説明

冷却装置

【課題】 真空冷却手段の構成を簡素化すること。
【解決手段】 被冷却物3を収容する冷却室2と、この冷却室2内に設けた冷却用熱
交換器9と、前記冷却室2内を減圧することにより被冷却物3を冷却する真空冷却手段4と、前記真空冷却手段4の作動を制御する制御手段6とを備える冷却装置であって、前記真空冷却手段4は、前記冷却室2と接続される減圧ライン15に減圧手段16を設けるとともに、前記冷却室2および前記減圧手段16間に開閉弁17を設けた構成とし、前記制御手段6は、前記開閉弁17を開き、前記減圧手段16の作動により前記冷却室2内を減圧する第一真空冷却工程と、前記開閉弁17を閉じ、前記減圧手段16の作動を停止するとともに、前記冷却用熱交換器9を作動させる第二真空冷却工程とを順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、真空冷却を行う複合冷却装置などの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複合冷却装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この複合冷却装置は、真空冷却手段の減圧手段を蒸気エゼクタ,熱交換器および水封式真空ポンプにて構成し、前記熱交換器の冷却水をクーリングタワーおよび冷凍機により冷却するように構成している。この従来装置では、蒸気エゼクタなどの高真空を得るため設備を必要としていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−318051公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決する主たる課題は、真空冷却手段の構成を簡素化することが可能な冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被冷却物を収容する冷却室と、この冷却室内に設けた冷却用熱交換器と、前記冷却室内を減圧することにより前記被冷却物を冷却する真空冷却手段と、前記真空冷却手段の作動を制御する制御手段とを備える冷却装置であって、前記真空冷却手段は、前記冷却室と接続される減圧ラインに減圧手段を設けるとともに、前記冷却室および前記減圧手段間に開閉弁を設けた構成とし、前記制御手段は、前記開閉弁を開き、前記減圧手段の作動により前記冷却室内を減圧する第一真空冷却工程と、前記開閉弁を閉じ、前記減圧手段の作動を停止するとともに、前記冷却用熱交換器を作動させる第二真空冷却工程とを順次行うことを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、従来のような高真空を得るための減圧手段を必要としなくなり、前記真空冷却手段の構成を簡素化できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記冷却用熱交換器にて冷却された前記冷却室内の空気により前記被冷却物を冷却する冷風冷却手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、前記冷風冷却手段を用いて、被冷却物の冷風冷却を行うことができ、前記真空冷却手段の作動による真空冷却との組み合わせで種々の冷却機能をなすことができるという効果を奏する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記冷風冷却手段が、前記冷却室内の空気を循環させる空気循環手段と、この空気循環手段による循環流中に被冷却物および前記冷却用熱交換器を位置させるように循環経路を構成する循環経路構成部材とを含み、この循環経路構成部材が、前記冷却室内を第一領域と第二領域とに上下に区画し、連通用の開口により前記第一領域および前記第二領域を連通する区画壁を含むとともに、前記第一領域および前記第二領域にそれぞれ前記被冷却物,前記冷却用熱交換器を配置したことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記冷却用熱交換器を前記冷却室内の下部に配置しているので、冷却用熱交換器の洗浄を容易に行うことができるとともに、洗浄液による食材の汚染を防止することができるという効果を奏する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2において、前記冷却室内に配置され前記冷風を循環させるファンと、前記冷却室外に配置され前記ファンを駆動するモータと、前記モータを前記冷却室内空間に対して気密に遮断する気密シール手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記気密シール手段により前記冷却室に対して遮断されるので、前記モータが圧力変動および減圧環境下におかれることがなくなり、ファン駆動用のモータの選定を容易に行えるとともに、被冷却物の汚染を防止することができるという効果を奏する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記冷風冷却手段の作動時に前記減圧器を作動させることにより前記冷却室内に貯留するドレンを排出することを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、冷風冷却時ドレンを効果的に排出することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記制御手段は、前記第二真空冷却工程前に前記冷却室内へ蒸気および/または温水を供給して前記冷却室内を蒸気で満たすことにより前記冷却室内の空気を排除する空気排除工程を行うことを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記第二真空冷却工程を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記冷却室と給蒸弁を介して接続される温水タンクを備え、前記制御手段は、前記第二真空冷却工程の前に前記給蒸弁を開き、蒸気とともに温水を前記冷却室内へ供給する空気排除工程を行うことを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明による効果に加えて、蒸気とともに温水が前記冷却室内へ供給されるので、前記温水タンクにおける濃縮を低減できるという効果を奏する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記制御手段は、前記空気排除工程後に行う前記温水タンクへの給水時、前記温水タンクからオーバーフローするように給水することを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明による効果に加えて、前記温水タンクから濃縮した水が排出されるので、より一層前記温水タンクにおける濃縮を低減できるという効果を奏する。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項6において、前記空気排除工程時、前記冷却室へ蒸気および/または温水を供給する供給手段を備え、前記空気排除工程と別の除霜工程において、前記供給手段からの蒸気および/または温水により前記冷却用熱交換器の除霜を行うことを特徴としている。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明による効果に加えて、空気排除用の供給手段と除霜用の供給手段とを兼用できるので、装置構成を簡素化できるという効果を奏する。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項6において、前記空気排除工程時、前記冷却室へ蒸気および/または温水を供給する供給手段を備え、前記空気排除工程と別の殺菌工程において、この供給手段からの蒸気および/または温水により前記冷却室内を殺菌することを特徴としている。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明による効果に加えて、空気排除用の供給手段と殺菌用の供給手段とを兼用できるので、装置構成を簡素化できるという効果を奏する。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、前記第二真空冷却工程中に前記ファンを駆動することを特徴としている。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記第二真空冷却工程を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記冷却室内へ給気することなく減圧能力を調整する減圧能力調手段を備え、前記制御手段は、前記真空冷却手段の作動による第一真空冷却工程において、前記減圧能力調整手段により減圧能力を調整して冷却速度を調整することを特徴としている。
【0028】
請求項12に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記第二真空冷却工程を不能とすることなく、前記第一真空冷却工程において被冷却物の冷却速度の調整を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0029】
さらに、請求項13に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、前記第一真空冷却工程初期に前記ファンを駆動することを特徴としている。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記ファンの駆動による被冷却物の粗熱取りよって真空冷却時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、真空冷却手段の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
つぎに、この発明の冷却装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、被冷却物を真空冷却する冷却装置,または冷風冷却と真空冷却とによって被冷却物を冷却可能な冷却装置(複合冷却装置)に適用される。
【0033】
この実施の形態を具体的に説明する。この実施の形態は、被冷却物を収容する冷却室と、この冷却室内に設けた冷却用熱交換器と、前記冷却室内を減圧することにより被冷却物を冷却する真空冷却手段と、前記真空冷却手段の作動を制御する制御手段とを備える冷却装置であって、前記真空冷却手段は、前記冷却室と接続される減圧ラインに減圧手段を設けるとともに、前記冷却室および前記減圧手段間に開閉弁を設けた構成とし、前記制御手段は、前記開閉弁を開き、前記減圧手段の作動により前記冷却室内を減圧する第一真空冷却工程と、前記開閉弁を閉じ、前記減圧手段の作動を停止するとともに、前記冷却用熱交換器を作動させる第二真空冷却工程とを順次行うことを特徴としている。
【0034】
前記真空冷却手段は、第一真空冷却工程を行う前記第一真空冷却手段と、第二真空冷却工程を行う第二真空冷却手段とから構成し、前記第一真空冷却工程の後に前記第二真空冷却工程を行うように構成している。そして、前記第一真空冷却手段は、前記減圧手段の作
動により前記第一真空冷却工程を実行し、前記第二真空冷却手段は、前記冷却室を低圧下で密閉状態として前記冷却用熱交換器を作動させて前記第二真空冷却工程を実行するように構成している。
【0035】
前記第一真空冷却手段の作動とは、前記開閉弁を開き、前記減圧手段を運転することであり、前記第二真空冷却手段の作動とは、前記冷却室が低圧下の状態を作った後に前記開閉弁を閉じ、前記冷却用熱交換器を作動させる,すなわち冷媒を供給して冷却作用を行わせることである。
【0036】
この実施の形態においては、まず、第一真空冷却工程を行う。この第一真空冷却工程は、前記減圧手段の作動により前記冷却室内を減圧して前記被冷却物に含まれる水分の蒸発により被冷却物を冷却する。この第一真空冷却工程を終了すると、前記第二真空冷却工程を行う。この第二真空冷却工程では、前記開閉弁を閉じて前記冷却室内を密閉状態とし、前記冷却用熱交換器を作動させる。すると、被冷却物内の水分が蒸発して、その蒸気が前記冷却用熱交換器へ移動して、ここで凝縮し、被冷却物の水分蒸発を促進する。この水分の蒸発と凝縮とが連続的に行われて、前記冷却室内が大気圧以下の低圧に保持されて、第二真空冷却工程が行われる。ここにおいて、前記冷却用熱交換器は、前記冷却室内で蒸気を凝縮するコールドトラップ(内部コールドトラップと称することができる。)として機能する。
【0037】
ところで、この実施の形態においては、前記減圧手段は、蒸気エゼクタを用いることなく、好ましくは、真空ポンプだけか、前記冷却室外でコールドトラップとして機能する凝縮用熱交換器(外部コールドトラップと称することができる。)と真空ポンプとを組み合わせたものとする。この減圧手段は、前記冷却室外において真空状態を生成するので外部真空生成手段と称することができる。前記真空ポンプは、水エゼクタとすることができる。
【0038】
