説明

処理対象物燃焼システム及び排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法

【課題】処理対象物燃焼システムにおいて上流側での排ガス中に含まれる実際の窒素酸化物濃度とタイムラグによって下流側で測定される窒素酸化物濃度の測定値との差を小さくし、適切な量の窒素酸化物除去剤を噴霧することにより、薬剤の余分な消費や紫煙の発生を防止する。
【解決手段】燃焼溶融炉2内の酸素量を処理対象物の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御手段14と、前記燃焼用空気の供給量に応じて高温空気加熱器3内に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段15と、脱塩バグフィルタ7下流の排ガス流路内における排ガス中の窒素酸化物の濃度を測定し、その測定値に基づいて前記高温空気加熱器3内に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物(たとえば廃棄物)燃焼処理システムおよび処理対象物又は処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスを燃焼させる燃焼処理装置で発生する排ガス中の窒素酸化物を除去することによって、排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物等を加熱処理した際に発生する排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を低減するため、排ガス中から窒素酸化物を除去(いわゆる脱硝)する必要があるが、この脱硝を行う方法として、従来より、触媒脱硝方法と無触媒脱硝方法の2つの方法が知られている。
無触媒脱硝は触媒脱硝に比べ脱硝の効果は落ちるものの(触媒脱硝方法の除去性能は90%以上、これに対し無触媒脱硝方法は10〜40%程度)、設備が簡単でランニングコストも安価であり、ダーティーガスにも対応できることから、例えば、ごみ焼却処理施設に使用されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、流動床式焼却炉内で、ごみ(処理対象物)を焼却することによって排出される燃焼排ガスに尿素水を導入することにより、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元除去(脱硝)する無触媒脱硝方法が記載されている。
【0004】
図4では、無触媒脱硝方法による経過時間と窒素酸化物濃度(NOx)の関係が示されている。無触媒脱硝方法を用いて、多量の窒素酸化物除去剤(尿素水等)を排ガスに噴霧して、窒素酸化物濃度の最大値を管理目標値以下にしている。
図3は、窒素酸化物の除去(脱硝)を行っていない場合である。従って、無触媒脱硝方法を用いた図4とは違って、窒素酸化物(NOx)が管理目標値を超えている部分がある。
【0005】
しかし、上述した無触媒脱硝方法では、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去(脱硝)することに重点がおかれ多量の窒素酸化物除去剤(尿素水等)を使用するため、脱硝反応に関与しなかった未反応のアンモニアが存在し、これら未反応のアンモニアが環境上好ましくない紫煙(塩化アンモニウム)の発生原因となっていた。
【0006】
そこで、紫煙(塩化アンモニウム)の発生を抑制するため、排ガス中の窒素酸化物を除去するための窒素酸化物除去剤(例えば、尿素水やアンモニア)の使用量を抑える点から、従来より、フィードバック制御を用いた処理対象物燃焼システムが知られている。
【0007】
図7には、従来のフィードバック制御を用いた処理対象物燃焼システムの全体構成図が示されている。
【0008】
図7における処理対象物燃焼システム(以下「システム」という)では、窒素酸化物を除去する場合、バルブ11を介して高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を、煙突の入り口付近に設けられた窒素酸化物濃度計8の測定値に応じて演算器で計算し、高温部である高温空気加熱器3(850〜1050℃)に尿素水やアンモニアを噴霧して窒素酸化物を除去し、最終的に煙突より排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を制御している。
以上がフィードバック制御を用いた排ガス中の窒素酸化物濃度の制御方法の概略である。
【0009】
詳述すると、フィードバック制御は、無触媒脱硝方法の欠点を解消するため、窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を抑えた状態で、窒素酸化物を管理目標値以下にすることを目的としている。ここで、無触媒脱硝方法のときよりも、排ガスに噴霧する尿素水やアンモニアの量を抑えると、図5において、窒素酸化物濃度の最大値が、図3に示したほどではないにしても窒素酸化物管理目標値を超える場合が生じる(図5の点線部分)。
【0010】
