説明

出荷トレイ装填装置

【課題】微小物体を出荷テープの装填孔に装填するための装置構成において、整列用のフィーダが別途要するなど装置全体が大がかりとなる点、及び搬送途中に微小物体の姿勢が乱れても補正できない点を解消する。
【解決手段】未整列トレイMT上方で微小物体(ワークW)の送り出し位置の直前に設けられたカメラC0と、未整列トレイMTから出荷トレイSTへ微小物体が移動するよう回転する回転テーブル2と、この回転テーブル2の回転経路途中に設けられ、カメラC0による撮像データに基づいて微小物体を整列させる補正機構(吸気装置4、補正装置5)と、を有する。
【効果】未整列トレイに微小物体を整列させて送るためのフィーダを排除することができるとと共に確実に微小物体を装填できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の微小物体に衝撃を与えたり姿勢を崩すことなく出荷用トレイに装填することができると共に同時に外観検査を行うことができる出荷トレイ装填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品のような微小物体(以下、ワークという)は、精密部品であって衝撃に弱いのでデリケートな取扱いが必要である。ワークは、外観等検査済みで、前記検査後に良品判別されて良品収納部に収納された後に、出荷トレイ装填装置により出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填される。
【0003】
出荷トレイ装填装置は、ワークを装填する装填孔が例えば長さ方向に列状に形成された出荷テープが載置され、出荷トレイが前進と停止を繰り返して出荷テープを送り、該停止時に該装填穴にワークを装填する。
【0004】
出荷トレイ装填装置に関して、ハンドリング手段などの中間手段を介さずに、ワークを1個だけ分離して出荷トレイの装填穴に装填する下記の出願が存在する。
【特許文献1】特開2004−262529号公報
【0005】
特許文献1は、ワークを1列搬送するフィーダの先端部の直前に、該フィーダに対する手前を低く奥側を高く傾斜した搬送手段を設け、この搬送手段の上方に、前面をワークを停止するストッパ部とし、下面を台紙の装填穴にワークを押し下げる押下部とした装填子を上下動自在に備え、さらにワークをフィーダから搬送手段の方向へ吸引する吸気手段を備えた構成である。
【0006】
極小かつ精密な電子部品であるワークは、極小であるがゆえに、衝撃を与えたり擦られたりすると破損する可能性があり、また、各工程を移載したり搬送したりする間にワークの姿勢が崩れると装填や搬送ができないことがある。
【0007】
特に、外観検査の工程(以下、上流工程という)から出荷トレイへワークを移載する際には、ワークに衝撃を与えるのはもちろんのこと、ワークの姿勢を崩して出荷トレイへ移載できなくなることも許されない。
【0008】
ところが、上記特許文献1は、装填穴にいま装填される際に装填子の押下部による押し下げの衝撃をワークに与え、また、このときのフィーダから1個分離された先頭のワークが装填子のストッパ部に当接する衝撃をワークに与える。しかもフィーダでは、ワークが擦られつつ搬送される構成とされている。
【0009】
つまり、特許文献1は、ワークが、装填穴に装填されるまでにすでにフィーダ上を擦られつつ移動させられ、また、出荷トレイへの移載時に2度も衝撃を受けることになるから、上流工程で良品判別されたワークが、出荷トレイ装填装置によって破損し、この不良品を梱包する可能性がある。
【0010】
また、特許文献1は、ワークはフィーダ側から出荷トレイ装填装置への吸気によって移動する際、何らワークを規制していないので、出荷トレイ装填装置側へ移動した後にワークの姿勢が崩れてしまい、装填穴にワークが押し込まれないといった不具合が生じる可能性もある。
【0011】
上記、特許文献1の課題を解消すべく、本出願人は、先に次の出願をしている。
【特許文献2】特開2007−210657号公報
【0012】
