説明

分析目的で超高真空下で中性セシウムをインサイチュ堆積するための方法および装置

本発明は、SIMSまたは電子分光法の如き分析目的で表面の電子的特性を変化させる方法において、視準された調整可能なストリームの形で使用可能な純粋な中性セシウム(Cs)を超高真空下でインサイチュ堆積することに存することを特徴とする方法に関する。本発明はまた、前記方法を実施するために設計された特別なカラムおよび対応するエネルギおよび/または質量分析装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MCs(x=1、2)モードで動作する新規の二次イオン質量分析(SIMS)法に関する。該方法は、優れた深さおよび側方分解能と組み合わされた高い二次放出の有用な収率に達するために、発明者によって開発されかつ改良された陽イオン質量分析装置(CMS)で実行される。
【0002】
本発明はまた、従来の一次ボンバードメントカラム(bombardment column)と結合されたセシウム堆積カラムによって特に改良されたCMSにも関する。
【背景技術】
【0003】
特にその卓越した感度およびその優れた深さ分解能のため、二次イオン質量分析法(SIMS)は、表面および薄膜の分析のための極めて強力な技術を構成する。その主要な適用分野は半導体、ガラス、有機および冶金複合材料に存する。
【0004】
SIMS装置はまた、分析試料の表面のイオン画像を記録することも可能である。この場合、薄いイオンプローブが試料の表面を掃引し、適切に選択された質量を有する二次イオンが、それが発生した表面の位置に関連付けて記録される。卓越した感度と組み合わされた優れた側方分解能をもたらすこの撮像技術の新興の適用分野は、特に生物学にある。
【0005】
しかし、その全ての利点と並んで、SIMS技術は一つの主要な欠点を免れない。つまり、測定は苦労してようやく定量化することができる。所定のスパッタ元素のイオン化収率はそれが配置されたマトリックスの組成によって数桁変動することがあることを考えると、測定される信号の強度は一般的に分析される試料に大きく依存する。この現象はマトリックス効果として知られている。
【0006】
マトリックス効果に絡んだこれらの問題を回避するために、SIMS分析はMCsモードで実行されることが多くなっている。この方法は、関心物質にセシウム(Cs)を組み込み、関心を持っている元素Mの原子をCsの一個または二個の原子と一緒に再結合することによって形成される正イオンクラスタを検出することにある。これらのMCsクラスタが試料の表面の上で原子の再結合によって形成されることを考えると、マトリックスの組成はもはや直接関与せず、したがってマトリックス効果が排除される。
【0007】
先行技術のSIMS装置は、MCsモードで分析を実行するために、Cs一次イオンで作られたビームだけをもっぱら使用してきた。これに関して依然として多数の欠点が列挙される。
【0008】
MCsクラスタを形成するためのCs濃度の最適化
試料にCsイオンのビームを衝突させることによってMCsモードの分析を実行するときに、このビームは、物質へのCsの組込みおよび表面のスパッタリングの両方に役立つ。この場合、図1に示すように分析の感度を決定する重要なパラメータであるCs濃度は、一次ボンバードメント条件、主に衝撃の角度およびエネルギによって設定され、それらは従来のSIMS装置では非常に限られた方法でしか適応させることができない。したがって、Cs濃度は任意の型の試料に対し事実上固定され、自由に選択することができない。こうして得られたCs濃度は、問題の物質の最適濃度と一致しそうにないので、分析は最適化されない。
【0009】
Cs濃度および深さ分解能の結合
Csイオンボンバードメントの使用の第二の主要な欠点は、試料に打ち込まれるCs濃度(CCs)と一次ビームのエネルギおよび角度パラメータとは、後者がCCsの値を決定することを考えると、切り離して選択することができないことに関係する。今や、一次ボンバードメント条件は、深さ分解能のような主要な分析特性にもかなり影響を及ぼす。
【0010】
予平衡状態
イオンボンバードメントによる物質へのCsの注入は、図2に示すように、Cs原子がその衝撃エネルギによって表面下の異なる深さに打ち込まれることを考えると、第一原子層からすぐさま最適なCs濃度を達成することができない。したがって、Cs(Csのボンバードメントの場合)またはCsおよびGa(CsおよびGaのボンバードメントの場合)の定濃度の達成に先行する予平衡状態で、分析は宙に浮いてしまう。
【0011】
負の二次イオンの形成の最適化
さらに、負イオンの収率を数桁上げるために、陽性元素によるボンバードメントがしばしば使用される。この文脈では、負の二次イオンの放出は、衝突される試料の表面におけるCs原子の存在によって大幅に増強される。
【発明の開示】
【0012】
本発明は、MCs(x=1、2)モードで操作し、試料に打ち込まれるCs濃度と試料表面のスパッタリングを別個に選択することができ、したがってCs濃度と、今やもっぱら一次ボンバードメント条件にのみ依存する深さ分解能のような分析パラメータとの同時最適化を導く、新規の二次イオン質量分析(SIMS)法を提供することを目的とする。
【0013】
特に、本発明は、いずれの種類の試料に対しても検出されるMCsおよびCs信号を最大にするために、試料表面に中性Cs原子を堆積することによって、最適値まで準ゼロから100%までの範囲で連続的にCs濃度を変化させることを可能にすることを目的とする。
【0014】
加えて、本発明は、最適化された信号を第一原子層からすぐさま測定することを可能にすることを目的とする。
【0015】
本発明の別の目的は、著しく増大した実用寿命を持ち、他の元素の痕跡によるセシウム堆積物および分析室の汚染の危険性をかなり低減するように設計された、特別に開発されたセシウムカラムを提供することである。
【0016】
本発明の第一の目的は、視準された調整可能なストリームの形で使用可能な中性セシウム(Cs)を超高真空(約10−9〜10−10mbarの残留圧力)下でインサイチュ堆積することに存することを特徴とする、分析目的で表面の電子的特性を変化させる方法に関する。
【0017】
本発明では、Csのストリームは、
− 金属セシウムリザーバを含む蒸発器の温度調整、および/または
− セシウムストリームの経路に配置された電動式閉塞子のアパーチャ制御、
によってカラム内に提供され視準される。
【0018】
前記Csの堆積は同時に、表面からの分析のための粒子のビームの放出を誘発するように意図された、電子および/またはイオンまたは中性原子または原子群を含む一次ボンバードメント、またはX線照射を伴うことが、発明者によって特に期待された。
【0019】
本発明の方法は、好ましくはMCsモード(x=1、2)で動作する静的または動的二次イオン質量分析法(SIMS)に結合されることが好ましい。
【0020】
Csの堆積速度は、毎秒約0〜4個の単分子層に対応する0から10Å/sの範囲で連続的に調整可能であることが好都合である。
【0021】
別の好適な実施形態では、本発明の方法は、電子分光法、好ましくはオージェ電子分光法(AES)、電子エネルギ損失分光法(EELS)、X線光電子放出分光法(XPS)、または紫外光電子放出分光法(UPS)に結合される。
【0022】
SIMSの実施形態では、分析のための二次ビームは、二次電子および/またはCsn+および/またはMCsn+正クラスタおよび/またはMn−負イオンおよび/またはMm+正イオンを含み、Mは原子または原子群で作られた試料物質の成分である(n、mは整数)。
【0023】
