あたりの冷媒を送り出す量)を変化させることができるインバータ駆動回路208を有している。また、凝縮器204は、圧縮機203からの冷媒と例えば屋外の空気(外気)との熱交換を行い、冷媒を凝縮して液化させる。また、凝縮器用送風機212は、凝縮器204に外気を送り込み、凝縮器204を流れる冷媒との熱交換を促す。ここで、凝縮器用送風機212は、例えば冷凍機用コントローラ202からの指示に基づいて、運転周波数を任意に変化させて送風量を変化させることができるファンモータを有している。また、本実施の形態では液溜(レシーバ)205は、凝縮器204の冷媒流出側等、液状の冷媒(液冷媒)が流れる位置に配置し、余剰冷媒を溜めておくタンクである。アキュームレータ206は、液冷媒の通過を防止し、圧縮機203に液冷媒が流入しないようにするためのタンクである。
【0015】
また、冷凍機200は、取り付けられた位置において検出した温度、圧力に係る信号を冷凍機用コントローラ202に送る温度センサ(温度検出手段)、圧力センサ(圧力検出手段)を有している。高圧圧力センサ211は、圧縮機203の吐出側に取り付けられ、冷媒回路において高圧側となる部分の圧力を検出する。低圧圧力センサ209は、圧縮機203の吸入側に取り付けられ、冷媒回路において低圧側となる部分の圧力を検出する。
【0016】
また、外気用温度センサ213は、冷凍機200に取り付けられ、屋外の空気(外気)の温度を検出する。ここでは、冷凍機200が外気用温度センサ213を有するようにしているが、例えば、外気用温度センサ213の代わりに、例えば空気調和装置400の外気用温度センサ(図示せず)が検出したデータに基づく処理等を行うようにしてもよい。このとき、冷凍機用コントローラ202は、外気温度に係る信号を入力するための入力手段を有している。
【0017】
冷凍機用コントローラ202は、例えば、各温度センサ、圧力センサから送られる信号、ショーケース100から伝送線302を介して送られる信号を集中管理制御装置300に送信する。また、例えば、集中管理制御装置300との通信により、集中管理制御装置300からの指示に基づいて、冷凍機200内の各機器の制御を行う。例えばインバータ駆動回路208に指示を送って圧縮機203の容量制御を行う。また、凝縮器用送風機212のファンモータに指示を送って風量制御を行う。
【0018】
特に本実施の形態において、冷凍機用コントローラ202は、後述するように、システム内の各冷媒回路における負荷の状態(過負荷の有無)の判断、過負荷の原因を判定する処理(以下、過負荷判定処理という)を行う処理手段となる。このため、冷凍機用コントローラ202は、記憶装置(図示せず)を有し、冷媒回路を構成する冷凍機200及びショーケース100の機種に関するデータ(例えば、容量(馬力)、熱交換能力等のデータ)を記憶している。また、本実施の形態では、季節等の判断を行うため、カレンダー(暦)に係るデータを記憶している。また、時間を計時するためのタイマを有している。
【0019】
一方、ショーケース100において、流量調整装置、絞り装置となる膨張弁103は、開度を変化させることで、蒸発器104内における冷媒の圧力、冷媒量を調整するために設ける。蒸発器104は、膨張弁103によって低圧状態になった冷媒と空気との熱交換を行う。冷媒は空気の熱を奪い、蒸発して気化し、空気を冷却する。そして、蒸発器用送風機105は、例えば蒸発器104を通過させて空調対象空間となるショーケース100にある商品等の陳列棚等を有する貯蔵庫120内(以下、庫内という)に送り出す空気の流れを形成する。蒸発器用送風機105は、例えばショーケース用コントローラ102からの指示に基づいて、運転周波数を任意に変化させて送風量を変化させることができるファンモータを有している。
