説明

凹凸面用シート

【課題】
シートが凹凸面に追従することで、粘着層が薄くても凹凸のある窓ガラスや室内壁面のような凹凸面に貼着が可能であって、剥がす際には容易かつ綺麗に剥がすことができ、粘着剤が残ることなく、しかも室内から室外が視認可能であり、さらに装飾性に優れた凹凸面用シートを提供することを課題とする。
【解決手段】
基材層と粘着層が接して設けられてなる凹凸面用シートであって、前記基材層がメッシュ状の編物であって、前記編物のメッシュの大きさが0.1〜10mmであり、前記凹凸面用シートの厚みが30〜500μmであることを特徴とする凹凸面用シートを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸ガラスまたは室内壁面等の凹凸面に貼着できるシートに関し、より詳しくは、平滑面はもちろんのこと凹凸面にも簡単に貼着でき、しかも容易かつ粘着剤を残さず綺麗に凹凸面から剥離可能な、凹凸面に好適に貼着できるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より目かくしや飛散防止のために家やオフィス等のガラスにシートを貼着することがよくなされている。具体的には、屋外や室内、オフィス同士の間のプライバシーを確保する目的でガラスに目かくし用のシートを貼着したり、防犯対策または地震対策として、割れたガラスの飛散防止やガラスを強化する目的でガラスにシートを貼着することもある。さらに、ガラスにシートを貼着することでステンドガラス調、細工ガラス調、またはデザインガラス調などの装飾性を付与することもある。
このようなガラス用シートの多くはポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂でできた基材層の裏面に、粘着層が設けられ、この粘着層によってガラス面に接着固定されるものである。他には合成樹脂でできた基材層自体に自己粘着性を持たせ、ガラス面に基材層自体を貼着させるものもある。
しかしながら、前述した従来のガラスに貼着するシートは貼着できるガラス面が平滑なガラス面に限定され、平滑面でないすりガラスや、室内の壁紙、土壁、繊維壁の様な凹凸のある壁面には貼着できないという問題点がある。これは、凹凸面に貼着した場合に、基材層や粘着層が硬く柔軟性がないため表面の凹凸にシートが追従することができず、シートの貼着面とガラスや壁面の凹凸面の間に空気が入りこみ接着力が弱まって、剥離してしまうためである。
【0003】
凹凸面に貼着できるシートとして、基材層と粘着層からなり、基材層としてはポリカーボネートフィルムを使用して、基材層であるポリカーボネートフィルムの裏面にアクリル系の粘着層を150〜200μmとすることによって、凹凸面に対して貼り付け可能としたガラス用シートが提供されている(特許文献1)。これは、アクリル系粘着剤を従来よりも厚く塗工して形成した粘着層を備えることにより、粘着層の厚みによって表面の凹凸面を覆い空気が入らないようにして接着力を維持し、貼着を可能としている。しかしながら、このシートの場合、粘着層を厚くすることによりシート自体が重くなり、貼り付け作業が困難であるとともに、非常にコストがかかるという問題があった。さらに、シートの端から粘着剤がブリードしたり、シートを剥がす際には粘着層の一部が残り、綺麗に剥がすことができないという問題があった。
【0004】
他の凹凸面に貼着できるシートとして、基材層と吸着層からなり、吸着層がアクリル樹脂発泡体であることによって、凹凸面に対して貼着できるガラス用シートが提案されている(特許文献2)。該シートは吸着層がアクリル樹脂発泡体であることにより、表面の凹凸面に食い込むことで貼着できる。しかしながら、吸着層がアクリル樹脂発泡体であるため、シートの透明性が下がることにより、室内から室外を視認できなくなるという問題があった。また、吸着層であるアクリル樹脂を発泡させる作業が必要であり手間がかかるという問題もあった。
【0005】
基材層としてポリ塩化ビニル等のシートを使用して、粘着層がアクリルフォームからなる両面テープであることによって、凹凸面に対しても貼り付け可能としたガラス用シートも提案されている(特許文献3)。該シートは粘着層の間にアクリルフォームを中間層として配置し、両面にアクリル樹脂を形成した両面テープを用いて、ガラス表面の凹凸面に対するシートの追従性を上げることで、貼り付けを可能としている。しかしながら、中間層であるアクリルフォームが追従できるのは、凹凸面が比較的穏やかなすりガラス(くもりガラス)のみであり、凹凸が激しい面には追従できず剥がれてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−180068号公報
【特許文献2】特開2002−67592号公報
