説明

出入管理用受信箱

【課題】カバーの揺動を安定させることのできる出入管理用受信箱を提供し、スイッチ動作の操作性,信頼性を向上させる。
【解決手段】被着体の取付穴に裏板11を固定する。一対のスイッチ31を離間して実装した回路基板13をパッキン15で覆い、スイッチ31に対応する一対の貫通穴55を有しパッキン15を覆うケース17と裏板11とで挟み固定する。一対のスイッチ31のそれぞれの側に揺動自在となるカバー19をケース17に支持する。貫通穴55に挿通したキートップ21の基端21aをパッキン15を介してスイッチ31に当接するとともに、先端をカバー19の背面19aに当接する。ケース17に、カバー19の揺動両側のそれぞれに対応して一対ずつスリット穴を穿設する。スリット穴を貫通した先端がカバー19の背面19aに当接する二対の弾性支持片25をパッキン15に突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠の解錠手段である接触IDキーやFeliCa(登録商標)カードの読み取り装置、所謂リーダとして用いられる出入管理用受信箱に関し、特に、付設される手動用揺動スイッチの作動信頼性を高める改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気錠の出入管理用受信箱は、扉や、開口部近傍の壁パネルや袖パネルに取り付けられ、電気錠と、操作盤等に接続される(例えば特許文献1参照)。出入管理用受信箱は、FeliCa(登録商標)カードや携帯電話等携帯情報端末に錠機能を持たせたキーモバイルシステム、タッチキー、或いはノンタッチキー等のユーザーの希望する多様なIDキーに対応可能であることが望ましい。さらに、これらIDキーと共に、手動による揺動スイッチとしての操作入力機能も有することがより望ましい。
【0003】
FeliCa(登録商標)カードやキーモバイルシステムからの信号送受信には、アンテナ、例えばループアンテナが必要となる。このアンテナは、出入管理用受信箱の表出面積の殆どに平面スペースを有して内蔵される。また、アンテナを内蔵する受信部分は、容易に視認できるようにある程度の大きさに形成される。一方、揺動スイッチも、操作性や視認性から可能な限り押下操作面を広く確保したい。このような要請から、出入管理用受信箱には、アンテナを背部に内蔵したケース表面に、揺動自在なスイッチカバーを備えた積層構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記出入管理用受信箱に付設される揺動スイッチは、解錠と施錠とが認識しやすいように、操作部となるカバーが、標示部などを有して大面積で形成される一方、スイッチ本体が、回路基板上に実装される電子部品であることから小形であり、接点も小さく、カバーと従動部となるスイッチ本体とのバランスが悪い。特にカバーの構成が、受信箱本体に対し遊びのある組み付け構造とされ、そのため、カバーの押下位置によってはモーメントが生じ、揺動軸方向の片側のみが片寄って沈み、所謂ガタのある構造となっており、その結果、小さなスイッチ本体の作動子が正規の方向に押下作動せず、押下不良や操作感が悪くなる虞があった。また、斜めになったまま押し続ける場合など使い方によって損傷の生じやすい不具合があった。なお、単にバネ部材等を内蔵するなどの設計変更では、最も表面に位置するカバーの背面にバネ座等の成形部が必要となり、カバーが透明樹脂部材である場合、意匠性、透光性、視認性などの妨げとなるヒケやソリが発生する虞もある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、カバーの揺動を安定させることのできる出入管理用受信箱を提供し、もって、がたつきの無いスイッチ動作の信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の出入管理用受信箱は、被着体の取付穴に固定される裏板11と、
一対のスイッチ31を離間して実装した回路基板13と、
前記裏板11とで該回路基板13を挟んで該回路基板13を覆う弾性材からなるパッキン15と、
前記スイッチ31に対応する一対の貫通穴55を有し該パッキン15を覆って前記裏板11に固定される箱状のケース17と、
前記一対のスイッチ31のそれぞれの側に揺動自在となって該ケース17に支持されるカバー19と、