一般的に、前記減圧手段を真空ポンプと冷却水を常温水とした凝縮用熱交換器との組み合わせとした場合は、前記冷却室内を約30℃程度(水温+7℃程度)まで冷却することができる。また、前記減圧手段を真空ポンプと冷却水を冷水とした凝縮用熱交換器との組み合わせとした場合は、冷水温度+7℃程度まで(普通のチラーによる冷水なら20℃程度まで)冷却することができる。そして、減圧手段として蒸気エゼクタなどを加えることによってより、更に低い温度まで冷却することができる。
【0039】
しかしながら、前記のように前記減圧手段を水封式真空ポンプのみ,または水封式真空ポンプと冷却水を常温水とした凝縮用熱交換器熱交換器とした場合は、30℃程度までしか、前記冷却室内を冷却できないところ、この実施の形態によれば、前記第二真空冷却工程を行うことにより、約10℃程度まで冷却することが可能となる。
【0040】
この第二真空冷却工程を行うためには、この実施の形態のように、前記減圧手段の減圧能力が低い場合には、前記水封式真空ポンプから封水が沸騰して発生した蒸気が逆流すると前記冷却室内の圧力が低下しないので、前記減圧手段を前記冷却室から切り離す必要がある。この切り離し機能をなすのが前記開閉弁である
【0041】
また、前記第二真空冷却工程において前記凝縮用熱交換器に蒸気が凝縮するためには、前記冷却室内の空気排除により前記冷却室内の残留空気分圧がある程度以下に下がっている必要がある。ところで、食材の初期温度(以下、初期品温という。)が高い場合には、前記減圧手段が減圧能力限界に達する時点よりもかなり早い時点から被冷却物から蒸気が出るので、前記冷却室内の空気を排除して、前記空気分圧を下げることができる。
【0042】
しかしながら、初期品温が前記減圧手段の減圧能力限界に相当する温度よりも低い場合(一例として、初期品温が20℃,減圧能力限界が30℃)には、前記減圧手段の減圧能力限界まで減圧した時点でも被冷却物から蒸気が出てこないので、前記冷却室内はその圧力の空気で満たされたままとなる。その結果、前記冷却用熱交換器での蒸気の凝縮がうまく行われなくなる。こうした、初期品温が低い場合には、前記第二冷却工程開始前に、前記冷却室内の空気を排除する空気排除工程を行っておく必要がある。
【0043】
前記空気排除工程は、好ましくは、前記減圧器を作動させながら、前記冷却室へ蒸気を供給(給蒸)および/または温水を供給(給水)して前記冷却室内を蒸気で満たすことにより、空気を排除するように構成する。また、この空気排除工程は、前記排気→前記給蒸→前記排気の順に行い、これを1回乃至複数回繰り返すことで行うように構成することができる。この空気排除工程に用いる蒸気および/または温水を供給するために供給手段が備えられる。この供給手段は、減圧下の前記冷却室内へ温水を供給する温水供給手段、蒸気を供給する蒸気供給手段、温水および蒸気を供給する温水および蒸気供給手段のいずれかとすることができる。
【0044】
この空気排除工程は、好ましくは、前記第一真空冷却工程の中期または後期であって、前記冷却室内圧力が前記減圧手段の減圧能力限界に対応する圧力(以下、限界圧力という。)に達する前に行うように構成する。より具体的には、前記限界圧力に到達する前に、この限界圧力相当温度以上の温度(たとえば、約40℃)の水,すなわち温水を前記冷却室内に注入することで行われる。注入された温水は、前記冷却室内圧力がその温水の飽和蒸気圧力以下まで減圧された時点で温水から蒸気が発生し始め、発生した蒸気により、前記冷却室内の空気を室外へ排出することができる。温水を注入して行う空気排除は、蒸気により空気排除を行うものと比較して、被冷却物の温度を上昇させることなく、真空冷却を行うことができる。また、温水発生器とすることで蒸気発生器と比較して水処理や濃縮への対策が容易に行えるという効果を奏する。前記温水の注入必要量は、前記冷却室の容積に比例させることができる。
【0045】
また、温水発生器の温水タンクを給蒸弁を介して前記冷却室と接続して、前記空気排除工程時に前記給蒸弁を開いて、蒸気とともに温水を前記冷却室内へ供給するように構成することができる。前記温水タンク内の温水を前記冷却室内へ供給することで、前記温水タンク内の水の濃縮を低減することができる。
【0046】
この濃縮低減をさらに確実なものとするために、前記空気排除工程後に行う前記温水タンクへの給水時、前記温水タンクからオーバーフローするように給水することが望ましい。この場合、給水は前記温水発生器の温水タンクの下端部から行い、オーバーフロー管を前記温水タンクの上端部に設けることで、濃縮した水を容易に排出することができる。
【0047】
また、前記空気排除工程は、前記第一真空冷却工程前に行うことも可能である。この空気排除工程は、前記減圧器を作動させながら、前記冷却室へ蒸気を供給(給蒸)または温水を供給(給水)して前記冷却室内を蒸気で満たすことにより、空気を排除するように構成する。また、この空気排除工程は、前記排気→前記給蒸→前記排気の順に行い、これを1回乃至複数回繰り返すことで行うように構成することができる。この空気排除の方法は、前記第一真空冷却工程時に行うものと比較して、空気排除工程を別個に設けているので、余分に時間を要し、冷却時間が長くなる点で劣る。また、蒸気を使用する場合は、被冷却物が蒸気により加熱される点でも劣る。
【0048】
また、この実施の形態においては、前記冷却用熱交換器の除霜手段を設けることができる。前記第二真空冷却工程においては、条件によって前記冷却用熱交換器に着霜(着氷を含む。)する。すると、蒸気の凝縮が行われなくなるので、前記除霜手段を作動させて、
除霜を行う。
【0049】
前記除霜手段は、前記冷却用熱交換器を冷凍機の蒸発器とした場合には、前記冷凍機の圧縮機から前記冷却用熱交換器へホットガスを流して除霜する所謂ホットガスデフロストを行うように構成できる。また、この除霜手段は、前記冷却用熱交換器を加熱するヒータとすることができる。前記冷却用熱交換器へ着霜により、蒸発器の温度または圧力を検出することで除霜を開始するように構成することができる。また、前記冷却室内の圧力,品温が設定値に達しないか、または蒸発器の温度または圧力,前記冷却室内の圧力,品温の変化量が設定値に達しない状態を生ずるので、この状態を検出することで除霜を開始するように構成することができる。
【0050】
また、前記除霜手段は、前記空気排除工程と別の除霜工程において、前記供給手段からの蒸気および/または温水により前記冷却用熱交換器の除霜を行うように構成することができる。この除霜手段は、前記空気排除工程と同様に前記冷却室内を大気圧以下に減圧した状態で蒸気および/または温水を供給して前記冷却用熱交換器の除霜を行うように構成する。この除霜手段の構成によれば、空気排除用の蒸気および/または温水の供給手段を別個に必要としないので、装置構成を簡素化して、コストダウンを図ることができる。
【0051】
また、この実施の形態においては、前記冷却室内の殺菌を行う殺菌手段を備えることができる。この殺菌手段としては、前記冷却用熱交換器のみを殺菌の対象とする形態のものと、前記冷却用熱交換器だけでなく、前記冷却室内全体を殺菌の対象とする形態のものとを含む。
【0052】
前者の形態の殺菌手段は、前記冷却用熱交換器へホットガスを流して、同冷却用熱交換器の乾燥と殺菌を行うように構成することができる。また、後者の形態の殺菌手段としては、前記空気排除工程用の給蒸手段から前記冷却室内へ蒸気を供給することにより、前記冷却室内を約80℃程度の高温として殺菌することができる。この給蒸手段は、前記温水供給手段または、前記温水および/または蒸気供給手段に代えることができる。
【0053】
この実施の形態において、発明者等の実験の結果、前記第二真空冷却工程により所期の冷却効果を得られない場合が生じた。これは、つぎの理由によると考えられる。すなわち、前記第二真空冷却工程により低温となった前記冷却用熱交換器に前記冷却室内の蒸気が凝縮して圧力が低下して行く。しかしながら、前記空気排除工程が効果的に行われなかった場合には、残存空気が蒸気に連れられて前記冷却用熱交換器の表面に集まり、それが伝熱障害となる。この伝熱障害により、蒸気の冷却が効果的に行われなくなる結果、前記第二真空冷却工程により所期の冷却が行われない。
【0054】
そこで、この実施の形態において、好ましくは、前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、前記第二真空冷却工程中に前記ファンを駆動するように構成する。こうした構成を採用することで、前記ファンを駆動することにより、前記冷却用熱交換器の表面に付着した空気を吹き飛ばすことができる。これにより、伝熱障害が解消され、所期の真空冷却を行うことができる。この伝熱障害解消効果は、実験的に確かめられている。
【0055】
また、前記ファンの駆動は、好ましくは、前記ファンを逆回転可能で、気体の流れを逆転できるものとして、正回転と逆回転とを1乃至複数回行うように構成する。こうした構成を採用することで、前記冷却用熱交換器の前記ファンに対向する面だけでなく、対向面と反対側の面においても空気を効果的に吹き飛ばすことができる。また、前記ファンの駆動は、好ましくは、前記第二真空冷却工程の全工程において実施するが、工程の一部,すなわち前記ファンを間欠的に駆動するように構成することができる。
【0056】
さらに、この実施の形態においては、好ましくは、前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、前記第一真空冷却工程の初期において、前記ファンを駆動するように構成する。このファン駆動時、前記冷却用熱交換器は作動停止とする。こうした構成を採用することで、被冷却物の粗熱取り効果を向上することができる。前記第一真空冷却工程の初期とは、前記冷却室内の圧力が設定圧力以下となるまで期間を意味し、この期間は、前記冷却室内の圧力,または品温を検出するセンサにより制御するか、前記設定圧力に対応した前記真空冷却工程開始からの時間を計測するタイマーにより制御することができる。
【0057】
つぎに、この実施の形態の各構成要素について説明する。被冷却物は、好ましくは食材とするが、これに限定されるものではない。前記冷却室は、被冷却物を収容する密閉空間を形成するとともに、被冷却物を出し入れすることができるものであれば、その形式、種類および大きさは問わない。この冷却室は、冷却室,冷却区画、冷却容器などと称することができる。
【0058】
前記冷却用熱交換器は、目標冷却温度よりも低い温度(好ましくは、−10℃程度)以下とすることができる熱交換器であればよく、好ましくは、冷凍機のコンデンシングユニットから供給される液化冷媒を蒸発して間接熱交換により前記冷却室内の空気を冷却する蒸発器から構成する。しかしながら、この冷却用熱交換器は、冷水製造装置(チラー)から供給される冷水、またはブラインチラーから供給されるブラインを冷媒とする熱交換器とすることができる。
【0059】
そして、前記冷却用熱交換器は、好ましくは、被冷却物を冷風冷却する冷風冷却手段の一部をなすように構成する。前記冷風冷却手段は、前記冷却室内の空気を循環させる空気循環手段と、この空気循環手段による循環流中に被冷却物および前記冷却用熱交換器を位置させるように循環経路を構成する循環経路構成部材とを備えたものとする。前記循環手段は、モータにより駆動するファンから構成される。そして、前記循環経路は、好ましくは、前記熱交換器および前記ファンを前記冷却室内に配置することで、前記冷却室内に形成して構成する。
【0060】
前記循環経路の構成は、好ましくは、区画壁により前記冷却室内を上下に第一領域と第二領域とに区画し、前記第一領域に被冷却物を収容し、前記第二領域に前記冷却用熱交換器を配置する。前記ファンは、好ましくは前記第二領域に配置する。
【0061】
前記第一領域と前記第二領域とは、前記区画壁と前記冷却室壁との間に第一開口および第二開口を形成するか、前記区画壁に前記第一開口および第二開口を形成することで、前記第一領域→前記第一開口→前記第二領域→前記第二開口→前記第一領域なる循環経路を形成している。
【0062】
前記区画壁は、好ましくは、着脱自在に構成され、外した状態で、前記冷却用熱交換器が前記冷却室の被冷却物を出し入れする開口から露出するように構成する。こうした構成により、前記冷却用熱交換器の洗浄および点検を容易に行うことができる。
【0063】
前記循環経路構成部材として、前記被冷却物を冷却した後の冷風を前記区画壁の第一開口へ戻す第一送風ガイドと前記区画壁の第二開口からの冷風を被冷却物へ向けて案内する第二送風ガイドとを前記第二領域に設けることができる。前記第一送風ガイドおよび前記第二送風ガイドは、好ましくは、前記区画壁に着脱自在に構成する。また、前記第一送風ガイドおよび前記第二送風ガイドは、好ましくはダクト状に形成する。
【0064】
さらに、前記第一構成においては、前記空気循環手段としてのファンを前記冷却室内に配置し、好ましくは、前記第二領域に配置する。そして、前記冷却室内に配置したファン
は、前記冷却室外へ配置されるモータにより駆動されように構成する。この構成においては、真空冷却工程の際の真空漏れを防止するために、前記モータを前記冷却室内空間に対して気密に遮断するシール手段を備える。
