説明

処理流体の流量測定方法、処理流体を用いる処理方法及びその装置並びに処理用記録媒体

【課題】 処理室内に供給される処理流体の供給時の温度に基づいて処理流体の流量を正確に測定できるようにすること。
【解決手段】 被処理体である半導体ウエハWが処理流体(例えば、オゾンガスと水蒸気の混合流体)により処理される処理室2内に、処理流体供給源(オゾンガス発生器7,水蒸気発生器9)から処理流体供給管6を介して処理流体を供給する際に、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を温度センサ10によって計測して、その検出信号をCPU20に伝達し、CPU20によって処理流体供給管内を流れる処理流体の温度が所定の温度に達した際に、処理流体が所定の流量に達したと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理流体の流量測定方法、処理流体を用いる処理方法及びその装置並びに処理用記録媒体に関するもので、更に詳細には、例えば半導体製造に使用される処理流体の流量測定方法、処理流体を用いる処理方法及びその装置並びに処理用記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造において、被処理体例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等(以下にウエハ等という)に処理を施すために薬液,洗浄液等の液体や気体あるいは蒸気等の各種の処理流体が使用されており、例えばウエハ等を収容した処理室内に、所定温度及び所定流量の処理流体を供給して処理が行われている。
【0003】
従来、この種の処理方法(装置)において、処理流体の流量を測定する手段として超音波流量計やフローメータが使用されている(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−151458号公報(特許請求の範囲、段落番号0004,0007、図5,図8)
【特許文献2】特開平10−2768号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、超音波流量計は、一般に管内を流れる処理流体に対して一側から超音波を発信し、他側で受信して流速を測定し、これに基づいて流量をパルス数でカウント表示する方式であるため、気相流体は計測することができない。
【0005】
また、フローメータは、該フローメータのフロートを目視したり、電気制御により設定するものであるが、蒸気の流量を計測すると結露等により計測できない。
【0006】
したがって、これら超音波流量計やフローメータによる流量測定では、蒸気の流量を正確に測定することができないという問題があった。
【0007】
この発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、処理室内に供給される処理流体の供給時の温度に基づいて処理流体の流量を正確に測定できるようにした処理流体の流量測定方法、処理流体を用いる処理方法及びその装置並びにその処理用記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1記載の処理流体の測定方法は、被処理体が処理流体により処理される処理室内に、処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、 前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程とを有し、 前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の処理流体の流量測定方法において、前記処理流体が蒸気であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の処理流体の流量測定方法において、前記処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の処理流体を用いる処理方法は、請求項1記載の発明を包含するもので、 被処理体を処理室内に収容する工程と、 前記処理室内に処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、 前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程とを有し、 前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の処理流体を用いる処理方法において、前記処理流体が蒸気であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の処理流体を用いる処理方法において、前記処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の処理流体を用いる処理方法は、請求項1記載の発明を包含するもので、 被処理体を処理室内に収容する工程と、 前記処理室内に第1の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第1の処理流体を供給する工程と、 前記処理室内に第2の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第2の処理流体を供給し前記第1の処理流体に第2の処理流体を混合する工程と、 前記処理流体供給管内を流れる混合された処理流体の温度を計測する工程とを有し、 前記処理流体供給管内を流れる前記混合された処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断し、処理を続行することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の処理流体を用いる処理方法において、前記第2の処理流体が蒸気であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の処理流体を用いる処理方法において、前記混合された処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10記載の処理流体を用いる処理装置は、請求項4記載の処理方法を具現化するもので、 被処理体を収容する処理室と、 前記処理室内に処理流体を供給する処理流体供給管と、 前記処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を計測する温度検出手段と、 前記温度検出手段で検知された前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、請求項10記載の処理流体を用いる処理装置において、前記処理流体が蒸気であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、請求項6記載の処理方法を具現化するもので、請求項10又は11記載の処理流体を用いる処理装置において、前記制御手段は、前記処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め記憶することを特徴とする。
