説明

処理装置群コントローラ、生産処理システム、処理装置群制御方法、及びプログラム

【課題】被処理体を処理する複数の処理装置に付随する設備のレディ状態/アイドル状態の切り替えを適切に行い、設備におけるエネルギー消費量を削減する。
【解決手段】処理装置群コントローラ1は、被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定と、前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画とを記憶する記憶部12と、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出する検出部102と、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する指示部103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体を処理する処理装置に付随する設備のエネルギー消費量を削減する処理装置群コントローラ、生産処理システム、処理装置群制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョブショップ型の生産システムを有する製造工場(例えば、半導体デバイス製造工場や有機ELデバイス製造工場)では、生産実行制御装置(MES: Manufacturing Execution System)により生産の実行が制御されている。このような製造工場では、被処理体を処理する複数の処理装置と、各処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、搬送装置の動作を制御する搬送制御装置と、被処理体が処理されるべき処理装置を決定し、被処理体の搬送先を搬送制御装置へ指示すると共に、被処理体に対する処理内容を処理装置に指示する生産実行制御装置とを備える生産処理システムが実用化されている。
【0003】
特許文献1には、被処理体を処理する複数の処理装置と通信する手順と、任意の処理装置間で被処理体を搬送する搬送装置と通信する手順と、被処理体に対する処理を処理装置に指示する生産指示装置と通信する手順とを有するソフトウェアが開示されている。
【0004】
非特許文献1には、工場の生産管理システム(MES)と、MESからの各種指示を受け、搬送装置(OHT: Overhead Hoist Transport)を制御する搬送制御装置(MCS: Material Control System)とが、工場レイアウト等の情報を共有することで、搬送の効率化を図ることができる旨が開示されている。
【0005】
特許文献2には、優先的に処理すべき被処理体が処理装置に到着するまでの時間が十分に長い場合、処理装置が他の被処理体を処理することを許可し、優先的に処理すべき被処理体が処理装置に到着するまでの時間が短い場合、優先的に処理すべき被処理体の到着を待つように指示するプロセス管理システムが開示されている。
特許文献3には、被処理体の到着に要する到着時間と、省電力状態にある処理装置の立ち上げ時間とを比較し、到着時間が立ち上げ時間より長い場合、処理装置を省電力状態にする電力供給システムが開示されている。
【0006】
また、レディ状態(準備状態)の処理装置が、一定時間ホストコンピュータから具体的な処理指示を受け取らない場合に、処理装置側で、レディ状態からアイドル状態(休止状態)への切り替えを判断することで、エネルギー消費量を削減する生産システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−135275号公報
【特許文献2】特開2008−250826号公報
【特許文献3】特開2007−88429号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】SEMI News 2006 Vol.22 No.6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のシステムでは、処理装置がレディ状態からアイドル状態へ切り替わるまでに時間がかかっていた。また、処理装置に付随する設備は、処理装置がアイドル状態になった後に、レディ状態からアイドル状態に切り替わるため、アイドル状態への切り替えにさらに時間がかかり、設備におけるエネルギー消費量の削減が困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、被処理体を処理する複数の処理装置に付随する設備のレディ状態/アイドル状態の切り替えを適切に行い、設備におけるエネルギー消費量を削減する処理装置群コントローラ、生産処理システム、処理装置群制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による処理装置群コントローラは、被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定と、前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画とを記憶する記憶部と、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出する検出部と、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する指示部とを備えるものである。
【0012】
