分化多能性増殖間葉系前駆細胞子孫(MEMP)およびその使用

【課題】発生初期のマーカーSTRO-1briおよびALPによって特徴付けられる分化多能性増殖間葉系前駆細胞子孫(MEMP)、MEMPの産生方法および治療用途のためのMEMPの使用方法を提供する。
【解決手段】MPCまたはその子孫と、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される刺激因子とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、分化多能性増殖(expanded)間葉系前駆細胞子孫(MEMP)に関する。本発明はまた、MEMPの生成方法および治療用途のためのMEMPの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
体内に存在し、単離した場合に分化多能性細胞を生じさせる非造血性前駆細胞は、間葉系前駆細胞(MPC)と呼ばれる。より詳細には、精製したMPCは非常に数多くの分化多能性細胞コロニーを形成する能力を有する。
【0003】
Simmons他(Advances in Bone Marrow Purging and Processing: Fourth International Symposium, 271-280頁, 1994)は、STRO-1細胞表面マーカーを発現する細胞について選択することによる、新たに収集した骨髄細胞からのMPCの濃縮について記載している。著者らによりページ272〜273に記載されているように、骨髄細胞にはCFU-Fを生じることができるMPCが一定割合で含まれることが知られている。続いてこれらのCFU-Fは、適切な条件下で、軟骨、骨、脂肪組織、線維組織および骨髄支持間質を含めた広範囲の完全に分化した結合組織を生じる能力を有する。
【0004】
MPCおよびCFU-Fは、典型的には非常に低い発生率で骨髄細胞中に存在し(典型的には0.05%〜0.001%)、この希少性が、過去におけるその研究の主な制限となっていた。引用文献Simmons他、1994 (上記)中に記載されている重要な発見は、STRO-1陽性細胞について選択することによって、これらのMPCを新たに単離した骨髄細胞からある程度まで濃縮できるという確認であった。特に、STRO-1陽性細胞の選択により、造血前駆細胞の混入が無いMPC(およびその結果物のCFU-F)の単離が可能となった。
【0005】
国際公開公報WO01/04268号(Simmons他)は、このSTRO-1陽性細胞画分内のMPCを含む部分集団を同定することによってMPCを濃縮する、さらなる重要な進歩を提供した。特に、国際公開公報WO01/04268号は、STRO-1陽性細胞集団を3つのサブセット、すなわちSTRO-1dull、STRO-1intermediateおよびSTRO-1brightへと分別することについて記載している。分別した異なる部分集団におけるCFU-Fのクローン原性アッセイにより、MPCの圧倒的大部分はSTRO-1bright画分内に含まれていることが実証された。
【0006】
国際公開公報WO2004/085630号(Gronthos他)は、MPCが血管周囲組織中に存在することを初めて開示している。この発見の一利点は、これによりMPCを単離または濃縮することができる起源組織の範囲が大きく広がり、MPCの起源が骨髄に実効的に制限されなくなることである。国際公開公報WO2004/085630号に記載の方法に従ってMPCを単離することができる組織には、ヒトの骨髄、歯髄、脂肪組織、皮膚、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓および心臓が含まれる。血管周囲組織から単離したMPCは、細胞表面マーカー3G5に対して陽性である。したがって、3G5マーカーを保有する細胞について濃縮することによって、またはCD146(MUC18)、VCAM-1などの血管周囲細胞上に存在する発生初期の表面マーカーについて濃縮することによって、または細胞表面マーカーSTRO-1の高レベル発現について濃縮することによって、これらを単離することができる。
【0007】
単離したMPCをin vitroで増殖させる方法は記載されている(Gronthos他、Journal of Cell Science 116: 1827-1835, 2003)。しかし、一般に受け入れられている見解は、MPCをin vitroで増殖した結果、分化に関するその前駆細胞の性質が損なわれるということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは今回、ex vivoで増殖させたMPCが、分化多能性を保持した子孫部分集団を生じさせるという、驚くべき発見をした。このMPC子孫の部分集団はStro-1bri細胞であり、本明細書中では分化多能性増殖MPC子孫(MEMP)と呼ぶ。
【0009】
本発明者らはまた、MEMPが、in vitroおよびin vivoのどちらにおいても組織特異的分化決定済(committed)細胞(TSCC)の増殖を刺激する能力を有するという、驚くべき発見もした。したがって、MEMPは、組織の生成または修復が必要となる広範な治療用途において潜在的用途を有する。
【0010】
したがって、本発明は、全細胞集団の少なくとも10%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有する分化多能性増殖間葉系前駆細胞子孫(MEMP)である、濃縮細胞集団を提供する。
【0011】
本発明はまた、全細胞集団の少なくとも1%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである培養したおよび/または増殖させた細胞集団を含む組成物であって、主に1つの組織種のTSCCをさらに含む組成物も提供する。
【0012】
本発明はまた、TSCCを、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPと共培養することによって、またはTSCCを、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMP由来の培養上清、細胞溶解液もしくは画分と接触させることによって、TSCCの増殖を刺激する方法も提供する。
【0013】
本発明はまた、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPを濃縮する方法であって、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される1つまたは複数の刺激因子の存在下で、MPCもしくはその子孫を培養または増殖させることを含む方法も提供する。
【0014】
本発明はまた、組織特異的分化決定済細胞集団の生成方法であって、以下:
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される1つもしくは複数の刺激因子の存在下で、MPCまたはその子孫とTSCCとを含む細胞集団を培養すること、ならびに
その培養した集団を、MPCまたはTSCCの分化を特定組織種に偏らせる条件に供すること、
を含む方法も提供する。
【0015】
本発明はまた、MPCまたはその子孫と、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される刺激因子とを含む組成物も提供する。
【0016】
本発明はまた、被験体に本発明の濃縮集団を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法も提供する。
【0017】
本発明はまた、被験体に本発明の組成物を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法も提供する。
【0018】
本発明はまた、表現型STRO-1bri、ALP-を有する、単離され遺伝的に改変されたMEMPも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1−1】図1。培養したMPCに由来するSTRO-1briまたはSTRO-1dim発現細胞の遺伝子発現プロフィール。ex vivoで増殖させた骨髄MPCの単細胞懸濁液をトリプシン/EDTA処理によって調製した。STRO-1抗体を用いて細胞を染色し、次いでこれをヤギ-抗ネズミIgM-フルオレセインイソチオシアネートと共にインキュベーションすることによって示した。全細胞RNAは、蛍光活性化細胞分取の後のSTRO-1dimまたはSTRO-1bri発現細胞の精製集団から調製した(A)。RNAzolB抽出方法、および標準の手順を用いて、全RNAを各部分集団から単離し、cDNA合成の鋳型として用いた。様々な転写物の発現は、以前に記載されている標準プロトコルを用いて、PCR増幅によって評価した(Gronthos他、Journal of Cell Science 116: 1827-1835, 2003)。この研究で用いたプライマーセットを表2に示す。増幅後、各反応混合物を1.5%アガロースゲル電気泳動によって解析し、臭化エチジウム染色によって可視化した(B)。ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHの発現を基準として、ImageQantソフトウェアを用いて、それぞれの細胞マーカーについて相対遺伝子発現を評価した(C)。
【図1−2】図1。培養したMPCに由来するSTRO-1briまたはSTRO-1dim発現細胞の遺伝子発現プロフィール。
【図2−1】図2。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の免疫表現型発現パターン。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の単細胞懸濁液をトリプシン/EDTA剥離によって調製し、次いで、広範な細胞系統関連マーカーを同定する抗体と組み合わせたSTRO-1抗体と共にインキュベーションを行った。STRO-1はヤギ抗ネズミIgM-フルオレセインイソチオシアネートを用いて同定したが、すべての他のマーカーはヤギ抗マウスまたは抗ウサギIgG-フィコエリスリンのどちらかを用いて同定した。細胞内抗原を同定する抗体では、細胞調製物をまずSTRO-1抗体で標識し、冷70%エタノールで固定して細胞膜の透過処理を行い、その後、細胞内抗原に特異的な抗体と共にインキュベーションを行った。アイソタイプが一致した対照抗体を同一条件下で用いた。COULTER EPICSフローサイトメーターを用いて2色フローサイトメトリー解析を行い、リストモードのデータを収集した。ドットプロットは5,000回のリストモードのイベントを表し、これは、各系統の細胞マーカー(y軸)およびSTRO-1(x軸)の蛍光強度レベルを示す。垂直および水平の象限は、アイソタイプが一致した陰性対照抗体を基準として確立した。
【図2−2】図2。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の免疫表現型発現パターン。
【図2−3】図2。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の免疫表現型発現パターン。
【図2−4】図2。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の免疫表現型発現パターン。
【図2−5】図2。骨髄MPCに由来するex vivoで増殖させた細胞の免疫表現型発現パターン。
【図3】図3。in vitroでの脂肪生成細胞の発達。単細胞懸濁液を、STRO-1bri/VCAM-1+で分別した骨髄細胞に由来するex vivo増殖細胞の二次培養物から、トリプシン/EDTA消化によって作製した。その後、図1Aに示すように単色蛍光活性化細胞分取を用いて、そのSTRO-1の発現に従って、増殖させた細胞を単離した。その後、STRO-1briおよびSTRO-1dimで分別したMPC由来細胞を、終夜、6ウェルプレート内で、1×105個の細胞/ウェルの密度で、通常の増殖培地にてプレーティングした。翌日、方法に記載したように培地を脂肪細胞誘導培地で置き換えた。その後、週に2回、合計3週間の期間、培養物に培地を与え、その後、細胞を固定してオイルレッドOで染色した。低倍率(4×)および高倍率(20×)で、接着間質層全体にわたって散在する脂質含有脂肪細胞のオイルレッドO染色が示された。STRO-1dim培養物における7±2個の脂肪細胞(20倍での単位面積あたり、視野n=9)と比較して、STRO-1bri培養物において平均して22±5個のオイルレッドO陽性脂肪細胞が同定された(20倍の単位面積あたり、視野n=9)。
【図4】図4。in vitroにおける骨形成の発達。単細胞懸濁液を、STRO-1bri/VCAM-1+分別骨髄細胞に由来するex vivoで増殖させた細胞の二次培養物からトリプシン/EDTA消化によって作製した。その後、図1Aに示すように単色蛍光活性化細胞分取(FACS)を用いて、増殖させた細胞をそのSTRO-1の発現に従って単離した。その後、STRO-1briおよびSTRO-1dimFACS単離細胞を終夜、48ウェルプレート内、0.3×105個の細胞/ウェルの密度で、通常の増殖培地にてプレーティングした(1条件あたり4つずつ複製)。翌日、方法に記載したように培地を骨形成誘導培地で置換した。その後、週に2回、合計3週間の期間、培養物に培地を与え、その後、細胞を洗浄し、0.6NのHCLで処理して鉱化沈降物内のカルシウムを抽出した。試料をo-クレゾール-フタレイン-コンプレキソンと反応させ、比色反応を570nmで読み取った。絶対カルシウム濃度は、カルシウムの標準曲線に従って決定した。(A)カルシウム測定により、STRO-1dim培養物と比較した場合にSTRO-1bri培養物が有意により多くのミネラルを合成したことが示された(*;p<0.05;t検定)。複製培養物を固定し、アリザリンレッド染色で染色を行ったが、これは、STRO-1bri(B)およびSTRO-1dim(C)培養物の接着層中の鉱化沈降物の典型的なレベルを表す。
【図5】図5。in vitroにおける軟骨形成の発達。単細胞懸濁液を、STRO-1bri/VCAM-1+分別骨髄細胞に由来するex vivoで増殖させた細胞の二次培養物からトリプシン/EDTA消化によって作製した。その後、図1Aに示すように単色蛍光活性化細胞分取(FACS)を用いて、増殖させた細胞をそのSTRO-1の発現に従って単離した。その後、STRO-1briおよびSTRO-1dimFACS単離細胞をポリプロピレンチューブ内に2.5×105個の細胞/チューブの密度でペレット化し、軟骨形成誘導培地中で培養した。その後、週に2回、合計3週間の期間、培養物に培地を与えた。細胞ペレットを回収し、方法に記載したようにして組織学的な検査または全RNAの調製用に用いた。STRO-1bri(A)およびSTRO-1dim(B)細胞集団はどちらも、軟骨細胞様細胞を含む細胞ペレットを形成する能力を有していた。RT-PCR解析により、STRO-1bri(SB)集団は、STRO-1dim(SD)細胞集団(C)と比較した場合に、軟骨関連遺伝子X型コラーゲンおよびアグリカンをより高いレベルで示すことが判明した。
【図6−1】図6。STRO-1bri細胞はSTRO-1dim細胞の増殖を誘導する。ex vivoで増殖させた骨髄MPCの単細胞懸濁液をトリプシン/EDTA処理によって調製した。細胞をSTRO-1抗体で染色し、図1に記載のようにSTRO-1dimまたはSTRO-1briを発現する培養細胞集団の集団へと分別した。方法に記載したようにして細胞をCFSEで標識した。未標識細胞を用いて陰性対照(自己蛍光)を確立した。Colcemid(登録商標)(100ng/ml)を用いて細胞分裂を阻害して入力標識指数(世代0)を提供した。次いで、以下の比で未標識STRO-1briを、CFSE標識したSTRO-1dim細胞に再び加えた:(A)0個のSTRO-1bri細胞:1×105個のSTRO-1dim細胞(0%);(B)0.05×105個のSTRO-1bri細胞:0.95×105個のSTRO-1dim細胞(5%);(C)0.1×105個のSTRO-1bri細胞:0.9×105個のSTRO-1dim細胞(10%);(D)0.2×105個のSTRO-1bri細胞:0.8×105個のSTRO-1dim細胞(20%);(E)0.5×105個のSTRO-1bri細胞:0.5×105個のSTRO-1dim細胞(50%)。添加混合物を7日の間培養し、回収し、方法に記載したようにしてフローサイトメトリーによって解析した。細胞増殖をwin 32用ModFit LT(バージョン2.0)を用いて解析した。STRO-1bri細胞(R1)はSTRO-1dim細胞の増殖を用量依存的な様式で刺激することが見出された。
【図6−2】図6。STRO-1bri細胞はSTRO-1dim細胞の増殖を誘導する。
【図7】図7。サイトカインおよび骨向性剤は培養中のSTRO-1bri細胞の数を増加させる。MPCの確立された培養物を、10%のFCS(A)、または、1×10-8Mの1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)(B)、10ng/mlの血小板由来成長因子(PDGF)(C)、10ng/mlの腫瘍壊死因子-α(TNF-α)(D);10ng/mlのインターロイキン-1β(IL-1β)(E)および30ng/mlの間質由来因子1-α(SDF-1α)(F)を含めた様々な因子を添加した基本培地中で5日間培養し、STRO-1 mAbで染色し、上述のように解析した。これらの因子はSTRO-1briMPCの数を増加させることが見出された。示した結果は3回の独立した実験の代表例である。
【図8】図8。冠動脈左前下行枝(LAD)の結紮を行い、48時間後に生理食塩水、1×106個のヒトStro-1dim細胞、1×106個のヒトStro-1bri細胞または1×106個のヒトStro-1枯渇させた骨髄単核細胞を注射した無胸腺ヌードラット。2週間後、動物を屠殺し、心臓組織を固定して2つのモノクローナル抗体で同時に染色した:1つ目はラットと選択的に反応性を有するがヒトのKi67抗原との反応性は有さず、2つ目は心筋細胞マーカーのトロポニンIと反応性を有する。増殖中のラット心筋細胞の指標である二重染色細胞は、免疫ペルオキシダーゼ技術によって検出された。生理食塩水または1×106個のStro-1dimヒト細胞を受容する対照動物と比較して、1×106個のStro-1briヒト細胞を受容する動物は、2.5〜5倍多い数の増殖中のラット心筋細胞を示した(p<0.05)。
【図9】図9。無胸腺ヌードラットに、VEGFを構成的に分泌するラット膠芽細胞腫腫瘍細胞を皮下注射した。2週間後、ラットに生理食塩水、0.5×106個のヒトStro-1dim細胞または0.5×106個のヒトStro-1bri細胞の腫瘍内注射を与えた。1週間後、動物を屠殺し、腫瘍組織を固定して2つのモノクローナル抗体で同時に染色した:1つ目は平滑筋細胞によって発現されるα-平滑筋アクチン抗原と反応性を有し、2つ目は血管内皮細胞によって発現されるvWF抗原と反応性を有する。内皮および平滑筋をどちらも含む細動脈ならびに動脈の指標である二重染色構造は、免疫ペルオキシダーゼ技術によって検出した。0.5×106個のStro-1briヒト細胞を受容する動物は、生理食塩水または1×106個のStro-1dimヒト細胞を受容する対照動物と比較して、腫瘍内の細胞注射部位において、3.5〜8倍多い数の細動脈および動脈を示した(p<0.05)。ヒト細胞を注射した位置から遠位の部位では差異が見られなかった。
