説明

分子スペーサーアーム、製造方法、ならびに分子もしくは生体分子を有する分析チップ上での利用

本発明は、分子スペーサーアーム、固体支持体への分子単位の固定方法、ならびに分子もしくは生体分子を有する分析チップ上での該スペーサーアームの利用に関する。該スペーサーアームは式(I)であり、


式中:
、X=C、O、S、Se、N、P、As;
1−3=C、O、N、S、Se、P、As、もしくは、アリール、C1−6位でのヘテロアリール;
1−2=C−R、Si−R、N、P、およびAs、ここでR=C1−6位でのアルキル;
1−3=H、もしくは、アルキル、アリール、C1−6位でのヘテロアリール;
[Gp]=N<の保護基;
n、mおよびn=1以上の整数;
[Sup]=H、もしくは、シラン化固体支持体;
[mo]=H、もしくは、該スペーサーアームの仲介により共有結合的に該シラン化固体支持体上に固定されることを目的とされる分子単位
である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子スペーサーアーム、固体支持体に分子単位を繋ぐ該スペーサーアームの調製方法、ならびに、分子もしくは生体分子を有する分析チップ上でのこのスペーサーアームの利用(使用)に関する。
【0002】
以降の開示においては、角括弧[]の間の番号は、本記載末尾の文献リストにある。
【0003】
本発明により目的とされる分析チップは、より具体的には、しかし排除的にではなく、生物学的分析に用いられるバイオチップおよびミクロシステムである。これらは、3種のカテゴリー:
DNAチップ
チップ上ラボ<<Lab−On−Chip>>
細胞チップ<<Cell−On−Chip>>
に帰される。
【0004】
現在、新しいタイプのバイオチップ、糖チップ<<Glycochip>>が、至急求められている。このバイオチップは、天然もしくは合成基質の搭載の結果、または、オリゴ糖配列(オリゴ糖鎖)の違いに関する固相(支持された)マルチパラレル合成(コンビナトリアル・ケミストリー)の結果であり、オリゴ糖鎖は、内因性糖共役体の所定の大きなファミリーの分子の多様性の代表であり、例えば、ヘパラン硫酸である。本発明は特に、この新しいタイプのバイオチップによく適しており、つまり、これらの分子の、バイオチップ支持体への、化学的プロセスによる固定化を可能にし、先行技術と比較して有効であり、単純化されている。
【0005】
これらの分子もしくは生体分子は<<分子単位>>として呼ばれ、本発明のスペーサーアームの仲介により、固体支持体に固定され得、例えば、核酸(DNAもしくはRNA)、糖、糖蛋白、糖脂質等であり得る。更に他の例も、以下に与えられる。
【背景技術】
【0006】
バイオチップの大多数においては、スペーサーは、固体支持体[2]と、例えば、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド[3]、もしくはオリゴ糖[4]プローブとの間の結合を与える。このスペーサーは、一時に(同時に)複数の役割、繋いでいる分子、空間的な距離をあけるアーム、該プローブの開裂部位等を演じることができる。
【0007】
該プローブによる標的の認識部位との該支持体の接近は実際、該プローブ/標的認識を障害、もしくは防ぐことさえあり、これゆえ、該バイオチップの分析の緻密さおよび質を害する。このことは特に、該プローブが小さい場合、例えば、糖チップの場合、当てはまる。
【0008】
以下の原則式が、該スペーサーの形成次いで開裂の一般的なスキームを指し示し、式中、X’が固体支持体を表し、X”が分子単位を表す。
【0009】
【化1】

【0010】
数多くのスペーサーアームが今日までに実現されているが、これらはかなりの数の未解決の不便さを持っている。実際、これらの構造がこれらの該固体支持体への固定化に利用可能な化学プロセスの厳しい限界を暗喩するか、および/または、これらが容易に全タイプの生体分子に取り付かないようにするか、および/または、これらがとても化学的に安定であるので、一旦該固体支持体に固定されれば、元の生体分子に戻ってしまうこれらの開裂が容易に起き得ず、この最終体もしくは該支持体の劣化に至り得る。
【0011】
米国特許第6,579,725号明細書(文献[4])は、オリゴ糖を固定しているスペーサーアームを記載する。このスペーサーアームは、より先の先行技術のものよりも効果的であるが、同時に前記問題全てを解決することを可能にするものではない。その長さ、その機能、その反応性、およびその障害が常に、希望どおりに生じさせられないことも、特記できる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は精確に、先行技術の前記問題点を一気に解決することを可能にし、これは、以下の式(I)の分子スペーサーアームを提供することにある。
【0013】
【化2】

