説明

分子プローブとしての4,7−ジクロロフルオレセイン染料

【課題】長波長の狭い発光バンド幅のフルオレセイン染料が、空間的に重なっている標的物質を検出するために提供すること。
【解決手段】長波長の狭い発光バンド幅のフルオレセイン染料が、空間的に重なっている標的物質を検出するために提供される。この染料は4,7−ジクロロフルオレセイン、および特に2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−4,7−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインから成る。この染料をDNA分析に使用するための方法およびキットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は一般に蛍光標識技術に関し、そしてさらに特に、同じ試料中の多数の標的物質を検出するための4,7−ジクロロフルオレセインの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの診断上および分析上の技術は同じ試料中の多数の標的物質を区別できる蛍光タグで標識を付けることを必要としている、例えばラニールら、ジャーナル・イムノロジイ、第132巻、第151〜156頁(1984)(フローサイトメトリー);グレイら、クロモソマ、第73巻、第9〜27頁(1979)(フローシステム核型);フングら、米国特許4,855,225号(DNA配列決定);およびマリイランドら、アプライド・アンド・セオリティカル・エレクトロフォレシス、第3巻、第1〜11頁(1992)(電気泳動により分離したポリメラーゼ鎖反応(PCR)生成物の分析)。この要請は、最も自動化された配列決定アプローチにおいて少なくとも4種のスペクトルにより分解できる色素が必要であるDNA配列決定分析で満足させることは特に難しい。
【0003】
現在、DNA配列決定には2つの基本的なアプローチがある:ジデオキシ・チェイン・ターミネーター法、例えばサンガーら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシーズ、第74巻、第5463〜5467頁(1977);および化学分解方法、例えばマキサムら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシーズ、第74巻、第560〜564頁(1977)。チェイン・ターミネーター法は幾つかの方法で改良され、あらゆる一般に入手できる自動化DNA配列決定機器のための基礎として役に立っている、例えばサンガーら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、第143巻、第161〜178頁(1980);シュライヤーら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、第129巻、第169〜172頁(1979);スミスら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第13巻、第2399〜2412 頁(1985);スミスら、ネイチャー、第321巻、第674〜679真(1987);プロパーら、サイエンス、第238巻、第336〜341頁(1987)、セクションII、メソッズ・イン・エンザイモロジー、第155巻、第51〜334頁(1987);チャーチら、サイエンス、第240巻、第 185〜188真(1988);およびコンネルら、バイオテクニクス、第5巻、第342〜348頁(1987)。
【0004】
鎖末端および化学分解方法は共に1またはそれ以上のセットの標識を付したDNΛフラグメントの世代を必要とし、各々は共通の起源をもち各々は既知の塩基を末端とする。次にフラグメントの単数または複数のセットは大きさによって分離され配列情報が得られる。両者の方法において、DNAフラグメントは高分解能ゲル電気泳動によって分離される。最も自動化されたDNA配列決定機器では、異なる末端塩基を有するフラグメントは異なる蛍光染料を用いて標識を付され、プライマーに結合するか、例えばスミスら(1987、上記)、あるいは末端ジデオキシヌクレオチドの塩基に結合する、例えばプロパーら(上記)。標識フラグメントは一緒にされて電気泳動分離のための同じゲルカラムに装填される。フラグメントが分離過程の間に静置検出器を通過するときフラグメントによって放出される蛍光信号を分析することによって塩基配列は決定される。
【0005】
異なるフラグメントを標識するための一組の染料を入手することはこのようなDNA配列決定システムでは主要な難点である。
【0006】
第1に、有機蛍光染料に対する代表的な発光バンド半幅は約40〜80ナノメートル(nm)であり可視スペクトルは約350〜400nmに過ぎないので、有意に重なる発光バンドを持たない3種またはそれ以上の染料を見出すことは困難である。第2に、重ならない発光バンドをもつ染料を見出したとしても、そのセットはそれぞれの蛍光効率が低すぎる場合DNA配列決定のために未だ不適であるかも知れない。例えば、プリングルら、DNA・コア・ファシリティス・ニュースレター、第1巻、15〜21頁(1988)には、増大したゲル荷重が低い蛍光効率を補償できないことを示すデータがある。第3に、幾つかの蛍光染料を同時に使用する場合、染料の吸収バンドが広く分離することが多いので励起が難しくなる。最も有効な励起は各染料をその吸収バンドの最高値に相当する波長で発光する場合に生じる。幾つかの染料を使用する場合、検出システムの感度と各染料に対する別々の励起源を与えるコスト増加との間にトレードオフを行うように強いられることが多い。第4に、ゲルの単一カラム中の異なる大きさに分類されたフラグメントの数が数百よりも大きい場合、染料の物理化学的性質、およびフラグメントに連結される手段が臨界的に重要になる。染料およびリンカーの電荷、分子量およびコンホメーションは接近した大きさに分類されたフラグメントの電気泳動による移動度に、広範囲なバンドの広がりが起こるようにあるいはゲル上のバンドの位置が逆になり、これによってバンドの順序および配列を決定するための核酸中の塩基の順序との間の一致を壊すように、不利に影響してはならない。最後に、蛍光染料はフラグメントを造りまたは操作するために用いられる化学物質と相溶性がなければならない。例えば、鎖末端方法においてプライマーに標識を付けるために用いられる染料および/またはジデオキシ・チェイン・ターミネーターは使用したポリメラーゼまたは逆転写酵素の活性を妨げてはならない。
【0007】
