説明

冷却ユニット

【課題】冷媒を循環させて部品を冷却する冷却機構において、冷却効率のよい冷却ユニットを提供する。
【解決手段】冷却ユニットは、冷媒の流入口と排出口とを有するタンクと、前記タンクに接続され、流路を有する第1及び第2の放熱器と、前記タンク内に区画され、前記流入口から流入される冷媒を前記第1の放熱器に送出する流入室と、前記タンク内に区画され、前記第2の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する排出室と、前記タンク内において、前記流入室と前記排出室との間に配設され、冷媒内で発生する気泡を貯留する貯留室とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、電子機器に搭載された電子部品を、冷媒を用いて冷却する冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PCサーバーなどにおいては、複数のサーバーモジュールをラックキャビネットに段積みして搭載するラックマウント方式が主流となっている。各々のサーバーモジュールには、プロセッサ(CPU)を代表とする集積回路素子(LSI)が1つまたは複数個搭載されている。単体のサーバーや、パーソナルコンピュータにおいては、CPUやLSI等の発熱量が大きい部品の直上に専用のファンを取り付けて空冷し動作の安定を図っている。しかしながら、ラックマウント方式においては、高性能化、省スペース化のため、1つのラックキャビネットに、なるべく沢山のサーバーモジュールを積層する必要がある。そのため、個々のサーバーモジュールの厚さを薄くしなければならないため、ラックマウント方式のサーバーモジュールにおいては、CPUやLSI等の発熱量が大きい部品に直接ファンを付けることができない。また積層されているため、個々のサーバーモジュール内の熱を外に排出することが難しい。これらの問題を解決するために、CPUやLSI等の発熱部品上に冷媒を循環させて冷却し、CPUやLSI等から熱を吸収した冷媒を、ポンプでラジエータに循環させて、冷却ファンで、冷媒を冷却して、CPUやLSI等を冷却する手段がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−319628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーバーの高性能化に伴って、CPUやLSI等も高集積化され、発熱量も増大しており、上述した冷媒を循環させて部品を冷却する方法においても、更に効率よく冷却する冷却機構が要求されている。また、冷媒の温度上昇により発生する気泡が、冷媒の流れに影響を及ぼさない様にする冷却機構も要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の冷却ユニットの一観点によれば、冷媒の流入口と排出口とを有するタンクと、前記タンクに接続され、流路を有する第1及び第2の放熱器と、前記タンク内に区画され、前記流入口から流入される冷媒を前記第1の放熱器に送出する流入室と、前記タンク内に区画され、前記第2の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する排出室と、前記タンク内において、前記流入室と前記排出室との間に配設され、冷媒内で発生する気泡を貯留する貯留室とを有する冷却ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0006】
開示の冷却ユニットによれば、冷媒から発生する気泡をタンク内の貯留室内に集めて空気層を形成し、前記空気層を冷却ユニットで冷却された冷媒への断熱に用いて、冷媒を用いた発熱部品の冷却作用を向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】冷却ユニットを用いたサーバーモジュールの構造について説明する図である。
【図2】第1の実施形態の冷却ユニットについて説明する図である。
【図3】第2の実施形態の冷却ユニットについて説明する図である。
【図4】第2の実施形態の冷却ユニットの効果について説明する図である。
【図5】第3の実施形態の冷却ユニットの効果について説明する図である。
【図6】第4の実施形態の冷却ユニットの効果について説明する図である。