特許文献2は、ワークを吸着するための吸気ノズルがそれぞれ設けられる受渡孔及び移載孔とが形成された固定ディスクと、固定ディスクの下面に設けられ、吸気ノズル間を結ぶ円周状に溝が形成されると共に該溝の所定部位に吸気孔が形成された吸着ディスクと、この吸着ディスクの下面に設けられる共に該吸着ディスクと共に回転し、溝に対応する周縁部に切欠部が周方向等角度で形成された移載ディスクと、を備える構成としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2は、現時点で何ら問題点はないが、将来的にさらなる高速化と装置全体の小型化を図るうえで次の改良点が見つかった。すなわち、特許文献2は、上流工程で整列されたワークを搬送するための別の整列用のフィーダが必要となるなど、装置全体が大がかりとなっていた。
【0014】
また、ワークを出荷トレイに向けて搬送を開始すると、この搬送中に何らのワークの姿勢の補正を行わないので、仮にさらにワークが小型化した場合、次の問題が生じる可能性がある。すなわち、ワークがさらに小型化されると、ワークを出荷トレイへの搬送経路に送り出した際、姿勢が乱れてもそのまま出荷トレイへ搬送されてしまい、出荷トレイで装填できない可能性である。
【0015】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献2における、整列用のフィーダが別途必要になるなど装置全体が大がかりとなる点、及び搬送途中にワークの姿勢が乱れてもそれを補正することができない点、である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記問題点を解決するために本発明は、微小物体を未整列の状態で載置された未整列トレイから、個別に整列させて出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填する出荷トレイ装填装置であって、前記未整列トレイ上方で微小物体の送り出し位置の直前に設けられたカメラと、前記未整列トレイ及び前記出荷トレイに臨む面の円周上に微小物体を把持するための複数の把持孔が形成されると共にこの孔が該未整列トレイと該出荷トレイに移動するよう回転する回転テーブルと、この回転テーブルの回転経路途中に設けられ、前記カメラによる撮像データに基づいて微小物体を整列させる補正機構と、を有したのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る出荷トレイ装填装置は、未整列トレイに未整列のまま配置された微小物体(=ワーク)を、回転ディスクによる出荷トレイに向けての搬送途中で姿勢を補正するから、微小物体の整列用のフィーダが不要である。また、整列用フィーダが不要となることに伴って装置全体をコンパクトにできる。さらに、仮に搬送経路中で姿勢が崩れた微小物体が存在していても、姿勢を補正するから、これによる装填トラブルでライン全体を停止させることが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の出荷トレイ装填装置(以下、装填装置という)は、図1〜図6に示す次の形態により実施可能である。図1〜図4は第1形態を、図5は第2形態を、図6は第3形態を、それぞれ示す。なお、第2及び第3形態で共通する構成については第1形態で説明し、第2及び第3形態においては第1形態との相違構成のみ説明し、重複する説明は省略する。また、図示は、実際より理解を容易とするため大げさに示している。
【0019】
第1形態での装填装置1は、未整列トレイMT、出荷トレイST、回転テーブル2、吸気装置3、及び本発明における補正機構として本例で採用した吸気装置4及び補正装置5を有している。
【0020】
装填装置1は、例えば外観検査工程後、良品と判別され、未整列トレイMTに載置されたワークWを、出荷トレイSTへ搬送するまでに整列し、該出荷トレイST上に載置された出荷テープTの装填孔TaにワークWを装填する。
【0021】