そこで、窒素酸化物濃度の最大値が窒素酸化物管理目標値を超えることを防止するため、フィードバック制御では、窒素酸化物濃度計8の測定値に応じて、高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を計算し、前もって高温空気加熱器3内に尿素水やアンモニアを噴霧して窒素酸化物を除去することにより、排ガス中の窒素酸化物濃度が管理目標値を超えないようにしている。なお、高温空気加熱器3内に前もって尿素水やアンモニアを噴霧して窒素酸化物を除去しているため、高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度の変動が小さくなり、窒素酸化物濃度計8の窒素酸化物濃度の測定値についても変動が小さくなる。
【0011】
図5には、無触媒脱硝方法とフィードバックを組み合わせた場合による経過時間と窒素酸化物濃度の関係が示されている。
【0012】
無触媒脱硝方法のみを用いた図4と比べ、窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を抑えているため、窒素酸化物濃度の最大値は窒素酸化物管理目標値に近いところにあるが、窒素酸化物管理目標値を超えてはない。また、窒素酸化物濃度計8で測定される窒素酸化物濃度の変動も小さくなっている。
【0013】
このようにして、フィードバック制御は窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を抑えた状態で、窒素酸化物を管理目標値以下にすることを目的としている。
【0014】
しかし、上述したフィードバック制御を用いる場合、尿素水やアンモニアを噴霧する場所が該システム内の上流側の高温部である高温空気加熱器3であり、窒素酸化物濃度計8によって煙突より排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を測定する場所が該排ガスの処理が済んだ下流側の低温部である煙突の入り口付近である場合、以下の問題がある。
【0015】
つまり、窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアを噴霧する場所である高温空気加熱器3(上流側)から排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を測定する場所である窒素酸化物濃度計8(下流側)までの間を、排ガスが各工程で処理されながら流れるため、窒素酸化物濃度計8による濃度測定までの間に一定の時間が経過してしまい、窒素酸化物濃度計8で排ガス中の窒素酸化物濃度を測定するまでにタイムラグが発生し、尿素水やアンモニアを噴霧する場所である高温空気加熱器3内(上流側)の窒素酸化物の濃度と窒素酸化物濃度計8の測定時(下流側)の窒素酸化物濃度の測定値との間に差が生じることとなる。
【0016】
このような状態で、上述したフィードバック制御を行うことによって、窒素酸化物濃度計8の窒素酸化物濃度の測定値に基づいて計算した窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を高温加熱器3内に噴霧すると、実際は、既に高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度は一定時間経過しているため変化しているにも関わらず、変化前(窒素酸化物濃度計8の測定値)の窒素酸化物濃度に対して計算された尿素水やアンモニアの量が噴霧されることとなる。その結果、例えば、窒素酸化物を除去するのに必要な量よりも多くの尿素水やアンモニアの量を噴霧してしまうと、紫煙(塩化アンモニウム)の発生原因となってしまうこととなる。
【0017】
上記の内容を図7を参照にして、わかり易く説明する。
【0018】
時刻tにおける高温空気加熱器3内の排ガス中の窒素酸化物濃度をa、tから一定時間経過後の時刻tにおける高温空気加熱器3内の排ガス中の窒素酸化物濃度をbとする。
【0019】
濃度aは、排ガスが高温空気加熱器3から排出されて、廃熱ボイラー4、減温塔5、除塵バグフィルタ6、脱塩バグフィルタ7を通過し、煙突の入り口を通過する際に、煙突の入り口付近に設けられた窒素酸化物濃度計8の測定値aとして、時刻tから一定時間経過後の時刻tに検出される。
【0020】
フィードバック制御では、この時刻tで測定された窒素酸化物濃度の測定値であるaに基づいて、高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤である尿素水やアンモニアの量を計算する。しかし、時刻tにおける高温空気加熱器3内の排ガス中の窒素酸化物濃度はすでにbに変化しているため、aに基づいて演算器で計算された尿素水やアンモニアの量をバルブ11の開閉制御より噴霧しても、窒素酸化物を適切に除去できない。
【0021】
例えば、aに基づいて計算された尿素水やアンモニアの噴霧する量が、時刻tにおける高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度bに対して必要な量より過剰であった場合には、尿素水やアンモニアが無駄に消費されてしまうだけでなく、紫煙(塩化アンモニウム)を発生させる原因になる。一方、aに基づいて計算された尿素水やアンモニアの噴霧する量が、高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度bに対して必要量以下であった場合には、高温空気加熱器3内の窒素酸化物の除去が不十分で、煙突より排出される排ガス中の窒素酸化物が管理目標値を超えてしまうおそれがある(図5の点線)。