本発明の一態様による処理装置群コントローラにおいては、前記指示部は、前記終了タイミングで、前記処理装置に付随した設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による生産処理システムは、被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の処理装置と、前記複数の処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置による被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を作成し、前記複数の処理装置から、メンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータから前記搬送計画及び前記稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する処理装置群コントローラと、を備えるものである。
【0014】
本発明の一態様による生産処理システムにおいては、前記処理装置群コントローラは、前記終了タイミングで、前記処理装置に付随した設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による生産処理システムは、被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の第1処理装置と、被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の第2処理装置と、前記複数の第1及び第2処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置による被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を作成し、前記複数の第1及び第2処理装置から、メンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するホストコンピュータと、前記搬送計画及び前記複数の第1処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各第1処理装置の稼働予定とを比較し、各第1処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各第1処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する第1処理装置群コントローラと、前記搬送計画及び前記複数の第2処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各第2処理装置の稼働予定とを比較し、各第2処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各第2処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する第2処理装置群コントローラと、前記ホストコンピュータから前記搬送計画及び前記複数の第1及び第2処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画及び前記複数の第1処理装置の稼働予定を前記第1処理装置群コントローラへ送信し、前記搬送計画及び前記複数の第2処理装置の稼働予定を前記第2処理装置群コントローラへ送信する上位コントローラと、を備えるものである。
【0016】
本発明の一態様による生産処理システムにおいては、前記複数の第1及び第2処理装置が共用する共用設備をさらに備え、前記上位コントローラが、前記搬送計画と、前記複数の第1及び第2処理装置の稼働予定とを比較し、比較結果に基づき、前記共用設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様による処理装置群制御方法は、被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するステップと、前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を取得するステップと、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出するステップと、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示するステップと、を備えるものである。
【0018】
本発明の一態様によるプログラムは、被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するステップと、前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を取得するステップと、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出するステップと、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被処理体の搬送計画及び複数の処理装置の稼動予定に基づいて、各処理装置における処理にあわせたレディ状態/アイドル状態の切り替えタイミングを検出し、各処理装置及びこれに付随する設備のレディ状態/アイドル状態を適切なタイミングで切り替えることによって、設備におけるエネルギー消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る生産処理システムの概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る処理装置の概略構成図である。
