説明

出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラム

【課題】バリアブルデータを、負荷を分散させつつ高速に出力することができる出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムの提供。
【解決手段】バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する第1の装置と、前記バリアブルデータを処理する第2の装置と、を含むシステムにおける出力処理方法であって、前記第1の装置は、前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、当該出力形態での処理が可能な前記第2の装置に出力し、前記第2の装置は、前記出力形態毎のバリアブルデータをラスタライズしてページデータを作成し、当該ページデータを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムに関し、特に、バリアブル印刷で利用するバリアブルデータの出力を制御する出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固定データと可変データとを用いて多種類の印刷物を作成するバリアブル印刷と呼ばれる印刷機能を備えたプリンタや複合機などの画像形成装置(MFP:Multi Function Peripheral)が普及している。このバリアブル印刷では、固定データは再利用して、可変データのみを変えるだけでよいため、印刷処理が早いという特徴があり、例えば、背景画像は固定データとして使用し、顧客などのデータベースを可変データとして使用して、1枚ずつ違う内容の印刷をするダイレクトメール(DM)などに利用されている。
【0003】
また、印刷処理を早くする方法として、複数の画像形成装置が接続されているシステムでは、印刷ジョブを複数の画像形成装置で分散して処理させる、いわゆる分散印刷も行われている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、文書ごとに文書モニタというプロセスが動作して、現在利用可能なプリンタ資源の状況を調査し、印刷の要求を最適化するために、印刷する文書を複数の印刷ジョブとして分割する方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、複数ページを分割して複数の画像出力装置を用いて画像を出力する画像出力システムにおいて、第1制御装置に、複数ページにおける部品情報の重複の程度を判別する判別手段と、重複の程度の高いページ順に複数ページを分割する分割手段を備え、分割された複数のページごとに複数の画像出力装置のいずれかで画像を出力する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−110143号公報
【特許文献2】特開2007−226465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、バリアブル印刷はDM印刷の現場などでOne to Oneサービスとしてよく用いられているが、画像形成装置は様々な出力形態(FAXや電子メール、ディスク保存、ホームページへのアップロード等)をサポートしていることから、バリアブル印刷のデータ(以下、バリアブルデータと呼ぶ。)を印刷のみならず様々な用途に応じて出力することも考えられる。
【0008】
しかしながら、1台の画像形成装置で様々な出力形態に対応したデータを作成する場合、バリアブルデータをRIP(Raster Image Processor)処理してページデータを生成した後、解像度の変換等を行って各出力形態に対応したデータを生成することになるため、画像形成装置の負荷が大きくなると共に、送信するデータの容量も増加してしまい、高速な出力が困難になる。
【0009】
また、複数の画像出力装置で分散して出力する場合でも、全ての画像形成装置に同じバリアブルデータを送信すると、各画像形成装置では、そのバリアブルデータをどのように出力するかを判断しなければならないし、各画像形成装置で固定データのRIP処理が行われるため、トータルのRIP処理時間が長くなる。
【0010】
また、特許文献1のようにプリンタ資源の状況に基づいて複数ページに分割したり、特許文献2のように部品情報の重複の程度に基づいて複数ページに分割したりしても、出力形態に応じて処理を分散することはできない。
【0011】
このように、現状のバリアブル印刷は印刷に特化して利用されており、FAXや電子メールといった印刷以外の出力形態を考慮していないことから、バリアブルデータを、負荷を分散させつつ高速に出力する技術の提案が求められている。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、バリアブルデータを、負荷を分散させつつ高速に出力することができる出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する第1の装置と、前記バリアブルデータを処理する第2の装置と、を含むシステムにおける出力処理方法であって、前記第1の装置は、前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、当該出力形態での処理が可能な前記第2の装置に出力し、前記第2の装置は、前記出力形態毎のバリアブルデータをラスタライズしてページデータを作成し、当該ページデータを出力するものである。
