説明

分波器

【課題】分波器の低背化を実現しつつ、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を改善すること。
【解決手段】本発明は、複数の層が積層されたパッケージ基板24と、複数の層のうちダイアタッチ層26の上面に実装された弾性波フィルタである送信フィルタ12及び受信フィルタ14と、ダイアタッチ層26の上面に送信フィルタ12及び受信フィルタ14を囲んで設けられたシールリング38と、複数の層のうちダイアタッチ層26より下層にある線路パターン/フットパッド層28の上面に設けられ、送信フィルタ12と送信端子78との間を電気的に接続する送信線路パターン60と、線路パターン/フットパッド層28の上面に設けられ、受信フィルタ14と受信端子80との間を電気的に接続する受信線路パターン62と、を備え、ダイアタッチ層26の厚さt1は線路パターン/フットパッド層28の厚さt2よりも厚い分波器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分波器に関し、特に、複数の層が積層されたパッケージ基板を有する分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の発達に伴い、携帯電話や携帯情報端末等の移動体通信機器が普及している。例えば携帯電話においては、800MHz〜1.0GHz帯、及び1.5〜2.0GHz帯といった高周波帯域が使用されている。これに対応するため、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタや圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)等の弾性波フィルタを用いた分波器が使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、パッケージ基板の上面にフリップチップ実装された弾性波フィルタを、半田等により封止した電子部品が開示されている。例えば特許文献2には、複数の層が積層されたパッケージ基板を用い、パッケージ基板の上面にフリップチップ実装された送信用弾性波フィルタ及び受信用弾性波フィルタを半田等により封止した分波器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−203149号公報
【特許文献2】特開2009−296508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、例えば携帯電話おいて、マルチバンド・マルチモード化が進展していることに加え、無線LAN、GPS(Global Positioning System)といった付属の無線インターフェースの搭載も行われて高機能化が進んでいる。こうした状況の中、分波器への小型化、低背化の要求が強くなっている。
【0006】
分波器の低背化を実現するために、パッケージ基板の薄化が進められている。このため、複数の層が積層されたパッケージ基板では、各層の厚さが薄くなる傾向にあり、各層間において、それぞれの層に設けられたパターンが近づくこととなる。その結果、ある層に設けられた送信線路パターンと他の層に設けられた金属パターン、及び、ある層に設けられた受信線路パターンと他の層に設けられた金属パターンとが電磁結合してしまう場合がある。これにより、送信線路パターンと受信線路パターンとの間で金属パターンを介して信号の漏洩が発生し、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性が劣化してしまう場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、分波器の低背化を実現しつつ、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を改善することが可能な分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の層が積層されたパッケージ基板と、前記複数の層のうち第1の層の上面に実装された弾性波フィルタである送信フィルタ及び受信フィルタと、前記第1の層の上面に前記送信フィルタ及び前記受信フィルタを囲んで設けられた金属パターンと、前記複数の層のうち前記第1の層より下層にある第2の層の上面に設けられ、前記送信フィルタと送信端子との間を電気的に接続する送信線路パターンと、前記第2の層の上面に設けられ、前記受信フィルタと受信端子との間を電気的に接続する受信線路パターンと、を備え、前記第1の層の厚さは前記第2の層の厚さよりも厚いことを特徴とする分波器である。本発明によれば、低背化を実現しつつ、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることを抑制できる。つまり、低背化を実現しつつ、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を改善することが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記送信線路パターン及び前記受信線路パターンは、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域以外の領域に設けられている構成とすることができる。この構成によれば、送信線路パターン及び受信線路パターンと金属パターンとの間の電磁結合が小さくなるため、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることをより抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性をより改善することができる。
【0010】