前記貫通穴55に挿通され基端21aが前記パッキン15を介して前記スイッチ31に当接するとともに先端が前記カバー19の背面19aに当接するキートップ21と、
前記ケース17に、前記カバー19の揺動両側のそれぞれに対応して一対ずつ穿設されたスリット穴59と、
前記パッキン15に突設され該スリット穴59を貫通した先端25aが前記カバー19の背面19aに当接する二対の弾性支持片25と、
を具備したことを特徴とする。
【0008】
この出入管理用受信箱では、パッキン15に設けられた弾性支持片25が、ケース17のスリット穴59を貫通してカバー19の背面19aに弾性的に接触(弾接)し、カバー19の揺動両側が後退可能、すなわち押下操作可能な状態で、背面19aから押圧される。これにより、カバー19にがたつきがなくなるとともに、押下時に揺動中心軸両端のいずれか一方側に片寄って沈む傾斜が生じにくくなり、しかも、押下後の弾性復帰が確実となって、カバー19の揺動が安定、すなわち、操作性が向上する。
【0009】
請求項2記載の出入管理用受信箱は、請求項1記載の出入管理用受信箱であって、
前記一対のスイッチ31間における前記ケース17の両側板27に内側係合部29が形成され、
前記カバー19の両側板61に該内側係合部29と回動自在に係合する外側係合部63が形成されたことを特徴とする。
【0010】
この出入管理用受信箱では、揺動機構の構成部が側板27,61に集中し、カバー19の背面19aに構成部を成形せずにすむ。これにより、カバー19の背面19aに揺動機構の構成部を成形した場合の成形時のヒケやソリがカバー表面に発生しにくくなる。また、特に、カバー19を透明材料で形成し、カバー背面19aに照明光を導入する光透過表示構造を採用する場合、ヒケやソリの発生することに起因する表示品質の低下を防止できる。
【0011】
請求項3記載の出入管理用受信箱は、請求項1又は2記載の出入管理用受信箱であって、
前記パッキン15には前記スイッチ31に対面する面43の反対面45に凹部47が形成され、
前記キートップ21の基端21aが該凹部47に嵌合されたことを特徴とする。
【0012】
この出入管理用受信箱では、カバー19の揺動に連動して押圧されるキートップ21が、基端21aを凹部47に嵌入して保持される。これにより、凹部47の無い場合のキートップ基端21aの滑りによる位置ズレを防止し、カバー押下に伴って後退するキートップ21が正確にスイッチ31に当たる。
【0013】
請求項4記載の出入管理用受信箱は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の出入管理用受信箱であって、
前記回路基板13に発光素子が実装され、
前記カバー19及び前記パッキン15が透明材料からなり、
前記ケース17には前記発光素子に対応する位置に透孔が形成されたことを特徴とする。
【0014】
この出入管理用受信箱では、発光素子からの光がパッキン15を透過し、透孔を通過してカバー19の背面19aに入射する。入射した光はカバー19の表面より視認可能となる。このような光透過表示構造において、カバー19の背面19aを透明の弾性支持片25にて弾性的に支持することで、弾性を必須とする揺動復元手段をカバー表面から極力目立たなく構成できる。これにより、透明カバー表面の見栄えを低下させずにすむ。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の出入管理用受信箱によれば、一対のスイッチのそれぞれの側に揺動自在となるカバーをケースに支持し、ケースに穿設したスリット穴を貫通してカバーの背面に当接する二対の弾性支持片をパッキンに突設したので、回路基板上の小さな電子部品であるスイッチに対して大面積な操作部分である揺動するカバーの背面に、複数の弾性支持片が当接し、カバーのがたつきを無くし、このカバーの揺動を安定させ、操作性を向上させるとともに、スイッチ動作の信頼性を高めることができる。
【0016】
請求項2記載の出入管理用受信箱によれば、一対のスイッチ間におけるケースの両側板に内側係合部を形成するとともに、カバーの両側板に外側係合部を形成し、これら側板に設けた内外係合部を介してカバーを揺動自在に支持するので、揺動機構の構成部が側板に集中し、カバーの背面に構成部を成形せずにすみ、成形時のヒケやソリを発生しにくくして、カバー表面の見栄えを良好にすることができる。また、カバーを透明樹脂材とした場合に、カバー背面の形状が正面から透けて見えることが無く、意匠性を良好とする。