【0020】
また、請求項13記載の処理流体を用いる処理装置は、請求項7記載の処理方法を具現化するもので、 被処理体を収容する処理室と、 前記処理室に接続された処理流体供給管と、 前記処理流体供給管に接続される第1の処理流体供給管と、 前記処理流体供給管に接続される第2の処理流体供給管と、 前記処理流体供給管内で混合された混合処理流体の温度を計測する温度検出手段と、 前記温度検出手段で検知された前記混合処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0021】
また、請求項14記載の発明は、請求項13記載の処理流体を用いる処理装置において、前記第2の処理流体が蒸気であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項15記載の発明は、請求項9記載の処理方法を具現化するもので、請求項13又は14記載の処理流体を用いる処理装置において、前記制御手段は、前記混合処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め記憶することを特徴とする。
【0023】
また、請求項16記載の発明は、請求項13ないし15のいずれかに記載の処理流体を用いる処理装置において、前記処理流体供給管における第1の処理流体供給管と第2の処理流体供給管との接続部に保温用の加熱手段を更に具備することを特徴とする。
【0024】
また、請求項17記載の発明は、請求項4記載の処理方法及び請求項10記載の処理装置を実行させるもので、 コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 上記制御プログラムは、実行時に、被処理体を処理室内に収容する工程と、前記処理室内に処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程と、 前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断する工程が実行されるように、コンピュータが処理装置を制御するものである、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項18記載の発明は、請求項7記載の処理方法及び請求項13記載の処理装置を実行させるもので、 コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 上記制御プログラムは、実行時に、被処理体を処理室内に収容する工程と、前記処理室内に第1の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第1の処理流体を供給する工程と、前記処理室内に第2の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第2の処理流体を供給し前記第1の処理流体に第2の処理流体を混合する工程と、前記処理流体供給管内を流れる混合された処理流体の温度を計測する工程と、前記処理流体供給管内を流れる前記混合された処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断し、処理を続行する工程が実行されるように、コンピュータが処理装置を制御するものである、ことを特徴とする。
【0026】
請求項1記載の発明によれば、被処理体が処理流体により処理される処理室内に、処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する際に、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を計測し、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度が所定の温度に達した際に、処理流体が所定の流量に達したと判断することにより、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を監視することによって供給される処理流体の流量を測定することができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、処理流体が蒸気であっても正確に流量を測定することができる。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことにより、正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定することができる。
【0029】
請求項4,10,17記載の発明によれば、被処理体を処理室内に収容した後、処理室内に処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する際に、温度検出手段によって処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を計測し、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度が所定の温度に達した際に、処理流体が所定の流量に達したと判断することにより、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を監視し、供給される処理流体の流量を測定することができ、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができる。
【0030】
請求項5,11記載の発明によれば、処理流体が蒸気であっても正確に流量を測定することができ、処理用の蒸気の所定量を処理室内に供給することができる。
【0031】
請求項6,12記載の発明によれば、処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことにより、更に正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定することができ、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができる。
【0032】
請求項7,13,18記載の発明によれば、被処理体を処理室内に収容した後、処理室内に第1の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第1の処理流体を供給し、処理室内に第2の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第2の処理流体を供給して第1の処理流体に第2の処理流体を混合し、処理流体供給管内を流れる混合された処理流体の温度が所定の温度に達した際に、第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断することにより、処理流体供給管内を流れる第1の処理流体及び混合処理流体の温度を監視し、供給される処理流体の流量を測定することができ、処理室内に所定流量の混合処理流体を供給することができる。