【特許文献3】特開2004−155092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、シートが凹凸面に追従することで、粘着層が薄くても凹凸のある窓ガラスや室内壁面のような凹凸面に貼着が可能であって、剥がす際には容易かつ綺麗に剥がすことができ、粘着剤が残ることなく、しかも室内から室外が視認可能であり、さらに装飾性に優れた凹凸面用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、基材層と粘着層が接して設けられてなる凹凸面用シートであって、前記基材層がメッシュ状の編物であって、前記編物のメッシュの大きさが0.1〜10mmであり、前記凹凸面用シートの厚みが30〜500μmであることを特徴とする凹凸面用シートに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記基材層の上に柄を編んだ編物からなる装飾層を積層させていることを特徴とする請求項1に記載の凹凸面用シートに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記粘着層の粘着剤の塗布量が8〜50g/mdryであることを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸面用シートに関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記粘着層が2回塗工であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の凹凸面用シートに関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記編物が100%ポリエステル繊維で構成されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の凹凸面用シートに関する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、従来技術とは異なり、基材層が編物であるため、柔軟性と通気性があるとともに凹凸面に追従できるため、基材層に接して設けられる粘着層が凹凸面に追従して粘着層の全面で凹凸面に接着することができる。
従って、従来のように粘着層を厚くして接着力を上げなくても薄い粘着層で十分に接着させることができる。また、粘着層が薄いので剥がす際には容易に且つ綺麗に剥がすことができ、粘着剤が残ることなく、被貼着体を傷つけることがない。
加えて、編物のメッシュの大きさが0.1〜10mmであってシートの厚みが30〜500μmであることにより、凹凸の差が大きくても、小さくても凹凸面に追従することができ、貼着面と凹凸面の間に空気が入らず凹凸面に貼着できるシートとなる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、基材層の上に柄を編んだ編物を積層させているので、様々な装飾性を持った凹凸面に貼着できるシートとなる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、粘着層の粘着剤の塗布量が8〜50g/mdryであることによって、シートが軽いため作業を行いやすく、シートを剥がす際には容易に且つ綺麗に剥がすことができ、粘着剤が残ることなく、被貼着体を傷つけることがない。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、前記粘着層が2回塗工であることによって、シートが剥がれたり、めくれたりすることなく凹凸面に貼着できるシートとなる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、前記編物の繊維が100%ポリエステル繊維で構成されることにより、繊維が過度に伸縮することがないので基材層に粘着層を適切に塗工することが可能であり、また耐久性に優れており繊維が千切れたりせず、特別な施工技術を要さなくとも簡単に貼着が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る凹凸面用シートが凹凸面に追従していることを示す模式図である。
【図2】シートの基材層が厚くて凹凸面に追従できないことを示す模式図である。
【図3】本発明に係る凹凸面用シートに装飾層を積層した場合の模式図である。
【図4】編物の装飾層を表わした図である。
【図5】合成樹脂と粘着剤を積層した粘着剤を有するシートを表わした図である。
【図6】本発明に係る凹凸面用シートを窓ガラスの凹凸面に貼り付けた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る凹凸面用シートを、図面を用いて詳細に説明する。
図1において、本発明に係る凹凸面用シート(1)は基材層(2)と粘着層(3)が接して設けられてなる。
この発明において、基材層(2)が図2に示す如く、厚すぎると凹凸面(4)に追従できず、凹凸面(4)と粘着層(3)の隙間に空気が入り込み凹凸面(4)に密着して貼り付けることができなくなるため、凹凸面(4)に追従できる程度の厚みとする必要がある。具体的な厚みとしては30〜500μmで、好ましくは200〜400μmである。
【0020】