未整列トレイMTは、本例では外観検査を終えて良品と判別されたワークWが、不図示の搬送機構により搬送されて、平面的に載置されている(互いに重なって載置されていない)。未整列トレイMTの下面には、該未整列トレイMT全体をx方向とy方向の移動させるための平面移動機構MTaが設けられている。
【0022】
未整列トレイMTの、中央上方にはカメラC0が、後述回転テーブル2へワークWを送り出す箇所の上方にはカメラC1が、各々設けられている。カメラC1は、回転テーブル2へワークWを送り出すために平面移動機構MTaの駆動量を決定するため、また、送り出し時のワークWの姿勢の補正量を決定するために、ワークWを撮像する。
【0023】
一方、カメラC0は、回転テーブル2へワークWを送り出すために平面移動機構MTaを駆動した際、原点からの移動量(復帰量)を決定するため、未整列トレイMTを撮像する。
【0024】
平面移動機構MTaは、カメラC1の撮像データに基づいて回転テーブル2の受け渡し箇所に未整列トレイMTを移動させ、この移動後、カメラC0の撮像データに基づいて未整列トレイMTを原点に復帰するよう、不図示の制御部により駆動される。
【0025】
また、出荷トレイSTには、該出荷トレイST全体をx方向とy方向に移動させるための平面移動機構STaを備えている。この平面移動機構STaは、整列されて回転テーブル2により搬送されてきたワークWが出荷テープTの装填孔Taに装填されるよう、回転テーブル2からワークWを受け取る箇所に出荷トレイSTを移動させる。
【0026】
この平面移動機構STは、回転と停止を繰り返す回転テーブル2の速度、及び該回転テーブル2からワークWを受け取るタイミング、に応じて、不図示の制御部により、出荷テープTにおける装填孔Taの間隔分だけ移動させるよう設定されている。したがって未整列トレイMTにおける平面移動機構MTaで設けたようなカメラが不要である。
【0027】
未整列トレイMTのワークWの送り出し箇所と出荷トレイSTのワーク受け取り箇所との間には、回転テーブル2が設けられている。回転テーブル2は、本例では例えば円盤状の固定ディスク2Aと、この固定ディスク2Aの下面に設けられ、該固定ディスク2Aに対して回転する吸着ディスク2Bとを有している。
【0028】
固定ディスク2Aは円盤状とされ、回転しない。また、固定ディスク2Aは、図1及び図2に示すように、未整列トレイMTのワークWの送り出し箇所の上方に位置する部位に受渡孔2Aaが、出荷トレイSTのワークWの受け渡し箇所の上方に位置する部位に移載孔2Abが各々形成されている。
【0029】
固定ディスク2Aにおける受渡孔2Aaと移載孔2Abとの間を結ぶ円周上の所定位置には、吸着ディスク2Bを介して吸気することでワークWを吸着する不図示の吸引装置からのパイプP,Pが接続される接続孔2Ac,2Acが形成されている。
【0030】
さらに、固定ディスク2Aにおける受渡孔2Aaと移載孔2Abとの間を結ぶ円周上で該受渡孔2Aaから移載孔2Abへ向かう吸着ディスク2Bの回転途中には、ワークWを整列させる補正機構を構成する吸気装置4が挿入される挿入孔2Adが形成されている。
【0031】
吸着ディスク2Bは、固定ディスク2Aと同径の円盤状とされ、該固定ディスク2Aの下面に設けられて不図示の制御部が制御する回転機構により回転する。吸着ディスク2Bは、図3に示すように、その上面(固定ディスク2Aの下面に対向する面)において、受渡孔2Aaと移載孔2Ab、接続孔2Ac及び挿入孔2Adの対応位置を結ぶ円周状の溝2Baが形成されている。
【0032】
溝2Baにおける底面部位には、等(角度)間隔で複数の例えば平面視円形とされた窪み2Bbが形成されている。窪み2Bbは、吸気ノズル3A,3B及び本例では吸気ノズル4Aの下降移動分の長さを確保するものであり、該吸気ノズル3A,3B及び吸気ノズル4Aの下降移動により塞がれる。
【0033】
窪み2Bbの底面部位には、吸着ディスク2Bの下面へ貫通する把持孔2Bcが形成されている。把持孔2BcはワークWが嵌り込むことのない程度の大きさで、後述する吸気装置3の吸気ノズル3A,3B、吸気装置4の吸気ノズル4Aが突出可能な大きさとされている。
