説明

凍結保存装置

【課題】小型軽量かつ低価格でクライオケーンの出し入れも容易に行える凍結保存装置を提供する。
【解決手段】容器本体11の上部開口に回動可能に装着された第1回動蓋13と、第1回動蓋に設けられた円形開口に回動可能に装着された第2回動蓋14と、第2回動蓋に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔と、第2回動蓋の上方に突設した筒状体15と、筒状体の内部に配置された昇降装置16と、昇降装置に設けられたなケーン把持部17と、筒状体に設けられた開閉扉18とを備え、上部開口に対して第1回動蓋を回動させるとともに、第1回動蓋に対して第2回動蓋を回転させて前記通孔の位置を調整することにより、クライオケーン保持器における容器本体中央部から容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも把持可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結保存装置に関し、詳しくは、凍結保存試料を封入した複数のクライオバイアルやアンプルを保持したクライオケーンを、低温液化ガスを貯留した凍結保存容器に出し入れする手段を備えた凍結保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結保存容器に保存した試料を取り出す手段として、凍結保存容器の上方にハンドリングロボットを配置し、入力装置から入力された情報と、凍結保存容器に保存されているクライオケーン(アンプル収納具)に付された情報とに基づいてハンドリングロボットが自動的に目的のクライオケーンを凍結保存容器内から取り出すようにした凍結保存装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−94359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された凍結保存装置は、構造が複雑で高価なハンドリングロボットや制御装置を必要とするため、数多くの試料を出し入れする用途には適しているものの、装置が大きく、質量も大きく、さらに、高価であることから、比較的小規模な研究室などには不向きであった。
【0005】
そこで本発明は、小型軽量かつ低価格でクライオケーンの出し入れも容易に行える凍結保存装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明における凍結保存装置の第1の構成は、低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着され、該上部開口の全体を覆う第1回動蓋と、該第1回動蓋の一部に設けられた円形開口に対して回動可能な状態で装着され、該円形開口の全体を覆う第2回動蓋と、該第2回動蓋の一部に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔と、前記第2回動蓋の外周部から上方に突設した筒状体と、該筒状体の内部に配置された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記上部開口の中心と前記第1回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記円形開口は前記第1回動蓋の直径未満で半径を超える長さの直径を有し、該円形開口の中心は、前記第1回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、該円形開口の中心と第2回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記通孔の中心は第2回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、前記上部開口に対して前記第1回動蓋を回動させるとともに、該第1回動蓋に対して前記第2回動蓋を回転させて前記通孔の位置を調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記通孔を通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明における凍結保存装置の第2の構成は、低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着され、該上部開口の全体を覆う第1回動蓋と、該第1回動蓋の一部に設けられた円形開口に対して回動可能な状態で装着され、該円形開口の全体を覆う第2回動蓋と、該第2回動蓋の一部に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔と、該通孔の外周部から上方に回動可能な状態で突設した筒状体と、第2回動蓋の上面から上方に突設された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記筒状体の内部で昇降可能で前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記上部開口の中心と前記第1回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記円形開口は前記第1回動蓋の直径未満で半径を超える長さの直径を有し、該円形開口の中心は、前記第1回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、該円形開口の中心と第2回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記通孔の中