説明

出力装置、情報処理システムおよび出力装置で実行されるプログラム

【課題】無線通信によるデータの出力の利便性を保ちつつ当該データが印刷された媒体からの機密情報の漏洩を防止できる出力装置、情報処理システムおよび出力装置で実行されるプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末装置120と非接触通信により通信し、互いに異なる通信範囲を有する複数の通信部を備える複合機100において、ブルートゥース通信部102は、携帯端末装置120との通信を確立し、データを受信し、判断部111は、携帯端末装置120からデータを受信したとき、データを受信したブルートゥース通信部102を複数の通信部の中から特定し、特定したブルートゥース通信部122に基づいて、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在しているか否かを判断し、許可部112は、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信したデータの出力を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置、情報処理システムおよび出力装置で実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器同士をBluetooth(R)規格等の無線通信で接続し、データを送受信する技術が一般的になっている。このような無線通信を利用した機器の接続では、利用者は、携帯電話網に加え、RFID(Radio Frequency Identification)、Bluetooth(R)、無線LAN、W−USB(Wireless USB)などの通信手段が搭載された携帯端末装置から、同様の通信手段を有するプリンタへ非接触通信でデータの印刷を指示することができることから利便性が高い。しかしながら、このような無線通信によるデータの印刷指示は、無線でデータの送受信が行なわれるため、携帯端末装置から印刷を指示できるプリンタが複数ある場合、その出力先を特定するのが困難である。また、利用者が意図しないタイミングでデータの印刷が開始されると、データが印刷された媒体から機密内容が漏洩するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、面倒な操作を行うことなく、機密内容の受信者の認証を行う画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。かかる画像形成装置では、パソコンから印刷データおよびユーザIDを受信し、受信したユーザIDと対応させて登録されているリンクキーを用いて接続認証が成立する携帯電話装置を検索する。さらに、接続認証が成立した当該携帯電話装置がピコネットエリア内に存在している場合に、印刷データを出力することにより、面倒な操作を行うことなく、画像形成処理を開始させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−150354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、画像形成装置に印刷を指示するパソコンと、接続認証される携帯電話装置とが一体ではないため、画像形成装置からデータの印刷を指示した後、携帯電話装置を持ってピコネットエリア内に移動する必要があり、利用者にとってはなお操作が面倒であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無線通信によるデータの出力の利便性を保ちつつ当該データが印刷された媒体からの機密情報の漏洩を防止できる出力装置、情報処理システムおよび出力装置で実行されるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、携帯端末装置と非接触通信により通信し、互いに異なる通信範囲を有する複数の通信手段を備える出力装置において、前記複数の通信手段は、前記携帯端末装置との通信を確立し、データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断手段と、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可手段と、前記許可手段によって出力を許可された前記データを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記判断手段は、特定した前記通信手段の通信範囲が前記所定の通信範囲に含まれる場合、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断すること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記通信手段ごとに前記通信手段の電波強度と、前記通信手段の通信範囲とを対応付けて記憶する距離記憶手段、をさらに備え、前記判断手段は、前記距離記憶手段から、特定した前記通信手段の電波強度に対応付けられた通信範囲を特定し、特定した前記通信範囲が前記所定の通信範囲に含まれる場合、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれか一つにかかる発明において、前記複数の通信手段の中の第1の通信手段は、前記データと共に前記出力装置が利用可能か否かを判定するための認証情報を、非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、前記携帯端末装置と通信する通信範囲が前記第1の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の第2の通信手段は、前記携帯端末装置が前記第2の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、前記第1の通信手段によって受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、前記判断手段により前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していないと判断された場合に、前記第1の通信手段により受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて前記記憶手段に格納する格納手段と、前記第2の通信手段により受信した前記認証情報と一致する前記認証情報が、前記記憶手段に記憶されているか否か、により前記携帯端末装置による前記出力装置の利用を認証する認証手段と、を備え、前記許可手段は、前記認証手段によって前記携帯端末装置による前記出力装置の利用が認証された場合に、認証に成功した前記認証情報に対応付けられた前記データの出力を許可すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる発明は、携帯端末装置と出力装置とを備え、前記携帯端末装置と前記出力装置の間を互いに異なる通信範囲の複数の通信手段で非接触通信により通信する情報処理システムであって、前記携帯端末装置は、前記出力装置との通信を確立し、前記データを非接触通信で前記出力装置に送信する複数の通信手段と、前記出力装置は、前記携帯端末装置との通信を確立し、前記データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信する複数の通信手段と、前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断手段と、