【0020】
また、ショーケース100は、取り付けられた位置において検出した温度に係る信号をショーケース用コントローラ102に送る温度センサ(温度検出手段)を有している。蒸発器用温度センサ106は、蒸発器104を通過する冷媒の温度(蒸発温度)を検出する。庫内温度センサ107は庫内の温度を検出する。店舗用上側温度センサ109は、ショーケース100が設置されている店舗等(屋内)において、ショーケース100の上側の位置(上部)における温度(上側温度)を検出する。例えば、空気調和装置400からの送風等により店舗側の空気が庫内に流入する場合の空気の流路となるような位置に取り付けられる。店舗用下側温度センサ110は、ショーケース100の下側の位置(下部)における温度(下側温度)を検出する。例えば、庫内から漏れた冷気が流れる場合の流路となるような位置に取り付けられる。
【0021】
ショーケース用コントローラ102は、各温度センサから送られる信号を伝送線302を介して冷凍機用コントローラ202に送信する。また、集中管理制御装置300からの指示に基づいて、ショーケース100内の各機器の制御を行う。特に本実施の形態では、例えば庫内の温度を設定温度に維持するため、膨張弁103の開度制御、凝縮器用送風機212のファンモータに指示を送って風量制御等を行う。庫内温度設定器108は、例えば使用者が設定した庫内の設定温度に係る信号をショーケース用コントローラ102に送る。
【0022】
集中管理制御装置300は、例えば集中伝送線304等を介して指示の信号を送信する等して、システム内における冷凍機200及びショーケース100の管理を行う。特に本実施の形態では、表示手段、音発生手段等の報知手段(図示せず)を有し、各冷凍機用コントローラ202が行った過負荷判定処理結果の信号に基づいて報知を行うものとする。
【0023】
本実施の形態の冷凍・冷蔵システムは、冷媒回路においてショーケース100と冷凍機200とにおける双方の負荷の状態に基づいて、冷媒回路の過負荷の原因を判定するものである。このため、各冷媒回路のショーケース100と冷凍機200とにおける負荷状態を判断する。さらに、少なくとも1台が過負荷の状態である場合には、双方の負荷の状態に基づいて、冷媒回路の過負荷の原因を判定するものである。
【0024】
図3は実施の形態1に係る過負荷判定処理の手順の一例を表す図である。図3に基づいて、冷凍・冷蔵システムにおける過負荷判定処理について説明する。ここで、処理の流れは一例であり、手順を入れ替える等することも可能である。また、本実施の形態においては、上述したように冷媒回路毎の過負荷判定処理を各冷凍機200の冷凍機用コントローラ202が行うものとする。
【0025】
図4は本発明の実施の形態1に係る冷凍機200が過負荷の状態であるか否かを判断するためのテーブルを表す図である。集中管理制御装置300は、図4に示すテーブルをデータとして記憶装置(図示せず)に記憶している。まず、冷凍機200、ショーケース100の少なくとも1台が過負荷の状態であるかどうかを判断する(S1)。冷凍機200の負荷状態の判断に関しては、本実施の形態では例えば低圧圧力センサ209の検出に係る圧力と圧縮機203の運転周波数とに基づいて、過負荷の状態にあるかどうかを判断する。ここで、低圧圧力と圧縮機203の運転周波数との関係は、圧縮機203の容量等、冷凍機200の機種に依存する。このため、前述したように、テーブルのデータは、冷凍機200の機種に関するデータとして記憶している。
【0026】