これらのきびしい制約のために、数組の蛍光染料だけが、自動化DNA配列決定にまた診断および分析の技術に使用できることが見出された、例えばスミスら(1985、上記);プロパーら(上記);フードら、ヨーロッパ特許出願8500960号;およびコンネルら(上記)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の観点では、DNA配列決定のような、多くの分析および診断の技術は、(1)容易に入手できる染料に物理化学的に類似のもの、(2)ゲル上の密に配置されたDNAバンドのような空間的に重なっている標的物質の検出ができるもの、(3)自動化DNA配列決定の最近の方法によって単一ゲルカラム上で決定することができる塩基の数を広げるもの、および(4)広範囲の予備および手先のテクニックを用いての使用において影響を受けやすいもの、である新しい蛍光染料の入手容易性によって有意に促進されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次式を有する化合物であって:
【0010】
【化1−2】

【0011】
式中、
A’は水素、フルオロ、クロロ、連結官能体、または連結官能体に変換できる基であり;
B’はフルオロ、クロロ、または酸性アニオン基であり;
X’は水素、フルオロまたはクロロであり;
およびZは別々に水素、ハロ、連結官能体、または連結官能体に変換できる基であり;そして
A’、Z、およびZの少なくとも1個は連結官能体または連結官能体に変換できる基である、化合物、である。
【0012】
好適な実施形態においては、A’は、カルボキシル、スルホニル、イソチオシアネート、スクシンイミジルカルボキシレート、ホスホルアミダイト、またはアミノであり;B’はカルボキシルまたはスルホニルであり;X’は水素であり;ZおよびZは別々に水素、ハロ、カルボキシル、スルホニル、またはメチルアミノである。
【0013】
好適な実施形態においては、A’、Z、およびZの1個のみがカルボキシル、スルホニル、メチルアミノ、またはアミノである。
【0014】
好適な実施形態においては、Zがメチルアミノである。
【0015】
好適な実施形態においては、Zがメチルアミノである。
【0016】
好適な実施形態においては、Zがフルオロである。
【0017】
好適な実施形態においては、Zがクロロである。
【0018】
好適な実施形態においては、A’が水素である。
【0019】
好適な実施形態においては、A’がフルオロである。
【0020】
好適な実施形態においては、A’がクロロである。
【0021】
好適な実施形態においては、A’がイソチオシアネートである。
【0022】
好適な実施形態においては、A’がスクシンイミジルカルボキシレートである。
【0023】
好適な実施形態においては、A’がホスホルアミダイトである。
【0024】
好適な実施形態においては、A’がカルボキシルである。
【0025】
好適な実施形態においては、A’がスルホニルである。
【0026】
好適な実施形態においては、A’がアミノである。
【0027】
好適な実施形態においては、B’がカルボキシルまたはスルホニルである。
【0028】
好適な実施形態においては、B’がカルボキシルである。
【0029】
好適な実施形態においては、B’がスルホニルである。
【0030】
好適な実施形態においては、上記化合物が、式2’,7’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインまたは2’,7’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインを有する。
【0031】
好適な実施形態においては、上記化合物が、式2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、または2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインである。
【0032】
本発明はまた、上記化合物を含むジデオキシヌクレオチドである。
【0033】
本発明はまた、上記化合物を含むポリヌクレオチドである。
【0034】
(発明の概要)
本発明は4,7−ジクロロフルオレセイン染料を使用して空間的に重なる標的物質を同時に検出する方法、そして特に、4,7−ジクロロフルオレセイン染料を用いるDNA配列決定の方法にある。本発明はまた式1によって定義される2’,7’−ジクロロ−5(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインを含む。
【0035】
【化2】

【0036】
式中、A’は水素、フルオロ、クロロ、連結官能体、例えばイソチオシアネート、スクシンイミジルカルボキシレート、またはホスホルアミダイト、または連結官能体に変換できる基、例えばカルボキシル、スルホニル、またはアミノであり;好ましくはA’は連結官能体または連結官能体に変換できる基であり;
X’は水素、フルオロまたはクロロであり、A’が6個の炭素原子の置換基であるときは必ずX’は5個の炭素原子の置換基であり、そしてA’が5個の炭素原子の置換基であるときは必ずX’は6個の炭素原子の置換基であり;好ましくはX’は水素であり;
水素、フルオロ、クロロ、連結官能体、例えばイソチオシアネート、スクシンイミジルカルボキシレート、またはホスホルアミダイト、または連結官能体に変換できる基、例えばカルボキシル、スルホニル、またはメチルアミノであり;好ましくはZは水素またはクロロであり;
は水素、フルオロ、クロロ、連結官能体、例えばイソチオシアネート、スクシンイミジルカルボキシレート、またはホスホルアミダイト、または連結官能体に変換できる基、例えばカルボキシル、スルホニル、またはメチルアミノであり;好ましくはZは水素またはクロロであり;
B’はフルオロ、クロロ、または酸性アニオン基;好ましくはB’はカルボキシルまたはスルホニル、および最も好ましくはB’はカルボキシルであり;
そしてA’、Z、およびZの少なくとも1個は連結官能体または連結官能体に変換できる基である。好ましくはA’、Z、およびZの1個のみは連結官能体または連結官能体に変換できる基である。
【0037】
本発明はまた本発明の方法を実施するためのキットを含む。一般に、キットはDNAフラグメントの電気泳動により分離された複数のクラスを検出するために提供される。特に、キットはプライマー伸長生成物の少なくとも1つのクラスに4,7−ジクロロフルオレセイン染料で蛍光による標識を付けるDNA配列決定を行うためのものを含む。このようなDNA配列決定キットは染料で標識を付けたプライマーをもつキットを含み、より好ましいものとしては染料で標識を付けたターミネーターをもつキットを含む。
