説明

凹凸補正化粧料

【課題】小皺や毛穴等の肌上の凹凸を自然にぼかし目立たなくする凹凸補正効果に優れるとともにその効果が持続し、かつ伸び広がりなど使用感にも優れる凹凸補正化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(a)ないし(c); (a)0℃より高く37℃より低い下限臨界溶液温度(LCST)を有する複数の高分子部分と親水性高分子部分が結合したブロック共重合体またはグラフト共重合体であって、その水溶液が0℃より高く37℃より低い温度にゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物 (b)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物および/または部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物 (c)屈折率が1.3〜1.7である粉体を含有することを特徴とする凹凸補正化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小皺や毛穴などの肌上の凹凸を目立たなくする凹凸補正化粧料に関し、さらに詳細には、優れた凹凸補正効果を長時間持続できるとともに、伸び広がりやみずみずしさなどの使用感にも優れる凹凸補正化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、肌上の小皺や毛穴等の凹凸を目立たなくするための化粧料が提案されており、例えば、特定の粘度のシリコーン油と粉体を配合したものや(特許文献1)、脂肪相と固体有機ポリシロキサンを用いた化粧料(特許文献2)、特定粒径の球状粉体と皮膜形成成分と油剤を用いた化粧料(特許文献3)などが開示されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の化粧料では、肌への密着性が良好ではなく、経時的に肌から分泌される皮脂により化粧が崩れる場合があり、また特許文献2の化粧料は、凹凸補正効果やその持続性は十分なものではなかった。さらに、特許文献3の化粧料は、べたつきを生じ、伸び広がりの滑らかさが劣る場合があった。このように、従来の凹凸補正化粧料は、凹凸補正効果の持続性に欠け、また使用感が劣るという問題があった。
【0004】
上記問題を解消するために、本出願人は既に部分架橋型フルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンと非架橋型フルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンを用いた化粧料(特許文献4)および部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、特定の屈折率の粉体を用いた化粧料(特許文献5)を提案している。これらの化粧料は、一定の凹凸補正効果の持続性や良好な使用感が得られるものであるが、更なる改善が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開平11−60445号公報
【特許文献2】特開平9−227332号公報
【特許文献3】特開2001−2530号公報
【特許文献4】特開2005−336161号公報
【特許文献5】特開2002−322030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小皺や毛穴等の肌上の凹凸を自然にぼかし目立たなくする凹凸補正効果を長時間持続することができ、かつ伸び広がりなど使用感にも優れる凹凸補正化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、0〜37℃の温度範囲で水溶液がゾル状態からゲル状態に転移を起こす高分子化合物と、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物および/または部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、特定の屈折率を有する粉体とを組み合わせた化粧料が、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を補正する特性に優れていることを見出した。すなわちこの化粧料は、塗布時には流動性が高く肌上で伸び広がりがよいため小皺や毛穴等の凹部に流れ込むことができ、その後体温によって化粧料が凹凸の形状に合わせてゲル化し肌表面が平滑化されるため、使用感が良好で優れた凹凸補正効果が得られるとともに、肌への密着性が高く皮脂等によっても化粧崩れしないため、凹凸補正効果を長時間持続できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
次の成分(a)ないし(c);
(a)0℃より高く37℃より低い下限臨界溶液温度(LCST)を有する複数の高分
子部分と親水性高分子部分が結合したブロック共重合体またはグラフト共重合体
であって、その水溶液が0℃より高く37℃より低い温度にゾル−ゲル転移温度
を有する高分子化合物
(b)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物および/または部分架橋型ポリエーテ
ル変性オルガノポリシロキサン重合物
(c)屈折率が1.3〜1.7である粉体