【図10】図10。IL-1βがMPCから増殖させた細胞の増殖能を増大させる。方法に記載したように細胞をCFSEで標識した。次いで、細胞を10ng/mlのIL-1βの存在下で5日間培養し、STRO-1およびALK PHOS mAbで染色し、上述のように解析した。(A)非処理(NT)および(B)IL-1βで処理した培養物は、STRO-1bri/ALP陽性細胞の数の増加を示す。このSTRO-1発現の増加は、(C)未処理の培養物が4回の細胞分裂を受けた場合に示す細胞増殖の増加を伴い、一方で(D)IL-1βで処理した培養物はSTRO-1bri骨前駆細胞の数を増加させることによって細胞分裂の数の増加を示す。示した結果は3回の独立した実験の代表例である。1,25D、PDGF-BB、TNF-α、IL-1β、およびSDF-1αを用いてMPCを刺激した場合にも同様の結果が得られた。
【図11】図11。IL-1βがMPCの増殖を刺激し、骨誘導剤であるデキサメタゾンの存在下でその骨形成能も増強する。ヒトの(A)ex vivoで増殖させたMPCの子孫を96ウェルプレートに、2,000個の細胞/ウェルの細胞密度で播種し、α-MEM-10中で培養した。培養物に、示した濃度のIL-1βを添加し、方法に記載したように7日目にWST-1を用いて細胞数および生存度を定量した。0.01ng/mlの濃度のIL-1βは、未処理の対照培養物の136.6±1.2%まで細胞数を有意に増加させた(D、P=0.000003、スチューデントt検定)。0.1ng/mlを超える濃度でプラトー効果が得られた。値は、各濃度の3つずつ重複した培養物の平均±SEMを表す。(BおよびC)ex vivoで増殖させたMPCの子孫を24ウェルプレートに5×104個/ウェルの細胞密度で、3つずつ重複して播種し、方法に記載したように骨誘導条件で培養した。細胞を10ng/mlの濃度のIL-1βで処理し、培養物に週1回、IL-1βを含む新鮮な培地を「給餌した」。基質からの遊離カルシウムの放出は、方法に記載したように接着細胞層を酸性条件下で処理することによって達成された。試料をo-クレゾール-フタレイン-コンプレキソンと反応させ、比色反応を570nmで読み取った。絶対カルシウム濃度は、カルシウムの標準曲線に従って決定した。結果により、未処理の細胞(B)と比較してIL-1βで処理した細胞(C)においてミネラル沈降が増加していたことが示された。IL-1βで処理した細胞中のカルシウムレベルは、4週間目(**P=0.00009、スチューデントt検定)および6週間目(**P=0.00004、スチューデントt検定)(D)のどちらにおいても、未処理の細胞のそれよりも有意に高かった。示した結果は、3人の異なるドナー由来の間質細胞を用いた、3回の独立した実験の代表例である。
【図12−1】図12。IL-1βが増殖およびSTRO-1briMPCを刺激し、一方でデキサメタゾンはアルカリホスファターゼ(ALP)発現を誘導する。ヒトMPCの確立した培養物を、24ウェルプレートに、3×104個/ウェルの細胞密度で、(A)添加なし(NT)、(B)10ng/mlのIL-1βまたは(C)1×10-8Mのデキサメタゾンならびに(D)10ng/mlのIL-1βおよび1×10-8Mのデキサメタゾンを添加した完全培地中に播種した。方法に記載したように細胞を21日間培養した。結果は、IL-1βの分裂促進作用がSTRO-1briMPCの数を増加させるように機能し(B)、それは続いてSTRO-1dim細胞の増殖を刺激することを示唆している(図6参照)。さらに、MPCは、増殖培地中に存在するFCSおよびアスコルビン酸-2-リン酸に応答してALPの発現を獲得するが、これは糖質コルチコステロイドであるデキサメタゾン(dex)に応答して増強される(D)。IL-1βおよびdexの組み合わせた作用が、図11に見られるように骨形成を増強させる機能を果たす。実験を3回行い、3人の異なるドナー由来のMPCで同様の傾向が観察された。
【図12−2】図12。IL-1βが増殖およびSTRO-1briMPCを刺激し、一方でデキサメタゾンはアルカリホスファターゼ(ALP)発現を誘導する。
【図13】図13。in vivoにおける骨形成に対するPDGFの効果。STRO-1bri/VCAM-1+分別骨髄細胞に由来するex vivoで増殖させた細胞の半コンフルエントな二次培養物を、PDGF-BB(10ng/ml)の存在下または不在下で5日間培養した。トリプシン/EDTA消化によって単細胞懸濁液を作製し、その後、40mgのヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム粒子(HA/TCP)と共にインキュベーションを行い、方法に記載したようにして免疫無防備状態のマウス内に移植した。8週間後、採取した移植片を固定し、組織学的検査用に処理した。新しい骨形成の解析は、Scion Imagingソフトウェアを用いて、3つの重複移植物からの表面積(20×)あたりで決定した(A)。PDGF-BBで前処理した培養物は、未処理の対照培養物と比較して、有意に(*;p<0.05;t検定)より異所性の高い骨形成が示された。未処理(B)およびPDGFで処理した(C)移植片のヘマトキシリン/エオシン染色した異所性骨の断面図を表す典型的なイメージを示す。
【図14】図14。分化多能性増殖(expanded)間葉系前駆細胞子孫(MEMP)またはSTRO-1bri/ALP-MPCが、STRO-1で選択したBM MPCのex vivo培養物中で保持される。ex vivo培養を4回継代した後、STRO-1で選択したBM MPCでSTRO-1およびALP発現を調べる2色免疫蛍光ならびにフローサイトメトリーを行った。ドットプロットヒストグラムは、リストモードデータとして集められた5×104個のイベントを表す。垂直線および水平線は、アイソタイプが一致した対照抗体、すなわち同一条件下で処理した1B5(IgG)および1A6.12(IgM)で得られた<1.0%平均蛍光の反応性レベルに設定した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の好適な実施形態についての詳細な説明
本発明者らは今回、ex vivoで増殖させたMPCが、分化多能性を保持する細胞部分集団を含むという驚くべき発見を行った。より詳細には、本発明者らは、収集したMPC細胞由来の増殖集団を、STRO-1抗体によって認識される抗原の発現レベルに基づいてSTRO-1briおよびSTRO-1dimの少なくとも2つの集団へと分離できることを発見した。本明細書中に提示する機能的データにより、増殖させたSTRO-1bri細胞は分化決定性がより低く、脂肪の発達、軟骨の発達および骨の発達を支援する誘導因子に応答する能力がより高いことが示されている。対照的に、STRO-1dim細胞はより分化した集団を表し、組織特異的分化決定済細胞(Tissue Specific Committed Cell; TSCC)種を含む。増殖させた子孫内のStro-1bri細胞を、本明細書中では分化多能性増殖MPC子孫(MEMP)と呼ぶ。
【0021】
本発明者らはまた、MEMPが、in vitroおよびin vivoのどちらにおいても組織特異的分化決定済細胞(TSCC)の増殖を刺激する能力を有するという、驚くべき発見も行った。したがって、MEMPには、組織の生成または修復が必要となる広範な治療用途における潜在的用途を有する。
【0022】
本明細書中で使用する「MPC」とは、多数の分化多能性細胞コロニーを形成する能力を有する非造血性前駆細胞である。
【0023】
本発明者らは、「MPC子孫」という表現により、MPC由来の細胞を意味する。好ましくは、MPC子孫は、同様にMPC由来の、コロニー形成単位-線維芽細胞(CFU-F)の子孫である。より好ましくは、細胞はex vivoで増殖もしくは培養することによってMPCまたはCFU-Fから得られる。好ましくは、培養は2継代を超え、好ましくは3継代を超え、より好ましくは4継代を超える。培養または増殖の後には、濃縮集団が少なくとも5×106個の細胞、より好ましくは少なくとも107個の細胞、より好ましくは少なくとも109個の細胞を含むことが好ましい。
【0024】
子孫が由来し得るMPCの濃縮集団の調製方法は、国際公開公報WO01/04268号および国際公開公報WO2004/085630号に記載されている。in vitro状況下では、MPCが完全に純粋な調製物として存在することは稀であり、一般的に組織特異的分化決定済細胞(TSCC)である他の細胞と共に存在する。国際公開公報WO01/04268号は、骨髄からこのような細胞を約0.1%〜90%の純度レベルで回収することについて言及している。
【0025】
子孫が由来するMPCを含む集団は、組織起源から直接収集するか、あるいは既にex vivoで増殖させた集団であり得る。
【0026】
たとえば、子孫は、それらが存在する集団の全細胞の少なくとも約0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80または95%を含む、収集され、未増殖の、実質的に精製したMPCの集団から得られ得る。このレベルは、たとえば、STRO-1bri、VCAM-1bri、THY-1bri、CD146briおよびSTRO-2briからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーに対して陽性である細胞について選択することによって達成し得る。
【0027】
MPC出発集団は、国際公開公報WO01/04268号もしくは国際公開公報WO2004/085630号に記載の任意の1つまたは複数の組織種、すなわち骨髄、歯髄細胞、脂肪組織および皮膚に、あるいはおそらくはより広範に脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靱帯、骨髄、腱および骨格筋に由来し得る。
【0028】
このような細胞の好ましい起源はヒトであるが、本発明が、ウシ、ヒツジ、ブタなどの農業動物、イヌおよびネコの家畜、マウス、ラット、ハムスターおよびウサギなどの実験動物、またはウマなどのスポーツに用いられる動物を含めた動物にも適用可能であることが期待される。
【0029】
本発明の実施にあたって、任意の所定の細胞表面マーカーを保有する細胞の分離は多くの様々な方法によって達成することができるが、好ましい方法は、結合剤を目的マーカーに結合させ、次いで、結合を示すもの(高レベル結合、低レベル結合または結合なし)を分離することに依存することは理解されよう。最も好都合な結合剤は抗体または抗体に基づいた分子、好ましくはモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体に基づいたものであり、これは、これらの後者の薬剤が特異性を有するからである。どちらのステップにも抗体を用いることができるが、他の薬剤を用いることもでき、したがって、これらのマーカーのリガンドも、それを保有しているかまたは欠いている細胞について濃縮するために用い得る。
【0030】
抗体またはリガンドは、粗分離を可能にするために固体担体に付着していてもよい。分離技術は、収集する画分の生存度保持を最大限にすることが好ましい。異なる有効性の様々な技術を用いて、比較的粗い分離が得られ得る。用いる具体的な技術は、分離の効率、関連する細胞毒性、実行の容易さおよびスピード、ならびに高度な装置および/または技能の必要性に依存する。分離手順には、それだけには限定されないが、磁気分離、抗体被覆磁気ビーズの使用、アフィニティークロマトグラフィーおよび固体マトリックスに付着した抗体を用いた「パニング」が含まれ得る。正確な分離をもたらす技術には、それだけには限定されないが、FACSが含まれる。
【0031】
たとえば、MPCの単離方法が、たとえば高レベルのSTRO-1発現を認識するMACSを利用した固相分別ステップである第1ステップを含むことが好ましい。次いで、必要な場合は第2分別ステップを行って、特許明細書国際公開公報WO01/14268号に記載のように、より高い前駆細胞発現レベルをもたらすことができる。この第2分別ステップは、2つ以上のマーカーの使用を含む場合がある。
【0032】
MPCを得る方法には、既知の技術を用いて、第1濃縮ステップの前に細胞の供給源を収集することも含まれ得る。したがって、組織は外科的に取り出される。その後、起源組織を構成する細胞をいわゆる単細胞懸濁液へと分離する。この分離は、物理的および/または酵素的手段によって成し得る。
【0033】
適切なMPC集団が得られたのち、任意の適切な手段によってこれを培養または増殖させることでMEMPが得られ得る。
【0034】
MEMPは、マーカーSTRO-1briに対して陽性であり、マーカーアルカリホスファターゼ(ALP)に対して陰性であるという点で、新たに収集したMPCと区別することができる。対照的に、新たに単離したMPCは、STRO-1briおよびALPのどちらに対しても陽性である。
【0035】
本発明者らが、細胞が所定のマーカーに対して「陽性」であると言及した際、この用語が細胞の蛍光強度または色分別プロセス中で用いる他の色の強度に関する場合は、それは、そのマーカーが細胞表面上に存在する度合に応じて、そのマーカーを低(loもしくはdim)または高(bright、bri)発現する細胞のいずれかであり得る。loとbriの区別は、分別する特定の細胞集団で用いたマーカーに照らして理解されよう。本発明者らが、本明細書中で細胞が所定のマーカーに対して「陰性」であると言及した場合は、それは、そのマーカーがその細胞によって全く発現されないことを意味するわけではない。これは、そのマーカーがその細胞によって相対的に非常に低いレベルで発現され、検出可能に標識した場合には非常に低いシグナルを生じることを意味する。
【0036】
本明細書中で使用する用語「bright (bri)」とは、検出可能に標識した場合に比較的高いシグナルを生じる細胞表面上のマーカーについて言及するものである。理論に限定されることを望まないが、「bright」細胞は、試料中の他の細胞よりも標的マーカータンパク質(たとえばSTRO-1によって認識される抗原)を多く発現すると提案されている。たとえば、FITCコンジュゲート化STRO-1抗体で標識し、FACS解析で測定した場合に、STRO-1bri細胞は非bright細胞(STRO-1dull/dim)よりも強い蛍光シグナルを生じる。好ましくは、「bright」細胞は、出発試料中に含まれる最も明るく標識された骨髄単核細胞の少なくとも約0.1%を構成する。他の実施形態では、「bright」細胞は、出発試料中に含まれる最も明るく標識された骨髄単核細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、または少なくとも約2%を構成する。
【0037】
したがって、本発明は、全細胞集団の少なくとも10%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有する分化多能性増殖間葉系前駆細胞子孫(MEMP)である濃縮細胞集団を提供する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、全濃縮細胞集団の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである。
【0039】
別の好ましい実施形態では、濃縮細胞集団は、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPについて同種性である。
【0040】
さらに好ましい実施形態では、MEMPは、マーカーKi67、CD44および/もしくはCD49c/CD29、VLA-3、α3β1のうちの1つまたは複数に対して陽性である。
【0041】
さらに好ましい実施形態では、MEMPはTERT活性を示さない、かつ/または前記マーカーCD18に対して陰性である。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、本発明の濃縮集団は組織特異的分化決定済細胞(TSCC)をさらに含む。
【0043】
TSCCは、特定の細胞または組織の系統へと分化決定されていると考えられており、Stro-1dim細胞であると特徴付けられている。本発明者らは、「分化決定」との表現により、細胞が特定の細胞または組織種へと分化決定されているが、必ずしも最終分化している必要はないことを意味する。たとえばFCSの存在下で増殖させたMPC由来の細胞集団には、多様な系統へと分化決定されたTSCCが含まれる。したがって、一定割合のTSCCがたとえば骨へと分化決定され、次の割合のTSCCが脂肪細胞への分化へと分化決定され、また、複数の異なる細胞または組織の系統の代表的なTSCCも存在する。TSCCは、1つの細胞または組織の系統種へと分化決定される傾向があるが、これらは二重分化能性であり得る、すなわち、2つの異なる細胞または組織種のうちの一方へさらに分化する能力を有する。
【0044】
TSCCが分化決定され得る系統の非限定的な例には、骨前駆細胞;胆管上皮細胞および肝細胞への分化多能性を有する肝細胞前駆細胞;オリゴデンドロサイトおよび星細胞へと進行する神経膠細胞前駆細胞を生じることができる神経限定細胞(neural restricted cell);ニューロンへと進行する神経前駆細胞;心筋および心筋細胞の前駆細胞、グルコース応答性インスリン分泌膵臓β細胞系が含まれる。他のTSCCには、それだけには限定されないが、軟骨細胞、象牙芽細胞、象牙質産生および軟骨細胞、ならびに以下のものの前駆細胞が含まれる:網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイトなどの皮膚細胞、樹状細胞、毛嚢細胞、腎管上皮細胞、平滑筋および骨格筋細胞、精巣前駆細胞、血管内皮細胞、腱、靱帯、軟骨、脂肪細胞、線維芽細胞、髄間質、心筋、平滑筋、骨格筋、周皮細胞、血管細胞、上皮細胞、神経膠細胞、神経細胞、星細胞およびオリゴデンドロサイト細胞。TSCCには、脂肪、乳輪、骨、軟骨、弾性および線維性の結合組織を含めた結合組織を特異的にもたらす前駆細胞も含まれる。
【0045】
本発明の一実施形態では、濃縮細胞集団は、主に1つの組織種であるTSCCを含む。
【0046】
本発明者らは、「主に1つの組織種」により、集団内のすべてのTSCCの少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が同一組織種のものであることを意味する。
【0047】
濃縮集団内のMEMPおよびTSCCは、同一個体に由来し得る。あるいは、MPC子孫およびTSCCは異なる個体に由来し得る(言い換えれば、MPC子孫およびTSCCは同種異系である)。
【0048】
本発明はまた、全細胞集団の少なくとも1%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである培養したおよび/または増殖させた細胞集団を含む組成物であって、主に1つの組織種のTSCCをさらに含む組成物も提供する。
【0049】
この全細胞集団の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%の好ましい実施形態は、表現型STRO-1bri、ALP-を有する間葉系前駆細胞(MPC)子孫である。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、TSCCは骨、神経組織、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、上皮組織、骨芽細胞、腱、靱帯、象牙芽細胞、周皮細胞、平滑筋、神経膠組織、血管組織、内皮組織、造血組織、肝臓組織および腎臓組織からなる群から選択される組織種または細胞種の系統へと分化決定されている。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、TSCCは造血細胞である。
【0052】
本発明者らのさらなる発見は、MPC子孫の存在がTSCCによる増殖および組織形成に対して刺激効果を有することである。これは、in vitroおよびin vivoのどちらにおいても判明している。したがって、本発明は、MPC子孫と共培養すること、またはMPC子孫の培養物の培養上清、細胞溶解液もしくは画分と接触させることによる、TSCCの増殖もしくは組織形成またはその両方を刺激する方法も意図する。
【0053】