上記構成において、前記送信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第1導体パターンと、前記受信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第2導体パターンと、を備え、前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの少なくとも一方は、同電位となる前記送信線路パターン又は前記受信線路パターンよりも狭い幅を有する構成とすることができる。この構成によれば、第1導体パターン及び第2導体パターンと金属パターンとの間の電磁結合が小さくなるため、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることをより抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性をより改善することができる。
【0011】
上記構成において、前記第1導体パターンは前記送信線路パターンよりも狭い幅を有し、且つ前記第2導体パターンは前記受信線路パターンよりも狭い幅を有する構成とすることができる。この構成によれば、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることを更に抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を更に改善することができる。
【0012】
上記構成において、前記送信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第1導体パターンと、前記受信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第2導体パターンと、を備え、前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの少なくとも一方は、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域のうち、前記送信線路パターンに最も近い領域と前記受信線路パターンに最も近い領域とを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている構成とすることができる。この構成によれば、金属パターンを介した第1導体パターンと第2導体パターンとの間の距離を長くすることができるため、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることをより抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性をより改善できる。
【0013】
上記構成において、前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの両方が、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域のうち、前記送信線路パターンに最も近い領域と前記受信線路パターンに最も近い領域とを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている構成とすることができる。この構成によれば、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることを更に抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を更に改善できる。
【0014】
上記構成において、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域には、前記送信線路パターンに電気的に接続する導体パターン及び前記受信線路パターンに電気的に接続する導体パターンのいずれもが設けられていない構成とすることができる。この構成によれば、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることを更に抑制でき、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を更に改善できる。
【0015】
上記構成において、前記金属パターンは接地電位に電気的に接続されている構成とすることができる。この構成によれば、外部からの電磁波に対して、送信フィルタ及び受信フィルタをシールドすることができる。
【0016】
上記構成において、前記金属パターン上に、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタを封止する半田が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、送信フィルタ及び受信フィルタを封止することができる。
【0017】
上記構成において、前記第2の層は上面から見て四角形の形状をしており、前記送信線路パターン及び前記受信線路パターンは、前記四角形を構成する4つの辺のうちの1つの辺側であって、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域側に寄せて設けられている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低背化を実現しつつ、送信線路パターンを伝送する送信信号が金属パターンを介して受信線路パターンに漏れることを抑制できる。つまり、低背化を実現しつつ、送信線路パターンと受信線路パターンとの間のアイソレーション特性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1に係る分波器を説明する回路図の例である。
【図2】図2は、実施例1に係る分波器の断面模式図の例である。
【図3】図3(a)は、ダイアタッチ層の上面を、図3(b)は線路パターン/フットパッド層の上面を、図3(c)は、線路パターン/フットパッド層の裏面を示す模式図の例である。
【図4】図4は、比較例1に係る分波器の断面模式図の例である。
【図5】図5は、実施例2に係る分波器のパッケージ基板を構成する線路パターン/フットパッド層の上面を示す模式図の例である。