【図7】第5の実施形態の冷却ユニットの効果について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、本開示の技術にかかる好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、開示の技術を適用した冷却ユニットを用いたサーバーモジュール内部の構成を示す。サーバーモジュール100の内部には、複数のCPU90を搭載した回路基板95が配設されている。これらのCPU90には、CPU90の熱を冷媒に伝導するための冷却ジャケット92が取り付けられている。冷却ジャケット92は、熱伝導効率のよい金属、例えば銅、アルミニウムなどが用いられる。
【0010】
サーバーモジュール100内部の端部(図1においては、上方)には、冷却ユニット10が配置されており、その内側には、複数のファン80が配置されている。複数のファン80は、前記冷却ユニット10側に送風する方向に回転する。冷却ユニット10で温められた空気は、サーバーモジュール100端部から、サーバーモジュール100の外部に排出される。
【0011】
サーバーは通常、温度管理されている部屋に設置されているため、前記複数のファン80の回転方向を逆にして、サーバーモジュール100の端部から外気を吸い込み、前記冷却ユニット10を外気で冷却するようにしても冷却効果がある。
【0012】
サーバーモジュール100の内部には、ポンプ82が配置され、ポンプ82により加圧された冷媒は、パイプ60に送出される。送出された冷媒は、冷却ジャケット92でCPU90の熱を吸収し、さらにパイプ61を介して、前記冷却ユニット10に送出される。冷媒は、冷却ユニット10内で、ファン80によって冷却され、パイプ62によって、ポンプ82に還流される。
【0013】
ポンプ82、パイプ60、冷却ジャケット92、パイプ61、冷却ユニット10とパイプ62とで、放熱循環ループを形成し、冷媒はこの放熱循環ループ内を循環する。前記放熱循環ループを直線状に配置し、経路を短く設定することで、冷媒を速く還流して放熱効率を良くすることができる。回路の中枢部であるCPU90を中心にして回路基板95の設計が行なわれるため、多くの場合、CPU90は回路基板95の中心部に配置される。よって、放熱循環ループも、回路基板95の中心部を横断する様に配置されることが多い。
【0014】
冷媒は、例えば、プロピレングリコール系の不凍液が使用されるが、これに限定されない。パイプ60、61、62の一部は、例えばゴム、樹脂等のフレキシブルで、断熱性を有する素材が用いられ、冷却ジャケット92の近傍においては、CPU90からの熱を効率よく冷媒に伝えるために、金属等の熱導伝性の良い素材が用いられる。
【0015】
次に、図2を用いて、第1の実施形態の冷却ユニット10について説明する。図2(a)は、冷却ユニット10の上面図である。冷却ユニット10は、中央にタンク40、その左右に放熱器14と放熱器15を含む。タンク40の側面には、前記パイプ61が接続され、前記冷却ジャケット92で前記CPU90の熱を吸収した冷媒を冷却ユニット10内に流入するための流入口43と、前記パイプ62が接続され、冷却ユニット10内で冷却された冷媒を排出するための排出口45が配設される。タンク40は、流入口43から流入された冷媒を、左右の放熱器14、15に循環させる働きだけでなく、放熱循環ループ内の冷媒を蓄えておく働きを有する。
【0016】
図2(b)は、前記図2(a)におけるA−A‘面での断面を示す。タンク40の内部は、図中、左上部の前記流入口43に導通する流入室42と、右上部の前記排出口45に導通する排出室44と、冷媒を貯留する貯留室46とに区画されている。
【0017】
放熱器14は、偏平状のチューブを屈曲した形状をしており、冷媒が流れる流路21、22を含む。流路21は、図中、左端部で屈曲して流路22に導通している。流路21と流路22との間には、折り畳んだ様な形状で放熱板30が配設されている。同様に、放熱器15は、偏平状のチューブを屈曲した形状をしており、冷媒が流れる流路23、24を含む。流路23は、図中、右端部で屈曲して流路24に導通している。流路23と流路24との間には、折り畳んだ様な形状で放熱板30が配設されている。
【0018】
