分注装置
【課題】分注装置の分注作業が、ピストンの吸引作動時に液体と一緒に吸い上げる空気の影響を受けることなく、ピストンの下降ストロークに対応する正確な分注量で、迅速に分注できるようにする。
【解決手段】内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいること。
【解決手段】内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療において、患者から採取した血液・血清等の検体や試薬を、シリンジの作動で吸引して、滴定プレートに並列装設してあるホールのそれぞれに分注していく分注装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
分注装置は、通常、図1に示しているように、機体1(図では大半を省略して一部を鎖線で表している)に、左右・前後・上下の三方向に移動可能に支架した分注ヘッドa(図では内部構造を省略し、外郭の輪郭を鎖線で表している)の底部側に、シリンダ20とこれに摺動自在に嵌合するピストン21とからなるシリンジ2を、シリンダ20が固定されピストン21が自在に昇降する状態として組み付け支架し、このシリンジ2のピストン21の上端側を、分注ヘッドaの器内に設けたステッピングモータMにより駆動されて螺子軸32が正または逆に回転することにより作動部材33が昇降作動する昇降機構3の、前記作動部材33に連繋して、昇降機構3を下降作動させると、図1の左側の図にあるように、ピストン21が下降して吐出作動を行い、昇降機構3を上昇作動させると、図1の右側の図にあるように、ピストン21が上昇して吸引作動を行うようにし、このシリンジ2の下端側に設けたノズル部20aに、別に成形しておくチップbを装脱自在に嵌挿して装着することで構成してあり、これにより、吸引・分注の作業を行うときは、分注ヘッドaの移動作動で、シリンジ2を、検体・試薬等の液が注入されている容器cの上方に位置させ、次いで分注ヘッドaの下降作動で、図2の左側の図にあるように、シリンジ2のノズル部20aに装着したチップbの先端が、容器c内の液中に突入した状態とし、この状態から、昇降機構3の上昇作動でピストン21を上昇させて、吸引作動を行わせ、図2の右側の図にあるように、チップb内に液を吸い上げ、この状態から、分注ヘッドaの移動作動で、滴定プレートなどの、分注すべき器体の上方に位置させ、そこで、ピストン21を下降作動させることで、チップb内に吸い上げていた液を押し出し分注するようにしている。
【0003】
この従前の分注装置には以下の問題が生じている。
図2の左側の図に示しているように、検体または試薬が注入されている容器c内に、シリンジ2の先端部20aに装着したチップbの先端を挿入し、この状態から、ステッピングモータMの作動で昇降機構3を駆動してピストン21を上昇させ、そのピストン21の上昇ストロークとピストン21の断面積とで算出される容積に対応する容量の液体をチップb内に吸い上げたとき、ピストン21の上昇による吸引作動が、シリンダ20の内腔の下端部からチップbの内腔に渡る範囲に残存している空気を、ピストン21が抜き上げられたあとのシリンダ20内に引き込み、これに追従して検体・試薬の液体が吸い上げられるようになることで、チップb内に吸い上げた液体の液面Gの上方とピストン21の下端面の間には、エア溜まりが形成され、図2の右側の図にある如く、ピストン21の下端面からチップb内に吸い上げられた液の液面Gに渡る範囲に空気層が存在するようになる。
【0004】
この、エア溜まりによりピストン21の下端面とチップb内に吸い上げられた検体・試薬の液面との間に存在するようになる空気層Hは、ピストン21を押し下げてチップb内の検体の分注を行うときには、液面Gをこの空気層Hを介して押し下げ、クッションとして作用する。この空気層Hによるクッションとしての作用は、ピストン21をゆっくりと下降させてチップb内の検体・試薬等の液体を押し出し分注を行うときは、空気層Hの圧縮・膨張が殆どなく、ピストン21の動きをそのままチップb内の液の液面Gに伝えるようになって、ピストン21の下降ストロークが、イコール分注量となるように作用するので、分注作業に悪影響を生ぜしめることはない。
【0005】