MCsモードでの分析中、堆積されたCsの濃度および深さ分解能などの分析特性の同時最適化においては、スパッタリングおよびCs注入の段階は切り離すことが好都合である。
【0024】
深さ分解能は分析のためのボンバードメント条件のみに依存することが、さらに好都合である。
【0025】
本発明の方法はさらに、超高真空下で蒸発するCs以外の化学元素のストリームに、Mn+クラスタまたはMm−イオンまたはMm+イオン(n、mは整数)または電子の分析目的の二次放出を発生させることを可能にする。ここでMおよびMはそれぞれ、Cs以外の化学元素を構成する原子または原子群、および試料からの原子または原子群である。
【0026】
CsまたはCs以外の化学元素の最適値への唯一の調整可能な堆積速度は、試料によって放出される二次粒子の強度を最適化することを可能にすることが、さらに好都合である。
【0027】
好適な実施形態では、リザーバの温度範囲は、1×10−4から4×10−4mbarの圧力範囲に対応する70℃から90℃の間に維持され、そのとき堆積速度の安定性は60分にわたって約2%である。
【0028】
ボンバードメント分析モードでは、堆積されたCsの濃度は、Csおよび試料それぞれの密度(ρCs、ρ)、所定のボンバードメント条件でのスパッタ率(Y)、およびCsエロージョン(Ver)と堆積(V)速度の間の比率(τ=Ver/V)のみに関係する。
【0029】
本発明の顕著な利点は、二次放出種、好ましくはMn−、Mm+、およびさらに好ましくCsn+およびMCsn+の有用収率つまり感度が、個別に得られるそれぞれのエロージョンおよび堆積速度にではなく、概して前記比率(τ)だけに関連付けられること、および前記比率(τ)の最適値を達成するようにCsの堆積速度を調整することにより、二次信号が最適化可能であることに存する。
【0030】
Csのストリームは、閉塞子を介して、自動的にかつ連続的に適応されることが好ましい。
【0031】
本発明の第二の目的は、純粋中性セシウムの調整可能かつ安定なストリームを送り出すことが可能であり、好ましくは一次ボンバードメントまたは一次照射カラムと同時に使用可能である中性セシウム(Cs)堆積カラムを含む、上述した方法を実行するためのエネルギおよび/または質量分析装置に関する。
【0032】
装置は、一次ボンバードメントカラムと、二次イオン抽出手段、好ましくはTOF(飛行時間)型、四極型、または磁場型の質量分析計、およびイオン検出手段を備えた二次カラムとを含む、静的または動的二次イオン質量分析(SIMS)装置であることが好ましい。
【0033】
本発明の第三の目的は、上述したような装置に使用可能な中性セシウムカラムに関する。中性セシウムカラムは、純粋金属セシウムが充填され、温度制御手段を装備し、管によって試料の近くに配置されかつビーム視準手段を装備した銃端部品まで延長されたリザーバを含む、蒸発ブロックを備える。
【0034】
前記ビーム視準手段は、連続的に可変の幅のスリットを使用する回転ディスクであってステッパモータによって駆動される回転ディスクを備えることが好ましい、電動式の連続調整可能な閉塞子を備えることが好都合である。
【0035】
動作温度で中性セシウム(Cs)は液状であり、蒸発ブロックは、前記液体が重力効果によりリザーバの底に残るような傾斜角度にあることが、さらに好都合である。
【0036】
前記管およびビーム視準手段を備えた銃端部品はさらに、凝縮および閉塞の危険性を防止するための温度制御手段を装備することが、さらに好都合である。
【0037】
蒸発ブロックは、ゲート弁によって装置の主室から分離することができ、かつ別個に排気および通気を行なうことができる外側部分に配置することが好ましい。
【0038】
図面の簡単な記述
図1はアルミニウム試料について、Cs濃度の関数としての有用収率(つまり感度)の展開を示す(CsまたはCs/Ga一次イオンボンバードメント)。
【0039】
図2は二種類の分析モード、つまり純粋CsボンバードメントおよびCs/Ga同時ボンバードメントについて、シリコン試料に打ち込まれたCs濃度の深さの展開を示す。
【0040】
図3はスパッタリング段階およびCs組込み段階を一つにまとめる分析(a)、およびこれらを二つの段階に分離する分析(b)の原理を示す。
【0041】
図4は三種類の分析モード、つまり純粋Csボンバードメント、Cs/Ga同時ボンバードメント、および図2との相違に対応するGaボンバードメントとCs堆積について、シリコンにおけるCs濃度の深さの展開を比較して示す。
【0042】
図5は外側部分および内側部分がゲート弁によって分離された、本発明のCs蒸発器の概略的全体図を示す。
【0043】
図6は好適な閉塞子の実施形態の略図を示す。
【0044】
図7は中性セシウムリザーバに伝達された加熱エネルギの関数としての試料上のCs堆積速度の変化を示す。
【0045】
図8は前記リザーバの温度(mV単位)の関数としての試料上のCs堆積速度の変化を示す。
【0046】
図9は85Wのリザーバ加熱電力の場合に1時間にわたって水晶マイクロバランスコントローラによって示されたCs堆積速度の変動を示す。実線は平均値を示す。
【0047】
図10は水晶バランスの様々な位置について、堆積速度を決定することによって記録されたCsビームのプロファイルを示す。横座標0は、二次イオン抽出ノーズの真下にある位置に対応する。連続曲線は実験値のガウス近似である。
【0048】
図11はアルミニウム試料について、様々なエロージョン速度に対する四種類のCs堆積速度で実験的に決定されたCs濃度の変化を示す。
【0049】
図12はアルミニウム試料について、パラメータτの関数としてのCs濃度の実験的変化(四角)および理論的変化(実線曲線)を示す。
【0050】
図13はアルミニウム試料のスパッタAlCsクラスタの有用収率の変化を特性パラメータτの関数として示す。
【0051】
図14はMgおよびInの打込みを受けるSi試料のSIMS深さプロファイルを示す。
【0052】
図15はTiおよびCuの打込みを受けるAl試料のSIMS深さプロファイルを示す。
【0053】
図16はFおよびAlの打込みを受ける試料のSIMSの深さプロファイルを示す。
【0054】
図17はAl/Cuグリッドの同一領域のAlCs、CuCs、CsおよびCsの二次イオン画像をそれぞれ示す。
【0055】
発明の説明および利点
ガブリエル・リップマン公立研究センタの材料分析研究所(LAM)は、分析対象である物質試料の表面に中性セシウム(Cs)の調整可能かつ視準されたストリームを堆積することを可能にするカラムを開発し、原型科学装置[1、2]である陽イオン質量分析装置(CMS)に設置した。
【0056】
この新規のカラムを使用すると、試料の表面におけるCsの堆積を伴うXy+イオンボンバードメントから構成される分析技術を導入することが可能であった。この実験技術は、先行技術の段落で上述したCsイオンボンバードメントによって課せられた制約を回避することを可能にする。
【0057】
この新規の分析技術は、Cs濃度と、主として一次ボンバードメント条件に依存する深さ分解能のような主要な分析特性との同時最適化を目的として、MCsモードの分析のスパッタリング段階およびCs注入段階を分離することにより、追加の自由度をもたらす。本発明の原理を図3に大まかに示す。
【0058】
最適量のCsが試料の表面に中性原子の形で堆積されるときに、スパッタリングプロセスもターゲットの原子混合も生じず、分析の深さ分解能はもっぱら、スパッタリング/分析銃によって生じるボンバードメントの特性条件のみに依存するので、好都合である。
【0059】
他方、Cs原子を試料の表面からすぐさま堆積するCs蒸発器の使用により、図4に示すように、第一原子層から平衡状態を達成することが可能になる。したがって、この新しい分析技術は、関心のあるゾーンが表面の近傍にある試料の分析に、かなりの利点を提供する。