を含有することを特徴とする凹凸補正化粧料
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の凹凸補正化粧料は、小皺や毛穴などの肌の凹凸を自然にぼかし目立たなくする効果に優れ、かつその効果を長時間持続でき、さらに伸び広がりのよさやみずみずしさなどの良好な使用感が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書において、下限臨界溶液温度(LCST;Lower Critical Solution Temperature)とは、この温度よりも低い温度では高分子が水に溶解して透明の溶液となるが、この温度よりも高い温度では不溶化して白濁するか沈殿が生じ、相分離する温度である。
【0011】
本発明の凹凸補正化粧料は、0℃より高く37℃より低い下限臨界溶液温度を有する複数の高分子部分と親水性高分子部分が結合したブロック共重合体またはグラフト共重合体であって、その水溶液が0℃より高く37℃より低い温度にゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物(成分(a))を必須成分として用いる。
【0012】
この成分(a)の高分子化合物は、その水溶液が固有のゾル−ゲル転移温度を有するものであり、ゾル−ゲル転移温度より低い温度では流動性を有するゾル状であるが、ゾル−ゲル転移温度よりも高い温度では流動性を失ってゲル化する性質を持つものである。
【0013】
このような高分子化合物は公知の化合物であり、例えば、特許第3585309号公報にゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物として記載されているものである。またこの高分子化合物の製造も、この特許第3585309号公報の実施例1ないし6等の明細書中の記載に従って行うことができる。
【0014】
上記成分(a)の高分子化合物は、複数の0℃よりも高く37℃よりも低いLCSTを有する高分子部分(以下、「LCST高分子部分」ということがある)を含むものである。このLCST高分子部分には、LCST挙動を示す温度応答性高分子が含まれる。LCST挙動を示す温度応答性高分子としては、ポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリN−置換メタクリルアミド誘導体及びこれらの共重合体、ポリプロピレンオキサイド、プロピレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。より具体的には、ポリ−N−アクリロイルピペリジン、ポリ−N−n−プロピルメタアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド、ポリ−N−アクリロイルピロリジン、ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルメタアクリルアミド、ポリ−N−エチルアクリルアミドなどが挙げられ、特にポリ−N−イソプロピルアクリルアミドが好ましく用いられる。
【0015】
上記LCST高分子部分は、前記LCST挙動を示す温度応答性高分子のみから構成されるホモポリマーであってもよいが、さらに他のモノマーと共重合させたコポリマーであってもよい。このようなコポリマーを構成する他のモノマーとして、親水性モノマー及び疎水性モノマーのいずれも用いることができる。
【0016】
親水性モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸及びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びそれらの塩等が例示できる。
【0017】
一方、上記疎水性モノマーとしては、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等のN−置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0018】
本発明に用いる成分(a)の高分子化合物を構成する上記LCST高分子部分は、LCSTが0℃より高く37℃よりも低い範囲にあるものである。このLCST高分子部分をホモポリマーとする場合は、例えばポリ−N−イソプロピルアクリルアミドやポリ−N−n−プロピルメタアクリルアミドなど、固有のLCSTが0〜37℃の範囲にあるものを適宜選択することができる。一方、LCST高分子部分をコポリマーとする場合には、一般的にLCSTを有する高分子に親水性モノマーを共重合することにより、コポリマーのLCSTを上昇させることが可能となり、また疎水性モノマーを共重合することにより、LCSTを下降させることが可能となるため、LCST挙動を示す温度応答性高分子と共重合させるモノマーの組み合わせを選択し、組成比等を調整することによって、0〜37℃の範囲で高分子部分のLCSTを調整することができる。
【0019】