【0014】
式中、置換基X、X、X、X、X、Z、Z、R、R、およびRは:
およびXが各々他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Se、P、As、およびSiの中から選択され;
、X、およびXは各々他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Se、P、As、Si、および、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され、各々例えば2〜20炭素原子を含み;
およびZは各々他の置換基とは独立に、C−R、Si−R、C、N、P、およびAsの中から選択され、ここでRはアルキルであり、例えば1〜40炭素原子を含み;
、R、およびRは各々他の置換基とは独立に、H、アルキル、アリール、およびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜20炭素原子を含み;
[Gp]は2級アミン−N−の保護基、もしくは、該スペーサーアームの機能に参画する分子を表し;
式中:
n、m、およびpは整数であり、各々1以上であり、お互い独立に、好ましくは1≦n、m、およびp≦40となるように選択され;
式中:
[Sup]は、H、もしくは、該スペーサーアームが共有結合的に固定され得るシラン化固体支持体を表し;
式中:
[mo]は、H、もしくは、該スペーサーアームの仲介により共有結合的に該シラン化固体支持体上に固定されることを目的とされる分子単位を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
勿論、X〜Xは、本発明のスペーサーアーム骨格を形成している原子であり、基であって、例えば、H、O、アルキル、アリール、およびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜20炭素原子を含み、これらの原子に固定されることが可能である。
【0016】
このスペーサーアーム(I)は一般的に、分子単位[mo]を固体支持体[Sup]へと固定するのに利用可能であり、例えば、バイオチップ、もしくはより有利には糖チップを製造し、ここで[mo]は一般的に、該バイオチップを機能させる分子である。
【0017】
本発明によれば、好ましくは、該スペーサーアーム(I)においては上で定義されたとおりであり:
およびXは各々他の置換基とは独立に、C、O、N、S、およびSiの中から選択され得;および/または
、X、およびXは各々他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Si、および、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され得、各々例えば2〜10炭素原子を含み;および/または
およびZは各々他の置換基とは独立に、C、N、C−R、およびSi−Rの中から選択され得、ここでRはアルキルであり、1〜30炭素原子、好ましくは1〜20炭素原子、好ましくは1〜10炭素原子を含み;および/または
、R、およびRは各々他の置換基とは独立に、H、アルキル、アリール、およびヘテロアリールの中から選択され得、各々2〜10炭素原子を含む。
【0018】
本発明によれば、n、m、およびpもお互い独立に、1≦n、m、およびp≦30、好ましくは1≦n、m、およびp≦20、更に好ましくは1≦n、m、およびp≦10となるよう選択され得る。
【0019】
例えとして、本発明によれば、スペーサーアーム(I)においては上で定義されたとおりであり、XおよびXがCであり、X、X、およびXがCであり、ZおよびZがCであり、R、R、およびRがHである。
【0020】
本発明によれば、保護基[Gp]は、2級アミンの当業者に知られた保護基のいずれか1種であり得る。これは好ましくは、該スペーサーアームの合成の化学に耐えるように選択され、その固定化は該支持体上であり、その固定化は分子単位[mo]とのものである。これは例えば、Ac、ベンジル(Bn)、C〜C40アリール基(R)、Troc、Z、TCA、BOC、Fmoc等の中から選択され得、スペーサーアーム(I)の2級アミンと共に、以下の化学基のうちの1種を形成する(>Nとは、保護された2級アミンを指し示す、Ph=フェニル、Me=メチル)。
>N−Ac:アセタミド(>N−CO−Me)
>N−Bn:ベンジルアミド
>N−R:C〜C40アリールアミド
>N−Troc:2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(>N−C(O)OCHCCl
>N−Z:ベンジルカルバメート(>N−C(O)OCHPh)
>N−TCA:トリクロロアセトアミデート(>N−CO−CCl
>N−BOC:t−ブチルカルバメート(>N−C(O)OCMe
>N−Fmoc:9−フルオレニルメチルカルバメート
【0021】
【化3】