全体にわたり、カラー・インデックス(アソシエーション・オブ・テキスタイル・ケミスツ、第2版、1971)炭素ナンバリング図式を使用する、すなわちプライムを付した数字はキサンテン構造の炭素を指し、プライムを付していない数字は9’−フェニルの炭素を指す。
【0038】
本発明は、4,7−クロロ−5(および6−)カルボキシフルオレセインおよび関連する染料の蛍光性が分子プローブとしての使用に非常に有利であることを発見したことに一部は基づいている。これらの発光バンド幅は4,7−ジクロロ誘導体を欠く類似体よりも一般に20〜30パーセント狭く、これらの発光および吸収の最大値は4,7−ジクロロ誘導体を欠く類似体よりも一般に約10〜30nm高く、そしてこれらの蛍光効率は高く、いくつかの場合には4,7−ジクロロ誘導体を欠く類似体のそれのほぼ3倍である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(発明の詳細な説明)
上述のように、本発明は通常長い波長、狭い発光バンド幅および他の有利な蛍光性にて最大の吸収および発光を示すある種のフルオレセイン染料の発見に一部は基づくものである。さらに、本発明はこの種の染料の種類として式Iによって定義される新規のフルオレセイン類似体を含む。これらの染料はスペクトルにより分解できる、自動化DNA配列決定分析に特に利用できる物理化学的に類似の染料の新規なセットのアセンブリを可能にする。
【0040】
ここで使用される染料のセットに関係する語「スペクトルにより分解できる」
は、染料の蛍光発光バンドが充分に明確であり、すなわち充分に重なっておらず、各染料が結合している標的物質、例えばポリヌクレオチドを、例えばバンドパスフィルターおよび光電子増倍管のシステムを用いる標準光検出システムまたはその類似のシステムによって各染料によって発生した蛍光信号に基づいて区別することができることを意味し、前記システムは米国特許4,230,558号、4,811,218号等、またはホイーレスら、フロー・シトメトリイ:インストルメンテージョン・アンド・データ・アナリシス(アカデミック・プレス・ニューヨーク、1985)の21〜76頁に記載されたようなシステムが挙げられる。
【0041】
ここで直接にまたはエーテルと関連して使用される「低級アルキル」の語は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖および/または分技鎖アルキル基を示し、例えばこの語はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル等を含む。さらに好ましくは、この「低級アルキル」の語は、1〜3個の炭素原子をもつアルキルを示す。
【0042】
ここで使用される「ハロ」はハロゲン原子、弗素、塩素、臭素、および沃素を示し;さらに好ましくは、この語は弗素または塩素を示し;そして最も好ましくは、この語は塩素を示す。
【0043】
好ましくは、本発明の4,7−ジクロロ−5(および6−)カルボキシフルオレセイン染料は式IIによって定義されるものを含む。
【0044】
【化3】

【0045】
式中、 A’、B’およびX’は上記と同じであり;
は水素または、Zと共にとるときは、ベンゾであり;
は、単独でとるときは、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、または活性連結官能体に変換できる基、例えば、カルボキシル、スルホニル、またはメチルアミノであり、またはZと共にとるときは、Zは活性連結官能体に変換できるメチルアミノであり、またはZと共にとるときは、Zはベンゾであり、好ましくは、単独でとるときは、Zは水素、メチル、エチル、フルオロ、クロロ、メトキシ、またはエトキシであり;そしてA、Z、Z、Z、およびZの少なくとも1個は連結官能体に変換できる基である。好ましくは、A、Z、Z、Z、およびZの1個のみが活性連結官能体に変換できる基である。
【0046】
本発明に使用するための多くの染料は市販品として入手できるかまたはこの分野で知られている技術によって合成できる、例えば、ガタクら、ジャーナル・オブ・ザ・インディアン・ケミカル・ソサイアティ、第6巻、第465−471真(1929);およびカンナら、米国特許4,439,356号。あるいは、フルオレセイン類似体、即ち、A=B=カルボキシルは、実施例に示されるように、置換したレゾルシノールを置換したベンゾフェノンと、または置換したトリメリット酸と、プロピオン酸の存在下に反応させて合成することができる。スルホニルフルオレセイン、即ちAまたはBがスルホニルは、リーら、サイトメトリー、第10巻、第151−164頁(1989)によって開示された方法に従って合成され、適当な反応体を置換することにより改変して5−または6−カルボキシル−またはスルホニルフルオレセイン生成物を与える。好ましくは、DNA配列決定においてポリヌクレオチドに標識を付けるとき、一般に異性体の混合物を使用する場合バンドの幅が広がるようになる僅かに異なる電気泳動移動性をもつので、染料の5−または6−異性体を別々に使用する。染料の5−または6−異性体は逆相HPLCによって容易に分離される、例えばエドムンドソンら、モレキュラー・イムノロジー、第21巻、第561頁(1984)。一般に、最初の溶出ピークは6−異性体および第二の溶出ピークは5−異性体であると信じられている。
【0047】
本発明の染料はこの分野で良く知られている種々の手段によって標的物質に結合することができる。例えば、ハウグランド、ハンドブック・オブ・フルオレセント・プローブス・アンド・リサーチ・ケミカルス(モレキュラー・プローブス,インコーポレイテッド、ユージーン、1989)は標的物質に染料を結合するための手段のガイドと例を提供する。置換体Aは、連結基を形成するように標的物質上で相補的官能体と反応できる連結官能体に変換される。次表はAがカルボキシル、スルホニルまたはアミンであるときは必ず形成できる例示の連結官能体、適当な相補的官能体、および本発明に使用するために適している得られた連結基を列挙している。
【0048】
【化4−1】

【0049】
【化4−2】

【0050】