図2(c)は、冷却ユニット10の冷却効果について説明する図である。流入室42には、前記冷却ジャケット92で前記CPU90の熱を吸収して熱せられた冷媒が、流入口43を介して流入される。熱せられた冷媒は、前記流入室42から、図中、左側の放熱器14の流路21に送出される。流路21内を流れる冷媒の熱は、放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度は下降する。前記放熱板30は前記ファン80によって冷却される。流路21内を流れる冷媒の熱は、流路21の上側の表面からも放熱される。流路21内を流れる冷媒は、流路21の端部で折り返され流路22内を流れる。流路22内を流れる冷媒の熱は、再度、前記放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。流路22内を流れる冷媒は、タンク40内の貯留室46に流れ込む。
【0019】
貯留室46には、前記放熱循環ループを流れる冷媒の他に、冷媒が、パイプに用いられているゴム、及びポンプに用いられている樹脂表面から透過して放熱循環ループに流れる冷媒の量が減ってしまうのを補うための冷媒が蓄えられている。
【0020】
貯留室46に流れ込んだ冷媒は、図中、右側の放熱器15の流路23に送出される。流路23内を流れる冷媒の熱は、放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。前記放熱板30は前記ファン80によって冷却される。流路23内を流れる冷媒は、流路23の端部で折り返され流路24内を流れる。流路24内を流れる冷媒の熱は、再度、前記放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。流路24内を流れる冷媒の熱は、流路24の上側の表面からも放熱される。流路24内を流れる冷媒は、タンク40内の排出室44に流れ込む。排出室44に流れ込んだ冷媒は、前記排出口45から前記パイプ62に排出され、パイプ62によってポンプ82に還流される。
【0021】
このようにCPU90で、熱せられた冷媒は、冷却ユニット10の流路21、22、23、24内で徐々に冷却され、冷却された冷媒は、ポンプ82に戻され、ポンプ82によって再びCPU90の熱を吸収するために還流される。
【0022】
貯留室46は、タンク40内において、前記流入室42と前記排出室44の下部、及び前記流入室42と前記排出室44との間の領域を占める。サーバーモジュール100の製造段階では、前記放熱循環ループ内には、冷媒を最大限充填しておく。前記貯留室46の前記流入室42と前記排出室44との間の領域にも冷媒は充填される。冷媒を充填する作業は、通常常温で行なわれる。このとき、冷媒中に空気が溶け込んでいる。
【0023】
サーバーモジュール100が稼働して、CPU90の冷却が始まると、冷媒の温度が上昇して、常温状態で冷媒に溶け込んでいた空気が気化して気泡となる。前記放熱循環ループ内で発生した気泡は、冷媒の流れに従って移動して、タンク40内の貯留室46に流れ込む。前記気泡は、冷媒より比重が軽いため、前記貯留室46内の上部の前記流入室42と前記排出室44との間の領域に溜まっていく。一旦前記流入室42と前記排出室44との間の領域に溜まった気泡は、右側の放熱器15の流路23に放出されることは無く、空気層49となる。空気層49は、貯留室46の上部に位置するため、放熱器14から流れ込み、貯留室46を介して放熱器15へ流れる冷媒の流れを妨げることはない。この通り、放熱循環ループ内で発生した気泡は最終的に貯留室46に溜まるため、気泡によって放熱循環ループ内の冷媒の流れが妨げられるのを防ぐことが可能となる。
【0024】
タンク40内では、流入室42と排出室44とは離間して配置されていて、流入室42内に流入されるCPU90で熱せられた冷媒の熱が、排出室44内の放熱器15で冷却された冷媒に伝わるのを防いでいる。前記空気層49が流入室42と排出室44との間に出来ることによって、空気層49が断熱層となって、放熱器14で冷却された冷媒の熱が、放熱器15でさらに冷却された冷媒に伝わるのを防ぎ、冷却効果が向上する。
【0025】
次に、図3を用いて、第2の実施形態の冷却ユニット10Aについて説明する。図3(a)は、冷却ユニット10Aの斜視図である。冷却ユニット10Aは、第1の実施形態に係る冷却ユニット10に対して、タンク40の左右に放熱器16と放熱器17を加えた構造をしている。タンク40の左右に放熱器16と放熱器17を加えることで、冷媒の冷却効率を向上させている。タンク40の側面には、前記パイプ61が接続され、前記冷却ジャケット92で前記CPU90の熱を吸収した冷媒を冷却ユニット10内に流入するための流入口43と、前記パイプ62が接続され、冷却ユニット10内で冷却された冷媒を排出するための排出口45が配設される。
【0026】