また、ショーケース100における負荷状態の判断については、本実施の形態では例えば蒸発器用温度センサ106の検出に係る温度と膨張弁103の開度とに基づいて、過負荷の状態にあるかどうかを判断する。ここで、ショーケース100が過負荷運転であるか否かを判断する場合にも、テーブルを用いて行うものとする。そして、ショーケース100においても、蒸発器104における蒸発温度と膨張弁103の開度との関係は、ショーケース100の機種に依存する関係である。このため、集中管理制御装置300では、判断対象となるショーケース100の機種に関するテーブルのデータを記憶する。
【0027】
以上のようにして、冷凍機200及びショーケース100のいずれも過負荷の状態にないと判断すると、過負荷状態であるかどうかの判断を続けながら運転を継続する(S1)。
【0028】
次に、ショーケース100が過負荷の状態であると判断した場合、冷凍機200及びショーケース100の両方が過負荷の状態であると判断した場合について説明する。ここで、冷凍機200だけが過負荷の状態であると判断する場合はないものとして除外している(このため、過負荷の状態である場合には、必ずショーケース100が含まれることになる)。
【0029】
例えば、店舗用上側温度センサ109の検出に係る上側温度が、第1の所定温度よりも高い温度であるかどうか(上側温度>第1の所定温度)を判断する(S2)。第1の所定温度よりも高い温度であると判断すると、店舗の空気がショーケース100庫内に侵入することでショーケース100において過負荷状態となっているものと判定し、集中伝送線304を介して判定結果に係る信号を集中管理制御装置300に送る(S3)。集中管理制御装置300においては、報知手段が空気侵入による過負荷状態である旨を報知する。また、例えば、空気調和装置400からの送風により店舗の空気が庫内に侵入するような場合には、空気調和装置400に風向きの変更を要求する。
【0030】
また、店舗用下側温度センサ110の検出に係る温度が、第2の所定温度よりも低い温度であるかどうか(下側温度<第2の所定温度)を判断する(S4)。第2の所定温度よりも低い温度であると判断すると、ショーケース100の庫内の空気が店舗に漏れて、ショーケース100において過負荷状態となっているものと判定し、集中伝送線304を介して判定結果に係る信号を集中管理制御装置300に送る(S5)。集中管理制御装置300においては、報知手段が冷媒漏れによる過負荷状態である旨を報知する。ここで、上記の原因による過負荷の状態は、冷凍機200の負荷の状態に関係なく生じうる。
【0031】
上記の判断、判定の結果、店舗の空気がショーケース100に侵入しておらず、ショーケース100内の空気が店舗に漏れていないものと判定すると、店舗の温度が高いために過負荷の状態になっているかどうかを判定する。そこで、上述した処理における判断に基づいて、冷凍機200が過負荷状態にあるかどうかを判断する(S6)。冷凍機200が過負荷状態にないものと判定すると、S1に戻り、過負荷状態であるかどうかの判断を続けながら運転を継続する。
【0032】
一方、冷凍機200が過負荷状態にあるものと判定すると、庫内温度設定器108から設定が行われた目標となる庫内の設定温度と庫内温度センサ107の検出に係る温度(庫内における実際の温度)との温度差が所定温度差以上であるかどうか(実際の温度−設定温度≧所定温度差)を判断する(S7)。所定温度差以上でないと判断すると、S1に戻り、過負荷状態であるかどうかの判断を続けながら運転を継続する。
【0033】
所定温度差以上であると判断すると、さらに、外気用温度センサ213の検出に係る外気温度、カレンダーデータに基づいて、冬季で外気温度が低いか又は夏季で外気温度が高いかどうかを判断する(S8)。そして、冬季で外気温度が低いか又は夏季で外気温度が高い状態でないと判断すると、S1に戻り、過負荷状態であるかどうかの判断を続けながら運転を継続する。ここで、本実施の形態では、より正確な判断を行うために、外気温度及びカレンダーデータの両方に基づいて判断を行うようにしたが、どちらか一方に基づいて判断を行うようにしてもよい。
