説明

凹凸を有する不織布を簡易に製造する方法、及び不織布を簡易に加工する方法

【課題】凹凸を有する不織布を簡易に製造する方法、及び不織布を簡易に加工する方法を提供すること。
【解決手段】不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップを含む、上記凹凸を有する不織布を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸を有する不織布を簡易に製造する方法、及び不織布を簡易に加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等の製品にも用いられている。しかし、これらの製品では、製品の用途、用いられる部位等に適した性能を有する不織布が採用されている。
【0003】
例えば、吸収性物品では、使用者に違和感を生じさせることなく、着用の際又は使用の際の身体の動きに合わせて伸縮する不織布が要求される。また、使い捨ておむつでは、高い伸縮性を有し且つ伸長時に破断しないような強度を有すると共に、肌触り及び通気性が良好な不織布が要求される。
これらの製品では、所望の性能を有する不織布が、製品毎に設計及び製造されていることも多く、これらの所望の性能を有する不織布を、例えば、市販の不織布を加工することにより簡易に製造することができれば、製造コスト、環境保護等の観点から望ましい。
【0004】
不織布を原料とする、吸収性物品に用いるために好適な不織布の製造方法として、特許文献1には、剛性が抑えられ柔軟性に優れ、そして畝部の潰れ及び倒れがなく、そして開孔が閉塞しない不織布の製造方法が開示されている。さらに、特許文献1の[0048]には、原料として、繊維が結合及び絡合している不織布を用いることができることが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明において、原料として、例えば、市販の不織布を用いると、当該不織布は各繊維が固定され、動きにくいため、流体処理のエネルギーを高くする必要がある。流体処理として水蒸気流又は空気流が用いられる場合には、流体処理温度を高くする必要があるが、処理温度を高くすることにより、不織布内の各繊維が融着し、製造される不織布の柔軟性が低下すると共に、所望の構造が形成しにくくなる。また、流体処理として水流が用いられる場合には、乾燥工程がさらに必要となる。
なお、特許文献1に記載の発明では、原料としてカードウェブを用いることもできるが、原料としてカードウェブを用いると、製造されたシートの地合いが乱れやすくなるので、流体処理の際の吸引力を高める必要性が生じ、製造設備が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−62650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、特許文献1に記載の発明は、上述のような問題点を有していた。
従って、本発明は、凹凸を有する不織布を簡易に製造する方法、及び不織布を簡易に加工する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップを含む、上記凹凸を有する不織布を製造する方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップ、
を含む、上記凹凸を有する不織布を製造する方法。
【0010】
[態様2]
上記不均一に延伸するステップが、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に、上記不織布を通過させることにより行われる、態様1に記載の方法。
[態様3]
上記複数の歯が、上記回転軸線と垂直に上記外周面に配置されており、上記搬送方向とそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向と直交する直交方向に交互に有する不織布が形成される、態様2に記載の方法。
【0011】
[態様4]
上記凹凸を有する不織布を形成するステップにおいて、上記支持体が、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、態様1〜3のいずれか1つに記載の方法。
[態様5]
上記あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部が、搬送方向と直交する直交方向にそれぞれ平行であり且つ搬送方向に交互に配置されている、態様4に記載の方法。
【0012】
[態様6]
上記流体が、空気、水蒸気及び水から成る群から選択される、態様1〜5のいずれか1つに記載の方法。
[態様7]
上記不織布が、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、及び伸縮不織布から成る群から選択される、態様1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0013】
[態様8]
上記凹凸を有する不織布が、上記不織布の厚さ方向の通気度の3倍以上の厚さ方向の通気度を有する、態様1〜7のいずれか1つに記載の方法。
[態様9]
