説明

冷却剤として有用なブトン誘導体

式(I)


式中、Rは、水素、メチル、C〜Cアルコキシ、フェニル、C〜Cアルキルフェニル、C〜Cアルコキシフェニル、チエニル、ピリジル、フリルおよびインドリルからなる群から選択され;Rは、水素およびヒドロキシルからなる群から選択されるか、またはRは、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成し;Rは、2,4−ジメチルペンタ−3−イル、2,3,4−トリメチルペンタ−3−イル、アダマンチルおよび2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イルからなる群から選択される、
で表される冷却化合物;ならびにこれらを含む製品組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷却化合物、即ち冷却感を身体の皮膚または粘膜に付与する化合物が開示される。
【背景技術】
【0002】
フレーバーおよびフレグランス業界において、使用者に快適な冷却効果を付与する独特の冷却特性を有し、種々の製品において、特に摂取可能な、および局所用の製品において用いるのに適する化合物についての継続的な要求がある。
【0003】
冷却化合物は、当該分野において周知であり、食料品、タバコ製品、飲料、チューインガム、歯磨き剤、洗口剤および洗面道具などの種々の製品において、広範囲に用いられている。
【発明の概要】
【0004】
新規な群の冷却化合物が見出された。したがって、本明細書中で、冷却感を皮膚または口の粘膜に付与する方法であって、所望の程度の冷却感を生じるのに十分な少なくとも1種の化学化合物の量をこれに適用し、該化学化合物が、式(I):
【化1】