【0034】
一方、冬季で外気温度が低い状態であると判断すると、過負荷状態の原因について、空気調和装置400の暖房運転によって店舗内の温度が高いために、冷凍機200及びショーケース100が過負荷状態となっているものと判定し、集中伝送線304を介して空調(冬季)連携要求信号を集中管理制御装置300に送る(S9)。集中管理制御装置300は、さらに空気調和装置400に空調(冬季)連携要求信号を送信する。例えば、店舗内の空気調和を行っている空気調和装置400は、空調(冬季)連携要求信号を受信すると、暖房運転において温度を下げる制御を行う。
【0035】
また、夏季で外気温度が高い状態であると判断すると、過負荷状態の原因について、空気調和装置400の冷房運転を行っていても店舗内の温度が高いために、冷凍機200及びショーケース100が過負荷状態となっているものと判定し、集中伝送線304を介して空調(夏季)連携要求信号を集中管理制御装置300に送る(S10)。集中管理制御装置300は、さらに空気調和装置400に空調(夏季)連携要求信号を送信する。例えば、空気調和装置400は、空調(夏季)連携要求信号を受信すると、冷房運転において温度を下げる制御を行う。
【0036】
判定により過負荷状態の原因を特定すると、タイマの計時に基づいて所定時間経過したかどうかを判断する(S11)。そして、所定時間経過してもその原因に過負荷状態が解消されていないものと判断すると、過負荷の状態が異常となっているものと判定し、集中伝送線304を介して空調(冬季)連携要求信号又は空調(夏季)連携要求信号を集中管理制御装置300に送る(S12)。
【0037】
以上のように、実施の形態1の冷凍・冷蔵システムでは、ショーケース100と冷凍機200とにおける双方の負荷の状態を判断し、過負荷の状態である場合にはその原因を判定するようにしたので、冷媒回路全体として負荷の状態を判断することができ、例えば、過負荷の原因等を報知することができる。これにより、店舗内の温度が高いことで、冷却対象物品の温度を上昇させてしまい、質を低下させてしまうことを防ぐ等、システムの信頼性を高めることができる。また、例えば、空気調和装置400と連携させ、店舗の温度が高くて冷凍・冷蔵システムが過負荷の状態である場合に、店舗の温度を下げるようにして、空気調和装置400よりも消費電力が大きい冷凍・冷蔵システムの負荷を軽減させることで、全体の省エネルギーをはかることができる。
【0038】
実施の形態2.
上述の実施の形態1においては、冷凍・冷蔵システム内の各冷凍機用コントローラ202が過負荷判定処理を行うようにしたが、これに限定するものではない。例えば、各冷凍機用コントローラ202の代わりに、集中管理制御装置300が行うようにしてもよい。また、例えば各冷媒回路における冷凍機用コントローラ202、ショーケース用コントローラ102等が、過負荷の有無、原因特定の処理を分散して行うようにしてもよい。そして、例えば伝送線302等を介した通信に基づいて、判定結果等のデータを含む信号を集中管理制御装置300に送り、集中管理制御装置300が原因を判定する処理を行う等してもよい。
【0039】
また、上述の過負荷判定処理は冷媒回路毎に行うため、集中管理制御装置300により複数の冷媒回路で構成するシステムだけでなく、1つの冷媒回路を構成する装置においても処理を行うようにしてもよい。このとき、例えば、冷凍機用コントローラ202からの信号により報知を行う、空気調和装置400と連携を行うことができるように、冷凍機用コントローラ202には、報知手段等に信号を送信するための外部接点を設けるようにしてもよい。
【0040】
実施の形態3.