本発明者らは、STRO-1bri細胞として測定したMPCの割合が5%以上のレベルで保たれている場合はSTRO-1dim細胞の増殖が増強されることをin vitroで示した。刺激の度合は、Stro-1bri細胞が約20%まで存在するレベルまで、漸次増強される。ここまでに実施したものとは異なる培養条件におけるより長期間にわたる研究により、より高い濃度がさらに大きな有益効果を有すること、またはより低いレベルも利点があり得ることが示され得ると予想される。したがって、1、2、3または4%のMPCの存在も利点をもたらし得ることが提案される。
【0054】
本発明はまた、TSCCを、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPと共培養することによって、またはTSCCを、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMP由来の培養上清、細胞溶解液もしくは画分と接触させることによって、TSCCの増殖を刺激する方法も提供する。
【0055】
この方法の好ましい実施形態では、MPC子孫は、1%を超える、より好ましくは5%を超える、より好ましくは10%を超える、より好ましくは20%を超える、より好ましくは30%を超える、より好ましくは40%を超える、より好ましくは50%を超える、より好ましくは60%、70%、80%または90%を超えるレベルで、TSCCとの共培養条件において存在する。
【0056】
本発明のこの方法は、通常はMPC子孫が存在しないTSCCの集団にも同様に適用可能である。したがって、MPC子孫をTSCC集団に加え、適切な培養条件下で事前に決定された時間維持することができる。さらなるMPC子孫を経時的に加えることによって、おそらくバッチ培養において培養培地の交換により、あるいはバッチもしくは連続培養系において毎日、または数日毎に加えることにより、細胞数を有効レベルで維持することができ、あるいは最初に十分な数で存在していた場合は1、2、3またはそれ以上の継代にわたって細胞数は自律的であり得ることは自明である。
【0057】
一実施形態では、TSCCは、場合によってはSTRO-1bri選択または上で言及した他の選択に基づいた分別を用いて精製したMPC集団由来の、STRO-1dim細胞である。
【0058】
MPC子孫によるTSCCの刺激は、間葉細胞種だけでなく他のものにも適用可能であることが提案されている。RNAおよび細胞表面マーカーの発現に関して現在までに提供されているデータは、STRO-1dim集団中に示されるTSCCには外胚葉、内胚葉、および中胚葉の細胞または組織が含まれることを示唆している。MPC子孫によって刺激される細胞種は、必ずしもMPCに由来している必要はなく、他の起源由来であり得る。
【0059】
MPC子孫は、特定の造血細胞の増殖および/または分化を刺激するためにも用い得る。一実施形態では、そのような造血細胞はCD34+細胞である。
【0060】
本発明が、細胞のin vitro培養に対し、すなわち、ex vivoで増殖させた培養物に関して、適用性を有することが一般に企図されるが、本発明は、TSCCが体組織部位にin situで存在し、MPC子孫を含む集団を部位に送達する場合にも適用性を有し得る。
【0061】
したがって、本発明のこの方法の一実施形態では、TSCCをin vitroで培養する。
【0062】
本発明のこの方法のさらに別の実施形態では、TSCCは被験体の組織部位にin vivoで配置され、MPC子孫、MPC子孫の培養上清、細胞溶解液もしくは画分を組織部位に送達する。
【0063】
本発明のこの方法の別の実施形態では、TSCCおよびMPC子孫はどちらも外来性であり、どちらも組織部位に送達される。
【0064】
1回のこのような送達が十分であり得るが、時間的に間隔を空けた送達により、加速されたまたはより大きな利点がもたらされ得る。
【0065】
別の実施形態では、この方法は、前記培養集団をMPCまたはTSCCの分化を特定組織種に偏らせる条件に供することを含む。
【0066】
本発明のこの方法の別の実施形態では、TSCCは、骨、神経組織、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、上皮組織、骨芽細胞、腱、靱帯、象牙芽細胞、周皮細胞、平滑筋、神経膠組織、血管組織、内皮組織、造血組織、肝臓組織および腎臓組織からなる群から選択される組織種へと分化決定されている。
【0067】
本発明のこの方法の別の実施形態では、TSCCは造血細胞である。
【0068】
別の実施形態では、この方法は、刺激したTSCC集団を、TSCCの分化を特定組織種に偏らせる条件に供することをさらに含む。
【0069】
適切な培養条件下において、この方法に従って生成することができる細胞種の範囲には、それだけには限定されないが、軟骨組織細胞、軟骨細胞、硝子軟骨細胞、線維軟骨細胞、弾性軟骨細胞、靱帯組織細胞、線維芽細胞、軟骨細胞前駆細胞、硝子軟骨細胞前駆細胞、線維軟骨細胞前駆細胞、弾性軟骨細胞前駆細胞、線維芽細胞前駆細胞、神経組織細胞、ニューロン、神経膠細胞、ニューロン前駆細胞、神経膠細胞前駆細胞、脂肪細胞、脂肪組織細胞、脂肪細胞、褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞、白色脂肪細胞前駆細胞、褐色脂肪細胞前駆細胞、骨芽細胞、骨芽細胞前駆細胞、象牙芽細胞、象牙質産生軟骨細胞、骨細胞、骨細胞前駆細胞、骨裏打ち細胞(bone lining cell)、骨裏打ち細胞前駆細胞、血管細胞、血管細胞前駆細胞、腱細胞、髄間質細胞、破骨細胞(および造血)支援間質細胞、心筋細胞、心筋細胞前駆細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、周皮細胞、内皮細胞、内皮細胞前駆細胞、上皮細胞、上皮細胞前駆細胞、星細胞またはオリゴデンドロサイト細胞が含まれることが予想される。
【0070】
本発明者らは、MEMPの生成を増加させる培養条件も発明した。以前の培養条件では、MEMPの優先的な増殖が可能ではなかった。実際、以前の培養条件下では、MEMPの割合が、通常は、それらがStro-1dimTSCCへと分化することにより経時的に減少する。
【0071】
したがって、本発明はまた、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPを濃縮する方法であって、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される1つまたは複数の刺激因子の存在下で、MPCもしくはその子孫を培養または増殖させることを含む方法も提供する。
【0072】
この方法の一実施形態では、1つまたは複数の刺激因子にはPDGFおよび/またはIL-1βが含まれる。
【0073】
本発明のこの方法の別の実施形態では、MPCまたはその子孫を2つ以上の刺激因子の存在下で培養する。
【0074】
増殖の刺激は、収集された、未増殖の、実質的に精製したMPCの集団であって、MPCがそれらが存在する集団の全細胞の少なくとも約20、30、40、50、60、70、80または95%を含む集団に適用してもよい。増殖の刺激の効果は、MPCがex vivo培養において分化する程度を制限するためであり得る。
【0075】
本発明のこの方法の別の実施形態では、MPCまたはその子孫は、培養または増殖の前にex vivoで増殖させたものである。
【0076】
本発明のこの方法の別の実施形態では、刺激の結果、非刺激の対照と比較して10%を超える、好ましくは20%を超える、好ましくは40%を超える、好ましくは50%を超える、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMPC子孫の増加がもたらされる。
【0077】
本発明のこの方法の別の実施形態では、培養または増殖に用いるMPCは、骨髄、歯髄細胞、脂肪組織および皮膚を含む群からなる任意の1つもしくは複数の組織、またはおそらくより広範に脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸管、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靱帯、骨髄、腱および骨格筋由来である。
【0078】
本発明のこの方法の別の実施形態では、MPCまたはその子孫を、1つもしくは複数の刺激因子の存在下、in vivoで培養または増殖する。
【0079】
前述から、本発明がMPCのin vitro増殖に適用性を有することが理解されるであろうが、本発明はin vivoでのin situ増殖にも同様に適用し得る。したがって、MPC刺激因子を、たとえば常在MPCの増殖を刺激することが望ましい場合に病変に直接投与してもよく、したがって、MPC刺激因子を単独で、またはMPCを含む集団と組み合わせて投与し得る。組織中のMPCの数は一般に非常に少なく、さらに適切な間葉組織の生成に対する有益な効果はより多くのMPCが存在することにより増強される可能性が高いと考えられているので、後者が好ましいと考えられる。
【0080】
別の実施形態では、この方法は、外来TSCCを投与することをさらに含む。
【0081】
本発明はまた、組織特異的分化決定済細胞集団の生成方法であって、以下:
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1αからなる群から選択される1つもしくは複数の刺激因子の存在下で、MPCまたはその子孫とTSCCとを含む細胞集団を培養すること、ならびに
その培養した集団を、MPCまたはTSCCの分化を特定組織種に偏らせる条件に供すること、
を含む方法も提供する。
【0082】
本発明のこの方法の一実施形態では、組織種は心筋、血管組織、骨組織、神経組織、平滑筋および内皮組織からなる群から選択される。
【0083】
また、本発明にはMPC子孫および刺激因子を含む組成物が包含されることを理解されたい。そのような組成物はおそらく治療上有益であり、したがって製薬上許容される形態で調製される。その組成物は、濃縮または精製したMPC子孫集団および1つまたは複数の刺激因子を含み得る。
【0084】
組成物中に存在する刺激因子(または複数の刺激因子)のレベルは経験的に決定し得るが、ほとんどの場合、おそらく1ミリリットルあたり数ナノグラムまたは数十ナノグラムの桁数である。
【0085】
in vivo送達に関しては、組成物中でTSCCを同時に送達することが望ましい場合もある。たとえば、骨もしくはその一領域、心筋もしくはその一領域、血管組織もしくはその一領域、または1つもしくは複数の内皮細胞を含む領域中の病変の場合、送達するTSCCは、少なくとも部分的には関連細胞種(たとえば骨芽細胞、心筋細胞または内皮細胞)へと分化決定されていることが好ましい。これらは、混合TSCC培養物の一部として、またはより精製された形態、たとえば、組織特異的分化決定済細胞種上に存在することが知られているマーカーについて分別した形態で、提供し得る。あるいは、またはそれに加えて、送達する組成物は、組成物中に存在する、または1つもしくは複数の目的組織種の標的部位中に存在するMPCを分化させるために、1つまたは複数の分化刺激因子を含み得る。
【0086】
したがって、本発明はまた、MPCまたはその子孫と、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される刺激因子とを含む組成物も提供する。
【0087】
一実施形態では、組成物はTSCCをさらに含む。
【0088】
別の実施形態では、組成物は、TSCCもしくはMPCまたはその両方の分化を1つの特定組織種に偏らせる因子をさらに含む。好ましくは、その組織種は心筋、血管組織、骨組織、神経組織、平滑筋および内皮組織からなる群から選択される。
【0089】
TSCCまたはMPCの分化を特定組織種に偏らせる因子は、本明細書中に提供する実施例に記載されている。MPCまたは骨前駆細胞もしくは骨の分化を偏らせる条件は、たとえば、10%のFCS、100μMのL-アスコルビン酸-2-リン酸、デキサメタゾン10-7Mおよび3mMの無機リン酸塩を添加したαMEM中で培養することを含み得る。これらの条件は、ヒトBM間質細胞がin vitroで石灰化骨基質を生成するように誘導することが示されている(Gronthos他、Blood. 84:4164-73, 1994)。
【0090】
TSCCを骨芽細胞へと分化させるのに適切な条件は、TSCCをI型コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、オステオカルシン、またはオステオネクチンの存在下で培養することを含み得る。具体的な一例では、TSCCをI型コラーゲン、フィブリノーゲン、およびフィブリンの存在下で培養する。代替例では、TSCCをI型コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、オステオカルシン、およびオステオネクチンの存在下で培養する。この方法に関して、I型コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、オステオカルシン、もしくはオステオネクチンは、単独で、または成長因子の存在下で用い得る。本段落中上記に記載の化合物の任意の組合せが本発明によって企図されることは理解されよう。
【0091】
本発明はまた、被験体に本発明の濃縮集団を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法も提供する。
【0092】
本発明はまた、被験体に本発明の組成物を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法も提供する。
【0093】
これらの方法の好ましい実施形態では、組織は心筋、骨、血管組織、神経組織および内皮組織からなる群から選択される。
【0094】
本発明はまた、MPCを含む集団を1つまたは複数の候補MPC刺激化合物と接触させて、それにより該集団の増殖のために所定時間を確保するステップと、MEMP数の増加を確認してその結果を対照と比較するステップとを含む、化合物が、MPC細胞増殖を刺激してMEMPを生成する能力を有するかどうかを決定する方法も提供する。
【0095】
上記方法は、骨格筋、心筋、骨、歯、もしくは血管組織の生成または修復を伴い得る。より広範には、この方法は心筋、心筋細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、象牙芽細胞、象牙質産生軟骨細胞、骨細胞、骨裏打ち細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、髄間質、破骨細胞および造血支援間質、心筋、骨格筋、内皮細胞ならびに血管細胞からなる群から選択される細胞もしくは組織の生成または修復を伴い得る。
【0096】
本発明はまた、表現型STRO-1bri、ALP-を有する、単離され、遺伝的に改変された間葉系前駆細胞(MPC)子孫も提供する。
【0097】
好ましい実施形態では、MPC子孫は異種タンパク質を発現するよう遺伝的に改変されている。異種タンパク質は、任意の目的タンパク質であり得る。たとえば、異種タンパク質は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)などの、MEMPの生成を増強させる刺激因子であり得る。
【0098】
別の例では、異種タンパク質は、MPCまたはTSCCの特定組織種への分化を加速する生物活性因子である。生物活性因子は、たとえば、デキサメタゾンなどの合成糖質コルチコイド、またはBMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-6もしくはBMP-7などの骨形態形成タンパク質であり得る。
【0099】
本明細書全体にわたって、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形とは、記載した要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を包含することを暗示するが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を排除することを暗示するわけではないことを理解されたい。
【0100】
明らかに、本発明の一態様の好ましい特徴および特性は、本発明の多くの他の態様に適用可能である。
【0101】
遺伝的に改変された細胞の生成
一実施形態では、本発明は、表現型STRO-1bri、ALP-を有する、単離され、遺伝的に改変された間葉系前駆細胞(MPC)子孫を提供する。好ましくは、異種タンパク質を生成するようにMEMPを遺伝的に改変する。典型的には、異種タンパク質が細胞から分泌されるように細胞を遺伝的に改変する。
【0102】
遺伝的に改変された細胞は、改変された細胞の増殖を支持するのに十分な量の少なくとも1つのサイトカインの存在下で培養し得る。このようにして得られた遺伝的に改変した細胞は、すぐに使用する(たとえば移植片において)か、in vitroで培養および増殖させるか、またはのちに使用するために貯蔵し得る。改変された細胞は、当分野で周知の方法貯蔵することができ、たとえば液体窒素中で凍結することができる。
【0103】
本明細書中で使用する遺伝的改変とは、外因性もしくは外来ポリヌクレオチドをMEMPもしくはMEMP前駆細胞(たとえばMPC)に導入すること、またはMEMPもしくはMEMP前駆細胞内の内在遺伝子を改変することを含む、任意の遺伝的改変方法が包含される。遺伝的改変には、それだけには限定されないが、形質導入(in vitroまたはin vivoのどちらかにおける、宿主もしくはドナー由来の宿主DNAのレシピエントへのウイルス媒介導入)、トランスフェクション(単離したウイルスDNAゲノムを用いた細胞の形質転換)、リポソーム媒介導入、電気穿孔法、リン酸カルシウムトランスフェクションまたは共沈殿などが含まれる。形質導入方法には、細胞と産生細胞を直接共培養すること(Bregni他、Blood 80:1418-1422, 1992)、または適切な成長因子およびポリカチオンを用いてもしくは用いずに、ウイルス上清のみと共に細胞を培養すること(Xu他、Exp. Hemat. 22:223-230, 1994)が含まれる。
【0104】
異種ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、好ましくはベクター中で宿主細胞に導入する。ベクターには、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントが含まれることが好ましい。このようなベクターを構築するために用いる方法は当分野で周知である。たとえば、適切な発現ベクターを構築する技術は、Sambrook他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, N.Y. (3rd Ed., 2000);およびAusubel他、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York (1999)に詳述されている。
【0105】
ベクターには、それだけには限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、および単純ヘルペスウイルスなどのウイルスベクター;コスミド;プラスミドベクター;合成ベクター;ならびに当分野で典型的に用いられる他の組換えビヒクルが含まれ得る。プロモーターと、ポリヌクレオチドを動作可能に連結することができるクローニング部位とをどちらも含むベクターは、当分野で周知である。そのようなベクターはRNAをin vitroまたはin vivoで転写する能力を有しており、Stratagene(カリフォルニア州La Jolla)およびPromega Biotech(ウィスコンシン州Madison)などの供給業者から市販されている。具体的な例には、StratageneのpSG、pSV2CAT、pXtl;ならびにPharmaciaのpMSG、pSVL、pBPVおよびpSVK3が含まれる。
