説明

冷却装置および画像形成装置

【課題】熱定着装置によって転写紙にトナーを融着させる高速機での転写紙Sの冷却に有効で、特に両面画像形成時に有効に機能する冷却装置を提供する
【解決手段】画像形成工程における転写媒体上のトナー像を加熱、定着させる定着手段の下流側に配設されて、転写媒体を冷却するための第一の液体冷却手段と、さらに第2面上にトナー像を形成するために該転写媒体を再度画像形成工程へと導くための搬送経路上に第二の液体冷却手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等、熱によって転写紙上のトナー画像を定着する熱定着装置を通過した転写紙のための冷却装置(冷却構造)と画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を転写紙に転写して画像形成を行う画像形成装置がよく知られている。この画像形成装置では、ユーザーの要望により高速化が進められており、特に複写機等では1分間に40枚以上の高速複写を行うものがある。
毎分40枚以上のコピースピードを有する高速複写機では、転写紙にトナーを熱で溶融し融着させる定着手段で、定着時の熱によって転写紙の温度が120℃程度に上昇する。このため、短時間に次々にコピーが繰り返された場合や、両面コピー時などの両面画像形成時や、出力された転写紙が重なったり、再度裏面にコピーが繰り返される場合などには、転写紙上のトナーが十分に冷却されていないため、トナーの粘性によって転写紙同士が相互に貼り付いてしまう、いわゆるブロッキング現象が生じたり、熱によって転写紙がカールして、ジャム等が発生することがあり問題となっていた。
一般に、画像形成装置においては、定着手段ではトナーを加熱して転写紙に溶融・固着させるが、定着後の転写紙温度は約120℃にも達しており、機内の温度上昇の原因となる。特に、両面コピーモードでは、さらにもう一回その転写紙が搬送されるため、各所で熱による温度上昇が問題となる。そこで、定着後にこの転写紙を冷却する手段を設け急激に温度を下げるための方策が講じられている。その高効率な冷却技術として、液体を用いた液冷法を適用した冷却装置も利用されている。
上記問題の解決のためには、トナー定着後は直ちに転写紙を冷却する必要がある。そこで、特許文献1では、熱伝導性に優れたヒートパイプを利用して転写紙を冷却する方法が開示されている。特許文献1では、上下一対のヒートパイプを用いて転写紙を冷却している。この方法においては、転写紙の熱をヒートパイプで輸送してヒートパイプ端部に設けた放熱用のフィンをファンで冷却する構成を採っている。この方式においては、上記の放熱用のフィンを効率よく冷却することが重要であり、そのためファンで強制的に冷却させている。しかし、そのため大きなシロッコファンが必要であり、当然のことながら騒音が大きくなるなど副作用も生じることとなる。
【0003】
この他にも、特許文献2では、ヒートパイプ放熱部を構成している中空材料の肉厚をその部分だけ薄くすることによって放熱効率を高める工夫がなされ、また冷却ファンの空気取り入れと排出に工夫をしている。然しながら、本発明の前提とする画像形成装置の転写紙冷却用途においては十分な性能を得ることができない。このヒートパイプ方式は転写紙の搬送も兼ねた冷却手段になっているが、100cpmを超えるコピースピードの高速機においては、転写紙搬送のスピードも500mm/sとなり、φ30mmのヒートパイプの回転数も300rpmを超えることになる。すると、ヒートパイプ内の液の蒸発と毛細管現象による液輸送機能が低下して、結果的に熱抵抗が非常に大きくなり本質的に適用できなくなる慮がある。
前述したように、冷却が不十分であると、両面コピー時などは転写紙の温度が約90℃の熱い状態のまま、再度作像工程に入る結果、画質の劣化に繋がり、また周囲への放熱などで、機内温度上昇の要因となる。そのため、定着後の転写紙を更に効率良く冷却する技術が要望されている。
特許文献3では液冷方式と称して、液体を循環させて冷却させる方法が開示されているが、液冷ローラに一回だけ転写紙を通過させるだけでは温度は充分に低下させられない。また、特許文献4でも液冷ローラやヒートパイプを上下に配置し、その間に転写紙を通過させて冷却する技術が開示されているものの、接触面積が少ない結果、十分な冷却効果が得られない場合があり、更に高効率のものが希求されている。
