説明

刃受部材及びこれを備えるコンセント

【課題】刃受部の電気抵抗の増大を抑制するとともに小型化した刃受部材及びこれを備えるコンセントを提供する。
【解決手段】刃受部材30には、プラグピンを挟持するとともに前後方向Xに向かい延びる円筒部32aを有する刃受部32が設けられ、刃受部32には、円筒部32aの内径Dが最も小さく形成されるピン保持部34aと、このピン保持部34aから内径Dを広げるように前後方向Xに向かい延びるアーク受部34bとが設けられ、ピン保持部34aは、プラグピンが刃受部32に挿入された状態において、このプラグピンと接触し保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグのプラグピンが保持される刃受部材及びこれを備えるコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンセントとしては、例えば壁面の裏側に設けられたスイッチボックスに固定された取付枠に取り付けられるとともに、壁面の裏側から配線された電線が接続される壁埋め込み式コンセントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなコンセントには、図17(a)に示すように、電線と接続する電線接続部210と一対の挟持片221から構成される刃受部220とを具備する端子板200が設けられている。これら挟持片221は、電線接続部210より前方に設けられている。そして挟持片221は左右方向Yにおいて互いに対向するとともに上下方向Zに沿ってそれぞれ延びている。そして図17(b)に示すように、刃受部220にプラグのプラグピン230が挟持されることにより、プラグピン230は端子板200に保持されるとともに電線の電力をプラグに供給するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−179308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記端子板200では、刃受部220がプラグピン230の外径よりも上下方向Zにおいて大きく形成されるため、コンセントの上下方向Zの小型化が困難であった。一方、図17(c)に示すように、コンセントの上下方向Zの小型化を図るために刃受部220を上下方向Zにおいて小さく形成する場合には、刃受部220の電気抵抗が増大してしまう。これにより、端子板200が発熱し、ひいてはコンセントの発熱が増大してしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、刃受部の電気抵抗の増大を抑制するとともに小型化した刃受部材及びこれを備えるコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、プラグのプラグピンが接続される刃受部材において、
前記刃受部材には、前記プラグピンを挟持するとともにピン挿入方向に向かい延びる筒部を有する刃受部が設けられ、前記刃受部には、前記筒部の内径が最も小さく形成されるピン保持部と、このピン保持部から前記内径を広げるようにピン挿入方向に向かい延びる先端部とが設けられ、前記ピン保持部は、前記プラグピンが前記刃受部に挿入された状態において、このプラグピンと接触し保持することを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、刃受部がピン挿入方向に向かい延びる筒部を有するため、図17に示す従来の一対の挟持片にて形成される端子板の刃受部と比較して、刃受部の小型化を図ることができる。したがって、コンセントの小型化を図ることができる。また刃受部が筒状によって形成されるため、刃受部の小型化を図ったとしても刃受部の面積の減少を抑制することができる。したがって、端子板の電気抵抗の増大を抑制することができる。
【0009】
また、刃受部に先端部が設けられることにより、先端部が省略された刃受部の構成と比較して、プラグピンと刃受部との間に発生するアークがコンセントの他の部材に影響を与えることを抑制することができる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刃受部材において、前記刃受部の先端は、この先端以外の前記刃受部の部位よりも融点が高いことを要旨とする。
刃受部の先端はアークを受けるため、アークが発生したときに、上記先端は刃受部の他の部位よりも高温状態となる。そのため、上記先端は上記他の部位よりもアークにより溶融しやすくなる。その点、本発明では刃受部の先端が刃受部の他の部位よりも融点が高いため、アークによって上記先端が溶融することを抑制することができる。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の刃受部材において、前記刃受部には、ピン挿入方向に向かい延びるスリットが設けられることにより複数の挟持片が形成されることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、刃受部に設けられたスリットにより複数の挟持片が設けられるため、スリットが省略された刃受部の構成と比較して、刃受部が弾性変形しやすくなる。したがって、刃受部のばね性を確保することができる。
【0013】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刃受部材において、当該刃受部材には、この刃受部材と電気的に接続される端子板と電線を前記端子板に押さえつける錠ばねとが設けられることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、刃受部材に端子板と錠ばねとが設けられるため、錠ばねの弾性を利用して端子板と錠ばねとにより電線を挟持して、電力を供給する電線と端子板との接続を容易に行うことができる。
【0015】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の刃受部材を具備するコンセントであることを要旨とする。