【0033】
請求項8,14記載の発明によれば、処理流体が蒸気を含む場合であっても正確に流量を測定することができ、蒸気を含む処理流体の所定量を処理室内に供給することができる。
【0034】
請求項9,15記載の発明によれば、処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことにより、更に正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定して、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができる。
【0035】
請求項16記載の発明によれば、処理流体供給管における第1の処理流体供給管と第2の処理流体供給管との接続部に保温用の加熱手段を更に具備することにより、混合処理流体の温度が供給管の外部雰囲気温度によって影響を受けるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、前記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0037】
(1)請求項1記載の発明によれば、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を監視することによって供給される処理流体の流量を測定することができるので、処理流体に気泡が含まれる場合や気相状の場合においても正確に処理流体の流量を測定することができる。
【0038】
(2)請求項2記載の発明によれば、前記(1)に加えて、更に処理流体が蒸気であっても正確に流量を測定することができる。
【0039】
(3)請求項3記載の発明によれば、処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことにより、正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定することができるので、前記(1),(2)に加えて、更に測定精度の向上を図ることができる。
【0040】
(4)請求項4,10,17記載の発明によれば、処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を監視し、供給される処理流体の流量を測定することができ、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができるので、処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0041】
(5)請求項5,11記載の発明によれば、処理流体が蒸気であっても正確に流量を測定することができ、処理用の蒸気の所定量を処理室内に供給することができるので、前記(4)に加えて、更に処理流体に蒸気を用いた処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0042】
(6)請求項6,12記載の発明によれば、更に正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定して、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができるので、前記(4),(5)に加えて、更に処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0043】
(7)請求項7,13,18記載の発明によれば、処理流体供給管内を流れる混合処理流体の温度を監視し、供給される処理流体の流量を測定することができ、処理室内に所定流量の混合処理流体を供給することができるので、混合処理流体を用いる処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0044】
(8)請求項8,14記載の発明によれば、処理流体が蒸気を含む場合であっても正確に流量を測定することができ、蒸気を含む処理流体の所定量を処理室内に供給することができるので、前記(7)に加えて、更に蒸気を含む混合処理流体を用いた処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0045】
(9)請求項9,15記載の発明によれば、更に正確に判断することができ、供給される処理流体の流量を更に正確に測定して、処理室内に所定流量の処理流体を供給することができるので、前記(7),(8)に加えて、更に処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0046】
(10)請求項16記載の発明によれば、処理流体供給管における第1の処理流体供給管と第2の処理流体供給管との接続部に保温用の加熱手段を更に具備することにより、混合処理流体の温度が供給管の外部雰囲気温度によって影響を受けるのを防止することができるので、前記(7)〜(9)に加えて、更に処理精度の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る処理装置を半導体ウエハの表面に対してレジスト水溶化処理(オゾン処理)及び洗浄処理に適用した場合について説明する。
【0048】
図1は、この発明に係る処理装置の全体を示す概略構成図、図2は、前記処理装置の要部を示す概略平面図である。
【0049】
前記処理装置は、被処理体である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を収容する処理室2を形成し、処理室2の対向位置に処理流体の供給口3と排出口4を有すると共にヒータ及び開閉可能な蓋を有する処理容器1と、この処理容器1の供給口3と窒素(N2)ガス供給源5とを開閉弁Vを介して接続する処理流体供給管6と、この処理流体供給管6とオゾンガス発生器7とを開閉弁V1及び流量計8を介して接続する第1の処理流体供給管11と、処理流体供給管6と溶媒蒸気供給源である蒸気発生器9とを開閉弁V2を介して接続する第2の処理流体供給管12と、処理流体供給管6内で混合された混合処理流体すなわちオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度を計測する温度検出手段である温度センサ10と、この温度センサ10と電気的に接続され、温度センサ10で検知された混合処理流体の温度が所定の温度に達した際に、水蒸気が所定の流量に達したと判断する制御手段である中央演算処理装置20(以下にCPU20という)とで主に構成されている。
【0050】
前記蒸気発生器9は、図示しない純水供給源と接続する蒸気発生器本体9aの外周部にヒータ9bが配設されると共に、蒸気発生器本体9aに接続される排出管13に圧力センサ14と圧力調節弁V3が介設されている。このように構成される蒸気発生器9によって例えば約130℃の水蒸気が生成されるようになっている。