【0014】
また、本発明は、バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する出力処理装置において、前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、ラスタライズ処理及び当該出力形態での処理が可能な装置に出力する制御を行うものである。
【0015】
また、本発明は、バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する装置で動作する出力処理プログラムであって、コンピュータを、前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、ラスタライズ処理及び当該出力形態での処理が可能な装置に出力する制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムによれば、バリアブルデータを、負荷を分散させつつ高速に出力することができる。
【0017】
その理由は、バリアブルデータを受信する出力処理装置(例えば、画像形成装置やコンピュータ端末)の制御部(出力制御プログラム)は、バリアブルデータの固定データ及び可変データを、RIP処理することなく、出力形態に応じて組み合わせ、出力形態毎のバリアブルデータとして出力する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例に係る出力処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】バリアブル印刷の出力例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る出力処理方法を模式的に示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るバリアブル印刷に利用するテーブルの構成例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係るバリアブルデータの構成例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係るバリアブルデータの再生成の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る出力処理方法の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術で示したように、DM印刷などでバリアブル印刷が用いられているが、印刷のみならず様々な用途に応じて出力する場合、1台の画像形成装置で処理すると高速な出力が困難になり、また、複数の画像出力装置を用いて処理する場合でもトータルのRIP処理時間が長くなるなどの問題が生じる。
【0020】
そこで、本発明の一実施形態では、配信元の装置(例えば、画像形成装置やコンピュータ端末)ではRIP処理を行わず、バリアブルデータの固定データ及び可変データを出力形態に応じて組み合わせ、出力形態毎のバリアブルデータとして出力し、各出力形態での処理が可能な送信先の装置(例えば、画像形成装置やRIPコントローラ)でRIP処理を行ってページデータを生成し、当該ページデータを出力することにより、負荷を分散させつつ高速に出力できるようにする。
【実施例】
【0021】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る出力処理方法及び出力処理装置並びに出力処理プログラムについて、図1乃至図10を参照して説明する。図1は、本実施例の出力処理システムの構成例を示す図であり、図2は、コンピュータ端末の構成、図3及び図4は、画像形成装置の構成を示す図である。また、図5は、バリアブル印刷の出力例を示す図であり、図6は、本実施例の出力処理方法を模式的に示す図である。また、図7は、バリアブル印刷に利用するテーブルの構成例を示す図であり、図8は、バリアブルデータの構成例を示す図である。また、図9は、バリアブルデータの再生成の一例を示す図であり、図10は、本実施例の出力処理手順を示すフローチャート図である。
【0022】
図1に示すように、本実施例の出力処理システムは、バリアブル印刷を指示するバリアブルデータを含む印刷ジョブを送信する1又は複数のコンピュータ端末10と、印刷ジョブを処理する複数の装置(本実施例では画像形成装置20とする。)とで構成され、複数の画像形成装置20は、印刷ジョブを受信し出力形態毎のバリアブルデータを再生成して出力する第1の画像形成装置20aと、出力形態毎のバリアブルデータを受信して処理する第2の画像形成装置20bとを含む。そして、これらはイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、電話回線等の通信ネットワーク30によって接続されている。
【0023】
また、図2に示すように、コンピュータ端末10は、制御部11と、表示部12と、操作部13などを備える。