【0022】
好ましくは、本発明によれば、該保護基は、Ac、BOC、もしくはC〜C40アリール基の中から選択される。
【0023】
本発明によれば、分子[Gp]は、該スペーサーアームの機能に参画しており、例えば、C〜C40、例えばC〜C30、例えばC〜C20、もしくはC〜C10のアルキルもしくはアリールであり得る。これは如何なる置換基でもあり得、必ずしも保護的でなく、使用時に該スペーサーアームの機能に参画できる。これは例えば、疎水性基であり得、該スペーサーアームを、固定すべき分子[mo]および/または該スペーサーアーム使用中のその役割に対して、より特異的および/またはより選択的にすることを可能にし、例えば、糖チップもしくは蛋白チップ上においてである。
【0024】
本発明によれば、該固体支持体は例えば、シラン化され得る全ての支持体たり得る。これは例えば、プレート、ビーズ、もしくはキャピラリーたり得る。これは例えば、シリカ、ガラス、もしくは、当業者に知られた他の素材主体たり得、例えば、バイオチップの支持体もしくは表面を製造するためである。該支持体のシラン化は、当業者に知られた全ての方法により、実施(実現)され得る。
【0025】
本発明によれば、分子単位[mo]は、天然もしくは合成分子であり得る。これは例えば分析面での理由により、支持体に固定されねばならない全ての分子であり得る。これは小分子であり得、例えば、約180〜400,000g/モルの分子量を持っている。これが糖である場合、[mo]は例えば、180〜10,000g/モルの分子量を持ち得る。これが蛋白もしくはペプチドである場合、[mo]は例えば、5,500〜400,000g/モル、一般的には5,500〜220,000g/モルの分子量を持ち得る(殆どの蛋白の分子量である)。
【0026】
この分子単位[mo]は例えば、単糖、オリゴ糖、多糖、糖共役体、ペプチド、蛋白、
酵素、糖蛋白、脂質、脂肪酸、糖脂質、糖脂質蛋白等の中から選択され得る。
【0027】
単糖の中では、グルコース、グルコサミン、アジドグルコサミン、D−リボース、D
−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース
、2−デオキシ−D−リボース、L−フコース、N−アセチル(Ac)−D−グルコサミ
ン、N−アセチル(Ac)−D−ガラクトサミン、N−アセチル(Ac)−ノイラミン酸
、D−グルクロン酸、L−イズロン酸、D−ソルビトール、D−マンニトール等を引用で
きる。
【0028】
オリゴ糖の中では、サッカロース、ラクトース、ヘパラン硫酸断片(分解物)、ヘパリ
ンの糖断片、コンドロイチン、デルマタン硫酸、ルイス抗原等を引用できる。
【0029】
多糖の中では、ヘパラン硫酸の、ヘパリンの、コンドロイチンの糖部分、デルマタン硫酸等を引用できる。
【0030】
糖共役体の中では、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン、デルマタン硫酸等を引用できる。
【0031】
ペプチドおよび蛋白の中では、ケモカイン、サイトカイン、インシュリン、フィブリノーゲン、ミオシン、ヘモグロビン等を引用できる。
【0032】
酵素の中では、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、分解酵素(リアーゼ)、異性化酵素、連結酵素(リガーゼ)を引用できる。
【0033】
糖蛋白の中では、免疫(免役、イムノ)グロブリンG、ヒアルロン酸等を引用できる。
【0034】
脂質の中では、加水分解可能な脂質:
脂肪(グリセロール+3脂肪酸)、ワックス(脂肪酸+脂肪アルコール)、ステロールエステル(ステロール+脂肪酸)、燐脂質(ホスファチジル酸(グリセロール、2脂肪酸+ホスフェート))、ホスファリド(グリセロール+2脂肪酸+ホスフェート)、スフィンゴ脂質(スフィンゴシン+脂肪酸+ホスフェート+アミノアルコール);
加水分解可能でない脂質:
アルカン、カロテノイド、ステロール(コレステロール)、ステロイド(エストラジオール、テストステロン)、酸(脂肪酸)、エイコサノイド
等を引用できる。
【0035】
脂肪酸の中では、アラキドン酸、リノレイン酸、リノレン酸、ラウリル酸、ネルボニック(nervonique)酸、パルミチン酸、オレイン酸等を引用できる。
【0036】
糖脂質の中では、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ガングリオシド、セレブロシド(脂肪酸+スフィンゴシン+1糖)、ガングリオシド(脂肪酸+スフィンゴシン+数多くの糖、ノイラミン酸)等を引用できる。
【0037】
糖脂質蛋白の中では、MPB83TM、GLP19TM、およびIRBPTMを引用できる。
【0038】
本発明は、分子単位[mo]の、固体支持体への、スペーサーアーム、有利には本発明のものの仲介による、共有結合的な固定方法にも関する。
【0039】
本方法は、以下のステップを含み得る。
(i)式:
【0040】
【化4】

【0041】
の化合物の、ニトリル官能基の還元
(ii)式:
【0042】
【化5】

【0043】
の生体分子のアリル官能基からの、アルデヒド官能基の形成
(iii)形成される2級アミンの保護を伴うこの還元されたニトリル官能基と、該アルデヒド官能基との間での還元的アミノ化であって、該支持体へのその固定化のために活性化された生体分子を得、この活性化された生体分子は式:
【0044】
【化6】

【0045】
である。
(iv)固体支持体のシラン化、および、このシラン化された固体支持体の官能基化。式:
【0046】
【化7】

【0047】
の分子を用いる。
(v)該支持体を官能基化させる分子と、この活性化された生体分子との間でのメタセシス化反応であって、本発明によるスペーサーアームを形成させ、該生体分子と該支持体とを繋ぐ。
【0048】
この方法において、置換基X、X、X、X、X、Z、Z、R、R、R、および[mo]は、上に定義されたとおりである。
【0049】
本発明によれば、式:
【0050】
【化8】