しかし、分注装置による分注作業は、検体・試薬等の液体を、ラックに並列支架した試験管、または滴定プレートに整列させて開設した試験ホールに、次々と分注する動作を繰り返すので、例えば、検体等が集まる検査センターのように、多数の検体を一度に検定するところでは、分注作業に時間がかかる等作業能率を低下させる問題が生じている。
【0006】
そこで、作業能率を向上させるよう、ピストン21の下降速度を早くすると、空気層が圧縮されることによるクッション作用が生じ、下降ストロークに対応した正確な分注量が得られない問題がでてくる。この問題は、微量の検体・試薬の液体を次々と迅速に分注する分注作業において顕著に現れてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平1−46032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した如く分注装置のピストンは、上昇により液体を吸い上げ下降より吸い上げた液体を分注する。特に液体の吸い上げ時にピストンを上昇させると液体の吸い上げと同時にチップ内の空気も一緒に吸い上げシリンダ内部にエアー溜まりが作られる。
【0009】
エアー溜まりは、ピストンを押し下げたときにピストン先端と液面との間の空気層となりクッションとして作用する。空気層によるクッションとしての作用は、ゆっくりと下降させながら分注する分注作業時には下降ストロークイコール分注量となり分注作業に悪影響は起きない。反面、分注作業は試薬等の液体を次々と分注する動作を繰り返す為に、例えば検体等が集まる検査センターのように多数の検体を一度に検査するところでは分注作業に時間がかかる等作業能率の面で望ましくない。
【0010】
そこで作業能率の面を考えてピストンの下降速度を早くすると空気層によるクッション作用によって下降ストロークに対応した正確な分注量が得られにくい問題が発生する。この問題は、例えば微量の試薬等の液体を次々と迅速に分注する分注作業時に顕著に現れる。そこで本発明にあっては分注作業能率の向上が得られると共に下降ストロークに対応した正確な分注量が得られるようにする手段を構成することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上述の課題を解決するための手段として、内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいることを特徴とする分注装置、および、
前記シリンダ本体部及び分注シリンダ部は、独立した一体形状に形成され前記分注ヘッドの底面ノズル部に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1記載の分注装置、および、
前記ピストンは、駆動手段によって間欠的な下降制御が可能であることを特徴とする請求項1記載の分注装置、および、
前記分注ヘッドは、シリンダ本体の内部空間内へ洗浄水を噴射する洗浄水噴射装置の洗浄ノズルを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の分注装置を提起するものである。
【0012】
この本発明手段は、分注ヘッドに設けたシリンジのピストンの昇降作動により検体・試薬の液体を吸引し吐出せしめて行う分注作業において、作業能率を高めるために、ピストンの下降ストロークの作動を早めると、ストロークに対応する正確な分注量が得られなくなる問題は、ピストンを上昇させて、検体・試薬の液体を吸引させる吸引作動の際に、液体と一緒に吸引されるシリンダ内の残存空気が、下降ピストンの昇降ストロークの際ピストンの下端面と液面との間に空気層となって存在するようになり、この空気層がクッションとして作用することに起因する。この問題は、ピストンの上昇・下降のストロークの際、ピストンの下端面と液面との間に、空気層が存在しないようにすれば解消し得る。これには、ピストンの昇降作動を、ピストンロッドの先端に設けたピストン(シール部)が、空気との接触がなく、そのピストンの下面と上面とには、液が直接に接している状態、即ち、ピストンが液中に位置している状態において行われるようにすればよいことに想到したことによって、上述した如く構成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明による分注装置は、分注シリンダ部に嵌挿されて、その分注シリンダ部内の上端部に設定したスタート位置と下端部に設定した分注完了位置との間を昇降して、検体・試薬の液体の吸引・分注の作動を行うピストンが、液中に位置して昇降作動しているのだから、空気層によるクッションの影響を受けずに済むため、ピストンをゆっくり下降させても、あるいは、迅速に下降させても、ピストンの下降ストロークに対応した正確な分注量の分注を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従前の分注装置の分注シリンジ部の、概要説明図である。