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可手段と、前記許可手段によって出力を許可された前記データを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる発明において、前記携帯端末装置は、前記複数の通信手段の中の第1の通信手段は、前記データと共に前記出力装置が利用可能か否かの判定するための認証情報を、非接触通信で前記出力装置に送信し、前記出力装置と通信する通信範囲が前記第1の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の第2の通信手段は、前記出力装置が前記第2の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記出力装置に送信し、前記出力装置は、前記複数の通信手段の中の第3の通信手段は、前記データと共に前記認証情報を、非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、前記携帯端末装置と通信する通信範囲が前記第3の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の前記第4の通信手段は、前記携帯端末装置が前記第4の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、前記第3の通信手段によって受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、前記判断手段により前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していないと判断された場合に、前記第3の通信手段により受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて前記記憶手段に格納する格納手段と、前記第4の通信手段により受信した前記認証情報と一致する前記認証情報が、前記記憶手段に記憶されているか否か、により前記携帯端末装置による前記出力装置の利用を認証する認証手段と、を備え、前記許可手段は、前記認証手段によって前記携帯端末装置による前記出力装置の利用が認証された場合に、認証に成功した前記認証情報に対応付けられた前記データの出力を許可すること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項7にかかる発明は、携帯端末装置と非接触通信により通信し、互いに異なる通信範囲を有する複数の通信手段を備える出力装置で実行されるプログラムにおいて、前記複数の通信手段が、前記携帯端末装置との通信を確立し、データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信する通信ステップと、判断手段が、前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断ステップと、許可手段が、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可ステップと、出力手段が、前記許可ステップによって出力を許可された前記データを出力する出力ステップと、を前記出力装置で実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、データを送信した携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在していると判断された場合に、当該データの出力を許可するため、無線通信によるデータの出力の利便性を保ちつつ当該データが印刷された媒体からの機密情報の漏洩を防止できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる出力装置、情報処理システムおよび出力装置で実行されるプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
本実施の形態は、出力装置の一例として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像データ(スキャナ機能により読取られた画像データや、プリント機能により形成された画像データ、FAX機能により受信した画像データ)を配信する機能等を備えたいわゆる複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)に適用する。
【0017】
まず、本発明が適用される複合機および携帯端末装置を含む情報処理システムの構成例について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる情報処理システム10は、複合機100と、携帯端末装置120とを備え、複合機100と携帯端末装置120とは、複数の通信部によって通信可能である。また、複合機100は、ネットワーク130に接続され、ネットワーク130を介して他の複合機140やファクシミリ装置、クライアント端末装置等に接続されている。
【0018】
複合機100は、NFC通信部101と、ブルートゥース通信部102と、WiFi通信部103と、W−USB通信部104と、スキャナ部105と、格納部106と、プリンタ部107と、ファクシミリ送受信部108と、認証データ記憶部109と、認証部110と、判断部111と、許可部112と、距離記憶部113とを備えている。
【0019】
NFC通信部101は、NFC(Near Field Communication)と呼ばれる非接触ICなどを含む無線通信規格により携帯端末装置120と非接触で双方向通信するものであり、具体的には、後述する携帯端末装置のNFC通信部121からの情報を非接触で読み出す通信制御プログラムを内蔵したリーダ/ライタおよび/またはタグの機能を有する。NFC通信部101は、他の通信部であるブルートゥース通信部102、WiFi通信部103およびW−USB通信部104と比較して近距離、すなわち通信距離が0〜10数cmの非接触無線通信によりデータを送受信する。また、NFC通信部101によるNFC規格の非接触通信では、データ転送速度(100〜400kbps)がブルートゥース通信部102よるBluetooth(R)規格の無線通信のデータ転送速度(1〜2Mbps)よりも遅いため、比較的小容量のデータの通信に用いる。なお、NFC通信部101は、通信規格をNFCに限る必要はなく、比較的近距離、すなわち後述するBluetooth(R)規格の無線通信、W−USB(Wireless USB)規格の無線通信および無線LAN規格の方式の無線通信の通信範囲より狭い通信範囲での無線通信が可能であればIrDA(Infrared Data Association)など他の通信規格であってもよい。NFC通信部101は、本発明にかかる第1の通信手段を構成する。
【0020】
また、NFC通信部101は、携帯端末装置120がNFC通信部101の通信範囲内に存在した場合に、携帯端末装置120のNFC通信部121の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって携帯端末装置120のNFC通信部121との通信を確立し、携帯端末装置120から送信された認証IDを受信する。図2は、携帯端末装置120のNFC通信部121との通信を確立し、携帯端末装置120から認証IDを受信する処理の説明図である。図3は、NFCチップ(NFC通信部121)を内蔵する非接触式ICカード300がNFC通信部101との通信を確立し、非接触式ICカード300から認証IDを受信する処理の説明図である。図2および図3に示すように、携帯端末装置120または非接触式ICカード300がNFC通信部101の通信範囲200内に存在した場合に携帯端末装置120または非接触式ICカード300から認証IDを受信する。