この発明によれば、本発明の刃受部材を具備することにより、刃受部材は図17に示す従来の刃受部材と比較して小型化を図ることができるため、コンセントの小型化を図ることができる。
【0016】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコンセントにおいて、当該コンセントには、前記プラグピンの周りを囲むように前記プラグに設けられた周壁が挿入されるとともに、ピン挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される周壁挿入溝と、この周壁挿入溝に囲まれるとともにピン挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される表面部とが設けられ、前記表面部には、前記プラグピンが挿入される円形状に形成されたピン挿入孔が前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される方向に沿った前記表面部の外周縁の一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向において、前記基準辺に対向する前記表面部の辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、周壁挿入溝が略四角形状であるため、周壁挿入溝が円筒形状の場合と比較して、プラグの周壁が挿入する方向が限定されるようになる。したがって、作業者がプラグを挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手が良くなる。そして、ピン挿入孔が、表面部におけるピン挿入孔の配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向において、この基準辺に対向する辺よりも同基準辺に近づくように偏った位置に設けられるため、周壁挿入溝やプラグの周壁に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセントにプラグの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセントの大型化を抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、刃受部の電気抵抗の増大を抑制するとともに小型化した刃受部材及びこれを備えるコンセントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】同実施形態のコンセントについて、(a)コンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントを前方から見た平面構造を示す平面図、(c)コンセントを後方から見た平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態の端子について、(a)端子の分解斜視構造を示す斜視図、(b)刃受部材を前方から見た平面構造を示す平面図、(c)刃受部の断面構造を示す断面図。
【図4】同実施形態の刃受部材について、(a)〜(d)金属板から刃受部材が製造される過程の斜視構造を模式的に示す模式図。
【図5】同実施形態のコンセントの断面構造を示す断面図。
【図6】同実施形態のコンセントに挿入されるプラグについて、(a)プラグの斜視構造を示す斜視図、(b)プラグの正面構造を示す平面図。
【図7】同実施形態のコンセントとプラグについて、(a)コンセントにプラグが挿入される様子の斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントにプラグを逆差しした場合の電源挿入孔とプラグピンとの位置関係を示すコンセントの平面構造を示す平面図。
【図8】同実施形態の刃受部材とプラグピンについて、(a)刃受部にプラグピンが挿入された状態の断面構造を示す断面図、(b)刃受部にプラグピンが挿入された状態の刃受部材の平面構造を示す平面図、(c)刃受部からプラグピンを抜き去るときの刃受部の断面構造を示す断面図。
【図9】同実施形態のコンセントについて、(a),(b)壁面に取り付けられた状態の正面構造を示す平面図。
【図10】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、(a)2個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)3個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図11】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、端子がピラー端子の場合のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図12】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、端子がねじ端子の場合のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図13】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、端子が半田端子の場合のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図14】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図15】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントをテーブルタップとして適用した場合の斜視構造を示す斜視図。
【図16】比較例としてのコンセントについて、(a)〜(d)コンセントの平面構造を示す平面図。