【0005】
式中、Rは、水素、メチル、C〜Cアルコキシ、フェニル、C〜Cアルキルフェニル(例えばメチルフェニル、エチルフェニル、イソプロピルフェニル)、C〜Cアルコキシフェニル(例えばエトキシフェニル)、チエニル、ピリジル(ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル)、フリルおよびインドリルからなる群から選択され;
は、水素およびヒドロキシルからなる群から選択され、またはRは、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成し;
は、2,4−ジメチルペンタ−3−イル、2,3,4−トリメチルペンタ−3−イル、アダマンチルおよび2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イル(好ましくは(1R、2S、5R))からなる群から選択される、
で表される化合物を含むことによる前記方法を開示する。
【0006】
式(I)で表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を含んでいてもよく、これ自体立体異性体の混合物として存在してもよく、またはこれらは、異性体的に純粋な形態として光学分割されてもよい。立体異性体を光学分割することによってこれらの化合物の製造および精製の複雑さが増大し、したがって単に経済的理由により、該化合物をこれらの立体異性体の混合物として用いるのが好ましい。しかし、個別の立体異性体を調製することが所望される場合には、これを、当該技術分野において知られている方法、例えば分取HPLCおよびGCにより、または立体選択的合成により達成することができる。
【0007】
非限定的な例は、Rが2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イルである式(I)の化合物である。
特に、態様は、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オン、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オン、5−イソプロピル−5,6−ジメチル−1−フェニルヘプタン−4−オン、1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシブタン−1−オンおよび1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ペンタン−1−オンから選択される、式(I)で表される化合物である。
【0008】
式(I)で表される化合物を、口粘膜などの粘膜、または皮膚に適用される製品において用いて、冷却感を付与することができる。「適用」により、すべての形態で接触させること、例えば経口摂取、局所適用またはタバコ製品の場合においては吸入を意味する。皮膚への適用の場合において、これを、例えば、化合物をクリームもしくは軟膏中に、または噴霧可能な組成物中に含ませることによるものとしてもよい。したがって、また、粘膜または皮膚に冷却感を付与する方法であって、有効量の上記の化合物を含む製品を当該箇所に適用することによる、前記方法を提供する。
【0009】
口粘膜に適用する製品には、口中に導入され、飲み込まれる食料品および飲料、並びにこれらの栄養価以外の理由により摂取される製品、例えば錠剤、トローチ、洗口剤、のどスプレー、歯磨き剤およびチューインガムが含まれ得る。皮膚に適用される製品は、医学的理由の場合でも他の理由の場合でもヒト身体の皮膚に適用可能な、香水、洗面道具、化粧品、例えばローション、油、軟膏および入浴剤(bathing agent)から選択され得る。したがって、さらなる観点において、組成物が接触し、これにより所望の冷却効果を促進する、皮膚または粘膜の領域における冷受容体を刺激するのに十分な量の少なくとも1種の式(I)で表される化合物を含む組成物を提供する。
【0010】
5000ppm未満、特定の態様において50〜3000ppm、例えば約500ppmの式(I)で表される化合物を含む製品、例えば洗口剤またはチューインガムを粘膜、例えば口粘膜に適用することにより、冷却効果を達成することができる。飲料用に用いる場合には、約15ppmの添加が、冷却効果を達成するのに十分であり得る。化粧品における使用について、本製品は、約50〜約5000ppmを含んでいてもよい。しかし、当業者は感覚的効果を達成するために上記の式(I)で表される化合物を前述の範囲外の量で用い得ることが理解される。
【0011】
食料品および飲料の特定の例には、アルコールまたはノンアルコール飲料、例えば果汁飲料、果実酒(fruit liquor)、ミルク飲料、炭酸飲料、清涼飲料水並びに健康および栄養ドリンク;冷凍菓子類、例えばアイスクリームおよびシャーベット;デザート、例えばゼリーおよびプリン;菓子類、例えばケーキ、クッキー、チョコレートおよびチューインガム;ジャム;キャンディー;パン;茶、例えば緑茶、紅茶、カモミール茶、桑葉茶、ルイボス茶、ペパーミント茶;石鹸;調味料;インスタント飲料;スナック食品などが含まれ得るがこれらには限定されない。
【0012】
局所用製品の他の例には、スキンケア化粧品、例えばクレンジング用ティッシュペーパー、タルカムパウダー、美顔用クリーム、ローション、トニックおよびジェル、ハンドクリーム、ハンドおよびボディーローション、抗脂肪沈着/痩身クリームおよびローション、ローション、バーム、ジェル、スプレーおよびクリーム;日焼け止めローション、バーム、ジェル、スプレーおよびクリームを含む日焼け止め化粧品;日焼け後(after sun)ローション、スプレーおよびクリーム;石鹸、つまようじ、口紅、入浴のための剤、脱臭剤および制汗剤、洗顔クリーム、マッサージクリームなどが含まれ得るがこれらには限定されない。
【0013】
したがって、さらに、口粘膜に適用される製品および皮膚に適用される製品、例えば局所用製品、口腔ケア製品、鼻腔ケア製品、洗面用具、摂取可能な製品およびチューインガムなどからなる群から選択された最終製品を提供し、当該最終製品は、製品基剤および有効量の上記で定義した式(I)で表される少なくとも1種の冷却化合物を含む。
【0014】
上記の化合物を、単独で、または当該分野において知られている他の冷却化合物、例えばメントール、メントン、イソプレゴール、N−エチルp−メンタンカルボキサミド(WS−3)、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタール(Frescolat(登録商標)MGA)、コハク酸モノ−メンチル(Physcool(登録商標))、グルタル酸モノ−メンチル、O−メンチルグリセリン(CoolAct(登録商標)10)および2−sec−ブチルシクロヘキサノン(Freskomenthe(登録商標))、メンタン、樟脳、プレゴール、シネオール、ミント油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オールおよび4−l−メントキシブタン−1−オールと組み合わせて用いてもよい。冷却化合物のさらなる例を、例えばWO 2005/049553、WO2006/125334およびWO 2007/019719中に見出すことができ、これを参考により本明細書中に導入する。
【0015】
冷却化合物を、単に化合物を製品と直接混合することにより、製品中に用いてもよいか、またはこれらを、比較的早期の段階において、取り込み材料、例えばポリマー、カプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、リポソーム、被膜形成剤、吸収剤、例えば環状オリゴ糖類で取り込んでもよいか、またはこれらを、基質に化学的に結合させ、これを、外部の刺激、例えば温度、酵素などを適用することにより冷却化合物を放出するように適合させ、次に製品と混合してもよい。またはこれらを、アルコール類または多価アルコール類、例えばグリセリン、プロピレングリコール、トリアゼチンおよびミグリオール(mygliol)、天然ゴム、例えばアラビアゴム、または界面活性剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル類および単糖類脂肪酸エステル類を用いて可溶化、分散または希釈中に加えてもよい。
【0016】
上記の化合物のほとんどは、それ自体で新規である。したがって、また、式(I)
【化2】