【特許文献1】特開平10−207155号公報
【特許文献2】特開平11−007218号公報
【特許文献3】2006−3819公報
【特許文献4】2006−225115公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、熱定着装置によって転写紙にトナーを融着させる高速複写機、プリンタ等の転写紙の冷却に有効で、特に両面画像形成時に有効に機能する新たな冷却装置を提供することを目的として創案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための、本願発明の冷却装置は、請求項1に記載のように、両面画像形成機能を備えた電子写真式の画像形成装置用の冷却装置であって、画像形成工程において転写媒体第1面上のトナー像を熱で溶融・固着させる定着手段の下流側に配設されて、加熱された転写媒体を冷却するための第一の液体冷却手段を具備し、続けて当該転写媒体第2面上にトナー像を形成する場合に、該転写媒体を再度画像形成工程へと導くための搬送経路上に配設されて当該転写媒体をさらに冷却するための第二の液体冷却手段を具備したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の冷却装置において、前記第一の液体冷却手段および/または第二の液体冷却手段は、液体循環で熱源を冷却する液体冷却方式の液冷ローラと、転写媒体を液冷ローラに押し付ける搬送加圧ローラまたは搬送加圧ベルトで構成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の冷却装置において、前記冷却装置の少なくとも1つには、前記液冷ローラが複数個設置され、前記複数個の液冷ローラ毎に、当該液冷ローラに対応して圧接させた、前記搬送加圧ローラの加圧力を個々に可変に構成したことを特徴とする。
【0006】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の冷却装置において、搬送加圧ベルトは、ベルトが転写媒体と接触する表面に接触して冷却するための液冷ローラを別途に配設したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液冷装置において、前記第二の液体冷却手段は、両面画像形成用の反転両面ユニットの搬送路カバーを液冷し、もって前記搬送路カバー上で一時的に静止させた転写媒体を冷却する固定側冷却手段と、前記搬送路カバー上の転写媒体静止位置に、転写媒体上面側に移動可能に設けられ、静止した状態の転写媒体上表面に、移動して接触する液冷上面カバーと、該液冷上面カバーを冷却するための液冷式の移動側冷却手段と、を備え、前記搬送路カバーの上面と前記液冷上面カバーとが、前記静止状態の転写媒体を、両面から挟んで接触、冷却することを特徴とする。
そして、請求項6に記載の発明の画像形成装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置を実装したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、両面画像形成機能を備えた画像形成装置において、加熱された転写紙を高効率で冷却することが可能であるので、両面画像形成時に特に有効に機能する。
すなわち、従来の空冷法やヒートパイプでは定着後約120℃あった転写紙温度を90℃位にまでしか下げられず、連続コピー時などは機内温度が上昇して信頼性が損なわれていたのであるが、本発明のように液冷の冷却方式を用いた冷却装置を2箇所に分散配置することによって、両冷却装置を通過後の転写紙の温度は50℃程度まで低下でき、画像品質が向上できる。しかも、ファン騒音も低下できてオフィス環境の改善にも効果を奏する。
請求項2記載の発明によれば、第一の冷却装置を液冷ローラと搬送系の転写媒体を液冷ローラに押し付ける搬送加圧ローラまたは搬送加圧ベルトを加圧式に構成することによって、液冷ローラの冷却効率も向上して転写紙の温度をさらに低下させることができる。冷却に必用な設置空間も小さくできて、小型化と信頼性の向上が達成できる。