【図6】図6は、実施例3に係る分波器のパッケージ基板を構成する線路パターン/フットパッド層の上面を示す模式図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係る分波器を説明する回路図の例である。図1のように、送信フィルタ12が送信用ノード18に接続され、受信フィルタ14が受信用ノード20に接続されている。送信フィルタ12及び受信フィルタ14は、整合回路16を介してアンテナ22に接続されている。なお、受信フィルタ14は整合回路16を介してアンテナ22に接続され、送信フィルタ12は整合回路16を介さずにアンテナ22に接続されている場合でもよい。また、送信フィルタ12は整合回路16を介してアンテナ22に接続され、受信フィルタ14は整合回路16を介さずにアンテナ22に接続されている場合でもよい。即ち、送信フィルタ12及び受信フィルタ14の少なくとも一方は、整合回路16を介してアンテナ22に接続されている。
【0022】
図2は、実施例1に係る分波器の断面模式図の例である。図2のように、パッケージ基板24は、複数の層が積み重なり積層された構成をしている。積層された層としては、例えばダイアタッチ層26、線路パターン/フットパッド層28がある。ダイアタッチ層26の厚さt1は、例えば50μm以上100μm以下であり、線路パターン/フットパッド層28の厚さt2は、例えば30μm以上55μm以下であり、t1>t2の関係が成り立っている。具体的には、ダイアタッチ層26の厚さt1は、例えば100μmであり、線路パターン/フットパッド層28の厚さt2は、例えば50μmである。
【0023】
ダイアタッチ層26の上面にはパッド30が設けられ、送信フィルタ12及び受信フィルタ14は、バンプ32を用いパッド30にフェースダウンでフリップチップ実装されている。バンプ32は、例えば金(Au)や半田等であり、厚さは20μm程度である。また、送信フィルタ12及び受信フィルタ14の高さは、例えば0.1〜0.28mmである。線路パターン/フットパッド層28の裏面には、フットパッド34が設けられている。ダイアタッチ層26及び線路パターン/フットパッド層28はセラミクス等の絶縁体で形成され、導電性材料で形成される線路パターン36やビア(不図示)により、送信フィルタ12及び受信フィルタ14とフットパッド34とは電気的に接続している。なお、パッケージ基板24をプリント基板とすることもできる。
【0024】
送信フィルタ12及び受信フィルタ14は、例えば弾性表面波共振器を用いたラダー型フィルタである。送信フィルタ12と受信フィルタ14とでは、通過帯域が異なっている。また、送信フィルタ12及び受信フィルタ14に、弾性表面波共振器を用いたラティス型フィルタや多重モード型フィルタを用いることもできる。さらに、弾性表面波共振器の代わりに、バルク波を利用した共振器を用いる場合でもよい。
【0025】
ダイアタッチ層26の上面に、ダイアタッチ層26の外周に沿って、金属パターンであるシールリング38が設けられていて、シールリング38上には半田40が接合されている。シールリング38は、半田40との濡れ性に優れた金属である場合が好ましく、例えば表面に金めっきが施されたタングステンを用いることができる。
【0026】
金属キャップ42が、半田40、送信フィルタ12、及び受信フィルタ14上を延在して設けられている。金属キャップ42は、例えばコバール等の金属からなり、厚さは25μm程度である。半田40と金属キャップ42とにより、送信フィルタ12と受信フィルタ14とは封止されている。
【0027】
半田40と金属キャップ42とを覆って保護膜44が設けられている。保護膜44は、例えば金属膜を用いることができ、電界めっきによりニッケルを10nm程度析出させている。ニッケルの他、銅等のめっき膜や蒸着膜で保護膜44を形成してもよい。また、保護膜44を、例えばエポキシ樹脂等の樹脂膜で形成してもよい。保護膜44を設けることで、保護膜44の内側にある半田40が外力や熱により変形してしまうことを抑制できる。
【0028】
次に、図3(a)から図3(c)を用い、パッケージ基板24の各層について説明する。図3(a)は、ダイアタッチ層26の上面を、図3(b)は、線路パターン/フットパッド層28の上面を、図3(c)は、線路パターン/フットパッド層28の裏面を示す模式図の例である。
【0029】
図3(a)のように、ダイアタッチ層26の上面には、例えば表面に金めっきが施されたタングステン等の導体からなり、厚さが10〜15μm程度のパッドが設けられている。パッドは、アンテナ用パッド46、送信用パッド48、受信用パッド50、及びグランドパッド52である。なお、パッドは、例えば表面に金めっきが施された銅等の導電性材料で形成されている場合でもよい。ダイアタッチ層26の上面は四角形の形状をしていて、アンテナ用パッド46は、四角形を構成する第1の辺54の中央部に寄せて設けられている。送信用パッド48は、第1の辺54に対向する第2の辺56の一端側に寄せて設けられ、受信用パッド50は、第2の辺56の他端側に寄せて設けられている。このような配置とすることで、アンテナ用パッド46と送信用パッド48と受信用パッド50とのそれぞれの間隔を広くすることができ、各パッド間のアイソレーション特性を向上できる。また、グランドパッド52を、アンテナ用パッド46と送信用パッド48と受信用パッド50との間に設けることでも、アンテナ用パッド46と送信用パッド48と受信用パッド50との間のアイソレーション特性を向上できる。
【0030】
アンテナ用パッド46、送信用パッド48、及びグランドパッド52上に、バンプを用いて送信フィルタ12がフリップチップ実装されている。送信用パッド48には送信フィルタ12の入力用電極が接続され、グランドパッド52には送信フィルタ12のグランド電極が接続され、アンテナ用パッド46には送信フィルタ12の出力用電極が接続される。
【0031】