【0060】
最後に、この同じCsカラムは、最適量のCsを堆積することにより、負の二次イオンの最適化をも可能にする。
【0061】
参考文献
[1]T.Mootz,B.Rasser,P.Sudraud,E.Niehuis,T.Wirtz,W.Bieck,H.−N.Migeon,in A.Benninghoven,P.Bertrand,H−N.Migeon,H.W.Werner(Eds.),Secondary Ion Mass Spectrometry SIMS XII,Elsevier,Amsterdam,2000,p.233−236
[2]T.Wirtz,B.Duez,H.−N.Migeon,H.Scherrer,Int.J.Mass Spectrom.209(2001)57
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
1.Cs蒸発器
1.1 動作原理
アルカリ金属を堆積するために、研究室ではほとんど例外なく、クロメートXCrOの形のアルカリ金属XおよびX(例えばCs)元素を放出するための還元剤として作用するZrAl型粉末を包含する、イタリアのグループSAESによって市販されているゲッタが使用される。電流を通すことによってこの混合物を加熱すると、還元反応が活性化され、こうして生成されるアルカリ原子の量は加熱電力に依存する。Csの場合、この還元反応は次のように書かれる。
2 CsCrO+2.5 Zr→Cr+2.5 ZrO+4 Cs
【0063】
それにもかかわらず、本書で上述した最適化を実行するためにCMS機械でそのようなゲッタを使用すると、幾つかの大きな欠点が生じる。まず第一に、標準ボンバードメント条件で約1Å/sのCs堆積速度が適切であることが、予備的計算から示された。受け入れ可能な供給源−試料間距離を選択しながら同時に、試料の表面上にCs原子のそのようなストリームを達成するために、ゲッタは原子を約4×1014個/sの率で放出する必要があり、それは8.8×10−8g/sに対応する。今、長さ1cmのゲッタに4.4mgのCsが充填され、Cs原子の大部分が分析されるゾーンに堆積されることを保証するために、そのような長さを超えることはできないので、Cs供給源はわずか5×10秒つまり14時間の実用寿命しか持たない。Cs原子のストリームは視準されず、したがって必要な空間よりずっと大きい空間にまたがるので、この方法で計算される実用寿命は理論的上限を表わす。
【0064】
Csストリームをもっぱら分析ゾーンだけに向けることができないことは、ゲッタの第二の主要な不利点である。有用なCs原子のかなりの損失に加えて、そのような視準されない放出は、電気絶縁体として働くセラミックスを含めて表面全体に導電性および高反応性の膜を堆積することにより、分析室全体を汚染する可能性も非常に高く、それによって電気絶縁体は役に立たなくなる。
【0065】
最後に、市販のゲッタによって放出される蒸気は常に、使用される還元剤に主として由来する他の元素の痕跡を含む。問題の元素の信号が様々な強度の背景雑音によって影響されることを考えると、Cs堆積物のこの汚染は、特定の元素の検出限界を増大する可能性が高い。
【0066】
これらの実用寿命の欠点、分析室の汚染、およびCs堆積物の清浄度を考慮して、我々は、本発明のCMS機械に装備するのに従来のゲッタを使用しないことにした。
【0067】
代替物として、我々は、純粋金属Csの蒸発からCsのストリームを放出する供給源を開発した。この構成は、上述した従来のゲッタの少なくとも最初の二つの主要な欠点を排除することができるように意図された。リザーバに大量のCs(数グラム)を充填することが可能であることを考え、かつ小さい開口が試料の近くに配置される銃端片を使用することによってCsビームを有用ゾーンに視準することができることを考えると、実際、実用寿命は猛烈に(1000倍)増大することができる。最後に、蒸発器に純粋金属Csが装填されるので、Cs堆積物を他の元素の痕跡で汚染する危険性も低減される。
【0068】
1.2 概要
本発明のCMS機械のために特別に開発されたCs蒸発器は、図5に示すように二つの別個の部分を含む。第一部分はCMS装置の主室の内部に完全に配置され、第二部分は40CFフランジを使用して室外に取り付けられる。主室に対するそれらのそれぞれの位置のため、二つの部品をこれからは「内側」および「外側」部分と呼ぶ。
【0069】
1.2.1 外側部分
蒸発器の外側部分は、実際の蒸発ブロック1と、気体Csのストリームを蒸発器の内側部分に向かって誘導する管(一次管2)とを含む。それはゲート弁4によってCMS機械の主室3から分離され、独立して排気または通気することができる。
【0070】
蒸発ブロック1は、中実鋳造ステンレス鋼部品である。このブロックは、金属Csを含むリザーバ5がその中で摺動する円筒状の筺体を含む。このリザーバの最大容量は7.6gのCsである。液体Csが蒸発器の容積全体に流出するのを防止するために、蒸発ブロックは、重力の効果により液体Csが全部リザーバの底に残るような傾斜角度で、蒸発器の外側部分に取り付けられる。気体Csを得るために、リザーバの筺体は、Csの蒸発に必要な熱エネルギを供給することのできる「サーモコアックス(Thermocoax)」型電熱線6を巻回される。リザーバの温度は、リザーバの端に螺着されたクロメル・アルメル熱電対7によって測定される。
【0071】
蒸発ブロックの出口で、Cs蒸気は、8mmの直径および180mmの長さをも有し、ガスを蒸発器の内側部分の入口に向かって誘導する、ステンレス鋼管の8mm穴を通して逸出する。この誘導管の壁におけるCsの凝縮を防止するために、管は溝に挟まれた電熱線8を巻回される。
【0072】
外側および内側部分は、蒸発器5が動作しないときに蒸発ブロックを主室3から分離することを可能にするゲート弁4によって分離される。蒸発器が動作しているときは、二つの部分は、ベローズ式平行移動器9によって外側部分を移動させることによって、相互接触状態に戻される。
【0073】
1.2.2 内側部分
蒸発器の内側部分は、中性Csのストリームを、分析室3の汚染を防止するために充分に低減された直径のジェットの形で、分析対象のゾーンに送り出すために働く。有用ゾーンにおけるCsのスポットの最適配置を可能にするように距離および傾斜を調整可能な結合器10によって、内側部分全体がCMS機械の主室に取り付けられる。蒸発器の軸線は、試料の法線に対し45°の角度を形成する。
【0074】
外側部分の誘導管の端片が平行移動器9によって内側部分のエントリプレート(entry plate)と接触する状態になると、Cs蒸気は、8mmの内径および177mmの長さを有する第二ステンレス鋼管11内に蔓延することができる。この管11の端に金属支持板があり、その上に、ステッパモータ17によって駆動される連続的に可変の幅16のスリットを持つディスクを使用して、Csのストリームを0から100%の間で連続的に調整することを可能にする、電動式閉塞システム12が装着されている(図6参照)。
【0075】
閉塞システム12の出口には銃の端片13が配置されており、それはCsのジェットの直径をさらに低減するのに役立つ。この端片は、直径2mmの逃げ穴2を持つ円錐で終端する、長さ45mmで内径5mmのステンレス鋼の円筒体によって形成される。
【0076】
内側部分の管は全て、第二電熱線14によって加熱することができる。温度は別のクロメル・アルメル熱電対15によって銃の端片で監視される。
【0077】
1.3 特徴付け
1.3.1 熱的挙動