請求項3記載の発明によれば、従来のように、転写紙の冷却が不十分で転写紙の温度が高いままであると、両面コピー時に熱い転写紙が機器の内部温度も上昇させ、機内のファンの空冷も新たな問題となっていたが、この発明のように液冷ローラを複数個使用することで転写紙の温度が高くならないことによってさらにコピー機の性能を向上させることが可能となった。従来よりも超高速機の開発に活かせばコピー生産性をあげることも可能になる。
ベルト搬送としたものは、液冷ローラとの接触面積が大きく取れるが、従来では搬送ベルトが温度上昇して連続使用時には、冷却効率が徐々に低下していた。請求項4に記載の発明によって、これを解消できる。このことにより、画像品質と機器の信頼性が向上する。
また、請求項5に記載の発明によれば、これまでは、転写紙等の転写媒体が温度の高いまま反転両面ユニットへと搬送され、再度裏面のコピーのため給紙へ回されることが頻繁になってくると、反転両面ユニットも次第に温度が上昇し、機内の温度をあげてしまうという不都合があったが、反転両面ユニットも液冷することによって温度上昇を抑止でき、機器内の温度低下にも効果があり、この点からも画像品質や機器の信頼性に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
前述したように、一般に画像形成装置における定着工程ではトナーを加熱して転写紙に溶融・固着させているが定着後の転写紙温度は約120℃にも達しており、機内の温度上昇の原因となっており、特に、両面コピーモードでは、さらにもう一回その転写紙が搬送されるため、各所で熱による温度上昇が問題となる。そこで、本発明では、定着後にこの転写紙を冷却する手段として、高効率な冷却技術として知られる液体を用いた液冷法を適用した冷却装置を採用して一箇所だけではなく、両面コピーへ転写紙を搬送するルート中に第二の液冷装置を設置して、温度を低下させるものである。さらには、コピーが終了した転写紙が、熱いまま排紙トレイや排紙口に搬送され、手にした者が熱く不快になることを避ける目的で、更に第三の液冷装置を設ける。
【0009】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用した画像形成装置(複写機)を断面図で示した概略構成図である。図では構成各部に符号が付してあるが、この画像形成装置全体の動作については、周知であるので本明細書では、主に電子写真プロセスと発明に関連する要部である定着装置と転写紙の冷却装置についてのみ詳述し、その他の各部の説明は簡略化もしくは省略する。ちなみに、例えば本出願人による特開2006−259312公報には、本実施形態と略同等の画像形成装置の詳細構成等について詳述されている。
以下、先ずこの画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1の複写機は、画像形成装置本体150の内部に画像形成処理部120と、定着装置25および転写紙反転ユニット28を具備して構成されている。画像形成装置本体150の上面には原稿走査部300が設けられており、複写機として機能する。図1に示す原稿走査部300は、原稿などのドキュメントを走査部に向けて自動送りが可能な自動原稿給送装置(ADF)400を用いることができる。画像形成装置本体150下方は、給紙テーブル200になっている。
【0010】
画像形成装置本体150の上部に位置した画像形成処理部120では、周知のプリンタや複写機あるいはファクシミリ装置や印刷機等の画像形成装置と同様に、像担持体として用いられる感光体上に形成された静電潜像がトナーを用いて可視像処理がされる。
図示した画像形成処理部120は、周知の構成であるが簡略に説明すると、各色用に4組の画像形成手段18と中間転写ベルト(中間転写体)50が設けられ、中間転写ベルト50下面側には二次転写装置22が設けられている。各画像形成手段18では、像担持体としてドラム状の感光体10が回転可能に設けられている。それぞれの感光体10の周囲には、反時計方向に設定された感光体10の回転方向に沿って画像形成処理を行うための帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置およびクリーニング装置が配置されている。