式中、Rは、水素、メチル、C〜Cアルコキシ、フェニル、C〜Cアルキルフェニル(例えばメチルフェニル、エチルフェニル、イソプロピルフェニル)、C〜Cアルコキシフェニル(例えばエトキシフェニル)、チエニル、ピリジル(ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル)、フリルおよびインドリルからなる群から選択され;
は、水素およびヒドロキシルからなる群から選択されるか、またはRは、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成し;
は、2,4−ジメチルペンタ−3−イル、2,3,4−トリメチルペンタ−3−イル、アダマンチルおよび2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イル(好ましくは(1R、2S、5R))からなる群から選択され;
ただし、RおよびRは、同時に水素ではなく;また
がメトキシであり、Rが、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成する場合には、Rはアダマンチルではない、
で表される化合物を提供する。
【0017】
がグリニャール試薬を妨げないような性質を有するもの、例えばアルコキシル、フェニル、アルキルフェニル等である、式(I)で表される化合物を、対応するアルデヒドの適切なグリニャール試薬との反応および当該技術分野において知られている条件下での以降の酸化により調製してもよい。
が複素環、例えばピリジン等である式(I)で表される化合物を、ハロゲン−複素環、例えば2−ブロモピリジン等と適切なアルキンとの薗頭カップリングおよび以降の酸化を用いて調製してもよい。
【0018】
前記組成物および方法を、ここで以下の非限定的例を参照してさらに記載する。
これらの例は、例示のみの目的のためであり、変更および改変を、本発明の精神および範囲から逸脱せずに当業者により行うことができることが、理解される。記載した態様は、代替であるのみならず、組み合わせることもできることを、理解するべきである。
【0019】
例1:1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オン
a)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オール
(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルバルデヒド(4.64g、27.6mmol)をTHF(120mL)に溶解した溶液に、0℃にて、臭化プロピルマグネシウム(THF中2M、28mL)をゆっくりと加えた。反応を1時間以上室温に加温して行った後、これを再び0℃に冷却した。反応を、1NのHClで停止し、ブラインとMTBEとの間で分別した。有機層を乾燥し(MgSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィーにより精製して、所望のアルコール(1.65g)を得た。
【0020】
b)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オール(0.50g、2.4mmol)を塩化メチレン(2.5mL)に溶解した溶液に、活性化された3Å分子ふるい(1.5g)および重クロム酸ピリジニウム(1.0g、3.5mmol)を加えた。反応物を、一晩室温にて撹拌し、次にシリカのパッドを通して濾過し、これをMTBEで洗浄した。有機溶液を濃縮した後、残留物をシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題のケトン(379mg)を得た。
【化3】

【0021】
例2:1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン
例1の一般的手順に従って、(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルバルデヒドおよび臭化(3−フェニルプロピル)マグネシウムから開始して、表題化合物を調製した。
【化4】