また、本発明に用いる成分(a)の高分子化合物は、上記LCST高分子部分の他に、親水性高分子部分を含有するものである。この親水性高分子部分を構成する高分子としては、例えば、メチルセルロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリN−メチルアクリルアミド、ポリヒドロキシメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびそれらの塩、ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられる成分(a)の高分子化合物は、上記LCST高分子部分と親水性高分子部分が結合したブロック共重合体またはグラフト重合体である。グラフト重合体の場合は、主鎖であるLCST高分子部分に親水性高分子部分が側鎖として結合したものであっても、主鎖である親水性高分子部分に、側鎖としてLCST高分子部分が結合したものであってもよい。
【0021】
上記LCST高分子部分と、親水性高分子部分とのブロック共重合体は、例えば予め両者に反応活性な官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基等)を複数導入し、両者を化学反応により結合させることによって得ることができる。例えば、親水性高分子であるポリエチレンオキサイドの両末端に重合性官能基であるメタクリロイル基を導入し、LCSTを有する高分子を構成するモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドと共重合させることによって、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドから構成されるLCST高分子部分とポリエチレンオキサイドからなる親水性高分子部分とのブロック共重合体を得ることができる。
【0022】
また、N−イソプロピルアクリルアミドとN−アクリロキシスクシンイミドを共重合させて1級アミンと反応する基を導入した高分子を合成し、これと末端に1級アミノ基を導入したポリエチレンオキサイドを反応させることによって、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドから構成されるLCST高分子部分とポリエチレンオキサイドからなる親水性高分子部分とのブロック共重合体を得ることができる。
【0023】
一方、上記LCSTを有する高分子部分と親水性高分子部分とのグラフト共重合体は、通常のグラフト重合法を用いることができ、重合体の連鎖移動反応を利用する方法、幹重合体に遊離基に分裂し得る官能基を導入し、該官能基から重合を開始する方法、幹重合体からイオン重合を開始せしめる方法等を用いることができるが、側鎖の重合度を制御するという観点からは、LCST高分子部分中に1個の重合性官能基を導入し、親水性高分子部分を与えるモノマーと共重合させる方法や、親水性高分子部分中に1個の重合性官能基を導入し、LCST高分子部分を構成するモノマーと共重合させる方法などが好ましく用いられる。
【0024】
本発明に用いられる成分(a)の高分子化合物の分子量は1万以上が好ましく、特に10万以上であると、ゾル−ゲル転移温度より高い場合に良好にゲルが形成されるので好ましい。このような分子量のものは、上記のようにして得られたブロック共重合体やグラフト共重合体から、限外ろ過などの通常の分離精製手段を用いて得ることができる。また分子量の測定は、前記特許第3585309号公報に記載の方法に従って行うことができる。
【0025】
以上のようにして、LCST高分子部分と親水性高分子部分の組成や、両高分子部分の疎水度および親水度、分子量等によって、成分(a)の高分子化合物の水溶液のゾルーゲル転移温度を0℃よりも高く37℃よりも低い範囲に調整し、好ましくは20℃以上37℃未満、特に好ましくは30℃以上37℃未満の範囲とする。ゾル−ゲル転移温度がこの範囲にあると、塗布時には流動性があるため肌上で展延して凹部を埋めることができ、その後体温によって化粧料が凹凸の形状に合わせてゲル化し肌表面が平滑化されるため、使用感が良好で優れた凹凸補正効果が得られ、かつ肌への密着性が高く皮脂等によっても化粧崩れしないため凹凸補正効果の持続性も高いものが得られる。
【0026】
このような高分子化合物として、市販されているメビジェル−32(ゾル−ゲル転移温度32℃)やメビジェル−20(ゾル−ゲル転移温度20℃;いずれも一丸ファルコス社製)を用いることもでき、メビジェル32が好ましく用いられる。このメビジェル−32および20は、N−イソプロピルアクリルアミド・メタクリル酸n−ブチル・ポリ(2〜20)アルキレン(C2〜3)グリコールジメタアクリレート共重合体の15w/w%水溶液である。本発明の凹凸補正化粧料に用いられる高分子化合物の水溶液のゾル−ゲル転移温度は、凹凸補正化粧料を肌に塗布し展延する動作の間、流動性が保てるように、使用する環境の温度に合わせて適宜設定すればよく、例えば、上記市販品を利用して温度応答性高分子化合物の水溶液のゾル−ゲル転移温度を20℃より高く32℃より低い温度に調整したものを用いることができる。
【0027】
本発明の凹凸補正化粧料における成分(a)の高分子化合物の配合量は特に限定されるものではないが、0.001〜5.0質量%(以下単に「%」と略す)が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3.0%である。
【0028】