【図3】同実施形態に係る処理装置群コントローラのハードウェア構成図である。
【図4】同実施形態に係る処理装置群コントローラの機能ブロック図である。
【図5】同実施形態に係る処理装置に対するアイドル状態への切り替え指示処理を説明するフローチャートである。
【図6】搬送計画及び稼働予定の一例を示す図である。
【図7】変形例による生産処理システムの概略構成図である。
【図8】変形例による生産処理システムの概略構成図である。
【図9】変形例による生産処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る処理装置群コントローラ1を有する生産処理システムの構成の一例を示したブロック図である。生産処理システムは、複数の処理装置21を有する処理装置群2と、搬送装置32及び搬送装置32の動作を制御する搬送制御装置31を有する搬送システム3と、処理装置群2及び搬送システム3へ制御指示を与える生産管理用ホストコンピュータ4(以下単に「ホスト4」という)と、各処理装置21に対してレディ状態/アイドル状態の切り替えを指示する処理装置群コントローラ1とを備えている。ここで、処理装置21のレディ状態とは、被処理体を受け入れた際に速やかに処理を開始できるよう準備している状態をいい、アイドル状態は休止状態をいう。
【0023】
ホスト4は、いわゆるMES(Manufacturing Execution System)を構成しており、製造されるべき製品の種類、仕様等に応じて生産計画を作成するスケジューラモジュールや、作成した生産計画にしたがって被処理体が処理されるべき処理装置21を特定し、被処理体に対する処理条件(レシピ)を処理装置21へ指示すると共に、搬送計画を搬送システム3へ指示するディスパッチャモジュール等を有する。ここで、搬送計画とは、被処理体を処理装置21へ搬入するタイミングや、処理装置21で処理された被処理体を搬出するタイミングを規定したものである。また、ホスト4は、各処理装置21から後述する稼働予定を受信し、搬送計画及び各処理装置21の稼働予定を処理装置群コントローラ1へ送信する。
【0024】
処理装置21は、例えば、有機ELデバイス製造用のガラス基板、半導体デバイス等製造用のシリコンウェーハ等の被処理体を処理するプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置、スパッタリング装置、PVD装置等の基板処理装置である。
【0025】
1つの処理装置群2を構成する複数の処理装置21は同じ種類の装置であってもよいし、一連の処理シーケンスに対応したものであってもよい。
【0026】
また、各処理装置21には、部品の交換、クリーニング、定期点検等のメンテナンスが行われる時期が稼働予定として設定されている。各処理装置21は、この稼働予定をホスト4に通知する。
【0027】
図1に示すように、生産処理システムには、各処理装置21に付随した設備27が設けられている。設備27は、例えば、処理装置21のチャンバ内を所望の真空度にする真空ポンプや、処理装置21から排出されたガスを除害する除害装置である。
【0028】
処理装置21は、設備27と通信可能に接続されており、設備27に対してレディ状態/アイドル状態の切り替えを指示することができる。処理装置21は、処理装置群コントローラ1によりアイドル状態への切り替えが指示されると、自装置をアイドル状態にすると共に、自装置に付随する設備27をアイドル状態に切り替える。
【0029】
設備27はアイドル状態になると、エネルギー消費量が低減する。例えば、設備27が真空ポンプである場合、アイドル状態になると、真空度を下げることで消費電力を低減し、かつ窒素ガス等の希釈ガスの供給量を減らす。また、設備27が除害装置である場合、アイドル状態になると、燃焼に用いる燃料の供給量を減らす。
【0030】
図2は、処理装置21の構成の一例を示したブロック図である。処理装置21は、例えば、マルチチャンバ式の基板処理システムである。処理装置21は、被処理体Wを収容するFOUP(Front Open Unified Pod)を受け渡しするためにFOUPが載置される第1及び第2ロードポート(LP: Load Port)22a、22bが設けられたロードモジュール(LM: Load Module)23を備える。ロードモジュール23には、ロードロックモジュール(LLM: Load Lock Module)24a、24bを介してトランスファーモジュール(TM: Transfer Module)25が接続されている。トランスファーモジュール25が有する真空ロボット(図示せず)は、ロードロックモジュール24a、24bを通じて搬入された被処理体Wをプロセスモジュール(PM: Process Module)26a〜26dへ搬送する。プロセスモジュール26a〜26dは、レシピに基づいて、被処理体Wに所定の処理を施す。処理された被処理体Wは、搬入とは逆の経路を辿って第1ロードポート22a又は第2ロードポート22bに載置されたFOUPに回収され、FOUP単位で搬出される。
【0031】
図2に示すマルチチャンバ式の基板処理システムでは、プロセスモジュール26a〜26d及びトランスファーモジュール25が常に真空状態に保持されており、ロードロックモジュール24a、24bとトランスファーモジュール25とはゲートバルブ(図示せず)で仕切られる。ロードロックモジュール24a、24bが真空になった状態でゲートバルブが開かれて、被処理体Wが、プロセスモジュール26a〜26dとロードロックモジュール24a、24bとの間で搬送される。設備27である真空ポンプが、ロードロックモジュール24a、24bの真空引きを行う。