【0106】
好ましいベクターにはレトロウイルスベクターが含まれる(Coffin他、"Retrovirus", 第9章ページ437-473, Cold Springs Harbor Laboratory Press, 1997参照)。本発明において有用なベクターは、当分野で周知の手順によって、組換えによって産生することができる。たとえば、国際公開公報WO94/29438号、国際公開公報WO97/21824号および国際公開公報WO97/21825号は、レトロウイルスパッケージングプラスミドおよびパッキング細胞系(packing cell lines)の構築について記載している。例示的なベクターには、pCMV6bおよびpCMV6c(Chiron Corp.)、pSFFV-Neo、ならびにpBluescript-Sk+などのpCMV哺乳動物発現ベクターが含まれる。有用なレトロウイルスベクターの非限定的な例は、ネズミ、トリまたは霊長類レトロウイルスに由来するものである。一般的なレトロウイルスベクターには、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVベクター)に基づくものが含まれる。他のMoMLV由来ベクターには、Lmily、LINGFER、MINGFRおよびMINT(Chang他、Blood 92:1-11, 1998)が含まれる。さらなるベクターには、ギボン類人猿白血病ウイルス(GALV)およびモロニーマウス肉腫ウイルス(MOMSV)および脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)に基づくものが含まれる。マウス幹細胞ウイルス(MESV)に由来するベクターには、MESV-MiLy(Agarwal他、J. of Virology, 72:3720-3728, 1998)が含まれる。また、レトロウイルスベクターにはレンチウイルスに基づくベクターが含まれ、非限定的な例にはヒト免疫不全ウイルス(HIV-1およびHIV-2)に基づくベクターが含まれる。
【0107】
レトロウイルスベクター構築体を産生するにあたって、ウイルスのgag、polおよびenv配列をウイルスから除去して、外来DNA配列を挿入するための場所を空けることができる。外来DNAによってコードされている遺伝子は通常、末端反復配列(LTR)中の強力なウイルスプロモーターの制御下で発現される。適切な制御調節配列の選択は用いる宿主細胞に依存し、選択は当業者の技術の範囲内にある。LTRのプロモーターに加えて、数多くのプロモーターが知られている。非限定的な例には、ファージλPLプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時型プロモーター;モロニーマウス肉腫ウイルス(MMSV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、または脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)のU3領域プロモーター;グランザイムAプロモーター;およびグランザイムBプロモーターが含まれる。誘導性エレメントまたは複数制御エレメントをさらに用い得る。適切なプロモーターの選択は当業者に明らかであろう。
【0108】
このような構築体は、パッキング細胞系によってgag、polおよびenvの機能がトランスで提供される場合、ウイルス粒子内に効率的にパッキングすることができる。したがって、ベクター構築体がパッケージング細胞内に導入された際、細胞によって産生されたgag-polおよびenvタンパク質がベクターRNAと共に組み立てられて感染性バイロンが産生され、これが培地中に分泌される。このようにして産生したウイルスは標的細胞に感染してそのDNA内に組み込まれることができるが、必須のパッケージング配列を欠いているので感染性ウイルス粒子を産生しない。現在使用されているパッキング細胞系のほとんどは、それぞれが必要なコード配列の1つを含む個別のプラスミドでトランスフェクトされているので、複製能力を有するウイルスを産生することができるまでに複数の組換えイベントが必要である。あるいは、パッケージング細胞系はプロウイルスを保有する。プロウイルスは、感染性ウイルスを組み立てるのに必要なすべてのタンパク質を産生し得るが、それ自体のRNAをウイルス内にパッケージングできないように破損させられている。その代わりに、組換えウイルスから産生されたRNAがパッケージングされる。したがって、パッケージング細胞から放出されるウイルスストックは組換えウイルスのみを含む。レトロウイルスパッケージング系の非限定的な例には、PA12、PA317、PE501、PG13、PSI.CRIP、RDI 14、GP7C-tTA-G10、ProPak-A(PPA-6)、およびPT67が含まれる。Miller他、Mol. Cell Biol. 6:2895, 1986; Miller他、Biotechniques 7:980, 1989; Danos他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460, 1988; Pear他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8392-8396, 1993;およびFiner他、Blood 83:43-50, 1994を参照されたい。
【0109】
他の適切なベクターには、アデノウイルスベクター(Frey他、Blood 91:2781, 1998;および国際公開公報WO95/27071号参照)およびアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。これらのベクターはすべて当分野で周知であり、たとえば、Chatterjee他、Current Topics in Microbiol. And Immunol., 218:61-73, 1996; Stem Cell Biology and Gene Therapy, Quesenberry他編, John Wiley & Sons, 1998;ならびに米国特許第5,693,531号および第5,691,176号に記載されている。アデノウイルス由来ベクターは非分裂細胞に感染することができないので、特定の状況下でその使用は有利であり得る。レトロウイルスDNAとは異なり、アデノウイルスDNAは標的細胞のゲノム内に組み込まれない。さらに、外来DNAを保有する容量はレトロウイルスベクターよりもアデノウイルスベクターの方がはるかに大きい。アデノ随伴ウイルスベクターは、別の有用な送達系である。このウイルスのDNAは非分裂細胞内に組み込むことができ、いくつかのポリヌクレオチドでアデノ随伴ウイルスベクターを用いて様々な細胞種内にへの導入が成功している。
【0110】
一部の実施形態では、構築体またはベクターは2つ以上の異種ポリヌクレオチド配列を含む。好ましくは、追加の核酸配列は、選択マーカー、構造遺伝子、治療遺伝子、またはサイトカイン/ケモカイン遺伝子をコードしているポリヌクレオチドである。
【0111】
遺伝的改変の成功を監視する目的で、およびDNAが組み込まれた細胞を選択するために、選択マーカーを構築体またはベクターに含め得る。非限定的な例には、G148またはハイグロマイシンなどの薬物耐性マーカーが含まれる。さらに、たとえばマーカーがHSV-tk遺伝子である場合には、陰性選択を用い得る。この遺伝子は、細胞にアシクロビルおよびガンシクロビルなどの薬剤に対する感受性を与える。NeoR(ネオマイシン/G148耐性)遺伝子が一般的に用いられるが、その遺伝子配列が前から標的細胞中に存在しない任意の好都合なマーカー遺伝子を用い得る。さらなる非限定的な例には、低親和性神経成長因子(NGFR)、増強型蛍光緑色タンパク質(EFGP)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)、細菌hisD遺伝子、マウスCD24(HSA)、マウスCD8a(lyt)、プロマイシンまたはフレオマイシンに対する耐性を与える細菌遺伝子、およびβ-ガラクトシダーゼが含まれる。
【0112】
追加のポリヌクレオチド配列は、異種タンパク質をコードしているポリヌクレオチド配列と同じベクター上で宿主細胞内に導入してもよいし、追加のポリヌクレオチド配列は第2のベクター上で宿主細胞内に導入してもよい。好ましい実施形態では、異種タンパク質をコードしているポリヌクレオチドと同じベクターに選択マーカーを含める。
【0113】
本発明はまた、内在遺伝子の発現がアップレギュレーションされ、その結果、野生型MEMPと比較してコードされているタンパク質の産生増加がもたらされるように、内在遺伝子のプロモーター領域の遺伝的改変を行うことを包含する。
【0114】
刺激因子の投与
本発明の方法は、MEMPをin situで濃縮するために、1つまたは複数の刺激因子を被験体に投与することを含み得る。
【0115】
これらの方法は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)などの1つまたは複数の刺激因子を、局所的に、全身的に、または、埋込体もしくは装置内などの局在的に投与することを含み得る。
【0116】
特定の一実施形態では、本発明は、被験体に刺激因子を全身投与することによって、それを必要としている被験体においてMEMPを濃縮する方法を提供する。たとえば、刺激因子を皮下または筋肉内注射によって投与し得る。
【0117】
本発明のこの実施形態は、特定組織におけるMEMPの濃縮が望ましい全身性変性疾患の治療に有用であり得る。この方法で治療することができる全身性変性疾患の例には、骨粗鬆症もしくは骨折、軟骨変性疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患または心血管疾患などが含まれる。
【0118】
したがって、本発明によれば、治療上または予防上有効な量の刺激因子を、自己免疫疾患、急性慢性炎症、癌、心血管疾患、感染症、ならびに関節リウマチ、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性骨盤疾患、多発性硬化症、喘息、骨関節炎、アテローム性動脈硬化症、乾癬、鼻炎、自己免疫、および器官移植片拒絶を含めた炎症性障害からなる群から選択される疾患または障害の治療に用い得る。一例では、このような組成物には、組織特異的細胞の生成の刺激を支援するための使用に十分な治療上または予防上有効な量の1つもしくは複数の刺激因子が含まれる。
【0119】
「治療上有効な量」とは、MEMPの濃縮を達成するために必要な用量でかつ必要な期間の間有効な量をいう。
【0120】
「予防上有効な量」とは、MPCもしくはそれに由来する子孫の死を予防または阻害することなどの所望の予防的結果を達成するために必要な用量でかつ必要な期間の間有効な量をいう。
【0121】
特定の実施形態では、刺激因子の好ましい範囲は、0.1nM〜0.1M、0.1nM〜0.05M、0.05nM〜15μMまたは0.01nM〜10μMであり得る。用量の値は、緩和させる病的状態の重篤度に応じて変動し得ることに留意されたい。任意の個別被験体について、具体的な用量レジメンは、個体の必要性および組成物を投与する人または投与を監督する人の専門的判断に従って、経時的に調節し得る。本明細書中に記載した用量範囲は例示に過ぎず、医療従事者によって選択され得る用量範囲を制限しない。
【0122】
組成物中の刺激因子の量は、個体の病状、年齢、性別、および体重などの要因に応じて変動し得る。最適な治療反応をもたらすために投与計画を調整し得る。たとえば、単回ボーラス注射を投与するか、いくつかに分割した用量で経時的に投与するか、または、治療状況の緊急度によって示されるように容量を比例的に減少もしくは増加し得る。投与を容易にし、用量を均一にするために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することが有利であり得る。本明細書中で使用する「単位剤形」とは、治療する被験体の単位投薬量として適した、物理的に区別された単位をいう。それぞれの単位は、所望の治療効果を生じるように計算された事前に決定された量の活性化合物を、必要な製薬担体と一緒に含む。
【0123】
刺激因子は、製薬上許容される担体または賦形剤を含む組成物の形態で投与し得ることは理解されよう。
【0124】
本明細書中で使用する「製薬上許容される担体」または「賦形剤」には、生理的適合性のある、任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などが含まれる。一実施形態では、担体は非経口投与に適している。あるいは、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下または経口投与に適していることができる。製薬上許容される担体には、滅菌した水溶液または分散液、および滅菌した注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌した散剤が含まれる。医薬的活性化合物のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合でない限りは、本発明の医薬組成物中におけるその使用が企図される。補助的な活性化合物も組成物中に取り込ませることができる。
【0125】
非経口投与用の医薬製剤にはリポソームが含まれ得る。リポソームおよび乳剤は、疎水性薬物に特に有用な送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。治療用試薬の生物学的安定性に応じて、タンパク質を安定化させる追加の戦略を用い得る。さらに、標的化薬物送達系、たとえば標的特異的抗体でコーティングしたリポソームにおいて、薬物を投与し得る。リポソームは標的タンパク質に結合し、標的タンパク質を発現する細胞によって選択的に取り込まれる。
【0126】
治療組成物は、典型的には製造および貯蔵の条件下で無菌的かつ安定であるべきである。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化し得る。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングを用いることによって、分散液の場合は必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持することができる。多くの場合、等張化剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、たとえばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。さらに、刺激因子は、徐放性製剤中、たとえば徐放性ポリマーが含まれる組成物中で投与し得る。活性化合物は、埋込体およびマイクロカプセル封入送達系を含めた徐放性製剤などの、化合物を迅速な放出から保護する担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの生分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。このような製剤を調製するための多くの方法が特許されているか、または当業者に一般に知られている。
【0127】
さらに、刺激因子の懸濁液を注射用の適切な油性懸濁液として調製し得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油;またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル;またはリポソームが含まれる。注射用に用いる懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を上昇させる物質も含み得る。任意選択で、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能にする適切な安定化剤または化合物の溶解度を増加させる薬剤も含み得る。
【0128】
滅菌した注射用溶液は、所要量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組合せと共に含有させ、次いで濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒および上に列挙したものから必要な他の成分を含む滅菌したビヒクル中に含有させることによって調製する。滅菌した注射用溶液を調製するための滅菌した散剤の場合は、好ましい調製方法は、活性成分と既に滅菌したその濾過溶液からの任意の追加の所望の成分との散剤が得られる、真空乾燥および凍結乾燥である。本発明の代替態様に従って、刺激因子は、その溶解度を高める1つまたは複数の追加の化合物と共に製剤化し得る。
【0129】
刺激化合物を吸入によって投与する場合は、加圧パックまたは噴霧器から、適切な噴霧剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体の使用と一緒に、エアロゾルスプレーの提示の形態でこれを好都合に送達し得る。加圧エアロゾルの場合は、計量された量を送達するための弁を備えることによって単位用量を決定し得る。化合物とデンプンまたはラクトースなどの適切な粉末基材との散剤混合物を含む、吸入器中で用いるためのたとえばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを配合し得る。
【0130】
本発明の細胞性組成物の投与
MEMPおよび/またはTSCCを含む本発明の細胞性組成物は、骨、軟骨、腱、靱帯、筋肉、皮膚、および他の結合組織、ならびに神経、心臓、肝臓、肺、腎臓、膵臓、脳、および他の器官の組織を含めた様々な種類の組織の再生に有用であり得る。
【0131】
一部の実施形態では、本発明の組成物を、たとえば、MEMPを支持し、骨、軟骨、筋肉、神経、表皮および/または他の結合組織が増殖する表面を提供するための適切なマトリックスと組み合わせて投与し得る。マトリックスは従来のマトリックス生体材料の形態であり得る。マトリックスは、発現されたタンパク質および分化した細胞の徐放性ならびに/またはそれを提示するために適切な環境を提供し得る。一部の実施形態では、様々なコラーゲン性および非コラーゲン性タンパク質がアップレギュレーションされ、MEMPから分泌されると予測される。この現象は、マトリックス沈降を増強することによって組織の再生を加速させる。また、マトリックスタンパク質は、遺伝子操作した細胞中で発現させ、移植した細胞が移植領域内に生着および付着することを増強させることもできる。
【0132】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、表面的外見および界面特性に基づく。細胞に基づいた組成物の具体的な用途により適切な配合が定義される。組成物の潜在的なマトリックスは、生分解性かつ化学的に定義されている硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ酸無水物であり得る。他の潜在的な材料は、骨または皮膚コラーゲンなど、生分解性でありかつ生物学的によく定義されている。さらなるマトリックスは純粋なタンパク質または細胞外基質成分からなる。他の潜在的なマトリックスは、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミネート、または他のセラミックなど、非生分解性でありかつ化学的に定義されている。マトリックスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムなどの上述の材料種の任意の組合せからなり得る。バイオセラミックは、カルシウム-アルミン酸-リン酸などにおいて組成を変更してもよく、また、孔径、粒子径、粒子形状、および生分解性を変更するために処理してもよい。
【0133】