好ましくは連結官能体は、相補的官能体がアミンであるときは必ずイソチオシアネート、塩化スルホニル、4,6−ジクロロトリアジニルアミン、またはスクシンイミジルカルボキシレートである。そして好ましくは連結官能体は相補的官能体がスルフヒドリルであるときは必ずマレイミド、またはヨードアセトアミドである。例えばカンナら、米国特許4,318,846号の実施例6および8、およびカサイら、アナリチカル・ケミストリー、第47巻、第34〜37頁(1975)に示されているように、スクシンイミジルカルボキシレートは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用して上記染料の5−および/または6−カルボキシルをN−ヒドロキシスクシンイミドと縮合して形成することができる。従って、これらの文献は参考にここに組み込まれる。染料ホスホルアミダイトはスタインら、ジーン、72巻、333〜341頁(1988);フングら、米国特許4,757,141号;1989年9月13日に出願されたヨーロッパ特許出願 89116946.8号;および1988年8月26日に出願されたヨーロッパ特許出願88307934.5号によって教示されているように生成される。例えばビューケージら、テトラヘドロン、第48巻、第2223〜2311頁(1992);カルーサースら、ナラング著、DNAとRNAの合成と応用(アカデミック・プレス、ニューヨーク、1987)第47〜94頁等によって教示されるように、置換基R、R、およびRは種々の形態をとることができる。好ましくは、RおよびRは、別々にとるときは、メチル、エチル、またはイソプロピルであり、そしてRおよびRは、それらが結合している窒素と共にとるときは、4ないし8個の炭素原子、および窒素、酸素、および硫黄からなる群から選ばれる1ないし2個のヘテロ原子を有する複素環である。さらに好ましくは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にとるときはモルホリノである。好ましくは、Rはメチル、クロロフェニル、β−シアノエチル、メチルスルホニルエチル、およびニトロフェニルエチルからなる群から選ばれる。
【0051】
好ましくは、例えばビューケージら(上記);ステクら、PCT出願PCT/US91/01010;ビューケージら、米国特許5,003,097号等によって教示されているように、ホスホルアミダイト−誘導連結基は酸化されてリン(V)連鎮を形成する。
本発明の染料はDNA配列決定のためのジデオキシヌクレオチドに標識を付けるために使用されるとき、好ましくはこれらはピリミジン塩基の5番目の炭素および7−デアザプリン塩基の7番目の炭素に連結される。例えば、いくつかの適当な塩基標識化方法が本発明と共に使用できることが報告された、例えば、ギブソンら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第15巻、第6455〜6467頁(9187);ゲベイエフら、ヌクレイソク・アシッズ・リサーチ、第15巻、第4513〜4535頁(1987);ハララムビジスら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第15巻、第4856〜4876頁(1987)等。好ましくは、染料と塩基の間の連結基はジデオキシヌクレオチドのアルキニルアミノ−誘導化塩基と本発明の染料のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を反応させて形成される。好ましくは連結基は3−カルボキシアミノ−1−プロピニルである。このようなアルキニルアミノ−誘導化ジデオキシヌクレオチドの合成は、ここに参考文献として組み込まれるホッブスらのヨーロッパ特許出願番号87305844.0号および米国特許 5,047,519号によって教示されている。簡単に述べると、アルキニルアミノ−誘導化ジデオキシヌクレオチドは、適当なハロジデオキシヌクレオシド(ホッブスら(上記)によって教示されているように通常は5−ヨードピリミジンおよび7−ヨード−7−デアザプリンジデオキシヌクレオシド)およびCu(I)をフラスコに入れ、空気を除くようにArを吹き込み、乾燥DMFを添加し、続いてアルキニルアミン、トリエチルアミンおよびPd(O)を添加して生成される。反応混合物は数時間、または薄層クロマトグラフィーがハロジデオキシヌクレオソドの消費を示すまで攪拌することできる。保護されていないアルキニルアミンを使用するときは、アルギニルアミノ−ヌクレオシドは反応混合物を濃縮し、カップリング反応で生成したハイドロハライドを中和するように水酸化アンモニウムを含む溶出溶媒を使用してシリカゲルのクロマトグラフィーにかけることによって単離することができる。保護されたアルキニルアミンを使用するときは、メタノール/塩化メチレンを反応混合物に続いて強塩基性アニオン交換樹脂で重炭酸塩を形成させることができる。次にスラリーを約45時間攬拌し、濾過し、そして樹脂を追加のメタノール/塩化メチレンを用いて洗うことできる。一緒に合わせた濾液を濃縮し、メタノール−塩化メチレングラディエントを用いてシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーで精製することができる。トリホスフェートが標準技術によって得られる。
【0052】
本発明の標的物質は本発明の染料が結合できるものであれば事実上何でもよい。好ましくは染料は標的物質に共有結合される。標的物質は蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、脂質、およびこれらの組合せおよび集合体、例えば染色体、細胞核、生細胞、例えばバクテリア、他の微生物、および哺乳類細胞、組織等を含む。ここに使用されるように「ポリヌクレオチド」の語は、長さが数塩基から数千塩基の大きさの範囲、例えば6から数十ないし数百または数千までの塩基の長さ(一重鎖の場合)、または長さが数塩基対ないし数千塩基対の大きさの範囲、例えば6から数十ないし数百までまたは数千までの塩基対の長さ(二重鎖の場合)でのDNAまたはRNAの一重鎖または二重鎮を意味する。
【0053】
多数の相補的官能体を合成オリゴヌクレオチドおよびボリヌクレオチドの5’または3’末端に、例えばアミノ基、フングら、米国特許4,757,141号およびミヨシら、米国特許4,605,735号;またはスルフヒドリル基、コノリイ、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第13巻、第4485〜4502頁(1985)、およびスボートら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第15巻、4837〜4848頁(1987)、を結合することができる。
【0054】
本発明の染料は、類似の物理化学的な性質、例えば大きさ、配座、電荷、疎水性等を有する標的物質の一連のバンドまたはスポットが線状または二次元の配置に存在する、ゲル電気泳動のような、生物化学的分離方法に委ねられたポリヌクレオチドの種類を同定するために特に良く適している。ここで使用されるように、「バンド」の語は類似のまたは同一の物理化学的性質に基づいた標的物質の空間的配置または凝集を含む。通常のバンドは電気泳動、特にゲル電気泳動によって染料−ポリヌクレオチドの共役体を分離する際に生じる。
