説明

分光分析方法及び分光分析装置

【課題】分光分析方法及び装置において、液体試料の光物性と質量とを簡易に計測する。
【解決手段】液体試料を吸着していない吸着材に、第1の波長範囲の第1の電磁波を照射して、前記吸着材を透過又は反射する第2の電磁波を検出する工程と、液体試料を吸着材に吸着させる工程と、液体試料を吸着した吸着材に、第1の波長範囲の第3の電磁波を照射し、前記吸着材を透過又は反射する第4の電磁波を検出する工程と、第4の電磁波の第2の電磁波からの変化に基づいて、液体試料の光物性情報を取得する工程と、液体試料を吸着した吸着材に、第2の波長範囲の第5の電磁波を照射すると共に、前記吸着材を透過した第6の電磁波を検出し、第5の電磁波と第6の電磁波とに基づいて前記吸着材の光透過率を測定する工程と、前記光透過率に基づいて液体試料の質量情報を取得する工程とを有し、前記各電磁波を照射する工程は、同一の分光分析装置内で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光分析方法及び分光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象試料に赤外線、可視光、紫外線等の電磁波を照射し、その試料を透過する透過光の分光分析等をすることにより、試料の物性を分析する方法が知られている。
【0003】
例えば、多孔質ガラスに有機ガスを吸着させ、この有機ガスを吸着した多孔質ガラスの紫外・可視吸収スペクトルを測定し、有機ガス吸着前の多孔質ガラスの紫外・可視吸収スペクトルとの差を計算する。これにより吸着させた有機ガス成分のみの紫外、可視吸収スペクトルを得て、吸着したガスの種類と濃度を分析する方法がある。
【0004】
また、透明な樹脂と、不透明な顔料からなる粒子との混合体であるフィルムに、光を照射し、フィルムを透過した光の強度を受光することにより、フィルムに含まれる粒子の単位面積当たりの含有量を検出する方法がある。
【0005】
更に、樹脂フィルムに含まれる水分の量を測定する方法がある。この方法では、樹脂フィルムに、水分子に吸収される第1波長をもつ測定光と、水分子に吸収されない第2波長をもつ参照光とを照射し、樹脂フィルムの透過光を受光する。その際に、測定光と参照光を略同じ光路を経由させ、測定光と参照光双方の吸光度に基づいて、樹脂フィルムが含有する水分の量を測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−338040号公報
【特許文献2】特開2002−168782号公報
【特許文献3】特開2010−121998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分光分析方法及び分光分析装置において、液体試料の光物性と質量とを簡易に計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点によれば、 液体試料を吸着していない吸着材に、第1の波長範囲の第1の電磁波を照射したときの、前記吸着材を透過又は反射する第2の電磁波を検出する工程と、前記液体試料を前記吸着材に吸着させる工程と、前記液体試料を吸着した前記吸着材に、前記第1の波長範囲の第3の電磁波を照射し、前記吸着材を透過又は反射する第4の電磁波を検出する工程と、前記第4の電磁波の前記第2の電磁波からの変化に基づいて、前記液体試料の光物性情報を取得する工程と、前記液体試料を吸着した前記吸着材に、第2の波長範囲の第5の電磁波を照射すると共に、前記吸着材を透過した第6の電磁波を検出し、前記第5の電磁波と前記第6の電磁波とに基づいて前記吸着材の光透過率を測定する工程と、前記光透過率に基づいて前記液体試料の質量情報を取得する工程とを有し、前記第1の電磁波を照射する工程、前記第3の電磁波を照射する工程、及び前記第5の電磁波を照射する工程は、同一の分光分析装置内で行う分光分析方法が提供される。
【0009】