また本発明に用いられる成分(b)の、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物とは、ベンゼンに不溶であるが、自己の質量と同質量以上のベンゼンを含みうる三次元架橋構造を有するオルガノポリシロキサン重合物である。部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる重合物であり、一部に三次元架橋構造を有し、RSiO単位及びRSiO1.5単位よりなり、RSiO0.5単位及び/又はSiO単位を含んでいても良い化合物(但し、各構成単位のRは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、およびビニル基等の脂肪族不飽和基、フルオロ基やエチレンオキサイド基を含有するもの等が例示され、同種又は異なった種類であっても良い。)であり、具体的には特公平8−6035号公報等に記載されている化合物が例示できる。
【0029】
上記部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、重合物単独で用いても良いが、低粘度シリコーン油等と混合して用いてもよく、例えば、部分架橋型トリフルオロプロピルメチルポリシロキサンとメチルトリフルオロプロピルシクロポリシロキサンの混合物などを好適に用いることができる。また、このようなシリコーン油との混合物として、KSG−15(部分架橋型メチルポリシロキサン5部とデカメチルシクロペンタシロキサン95部)、KSG−16(部分架橋型メチルポリシロキサン20〜30部とメチルポリシロキサン70〜80部)、KSG−18(部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン10〜20部とメチルフェニルポリシロキサン80〜90部)等が市販されており(何れも信越化学工業社製)、これらを用いることもできる。
【0030】
一方、本発明に用いられる成分(b)の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物とは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、脂肪族不飽和基含有化合物とを付加重合させた化合物である。この部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は公知の化合物であり、例えば、特開平4−272932号公報、特開平5−140320号公報および特開2001−342255号公報に記載されている。
【0031】
上記部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物の具体例として、一般式
SiO(4−a−b−c)/2 (1)
及び/又は
SiO(4−j−k)/2
(2)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、下記一般式(イ)で表されるポリオキシアルキレン及び/又は下記一般式(ロ)で表されるオルガノポリシロキサンとの組み合わせのうち、前記一般式(1)及び/又は前記一般式(イ)で表される成分を必須成分として付加重合させて成るシリコーン重合体が例示される。
2m−1O(CO)(CO)2m−1 (イ)
SiO(4−d−e)/2 (ロ)
(ここでRは同種又は異種の置換又は非置換の炭素数1〜18の夫々一価のアルキル基若しくはアリール基、アラルキル基又はハロゲン化炭化水素基であり、Rは一般式−C2nO(CO)(CO)で示される有機基、Rは末端ビニル基を有する炭素数2〜10の一価の炭化水素基、Rは水素原子若しくは炭素数1〜10の飽和有機基又はR−(CO)−で示される基、Rは炭素数1〜5の飽和有機基であり、a、b、c、d、e、j及びkはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1、0.001≦c≦1、1.0≦d≦3.0、0.001≦e≦1.5、1.0≦j≦3.0及び0.001≦k≦1.5であり、f及びpは2〜200の整数、g及びqは0〜200の整数、f+gは3〜200、p+qは3〜200であり、m及びnは2〜6である)。
【0032】
また上記成分(b)の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物の別の具体例として、下記一般式(A1)
SiO(4−h−i−l)/2 (A1)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び下記一般式(A2)
SiO(4−r−s)/2 (A2)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから成る群から選択される少なくとも1種と、下記一般式(B1)
CH2t−1O(C2uO)2w−1 (B1)
で表されるポリオキシアルキレン、下記一般式(B2)


で表されるポリオキシアルキレン、下記一般式(B3)


で表されるポリオキシアルキレン及び下記一般式(B4)
11SiO(4−y−z)/2 (B4)