【0017】
請求項3記載の出入管理用受信箱によれば、パッキンにはスイッチに対面する面の反対面に凹部を形成し、この凹部にキートップの基端を嵌合するので、カバーの揺動に連動して押圧されるキートップを、凹部に保持して正確にスイッチに当てることができる。すなわち、凹部の無い場合のキートップ基端の滑りによる位置ズレを防止して、スイッチ押下動作の信頼性を高めることができる。
【0018】
請求項4記載の出入管理用受信箱によれば、回路基板に発光素子を実装し、カバー及びパッキンを透明材料にて形成し、ケースには発光素子に対応する位置に透孔を形成したので、カバーの背面を透明の弾性支持片にて弾性的に支持することにより、透明カバー表面からの見栄えを低下させずに、カバー揺動操作に伴うスイッチ動作の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る出入管理用受信箱の中央縦断面図である。
【図2】カバーとケースの分解斜視図である。
【図3】図1に示した出入管理用受信箱をカバー側から見た分解斜視図である。
【図4】図1に示した出入管理用受信箱を裏板側から見た分解斜視図である。
【図5】図1のA−A断面図である。
【図6】図1のB−B断面図である。
【図7】図1に示した出入管理用受信箱の弾性支持片位置での縦断面図である。
【図8】カバーの揺動状況を(a)(b)で表した中央縦断面図である。
【図9】カバーの揺動状況を(a)(b)で表した弾性支持片位置での縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る出入管理用受信箱の中央縦断面図である。
本実施の形態に係る出入管理用受信箱100は、電気錠の解錠手段であるIDキーの読み取り装置、所謂リーダとして用いられ、特に、付設される手動用揺動スイッチの作動信頼性を高める構成に特徴を有する。IDキーとしては、例えば、FeliCa(登録商標)カード、キーモバイルシステム、タッチキー、或いはノンタッチキー等が挙げられる。
【0021】
出入管理用受信箱100は、扉本体や開口部近傍の壁パネル,袖パネル等に取り付けられ、不図示の電気錠と、操作盤等に電気的にコネクタ接続される。出入管理用受信箱100は、裏板11と、回路基板13と、パッキン15と、ケース17と、カバー19と、キートップ21と、に大別構成される。
【0022】
図2はカバーとケースの分解斜視図である。
出入管理用受信箱100は、裏板11、回路基板13、パッキン15及びキートップ21の組み付けられたケース17の表面23側に、カバー19が揺動自在に取り付けられて組み立てられる。このケース17の表面23には、後に詳述するキートップ21と、パッキン15に突設された弾性支持片25とが突出し、これらキートップ21、弾性支持片25は、弾性材からなるパッキン15の弾性変形により後退、圧縮変形が可能となっている。
【0023】
カバー19は、ケース17の両側板27,27に突設されたリング状に形成される内側係合部29,29(背部側の他方は図4参照)に揺動自在に支持される。揺動したカバー19は、キートップ21を押圧し、押圧されたキートップ21はパッキン15を介し回路基板13上のスイッチ31を押下することとなる。
【0024】
図3は図1に示した出入管理用受信箱をカバー側から見た分解斜視図、図4は図1に示した出入管理用受信箱を裏板側から見た分解斜視図、図5は図1のA−A断面図である。
扉本体や袖パネル等の被着体に形成された取付穴(不図示)に固定される裏板11は、略矩形箱状に形成され開口周囲に鍔部33が形成される。鍔部33にはケース17を固定する複数のネジ挿通穴35が穿設される。裏板11の底板37には回路基板13からの不図示のケーブルを導出する開口部39が形成される。裏板11は、SPCCなどの金属板を板金加工や絞り加工して形成される。図3中、41は接地用のネジ固定部を示す。
【0025】
回路基板13は、裏板11とケース17の間に挟持固定される。回路基板13には一対のスイッチ31,31が離間して実装され、スイッチ31は作動子31a(図1参照)が押下されることで不図示の接点を閉じる。また、回路基板13には不図示の発光素子が実装される。発光素子は、例えば上側スイッチ31近傍の下方に上下一対設けることができる。