【0021】
ここで、認証IDとは、携帯端末装置120からの指示による複合機100の利用を許可するか否かを判定するための情報(本発明にかかる認証情報)である。なお、認証IDは、携帯端末装置120に割当てられた固有の情報や携帯端末装置120を所持するユーザを識別する情報であってもよい。ユーザを識別する情報を用いる場合は、社員ID等の情報を用いてもよい。
【0022】
ブルートゥース通信部102は、Bluetooth(R)規格により携帯端末装置120と非接触で通信するものであり、携帯端末装置120がブルートゥース通信部102の通信範囲内に存在した場合に、携帯端末装置120のブルートゥース通信部122の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって携帯端末装置120のブルートゥース通信部122との通信を確立し、携帯端末装置120から送信されたデータを受信する。Bluetooth(R)規格の無線通信方式を採用したブルートゥース通信部102は、NFC規格の非接触通信方式のNFC通信部101と比較して大容量かつ高速(1〜10Mbps)でデータの送受信を行う。また、Bluetooth(R)規格の無線通信方式を採用したブルートゥース通信部102では、機器間の距離が10m以内であれば障害物があっても利用することができ、NFC規格の通信方式の通信範囲に比べて通信範囲が長くなっている。
【0023】
ブルートゥース通信部102は、具体的には、データの送受信を担うBluetooth(R)規格のトランシーバ等のBluetooth(R) I/F(インタフェース)と、電波強度を測定する電波強度計と、通信制御部とから構成される。Bluetooth(R) I/Fは、接続先の携帯端末装置120との間でデータの送受信を担うものである。電波強度計は、Bluetooth(R) I/Fを介して、携帯端末装置120から放射された電波強度を測定するものである。通信制御部は、携帯端末装置120との間でデータを送受信する際に、Bluetooth(R) I/Fを介して、Bluetooth(R)規格の無線通信を確立する処理を行う通信制御プログラムである。なお、送受信されるデータは、画像データや文書データ、テキストデータ、その他様々な種類のデータのいずれであってもよい。
【0024】
WiFi通信部103は、IEEE802.11a/IEEE802.11b/IEEE802.11n/IEEE802.11gなどいわゆる無線LAN規格の方式により非接触通信で通信するものであり、携帯端末装置120がWiFi通信部103の通信範囲内に存在した場合に、携帯端末装置120のWiFi通信部123の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって携帯端末装置120のWiFi通信部123との通信を確立し、携帯端末装置120から送信されたデータを受信する。無線LAN規格の方式を採用したWiFi通信部103は、Bluetooth(R)規格の無線通信方式のブルートゥース通信部102と同様、NFC規格の非接触通信方式のNFC通信部101と比較して大容量かつ高速(1〜2Mbps)でデータの送受信を行う。また、無線LAN規格の方式を採用したWiFi通信部103では、機器間の距離が100m以内であれば利用することができ、NFC規格の通信方式の通信範囲に比べて通信範囲が長くなっている。なお、無線LAN規格の方式を採用したWiFi通信部103の通信可能距離は、機器間の障害物、電波状況、壁の材質など周囲の状況によって短くなることがある。
【0025】
WiFi通信部103は、具体的には、データの送受信を担うIEEE802.11a/IEEE802.11b規格のネットワークボード等のIEEE802.11a/IEEE802・11b I/F(インターフェース)と、通信制御部とから構成される。なお、WiFi通信部103は、電波強度計を備えていない。これは、無線LAN規格の方式による非接触通信は、通信可能距離が周囲の状況によって変化し、電波強度から機器間の距離を特定することが困難なためである。IEEE802.11/IEEE802.11b I/Fは、接続先の携帯端末装置120との間でデータの送受信を担うものである。通信制御部は、携帯端末装置120との間でデータを送受信する際に、IEEE802.11/IEEE802.11b I/Fを介して、IEEE802.11/IEEE802.11b規格の無線通信を確立する処理を行う通信制御プログラムである。なお、送受信されるデータは、画像データや文書データ、テキストデータ、その他様々な種類のデータのいずれであってもよい。
【0026】
W−USB通信部104は、Wireless USB規格のUWB(Ultra Wide Band)デバイスにより非接触通信で通信するものであり、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在した場合に、携帯端末装置120のW−USB通信部124の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって携帯端末装置120のW−USB通信部124との通信を確立し、携帯端末装置120から送信されたデータを受信する。UWBデバイスを採用したW−USB通信部104は、UWB通信方式で機器間の距離が3m以内なら有線のUSB2.0と同等の480Mbpsでの通信が可能である。なお、UWBデバイスを採用したW−USB通信部104は、位置検出の精度が高く、誤差が数cm内である。
【0027】
W−USB通信部104は、具体的には、データの送受信を担うWireless USB規格のUWBデバイス等のW−USB I/F(インターフェース)と、通信制御部とから構成される。なお、W−USB通信部104は、WiFi通信部103と同様、電波強度計を備えていない。これは、Wireless USB規格の非接触通信は、通信範囲が狭く、携帯端末装置120を所持する利用者が複合機100の近くにいる。そのため、電波強度に基づいて機器間の距離を特定して、携帯端末装置120が複合機100に存在しているか否かを判断する必要がないからである。W−USB I/Fは、接続先の携帯端末装置120との間でデータの送受信を担うものである。通信制御部は、携帯端末装置120との間でデータを送受信する際に、W−USB I/Fを介して、Wireless USB規格の無線通信を確立する処理を行う通信制御プログラムである。なお、送受信されるデータは、画像データや文書データ、テキストデータ、その他様々なデータのいずれであってもよい。
【0028】
判断部111は、携帯端末装置120からデータを受信したとき、当該データを受信した通信部を、ブルートゥース通信部102、WiFi通信部103およびW−USB通信部104の中から特定し、特定した通信部に基づいて、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する。具体的には、判断部111は、データの送信元の通信部を特定する。ここで、所定の通信範囲とは、出力を指示した携帯端末装置120を所持する利用者から目の届く範囲であり、本実施の形態では、W−USB通信部104の通信範囲を所定の通信範囲とする。具体的には、W−USB通信部104の通信可能距離(3m)を所定の通信範囲とする。
【0029】