【図17】従来のコンセントについて、(a)端子板の斜視構造を示す斜視図、(b)端子板にプラグピンを挿入した状態の平面構造を示す平面図、(c)端子板を小型化した場合における端子板にプラグピンを挿入した状態の平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図9を参照して、本発明のコンセントを壁埋め込み式の直流コンセントとして具体化した一実施形態について説明する。
図1〜図5を参照して、コンセント10の構成について説明する。以降では、コンセント10の長手方向を「左右方向Y」とし、コンセント10の短手方向を「上下方向Z」とする。そして左右方向及び上下方向の両方に直交する方向を「前後方向X」とする。本実施形態では、前後方向Xが、プラグピン44(図6参照)がコンセント10に挿入される方向であるピン挿入方向に対応するようになる。
【0021】
図1(a)に示すように、コンセント10は、樹脂材料を射出成形することによりそれぞれ成形されたボディ11及びカバー12が金属製の一対の組立枠13により互いに固定されることにより略直方体の器体を構成している。
【0022】
コンセント10は、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール寸法」)に形成されている。またカバー12の前面12aの左右方向Yの幅H1は、取付枠の矩形状の窓枠の左右方向の幅と略等しくなるように形成されている。
【0023】
図1(b)に示すように、カバー12の前面12aには、前面12aから後方に向かい凹む周壁挿入溝14と、周壁挿入溝14によって囲まれた部位にて形成される表面部15とが設けられている。周壁挿入溝14の形状は、前方から見た平面視において、略四角形状からこの略四角形状の4隅のうちの下方の2つを切り取った形状となっている。また表面部15の前面15eは、カバー12の前面12aと面一となるように設けられている。
【0024】
周壁挿入溝14は、上下方向Zに沿って延びる一対の第1挿入溝14aと、左右方向Yに沿って延びる一対の第2挿入溝14bと、各第1挿入溝14aと下方の第2挿入溝14bとを接続する傾斜溝14cとにより形成されている。傾斜溝14cは、表面部15の上下方向Zの中央位置L1(即ち、表面部15の上下方向Zの長さの半分の位置)より下方に設けられている。また下方の第2挿入溝14bの左右方向Yの中央位置には、この第2挿入溝14bから連続して上方に向かい延びる延長溝14dが設けられている。
【0025】
表面部15の外形は、第1挿入溝14aに対応する第1辺15aと、第2挿入溝14bに対応する第2辺15bと、傾斜溝14cに対応する傾斜辺15cと、延長溝14dに対応する凹辺15dとにより形成されている。傾斜辺15cは傾斜溝14cの一部を構成するとともに傾斜辺15cと対向する対向辺14eと平行となるように設けられている。
【0026】
表面部15の中央位置L1より上方には、前方から見た平面視において円形状の1対の電源挿入孔16が表面部15を上下方向Zに貫通するように設けられている。即ち上方の第2辺15bを基準辺KLとして、電源挿入孔16は下方の第2辺15bよりも基準辺KL側となるように設けられている。
【0027】
ところで、周壁挿入溝14の形状は、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じて形成されている。この電源回路は、直流電力を供給する直流電力供給部とコンセント10との間に設けられ、例えば分電盤内に設けられている。
【0028】
上記電源回路としては、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
【0029】
情報機器や照明機器等の電気機器は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器より絶縁構造が簡略化されている。
【0030】
ところで、SELV用のコンセント10にELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のコンセントにSELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器が故障してしまう場合がある。そのため、コンセント10及びプラグ40(図6参照)には、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
【0031】
そこで、本実施形態では、SELV用のカバー12として周壁挿入溝14に延長溝14dが設けられている。一方、ELV用のカバーの周壁挿入溝には延長溝14dが省略して形成されるようになる。またSELV用の電気機器のプラグ40として周壁45にリブ45aが設けられている。一方、ELV用の電気機器のプラグの周壁には上記リブ45aが省略して形成されるようになる。これにより、ELV用のプラグは、SELV用の周壁挿入溝14に挿入可能であるが、SELV用のプラグは、ELV用の周壁挿入溝に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
【0032】
図1(c)に示すように、ボディ11の底壁11aには、電線が挿通される4個の電線挿通孔11bと、2個の操作孔11cとが設けられている。これら電線挿通孔11b及び操作孔11cのそれぞれは、底壁11aを上下方向Zに貫通する貫通孔である。
【0033】
図2に示すように、ボディ11及びカバー12によって形成された内部空間には、2個の端子17、4個の錠ばね18及び2個の解除釦19がそれぞれ収納されている。各端子17には、2個の錠ばね18が収納されるとともに、この錠ばね18の上下方向Zの間に1個の解除釦19が配置されている。
【0034】
ここでコンセント10への電線の接続及び解除について説明する。
コンセント10に電線を接続する際には、ボディ11の電線挿通孔11b(図1(c)参照)に電線を挿通する。そして電線は錠ばね18に接触するとともに、錠ばね18によって端子17の錠ばね18と左右方向Yに対向する部位に向かい押圧される。これにより端子17と電線との接続が完了する。
【0035】