各画像形成手段18では、感光体10に対して帯電装置により一様帯電が行われると、画像情報に応じた書き込みがレーザ光の走査により実行されて静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置から供給されるトナーによって可視像処理される。
可視像処理された感光体10上の各画像は、中間転写ベルト50上に重複転写される。この画像は、記録媒体としての転写紙S(記録紙)に対して二次転写装置22を用いて静電転写される。転写紙Sは、図1において符号144で示す給紙カセットから繰り出されて、レジストローラ147によりレジストタイミングを設定されて、二次転写装置22(転写領域)に向け給送される。こうして、トナー像が転写紙Sなどの転写媒体に転写された後、二次転写ベルト24によって搬送され、熱ローラ定着方式を用いる定着装置25によって定着される。
【0011】
ここで、本発明に関連深い要部として、定着装置25とこれを通過した転写紙Sを高効率で冷却するために特徴的な構成を持った第一の冷却装置について、詳細に説明する。
図2に定着装置から下流側へ、さらには両面コピー用経路に、転写媒体としての転写紙Sが導入、搬送され反転後に、再処理経路へと再送(合流)されるまでの関連各部(定着装置、反転両面ユニット、第一・第二液冷装置等)のユニット模式図を示した。本実施形態の画像形成装置では、第一の冷却装置81と第二の冷却装置91がユニットとして組み込まれている。
図2において25は定着装置であり、転写紙入り口25′からフルカラートナー像を転写されトナーが静電的に付着した状態の転写紙Sが搬送され移動していく。定着装置25は、加熱ローラ26に張設された無端ベルトである定着ベルト26′と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えていて、加熱ローラ26と加圧ローラ27とで形成されるニップ部で押圧すると共に熱によって転写紙Sとトナーを溶着させる。転写紙Sは、定着装置25を通過することにより、熱と圧力とにより表面に担持している転写像(フルカラートナー像)が該転写紙S上に加熱定着される。定着装置25の下流側には、後述する第一の液体冷却手段としての第一の冷却装置81が配設されており、定着後の加熱された転写紙Sは、第一の冷却装置81へ搬送されて冷却される。その後、転写紙Sは片面処理の場合には、切換爪55で切り換えられて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0012】
第一の冷却装置81について説明する。図3(a)は、本実施形態における定着装置25、第一の冷却手段としての第一の冷却装置81の配置・構成を明示した斜視図、図3(b)は、第一の冷却装置81部分の構成を示す拡大断面図である。また、図4は、第一の冷却装置81における付勢手段の構成を説明するための拡大断面図である。各図では、定着装置25の下流に接近して設けられた第一の冷却装置81の冷却ローラ81aと、この冷却ローラ81aに圧接している2個ある搬送ローラ(搬送加圧ローラ)81bとの間(ニップ部)を、斜線を付して明示した転写紙Sが2枚順次搬送されている様子が示されている。
この冷却ローラ81a内の内部密閉空間(明示しない流入口、排出口を有しており流路の一部を形成している)に液体を流すことで、定着装置25の下流側においてトナー定着後直ちに転写紙Sの温度を下げる(液体式)冷却装置として機能する。
上記冷却ローラ81a(液冷ローラ或はヒートパイプローラとも称される)は、両端にロータリージョイントと呼ばれる回転可能で、かつ冷媒の流入と流出時も漏れないような構造となっている。ローラ表面はステンレスやニッケルやクロームメッキなどで比較的平滑に仕上げられている。冷却ローラ81aの径は任意に選ぶことが可能であるが、直径φ20mm〜φ50mm程度が汎用的である。一方、搬送ローラ81bは通常の金属棒で良い。
【0013】
この種の液冷装置では、搬送される転写紙を、液冷の熱交換器、ここでは液冷ローラに接触させて熱移動を行わせる必要があり、接触の面積は広くかつ押し付ける圧力もある程度強い方がよい。従って、加圧手段としてローラ(あるいは後に例示するようにベルト)であって、しかも、転写紙を液冷ローラに押し付ける、加圧可能な機構を付帯させている。