外側および内側部分は、それらの異なる重量および環境つまり内側部分の真空、外側部分の雰囲気のため、かなり異なる熱的挙動を示す。したがって、二つの管を同一温度に上昇させたい場合、外側部分の加熱要素に対しては、内側部分のそれに対するより、ずっと大きい電力を印加する必要がある。他方、外側部分は受け取った熱のかなりの部分を、蒸発ブロックを介し、かつ表面が放熱器の表面に匹敵する平行移動器のベローズを介して、外部環境に損失するという事実は、蒸発器を停止させる目的で、リザーバの温度をすばやく低下させることを可能にする。
【0078】
内側部分は、様々な管内の凝結および閉塞の危険性を回避するために110℃の温度に急速に上昇させなければならないが、外側部分にもたらされる加熱電力は、Csリザーバの漸進的加熱を保証するために逐次段階的に増大しなければならない。
【0079】
1.3.2 Csの蒸発速度:堆積速度の校正
蒸発器によって送り出される中性Csのストリームを測定できるようにするために、水晶マイクロバランスシステムがCMS機械に設置された。該測定装置は、金層で被覆された水晶結晶を備え、6MHzの動作周波数を持つライボルド・インフィコン(Leybold Inficon)センサから構成される。ライボルド・インフィコンXTM/2堆積監視装置を使用し、かつ水晶に堆積されたCs膜の接着を考慮に入れて慎重に校正した後、我々はこうしてなんとか0.01Å/sの精度でCsのストリームを決定している。これは1秒につき約4×10−3個の単分子層の堆積速度に相当する。
【0080】
センサは、蒸発器と対角的に対向する側の主室のフランジを占有する平行移動システムに、二つの管によって設置される(図示せず)。この組立体は、センサが分析中に抽出光学系から試料と同じ距離に位置する水平軸線上を移動することを可能にする。したがって、センサは、Csのストリームの前の試料が通常配置される位置に移動させることができ、かつ分析のために試料ホルダに置き換えるために取り外すことができる。加えて、該システムのセットアップは、ビームの対角線をセンサで掃引することによって、Csのジェットを通してプロファイルを生成することを可能にする。
【0081】
図7および8は、リザーバの加熱電力を適応させることによって、Csのストリームを調整することを可能にする、校正曲線を示す。印加される電力Pextとは関係なく、蒸発器の内側部分は、分析中ずっと110℃に上昇される。これらの校正曲線から、希望する1Å/s程度の試料上のCsの堆積速度は、妥当な加熱電力および温度で達成することができると結論付けることができる。
【0082】
曲線7および8は、リザーバに印加される加熱電力Pextおよびリザーバの温度の関数としての堆積速度の指数関数的変化を示すので、温度をわずか数度上げることにより、いっそう大きい流量が可能となるようである。
【0083】
最後に、加熱および蒸発器の流量の安定化段階が結果的に、蒸発器の始動後約90分の時間内に1Å/sの堆積速度を達成することを可能にすることに言及しておく。
【0084】
1.3.3 圧力条件
蒸発器が必要な流量を出力するために必要なリザーバの温度範囲(70℃ないし90℃)は、Cs飽和圧力曲線によると、発生源の1×10−4mbarと4×10−4mbarとの間の圧力範囲に対応する。リザーバを主室に接続し、それを通して排気が実行されるパイプの長さ(約40cm)および小さい直径(2mmから8mmの間)に鑑みて、この値は現実的であるように思われる。
【0085】
加えて、蒸発器の運転中、分析室の圧力は全く許容水準に維持されることを、我々は観察している(0.3Å/sから3.5Å/sの間の堆積速度に対し、4×10−8mbarないし1×10−7mbar)。
【0086】
1.3.4 堆積速度の安定性
様々な加熱電力に対し、かつしたがって様々な値の蒸発器の流量に対し、マイクロバランスコントローラによって示された堆積速度を記録することによって(図9のPex=85Wの場合の例を参照されたい)、我々は60分にわたって堆積速度の安定性ΔV/V=2%を決定した。
【0087】
1.3.5 Csビームの寸法
試料におけるCsのスポットの直径を評価するために、我々は、平行移動システムを使用して水晶バランスをその水平軸上で移動しながら、様々な加熱電力に対し、水晶バランスで堆積速度を測定した(図10の例を参照されたい)。
【0088】
発生したCsのスポットの直径を決定するための第一の方法は、ガウス分布でビームのプロファイルを近似することに存する。この場合、我々は7.5mmの平均曲線幅を得ている。中間高さの幅を基準として選択することにより、スポットの直径は8.7mmに評価することができる。最後に、プロファイルの基部(V=0)の平均幅は18.5mmである。
【0089】
試料ホルダの寸法(10cm×7.5cm)を考えると、蒸発器によって送り出されるCsのストリーム全体がこのプレート上に閉じ込められたままであり、したがって分析室の汚染を恐れる理由は無いと結論付けることができる。
【0090】
加えて、形成されたビームのプロファイルから、Csの最大強度が二次光学系の抽出ノーズの真下に存することが確認された。これは、スポットが分析対象のゾーンに正しくセンタリングされていることを意味する。
【0091】
1.3.6 Cs堆積物の純度
Cs堆積物の清浄度は、分析中のCs蒸発器の使用の重要なポイントである。不純物によるCs蒸気の汚染は、問題の元素の信号が変動する強度の背景雑音によって影響されることを考えると、特定の元素に対する検出限界の増大を導く。
【0092】
堆積したCsの層の元素分析を二種類の手段によって実行した。第一に、Csのストリームに暴露したSiおよびAsGaの試料に、Gaイオンを衝突させ、したがってインサイチュで質量スペクトルを記録することができた。第二に、これらの実験の最後に、Cs(133a.m.u)とSi(28a.m.u)との間の質量の差が電子撮像における適正なコントラストを保証しなければならないことを考えて、使用したSiの試料をCMS機械から取り出して、ライカ(Leica)430i走査型電子顕微鏡(LEO)で調査した。この第二分析ではEDXスペクトルが顕著に発生した。
【0093】
SIMS分析およびSEM分析で得られたスペクトルを、SiおよびAsGaの手付かずの試料で事前に生成された同型のスペクトルと比較した。この比較は、蒸発器が表面にCsを堆積している間に生成される質量スペクトルが、手付かずの試料のスペクトルと同一ピーク、およびSiまたはAsGaの試料におけるCs原子の存在による典型的なピーク(SiCsまたはAsCsと共にCs、Cs、GaCs)から構成されることを示している。しかし、汚染の明示的な痕跡は無い。我々は、例えばこの文脈で、Csバルブに含まれる不純物を特徴付けるものであるかもしれないアルカリ元素NaおよびKのピークが、著しく高い強度では現れないことを観察している。
【0094】
EDXスペクトルに関しては、堆積後に記録されたスペクトルがOのかなり明瞭なピークを含むことを、我々は明記することができる。これは、試料に堆積したCsが、CMS装置とSEMとの間の試料の移送中に周囲の空気と反応して、Cs酸化物が形成されたことによって説明することができる。
【0095】
これらの結果に照らして、1Å/s付近の典型的な速度でのCsの堆積が、標準Gaボンバードメント条件下で実行される分析を阻害するおそれのある、いかなる検出可能な主要な汚染を導かない、と結論付けることができる。
【0096】
2.実験手順
2.1 原理
2.1.1 特性パラメータτ
Cs濃度は、試験を目的としてGaイオンのビームであった分析ビームによって送り出される電流と、蒸発器によって堆積されるCsの量との間の比率によって調整される。
【0097】
分析条件を特性化するために、CsのストリームとGa電流との間の比率を堆積速度Vおよびエロージョン速度Verによって表わすパラメータτを定義する。