心は第2回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、前記上部開口に対して前記第1回動蓋を回動させるとともに、該第1回動蓋に対して前記第2回動蓋を回転させて前記通孔の位置を調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記通孔を通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明における凍結保存装置の第3の構成は、低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口を覆う円盤状の蓋と、該蓋の半径方向に長い長方形状に形成されたクライオケーン出し入れ用のスリットと、前記蓋の外周部から上方に突設した筒状体と、該筒状体の内部に配置された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記スリットの長手方向に沿って移動可能かつ昇降可能に形成されて前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記スリットの外端部に対応して前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記スリットは、内端部が前記蓋の中央に位置するとともに外端部が蓋の外周部に位置する蓋の直径未満で半径を超える長さを有し、前記クライオケーン保持器を前記容器本体内でクライオケーン保持器の中心を軸線として回動可能に形成し、該クライオケーン保持器を回動させるとともに、前記ケーン把持部の位置を前記スリットの長手方向に調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記スリットを通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の凍結保存装置は、前記第1の構成及び前記第2の構成において、前記第1回動蓋を前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着するのに代えて、蓋支持手段によって容器本体の上部開口の上方に支持するとともに、前記容器本体を回動可能な回転台にて支持し、前記第1回動蓋の中心と容器本体の回動中心とを同一の鉛直線上に配置したこと、また、前記各構成において、前記クライオケーンの頭部に、各クライオケーンを識別するための識別子が設けられていること、前記ケーン把持部に、前記識別子を読み取る識別子読取手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の凍結保存装置によれば、簡単な構成の昇降装置を用いて容器本体内からクライオケーンを取り出すことができ、装置全体の小型軽量化や低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の凍結保存装置の第1形態例を示す斜視図である。
【図2】同じく断面平面図である。
【図3】同じく断面正面図である。
【図4】要部の断面正面図である。
【図5】本発明の凍結保存装置の第2形態例を示す斜視図である。
【図6】同じく断面平面図である。
【図7】同じく断面正面図である。
【図8】要部の断面正面図である。
【図9】本発明の凍結保存装置の第3形態例を示す斜視図である。
【図10】同じく断面平面図である。
【図11】同じく断面正面図である。
【図12】要部の断面正面図である。
【図13】本発明の凍結保存装置の第4形態例を示す斜視図である。
【図14】本発明の凍結保存装置の第5形態例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図1乃至図4の第1形態例に示す凍結保存装置は、低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体11と、該容器本体11内に設けられたクライオケーン保持器12と、前記容器本体11の上部開口11aに回動可能に装着される第1回動蓋13と、該第1回動蓋13の一部に設けられた円形開口13aに回動可能に設けられた第2回動蓋14と、該第2回動蓋14の外周部から上方に突設した筒状体15と、該筒状体15の内部に配置された昇降装置16と、該昇降装置16に設けられたケーン把持部17と、第2回動蓋14に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔14aと、前記筒状体15の下部周壁に設けられた開閉扉18とを備えている。
【0013】
また、第1回動蓋13には、排気筒19が設けられており、容器本体11の底部にはキャスター20が設けられている。なお、容器本体11やクライオケーン保持器12については、前記特許文献1に記載された凍結保存容器と同一のものを使用することができるので、ここでの詳細な図示及び説明は省略する。
【0014】
クライオケーン保持器12は、複数のクライオバイアル21やアンプルを保持した多数のクライオケーン22の上部を支持してクライオケーン22を鉛直方向に向けて保持するものであって、各クライオケーン22には、凍結保存試料を封入した複数のクライオバイアル21を保持する保持部が上下多段に設けられている。また、クライオケーン22の頭部には、該クライオケーン22を識別するための識別子22aが設けられている。この識別子22aは、上方から読取可能な状態に形成されており、識別子には、視認可能な数字や文字、あるいは、専用の読取器によって読取可能な各種バーコードなどを採用することができる。
【0015】