アンテナ用パッド46、受信用パッド50、及びグランドパッド52上に、バンプを用いて受信フィルタ14がフリップチップ実装されている。受信用パッド50には受信フィルタ14の出力用電極が接続され、グランドパッド52には受信フィルタ14のグランド電極が接続され、アンテナ用パッド46には受信フィルタ14の入力用電極が接続される。
【0032】
また、ダイアタッチ層26の上面に、送信フィルタ12及び受信フィルタ14を囲んでシールリング38が設けられている。シールリング38は、ビアを介して、線路パターン/フットパッド層28の上面に形成されたグランド線路パターンに電気的に接続している。つまり、シールリング38は、接地電位に電気的に接続されている。
【0033】
図3(b)のように、線路パターン/フットパッド層28の上面には、例えばタングステン等の導体からなり、厚さが7〜10μm程度の線路パターンが設けられている。線路パターンは、アンテナ線路パターン58、送信線路パターン60、受信線路パターン62、及びグランド線路パターン64である。なお、線路パターンは、例えば銅等の導電性材料で形成されている場合でもよい。アンテナ線路パターン58、送信線路パターン60、受信線路パターン62、及びグランド線路パターン64はそれぞれビアを介して、アンテナ用パッド46、送信用パッド48、受信用パッド50、及びグランドパッド52に電気的に接続している。
【0034】
線路パターン/フットパッド層28の上面及び裏面は四角形の形状をしていて、アンテナ線路パターン58は、四角形を構成する第1の辺66の中央部に寄せて設けられている。送信線路パターン60は、第1の辺66に対向する第2の辺68の一端側に寄せて設けられ、受信線路パターン62は、第2の辺68の他端側に寄せて設けられている。グランド線路パターン64は、アンテナ線路パターン58と送信線路パターン60と受信線路パターン62との間に設けられている。このような配置とすることで、アンテナ線路パターン58と送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性を向上できる。また、送信線路パターン60及び受信線路パターン62は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域(図3(b)中の破線部)には延在していない。
【0035】
線路パターン/フットパッド層28の外周部(第2の辺68)から送信線路パターン60に延伸して第1導体パターン70が設けられ、線路パターン/フットパッド層28の外周部(第2の辺68)から受信線路パターン62に延伸して第2導体パターン72が設けられている。つまり、第1導体パターン70は、ダイアタッチ層26の上面に設けられたシールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域のうち、送信線路パターン60に最も近い領域Aに延在して設けられている。同様に、第2導体パターン72は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域のうち、受信線路パターン62に最も近い領域Bに延在して設けられている。第1導体パターン70は、送信線路パターン60に電気的に接続し、第2導体パターン72は、受信線路パターン62に電気的に接続している。
【0036】
第1導体パターン70の幅W1は、送信線路パターン60の幅W2よりも狭くなっている。第2導体パターン72の幅W3は、受信線路パターン62の幅W4よりも狭くなっている。例えば、送信線路パターン60の幅W2と受信線路パターン62の幅W4とが同程度である場合、第1導体パターン70の幅W1と第2導体パターン72の幅W2とは同程度である場合が好ましく、この場合、第1導体パターン70の幅W1及び第2導体パターン72の幅W2は、送信線路パターン60の幅W3及び受信線路パターン62の幅W4よりも狭くなる。
【0037】
線路パターン/フットパッド層28の外周部からアンテナ線路パターン58及びグランド線路パターン64それぞれに延伸して第3導体パターン74が設けられている。つまり、第3導体パターン74は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域に延在して設けられている。第3導体パターン74は、アンテナ線路パターン58又はグランド線路パターン64に電気的に接続している。
【0038】
第1導体パターン70、第2導体パターン72、及び第3導体パターン74は、多面取りを用いて送信線路パターン60等を形成するにあたり、電界めっき法を用いて金めっきを施す場合に全パターンを導通するように設けられた電界めっき用のパターンである。
【0039】
図3(c)のように、線路パターン/フットパッド層28の裏面には、例えば表面に金めっきが施されたタングステン等の導体からなるフットパッドが設けられている。フットパッドは、アンテナ端子76、送信端子78、受信端子80、及びグランド端子82である。アンテナ端子76、送信端子78、受信端子80、及びグランド端子82はそれぞれビアを介して、アンテナ線路パターン58、送信線路パターン60、受信線路パターン62、及びグランド線路パターン64に電気的に接続している。また、アンテナ端子76は、整合回路16を介してアンテナ22に接続される(図1参照)。
【0040】
アンテナ端子76は、線路パターン/フットパッド層28の四角形の裏面を構成する4つの辺のうちの第1の辺66の中央部近傍に設けられている。送信端子78は、第1の辺66に対向する第2の辺68の一端部近傍に設けられ、受信端子80は、第2の辺68の他端部近傍に設けられている。グランド端子82は、第1の辺66の両端部近傍、第2の辺68の中央部近傍、第1の辺66に直交する第3の辺84及び第4の辺86の中央部近傍、線路パターン/フットパッド層28の裏面中央部に設けられている。このような配置とすることで、アンテナ端子76と送信端子78と受信端子80との間のアイソレーション特性を向上できる。
【0041】