【0034】
なお、窪み2Bbと把持孔2Bcは、別個に形成しておく必要はなく、窪み2Bbを省略して把持孔2Bcだけ形成してあってもよいし、窪み2Bbを把持孔2Bcとして吸着ディスク2Bの下面まで貫通させると共に孔の大きさをワークWが嵌り込まない程度のものとするようにしても構わない。また、把持孔2Bcの孔の形状は矩形でなくても良いが、ワークWが嵌り込まない大きさとしておく必要がある。
【0035】
吸着ディスク2Bは、固定ディスク2Aの下面と溝2Baとによりダクトを形成し、該固定ディスク2Aの接続孔2Acから吸気すると、溝2Baを介して、受渡孔2Aa及び移載孔2Ab並びに挿入孔2Adに対応する位置の把持孔2Bcを除く、全ての把持孔2Bcから吸気が行われ、ワークWの吸着を可能とする。
【0036】
受渡孔2Aa及び移載孔2Ab及び挿入孔2Adでは、それぞれワークWを受け取るために吸気し、ワークWを送り出すために吸気を停止する、吸気装置3,3及び補正機構を構成する吸気装置4が挿入されている。吸気装置3,3は、本例では、後述する補正機構における吸気装置4と補正装置5が存在しないだけで同様の構成であるので、以下、補正機構について説明するための図4を兼用して説明する。
【0037】
吸気装置3,3は、受渡孔2Aa及び移載孔2Abに挿入された状態で上下動し、各々に接続された吸気ノズル3A,3Bを有している。したがって受渡孔2Aa及び移載孔2Abの径は吸気装置3,3が各々上下移動可能な径とされている。なお、以下では、吸気ノズル3A,3Bが上下移動すると説明する。
【0038】
一方、挿入孔2Adは、ワークWを受け取るために吸気し、ワークWを送り出すために吸気を停止する、本例における補正機構を構成する吸気装置4が挿入されている。吸気装置4は挿入孔2Adに挿入された状態で上下動し、これに接続された吸気ノズル4Aを有している。したがって挿入孔2Adの径は吸気装置4が各々上下移動可能な径とされている。なお、以下では、吸気ノズル4Aが上下移動すると説明する。
【0039】
例えば、これら吸気ノズル3A,3Bが上下移動しない構成とした場合は、吸気ノズル3A,3Bが吸着ディスク2Bの回転を妨げないようその先端を把持孔2Bcに達することがないので、吸着ディスク2Bの厚みをできる限り薄くすることが望ましい。
【0040】
この理由は、特に未整列トレイMTから吸気ノズル3Aへ、吸気ノズル3Bから出荷トレイSTへ、ワークWが飛来するとき、その着地衝撃によりワークWを破損する可能性があり、また、その衝撃や飛来中にワークWの姿勢が崩れる可能性が生じるからである。
【0041】
すなわち、吸気ノズル3A,3Bが上下移動する構成とした場合は、未整列トレイMTから吸気ノズル3Aに吸着する際、吸気ノズル3Bから出荷トレイSTへ着地させる際、ワークWが受ける衝撃を極めて小さくでき、また、その衝撃や飛来中にワークWの姿勢が崩れることを防止できる。
【0042】
また、吸気ノズル3A,3Bが上下移動する構成とした場合は、これと併せて、吸気ノズル3AがワークWに最接近した瞬間、吸気ノズル3Bが出荷トレイSTに最接近した瞬間、に吸気を行うよう不図示の制御部により制御すれば、吸気ノズル3A,3Bに吸着する際にワークWが受ける衝撃を上記よりさらに小さくすることができる。本例では、吸気ノズル3A,3Bが上下移動し、吸気を前記のように制御するようにすることとして、説明を続ける。
【0043】
受渡孔2Aaにおいては、図4(a)、図4(b)、図4(c)の順で、吸気ノズル3Aが下降移動して把持孔2Bcから若干突出した状態で未整列トレイMTのワークWを吸着し、吸着ディスク2Bの把持孔2Bcによる吸着位置までワークWを移動させる。
【0044】
移載孔2Abにおいては、図4(c)、図4(b)、図4(a)の順で、吸気ノズル3Bが下降移動して把持孔2Bcから若干突出してワークWを吸着し、この突出により出荷トレイSTにおける出荷テープTの装填孔Taに装填する。なお、ワークWの、吸気ノズル3Aによる吸着時、吸気ノズル3Bによる装填時、吸着ディスク2Bの回転は一旦停止している。