【0026】
パッキン15は、弾性材からなり、裏板11とで回路基板13を挟んで、回路基板13を覆う。本実施の形態では、パッキン15が透明な弾性材である例えばシリコンゴム等にて形成されている。パッキン15は、回路基板13側が開口する箱状に形成される。パッキン15の上下面のそれぞれには、回路基板13と反対側に先端部を鰭状に突出させる二対の弾性支持片25が突設されている。つまり、弾性支持片25は、上面の左右に二つ、下面の左右に二つの合計四つ設けられている。弾性支持片25は、パッキン15と一体に成形される。弾性支持片25は、後述するケース17のスリット穴59(図6参照)を貫通し、先端部25aがカバー19の背面に当接する。
【0027】
また、パッキン15にはスイッチ31,31に対面する面43(図4参照)の反対面45(図3参照)に凹部47が形成される。この凹部47には図1に示すように、キートップ21の基端21aが嵌合される。
【0028】
回路基板13とパッキン15との間には図4に示す矩形枠状のアンテナホルダ49が挟持される。アンテナホルダ49には不図示のループアンテナが装着される。アンテナホルダ49は、回路基板13と共にパッキン15によって覆われる。
【0029】
図6は図1のB−B断面図、図7は図1に示した出入管理用受信箱の弾性支持片位置での縦断面図である。
ケース17は、パッキン15を覆う矩形箱状に形成され、四隅に裏板11のネジ挿通穴35に挿通されたネジ36(図6参照)の螺合する雌ネジ付固定柱51を有する。つまり、回路基板13、アンテナホルダ49及びパッキン15は、裏板11とケース17にて挟持固定される。ケース17の表面23には上下方向の略中央部に、左右方向に延在して起立する図5に示す弧状片53が突設される。弧状片53は、カバー背面19aの湾曲率と同じ曲率で弧状に形成される。弧状片53は、カバー19の背面19aに接触しても非接触であってもよく、カバー19の押圧操作時における撓み防止、及び揺動支持部を兼ねるように働く。
【0030】
また、ケース17の表面23には図3に示す一対の貫通穴55,55が穿設され、貫通穴55,55はスイッチ31,31に対応する。図1に示すように、この貫通穴55にはキートップ21が貫通する。キートップ21は、基端21aの周囲に突設された鍔部57によって貫通穴55からカバー19側への抜けが規制される。
【0031】
さらに、ケース17には、カバー19の揺動両側(図3の上下側)のそれぞれに対応してスリット穴59,59が一対ずつ穿設されている。それぞれのスリット穴59,59,59,59からは、回路基板13を覆ったパッキン15の弾性支持片25が突出する。突出した弾性支持片25は、図6に示すように、先端25aがカバー19の背面19aに当接する。
【0032】
一対のスイッチ31,31間におけるケース17の両側板27,27には上記の内側係合部29,29が形成される。ケース17には、上記した発光素子に対応する位置に不図示の透孔が形成される。
【0033】
キートップ21は、貫通穴55に挿通され、基端21aがパッキン15の凹部47を介してスイッチ31に当接する。キートップ21は、基端21aが凹部47に嵌入した状態で、先端がカバー19の背面19aに当接する。
【0034】
カバー19は、表面中央部が左右両側よりも突出する湾曲面で形成される。カバー19の両側板61,61には、内側係合部29,29と回動自在に係合する外側係合部63,63が形成される。カバー19は、外側係合部63,63を、ケース17の内側係合部29,29に係合することで、一対のスイッチ31,31のそれぞれの側に揺動自在となってケース17に支持される。
【0035】
このカバー19は、透明樹脂材、例えば透明なポリカーボネート樹脂材よりなる。本実施の形態において、カバー19は、背面19aの上記透孔に対応する部分(透明窓部分)を除く範囲にシボ(乱反射用の微細凹凸)加工が施される。したがって、回路基板13上の発光素子から出射された光は、パッキン15を透過してケース17の透孔を通過し、カバー19のシボ加工のなされていない透明窓部分を透過して表側から視認可能となる。
【0036】
次に、上記のように構成される出入管理用受信箱の作用を説明する。