【0055】
ポリヌクレオチドの種類は種々の関係において生じることができる。例えば、それらは制限酵素消化の生成物として、またはポリメラーゼまたはリガーゼ反応の伸長生成物として生じることができる。好ましくは、本発明に従って同定される種類は、対応が4種の可能な末端塩基と1組のスペクトルにより分析できる染料の部分との間に確立されるように末端ヌクレオチドの語において定義される。
【0056】
このような組は、市版品として入手できる分光光度計を用いて発光と吸収のバンド幅を測定して、本発明の染料から容易に集められる。さらに好ましくは、それらの種類はDNA配列の化学的またはチェイン・ターミネーター法の関係において生じ、最も好ましくはチェイン・ターミネーター法の関係において生じる。何れかの方法において染料−ポリヌクレオチドの共役体は標準のゲル電気泳動方法によって分離される、例えばゴールドおよびマシューズ、上述;リックウッドおよびハメス著、核酸のゲル電気泳動:実際のアプローチ(IRLプレス・リミテッド、ロンドン、1981);またはオスターマン、プロテインと核酸の研究方法、第1巻(スプリンガー−ベルラク、ベルリン、1984)。好ましくはゲルのタイプは約2〜20パーセントの間の濃度(重量対容量)を有するポリアクリルアミドである。さらに好ましくは、ポリアクリルアミドゲル濃度が約4〜8パーセントの間にある。好ましくはゲルはストランド分離または変性剤を含む。このようなゲルを構成するための詳細な方法はマニアチスら、メソッズ・イン・エンザイモロジー、第65巻、第299〜305頁(1980)の「98%ホルムアミドまたは7M尿素を含有するポリアクリルアミドゲルにおける低分子量DNAおよびRNAの分別」;マニアチスら、バイオケミストリー、第14巻、第3787〜3794頁(1975)の「ポリアクリルアミドゲルにおける電気泳動による小さい二重鎖および一重鎖DNΛ分子の鎖長決定」;およびマニアチスら、モレキュラー・クローニング:実験室手法(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリイ、ニューヨーク、1982)179〜185頁によって与えられる。従ってこれらの参照文献は参考のため挙げられる。特別な分離に用いられる最適ゲル濃度、pH、温度、変性剤の濃度等は、分離すべき核酸の大きさの範囲、それらの塩基組成;それらが一重鎖かまたは二重鎖か、情報を電気泳動によって捜すための種類の性質を含めて、多くのファクターに依存する。従って本発明の応用は特定の分離のための条件を最適にするための標準の予備試験を必要とするかも知れない。例として、約20〜300塩基の間の範囲の大きさを有するポリヌクレオチドを分離し、次に示すゲル中で本発明に従って検出する:19部対1部のアクリルアミドとビスアクリルアミドから作られ、48パーセント(重量/容量)尿素を用いて、pH8.3(25℃ で測定した)にてトリス−ボレートEDTA緩衝液に形成した6パーセントポリアクリルアミド。このゲルは約50℃にて実施された。
【0057】
ゲル上の染料−ポリヌクレオチド共役体は標準手段、例えば高光度水銀蒸気ランプ、レーザー等によって発光される。好ましくは、ゲル上の染料−ポリヌクレオチドはアルゴンイオンレーザーによって発生したレーザー光、特に、アルゴンイオンレーザーの488および514nmの発光ラインによって発光される。これらのラインで同時にレーザー光を発する幾つかのアルゴンイオンレーザーは市販品として入手できる、例えばシオニクス社(サニイベール、CA)モデル 2001等。
【0058】
チェイン・ターミネーター法において、本発明の染料はプライマーまたはジデオキシヌクレオチドのいずれかに結合することができる。染料は、例えばここに参考文献として組み込まれるフングらの米国特許4,757,141号の教示に従って、プライマーの5’末端の;例えばワードらの米国特許第4,711,955号の教示に従って、プライマーの塩基の相補的官能基に;ホスホルアミダイト結合官能基を介して5’−ヒドロキシルに直接;またはジデオキシヌクレオチドの塩基に、例えばここに参考文献として組み込まれるホッブスらのヨーロッパ特許出願87305844.0号によって開示されているアルキルアミノ結合基を介して、結合することができる。
【0059】
本発明のキットは種々の形をとることができるが、通常大きさにより分離される多重DNAの蛍光性の検出のための手段を提供する。キットは、DNA配列決定のために、(例えば電気泳動によって)大きさにより分離される増幅核酸を検出するため等に用いられる。一般に、キットは、4,7−ジクロロフルオレセイン染料で標識を付けたオリゴヌクレオチド、あるいはDNA配列決定キットの具体例において少なくとも1個の染料−ターミネーターに4,7−ジクロロフルオレセイン染料で標識を付けた染料−ターミネーター混合物のいずれかを含む。通常、染料−ターミネーターは、上記のように、蛍光染料で標識を付けたジデオキシヌクレオシドトリホスフェートである。
【0060】
増幅核酸を検出するためのキットは、4,7−ジクロロフルオレセイン染料で標識を付けた少なくとも1個のオリゴヌクレオチド、核酸ポリメラーゼおよび核酸リガーゼからなる群から選ばれる酵素、および反応緩衝液から成る。キットがDNAポリメラーゼを含む場合は必ず、さらにヌクレオシドトリホスフェート混合物、例えば特定の応用、例えば増幅、配列決定等のために適当な濃度のヌクレオシドトリホスフェートを含有するEDTAの50mM水溶液を含む。キットがDNA配列決定のためにヌクレオシドトリホスフェート混合物を提供する場合、このようなトリホスフェートは、例えばリーらのヌクレイック・アシッズ・リサーチ、第20巻、第2471〜2483頁(1992)によって教示されているようなヌクレオシド−5’−O−(1−チオトリホスフェート)のような類似体を含むと解される。核酸ポリメラーゼはDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および逆転写酵素等を含む。好ましくは、キットがPCR増幅用である場合、核酸ポリメラーゼは、例えばゲルファンドらの米国特許 4,889,818号によって開示されているようなTaqポリメラーゼである。特定の具体例のためのPCR反応緩衝液およびヌクレオシドトリホスフェート混合物を選択するための手引はインニスら著、PCRプロトコル:ア・ガイド・トゥ・メソッズ・アンド・アプリケイションズ(アカデミック・プレス・ニューヨーク、1990)に見ることができる。代表的な10X PCR 反応緩衝液は15mMのMgCl、500mMのKCl、およびTris−HCl、pH8.3から成る。