本発明の凹凸面用シート(1)の基材層(2)は編物であり、繊維を編んでメッシュ部材にしたものを使用する。編物とは1本、あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて新しいループを作る事を連続して作ったものである。本発明の基材層(2)が編物であることにより、縦横に伸縮性があり基材層に柔軟性が生じるため、凹凸面に追従することができる。メッシュ部材としては編物以外に織物、不織布、割繊維を縦横に積層熱融着したもの等があるが、これらのメッシュ部材では縦横に伸縮性がなく凹凸面に追従できるだけの十分な柔軟性がないため本発明の基材層(2)として好ましくない。
また、編物はメッシュ状であるので通気性があるためしわになり難く、室内から室外を視認し易いという特徴をもつ。つまり本発明の凹凸面用シート(1)は柔軟性があり、凹凸面(4)に追従できるため凹凸面(4)に貼着しても剥がれにくいシートとなる。さらには通気性があり、空気抜けがよく、施工時にもしわになり難く室内から室外を視認し易いという特徴をもつ。
【0021】
この発明において基材層(2)の編物のメッシュの大きさは0.1〜10mmであり、好ましくは0.3〜5mmである。この理由はメッシュの大きさが0.1mm未満であると柔軟性がなくなり、凹凸面(4)に追従できなくなるとともに窓ガラス等に貼着した時、光の透過量が減少し、室内から室外を視認し難くなり、逆に10mmを超えると基材層(2)を引っ張ることで伸びてしまい粘着層(3)をうまく塗工することができず、また、貼り付け時にもシートが伸びて上手に貼着できず、いずれの場合も好ましくないからである。
【0022】
基材層(2)の編物の繊維の目付量は50〜200g/mであることが好ましく、さらに好ましくは80〜150g/mである。この理由は50g/m未満であれば、基材層(2)を引っ張ると伸びて元の形状に戻らなくなることがあるとともに、粘着層(3)がメッシュ状の基材層(2)からブリードして均一に塗工できず、また逆に200g/mを超えると、基材層(2)の柔軟性がなくなり凹凸面に貼着できず、いずれの場合も好ましくないからである。
【0023】
本発明において、基材層(2)の編物の繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)は50〜200デシテックスであることが好ましく、さらに好ましくは70〜180デシテックスである。この理由は50デシテックス未満であれば、基材層(2)の強度が低下して破れやすくなり、また逆に200デシテックスを超えると、繊維に張りが出て、凹凸面(4)に追従できないと同時に粘着層(3)の接着力が低下するため貼着し難く、剥がれやめくれの原因となりいずれの場合も好ましくないからである。尚、デシテックスとは繊維10000mあたりの重量(g)をいう。
【0024】
この発明においては図3に示す如く基材層(2)のメッシュ部材の上に柄模様を有する装飾層(5)を積層することができる。柄模様を有する装飾層(5)に用いる素材は特に限定されないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂をシート状にして表面に印刷を施したものや、繊維をレースなどの柄に編んで装飾性を有する編物にしたもの等を積層することができる。特に、装飾層(5)には柔軟性、通気性を持ち、基材層(2)の性能を阻害しないため、図4に示す如く柄を編んだ編物を積層することが好ましい。これにより凹凸面用シート(1)の装飾性を上げることができる。
【0025】
この発明において基材層(2)または装飾層(5)に用いる繊維の素材は特に限定されないが、綿、コットン、麻、絹、ウール、パルプ、レーヨン、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラール、アラミド、無機繊維、ガラス繊維、金属繊維等を例示することができ、これら単体であっても2つ以上を混ぜ合わせても良い。特にポリエステルを100%使用することが好ましい。その理由は、耐久性に優れており繊維が千切れたりせず、特別な施工技術を要さなくとも簡単に貼着が可能であるからである。
【0026】
この発明において粘着層(3)の粘着剤としては特に限定されないが、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン、ポリアミド、シリコーン等を例示することができ、特にアクリル樹脂が好ましい。その場合の塗布量としては8〜50g/mdryであることが好ましく、より好ましくは20〜40g/mdryである。その理由は8g/mdry未満であると接着性が発揮されないためうまく貼着できず、逆に50g/mdryを超えると粘着層(3)がブリードし、またシートが重くなって剥がれやめくれの原因となりいずれの場合も好ましくないからである。
この発明において塗布量(g/mdry)とは、凹凸面用シートとして使用できる状態において、1mあたりの基材層(2)に塗工されている粘着層の乾燥重量(g)を示すものである。
【0027】
粘着剤の塗工方法としては1回塗工よりも2回塗工が好ましい。その理由は1回塗工の場合、粘着剤が基材層の編物に吸い込まれて、十分な接着力が得られず、シートが剥がれたり、めくれたりするため、1回塗工で十分な接着力を得るためには粘着剤の塗布量を増やす必要があり、この場合には粘着剤が基材層表面にブリードし装飾層を汚染したり、シートを剥がす際には粘着層の一部が残り、綺麗に剥がすことができない。これに対して2回塗工であると1回目の塗工で粘着剤がある程度吸い込まれ、2回目の塗工で粘着剤が基材層の編物に吸い込まれないため、少ない塗布量で凹凸面に貼着できるシートとなるからである。