【0098】
したがって、今、定性的に、Cs濃度(CCs)およびパラメータτは逆方向に変化すると主張することができる。τが大きくなればなるほど、スパッタされる物質の量が増加し、Csの比率が低下する。
【0099】
2.1.2 生成されるCs濃度
密度ρの試料について考えよう。考察する試料の型の一次ボンバードメント条件を特徴化するスパッタ率をYで指定し、形成されるCsの層の原子密度をρCsで指定すると、Cs濃度は次のように書くことができる。

【0100】
上記の関係に従って、Cs濃度が、Csのエロージョン速度および堆積速度自体の値ではなく、それらの間の比率τと共に、分析される試料の特性、例えばその密度ρおよび所定のボンバードメント条件の場合のそのスパッタ率などに依存することに、注目することが重要である。
【0101】
2.2 実験研究
2.2.1 実験の条件
Csの堆積を伴うGaボンバードメントから成る分析の方法を実際に試験するために、アルミニウム、シリコン、およびニッケルなどの物質が仕事関数目盛でかなりの範囲を網羅することを考えて、我々はこれらの物質の試料を使用した。
【0102】
様々な値の堆積速度Vを得るために、Csの蒸発器のリザーバをさまざまな電力で加熱した。
【0103】
Ga銃を28keVのエネルギで動作させ、+4500Vで分極させた試料を抽出ノーズから距離d=2.5mmに配置した。これらの条件は結果的に、E=23.5keVの衝撃エネルギでθ=54°の一次イオンの入射角度を生じる。
【0104】
堆積速度を一定に維持しながら同時に、パラメータτを変動させることができるようにするために、我々は、走査面の寸法を適応させることによって、Gaイオンのボンバードメント密度を変化させた。
【0105】
対応する実験条件の要約を表1に掲げる。
【表1】

【0106】
2.2.2 アクセス可能なCs濃度範囲
図11は、一例で、アルミニウム試料について、堆積されたCsの量、分析される体積に組み込まれたGaイオンの数、およびスパッタ体積が分かっているときに、四種類のCs堆積速度に対する所定のエロージョン速度範囲にわたって、実験的に決定されたCs濃度の変化を示す。
【0107】
Csのこれらの実験値と、関係が確立された理論的展開との間の比較を可能にするために、各測定点について、エロージョン速度と堆積速度との間の比率τを計算し、こうして得られた全ての点を同一グラフ上に描画した。
【0108】
この変換作業から結果的に得られたアルミニウム試料の実験曲線を、パラメータτの関数としてCCsのそれぞれの理論的挙動と一緒に、図12に示す。
【0109】
図12から幾つかの結論を引き出すことができる。まず第一に、理論的関係によって供給される結果、つまりCCsの値がエロージョン速度と堆積速度との間の比率のみに依存し、個々の値には依存しないことが、実験的に裏付けられた。エロージョン速度目盛をパラメータτ目盛に変換すると、各試料に対して得られた四つの曲線はほぼ完全に重なる。
【0110】
第二に、グラフは、約6を超えるτの値について、実験結果と理論的予測との間の非常に優れた一致を示す。より低い値については、二つの曲線間のギャップがだんだん広がるが、それらの概観(曲線の形状)は概して同一であり続ける。この関係を確立するときに遭遇した理論的方程式(2)の有効性の領域に関して、同じ限界があることが分かっている。つまり、Cs濃度が大きすぎないこと、つまりτが小さくなりすぎないことを前提として、理論的予測は正しい。
【0111】
2.2.3 達成される有用収率の考察
試料にイオンビームをスパッタしながら、同時に中性Csを堆積することによって検出されるCsおよびMCsクラスタの分析の感度を表わす有用収率は、エロージョン速度と堆積速度との間の比率τのみに依存し、これらの二つの速度自体の値には依存しないことが、系統的な研究から明瞭に示された(図13の例を参照されたい)。したがって、我々は次の推移性規則を実験的に確認することができた。つまり、有用収率がCs濃度の関数であることを前提として、この後者の値はパラメータτに依存するので、CsおよびMCsクラスタの有用収率はτの関数である。
【0112】
2.3 CMS装置とカメカのIMS 4fおよびIMS LAMとの間の性能の比較
Csの同時堆積を使用してイオンビームによってスパッタリングする方法について上で決定された有用収率の最大値と、同じ三つの試料について、標準条件下、すなわち+4500Vの抽出電圧および10keVの一次エネルギで動作するカメカ(Cameca)のIMS 4fおよびカメカのIMS LAM装置で達成されたものとを同一比較表に要約することは興味深い(表2)。
【0113】
これらの三つの装置は同一の二次光学系を使用しており、測定は、これらの二次光学系の透過率が同一であることを示した。
【表2】