【0061】
好ましくは、キットが、例えばランデグレンらの米国特許4,938,617号等によって開示されているようなリガーゼに基づく増幅反応を可能にする場合は必ず、核酸リガーゼは、バラニイのプロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシーズ、第88巻、第189〜193頁(1991)によって開示されているような熱安定性リガーゼである。リガーゼに基づく反応緩衝液を選択するための手引はランデグレンら(上記)、ウら、ゲノミクス、第4巻、第560〜569頁(1989);バラニイ(上記)、およびニッカーソンら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシーズ、第87巻、第8923〜8927頁(1990)に見出すことができる。代表的な連結反応緩衝液は20mMのTris−HCl、 pH7.6;50mMのKCl;10mMのMgCl;1mMのEDTA;10mMのNAD+、および10mMのジチオトレイトールから成る。
【0062】
キットの染色−標識オリゴヌクレオチドは広範囲の長さをもつことができるが、好ましくはそれらの長さは6ないし60個のヌクレオチドの範囲である。さらに好ましくは、連結キット用のオリゴヌクレオチドは6ないし30個のヌクレオチドの長さの範囲であり、最も好ましくは、連結キット用のオリゴヌクレオチドは16ないし25個のヌクレオチドの長さの範囲である。オリゴヌクレオチドの特定のヌクレオチド配列は勿論、増幅されるように探索される標的配列によって指図される。PCR増幅のための具体例において、PCRプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチドの選択は当該分野では、例えばインニスら(上記)、ヒリアーおよびグリーン、PCRメソッズ・アンド・アプリケーションズ、第1巻、第124〜128頁(1991)等によって良く知られている。
【0063】
好ましくは、染色−ターミネーターを提供するDNA配列決定用キットでは、各ジデオキシヌクレオシドトリホスフェートは、5−および6−カルボキシフルオレセイン、5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−および6−カルボキシフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジクロロ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、および2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−および6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインから成る組から選ばれる染料を用いて別々に標識を付けられる。さらに好ましくは、ジデオキシチミジントリホスフェートは6−カルボキシフルオレセイン(“6−FAM”)を用いて標識を付けられ、ジデオキシシチジントリホスフェートは2’,4’,5’.7−テトラクロロ−5−カルボキシフルオレセイン(“5−ZOE”を用いて標識を付けられ、ジデオキシアデノシントリホスフェートは2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−4,7−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセイン(“5−HEX”)を用いて標識を付けられ、そしてジデオキシグアノシントリホスフェートは1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4,7−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセイン(“5−NAN”)を用いて標識を付けられる。ジデオキシアデノシンは2’,3’−ジデオキシ−7−デアザアデノシンを含み、そしてジデオキシグアノシンは2’,3’−ジデオキシ−7−デアザグアノシンおよび2’,3’−ジデオキシ−7−デアザイノシンを含み、そしてジデオキシチミジンは2’,3’−ジデオキシウリジンを含むと解される。通常、ジデオキシヌクレオシドトリホスフェートは連結基によって標識を付けられる。好ましくは、連結基は2’,3’−ジデオキシシチジンまたは2’,3’−ジデオキシウリジンの5番目の炭素を染料の5または6番目の炭素に連結し、そして連結基は2’,3’−ジデオキシ−7−デアザアデノシンまたは2’,3’−ジデオキシ−7−グアノシン−または2’,3’−ジデオキシ−7−デアザイノシンの7番目の炭素を染料の5または6番目の炭素に結合する。好ましくは、連結基はカルボキシアミノアルキニルであり、そして最も好ましくは、連結基は3−カルボキシアミノ−1−プロビニルである。
【0064】
好ましくは、染料−ターミネーターを提供するDNA配列決定用キットにおいて、核酸ポリメラーゼはSequenase(登録商標)である。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(4.7−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセイン(“ALF”))
0.58gの3,6−ジクロロトリメリット酸、0.72gのレゾルシノール、0.5mlの儂硫酸、および3mlのプロピオン酸をアルゴン下に12時間還流した。反応混合物を150mlの水に注入し、沈澱物を乾燥し、3mlのビリジンに入れ、2mlの無水酢酸塩で1時間アセチル化した。アセチル化混合物は100mlの酢酸エチルに入れ、1Nの塩酸、水で洗浄し、蒸発乾固した。残渣を15gのシリカゲルに置き、50mlの酢酸エチルで、次いで4:1の酢酸エチル:メタノールで溶出した。約0.2のRf(4:1の酢酸エチル:メタノール/シリカゲル)でUV活性物質を含有する画分を蒸発乾燥させた。この残渣を10mlのメタノールに溶解し、次いで1mlの4N水酸化ナトリウムを添加した。10分後、反応混合物を200mlに水で希釈し、次いで0.5mlの濃塩酸を添加した。全混合物を200mlの酢酸エチルで抽出し、その後酢酸エチルを硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発乾固させて102mgの黄緑色の固体を得た。
【0066】
(実施例2)
(4,7−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)) エステル