【0022】
【特許文献1】特開平8−215536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、処理対象物燃焼システムにおいて高温部(上流側)での排ガス中に含まれる実際の窒素酸化物濃度とタイムラグによって低温部(下流側)で測定される窒素酸化物濃度の測定値との差を小さくし、適切な量の窒素酸化物除去剤を噴霧することにより、薬剤の余分な消費や紫煙(塩化アンモニウム)の発生を防止する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明に係る処理対象物燃焼システムの第1の態様は、処理対象物又は処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスまたは熱分解ガスとチャーを燃焼させる燃焼処理装置と、前記燃焼処理装置で発生する排ガスから熱を回収する熱回収装置と前記排ガスを通過させるバグフィルタと、前記燃焼処理装置内の酸素量を処理対象物が燃焼するのに必要な酸素の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて前記燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御手段と、前記燃焼用空気の供給量に応じて、窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段と、前記バグフィルタ下流の排ガス流路内における排ガス中の窒素酸化物の濃度を測定し、その測定値に基づいて窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、燃焼用空気供給量制御手段によって、排ガス中の酸素濃度を測定することにより、その測定値に基づいて燃焼用空気を燃焼処理装置内に供給するので、燃焼処理装置内の空気比が一定に保たれ燃焼状態を一定にすることができることに加えて以下の効果が得られる。
【0026】
第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段によって、燃焼用空気の供給量と相関関係がある排ガス中の窒素酸化物を、燃焼用空気の供給量に応じて計算された窒素酸化物除去剤の供給量を制御することにより排ガス中から除去することで、排ガス中の窒素酸化物濃度の変動を小さくし、排ガス中の窒素酸化物濃度をほぼ一定に保つことができる。
【0027】
さらに第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段によって、処理対象物燃焼システム下流で測定される窒素酸化物濃度を測定し、その測定値に基づいて窒素酸化物除去剤の供給量が計算されて供給されて窒素酸化物を除去するので、最終的に排出される排ガス中の窒素酸化物の濃度を所定の値未満に管理することが可能となる。
【0028】
そして、排ガス中の窒素酸化物濃度をほぼ一定に保つことで、処理対象物燃焼システム上流側の排ガス中の窒素酸化物濃度とタイムラグによって生じる処理対象物燃焼システム下流で測定される窒素酸化物濃度の測定値との差が小さくなり、タイムラグによる影響を殆ど受けなくなるので、下流で測定される排ガス中の窒素酸化物濃度に基づいて窒素酸化物除去剤の量を計算しても、適切な量の窒素酸化物除去剤を使用することができ、紫煙の発生も防止することができる。
【0029】
本発明に係る処理対象物燃焼システムの第2の態様は、第1の態様において、前記排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度計がバグフィルタ下流の排ガス流路に設けられていることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、バグフィルタ下流に酸素濃度計を設けることで、酸素濃度が安定状態にある低温部で酸素濃度を測定することができ、酸素濃度計も耐熱用の高価なものを使う必要がなく汎用品を使用することができる。
【0031】
本発明に係る処理対象物燃焼システムの第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記窒素酸化物除去剤は第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段及び第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段から前記熱回収装置の排ガス側に供給されることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、熱回収装置内での窒素酸化物濃度がほぼ一定に保たれるため、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0033】