【図2】同上分注シリンジ部の、吸引作動の説明図である。
【図3】本発明による分注装置の一実施例の斜視図である。
【図4】同上実施例の、分注シリンジの組付部の一部破断した正面図である。
【図5】同上実施例の分注機構部の、展開した縦断正面図である。
【図6】同上分注機構部の、ピストンの昇降作動の説明図で、(1)図は、ピストンを、それの先端のシール部が分注作動のスタート位置よりも上方で、シリンダ本体部内に位置するまで引き上げて、液を吸引した状態時の展開した縦断正面図、(2)図は、(1)図の状態からピストンを下降させ、そのピストンのシール部を液中に没入させて、分注作動のスタート位置に位置させた状態時の縦断正面図、(3)図は、(2)図の状態からピストンを下降ストロークのエンドの分注完了の位置まで下降させた状態時の縦断正面図である。
【図7】同上分注機構部の、ピストンを分注始動位置より上方に引き上げて吸引手段の作動によって容器内の液体をシリンダ本体部内まで汲み上げた状態時の縦断正面図である。
【図8】同上分注機構部の、ピストンを下降作動させた状態時の縦断正面図である。
【図9】同上分注機構部の、洗浄水噴射手段を作動させて、洗浄水を分注シリンジのシリンダ内に噴射させている状態時の縦断正面図である。
【図10】同上分注機構部の、洗浄水噴射手段の作動により、分注シリンジのシリンダ内にエアーを噴射して、シリンダ内の洗浄水を滴下口から排出している状態における縦断正面図である。
【図11】別の実施例の、全体斜視図である。
【図12】昇降機構の説明図である。
【図13】同上別の実施例の分注シリンジの組付部の、一部を省略した正面図である。
【図14】同上実施例の分注シリンジの組付部の側面図である。
【図15】同上実施例のチップラックの一部を省略した正面図である。
【図16】同上実施例の分注シリンジの組付部の、分注シリンジを組み付け装着した状態における一部を縦断した正面図である。
【図17】同上実施例の同上組付部の、一部縦断した側面図である。
【図18】同上実施例の同上組付部の、チップ(分注シリンダ)を装着した状態時の一部縦断した側面図である。
【図19】同上実施例の同上組付部の、装着したチップを押さえ部材で保定した状態時の一部縦断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0016】
図3において、1は機体、10は機体1の後半側に装架した機筐状の機枠、aはその機枠10の前面側に装架した分注ヘッド、4はその分注ヘッドaの底部に組み付け装設せる分注シリンジ、Sは機体1の上面側で前記機枠10の前面に設けたステーション、RはそのステーションS上に設置したチップ(この例においては前述の分注シリンジ4)を並列支架せるチップラック、dはそのチップラックRに並列させてステーション上に設置した検体・試薬の容器cを並列支架せるラック、eは前記ステーション上に設置した試験ホールが整列して形設してある滴定プレートを示す。分注ヘッドaは機枠10の前面に装架せる作動機構(図示省略)により、左右方向のX方向及び上下方向のZ方向ならびに前後方向のY方向の三方向の移動が可能としてある。
【0017】
分注ヘッドaの底部に組み付け装着せる分注シリンジ4は、それのシリンダ40が、図4に示しているように、内部空間を円筒形状に形成し下端側を下方に向かい次径する漏斗状に形成した大径のシリンダ本体部40aの下方に、内部空間を前記シリンダ本体部40aの内部空間より小径の円筒形状に形成し下端側に滴下口40cを具備せしめた小径の分注シリンダ部40bが連続する形状に成形してある。
【0018】