図8はカバーの揺動状況を(a)(b)で表した中央縦断面図、図9はカバーの揺動状況を(a)(b)で表した弾性支持片位置での縦断面図である。
出入管理用受信箱100では、裏板11、回路基板13、アンテナホルダ49、パッキン15、ケース17及びカバー19が組み立てられた状態で、ケース17のスリット穴59から突出した弾性支持片25がカバー19の背面19aに当接する。同時に、パッキン15の凹部47に基端21aを嵌入したキートップ21も、ケース17の貫通穴55を貫通してカバー19の背面19aに当接する。
【0037】
図8(a)に示すように、カバー19の上部側が押圧力Fにて押圧されると、カバー19が内側係合部29、外側係合部63を介して揺動し、上側のキートップ21が押される。上側のキートップ21が押されると、上側の凹部47を介して作動子31aが押下され、上側のスイッチ31の接点が閉じられる。この際、上側の一対の弾性支持片25,25は、図9(a)に示すように、スリット穴59に押し込まれる方向に弾性変形する。したがって、押圧力Fの印加が解除されれば、カバー19の上部側は、弾性支持片25,25の弾性復元力により押し戻され、カバー19は元の姿勢(図1に示す姿勢)に揺動復帰する。
【0038】
また、上記とは反対に図8(b)に示すように、カバー19の下部側が押圧力Fにて押圧されると、カバー19が内側係合部29、外側係合部63を介して揺動し、下側のキートップ21が押される。下側のキートップ21が押されると、下側の凹部47を介して作動子31aが押下され、下側のスイッチ31の接点が閉じられる。この際、下側の一対の弾性支持片25,25は、図9(b)に示すように、スリット穴59に押し込まれる方向に弾性変形する。したがって、押圧力Fの印加が解除されれば、カバー19の下部側は、弾性支持片25,25の弾性復元力により押し戻され、カバー19は元の姿勢(図1に示す姿勢)に揺動復帰する。
【0039】
このように、出入管理用受信箱100では、パッキン15に設けられた弾性支持片25が、ケース17のスリット穴59を貫通してカバー19の背面19aに弾性的に接触(弾接)し、カバー19の揺動両側が後退(押下操作)可能な状態で、背面から押圧される。これにより、カバー19にがたつきがなくなるとともに、押下時に揺動中心軸両端のいずれか一方側に片寄って沈む傾斜が生じにくくなり、しかも、押下後の弾性復帰が確実となって、カバー19の揺動が安定する。なお、揺動中心軸両端のいずれか一方側に片寄って沈む傾斜とは、例えばカバー19の四隅の何れかが押圧され、カバー19が歪むことにより発生する傾斜等を言う。
【0040】
また、揺動機構の構成部が両側板27,27に集中し、カバー19の背面19aに構成部を成形せずにすむ。これにより、カバー19の背面19aに揺動機構の構成部を成形した場合の成形時のヒケやソリがカバー表面に発生しにくくなる。また、特に、カバー19を透明材料で形成し、カバー背面19aに照明光を導入する光透過表示構造を採用する場合、ヒケやソリの発生することに起因する表示品質の低下を防止できる。このような透明材料としたカバー19に対して、背面19aから当接する部材である弾性支持片25が鰭状に形成され、またこの弾性支持片25が貫通するケース17の穴をスリット穴59としたことで、カバー19の正面側から見える形状が小さく且つ薄く細長い形状となり、目立つことなくカバー19を支持することとなる。
【0041】
さらに、カバー19の揺動に連動して押圧されるキートップ21が、基端21aを凹部47に嵌入して保持される。これにより、凹部47の無い場合のキートップ基端21aの滑りによる位置ズレを防止し、カバー押下に伴って後退するキートップ21が正確にスイッチ31に当たる。
【0042】
また、発光素子からの光がパッキン15を透過し、透孔を通過してカバー19の背面19aに入射する。入射した光はカバー19の表面より視認可能となる。このような光透過表示構造において、カバー19の背面19aを透明の弾性支持片25にて弾性的に支持することで、弾性を必須とする揺動復元手段をカバー表面から極力目立たなく構成できる。これにより、透明カバー表面の見栄えが低下しない構造にできる。
【0043】