具体的には、特定した通信部の通信範囲がW−USB通信部104の通信範囲に含まれるか否かにより、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する。図4は、データを受信した通信部としてW−USB通信部104が特定された場合の一例を示す説明図である。図4に示すように、データを受信した通信部としてW−USB通信部104が特定された場合、W−USB通信部104の通信範囲(3m以内)は、所定の通信範囲(3m以内)400に含まれるため、携帯端末装置120が所定の通信範囲400内に存在していると判断する。一方、図5は、データを受信した通信部としてブルートゥース通信部102が特定された場合の一例を示す説明図である。図5に示すように、データを受信した通信部としてブルートゥース通信部102が特定された場合、ブルートゥース通信部102の通信範囲(10m以内)は、所定の通信範囲(3m以内)に含まれないため、携帯端末装置120が所定の通信範囲400内に存在していないと判断する。なお、複合機100は、携帯端末装置120が所定の通信範囲400内に存在していないと判断された場合、受信したデータと、当該データと共に受信した認証IDとを対応付けて格納する。
【0030】
また、データを受信した通信部が機器間の通信可能距離を特定することができる通信手段を有している場合は、通信可能距離に基づいて携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断することができる。判断部111は、距離記憶部113から、データを受信した通信部の電波強度に対応付けられた通信範囲を特定し、特定した通信範囲が所定の通信範囲に含まれる場合、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していると判断する。具体的には、ブルートゥース通信部102により測定された電波強度に対応付けられた通信可能距離を、後述する距離記憶部113から特定し、特定した通信可能距離がW−USB通信部103の通信可能距離である3mより短い場合、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していると判断する。
【0031】
距離記憶部113は、ブルートゥース通信部102の電波強度と、ブルートゥース通信部102の通信範囲とを対応付けて記憶する。なお、本実施の形態では、ブルートゥース通信部102の電波強度と通信範囲とを対応付けて記憶しているが、これに限定するものではない。例えば、他の通信部(WiFi通信部102等)が電波強度計を有している場合には、通信部ごとに通信部の電波強度と、通信部の通信範囲とを対応付けて記憶してもよい。
【0032】
図6は、距離記憶部113のデータ構成の一例を示す説明図である。距離記憶部113は、Bluetooth(R)規格の無線通信方式の電波強度(dB)と、Bluetooth(R)規格の無線通信方式の通信可能距離(m)とを対応付けて記憶している。図6に示すように、Bluetooth(R)規格の無線通信方式の通信可能距離は、ブルートゥース通信部102が計測した電波強度に応じて変化する。なお、通信可能距離に対応付けて記憶された通信可能距離は、経験則により算出された値であり、周囲の状況によって変化するものである。
【0033】
格納部106は、判断部111により携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していないと判断された場合に、受信したデータと認証情報とを対応付けて認証データ記憶部109に格納する。具体的には、受信したデータと共に認証IDを受信したか否かを判断し、当該データと共に認証IDを受信した場合は、データと認証IDとを対応付けて認証データ記憶部109に格納する。なお、データと共に認証IDを受信しなかった場合、格納部106は、データを認証データ記憶部109に格納せず、プリンタ部107に対してデータの印刷を指示するものとする。
【0034】
認証部103は、携帯端末装置120によって送信された認証IDが複合機100の利用を認められる認証IDであるか否かを判断する。具体的には、NFC通信部101によって受信した認証IDに一致する認証IDが認証データ記憶部109に格納されているか否かによって認証を行う。
【0035】
認証データ記憶部109は、ブルートゥース通信部102、WiFi通信部103、またはW−USB通信部104により受信したデータと、複合機100を利用できるか否かを判断するための認証データと、を対応付けて記憶する。図7は、認証データ記憶部109のデータ構成の一例を示す説明図である。認証データ記憶部109は、受信したデータと認証IDとを対応付けて記憶している。図7に示すように、認証ID“person1”はデータ“資料.pdf”と対応付けて記憶されている。また、認証ID“person2”はデータ“プレゼン.ppt”と対応付けて記憶されている。
【0036】
許可部112は、判断部111により携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信したデータの出力を許可する。具体的には、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、プリンタ部107に受信したデータの印刷を指示する。
【0037】
また、許可部112は、認証部110によって携帯端末装置120による複合機100の利用が認証された場合に、認証に成功した認証IDに対応付けられたデータの出力を許可する。具体的には、認証データ記憶部109から、認証に成功した認証IDに対応付けられたデータを取得し、プリンタ部107に取得したデータの印刷を指示する。
【0038】
なお、本実施の形態では、携帯端末装置120が所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、プリンタ部107に対して出力を指示することとしたが、これに限定するものではない。例えば、複合機100が電子ペーパーや表示装置などの表示手段と接続されている場合には、表示手段に対してデータの表示を指示してもよい。
【0039】
プリンタ部107は、許可部112によって出力を許可されたデータを印刷する。
【0040】
スキャナ部105は、CCD(Charge Coupled Devices)等のような撮像素子で原稿を読み取る。なお、スキャナ部105には、ADF(Auto Document Feeder)を搭載して、自動原稿送りを行う機構を設けてもよい。
【0041】
ファクシミリ送受信部108は、スキャナ部105によって読込まれたデータや携帯端末装置120から送信されたデータを、ネットワークを介して他の複合機140やファクシミリ装置、クライアント端末などに送信する。また、ファクシミリ送受信部108は、他の複合機140やファクシミリ装置、クライアント端末から送信されたデータを受信する。
【0042】
次に、携帯端末装置120について説明する。携帯端末装置120は、NFC通信部121と、ブルートゥース通信部122と、WiFi通信部123と、W−USB通信部124と、データ記憶部125とを備えている。なお、携帯端末装置120は、具体的には携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートPC、携帯型情報記憶媒体等である。
【0043】
NFC通信部121は、携帯端末装置120が複合機100のNFC通信部101の通信範囲内に存在した場合に、複合機100のNFC通信部101の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって複合機100のNFC通信部101との通信を確立し、携帯端末装置120から複合機100を利用するための認証IDを送信する。
【0044】