ここで、実施例1に係る分波器の効果を説明するための比較対象となる比較例1に係る分波器について説明する。図4は、比較例1に係る分波器の断面模式図の例である。図4のように、パッケージ基板124は、ダイアタッチ層126と線路パターン/フットパッド層128が積層された構成であり、ダイアタッチ層126の厚さt1と線路パターン/フットパッド層128の厚さt2とは等しくなっている。
【0042】
ダイアタッチ層126の上面に、アンテナ用パッド、送信用パッド、受信用パッド、及びグランドパッドであるパッド130が設けられ、送信フィルタ112及び受信フィルタ114が、バンプ132を用いパッド130にフェースダウンでフリップチップ実装されている。線路パターン/フットパッド層128の裏面には、アンテナ端子や送信端子、受信端子、グランド端子であるフットパッド134が設けられている。送信フィルタ112及び受信フィルタ114は、線路パターン/フットパッド層128の上面に設けられたアンテナ線路パターン、送信線路パターン、受信線路パターン、及びグランド線路パターンである線路パターン136やビアを介して、フットパッド134に電気的に接続している。
【0043】
ダイアタッチ層126の上面に、送信フィルタ112及び受信フィルタ114を囲んでシールリング138が設けられ、シールリング138上に半田140が接合されている。半田140、送信フィルタ112、及び受信フィルタ114上を延在して金属キャップ142が設けられ、半田140と金属キャップ142とにより、送信フィルタ112と受信フィルタ114とは封止されている。半田140と金属キャップ142とを覆って保護膜144が設けられている。
【0044】
比較例1に係る分波器では、図4のように、ダイアタッチ層126の厚さt1と線路パターン/フットパッド層128の厚さt2とが等しくなっている。これに対して、実施例1に係る分波器では、図2のように、ダイアタッチ層26の厚さt1は線路パターン/フットパッド層28の厚さt2よりも厚くなっている。これにより、比較例1に係る分波器と実施例1に係る分波器とのパッケージ基板の厚さを同じにした場合、ダイアタッチ層の上面に設けられたシールリングと線路パターン/フットパッド層の上面に設けられた線路パターンとの間隔が、実施例1に係る分波器の方が比較例1に係る分波器に比べて広くなる。したがって、分波器の低背化のためにパッケージ基板を薄くした場合に、送信線路パターン及び受信線路パターンとシールリングとの間の電磁結合は、実施例1に係る分波器は比較例1に係る分波器に比べて小さくなる。
【0045】
以上説明してきたように、実施例1に係る分波器は、図2のように、パッケージ基板24を構成するダイアタッチ層26の上面に実装された送信フィルタ12及び受信フィルタ14を囲んでシールリング38が設けられている。ダイアタッチ層26の一つ下層の線路パターン/フットパッド層28の上面に、送信線路パターン60と受信線路パターン62とが設けられている。そして、シールリング38が上面に設けられたダイアタッチ層26の厚さt1は、送信線路パターン60及び受信線路パターン62が上面に設けられた線路パターン/フットパッド層28の厚さt2よりも厚くなっている。このような構成とすることで、上述したように、送信線路パターン60及び受信線路パターン62とシールリング38との間の電磁結合を小さくすることができる。その結果、低背化を実現しつつ、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることを抑制できる。つまり、実施例1に係る分波器によれば、低背化を実現しつつ、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性を改善することが可能となる。
【0046】
送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性の改善には、ダイアタッチ層26の厚さt1と線路パターン/フットパッド層28の厚さt2との比(t2/t1)は、0.8以上の場合が好ましく、0.5以上の場合がより好ましい。
【0047】
送信線路パターン60及び受信線路パターン62は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域に延在している場合でもよいが、図3(b)のように、投影した領域には延在せずに、投影した領域以外の領域に設けられている場合が好ましい。これにより、送信線路パターン60とシールリング38との間の距離、及び受信線路パターン62とシールリング38との間の距離を広くすることができ、送信線路パターン60及び受信線路パターン62とシールリング38との間の電磁結合を小さくすることができる。よって、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることをより抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性をより改善することができる。
【0048】
また、図3(b)のように、送信線路パターン60及び受信線路パターン62は、線路パターン/フットパッド層28の第2の辺68側であって、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域側に寄せて設けられている。この場合、シールリング38を介した送信線路パターン60と受信線路パターン62との間の距離が短くなるため、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れ易くなる。したがって、このような構造の場合、ダイアタッチ層26の厚さt1を線路パターン/フットパッド層28の厚さt2よりも厚くすることで、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることを抑制する効果が大きくなる。
【0049】