【0114】
Csの堆積物を使用して決定される有用収率は、従来のカメカ装置で得られた対応する値より高くなり(低仕事関数の物質の場合)、かつごくわずかに低くなる(高仕事関数の物質の場合)。これらの相違は、Cs堆積物によって誘発される仕事関数の変動、Csのイオン化の可能性から生じる還元、クラスタ形成プロセス、関与する相手の空間的および時間的相関等のような要因を考慮することによって説明することができる。
【0115】
得られた有用収率に関するこの比較を、MCsモードでの分析中のCsのスパッタリング段階と打込み段階の分離の成功と合わせて考慮すると、Cs堆積物の潜在的可能性は否定できない。
【0116】
2.4 自動化
二次信号の連続記録は、分析条件が最適化されたことを任意の瞬間に検査することを可能にし、かつ必要ならば、例えば一つの層から別の層への移行時に、閉塞システムを介して中性Csのストリームを適応させることを可能にする。この連続的かつ自動的最適化の原理は次の通りである。
【0117】
瞬間tおよびt+dtにおける様々な強度の値を比較することにより、我々はΔIの値を次のように定義する。

【0118】

【表3】

自動化プログラム手順は最終的に次の通りである。

【0119】
閉塞子の電子機器は自動化システムに直接連結され、その命令に対して反応する。ΔOPEN=1の場合、シャッタの開口が増大する。ΔOPEN=0の場合、開口は減少する。
【0120】
2.5 結論
Csの同時堆積を伴うGaイオンの一次ボンバードメントから構成される分析技術は実際、Cs濃度を全範囲にわたって連続的に変化させることができることを、我々は示してきた。この範囲の値は、分析される物質の特性、およびエロージョン速度と堆積速度との間の関係のみに依存し、これらの二つの速度の個々の値には依存しない。
【0121】
我々の実験は、試料にGaイオンビームをスパッタしながら、同時に中性Csを堆積することによって、非常に有望な有用収率で、MCsモードでの分析を実行することが可能であることを立証した。我々は、検出されたCsおよびMCs信号の挙動が、エロージョン速度と堆積速度との間の比率τのみに依存し、これらの二つの速度の値そのものには依存しないという事実を明らかにした。
【0122】
これは、深さ分解能の改善を視野に入れた低エネルギ一次ボンバードメントの展望内で非常に重要になる。この場合、スパッタ率およびしたがってエロージョン速度は非常に低い値を取る。次いで堆積速度を低下して、パラメータτの最適値を達成することにより、我々は関心を持っている二次信号を最適化することに成功している。
【0123】
3.適用例
この段落で、この分析技術の少数の適用例を提示する。これらを目的として、我々はSIMS技術の二種類の主な適用、つまり深さプロファイルおよびイオン撮像を区別する。
【0124】
3.1 深さプロファイル
3.1.1 SiへのMgおよびInの打込み
考慮した試料は、300keVのエネルギで原子1015個/cmのドーズのマグネシウムおよびインジウムイオンが打ち込まれたシリコン基板から成る。
【0125】
関係する元素はMCsクラスタの形ではっきり現れるので、この試料の深さプロファイルは、MgCs、InCs、およびSiCs信号を記録することによって作成した。加えて、実験条件の安定性の指示を得るために、CsおよびGaの二次強度を測定した。表4は対応する実験条件の要約を示す。
【表4】

【0126】
研究の過程で確立された結果に従って、我々は、パラメータτがSiマトリックスからMCsクラスタの形成にとって最適値(τ=4.5)に近くなるように、一次ボンバードメント密度およびCsの堆積速度を選択した。実際、選択した実験条件は6.5Å/sのエロージョン速度を導き、したがって我々は値τ=4.3を達成している。実際には、τのこの値は、CsおよびMCsの二次強度に共通する臨界しきい値に位置付けるために、所定の一次電流強度および所定の堆積速度に対する一次ラスタの寸法を変化させることによって調整される。
【0127】
図14は、我々の分析技術により非常に優れた品質の打込みプロファイルを得ることが可能になることを示す。同一打込みエネルギでより低い質量のため、Mgイオンは試料内により深く浸透した。また、一次元素にリンクしたマトリックス信号は、分析中完全に安定し続けたことも言及しておくべきである。
【0128】
3.1.2 AlへのTiおよびCuの打込み
第二の例は、180keVのエネルギで原子1016個/cmのドーズのチタンおよび銅イオンが打ち込まれたアルミニウムの試料から成る。
【0129】
再び、全ての関心元素をMCsクラスタの形で検出することができ、したがってTiCs、CuCs、およびAlCs信号を、CsおよびGaと共に、時間の関数として測定した。
【0130】
その低仕事関数の結果、アルミニウムマトリックスは、Siの場合よりずっと大きくCs堆積物に対し反応する。その結果として、MCsクラスタの形成の実験研究中に確立された結果に従って、我々はパラメータτをより高い値に設定した。
【0131】
CsおよびMCsの二次強度に共通する臨界しきい値に位置付けるために、一次ラスタの寸法を適応させることにより、我々はτ=5.6の値に達し、これはAlマトリックスからのMCsクラスタの分析に最適であると決定されている値(τ=5.9)と充分に一致する。表5は実験条件の要約を示す。
【表5】

【0132】
3.1.3 InPへのFおよびAlの打込み
二つの第一深さプロファイルではもっぱらMCs型の信号のみを測定したが、この第三の例については、MCsクラスタの形で分析される陽性元素、この場合はAlと、MCsクラスタの形で最もよく検出される陰性元素すなわちFとの両方を打ち込んだ、InPの試料を選択した。Alの打込みエネルギは180keVであり、Fのそれは、その低い原子質量のため、130keVに低減された。二つの元素の打込みドーズは原子1016個/cmに設定された。
【0133】
この深さプロファイルについては、したがって、MCsおよびMCs型のイオンを、分析条件の安定性の標識として働くCs、Cs、およびGa二次信号と共に、記録する必要がある。τの最適値が考慮する特定の型の二次イオン(Cs、Cs、MCsおよびMCs)に依存することを考慮すると、全ての信号を同時に最適化することはできず、したがって我々はパラメータτの設定に関し妥協せざるを得ない。一次ラスタの寸法を変化させることによって、MCsイオン(AlCs、InCs、PCs)およびFCsクラスタの最適なτ値を実験的に決定した後、分析のためのτの最終値を中間値(τ=7.5)に設定し、関心のある全ての信号の主要な二次強度を導いた。表6は対応する実験条件の要約を示す。
【表6】