【0051】
また、前記処理流体供給管6における第1の処理流体供給管11と第2の処理流体供給管12との接続部すなわち流体混合部15には、図2及び図4に示すように、ヒータ16を埋設した断熱材17を被覆してなる保温体18が例えばねじ部材19によって装着されている。このように、処理流体供給管6における第1の処理流体供給管11と第2の処理流体供給管12とが接続する流体混合部15に、ヒータ16を埋設した断熱材17を被覆してなる保温体18を装着することにより、混合流体生成部15を例えば150℃に保温して、外部雰囲気温度(例えば約60℃)によって処理流体供給管6に結露が発生するのを防止している。
【0052】
また、前記温度センサ10は、処理流体供給管6における処理容器1側付近の表面に直接取り付けられている(図1及び図2参照)。このように、処理流体供給管6に取り付けられる温度センサ10によって処理流体供給管6内に流れるオゾンガス又は水蒸気あるいはオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度を検知することができる。なお、温度センサ10を、保温体18の断熱材17に埋設して取り付けても良い。
【0053】
なお、図3に示すように、処理容器1における供給口3の周辺部に設けられた取り付け凹所1a内に一部が嵌合される例えばアルミニウム製のブロック体30が埋設されている。この場合、ブロック体30には処理流体供給管6と連通する連通路31が設けられており、この連通路31の下側の2箇所にヒータ32が埋設されて、連通路31内を流れるオゾンガス又はオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度を例えば150℃に保温して、外部雰囲気温度(例えば約60℃)によって処理流体供給管6に結露が発生するのを防止している。また、連通路31の近傍の上側の2箇所にヒータ用の温度センサ33が埋設されている。
【0054】
前記CPU20には、処理室2内に混合処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量が予め記憶されている。記憶される処理流体の流量は、予め実験により求めることができる。例えば、処理室2内に供給されるオゾンガスに対して水蒸気の供給が(a)無しの場合、(b)2.3g/minの場合、(c)4.2g/minの場合及び(d)6.2g/minの場合の温度分布を調べたところ、図4に示すような結果が得られた。この結果、(b)2.3g/minの場合は(c)4.2g/minの場合に比べると約4℃の温度差があり、また、(c)4.2g/minの場合と(d)6.2g/minの場合を比べると、約2℃の温度差があった。この場合、オゾンガスの流量は流量計8で監視されている。
【0055】
前記実験で求められたデータを元に換算すると、水蒸気の温度と流量の関係は図5に示すように表される。このようにして求められた水蒸気の温度に対する流量が予めCPU20に記憶されることにより、温度センサ10によって処理流体供給管6内を流れるオゾンガス又はオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度を検知(計測)し、処理流体供給管6内を流れる処理流体の温度が所定の温度に達した際に、処理流体が所定の流量に達したと判断することができる。すなわち、処理流体供給管6内を流れるオゾンガス又はオゾンガスと水蒸気の混合処理流体の温度を温度センサ10によって監視し、温度によって供給される処理流体の流量を測定できるので、処理室2内に水蒸気が供給されたか否か、あるいは、処理室2内に所定量の水蒸気が供給されたか否かを知ることができる。
【0056】
また、CPU20には、混合流体が供給される際の温度に対する水蒸気の流量だけでなく、オゾンガスのみ供給される際の温度に対するオゾンガスの流量、水蒸気もオゾンガスも供給されない際の温度の情報も記憶されている。
【0057】
また、CPU20は、コンピュータ40に内蔵されており、コンピュータ40は、CPU20に接続された入出力部40aと、処理工程を作成するための処理工程入力画面を表示する表示部40bと、入出力部40aに挿着されると共にコンピュータ40に制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体40c(記録媒体)が備えられており、制御プログラムに基づいて、実行時に、ウエハWを処理室2内に収容する工程と、処理室2内にオゾンガス発生器7から処理流体供給管6を介してオゾンガスを供給する工程と、処理室2内に蒸気発生器9から処理流体供給管6を介して水蒸気を供給しオゾンガスに水蒸気を混合する工程と、処理流体供給管6内を流れるオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度を温度センサ10にて計測する工程と、処理流体供給管6内を流れるオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度が所定の温度に達した際に、オゾンガス又は水蒸気が所定の流量に達したと判断し、処理を続行する工程が実行されるように、コンピュータ40が処理装置を制御するように形成されている。
【0058】
上記記録媒体40cは、コンピュータ40に固定的に設けられるもの、あるいは、コンピュータ40に設けられた読み取り装置に着脱自在に挿着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであってもよい。最も典型的な実施形態においては、記録媒体40cは、基板処理装置のメーカーのサービスマンによって制御ソフトウエアがインストールされたハードディスクドライブである。他の実施の形態においては、記録媒体40cは、制御ソフトウエアが書き込まれたCD−ROM又はDVD−ROMのような読み出し専用のリムーバブルディスクであり、このようなリムーバブルディスクはコンピュータ40に設けられた光学的読み取り装置によって読み取られる。記録媒体40cは、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)のいずれの形式のものであってもよく、また、記録媒体40cは、カセット式のROMのようなものであってもよい。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを記録媒体40cとして用いることが可能である。なお、複数の基板処理装置(オゾン処理装置)が配置される工場においては、各基板処理装置(オゾン処理装置)のコンピュータ40を統括的に制御する管理コンピュータに制御ソフトウエアが格納されていてもよい。この場合、各基板処理装置(オゾン処理装置)に通信回線を介して管理コンピュータにより走査され、所定のプロセスを実行する。
【0059】
なお、処理容器1の排出口4に接続される排出管41にはレギュレータ12によって調整されるリリーフ弁V4が介設されている。これにより、処理室2内の圧力を調整し、処理室2内の圧力と蒸気発生器9の圧力差により供給量を変更可能にすることができる。