【0024】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ11b、HDD(Hard Disk Drive)11c、通信I/F部11dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU11aは、各部の制御を行う。メモリ11bは、HDD11cや通信I/F部11dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分であり、記憶されたデータはCPU11aによって処理され、必要に応じてHDD11cや通信I/F部11dに転送される。HDD11cは、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、バリアブルデータにおける共通部分のデータ(固定データ)、可変部分のデータ(可変データ)などを格納し、CPU11aにより必要に応じて読み出され、メモリ11b上で実行処理される。通信I/F部11dは、通信ネットワーク30を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0025】
また、制御部11は、文書を作成するためのアプリケーションや文書の印刷を指示するプリンタドライバとして機能し、バリアブルデータに、出力形態を特定する情報(以下、出力形態情報と呼ぶ。)と必要に応じて出力先を特定する情報(以下、宛先情報と呼ぶ。)とを記録し、画像形成装置20で読み取り可能な言語(PCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL(Page Description Language))の印刷ジョブに変換して、通信I/F部11dを介して画像形成装置20に送信する。
【0026】
表示部12は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、印刷を指示するための画面等を表示する。
【0027】
操作部13は、表示部12上に表示された情報を操作したり、情報を入力したりする部分であり、ポインティングデバイス、キーボード、トラックボール、トラックパッド、タブレット、及びスタイラスペンなどで構成される。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、画像形成装置20(第1の画像形成装置20a及び第2の画像形成装置20b)は、制御部21と、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)22と、画像読取部23と、表示部24と、操作部25と、給紙部26と、画像形成部27と、後処理部28などを備える。
【0029】
制御部21は、各構成部を制御する部分で、CPU21a、ROMやRAMなどのメモリ21b、HDD21c、通信I/F部21dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU21aは各部の制御ならびに画像処理などを行う。メモリ21bは、HDD21c、画像読取部23、通信I/F部21dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分で、記憶されたデータはCPU21aによって画像処理され、必要に応じてHDD21cや画像形成部27に転送される。HDD21cは、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、固定データ、他の画像形成装置20の出力形態を特定する装置情報などを格納し、CPU21aにより必要に応じて読み出され、メモリ21b上で実行処理される。通信I/F部21dは、通信ネットワーク30を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0030】
また、第1の画像形成装置20aの制御部21は、印刷ジョブを解析して、バリアブルデータの固定データ及び可変データを特定すると共に、バリアブルデータに予め付加された出力形態情報(可変データや印刷指示情報が記録された部分、バリアブルデータに対応付けられたデータなどに記述された出力形態情報)に基づいて、固定データに出力形態に応じた可変データを組み合わせた出力形態毎のバリアブルデータを生成し、予め記憶した若しくは装置間の相互通信により予め取得した装置情報を参照して、各々の出力形態のバリアブルデータを当該出力形態での処理が可能な画像形成装置20(ここでは第2の画像形成装置20b)に送信する出力処理部としても機能する。この出力処理部はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、出力処理部として機能させる出力処理プログラムとして構成し、この出力処理プログラムを制御部21上で動作させる構成としてもよい。
【0031】
また、第2の画像形成装置20bの制御部21は、出力形態毎のバリアブルデータをRIP処理してページ毎の画像データ(ページデータ)を生成し、必要に応じて画像処理(サイズや解像度、白黒/カラー等の変換処理)やスクリーニングを行った後、ページデータを、画像形成部27に転送したり、宛先情報で特定される宛先に電話回線を利用してFAX送信したり、インターネットを利用して電子メールとして送信したり、宛先情報で特定される宛先(例えば、自装置のHDD21cや通信ネットワーク30を介してアクセス可能な他の画像形成装置やサーバなどの記憶装置)に保存したりする。