【0028】
粘着層(3)は2回塗工が好ましいが、専用の塗工機が必要であるため、汎用的な塗工機を使用することができる1回塗工も使用することができる。
1回塗工する方法としては、図5に示す如く、汎用的な塗工機にて、粘着層(3)に厚さ5〜10μmの合成樹脂(3a)と、粘着剤(3b)の複合体を塗工する方法がある。前記方法を使用すれば、1回塗工であっても、粘着剤が基材層の編物に吸い込まれないため、少ない塗布量で凹凸面に貼着できるシートとなる。
【0029】
合成樹脂(3a)の素材としては特に限定されないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を例示することができ、特にポリエステル樹脂(PET樹脂等)が好ましい。合成樹脂(3a)の厚みとしては、1〜20μmが好ましく、より好ましくは3〜5μmである。この理由は、20μmよりも厚いと基材層(2)の柔軟性が無くなり、基材層(2)が凹凸面(4)に追従できず、凹凸面(4)と粘着層(3)の隙間に空気が入り込み凹凸面(4)に密着して貼り付けることができなくなり、また1μmよりも薄いと、基材層(2)と合成樹脂(3a)、または合成樹脂(3a)と粘着剤(3b)とが接着できなくなることがありいずれの場合も好ましくないからである。
粘着剤(3b)としては、特に限定されないがユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン、ポリアミド、シリコーン等を有機溶剤に溶解させたものを例示することができ、特にアクリル樹脂が好ましい。粘着剤(3b)の塗布量としては、8〜50g/mdryであることが好ましく、より好ましくは10〜40g/mdryである。その理由は8g/mdry未満であると接着力が弱くて良好に貼着できず、50g/mdryを超えると粘着層がブリードしたり、シートが重くなって剥がれやめくれの原因となるためいずれの場合も好ましくないからである。
【0030】
この発明において基材層(2)または装飾層(5)のいずれの繊維にも機能性の繊維を用いることができる。機能性の種類としては吸水性、乾燥性、防黴性、抗菌性、消臭性、虫忌避性、遮熱性、遮光性、防音性等を例示することができる。これらの機能性を繊維に付与する方法として、消臭性、抗菌性であれば基材層(2)及び/又は装飾層(5)に用いる繊維に消臭剤または抗菌剤を添加する方法等を例示できる。防黴性であれば繊維を予め防黴剤に含浸させて乾燥させる方法等を例示することができる。これにより本発明に係る凹凸面用シート(1)に黴が生育し難くなるため好ましい。
吸水性または乾燥性であれば、繊維に溝を入れる方法、繊維を緩く紡いで繊維の間に隙間を設ける方法、繊維を毛羽立たせる方法等を例示することができる。これによりガラス等に生じた結露を吸収することができるため好ましい。
遮熱性、遮光性、防音性であれば、無機物などの遮熱性、遮光性、防音性を有する薬剤を繊維に混合またはコーティングする方法等を例示することができる。これにより室内の急激な温度変化を防いだり、室内に入る光量を調節したり、防音できるため好ましい。
【0031】
粘着層(3)または粘着剤(3b)には紫外線吸収剤が付与されるのが好ましい。本発明のシートをガラスに貼着することで室内に入る紫外線を防止することができるからである。その方法としては予め紫外線吸収剤が練り込まれた粘着剤を用いる方法などを例示することができる。
【0032】
図6に示す如く、このような構成からなる凹凸面用シート(1)は窓(6)の凹凸ガラス面(7)の全面または一部に貼着することができる。また、凹凸ガラス面(7)と同様に表面に凹凸が施されている室内壁面(壁紙、繊維壁、土壁等)の全面または一部に貼着することもできる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を示すことにより本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0034】
[接着力及び作業性の評価]
下記の実施例と比較例のシートを、凹凸ガラスと室内壁面(壁紙)に貼着する際の作業性、貼着の状態及び、剥がした際の結果を表1に記載する。
(実施例)
実施例1は、0.1mmのメッシュ、厚み350μm、目付け50g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して10g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
実施例2は、1mmのメッシュ、厚み200μm、目付け100g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して20g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