具体的には、NFC通信部121は、タグと、通信の確立やデータの送受信を制御する通信制御プログラムとを内蔵したNFCチップであり、このタグに上記認証IDが記憶されている。このNFC通信部121が複合機100に近接し、複合機100の通信範囲内にNFC通信部121が存在すると、通信が確立され複合機100のNFC通信部(リーダ/ライタ)101によってタグ内の情報が読み取られることにより送信されるようになっている。
【0045】
なお、この場合には、図8に示すように、タグと通信制御プログラムとを内蔵したNFC通信部(NFCチップ)121を非接触式ICカード300に保存しておき、携帯端末装置120の本体と独立して、認証IDを複合機100に送信する構成としてもよい。図8は、携帯端末装置120の本体と独立して非接触式ICカード300を設けた情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0046】
なお、本実施の形態では、携帯端末装置120のNFC通信部121に認証IDを記憶したタグを設け、複合機100のNFC通信部101をリーダ/ライタとして構成したが、これに限定されるものではない。携帯端末装置120のNFC通信部121をリーダ/ライタとし、複合機100のNFC通信部101をタグとして構成してもよい。この場合には、複合機100のNFC通信部101に認証IDを記憶しておき、携帯端末装置120のNFC通信部121をNFC通信部101に近接させて通信を確立し、図示しない制御部によって、NFC通信部101の認証IDをNFC通信部121に転送し、NFC通信部121のリーダ/ライタによって、転送された認証IDを携帯端末装置120の制御部で処理するように構成すればよい。また、携帯端末装置120のNFC通信部121と複合機100のNFC通信部101の両方にタグとリーダ/ライタの両機能を設けるように構成してもよい。
【0047】
ブルートゥース通信部122は、複合機100のブルートゥース通信部102の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって複合機100のブルートゥース通信部102との通信が確立した場合は、データ記憶部125に格納されているデータおよび認証IDを複合機100に送信する。
【0048】
WiFi通信部123は、複合機100のWiFi通信部103の通信制御プログラムと同じ通信プロトコルによって複合機100のWiFi通信部103との通信が確立した場合は、データ記憶部105に格納されているデータおよび認証IDを複合機100に送信する。
【0049】
W−USB通信部124は、複合機100のW−USB通信部104の通信制御プログラムと同じ通信プログラムによって複合機100のW−USB通信部104との通信が確立した場合は、データ記憶部105に格納されているデータおよび認証IDを複合機100に送信する。
【0050】
データ記憶部125は、複合機100に出力を指示するアプリケーション(以下、出力アプリケーションとする)、複合機100から出力するデータおよび認証IDを格納する。例えば、送信されるデータは、画像データや文書データ、テキストデータ、その他様々な種類のデータのいずれであってもよい。
【0051】
次に、以上のように構成されている複合機100によるデータ出力処理について説明する。図9は、複合機100が行うデータ出力の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
まず、複合機100は、ブルートゥース通信部102、WiFi通信部103、またはW−USB通信部104により携帯端末装置120からデータを受信する(ステップS901)。携帯端末装置120からデータを受信すると、判断部111は、ブルートゥース通信部102、WiFi通信部103、およびW−USB通信部104の中から、データを受信した通信部を特定する(ステップS902)。
【0053】
データを受信した通信部としてW−USB通信部104を特定した場合、判断部111は、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していると判断し、許可部112に対して受信したデータの出力を要求する(ステップS902:W−USB通信部)。判断部111からデータの出力が要求されると、許可部112は、受信したデータの出力(印刷)をプリンタ部107に指示する(ステップS903)。
【0054】
一方、データを受信した通信部としてブルートゥース通信部102を特定した場合、判断部111は、距離記憶部113から、ブルートゥース通信部102の電波強度に対応付けられた通信可能距離を特定し、特定した通信可能距離がW−USB通信部104の通信可能距離より短いか否かを判断する(ステップS904)。ここで、特定した通信可能距離がW−USB通信部104の通信可能距離以上の場合、判断部111は、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していないと判断し(ステップS904:No)、ステップS905へ進む。一方、特定した通信可能距離がW−USB通信部104の通信可能距離より短い場合(ステップS904:Yes)、判断部111は、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していると判断し、許可部112に対して受信したデータの出力を要求し、ステップS903へ進む。
【0055】
一方、データを受信した通信部としてWiFi通信部103を特定した場合、判断部111は、WiFi通信部103の通信範囲がW−USB通信部104の通信範囲に含まれないため、携帯端末装置120がW−USB通信部の通信範囲内に存在していないと判断し(ステップS902:WiFi通信部)、ステップS905へ進む。
【0056】
判断部111によって携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していないと判断された場合(ステップS902:WiFi通信部、ステップS904:No)、格納部106は、データと共に認証IDを受信しているか否かを判断する(ステップS905)。ここで、データと共に認証IDを受信していなかった場合(ステップS905:No)、格納部106は、許可部112に対して受信したデータの出力を要求し、ステップS903へ進む。
【0057】
一方、データと共に認証IDを受信していた場合(ステップS905:Yes)、NFC通信部101は、携帯端末装置120からの認証IDの受信を待って待機する(ステップS906)。携帯端末装置120から認証IDを受信した場合(ステップS907:Yes)、認証部110は、受信した認証IDと一致する認証IDが認証データ記憶部109に格納されているか否かにより認証を行う(ステップS908)。認証IDの認証に成功した場合(ステップS908:Yes)、認証部110は、許可部112に対して受信したデータの出力を要求する。許可部112は、認証に成功した認証IDに対応付けられたデータを取得し、プリンタ部107に取得したデータの印刷を指示する(ステップS903)。
【0058】
次に、以上のように構成されている携帯端末装置120から複合機100へデータの出力を指示する処理について図10を用いて説明する。図10は、携帯端末装置120が行う出力指示の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