【0051】
の化合物は例えば、アリル化糖であり得、[mo]が該糖である。このアリル化糖は、当業者に知られた如何なるプロセスによっても得られ、該糖を変化させない。例えば、文献[5]に記載のプロセスであり得る。
【0052】
本発明によれば、該2級アミンも、保護基により保護され得る。このため、本発明のプロセスは、保護基[Gp]の、該2級アミン官能基への固定化ステップも含み得る。該保護基は、上に定義されたとおりであり得る。これの該2級アミンへの固定化は、当業者に知られた如何なる化学プロセスによっても実施され得、例えば、文献[7]に記載のプロセスの1つに従う。
【0053】
本発明のこのプロセスの種々のステップを実施に移すには、当業者に知られた有機化学の古典的プロセスが利用され得る。このため、例として、ニトリル還元ステップに関しては、文献[6]に記載のプロセスが利用され得る。生体分子のアリル官能基からのアルデヒド官能基の形成ステップに関しては、文献[5]に記載のオゾン分解プロセスが利用され得る。還元的アミノ化、次いで、その還元されたニトリルと該アルデヒド官能基との間でのその窒素の保護ステップに関しては、活性化された生体分子を得るために、文献[7]に記載のプロセスが使用され得る。該固体支持体のシラン化およびこれの官能基化ステップに関しては、文献[8]に記載のプロセスが利用され得る。該メタセシス反応に関しては、文献[10]に記載のプロセスが利用され得る。
【0054】
本発明のスペーサーアームはこれゆえ、結合されている3つの部分から創出され得、一方では、還元的アミノ化、次いで該分子単位側での窒素の保護により、もう一方では、Grubbsのメタセシス反応による。Grubbsの該メタセシスは例えば、文献[11]に記載される。
【0055】
該炭素鎖中に挿入される窒素原子は、複数の利点を有する。2本の鎖の取り付けの間に得られ、2級アミンの形で見出され、種々の方式で保護でき、該スペーサーに特異的な反応性を与える。この機能は場合毎に、種々の保護基、もしくは、該スペーサーアームの機能に参画する分子により、有利に調節可能であり、該スペーサーアームの親水性もしくは疎水性を変動させて制御し、その立体障害を制御することを可能にする。該スペーサーアームのこの部分の求電子性/求核性または酸性/塩基性を調節することも、有利に可能である。該窒素原子の保護基の性質はこれゆえ好ましくは、反応、相互作用、または、特徴付けもしくは分析の操作の条件を最適化していく狙いを持って、該スペーサーの開裂前もしくは後に選ばれ、該分子単位を解放する。例えば、アセチル基を用いると、その小さな大きさのために、かすかな立体障害が得られ、これは、該スペーサーアームの利用の間の、例えば分子チップ上での分子認識の最適化を可能にする。例えばまた、ブチル基を用いると、該スペーサーのこの部分を疎水性にする疎水性炭素置換基が得られ、これは例えば、該スペーサーアームの親水性部分([mo])に対して、より特異的、より選択的な親水性蛋白の認識を可能にする。
【0056】
本発明はこれゆえ、調節可能なスペーサーアーム(もしくは<<スペーサー>>)を提供し、その種々の構造が、該アームの反応性、つまり、これの化学的および/または電気化学的および/または立体的挙動に、影響を与える。
【0057】
本発明は、簡単かつ効果的に実施可能であり、該スペーサーは有利に、以下の3つの特性を有し、特に、糖チップ製造のために実施される場合である。
【0058】
−まず、該スペーサーは上手くアームの機能を発揮し、その糖鎖を、この鎖を支持する固体表面から離しておく。
【0059】
−次に、該スペーサーは、開裂可能なアームである。容易にかつ狙ったように、該スペーサーを開裂させることが可能であり、該糖を、該支持相から単離する。
【0060】
−最後に、該スペーサーは、そのかすかな化学的官能基割合(程度)のために、該糖単位上で、例えば糖チップの利用の間に実施される数多くの反応条件において、不活性なままである。
【0061】
前記利点の他、本発明者らは、本発明の種々の実験を実施に移す間に、以下のことに気付いた。
【0062】
−該スペーサーアームが、該固体支持体の存在による立体(障害)の問題を克服することを可能にする。良好な立体的な条件において、得られた糖チップ上での蛋白/糖相互作用を研究することを可能にする。該蛋白の該糖リガンドに対する接近の間に、その将来の潜在的相互作用に害であった先行技術において提示された立体障害の問題を、解決させる。
【0063】
−該アームの長さが調節可能である。異なる大きさの相同官能基の賢明な選択が、特に出発反応試薬の選択を通して、異なるサイズのスペーサーの調製を可能にする。
【0064】
−該糖鎖と該固体支持体との間の距離を選択することだけが可能なだけでなく、その保護基による該スペーサーのこの部分の親水性もしくは疎水性を制御することも可能である。
【0065】
−該スペーサーの化学構造の簡潔さはそれに、数多くの有機反応の間の化学的非反応性を付与し、これは、その製造、および、該糖チップの利用の場合である。
【0066】
−該スペーサーは、その相互作用化学官能基がないために、他の分子との潜在的相互作用に影響せず、これは、このシステムが糖チップ、もしくはより一般的に小分子チップの関係において利用される場合である。
【0067】
−該スペーサーは精確におよび選択的に、そのC=C2重結合レベルで、生体分子、例えばオリゴ糖を変化させない反応条件において、開裂可能である。実際、例えば、オゾン分解(O)、Grubbsのメタセシス(Grubbs触媒)、もしくは、ジオールのオスミウム酸化開裂(OsO、NaIO)後のジヒドロキシル化、および、当業者に知られる温和な他の化学反応が便利に、該開裂に利用され得る。
【0068】
−該スペーサーが容易に開裂でき、この開裂が該糖構造を修飾しないとの事実が、単離オリゴ糖鎖の構造およびコンホメーション解析の制御を実施することを可能にする。該糖合成の間に該固体支持体に取り付けられた(<<ロード>>)糖プローブ量を計算することも、容易である。
【0069】
このスペーサーの利点の1つは、文献[1]に記載のものと比較すると(例えば、オクテンジオール)、その長さ、その官能基、その反応性、およびその立体障害の適応性にあり、希望どおりに生成され得る。
【0070】
本発明者は同様に、本発明のスペーサーが、非常に大きな範囲の糖、オリゴ糖、もしくは多糖との結合を可能にすることを特記し、これらは非常にしばしば予め合成され、これらの還元部分のアノマー位においてアリル基により保護される。1ステップで、これらの糖単位は実際変換され得、該スペーサー上で直接結合する。これゆえ、このスペーサーは有利に、数多くの糖分子と相容れ、例えば、文献[7]、[12]、および[13]において既に合成され、記載されている。
【0071】
本発明は例えば糖チップ、例えば、特定蛋白を認識しているオリゴ糖配列のスクリーニングにより同定にかかるチップの製造に利用され得、例えば、文献[1]に記載の技術に従う。本願では、本発明が該スクリーニングプロセスを最適化し、これゆえより効果的かつより速く、治療もしくはバイオテクノロジー目的の分子を持つことを可能にする。この能力は、本発明のその他の応用にも存在していると期待できる。
【0072】
本発明はバイオチップ上でも利用され得、ここではスペーサーアームが、固体支持体と、オリゴペプチドプローブ、オリゴヌクレオチドプローブ、および/またはオリゴ糖プローブとの間の結合を形成しなくてはならない。特に、本発明のスペーサーアームは、文献[3]に記載のもののようなオリゴペプチドチップ、もしくは、文献[4]に記載のもののようなオリゴ糖チップ上において、利用され得る。
【0073】
他の特徴および利点も、例示目的で与えられる以降の実施例を読んでいくと、当業者には明らかとなる。
【実施例】
【0074】
1)例として、14炭素鎖に対応している長さのスペーサーの合成が、以下に開示され、当業者にアクセス可能なものの中から選ばれる操作プロトコールを利用している。太字の参照番号は、以下の反応スキームに関する。
選ばれる化合物は:
グルコースタイプ(1、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc):1位アリル化糖)の単糖(1)。分子単位[mo]を構成している。
4−ペンテンニトリル(3)。還元すべきニトリル官能基を持っている。
7−オクテニルトリメトキシシラン(8)。該支持体の官能基化用。
である。該固体支持体は、シリカ主体のControlled Pore GlassTM(CPG)ビーズにより、構成される。
以下の反応スキームは、オリゴ糖(1)の支持体(6)への固定化に関するこれらの実施例において企画される化学反応を一緒に纏め、本発明によるスペーサーアームによる。これらの化学反応は、文字A〜Fにより指し示される。該スペーサーアームの開裂反応の1例は、以下の実施例Gに提示される。