【0032】
搬送システム3は、搬送制御装置31と搬送装置32を有する。搬送装置32は、例えば、天井又は床上に設置された軌道を走行する搬送シャトル、所定のルートを走行する無人搬送車等であり、FOUPを搬送する。搬送装置32は、搬送制御装置31から与えられた指示に基づいて、複数の処理装置21と、FOUPを保管しているストッカとの間を移動し、FOUPに収容された被処理体を搬送する。
【0033】
搬送制御装置31は、いわゆるMCS(Material Control System)を構成しており、ホスト4から与えられた搬送計画に基づいて、搬送装置32の動作を制御する。
【0034】
図3は、処理装置群コントローラ1のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。処理装置群コントローラ1は、CPU(中央演算処理装置)11、ディスク装置12、メインメモリ13、及びネットワークインタフェース14を備える。処理装置群コントローラ1の各部はバス15を介して接続されている。
【0035】
ディスク装置12は、CPU11により実行される処理装置群制御プログラム12aを格納する。さらにディスク装置12は、ネットワークインタフェース(受信部)14を介してホスト4から搬送計画及び各処理装置21の稼働予定を受け取り、格納する。ディスク装置12は例えばハードディスクである。なお、処理装置群制御プログラム12aは、ディスク装置12でなく、ROMや磁気テープ(共に図示せず)に格納されていてもよい。
【0036】
CPU11は、ディスク装置12内の処理装置群制御プログラム12aをメインメモリ13にロードして、処理装置群制御プログラム12aを実行する。図4に、CPU11が処理装置群制御プログラム12aを実行することで実現される機能ブロック図を示す。処理装置群制御プログラム12aの実行により、取得部101、検出部102、及び切替指示部103が実現される。
【0037】
図5に示すフローチャートを用いて、取得部101、検出部102、及び切替指示部103において実行される、処理装置21に対するアイドル状態への切り替え指示処理を説明する。
【0038】
(ステップS101)取得部101が、ディスク装置12に格納されている搬送計画、及び各処理装置21の稼働予定を取得する。
【0039】
(ステップS102)検出部102が、搬送計画と各処理装置21の稼働予定とを比較し、メンテナンス前の最後の処理(メンテナンス直前の処理)を特定し、処理装置21をアイドル状態に切り替えるタイミングを検出する。
【0040】
例えば、検出部102は、図6(a)に示すような、被処理体の搬入時期T1、T3、搬出時期T2、T4が規定された搬送計画と、図6(b)に示すようなメンテナンスの時期T5が規定された稼働予定とを比較する。検出部102は、時期T3に搬入され、時期T4に搬出される被処理体の処理がメンテナンス直前の処理であると特定し、この処理の終了タイミング、例えば被処理体の搬出時期T4をアイドル状態への切り替えタイミングとして検出する。時期T4と時期T5の間は、被処理体が処理装置21に搬入されないのでレディ状態である必要がないためである。
【0041】
メンテナンス直前の処理の終了に伴い処理装置21をアイドル状態にすることで、処理装置21がアイドル状態となっている時間を長くとることができる。
【0042】
(ステップS103)切替指示部103が、処理装置21に対して、ステップS102で検出されたタイミングで付随する設備27と共にアイドル状態に切り替わるよう、ネットワークインタフェース14を介して指示を出す。切替指示部103が、ステップS102で検出されたタイミングで処理装置21に対して切り替え指示を行ってもよいし、ステップS102で検出されたタイミングよりも前に、処理装置21に対して切り替え指示及び切り替えのタイミングを通知するようにしてもよい。
【0043】
これにより、処理装置21及び処理装置21に付随する設備27は、メンテナンス直前の処理が終了すると速やかにアイドル状態になる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、メンテナンス直前の処理を特定し、この処理の終了に伴い設備27をアイドル状態にする。従って、一定時間ホスト4から具体的な処理指示を受け取らないときに処理装置21側でレディ状態からアイドル状態への切り替えを判断するような場合と比較して、設備27を速やかにアイドル状態とし、設備27がアイドル状態になっている時間を長くとることができるため、設備27におけるエネルギー消費量を削減することができる。
【0045】
上記実施形態では、処理装置群コントローラ1が処理装置21に対してアイドル状態への切り替えを指示し、この指示を受け付けた処理装置21が、付随する設備27をアイドル状態に切り替えていたが、処理装置群コントローラ1が設備27に対して直接アイドル状態への切り替えを指示してもよい。
【0046】
上記実施形態において、処理装置群コントローラ1は、ホスト4から搬送計画が所定時間送信されてこない場合、すなわちネットワークインタフェース14が所定時間搬送計画を受信しない場合、処理装置群2の処理装置21の使用予定がないものと判定し、各処理装置21に対してアイドル状態への切り替えを指示するようにしてもよい。
【0047】