まず、利用者は、携帯端末装置120の図示しない操作部を操作して通信制御プログラムを起動させる。通信制御プログラムは、まず、図示しない表示部にデータ記憶部125に格納されたデータの一覧を表示し、複合機100へ送信するデータの選択を受け付ける(ステップS1001)。次に、通信制御プログラムは、選択されたデータの送信に用いる通信部および当該通信部によりデータを送信する複合機100の選択を受け付ける(ステップS1002、ステップS1003)。
【0060】
選択された通信部は、選択された複合機100へデータおよび認証IDを送信する(ステップS1004)。なお、利用者は、送信するデータと共に認証IDを送信するか否かを任意に設定できるものとする。利用者によって認証IDが設定されなかった場合、通信部は、データのみを複合機100へ送信するものとする。
【0061】
そして、複合機100へデータの送信後、複合機100においてデータの出力処理が行われなかった場合、利用者は、複合機100へ接近してNFC通信部121から認証IDを送信する(ステップ1005)。
【0062】
ここで、NFC通信部121により複合機100へ認証IDを送信する処理について図11〜13を用いて説明する。図11は、携帯端末装置120から複合機100へ認証IDを送信する処理手順を示すフローチャートである。図12は、携帯端末装置120の図示しない表示部に表示されるメッセージの一例を示す説明図である。図13は、携帯端末装置120の図示しない表示部に表示されるメッセージの一例を示す説明図である。なお、通信制御プログラムは、複合機100へのデータの送信後、一旦終了したものとする。
【0063】
まず、利用者は、携帯端末装置120の図示しない操作部を操作して、出力アプリケーションを起動させる(ステップS1101)。出力アプリケーションは、まず、携帯端末装置120がNFC通信部121を内蔵しているか否かを判断する(ステップS1102)。
【0064】
ここで、携帯端末装置120がNFC通信部121を内蔵していた場合(ステップS1102:Yes)、出力アプリケーションは、内蔵するNFC通信部121が備えるタグから認証IDを読込む(ステップS1103)。次に、出力アプリケーションは、携帯端末装置120の図示しない表示部に図12に示すメッセージを表示して、複合機100へ送信する認証IDを決定する(ステップS1105)。複合機100へ送信する認証IDが決定すると、NFC通信部121は、当該認証IDを複合機100へ送信する。
【0065】
一方、携帯端末装置120がNFC通信部121を内蔵していなかった場合(ステップS102:No)、出力アプリケーションは、携帯端末装置120の図示しない表示部に図13に示すメッセージを表示して、利用者に認証IDの入力を促す(ステップS1104)。認証IDが入力されると、出力アプリケーションは、非接触式ICカード300に内蔵されるタグに認証IDを格納して、複合機100へ送信する認証IDを決定する(ステップS1105)。タグに認証IDが格納されると、非接触式ICカード300のNFC通信部121は、当該認証IDを複合機100へ送信する。
【0066】
このように、複合機100が携帯端末装置120からデータを受信し、受信した通信部の通信範囲に基づいて、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在しているか否かを判断し、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在している場合、受信したデータの印刷を実行するため、無線通信によるデータの出力の利便性を保ちつつ印刷された媒体からの機密情報の漏洩を防止することができる。また、携帯端末装置120がW−USB通信部104の通信範囲内に存在していない場合、データと、当該データと共に受信した認証IDとを対応付けて記憶し、携帯端末装置120がNFC通信部101の通信範囲に存在した場合に、携帯端末装置120から認証IDを受信し、認証に成功した場合に当該認証IDと対応付けて記憶されたデータを出力するため、利用者が意図しないタイミングや複合機でデータが出力されることを防止することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、複合機100で利用する機能として、プリント機能を一例として説明したが、このほかにも複合機100が備える機能、例えばFAX機能等を利用してもよい。例えば、FAX機能を利用する場合は、携帯端末装置120のデータ記憶部125に格納しているデータを複合機100に送信し、データを他の複合機140やファクシミリ装置に送信するようにしてもよい。
【0068】
次に、複合機100のハードウェア構成を説明する。図14は、本実施の形態にかかる複合機のハードウェア構成を示す説明図である。図14に示すように、デジタル複合機100は、コントローラ510とプリンタ部107およびスキャナ部105とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ510は、デジタル複合機100全体の制御と描画、通信、操作部520からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部107またはスキャナ部105には、2値化を行う誤差拡散や階調の補正を行うガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。操作部520は、スキャナ部105で読み取られた原稿の原稿画像情報等をLCD(Liquid Crystal Display)に表示するとともに操作者からの入力をタッチパネルを介して受け付ける操作表示部520aと、操作者からのキー入力を受け付けるキーボード部520bとを有している。
【0069】
本実施の形態にかかるデジタル複合機100は、操作部520のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能を切り替えて選択することが可能となっている。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、スキャナ機能の選択時にはスキャナモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0070】
コントローラ510は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)511と、システムメモリ(MEM−P)512と、ノースブリッジ(NB)513と、サウスブリッジ(SB)514と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)516と、記憶部であるローカルメモリ(MEM−C)517と、記憶部であるハードディスクドライブ(HDD)518とを有し、NB513とASIC516との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス515で接続した構成となる。また、MEM−P512は、ROM(Read Only Memory)512aと、RAM(Random Access Memory)512bとをさらに有する。
【0071】
CPU511は、デジタル複合機100の全体制御を行うものであり、NB513、MEM−P512およびSB514からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0072】
NB513は、CPU511とMEM−P512、SB514、AGPバス515とを接続するためのブリッジであり、MEM−P512に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0073】