この反応スキーム上で、糖の上で指し示される基<<R>>は、その表現を簡素化するために、意図的に分類されていない。これらの基<<R>>は置換基を表し、同一でも異なっていてもよく、該糖を形成している環上の種々の位置にあってよく、一般的に糖において見られる置換基であり得る。ここに提示される特定例において、利用される糖はN−アセチルグルコサミンであり、当業者は、化合物(1)、(2)、(5)、および(10)の種々の位置における置換基<<R>>を同定するのに、全く困難ではない。
【0075】
実施例A:本オリゴ糖の活性化(反応A)
オゾン分解反応が、この実施例において利用(使用)される。使用されるプロセスは、文献[5]に記載される。
アノマー位においてアリル化された糖(1、0.93ミリモル)が、ジクロロメタンとメタノールとの1/1混合物(混合溶媒)5mLに溶解され、溶媒が冷浴中、温度−78℃(アセトン+ドライアイス)に浸される。オゾンOが次いで、該溶液中でバブリングされなくてはならず、その青色(過剰なオゾンの特徴)の出現から直ぐ、該オゾンがアルゴン(もしくは窒素)で置き換えられる。反応が完結したら、ジメチルスルフィド(MeS、4.65ミリモル、5当量)の添加により、還元していくようにされる。ジメチルスルホキシド(DMSO)が次いで、形成される。溶媒(反応)がゆっくり、常温まで一夜に亘り戻り、次いで真空下にエバポレーションされる。有機物の残渣が、ジエチルエーテル(EtO)を用いて回収され、水洗される。有機相が真空下にエバポレーションされ、次いでトルエン共沸される。粗生成物が、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製される(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル=8/2)。
こうして、アルデヒド(2)が、収率75%で得られる。
【0076】
実施例B:ニトリルの還元(反応B)
使用される化学プロセスは、文献[6]に記載される。
水素化リチウムアルミニウム(LiAlH、381mg、10.03ミリモル、1当量)が、蒸留したてのジエチルエーテル(20mL)中に導入される。
4−ペンテンニトリル(3、814mg、1mL、10.03ミリモル)がゆっくり、反応溶媒に加えられ、窒素雰囲気下に、温度0℃において(氷浴)、攪拌される。攪拌は約20分間、常温において継続されなくてはならない。
次に、水(0.4mL)、次いで20%水酸化ナトリウム水溶液(0.3mL)、そして仕上げにもう1つ別量の水(1.4mL)が、加えられる。これらの添加は、その中和が激しくなる可能性があるので、非常に前もって注意して実施されねばならない。ジエチルエーテル溶液がデカンテーションされると、無機物の白色残渣から、上清が抽出される。
白色固体(該残渣)が2回、ジエチルエーテルを用いて洗浄され、有機相が再び合わされる。3M塩酸(HCl)がこの有機相に加えられ、酸性pH(pH<7)を得る。反応し切っていない4−ペンテンニトリルがエーテル相に残っている一方、前記アミンは水相に移行する。
抽出後、該水相がこうして保存され、水酸化ナトリウム(NaOH)の3M溶液がこれに加えられ、塩基性pH(pH>7)に変わる。アミノ化された生成物が次いで、この新たな抽出の間にエーテル相に移行していく。このように抽出されたエーテル相が、硫酸マグネシウム(硫マグ、MgSO)により(フラスコ中で)乾燥され、次いで真空下にエバポレーションされる(ロータリー・エバポレーター)。
粗アミン(クルードのアミン、4)が次いで、分画蒸留により精製される(バルブ・オーブン、T≒96℃±9℃)。
HNMR解析(BrueckerAM250):5.82(ddt、trans=18Hz、cis=13Hz、J(H)=6.5Hz、1H、CH=)、5.00(m、2H、CH=)、2.70(t、II=6.5Hz、2H、CHIII)、2.10(ttd、J(HII)=6.5Hz、J(HC)=6.5Hz、J(HC−)=1.5Hz、2H、CH)、1.70(s、2H、NH)、1.56(quint.、J(HII)=J(HIII)=6.5Hz、2H、CHII
13CNMR解析(BrueckerAM250):138.6(CH=)、114.6(CH=)、42.0(CH−N)、33.1(CH)、31.4(CH
【0077】
実施例C:還元的アミノ化(反応C)
使用される化学プロセスは、文献[7]に記載される。
アルデヒド(2、20.87ミリモル)が、水素化カルシウム(CaH)から蒸留したてのジメチルホルムアミド(DMF、1.2mL)に溶解され、溶媒が攪拌に付され、アミン(4、31.30ミリモル、2当量)が加えられる。20分台の後、ナトリウムシアノボロヒドリド(NaBHCN、83.47ミリモル、4当量)が混合物に加えられ、常温において一夜攪拌され続ける。
(それでも)反応が完結しなければ、NaBHCN(1当量)を再び加えることが可能である。次に、反応が完結したら、ピリジン(2.4mL)および無水酢酸(AcO、83.47ミリモル、2当量/アミン)が、混合物に加えられる。
反応が完結したら(添加後約1時間)、粗化合物が、ジエチルエーテルおよび水を用いて抽出される。再び合わされた有機相が、硫酸マグネシウム(硫マグ、MgSO)により乾燥され、次いで濾過され、真空下にエバポレーションされ、次いでトルエン共沸される。
化合物(5)が次いで、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製される(溶出液勾配:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3〜5/5)。
【0078】
実施例D:本固体支持体の官能基化(反応DおよびE)
使用された化学プロセスが、文献[7]に記載される。
Controlled Pore Glassビーズ(6、CPG、500Å、2g)が非常に穏やかに2時間、常温において、水酸化ナトリウム(NaOH、700mg)の脱イオン水(EDI、6mL)と99%エタノール(EtOH、8mL)との溶液中、攪拌される。次いで該ビーズが遠心され、上清が抽出され、該ビーズが潤沢なEDIを用いて洗浄され、中性pHに到達する。
該ビーズが次いで真空下に(ロータリー・エバポレーター)乾燥され、常温に1時間、塩酸(HCl0.2N)中に保たれ、その後水洗され、遠心され、乾燥され、次いで80℃のインキュベーターに15分間入れられる。次いでエタノールで、次いでトルエンを用いて洗浄される(遠心)。
次いで乾燥され、その後引き続いてのシラン化ステップにおいて沈澱され、こうして、反応混合物が用いられる直前に調製されたことになる。
CPGビーズ(7)が、トルエン(45mL)、トリエチルアミン(EtN、1.35mL)、および7−オクテニルトリメトキシシラン(8、C1124Si、分子量232.39、100μL)の混合物中に導入され、反応溶媒が80℃に16時間置かれる(インキュベーター)。
該ビーズが該混合物から遠心により抽出され、エタノールを用いて複数回濯がれ、次いで乾燥される(ロータリー・エバポレーター)。次いで温度110℃に3時間付され、架橋ステップを実施する(インキュベーター)。
シラン化ステップおよび架橋ステップがこうして実施され、該シラン化ステップの間に反応しなかった表面シラノールの残りの酸性および親水性を中和する必要がある(<<末端封鎖>>)。トリメチルシリルクロリド(TMSCl、109mg、130μL)およびトリエチルアミン(EtN、506mg、700μL)のジクロロメタン(DCM、10mL)溶液が、シラン化されたCPGビーズに加えられ、混合物が穏やかに2時間、25℃において攪拌され続ける。
該ビーズが次いで、ジクロロメタン(遠心)、次いでアセトニトリル(遠心)で充分に濯がれる。該ビーズは次いで、真空下に乾燥され(ロータリー・エバポレーター)、インキュベーターに入れられ(80℃)、その乾燥を完全にする。
シラン化ビーズ(9)が、こうして得られる。
【0079】
実施例F:メタセシス反応(反応F)
使用される化学プロセスは、文献[9]に記載される。
シラン化CPGビーズ(9)(2g、30μモル/g)が、ジクロロメタン(20mL)中で、窒素雰囲気下に攪拌に付される。糖−スペーサーシステム(5)(300μモル、>5当量)が次いで溶媒に、Grubbs触媒(6μモル、5mg、0.1当量)と共に加えられる。該反応溶媒が次いで還流、つまり温度44℃とされる。
6時間後、もう1部別のGrubbs触媒(6μモル、5mg、0.1当量)が加えられる。混合物は44℃において更に6時間維持され、次いで常温に戻される。
該ビーズが濾過され、ジクロロメタンおよびエタノールで充分洗浄される(遠心)。該ビーズが次いで、真空下にエバポレーションされ、乾燥される。
糖ビーズ(10)が、こうして得られる。
【0080】
【化9】