本発明の細胞性組成物は、疾患もしくは外傷または組織の正常な発達の不全の結果生じる軟骨もしくは骨組織の修復または置換を要する患者を治療するために、あるいは化粧的機能を提供するために、顔面特徴または身体の他の特徴を増補するために、用い得る。治療は、新しい軟骨組織または骨組織を生成させるための本発明の細胞の使用を必要とし得る。たとえば、未分化または軟骨形成分化誘導性の前駆細胞を含む組成物を用いて、軟骨状態、たとえば、関節リウマチまたは骨関節炎または軟骨の外傷性もしくは外科性の傷害を治療し得る。別の例として、骨前駆細胞を含む組成物を用いて、代謝性および非代謝性の骨疾患を含めた骨状態を治療し得る。骨状態の例には、半月板断裂、脊椎固定、脊椎板除去、脊髄再構築、骨折、骨/脊髄変形、骨肉腫、骨髄腫、骨異形成、脊柱側弯症、骨粗鬆症、歯周病、歯骨損失、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、腎性骨ジストロフィー、および骨パジェット病が含まれる。
【0134】
本発明の細胞性組成物は、単独で、または他の細胞との混合物として投与し得る。本発明の組成物と併せて投与し得る細胞には、それだけには限定されないが、他の多能性もしくは分化多能性細胞または軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨裏打ち細胞、幹細胞、もしくは骨髄細胞が含まれる。様々な種類の細胞を投与の直前もしくは少し前に本発明の組成物と混合するか、またはこれらを投与前に一定期間、一緒に共培養し得る。
【0135】
本発明の細胞性組成物は、他の有益な薬物または生体分子(成長因子、栄養素)と共に投与し得る。MEMPを他の薬剤と共に投与する場合、それらを単一の医薬組成物中で同時に、あるいは別個の医薬組成物で、同時にまたは他の薬剤と逐次的に(他の薬剤を投与する前もしくは後に)投与し得る。同時投与し得る生物活性因子には、抗アポトーシス剤(たとえば、EPO、EPO模倣体、TPO、IGF-IおよびIGF-II、HGF、カスパーゼ阻害剤);抗炎症剤(たとえば、p38 MAPK阻害剤、TGF-β阻害剤、スタチン、IL-6およびIL-1阻害剤、ペミロラスト、トラニラスト、REMICADE、シロリムス、およびNSAID(非ステロイド性抗炎症薬;たとえば、テポキサリン、トルメチン、スプロフェン);免疫抑制剤/免疫調節剤(たとえば、シクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニュリン阻害剤;mTOR阻害剤(たとえば、シロリムス、エベロリムス);抗増殖性(たとえば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);副腎皮質ステロイド(たとえば、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン);モノクローナル 抗IL-2Rα受容体抗体(たとえば、バシリキシマブ、ダクリツマブ)、ポリクローナル抗T細胞抗体(たとえば、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)などの抗体;抗リンパ球グロブリン(ALG);モノクローナル抗T細胞抗体OKT3));抗血栓剤(たとえば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、PPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤、および血小板阻害剤);抗酸化剤(たとえば、プロブコール、ビタミンA、アスコルビン酸、トコフェロール、補酵素Q-10、グルタチオン、L-システイン、N-アセチルシステイン)、ならびに局所麻酔剤が含まれる。別の例として、細胞を、本明細書中に参照により組み込まれる米国特許第5,827,735号に記載の瘢痕阻害因子と同時に投与し得る。
【0136】
一実施形態では、本発明の細胞性組成物を未分化細胞として、すなわち増殖培地中で増殖させたものを、投与する。あるいは、細胞性組成物を所望の表現型、たとえば骨形成性の表現型への分化を刺激する条件に培養物中で曝した後に投与し得る。
【0137】
本発明の細胞性組成物は、修復または補強を必要としている部位に、外科的に埋め込むか、注射するか、送達する(たとえばカテーテルもしくはシリンジによって)か、または他の方法で直接もしくは間接的に投与し得る。細胞はマトリックス(たとえば三次元足場)によって投与し得る。細胞は従来の製薬上許容される担体と共に投与し得る。本発明の細胞もしくは組成物またはその成分(たとえば、ECM、細胞溶解液、馴化培地)の投与経路には、筋肉内、眼、非経口(静脈内を含む)、動脈内、皮下、経口、および経鼻の投与が含まれる。特定の非経口投与経路には、それだけには限定されないが、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、側脳室内、くも膜下腔内、嚢内、脊髄内および/または脊椎周辺の投与経路が含まれる。
【0138】
細胞を半固体または固体デバイス中で投与する場合、通常は、体内の正確な位置への外科的埋込みが適切な投与手段である。しかし、液状または流体状の医薬組成物を、それらがたとえば化学シグナルに応答してそこから特定の位置へと遊走するような、より全体的な位置(たとえば、散在性の患部全体にわたって)に投与し得る。
【0139】
他の実施形態は、細胞成分(たとえば、細胞溶解液もしくはその成分)または生成物(たとえば、細胞外基質、栄養素もしくは遺伝的改変によって産生させた他の生物学的因子)を含む医薬組成物を投与することによる治療方法を包含する。
【0140】
本明細書中に記載の細胞性組成物を投与するための剤形および投与計画は、個々の患者の状態、たとえば、治療する状態の性質および程度、年齢、性別、体重および全身的病状、ならびに医療従事者に知られている他の要因を考慮して、良好な医療実務に従って確立する。したがって、患者に投与する医薬組成物の有効量は、当分野で知られているとおりのこのような考慮事項によって決定する。
【0141】
本発明の一部の実施形態では、本発明の細胞性組成物を用いた治療の開始前に患者の免疫抑制を行うことが必要または望ましい場合がある。したがって、同種異系、またはさらには異種のMEMPを用いた移植が一部の例では許容され得る。
【0142】
しかし、他の例では、細胞治療を開始する前に患者の薬理学的な免疫抑制を行うことが望ましいまたは適切であり得る。これは、全身性もしくは局所的免疫抑制剤を使用することによって達成するか、または細胞をカプセル封入したデバイス中で送達することによって達成し得る。MEMPは、細胞が必要とする栄養素および酸素ならびに細胞の治療因子を透過するが、免疫液性因子および細胞を透過しないカプセル中にカプセル封入し得る。好ましくは、カプセル材料は低アレルギー性であり、容易かつ安定に標的組織中に配置され、埋込み構造体に追加的保護を提供する。移植した細胞に対する免疫応答を低減または排除するためのこれらおよび他の手段は、当技術分野で知られている。代替方法として、MEMPの遺伝的改変を行ってその免疫原性を軽減させ得る。
【0143】
生きた患者内に移植したMEMPの生存性は、様々なスキャン技術、たとえば、コンピュータ体軸断層撮影(CATもしくはCT)スキャン、磁気共鳴画像化法(MRI)または陽電子放射断層撮影(PET)スキャンを用いて決定することができる。また、移植片の生存性の決定は、死後に標的組織を取り出し、視覚的にまたは顕微鏡で検査することによっても決定することができる。あるいは、特定の系統の細胞に特異的な色素を用いて細胞を処理することができる。移植した細胞は、ローダミンもしくはフルオレセインで標識したミクロスフェア、fast blue、ビスベンズアミド、第二鉄微粒子、または、β-ガラクトシダーゼもしくはβ-グルクロニダーゼなどの遺伝子導入したレポーター遺伝子の産物などの、トレーサー色素を事前に取り込ませておくことによっても同定することができる。
【0144】
被験体内に移植したMEMPの機能的組込みは、損傷したまたは罹患した機能の修復、たとえば関節もしくは骨の機能の修復、または機能の補強を検査することによって評価することができる。
【0145】
本発明の細胞性組成物には、たとえば、それだけには限定されないが、成長因子、分化誘導因子、カスパーゼ阻害剤などの細胞生存因子、p38キナーゼ阻害剤などの抗炎症剤、またはVEGFもしくはbFGFなどの血管形成因子などの1つもしくは複数の生物活性因子が含まれ得る。生物活性因子の一部の例には、PDGF-bb、EGF、bFGF、IGF-1、およびLIFが含まれる。
【0146】
あるいは、このような成長因子、抗酸化剤、抗アポトーシス剤、抗炎症剤、または血管形成因子を発現するように、移植するMEMPを遺伝子操作してもよい。
【0147】
本発明の医薬組成物はMEMPの同種もしくは異種の集団、その細胞外基質または細胞溶解液、あるいはその馴化培地を、製薬上許容される担体中に含み得る。本発明の細胞にとって製薬上許容される担体としては、本発明の細胞もしくは組成物またはその成分と有害な反応をしない、適切な有機または無機担体物質が含まれる。それらが生体適合性である限りは、適切な製薬上許容される担体には、水、塩溶液(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ならびにポリビニルピロリジンが含まれる。このような調製物は滅菌してもよく、所望する場合は、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、および着色剤などの補助剤と混合することができる。本発明での使用に適した製薬担体は当分野で知られており、たとえば、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれているPharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co.、ペンシルバニア州Easton)および国際公開公報WO96/05309号に記載されている。
【0148】
当分野で知られている1種もしくは複数種のコラーゲンなどの選択された細胞外基質成分、ならびに/または成長因子、血小板に富んだ血漿、および薬物を含めた1つまたは複数の他の成分を、移植した細胞に加え得る。あるいは、本発明の細胞の遺伝子操作を行って成長因子を発現かつ産生させ得る。本発明の細胞の遺伝的改変についての詳細は本明細書中に提供されている。
【0149】
非限定的な実施形態では、骨組織などの新しい組織の生成が所望される部位に直接投与するために、本発明の細胞を含む製剤を調製する。たとえば、限定しないが、MEMPを、注射用のヒドロゲル溶液に懸濁させ得る。本発明で使用する適切なヒドロゲルの例には、RAD16などの自己集合ペプチドが含まれる。あるいは、埋込み前に、細胞を含むヒドロゲル溶液を、たとえば鋳型内で硬化させて、その内部に細胞が分散したマトリックスを形成し得る。あるいは、マトリックスが硬化したのち、埋込み前に、細胞が有糸分裂によって増殖されるように細胞構成物を培養し得る。ヒドロゲルとは、共有結合、イオン結合、または水素結合によって架橋結合されて三次元の開格子構造(水分子を捕捉してゲルを形成する)を形成する有機ポリマーである。ヒドロゲルを形成するために用いることができる材料の例には、アルギン酸およびその塩などの多糖類、ペプチド、ポリホスファジン、およびイオン結合によって架橋結合されているポリアクリレート、またはそれぞれ温度もしくはpHによって架橋結合されているポリエチレンオキシド-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどのブロックポリマーが含まれる。一部の実施形態では、MPCまたはそれに由来する子孫のための支持体は生分解性である。
【0150】
本発明の一部の実施形態では、製剤は、たとえば米国特許出願第2002/0022676号; Anseth他、J. Control Release, 78(1-3): 199-209 (2002); Wang他、Biomaterials, 24(22):3969-80 (2003)に記載のin situで重合可能なゲルを含む。
【0151】
一部の実施形態では、ポリマーは、帯電した側基を有するか、またはその一価のイオン性塩であり、水、緩衝塩溶液、または水性アルコール溶液などの水溶液中に少なくとも部分的に可溶性である。陽イオンと反応させることができる酸性側基を有するポリマーの例は、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、およびスルホン化ポリスチレンなどのスルホン酸ポリマーである。アクリル酸またはメタクリル酸とビニルエーテルモノマーまたはポリマーとの反応によって形成される酸性側基を有するコポリマーも用いることができる。酸性基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくはフッ化)アルコール基、フェノール性OH基、および酸性OH基である。
【0152】
陰イオンと反応させることができる塩基性側基を有するポリマーの例は、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、および一部のイミノ置換ポリホスファゼンである。ポリマーのアンモニウム塩または第四級塩も、主鎖の窒素またはペンダントイミノ基から形成することができる。塩基性側基の例はアミノ基およびイミノ基である。
【0153】
アルギネートを二価陽イオンと、水中、室温で、イオン結合により架橋結合してヒドロゲルマトリックスを形成することができる。このような緩和な条件により、アルギネートは、たとえばLimの米国特許第4,352,883号に記載のハイブリドーマ細胞カプセル封入に最も一般的に用いられるポリマーであった。Limの方法では、カプセル封入する生体材料を含む水溶液を水溶性ポリマーの溶液中に懸濁させ、懸濁液を液滴の形にし、多価陽イオンと接触させることによってこれから別個のマイクロカプセルを形成し、その後、マイクロカプセルの表面をポリアミノ酸と架橋結合させて、カプセル封入した材料の周りに半透膜を形成させる。
【0154】
ポリホスファゼンとは、交互する単結合および二重結合によって隔てられた窒素とリンとからなる主鎖を有するポリマーである。それぞれのリン原子が2本の側鎖と共有結合している。
【0155】
架橋結合に適したポリホスファゼンは、その側鎖基の大多数が酸性であり、かつ二価または三価の陽イオンと共に塩橋を形成する能力を有する。好ましい酸性側基の例はカルボン酸基およびスルホン酸基である。加水分解に安定なポリホスファゼンは、Ca2+またはAl3+などの二価または三価の陽イオンによって架橋結合されたカルボン酸側基を有するモノマーから形成される。イミダゾール、アミノ酸エステル、またはグリセロール側基を有するモノマーを取り込ませることによって、加水分解によって分解するポリマーを合成することができる。たとえば、ポリアニオンポリ[ビス(カルボキシラトフェノキシ)]ホスファゼン(PCPP)を合成することができ、これを室温以下で水性媒体中に溶かした多価陽イオンと架橋結合させてヒドロゲルマトリックスを形成させる。
【0156】
生分解性ポリホスファゼンは、少なくとも2種の異なる側鎖、すなわち、多価の陽イオンと塩橋を形成する能力を有する酸性側基と、in vivo条件下で加水分解する側基、たとえば、イミダゾール基、アミノ酸エステル、グリセロールおよびグルコシルとを有する。
【0157】
側鎖の加水分解によりポリマーの浸食がもたらされる。加水分解性側鎖の例は、未置換および置換のイミジゾールならびにアミノ結合によってその基がリン原子に結合されているアミノ酸エステル(両方のR基がこの様式で結合しているポリホスファゼンポリマーは、ポリアミノホスファゼンとして知られている)である。ポリイミダゾールホスファゼンでは、ポリホスファゼン主鎖上の「R」基の一部は、環窒素原子によって主鎖中のリンに結合しているイミダゾール環である。他の「R」基は、メチルフェノキシ基またはAllcock他、Macromolecule 10:824 (1977)の科学論文中に示されている他の基などの、加水分解に関与しない有機残基であることができる。ヒドロゲル材料の合成方法およびそのようなヒドロゲルの調製方法は当分野で知られている。
【0158】
それだけには限定されないが、以下のうちの任意のもの、すなわち、(1)適切なpHおよび等張性をもたらす緩衝液;(2)潤滑剤;(3)たとえばアルギネート、寒天および植物ゴムを含めた、細胞を投与部位にまたはその周辺に保持するための粘稠物質;ならびに(4)たとえば、組織の形成もしくはその物理化学的特徴の増強または改変、あるいは細胞の生存の支援、または炎症もしくは拒絶の抑制などの、投与部位において所望の効果を生じ得る他の細胞種も、製剤中に含めてよい。細胞が当該部位から離れることを防ぐために、細胞を適切な創傷被覆材によって覆ってもよい。このような創傷被覆材は当業者には知られている。
【0159】
骨組織パッチの製剤化
事前に形成したウェル中でMEMPを培養または共培養をすることにより、事前に決定した厚さおよび体積の組織パッチの製造が可能となる。その結果生じる組織パッチの体積は、ウェルの体積およびウェル中のMEMP数に依存する。事前に決定した最適な体積の組織は、前述のパラメータの一方または双方を変更することによって、日常的な実験によって調製し得る。
【0160】
ウェルの細胞接触表面を、MEMPが細胞接触表面に接着することを阻止する分子でコーティングし得る。好ましいコーティング試薬には、ケイ素系試薬、すなわちジクロロジメチルシランまたはポリテトラフルオロエチレン系試薬、すなわちテフロンが含まれる。物質をケイ素系試薬、具体的にはジクロロジメチルシランでコーティングする手順は当分野で周知である。たとえば、その開示が本明細書中に参照により組み込まれるSambrook他(1989) "Molecular Cloning A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。細胞がウェルの表面に付着することを阻止する他の生体適合性試薬が本発明の実施に有用であり得ることは理解されよう。
【0161】
あるいは、細胞の付着自体を許容しない柔軟なまたは成形用の生体適合性材料からウェルを成型し得る。そのような細胞付着を妨げる好ましい材料には、それだけには限定されないが、アガロース、ガラス、未処理の細胞培養プラスチックおよびポリテトラフルオロエチレン、すなわちテフロンが含まれる。未処理の細胞培養プラスチック、すなわち、静電気的帯電を有する材料で処理していない、またはそれから作製していないプラスチックは市販されており、たとえば、Falcon Labware、Becton-Dickinson、ニュージャージー州Lincoln Parkから購入し得る。しかし、前述の材料は限定することを意図しない。本質的にMEMPの付着を妨げる任意の他の柔軟なまたは成形用の生体適合性材料が本発明の実施に有用であり得ることは理解されよう。
【0162】
懸濁させたMEMPを事前に形成したウェル中に播種して培養し得る。MEMPは、ウェル内の培養中に軟骨形成もしくは骨形成性の表現型に分化するように誘導を行うか、またはウェル中に播種する前に分化の誘導を行っていてもよい。培地を約1×105〜1×109個の細胞/ミリリットルの細胞密度まで加えることによって細胞を希釈し得る。
【0163】
細胞は細胞の凝集プラグを形成し得る。細胞の凝集プラグをウェルから取り出し、組織欠損内に外科的に埋込むこともできる。未分化MPCまたはそれに由来する子孫がそれによりin situで分化して、in vivoで組織を形成し得ることが理解される。
【0164】
骨欠損は、コンピュータ支援断層撮影(CATスキャン);X線検査、磁気共鳴画像化法(MRI)、滑液もしくは血清マーカーの解析を用いて、または当分野で知られている任意の他の手順を用いることによって、当然に同定し得る。哺乳動物における欠損も、関節鏡検査中または関節の切開手術中に、容易に視覚的に同定可能である。欠損の治療は、本明細書中に開示した方法および組成物を用いて、関節鏡検査または切開手術処置中に達成することができる。