【0032】
ADF22は、単数もしくは複数枚の原稿用紙を自動で画像読取部23へ搬送する部分である。
【0033】
画像読取部23は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0034】
表示部24は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、画像形成装置20を操作するための各種画面を表示する。また、操作部25は、ボタンやスイッチ等からなり、各種設定や指示を行う。なお、表示部24と操作部25は別々の装置としても良いし、表示部24上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)25を設けた一体の装置としてもよく、タッチパネルの場合は、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部21に出力する。
【0035】
給紙部26は、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイで構成される。また、格納された用紙を画像形成部27へ送り出す部分を含む。
【0036】
画像形成部27は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素、例えば、感光体、転写ベルト、定着器、各種搬送ベルト等で構成され、制御部21で処理した画像データに基づいて、指定された用紙に画像を形成し、後処理部28に送り出す。
【0037】
後処理部28は、画像形成部27から搬送される用紙を、宛先毎に分類して出力する。また、制御部21からの指示により、パンチ・ステープル・製本などのユーザの希望するフィニッシング処理を加えて出力する。
【0038】
なお、図3及び図4は本実施例の画像形成装置20の一例であり、ADF22や画像読取部23、後処理部28は必ずしも必要ではない。
【0039】
また、本実施例では、固定データと可変データとを記憶するコンピュータ端末10上で印刷指示操作を行って第1の画像形成装置20aに可変データ(第1の画像形成装置20aが固定データを保持していない場合は固定データ及び可変データ)を含む印刷ジョブを送信して印刷要求を行う構成とするが、第1の画像形成装置20a上で印刷指示操作を行い、通信ネットワーク30に接続されるサーバ等の外部ストレージから可変データ(第1の画像形成装置20aが固定データを保持していない場合は固定データ及び可変データ)を取得して印刷処理を実行する構成としてもよく、その場合はコンピュータ端末10を省略することもできる。
【0040】
また、第1の画像形成装置20aでは、バリアブルデータに基づいてページデータを生成せず、出力形態毎のバリアブルデータを生成して出力すればよいことから、第1の画像形成装置20aに代えて、例えば、コンピュータ端末を利用することもできる。
【0041】
また、第2の画像形成装置20bでは、出力形態毎のバリアブルデータに基づいてページデータを生成するが、FAXや電子メール、ディスク保存などの出力形態の場合は第2の画像形成装置20bで印刷を実行する必要はないことから、第2の画像形成装置20bに代えて、例えば、RIPコントローラ等の制御装置を利用することもできる。
【0042】
以下、本実施例の出力処理システムの動作について説明する。
【0043】
まず、コンピュータ端末10の動作について、図5の出力例、図6のテーブルの構成例、図7のバリアブルデータの構成例を参照して説明する。
【0044】
コンピュータ端末10の制御部11(プリンタドライバ)は、表示部12上に所定の印刷設定画面を表示させ、ユーザにバリアブル印刷の設定を実行させる。
【0045】
ここで、アプリケーションにてバリアブルデータを含む印刷ジョブを作成するとき、バリアブルデータの可変データはエクセルファイルなどのデータベースに記述される。例えば、バリアブル印刷で図5のような出力を行う場合、図6に示すようなテーブルに、出力形態(ここでは印刷、FAX、E−mail、ディスク保存)を特定する出力形態情報や必要に応じて出力先を特定する宛先情報(FAXの場合は電話番号、E−mailの場合はアドレス、ディスク保存の場合はディレクトリ)を記述しておく。そして、プリンタドライバは、図7に示すように、バリアブルデータの可変データ(図7の破線枠内)のタグ<DOCUMENT>〜</DOCUMENT>に出力形態情報及び宛先情報を記述する。なお、出力形態情報及び宛先情報は、印刷指示情報が記録される部分(印刷ジョブのヘッダ部分)に記述してもよいし、バリアブルデータに対応付けられたデータに記述してもよい。
【0046】
そして、制御部11は、このバリアブルデータを含む印刷ジョブを通信I/F部11dを用いて、送信元の画像形成装置20(ここでは、第1の画像形成装置20a)に送信する。
【0047】
次に、第1の画像形成装置20aの動作について、図8の出力処理の模式図、図9のバリアブルデータの再生成例、図10のフローチャート図を参照して説明する。
【0048】