【0065】
このシール手段の構成について、より具体的に説明する。前記ファンは、前記冷却室壁を貫通する回転軸により前記モータと連結される。前記回転軸は、好ましくは、前記モータのモータ軸および前記ファンとそれぞれ軸継手およびファンボスにより着脱自在に連結される。
【0066】
前記シール手段は、前記回転軸部を気密にシールするものである。具体的には、前記シール手段は、好ましくは、前記冷却室壁にこれを貫通して固定され、前記回転軸を貫通させる貫通孔を有する固定筒と、前記貫通孔内に前記回転軸を支持するように装着される軸受と、前記固定筒の前記冷却室側の端部を気密にシールするシール部材とから構成される。
【0067】
前記シール部材は、前記回転軸と前記固定筒との間を気密にシールするための部材である。そして、このシール部材は、前記回転軸が貫通され前記貫通孔の前記冷却室に臨む端部を封止するように装着される封止板と、この封止板に装着され、この封止板の貫通孔内壁と前記回転軸との間を封止する第一環状パッキンと、同じく前記封止板に装着され、この封止板の外周壁と前記貫通孔内壁との間を封止する第二環状パッキンとを備えている。
【0068】
このシール手段の構成によれば、前記封止板に装着された第一環状パッキンおよび第二環状パッキンにより、前記回転軸は気密にシールされることになる。
【0069】
前記制御器は、前記空気排除工程,前記真空冷却工程および冷風冷却工程を制御する。前記真空冷却工程を行うとき、前記開閉弁を逆止弁とする場合は、この開閉弁は、前記制御器により直接制御されるのではなく、前記減圧器の制御により間接的に制御される。
【0070】
この発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、前記第一真空冷却工程において急冷後に徐冷を行う冷却装置とすることができる。この冷却装置は、前記の実施に形態において、前記減圧手段の減圧能力を調整する減圧能力調手段を備え、前記制御手段は、前記真空冷却手段の作動による第一真空冷却工程時、前記減圧能力調整手段を調整することにより、被冷却物の冷却速度を調整するように構成している。前記冷却速度の調整は、前記減圧能力を高くして急冷を行い、その後に前記減圧能力を低くして徐冷を行うように構成することができる。
【0071】
前記減圧能力調整手段は、徐冷時に前記冷却室内へ空気が入り込まない構成とする。この減圧能力調整手段は、好ましくは、前記冷却室と前記減圧手段との間に設けた開度調整可能な調整弁(真空弁と称することができる。)とするが、前記減圧手段の上流側の減圧ラインから分岐する給気ラインと、この給気ラインに設けた開度が調整可能な調整弁とから構成することができる。また、前記減圧能力調整手段は、前記減圧手段を構成する真空ポンプの回転数を制御することで構成することもできる。
【0072】
こうした減圧能力調整手段を備える冷却装置によれば、徐冷時に前記冷却室内に外気(空気)が入り込まないので、高真空度を必要とする前記第二真空冷却工程を不能とすることなく、効果的に行うことができる。
【0073】
さらに、前記実施の形態においては、前記制御手段により前記冷風冷却手段を作動させると、冷風冷却工程が行われる。この冷風冷却工程では、前記冷却室内の空気が前記冷却用熱交換器により冷却され、冷却された空気により被冷却物が冷却される。この冷風冷却
工程時、前記冷却用熱交換器の表面でドレンが生成される。この実施の形態では、冷風冷却工程時に前記制御手段が前記減圧器を作動させることにより、前記冷却室内にせ生成されたドレンを前記減圧ラインを通して前記冷却室外へ排出することができる。
【実施例1】
【0074】
以下、この発明の具体的実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、同実施例1の冷却装置としての複合冷却装置1の概略構成図であり、図2は、同実施例1の要部拡大断面の説明図であり、図3〜図7は、それぞれ同実施例1による制御手順の要部を説明するフローチャート図である。
【0075】
前記複合冷却装置1は、真空冷却と冷風冷却とを行うことができる冷却装置であり、種々の冷却パターンを選択的に実行できるとともに、被冷却物温度(以下、品温という。)がチルド域の低温となるように被冷却物3を短時間で冷却できる特徴を有している。
【0076】
前記複合冷却装置1は、冷却室2と、この冷却室2内の被冷却物3を真空冷却する真空冷却手段4と、前記被冷却物3を冷風冷却する冷風冷却手段5と、前記真空冷却手段4および前記冷風冷却手段5とを制御する制御手段としての制御器6とを主要部として備える。
【0077】
そして、前記制御器6には、ソフトウエアによるタイマー7を備えている。前記制御器6は、予め記憶した第一〜第五プログラムからなる冷却プログラムに基づき、前記真空冷却手段4および前記冷風冷却手段5などを制御するように構成されている。
【0078】
前記第一〜第五プログラムは、被冷却物3の性状(真空冷却に適した食材か否か)と冷却開始当初の品温(以下、初期品温という。)および到達(冷却)すべき品温(以下、設定冷却温度という。)に応じて選択される。すなわち、被冷却物3が真空冷却に適した食材かどうかという被冷却物3の性状条件と、初期品温が前記第一温度設定値(たとえば70℃)以上か、それより低いかという初期品温条件と、設定冷却温度が前記第二温度設定値(たとえば10℃)以上かそれより低いかという冷却温度条件とに応じて、前記プログラムを選択することができるように構成している。前記設定冷却温度は、目標冷却温度または到達冷却温度と称することができる。
【0079】
つぎに、この複合冷却装置1の各構成要素について説明する。前記冷却室2は、被冷却物3を収容する密閉空間を形成し、被冷却物3を出し入れするための開口とこれを開閉する扉(いずれも図示省略)を備えている。また、前記冷却室2は、区画壁8により内部を上部の第一領域81と下部の第二領域82とに区画している。前記第一領域81には、被冷却物3が収容され、前記第二領域82には、前記冷風冷却手段5の一部を構成する冷却用熱交換器9が配置されている。被冷却物3は、容器に収容した食材である。
【0080】
前記冷却用熱交換器9は、冷凍機10の冷媒を液化するコンデンサ(図示省略)を有するコンデンシングユニット11から供給される液化冷媒を蒸発させることにより冷却作用をなす周知の蒸発器にて構成されている。
【0081】
この冷凍機10は、前記冷却用熱交換器9を除霜する除霜手段を備えている。この除霜手段は、冷媒の流れを逆転させるなどにより、前記コンデンシングユニット11から前記冷却用熱交換器9へホットガスを流して除霜するホットガスデフロストと称される周知の構成である。
【0082】
前記区画壁8は前記冷却室2に対して着脱自在に構成されており、前記扉を開いて、前記区画壁8を外すと前記冷却用熱交換器9が前記冷却室2の被冷却物出し入れ用の開口か
ら露出するように構成されている。前記冷却用熱交換器9を洗浄するには、前記区画壁8を外して露出状態とすることにより、前記冷却用熱交換器9をこの複合冷却装置1に備え付けの洗浄機(図示省略)を用いて丸洗いすることができる。
【0083】
そして、前記冷風冷却手段5は、被冷却物3を冷風により冷却するものである。この冷風冷却手段5は、前記冷却室2内の空気を冷却するための前記冷却用熱交換器9と、前記冷却室2外に配置されるモータ12によって駆動される空気循環手段としてファン13とを含む。
【0084】
そして、前記冷却室2の構成壁と前記区画壁8との間に第一開口(または隙間)141,第二開口(または隙間)142を設けて、前記冷却室2内に空気の循環経路(符号省略)を形成することにより、冷風冷却機能をなすように構成している。この実施例1では、前記区画壁8は前記冷却室2の構成壁とで前記循環経路構成部材を構成する。なお、前記ファン13から出た空気がショートパスして戻らないように、前記ファン13と前記区画壁8および前記冷却室2の構成壁との間に遮蔽部材(図示省略)を設けるとともに、前記冷却用熱交換器9と前記区画壁8および前記冷却室2の構成壁との間にも遮蔽部材(図示省略)を設けている。
【0085】
前記真空冷却手段4は、前期の真空冷却速度が早く(速く)、後期で真空冷却速度が鈍化する第一真空冷却特性を有する第一真空冷却手段41と、前期の真空冷却速度が早く、後期で真空冷却速度が鈍化する第二真空冷却特性を有する第二真空冷却手段42とから構成されている。
【0086】
前記第一真空冷却手段41および前記第二真空冷却手段42は、具体的には、つぎのように構成される。すなわち、前記第一真空冷却手段41は、前記冷却室2と接続される減圧ライン15と、この減圧ライン15途中に設けられる減圧手段としての水封式の真空ポンプ16と、前記冷却室2および前記真空ポンプ16の間に位置して閉時に前記冷却室2を密閉保持する開閉弁17とを含んで構成される。
【0087】
前記減圧ライン15は、図1に示すように前記冷却室2の底壁の中央部と接続されている。前記底壁は、周端部から中央部へ向けて下向きに傾斜形成されているので、前記減圧ライン15は、前記底壁の一番低い箇所に接続されている。この構成により後記のドレン排出動作において、ドレンを速やかに排出することができる。
【0088】
この第一真空冷却手段41は、前記開閉弁17を開いた状態で前記真空ポンプ16を作動(運転)させることにより第一真空冷却工程を実行するように構成される。前記開閉弁17は、開閉だけの弁としているが、開度が調整可能な弁とすることができる。前記減圧ライン15には、必要に応じて前記冷却室2方向への流れを阻止する逆止弁(図示省略)を設けることができる。こうした構成による第一真空冷却手段41の第一真空冷却特性は、前期の真空冷却速度が早く、後期で真空冷却速度が鈍化するものとなっている。
【0089】
また、前記第二真空冷却手段42は、前記冷却室2内を低圧下で密閉状態として前記冷却用熱交換器9により被冷却物3からの蒸気を凝縮する機能を有し、第二真空冷却工程を実行するように構成される。この第二真空冷却手段42を構成する要素は、前記冷却室2,前記冷却用熱交換器9,前記開閉弁17および前記第一真空冷却手段41である。前記冷却室2内を低圧下で密閉状態とするには、前記第一真空冷却工程後に、前記開閉弁17を閉じることで実現される。こうした構成による第二真空冷却手段42の第二真空冷却特性は、前記第一真空冷却特性と同様に、前期の真空冷却速度が早く、後期で真空冷却速度が鈍化するものとなっている。
【0090】
そして、前記冷風冷却手段5の冷風冷却特性について説明すると、前記第一温度設定値以上の温度域の特性(第一冷風冷却特性)は、前記第一温度設定値以上の温度域では被冷却物3からの自然蒸発が支配的であるので真空冷却速度より早く、前記第二温度設定値以下の温度域の特性(第二冷風冷却特性)は、冷風冷却速度が前記第一真空冷却手段41および前記第二真空冷却手段42の前期の真空冷却速度より遅く、後期の鈍化した真空冷却速度よりも早いものとしている。
【0091】
この実施例1においては、初期品温が低い場合でも、前記第二真空冷却工程の作用可能とするために、前記第一真空冷却工程の中期または後期に空気排除工程を実行するように構成している。より具体的には、前記冷却室2内圧力が前記真空ポンプ16の減圧能力限界に対応する圧力(限界圧力)となる前に、前記限界圧力に相当する温度以上の40℃の温水を前記冷却室2内へ注入するように構成している。注入された温水は、前記冷却室2内の圧力がその温水の飽和蒸気圧力以下まで減圧された時点から蒸発し始め、発生した蒸気により、前記冷却室2内の空気を室外へ排出することができる。
【0092】
この空気排除工程における温水注入のタイミングは、前記第一真空冷却工程開始からの経過時間を前記タイマー7により計測し、この計測値が設定値(注入タイミング)となった時としている。また、この温水の注入必要量は、予め実験により前記冷却室2の容積に応じた値として求めておく。前記の温水注入タイミングは、前記冷却室2内圧力が設定値まで下がったときとすることができる。
【0093】
前記冷却室2内への温水注入手段としての温水供給手段18は、温水を前記冷却室2内へ供給するための第一給水ライン19と、温水供給源(温水器または温水発生器)20と、温水供給を制御する第一給水弁21とを設けて構成されている。
【0094】
また、前記冷却室2は、真空冷却工程後に前記冷却室2内を負圧から大気圧に復圧する復圧手段22を備えている。この復圧手段22は、前記冷却室2と接続される復圧ライン23と、この復圧ライン23途中に設ける復圧弁24および除菌フィルター25とを含んで構成される。前記復圧弁24は、復圧速度を調整するために開度が調整可能な弁とするが、開閉のみの弁とすることができる。また、前記復圧ライン23には、前記冷却室2内から外方向への流れを阻止する逆止弁(図示省略)を設けることができる。
【0095】
前記第一真空冷却手段41は、前記冷却室2内の気体を排出する排気機能に加えて、前記冷風冷却工程時に前記冷却用熱交換器9にて生ずる凝縮水(ドレン)を前記冷却室2外へ排出するドレン排出機能をもなすように構成されている。すなわち、前記冷風冷却工程時に前記開閉弁17を開き、前記真空ポンプ16を作動させる動作を間欠的に行うように構成している。