コンセント10から電線を解除する際には、マイナスドライバー等の工具を操作孔11c(図1(c)参照)に挿入し、解除釦19を前方に移動させる。これにより解除釦19が錠ばね18を押圧して、錠ばね18の電線を押圧する力が低減するようになる。この状態において、電線を後方に向かい引き抜くことによりコンセント10から電線が解除される。
【0036】
図3及び図4を参照して端子17の構造及び刃受部材30の製造工程について説明する。
図3(a)に示すように、端子17は、電線を接続する端子板20とプラグのプラグピンを挟持する刃受部材30とがかしめ鋲25によりかしめられることにより構成されている。端子板20及び刃受部材30は、それぞれ銅板をプレス加工することにより成形されている。
【0037】
端子板20には、一対の電線接触部21と、電線接触部21と左右方向Yに間隙を介して対向する一対の錠ばね接続部22と、これら電線接触部21及び錠ばね接続部22を左右方向Yに連結する連結部23とが設けられている。一対の錠ばね接続部22の上下方向Zの間には、連結部23の左右方向Yの端部から後方に向かい延びる刃受接続部24が設けられている。この刃受接続部24には、かしめ鋲25を挿通する挿通部24aが左右方向Yに貫通する貫通孔として設けられている。
【0038】
刃受部材30には、刃受接続部24に固定される固定部31と、固定部31の前方の端部から前方に向かい延びる略円筒形状の刃受部32とが設けられている。固定部31と刃受部32との間には、これら固定部31と刃受部32とを互いに連結する1つの連結部36が設けられている。固定部31における挿通部24aと対応する箇所には、同様に挿通部31aが設けられている。刃受部32には、連結部36の前方の端部から前後方向Xに向かい延びる円筒形状の円筒部32aが設けられている。この円筒部32aには、前後方向Xに延びるスリット33が3つ設けられている。これにより円筒部32aは4個の挟持片34により構成されるようになる。即ち円筒部32aは前方から見た平面視において4個の円弧状の挟持片34が組み合わされた略円形状に設けられている(図3(b)参照)。
【0039】
図3(c)に示すように、各挟持片34の前方の部位には、プラグピン44(図6参照)と接触して保持するピン保持部34aと、ピン保持部34aから前方に連続して延びるアーク受部34bとが設けられている。即ち、アーク受部34bはピン保持部34aよりも刃受部32の前後方向Xの先端側に設けられている。ピン保持部34aは、刃受部32の内径Dのうちの最小径Dminを形成している。アーク受部34bには、前方に向かうにつれて内径Dが大きくなる傾斜面34cが設けられている。この傾斜面34cにより、プラグピン44を挿入する際に、プラグピン44をピン保持部34aに案内するようになるため、プラグピン44を刃受部32に容易に挿入することができる。また、傾斜面34cとプラグピン44とが接触することにより、各挟持片34が互いに離れる方向に弾性変形しやすくなる。
【0040】
ここで、アーク受部34bは、ピン保持部34a及びピン保持部34aより後方の部位よりも融点の高くなるように形成されている。具体的には、アーク受部34bにはニッケルタングステンめっきが施されている。
【0041】
図4(a)に示すように、一枚の金属板Mは、打ち抜き加工により固定部31及び連結部36の形状及び刃受部32の展開形状が形成されている(図4(b)参照)。また固定部31には挿通部31aが設けられ、刃受部32にはスリット33及び挟持片34が設けられる。そして図4(c)に示すように、曲げ加工によって挟持片34のそれぞれを円弧状に折り曲げるとともに、矢印R1に示すように連結部36を中心として刃受部32(円筒部32a)の両側の端部35を折り曲げることにより、図4(d)に示すような略円筒形状の刃受部32に成形する。ここで刃受部32の上記端部35は間隙を介して互いに離間している。またプレス加工によって刃受部32の外側面を押圧することにより、ピン保持部34a及びアーク受部34b(図3(c)参照)を成形する。
【0042】
図5を参照して、コンセント10の内部における端子17の位置について説明する。
端子板20は、ボディ11に収納されるとともにカバー12より下方に配置されるようになる。即ち端子板20は、周壁挿入溝14より下方に配置されるようになる。また端子板20は、周壁挿入溝14と左右方向Yにおいて重なるように配置されている。
【0043】
刃受部材30は、刃受部32がボディ11より前方に配置される部位を有するとともにカバー12に収納されるようになる。この刃受部32は、周壁挿入溝14の内部(即ち表面部15に対応する上下方向Z及び左右方向Yの位置)に収納されるとともに周壁挿入溝14と前後方向Xにおいて重なる部位を有する。これにより、端子17は刃受部32のみが周壁挿入溝14の内部に収納されるようになる。
【0044】
次に図6〜図8を参照して、プラグ40の構成及びコンセント10へのプラグ40の挿入構造及び抜去構造について説明する。
図6(a)に示すように、プラグ40は、ケーブル部42と、このケーブル部42と接続するプラグ本体部41とにより構成されている。このプラグ本体部41において、表面部15(図7参照)と前後方向Xに対向する対向面43には、この対向面43から後方に延びる2つの丸型のプラグピン44と、これらプラグピン44を外側から覆う周壁45が設けられている。この周壁45は、周壁挿入溝14(図7参照)と同一形状である。またプラグピン44の後方の端部は、周壁45より若干前方となるように設けられている。
【0045】
図6(b)に示すように、プラグピン44は、周壁45の上下方向Zの中央位置L2に対して上方にそれぞれ設けられている。そしてプラグピン44は、左右方向Yに沿って配列されている。このプラグピン44は、正極のプラグピン(図中の左側)及び負極のプラグピン(図中の右側)により構成されている。
【0046】
図7(a)に示すように、コンセント10にプラグ40が挿入されるときには、周壁挿入溝14に周壁45が挿入される。そして、電源挿入孔16にプラグピン44が挿入される。また電源挿入孔16は、正極のプラグピン44が挿通するための正極側の電源挿入孔及び負極のプラグピン44が挿通するための負極側の電源挿入孔により構成されている。