【0081】
実施例G:本プローブの開裂(反応G)
使用される化学プロセスは、文献[10]に記載される。
固体支持体−本発明のスペーサー−オリゴ糖鎖(システム(10))が得られたら、該糖鎖を変性させることなく、該スペーサーを開裂させることが可能となる。
この実験プロトコールは、文献[5]に記載される。該化学反応式は、以下のとおりである。
【0082】
【化10】

【0083】
糖CPGビーズ(10)が、ジクロロメタン/メタノール=1/1混合溶媒中で、ゆっ
くり攪拌に付される。該溶媒は、温度−78℃(アセトン+液体窒素)にされる。
次いで、オゾンOが、青色が出現するまで、反応溶媒中へバブリングされる。
次いで、アルゴンが混合物中へ数分間バブリングされ、その後、溶媒をジメチルスルフ
ィドで中和し、次いで、該反応溶媒が放置され、一夜の間に常温にまで戻る。
該ビーズがジエチルエーテルで回収され、濾過され、ジエチルエーテルおよび水で複数
回濯がれる。
ビーズ(12)が次いで脇に避けられ、上清が抽出され(ジエチルエーテル/水)、有
機相が硫酸マグネシウム(硫マグ、MgSO)で乾燥され、真空下にエバポレーション
され、トルエン共沸される。
生成物(11)が次いで得られる。
【0084】
2)本発明による他の分子が、上に開示された操作プロトコールを利用しながら、製造さ
れた(実施例A〜F)。これらの分子が、以降の実施例において、詳述される。
【0085】
実施例H:
この実施例では、[mo]がペプチドArg−Gly−Asp(RGD)であり、本発明のスペーサーアームに、そのC末端により取り付けられる。支持体は、上に開示した操作プロトコール中のものと同一である。こうして、この実施例では、実施例A〜Fの反応スキームの分子(1)が、RGDにより置き換えられる。
RGDペプチドが取り付けられるビーズが、こうして得られる。これは、式:
【0086】
【化11】