また、その開示の別の観点によれば、吸着材に第1の波長範囲の電磁波を照射する第1の光源と、前記吸着材に第2の波長範囲の電磁波を照射する第2の光源と、前記第1の光源から前記吸着材に照射され、該吸着材を透過又は反射した電磁波を検出する第1の検出部と、前記第2の光源から前記吸着材に照射され、該吸着材を透過した電磁波を検出する第2の検出部と、前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記吸着材に吸着している前記液体試料の光物性情報を取得すると共に、前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記液体試料の質量情報を取得する処理部と、を有する分光分析装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以下の開示によれば、液体試料の状態を保持したまま、液体試料の光物性及び質量の計測を行うことができるので、計測の効率及び精度の向上を図ることができる。また、特に微量な液体試料においても、計測中に液体試料が紛失して液体試料の状態が変化することがないので、精度を悪化させることなく液体試料の光物性及び質量の計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、分光分析装置の全体の構成例を示す図である。
【図2】図2は、分光分析装置の光源部の構成例を示す図である。
【図3】図3は、分光分析装置の検出部の構成例を示す図である。
【図4】図4は、分光分析装置及び分光分析方法において、液体試料の光物性情報を取得するための手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、分光分析装置及び分光分析方法において、液体試料の質量情報を取得するための手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、多孔質ポリプロピレンフィルムに、ポリ塩化ビニルに付着した液体試料を吸着させたときの光学像である。
【図7】図7は、液体試料の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図8】図8は、多孔質ポリプロピレンの全光透過率と液体試料の質量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
分光分析方法等により液体試料の定性・定量分析を行う際には、液体試料の物性測定と液体試料の質量の計量とを別々の装置を用いて行うことがある。そのため液体試料の分析の効率が悪い。また、液体試料の状態を保持するのが困難であるため、特に液体試料が微量な場合に測定精度が悪化するという問題がある。
【0013】
本実施形態に係る分光分析装置及び分光分析方法では、液体試料を吸着材に吸着して、液体試料の状態を保持したまま、液体試料の光物性及び質量の計測を行うことにより、上記問題を解決するようにしている。
【0014】
図1〜図3を参照しながら、本実施形態に係る分光分析装置の構成について説明する。
【0015】
図1は、分光分析装置の全体の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示されるように、分光分析装置は、赤外線及び可視光を照射する光源部10と、光源部10から照射された赤外線及び可視光が通過する入射スリット20と、入射スリット20を通過して吸着材32を透過した赤外線及び可視光を検出するための検出部30と、計数回路40及び計数回路50とを介して検出部30から検出結果が入力され、その検出結果を処理するコンピュータ60とを有する。
【0017】
そして、検出部30は、吸着材32と、吸着材32が設置された試料室31と、吸着材32を透過した赤外線を検出する赤外分光検出器35と、吸着材32を透過した可視光を検出する積分球(光束系)36とを有する。
【0018】
光源部10からは赤外線及び可視光が照射され、照射された光は入射スリット20を介して試料室31に設置されている吸着材32に照射される。吸着材32を透過した赤外線及び可視光は、それぞれ赤外分光検出器35及び積分球36で検出されて電気信号に変換され、計数回路40及び計数回路50を介してコンピュータ60に入力され処理される。
【0019】
図2は、分光分析装置の光源部10の構成例を示す図である。図2に示されるように、光源部10は、赤外線L1Aを照射する赤外光源11と、可視光L2Aを照射する可視光源12とを有し、更に、赤外線L1及び可視光L2を反射して、入射スリット20へ誘導するための可動式反射鏡33と、反射鏡34とを有する。
【0020】
赤外光源11から赤外線L1Aが照射された場合、可動式反射鏡13は赤外線L1Aと平行な向き13aを向き、赤外線L1Aは直進して赤外線L1Bとなり、入射スリット20を通過する。
【0021】
また、可視光源12から可視光L2Aが照射された場合、可視光L2Aは反射鏡14で反射され可視光L2Bとなる。そして、可動式反射鏡13は向き13bを向き、可視光L2Bは可動式反射鏡13によって反射され可視光L2Cとなり、可視光L2Cは入射スリット20を通過する。
【0022】