【0045】
その後、吸気ノズル3A,3Bは吸気したまま、吸気ノズル3Bは吸気停止したまま、把持孔2Bcから上昇移動し、吸着ディスク2Bが再度回転する際には、吸着ディスク2Bの回転に伴って、それまで吸気ノズル3Aに吸着されていたワークWは把持孔2Bcに吸着され、この状態でワークWが擦られることなく搬送される。
【0046】
一方、吸着ディスク2Bが再度回転する際には、吸気ノズル3Bを吸気状態として、吸着ディスク2Bの回転に伴って、吸気ノズル3B(移載孔2Ab)に搬送されてきたワークWは把持孔2Bcの吸着から該吸気ノズル3Bによる吸着に切り替える。
【0047】
図4において、本例の補正機構を構成する吸気装置4における吸気ノズル4Aも上記した吸気ノズル3A,3Bと同様の上下移動を行うが、該吸気ノズル4Aは把持孔2Bcの周縁部の吸着ディスク2Bに擦れることを回避するために下降移動する。なお、この吸気装置4は常時吸気している。
【0048】
吸気装置4には、カメラC1による未整列トレイMTから吸着ディスク2Bに送り出される直前のワークWの撮像データに基づいて、不図示の制御部によって演算された補正量だけ吸気装置4ごと回転駆動する補正装置5が設けられている。
【0049】
例えば、カメラC1による撮像データに基づいて不図示の制御部が、ワークWの姿勢が正しい姿勢に対して30°傾いていると判断すると、該制御部は、吸気装置4に対して吸気ノズル4Aを上下動の実行指令と、補正装置5を−30°回転する旨の実行指令を出力する。
【0050】
この出力に基づいて、補正機構の位置(固定ディスク2Aにおける挿入孔2Ad)までワークWが搬送されてきたとき、吸着ディスク2Bの一旦停止に同期して、図4(a)に示すように、吸気ノズル4Aが下降移動し、該吸気ノズル4Aの先端が把持孔2Bcから若干突出し、これによりワークWを把持孔2Bcの吸着から該吸気ノズル4Aによる吸着に切り替わる(吸気ノズル4Aは常時吸気している)。
【0051】
そして、吸気ノズル4Aに吸着されたワークWは、図4(b)に示す補正装置5の回転駆動で、吸気装置4全体が回転し、正しい姿勢に補正される。この後、図4(c)に示すように、吸気ノズル4Aは上昇移動して把持孔2Bcから退避する。このとき、整列されたワークWは吸気ノズル4Aによる吸着から把持孔2Bcの吸着に切り替わる。そして、吸着ディスク2Bの再度の回転により、出荷トレイSTへ向けて整列状態のワークWが搬送される。
【0052】
以上のように、本例の装填装置1は、平面移動機構MTaによって、いま送り出されるワークWを吸着ディスク2Bの下面に位置するように移動させ、かつ送り出される直前のワークWの姿勢がカメラC1により撮像され、この撮像データに基づいて補正機構(吸気装置4、吸気ノズル4A、補正装置5)によりワークWを整列させて、出荷トレイSTに搬送されるから、出荷テープの装填孔TaにワークWが装填できないといったトラブルが抑制される。
【0053】
また、未整列トレイMTから吸着ディスク2BにワークWが送り出される際には、吸気ノズル3Aが下降して、ワークWを迎えに行くから送り出されるワークWに衝撃を与えることが抑制される。また、吸着ディスク2Bから出荷トレイSTにワークWを受け渡す際には、吸気ノズル3Bが下降してワークWを置きに行くから装填されるワークWに衝撃を与えることが抑制される。
【0054】
したがって、装填装置1は、整列用フィーダが不要となることに伴って全体をコンパクトにでき、また、整列用フィーダを不要としても、ワークWを正しい姿勢に補正するから、出荷テープTの装填孔Taに確実に装填することができる。
【0055】
(第2形態)
第2形態は、第1形態における補正機構(吸気装置4、吸気ノズル4A、補正装置5)に代えて、補正機構として図5に示す補正装置6を用いる点で構成が異なる。また、第2形態では、図5に示す補正装置6を用いることに伴って、固定ディスク2Aにおいて挿入孔2Adが存在しない点も第1形態と構成が異なる。