【0060】
次に、この発明に係る処理流体を用いた処理方法について、説明する。まず、図示しないキャリアから取り出されたウエハWを処理室2内に収容して処理容器1を密閉する。この状態で処理容器1に設けられたヒータ(図示せず)からの加熱を約30秒行うことにより、ウエハWは短時間で処理温度(約105℃)付近まで加熱(予熱)される(予熱工程)。これにより、ウエハWのレジスト水溶化処理(オゾン処理)を促進させることができる。
【0061】
その後、CPU20は、処理室2に対してオゾンガスの供給を開始するよう制御信号をオゾンガス発生器7へ送る。これに基づいてオゾンガス発生器7から、第1の処理流体供給管11及び処理流体供給管6を介して処理室2内に所定濃度のオゾンガスが供給される。なお、リリーフ弁V4によって処理室2内からの排出管41による排気流量を調整する。このように、処理室2内を排出管41によって排気しながらオゾンガスを供給することにより、処理室2内の圧力を一定に保ちながら処理室2内をオゾンガス雰囲気にする。この場合、処理室2内の圧力は、大気圧より高い状態、例えばゲージ圧0.2MPa程度に保つ。また、ヒータ(図示せず)の加熱によって、処理室2内の雰囲気及びウエハWの温度が維持される。排出管41によって排気した処理室2内の雰囲気は、オゾンガス処理部に排出される。このようにして、処理室2内に所定濃度のオゾンガスを充填する(オゾンガス充填工程)。
【0062】
オゾンガスを充填した後、水蒸気発生器9によって生成された水蒸気を第2の処理流体供給管12を介して処理流体供給管6に供給し、処理室2内にオゾンガスと水蒸気の混合流体を処理室2内に供給して、ウエハWのレジスト水溶化処理(オゾン処理)を行う(オゾン処理工程)。このオゾン処理工程において、水蒸気の供給後、一定時間経過後に監視を開始する。ここで、一定時間は、予め検出したデータの温度勾配に基づき、規定温度到達時間が分かるので、その分の時間である。この際、温度センサ10によって処理流体供給管6内を流れるオゾンガスと水蒸気の混合流体の温度が検知(計測)され、その検知情報がCPU20に伝達され、CPU20に予め記憶された混合流体の温度に対する流量のデータに基づいて水蒸気の供給の有無、あるいは、水蒸気の流量は基準流量であるか否かが判断される。そして、水蒸気の流量が基準流量である場合には処理が続行され、それ以外の場合には例えばアラーム表示等がされる。なお、水蒸気の供給中は監視(計測)を続ける。
【0063】
この場合も、処理室2内の圧力は、大気圧よりも高い状態、例えばゲージ圧0.2MPa程度に保たれている。また、処理容器1に設けられたヒータの加熱により、処理室2内の雰囲気及びウエハWの温度が維持される。このようにして、処理室2内に充填したオゾンガスと蒸気の混合処理流体によってウエハWの表面に塗布されたレジストを水溶化させる(レジスト水溶化処理工程)。
【0064】
所定のレジスト水溶化処理(オゾン処理)が終了した後、まず、第1の処理流体供給管11に介設された開閉弁V1及び第2の処理流体供給管12に介設された開閉弁V2を閉じて、処理流体供給管6に介設された開閉弁Vを開き、N2ガス供給源5から大量のN2ガスを処理室2内に供給すると共に、排出管41に介設されたリリーフ弁V4を開放した状態にする。そして、処理室2内を排気しながらN2ガス供給源5からN2ガスを供給する。これにより、処理流体供給管6,処理室2,排出管41の中をN2ガスによってパージすることができる。排出されたオゾンガスは、排出管41によってオゾンガス処理部に排出される。このようにして、処理室2からオゾンガスと蒸気の混合処理流体を排出する(排出工程)。
【0065】
また、この時点で温度を監視しつづけることにより、開閉弁V2の故障を把握することが可能である。つまり、所定の温度まで温度が低下しないと、開閉弁V2が故障して閉じていないと判断できる。
【0066】
その後、処理室2内からウエハWを搬出して(ウエハ搬出工程)、処理が終了する。なお、処理室2内には、新たにウエハWが搬入され、同様にレジスト水溶化処理(オゾン処理)が行われる。
【0067】
レジスト水溶化処理(オゾン処理)が施されたウエハWは、次に基板洗浄処理部に順次搬送され、ウエハWに対してそれぞれ洗浄処理及び乾燥処理が施される。
【0068】
なお、前記CPU20に予めの実験で入手した複数の水蒸気の流量に対する混合流体が供給される際の温度データを記憶することにより、設定された温度にならない際に、どれだけの流量が流れているかを判断することも可能である。
【0069】
なお、前記実施形態では、被処理基板が半導体ウエハの場合について説明したが、ウエハ以外に例えばLCD基板やフォトマスク用のレチクル基板等においてもこの発明が適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明に係る処理装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】前記処理装置の要部を示す概略平面図である。
【図3】この発明における温度センサの取付状態を示す斜視図である。
【図4】この発明におけるオゾンガスと水蒸気の供給量と温度の関係を示すグラフである。
【図5】図4によって求められたデータに基づいて換算された混合流体の温度と流量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0071】
W 半導体ウエハ(被処理体)
1 処理容器
2 処理室
6 処理流体供給管
7 オゾンガス発生器
9 蒸気発生器
10 温度センサ(温度検出手段)
11 第1の処理流体供給管
12 第2の処理流体供給管
15 混合流体生成部
16 ヒータ
17 断熱材
18 保温体
20 CPU(制御手段)
40 コンピュータ
40c 記録媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体が処理流体により処理される処理室内に、処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、
前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程とを有し、
前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断することを特徴とする処理流体の流量測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の処理流体の流量測定方法において、
前記処理流体が蒸気であることを特徴とする処理流体の流量測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の処理流体の流量測定方法において、
前記処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする処理流体の流量測定方法。
【請求項4】
被処理体を処理室内に収容する工程と、