で表されるオルガノポリシロキサンから成る群から選択される少なくとも1種とを重合してなり、有機溶剤に不溶で、かつ自重と同重量以上のペンタ−3,3,3−トリフロロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを溶解しうることを特徴とする三次元架橋構造を有するシリコーン重合物が例示できる(各式中、Rは、それぞれ同じか又は異なってもよく、脂肪族不飽和結合を有しない、置換又は非置換の、炭素数1〜20の1価炭化水素基であって、その11〜60モル%がフッ素置換1価炭化水素基である1価炭化水素基であり、Rは、それぞれ同じか又は異なってもよく、一般式−C2tO(C2uO)12で表される有機基、Rは水素原子又は脂肪族不飽和結合を有しない置換若しくは非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R10は、それぞれ同じか又は異なってもよく、Rと同じか又は−C2t−1で表される有機基であり、R11は末端ビニル基を有する炭素数2〜10の1価炭化水素基であり、R12は水素原子、脂肪族不飽和基を有しない置換若しくは非置換1価炭化水素基又はアセチル基であり、hは1.0〜2.3、iは0.001〜1.0、l(エル)は0.001〜1.0、rは1.0〜2.3、sは0.001〜1.0、yは1.0〜2.3、zは0.001〜1.0であって、1.5≦h+i+l≦2.6、1.5≦r+s≦2.6、1.5≦y+z≦2.6を満たし、tは2〜6の整数、uは2、3又は4のいずれかの整数、vは1〜200の整数、wは1〜20の整数であり、xは0又は1である。)。
【0033】
上記部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物として、市販品であるKSG−21(POE変性部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン10〜20部とメチルフェニルポリシロキサン80〜90部;信越化学工業社製)を用いることもできる。
【0034】
本発明の凹凸補正化粧料における成分(b)の部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/または部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの配合量は、0.05〜10.0%が好ましく、0.1〜5.0%が更に好ましい。この範囲であると、滑らかに伸び広がり、使用時のヨレもなく、優れた凹凸補正効果を得ることができる。
【0035】
本発明に用いられる成分(c)の粉体は、スネルの法則による屈折率が1.3〜1.7の範囲にある粉体であり、本発明の凹凸補正化粧料において、小皺や毛穴をぼかすことにより、肌の凹凸を目立たなくするものである。具体的には、無水ケイ酸、ナイロンパウダ−、ポリエチレンパウダ−、ポリスチレンパウダ−、ポリアクリル酸アルキルパウダ−、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。屈折率が1.3未満の粉体を用いると、化粧膜の透明性が高くなり、小皺や毛穴をぼかす効果が得にくいため好ましくなく、屈折率が1.7を超える粉体を用いると、化粧膜が不透明になり、不自然な仕上がりになるため好ましくない。粉体の屈折率は、1.3〜1.5であることが特に好ましい。また、成分(c)の粉体の粒径は特に限定されないが、肌の凹凸を目立たなくする観点より、1〜30μmが好ましい。
【0036】
本発明の凹凸補正化粧料における成分(c)の配合量は、1〜20%が好ましく、5〜10%が更に好ましい。成分(c)の配合量が1%未満であると肌の凹凸を目立たなくする効果に劣り好ましくない。一方、配合量が20%を超えると伸び広がりが悪くなる場合があり好ましくない。
【0037】
本発明の凹凸補正化粧料は、さらに成分(d)として糖類を配合することが好ましい。糖類を配合することにより、さらに化粧膜のヨレ防止と化粧もち効果を向上することができる。本発明に用いられる糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖および糖アルコールからなる群から選ばれたものであることが好ましく、具体的には、ブドウ糖、β−ラクトース、トレハロース、ラフィノース、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール等が好ましい。本発明の凹凸補正化粧料に成分(d)の糖類を用いる場合の配合量は0.01〜5%が好ましく、より好ましくは0.5〜3%である。
【0038】
本発明の凹凸補正化粧料は、さらに成分(e)として成分(a)以外の水溶性高分子を含有することが好ましい。本発明に使用できる水溶性高分子としては、例えばカラギーナン、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アクリル酸アルキルコポリマー、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、キトサン等が例示できる。このうち、肌上で滑らかに伸び広がり小皺や毛穴等の凹凸に流れ込んで化粧膜を形成するため凹凸補正効果をより高めることができ、また粘度の減少が少ないためその効果の持続性を向上できることから、ポリアクリル酸アクリル酸アルキルコポリマー、カルボキシビニルポリマーが好ましい。本発明の凹凸補正化粧料にこの成分(e)の水溶性高分子を用いる場合の配合量は、0.03〜3%が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.5%である。
【0039】
本発明の凹凸補正化粧料は、さらにまた成分(f)としてシリコーン油を配合することが好ましい。シリコーン油としては通常化粧料に用いられるものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。本発明の凹凸補正化粧料における成分(f)のシリコーン油の配合量は、5〜30%が好ましく、10〜20%が更に好ましい。
【0040】