【0056】
補正装置6は、回転テーブル2の下面に設けられ、次の構成とされている。基板6a上には、基板6aに対して移動する移動板6A,6Bが設けられている。移動板6Aには内位置決板6Aaが取り付けられている。また、移動板6Bには外位置決板6Baが取り付けられている。内位置決板6Aa及び外位置決板6Baは、ワークWの対向角が挿入される切欠部Cが形成されている。
【0057】
移動板6A,6Bにおいて、内位置決板6Aa、外位置決板6Baを設けた側と反対の端部には、該移動板6A,6Bの各々移動を案内するスライドガイド6Ab,6Bbと、移動した後の移動板6A,6Bを初期位置に復帰させる復帰スプリング6Ac,6Bcが設けられている。
【0058】
復帰スプリング6Ac,6Bcは、移動板6A,6Bを設けた側と反対の端部が、基板6a上の固定ブロックに接続されている。移動板6A,6Bは、基板6aの下面に設けられたモータ6Cの出力軸で構成されるカム6Caにカムフォロア6Cbを介して接続されている。
【0059】
さらに、基板6aには、移動板6Bの移動量を検知するセンサ6Dが設けられており、このセンサ6Dが移動板6Bの原点復帰をもって移動板6Aと該移動板6Bが初期位置に戻ったか否かを不図示の制御部が判断するようにしている。また、補正装置6は、基材6aをx方向、y方向に移動させる平面移動機構6Eを備えている。
【0060】
上記構成の補正装置6は、カメラC1の撮像データに基づいて不図示の制御部により、撮像したワークWの1つの隅部分について、該補正装置6の位置におけるxy方向の位置を演算し、そのxy方向位置に内位置決板6A、外位置決板6Bの把持中心が位置するよう基板6aを移動すべく平面移動機構6Eを駆動する。
【0061】
その後、モータ6Cを回転すると、カム6Caの回転運動がカムフォロア6Cbにより直線運動に変換される。このとき、移動板6Aはスライドガイド6Abに案内されて復帰スプリング6Acの付勢力に抗して移動し、内位置決板6Aaが外位置決板6Baの方向に移動する。また、同様に、移動板6Bはスライドガイド6Bbに案内されて復帰スプリング6Bcの付勢力に抗して移動し、外位置決板6Baが内位置決板6Aaの方向に移動する。
【0062】
したがって、内位置決板6Aaと外位置決板6Baは互いに接近するように移動して、ワークWの重心を中心に対向角を切欠部C,Cに挿入して挟む。このとき、再度平面移動機構6Eを駆動して、ワークWを整列させる。なお、以上の動作は、ワークWが把持孔2Bcに吸着された状態のまま行う。つまり、この補正装置6による補正を行っても、ワークWの吸着重心がずれることがないので、該ワークWが吸着ディスク2Bから落下することはない。
【0063】
補正後は、モータ6Cを前記と逆回転するとカムフォロア6Cbと復帰スプリング6Ac,6Bcの付勢力により移動板6A,6Bが初期位置まで復帰する。このとき、内位置決板6Aaと外位置決板6Baは互いに離間する方向に移動し、ワークWの把持が解除される。初期状態の復帰に関しては、上記のとおりセンサ6Dにより検知しており、必要に応じてモータ6Cを駆動する。以上のようにしても第1形態同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
(第3形態)
図6の概念図に示す第3形態は、装填装置1のワークWの搬送経路上において外観検査を行うように構成した点が上記第1形態と異なる。すなわち、第3形態では未整列トレイMT側で1台、出荷トレイST側で1台の計2台用い、さらにこの回転テーブル2,2間に回転する接続テーブル7を設けている点、また、未整列トレイMTから出荷トレイSTに至るまでにカメラC2〜C7を設けている点、出荷トレイSTに複数サイズの出荷テープTを載置している点、が第1形態と異なる構成である。
【0065】
すなわち第3形態では、未整列トレイMTには、外観検査前の良品・不良品の分別がなされておらず、かつ(大きさの)種類が異なるワークWが、姿勢も未整列のまま載置されている。そして、この未整列トレイMTからワークWが第1形態と同様にして回転テーブル2へ送り出される。