【0047】
図7(b)に示すように、コンセント10に対してプラグ40を逆差ししようとする場合には、プラグピン44が表面部15の中央位置L2よりも下方に位置するようになる。したがって、表面部15の前面15eにプラグピン44が当接することとなり、コンセント10に対してプラグ40が挿入できないようになっている。
【0048】
なお、「逆差し」とは、正極のプラグピンが、負極側の電源挿入孔に挿入され、負極のプラグピンが、正極側の電源挿入孔に挿入されることをいう。この逆差しをしてしまうと、プラグピン44が適合電圧値に合わなくなるため、プラグピン44に接続された電気機器が故障してしまう場合がある。
【0049】
また、プラグピン44を電源挿入孔16に対して逆差ししようとしても電源挿入孔16とプラグピン44とが上下方向Zにおいて互いに離間するようになるため、上記逆差しを確実に抑制するようになる。
【0050】
図8(a)に示すように、プラグピン44が刃受部32に挿入されるときには、プラグピン44の先端部44aがアーク受部34bからピン保持部34aに移動することに伴い、矢印Y1のように刃受部32は互いに離間するように弾性変形するようになる。具体的には、図8(b)に示すように、プラグピン44を介して周方向に対向する挟持片34が互いに離間するように弾性変形する。そしてプラグピン44は、刃受部32の復元力(各挟持片34の復元力)によって保持されている。またプラグピン44は、同ピン44の周方向において4個の上記部位により線接触された状態にて保持されている。
【0051】
一方、図8(c)に示すように、コンセント10からプラグ40を抜去するときには、プラグピン44の先端部44aがピン保持部34aからアーク受部34bに移動することに伴い、矢印Y2のように刃受部32はその復元力により互いに近づくように変形する。そしてプラグピン44が刃受部32から抜き去られたときには、刃受部32はプラグピン44の挿入前の状態に戻るようになる。
【0052】
またプラグピン44がピン保持部34aからアーク受部34bに移動するときには、プラグピン44と刃受部32との間にアークが発生する場合がある。このアークはアーク受部34bによって受けられている。
【0053】
次に図9を参照して、コンセント10の配置のバリエーションについて説明する。
図9(a)に示すように、コンセント10は取付枠に1個取り付けられた状態において、取付枠の前方から化粧プレート50が取り付けられている。この化粧プレート50には、1個モジュール寸法の開口穴51が設けられており、カバー12の前面12aが露出している。
【0054】
図9(b)に示すように、コンセント10は1個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠に対して、同様のコンセント10や1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具(例えば、同軸ケーブル用のコンセント53及び電話線用のモジュラジャック54)がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠にコンセント10と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお化粧プレート50には、3個モジュール寸法の開口穴52が設けられている。なお、上記他の配線器具は、コンセント53やモジュラジャック54に限定されず、例えば交流コンセントやLANケーブル用のモジュラジャック等の他の配線器具も適用することができる。
【0055】
本実施形態の刃受部材30及びこれを備えるコンセント10によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、刃受部32が円筒形状の円筒部32aを有する構成である。したがって、図17に示す従来の刃受部220の構成と比較して、刃受部32を上下方向Zに対して小型化することができる。その結果、コンセント10の上下方向Zへの小型化を達成することができる。また、図17(c)の上下方向Zに小型化した従来の刃受部220と比較して、刃受部32の面積が大きくすることができる。したがって、上記図17(c)の従来の刃受部220と比較して電気抵抗の増大を抑制することができる。
【0056】
また、上記従来の刃受部220では、プラグピン230に対して2点のみにて接触する構成であり、プラグピン230を安定して保持することができなかった。その点、本実施形態では、刃受部32が円筒形状に形成されるため、プラグピン44をその周方向に亘り当接することができる。したがって、刃受部32によってプラグピン44を安定して保持することができる。
【0057】
(2)本実施形態によれば、コンセント10が1個モジュール寸法にて形成されるとともに、カバー12に周壁挿入溝14が設けられる構成である。したがって、一対の刃受部32は周壁挿入溝14の内部に収納される必要がある。このような構成において、従来の刃受部220では、上下方向Zに大きく形成されるため、刃受部220が周壁挿入溝14の内部に収納することが困難であった。その点、本実施形態では、刃受部32が円筒形状であり、上下方向Zに小型化されるため、周壁挿入溝14の内部に容易に収納することができる。また端子板20は、周壁挿入溝14より下方に配置されるため、周壁挿入溝14より外部に配置してもコンセント10の大型化を抑制することができる。
【0058】
さらに電源挿入孔16が表面部15の中央位置L1よりも上方に設けられる構成であるため、この構成において図17に示す従来の刃受部220を用いた場合には、刃受部220を周壁挿入溝の内部に納める必要があるため、電源挿入孔に対して刃受部220の上方の端部のみが前後方向Xに重なる構成となる。これにより、刃受部220の上方の端部のみにてプラグピン230を保持することとなってしまう。したがって、従来の刃受部220がプラグピン230を安定して保持することが困難であった。その点、本実施形態では、電源挿入孔16と同位置に刃受部32が前後方向Xに向かい延びる円筒形状に形成されるため、プラグピン44を安定して保持することができるようになる。