【0087】
である。
【0088】
実施例I:
この実施例は、実施例Hにおけるものと同一の[mo]を使用するが、本発明のスペーサーアームに、そのN末端により取り付けられる。更に、本発明のスペーサーアームの:
【0089】
【化12】

【0090】
において、XはCであり、n=20である。Cにより、水素化された(水素を有する)炭素(炭化水素)を意味するよう上手く意図される。
得られたビーズは式:
【0091】
【化13】

【0092】
である。
【0093】
実施例J:
この実施例では、[mo]は<<シアリルルイスA>>である。支持体は、上に開示した操作プロトコール中のものと同一である。その保護基はBocである。その固定化に関する化学は、当業者に知られている。
シアリルルイスAが取り付けられるビーズが、こうして得られる。これは式:
【0094】
【化14】

【0095】
である。
【0096】
実施例K:
この実施例では、[mo]は硫酸化された化合物である。支持体は上に開示した操作プロトコール中のものと同一である。
この硫酸化された化合物が取り付けられるビーズが、こうして得られる。これは式:
【0097】
【化15】

【0098】
である。
もう1つ別のプロトコールでは、炭素Xが、硫黄原子で置き換えられた。対応しているビーズが得られた。
【0099】
実施例L:
この実施例では、[mo]は保護された糖である。支持体は、上に開示した操作プロトコール中のものと同一である。
この保護された糖が取り付けられるビーズが、こうして得られる。これは式:
【0100】
【化16】

【0101】
である。
【0102】
実施例M:
この実施例では、[mo]がシアル酸である。支持体は、上に開示した操作プロトコール中のものと同一である。
シアル酸が取り付けられるビーズが、こうして得られる。これは式:
【0103】
【化17】

【0104】
である。
【0105】
書誌的事項
[1] WO-A-03/008927: Dukler, N. Dotan, A. Shtavi, A. Gargir.
[2] H. M. I. Osborn, T. H. Khan, Tetrahedron, 1999, 55, 1807-1850.
[3] D. A. Stetsenko, M. J. Gai, Bioconjugate Chemistry, 2001, 12, 576-586.
[4] US-A-6,579,725: P. H. Seeberger, R. B. Andrade.
[5] R. Roy, C. A. Laferriere, Canadian Journal of Chemistry, 1990, 68, 2045-2054.
[6] L. H. Amundsen, L. S. Nelson, Journal of the American Chemical Society, 1951, 73, 242-244.
[7] J. F. Tolborg, K. J. Jensen, Chemical Communication, 2000, 147-148.
[8] F. Vinet, A. Hoang, EN 00 16940.
[9] K. Biswas, D. M. Coltart, S. J. Danishefsky, Tetrahedron Letters, 2002, 43, 6107-6110.
[10] C. Sylvain, A. Wagner, C. Miokowski, Tetrahedron Letters, 1997, 38, 1043-1044.
[11] Q. J. Plante, E. R. Palmacci, P. H. Seeberger, Science, 2001, 291, 1523-1527.
[12] P. H. Seeberger, Chem. Com., 2003, 1115-1121.
[13] D. M. Ratner, E. R. Swanson, P. H. Seeberger, Org. Lett. 2003, 4717-4720.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