【0134】
図16で、全てのマトリックス信号(PCsおよびInCs)が一次元素(Cs、Cs、およびGa)にリンクされたものと共に、安定するのに約90秒かかることが観察される。この初期不安定性は、非常に容易にスパッタされるこの種の物質について、かなりの遷移状態の存在を示している。
【0135】
打ち込んだ二つの元素に関し、記録された打込みプロファイルは非常に良好な品質であることが再び観察される。
【0136】
3.2 イオン撮像
試料の表面を微細なGaイオンビームで走査しながら、同時にそれにCs原子を堆積することによって、MCsモードでイオン画像を生成する能力を実証するために、四種類の元素を連続的に検出することによってグリッドの画像を記録した(図17)。
【0137】
選択したグリッドは、幅5μmの銅バーを20μmの間隔で組み込んだアルミニウムの基板から成る。
【0138】
イオン画像の拡大が一次掃引の寸法に依存し、かつ強力な二次強度は必要ないことを考えると、パラメータτはこの例では最適化されない。表7は対応する実験条件の要約を示す。
【表7】

【0139】
CuCsおよびAlCs二次イオンを検出することにより、グリッドを形成するバーおよびこれらのバーによって囲まれた領域だけがなんとか表示される。しかし、CsまたはCs信号を記録すれば、バーの間の領域が浮き上がったように見えるコントラスト画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】アルミニウム試料について、Cs濃度の関数としての有用収率(つまり感度)の展開を示す(CsまたはCs/Ga一次イオンボンバードメント)。
【図2】二種類の分析モード、つまり純粋CsボンバードメントおよびCs/Ga同時ボンバードメントについて、シリコン試料に打ち込まれたCs濃度の深さの展開を示す。
【図3】スパッタリング段階およびCs組込み段階を一つにまとめる分析(a)、およびこれらを二つの段階に分離する分析(b)の原理を示す。
【図4】三種類の分析モード、つまり純粋Csボンバードメント、Cs/Ga同時ボンバードメント、および図2との相違に対応するGaボンバードメントとCs堆積について、シリコンにおけるCs濃度の深さの展開を比較して示す。
【図5】外側部分および内側部分がゲート弁によって分離された、本発明のCs蒸発器の概略的全体図を示す。
【図6】好適な閉塞子の実施形態の略図を示す。
【図7】中性セシウムリザーバに伝達された加熱エネルギの関数としての試料上のCs堆積速度の変化を示す。
【図8】前記リザーバの温度(mV単位)の関数としての試料上のCs堆積速度の変化を示す。
【図9】85Wのリザーバ加熱電力の場合に1時間にわたって水晶マイクロバランスコントローラによって示されたCs堆積速度の変動を示す。実線は平均値を示す。
【図10】水晶バランスの様々な位置について、堆積速度を決定することによって記録されたCsビームのプロファイルを示す。横座標0は、二次イオン抽出ノーズの真下にある位置に対応する。連続曲線は実験値のガウス近似である。
【図11】アルミニウム試料について、様々なエロージョン速度に対する四種類のCs堆積速度で実験的に決定されたCs濃度の変化を示す。
【図12】アルミニウム試料について、パラメータτの関数としてのCs濃度の実験的変化(四角)および理論的変化(実線曲線)を示す。
【図13】アルミニウム試料のスパッタAlCsクラスタの有用収率の変化を特性パラメータτの関数として示す。
【図14】MgおよびInの打込みを受けるSi試料のSIMS深さプロファイルを示す。
【図15】TiおよびCuの打込みを受けるAl試料のSIMS深さプロファイルを示す。
【図16】FおよびAlの打込みを受ける試料のSIMSの深さプロファイルを示す。
【図17】Al/Cuグリッドの同一領域のAlCs、CuCs、CsおよびCsの二次イオン画像をそれぞれ示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析目的で表面の電子的特性を変化させる方法において、視準された調整可能なストリームの形で使用可能な中性セシウム(Cs)を超高真空下でインサイチュ堆積することに存することを特徴とする方法。
【請求項2】
Csのストリームは:
− 金属セシウムリザーバを含む蒸発器の温度調整、および/または
− セシウムストリームの経路に配置された電動式閉塞子のアパーチャ制御、
によってカラム内に提供され視準されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Csの堆積は同時に、表面からの分析のための粒子のビームの放出を誘発するように意図された、電子および/またはイオンまたは中性原子または原子群を含む一次ボンバードメント、またはX線照射を伴うことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
好ましくはMCsモード(x=1、2)で動作する、静的または動的二次イオン質量分析法(SIMS)に結合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Csの堆積速度は、毎秒約0〜4個の単分子層に対応する0から10Å/sの範囲で連続的に調整可能であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電子分光法に結合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
電子分光法は、オージェ電子分光法(AES)、電子エネルギ損失分光法(EELS)、X線光電子放出分光法(XPS)、および紫外光電子放出分光法(UPS)からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
分析のための二次ビームは、二次電子および/またはCsn+および/またはMCsn+正クラスタおよび/またはMn−負イオンおよび/またはMm+正イオンを含み、Mは原子または原子群で作られた試料物質の成分である(n、mは整数)ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
MCsモードでの分析中、堆積されたCsの濃度および深さ分解能などの分析特性の同時最適化において、スパッタリングおよびCs注入の段階は切り離すことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
深さ分解能は、分析のためのボンバードメント条件のみに依存することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
超高真空下で蒸発するCs以外の化学元素のストリームに、Mn+クラスタまたはMm−イオンまたはMm+イオン(n、mは整数)または電子の分析目的の二次放出を発生させることをさらに可能にし、ここでMおよびMはそれぞれ、Cs以外の化学元素を構成する原子または原子群、および試料からの原子または原子群であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
CsまたはCs以外の化学元素の最適値への唯一の調整可能な堆積速度は、試料によって放出される二次粒子の強度を最適化することを可能にすることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
リザーバの温度範囲は、1×10−4から4×10−4mbarの圧力範囲に対応する70℃から90℃の間に維持されること、および堆積速度の安定性は60分にわたって約2%であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ボンバードメント分析モードでは、堆積されたCsの濃度は、Csおよび試料それぞれの密度(ρCs、ρ)、所定のボンバードメント条件でのスパッタ率(Y)、およびCsエロージョン(Ver)と堆積(V)速度の間の比率(τ=Ver/V)のみに関係することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
二次放出種、好ましくはMn−、Mm+、およびさらに好ましくはCsn+およびMCsn+の有用収率つまり感度が、個別に得られるそれぞれのエロージョンおよび堆積速度にではなく、概して前記比率(τ)だけに関連付けられること、および前記比率(τ)の最適値を達成するようにCsの堆積速度を調整することにより、二次信号が最適化可能であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Csのストリームは、閉塞子を介して、自動的にかつ連続的に適応されることを特徴とする請求項8〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
純粋中性セシウムの調整可能かつ安定なストリームを送り出すことが可能であり、好ましくは一次ボンバードメントまたは一次照射カラムと同時に使用可能である中性セシウム(Cs)堆積カラムを含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の方法を実行するためのエネルギおよび/または質量分析装置。
【請求項18】
一次ボンバードメントカラムと、二次イオン抽出手段、好ましくはTOF(飛行時間)型、四極型、または磁場型の質量分析計、およびイオン検出手段を備えた二次カラムとを含むことを特徴とする、請求項17に記載の装置、好ましくは静的または動的二次イオン質量分析(SIMS)装置。
【請求項19】
前記中性セシウムカラムは、純粋金属セシウムが充填され、温度制御手段(6,7)を装備し、管(2,11)によって試料の近くに配置されかつビーム視準手段(12)を装備した銃端部品(13)まで延長されたリザーバ(5)を含む、蒸発ブロック(1)を備えることを特徴とする請求項17または18に記載の装置に使用可能な中性セシウムカラム。
【請求項20】
前記ビーム視準手段は、好ましくは連続的に可変の幅のスリット(16)を使用する回転ディスクであってステッパモータ(17)によって駆動される回転ディスクを備える、電動式の連続調整可能な閉塞子(12)を備えることを特徴とする請求項19に記載の中性セシウムカラム。
【請求項21】
動作温度で中性セシウム(Cs)は液状であり、蒸発ブロック(1)は、前記液体が重力効果によりリザーバ(5)の底に残るような傾斜角度にあることを特徴とする請求項19または20に記載の中性セシウムカラム。
【請求項22】
前記管(2,11)およびビーム視準手段(12)を備えた銃端部品(13)は、凝縮および閉塞の危険性を防止するための温度制御手段(8,14,15)をさらに装備することを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の中性セシウムカラム。
【請求項23】
蒸発ブロック(1)は、ゲート弁(4)によって装置の主室(3)から分離することができ、かつ別個に排気および通気を行なうことができる外側部分に配置されることを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の中性セシウムカラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析目的で試料表面の電子的特性を変化させる方法であって、視準された調整可能なストリームの形で使用可能な中性セシウム(Cs)を超高真空下でインサイチュ堆積することに存することを特徴とし、前記Csの堆積は同時に、表面からの分析のための粒子の二次放出またはスパッタリングを誘発するように意図された、電子および/またはイオンまたは中性原子または原子群を含む、少なくとも一つのビームの形の前記表面の一次ボンバードメント、またはX線照射を伴うものであり、前記スパッタリングは、二次電子および/またはCsn+および/またはMCsn+正クラスタ(x=1,2)および/またはMn−負イオンおよび/またはMm+正イオン(n、mは整数)を含み、Mは原子または原子群で作られた試料物質の成分であり、Csの堆積は、一次ボンバードメント条件から切り離され、堆積されたCsの濃度および深さ分解能などの分析特性の同時最適化を提供する方法において、前記最適化された堆積されたCs濃度は、所定の試料および所定の一次ボンバードメント条件に対して、エロージョン速度(Ver)とCs堆積速度(V)の間の比率(τ=Ver/V)を調整することによってのみ選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記最適化された堆積されたCs濃度は、下記関係に従って連続的に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法:

式中、ρは試料成分の密度であり、ρCsは形成されたCsの層の原子密度であり、Yは考慮される試料の一次ボンバードメント条件を特徴化するスパッタ率である。
【請求項3】
Csのストリームは:
− 金属セシウムリザーバを含む蒸発器の温度調整、および/または
− セシウムストリームの経路に配置された電動式閉塞子のアパーチャ制御、
によってカラム内に提供され視準されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
リザーバの温度範囲は、1×10−4から4×10−4mbarの圧力範囲に対応する70℃から90℃の間に維持されること、および堆積速度の安定性は60分にわたって約2%であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
好ましくはMCsモード(x=1、2)で動作する、静的または動的二次イオン質量分析法(SIMS)に結合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Csの堆積速度は、毎秒約0〜4個の単分子層に対応する0から10Å/sの範囲で連続的に調整可能であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電子分光法に結合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
電子分光法は、オージェ電子分光法(AES)、電子エネルギ損失分光法(EELS)、X線光電子放出分光法(XPS)、および紫外光電子放出分光法(UPS)からなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
超高真空下で蒸発するCs以外の化学元素のストリームに、Mn+クラスタまたはMm−イオンまたはMm+イオン(n、mは整数)または電子の分析目的の二次放出を発生させることをさらに可能にし、ここでMおよびMはそれぞれ、Cs以外の化学元素を構成する原子または原子群、および試料からの原子または原子群であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
CsまたはCs以外の化学元素の最適値への唯一の調整可能な堆積速度は、試料によって放出される二次粒子の強度を最適化することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
二次放出種、好ましくはMn−、Mm+、およびさらに好ましくはCsn+およびMCsn+の有用収率つまり感度が、前記比率(τ)だけを調整することにより、ほぼ最適化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Csのストリームは、閉塞子を介して、自動的にかつ連続的に適応されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項13】
純粋中性セシウムの調整可能かつ安定なストリームを送り出すことが可能であり、一次ボンバードメントまたは一次照射カラムと同時に使用可能である中性セシウム(Cs)堆積カラムを備え、かつ純粋金属セシウムが充填され、温度制御手段(6,7)を装備し、管(2,11)によって試料の近くに配置されかつビーム視準手段(12)を装備した銃端部品(13)まで延長されたリザーバ(5)を含む、蒸発ブロック(1)を備える、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実行するためのエネルギおよび/または質量分析装置において、前記管(2,11)およびビーム視準手段(12)を備えた銃端部品(13)は、凝縮および閉塞の危険性を防止するための温度制御手段(8,14,15)をさらに装備することを特徴とする装置。
【請求項14】
蒸発ブロック(1)は、ゲート弁(4)によって装置の主室(3)から分離することができ、かつ別個に排気および通気を行なうことができる外側部分に配置されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ビーム視準手段は、好ましくは連続的に可変の幅のスリット(16)を使用する回転ディスクであってステッパモータ(17)によって駆動される回転ディスクを備える、電動式の連続調整可能な閉塞子(12)を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
動作温度で中性セシウム(Cs)は液状であり、蒸発ブロック(1)は、前記液体が重力効果によりリザーバ(5)の底に残るような傾斜角度にあることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
一次ボンバードメントカラムと、二次イオン抽出手段、好ましくはTOF(飛行時間)型、四極型、または磁場型の質量分析計、およびイオン検出手段を備えた二次カラムとを含む、請求項13〜15のいずれかに記載の装置、好ましくは静的または動的二次イオン質量分析(SIMS)装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2006−504090(P2006−504090A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546026(P2004−546026)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012074
【国際公開番号】WO2004/038395
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505154532)
【Fターム(参考)】