【0059】
(3)本実施形態によれば、刃受部32が曲げ加工により成形される構成である。したがって、切削により成形した刃受部と比較して、刃受部32のばね性を確保することができる。また絞り加工により成形した刃受部と比較して、刃受部32を容易に成形することができる。
【0060】
(4)本実施形態によれば、刃受部32にはスリット33が設けられる構成である。したがって、スリット33が省略された刃受部と比較して、刃受部32のばね性が向上するようになる。その結果、刃受部32が安定してプラグピン44を保持することができる。また図17(b)に示す従来の刃受部220と比較して、接触する箇所を多くすることができるため、刃受部32とプラグピン44との電気的導通を確保することができる。
【0061】
(5)本実施形態によれば、刃受部32にはアーク受部34bが設けられる構成である。したがって、アーク受部34bが省略された刃受部の構成と比較して、カバー12等のコンセント10の他の部材へのアークの影響を抑制することができる。
【0062】
特に本実施形態では、コンセント10が直流コンセントであるため、交流コンセントと比較してアークが長時間に亘り発生するようになる。したがって、刃受部32やカバー12等は、アークの影響を受けやすい。そこでアーク受部34bがアークを受けることにより上記他の部材への影響が抑制できるため、直流コンセントには好適である。
【0063】
(6)本実施形態によれば、アーク受部34bは刃受部32の他の部位よりも融点が高くなるように形成されている。したがって、アークの影響によりアーク受部34bが溶融することを抑制することができる。
【0064】
(7)本実施形態によれば、周壁挿入溝14が略四角形状の4隅のうちの下方の2隅を切り取った形状に形成された構成である。したがって、図16(a),(b)に示すコンセント100の周壁挿入溝111が円環形状であるIEC規格に準拠するコンセントの場合と比較して、プラグ40の周壁45が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ40をコンセント10に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者がコンセント10にプラグ40を容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
【0065】
そして、電源挿入孔16が表面部15の外周縁のうちの中央位置L1よりも上方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝14や周壁45に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセント10にプラグ40の逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセント10の大型化を抑制することができるようになる。
【0066】
ところで、図16(b)に示すように、周壁挿入溝111が円環形状である場合、上述のように電源挿入孔112を上方に移動すると、電源挿入孔112間の距離が小さくなり、絶縁耐力が低下してしまう問題がある。また図16(c)に示すように、コンセント100の周壁挿入溝111を四角形状とし、電源挿入孔112を上下方向Zに長手の長方形状に形成した場合、電源挿入孔112を上方に移動するために図16(d)に示すように、コンセント100の外形を大きくしなければならなかった。
【0067】
その点、本実施形態では周壁挿入溝14が上述の形状に形成されるとともに電源挿入孔16が円形状に形成されるため、中央位置L1より上方に電源挿入孔16を設けても電源挿入孔16間の距離が小さくならない。したがって、図16(b)のコンセント100と比較して、絶縁耐力が向上するようになる。また、図16(d)のコンセント100のように大型化する必要がないため、コンセント10の大型化を防止することができる。これにより、コンセント10は1個モジュール寸法に納まるようになる。
【0068】
(8)本実施形態によれば、コンセント10が、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されるため、同様に規格化された他の配線器具の取付枠にコンセント10を取り付けることができるようになる。したがって、コンセント10専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠に取り付けることが可能となるため、コンセント10の使い勝手が良くなる。
【0069】
(9)本実施形態によれば、カバー12の前面12aと表面部15の前面15eとが前後方向Xにおいて面一となる構成である。また、プラグピン44は周壁45よりも若干前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、コンセント10にプラグ40を逆差ししたときに、周壁45が周壁挿入溝14に大きく挿入される前に表面部15にプラグピン44が当接するようになる。したがって、作業者が上記逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、逆差ししたときにプラグ40がコンセント10に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
【0070】
(10)本実施形態によれば、円筒部32aの端部35は互いに離間している構成である。したがって、これら端部35が互いに接続される円筒部の構成と比較して、端部35を有する2つの挟持片34のばね性を向上することができる。その結果、刃受部32のばね性を確保することができるようになる。
【0071】
(その他の実施形態)