本発明に係る処理対象物燃焼システムの第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記窒素酸化物除去剤が尿素またはアンモニアであることを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、窒素酸化物除去剤として尿素またはアンモニアを使用することによって、効率よく窒素酸化物を除去(脱硝)することができる。
【0035】
本発明に係る排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法は、処理対象物又は処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスまたは熱分解ガスとチャーを燃焼させる燃焼処理装置で発生する排ガス中の窒素酸化物濃度を制御する排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法であって、
前記燃焼処理装置内の酸素量を処理対象物が燃焼するのに必要な酸素の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて前記燃焼処理装置内へ供給する燃焼用空気の供給量の増減を制御する燃焼用空気供給量制御工程と、
前記燃焼用空気の供給量の増減に応じて前記排ガスから熱を回収する熱回収装置に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御して前記熱回収装置内の窒素酸化物濃度を調整する第1の窒素酸化物濃度調整工程と、前記熱回収装置よりも下流において測定される前記排ガス中の窒素酸化物濃度の測定値が所定の値未満になるように、前記窒素酸化物濃度の測定値に基づいて前記熱回収装置に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御して該熱回収装置内の窒素酸化物濃度を調整する第2の窒素酸化物濃度調整工程と、を有することを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、第1の態様及び第3の態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、燃焼処理装置で発生する排ガスの窒素酸化物濃度をほぼ一定に保つことで、処理対象物燃焼システム上流側の排ガス中の窒素酸化物濃度とタイムラグによって生じる処理対象物燃焼システム下流で測定される窒素酸化物濃度の測定値との差が小さくなり、タイムラグによる影響を殆ど受けなくなるため、適切な量の窒素酸化物除去剤を使用することができ、紫煙の発生も防止することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る処理対象物燃焼処理システム及び処理対象物燃焼処理システム内における排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法について図面を参照しながら説明する。
まず、図1を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0039】
本発明の実施の形態に係る処理対象物燃焼処理システムは以下の通りである。
本発明の実施の形態に係る処理対象物燃焼処理システムは、図1に示すように、都市ごみや産業廃棄物等の処理対象物を加熱処理して熱分解ガスを発生させる熱分解装置としての熱分解ドラム1と、前記熱分解ガスを燃焼させる燃焼処理装置としての燃焼溶融炉2と、前記燃焼溶融炉2で発生する高温排ガスから熱を回収する熱回収装置としての高温空気加熱器3と、続く廃熱ボイラー4、排ガスを冷却するための減温塔5、除塵バグフィルタ6(第1バグフィルタ)、脱塩バグフィルタ7(第2バグフィルタ)と、熱分解ドラム1から発生した熱分解残渣を分別するための分別装置10とを備えている。
【0040】
更に、前記燃焼溶融炉2内の酸素量を処理対象物の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて前記燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御手段14と、前記燃焼用空気の供給量に応じて前記高温空気加熱器3内に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段15と、前記脱塩バグフィルタ7下流の排ガス流路内における排ガス中の窒素酸化物の濃度を測定し、その測定値に基づいて前記高温空気加熱器3内に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段16とを備えている。
【0041】
前記燃焼用空気供給量制御手段14は、前記除塵バグフィルタ6と脱塩バグフィルタ7の間の排ガス流路中を流れる排ガス中の酸素濃度を検出するための酸素濃度計9と、該酸素濃度計9の測定値に基づいて燃焼溶融炉2に送り込む燃焼用空気の供給量を計算する演算器21と、該演算器21で計算された量の燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給用バルブ12とを備えている。
【0042】