まず、図10のステップS101で、制御部21は、通信I/F部21dを用いて印刷ジョブを受信する。この印刷ジョブに含まれるバリアブルデータには、各出力形態に共通で使用する固定データと、出力形態毎に選択して使用する可変データとを含んでおり、可変データとして、例えば、担当者名(山田、加藤)と担当者欄の枠線の種類(実線、破線)、図形の種類(星、丸、三角)、住所、住所欄の色(橙、黄、水色、桃、黄緑、紫)が指定されている(図8の(1)参照)。なお、本明細書では住所欄の色を便宜上ハッチングの種類で区別している。
【0049】
次に、ステップS102で、制御部21(出力処理プログラム)は、印刷ジョブを解析し、可変データの中から、タグ<DOCUMENT>〜</DOCUMENT>に記述されている出力形態情報を抽出し、バリアブルデータで指定された出力形態を特定する。
【0050】
次に、ステップS103で、制御部21(出力処理プログラム)は、出力形態が印刷であるかを判断し、出力形態が印刷の場合は、ステップS104で、印刷出力用のバリアブルデータを生成する。ここでは、図7に示す固定データと、図6のテーブルの印刷に対応する可変データ(担当者名:加藤、担当者欄の枠線の種類:破線、図形の種類:星、住所:東京都八王子市、住所欄の色:黄緑)とを組み合わせたバリアブルデータを生成する(図8の(4)参照)。
【0051】
出力形態が印刷でない場合は、ステップS105で、制御部21(出力処理プログラム)は、出力形態がFAXであるかを判断し、出力形態がFAXの場合は、ステップS106で、FAX出力用のバリアブルデータを生成する。ここでは、図7に示す固定データと、図6のテーブルのFAXに対応する可変データ(担当者名:山田、担当者欄の枠線の種類:実線、図形:星と丸、住所:東京都港区と東京都杉並区、住所欄の色:橙と黄)とを組み合わせたバリアブルデータを生成する(図8の(2)及び図9左側参照)。
【0052】
出力形態が印刷及びFAXでない場合は、ステップS107で、制御部21(出力処理プログラム)は、出力形態がE−mailであるかを判断し、出力形態がE−mailの場合は、ステップS108で、E−mail出力用のバリアブルデータを生成する。ここでは、図7に示す固定データと、図6のテーブルのE−mailに対応する可変データ(担当者名:山田、担当者欄の枠線の種類:実線、図形:三角と星、住所:東京都渋谷区と神奈川県川崎市、住所欄の色:水色と桃)とを組み合わせたバリアブルデータを生成する(図8の(3)及び図9右側参照)。
【0053】
出力形態が印刷、FAX及びE−mailでない場合は、ステップS109で、制御部21(出力処理プログラム)は、出力形態がディスク保存であるかを判断し、出力形態がディスク保存の場合は、ステップS110で、ディスク保存用のバリアブルデータを生成する。ここでは、図7に示す固定データと、図6のテーブルのディスク保存に対応する可変データ(担当者名:加藤、担当者欄の枠線の種類:破線、図形:三角、住所:神奈川県横浜市、住所欄の色:紫)とを組み合わせたバリアブルデータを生成する(図8の(5)参照)。
【0054】
そして、ステップS111で、制御部21(出力処理プログラム)は、全ての出力形態に対する処理が終了したかを判断し、終了していなければステップS102〜S110の処理を繰り返す。全ての出力形態に対する処理が終了したら、ステップS112で、制御部21(出力処理プログラム)は、再生成したバリアブルデータが印刷用ならば第1の画像形成装置20aでそのまま出力(図8の(4−1)参照)し、FAX用ならば第2の画像形成装置20b(図8の画像形成装置A)へ、E−mail用ならば第2の画像形成装置20b(図8の画像形成装置B)へ、ディスク保存用ならば第2の画像形成装置20b(図8の画像形成装置C)や通信ネットワーク30に接続される他の記憶装置へ送信する。
【0055】
その後、再生成したバリアブルデータを受信した各々の第2の画像形成装置20bは、バリアブルデータをRIP処理してページデータを生成し、各出力形態に適応させてサイズや解像度、白黒/カラー等の変換を行って出力する。例えば、図8の画像形成装置Aは、バリアブルデータをRIP処理して2つのFAX用ページデータ(図8の(2−1)、(2−2)参照)を作成し、各々のページデータを可変データで指定された宛先(電話番号)に送信する。また、図8の画像形成装置Bは、バリアブルデータをRIP処理して2つのE−mail用ページデータ(図8の(3−1)、(3−2)参照)を作成し、各々のページデータを可変データで指定された宛先(アドレス)に送信する。また、図8の画像形成装置Cは、バリアブルデータをRIP処理してディスク保存用ページデータ(図8の(5−1)参照)を作成し、そのページデータを可変データで指定された宛先(ディレクトリ)に保存する。
【0056】
このように、第1の画像形成装置20aの制御部21(出力処理プログラム)は、受信したバリアブルデータをRIP処理することなく、固定データと可変データとを出力形態に応じて組み合わせて、出力形態毎のバリアブルデータを生成して第2の画像形成装置20bに出力する制御を行うため、バリアブルデータに基づく処理の負荷を複数の画像形成装置20に分散することができ、迅速に処理を実行することができる。
【0057】