【0096】
前記制御器6は、予め記憶した前記冷却プログラムにより前記第一真空冷却手段41,前記第二真空冷却手段42,前記温水供給手段18および前記冷風冷却手段5の作動などを制御するように構成されている。
【0097】
前記冷却プログラムなどの制御を行うために、被冷却物3の品温を検出する品温センサ26,前記冷却室2内の圧力(温度)を検出する室内圧力センサ27,前記冷凍機10の冷媒回路の圧力および温度をそれぞれ検出する冷媒圧力センサ28,冷媒温度センサ29を備えている。これらのセンサは、前記制御器6と接続されて、前記コンデンシングユニット11,前記モータ12,前記真空ポンプ16、前記開閉弁17,前記第一給水弁21,前記復圧弁24などを制御する。
【0098】
前記冷却プログラムには、前記冷風冷却手段5による第一冷風冷却工程,前記真空冷却
手段41,42による真空冷却工程および前記冷風冷却手段5による第二冷風冷却工程を順次行う第一冷却パターンを実行するプログラム(第一プログラム),前記真空冷却工程を行った後に前記第二冷風冷却工程を行う第二冷却パターンを実行するプログラム(第二プログラム)、前記冷風冷却手段5による冷風冷却工程のみを行う第三冷却パターンを実行するプログラム(第三プログラム),前記真空冷却工程のみを行う第四冷却パターンを実行するプログラム(第四プログラム)、前記第一冷風冷却工程および前記真空冷却工程を順次行う第五冷却パターンを実行するプログラム(第五プログラム)を含ませている。
【0099】
前記第一〜第五プログラムは、前記のように、被冷却物3の性状条件と、初期品温条件と、冷却温度条件とに応じて、選択できるように構成している。
【0100】
すなわち、被冷却物3が真空冷却に適している食材,すなわち水分を含み、蒸発が可能な食材であって、チルド域まで短時間で冷却したいという条件下において、初期品温が前記第一温度設定値以上の場合には、前記第一プログラムを選択して実行し、初期品温が前記第一温度設定値より低い場合は、前記第二プログラムを選択して実行する。そして、被冷却物3が真空冷却に適している食材であって、チルド域より高い温度域まで短時間で冷却したいという条件下において、初期品温が前記第一温度設定値以上の場合には、前記第五プログラムを選択して実行し、初期品温が前記第一温度設定値より低い場合は、前記第四プログラムを選択して実行する。さらに、被冷却物3が真空冷却に適していない食材や含有水分が蒸発不可能な態様の食材の場合は、前記第三プログラムを選択して実行する。
【0101】
つぎに、前記第一プログラムおよび前記第二プログラムにおける前記第一冷風冷却工程から前記第一真空冷却工程への切換タイミング(以下、第一真空切換タイミングという。)、前記第一真空冷却工程から前記第二真空冷却工程への切換タイミング(以下、第二真空切換タイミングという。)および前記第二真空冷却工程から前記第二冷風冷却工程への切換タイミング(以下、冷風切換タイミングという。)について説明する。
【0102】
すなわち、前記第一真空切換タイミングは、検出手段としての品温センサ26の検出値が前記第一切換設定値となったときとしている。
【0103】
また、前記第二真空切換タイミングおよび前記冷風切換タイミングは、それぞれ前記第一真空冷却特性および前記第二真空冷却特性を踏まえて、予め実験により、求めておく。前記第二真空冷却切換タイミングは、前記第一真空工程開始から前記第一真空冷却工程の後期の真空冷却速度が前記第二冷風冷却工程の冷風冷却速度近傍に達するまでの経過時間(冷却時間)を第二切換設定値として求めておき、検出手段としての前記タイマー7による計測値が前記第二切換設定値となったときとしている。また、前記冷風切換タイミングは、前記第二真空冷却工程開始から前記第二真空冷却工程の後期の真空冷却速度が前記第二冷風冷却工程の冷風冷却速度近傍に達するまでの経過時間(冷却時間)を第三切換設定値として求めておき、前記タイマー7による計測値が前記第三切換設定値となったときとしている。
【0104】
前記第二切換設定値および前記第三切換設定値は、冷却時間(前記タイマー7による計測時間)によらずに、前記冷却室2内の圧力,前記冷却室2内の温度,前記近傍に達したときの被冷却物3の温度のいずれかにより,または前記冷却室2内の圧力,前記冷却室2内の温度,被冷却物3の温度のいずれかの変化量により求めることができる。そして、前記室内圧力センサ25により室内圧力または室内温度を検出するか、前記品温センサ7により品温を検出するかして、検出値が前記第二切換設定値となったとき、前記第一真空冷却工程から前記第二真空冷却工程へ切り換え、前記検出値が前記第三切換設定値となったとき、前記第二真空冷却工程から前記第二冷風冷却工程へ切り換えるように構成することができる。品温により前記第一〜第三切換設定値を設定する場合には、各第一切換設定値
,前記第二切換設定値,第三切換設定値をそれぞれ前記第一温度設定値,前記第二温度設定値,前記第三設定温度とすることができる。前記第一切換設定値も品温以外の時間,室内圧力または室内温度などにより設定することができる。
【0105】
ところで、この実施例1においては、前記ファン13を前記第二領域82に前記冷却用熱交換器9に対向するように配置し、前記冷却室2外へ配置したモータ12により駆動するように構成している。このため、前記ファン13と前記モータ12とを連結し前記冷却室2壁を貫通する部分において、真空冷却工程時に真空漏れを生じないように、前記モータ12を前記冷却室2内空間に対して気密に遮断するシール手段50を備えている。
【0106】
前記シール手段50を図2に基づき説明する。前記ファン13は、前記冷却室2の室壁51を貫通する回転軸52により前記モータ12と連結される。前記回転軸52は、前記モータ12のモータ軸53および前記ファン13とそれぞれ軸継手54およびファンボス55により着脱自在に連結されている。この軸継手54は、螺子(符号省略)により着脱可能に構成されている。前記ファンボス55は、前記ファン13と一体的に設けている。
【0107】
前記シール手段50は、前記回転軸52をその左右両端部において支持する第一軸受56,第二軸受57と、前記第一軸受56および前記第二軸受57の位置決めをなし、前記軸継手54を収容するとともに、前記モータ12を固定する固定筒58と、この固定筒58の前記冷却室2側の端部を液密,かつ気密にシールするシール部材59とから主構成される。
【0108】
前記第一軸受56および前記第二軸受57は、前記固定筒58に形成された第一貫通孔60内に位置決め固定される。そして、この第一軸受56および前記第二軸受57は、前記回転軸52の回転運動を滑らかにし、回転精度を維持すると同時に重力方向の荷重を支える機能をなす。
【0109】
前記固定筒58は、前記室壁51に形成された第二貫通孔61を貫通して固定されている。この固定筒58の前記室壁51への固定および前記モータ12との固定は、それぞれ固定筒58と一体的に設けた第一フランジ62と第二フランジ63を用いて行われる。前記第二貫通孔61の内径は、前記固定筒58の外径よりも若干大きく形成され、前記固定筒58の挿通を容易にしている。
【0110】
すなわち、前記第一フランジ62を環状のフランジ用パッキン70を介して前記室壁51に形成した第三フランジ64に接合して、それぞれボルト,ナット(図示省略)にて固定することで、前記固定筒58を前記室壁51に着脱可能に固定する。前記固定筒58と前記第二貫通孔61との間の液密,かつ気密シールは、前記第一フランジ62,前記フランジ用パッキン70および前記第三フランジ64により実現されており、前記第一フランジ62,前記フランジ用パッキン70および前記第三フランジ64は、前記シール手段50を構成している。
【0111】
また、前記第二フランジ63を前記モータ12のケースの一部として形成される第四フランジ65に接合して、それぞれボルト,ナット(図示省略)にて固定することで、前記固定筒58を前記室壁51に着脱可能に固定する。前記固定筒58は、SUSにて形成されるが、これに限定されるものではない。
【0112】
前記シール部材59は、前記回転軸52と前記固定筒58の第一貫通孔60との間に形成される隙間を液密,かつ気密にシール(封止)するための部材である。このシール部材59は、封止板66と、第一環状パッキン67と、第二環状パッキン68と、押え板69とを含む。
【0113】
前記封止板66は、前記回転軸52が貫通される第三貫通孔71を有し、前記第一貫通孔60の前記冷却室2に臨む端部を封止するように、前記固定筒58の端部に形成された凹部72に装着される。
【0114】
前記第一環状パッキン67は、前記封止板66の第三貫通孔71と前記回転軸52との間をシールするように、前記第三貫通孔71の構成面に装着される。この第一環状パッキン67は、前記回転軸52を回転可能にシールする回転シールである。前記第二環状パッキン68は、前記封止板66の外周面と前記凹部72との間をシールするように前記封止板66の外周面に装着される。この第二環状パッキン68は、シリコンゴム製のOリングから構成される。
【0115】
前記押え板69は、前記封止板66を前記凹部72に押えて固定するように、前記固定筒58の前記冷却室2に臨む端面に螺子73にて着脱自在に固定される。
【0116】
また、前記固定筒58には、前記軸継手54と前記回転軸52との連結または非連結を前記固定筒58の外方から可能とするための操作孔74を形成している。
【0117】
さらに、図1を参照して、前記前記冷却用熱交換器9と前記コンデンシングユニット11を接続する冷媒配管39,39が前記冷却室3の室壁51を貫通する箇所は、シールパッキン75にて液密,かつ気密にシールしている。このシールパッキン75は、コンプレッションフィッティングとすることができる。
【0118】
以下に、この実施例1の動作を図1〜図7に基づき以下に説明する。
【0119】
<準備段階>
使用者は、前記扉を開いて前記冷却室2内へ被冷却物3を収容し、前記扉を閉じて密閉状態とする。この状態では、前記開閉弁17,前記第一給水弁21,前記復圧弁24は、全て閉状態で、前記モータ12,前記真空ポンプ16,前記コンデンシングユニット11は、全て作動(運転)停止状態である。前記蒸気発生源20は、予め作動状態としておくことができる。
【0120】
<冷却プログラムの選択>
この状態で、使用者は、運転スイッチ(図示省略)により運転を開始した後、前記第一〜前記第五プログラムを選択する。この選択は、初期品温と設定冷却温度と被冷却物3の種類とに応じて行うことができる。
【0121】
この選択により、図3を参照して、処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNと称する。)において、前記第一プログラム〜前記第五プログラムが選択されると、それぞれS2〜S6にて第一プログラム〜前記第五プログラムが実行される。以下、各運転プログラムによる動作を説明する。
【0122】
<第一プログラム:冷風冷却→真空冷却→冷風冷却切換>
前記第一プログラムは、初期品温が約70℃以上で、設定冷却温度が10℃以下であって、被冷却物3が水分を含み、その水分が蒸発可能な食材の冷却に適している。今、初期品温を90℃,設定冷却温度を3℃とする。
【0123】
(第一冷風冷却工程)
この第一プログラムが選択されると、図4の処理手順が実行される。第一冷風冷却工程S21では、前記開閉弁17,前記第一給水弁21および前記復圧弁24を閉じて、前記
真空ポンプ16を停止するとともに、前記コンデンシングユニット11および前記ファン13を作動させる。これにより、前記冷却室2内において前記ファン13→前記冷却用熱交換器9→前記第二開口142→前記被冷却物3→前記第一開口141→前記ファン13の一点破線矢視の冷風循環流が形成される。この循環流により、前記冷却室2内の空気は、前記冷却用熱交換器9により冷却されて温度低下し、前記被冷却物3を冷却する。こうした冷風冷却により、品温が約70℃となるまで冷却される。品温が70℃まで低下したことを前記品温センサ26により検出すると、前記第一冷風冷却工程S21を終了する。
【0124】
この第一冷風冷却工程S21は、前記コンデンシングユニット11を作動させることなく、前記復圧手段22および前記開閉弁17を開き、前記真空ポンプ16を作動させることにより、外気を前記冷却室2へ導入しつつ、前記減圧ライン15を通して排出することにより、外気により前記被冷却物3を冷却(外気導入冷却)するように構成することができる。この場合、前記ファン13の作動は、必要に応じて行うことができる。
【0125】
(第一真空冷却工程)
前記第一冷風冷却工程S21が終了すると、S22へ移行して、前記第一真空冷却工程が行われる。この第一真空冷却工程S22は、つぎのように行われる。前記開閉弁17を開き、前記第一給水弁21を閉じ、前記復圧弁24を閉じて、前記真空ポンプ16を作動させる。すると、前記冷却室2内の気体は、前記減圧ライン15を通して室外へ排出される。前記冷却室2内の圧力は、前記第一真空冷却特性に沿って低下し、この圧力低下に従って、被冷却物3からの蒸気の蒸発により、被冷却物3の温度が70℃から低下して行く。この品温低下速度は、初期において急速で、温度の低下とともに、後期において鈍化して行く。