図3(b)は、前記図3(a)におけるB−B‘面での断面を示す。タンク40の内部は、中央左側の前記流入口43に導通する流入室42と、中央右側の前記排出口45に導通する排出室44と、冷媒を貯留する下側貯留室46と、上側貯留室47とに区画されている。下側貯留室46と、上側貯留室47とは、仕切り板48で仕切られている。
【0027】
図4は、第2の実施形態の冷却ユニット10Aの冷却効果について説明する図である。流入室42には、前記冷却ジャケット92で前記CPU90の熱を吸収して熱せられた冷媒が、流入口43を介して流入される。熱せられた冷媒は、前記流入室42から、図中、左側の下側の放熱器14の流路21と上側の放熱器16の流路25に同時に送出される。流路21内及び流路25を流れる冷媒の熱は、それぞれの放熱器の放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度は下降する。前記放熱板30は前記ファン80によって冷却される。流路21内を流れる冷媒は、流路21の端部で折り返され流路22内を流れる。流路25内を流れる冷媒は、流路25の端部で折り返され流路26内を流れる。流路22内及び流路26を流れる冷媒の熱は、再度、それぞれの放熱器の放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。流路26内を流れる冷媒の熱は、流路26の上側の表面からも放熱される。流路22内を流れる冷媒は、タンク40内の下側貯留室46に流れ込む。流路26内を流れる冷媒は、タンク40内の上側貯留室47に流れ込む。
【0028】
下側貯留室46と上側貯留室47には、前記放熱循環ループを流れる冷媒の他に、冷媒が、パイプに用いられているゴム、ポンプに用いられている樹脂表面から透過して放熱循環ループに流れる冷媒の量が減ってしまうのを補うための冷媒が蓄えられている。
【0029】
下側貯留室46に流れ込んだ冷媒は、図中、右側の下側放熱器15の流路23に送出される。流路23内を流れる冷媒の熱は、放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。前記放熱板30は前記ファン80によって冷却される。流路23内を流れる冷媒は、流路23の端部で折り返され流路24内を流れる。流路24内を流れる冷媒の熱は、再度、前記放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。流路24内を流れる冷媒は、タンク40内の排出室44に流れ込む。
【0030】
上側貯留室47に流れ込んだ冷媒は、図中、右側の上側放熱器17の流路27に送出される。流路27内を流れる冷媒の熱は、放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。前記放熱板30は前記ファン80によって冷却される。流路27内を流れる冷媒の熱は、流路27の上側の表面からも放熱される。流路27内を流れる冷媒は、流路27の端部で折り返され流路28内を流れる。流路28内を流れる冷媒の熱は、再度、前記放熱板30に伝わり、冷媒自体の温度はさらに下降する。流路28内を流れる冷媒は、タンク40内の排出室44に流れ込む。
【0031】
流路24と流路28とから排出室44に流れ込んだ冷媒は、前記排出口45から前記パイプ62に排出され、パイプ62によってポンプ82に還流される。このようにCPU90で、熱せられた冷媒は、冷却ユニット10Aの流路21、22、23、24及び流路25、26、27、28内で徐々に冷却され、冷却された冷媒は、ポンプ82に戻され、ポンプ82によって再びCPU90の熱を吸収するために還流される。
【0032】
下側貯留室46は、タンク40内において、前記流入室42と前記排出室44の下部、及び前記流入室42と前記排出室44との間の下半分の領域を占める。上側貯留室47は、タンク40内において、前記流入室42と前記排出室44の上部の領域、及び前記流入室42と前記排出室44との間の上半分の領域を占める。
【0033】
サーバーモジュール100の製造段階では、前記放熱循環ループ内には、冷媒を最大限充填しておく。前記下側貯留室46及び上側貯留室47の全領域に冷媒は充填される。
【0034】