上述の実施の形態1では、例えば、店舗用上側温度センサ109及び店舗用下側温度センサ110を取り付けるようにした。本発明はこれに限定するものではなく、これらの温度センサの代わりに、ショーケース100の上側から下側に至るまでの温度分布を検出することができるサーモパイルユニットを搭載した温度分布検出装置を用いるようにしてもよい。例えば、温度分布検出装置の検出に係る温度分布に基づいて、庫内への空気侵入、庫内からの冷媒漏れ等の判定処理等を行うようにしてもよい。
【0041】
また、実施の形態1では、低圧圧力センサ209の検出に係る圧力と圧縮機203の運転周波数とに基づいて、冷凍機200が過負荷の状態にあるかどうかを判断するようにしたが、例えば、高圧圧力センサ211の検出圧力、圧縮機203の冷媒吐出温度、凝縮器204の凝縮温度等、他の物理量等に基づいて判断を行うようにしてもよい。また、ショーケース100における負荷状態の判断についても、庫内温度センサ107の温度等、他の物理量等に基づいて判断を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100,100a,100b ショーケース、102,102a,102b ショーケース用コントローラ、103 膨張弁、104 蒸発器、105 蒸発器用送風機、106 蒸発器用温度センサ、107 庫内温度センサ、108 庫内温度設定器、109 店舗用上側温度センサ、110 店舗用下側温度センサ、120 貯蔵庫、200,200a,200b 冷凍機、202,202a,202b 冷凍機用コントローラ、203 圧縮機、204 凝縮器、205 液溜、206 アキュームレータ、207,207a,207b 冷媒配管、208 インバータ駆動回路、209 低圧圧力センサ、211 高圧圧力センサ、212 凝縮器用送風機、213 外気用温度センサ、300 集中管理制御装置、302,302a、302b 伝送線、304 集中伝送線、400 空気調和装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機及び熱交換により前記冷媒を凝縮させる凝縮器を有する1又は複数の冷凍機と、
前記冷媒を減圧する絞り装置及び減圧に係る冷媒との熱交換により貯蔵庫内の空気を冷却する蒸発器を有する1又は複数のショーケースと
を配管接続して冷媒を循環させる冷媒回路を構成し、
前記冷凍機及び前記ショーケースにおける負荷の状態を判断し、また、前記判断に基づき過負荷状態の原因を判定し、出力する処理を行う処理手段と、
を備えることを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
【請求項2】
前記処理手段は、
前記圧縮機の駆動周波数と前記圧縮機の吸入側における圧力とに基づいて、前記冷凍機における負荷の状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記蒸発器における蒸発温度と前記絞り装置の開度とに基づいて、前記ショーケースにおける負荷の状態を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項4】
前記ショーケースの上部における温度を検出する上側温度検出手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記ショーケースが過負荷状態であると判断すると、前記上側温度検出手段の検出に係る温度に基づいて、屋内空気の前記貯蔵庫内への侵入による過負荷状態であるかどうかを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項5】
前記ショーケースの下部における前記屋内の温度を検出する下側温度検出手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記ショーケースが過負荷状態であると判断すると、前記下側温度検出手段の検出に係る温度に基づいて、前記貯蔵庫内の空気の屋内への漏れによる過負荷状態であるかどうかを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項6】
前記冷凍機に取り付けられ、屋外温度を検出する外気温度検出手段と、
前記ショーケースの前記貯蔵庫内の温度を検出する庫内温度検出手段とをさらに備え、
前記処理手段は、前記冷凍機及び前記ショーケースが過負荷状態であると判断すると、
前記外気温度検出手段がそれぞれ検出する温度に基づいて、屋内の空気温度が高いことによる過負荷状態であるかどうかを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項7】
前記処理手段は、カレンダーに係るデータを有し、
前記外気温度検出手段が検出する温度に代えて、又は前記外気温度検出手段が検出する温度とともに、前記カレンダーに係るデータに基づいて季節を判断して屋内の空気温度が高いことによる過負荷状態であるかどうかを判定することを特徴とする請求項6に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項8】
サーモパイルユニットを搭載した温度分布検出装置を前記上側温度検出手段とすることを特徴とする請求項3に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項9】
サーモパイルユニットを搭載した温度分布検出装置を前記下側温度検出手段とすることを特徴とする請求項4に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項10】
前記外気温度検出手段を前記冷凍機に取り付ける代わりに、システム外の機器の検出に係る外気温度のデータを含む信号を入力するための外気温度入力手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項11】
前記処理手段は、前記過負荷状態が所定時間続いたものと判断すると、異常である旨の信号を出力することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項12】
前記処理手段の出力に基づいて、報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の冷凍・冷蔵システム。
【請求項13】
前記冷凍機の制御を行う1又は複数の冷凍機側制御装置と、
前記ショーケースの制御を行う1又は複数のショーケース側制御装置と、
システム内の前記冷凍機及び前記ショーケースの管理を行うための集中管理制御装置とを通信可能に接続することを特徴とする請求項1〜12に記載の冷凍・冷蔵システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53809(P2013−53809A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192284(P2011−192284)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】