搬送ローラ81bは、図示しないが、上下方向に移動可能に長孔に軸支されている。上下のローラ間を加圧用スプリングを含み構成された付勢手段で圧接させて、転写紙Sを冷却ローラ81aに確実に押し付けて熱を移動させる。もちろん搬送ローラ81bも、冷却ローラとして機能するように構成してあっても良い。
冷却ローラ81aに対して搬送ローラ81bを圧接するための付勢手段は、図4に示すように、搬送ローラ81bの軸端部に対応させて適宜支持部に軸孔81dで軸支させて設けられた平板アーム状のスプリング金具81cと加圧用スプリング(コイルばね)81fで構成され、スプリング金具81cの自由端先端部に設けた係止孔81eを係止部81g間に懸けられた加圧用スプリング81fによって付勢してスプリング金具81c中間部の係止舌片81hに当接した搬送ローラ軸端部を冷却ローラ81aに向けて押圧するようにしている。
片面コピーでは、定着処理された転写紙Sは、第一の冷却装置81で冷却され切換爪55により直ちに装置内部から排紙され排紙トレイ57に積み重ねられたが、両面画像形成処理を行う場合には、定着処理されて第一の冷却装置81で、冷却された転写紙Sは、切換爪55を切り換えることで転写紙反転ユニット28に送られる。
【0014】
図2に示したように、本画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙Sの両面に画像形成を行うために該転写紙Sを反転させるための転写紙反転ユニット(反転両面ユニット)28が、第二の冷却手段としての第二の冷却装置91を組み込んだ状態で配置されている。そして、第1面を定着処理されて第一の冷却装置81で冷却された転写紙Sは、次いで切換爪55を経て、コロ93と更に下流のコロ94によって、転写紙反転ユニット28へとさらに搬送され、ここで、後で詳述する第二の冷却装置91へと達する。
すなわち、両面プリントの場合には、転写紙Sは、最初の定着と冷却を経た後、搬送方向を下向きに変えられ、搬送路カバーと液冷上面カバーを含んで構成された転写紙反転ユニット28へ搬送されていく。転写紙反転ユニット28へ到達した転写紙Sは、ここで搬送方向を逆転されて紙の後端から転写紙反転ユニット28を出て行く(スイッチバック動作)。この動作によって転写紙Sの表裏を反転させることができる。この際に、第二の冷却装置91(第二の液体冷却手段)によって転写紙Sが再度冷却される。
【0015】
ここで、本実施形態を特徴付けている第二の冷却装置91について説明する。
図5は、実装した第二の冷却装置91を含む転写紙反転ユニット28を示す斜視図である。また、図6は本実施形態の第二の冷却手段としての第二の冷却装置(液冷装置)91を示す拡大断面図である。第二の冷却装置91は搬送路カバー91aと、可動式の搬送上面ガイド91bの間に転写紙Sが挟持され冷却される構造を採っている。
第二の冷却装置91は、図6に明示されているように、転写紙反転ユニット28の上側部分で転写紙Sが滞留する箇所(静止位置)の下方載置面となるベッド状でA3転写紙大の搬送路カバー91aと、これを覆うように配設された上方に移動できる可動式の搬送上面ガイド91bとで形成される液冷部を要部として設けている。搬送路カバーは、液冷式の固定側冷却手段によって冷却される。また、液冷上面カバーは、液冷式の移動側冷却手段によって冷却される。
すなわち、この液冷部は、中空の扁平な金属箱で内部は図示のない周知の冷媒冷却用熱交換装置で冷却された冷媒が流れる流路構造となっている搬送路カバー91aおよび可動式の搬送上面ガイド91bを搬送経路の上下に置いた形態となっていて、流路構造に液体を流すことで転写紙Sが冷却されている。中空部は、単一空間でもよいが冷媒の流れる方向に沿って適宜の支持壁(隔壁)を設けるようにしても構わない。更に別な形態としては、2枚の平行な金属板間の略全域に、流路となる金属パイプを平面状に蛇行させて適宜配置し接合した構造等でも良い。なお、搬送上面ガイド91bを移動させる構造については、既存の技術を適宜用いれば足り、ここでは、触れない。
【0016】
この、液冷部においては、詳述しない装置制御部によって、転写紙Sが搬送路カバー91aと上方に退避している搬送上面ガイド91bの間で滞留させられ、これに合わせて、搬送上面ガイド91bが駆動されて下降して搬送路カバー91aに押し付けられて、転写紙Sが効率的に冷却される。上述したように搬送路カバー91aも搬送上面ガイド91bも、冷媒が充満し通過する金属箱となっており、液冷装置として効率良く機能するようになっている。このようにして、転写紙Sは転写紙反転ユニット28により反転されると共に第二の冷却手段(第二の冷却装置91)で更に充分冷却される。