上部開口11aの全体を覆う前記第1回動蓋13は、前記容器本体11の上部開口11aの直径より大きな直径を有する円盤状の部材からなるものであって、前記上部開口11aの外周部と該第1回動蓋13の外周部との間に設けられた第1回転支持部材(ベアリング)23を介して、第1回動蓋13の回動中心と上部開口11aの中心とを同一鉛直線上に位置させて容器本体11に装着される。この第1回動蓋13に設けられた前記円形開口13aは、第1回動蓋13の直径未満で半径を超える長さの直径を有する平面視が円形の開口であって、この円形開口13aの中心は、第1回動蓋13の回動中心に対して偏心した位置にあり、第1回動蓋13の外周部に円形開口13aが近接するように配置されている。
【0016】
円形開口13aを覆う前記第2回動蓋14は、円形開口13aの直径より大きな直径を有する円盤状の部材からなるものであって、円形開口13aの外周縁上面と第2回動蓋14の外周部下面との間に設けられた第2回転支持部材(ベアリング)24を介して、円形開口13aの中心と第2回動蓋14の回動中心とが同一鉛直線上に位置するようにして設けられている。第2回動蓋14に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔14aは、昇降装置16のケーン把持部17やクライオケーン22が通過可能の大きさを有しており、該通孔14aの中心は第2回動蓋14の回動中心に対して偏心した位置にあり、第2回動蓋14の外周部に通孔14が近接するように配置されている。
【0017】
前記筒状体15は、第2回動蓋14の外周縁から立設した蓋付きの円筒形状の部材からなるもので、筒状体15の直径と第2回動蓋14の直径とは略同一であり、筒状体15の中心軸線と第2回動蓋14の回動中心とは同一鉛直線上に位置している。筒状体15の高さは、昇降装置16を収納可能な高さに設定されている。
【0018】
筒状体15内に設けられた昇降装置16は、クライオケーン保持器12に保持されたクライオケーン22の頭部をケーン把持部17が把持可能な状態となる下降位置と、ケーン把持部17が把持したクライオケーン22の全体を第2回動蓋14の上方に引き上げた状態となる上昇位置との間で、ケーン把持部17を鉛直方向に昇降可能としている。ケーン把持部17の先端部には、クライオケーン22の頭部に設けられた前記識別子22aを読み取るために読取器(読み取り手段)17aが設けられるとともに、クライオケーン22の頭部を着脱可能に把持する把持機構が設けられている。
【0019】
前記開閉扉18は、クライオバイアル21をクライオケーン22の所定の位置に着脱する際に開放するものであって、ケーン把持部17により所定高さまで上昇させたクライオケーン22の所定の位置に保持されたクライオバイアル21の取出作業が可能な大きさに形成されている。
【0020】
このように形成した凍結保存装置において、容器本体11内に保存された所望の試料を封入したクライオバイアル21を取り出す際には、容器本体11の上部開口11aに対して第1回動蓋13を回動させるとともに、該第1回動蓋13に対して第2回動蓋14を回動させ、クライオケーン出し入れ用の通孔14aを、目的とするクライオバイアル21を保持したクライオケーン22の上方に移動させる。通孔14aの位置合わせは、クライオケーン22の頭部に設けた識別子22aを目視しながら手動で行うこともでき、あらかじめ記憶手段に記憶させた位置情報に基づいて自動制御することも可能である。
【0021】
このとき、第1回動蓋13に対する第2回動蓋14の大きさや位置を上述のように設定していることにより、第2回動蓋14の通孔14aを第1回動蓋13の内周側に位置させることによって容器本体11の中央部に保持されたクライオケーン22を取り出すことが可能となり、第2回動蓋14の通孔14aを第1回動蓋13の外周側に位置させることによって容器本体11の外周部に保持されたクライオケーン22を取り出すことが可能となる。すなわち、上部開口11aに対する第1回動蓋13の回動位置、第1回動蓋13に対する第2回動蓋14の回動位置を調整することにより、容器本体11内のクライオケーン保持器12のいずれの場所に保持したクライオケーン22でも取り出すことが可能となる。
【0022】
通孔14aを目的のクライオケーン22の上方に位置合わせした後、昇降装置16によりケーン把持部17を通孔14aを通して下降させ、目的のクライオケーン22の頭部をケーン把持部17にて把持する。このとき、ケーン把持部17に設けた読取器17aによってクライオケーン22の識別子22aを読み取って照合することにより、目的のクライオケーン22を確実に間違いなく把持することができる。
【0023】
目的のクライオケーン22をケーン把持部17にて把持した状態で昇降装置16を操作し、クライオケーン22に保持されている所望のクライオバイアル21を前記開閉扉18から取出可能な位置になるようにケーン把持部17を上昇させ、開閉扉18を開いて所望のクライオバイアル21をクライオケーン22から取り外す。クライオケーン22の上昇位置は、目視によって行うこともでき、クライオバイアル21にクライオバイアル用識別子を付すとともに開閉扉18の近傍に読取器を設けておき、前記クライオバイアル用識別子を読み取って照合することにより位置合わせを行うこともでき、前述のように、あらかじめ記憶手段に記憶させた位置情報に基づいて自動制御することも可能である。
【0024】
このように、第1回動蓋13及び第2回動蓋14を回動させてから昇降装置16を操作するだけで、所望の試料を封入したクライオバイアル21を容易に取り出すことができる。各蓋13,14の回動操作、昇降装置16の昇降操作、ケーン把持部17の把持操作を全て手動操作可能に形成しておくことにより、複雑な機構を不要とすることができるので、クライオケーン取出装置を備えた凍結保存装置全体の小型軽量化や低価格化を図ることができる。また、ケーン把持部17の把持操作を含む昇降装置16の昇降操作を自動化する場合も、昇降装置16に求められる動きが鉛直方向のみの動きであるから、僅かな追加で容易に行うことができる。