前記第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段15は、前記燃焼用空気の前記供給量に応じて高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤の供給量を定めるように構成された前記演算器1と、該演算器21で定められた量の窒素酸化物除去剤を高温空気加熱器3内に供給するための窒素酸化物除去剤供給用バルブ13と、窒素酸化物除去剤の貯留部17とを備えている。
【0043】
前記第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段16は、窒素酸化物濃度を検出するために煙突の入り口付近に設けられた窒素酸化物濃度計8と、前記窒素酸化物濃度計8の測定値に基づいて高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤の供給量を計算する演算器22と、該演算器22で計算された量の窒素酸化物除去剤を供給するための窒素酸化物除去剤供給用バルブ11と、窒素酸化物除去剤の貯留部18とを備えて構成されている。ここで、窒素酸化物除去剤の貯留部18は前記貯留部17と共通であってもよい。
【0044】
次に、本発明の実施の形態に係る処理対象物燃焼処理システムの動作を説明する。先ず都市ごみ(処理対象物)を熱分解ドラム1入れて熱分解処理を行う。熱分解処理によって熱分解ガスと熱分解残渣が発生する。熱分解残渣については、分別装置10に送られ、鉄、アルミニウム等が金属残渣として取り除かれ、分別された熱分解カーボンは燃焼溶融炉2に送られる。一方、熱分解ガスについては、燃焼溶融炉2において高温(例えば、800℃以上)で燃焼処理される。
【0045】
そして、燃焼溶融炉2から発生する排ガスは、高温空気加熱器3に導入されて空気の加熱に利用される。高温空気加熱器3で加熱された空気は、熱分解ドラム1を有する装置(例えばロータリーキルン)に送られ、熱分解ドラム1の間接加熱の熱源として利用される。一方、高温空気加熱器3において空気の加熱に利用された排ガスは、廃熱ボイラー4で熱回収され、例えばシステム系内で使用する電力の発電等に用いられる。
【0046】
廃熱ボイラー4で熱回収された排ガスは、減温塔5に導入され冷却された後、除塵バグフィルタ6、脱塩バグフィルタ7を経て、排ガスに含まれるHCl、SOx、等の有害物質が除去され、無害化処理された後、系外へ排出される。排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度は煙突の入り口付近に設けられた窒素酸化物濃度計8によって管理されている。
なお、脱塩剤としては、水酸化カルシウム(消石灰)や炭酸水素ナトリウム(重曹)等の従来より脱塩剤として知られている薬剤を用いることができる。
【0047】
次に、処理対象物燃焼処理システム内における窒素酸化物濃度制御方法を説明する。
【0048】
排ガス中に含まれる窒素酸化物濃度を決める要素のうち、変動速度が速く窒素酸化物濃度に与える影響が大きいのは、燃焼溶融炉2に供給される燃焼用空気の供給量(以下「燃焼用空気流量」という)である。
図2には、処理対象物の燃焼処理によって発生する排ガス中の窒素酸化物濃度と燃焼用空気流量との関係を示す図が記載されている。図2から時間の経過とともに、燃焼用空気流量が下がると、それに追従するように窒素酸化物濃度の値も下がり、逆に燃焼用空気流量が上がると窒素酸化物の濃度も上がるという相関関係が見られる。
【0049】
ここで、図1における燃焼溶融炉2に、酸素を送り込むための燃焼用空気について説明する。
通常、燃焼溶融炉2内の酸素濃度を一定(空気比を一定)に制御し、燃焼状態を均一にするため、処理対象物の量に対して必要な酸素量よりも一定の過剰量(約20%過剰)の酸素を送りこんで(空気比1.2)燃焼溶融炉2を運転する。酸素濃度を測定する目的は、この一定の過剰量の酸素が燃焼溶融炉2に送り込まれているかどうかのチェック機能であり、その濃度の値に応じて演算器1で燃焼溶融炉2に送る燃焼空気流量を計算し、燃焼用空気供給用バルブ12を開閉制御して燃焼溶融炉2に燃焼用空気を送り込む。
【0050】
そして、燃焼溶融炉2に送り込む燃焼用空気流量と排ガス中の窒素酸化物濃度に相関関係があることから、燃焼用空気流量の増減に応じて、燃焼溶融炉2内で発生する窒素酸化物の量も増減するので、その増減する窒素酸化物を除去するための窒素酸化物除去剤の供給量を演算器1で計算して定め、窒素酸化物除去剤供給用バルブ13を開閉制御して高温部である高温空気加熱器3内に噴霧して窒素酸化物を除去する。
つまり、排ガス中の酸素濃度を測定し、その測定値に基づいて燃焼溶融炉2に送り込む燃焼用空気流量とその流量にリンクさせて高温空気加熱器3に噴霧する窒素酸化物除去剤の供給量を決めるリンク制御を行うようになっている。
【0051】
上述のリンク制御を行うことにより、上流の高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度の変動が小さくなるため、下流の低温部で窒素酸化物濃度を測定した場合であっても、タイムラグによる高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度と窒素酸化物濃度計8で検出される窒素酸化物濃度の測定値の差は小さくなる。