本実施形態のコンセント10は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0072】
上記実施形態では、コンセント10を直流コンセントとして適用したが、コンセント10を交流電力を供給する交流コンセントに適用することもできる。
上記実施形態では、電源挿入孔16が中央位置L1より上方に位置するように設けられたが、電源挿入孔16は中央位置L1と同位置もしくは中央位置L1より下方に位置するように設けることもできる。
【0073】
上記実施形態では、コンセント10は1個モジュール寸法として形成されたが、図10(a)に示すように、コンセント10を2個モジュール寸法として形成すること、及び図10(b)に示すように、コンセント10を3個モジュール寸法として形成することもできる。
【0074】
上記実施形態では、端子17と電線との接続構造が、錠ばね18及び解除釦19を用いたいわゆる速結端子構造であったが、端子17と電線の接続構造はこれに限定されることはない。例えば、図11に示すように、端子17に代えてピラー端子60を用いることもできる。このピラー端子60には、下方が開口する枠体状の電線保持部61と、電線保持部61に接続されるとともに前方に延びる刃受部62と、電線保持部61に螺合されるねじ部材63とが設けられている。刃受部62は、刃受部32と同一形状である。ここで、ピラー端子60は、電線保持部61の内部に電線を挿通し、ねじ部材63を締め付けることにより、ねじ部材63の軸体の端部と電線保持部61との間に電線を挟み込み、電線を保持するようになる。
【0075】
また図12に示すように、端子17に代えてねじ端子70を用いることもできる。このねじ端子70は、端子板71と刃受部材72とがかしめ鋲73によって互いに固定され、端子板71にねじ部材79が螺合することにより構成されている。端子板71には、ねじ固定部74と、ねじ固定部74と左右方向Yに間隙を介して対向するとともに刃受部材72が固定される刃受固定部75と、ねじ固定部74及び刃受固定部75を連結する連結部76とが設けられている。刃受部材72には、刃受固定部75に固定される固定部77と、固定部77から前方に延びる刃受部78とが設けられている。この刃受部78は、刃受部32と同一形状である。またねじ固定部74には、ねじ部材79が螺合されている。ここで、ねじ端子70は、ねじ固定部74とねじ部材79のねじ頭79aとの左右方向Yの間に電線を挿通し、ねじ部材79を締め付けることにより、ねじ固定部74とねじ頭79aとの間に電線を挟み込み、電線を保持するようになる。
【0076】
また図13に示すように、端子17に代えて半田端子80を用いることもできる。この半田端子80には、電線が接続される電線接続部81と、電線接続部81から前方に延びる刃受部82とが設けられている。この刃受部82は、刃受部32と同一形状である。この電線接続部81は、ボディ11の底壁よりも後方に突出するようにボディ11に設けられた端子収納部11dに収納される。そして、その状態において電線接続部81に電線が半田付けされる。
【0077】
上記実施形態では、周壁挿入溝14に2つの傾斜溝14c及び1つの延長溝14dが設けられる構成であったが、周壁挿入溝14の形状はこれに限定されることはない。例えば図14に示すように、周壁挿入溝14に2つの傾斜溝14c及び1つの延長溝14dが省略された形状とすることもできる。即ち周壁挿入溝14を前方から見た平面視において略四角形状とすることもできる。この場合には、表面部15も同様に、前方から見た平面視において略四角形状に形成されるようになる。これにより本実施形態の効果(7)に準じた効果を奏することができる。
【0078】
またこのような周壁挿入溝14の形状によって、コンセント10の適用する供給電圧の種類に応じたものとすることができる。具体的には、図14に示す周壁挿入溝14の形状を供給電圧が24Vのコンセント10とし、本実施形態のような周壁挿入溝14の四隅の下方の両側に傾斜溝14cを設ける形状を供給電圧が48Vのコンセント10とすることができる。また四隅の下方のどちらか一方に傾斜溝14cを設けることにより、例えば供給電圧が12Vのコンセントまたは6Vのコンセントとすることができる。
【0079】
上記実施形態では、表面部15に電源挿入孔16のみが設けられる構成であったが、図14に示すように、電源挿入孔16に加え、接地挿入孔16aを設ける構成とすることもできる。この場合、接地挿入孔16aは、中央位置L1よりも下方且つ左右方向Yの中央位置に設けられる。この構成では、端子17は、電源挿入孔16に対応した2個と接地挿入孔16aに対応した1個との合計3個となる。
【0080】
上記実施形態では、コンセント10を壁埋め込み式コンセントに適用したが、コンセント10の適用例はこれに限定されることはない。例えば図15に示すようにテーブルタップ90にコンセント10を適用することもできる。
【0081】
上記実施形態では、アーク受部34bにニッケルタングステンめっきが施されることにより、刃受部32の他の部位よりも融点が高くなる構成としたが、アーク受部34bの上記融点が高くなる構成はこれに限定されることはない。例えば、刃受部材30に複合材料の金属板であるグラッド材を用いて、アーク受部34bの部位のみを他の部位よりも融点の高い材料(例えば、タングステン)にて構成することもできる。
【0082】
上記実施形態では、周壁挿入溝14の形状を左右方向Yが長手且つ上下方向Zが短手の略長方形状として形成されたが、周壁挿入溝14の形状はこれに限定されることはない。周壁挿入溝14は、左右方向Y及び上下方向Zの長さが同一の正方形状として設けることもできる。
【0083】
上記実施形態では、周壁挿入溝14及び表面部15をそれぞれ略四角形状から2隅を切り取った形状としたが、周壁挿入溝14及び表面部15の形状はこれに限定されることはない。例えば、図9に示すように周壁挿入溝14及び表面部15に傾斜溝14c及び傾斜辺15cをそれぞれ省略した略四角形状に形成することもできる。また、周壁挿入溝14及び表面部15の形状は、略四角形状に限定されることなく、周壁挿入溝14が円環形状に形成され、表面部15が円形状に形成することもできる。この構成によっても本実施形態の効果(1)に準じた効果を奏することができる。