図3(b)のように、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域(図3(b)中の破線部)に、送信線路パターン60に電気的に接続する第1導体パターン70と受信線路パターン62に電気的に接続する第2導体パターン72とが設けられている。第1導体パターン70の幅は、送信線路パターン60と同程度の幅である場合でもよいが、図3(b)のように、送信線路パターン60よりも狭い幅である場合が好ましい。例えば、第1導体パターン70の幅は、送信線路パターン60の幅の0.8倍以下である場合が好ましく、0.5倍以下である場合がより好ましい。同様に、第2導体パターン72の幅は、受信線路パターン62と同程度の幅である場合でもよいが、図3(b)のように、受信線路パターン62よりも狭い幅である場合が好ましい。例えば、第2導体パターン72の幅は、受信線路パターン62の幅の0.8倍以下である場合が好ましく、0.5倍以下である場合がより好ましい。以下に、第1導体パターン70の幅が送信線路パターン60の幅よりも狭く、第2導体パターン72の幅が受信線路パターン62の幅より狭い場合が好ましい理由を説明する。
【0050】
第1導体パターン70は、送信線路パターン60と同電位である上、送信線路パターン60よりもシールリング38に近い場所に位置する。このため、パッケージ基板24を薄化していくと、第1導体パターン70とシールリング38との間の電磁結合も無視できなくなる。同様に、第2導体パターン72は、受信線路パターン62と同電位である上、受信線路パターン62よりもシールリング38に近い場所に位置するため、第2導体パターン72とシールリング38との間の電磁結合も無視できなくなる。そこで、第1導体パターン70及び第2導体パターン72の幅を狭めて、第1導体パターン70及び第2導体パターン72とシールリング38との重なりを小さくすることで、第1導体パターン70及び第2導体パターン72とシールリング38との間の電磁結合を小さくする。つまり、図3(b)のように、第1導体パターン70の幅を送信線路パターン60の幅より狭め、第2導体パターン72の幅を受信線路パターン62の幅より狭めることで、第1導体パターン70及び第2導体パターン72とシールリング38との間の電磁結合を小さくする。これにより、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることをより抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性をより改善することができる。
【0051】
なお、実施例1では、第1導体パターン70の幅は送信線路パターン60の幅よりも狭く、且つ第2導体パターン72の幅は受信線路パターン62の幅よりも狭い場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。第1導体パターン70の幅が送信線路パターン60よりも狭いこと及び第2導体パターン72の幅が受信線路パターン62のよりも狭いことの少なくとも一方を満たす場合でもよい。即ち、第1導体パターン70及び第2導体パターン72の少なくとも一方の幅が、同電位となる送信線路パターン60又は受信線路パターン62の幅よりも狭い場合でもよい。この場合でも、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることをより抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性をより改善する効果は得られる。
【0052】
また、実施例1では、図3(b)のように、第1導体パターン70の幅は全て送信線路パターン60の幅よりも狭く、第2導体パターン72の幅は全て受信線路パターン62の幅よりも狭い場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。第1導体パターン70は、その一部に送信線路パターン60よりも狭い幅を有し、第2導体パターン72は、その一部に受信線路パターン62よりも狭い幅を有する場合でもよい。この場合でも、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることをより抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性をより改善する効果は得られる。また、第1導体パターン70及び第2導体パターン72は、電界めっき用のパターンである場合を例に説明したが、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域に延在して設けられ、送信線路パターン60及び受信線路パターン62に電気的に接続している導体パターンであれば、電界めっき用のパターンでない場合であってもよい。
【0053】
図3(a)で説明したように、シールリング38は、接地電位に電気的に接続されている場合が好ましい。これにより、半田40及び金属キャップ42が接地電位と同電位となるため、外部からの電磁波に対して、送信フィルタ12及び受信フィルタ14をシールドする効果が得られる。なお、シールリング38が接地電位に電気的に接続されていない場合でもよい。
【0054】
実施例1では、図2のように、シールリング38上に、送信フィルタ12及び受信フィルタ14を封止する半田40が設けられている場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。シールリング38上には、半田40の代わりに送信フィルタ12及び受信フィルタ14を封止する樹脂膜が設けられている場合でもよい。
【0055】
実施例1では、受信フィルタ14は、不平衡出力を有するフィルタである場合を例に示したが、これに限られる訳ではなく、平衡出力を有するフィルタである場合でもよい。平衡出力を有するフィルタである場合は、図3(c)において、受信端子80は2つ設けられた構成となる。
【0056】
実施例1では、図2のように、送信フィルタ12と受信フィルタ14とが別々の素子であり、送信フィルタ12と受信フィルタ14との2つの素子がパッケージ基板24に実装されている場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。1つの素子に送信フィルタ12と受信フィルタ14とが形成され、送信フィルタ12と受信フィルタ14とが形成された1つの素子がパッケージ基板24に実装されている場合でもよい。