表裏反転された転写紙Sは定着装置方向には戻らず、さらにまた排出コロ95や、符号96〜99のコロによって搬送が続行され、両面コピーのために両面再送口28aから再給紙搬送経路を通過して本来の給紙経路に合流する。この後は転写紙S裏面の裏面コピー処理過程のために再び二次転写装置22へと導かれ、表面プリントの時と同じ様に裏面にもトナー像を転写された後、再度定着装置25と第一の冷却装置81を経て、今度は、転写紙Sは切換爪55で片面処理の場合同様に、切り換えられて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。以上が両面プリント動作である。
【0017】
以上のように、本実施形態装置によれば、画像定着直後には、液冷方式の第一の冷却手段としての冷却ローラ81aで、定着後の定着トナー像および担持転写紙を効率良く冷却させている。そして、両面コピーの場合には更に、像担持転写紙を第2面の画像形成のために搬送する過程中で搬送経路に配設されている転写紙反転ユニット28において2回目の冷却を行うようにして、片面にトナー像を担持した転写紙の温度を充分に下げる工夫を施し、画像品質を維持することができる。
また、副次的効果として、両面コピー時に、第2面処理過程中に第二の冷却装置91によって、さらに冷却され、定着後には第一の冷却装置81を通過する結果として、両面コピー終了後に排紙口に向かった転写紙はこれまでの装置のように、手にした時に熱くて不快感を感じることは無くなる。また、反転ユニット部での冷却は、機内の温度上昇抑止にも繋がる。
【0018】
[第2実施形態]
本発明における冷却装置は、上述した構成に限らない。図7に、上記実施形態装置において使用可能な、第一の冷却手段の別な実施形態を、冷却ローラおよび搬送加圧ローラの配置図で示す。この第2実施形態の第一の冷却装置81は、第1実施形態装置のものに比して搬送ローラ81bを1つのみにして簡略化を図ったもので、個々の要素自体は第1実施形態と同一である。図示は省略しているが、図4で説明したものと同等の付勢手段を備え、冷却ローラ81aと、これに対向配置された唯ひとつの搬送ローラ81bと、スプリング金具81c、加圧用スプリング81fを含み冷却装置が構成されている。
冷却ローラ81aは、前例同様に、両端にロータリージョイントと呼ばれる回転可能で、かつ冷媒の流入と流出時も漏れないような構造となっている。そして、上方の冷却ローラ81aと下方の搬送ローラ81bの間を加圧用スプリング金具81fで圧接し、転写紙Sを冷却ローラ81aに押し付けて熱を移動させることができる。
【0019】
[第3実施形態]
更に上記実施形態装置において使用可能な、第一の冷却手段の別な実施形態を、図8の冷却ローラおよび搬送加圧ローラ等の配置図で示す。この第3の実施形態では、上記第2実施形態相当の第一の冷却装置81(ここでは、便宜的に冷却ローラ対81b′という)を近接して2組配置した構成になっている。従って、個々の要素自体は第1、第2実施形態の場合と同一であり説明は繰り返さない。なお、本図では、下流側の冷却ローラ対についてのみ、付勢手段も併せて図示してある。個々の冷却ローラ対81b′は、冷却ローラ81a、とこれに対向配置された搬送ローラ81bと、スプリング金具81c、加圧用スプリング81fを含み構成されている。冷却部(冷却ローラ対81b′)を連続して2回通過することで、第一の冷却装置81としての冷却効率を高めている。
【0020】
[第4実施形態]
第1の実施形態で説明した装置においては、第二の冷却装置としては、図5と図6で示した構造のものを用いているが、第二の冷却装置についてもこれに限らない。第一の冷却装置として説明した、冷却ローラを用いた装置のいずれかを使うようにしても良い。一例として、図7に示したものと同等の冷却装置を、第二の冷却手段として用いた例を図9に示す。図9は、図1の画像形成装置における転写紙反転ユニット28において、第二の冷却装置として冷却ローラ式の冷却装置を実装した場合の拡大断面図である。