【0165】
したがって、欠損が同定された後、欠損を以下のステップ、すなわち(1)事前に決定した部位に本明細書中に記載の方法によって調製した組織パッチを外科的に埋め込むステップと、(2)組織パッチが事前に決定した部位内に組み込まれることを許容するステップとによって治療し得る。
【0166】
組織パッチは、最適には、パッチが欠損内に埋め込まれた際、埋め込まれた組織の端が欠損の端と直接接触するような大きさおよび形状を有する。さらに、組織パッチは外科的処置中に定位置に固定し得る。これは、生分解性縫合糸を用いてパッチを欠損内に外科的に固定することによって、かつ/またはパッチと欠損との界面領域に生体接着剤を塗布することによって、達成することができる。
【0167】
一部の例では、組織パッチを埋め込む前に損傷組織を外科的に切除し得る。
【0168】
足場を用いたMEMPの移植
本発明の細胞性組成物またはその共培養物を三次元足場(scaffold)上もしくはその中に播種してin vivoに埋め込んでもよく、播種した細胞はここでフレームワーク上で増殖して、患者の細胞と協力して骨組織などの置換組織をin vivoで形成する。
【0169】
たとえば、いかなる様式でも限定しないが、足場構造が(1)その後の分解なしに播種した細胞を支持する;(2)播種時から組織移植物が宿主組織によって再構築されるまでの間、細胞を支持する;(2)播種した細胞が付着し、増殖し、in vitroで自身を支持するために十分な機械的完全性を有する組織構造体へと発達することを可能にし、その時点で足場が分解されるように、足場を設計し得る。足場設計の総説は、Hutmacher, J. Biomat. Sci. Polymer Edn., 12(1):107-124 (2001)によって提供されている。
【0170】
本発明の足場は、任意の1つあるいは複数の成長因子、細胞、たとえば幹細胞、骨髄細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨裏打ち細胞、もしくはそれらの前駆細胞、薬物、または、組織形成を刺激するかあるいは他の様式で本発明の実施を増強もしくは改善する上述の他の成分と組み合わせて、投与することができる。足場上に播種するMEMPは、成長因子または薬物を発現するように遺伝子操作されていてもよい。
【0171】
本発明の細胞を用いて新しい組織をin vitroで生成することができ、その後これを患者の組織の修復、置換もしくは補強を要する部位内に埋め込んだり、移植したり、または他の方法で挿入したりすることができる。
【0172】
非限定的な実施形態では、本発明の細胞を用いて三次元組織構築体をin vitroで作製させ、その後これをin vivoに埋め込む。三次元組織構築体の作製例としては、本明細書中に参照により組み込まれる米国特許第4,963,489号を参照されたい。たとえば、本発明の細胞を三次元フレームワークもしくは足場上に接種または「播種」し、in vitroで増殖または成長させて、in vivoに埋め込むことができる生組織を形成し得る。
【0173】
本発明の細胞を培養容器中で準コンフルエントまたはコンフルエントまで自由に増殖させ、培養を止め、三次元フレームワーク上に接種することができる。高濃度の細胞、たとえば約106〜5×107個の細胞/ミリリットルで三次元フレームワークを接種する結果、比較的短い期間内で三次元支持体の構築がもたらされる。
【0174】
本発明で用い得る足場の例には、不織マット、多孔性泡沫、または自己集合ペプチドが含まれる。不織マットは、たとえば、商標名VICRYL(Ethicon, Inc.、ニュージャージー州Somerville)の下で販売されている、グリコール酸と乳酸の合成吸収性コポリマー(PGA/PLA)からなる繊維を用いて形成し得る。たとえば、米国特許第6,355,699号に記載の凍結乾燥などの加工によって形成したまたは凍結乾燥したポリ(ε-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーからなる泡沫も、可能性のある足場である。自己集合ペプチド(たとえばRAD16)などのヒドロゲルも用い得る。これらの材料は、しばしば組織の増殖支持体として用いられている。
【0175】
三次元フレームワークは、それだけには限定されないが、リン酸のモノ-、ジ-、トリ-、α-トリ-、β-トリ-、およびテトラ-カルシウム塩、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムカルシウム、バイオガラス(フロリダ大学、フロリダ州Gainesville)などの生物活性ガラス、ならびにそれらの混合物を含めたセラミック材料から作製し得る。現在市販されている様々な好適な多孔性生体適合性セラミック材料、たとえばSURGIBON(Unilab Surgibone, Inc.、カナダ)、ENDOBON(Merck Biomaterial France、フランス)、CEROS(Mathys, A.G.、スイスBettlach)、およびINTERPORE(Interpore、米国カリフォルニア州Irvine)など、ならびにHEALOS(Orquest, Inc.、カリフォルニア州Mountain View)およびVITOSS、RHAKOSS、CORTOSS(Orthovita、ペンシルバニア州Malvern)などの石灰化コラーゲン骨移植製品が存在する。フレームワークは、天然および/または合成材料の混合物、混和物もしくは複合体であり得る。一部の実施形態では、足場はケージの形態である。好ましい実施形態では、足場をコラーゲンでコーティングする。
【0176】
好ましい実施形態によれば、フレームワークは、生体吸収性材料、たとえば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくは混合物、またはヒアルロン酸から作製する多繊維糸からなることができるフェルトである。糸は、クリンプ加工、切断、梳毛およびニードリングからなる標準織物加工技術を用いてフェルトにする。
【0177】
別の好ましい実施形態では、本発明の細胞を、複合体構造であり得る泡沫足場上に播種する。さらに、三次元フレームワークを、耳の外部部分、骨、関節または修復、置き換えもしくは補強する身体内の他の具体的な構造などの有用な形状に成形し得る。
【0178】
別の好ましい実施形態では、本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第6,200,606号に記載のように、患者内に埋め込むための人工装具を含むフレームワーク上に細胞を播種する。それに記載されているように、様々な臨床的に有用な人工装具が、骨および軟骨の移植手順で使用するために開発されている。(たとえば、Bone Grafts and Bone Substitutions. M. B. Habal & A. H. Reddi編, W. B. Saunders Co., 1992参照)。たとえば、有効な膝および股関節置換デバイスが臨床環境において幅広く使用され続けている。これらのデバイスの多くは、体内で安全に機能する、免疫原性活性の低い様々な無機物質を用いて作製されている。試験かつ証明された合成材料の例には、チタン合金、リン酸カルシウム、セラミックヒドロキシアパタイト、ならびに様々なステンレス鋼およびコバルト-クロム合金が含まれる。これらの材料は構造的支持をもたらし、その内部で宿主の血管化および細胞遊走が起こることができる足場材料を形成することができる。
【0179】
細胞の付着を増強するために、本発明の細胞を接種する前にフレームワークを処理し得る。たとえば、本発明の細胞を用いた接種の前にナイロンマトリックスを0.1モル濃度の酢酸で処理し、ポリリシン、PBS、および/またはコラーゲン中でインキュベーションを行ってナイロンをコーティングすることができる。硫酸を用いてポリスチレンも同様に処理することができる。
【0180】
さらに、細胞の付着または成長および組織の分化を改善するために、フレームワークを血漿でコーティングすることによって、あるいは1つもしくは複数のタンパク質(たとえば、コラーゲン、弾性線維、細網線維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(たとえば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、ならびに/またはそれだけには限定されないが、とりわけゼラチン、アルギネート、寒天、アガロース、および植物ゴムなどの他の材料を加えることなどによって、三次元フレームワークの外部表面を改変し得る。
【0181】
一部の実施形態では、足場は、それを抗血栓性にする材料からなる、またはそのような材料で処理する。このような処理および材料はまた、内皮成長、遊走、および細胞外基質の沈降を促進ならびに持続させ得る。このような材料および処理の例には、それだけには限定されないが、ラミニンおよびIV型コラーゲンなどの基底膜タンパク質等の天然材料、ePTFEなどの合成材料、ならびにPURSPAN(The Polymer Technology Group, Inc.、カリフォルニア州Berkeley)などのセグメント化ポリウレタンウレアケイ素が含まれる。足場を抗血栓性にするために、これらの材料をさらに処理することができる。そのような処理には、ヘパリンなどの抗血栓剤、および血漿コーティングなどの材料の表面帯電を変更する処理が含まれる。
【0182】
一部の実施形態では、足場の表面に織り目をつける。たとえば、本発明の一部の態様では、足場に溝および山のパターンを付ける。溝は、好ましくは約500ミクロン未満、より好ましくは約100ミクロン未満、最も好ましくは約10ナノメートル〜10ミクロンである。このような「微小溝」により、細胞が表面の溝によって導かれて整列しかつ/または遊走することが可能となる。
【0183】
一部の実施形態では、in vivoでの埋込みまたはin vitroでの使用前に本発明の細胞が成長する程度を変動させ得るように、in vivoで認められる細胞微小環境を培養中に再構成することが重要である。さらに、MPCもしくはそれに由来する子孫またはその共培養物による分化および組織形成を誘導するための細胞の接種の前、その際、あるいはその後に、成長因子、軟骨形成分化誘導剤、骨形成性誘導剤、ならびに血管形成因子を培地に加えてもよい。
【0184】
その上での細胞増殖および組織生成が促進されるように、または移植物拒絶の危険性が低減するように、三次元フレームワークを改変してもよい。したがって、それだけには限定されないが、抗炎症剤、免疫抑制剤または成長因子を含めた1つもしくは複数の生物活性化合物をフレームワークに加え得る。
【0185】
細胞外基質または細胞溶解液の治療的使用
本発明の細胞、またはそれから生成される生組織の埋込みに代わる方法として、組織の修復、置換、または補強を必要としている被験体は、細胞外基質(ECM)もしくはこれらの細胞によって生成される細胞溶解液などの、MEMPの成分または産物(特にこれらが遺伝的に改変されている場合)を投与することによって利益を受けうる。
【0186】
一部の実施形態では、たとえば本明細書中に記載の三次元足場系を用いることによって、MEMPをin vitroで培養した後、所望量のECMがフレームワーク上に分泌された。ECMがフレームワーク上に分泌されれば、細胞を除去してもよい。ECMは、さらなる使用のため、たとえば注射用調製物として加工し得る。
【0187】
一部の実施形態では、細胞を死滅させ、細胞片(たとえば細胞膜)をフレームワークから除去する。このプロセスは、多くの異なる方法によって実施し得る。たとえば、低温保存せずに生組織を液体窒素中で瞬間冷凍するか、または細胞が浸透圧に応答して破裂するように組織を滅菌蒸留水に浸すことができる。いったん細胞を死滅させれば、細胞膜は破壊され、EDTA、CHAPSまたは双性イオン性洗剤などの洗剤で穏やかにすすぐ処理によって細胞片は除去されうる。洗剤での穏やかなすすぎを用いる利点は、これにより、しばしば抗原性の高い膜結合タンパク質が溶解されることである。
【0188】
あるいは、組織を酵素的に消化するかつ/または細胞膜を分解する試薬で抽出することができる。そのような酵素の例には、それだけには限定されないが、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、プロテアーゼ、ならびにヌクレアーゼ(たとえば、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼ)が含まれる。洗剤の例には、たとえば、アルキルアリールポリエーテルアルコール(TRITON(商標)X-100)、オクチルフェノキシポリエトキシ-エタノール(Rohm and Haas、ペンシルバニア州Philadelphia)、BRIJ-35、ポリエトキシエタノールラウリルエーテル(Atlas Chemical Co.、カリフォルニア州San Diego)、ポリソルベート20(TWEEN 20(商標))、ポリエトキシエタノールソルビタンモノラウレート(Rohm and Haas)、ポリエチレンラウリルエーテル(Rohm and Haas)などの非イオン性洗剤;ならびに、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸化高級脂肪族アルコール、分枝鎖または非分枝鎖に7〜22個の炭素原子を有するスルホン酸化アルカンおよびスルホン酸化アルキルアレーンなどのイオン性洗剤が含まれる。
【0189】
ECMを含む足場を上述のように治療に用い得る。あるいは、ECMを足場から収集し得る。ECMの収集は、たとえば足場が生分解性であるか非生分解性であるかに応じて、様々な方法によって達成することができる。たとえば、フレームワークが非生分解性である場合は、フレームワークを超音波処理、高圧水流、機械的掻爬、または洗剤もしくは酵素を用いた穏やかな処理、あるいは上述の方法の任意の組合せに供することによって、ECMを除去することができる。
【0190】
フレームワークが生分解性である場合は、ECMは、たとえば、フレームワークを溶液中に分解または溶解させることによって収集することができる。あるいは、生分解性フレームワークが、それ自体をECMと共に注射することができる材料からなる場合は、フレームワークおよびECMを全部、その後の注射用に加工することができる。あるいは、ECMは、ECMを非生分解性フレームワークから収集するための上述した方法のうちの任意のものによって、生分解性フレームワークから除去することができる。すべての収集プロセスは、本発明の細胞によって産生されたECMまたは細胞溶解液を変性しないように設計されることが好ましい。
【0191】
以降、本発明の実施形態を以下の非限定的な実施例を参照して詳述する。
【実施例】
【0192】
材料および方法
被験体、細胞培養物および抗体
BM吸引液を、インフォームドコンセントののち、Royal Adelaide Hospital、南オーストラリア州の倫理委員会によって認可された手順に従って正常な成人ボランティア(20〜35歳)の後部腸骨稜から得た。骨髄単核細胞(BMMNC)を、1.077g/mlのフィコール(Lymphoprep、Nycomed、Oslo、ノルウェー)上、400gで30分間遠心分離することによって取得し、その後、1%のウシ血清アルブミンおよび10mMのHEPESを含むハンクス緩衝生理食塩水pH 7.35(HBSS)で洗浄してそれに再懸濁させた。BMSSC初代培養は、コロニー効率アッセイ、RT-PCR、免疫組織化学および発生学的研究について以前に記載されているように(GronthosおよびSimmons, Blood 85(4):929-940, 1995)、20%のウシ胎児血清および100MのL-アスコルビン酸-2-リン酸を添加した-MEM中で確立した。BMSSCクローン細胞系は、増殖、RT-PCR、免疫組織化学、および発生学的研究のための血清充満(replete)培地中での継代培養ののち、以下に記載のようにSTRO-1bri/VCAM-1+で分別した細胞に由来する14日目のコロニーからの限界希釈によって作製した。
【0193】
STRO-1抗体はR&D Systems(米国Minneapolis)から市販されている。本発明において有用な他の抗体を表1に記載する。
【0194】
磁気活性化細胞分別(MACS)
これは、以前に記載されているようにして行った(Gronthos他、Isolation, Purification and In Vitro Manipulation of Human Bone Marrow Stromal Precursor Cells. In Marrow Stromal Cell Culture. Owen M.およびBeresford J.N.編 Cambridge University Press UK, 第3章, ページ26-42, 1998; GronthosおよびSimmons, Blood 85(4): 929-940, 1995)。約1×108個のBMMNCを、STRO-1上清と共に、10μg/mlの最終濃度で、60分間、氷上でインキュベーションを行った。STRO-1で標識された細胞をHBSSで洗浄し、1/50希釈したビオチン標識ヤギ抗マウスIgM(μ鎖特異的; Southern Biotechnology Associates、アラバマ州Birmingham)またはビオチン標識ヤギ抗マウスIgG(γ鎖特異的; Southern Biotechnology Associates、アラバマ州Birmingham)を含む1mlのHBSSにそれぞれ45分間、氷上で再懸濁させた。その後、細胞をMACS緩衝液(1%のBSA、5mMのEDTAおよび0.01%のアジ化ナトリウムを添加したシングル強度(single strength)のCa2+およびMn2+を含まないPBS)で2回洗浄し、100μlのストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、ドイツ連邦共和国)を加えた900μlのMACS緩衝液に再懸濁させた。細胞をさらに15分間、氷上でインキュベーションを行い、その後、ストレプトアビジン-フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート(1/50;Caltag Laboratories、カリフォルニア州San Francisco)を懸濁液に直接加えてさらに5分間置いた。細胞をMini MACS磁性カラム(カラム容量107個の細胞、Miltenyi Biotec)上で、製造業者の説明書に従って分離した。
【0195】
蛍光活性化細胞分別(FACS)
STRO-1+MACS単離細胞をストレプトアビジンコンジュゲート化FITCで標識し、その後、精製した抗CD106(VCAM-1)抗体6G10もしくは抗CD146(MUC-18)抗体またはアイソタイプ対照1B5(10μg/ml)のいずれかと共に、30分間、氷上でインキュベーションを行い、洗浄し、フィコエリスリン(PE)コンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(1/50; Southern Biotechnology Associates、アラバマ州Birmingham)と共にさらに20分間、氷上でインキュベーションを行った。FACStarPLUSフローサイトメーター(Becton Dickinson、カリフォルニア州Sunnyvale)を用いて細胞を分別した。STRO-1bri/CD106+またはSTRO-1bri/CD146+細胞を20%のウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM)を添加したα-改変イーグル培地中で培養して、5%のCO2中、37℃の加湿雰囲気中で初代培養を開始した。
【0196】
間接免疫蛍光を用いた1色および2色のフローサイトメトリー解析