実施例1からの13.7mgのフルオレセイン、3.3mgのNHS、6.4mgのDCC、および1mlの酢酸エチルを0.5時間攬拌した。固体を濾過し、そして上澄液を3回1:1のブライン:水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させて15mgのNHSエステルを得た。
【0067】
(実施例3)
(4,7−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインとアミノアルキルオリゴヌクレオチドの結合)
実施例2からの5mgのNHSエステルを20μlのDMSOに溶解した;3μlのこの溶液を20μlの1.0mnの5’−アミノヘキシルホスフェートオリゴヌクレオチド(18量体)水溶液および10μlの1M重炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.0から成る溶液に添加した。暗所で1時間後、溶液を10mlのSephadex
G−25(medium)カラムに0.1Mの酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、pH7.0を用いて通過させた。排除容量で溶出する着色物質のバンドを収集した。逆相HPLCは、DNAに結合した染料の5−および6−異性体に対応する2本の主要な蛍光ピークを示した。このビークを集め、pH8.0での50%尿素における蛍光スペクトルは528nmでの発光最大値と34nmのハーフマックスでの全幅を示した。
【0068】
(実施例4)
(2’,7’−ジメトキシ−5−(および6−)カルボキシ4,7−ジクロロフルオレセイン(“BUB”))
次の物質および分量に変えた以外は実施例1の方法に従った:1.47gの4−メトギシレゾルシノール、0.60gの3,6−ジクロロトリメリット酸、0.2mlの濃硫酸、および4mlのプロピオン酸。この方法は0.180gの4,7−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインを生成した。
【0069】
(実施例5)
(2’,7’−ジメトキシ−5−(および6−)カルボキシ4,7−ジクロロフルオレセインNHSエステル)
18mgのこの染料NHSエステルは実施例4からの18mgの染料、3.5mgのNHS、6.4mgのDCC、および2mlの酢酸エチルを用いて実施例2と同様に調製した。
【0070】
(実施例6)
(4,7−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインとアミノアルキルオリゴヌクレオチドとの結合)
実施例5の染料NHSエステルを用いて実施例3の方法に従った。逆相HPLCの間に集められた2本のピークの蛍光スペクトルはpH8.2での50%尿素において544nmでの発光最大値と37nmのハーフマックスでの全幅を示した。
【0071】
(実施例7)
(2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン(“LOU”))
この染料は実施例4の染料および水性水酸化ナトリウムの次亜塩素酸ナトリウム溶液から調製された。
【0072】
(実施例8)
(4,7−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインNHSエステル)
1.1mgのこの染料NHSエステルを実施例7からの0.7mgの染料、0.45mgのNHS,0.7mgのDCC、および0.2mlの酢酸エチルから実施例2のように調製した。
【0073】
(実施例9)
(4,7−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシフルオレセインとアミノアルキルオリゴヌクレオチドとの結合)
この実施例の染料オリゴヌクレオチド結合体を実施例8からの染料NHSエステルを用いて実施例3と同様に調製した。逆相HPLCの間に集められた2本のピークの蛍光スペクトルはpH8.2での50%尿素において558nmでの発光最大値と38nmのハーフマックスでの全幅を示した。
【0074】
(実施例10)
(1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン(“NAN”))
まず、3,6−ジクロロトリメトリット酸トリクロリドを調製した:0.5gの3,6−ジクロロトリメリット酸と1.3gの五塩化リンの混合物を130℃で40分間加熱した。混合物を室温まで冷却し氷に注いだ。次いで混合物を40mlのエーテルで抽出し、有機画分を2回15mlの水で洗浄し、MgSOで乾燥し、透明油(0.7g)まで濃縮した。酸トリクロリドをさらに精製しないで使用した。NANを次のように調製した:2.7gの1,3−ジヒドロキシナフタレン、2.84gの3,6−ジクロロトリメリット酸トリクロリド、および8mlのプロピオン酸の混合物を2時間還流した。水(50ml)および酢酸エチル(50ml)を添加した。相を分離して、有機相を3回50mlの1MのNaHCOで抽出した。水溶液を沸点まで加熱して濃HClで酸性にした。得られた赤色固体(0.2g)を濾過し乾燥した。
【0075】
(実施例11)
(1’,2’,7’,8−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン(“DEB”))
20mgのNAN、水酸化ナトリウム(15%溶液34μl)、水(1ml)、および次亜塩素酸ナトリウム(5%溶液170μl)を一緒にした。逆相HPLCは92%の反応を示した。溶液をHClで酸性にして、20mlの酢酸エチルで抽出し、乾燥(Na2SO)し、20mgまで濃縮した。固体をシリカゲルカラム(径1“×高さ2”)のクロマトグラフィーによって600:60:16の塩化メチレン:メタノール:酢酸で溶出して精製した。染料溶液を濃縮し、希HClおよび酢酸エチルを添加した。有機相を乾燥(MgSO)し、20mgのDEBまで濃縮した。
【0076】
(実施例12)
(1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−−5−(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインNHSエステルの生成)
NAN(10mg)を2mlの酢酸エチルに溶解し、NHS(10mg)とDCC(5mg)を添加した。20分後、溶液は暗赤色になり、結晶固体が現れた。600:60:16の塩化メチレン:メタノール:酢酸を用いたシリカゲルの薄層クロマトグラフィーはNHSエステルに完全に転換したことを示した。酢酸エチル溶液を希HClで洗浄し、乾燥(NaSO)して赤色固体(15mg)まで濃縮した。