処理装置21は、稼働状況の変更に伴い、現在の稼働状況をホスト4に通知する機能を有している。処理装置21の稼働状況として、例えば、ラン状態(被処理体の処理を行っている状態)、レディ状態、アイドル状態がある。処理装置群コントローラ1は、ホスト4から各処理装置21の稼働状況を取得し、ホスト4から搬送計画が所定時間送信されてこない場合に、各処理装置21の稼働履歴(過去の稼働状況)に基づいて、各処理装置21に対してアイドル状態への切り替えを指示するようにしてもよい。例えば、処理装置群コントローラ1は、処理装置21の稼働履歴からこの処理装置21で当分の間は処理が行われないと予測される場合、この処理装置21に対してアイドル状態への切り替えを指示する。
【0048】
また、上記実施形態では、1つの処理装置群コントローラ1が1つの処理装置群2に含まれる複数の処理装置21の運転状態の切り替えを行っていたが、図7に示すように、複数の処理装置群コントローラ1A〜1C及び処理装置群2A〜2Cを設け、処理装置群コントローラ1A〜1Cとホスト4との間で情報の送受信を行う上位コントローラ50を設けてもよい。なお、図7では、搬送システム3の図示を省略している。
【0049】
例えば、上位コントローラ50は、ホスト4から処理装置群2A〜2Cに含まれる複数の処理装置21の稼働予定を受信すると、処理装置群2Aに含まれる複数の処理装置21の稼働予定を処理装置群コントローラ1Aへ送信する。同様に、上位コントローラ50は、処理装置群2Bに含まれる複数の処理装置21の稼働予定を処理装置群コントローラ1Bへ送信し、処理装置群2Bに含まれる複数の処理装置21の稼働予定を処理装置群コントローラ1Bへ送信する。
【0050】
また、図8に示すように、処理装置群2A〜2Cに含まれる複数の処理装置21が共用する共用設備52が設けられている場合、上位コントローラ50が、共用設備52の使用調停や、運転状態の切り替えを行ってもよい。
【0051】
例えば、上位コントローラ50は、共用設備52の運転負荷が所定値以上となった場合に、処理装置群2A〜2Cに対して共用設備52の使用可否を指示し、共用設備52に過大な負荷がかからないようにする。
【0052】
また、例えば、上位コントローラ50は、搬送計画と、処理装置群2A〜2Cに含まれる複数の処理装置21の稼働予定とを比較し、すべての処理装置21がメンテナンス直前の処理を終了し、メンテナンスを待っている状態となった時に、共用設備52をアイドル状態に切り替える。このことにより、共用設備52を効率良く計画的に利用することができる。
【0053】
図7に示した例では、上位コントローラ50及び処理装置群コントローラ1A〜1Cの2階層のコントローラを設けていたが、コントローラの階層を3以上としてもよい。図9は、3階層のコントローラを設けた構成の一例を示しており、ホスト4と通信する最上位コントローラ60、処理装置群2A〜2Cに含まれる処理装置21の運転状態の切り替えを行う処理装置群コントローラ1A〜1C、処理装置群2D、2Eに含まれる処理装置21の運転状態の切り替えを行う処理装置群コントローラ1D、1E、最上位コントローラ60と処理装置群コントローラ1A〜1Cとの間で情報の送受信を行う上位コントローラ50A、及び最上位コントローラ60と処理装置群コントローラ1D、1Eとの間で情報の送受信を行う上位コントローラ50Bが設けられている。
【0054】
例えば、設備を共用する複数の処理装置群をグループ化し、各グループに対応して上位コントローラ50A、50Bを設け、複数の上位コントローラ50A、50Bとホスト4との間に最上位コントローラ60を設けることで、共用設備の計画的利用や使用調停等を行うことができる。
【0055】
上述した実施形態で説明した処理装置群コントローラ1及びホスト4の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、処理装置群コントローラ1及びホスト4の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0056】
また、処理装置群コントローラ1及びホスト4の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 処理装置群コントローラ
2 処理装置群
3 搬送システム
4 ホスト
21 処理装置
27 設備
31 搬送制御装置
32 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定と、前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画とを記憶する記憶部と、
前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出する検出部と、
各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する指示部と、
を備える処理装置群コントローラ。
【請求項2】
前記指示部は、前記終了タイミングで、前記処理装置に付随した設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することを特徴とする請求項1に記載の処理装置群コントローラ。
【請求項3】
前記複数の処理装置と通信可能に接続されているホストコンピュータから前記搬送計画を受信する受信部をさらに備え、
前記指示部は、前記受信部が前記ホストコンピュータから最新の搬送計画を受信してから所定時間以上経過した場合、各処理装置に対して、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示することを特徴とする請求項1に記載の処理装置群コントローラ。