【0025】
さらに、簡単な識別子と読取器とを組み合わせて適切な管理を行うこともでき、監視カメラとモニター画面とを適宜使用することもできる。また、容器本体11にキャスター20を設けておくことにより、凍結保存装置の移動も容易に行うことができる。さらに、第1回動蓋13、第2回動蓋14、筒状体15、開閉扉18を透明な材料で形成することにより、操作時にクライオケーン22の位置を外部から視認することができ、操作性を大幅に向上させることができる。
【0026】
図5乃至図8は、本発明の凍結保存装置の第2形態例に示している。なお、以下の説明において、各凍結保存装置における同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
本形態例では、第2回動蓋14の上に設ける筒状体15の直径を第2回動蓋14の直径より小さくして通孔14aの外周部に設けた第3回転支持部材25を介して回動可能に立設するとともに、昇降装置16を筒状体15の外側で第2回動蓋14の上に立設し、筒状体15の上部を気密に貫通させた状態で、筒状体15の内部でケーン把持部17を昇降させるように形成している。
【0028】
このように筒状体15を回動可能に形成することにより、ケーン把持部17で引き上げたクライオケーン22からクライオバイアル21を取り出す際に、筒状体15を回動させることによって開閉扉18の向きをクライオバイアル21の取出作業を行う方向に合わせることができるので、クライオバイアル21の取出作業を効率よく行うことができる。
【0029】
図9乃至図12は、本発明の凍結保存装置の第3形態例に示している。本形態例では、円盤状の蓋30を上部開口11aに対して固定するとともに、クライオケーン保持器12を回転支持部材31により支持し、該クライオケーン保持器12の中心を通る鉛直線を回動軸線として容器本体11の内部で回動可能に形成している。蓋30には、該蓋30の直径と略同じ直径を有する筒状体32を立設し、該蓋30の半径方向に長い長方形状に形成されたクライオケーン出し入れ用のスリット33を設けるとともに、蓋30の上の筒状体32の内部に、前記スリット33の長手方向に沿って移動可能かつ昇降可能に形成されたケーン把持部17を有する昇降装置34を設け、さらに、前記スリット33の外端部33aに対応して筒状体32の下部周壁に開閉扉18を設けている。前記スリット33は、蓋30の直径未満で半径を超える長さを有しており、内端部33bが蓋30の中央に位置し、かつ、外端部33aが蓋30の外周部に位置するように配置されている。
【0030】
本形態例に示す凍結保存装置では、クライオケーン保持器12を容器本体11の内部で回動させるとともに、ケーン把持部17の位置を前記スリット33の長手方向に調整することにより、前記クライオケーン保持器12における容器本体11の中央部に保持されたクライオケーン22及び前記クライオケーン保持器12における容器本体11の外周部に保持されたクライオケーン22のいずれのクライオケーン22も前記スリット33を通して前記ケーン把持部17で把持可能としている。クライオケーン保持器12の回動は、適当な位置に設けた回動ハンドル35にて行うことができる。なお、スリット33に代えて、前記各形態例に示した円形開口とすることもできる。
【0031】
図13は、本発明の凍結保存装置の第4形態例に示している。本形態例は、前記第3形態例における円筒形の筒状体32を、スリット33及びケーン把持部17の位置調整範囲に合わせた角筒状の筒状体32aに代えたものであり、筒状体の形状以外は、前記第3形態例に示した凍結保存装置と同様に形成している。
【0032】
図14は、本発明の凍結保存装置の第5形態例に示している。本形態例は、蓋30を蓋支持手段41によって容器本体11の上部開口11aの上方に回動不能な状態で支持するとともに、容器本体11を回転支持部材42を備えた回転台43にて回動可能に支持し、蓋30の中心と容器本体11の回動中心とを同一の鉛直線上に配置した例を示している。本形態例では、蓋30を回動させずに、回転台43を介して容器本体11を回動させることにより、前記各形態例と同様にして容器本体11内のいずれの位置からもクライオケーン22を取り出すことができる。
【符号の説明】
【0033】
11…容器本体、11a…上部開口、12…クライオケーン保持器、13…第1回動蓋、13a…円形開口、14…第2回動蓋、14a…通孔、15…筒状体、16…昇降装置、17…ケーン把持部、17a…読取器、18…開閉扉、19…排気筒、20…キャスター、21…クライオバイアル、22…クライオケーン、22a…識別子、23…第1回転支持部材、24…第2回転支持部材、25…第3回転支持部材、30…蓋、31…回転支持部材、32…筒状体、33…スリット、33a…外端部、33b…内端部、34…昇降装置、35…回動ハンドル、41…蓋支持手段、42…回転支持部材、43…回転台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着され、該上部開口の全体を覆う第1回動蓋と、該第1回動蓋の一部に設けられた円形開口に対して回動可能な状態で装着され、該円形開口の全体を覆う第2回動蓋と、該第2回動蓋の一部に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔と、前記第2回動蓋の外周部から上方に突設した筒状体と、該筒状体の内部に配置された