【0077】
(実施例13)
(DNA配列分析において染料標識プライマーとしてALF−、BUB−、LOU−、およびNAN−オリゴヌクレオチ)
結合体を使用 染料の全フルオレセインセットを使用してアプライド・バイオシステムズ(フォスター・シテイ、CA)モデル370A自動化DNAシーケンサーを用いてチェイン・ターミネーター法でDNAフラグメントに標識を付けた。製造業者のプロトコル(参考文献として組み込まれるユーザー・ブレタン・DNAシーケンサーモデル370、発行第2号、1987年8月2日)に従って、M13中の未知のDNAを増幅してゲル電気泳動分離のための別々に標識を付けたDNAフラグメントを調製した。染料標識プライマーは上記実施例に記載されたように調製した。即ち、各染料のNHSエステルを調製し、5’−アミノヘキシル誘導化M13ユニバーサルプライマー(5’−TCCCAGTCACGACGTTGT−3’(配列番号1))と反応させ4つに分かれるジデオキシ反応混合物に対する染色標識プライマーを生成した。次の変更は標準プロトコルでなされた:ジデオキシシチジン反応においてプライマーに標識を付けた5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、ジデオキシアデノシン反応においてプライマーに標識を付けた2’,7’−ジメトキシ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、ジデオキシグアノシン反応においてプライマーに標識を付けた2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、ジデオキシチミジン反応においてプライマーに標識を付けた1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、各反応からの標識を付けたDNAフラグメントをゲルに装填するために次のモル比で一緒にした:1:4:2ddC反応:ddA反応:ddG反応:ddT反応、そして検出は535、550、565、および580nmに中心がある10−nmバンドパスフィルターを用い改良フィルターホイールで行った。
【0078】
(実施例14)
(DNA配列分析において染料−標識プライマーとしてALF−、BUB−、DEB−、およびNAN−オリゴヌクレオチド結合を使用)
次のことを除いて、実施例13に記載したと同様の方法に従った:(i)ジデオキシグアノシン反応においてプライマーに標識を付けた1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、(ii)各反応からの標識を付けたDNAフラグメントをゲルに装填するために次のモル比で一緒にした:1:1:2:15ddC反応:ddA反応:ddG反応:ddT反応、そして(iii)5nmバンドパスフィルターは540、560、580、および610nmに中心があった。
【0079】
(実施例15)
(2’,7’−ジクロロ−5−(および6)−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン(“5−(および6−)TET”))
4−クロロレゾルシノール(10g)、4,7−ジクロロトリメリット酸(10g)、およびメタンスルホン酸(30ml)の混合物を一緒にして2時間140〜150℃まで加熱した。赤色混合物を水(100ml)に注ぎ酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機相を2回希塩酸で洗浄し、金褐色固体(19g)に濃縮した。ピリジン(40ml)と無水酢酸(10ml)を固体に添加し混合物を0.5時間還流した。溶液を1時間4℃で冷却させた。
【0080】
結晶を濾過して分離し、白色固体(5.4g)を生成した。少部分の加水分解(0.02mlの0.1N NaClおよび0.02mlのエタノールを2mgの固体に添加)続いて逆相HPLCの分析で固体は92:8の比の異性体(6−カルボキシTET:5−カルボキシTET)を含有することを示した。2回目の再結晶はジアセテート(99:1比)としてほぼ純粋な異性体染料を与えた。5−TETは濾液からの5−TETのジアセテートの加水分解、次にアセトニトリルからの再結晶によって回収された。
【0081】
水酸化ナトリウム(3g)と水(10ml)を6−TETジアセテート(8.6g)(HPLCカラムから2本のピークの最初のものとして得られた)に添加した。追加の水(50ml)を溶液が均質になるまで添加した。暗赤色溶液に濃HCl(15ml)を添加した。黄色の沈澱が形成された。混合物を酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機相を淡黄色のほぼ無色の固体(7.4gの6−TET)に濃縮した。
【0082】
(実施例16)
(2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−(および6−)カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン(“5−および6−HEX”))
磁気攬拌棒を備えた1リットルのエルレンマイヤーフラスコに5−または6−TET(6.3g)および1Mの炭酸塩/重炭酸塩緩衝液pH9.4(60ml)を添加した。家庭用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム、50ml)を20分かけて滴下した。反応の進行を逆相HPLCでモニターした。全部で67mlの漂白剤を添加した。濃HCl(15ml)で溶液を酸性にして酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機相を明黄色固体(7.3g)まで儂縮した。1H NMR(DMSO−d)δ8.1(1H);7.4(2H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2011−162548(P2011−162548A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54840(P2011−54840)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【分割の表示】特願2008−177253(P2008−177253)の分割
【原出願日】平成5年9月1日(1993.9.1)
【出願人】(310009775)アプライド バイオシステムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (19)
【Fターム(参考)】