【0052】
つまり、燃焼用空気流量と窒素酸化物濃度に相関関係があるため、燃焼用空気流量を増やせば窒素酸化物濃度も上がることから、燃焼用空気流量を増やした時には窒素酸化物除去剤を噴霧し窒素酸化物濃度が上がらないように制御し、高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度の変動を小さくしている。
【0053】
さらに、リンク制御により、高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度との差が小さくなった窒素酸化物濃度計8で検出される測定値に基づいてフィードバック制御を行うことにより、窒素酸化物除去剤である尿素またはアンモニアを適切な量だけ高温空気加熱器3内に供給することができる。これにより、尿素またはアンモニアの使用量においては無駄がなく、無駄がないゆえに紫煙(塩化アンモニウム)の発生も防止できる。また、煙突の入り口付近に設けられた窒素酸化物濃度計8の測定値に基づいてフィードバック制御が行われるので、処理対象物燃焼処理システム系外に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を管理することができ、系外に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を目標値未満に抑えることが可能となる。
【0054】
本発明の実施の形態に係る窒素酸化物濃度制御方法を、各工程別に図1を用いて具体的に説明する。
まず、排ガスの流れを簡単に説明すると以下の様な流れになる。
処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスを燃焼させる燃焼溶融炉2内では、窒素酸化物が生成し、窒素酸化物を含んだ排ガス(約1100℃)は、熱回収装置である高温空気加熱器3に導入される。高温空気加熱器3において、空気を加熱するために排ガスから熱が回収され、窒素酸化物が除去され、高温空気加熱器3から排出される。この時の排出される排ガスの温度は約600℃である。よって、高温空気加熱器3内の温度は600〜1100℃の範囲内で推移している。その後、廃熱ボイラー4で熱回収された排ガス(300〜400℃)は、減温塔5に導入された後(150〜200℃)、除塵バグフィルタ6で飛灰等が除塵され、次いで脱塩バグフィルタ7でHCl等が脱塩され、浄化ガスとして煙突から系外へ排出される。
【0055】
次に、燃焼用空気供給量制御工程を説明する。
燃焼用空気供給量制御工程は、酸素濃度計9、演算器21及び燃焼用空気供給用バルブ12、すなわち燃焼用空気供給量制御手段14によって実行される。
【0056】
除塵バグフィルタ6と脱塩バグフィルタ7の間の流路に設けられた酸素濃度計9が、排ガス中に含まれる酸素の濃度を測定する。そして、その測定値に基づいて燃焼溶融炉2に供給する燃焼用空気の供給量を演算器1で計算し、図示しない制御部から燃焼用空気供給用バルブ12へ制御信号が送られ、燃焼用空気供給用バルブ12の開度が決定され、計算で求められた量の燃焼用空気が燃焼用溶融炉2へ供給される。この際、酸素濃度の測定値の変動によって供給される燃焼用空気流量にも変動(増減)があるが、測定される酸素濃度が一定であれば供給される燃焼用空気の供給量には変化はない。
【0057】
なお、本実施形態において、好ましい態様として酸素濃度計9は、酸素の濃度が安定する低温部である除塵バグフィルタ6の下流側であって脱塩バグフィルタ7の上流側の排ガス流路に設置されているが、排ガス中の酸素濃度が測定できれば設置場所については実施形態の位置に限定されない。また、第1バグフィルタ6(除塵バグフィルタ)と第2バグフィルタ7(脱塩バグフィルタ)の双方の機能をひとつにまとめてバグフィルタを1つだけ設けることとしてもよい。
【0058】
次に、第1の窒素酸化物濃度調整工程について説明する。
第1の窒素酸化物濃度調整工程は、前記演算器21、窒素酸化物除去剤供給バルブ13及び窒素酸化物除去剤の貯留部17、すなわち第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段15によって実行される。
【0059】
燃焼溶融炉2に送り込む燃焼用空気流量と排ガス中の窒素酸化物濃度に、記述の通り相関関係があることから、燃焼用空気供給量制御工程において制御されている燃焼用空気流量に応じて、高温空気加熱器3内の窒素酸化物を低減除去するための窒素酸化物除去剤の量を演算器1で計算して定め、図示しない制御部から窒素酸化物除去剤供給バルブ13へ制御信号が送られ、該窒素酸化物除去剤供給バルブ13の開度が決定され、計算で求められた量の窒素酸化物除去剤が高温空気加熱器3内へ供給される。
【0060】
この時、酸素濃度計9の測定値に基づいて演算器1で計算された燃焼用空気流量に応じて該演算器1が窒素酸化物除去剤の供給量を決定することから、燃焼用空気流量と窒素酸化物除去剤の供給量はリンクしており、窒素酸化物除去剤の供給量は燃焼用空気流量とリンクして制御(リンク制御)されている。従って、窒素酸化物除去剤供給バルブ13の開度も燃焼用空気供給用バルブ12の開度とリンクして制御されている。
【0061】