この手順は以前に報告されている(Gronthos他、Isolation, Purification and In vitro Manipulation of Human Bone Marrow Stromal Precursor Cells. In Marrow Stromal Cell Culture. Owen M.およびBeresford J.N.編 Cambridge University Press UK, 第3章, ページ26-42, 1998)。手短に述べると、MPCの初代培養物またはMPCに由来する細胞をトリプシン/EDTA消化によって遊離させ、その後、30分間、氷上でインキュベーションを行った。約2×105個の細胞を洗浄し、その後、200μlの一次抗体カクテル中に1時間、氷上で再懸濁させた。一次抗体カクテルは、飽和濃度のマウスIgMモノクローナル抗体STRO-1および/またはヒトアルカリホスファターゼに対するマウスIgGモノクローナル抗体(ALP、B4-78)からなっていた。細胞内抗原と反応性を有する抗体を用いた染色のため、細胞をまずPBSで洗浄し、その後、氷上で10分間、70%のエタノールで処理することによって透過処理し、その後、染色前に洗浄した。マウスアイソタイプIgMおよびIgG陰性対照Mabを同一条件下で処理した。一次抗体とのインキュベーションののち、細胞を洗浄し、飽和レベルのヤギ抗マウスIgMμ鎖特異的-FITC(1/50希釈)とヤギ抗マウスIgGγ特異的-PE(1/50希釈)または抗ウサギIg特異的-PE(1/50希釈)(Southern Biotechnology Associates)のどちらかとに対し最終体積100μlで曝した。45分間、氷上で細胞のインキュベーションを行い、2回洗浄し、その後、FAX FIX(1%(v/v)、2%(w/v)D-グルコース、0.01%のアジ化ナトリウムを添加したPBS)中で固定した。その後、細胞をEpics(登録商標)-XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter、フロリダ州Hialeah)で解析した。
【0197】
カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)標識
細胞透過性フルオレセイン系色素CFSEを用いて、MPCに由来する細胞の発生の際の分裂に関連する表現型変化および機能変化を研究した。CFSEは細胞の細胞質成分に共有結合して均一な明るい蛍光をもたらし、これは、細胞分裂時に娘細胞に等しく分配される。この技術により、最大8サイクルまでの細胞分裂をフローサイトメトリーにより分離することが可能となる。ex vivoで増殖させたMPCに由来する細胞の単細胞懸濁液を1回洗浄し、1mlのPBS/0.1%のBSAに再懸濁させ、2μlの5mMのCFSE(最終10μM)を加えたのち、37℃で10分間、インキュベーションを行った。染色は、5倍体積の氷冷培地α-MEM-10を加えることにより消光し、さらに氷上で5分間インキュベーションした。細胞を培地中で3回洗浄し、その後、1×105の低密度で培養フラスコ(T-25)にプレーティングした。様々な時点で、トリプシン-EDTAによって細胞を剥離し、フローサイトメトリー解析によって解析した。
【0198】
逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)解析
初代MPC由来培養物をトリプシン/EDTA処理によって遊離させ、その後、上述のようにSTRO-1上清で染色した。洗浄後、細胞をフィコエリスリン(PE)コンジュゲート化ヤギ抗マウスIgM抗体(1/50; Southern Biotechnology Associates、アラバマ州Birmingham)と共にさらに20分間、氷上でインキュベーションを行った。FACStarPLUSフローサイトメーター(Becton Dickinson、カリフォルニア州Sunnyvale)を用いて細胞を分別した。RNAzolB抽出方法(Biotecx Lab. Inc.、テキサス州Houston)を用いて、製造業者の説明書に従い、全細胞RNAを、2×106個のSTRO-1briまたはSTRO-1dimのどちらかで分別した初代細胞、軟骨細胞ペレットおよび他の誘導培養物から調製し、溶解した。その後、各部分集団から単離したRNAを、First-strand cDNA合成キット(Pharmacia Biotech、スウェーデンUppsala)を用いて調製したcDNA合成の鋳型として用いた。様々な転写物の発現は、以前に記載されている標準プロトコル(Gronthos他、J. Bone and Min. Res. 14:48-57, 1999)を用いて、PCR増幅によって評価した。この試験で用いたプライマーセットを表2に示す。増幅後、各反応混合物を1.5%アガロースゲル電気泳動によって解析し、臭化エチジウム染色によって可視化した。RNAの完全性はGAPDHの発現によって評価した。
【0199】
in vitroでのCFU-Fの分化
本発明者らは、10%のFCS、100μMのL-アスコルビン酸-2-リン酸、10-7Mのデキサメタゾンおよび3mMの無機リン酸塩を添加したαMEM中で培養したヒトBM間質細胞がin vitroで石灰化骨基質の生成を誘導する条件を以前に報告している(Gronthos他、Blood. 84: 4164-4173, 1994)。ミネラル沈降物は陽性フォンコッサ染色によって同定した。脂肪生成は、0.5mMのメチルイソブチルメチルキサンチン、0.5μMのヒドロコルチゾン、および60μMのインドメタシンの存在下で、以前に記載のように誘導した(Gimble, J. M. Marrow stromal adipocytes. Marrow stromal cell culture. Owen M.およびBeresford J.N.編 Cambridge: Cambridge University Press UK. 第5章, ページ67-87, 1998)。オイルレッドO染色を用いて脂質を含有する脂肪細胞を同定した。軟骨形成の分化は、記載のように10ng/mlのTGF-β3で処理した凝集培養物において評価した(Pittenger他、Science, 284:143-147, 1999)。
【0200】
骨形成のin vivoアッセイ
2〜3継代目のSTRO-1bri/VCAM-1+細胞に由来する接着細胞をトリプシン処理し、40mgのヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウムセラミック粒子(Zimmer Corporation、インディアナ州Warsaw)と混合し、その後、以前に記載のようにして2カ月齢のSCIDマウスの背側表面の皮下ポケット内に移植した(Gronthos他、Proceedings of the National Academy of Sciences (USA), 97 (25): 13625-13630, 2000)。これらの手順は、認可された動物プロトコルの規定に従って行った(Adelaide University AEC# M/079/94)。6〜8週間後に埋込物を回収し、4%のパラホルムアルデヒドで2日間固定し、その後、さらに10日間、10%のEDTA中で脱灰化したのち、パラフィンに包埋した。組織学的解析には、埋込物の5μm切片を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した(Gronthos他、Proceedings of the National Academy of Sciences (USA), 97 (25): 13625-13630, 2000)。
【0201】
神経組織の発達 単層培養物を、神経芽細胞A培地(Invitrogen/GIBCO)+5%のウマ血清、1%のウシ胎児血清、L-グルタミン(2mM)、トランスフェリン(100μg/ml)、インスリン(2μg/ml)、0.5mMのレチノイン酸、脳由来神経栄養因子(10ng/ml)中で増殖させた。
【0202】
脂肪の発達 単層培養物を、10%のウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM)、0.5mMのメチルイソブチルキサンチン、0.5mMのヒドロコルチゾン、60mMのインドメチシンを添加したα改変イーグル培地(JRH)中で増殖させた。
【0203】
軟骨の発達: ポリプロピレンチューブ中のペレット培養物を、1%のウシ血清アルブミン、トランスフェリン(100μg/ml)、インスリン(2μg/ml)、L-グルタミン(2mM)、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM/ml)、デキサメタゾン(10-8M)、およびBMP-7(50ng/ml)、TGFβ3(10ng/ml)を添加したα改変イーグル培地中で増殖させた。
【0204】
骨格筋/心筋の発達 単層培養物を、10%のウシ胎児血清、L-グルタミン(2mM)、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM/ml)、および5-アザシトジン(5μM/ml)を添加したα改変イーグル培地中で増殖させた。
【0205】
上皮の発達 単層培養物を、ウシ下垂体抽出物(50μg/ml)、表皮成長因子(10ng/ml)、ヒドロコルチゾン(0.5μg/ml)、インスリン(5μg/ml)を添加したケラチノサイト基本培地(Clontenics)中で増殖させた。
【0206】
骨芽細胞、腱、靱帯または象牙芽細胞の発達 単層培養物を、10%のウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM)、デキサメタゾン(10-7M)およびBMP-2(50ng/ml)を添加したα改変イーグル培地中で増殖させた。
【0207】
周皮細胞または平滑筋細胞の発達 ex vivoで培養したMPC 20,000個/ウェルの培養物を、10%のウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、アスコルビン酸-2-リン酸(100μM)、200 Lのマトリゲルに懸濁させた血小板由来成長因子-BB(10ng/ml)を添加したα改変イーグル培地中、48ウェルプレート中で増殖させた。
【0208】
実施例1:Stro-1dim培養細胞はより強く分化決定されているが、一方、Stro-1bri細胞は分化決定がより弱い前駆細胞である
本発明者らは、表現型STRO-1bri/VCAM-1(CD106)+またはSTRO-1bri/MUC-18(CD146)+に基づいて分化多能性の間葉系前駆細胞(MPC)を成人ヒト骨髄単核細胞から精製できることを、以前に報告している(Gronthos他J. Cell Sci 116:1827-1835, 2003; ShiおよびGronthos JBMR 18(4): 696-704, 2003; PCT AU2004/000416号)。MPC集団は、in vitroの定義された培養条件下で容易に増殖させることができる(Gronthos他J. Cell Sci 116:1827-1835, 2003)。本発明者らは今回、mRNAレベルおよびタンパク質レベルの両方において、それぞれ逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)およびフローサイトメトリー解析を用いて、ex vivoで増殖させたMPC子孫を様々な細胞系統に関連したマーカーに基づいて特徴付けるデータを提示する。すべての新たに単離した骨髄MPCはSTRO-1を高レベルで発現するが(Stro-1bri)、細胞の大多数はex vivoでの増殖後にSTRO-1の発現をダウンレギュレーションする(Stro-1dim)(Gronthos他J. Cell Sci 116:1827-1835, 2003)。最初の一連の実験では、半定量的RT-PCR解析を用いて、STRO-1dimまたはSTRO-1bri集団によって発現され、蛍光活性化細胞分取によって単離した様々な系統に関連する遺伝子の遺伝子発現プロフィールを検査した(図1A)。ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHの発現を基準として、ImageQantソフトウェアを用いて、それぞれの細胞マーカーの相対的な遺伝子発現を評価した(図1B、C)。さらに、2色フローサイトメトリー解析を用いて、STRO-1抗体と組み合わせたより広範囲の細胞系統関連マーカーのその発現に基づいて、ex vivoで増殖させたMPCのタンパク質発現プロフィールを検査した(図2)。STRO-1dimおよびSTRO-1bri培養細胞の遺伝子ならびにタンパク質発現に基づいた一般的な表現型の要約を表3に示す。データは、ex vivoで増殖させたSTRO-1briMPCが、アンジオポエチン-1、VCAM-1、SDF-1、IL-1β、TNFα、およびRANKLを含めた血管周囲細胞に関連したマーカーが示差的により高い発現を示すことを示唆している。逆に、STRO-1dimでex vivoにて増殖させた細胞は、ネスチン、GFAP、オステリックス、オステオカルシン、SOX9、GATA-4、レプチン、および平滑筋ミオシン重鎖をより高いレベルで発現した。したがって、ex vivoで増殖させたSTRO-1briMPCは、軟骨芽細胞、骨芽細胞、脂肪芽細胞、上皮細胞、神経前駆細胞および心筋芽細胞を含むより強く分化決定された前駆細胞種に特徴的な表現型を示すSTRO-1dim細胞と比較して、より未熟かつ血管周囲様の表現型を示すようである。STRO-1dim培養細胞とSTRO-1bri培養細胞とのタンパク質および遺伝子発現プロフィールの比較を表3、4ならびに5にまとめる。新たに単離したMPCと、MPCのSTRO-1bri培養子孫(MEMP)とのマーカー発現の比較を表6に示す。
【0209】
実施例2:STRO-1dim培養細胞とSTRO-1bri培養細胞(MEMP)のin vitroで分化する能力の差異
本発明者らは次に、STRO-1dim培養細胞とSTRO-1bri培養細胞との遺伝子およびタンパク質発現プロフィールで観察された差異が、複数の細胞系統へと分化するその能力におけるいずれかの機能的差異を反映しているかどうかを検査した。ex vivoで増殖させたSTRO-1bri/CD146+由来細胞の培養物は、上述のようにそのSTRO-1抗原の発現に基づいたFACSによって単離した。次いで、FACSで単離したSTRO-1dimおよびSTRO-1bri培養細胞を、脂肪(図3)、骨(図4)および軟骨(図5)形成の誘導条件下で平板培養した。すべての場合で、STRO-1bri培養細胞は、STRO-1dim培養細胞と比較した場合に、特定した条件下で脂肪、骨および軟骨を形成する能力がより高いことが示された。これらの実験からのデータは、上記より得た遺伝子およびタンパク質の発現結果を裏付けており、このことは、STRO-1bri培養細胞が、適切な培養条件下では任意の特定された細胞系統に向かって分化するように促進され、またMPCと呼ばれうる、分化決定がより弱い前駆細胞を、高い割合で含む原始集団であること(図3、4、5)を実証している。逆に、STRO-1dim培養細胞は様々な系統を示す分化決定済細胞を高い割合で含み、TSCCと呼ばれ得る。Stro-1dim集団は、一連の様々な組織種に個別に分化決定された細胞を含む異質性のものであることが提案されている。
【0210】
実施例3:STRO-1bri細胞(MEMP)は組織特異的分化決定済細胞(TSCC)の増殖能力をin vitroおよびin vivoで改変することができる
異なる発生学的段階を示す2つの異なるex vivoで増殖させたMPC由来細胞集団の同定は、臨床治療のためのStro-lbri細胞に由来する全培養調製物の使用において顕著な意味をもつ。最初の研究は、原始的で分化決定がより弱いSTRO-1bri培養MPCが、より成熟し分化決定されたSTRO-1dim培養TSCCの増殖に与える影響を、検査するように設計した。実験は、漸増パーセンテージのFACS単離したSTRO-1bri培養MPCを、事前に蛍光タグCFSEで標識したFACS単離したSTRO-1dim培養TSCCと共に加えるように設計した。図6は、標識されたSTRO-1dim細胞の増殖が非標識STRO-1bri細胞の存在によって影響を受けることを示している。CFSEで標識した細胞が分裂する際、2つの娘細胞は親細胞の蛍光の半分を含む。したがって、娘細胞の異なる世代は比例的に漸減する蛍光強度を有する蛍光分布として表され、ここで、ヒストグラムの一番右の曲線(垂直線が交わっている)は最初のSTRO-1dim集団の点を表す(図6)。このデータにより、より高い割合のSTRO-1dim細胞が刺激されてその増殖速度を増加させることが実証され、その場合、5%を超えるSTRO-1bri細胞を加えた後により多くの細胞が少なくとも3〜4回分裂することが示された。したがって、未分画MPCに由来する細胞の持続可能かつ効率的なex vivo増殖を得るためには、培養物は5%を超えるSTRO-1bri細胞が集団内に存在することを必要とするということになる。
【0211】
より原始的な、分化決定がより弱いSTRO-1bri培養MPCもTSCCの増殖能力にin vivoで影響を与えることができるかどうかを決定するために、さらなる調査を行った。この問題を扱うために2つのin vivoモデルを用いた。第1のモデルでは、冠動脈左前下行枝(LAD)の結紮を受け、48時間後に生理食塩水、FACSで単離した培養したヒトSTRO-1dimおよびSTRO-1bri細胞ならびにSTRO-1枯渇させた骨髄単核細胞の新鮮な吸引液を注射した無胸腺ヌードラットを用いた(図7)。2週間後、動物を屠殺し、心臓組織を固定して2つのモノクローナル抗体で同時に染色した:1つ目はラットと選択的に反応性を有するがヒトのKi67抗原との反応性は有さず、2つ目は心筋細胞マーカーのトロポニンIと反応性を有する。増殖中のラット心筋細胞であることを示す二重染色細胞は、免疫ペルオキシダーゼ技術によって検出した。STRO-1briヒト細胞を受容する動物は、生理食塩水またはSTRO-1dimヒト細胞を受容する対照動物と比較して、増殖中のラット心筋細胞の数が2.5〜5倍多いことを示した(図7)。
【0212】
第2のモデルでは、VEGFを構成的に分泌するラット膠芽細胞腫腫瘍細胞を皮下注射した無胸腺ヌードラットを利用した。2週間後、ラットに生理食塩水、FACSで単離したヒトSTRO-1dimまたはSTRO-1briヒト細胞のいずれかの腫瘍内注射を与えた(図8)。1週間後、動物を屠殺し、腫瘍組織を固定して2つのモノクローナル抗体で同時に染色した:1つ目は平滑筋細胞によって発現されるα-平滑筋アクチン抗原と反応性を有し、2つ目は血管内皮細胞によって発現されるvWF抗原と反応性を有する。内皮および平滑筋をどちらも含む細動脈ならびに動脈の指標である二重染色構造が、免疫ペルオキシダーゼ技術によって検出された。STRO-1briヒト細胞を受ける動物は、生理食塩水またはSTRO-1dimヒト細胞を受ける対照動物と比較して、腫瘍内の細胞注射部位において3.5〜8倍高い数値の細動脈および動脈を示した(図8)。ヒト細胞を注射した位置から遠位の部位では差異が見られなかった。
【0213】
実施例4:STRO-1陽性細胞に由来する細胞培養物中のSTRO-1briMEMPの数の増加
STRO-1bri培養MEMPがより多くのTSCCの増殖を増大させる能力を実証したのち、本発明者ら次に、様々な成長因子についてのex vivoで増殖させたSTRO-1briMPCの割合を増加させる効果について検査した(図9)。STRO-1bri/CD146+単離骨髄細胞に由来する確立された培養物を、10%のFCS(A)、または、1×10-8Mの1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)(B)10ng/mlの血小板由来成長因子(PDGF)(C)、10ng/mlの腫瘍壊死因子-α(TNF-α)(D);10ng/mlのインターロイキン-1β(IL-1β)(E)および30ng/mlの間質由来因子1-α(SDF-1α)(F)を含めた様々な因子、を添加した基本培地中で5日間増殖させ、STRO-1 mAbで染色した。(図9)。これらの因子はSTRO-1briMPC数の数値をin vitroで大きく増強させることが見出された。