前記処理室内に処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、
前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程とを有し、
前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断することを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項5】
請求項4記載の処理流体を用いる処理方法において、
前記処理流体が蒸気であることを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の処理流体を用いる処理方法において、
前記処理流体の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項7】
被処理体を処理室内に収容する工程と、
前記処理室内に第1の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第1の処理流体を供給する工程と、
前記処理室内に第2の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第2の処理流体を供給し前記第1の処理流体に第2の処理流体を混合する工程と、
前記処理流体供給管内を流れる混合された処理流体の温度を計測する工程とを有し、
前記処理流体供給管内を流れる前記混合された処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断し、処理を続行することを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項8】
請求項7記載の処理流体を用いる処理方法において、
前記第2の処理流体が蒸気であることを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の処理流体を用いる処理方法において、
前記混合された処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め計測し、記憶しておくことを特徴とする処理流体を用いる処理方法。
【請求項10】
被処理体を収容する処理室と、
前記処理室内に処理流体を供給する処理流体供給管と、
前記処理流体供給管内を流れる処理流体の温度を計測する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検知された前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断する制御手段と、
を具備することを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の処理流体を用いる処理装置において、
前記処理流体が蒸気であることを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の処理流体を用いる処理装置において、
前記制御手段は、前記処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め記憶することを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項13】
被処理体を収容する処理室と、
前記処理室に接続された処理流体供給管と、
前記処理流体供給管に接続される第1の処理流体供給管と、
前記処理流体供給管に接続される第2の処理流体供給管と、
前記処理流体供給管内で混合された混合処理流体の温度を計測する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検知された前記混合処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断する制御手段と、
を具備することを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項14】
請求項13記載の処理流体を用いる処理装置において、
前記第2の処理流体が蒸気であることを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の処理流体を用いる処理装置において、
前記制御手段は、前記混合処理流体が供給される際の温度に対応する処理流体の流量を予め記憶することを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の処理流体を用いる処理装置において、
前記処理流体供給管における第1の処理流体供給管と第2の処理流体供給管との接続部に保温用の加熱手段を更に具備することを特徴とする処理流体を用いる処理装置。
【請求項17】
コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
上記制御プログラムは、実行時に、被処理体を処理室内に収容する工程と、前記処理室内に処理流体供給源から処理流体供給管を介して処理流体を供給する工程と、前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度を計測する工程と、前記処理流体供給管内を流れる前記処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記処理流体が所定の流量に達したと判断する工程が実行されるように、コンピュータが処理装置を制御するものである、ことを特徴とする処理流体を用いる処理用記録媒体。
【請求項18】
コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
上記制御プログラムは、実行時に、被処理体を処理室内に収容する工程と、前記処理室内に第1の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第1の処理流体を供給する工程と、前記処理室内に第2の処理流体供給源から処理流体供給管を介して第2の処理流体を供給し前記第1の処理流体に第2の処理流体を混合する工程と、前記処理流体供給管内を流れる混合された処理流体の温度を計測する工程と、前記処理流体供給管内を流れる前記混合された処理流体の温度が所定の温度に達した際に、前記第1又は第2の処理流体が所定の流量に達したと判断し、処理を続行する工程が実行されるように、コンピュータが処理装置を制御するものである、ことを特徴とする処理流体を用いる処理用記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−40739(P2007−40739A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222806(P2005−222806)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】