【請求項4】
前記複数の処理装置と通信可能に接続されているホストコンピュータから前記搬送計画及び各処理装置の稼働状況を受信する受信部をさらに備え、
前記指示部は、前記受信部が前記ホストコンピュータから最新の搬送計画を受信してから所定時間以上経過した場合、各処理装置の過去の稼働状況に基づいてアイドル状態に切り替える処理装置を特定し、特定した処理装置に対して、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示することを特徴とする請求項1に記載の処理装置群コントローラ。
【請求項5】
被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の処理装置と、
前記複数の処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を作成し、前記複数の処理装置から、メンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータから前記搬送計画及び前記稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する処理装置群コントローラと、
を備える生産処理システム。
【請求項6】
前記処理装置群コントローラは、前記終了タイミングで、前記処理装置に付随した設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することを特徴とする請求項5に記載の生産処理システム。
【請求項7】
被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の第1処理装置と、
被処理体を処理する、それぞれ設備が付随した複数の第2処理装置と、
前記複数の第1及び第2処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を作成し、前記複数の第1及び第2処理装置から、メンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するホストコンピュータと、
前記搬送計画及び前記複数の第1処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各第1処理装置の稼働予定とを比較し、各第1処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各第1処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する第1処理装置群コントローラと、
前記搬送計画及び前記複数の第2処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画と、各第2処理装置の稼働予定とを比較し、各第2処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出し、各第2処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示する第2処理装置群コントローラと、
前記ホストコンピュータから前記搬送計画及び前記複数の第1及び第2処理装置の稼働予定を取得し、前記搬送計画及び前記複数の第1処理装置の稼働予定を前記第1処理装置群コントローラへ送信し、前記搬送計画及び前記複数の第2処理装置の稼働予定を前記第2処理装置群コントローラへ送信する上位コントローラと、
を備える生産処理システム。
【請求項8】
前記複数の第1及び第2処理装置が共用する共用設備をさらに備え、
前記上位コントローラが、前記搬送計画と、前記複数の第1及び第2処理装置の稼働予定とを比較し、比較結果に基づき、前記共用設備に対してアイドル状態に切り替わるように指示することを特徴とする請求項7に記載の生産処理システム。
【請求項9】
被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するステップと、
前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を取得するステップと、
前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出するステップと、
各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示するステップと、
を備える処理装置群制御方法。
【請求項10】
被処理体を処理するそれぞれ設備が付随した複数の処理装置のメンテナンス時期の情報を含む稼働予定を取得するステップと、
前記複数の処理装置への被処理体の搬入及び搬出のタイミングの情報を含む搬送計画を取得するステップと、
前記搬送計画と、各処理装置の前記稼働予定とを比較し、各処理装置について、メンテナンス前の最後の処理を特定し、特定した処理の終了タイミングを検出するステップと、
各処理装置に対して、前記終了タイミングで、付随している設備とともにアイドル状態に切り替わるように指示するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114328(P2013−114328A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257760(P2011−257760)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】