【0214】
これらの因子がex vivo増殖ののちにどのようにSTRO-1bri発現細胞の割合を増強させたかの機構を調査するために、方法に記載したようにして培養したStro-1briをCFSEで標識し、その後、様々な因子に曝した。図10は、方法に記載したようにしてIL-1βがCFSEで標識したMPCの増殖能を増加させた代表的な実験を示す。細胞を10ng/mlのIL-1βの存在下で5日間培養し、STRO-1 mAbで染色し、上述のように解析した。IL-1βは、明るい(bright)STRO-1+骨前駆細胞の数を増加させることによってMPCの分裂数を増強させることが見出された。1,25D、PDGF-BB、TNF-α、IL-1β、およびSDF-1αを用いてMPCを刺激した場合にも同様の結果が得られた。
【0215】
実施例5:Stro-1bri細胞の増殖の増大はStro-1dim細胞の数も増加させる
様々な因子の存在下でSTRO-1bri培養MEMPの割合を増強させる能力は、Stro-1dim細胞数の増加とも相関していた。たとえば、STRO-1bri/Alk Phos+細胞(図10B)は骨芽前細胞に一致する表現型を示す(Gronthos他、J Bone Miner Res. 14: 47-56, 1999; Pan他、Bone 34(1):112-23, 2004)。したがって、本発明者らは、この表現型の変化がさらに、誘導されたSTRO-1briMPCが骨形成細胞である骨芽細胞へと分化する能力の増大と相関していたかどうかを検査した。図11は、IL-1βはSTRO-1陽性MPCの増殖を刺激しただけでなく、骨誘導剤であるデキサメタゾンの存在下でその骨形成能も増強したことを示している。0.01ng/mlの濃度のIL-1βは、MPC数を、未処理の対照培養物の136.6±1.2%まで有意に増加させた(図11A)。0.1ng/mlを超える濃度でプラトー効果が得られた。方法に記載したように、ex vivoで増殖させたMPCの子孫を骨誘導条件の存在下で24ウェルプレートに播種した。細胞を10ng/mlの濃度のIL-1βでも処理し、培養物にIL-1βを含む新鮮な培地を週1回「給餌した」。絶対細胞外基質カルシウム濃度を方法に従って決定した。結果により、未処理の細胞と比較して(図11B)IL-1βで処理した細胞においてミネラル沈降が増加していたことが示された(図11C)。4週間目および6週間目のどちらにおいても、IL-1βで処理した細胞中のカルシウムレベルは未処理の細胞のそれよりも有意に高かった。
【0216】
図12に示すデータは、IL-1βが増殖およびSTRO-1briMPCを刺激し、その結果、骨前駆細胞の増殖がもたらされ、一方、二次分化剤であるデキサメタゾンを後に加えることにより、アルカリホスファターゼ(ALP)発現およびSTRO-1発現の喪失が有効に誘導されて機能的骨芽細胞の数がin vitroで増強されたことを示唆している。様々な因子が増加してSTRO-1briMPC集団を調節することができるという概念をin vivoでさらに試験した。Stro-1briMPCからex vivoで増殖させた準コンフルエントな二次培養物を、ex vivoで増殖させたSTRO-1briMPCの数を増強させることが知られているさらなる因子であるPDGF-BB(10ng/ml)の存在下でまたは不在下で培養した(図9C参照)。次いで、方法に記載したように、PDGFで誘導した細胞調製物および誘導していない細胞調製物を、免疫無防備状態のマウス内に、ヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム粒子(HA/TCP)と共に同時移植した。8週間後、収集した移植片の検査により、Scion Imagingによって定量することで(図13A)、PDGF-BBで前処理した培養物(図13C)は、未処理の対照培養物(図13B)と比較して有意に異所性の高い骨形成を示すことが示された。
【0217】
実施例6:ALPの検出可能な発現を欠く分化決定されていないSTRO-1briMPCは、STRO-1で選択したBM由来のMPCのex vivo培養物中に保持される
方法に記載したようにヒトBMの吸引液を調製し、mAb STRO-1を用いたMACS選択によってMPCを回収した。間接免疫蛍光法およびフローサイトメトリーを用いて、MACS陽性画分(初期培養物すなわちP0培養物を確立するために用いる細胞)を、STRO-1抗原を高レベルで発現する細胞(STRO-1bright)の割合について評価したところ、これは全集団の22.4%であることが判明した(データ示さず)。その後、これらの細胞を1×104個の細胞/cm2でプレーティングし、以前に記載のように80〜90%のコンフルエンスに達するまで血清充満培地中で培養した(Gronthos他、Journal of Cell Science 116: 1827-1835, 2003)。各継代において、方法に記載のように細胞を剥離して1×104個の細胞/cm2で再播種した。各継代からの細胞試料を、そのSTRO-1およびTSCCマーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP)の発現について染色した。図14に示すように、4継代後、STRO-1を高レベルで発現する(かつTSSCマーカーであるALPを感知可能なレベルで欠いている)細胞の割合は12.7%まで下がったが、これらの培養物はなお、相当数のSTRO-1briALP- MEMPを含んでいた。
【表1】

【0218】
【表2】

【0219】
【表3】

【0220】
【表4】

【0221】
【表5】

【0222】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
MPCまたはその子孫と、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される刺激因子とを含む組成物。
【請求項2】
TSCCをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
TSCCもしくはMPCまたはその両方の分化を1つの特定組織種に偏らせる因子をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組織種が心筋、平滑筋、血管組織、骨組織、軟骨組織、神経組織、脂肪組織、上皮組織および内皮組織からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
全細胞集団の少なくとも10%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有する分化多能性増殖間葉系前駆細胞子孫(MEMP)である濃縮細胞集団。
【請求項6】
全細胞集団の少なくとも20%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項5に記載の濃縮細胞集団。
【請求項7】
全細胞集団の少なくとも40%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項5に記載の濃縮細胞集団。
【請求項8】
全細胞集団の少なくとも50%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項5に記載の濃縮細胞集団。
【請求項9】
全細胞集団の少なくとも70%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項5に記載の濃縮細胞集団。
【請求項10】
全細胞集団の少なくとも90%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項5に記載の濃縮細胞集団。
【請求項11】
前記MEMPがマーカーKi67、CD44および/もしくはCD49c/CD29、VLA-3、α3β1のうちの1つまたは複数に対しても陽性である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の濃縮集団。
【請求項12】
前記MEMPがTERT活性を示さない、かつ/または前記マーカーCD18に対して陰性である、請求項5〜11のいずれか一項に記載の濃縮集団。
【請求項13】
全細胞集団が組織特異的分化決定済細胞(TSCC)をさらに含む、請求項5〜12のいずれか一項に記載の濃縮集団。
【請求項14】
前記TSCCが、骨、神経組織、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、上皮組織、骨芽細胞、腱、靱帯、象牙芽細胞、周皮細胞、平滑筋、神経膠組織、血管組織、内皮組織、造血組織、肝臓組織および腎臓組織からなる群から選択される組織または細胞種の系統へと分化決定されている、請求項13に記載の濃縮細胞集団。
【請求項15】
培養したおよび/または増殖させた細胞集団を含む組成物であって、該全細胞集団の少なくとも1%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPであり、かつ該組成物が主に1つの組織種のTSCCをさらに含む、前記組成物。
【請求項16】
全細胞集団の少なくとも5%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
全細胞集団の少なくとも10%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
全細胞集団の少なくとも20%が、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPである、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記TSCCが、骨、神経組織、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、上皮組織、骨芽細胞、腱、靱帯、象牙芽細胞、周皮細胞、平滑筋、神経膠組織、血管組織、内皮組織、造血組織、肝臓組織および腎臓組織からなる群から選択される組織または細胞種の系統へと分化決定されている、請求項15〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記TSCCが造血細胞である、請求項15〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記MEMPおよびTSCCがどちらも自己起源由来である、請求項15〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記MEMPおよびTSCCがどちらも同種起源由来である、請求項15〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記MEMPおよびTSCCが、一方が自己起源であり他方が同種起源である異なる起源由来である、請求項15〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記集団が少なくとも5×106個の細胞を含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記集団が少なくとも107個の細胞を含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記集団が少なくとも109個の細胞を含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
TSCCを表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPと共培養することによって、またはTSCCを表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMP由来の培養上清、細胞溶解液もしくは画分と接触させることによって、TSCCの増殖を刺激する方法。
【請求項28】
前記MEMPが、TSCCとの共培養条件において1%を超えるレベルで存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記MEMPが、TSCCとの共培養条件において5%を超えるレベルで存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記MEMPが、TSCCとの共培養条件において10%を超えるレベルで存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記MEMPが、TSCCとの共培養条件において20%を超えるレベルで存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記MEMPが、TSCCとの共培養条件において約40%を超えるレベルで存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
TSCCをin vitroで培養する、請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記MEMPとの、または前記MEMP由来の培養上清、細胞溶解液もしくは画分とのTSCCの共培養が、レシピエントの外部で行われ、その共培養したTSCCがin vivoで前記レシピエントの組織部位に送達される、請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
TSCCがレシピエントにとって内在性であり、かつ組織部位にin situで局在し、さらに、TSCCの前記共培養が、MEMPまたはMEMP由来の培養上清、細胞溶解液もしくは画分の前記組織部位への送達の後にin vivoで行われる、請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
TSCCが、骨、神経組織、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、上皮組織、骨芽細胞、腱、靱帯、象牙芽細胞、周皮細胞、平滑筋、神経膠組織、血管組織、内皮組織、造血組織、肝臓組織および腎臓組織からなる群から選択される組織種へと分化決定されている、請求項27〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
TSCCが造血細胞である、請求項27〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
MPCまたはその子孫を、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される1つまたは複数の刺激因子の存在下で培養することを含む、表現型STRO-1bri、ALP-を有するMEMPを濃縮する方法。
【請求項39】
前記MPCまたはその子孫を2つまたはそれ以上の刺激因子の存在下で培養する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記MPCまたはその子孫がex vivoで増殖させたものである、請求項38または請求項39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記MPCが、単離したMPCの未増殖集団である、請求項38〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記刺激が、非刺激の対照と比較して10%を超えて表現型STRO-1bri、ALP-を有するMPC子孫の増加をもたらす、請求項38〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記刺激が、非刺激の対照と比較して50%を超えて表現型STRO-1bri、ALP-を有するMPC子孫の増加をもたらす、請求項38〜41に記載の方法。
【請求項44】
前記MPCが、骨髄、歯髄細胞、脂肪組織および皮膚を含む群からなる任意の1つもしくは複数の組織由来、またはおそらくより広範には脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靱帯、骨髄、腱および骨格筋由来である、請求項38〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記MPCまたはその子孫を、1つまたは複数の刺激因子の存在下、in vivoで培養する、請求項38〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記刺激因子を、MPCまたはその子孫を含む細胞集団と組み合わせて組織部位に投与する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
外来TSCCを投与することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
組織特異的分化決定済細胞集団の生成方法であって、
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)からなる群から選択される1つまたは複数の刺激因子の存在下で、MPCまたはその子孫とTSCCとを含む細胞集団を培養すること、ならびに
その培養した集団を、MPCまたはTSCCの分化を特定組織種に偏らせる条件に供すること、
を含む方法。
【請求項49】
前記組織種が心筋、平滑筋、血管組織、骨組織、軟骨組織、神経組織、脂肪組織、上皮組織および内皮組織からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
被験体に請求項5〜14のいずれか一項に記載の濃縮集団を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法。
【請求項51】
被験体に請求項15〜26のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、被験体において組織を生成または修復する方法。
【請求項52】
前記組織が心筋、平滑筋、血管組織、骨組織、軟骨組織、神経組織、脂肪組織、上皮組織および内皮組織からなる群から選択される、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項53】
表現型STRO-1bri、ALP-を有する、単離され遺伝的に改変されたMEMP。
【請求項54】
異種タンパク質を発現するよう遺伝的に改変されている、請求項53に記載の単離され遺伝的に改変されたMEMP。
【請求項55】
前記異種タンパク質が1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)および間質由来因子1α(SDF-1α)、デキサメタゾンなどの合成糖質コルチコイド、またはBMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-6もしくはBMP-7などの骨形態形成タンパク質からなる群から選択される、請求項54に記載の単離され遺伝的に改変されたMEMP。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−27394(P2013−27394A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179934(P2012−179934)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2007−532724(P2007−532724)の分割
【原出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507092274)メソブラスト,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】