【0084】
上記実施形態では、電源挿入孔16が丸形状に形成されたが、電源挿入孔16の形状はこれに限定されることはない。例えば、電源挿入孔16を上下方向Zを長手とし、左右方向Yを短手とする長方形として形成することもできる。この構成によっても本実施形態の効果(1)に準じた効果を奏することができる。
【0085】
上記実施形態では、カバー12に周壁挿入溝14が形成されたが、この周壁挿入溝14は省略することもできる。これに伴い、プラグ40の周壁45も省略することができる。
上記実施形態では、端子17が刃受部材30と端子板20とをかしめ鋲25にて固定する構成であったが、刃受部材30と端子板20との固定方向はこれに限定されることはない。例えば、刃受部材30と端子板20とは溶接にて固定することもできる。
【0086】
また、刃受部材30と端子板20とは、別部材としてそれぞれ設けられる構成であったが、刃受部材30と端子板20とは単一部材として構成することもできる。これにより、端子17の部品点数の削減を図ることができる。
【0087】
上記実施形態では、刃受部32の筒部として円筒部32aを設けたが、筒部は筒形状であれば円筒形状以外の形状であってもよい。例えば、筒部を前方から見た平面視において、略四角形状の筒形状とすることもできる。
【符号の説明】
【0088】
KL…基準辺、M…金属板、10…コンセント、11…ボディ、11a…底壁、11b…電線挿通孔、11c…操作孔、11d…端子収納部、12…カバー、12a…前面、13…組立枠、14…周壁挿入溝、14a…第1挿入溝、14b…第2挿入溝、14c…傾斜溝、14d…延長溝、14e…対向辺、15…表面部、15a…第1辺、15b…第2辺、15c…傾斜辺、15d…凹辺、15e…前面、16…電源挿通孔(ピン挿入孔)、16a…接地挿入孔、17…端子、18…錠ばね、19…解除釦、20…端子板、21…電線接触部、22…錠ばね接触部、23…連結部、24…刃受接続部、24a…挿通孔、25…かしめ鋲、30…刃受部材、31…固定部、31a…挿通孔、32…刃受部、33…スリット、34…挟持片、34a…ピン保持部、34b…アーク受部、34c…傾斜面、35…端部、40…プラグ、41…プラグ本体部、42…ケーブル、43…対向面、44…プラグピン、45…周壁、50…化粧プレート、51…開口穴、52…開口穴、60…ピラー端子、61…電線保持部、62…刃受部、63…ねじ部材、70…ねじ端子、71…端子板、72…刃受部材、73…かしめ鋲、74…ねじ固定部、75…刃受固定部、76…連結部、77…固定部、78…刃受部、79…ねじ部材、79a…ねじ頭、80…半田端子、81…電線接続部、82…刃受部、90…テーブルタップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグのプラグピンが接続される刃受部材において、
前記刃受部材には、前記プラグピンを挟持するとともにピン挿入方向に向かい延びる筒部を有する刃受部が設けられ、
前記刃受部には、前記筒部の内径が最も小さく形成されるピン保持部と、このピン保持部から前記内径を広げるようにピン挿入方向に向かい延びる先端部とが設けられ、
前記ピン保持部は、前記プラグピンが前記刃受部に挿入された状態において、このプラグピンと接触し保持する
ことを特徴とする刃受部材。
【請求項2】
請求項1に記載の刃受部材において、
前記刃受部の先端は、この先端以外の前記刃受部の部位よりも融点が高い
ことを特徴とする刃受部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の刃受部材において、
前記刃受部には、ピン挿入方向に向かい延びるスリットが設けられることにより複数の挟持片が形成される
ことを特徴とする刃受部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の刃受部材において、
当該刃受部材には、
この刃受部材と電気的に接続される端子板と電線を前記端子板に押さえつける錠ばねとが設けられる
ことを特徴とする刃受部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の刃受部材を具備することを特徴とするコンセント。
【請求項6】
請求項5に記載のコンセントにおいて、
当該コンセントには、
前記プラグピンの周りを囲むように前記プラグに設けられた周壁が挿入されるとともに、ピン挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される周壁挿入溝と、
この周壁挿入溝に囲まれるとともにピン挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される表面部と
が設けられ、
前記表面部には、前記プラグピンが挿入される円形状に形成されたピン挿入孔が前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、
前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される方向に沿った前記表面部の外周縁の一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向において、前記基準辺に対向する前記表面部の辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられる
ことを特徴とするコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−113679(P2011−113679A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266719(P2009−266719)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】