したがって、本実施の形態による出入管理用受信箱100によれば、一対のスイッチ31,31のそれぞれの側に揺動自在となるカバー19をケース17に支持し、ケース17に穿設したスリット穴59を貫通してカバー19の背面19aに当接する二対の弾性支持片25,25をパッキン15に突設したので、揺動するカバー19の背面19aに複数の弾性支持片25,25が当接し、カバー19の揺動を安定させ、スイッチ動作の信頼性を高めることができる。
【0044】
そして、一対のスイッチ31,31間におけるケース17の両側板27,27に内側係合部29を形成するとともに、カバー19の両側板61,61に外側係合部63を形成し、これら側板に設けた内外係合部29,63を介してカバー19を揺動自在に支持するので、揺動機構の構成部が側板に集中し、カバー19の背面19aに構成部を成形せずにすみ、成形時のヒケやソリを発生しにくくして、カバー表面の見栄えを良好にすることができる。
【0045】
また、パッキン15にはスイッチ31に対面する面43の反対面45に凹部47を形成し、この凹部47にキートップ21の基端21aを嵌合するので、カバー19の揺動に連動して押圧されるキートップ21を、凹部47に保持して正確にスイッチ31に当てることができる。すなわち、凹部47の無い場合のキートップ基端21aの滑りによる位置ズレを防止して、スイッチ押下動作の信頼性を高めることができる。
【0046】
さらに、回路基板13に発光素子を実装し、カバー19及びパッキン15を透明材料にて形成し、ケース17には発光素子に対応する位置に透孔を形成したので、カバー19の背面19aを透明の弾性支持片にて弾性的に支持することにより、透明カバー表面からの見栄えを低下させずに、カバー揺動操作に伴うスイッチ動作の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
11…裏板
13…回路基板
15…パッキン
17…ケース
19…カバー
19a…カバーの背面
21…キートップ
21a…基端
25…弾性支持片
25a…スリット穴を貫通した先端
27…ケースの両側板
29…内側係合部
31…スイッチ
43…スイッチに対面する面
45…反対面
47…凹部
55…貫通穴
59…スリット穴
61…カバーの両側板
63…外側係合部
100…出入管理用受信箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の取付穴に固定される裏板と、
一対のスイッチを離間して実装した回路基板と、
前記裏板とで該回路基板を挟んで該回路基板を覆う弾性材からなるパッキンと、
前記スイッチに対応する一対の貫通穴を有し該パッキンを覆って前記裏板に固定される箱状のケースと、
前記一対のスイッチのそれぞれの側に揺動自在となって該ケースに支持されるカバーと、
前記貫通穴に挿通され基端が前記パッキンを介して前記スイッチに当接するとともに先端が前記カバーの背面に当接するキートップと、
前記ケースに、前記カバーの揺動両側のそれぞれに対応して一対ずつ穿設されたスリット穴と、
前記パッキンに突設され該スリット穴を貫通した先端が前記カバーの背面に当接する二対の弾性支持片と、
を具備したことを特徴とする出入管理用受信箱。
【請求項2】
請求項1記載の出入管理用受信箱であって、
前記一対のスイッチ間における前記ケースの両側板に内側係合部が形成され、
前記カバーの両側板に該内側係合部と回動自在に係合する外側係合部が形成されたことを特徴とする出入管理用受信箱。
【請求項3】
請求項1又は2記載の出入管理用受信箱であって、
前記パッキンには前記スイッチに対面する面の反対面に凹部が形成され、
前記キートップの基端が該凹部に嵌合されたことを特徴とする出入管理用受信箱。
【請求項4】
請求項1,2,3のいずれか1つに記載の出入管理用受信箱であって、
前記回路基板に発光素子が実装され、
前記カバー及び前記パッキンが透明材料からなり、
前記ケースには前記発光素子に対応する位置に透孔が形成されたことを特徴とする出入管理用受信箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−287536(P2010−287536A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142428(P2009−142428)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】