上記凹凸を有する不織布が、5m3/m2/分以上の、平面方向の通気度を有する、態様1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
[態様10]
上記凹凸を有する不織布が、80%以上の、搬送方向と直交する直交方向の最大点伸度を有する、態様1〜9のいずれか1つに記載の方法。
[態様11]
態様1〜10のいずれか1つに記載の方法により形成された凹凸を有する不織布。
[態様12]
態様11に記載の凹凸を有する不織布を含む吸収性物品。
[態様13]
不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップ、
を含む、不織布を加工する方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法は、凹凸を有する不織布を簡易に製造することができる。
本発明の方法はまた、従来の製法と比較して、小規模の設備で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ギア延伸を説明するための図である。
【図2】図2は、ギア延伸を説明するための図である。
【図3】図3は、コンベア上で用いられる、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を支持するための支持体の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示す支持体を用いて形成された、凹凸を有する不織布を示す図である。
【図5】図5は、コンベア上で用いられる、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を支持するための支持体の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の凹凸を有する不織布を製造する方法、及び不織布を加工する方法について、以下、詳細に説明する。
本発明の方法は、不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ(以下、「不均一延伸ステップ」と称する場合がある)を含む。
【0018】
上記不織布は、当該技術分野において用いられている繊維を、特に制限なく含むことができる。上記繊維の例として、例えば、天然繊維、半天然繊維又は合成繊維を挙げることができる。上記繊維としては、合成繊維が好ましい。というのは、後述の凹凸を有する不織布を形成するステップの際に、繊維が過度に密集せず、形成された、凹凸を有する不織布の柔軟性が高いからである。上記不織布において、合成繊維の割合は、繊維総量の約50質量%以上が好ましく、約70%質量以上がより好ましく、そして約100質量%がさらに好ましい。上記合成繊維の割合が高いほど、ユーザーの体圧が加わっても潰れにくくなり、通気性が良好となる傾向があるからである。上記合成繊維の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を挙げることができる。
【0019】
上記繊維は、成形性を考慮すると、約1〜約6dtexの繊度を有することが好ましい。
上記繊維としては、その繊維長に特に制限はなく、例えば、ステープルファイバ及び連続フィラメントを挙げることができる。2種以上の繊維を混合する場合には、それらの繊維の繊維長は同一でもよく、又は異なっていてもよい。
上記繊維の構造は、自己融着性繊維である芯鞘構造、サイドバイサイド構造であることができる。
【0020】
上記不織布はまた、伸長性繊維、伸縮性繊維、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
本明細書において、「伸縮性繊維」は、弾性的に伸長可能な繊維を意味する。より具体的には、上記伸縮性繊維は、形成時及び想定される使用時にかかる応力よりも大きな弾性限界を有し、形成時及び想定される使用時にかかる応力の範囲内で弾性的に伸長可能な繊維を意味する。上記伸縮性繊維の材料としては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。上記伸縮性繊維としては、伸長後の歪みの少なさ、耐熱性の高さ等の観点から、ポリウレタン系エラストマーが好ましい。
上記伸縮性繊維の繊維径は、2〜50μmの範囲内にあることが好ましく、そして15〜30μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0021】
本明細書において「伸長性繊維」は、弾性限界が上記伸縮性繊維の弾性限界より小さい繊維を意味する。より具体的には、上記伸長性繊維は、形成時にかかる応力よりも小さな弾性限界を有し、形成時にかかる応力により塑性変形しうる繊維を意味する。上記伸長性繊維は、塑性変形することにより、細く且つ長くなる。なお、本明細書において、形成時にかかる応力により塑性変形した伸長性繊維を、「伸長された伸長性繊維」と称する場合がある。伸長された伸長性繊維の例としては、均一な径を有するもの、又は不均一な径を有する、例えば、部分的に細い部分(ネッキング部)を有するものを挙げることができる。
【0022】
上記伸長性繊維の材料の例としては、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、又はそれらの組み合わせから成る繊維が挙げられる。上記伸長性繊維は、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維であってもよい。