本発明の凹凸補正化粧料には、更に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、乳化剤、水溶性保湿剤等が例示できる。
【0041】
また、本発明の凹凸補正化粧料の製造は常法に従って行うことができ、例えば、ファンデーション等のメーキャップ化粧料の塗布前後に使用し、小皺や毛穴等の肌上の凹凸を目立たなくする特殊用途の化粧料や、好ましくない微小な凹凸を目立たなくする機能を付加したファンデーション、コンシーラー、白粉、頬紅、化粧下地等のメーキャップ化粧料や、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料とすることができる。またその形態も特に制限されるものではなく、油中水型、水中油型、マルチプルエマルション等の何れであってもよい。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
【0043】
実施例1〜13
凹凸補正化粧料:
下記表1に示す組成の凹凸補正化粧料を下記製造方法に従って調製した。得られた凹凸補正化粧料について、下記評価方法により凹凸補正効果、効果の持続性、伸び広がりのよさ、みずみずしさ、塗布時のよれのなさの各項目について評価した。その結果を併せて表1に示す。
【0044】
【表1】

※1:N−イソプロピルアクリルアミド・メタクリル酸n−ブチル・ポリ(2〜20)アルキレン(C2〜3)グリコールジメタアクリレート共重合体水溶液(固形分15%;ゾル−ゲル転移温度32℃:一丸ファルコス社製)
※2:KSG−21(信越化学工業社製)
【0045】
(製造方法)
A:1、2、5、6、9〜11を室温にて均一に混合分散する。
B:3、4、7、8を室温にて均一に混合分散する。
C:AにBを加え、均一に混合分散し、容器に充填して凹凸補正用化粧料を得た。
【0046】
(評価方法)
<官能評価>
女性専門パネル10名により、下記評価項目について評価してもらい、下記基準に従って判定を行った。
(評価項目)
・ 凹凸補正効果が高い(+)か、低い(−)か
・ 凹凸補正効果が長持ちするか(+)どう(−)か
・ 使用時に滑らかに伸び広がる(+)か、伸び広がらない(−)か
・ 使用時のみずみずしさがある(+)か、ない(−)か
・ 使用時によりにくい(+)か、よれやすい(−)か
(判定基準)
8名以上が+と感じる;◎
6〜7名が+と感じる;○
3〜5名が+と感じる;△
2名以下が+と感じる;×
【0047】
比較例1〜3
凹凸補正化粧料:
下記表2に示す組成の凹凸補正化粧料を上記製造方法に従って調製した。得られた凹凸補正化粧料について、実施例1〜13と同様にして、凹凸補正効果等を評価した。その結果を併せて表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
この結果から明らかなように、実施例1ないし13の凹凸補正化粧料はいずれも凹凸補正効果およびその持続性に優れ、伸び広がりのよさ、みずみずしさ、塗布時のヨレのなさの使用感においても良好なものであった。一方、成分(a)〜(c)のいずれかを配合しない比較例の1〜3はいずれも凹凸補正効果、持続性ともに不十分であり使用感においても満足できる化粧料を得られなかった。
【0050】
実 施 例 14
水中油型凹凸補正化粧料:
下記の処方および製法により水中油型凹凸補正化粧料を製造した。
(処方) (%)
(1)メビジェル−32(※1) 0.75
(2)カルボキシビニルポリマー 1.5
(3)水酸化ナトリウム 0.5
(4)グリセリン 5.0
(5)精製水 残量
(6)モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20.E.O)ソルビタン 1.0
(7)防腐剤 適量
(8)エタノール 5.0
(9)流動パラフィン 3.0
(10)セトステアリルアルコール 2.5
(11)ポリエチレンパウダー(※3) 8.0
(12)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物(※2) 5.0
(13)ジメチルポリシロキサン 10.0
※3:サンファインLH−401(旭化成工業社製)
【0051】
(製法)
A:成分1〜8を70℃加温溶解し、均一混合する。
B:成分9〜13を70℃加温溶解し、均一混合する。
C:AにBを添加し、乳化する。
D:Cを冷却し、容器に充填して凹凸補正用化粧料を得た。
【0052】
得られた補正用コンシーラーは、「滑らかな伸び広がり」、「肌への密着性」、「凹凸補正効果」、「凹凸補正効果の持続性」の全ての項目に優れた凹凸補正用化粧料であった。
【0053】
実 施 例 15
油中水型凹凸補正コンシーラー:
下記処方および製法により油中水型凹凸補正コンシーラーを製造した。
(処方) (%)
(1)メビジェル−32(※1) 5.0
(2)キサンタンガム(※4) 0.03
(3)1,3−ブチレングリコール 10.0
(4)塩化ナトリウム 1.0
(5)エタノール 5.0
(6)防腐剤 適量
(7)香料 適量
(8)精製水 残量
(9)セチルジメチコンコポリオール(※5) 1.0
(10)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物(※2) 2.0