【0057】
実施例1では、パッケージ基板24は、ダイアタッチ層26と線路パターン/フットパッド層28との2層からなる多層基板の場合を例に示したが、これに限られる訳ではなく、3層、4層等、複数の層が積層された多層基板の場合でもよい。パッケージ基板24が、3層以上の複数層で積層されている場合、上面に送信フィルタと受信フィルタとが実装され、送信フィルタと受信フィルタとを囲んで金属パターンが設けられた第1の層の厚さが、上面に送信線路パターンと受信線路パターンとが設けられた、第1の層より下層にある第2の層の厚さよりも厚い場合であればよい。また、第1の層の上面に送信フィルタと受信フィルタとを囲んで設けられた金属パターンは、シール部材ではない場合であってもよく、送信フィルタと受信フィルタとを囲んでいれば、一部で分断している場合であってもよい。
【実施例2】
【0058】
図5は、実施例2に係る分波器のパッケージ基板を構成する線路パターン/フットパッド層28の上面を示す模式図の例である。図5のように、線路パターン/フットパッド層28の上面に設けられた第2導体パターン72の位置が、実施例1に係る分波器の場合と異なっている。即ち、実施例2に係る分波器では、第2導体パターン72は、四角形状の線路パターン/フットパッド層28を構成する4つの辺のうち受信線路パターン62が寄せて設けられている第2の辺68に交差する第3の辺84から受信線路パターン62に延伸して設けられている。その他の構成については、実施例1に係る分波器と同じであり、図1から図3(c)を用いて説明しているためここでは説明を省略する。
【0059】
実施例2に係る分波器によれば、図5のように、第1導体パターン70は、第2の辺68から送信線路パターン60に延伸して設けられ、第2導体パターン72は、第3の辺84から受信線路パターン62に延伸して設けられている。つまり、第1導体パターン70は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域(図5中の破線部)のうち、送信線路パターン60に最も近い領域Aに設けられている。一方、第2導体パターン72は、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域のうち、受信線路パターン62に最も近い領域Bには設けられずに、送信線路パターン60に最も近い領域Aと受信線路パターン62に最も近い領域Bとを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている。このような構成とすることで、図3(b)に示す構成の実施例1に比べて、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28に投影した領域に沿った第1導体パターン70と第2導体パターン72との間の距離を長くすることができる。つまり、シールリング38を介した第1導体パターン70と第2導体パターン72との間の距離を長くすることができる。これにより、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることをより抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性をより改善できる。
【0060】
実施例2では、図5のように、第2導体パターン72が、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域のうち、送信線路パターン60に最も近い領域Aと受信線路パターン62に最も近い領域Bとを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。第1導体パターン70及び第2導体パターン72の少なくとも一方が、送信線路パターン60に最も近い領域Aと受信線路パターン62に最も近い領域Bとを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている場合でもよい。また、図5のように、第1導体パターン70と第2導体パターン72とは、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28の上面に投影した領域のうち、互いに異なる辺側にある領域に延在して設けられている場合が好ましい。
【0061】
また、第1導体パターン70と第2導体パターン72の両方が、送信線路パターン60に最も近い領域Aと受信線路パターン62に最も近い領域Bとを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられている場合でもよい。この場合は、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることを更に抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性を更に改善できる。
【実施例3】
【0062】
実施例3に係る分波器は、送信線路パターン60等の形成にあたり無電界めっき法を用いた場合の例である。図6は、実施例3に係る分波器のパッケージ基板を構成する線路パターン/フットパッド層28の上面を示す模式図の例である。図6のように、実施例3に係る分波器では、実施例1に係る分波器及び実施例2に係る分波器で設けていた第1導体パターン70、第2導体パターン72、及び第3導体パターン74が設けられていない。これは、送信線路パターン60等の形成にあたり無電界めっき法を用いて金めっきを施すことで、電界めっき用のパターンが不要となるためである。その他の構成については、実施例1と同じであり、図1から図3(c)を用いて説明しているためここでは説明を省略する。
【0063】