上記伸長性繊維としては、結晶性の低さ、伸度の高さ等の観点から、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む繊維が好ましい。
上記伸長性繊維の繊維径は、約1〜約40μmの範囲内にあることが好ましく、そして約5〜約25μmの範囲内にあることがより好ましい。また、上記伸長性繊維の繊維径は、上記伸縮性繊維の繊維径よりも細いことが好ましい。本発明の不織布に、柔軟性、嵩高さ、隠蔽性等を付与することができるからである。
【0023】
上記不織布としては、特に制限されず、種々の公知の方法により製造された不織布、例えば、上記繊維から形成された、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、メルトブローン不織布、ナノファイバーを含む不織布、伸縮不織布等を挙げることができる。
上記伸縮不織布は、上記伸縮性繊維を含む不織布を意味する。
上記不織布としては、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、又は伸縮不織布が好ましい。
上記不織布として、市販の不織布をそのまま用いることができる。
【0024】
上記不織布は、親水性を有するものであることが好ましい。親水性の排泄物(尿、汗、便等)と接触した際に、当該排泄物を不織布の表面にとどめることなく、不織布内部に透過させやすいからである。
上記不織布のうち、親水性を有するものとしては、例えば、疎水性不織布を親水剤で処理することにより製造された不織布、親水剤を練り込んだ繊維から製造された不織布、界面活性剤を塗工された不織布等が挙げられる。また、上記不織布のうち、親水性を有するものとして、本質的に親水性を有する繊維、例えば、天然系及び/又は半天然系の繊維から製造された不織布を挙げることもできる。
なお、本明細書において、単に「不織布」と称する場合には、不均一延伸する前の不織布を意味する。また、不均一延伸する前の不織布を「加工前の不織布」と称する場合がある。
【0025】
上記不均一延伸ステップは、上記不織布において、部分的に、(i)不織布内の繊維の各接合点を破壊し、固定されていた繊維をウェブ状態とし、そして/又は(ii)不織布内の繊維の各接合点の間で、繊維を塑性変形させ、細く且つ長くするために行われる。ここで、上記(ii)において、塑性変形し、細く且つ長くなった繊維は、均一な径を有するか、又は不均一な径を有する、例えば、部分的に細い部分(ネッキング部)を有することができる。上記(ii)において、不織布内の各繊維の接合点の間で、繊維を塑性変形させ、細く且つ長くすることにより、流体で処理する際に、移動しうる繊維の量が多くなり、不織布に凹凸が形成されやすくなる。
なお、本明細書において、形成時にかかる応力等により塑性変形した繊維を、「伸長された繊維」と称する場合がある。
【0026】
上記接合点としては、エアスルー不織布の場合には、熱融着点が挙げられ、スパンボンド不織布及びポイントボンド不織布の場合には熱圧着点が挙げられ、そしてスパンレース不織布の場合には繊維交絡点が挙げられる。
【0027】
本明細書において、「高延伸領域」は、伸長された繊維の伸長度が、低延伸領域よりも高くなるように延伸された領域を意味し、そして「低延伸領域」は、伸長された繊維の伸長度が、高延伸領域よりも低くなるように延伸された領域を意味し、伸長された繊維が形成されていない領域、すわなち、未延伸領域を含む。
本明細書において、「不均一に延伸する」とは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように延伸することを意味し、すなわち、部位によって伸長された繊維の伸長度が異なる不織布が形成されるように延伸することを意味する。
【0028】
上記ステップは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成することができる手段であれば、特に制限されず、任意の手段により実施することができるが、例えば、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に、上記不織布を通過させること(以下、「ギア延伸」と称する場合がある)により行うことができる。
【0029】
図1は、ギア延伸を説明するための図である。図1に示されるギア延伸装置1は、一対のギアロール2及び2’を有する。ギアロール2及び2’の外周面3及び3’には、それぞれ、複数の歯4及び4’が配置されている。また、図1に示すギア延伸装置1では、ギアロール2及び2’の回転軸線は、それぞれ、不織布の搬送方向Aと垂直である。さらに、複数の歯4及び4’は、それぞれ、上記回転軸線と平行に、外周面3及び3’に配置されている。
【0030】