(11)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(12)2ーエチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(13)球状シリコーンパウダー(※6) 10.0
(14)硫酸バリウム 7.0
(15)シリコーン表面処理ベンガラ(※7) 0.3
(16)シリコーン表面処理黄酸化鉄(※7) 1.0
(17)シリコーン表面処理黒酸化鉄(※7) 0.1
※4:GRINSTED XANTHAN CLEAR80(DANISCO)
※5:ABIL EM−90(ゴールドシュミット社製)
※6:KSP−101(信越化学工業社製)
※7:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理品
【0054】
(製法)
A:成分11〜17を均一に混合分散する。
B:成分9、10を70℃にて加温溶解し、Aを加えて均一に混合する。
C:成分1〜8を均一に混合溶解する。
D:CにBを加えて乳化する。
E:Dを容器に充填して、凹凸補正用コンシーラーを得た。
【0055】
本発明の実施品である実施例12の凹凸補正用コンシーラーは、「滑らかな伸び広がり」、「肌への密着性」、「凹凸補正効果」、「凹凸補正効果の持続性」の全ての項目に優れた凹凸補正用化粧料であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の化粧料は、小皺や毛穴等の肌上の凹凸を自然にぼかし目立たなくする効果に優れ、しかもその効果を長時間持続することができるものであるため、小皺や毛穴等を目立たなくする特殊用途の化粧料やそのような機能を付加したメーキャップ化粧料などとして利用可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)ないし(c);
(a)0℃より高く37℃より低い下限臨界溶液温度(LCST)を有する複数の高分
子部分と親水性高分子部分が結合したブロック共重合体またはグラフト共重合体
であって、その水溶液が0℃より高く37℃より低い温度にゾル−ゲル転移温度
を有する高分子化合物
(b)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物および/または部分架橋型ポリエーテ
ル変性オルガノポリシロキサン重合物
(c)屈折率が1.3〜1.7である粉体
を含有することを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
成分(a)の高分子化合物を0.001〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1記載の凹凸補正化粧料。
【請求項3】
成分(b)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物および/または部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物を0.05〜10.0%質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項4】
成分(c)の粉体を1.0〜20.0質量%含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項記載の凹凸補正化粧料。
【請求項5】
更に成分(d)として糖類を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項記載の凹凸補正化粧料。
【請求項6】
成分(d)の糖類を0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項5に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項7】
更に成分(e)として成分(a)以外の水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの項に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項8】
成分(e)の成分(a)以外の水溶性高分子を0.03〜3.0質量%含有することを特徴とする請求項7に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項9】
更に成分(f)としてシリコーン油を含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの項に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項10】
成分(f)のシリコーン油を5.0〜30.0質量%含有することを特徴とする請求項9に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項11】
成分(a)の高分子化合物のゾル−ゲル転移温度が30℃以上37℃未満であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかの項に記載の凹凸補正化粧料。



【公開番号】特開2008−247769(P2008−247769A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88085(P2007−88085)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】