【0066】
未整列トレイMT側の回転テーブル2に受け渡されたワークWは、第1形態と同様にカメラC1の撮像データに基づいて補正機構の補正装置5により姿勢が補正される。第3形態で異なる点は、カメラC1による撮像データから、不図示の制御部が、未整列トレイMTへ送り出されるワークWについての姿勢だけでなく、大きさも判断している点と、補正機構によるワークWの姿勢の補正が、未整列トレイMTから受け渡された早い時点で行われる点である。
【0067】
回転テーブル2において、既に正しい姿勢に補正されたワークWは、この回転テーブル2の回転途中、つまり接続テーブル7に至るまでに、例えば本例では(未整列トレイMT側の)回転テーブル2の下面側における周囲に配置したカメラC2〜C6によりワークWの4側面、及び回転テーブル2に吸着している側と反対側の面の計5面について外観検査を行う。
【0068】
その後、接続テーブル7にワークWを載置する。接続テーブル7は、回転テーブル2を逆に配置したものである。回転テーブル2はワークWを上部から吸着するが、接続テーブル7は下部から吸着している。また、本例の接続テーブル7には、回転テーブル2(の固定ディスク2A)における受渡孔2A、移載孔2Ab、挿入孔2Adは存在せず、よって吸気装置3も補正機構も存在しない。
【0069】
(未整列トレイMT側の)回転テーブル2から接続テーブル7にワークWが移動すると、該接続テーブル7の上面の上方に配置されたカメラC7により、該回転テーブル2において吸着されていた面、つまり接続テーブル7で吸着される面(下面)と反対の面(上面)を撮像する。したがって、接続テーブル7から出荷トレイ側の回転テーブル2にワークWが移動するまでに、6面全ての外観検査を終えていることとなる。
【0070】
ここで、カメラC2をワークWの下面(回転テーブル2に吸着された側と反対の面)を撮像するとした場合は回転テーブル2に、カメラC7をワークWの上面(接続テーブル7に吸着された側と反対の面)を撮像するとした場合は接続テーブル7の上面の上方に、それぞれ限定して配置する必要がある。
【0071】
上記カメラC2,C7以外のカメラC3〜C6は、本例では未整列トレイMT側の回転テーブル2に集中させていたが、設置状況に応じて、接続テーブル7と、出荷トレイ側の回転テーブル2に、分散させて配置しても構わない。
【0072】
接続テーブル7から出荷トレイST側の回転テーブル2へ移動したワークWは、本例ではカメラC7でワークWの上面(接続テーブル7に吸着された側と反対の面)を外観検査用に撮像することに加え、最終姿勢についても撮像していることとし、カメラC7の撮像データに基づいて、補正すべき姿勢となっているワークWについては補正機構により最終的に姿勢の補正が行われる。
【0073】
その後、出荷トレイSTに至るまでに、ワークWは外観検査の良品・不良品の分別、及び大きさの判別がなされているから、良品でその大きさの種類のワークWが出荷トレイSTに近付くと、平面移動機構STaが不図示の制御部により駆動されて、その大きさの出荷テープTの装填孔Taに、第1形態と同様にして装填される。なお、不良品のワークWは出荷トレイSTの位置を通過後において、例えば回転テーブル2の面に接触するスクレーパ8により掻き落とされる。
【0074】
以上のように、第3形態の構成とすれば、第1形態の作用効果のみならず、外観検査も同時に行えるから、装置構成がよりコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1形態における出荷トレイ装填装置の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1形態における出荷トレイ装填装置における回転テーブルを構成する固定ディスクであり、(a)は下方から見た図、(b)は(a)のA−A線断面図、である。