なお、上記実施例では、第1の画像形成装置20aで印刷を実行する構成としたが、第1の画像形成装置20aの代わりにコンピュータ端末を利用する場合は、印刷用のバリアブルデータを第2の画像形成装置20bに出力し、第2の画像形成装置20bで印刷を実行する構成としてもよい。また、第1の画像形成装置20a及び第2の画像形成装置20bで実行する処理は任意であり、第1の画像形成装置20aでFAX送信やE−mail送信、ディスク保存等の処理を行ってもよい。
【0058】
また、上記実施例では、出力形態として印刷、FAX、E−mail、ディスク保存の4つを例にして説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、バリアブルデータを利用した任意の複数の出力形態の中から選択される2以上の出力形態に対して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、バリアブルデータを複数の装置で分散処理するシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 コンピュータ端末
11 制御部
11a CPU
11b メモリ
11c HDD
11d 通信I/F部
12 表示部
13 操作部
20 画像形成装置
21 制御部
21a CPU
21b メモリ
21c HDD
21d 通信I/F部
22 ADF
23 画像読取部
24 表示部
25 操作部
26 給紙部
27 画像形成部
28 後処理部
30 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する第1の装置と、前記バリアブルデータを処理する第2の装置と、を含むシステムにおける出力処理方法であって、
前記第1の装置は、
前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、当該出力形態での処理が可能な前記第2の装置に出力し、
前記第2の装置は、
前記出力形態毎のバリアブルデータをラスタライズしてページデータを作成し、当該ページデータを出力する、ことを特徴とする出力処理方法。
【請求項2】
前記第2の装置は、
前記出力形態毎のバリアブルデータに予め付加された宛先情報に基づいて、前記固定データと宛先毎の前記可変データとを組み合わせて宛先毎のページデータを作成し、各々の宛先のページデータを当該宛先に出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の出力処理方法。
【請求項3】
前記出力形態情報、又は、前記出力形態情報及び前記宛先情報は、各々の前記可変データに記述されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力処理方法。
【請求項4】
前記出力形態は、
印刷、FAX送信、電子メール送信、記憶装置への保存の中から選択される2以上の形態を含む、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の出力処理方法。
【請求項5】
バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する出力処理装置において、
前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、ラスタライズ処理及び当該出力形態での処理が可能な装置に出力する制御を行う、ことを特徴とする出力処理装置。
【請求項6】
前記出力形態情報は、各々の前記可変データに記述されている、ことを特徴とする請求項5に記載の出力処理装置。
【請求項7】
前記出力形態は、
印刷、FAX送信、電子メール送信、記憶装置への保存の中から選択される2以上の形態を含む、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の出力処理装置。
【請求項8】
バリアブル印刷で使用される固定データと複数の可変データと含むバリアブルデータを受信する装置で動作する出力処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記バリアブルデータに予め付加された出力形態情報に基づいて、前記固定データと出力形態毎の前記可変データとを組み合わせて出力形態毎のバリアブルデータを生成し、各々の出力形態のバリアブルデータを、ラスタライズ処理及び当該出力形態での処理が可能な装置に出力する制御部、として機能させる、ことを特徴とする出力処理プログラム。
【請求項9】
前記出力形態情報は、各々の前記可変データに記述されている、ことを特徴とする請求項8に記載の出力処理プログラム。
【請求項10】
前記出力形態は、
印刷、FAX送信、電子メール送信、記憶装置への保存の中から選択される2以上の形態を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の出力処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−191635(P2010−191635A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34559(P2009−34559)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】