上述のリンク制御を行うことにより、燃焼用空気流量を増やせば窒素酸化物濃度も上がることから、燃焼用空気流量を増やした時には窒素酸化物除去剤を噴霧し高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度が上がらないように制御し、上流に位置する高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度の変動を小さくすることが可能となる。そして、この結果、下流の低温部で窒素酸化物濃度計8によって窒素酸化物濃度を測定した場合であっても、タイムラグによって生じる高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度と窒素酸化物濃度計8で検出される測定値の差は小さくなり、タイムラグの影響を受けている測定値であっても、その影響は殆ど問題にならなくなる。
【0062】
なお、窒素酸化物除去剤を高温空気加熱器3内に供給する場合、該高温空気加熱器3内の排ガス温度に分布があるときは、850〜1050℃である領域(場所)に供給するのが好ましい。また、窒素酸化物除去剤については、尿素やアンモニア等の公知の脱硝剤を使用することができる。
【0063】
次に、第2の窒素酸化物濃度調整工程について説明する。
第2の窒素酸化物濃度調整工程は、窒素酸化物濃度計8、演算器22、窒素酸化物除去剤供給バルブ11及び窒素酸化物除去剤の貯留部18、すなわち第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段16によって実行される。
【0064】
排ガス中の窒素酸化物は系外に排出する場合に規制値があり、その規制値以上の濃度にならないように、処理対象物燃焼処理システムの最も下流である煙突の入り口付近において、窒素酸化物濃度計9を設置し、排ガス中の窒素酸化物濃度を管理目標値未満になるように監視している。
【0065】
第2の窒素酸化物濃度調整工程は、窒素酸化物濃度計9の測定値に基づいて、高温空気加熱器3内の窒素酸化物を低減除去するための窒素酸化物除去剤の量を演算器22で計算し、図示しない制御部から窒素酸化物除去剤供給バルブ11へ制御信号が送られ、該窒素酸化物除去剤供給バルブ11の開度が決定され、計算で求められた量の窒素酸化物除去剤が高温空気加熱器3内へ供給される。いわゆる上述したフィードバック制御が行われる。
【0066】
既にリンク制御の効果により、窒素酸化物濃度計9の測定値はタイムラグの影響はほとんど受けていない。よって、あとは、適切な窒素酸化物除去剤の量で排ガス中の窒素酸化物濃度を確実に管理目標値未満にすることである。そのため、第2の窒素酸化物濃度調整工程は、窒素酸化物濃度計9の測定値に基づいて、高温空気加熱器3内への窒素酸化物の供給量を計算している。
【0067】
従って、第2の窒素酸化物濃度調整工程により、適切な窒素酸化物除去剤を高温空気加熱器3内へ供給することができるため、窒素酸化物除去剤である尿素やアンモニアを余分に使用する必要もなく、紫煙(塩化アンモニウム)の発生も防止することができる。また、排ガス中の窒素酸化物濃度を管理目標値未満になるようにすることができる。
【0068】
本発明の効果を図5及び図6を参照に説明する。
図6は、本発明に係る窒素酸化物除去処理(リンク制御及びフィードバック制御)を行った場合による経過時間と窒素酸化物濃度の関係が示されている。
図5の無触媒脱硝方法及びフィードバック制御を組み合わせた従来の場合より、窒素酸化物濃度の変動が小さくなっていることがわかる。
【0069】
よって、高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度がほぼ一定になることで、上流に位置する高温空気加熱器3内の窒素酸化物濃度と、下流に位置する窒素酸化物濃度計8で検出される測定値の差が小さくなり、窒素酸化物濃度計8で検出される測定値がタイムラグの影響を受けている測定値であっても、その影響は殆ど問題にならなくなる。
【0070】
したがって、窒素酸化物濃度計8による測定値に基づいて計算される高温空気加熱器3内に噴霧する窒素酸化物除去剤の量は、排ガス中の窒素酸化物の濃度を管理目標値未満にするために、高温空気加熱器3内の窒素酸化物を除去するのに適切な量であり、過剰になることも不足になることもない。
【0071】
本発明によれば、高温空気加熱器3内の窒素酸化物を除去するのに適切な量の窒素酸化物除去剤が高温空気加熱器3内に噴霧されるため、窒素酸化物除去剤である、例えば尿素水またはアンモニアを過剰に使用し紫煙(塩化アンモニウム)を発生させるようなことはなく、逆に噴霧する尿素水またはアンモニアが不足して窒素酸化物が管理目標値を超えるようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る処理対象物燃焼処理システムの全体構成図。
【図2】窒素酸化物(NOx)の濃度と燃焼用空気流量の関係を示す図。
【図3】脱硝(窒素酸化物除去)を行ってない場合の、経過時間に対する窒素酸化物濃度(NOx濃度)と燃焼用空気流量の関係を示す図。
【図4】無触媒脱硝を行った場合の、経過時間に対する窒素酸化物濃度(NOx濃度)と燃焼用空気流量の関係を示す図。