図3は、分光分析装置の検出部30の構成例を示す図である。
【0023】
図3に示されるように、検出部30は、上記の分光分析装置の全体の構成例での説明において示した構成要素以外に、吸着材32を透過した赤外線L1を赤外分光検出器35に誘導し、吸着材32を透過した可視光L2を積分球36に誘導するための、可動式反射鏡33と、反射鏡34とを有する。
【0024】
入射スリット20を通過した赤外線L1B及び可視光L2Cは、試料室31に設置されている吸着材32に入射する。赤外線L1B及び可視光L2Cは、吸着材32に吸着され、保持されている液体試料の部分32aに入射する。
【0025】
そして、赤外光源11から赤外線L1Aが照射されている場合、可動式反射鏡33は吸着材32を透過した赤外線L1Cと平行な向き33aを向き、赤外線L1Cは直進して赤外線L1Dとなる。赤外線L1Dは赤外分光検出器35に受光される。赤外分光検出器35の検出結果はコンピュータ60に入力され、液体試料を吸着していない吸着材32の第2の赤外吸収スペクトル、及び液体試料を吸着している吸着材32の第1の赤外吸収スペクトルが測定される。
【0026】
可視光源12から可視光L2Aが照射されている場合、可動式反射鏡33は向き33bを向き、吸着材32を透過した可視光L2Dは可動式反射鏡33によって反射され、可視光L2Eとなる。可視光L2Eは、更に反射鏡34で反射され可視光L2Fとなり、可視光L2Fは積分球36に受光される。積分球36の検出結果はコンピュータ60に入力され、液体試料を吸着している吸着材32の光透過率が測定される。
【0027】
次に、図4及び図5に沿って、本実施形態に係る分光分析装置の動作手順、及び分光分析方法の手順について説明する。
【0028】
図4は、分光分析装置及び分光分析方法において、液体試料の光物性情報を取得するための手順を示すフローチャートである。
【0029】
図4に示されるように、液体試料を吸着していない吸着材32を試料室31に設置し、その吸着材32に赤外光源11から赤外線L1を照射する(ステップS1)。
【0030】
吸着材32を透過した赤外線L1は赤外分光検出器35で検出され、その検出結果はコンピュータ60に入力される。そして、液体試料を吸着していない吸着材32の第2の赤外吸収スペクトルが測定される(ステップS2)。
【0031】
それから、吸着材32に光物性及び質量の計測の対象となる液体試料を吸着させ、保持させる(ステップS3)。
【0032】
次に、液体試料を吸着した吸着材32を試料室31に設置し、その吸着材32に赤外光源11から赤外線L1を照射する(ステップS4)。
【0033】
吸着材32を透過した赤外線L1は赤外分光検出器35で検出され、その検出結果はコンピュータ60に入力される。そして、液体試料を吸着した吸着材32の第1の赤外吸収スペクトルが測定される(ステップS5)。
【0034】
コンピュータ60によって、第1の赤外吸収スペクトルと第2の赤外吸収スペクトルとの差スペクトルが算出され、液体試料の赤外吸収スペクトルが取得される(ステップS6)。
【0035】
取得された液体試料の赤外吸収スペクトルは、例えばコンピュータ60のディスプレイ等に表示される(ステップS7)。表示された液体試料の赤外吸収スペクトルを分析することにより、液体試料の成分等についての光物性情報を取得することができる。
【0036】
図5は、分光分析装置及び分光分析方法において、液体試料の質量情報を取得するための手順を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、液体試料を吸着した吸着材32に、可視光源12から可視光L2を照射する(ステップS8)。
【0038】
吸着材32を透過した可視光L2は積分球36で検出され、その検出結果はコンピュータ60に入力される。そして、液体試料を吸着した吸着材32の光透過率が測定される(ステップS9)。
【0039】
コンピュータ60は、測定した光透過率と、吸着材32に吸着している液体試料の質量と吸着材32の光透過率との特性曲線とにより、液体試料の質量を算出する(ステップS10)。
【0040】
この特性曲線は、例えば図8に示される曲線のようなものである。図8に示される曲線は下記の式(1)で与えられる。
【0041】
【数1】

【0042】
そして、液体試料の質量は例えばコンピュータ60のディスプレイ等に表示される(ステップS11)。
【0043】
なお、本実施形態における分光分析装置及び分光分析方法において、液体試料を吸着していない吸着材32の第2の赤外吸収スペクトルがあらかじめ分かっている場合は、図4(a)のステップS1及びステップS2の工程は省略することができる。
