説明

分別装置

【課題】液体と固体の分別ができなかった。
【解決手段】漏斗形状をした第1のサイクロン発生部11と、この第1のサイクロン発生部11の上方であって接線方向に設けられた気体・液体・固体の流入口12と、第1のサイクロン発生部11の上方中央に設けられた吸出口17とを備え、第1のサイクロン発生部11の下方に連結して設けられるとともに円筒形状をした第2のサイクロン発生部18と、この第2のサイクロン発生部18の底面18a中央に連結して設けられたホース21と、このホース21の下方端に設置された廃液貯蔵部22とが設けられたものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体・液体・固体を分別する分別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の分別装置について説明する。従来の分別装置は、図3に示すような構成となっていた。図3において、1は、漏斗形状をしたサイクロン発生部であり、2は、サイクロン発生部1の上方であって接線方向に設けられた流入口である。また、3は、サイクロン発生部1の上方中央に設けられた吸出口であり、4は、サイクロン発生部1の底面中央に設けられた排出口である。
【0003】
以上のように構成された分別装置について、以下にその動作を説明する。流入口2に気体5・液体6・固体7が混在したゴミ8を流入可能に設けておく。そして、吸出口3から吸出すると、ゴミ8がサイクロン発生部1内に流入する。吸出口3からの吸出により、サイクロン発生部1内で竜巻が発生し、サイクロン発生部1に流入したゴミ8の内、気体5は吸出口3から外部に放出され、液体6と固体7は排出口4から排出される。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開平6−205917号公報
【特許文献2】実開昭57−149853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の分別装置では、気体5と液体6、或いは気体5と固体7とは一度に分離することができた。しかしながら、液体6と固体7とは分離することができなかった。
【0006】
従って、このような分別装置をダイシング装置に連結して、プリント基板等を切断するときに発生するゴミ8を集塵しようとすると、液体6に混じってプリント基板の切屑である固体7も排出口4から排出されることになる。このような排出物をそのまま排出処理することはできず、この液体6と固体7とが混合された排出物をフィルタ等で濾過して、液体6と固体7とに分別して廃棄しなければならないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、気体・液体・固体を別々に分別することができる分別装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の分別装置は、第1のサイクロン発生部の下方に連結して設けられるとともに円筒形状をした第2のサイクロン発生部と、この第2のサイクロン発生部の底面中央に連結して設けられたホースと、このホースの下方端に設置された廃液貯蔵部とが設けられた構成としたものである。
【0009】
これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1のサイクロン発生部の下方に連結して設けられるとともに円筒形状をした第2のサイクロン発生部と、この第2のサイクロン発生部の底面中央に連結して設けられたホースと、このホースの下方端に設置された廃液貯蔵部とが設けられているので、第2のサイクロン発生部内でも第2のサイクロン現象が発生し、この第2のサイクロン現象により、遠心力で固体は第2のサイクロン発生部の下方側面近傍に堆積されるとともに、液体は底面中央に連結されたホースから外部に導出されるものである。即ち、液体と固体とを分別することができ、結論として、気体・液体・固体を別々に、しかも一度に分別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における分別装置の断面図である。図1において、11は、漏斗形状をした第1のサイクロン発生部であり、樹脂で形成されている。そして、その上方の直径は約190mmであり、高さは約400mmである。
【0013】
12は、第1のサイクロン発生部11の上方であって接線方向(図2参照)に設けられた流入口である。この流入口12の直径は約30mmであり、この流入口12はダイシング装置のプリント基板切削部近傍に連結されている。そして、この流入口12からプリント基板の切削時に排出される切削片(固体の一例として用いた)13と、切削時に冷却するための水(液体の一例として用いた)14と、空気(気体の一例として用いた)15の混合物16が流入する。
【0014】
また、17は、第1のサイクロン発生部11の上方中央に設けられた吸出口であり、その直径は約32mmである。この吸出口17からは毎分1.3立方メートルの空気15を吸引する。この吸引力により、第1のサイクロン発生部11の内部ではサイクロン現象(竜巻)が発生し、この第1のサイクロン発生部11に流入した、切削片13と、水14と、空気15の混合物16の内、空気15は分離されて吸出口17から排出される。
【0015】
18は、円筒形状をした第2のサイクロン発生部であり、第1のサイクロン発生部11の底面に連結して設けられている。そして、この第1のサイクロン発生部11と第2のサイクロン発生部18とは、第1のサイクロン発生部11の底面中央に設けられた直径60mmの孔19で接続している。この第2のサイクロン発生部18は、樹脂で形成されており、その直径は約290mmであり、高さは約390mmである。
【0016】
18aは、サイクロン発生部18を形成する底面であり、この底面18aは、サイクロン発生部18本体の側面18bと着脱自在に連結されている。また、この底面18aの中央には直径13mmの排出口24が設けられており、この排出口24の周囲を囲むように、高さ4mmで直径46mmのドーナッツ状の土手20が設けられている。