【0126】
この第一真空冷却工程において、前記タイマー7の計測値が前記注入タイミングとなると前記制御器6は、前記第一給水弁21を所定時間だけ開いて、前記温水供給源20から前記冷却室2内へ所定量の温水を供給する。そして、前記冷却室2内の圧力がその温水の飽和蒸気圧力以下まで減圧されると、供給された温水が蒸発し始める。こうして発生した蒸気とともに前記冷却室2内の空気が前記減圧ライン15を通して室外へ排出される。こうして、前記冷却室2内の空気排除が行われる。
【0127】
そして、前記タイマー7による計測時間が前記第二切換設定値に達すると、S23の第二真空冷却工程へ移行する。この移行時点における真空冷却速度は、前記冷風冷却手段5の冷風冷却特性による冷却速度より低くなっている。また、この移行時点の品温は、約20℃である。
【0128】
(第二真空冷却工程)
前記第二真空冷却工程S23では、前記開閉弁17,前記第一給水弁21および前記復圧弁24を閉じて、前記真空ポンプ16を停止するとともに、前記コンデンシングユニット11を作動させる。前記コンデンシングユニット11の作動により、前記冷却用熱交換器9内の温度を約−10℃とする。このコンデンシングユニット11による前記冷却用熱交換器9の温度低下には起動から所定の時間を要するので、前記第一切換設定値の所定時間前に前記コンデンシングユニット11を起動させておくことが望ましい。
【0129】
この第二真空冷却工程S23においては、前記冷却室2内は、低圧で密封され、前記冷却室2内の蒸気は、前記冷却用熱交換器9へ移動して、ここで凝縮し、前記冷却室2内の圧力は、低圧状態を維持する。その結果、被冷却物3から蒸気が連続的に発生し、品温が低下して行く。この品温低下は、前記第二真空冷却特性に沿ってなされ、初期において急速に行われ、温度の低下とともに、後期において低下速度が鈍化して行く。前記タイマー7による計測時間が前記第三切換設定値に達すると、S24の復圧工程へ移行する。この
移行時点における真空冷却速度は、前記冷風冷却手段5の第二冷風冷却特性による冷却速度より低くなっている。また、この移行時点の品温は、約10℃である。
【0130】
前記第二真空冷却工程S23において、前記冷却用熱交換器9に着霜すると、前記制御器6は除霜動作を行う。着霜は、前記冷媒圧力センサ28または前記冷媒温度センサ29により前記冷凍機10の低圧側の圧力または温度を検出することにより行い、検出値が着霜と判定できる設定値となるとホットガスを前記冷却用熱交換器9へ供給することにより除霜が行われる。この除霜動作により、前記冷却用熱交換器9の凝縮作用を良好に維持することができ、前記第二真空冷却工程による冷却を着霜による影響を受けずに効果的に行うことができる。
【0131】
(復圧工程)
前記復圧工程S24は、前記復圧弁24を開くことで行う。これにより、外気が前記復圧ライン23を通して前記冷却室2内へ導入され、前記冷却室2内が大気圧に復帰する。この復圧工程は、前記室内圧力センサ27により検出され、大気圧を検出すると、復圧工程を終了し、S25の第二冷風冷却工程へ移行する。この実施例1においては、前記復圧工程中は、前記コンデンシングユニット11の作動を継続し、前記ファン13の作動を停止しておく。しかしながら、必要に応じて、前記コンデンシングユニット11の作動を停止し、前記ファン13を作動させるように構成することができる。
【0132】
(第二冷風冷却工程)
前記第二冷風冷却工程S25では、前記第一冷風冷却工程S21と同様に、前記開閉弁17,前記第一給水弁21および前記復圧弁24を閉じて、前記真空ポンプ16を停止するとともに、前記コンデンシングユニット11および前記ファン13を作動させる。これにより、前記冷却室2内において前記ファン13→前記冷却用熱交換器9→前記第二開口142→前記被冷却物3→前第一記開口141→前記ファン13の一点破線矢視の冷風循環流が形成される。この循環流により、前記冷却室2内の空気は、前記冷却用熱交換器9により冷却されて温度低下し、前記被冷却物3を対流伝熱により冷却する。こうした冷風冷却により、品温が約3℃となるまで冷却される。品温が3℃まで低下したことを前記品温センサ26により検出すると、前記第二冷風冷却工程S25を終了する。
【0133】
この第二冷風冷却工程S25においては、被冷却物3および前記冷却用熱交換器9の表面から凝縮水(ドレン)が発生し、前記冷却室2内底部に貯留する。このドレンは、つぎのようにして排出される。前記開閉弁17を開き、前記真空ポンプ16を作動させる。すると、前記ドレンは、前記減圧ライン15を通して前記冷却室2外へ排出される。このドレン排出時、前記復圧弁24を開くことにより、ドレンの排出をスムーズに行うことができる。前記第一冷風冷却工程S21において発生したドレンも、同様にして前記冷却室2外へ排出される。このドレン排出動作は、この実施例1では、前記制御器6により間欠的に実行されるが、ドレンの貯留を検出して、前記ドレン排出動作を行うように構成することができる。
【0134】
(冷却運転終了)
この第二冷風冷却工程S25が終了すると、使用者は、前記運転スイッチを操作して、冷却運転を停止して、前記冷却室2内の被冷却物3を取り出すことができる。勿論、前記第二冷風冷却工程終了後も、被冷却物3の冷蔵のために前記第二冷風冷却工程を続けることができる。
【0135】
このように、この第一プログラムでは、前記第一冷風冷却工程S21により、被冷却物3の粗熱取りが行われる。品温が約70℃以上では、被冷却物3の温度が高く、被冷却物3からの自然蒸発が支配的であるので、前記真空冷却手段4を作動させることによる真空
冷却が効果的に行われない。この第一プログラムでは、真空冷却でなく、冷風冷却により粗熱取りを行っているので、効果的な被冷却物3の冷却を行うことができ、全冷却時間を短縮することができる。
【0136】
<第二プログラム:真空冷却→冷風冷却切換>
前記第二プログラムは、初期品温が約70℃以下で、設定冷却温度が約10℃以下であって、被冷却物3が水分を含み、その水分が蒸発可能な食材の冷却に適している。今、初期品温を65℃,設定冷却温度を3℃とする。
【0137】
この第二プログラムが選択されると、図5に示す処理手順が実行される。すなわち、→第一真空冷却工程S31→第二真空冷却工程S32→復圧工程S33→冷風冷却工程S34が順次実行される。
【0138】
この第二プログラムにおいて、前記第一プログラムと異なるのは、図4の第一冷風冷却工程S21を削除した点である。
【0139】
図5の第一真空冷却工程S31,第二真空冷却工程S32,復圧工程S33,冷風冷却工程S35は、それぞれ図4の第一真空冷却工程S22,第二真空冷却工程S23,復圧工程24,第二冷風冷却工程S25に相当するので、その説明を省略する。また、前記第一真空冷却工程から前記第二真空冷却工程への切換タイミング,前記第二真空冷却工程から前記冷風冷却工程(復圧工程を含む)への切換タイミングおよび前記第一真空冷却工程における空気排除工程開始のタイミングは、それぞれ前記第一プログラムの第二真空切換タイミング,前記冷風切換タイミング,第一真空冷却工程における空気排除工程開始のタイミングと同様であるのでその説明を省略する。
【0140】
<第三プログラム:冷風冷却>
前記第三プログラムは、被冷却物3が水分を含まない食材や、水分を含んでいてもその水分が蒸発できないように包装されている食材の冷却に適している。
【0141】
この第三プログラムが選択されると、図3の冷風冷却工程S4が実行される。この冷風冷却工程S4は、前記第一プログラム(図4)の第一冷風冷却工程S21と同様に、前記開閉弁17,前記第一給水弁21および前記復圧弁24を閉じて、前記真空ポンプ16を停止するとともに、前記コンデンシングユニット11および前記ファン13を作動させて行われる。すなわち、図1の一点破線矢視の冷風循環流が形成され、この冷風循環流により、被冷却物3を冷却する。この冷風冷却工程S4は、前記品温センサ26による検出値が設定冷却温度となることで終了する。
【0142】
<第四プログラム:真空冷却>
前記第四プログラムは、初期品温が約70℃以下で、前記設定冷却温度が約10℃以上であって、被冷却物3が水分を含み、その水分が蒸発可能な食材の冷却に適している。今、初期品温を65℃とし、前記設定冷却温度を15℃とする。
【0143】
この第四プログラムが選択されると、図6に示すように、第一真空冷却工程S51→第二真空冷却工程S52→復圧工程S53が順次実行される。
【0144】
この第四プログラムにおいて、前記第一プログラムと異なるのは、図4の第一冷風冷却工程S21および第二冷風冷却工程S25を削除し、前記第二真空冷却工程52の終了を品温が15℃となったタイミングとしている点である。
【0145】
以下の説明においては、図6の第一真空冷却工程S51,第二真空冷却工程S52,復
圧工程S53は、それぞれ図4の第一真空冷却工程S22,第二真空冷却工程S23,復圧工程24に相当するので、その説明を省略する。また、前記第一真空冷却工程S51から前記第二真空冷却工程S52への第二真空切換タイミング,前記第一真空冷却工程における空気排除工程開始のタイミングは、それぞれ前記第一プログラムの前記第二真空切換タイミング,第一真空冷却工程S51における空気排除工程開始のタイミングと同様であるので、その説明を省略する。以下、前記第四プログラムにおいて前記第一プログラムと異なる部分を主として説明する。
【0146】
図6において、前記第一真空冷却工程S51および前記第二真空冷却工程S52は、図4の前記第一プログラムと同様に行われる。前記第二真空冷却工程S52において、前記品温センサ26による検出値が15℃となると、前記第二真空冷却工程S52を終了し、前記第一プログラムと同様に前記復圧工程S53を実行して、冷却運転を終了する。
【0147】
<第五プログラム:冷風冷却→真空冷却>
前記第五プログラムは、初期品温が約70℃以上,設定冷却温度が10℃以上であって、被冷却物3が水分を含み、その水分が蒸発可能な食材の冷却に適している。今、初期品温を90℃,設定冷却温度を15℃とする。
【0148】
この第五プログラムが選択されると、図7に示す処理手順が実行される。すなわち、冷風冷却工程S61→第一真空冷却工程S62→第二真空冷却工程S63→復圧工程S64が順次実行される。
【0149】
この第五プログラムにおいて、図4の前記第一プログラムと異なるのは、図4の前記第二冷風冷却工程S25を削除した点である。
【0150】
以下の説明においては、図7の冷風冷却工程S61,第一真空冷却工程S62,第二真空冷却工程S63,復圧工程S64は、それぞれ図4の第一冷風冷却工程S21,第一真空冷却工程S22,第二真空冷却工程S23,復圧工程S24に相当するので、その説明を省略する。また、前記冷風冷却工程S61から前記第一真空冷却工程S62への切り換えタイミング,前記第一真空冷却工程S62から前記第二真空冷却工程S63への切り換えタイミングおよび前記第一真空冷却工程S62における空気排除工程開始のタイミングは、図4の第一プログラムと同様であるので、その説明を省略する。
【0151】
以上のように構成される実施例1によれば、つぎの作用効果を奏する。前記真空冷却工程を前記第一真空冷却手段41による外部コールドトラップを用いた第一真空冷却工程と前記第二真空冷却手段42による内部コールドトラップを用いた第二真空冷却工程との二段階で行っているので、前記真空冷却手段4の減圧手段を簡素なものとすることができる。また、真空冷却開始当初から過大な冷却能力で真空冷却するものと比較して、真空冷却手段の作動に必要なエネルギーを削減できるとともに、急激な冷却で被冷却物の品質低下が問題になる食材では、品質の低下を抑えることができる。
【0152】
また、前記第一真空冷却工程中に空気排除工程を行っているので、前記第二真空冷却工程における前記冷却用熱交換器9表面での蒸気の凝縮を効率よく行うことができる。
【0153】
また、冷風冷却用の前記冷却用熱交換器9を前記第二真空冷却手段42の蒸気凝縮用のコールドトラップと兼用しているので、真空冷却手段の設備を簡素化でき、複合冷却装置のイニシャルコストを低減することができる。
【0154】
さらに、被冷却物3が真空冷却に適している食材をチルド域まで短時間で冷却したい場合には、初期品温に応じて前記第一プログラムと前記第二プログラムとを選択して実行す
ることにより、被冷却物3を短時間で冷却することができる。また、被冷却物3が真空冷却に適している食材であって、チルド域より高い温度域まで短時間で冷却したい場合には、初期品温に応じて前記第四プログラムと前記第五プログラムとを選択して実行することにより、同様に被冷却物3を短時間で冷却することができる。さらに、被冷却物3が真空冷却に適していない食材や含有水分が蒸発不可能な態様の場合は、前記第三プログラムを選択して実行することにより、短時間で冷却することができる。このように、前記第一〜第五プログラムを選択することにより、被冷却物3の性状,初期品温および設定冷却温度に応じた冷却を実現することができ、1台の冷却装置で種々の冷却を短時間で、高品質にて実現することができる。