図1に示すギア延伸装置1では、一対のギアロール2及び2’のロール間隙に、不織布5を通し、ギアロール2及び2’を通過する際に、互い噛み合うギアロール2及び2’の複数の歯4及び4’により、不織布5を、三点曲げの原理で延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布6を形成する。高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布6は、搬送方向Aと直交する直交方向(以下、搬送方向と直交する直交方向を、単に「直交方向」と称する)に平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向Aに交互に有する。
【0031】
不織布5において、複数の歯4及び4’の先端部に接する領域では、不織布の生地が固定されるため、あまり又は実質的に延伸されず、低延伸領域が形成される。一方、複数の歯4及び4’の先端部に接しない領域では、大きく延伸され、高延伸領域が形成される。
【0032】
なお、ギア延伸は、図2に示されるようなギア延伸装置を用いて行うことができる。
図2は、ギア延伸を説明するための図である。図2に示されるギア延伸装置1は、一対のギアロール2及び2’を有する。ギアロール2及び2’の外周面3及び3’には、それぞれ、複数の歯4及び4’が配置されている。また、図2に示すギア延伸装置1では、複数の歯4及び4’が、それぞれ、ギアロール2及び2’の回転軸線と垂直に、それぞれ、外周面3及び3’に配置されている。複数の歯4及び4’をこのように配置することにより、搬送方向Aとそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、直交方向に交互に有する不織布を形成することができる。
【0033】
ギア延伸装置は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているものであってもよい。
上記ギア延伸装置は、形成される、凹凸を有する不織布の所望の性能に応じて、適宜選択することができる。
例えば、搬送方向及び直交方向の両方に高い伸長性が必要である場合には、上記不織布を、図1に示すギア延伸装置を用いて延伸した後、さらに図2に示すギア延伸装置を用いて延伸してもよい。
また、上記不織布を、図2に示すギア延伸装置を用いて延伸した後、さらに図1に示すギア延伸装置を用いて延伸してもよい。
【0034】
上記ギア延伸装置において、ギアピッチは、約1〜約10mmが好ましく、そして約2〜約6mmがより好ましい。ギアピッチが約1mmを下回ると、ギアの刃を薄くする必要性が生じ、不織布が部分的に切断される場合があり、そしてギアピッチが約10mmを上回ると、延伸倍率が低く、繊維のウェブ化及び/又は繊維の塑性変形が不十分である場合がある。
ギアピッチは、図2において、符号7により表わされる、ある歯から次の歯の間の間隔を意味する。
【0035】
上記ギア延伸装置において、ギア噛込深さは、約0.5mm以上が好ましい。ギア噛込深さが約0.5mmを下回ると、不織布の延伸が不十分となり、高延伸領域が形成されにくくなる場合がある。
ギア噛込深さは、図2において、符号8により表わされる、上のギアロールの歯と、下のギアロールの歯とが重複する部分の深さを意味する。
【0036】
高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布において、延伸させた方向の延伸倍率は、約30〜約400%であることが好ましく、そして約50〜約200%であることがより好ましい。延伸倍率が約30%を下回ると、不織布が弾性変形し、不織布に高延伸領域が実質的に形成されない場合があり、そして延伸倍率が約400%を上回ると、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の強度が弱く、伸長された繊維が脱落しやすくなり、搬送が困難になる場合がある。
【0037】
本明細書において、「延伸倍率」は、ギアピッチをPとし、ギア噛込深さをDとした場合に、次の式:
【数1】

により算出される値を意味する。
【0038】
上記不織布の巻出速度は、所望の延伸倍率等によっても変化するが、例えば、約10m/分以上である。高延伸領域と低延伸領域とを交互に有する不織布の巻取速度は、延伸倍率等によって変化し、上記不織布が搬送方向に延伸された場合には、巻出速度に延伸倍率をかけた値が巻取速度の目安となるであろう。
【0039】
本発明の方法は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップを含む。
上記不均一延伸ステップで形成された、高延伸領域に存在するウェブ状態の繊維及び/又は伸長された繊維の少なくとも一部は、流体が衝突する面(以下、流体衝突面と称する)では、噴出された流体が衝突し、次いで跳ね返ることに伴って、平面方向、例えば、直交方向に選り分けられる。また、流体衝突面と反対側の面(以下、非流体衝突面と称する)では、ウェブ状態の繊維及び/又は伸長された繊維の少なくとも一部は、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を通過する流体の流れに沿って移動する。
【0040】
上記凹凸を有する不織布を形成するステップにおいて用いられる流体としては、空気、例えば、加熱された空気、水蒸気、又は水、例えば、熱水が挙げられる。