サーバーモジュール100が稼働して、CPU90の冷却が始まると、冷媒の温度が上昇して、常温状態で冷媒に溶け込んでいた空気が気化して気泡となる。前記放熱循環ループ内で発生した気泡は、冷媒の流れに従って移動して、タンク40内の下側貯留室46に流れ込む。前記気泡は、冷媒より比重が軽いため、前記下側貯留室46内の上部の前記流入室42と前記排出室44との間の領域に溜まっていく。一旦前記流入室42と前記排出室44との間の領域に溜まった気泡は、右側の下側放熱器15の流路23に放出されることは無く、空気層49となる。空気層49は、下側貯留室46の上部に位置するため、左側の下側放熱器14から流れ込み、下側貯留室46を介して右側の下側放熱器15へ流れる冷媒の流れを妨げることはない。この通り、放熱循環ループ内で発生した気泡は最終的に下側貯留室46に溜まるため、気泡によって放熱循環ループ内の冷媒の流れが妨げられるのを防ぐことが可能となる。
【0035】
タンク40内では、流入室42と排出室44とは離間して配置されていて、流入室42内に流入されるCPU90で熱せられた冷媒の熱が、排出室44内の右側の下側放熱器15と上側放熱器17とで冷却された冷媒に伝わるのを防いでいる。前記空気層49が流入室42と排出室44との間に出来ることによって、空気層49が断熱層となって、下側放熱器14で冷却された冷媒の熱が、右側の下側放熱器15と上側放熱器17とでさらに冷却され、排水室44に流れ込んだ冷媒に伝わるのを防ぎ、冷却効果が向上する。
【0036】
次に、図5を用いて、第3の実施形態の冷却ユニット10Bについて説明する。第3の実施形態に係る冷却ユニット10Bは、第2の実施形態に係る冷却ユニット10Aに対して、下側貯留室46と、上側貯留室47とに仕切っている仕切り板48が、上側貯留室47側に大きく張り出した構造となっている。本構造とすることで、常温で冷媒に溶け込んでいた空気が冷媒の温度上昇によって気化し、沢山の気泡が発生したとしても、より多くの気泡を集めることが可能となる。集まった気泡は、空気層49となる。空気層49が断熱層となって、左側の上側放熱器16で冷却された冷媒の熱が、右側の下側放熱器15と上側放熱器17とでさらに冷却され、排水室44に流れ込んだ冷媒に伝わるのを防ぎ、冷却効果が向上する。
【0037】
次に、図6を用いて、第4の実施形態の冷却ユニット10Cについて説明する。第4の実施形態に係る冷却ユニット10Cは、第3の実施形態に係る冷却ユニット10Bに対して、タンク40内において図中右側の排出室44を区画する仕切り板78が二重になっており、その仕切り板78の間が空気層72となっている。本構造とすることで、図中、左側の下側放熱器14及び上側放熱器16で冷却され、下側貯留室46及び上側貯留室47に流入した冷媒の熱が、図中右側の下側放熱器15及び上側放熱器17でさらに冷却され、排水室44に流れ込んだ冷媒に伝わるのを防ぐ効果を有する。
【0038】
次に、図7を用いて、第5の実施形態の冷却ユニット10Dについて説明する。第5の実施形態に係る冷却ユニット10Dは、第4の実施形態に係る冷却ユニット10Cに対して、タンク40内において図中右側の排出室44の二重の仕切り板78の間が空気層72に代わって、断熱材を含む断熱層74となっている。本構造とすることで、第4の実施形態と同様に、図中、左側の下側放熱器14及び上側放熱器16で冷却され、下側貯留室46及び上側貯留室47に流入した冷媒の熱が、図中右側の下側放熱器15及び上側放熱器17でさらに冷却され、排水室44に流れ込んだ冷媒に伝わるのを防ぐ効果を有する。
【0039】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上の実施形態1、2を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
冷媒の流入口と排出口とを有するタンクと、
前記タンクに接続され、流路を有する第1及び第2の放熱器と、
前記タンク内に区画され、前記流入口から流入される冷媒を前記第1の放熱器に送出する流入室と、
前記タンク内に区画され、前記第2の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する排出室と、
前記タンク内において、前記流入室と前記排出室との間に配設され、冷媒内で発生する気泡を貯留する貯留室と
を有することを特徴とする冷却ユニット。
(付記2)
前記貯留室は、前記第1の放熱器から放出される冷媒を、前記第2の放熱器へ送出することを特徴とする付記1に記載の冷却ユニット。
(付記3)
さらに、前記タンクに接続された第3及び第4の放熱器を有し、
前記流入室は、前記流入口から流入される冷媒を前記1及び第3の放熱器に送出し、
前記貯留室は、前記第1及び第3の放熱器から放出される冷媒を、前記第2及び第4の放熱器へ送出し、