【実施例2】
【0155】
つぎに、この発明の実施例2の複合冷却装置1を図8に基づき説明する。この実施例2は、前記真空冷却手段4を前記第一真空冷却手段41と前記第二真空冷却手段42とから構成するなどの点で前記実施例1と構成を同じくしており、以下に異なる部分を主として説明する。
【0156】
この実施例2において、前記実施例1と異なるのは、前記第一真空冷却手段41の構成である。前記実施例1では、前記第一真空冷却手段41の減圧手段を前記減圧ライン15,前記開閉弁17および前記真空ポンプ16としたが、この実施例2では、これらの構成要素に加えて、前記真空ポンプ16の上流側に凝縮用熱交換器31を設けた点である。前記開閉弁17は、前記凝縮用熱交換器31と前記冷却室2との間に設けている。前記凝縮用熱交換器41へは第二給水ライン32が接続される。そして、前記第二給水ライン32に設けた第二給水弁33の開閉により前記凝縮用熱交換器31への通水が制御され、この凝縮用熱交換器31の作動が制御される。前記第二給水弁33は、前記制御器6により制御される。
【0157】
この実施例2の第一真空冷却手段41は、前記開閉弁17を開き、前記凝縮用熱交換器31および前記真空ポンプ16を作動させて、前記第一真空冷却工程を実行する。この第一真空冷却工程の第一真空冷却特性は、前記実施例1の第一真空冷却と同様であるが、前記凝縮用熱交換器31の冷却作用により真空冷却能力が前記第一真空冷却手段41よりも増強されるとともに、前記冷却室2の空気排除が効率よく行える。
【0158】
以上、この実施例2において、前記実施例1と異なる構成を説明したが、その他は同様であるので、その説明を省略する。また、この実施例2においても、前記第一〜第五プログラムが同様に実行されるので、その説明を省略する。
【実施例3】
【0159】
つぎに、この発明の実施例3の複合冷却装置1を図9および図10に基づき説明する。この実施例3は、ハード構成に関しては、基本構成を前記実施例1の構成(図1)と同じにしているが、前記循環経路構成部材の構成を異にするとともに、前記温水供給手段18の代わりに給蒸手段76を設けている点で異なる。そして、前記冷却プログラムの構成に関しても基本的には前記実施例1と同じであるが、前記真空冷却工程の構成を異ならせている。以下、異なる点を中心に説明する。
【0160】
まず、前記循環経路構成部材の構成について説明する。前記循環経路構成部材の一部として、筒状のファンガイド30と、このファンガイド30と前記区画壁8および前記冷却室2の底壁との間を遮蔽する第一遮蔽部材31と、前記冷却用熱交換器9と前記区画壁8および前記冷却室2壁との間を遮蔽する第二遮蔽部材32と、冷風を被冷却物3に対してほぼ均等に供給するための穴開き板からなる第一送風ガイド33,第二送風ガイド34を備えている。
【0161】
前記第一送風ガイド33は、被冷却物3を冷却した後の冷風を前記区画壁8の第一開口141へほぼ均等に戻す機能をなし、前記第二送風ガイド34は、前記区画壁8の第二開口142からの冷風を被冷却物3へ向けてほぼ均等に案内、供給するする機能をなすように構成されている。前記送風ガイド33,34は前記区画壁8と別体にして着脱自在に連結されている。前記ファンガイド30,前記第一遮蔽部材31および前記第二遮蔽部材32は、冷風のショートパスを防止する機能をなすものであり、これらも着脱自在に構成されている。
【0162】
前記給蒸手段76の構成について説明する。図9を参照して、この給蒸手段76は、冷却室2内へ蒸気および温水を供給するように冷却室2と接続されている。この給蒸手段76は、温水タンク77により構成される。この温水タンク77には、第三給水弁78を介して水が供給され、ヒータ79により所定温度に温められて温水として貯留される。この実施例3では、前記温水タンク77は、前記冷却室2の下部に給蒸ライン80を介して接続されており、その中途には給蒸弁83が設けられている。この給蒸弁83は、前記給蒸ライン80を開閉するものであり、この実施例3ではモータバルブから構成される。
【0163】
前記冷却室2内の減圧状態で前記給蒸弁83を開くことで、差圧により、前記温水タンク77内の蒸気は温水を伴って前記冷却室2内へ自然に供給される。温水をも前記冷却室2内へ供給することで、水の濃縮を防止することができる。この濃縮防止により、濃縮水のブロー(排出)を無くすか、回数を減らすことができる。前記冷却室2内に供給された温水は、減圧下で一層蒸発を促されて、前記冷却室2内に蒸気を充満させる。その一方で、余分な温水や、蒸気の凝縮水は、前記第一真空冷却手段41により外部へ直ちに排出される。前記給蒸弁83は、前記タイマーにより所定の注入タイミングとなると開き、前記タイマー7による計測時間が設定値となり、かつ前記温水タンク77内温度が設定値以下となると閉じるように制御される。ところで、前記冷却室2内へ蒸気および温水を供給することで、後述する前記冷却用熱交換器9の除霜を図ることもできる。
【0164】
つぎに、前記真空冷却工程について説明する。この実施例3においては、前記第二真空冷却工程中に前記ファン13を駆動するように構成するとともに、前記第一真空冷却工程の初期において、前記ファン13を駆動するように構成している。前記第一真空冷却工程の初期とは、前記冷却室2内の圧力が設定圧力以下となるまで期間を意味し、この実施例3では、前記冷却室2内の圧力を検出するセンサ(図示省略)により前記期間を制御するように構成している。この実施例3のその他の構成は、前記実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0165】
この実施例3の動作を図10に基づき説明する。ここでは、前記第一プログラムの真空冷却工程のみ説明するが、他のプログラムの冷却工程も同様に行われる。また、以下の説明では、前記実施例1と共通の動作である第一冷風冷却工程S21,第二冷風冷却工程S24および復圧工程S25については、その説明を省略、または簡略化している。
【0166】
(第一冷風冷却工程)
第一冷風冷却工程は、前記実施例1と同様に行われ、S72において、前記タイマー7による計測値が前記第一切換設定値となると、前記第一真空冷却工程へ移行する。
【0167】
(第一真空冷却工程)
第一真空冷却工程S72は、基本的には、前記実施例1の第一真空冷却工程(図4のS22)と同様に行われるが、前記制御器6は、S73により前記ファン13を駆動する点で異なる。すなわち、前記第一冷風冷却工程S21から引き続いてファン13を駆動することになる。前記ファン13の駆動により、第一真空冷却工程の初期には、気体が残存し
ているので、被冷却物3の粗熱取りを行うことができる。前記第一真空冷却工程S72初期のファン13の回転数は、前記第一冷風冷却工程と同じにするが、異なる回転数とすることもできる。この粗熱取りは、S74において前記室内圧力センサ27の検出圧力が前記設定圧力(例えば、約250hPa程度)となり、YESが判定されと終了し、S75へ移行する。S75では、前記制御器6は、前記ファン13の駆動を停止し、前記ファン13の回転しない第一真空冷却工程を続行する。
【0168】
(空気排除工程)
この第一真空冷却工程S72の後半には、S76の空気排除工程が行われる。すなわち、前記第一真空冷却手段41を作動させた状態のまま、前記第二給蒸弁90を一時的に開いて前記冷却室2内へ温水を伴って蒸気を供給する。これにより、前記冷却室2内に蒸気を充満させ、その蒸気を巻き込むことで、冷却室2内の空気排除を一層確実に行うことができる。この際、前記真空ポンプ16を作動させているので、余分な温水は、前記冷却室2内から直ちに排出される。そして、前記タイマー7による計測時間が前記第二切換設定値に達すると、S77にてYESが判定され、第二真空冷却工程S23へ移行する。
【0169】
(第二真空冷却工程)
この第二真空冷却工程S23において、前記実施例1と同様に、前記開閉弁17,前記第一給水弁21および前記復圧弁24を閉じて、前記真空ポンプ16を停止するとともに、前記コンデンシングユニット11を作動させる。前記コンデンシングユニット11の作動により、前記冷却用熱交換器9内の温度を約−10℃とする。
【0170】
同時に、S78において、前記ファン13を駆動する。このファン13の駆動による第二真空冷却工程は、つぎのようにして行われる。すなわち、前記冷却室2内は、低圧で密封され、前記冷却室2内の蒸気は、前記冷却用熱交換器9へ移動して、ここで凝縮する。この蒸気の移動の際に、残存空気が蒸気に連れられて前記熱交換器9の表面に付着すると、伝熱を阻害するが、前記ファン13の駆動により、付着した空気を吹き飛ばす。これにより、伝熱障害が阻止または改善され、前記冷却室2内の圧力は、低圧状態を維持する。その結果、被冷却物3から蒸気が連続的に発生し、品温が低下して行く。
【0171】
前記タイマー7による計測時間が前記第三切換設定値に達すると、S24の第二冷風冷却工程へ移行する。この実施3における第二冷風冷却工程以降の工程は、前記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0172】
ここで、この実施例3の変形例を図11および図12に基づき説明する。この変形例は、以上説明した実施例3においても前記温水タンク77内の水の濃縮を低減できるが、濃縮防止を確実なものとすることを目的とし、前記空気排除工程後に行う前記温水タンク77への給水時、前記温水タンク77からオーバーフローするように構成している。
【0173】
図11を参照して、基本的な構成は、前記実施例3と同様であるが、異なるのは、前記温水タンク77の上端部に前記温水タンク77内の水位を検出する水位検出電極84を設けるとともに、前記温水タンク77の上端部にオーバーフローライン85を接続し、この
オーバーフローライン85に排水弁86を設けた点である。前記水位検出電極84は、空気排除工程前に前記温水タンク77内を設定水位に保つ機能と、オーバーフロー量を制御する機能を有する。なお、この変形例では、前記第一真空冷却手段41の構成を図1の実施例1と同じにしている。
【0174】
前記オーバーフローライン85の前記温水タンク77への接続位置は、前記水位検出電極84の下端より少し高い位置としているが、同じ高さとすることができる。前記水位検
出電極84および前記排水弁86は、前記制御器6に接続され、図12に示す給水制御プログラムにより、前記第三給水ライン87の第三給水弁78および前記排水弁86を制御する。
【0175】
この変形例の動作は、前記実施例3と同様であるので、主として図12の空気排除工程に関連する給水制御について、以下に説明する。図12を参照して、S41にて、空気排除のための蒸気および温水の供給が終了して、前記給蒸弁83が閉じたかどうかを判定する。ここで、YESが判定されると、それまで閉じていた前記第三給水弁78および前記排水弁86を開き、水位が低下した前記温水タンク77内への給水を開始する。そして、S43において、前記水位検出電極84による設定水位に到達(水位が下端まで上昇)したかどうかを判定する。
【0176】
YESが判定されると、S44にて、前記設定水位到達後から設定時間(例えば30秒)が経過したかどうかを判定する。この設定時間の間は、前記第三給水ライン87から冷水が前記温水タンク77内へ供給される。この冷水は、前記温水タンク77内の濃縮した温水と一部混合しながら温度差により温水を押し上げて、前記オーバーフローライン85から温水をオーバーフローさせる。こうして、濃縮した温水が前記温水タンク77から排出され、かつ薄められるので、濃縮が確実に低減される。前記設定時間は、好ましくは、前記温水タンク77内の温水を入れ替え出来る程度の時間以上とする。
【0177】
前記設定時間が経過すると、S44にてYESが判定され、S45にて前記第三給水弁78および前記排水弁86を閉じる。この状態で、前記ヒータ79の通電を開始する。
【0178】
この変形例によれば、前記温水タンク77の濃縮を低減できる。なお、濃縮水の排水は、つぎの方式によっても可能である。ブロー弁を備えたブローライン(いずれも図示省略)を前記温水タンク77底部に接続し、前記温水タンク77に大気開放弁(図示省略)を設けて、前記給蒸弁83を閉じた状態で、前記ブロー弁と前記大気開放弁を開くことで、濃縮水をブローさせる。こうした方式ものと比較して、この変形例は、構成を簡素化できる。
【実施例4】
【0179】
つぎに、この発明の実施例4の複合冷却装置1を図13,図14に基づき説明する。この実施例4は、ハード構成に関しては、基本構成を前記実施例3の変形例の構成(図11)と同じにしている。そして、前記複合冷却装置1のプログラムの構成に関しても基本的には前記実施例3と同じであるが、つぎの点で異なる。前記空気排除工程と別の除霜工程を行う除霜プログラムを含み、前記除霜工程時に前記空気排除用の給蒸手段76を用いて前記冷却用熱交換器9の除霜(霜取)を行うように構成するとともに、前記空気排除工程と別の殺菌工程を行う殺菌プログラムを含み、前記殺菌工程時に前記空気排除用の給蒸手段76を用いて前記冷却室2内の殺菌を行うように構成している点である。前記除霜プログラムおよび前記殺菌プログラムは、前述の複合冷却運転が行われていない冷却運転停止中に操作者が除霜スイッチ,殺菌スイッチ(いずれも図示しない。)を操作することで開始される。以下、異なる点を中心に説明する。