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記上部開口の中心と前記第1回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記円形開口は前記第1回動蓋の直径未満で半径を超える長さの直径を有し、該円形開口の中心は、前記第1回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、該円形開口の中心と第2回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記通孔の中心は第2回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、前記上部開口に対して前記第1回動蓋を回動させるとともに、該第1回動蓋に対して前記第2回動蓋を回転させて前記通孔の位置を調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記通孔を通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴とする凍結保存装置。
【請求項2】
低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着され、該上部開口の全体を覆う第1回動蓋と、該第1回動蓋の一部に設けられた円形開口に対して回動可能な状態で装着され、該円形開口の全体を覆う第2回動蓋と、該第2回動蓋の一部に設けられたクライオケーン出し入れ用の通孔と、該通孔の外周部から上方に回動可能な状態で突設した筒状体と、第2回動蓋の上面から上方に突設された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記筒状体の内部で昇降可能で前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記上部開口の中心と前記第1回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記円形開口は前記第1回動蓋の直径未満で半径を超える長さの直径を有し、該円形開口の中心は、前記第1回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、該円形開口の中心と第2回動蓋の回動中心とは同一鉛直線上にあり、前記通孔の中心は第2回動蓋の回動中心に対して偏心した位置に設けられ、前記上部開口に対して前記第1回動蓋を回動させるとともに、該第1回動蓋に対して前記第2回動蓋を回転させて前記通孔の位置を調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記通孔を通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴とする凍結保存装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の凍結保存装置において、前記第1回動蓋を前記容器本体の上部開口に対して回動可能な状態で装着するのに代えて、蓋支持手段によって容器本体の上部開口の上方に支持するとともに、前記容器本体を回動可能な回転台にて支持し、前記第1回動蓋の中心と容器本体の回動中心とを同一の鉛直線上に配置したことを特徴とする凍結保存装置。
【請求項4】
低温液化ガスを貯留する円筒状の容器本体と、該容器本体内に設けられて前記容器本体の上部開口から挿入されるクライオケーンを保持する複数のケーン収納部を有するクライオケーン保持器とを備えた凍結保存装置において、前記容器本体の上部開口を覆う円盤状の蓋と、該蓋の半径方向に長い長方形状に形成されたクライオケーン出し入れ用のスリットと、前記蓋の外周部から上方に突設した筒状体と、該筒状体の内部に配置された昇降装置と、該昇降装置に設けられて前記スリットの長手方向に沿って移動可能かつ昇降可能に形成されて前記クライオケーンの上端部を把持可能なケーン把持部と、前記スリットの外端部に対応して前記筒状体の下部周壁に設けられた開閉扉とを備え、前記スリットは、内端部が前記蓋の中央に位置するとともに外端部が蓋の外周部に位置する蓋の直径未満で半径を超える長さを有し、前記クライオケーン保持器を前記容器本体内でクライオケーン保持器の中心を軸線として回動可能に形成し、該クライオケーン保持器を回動させるとともに、前記ケーン把持部の位置を前記スリットの長手方向に調整することにより、前記クライオケーン保持器における容器本体中央部に保持されたクライオケーン及び前記クライオケーン保持器における容器本体外周部に保持されたクライオケーンのいずれのクライオケーンも前記スリットを通して前記ケーン把持部で把持可能に形成されていることを特徴とする凍結保存装置。
【請求項5】
前記クライオケーンの頭部に、各クライオケーンを識別するための識別子が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の凍結保存装置。
【請求項6】
前記ケーン把持部に、前記識別子を読み取る識別子読取手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載の凍結保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−215311(P2012−215311A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79110(P2011−79110)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】