上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、固定された流体ノズルから吹き付けることができ、又は直交方向に往復する流体ノズルから吹き付けることができる。また、上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、連続的、又は間欠的に流体ノズルから吹き付けることができる。また、これらを組み合わせることもできる。
【0041】
上記流体は、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の形態によって、適宜選択することができる。例えば、ギアピッチが小さく、延伸倍率が大きい不織布を処理する場合には、比較的低いエネルギーで、伸長された繊維を主に移動させることができるため、流体として空気又は水蒸気を選択することが好ましい。また、ギアピッチが大きく、低延伸領域が多い不織布を用いる場合には、各繊維の接合点が多いので、伸長された繊維を移動させるために比較的高いエネルギーが必要であるため、流体として水又は水蒸気を選択することが好ましく、そして水蒸気がより好ましい。というのは、繊維量が多い部分に水分が残存しにくく、繊維量が多い部分の接合点を破壊することが少なく、そして移動すべき部分の、伸長された繊維を簡易に移動させることができるからである。
【0042】
上記凹凸を有する不織布を形成するステップは、当技術分野で公知の装置を用い、そして公知の方法で行うことができる。
本発明の実施形態の1つでは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を支持するために用いられる支持体は、当技術分野で通常用いられている支持体、例えば、金属、プラスチック製のコンベアネット、抄紙網等であることができる。上記支持体は、流体透過性を有するのが一般的である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、凹凸を有する不織布の通気性、肌触り(例えば、低接触面積)、液引込性等をさらに向上させるために、突状部と窪み部とを有する支持体を用いることができる。
本発明において、「突状部」は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の支持体側の面に、凹部を形成するために用いられる部分であり、そして「窪み部」は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の支持体側の面に、凸部を形成するために用いられる部分である。
【0044】
図3は、コンベア上で用いられる支持体の一例を示す図である。
図3では、支持体9は、直交方向Bに平行な、突状部10と窪み部11とを有し、そして支持体9では、突状部10と、窪み部11とが、搬送方向Aに交互に配置されている。図3にはまた、流体ノズル12が示され、そして支持体9の下には、流体ノズル12の下部に、流体を受け入れるサクション部(図示せず)が設けられている。図3において、突状部10及び窪み部11は、立方体形状を有し、そして交互の配列で配置されている。
【0045】
図3では、突状部と、窪み部とは、直交方向に平行であり且つ搬送方向に交互に配置されているが、本発明の方法では、突状部及び窪み部の形状、配列等は、特に制限されず、例えば、突状部及び窪み部は、(i)搬送方向にそれぞれ平行な突状部及び窪み部であって、直交方向に交互に配置されているものであってもよく、又は(ii)搬送方向に対して傾斜を有する突状部及び窪み部であって、当該傾斜の方向と直交する方向に交互に配置されているものであってもよく、あるいは(iii)あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型、星型等の配列)で配置されているものであってもよい。
【0046】
突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、突状部及び窪み部を有しない支持体を用いる場合よりも、高い凸部と、深い凹部(場合によっては、一又は複数の開孔部)とを有する、凹凸を有する不織布を形成することができる。
【0047】
上記現象を、図3を用いて具体的に説明する。流体ノズル12から噴出された流体は、突状部10と衝突すると、窪み部11に回り込んで流れる。その結果、自由度の高い、伸長された繊維が、流体の流れに沿って窪み部11の方に移動するので、流体と突状部10とが交差する場所における、単位面積当たりの繊維量が少なくなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に凹部を形成し、場合によっては、一又は複数の開孔部を形成し、そして流体と窪み部11が交差する場所における、単位面積当たりの繊維量が多くなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に凸部を形成する。上記凸部では、凹凸を有する不織布の厚さ方向に、伸長された繊維が立ち上がる傾向があるため、凹凸を有する不織布に耐圧縮性が付与され、さらに液引込性が向上する。また、凸部を有することから、通気性、特に平面方向の通気性に優れ、さらに接触面積が少なくなることから肌触りに優れる。
【0048】
突状部と窪み部とを有する支持体を用いて形成された、凹凸を有する不織布は、突状部及び窪み部を有しない支持体を用いて形成された不織布よりも大きな凸部と、深い凹部(場合によっては、一又は複数の開孔部)とを有するので、突状部及び窪み部を有しない支持体を用いて形成された不織布よりも、高い通気性、特に平面方向の通気性、耐圧縮性、液引込性、肌触りを有する。