【図5】無触媒脱硝とフィードバック制御を行った場合の、経過時間に対する窒素酸化物濃度(NOx濃度)と燃焼用空気流量の関係を示す図。
【図6】本発明に係る窒素酸化物除去処理(リンク制御とフィードバック制御)を行った場合の、経過時間に対する窒素酸化物濃度(NOx濃度)と燃焼用空気流量の関係を示す図。
【図7】従来のフィードバック制御を行った場合の処理対象物燃焼処理システムの全体構成図。
【符号の説明】
【0073】
1 熱分解ドラム、 2 燃焼溶融炉、 3 高温空気加熱器、 4 廃熱ボイラー、 5 減温塔、 6 除塵バグフィルタ(第1バグフィルタ)、 7 脱塩バグフィルタ(第2バグフィルタ)、 8 窒素酸化物濃度計、 9 酸素濃度計、 10 分別装置、 11 窒素酸化物除去剤供給バルブ、 12 燃焼用空気供給用バルブ、 13 窒素酸化物除去剤供給バルブ、 14 燃焼用空気供給量制御手段、 15 第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段、 16 第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段、 17 窒素酸化物除去剤の貯留部、 18 窒素酸化物除去剤の貯留部、 21 演算器、 22 演算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物又は処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスまたは熱分解ガスとチャーを燃焼させる燃焼処理装置と、
前記燃焼処理装置で発生する排ガスから熱を回収する熱回収装置と
前記排ガスを通過させるバグフィルタと、
前記燃焼処理装置内の酸素量を処理対象物が燃焼するのに必要な酸素の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて前記燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御手段と、
前記燃焼用空気の供給量に応じて、窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段と、
前記バグフィルタ下流の排ガス流路内における排ガス中の窒素酸化物の濃度を測定し、その測定値に基づいて窒素酸化物除去剤の供給量を制御する第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段と、を備えていることを特徴とする処理対象物燃焼システム。
【請求項2】
請求項1に記載された処理対象物燃焼処理システムにおいて、前記排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度計がバグフィルタ下流の排ガス流路に設けられていることを特徴とする処理対象物燃焼システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の処理対象物燃焼システムにおいて、前記窒素酸化物除去剤は第1の窒素酸化物除去剤供給量制御手段及び第2の窒素酸化物除去剤供給量制御手段から前記熱回収装置の排ガス側に供給されることを特徴とする処理対象物燃焼システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理対象物燃焼システムにおいて、前記窒素酸化物除去剤が尿素またはアンモニアであることを特徴とする処理対象物燃焼システム。
【請求項5】
処理対象物又は処理対象物を加熱処理して発生する熱分解ガスまたは熱分解ガスとチャーを燃焼させる燃焼処理装置で発生する排ガス中の窒素酸化物濃度を制御する排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法であって、
前記燃焼処理装置内の酸素量を処理対象物が燃焼するのに必要な酸素の量に対して一定の過剰量になるように、排ガス中の酸素濃度を測定して測定値に基づいて前記燃焼処理装置内へ供給する燃焼用空気の供給量の増減を制御する燃焼用空気供給量制御工程と、
前記燃焼用空気の供給量の増減に応じて前記排ガスから熱を回収する熱回収装置に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御して前記熱回収装置内の窒素酸化物濃度を調整する第1の窒素酸化物濃度調整工程と、
前記熱回収装置よりも下流において測定される前記排ガス中の窒素酸化物濃度の測定値が所定の値未満になるように、前記窒素酸化物濃度の測定値に基づいて前記熱回収装置に供給する窒素酸化物除去剤の供給量を制御して該熱回収装置内の窒素酸化物濃度を調整する第2の窒素酸化物濃度調整工程と、を有することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物濃度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−127598(P2010−127598A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306354(P2008−306354)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】