このように、実施例3に係る分波器によれば、図6のように、シールリング38を線路パターン/フットパッド層28に投影した領域(図6中の破線部)に、送信線路パターン60に電気的に接続する導体パターン及び受信線路パターン62に電気的に接続する導体パターンが設けられていない。これにより、送信線路パターン60を伝送する送信信号がシールリング38を介して受信線路パターン62に漏れることを更に抑制でき、送信線路パターン60と受信線路パターン62との間のアイソレーション特性を更に改善できる。
【0064】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
12 送信フィルタ
14 受信フィルタ
24 パッケージ基板
26 ダイアタッチ層
28 線路パターン/フットパッド層
30 パッド
32 バンプ
34 フットパッド
36 線路パターン
38 シールリング
40 半田
42 金属キャップ
44 保護膜
46 アンテナ用パッド
48 送信用パッド
50 受信用パッド
52 グランドパッド
54 第1の辺
56 第2の辺
58 アンテナ線路パターン
60 送信線路パターン
62 受信線路パターン
64 グランド線路パターン
66 第1の辺
68 第2の辺
70 第1導体パターン
72 第2導体パターン
74 第3導体パターン
76 アンテナ端子
78 送信端子
80 受信端子
82 グランド端子
84 第3の辺
86 第4の辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層されたパッケージ基板と、
前記複数の層のうち第1の層の上面に実装された弾性波フィルタである送信フィルタ及び受信フィルタと、
前記第1の層の上面に前記送信フィルタ及び前記受信フィルタを囲んで設けられた金属パターンと、
前記複数の層のうち前記第1の層より下層にある第2の層の上面に設けられ、前記送信フィルタと送信端子との間を電気的に接続する送信線路パターンと、
前記第2の層の上面に設けられ、前記受信フィルタと受信端子との間を電気的に接続する受信線路パターンと、を備え、
前記第1の層は前記第2の層よりも厚いことを特徴とする分波器。
【請求項2】
前記送信線路パターン及び前記受信線路パターンは、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域以外の領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の分波器。
【請求項3】
前記送信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第1導体パターンと、
前記受信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第2導体パターンと、を備え、
前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの少なくとも一方は、同電位となる前記送信線路パターン又は前記受信線路パターンよりも狭い幅を有することを特徴とする請求項1又は2記載の分波器。
【請求項4】
前記第1導体パターンは前記送信線路パターンよりも狭い幅を有し、且つ前記第2導体パターンは前記受信線路パターンよりも狭い幅を有することを特徴とする請求項3記載の分波器。
【請求項5】
前記送信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第1導体パターンと、
前記受信線路パターンに電気的に接続し、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域に延在して設けられた第2導体パターンと、を備え、
前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの少なくとも一方は、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域のうち、前記送信線路パターンに最も近い領域と前記受信線路パターンに最も近い領域とを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の分波器。
【請求項6】
前記第1導体パターン及び前記第2導体パターンの両方が、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域のうち、前記送信線路パターンに最も近い領域と前記受信線路パターンに最も近い領域とを最短距離で結ぶ領域以外の領域に延在して設けられていることを特徴とする請求項5記載の分波器。
【請求項7】
前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域には、前記送信線路パターンに電気的に接続する導体パターン及び前記受信線路パターンに電気的に接続する導体パターンのいずれもが設けられていないことを特徴とする請求項1又は2記載の分波器。
【請求項8】
前記金属パターンは接地電位に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の分波器。
【請求項9】
前記金属パターン上に、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタを封止する半田が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の分波器。
【請求項10】
前記第2の層は上面から見て四角形の形状をしており、前記送信線路パターン及び前記受信線路パターンは、前記四角形を構成する4つの辺のうちの1つの辺側であって、前記金属パターンを前記第2の層の上面に投影した領域側に寄せて設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の分波器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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