前記排出室は、前記第2及び第4の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する
ことを特徴とする付記1に記載の冷却ユニット。
(付記4)
さらに、前記貯留室を第1の貯留室と第2の貯留室とに分割する、前記流入室と前記排出室とを接続する仕切り板を有する
ことを特徴とする付記3に記載の冷却ユニット。
(付記5)
前記流入室は、前記流入口から流入される冷媒を前記1及び第3の放熱器に送出し、
前記第1の貯留室は、前記第1の放熱器から放出された冷媒を前記第2の放熱器に送出し、
前記第2の貯留室は、前記第3の放熱器から放出された冷媒を前記第4の放熱器に送出する
ことを特徴とする付記4に記載の冷却ユニット。
(付記6)
前記仕切り板は、前記第2の貯留室側から前記第1の貯留室側へ突出した突出部を有し、
前記第2の貯留室側の前記突出部内に気泡が貯留される
ことを特徴とする付記4に記載の冷却ユニット。
(付記7)
前記タンク内において、前記排出室周囲に断熱層が形成されている
ことを特徴とする付記1に記載の冷却ユニット。
(付記8)
前記断熱層は、空気層である
ことを特徴とする付記7に記載の冷却ユニット。
(付記9)
前記断熱層は、断熱材である
ことを特徴とする付記7に記載の冷却ユニット。
【符号の説明】
【0040】
10、10A,10B,10C,10D 冷却ユニット
14、15、16、17 放熱器
21、22、23、24、25、26、27、28 流路
30 放熱板
40 タンク
42 流入室
43 流入口
44 排出室
45 排出口
46、47 貯留室
48 仕切り板
49 空気層
60、61、62 パイプ
72 空気層
74 断熱層
78 仕切り板
80 ファン
82 ポンプ
90 CPU
92 冷却ジャケット
95 回路基板
100 サーバーモジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の流入口と排出口とを有するタンクと、
前記タンクに接続され、流路を有する第1及び第2の放熱器と、
前記タンク内に区画され、前記流入口から流入される冷媒を前記第1の放熱器に送出する流入室と、
前記タンク内に区画され、前記第2の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する排出室と、
前記タンク内において、前記流入室と前記排出室との間に配設され、冷媒内で発生する気泡を貯留する貯留室と
を有することを特徴とする冷却ユニット。
【請求項2】
前記貯留室は、前記第1の放熱器から放出される冷媒を、前記第2の放熱器へ送出することを特徴とする請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
さらに、前記タンクに接続された第3及び第4の放熱器を有し、
前記流入室は、前記流入口から流入される冷媒を前記第1及び第3の放熱器に送出し、
前記貯留室は、前記第1及び第3の放熱器から放出される冷媒を、前記第2及び第4の放熱器へ送出し、
前記排出室は、前記第2及び第4の放熱器で冷却された冷媒を前記排出口に排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項4】
さらに、前記貯留室を第1の貯留室と第2の貯留室とに分割する、前記流入室と前記排出室とを接続する仕切り板を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の冷却ユニット。
【請求項5】
前記流入室は、前記流入口から流入される冷媒を前記第1及び第3の放熱器に送出し、
前記第1の貯留室は、前記第1の放熱器から放出された冷媒を前記第2の放熱器に送出し、
前記第2の貯留室は、前記第3の放熱器から放出された冷媒を前記第4の放熱器に送出する
ことを特徴とする請求項4に記載の冷却ユニット。
【請求項6】
前記仕切り板は、前記第2の貯留室側から前記第1の貯留室側へ突出した突出部を有し、
前記第2の貯留室側の前記突出部内に気泡が貯留される
ことを特徴とする請求項4に記載の冷却ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204554(P2012−204554A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66919(P2011−66919)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】