【0022】
例3:1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オン
a)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタ−3−イン−1−オール。
(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルバルデヒド(1.0g、6.0mmol)をTHF(10mL)に溶解した溶液に、0℃にて、臭化プロパルギルマグネシウム(1M、8.9mmol)をゆっくりと加えた。反応を室温に加温して一晩放置して行った後、1.5当量の追加の臭化プロパルギルマグネシウムを加え、反応をさらに6時間撹拌して行った。反応物を、再び0℃に冷却し、次に1NのHClで反応停止し、ブラインとMTBEの間で分別した。有機層を乾燥し(MgSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィーにより精製して、所望のアルコール(0.47g)を得た。
【0023】
b)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブト−3−イン−1−オール
丸底フラスコに、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタ−3−イン−1−オール(0.47g、2.3mmol)、トリエチルアミン(10mL)、2−ブロモピリジン(0.28mL、2.7mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(16mg、0.023mmol)およびヨウ化銅(I)(9mg、0.045mmol)を加えた。この混合物を加熱しながら60℃にて一晩撹拌した後、これを室温に冷した。反応物を、直接シリカと混合し、濃縮し、シリカクロマトグラフィーにより精製して、所望のカップリング生成物(286mg)を得た。
【0024】
c)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オール
1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−オール(286mg、1.00mmol)をエタノール(6.0mL)に溶解した溶液を、窒素でフラッシュした(flushed)。炭素上のパラジウム(10%、100mg)を加え、反応物を、再び窒素でフラッシュした。次に、反応物を、室温にて水素雰囲気下で一晩攪拌した。反応物を、シリカのパッドを通して濾過し、シリカクロマトグラフィーにより精製して、所望の水素化生成物(190mg)を得た。
【0025】
d)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オン
1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オール(177mg、0.61mmol)を塩化メチレン(2.0mL)に溶解した溶液に、活性化された3Å分子ふるい(0.75g)および重クロム酸ピリジニウム(0.27g、3.5mmol)を加えた。反応物を一晩室温にて攪拌し、次にシリカのパッドを通して濾過し、これをMTBEで洗浄した。有機溶液を濃縮した後、残留物をシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題のケトン(80mg)を得た。
【化5】

【0026】
例4:5−イソプロピル−5,6−ジメチル−1−フェニルヘプタン−4−オン
例1の一般的な手順に従って、2−イソプロピル−2,3−ジメチルブタナールおよび臭化(3−フェニルプロピル)マグネシウムから開始して、表題化合物を調製した。
【化6】

【0027】
例5:1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシブタン−1−オン
例1の一般的な手順に従って、(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルバルデヒドおよび臭化(3−メトキシプロピル)マグネシウムから開始して、表題化合物を調製した。
【化7】

【0028】
例6:1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ペンタン−1−オン
例1の一般的な手順に従って、(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルバルデヒドおよび臭化ブチルマグネシウムから開始して、表題化合物を調製した。
【化8】

【0029】
例7:冷却強度
少人数のパネリストに、式(I)で表される化合物の種々の水溶液を味見し、いずれの溶液が2ppmにおけるメントールの溶液のものと同様であるかまたはわずかに高い冷却強度を有するかを示すように依頼した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
例8:歯磨き粉への適用
a)対照、ペパーミント油
【表2】

化学物質を、歯磨き用ゲルと混合し、歯磨き用ゲルの一部を、歯ブラシ上に配置し、パネリストの歯を磨く。口を水で洗浄し、水を吐き出す。冷却感が、口の全領域においてパネリストにより感じられる。冷却の知覚は、40分間継続する。
【0032】
b)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オン(例1)
【表3】

化学物質を、歯磨き用ゲルと混合し、歯磨き用ゲルの一部を、歯ブラシ上に配置し、パネリストの歯を磨く。口を水で洗浄し、水を吐き出す。強度の冷却感が、口の全領域においてパネリストにより感じられる。冷却の知覚は、対照よりも高いと評定され、72分間継続する。
【0033】
c)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン(例2)
【表4】

化学物質を、歯磨き用ゲルと混合し、歯磨き用ゲルの一部を、歯ブラシ上に配置し、パネリストの歯を磨く。口を水で洗浄し、水を吐き出す。強度の冷却感が、口の全領域においてパネリストにより感じられる。冷却の知覚は、対照よりも高いと評定され、70分間継続する。
【0034】
例9:チューインガムにおける適用
a)対照、ペパーミント油
【表5】