【0044】
また、本実施形態において測定される光透過率は、積分球36により測定される全光透過率でも良いが、光透過率は分光光度計によって測定される分光透過率であっても良い。
【0045】
そして、吸着材32に吸着している液体試料の質量と吸着材32の光透過率との特性曲線における光透過率は、本実施形態における分光分析装置及び分光分析方法において、積分球36又は分光光度計が検出する可視光と同一の波長範囲の可視光に対する、吸着材32の光透過率である。
【0046】
また、吸着材32は、多孔質有機高分子フィルムであることが望ましい。
【0047】
吸着材32には、液体試料の光物性情報を取得するために赤外線L1が照射され、液体試料の質量情報を取得するために可視光L2が照射される。しかし、液体試料の光物性情報を取得するために吸着材32に照射する電磁波は、液体試料と相互作用が生じる第1の波長範囲の電磁波でよい。また、液体試料の質量情報を取得するために吸着材32に照射する電磁波は、吸着材32に吸着している液体試料の質量と吸着材32の光透過率との特定の関係を有する第2の波長範囲の電磁波でよい。
【0048】
なお、吸着材32に照射する第1の波長範囲の電磁波については、吸着材32を透過する第1の波長範囲の電磁波を検出して、液体試料の光物性情報を取得するようにしてもよいが、吸着材32を反射する波長範囲1の電磁波を検出して、液体試料の光物性情報を取得するようにしてもよい。
【0049】
また、赤外線L1の光路及び可視光L2の光路は、図1〜図3に示される光路に限定されることはない。赤外線L1の光路及び可視光L2の光路は、赤外光源11から照射された赤外線L1が、吸着材32を透過又は反射して赤外分光検出器35に受光されるようになっており、可視光源12から照射された可視光L2が、吸着材32を透過して積分球36に受光されるようになっておれば、任意の光路を取り得る。
【0050】
以上に説明した本実施形態に係る分光分析方法及び分光分析装置では、液体試料を吸着材32に吸着して液体試料の状態を保持したまま、同一の装置内で液体試料の光物性及び質量の計測を行うことができるので、計測の効率及び精度の向上を図ることができる。
【0051】
また、装置外に吸着材32を出す必要がないので、特に微量な液体試料においても、計測中に液体試料が紛失して液体試料の状態が変化することがないので、精度を悪化させることなく液体試料の光物性及び質量の計測が可能となる。
【0052】
次に、吸着材32として多孔質ポリプロピレンフィルムを使用し、液体試料としてポリ塩化ビニル中に付着した液体を使用して、本実施形態に係る分光分析方法により、液体試料の光物性及び質量の計測を行う。ポリプロフピレンは撥水性を有するため、液体試料として所望の油状成分のみを吸着し、保持することが可能である。
【0053】
図6(a)は液体試料吸着前の多孔質ポリプロピレンフィルムの光学像を基にして描いた図であり、図6(b)及び(c)は液体試料吸着後の多孔質ポリプロピレンフィルムの光学像を基にして描いた図である。
【0054】
図6(c)に示される試料Bの像は、図6(b)に示される試料Aの像よりも多孔質ポリプロピレンフィルムに液体試料を多量に吸着させた場合の像である。多孔質ポリプロピレンフィルムに液体試料を吸着させると、円形の吸着箇所ができることが分かる。
【0055】
図7は、試料Bの赤外吸収スペクトルを示す図である。この赤外吸収スペクトルは、本実施形態に係る分光分析方法により得られたものである。即ち、図7に示される赤外吸収スペクトルは、液体試料を吸着していない多孔質ポリプロピレンフィルムの第2の赤外吸収スペクトルと、液体試料を吸着した多孔質ポリプロピレンフィルムの第1の赤外吸収スペクトルとを測定し、第1の赤外吸収スペクトルと第2の赤外吸収スペクトルとの差スペクトルから取得されたものである。
【0056】
図7に示される赤外吸収スペクトルにおいて、1723cm-1、1273cm-1、1122cm-1付近に、エステルのC=O、C−Oの伸縮振動に帰属する非常に強いピークが見られる。また、1600cm-1、1580cm-1付近には、略等しい強度で、1,2−置換のフタル酸エステルに特徴的な鋭いピークが見られる。更に、1073cm-1、743cm-1付近にも特徴的なピークが見られる。以上から、試料Bの主成分はフタル酸エステルであることが分かる。
【0057】