MEM−P512は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM512aとRAM512bとからなる。ROM512aは、CPU511の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM512bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0074】
SB514は、NB513とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB514は、PCIバスを介してNB513と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部580なども接続される。
【0075】
ASIC516は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス515、PCIバス、HDD518およびMEM−C517をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC516は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC516の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C517を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部107やスキャナ部105との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC516には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)530、USB(Universal Serial Bus)540、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース550が接続される。
【0076】
MEM−C517は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD518は、画像データの蓄積、CPU511の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0077】
AGPバス515は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P512に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0078】
なお、本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0079】
さらに、本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の複合機100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0080】
本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、上述した各部(NFC通信部、ブルートゥース通信部、WiFi通信部、W−USB通信部、格納部、認証データ記憶部、認証部、判断部、許可部、距離記憶部、ファクシミリ送受信部など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、NFC通信部、ブルートゥース通信部、WiFi通信部、W−USB通信部、格納部、認証データ記憶部、認証部、判断部、許可部、距離記憶部、ファクシミリ送受信部などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0081】
また、本実施の形態の携帯端末装置120で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の携帯端末装置120で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0082】
さらに、本実施の形態の携帯端末装置120で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の携帯端末装置120で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0083】
本実施の形態の携帯端末装置120で実行されるプログラムは、上述した各部(NFC通信部、ブルートゥース通信部、WiFi通信部、W−USB通信部、データ記憶部など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、NFC通信部、ブルートゥース通信部、WiFi通信部、W−USB通信部、データ記憶部などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0084】
なお、上述した実施の形態では、複合機を一例として説明したが、本発明は複合機に限る必要はなく、コピー機、ファクシミリ、プリンタを含む様々な装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】携帯端末装置のNFC通信部との通信を確立し、携帯端末装置から認証IDを受信する処理の説明図である。
【図3】NFCチップを内蔵する非接触式ICカードがNFC通信部との通信を確立し、非接触式ICカードから認証IDを受信する処理の説明図である。
【図4】データを受信した通信部としてW−USB通信部が特定された場合の一例を示す説明図である。
【図5】データを受信した通信部としてブルートゥース通信部が特定された場合の一例を示す説明図である。
【図6】距離記憶部のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図7】認証データ記憶部のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図8】携帯端末装置の本体と独立して非接触式ICカードを設けた情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】複合機が行うデータ出力の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】携帯端末装置が行う出力指示の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】携帯端末装置から複合機へ認証IDを送信する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】携帯端末装置の図示しない表示部に表示されるメッセージの一例を示す説明図である。
【図13】携帯端末装置の図示しない表示部に表示されるメッセージの一例を示す説明図である。
【図14】本実施の形態にかかる複合機のハードウェア構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
10 情報処理システム
100、140 複合機
101、121 NFC通信部
102、122 ブルートゥース通信部
103、123 WiFi通信部
104、124 W−USB通信部
105 スキャナ部
106 格納部
107 プリンタ部
108 ファクシミリ送受信部
109 認証データ記憶部
110 認証部
111 判断部
112 許可部
113 距離記憶部
120 携帯端末装置
125 データ記憶部
130 ネットワーク