図中の各部については、全て既に個々に説明してあるので、ここでの説明は繰り返さないが、両面コピーを実行した場合には、液冷方式の第一の冷却手段で冷却したのち、更に像担持転写紙を第2面の画像形成のために搬送する過程中で搬送経路に配設されている転写紙反転ユニット28において第二の冷却装置によって2回目の冷却を行い、片面にトナー像を担持した転写紙の温度を充分に下げることができるので、やはり画像品質を維持するとの目的が達成できる。
【0021】
[第5実施形態]
第一の冷却装置としては、これまでに説明した各実施形態では全てが、冷却ローラ81aに対向させて搬送ローラ81bを用いた構成であるが、搬送ローラに替えて無端ベルトを用いるようにした構成を第一あるいは第二の冷却装置として使用することも考えられる。
図10は搬送側がベルトの第一の冷却装置の構成の一例を示している(これ以外の装置各部については前述各実施形態と同様であり、説明を省略する)。図10中、符号81aを付したものは前述実施形態同等の冷却ローラ、符号82aが搬送加圧ベルトであり、駆動用の支持ローラ82bと支持ローラ82cの間にテンションをかけ張設されていて、冷却ローラ81aとの間にニップを形成させている。転写紙Sは矢印の方から搬送されてベルトに乗り、液冷式の冷却ローラ81aで冷却されて支持ローラ82c側へ排出されていく。
【0022】
[第6実施形態]
冷却ローラは、一つに限らず、冷却ローラ81aを複数個を用いて冷却装置を構成することもできる。複数個の冷却ローラ81aを用いる場合の例として図11に、第一の冷却装置において冷却ローラ81aを2連とした構成例を示した。これは搬送加圧ベルト82aの表面の上側面に接触させて冷却ローラ81aが直列に繋がった構成である。先の図8では搬送側が加圧ローラであったが、このように、搬送側がベルトであっても良い。冷却機能が更に強まって好適である。なお、図11において更に、冷却ローラ81a間に搬送機能を兼ねたテンションローラを設けるようにしても良い。このテンションローラにも冷却ローラを用いるようにしても構わない。
[第7実施形態]
更にまた、図12に示すように、図10における搬送加圧ベルト82aの表面を冷却するために、搬送加圧ベルト82aの表面の下側面に接触させて更に冷却ローラ83aを追加して設けるようにしても良く、やはり冷却機能が更に強まって好適である。なお、図12では、搬送加圧ベルトの下側に冷却ローラ83aを設置したが、この構成例に限らず表面が冷却されればよく、その位置は空間的には設置できる適宜のところであれば、どのようなところでも構わない。
【0023】
以上、実施形態を挙げ本発明を説明したが、本発明は上述各実施形態によって限定されるものではない。以上説明した実施形態では、第二の冷却手段として転写紙反転ユニットに組み込んだものを示したが、必ずしもこのような構成に限らない。要は、第1冷却手段を通過後、第2面の画像形成のための転写紙S搬送路中で、定着処理前、好ましくは転写工程前に転写紙Sを再度冷却するように構成されていれば良い。従って、実施形態において第一の冷却装置81として説明した各構成と同一構成の冷却装置を適宜の位置に設けて第二の冷却装置として用いることが可能である。
その他、切換爪55を経て排紙トレイ57に至る搬送経路中に更に第三の冷却装置を配置するようにしても良い。この構成によれば、片面あるいは両面画像形成時のいずれの場合にも、定着装置通過後に転写紙S(記録媒体)が、充分に冷却されるので、コピー等の処理終了後に手にした時に熱いと感じる不快感をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る冷却装置が搭載された画像形成装置の概略図である。
【図2】実施形態装置における、転写紙Sが定着装置から下流側へ、さらには両面コピー用経路に搬送されるまでの関連各部のユニット模式図である。
【図3】(a)は、実施形態における定着装置、第一の冷却手段としての第一の冷却装置の配置・構成を明示した斜視図、(b)は、冷却装置部分の拡大断面図である。
【図4】実施形態における第一の冷却装置の付勢手段の構成例を説明する拡大断面図である。
【図5】実施形態における転写紙反転ユニットおよび第二の冷却装置の構成を示した斜視図である。
【図6】実施形態における第二の冷却装置の液冷部の構造を示した拡大断面図である。