なお、図3に示されるような支持体を用いて形成された、凹凸を有する不織布は、平面方向の通気性の中で、特に直交方向の通気性に優れる。上記凹凸を有する不織布のうち、支持体の突状部に対応する凹部が、気体の通路となり得るからである。
【0049】
上記突状部は、窪み部の流体透過性よりも、低い流体透過性を有することが好ましい。突状部が低い流体透過性を有することにより、突状部に衝突した流体が、窪み部の方に流れ、本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布に、より大きな凸部を形成することができるからである。
上記突状部の素材としては、金属、プラスチック等が挙げられるであろう。
【0050】
上記突状部及び窪み部は、特に制限されないが、例えば、流体透過性の支持体として通常用いられる金属、プラスチック製等のコンベアネット、抄紙網、パンチングプレート等の上に、立方体形状、筒状等の形状の金属を、一定の間隔を保持する等、あらかじめ定められた配列で配置することにより形成することができる。
【0051】
あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた形状(例えば、ハート型、星型等の形状)で配置されている支持体としては、例えば、パンチングプレート上に、半球型の形状の金属が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型)で配置されたものが挙げられる。当該支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凹部を有する不織布を形成することができる。
また、例えば、パンチングプレート上に、半球型の窪み形状が、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)で配置された、突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凸部を有する不織布を形成することができる。
【0052】
また、上記凹凸を有する不織布を形成するステップが、ロール上で行われる場合には、ロール状の支持体であって、その外周がメッシュ等の流体透過性材料で構成され且つ外周面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部が配置されているものを用いることができる。当該あらかじめ定められた形状及び配列としては、上述の形状及び配列を挙げることができる。
【0053】
図4は、図3に示される支持体9を用いて形成された、凹凸を有する不織布13を示す図である。図4は、図3にX−Xで示される断面に相当する。図4では、支持体9の窪み部11に、凹凸を有する不織布の凸部14が形成され、そして支持体9の突状部10に、凹凸を有する不織布の凹部15が形成されている。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態では、図5に示す支持体を用いることができる。図5に示す支持体9では、突状部10及び窪み部11が、それぞれ、立方体形状及び格子形状を有し、そして突状部18が、搬送方向及び直交方向に一定の間隔をあけた配列で配置されている。
【0055】
突状部と窪み部とを有する支持体において、それらの幅は、形成すべき、凹凸を有する不織布に必要な特性等によって異なるが、例えば、図3に示される支持体において、突状部の幅は、約0.5〜約10mmの範囲にあることが好ましく、窪み部の幅は、約1〜約10mmの範囲にあることが好ましい。
【0056】
本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布は、改良された、通気性、伸長性、肌触り及び液引込性を有する。
上記改良された通気性としては、凹凸を有する不織布が、加工前の不織布の厚さ方向の通気度に対して、例えば、約3倍以上の厚さ方向の通気度を有すること、約4倍以上の厚さ方向の通気度を有すること、そして約5倍以上の厚さ方向の通気度を有することが挙げられる。
また、上記改良された通気性としては、凹凸を有する不織布の、平面方向の通気度が、例えば、約5m3/m2/分以上であること、約10m3/m2/分以上であること、そして約15m3/m2/分以上であることが挙げられる。
【0057】
上記改良された伸縮性としては、凹凸を有する不織布の、直交方向の最大点伸度が、約80%以上であること、約90%以上であること、そして約100%以上であることが挙げられる。
上記改良された肌触りとしては、目安として、凹凸を有する不織布が、加工前の不織布の嵩に対して、約1.3倍以上の嵩を有すること、約1.5倍以上の嵩を有すること、そして約1.8倍以上の嵩を有することが挙げられる。
【0058】
本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等に有用である。
【0059】