実施例3は、10mmのメッシュ、厚み100μm、目付け200g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して20g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
実施例4は、0.1mmのメッシュ、厚み350μm、目付け50g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を1回塗工して20g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
実施例5は、0.1mmのメッシュ、厚み350μm、目付け50g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して5g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
実施例6は、0.1mmのメッシュ、厚み350μm、目付け50g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して60g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
【0035】
(比較例)
比較例1は、0.01mmのメッシュ、厚み350μm、目付け50g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して20g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
比較例2は、100mmのメッシュ、厚み100μm、目付け200g/m、繊維の単繊維繊度(単糸平均繊度)90デシテックスの編物の基材層に、アクリル樹脂の粘着剤を2回塗工して20g/mdry塗布した凹凸面用シートである。
【0036】
【表1】

(接着性)
○:貼着可能(剥がれたり、めくれたりしない。または剥がす時にも問題がない。)
△:貼着可能(わずかに剥がれたりめくれたりする。または、剥がす時にもわずかに問題がある)
×:貼着不可(剥がれたり、めくれたりする。または剥がす時に問題が発生する。)
(作業性)
○:作業が容易で貼着時に凹凸面シートがしわにもなり難い
△:作業はわずかに困難で凹凸面シートはしわになり難い
×:作業が困難で貼着時に凹凸面シートがしわになり易い
【0037】
(結果)
比較例1はシートが剥がれて、貼着できなかった。
比較例2はシートが伸びて、うまく貼着できなかった。
以上の結果から本発明の凹凸面用シートは、凹凸面に貼着することができ、且つ剥がす際には粘着剤がほとんど残ることなく、非貼着体を傷つけず綺麗に剥がすことができることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る凹凸面用シートは基材層と粘着層が接して設けられてなり、基材層に編物を用いることでシートを薄くすることができるとともに、シートを柔軟にすることができるため凹凸面に貼着した際、シートが凹凸面に追従し、粘着層全体で凹凸面に接着するため薄い粘着層でも貼り付けることができる。また、粘着層が薄いため剥がす際には容易に且つ綺麗に剥がすことができ、粘着剤が残ることなく、被貼着体を傷つけることがない。
【符号の説明】
【0039】
1 凹凸面用シート
2 基材層
3 粘着層
3a 合成樹脂
3b 粘着剤
4 凹凸面
5 装飾層
6 窓
7 凹凸ガラス面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と粘着層が接して設けられてなる凹凸面用シートであって、前記基材層がメッシュ状の編物であって、前記編物のメッシュの大きさが0.1〜10mmであり、前記凹凸面用シートの厚みが30〜500μmであることを特徴とする凹凸面用シート。
【請求項2】
前記基材層の上に柄を編んだ編物からなる装飾層を積層させていることを特徴とする請求項1に記載の凹凸面用シート。
【請求項3】
前記粘着層の粘着剤の塗布量が8〜50g/mdryであることを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸面用シート。
【請求項4】
前記粘着層が2回塗工であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の凹凸面用シート。
【請求項5】
前記編物が100%ポリエステル繊維で構成されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の凹凸面用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−136418(P2011−136418A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295801(P2009−295801)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000126528)株式会社アサヒペン (14)
【Fターム(参考)】