図8は、液体試料を吸着させた多孔質ポリプロピレンフィルムの全光透過率(%)と、吸着させた試料Bに対応する液体試料の質量(μg)との関係を示す図である。丸印で示されるのは測定により得られた結果であり、曲線は上記の式(1)で表される。本実施形態に係る分光分析方法により得られた試料Bの全光透過率は13(%)である。従って、式(1)より試料Bの質量は20(μg)と算出される。
【0058】
本実施形態に係る分光分析方法及び分光分析装置を用いて、赤外吸収スペクトルが所望のピーク強度を持つ特定の液体試料の光透過率と質量との関係を表す、検量線を作成することができる。検量線の作成は、所望のピーク強度を持つ、質量が既知の液体試料に対して、光透過率を調べる。この光透過率を、いくつかの既知の質量の液体試料に対して調べることによって、検量線を作成することができる。
【0059】
また、電子部品等に付着した絶縁油等の微量の付着油に対して、本実施形態に係る分光分析方法及び分光分析装置を適用することができる。即ち、微量の付着油を液体試料として、吸着材32に吸着、保持させることにより、計測中に微量の付着油の状態を保持し、微量の付着油を紛失することなく、付着油の光物性情報及び質量情報を取得することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…光源部、11…赤外光源、12…可視光源、13、33…可動式反射鏡、14、34…反射鏡、20…入射スリット、30…検出部、31…試料室、32…吸着材、35…赤外分光検出器、36…積分球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を吸着していない吸着材に、第1の波長範囲の第1の電磁波を照射したときの、前記吸着材を透過又は反射する第2の電磁波を検出する工程と、
前記液体試料を前記吸着材に吸着させる工程と、
前記液体試料を吸着した前記吸着材に、前記第1の波長範囲の第3の電磁波を照射し、前記吸着材を透過又は反射する第4の電磁波を検出する工程と、
前記第4の電磁波の前記第2の電磁波からの変化に基づいて、前記液体試料の光物性情報を取得する工程と、
前記液体試料を吸着した前記吸着材に、第2の波長範囲の第5の電磁波を照射すると共に、前記吸着材を透過した第6の電磁波を検出し、前記第5の電磁波と前記第6の電磁波とに基づいて前記吸着材の光透過率を測定する工程と、
前記光透過率に基づいて前記液体試料の質量情報を取得する工程とを有し、
前記第1の電磁波を照射する工程、前記第3の電磁波を照射する工程、及び前記第5の電磁波を照射する工程は、同一の分光分析装置内で行うことを特徴とする分光分析方法。
【請求項2】
前記質量情報を取得する工程において、前記光透過率と、前記吸着材に吸着している前記液体試料の質量との特性曲線とに基づいて、前記液体試料の質量情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の分光分析方法。
【請求項3】
前記吸着材が多孔質有機高分子フィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分光分析方法。
【請求項4】
前記第1の波長範囲が赤外線領域であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項5】
前記第2の波長範囲が可視光領域であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項6】
吸着材に第1の波長範囲の電磁波を照射する第1の光源と、
前記吸着材に第2の波長範囲の電磁波を照射する第2の光源と、
前記第1の光源から前記吸着材に照射され、該吸着材を透過又は反射した電磁波を検出する第1の検出部と、
前記第2の光源から前記吸着材に照射され、該吸着材を透過した電磁波を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記吸着材に吸着している前記液体試料の光物性情報を取得すると共に、前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記液体試料の質量情報を取得する処理部と、を有することを特徴とする分光分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127900(P2012−127900A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281446(P2010−281446)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】