【0017】
排出口24には、内径13mmの樹脂製のホース21が連結されている。そして、このホース21に下方端には直径600mmで高さ230mmの廃液貯蔵部22が配置されている。また、この廃液貯蔵部22の載置された基台23から第2のサイクロン発生部18の底面18aまでの距離は約950mmとしている。
【0018】
図2は、第1のサイクロン発生部11の平面図である。図2において、12は流入口であり、漏斗形状をした第1のサイクロン部11の水平方向であって、且つ接線方向に設けられている。19は、第1のサイクロン発生部11と第2のサイクロン発生部18とを連結する孔であり、第1のサイクロン部11の底面と第2のサイクロン発生部18上面に連結して設けられている。
【0019】
以上のように構成された分別装置について、以下にその動作を説明する。吸出口17からの空気15を吸出することにより、第1のサイクロン発生部11の気圧が低下する。そうすると流入口12からは、ダイシング装置でプリント基板の切削時に発生した切削片13と水14と空気15の混合物16が略毎秒30mの速度で勢い良く流入する。このとき、流入口12はサイクロン発生部11の接線方向に装着されているので、第1のサイクロン発生部11では、サイクロン現象(竜巻)が発生する。
【0020】
そうすると、空気15は分別されて吸出口17から排出され、水14と切削片13は遠心力で第1のサイクロン発生部11の側壁を伝わって、孔19から第2のサイクロン発生部18に流入する。第2のサイクロン発生部18においても、第1のサイクロン発生部11と孔19で連結しているので、サイクロン現象が発生している。このサイクロン現象により、遠心力で水14と切削片13は第2のサイクロン発生部18の側壁を伝わって下方に導かれる。そして、切削片13は底面18aに堆積する。
【0021】
ここで、第2のサイクロン発生部18で生ずるサイクロン現象により、第2のサイクロン発生部18内の気圧が低下する。そうするとこの気圧低下により、廃液貯蔵部22に貯蔵された水14がホース21内を上昇し、水位14aとなる。この水位14aは、ホース21内を基台23から約720mmの高さまで上昇して来る。
【0022】
このとき、底面18aの高さは、基台23から約950mmに設定しているので、底面18aと水位14aとの間には約230mmの空間25が生ずることになる。この空間25が生ずるということが重要なことであり、サイクロン現象はこの空間25の底面(水位14a)から発生することになる。このことにより、水14は土手20を越えてホース21内の空間25に導かれる。この空間25に導かれた水14は、ホース21を介して廃液貯蔵部22に導かれる。
【0023】
このようにして、切削片13と水14と空気15の混合物16は、夫々、別々に、しかも、一度に分別される。即ち、空気15は吸出口17から吸出され、水14は廃液貯蔵部22に貯蔵され、切削片13は底面18aに堆積する。従って、従来のように、改めて水14と切削片13とを分別する必要は無く、作業の効率化を図ることができる。
【0024】
また、第2のサイクロン発生部18の底面18aと側面18bとは着脱自在に構成されている。従って、第2のサイクロン発生部18本体を形成する側面18bを、底面18aから容易に外すことができ、堆積した切削片13を容易に取り除くことができる。
【0025】
また、土手20が設けられているので、サイクロン現象により、切削片13がこの土手20を越えて廃液貯蔵部22に混入することも無い。更に、切削片13を取り出すときにも、操作者の不注意でこの切削片13を排出口24からホース21内に落下させることは無く、切削片13と水14とが混ざることは無い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の分別装置は、気体と液体と固体とを別々に分別することができるので、生産設備等における気体・液体・固体の分別等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態における分別装置の断面図
【図2】同、第1のサイクロン発生部の平面図
【図3】従来の分別装置の断面図
【符号の説明】
【0028】
11 第1のサイクロン発生部
12 流入口
13 切削片
14 水
15 空気
16 混合物
17 吸出口
18 第2のサイクロン発生部
18a 底面
21 ホース
22 廃液貯蔵部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏斗形状をした第1のサイクロン発生部と、この第1のサイクロン発生部の上方であって接線方向に設けられた気体・液体・固体の流入口と、前記第1のサイクロン発生部の上方中央に設けられた吸出口とを備え、前記第1のサイクロン発生部の下方に連結して設けられるとともに円筒形状をした第2のサイクロン発生部と、この第2のサイクロン発生部の底面中央に連結して設けられたホースと、このホースの下方端に設置された廃液貯蔵部とが設けられた分別装置。
【請求項2】
第2のサイクロン発生部の底面と側面とは着脱自在に設けられた請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
第2のサイクロン発生部の底面に連結されたホースの開口を囲むように土手が設けられた請求項1に記載の分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−38189(P2007−38189A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228168(P2005−228168)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】