300 非接触式ICカード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置と非接触通信により通信し、互いに異なる通信範囲を有する複数の通信手段を備える出力装置において、
前記複数の通信手段は、前記携帯端末装置との通信を確立し、データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、
前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断手段と、
前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可手段と、
前記許可手段によって出力を許可された前記データを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記判断手段は、特定した前記通信手段の通信範囲が前記所定の通信範囲に含まれる場合、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断すること、を特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記通信手段ごとに前記通信手段の電波強度と、前記通信手段の通信範囲とを対応付けて記憶する距離記憶手段、をさらに備え、
前記判断手段は、前記距離記憶手段から、特定した前記通信手段の電波強度に対応付けられた通信範囲を特定し、特定した前記通信範囲が前記所定の通信範囲に含まれる場合、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断すること、を特徴とする請求項1または2に記載の出力装置。
【請求項4】
前記複数の通信手段の中の第1の通信手段は、前記データと共に前記出力装置が利用可能か否かを判定するための認証情報を、非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、
前記携帯端末装置と通信する通信範囲が前記第1の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の第2の通信手段は、前記携帯端末装置が前記第2の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、
前記第1の通信手段によって受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、
前記判断手段により前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していないと判断された場合に、前記第1の通信手段により受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて前記記憶手段に格納する格納手段と、
前記第2の通信手段により受信した前記認証情報と一致する前記認証情報が、前記記憶手段に記憶されているか否か、により前記携帯端末装置による前記出力装置の利用を認証する認証手段と、を備え、
前記許可手段は、前記認証手段によって前記携帯端末装置による前記出力装置の利用が認証された場合に、認証に成功した前記認証情報に対応付けられた前記データの出力を許可すること、を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の出力装置。
【請求項5】
携帯端末装置と出力装置とを備え、前記携帯端末装置と前記出力装置の間を互いに異なる通信範囲の複数の通信手段で非接触通信により通信する情報処理システムであって、
前記携帯端末装置は、
前記出力装置との通信を確立し、前記データを非接触通信で前記出力装置に送信する複数の通信手段と、
前記出力装置は、
前記携帯端末装置との通信を確立し、前記データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信する複数の通信手段と、
前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断手段と、
前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可手段と、
前記許可手段によって出力を許可された前記データを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
前記携帯端末装置は、
前記複数の通信手段の中の第1の通信手段は、前記データと共に前記出力装置が利用可能か否かの判定するための認証情報を、非接触通信で前記出力装置に送信し、
前記出力装置と通信する通信範囲が前記第1の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の第2の通信手段は、前記出力装置が前記第2の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記出力装置に送信し、
前記出力装置は、
前記複数の通信手段の中の第3の通信手段は、前記データと共に前記認証情報を、非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、
前記携帯端末装置と通信する通信範囲が前記第3の通信手段より狭い前記複数の通信手段の中の前記第4の通信手段は、前記携帯端末装置が前記第4の通信手段の通信範囲内に存在した場合に、前記認証情報を非接触通信で前記携帯端末装置から受信し、
前記第3の通信手段によって受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、
前記判断手段により前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していないと判断された場合に、前記第3の通信手段により受信した前記データと前記認証情報とを対応付けて前記記憶手段に格納する格納手段と、
前記第4の通信手段により受信した前記認証情報と一致する前記認証情報が、前記記憶手段に記憶されているか否か、により前記携帯端末装置による前記出力装置の利用を認証する認証手段と、を備え、
前記許可手段は、前記認証手段によって前記携帯端末装置による前記出力装置の利用が認証された場合に、認証に成功した前記認証情報に対応付けられた前記データの出力を許可すること、を特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
携帯端末装置と非接触通信により通信し、互いに異なる通信範囲を有する複数の通信手段を備える出力装置で実行されるプログラムにおいて、
前記複数の通信手段が、前記携帯端末装置との通信を確立し、データを非接触通信で前記携帯端末装置から受信する通信ステップと、
判断手段が、前記携帯端末装置から前記データを受信したとき、前記データを受信した前記通信手段を前記複数の通信手段の中から特定し、特定した前記通信手段に基づいて、前記携帯端末装置が所定の通信範囲内に存在しているか否かを判断する判断ステップと、
許可手段が、前記携帯端末装置が前記所定の通信範囲内に存在していると判断された場合、受信した前記データの出力を許可する許可ステップと、
出力手段が、前記許可ステップによって出力を許可された前記データを出力する出力ステップと、
を前記出力装置で実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−55580(P2009−55580A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330257(P2007−330257)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】