【0180】
この実施例4の動作を前記実施例3と異なる除霜プログラムおよび殺菌プログラムをそれぞれ図13,図14に基づき説明する。
【0181】
(除霜プログラム)
前記冷却用熱交換器9の除霜は、図13の処理手順に従い行われる。前記冷却室2の扉を閉じ、前記除霜スイッチを操作すると、S81にて前記復圧弁22を閉じ、S82にて、前記開閉弁17を開いて前記真空ポンプ16を駆動した後、S83へ移行して、前記ヒ
ータ88の制御(ヒータ制御)を行う。
【0182】
このヒータ制御は、前記温水タンク77の水位検出電極により、前記第三給水弁78の開閉を制御して、前記温水タンク77内を所定水位に保つ水位制御と、所定水位が所定時間確認されると前記ヒータ79に通電し、前記温水タンク77の温水温度を温度センサ(図示省略)が設定値となると前記ヒータ79の通電を停止するヒータ通電制御とを含む。
【0183】
ついで、S84において、前記冷却室2内の圧力が、除霜開始圧力(例えば、約120hPa程度)となったかどうかを判定し、YESが判定されると、S85にて、前記ヒータ
制御を停止する。このヒータ制御の停止は、水位制御に伴い、温水が前記温水タンク77からオーバーフローしたり、前記温水タンク77内の低水位を防止するためである。
【0184】
ついで、S86にて、前記給蒸弁83を開き、前記冷却用熱交換器9の除霜を開始する。この除霜は、前記冷却室2内圧力を所定圧力に保持し、前記冷却室2内の温度を約50℃の飽和蒸気で満たすことにより、行われる。
【0185】
S87で、前記冷却室2内の圧力が前記除霜開始圧力に設定値aを加えた圧力以上かどかを判定する。S87でNOが判定されると、前記給蒸弁83を開いたままとし、YESが判定されると、S88へ移行して前記給蒸弁83を閉じる。こうした前記給蒸弁83開閉により前記冷却室2内を設定圧力の保持する。
【0186】
この圧力保持の動作は、S89にて前記給蒸弁83の開時間の合計が第一設定値となると、YESが判定され、S90にて前記真空ポンプ16を停止し、S91にて前記給蒸弁83の開時間の合計が第二設定値(>第一設定値)となると、S92へ移行して、前記給蒸弁83を閉じることにより終了する。すなわち除霜が終了する。S92では、前記第一設定値および前記第二設定値の値を零に戻す。S91にてNOが判定されると、前記真空ポンプ16を停止した状態で前記給蒸弁83を開閉して除霜を継続する。S90にて、前記真空ポンプ16を停止するのは、最初は空気排除を行うために前記真空ポンプ16の駆動が必要であるが、空気排除後の除霜では前記真空ポンプ16の駆動が必要ないからである。S93において、前記ヒータ制御を開始し、前記空気排除工程や前記殺菌工程に備える。
【0187】
(殺菌プログラム)
前記冷却用熱交換器9の殺菌を含む殺菌工程は、図14の処理手順に従い行われる。前記冷却室2の扉を閉じ、前記殺菌スイッチを操作すると、S101にて前記復圧弁22を閉じ、S102にて、前記開閉弁17を開いて前記真空ポンプ16を駆動する。
【0188】
そして、S103へ移行して、前記冷凍機10のポンプダウンを行う。このポンプダウンとは、前記冷却用熱交換器9内にある冷媒を前記コンデンシングユニット11側へ回収する動作であり、前記コンデンシングユニット11から前記冷却用熱交換器9へ液冷媒を供給する配管に設けた液電磁弁(図示省略)を閉じ、圧縮機(図示省略)を駆動することで行う。このポンプダウンは、タイマーまたは低圧側の圧力を検出することで終了する。このポンプダウンは、前記冷却用熱交換器9に多量の液冷媒が残留している状態で、殺菌のための蒸気により加温すると、前記圧縮機の再起動時に高温冷媒が戻り、前記圧縮機を損傷するおそれがあるが、これを防止するためである。
【0189】
ついで、S104において、前記冷却室2内の圧力が、殺菌開始圧力(例えば、約470hPa程度)となったかどうかを判定し、YESが判定されると、S105にて、前記除
霜工程におけるS85と同様に前記ヒータ制御を停止する。
【0190】
ついで、S106にて、前記給蒸弁90を開き、S107にて初期給蒸時間経過した後、空気排除をほぼ終えると、S108にて前記真空ポンプ16を停止するとともに、前記開閉弁17を閉じて、S109にてヒータ制御を開始する。そして、S110にて前記真空ポンプ16の停止から設定時間が経過したかどうかを判定し、YESが判定されると、S111へ移行して、前記ヒータ79の通電を停止し、前記給蒸弁83を閉じて、殺菌運転を終了する。
【0191】
S106からS111までの間、前記冷却室2内は、約80℃の飽和蒸気で満たされることにより、前記冷却用熱交換器9の殺菌と、前記冷却室2内の殺菌が行われる。
【実施例5】
【0192】
つぎに、この発明の実施例5を図15および図16に基づき説明する。図15は、同実施例5の冷却装置における縦断面の説明図であり、図11は、同実施例5の分解斜視の説明図である。この実施例5において、図1の実施例3と大きく異なるのは、前記実施例3の第一送風ガイド37および第二送風ガイド38をダクト状に形成した点と、ホテルパン104を支持するとともに、冷風の循環路を形成する天板109を備えた点である。また、図1では、概略構成を示しているが、図10および図11ではより具体的な構成を示しているだけで、基本的な構成および前記扉開閉時制御などの機能は、同様である。以下に、この実施例5について説明する。
【0193】
前記冷却室2は、冷却室本体89に扉90が開閉可能に設けられて構成される。冷却室本体89は、上下方向中央部に区画壁8が設けられて、内部空間が上下に仕切られる。この区画壁8は、薄いステンレス板から構成され、前記冷却室本体89に対し着脱可能で水平に保持される。これにより、前記冷却室本体89内には、前記区画壁8より上部に第一領域81が形成され、区画壁8より下部に第二領域82が形成される。
【0194】
前記冷却室本体89の第一領域81は、正面へ開口しており、この略矩形の開口91は、前記扉90により開閉可能とされる。この開口91の周囲は、前記扉90が閉じられる際の扉90への戸当り面92とされる。この戸当り面92には、前記開口91を取り囲むように、本体パッキン93が設けられている。この本体パッキン93を介して前記扉90が閉じられることで、前記冷却室本体89の開口91を気密状態に閉じることができる。
【0195】
略矩形板状の前記区画壁8は、前後方向寸法が前記冷却室本体89の前後方向内寸に対応しており、左右方向寸法が前記冷却室本体89の左右方向内寸よりも小さい。このような区画壁8は、前記冷却室本体89の上下方向中央部で且つ左右方向中央部に設けられる。これにより、前記冷却室本体89に区画壁8を設置した状態では、区画壁8の左右にそれぞれ前後に細長い略矩形状の第一開口141および第二開口142が形成される。この第一開口141と第二開口142とを介して、前記第一領域81と前記第二領域82とは互いに連通される。
【0196】
前記第一開口141および前記第二開口142には、それぞれダクト状に形成した第一送風ガイド37および第二送風ガイド38が設けられる。各送風ガイド37,38は、前後に細長い中空の略直方体状であり、下方へ開口して形成されている。各送風ガイド37,38は、熱容量を小さく形成するのが好ましく、たとえば厚さ1〜2mm程度の薄いステンレス板により形成される。各送風ガイド37,38の下端部には、左右方向外側へ延出して、取付片94が形成されている。この取付片94が前記冷却室本体89の保持部95に載せられて、前記冷却室本体89に前記各送風ガイド37,38が着脱可能に設置される。各送風ガイド37,38は、下端部の大きさが、左右の前記第一開口141および前記第二開口142の大きさにそれぞれ対応している。
【0197】
このようにして、前記第一領域81内の左右両端部には、それぞれ前記各送風ガイド37,38が設けられる。この際、各送風ガイド37,38は、前記冷却室本体89の左右の壁面との間に隙間を空けて設置される。すなわち、前記第一送風ガイド37の左側面96は、前記冷却室本体89の左壁面と離隔して配置され、前記第二送風ガイド38の右側面97は、前記冷却室本体89の右壁面と離隔して配置される。また、各送風ガイド37,38は、前後および上部においても、前記冷却室2の壁との間にそれぞれ隙間を空けられる。
【0198】
前記左右の送風ガイド37,38は、同一高さ寸法としてもよいが、この実施例5では、前記第一送風ガイド37は、前記第二送風ガイド38よりも低く形成している。前記第一送風ガイド37には、前記右側面98および上面99にのみ、多数の連通穴100,100,…を形成している。一方、前記第二送風ガイド38には、左側面101にのみ多数の連通穴100,100,…を形成している。具体的には、前記第一送風ガイド37の右側面98および上面99と、前記第二送風ガイド38の左側面101とは、パンチングメタル状に形成されている。
【0199】
この実施例5では、前記第一送風ガイド37の内部は中空であるが、前記第二送風ガイド38の内部には適宜のベーン102,102,…が設けられる。このベーン102は、冷風冷却時に、冷風の流れ方向を調整する羽根である。ベーン102の構成および取付位置や取付個数は、左右の送風ガイド37,38間に収容される被冷却物の配置などに応じて適宜に設定される。この実施例5では、左右の送風ガイド37,38間には、棚枠103を用いて上下に五つのホテルパン104,104,…が配置されるので、その各ホテルパン104の上面へ冷風が吹き込むように、略円弧状部を備える四つのベーン102が上下に離隔して設けられる。これにより、前記第二送風ガイド38の下部開口から供給された冷風は、各ベーン102により方向付けされて、左側面101の連通穴100から排出される。
【0200】
ただし、前記各ベーン102の形状は、適宜に変更可能であり、たとえば単なる矩形板状または略半円筒状に形成してもよい。また、前記各ベーン102は、その角度を調整可能に設けるのがよい。その際、各々のベーン102ごとに位置調整可能としてもよいし、複数のベーン102を連動させて位置調整可能としてもよい。さらに、この実施例5では、冷風の吹出し側となる前記第二送風ガイド38にのみベーン102を設けたが、場合により前記第一送風ガイド37にもベーン102を設けてもよい。さらに、前記ベーン102は、前記送風ガイド38内に収容する以外に、前記送風ガイド38の側面に露出させて設けてもよい。
【0201】
前記冷却室2には、左右の送風ガイド37,38間に、被冷却物を収容した前記各ホテルパン104が配置される。この実施例5では、前記区画壁8の上面に棚枠103が載せられて設置され、前記各ホテルパン104が前記棚枠103に対し出し入れされる。この実施例4の棚枠103は、ステンレス製であり、枠材が略直方体状に組み立てられて構成される。すなわち、棚枠103は、棒材などを組み合わせて構成され、前後、左右および上下に開口した略直方体状とされる。そして、左右両側面部には、それぞれ前後方向へ延出して、略L字形状材105,105,…が上下に複数設けられる。図示例では、左右それぞれに五本ずつ、上下に等間隔でしかも左右で対応した位置に、それぞれ略L字形状材105が設けられる。各L字形状材105は、前記棚枠103の左右の縦材に垂直片106が固定され、この垂直片106の上端部に左右方向内側へ延出して水平片107が配置されて設けられる。
【0202】
前記ホテルパン104は、周知のとおり、上方へのみ開口した略矩形状のステンレス製容器であり、上端部には外周に沿ってツバ部108が形成されている。従って、ホテルパ
ン104は、対向する二辺のツバ部108が、左右の略L字形状材105,105の水平片107,107に載せられて、前記棚枠103に水平に保持される。この実施例5では、前記棚枠103には、前後に二つずつ、且つ上下に五つずつ、合計十個のホテルパン104が収容可能とされる。前記棚枠103に対するホテルパン104の出し入れは、棚枠103の前方から行うことができる。
【0203】
前記棚枠103の上部には、天板109が設けられる。この実施例5の天板109は、前記送風ガイド37,38と同様に、熱容量を小さく形成するのが好ましく、たとえば厚さ1〜2mm程度の薄いステンレス板により形成される。前記天板109は、左側へ行くに従って下方へ傾斜するように、前記棚枠103の左右上端部において前後方向へ延びる枠材110,110に、着脱可能に載せられて設けられる。前記天板109は、凝縮水が左端辺からのみ落下するように、前後両端辺には、上方への延出部111,111が折り曲げ形成されている。前記天板109は、前記棚枠103の上部を覆う大きさであり、右側端部が前記第二送風ガイド38の上部にかかるように配置され、左側端部が前記第一送風ガイド37にまで達することなく終了するよう配置される。
【0204】
冷却室2には、冷却室2内の圧力を計測する室内圧力センサ27と、冷却室2内の温度を計測する室内温度センサ112と、前記扉90の開放を検知する扉センサ(図示省略)とが備えられる。