【図3】本発明の第1形態における出荷トレイ装填装置における回転テーブルを構成する吸着ディスクであり、(a)は上方から見た図、(b)は下方から見た図、(c)は(a)(b)のB−B線断面図、である。
【図4】本発明の第1形態における出荷トレイ装填装置における補正機構であり、(a)は回転テーブルの回転中の状態を、(b)は補正時の状態を、(c)は補正後の状態を、各々示す図である。
【図5】本発明の第2形態における出荷トレイ装填装置における補正機構であり、(a)は下方から見た図、(b)は(a)C矢視図、(c)は(a)のD矢視図、(d)は内位置決板と外位置決板の稼働状況を示す図、である。
【図6】本発明の第3形態における出荷トレイ装填装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1 (出荷トレイ)装填装置
2 回転テーブル
2A 固定ディスク
2B 吸着ディスク
2Bc 把持孔
3 吸気装置
3A 吸気ノズル
3B 吸気ノズル
4 吸気装置(補正機構)
4A 吸気ノズル
5 補正装置(補正機構)
6 補正装置(補正機構)
7 接続テーブル
MT 未整列トレイ
MTa 平面移動機構
ST 出荷トレイ
STa 平面移動機構
T 出荷テープ
Ta 装填孔
C0 カメラ
C1 カメラ
C2〜C7 カメラ
W ワーク(微小物体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小物体を未整列の状態で載置された未整列トレイから、個別に整列させて出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填する出荷トレイ装填装置であって、前記未整列トレイ上方で微小物体の送り出し位置の直前に設けられたカメラと、前記未整列トレイ及び前記出荷トレイに臨む面の円周上に微小物体を把持するための複数の把持孔が形成されると共にこの孔が該未整列トレイと該出荷トレイに移動するよう回転する回転テーブルと、この回転テーブルの回転経路途中に設けられ、前記カメラによる撮像データに基づいて微小物体を整列させる補正機構と、を有したことを特徴とする出荷トレイ装填装置。
【請求項2】
回転テーブルは、未整列トレイから微小物体を受け取る箇所に受渡孔が、出荷トレイに微小物体を送り出す箇所との間に移載孔が、各々形成された固定ディスクと、この固定ディスクの下面に設けられて回転し、該固定ディスクに面する側と反対面の円周上に複数の把持孔が形成された吸着ディスクとからなることを特徴とする請求項1記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項3】
回転テーブルにおける、未整列トレイから微小物体を受け渡される位置、及び出荷トレイに微小物体を送り出す位置、の各々に、把持孔から突出して吸排気を行い、吸排気後に把持孔から退避する吸気ノズルを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項4】
複数の外観検査カメラによる撮像データに基づいて外観検査を行って、良品と判別された微小物体を整列して出荷トレイに装填することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項5】
出荷トレイに平面移動機構を設けると共に大きさの種類毎の複数の出荷テープを出荷トレイ上に設け、複数の外観検査カメラの撮像データに基づいて、各種類の微小物体を判別して、それぞれの種類の出荷テープの装填孔に微小物体を装填することを特徴とする請求項4に記載の出荷トレイ装填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70271(P2010−70271A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236412(P2008−236412)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(591137787)株式会社ヒューブレイン (7)
【Fターム(参考)】