【図7】第一の冷却手段の第2の実施形態を説明した冷却ローラおよび搬送加圧ローラの配置図である。
【図8】第一の冷却手段の第3の実施形態を説明した冷却ローラおよび搬送加圧ローラの配置図である。
【図9】第二の冷却手段として、冷却ローラ式の液冷部を実装した第4実施形態における各ローラの配置図である。
【図10】第一の冷却手段として、搬送側に搬送加圧ベルトを採用した冷却ローラ式の液冷部の実施形態を説明した配置図である。
【図11】第一の冷却手段の別な第6実施形態の構成を示す配置図である
【図12】第一の冷却手段の更に異なる第7実施形態の構成を示す配置図である。
【符号の説明】
【0025】
10 感光体、18 画像形成手段、22 二次転写装置 (転写領域)、24 二次転写ベルト、25 定着装置、25′ 転写紙入り口、26 加熱ローラ、26′ 定着ベルト、27 加圧ローラ、28 転写紙反転ユニット、28a 両面再送口、50 中間転写ベルト、55 切換爪、56 排出ローラ、57 排紙トレイ、81 第一の冷却装置(第一の冷却手段)、81a 冷却ローラ(液冷ローラ)、81b 搬送ローラ(搬送加圧ローラ)、82a 搬送加圧ベルト、82b、82c 支持ローラ、83a 冷却ローラ、91 第二の冷却装置(第二の冷却手段)、91a 搬送路カバー、91b 搬送上面ガイド、95 排出コロ、96〜99 コロ、120画像形成処理部 、150画像形成装置本体 、144 給紙カセット、147 レジストローラ、200 給紙テーブル、300 原稿走査部、400 自動原稿給送装置(ADF)、S 転写紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面画像形成機能を備えた電子写真式の画像形成装置用の冷却装置であって、
画像形成工程において転写媒体第1面上のトナー像を熱で溶融・固着させる定着手段の下流側に配設されて、加熱された転写媒体を冷却するための第一の液体冷却手段を具備し、
続けて当該転写媒体の第2面上にトナー像を形成する場合に、該転写媒体を再度画像形成工程へと導くための搬送経路上に配設されて該転写媒体をさらに冷却するための第二の液体冷却手段を具備したことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記第一の液体冷却手段および/または第二の液体冷却手段は、液体循環で熱源を冷却する液体冷却方式の液冷ローラと、転写媒体を液冷ローラに押し付ける搬送加圧ローラまたは搬送加圧ベルトで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記液体冷却手段の少なくとも1つには、前記液冷ローラが複数個設置され、前記複数個の液冷ローラ毎に、当該液冷ローラに対応して圧接させた、前記搬送加圧ローラの加圧力を個々に可変に構成したことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記搬送加圧ベルトには、同ベルトが転写媒体と接触する表面に接触して冷却するための液冷ローラを別途に配設したことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記第二の液体冷却手段は、両面画像形成用の反転両面ユニットの搬送路カバーを液冷し、もって前記搬送路カバー上で一時的に静止させた転写媒体を冷却する固定側冷却手段と、
前記搬送路カバー上の転写媒体静止位置に、転写媒体上面側に移動可能に設けられ、静止した状態の転写媒体上表面に、移動して接触する液冷上面カバーと、
該液冷上面カバーを冷却するための液冷式の移動側冷却手段と、を備え、
前記搬送路カバーの上面と前記液冷上面カバーとが、前記静止状態の転写媒体を、両面から挟んで接触、冷却することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置を実装したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−237514(P2009−237514A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87034(P2008−87034)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】