【0205】
この実施例5の動作を簡単に説明する。前記ファン13からの風は、前記冷却用熱交換器9にて冷却された後、前記第一開口142から前記第二送風ガイド38を介して前記第一領域81内へ供給され、前記第一送風ガイド37を介して前記第二領域82へ戻される。このようにして、前記冷却室2内には、冷風の循環流を形成することができる。この際、前記第一遮蔽部材31および前記冷却用熱交換器9は、前記第二領域82の縦断面全域をそれぞれ塞ぐ位置に設けられるので、循環流のショートパスを防止して、前記ファン13および前記冷却用熱交換器9を介した風のみを前記第一領域81へ供給可能とされている。
【0206】
この実施例5の冷却装置は、前記扉90を空けて前記冷却室本体89の開口91から、前記棚枠103や前記天板109の他、左右の送風ガイド37,38を取り外すと共に、前記区画壁8を取り外すことができる。これにより、前記冷却室2内の洗浄が容易に行えると共に、前記冷却室2内から取り外した前記各部品8,37,38,103,109の洗浄も容易に行える。そして、洗浄後に仮に洗浄液が前記冷却用熱交換器9に残っていても、前記冷却用熱交換器9は前記冷却室2の下部に設置しているので、被冷却物への混入は防止される。
【実施例6】
【0207】
つぎに、この発明の実施例6の複合冷却装置1を図17および図18に基づき説明する。図17は、同実施例6の概略構成図であり、図18は、同実施例6の第一真空冷却工程の制御手順を説明する図である。
【0208】
この実施例6は、ハード構成に関しては、基本構成を前記実施例1の構成(図1)と同じにしているが、前記冷却室2内へ空気を導入することなく前記第一減圧手段41の減圧能力を調整する減圧能力調整手段113を備えている点で構成を異にしている。また、ソフト構成に関しては、前記実施例3の構成と同様であるが、前記第一真空冷却工程において、減圧能力を変更しない第一冷却と、急冷と徐冷とを順次行う第二冷却とを選択可能に構成している点で異なる。その他の構成は、前記実施例1,3と同様であるので、その説明を省略する。
【0209】
まず、ハード構成の相違点を図17に基づき説明する。前記前記減圧能力調整手段113は、前記真空ポンプ16の上流側の前記減圧ライン15から分岐する給気ライン114と、この給気ライン114の途中に設けられ、開度が調整可能な調整弁115とから構成されている。前記調整弁115は、前記制御器6と接続されて、この制御器6により制御される。
【0210】
ついで、ソフト構成の相違点について説明する。前記第一プログラム,前記第二プログラム,前記第四プログラムおよび前記第五プログラムの粗熱取りを行う第一真空冷却工程について、減圧能力(速度)を変更しない第一冷却と、減圧能力を高くして行う急冷と、減圧の能力を低くして行う徐冷とを順次行う第二冷却とを選択可能に構成している。そして、前記急冷を、前記第一真空冷却手段41の作動による第一真空冷却工程を開始してから、前記室内圧力センサ27による検出圧力相当の飽和温度が前記品温センサ26による検出温度との差が設定値(たとえば50hPa)となるまでとした点である。前記制御器6による制御手順は、図18に示される。前記急冷を行うのは、冷却時間の短縮であり、前記徐冷を行うのは、被冷却物3の突沸を防止するためである。
【0211】
前記の急冷と徐冷は、この実施例6では、前記調整弁115の開度を調整することにより行っている。すなわち、急冷時には、前記調整弁115を全閉、徐冷時には前記調整弁115を所定の開度とすることにより実現している。
【0212】
以上の構成の実施例6の動作を説明する。以下の説明では、前記第一プログラムの第一真空冷却工程S23についてのみ説明し、前記第二プログラム,前記第四プログラムおよび前記第五プログラムについては同様であるので説明を省略する。今、初期品温T0が大気圧に相当する飽和蒸気温度以上とする。
【0213】
まず、図4の前記第一冷風冷却工程S21が行われ、冷風冷却により品温が低下する。この間前記冷却室2内の圧力は大気圧を保つ。この第一冷風冷却工程S21が終了すると、図4の前記第一真空冷却工程S23が行われる。この第一真空冷却工程S23においては、図18に示す如く、まず、S81の急冷が行われる。この急冷は、前記開閉弁17を開き、前記復圧弁24,前記第一給水弁21および前記調整弁115を閉じ、前記真空ポンプ16を駆動することにより行われる。この急冷時、前記冷却室2内の圧力が急速に降下し、前記ファン13が駆動されているので、強制対流伝熱により、品温も降下する。
【0214】
そして、前記室内圧力センサ27による検出圧力に相当する飽和蒸気温度が前記品温センサ26による検出温度より設定値だけ高い値T1となると、S82において、YESが判定されて、S83の徐冷に移行する。以下、前記第一真空冷却工程S23以降の工程は、前記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0215】
この実施例6によれば、前記冷却室2内圧力がほぼ品温相当圧力となるまで、急冷を行うので、設定温度まで急冷を行い、その後徐冷するものと比較して、品温が低下しない期間(粗熱取りによる品温低下により生ずる)を殆ど無くすことができ、真空冷却による冷却時間を短縮できる。また、前記調整弁115により徐冷を行うので、前記冷却室2内に空気が供給されることがなく、前記第二真空工程を支障無く行うことができる。
【0216】
ここで、前記実施例6の変形例を図19に基づき説明する。この変形例は、前記実施例6の減圧能力調整手段113を前記実施例1の開閉弁17に代えて開度が調整可能な調整弁115としている。この調整弁115は、前記開閉弁117の機能に加えて、前記制御器7により急冷時に全開,徐冷時に所定の開度に制御されることで、減圧能力が調整される。この変形例の動作は、前記実施例6と同様であるので、その説明を省略する。この変形例によれば、前記実施例6と比較して、前記給気ライン114および調整弁115を前記開閉弁17と別個に必要としないので、構成を簡素化できる効果を奏する。
【0217】
この発明は、前記実施例1〜6に限定されるものではなく、例えば、前記実施例1〜4を、複合冷却装置としたが、真空冷却のみを行う冷却装置とすることができる。また、前記冷却室2内の構成要素の配置は種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】この発明の実施例1の概略構成を説明する説明図である。
【図2】同実施例1の要部拡大断面の説明図である。
【図3】同実施例1の冷却プログラムを説明するフローチャート図である。
【図4】同実施例1の他の冷却プログラムを説明するフローチャート図である。
【図5】同実施例1の他の冷却プログラムを説明するフローチャート図である。
【図6】同実施例1の他の冷却プログラムを説明するフローチャート図である。
【図7】同実施例1の他の冷却プログラムを説明するフローチャート図である。
【図8】この発明の実施例2の概略構成を説明する図である。
【図9】この発明の実施例3の概略構成を説明する図である。
【図10】同実施例3の冷却プログラムの要部を説明するフローチャート図である。
【図11】同実施例3の変形例の概略構成を説明する図である。
【図12】同変形例の給水制御プログラムの要部を説明するフローチャート図である。
【図13】この発明の実施例4の除霜工程を説明するフローチャート図である。
【図14】同実施例4の殺菌工程を説明するフローチャート図である。
【図15】この発明の実施例5の概略構成を説明する一部断面の説明図である。
【図16】この発明の実施例5の概略構成を説明する斜視図である。
【図17】この発明の実施例6の概略構成を説明する図である。
【図18】この発明の実施例6の冷却プログラムの要部を説明するフローチャート図である。
【図19】この発明の実施例6の変形例の概略構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0219】
1 複合冷却装置
2 冷却室
3 被冷却物
4 真空冷却手段
5 冷風冷却手段
6 制御器
8 区画壁
12 モータ
13 ファン
18 温水供給手段
41 第一真空冷却手段
42 第二真空冷却手段
50 機密シール手段
76 給蒸手段
77 温水タンク
83 給蒸弁
114 減圧能力調整手段
141,142 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する冷却室と、この冷却室内に設けた冷却用熱交換器と、前記冷却室内を減圧することにより前記被冷却物を冷却する真空冷却手段と、前記真空冷却手段の作動を制御する制御手段とを備える冷却装置であって、
前記真空冷却手段は、前記冷却室と接続される減圧ラインに減圧手段を設けるとともに、前記冷却室および前記減圧手段間に開閉弁を設けた構成とし、
前記制御手段は、前記開閉弁を開き、前記減圧手段の作動により前記冷却室内を減圧する第一真空冷却工程と、前記開閉弁を閉じ、前記減圧手段の作動を停止するとともに、前記冷却用熱交換器を作動させる第二真空冷却工程とを順次行うことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記冷却用熱交換器にて冷却された前記冷却室内の空気により前記被冷却物を冷却する冷風冷却手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷風冷却手段が、前記冷却室内の空気を循環させる空気循環手段と、この空気循環手段による循環流中に被冷却物および前記冷却用熱交換器を位置させるように循環経路を構成する循環経路構成部材とを含み、この循環経路構成部材が、前記冷却室内を第一領域と第二領域とに上下に区画し、連通用の開口により前記第一領域および前記第二領域を連通する区画壁を含むとともに、前記第一領域および前記第二領域にそれぞれ前記被冷却物,前記冷却用熱交換器を配置したことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却室内に配置され前記冷風を循環させるファンと、
前記冷却室外に配置され前記ファンを駆動するモータと、
前記モータを前記冷却室内空間に対して気密に遮断する気密シール手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷風冷却手段の作動時に前記減圧器を作動させることにより前記冷却室内に貯留するドレンを排出することを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第二真空冷却工程前に前記冷却室内へ蒸気および/または温水を供給して前記冷却室内を蒸気で満たすことにより前記冷却室内の空気を排除する空気排除工程を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却室と給蒸弁を介して接続される温水タンクを備え、
前記制御手段は、前記第二真空冷却工程の前に前記給蒸弁を開き、蒸気とともに温水を前記冷却室内へ供給する空気排除工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記空気排除工程後に行う前記温水タンクへの給水時、前記温水タンクからオーバーフローするように給水することを特徴とする請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記空気排除工程時、前記冷却室へ蒸気および/または温水を供給する供給手段を備え、
前記空気排除工程と別の除霜工程において、前記供給手段からの蒸気および/または温水により前記冷却用熱交換器の除霜を行うことを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記空気排除工程時、前記冷却室へ蒸気および/または温水を供給する供給手段を備え、
前記空気排除工程と別の殺菌工程において、この供給手段からの蒸気および/または温
水により前記冷却室内を殺菌することを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、
前記第二真空冷却工程中に前記ファンを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記冷却室内へ給気することなく減圧能力を調整する減圧能力調手段を備え、
前記制御手段は、前記真空冷却手段の作動による第一真空冷却工程において、前記減圧能力調整手段により前記減圧能力を調整して冷却速度を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記冷却用熱交換器に送風するファンを備え、
前記第一真空冷却工程初期に前記ファンを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−170016(P2008−170016A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343891(P2006−343891)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】