の分子スペーサーアームであって、式中:
およびXは、該スペーサーアームを介しての[mo]および[Sup]の結合を可能にするよう調節可能な置換基であり、XおよびXはHとは異なり、各々、該スペーサーアームの他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Se、P、As、およびSiの中から選択され;
式中、置換基X、X、X、Z、Z、R、R、およびRは:
、X、およびXは各々他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Se、P、As、Si、および、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜20炭素原子を含み;
およびZは各々他の置換基とは独立に、C−R、Si−R、C、N、P、およびAsの中から選択され、ここでRはアルキルであり、1〜40炭素原子を含み;
、R、およびRは各々他の置換基とは独立に、H、アルキル、アリール、およびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜20炭素原子を含み;
[Gp]は2級アミン−N−の保護基、もしくは、該スペーサーアームの機能に参画する分子を表し;
式中:
n、m、およびpは整数であり、各々1以上であり、お互い独立に、好ましくは1≦n、m、およびp≦40となるように選択され;
式中:
[Sup]は、H、もしくは、該スペーサーアームが共有結合的に固定されることができるシラン化固体支持体を表し;
式中:
[mo]は、H、もしくは、該スペーサーアームの仲介により共有結合的に該シラン化固体支持体上に固定されることを目的とされる分子単位を表す
スペーサーアーム。
【請求項2】
およびXが他の置換基とは独立に、C、O、N、S、およびSiの中から選択され;および/または
、X、およびXが他の置換基とは独立に、C、O、N、S、Si、および、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜10炭素原子を含み;および/または
およびZが他の置換基とは独立に、C、N、C−R、およびSi−Rの中から選択され、ここでRはアルキルであり、1〜30炭素原子を含み;および/または
、R、およびRが他の置換基とは独立に、H、アルキル、アリール、およびヘテロアリールの中から選択され、各々2〜10炭素原子を含む、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項3】
保護基[Gp]が、Ac、ベンジル(Bn)、C〜C40アリール基、Troc、Z、TCA、BOC、およびFmocの中から選択される、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項4】
固体支持体[Sup]が存在している場合、プレート、ビーズ、もしくはキャピラリーの中から選択される、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項5】
[Sup]がシリカ主体もしくはガラス主体である、請求項1もしくは4に記載のスペーサーアーム。
【請求項6】
[mo]が存在している場合、180〜400,000g/モルの分子量を持っている
分子である、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項7】
[mo]が存在している場合、単糖、オリゴ糖、多糖、糖共役体、ペプチド、蛋白、
酵素、糖蛋白、脂質、脂肪酸、糖脂質、および糖脂質蛋白の中から選択される、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項8】
[mo]が存在している場合、糖である、請求項1に記載のスペーサーアーム。
【請求項9】
分子単位[mo]をシラン化固体支持体[Sup]に固定するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスペーサーアームの使用。
【請求項10】
[mo]が180〜400,000g/モルの分子量を持っている分子である、請求項
9に記載の使用。
【請求項11】
[mo]が、単糖、オリゴ糖、多糖、糖共役体、および、天然もしくは合成小分子の中
から選択され、[Sup]が、前記スペーサーアームが固定されるべきシラン化固体支持
体を表す、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
[Sup]が、プレート、ビーズ、もしくはキャピラリーの中から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
[Sup]が、シリカ主体もしくはガラス主体である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
バイオチップを生産するための、請求項9〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
糖チップを生産するための、請求項9〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
分子単位[mo]の支持体への、スペーサーアームの仲介による、共有結合による固定方法であって、以下のステップ:
(i)式:
【化2】

の化合物のニトリル官能基の還元
(ii)式:
【化3】

の生体分子のアリル官能基からの、アルデヒド官能基の形成
(iii)形成された2級アミンの保護を伴うこの還元されたニトリル官能基と、該アルデヒド官能基との間での還元的アミノ化であって、該支持体へのその固定化のために活性化された生体分子を得、この活性化された生体分子が式:
【化4】

である、還元的アミノ化
(iv)固体支持体のシラン化、および、このシラン化された固体支持体の、式:
【化5】

の分子での官能基化
(v)該支持体を官能基化させる分子と、この活性化された生体分子との間でのメタセシス化反応であって、本発明によるスペーサーアームを形成させ、該生体分子と該支持体とを繋ぐメタセシス化反応
を含み、式中、置換基X、X、X、X、X、Z、Z、R、R、R、および[mo]は、請求項1において定義されたとおりである、方法。
【請求項17】
式:
【化6】

の化合物がアリル化糖であり、[mo]が該糖である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
[Sup]が、プレート、ビーズ、もしくはキャピラリーの中から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
[Sup]が、シリカ主体もしくはガラス主体である、請求項16もしくは18に記載
の方法。
【請求項20】
[mo]が、180〜400,000g/モルの分子量を持っている分子である、請求
項16に記載の使用。
【請求項21】
[mo]が、単糖、オリゴ糖、多糖、糖共役体、ペプチド、蛋白、酵素、糖蛋白、脂質
、脂肪酸、糖脂質、および糖脂質蛋白の中から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
[mo]が糖である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
保護基[Gp]の、前記2級アミン官能基への固定化ステップも含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
[Gp]が、Ac、ベンジル(Bn)、C〜C40アリール基、Troc、Z、TCA、BOC、およびFmocの中から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
バイオチップの生産のための、請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項26】
糖チップの生産のための、請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法の使用。

【公表番号】特表2007−523945(P2007−523945A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500273(P2007−500273)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050117
【国際公開番号】WO2005/085263
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】