【0035】
ガムベースおよびソルビトールの半分を混合し、マルチトールシロップを加え、ガム塊(mass)と混合した。粉末の残り(ソルビトール、マンニトール、アセスルファムカリウム、アスパルテームの残り)を約1分にわたり加えて混合し、この際にグリセリンを加え、ガム塊を約5分間混合して、ブランクのチューインガム塊を形成した。ペパーミント油を該チューインガム塊に組み入れ、得られたガムの一部(2g)をパネリストが20分間かみ、吐き出す。冷却感が、パネリストによって口の全領域において感じられる。冷却の知覚は、50分間継続する。
【0036】
b)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オン
【表6】

化学物質およびペパーミント油を、例9a)からのブランクのチューインガム塊に組み入れ、得られたガムの一部(2g)をパネリストが20分間かみ、吐き出す。冷却感が、パネリストによって口の全領域において感じられる。冷却の知覚は対照よりも49%高いと評定され、60分を超えて継続する。
【0037】
c)1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン
【表7】

化学物質およびペパーミント油を、例9a)からのブランクのチューインガム塊に組み入れ、得られたガムの一部(2g)をパネリストが20分間かみ、吐き出す。冷却感が、パネリストによって口の全領域において感じられる。冷却の知覚は対照よりも49%高いと評定され、60分を超えて継続する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、Rは、水素、メチル、C〜Cアルコキシ、フェニル、C〜Cアルキルフェニル、C〜Cアルコキシフェニル、チエニル、ピリジル、フリルおよびインドリルからなる群から選択され;
は、水素およびヒドロキシルからなる群から選択されるか、またはRは、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成し;
は、2,4−ジメチルペンタ−3−イル、2,3,4−トリメチルペンタ−3−イル、アダマンチルおよび2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イルからなる群から選択される、
で表される化合物の、冷却剤としての使用。
【請求項2】
式(I)で表される化合物が、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ブタン−1−オン、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オン、5−イソプロピル−5,6−ジメチル−1−フェニルヘプタン−4−オン、1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシブタン−1−オンおよび1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ペンタン−1−オンからなるリストから選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
皮膚または粘膜に冷却感を付与する方法であって、請求項1で定義された式(I)で表される少なくとも1種の化合物をこれに適用することによる、前記方式。
【請求項4】
皮膚または粘膜に冷却感を付与する方法であって、請求項1で定義された式(I)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種の化合物を含む製品をこれに適用することによる、前記方法。
【請求項5】
皮膚または粘膜に冷却感を付与する製品であって、該製品が、請求項1で定義された式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含む、前記製品。
【請求項6】
口腔粘膜に適用される製品および皮膚に適用される製品からなる群から選択される製品であって、製品基剤および有効量の請求項1で定義された式(I)で表される冷却化合物またはこれらの混合物を含む、前記製品。
【請求項7】
式(I)
【化2】

式中、Rは、水素、メチル、C〜Cアルコキシ、フェニル、C〜Cアルキルフェニル、C〜Cアルコキシフェニル、チエニル、ピリジル、フリルおよびインドリルからなる群から選択され;
は、水素およびヒドロキシルからなる群から選択されるか、またはRは、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成し;
は、2,4−ジメチルペンタ−3−イル、2,3,4−トリメチルペンタ−3−イル、アダマンチルおよび2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル−1−イルからなる群から選択され;
ただし、RおよびRは、同時に水素ではなく;また
がメトキシであり、Rが、これが結合している炭素原子と共にカルボニル基を形成する場合には、Rはアダマンチルではない、
で表される化合物。
【請求項8】
1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−フェニルブタン−1−オン、1−((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−(ピリジン−2−イル)ブタン−1−オン、5−イソプロピル−5,6−ジメチル−1−フェニルヘプタン−4−オン、1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシブタン−1−オンおよび1−((2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)ペンタン−1−オンからなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−527943(P2010−527943A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508684(P2010−508684)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000219
【国際公開番号】WO2008/141469
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】