本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布は、例えば、吸収性物品の液透過性トップシートとして用いることができる。改良された、通気性、伸長性、肌触り及び液引込性を有する、本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布を用いることにより、通気性、伸長性、肌触り及び液引込性に優れる吸収性物品を製造することができる。
上記吸収性物品は、液透過性トップシートとしての本発明の方法により形成された、凹凸を有する不織布、及び当技術分野で公知の液不透過性バックシート、並びにそれらの間に配置された吸収体を含む。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において評価された項目の、測定条件は、以下の通りである。
[繊維径]
繊維径は、(株)キーエンス製 リアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800を用いて、加速電圧5kV、300倍にて観察した試料において、任意の繊維50本をピックアップし、その繊維径を測定し、それらの相加平均を繊維径として採用する。
【0061】
[坪量]
坪量は、JIS L 1906の5.2に従って測定する。
[嵩]
嵩は、(株)大栄科学精器製作所製 THICKNESS GAUGE UF−60を用いて測定する。
【0062】
[強度及び伸度]
強度及び伸度は、(株)島津製作所製のオートグラフ型引張試験機 形式AG−KNIを用いて測定する。
幅50mmmの試料を、チャック間距離100mmでチャックに固定し、引張速度100mm/分で伸長する。伸長時に得られる強度の最大値を「最大点強度」とし、その時点の伸度を「最大点伸度」とする。
なお、表中のMDは、形成時の搬送方向を意味し、そしてCDは、形成時の直交方向を意味する。
【0063】
[通気度]
通気度は、カトーテック株式会社のKES−F8−AP1通気性試験器を用いて測定し、単位を「m3/m2/分」に換算する。
不織布の厚さ方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットして測定する。
不織布の平面方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットし、100mm×100mmの大きさのアクリル板をその上にさらにセットし、3.5mN/cm2の加重下で測定する。
【0064】
[実施例1]
−ギア延伸−
加工前の不織布として、スパンボンド不織布(坪量:20g/m2)を準備し、図2に示すようなギア延伸装置(ギアピッチ:2.5mm,ギア噛込深さ:3.0mm,処理速度:30m/分)を用いて、ギア処理された不織布を形成した。当該ギア処理された不織布は、搬送方向に平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向と直交する直交方向に交互に有していた。上記ギア処理された不織布の、直交方向の延伸倍率は、160%であった。
上記ギア処理された不織布において、歯の先端部に接していた低延伸領域では、エンボス部分が残存していた。また、歯の先端部に接しなかった高延伸領域では、エンボス部分が一部破壊され、ウェブ領域を形成していた。
上記スパンボンド不織布及びギア延伸された不織布の特性を、表1に示す。
【0065】
−水蒸気処理−
上記ギア処理された不織布を、図3に示すような、直交方向にそれぞれ平行な突状部と窪み部とを、搬送方向に交互に有する支持体の上に載せた。突状部は、流体を透過しないものであり、その幅及び高さは、それぞれ、3mm及び5mmであった。窪み部の幅は2mmであった。次いで、上記ギア処理された不織布を、2.0mmの間隔で、複数のノズル(φ0.5mm)を備える水蒸気処理システム(噴出圧力:0.7Mpa,水蒸気温度:162℃)に、5m/分の速度で通し、不織布1を得た。
不織布1の特性を表1に示す。
【0066】
[実施例2]
上記スパンボンド不織布を、ポイントボンド不織布(坪量:24g/m2)に変更した以外は実施例1に従って、不織布2を得た。
ギア延伸により、ポイントボンド不織布の嵩が増し、さらに通気度が向上することが確認された。
上記ポイントボンド不織布、ギア延伸されたポイントボンド不織布及び不織布2の特性を表1に示す。
【0067】
[実施例3]
上記スパンボンド不織布を、エアスルー不織布(坪量:26g/m2)に変更した以外は実施例1に従って、不織布3を得た。
ギア延伸されたエアスルー不織布において、歯の先端部に接していた低延伸領域では、融着部分が残存していた。また、歯の先端部に接していなかった高延伸領域では、融着部分が一部破壊され、ウェブ領域が形成されていた。
上記エアスルー不織布、ギア延伸されたエアスルー不織布及び不織布3の特性を表1に示す。
【0068】
[実施例4]
上記スパンボンド不織布を、スパンレース不織布(坪量:52g/m2)に変更した以外は実施例1に従って、不織布4を得た。
スパンレース不織布は、繊維が密に絡んだ構造を有しているため、ギア延伸後でも繊維の絡みが保持され、比較的嵩高であった。
上記スパンレース不織布、ギア延伸されたスパンレース不織布及び不織布4の特性を表1に示す。
【0069】
[実施例5]
上記スパンボンド不織布を、伸縮不織布(坪量:28g/m2,ポリウレタン繊維50質量%と、ポリオレフィン繊維50質量%とからなる繊維ウェブに、熱エンボス処理をして一体化した不織布)に変更した以外は実施例1に従って、不織布5を得た。
上記伸縮不織布、ギア延伸された伸縮不織布及び不織布5の特性を表1に示す。
【0070】
[比較例1]
エアスルー不織布(坪量:29g/m2)を準備し、実施例1に記載される水蒸気処理を2回実施して、不織布6を形成した。なお、不織布6では、ギア延伸処理は行われなかった。
上記エアスルー不織布及び不織布6の特性を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例1〜5において形成された不織布は、全て、加工前の各不織布の3倍以上の通気度(厚さ方向及び平面方向の両方)を有していた。また、実施例1〜5において形成された不織布は、全て、形成時の搬送方向の強度をほぼ保持しており、寸法安定性を有していた。
実施例1〜5では、水蒸気処理の際に、高延伸領域にあるウェブ状の繊維が、短時間に移動して凸部を形成したため、各繊維の間に水蒸気処理の熱に起因する融着があまり見られなかった。また、実施例1〜5で形成された不織布は、全て、凸部を有するので、加圧状態で測定される平面方向の通気度が高く、そして凹部を有するので、厚さ方向の通気度も高かった。
【0073】
比較例1で形成された不織布は、0.78mmの嵩を有し、一見嵩高に見えるが、繊維は凹部に残存したままであった。これは、各繊維の間の熱融着の強度が高いので繊維が移動できなかったが、2回の水蒸気処理の際に加えられた熱により、不織布が支持体の形状に沿って熱変形したためと考えられる。従って、圧縮したところ、凸部が潰れ、凹部が埋められ、通気度が容易に低下することが確認された。
【符号の説明】
【0074】
1 ギア延伸装置
2,2’ ギアロール
3,3’ 外周面
4,4’ 複数の歯
5 不織布
6 高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布
7 ギアピッチ
8 ギア噛込深さ
9 支持体
10 突状部
11 窪み部
12 流体ノズル
13 凹凸を有する不織布
14 凸部
15 凹部
A 搬送方向
B 直交方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップ、
を含む、前記凹凸を有する不織布を製造する方法。
【請求項2】
前記不均一に延伸するステップが、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に、前記不織布を通過させることにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の歯が、前記回転軸線と垂直に前記外周面に配置されており、前記搬送方向とそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向と直交する直交方向に交互に有する不織布が形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記凹凸を有する不織布を形成するステップにおいて、前記支持体が、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部が、搬送方向と直交する直交方向にそれぞれ平行であり且つ搬送方向に交互に配置されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体が、空気、水蒸気及び水から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記不織布が、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、及び伸縮不織布から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記凹凸を有する不織布が、前記不織布の厚さ方向の通気度の3倍以上の厚さ方向の通気度を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記凹凸を有する不織布が、5m3/m2/分以上の、平面方向の通気度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記凹凸を有する不織布が、80%以上の、搬送方向と直交する直交方向の最大点伸度を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により形成された凹凸を有する不織布。
【請求項12】
請求項11に記載の凹凸を有する不織布を含む吸収性物品。
【請求項13】
不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に吹き付けることにより処理して、凹凸を有する不織布を形成するステップ、
を含む、不織布を加工する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−226010(P2011−226010A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95235(P2010−95235)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】