この大径のシリンダ本体部40aの下方に小径の分注シリンダ部40bを連続させた形状のシリンダ40は、独立した一体形状のものとして形成してあり、分注ヘッドaに対して、図4に示しているよう分注ヘッドaの器体の底部に設けた組付ブロック50の下面に装設せるニップル状の組付筒部51の外周に、シリンダ本体部40aの上端側の開放口を嵌合させることで装着してある。そして、この例においては、シリンダ40の分注ヘッドaの組付筒部51に対する装着が、着脱自在の嵌着としてあって、これにより、チップとして、ステーションS上に設置しておくチップラックRに並列支架せしめて多数用意しておき、これと随時脱着交換するようにしてある。
【0019】
このシリンダ40に対し摺動自在に嵌挿されるピストンロッド41は、棒状のピストンロッド41’の先端側に取り付けて、シリンダ40の上端側の開放口を形成しているシリンダ本体部40aの上端の開放口から出没自在に嵌挿することについては、通常のシリンジのピストンと同様に構成してよいものであるが、この例においては、ピストンロッド41’を、図5にあるよう、分注シリンダ部40bの内部空間の内径より小径に形成して、それの下端部に装設してあり、かつ、樹脂材または弾性材により、小径に形成した分注シリンダ部40bの筒状の内部空間に水密に嵌合するシール部となるように成形してあって、このピストンロッド41’の下端のピストン41が小径の分注シリンダ部40bの内腔に水密に嵌合して昇降することで、検体・試薬の液体の吸引・吐出の作動を行うようにしてある。
【0020】
ピストン41に連結するピストンロッド41’の上端側は、前述の分注ヘッドaの底部に設けた組付筒部51の軸芯部位に開設せる透孔、及び、組付ブロック50に開設せる透孔を通して分注ヘッドaのカバーで囲われた器内に突入して、分注ヘッドaの器内に装備せる昇降機構6に連繋してあり、その昇降機構6の作動によって、該ピストンロッド41’の昇降が行われ、これによりピストン41が昇降するようにしてある。
【0021】
昇降機構6は、この例においては、図5にあるよう、分注ヘッドaの器体に設けた組付機枠(図示省略)に組み付け支架せるステッピングモータMと、そのモータMの作動により駆動されて回転する縦方向の螺子軸60に螺合する作動部材61と、これに連結する作動ロッド62と、その作動ロッド62の下端部と前記ピストンロッド41’の上端部とを接続する接続器63とにより構成してあって、ステッピングモータMの正または逆の回転作動により螺子軸60が正転または逆転方向に回転する作動によって、この軸60に螺合する作動部材61が、上昇または下降することで、ピストン41を上昇または下降させるようにしてある。
【0022】
この昇降機構6によるピストン41の昇降作動を制御するステッピングモータMは、さらに、ピストン41の昇降による検体・試薬の液の吸引・分注の作動がピストン41を液中に位置させた状態において行わせるための液体の吸引が行えるよう、分注作業を始めるときに、ピストン41を、図6の(1)図にあるよう、分注シリンダ部40bから上方に抜け出て、ピストン41による分注シリンダ部40bのシールを解放するシリンダ本体部40aの内腔に露出する位置(同上(1)図において(ハ)の位置)を占めるまで上昇してくる制御に切り換えられるようにしてある。
【0023】
この昇降機構6の作動によるピストン41の昇降作動は、ステッピングモータMの制御により、下降ストロークにあっては、ピストン41が、分注シリンダ部40bの内腔の下端部に達して、吸引していた液体の分注を終えたときの位置(図6の(3)図において符号(ロ)に示している位置)をエンドとし、上昇ストロークにあっては、ピストン41が、分注シリンダ部40bの内腔への液体の吸引を終えて、分注作動のスタート位置(図6の(2)図に示している(イ)の位置)に達した位置をエンドとするよう、設定してあり、これにより、ステッピングモータMを作動させて、昇降機構6を駆動することで、ピストン41が、前述の(イ)の位置と(ロ)との間を昇降して、分注シリンダ部40b内にピストン41のストロークにより設定される容量の液の吸引と、その液の分注(吐出)とが行えるようにしてある。
【0024】
ピストン41が引き上げられて、分注シリンダ部40bから抜け出てシリンダ本体部40a内に位置すれば、ピストン41による分注シリンダ部40bの内腔のシールが解放されることで、この状態において、後述するシリンダ本体部40aに吸引口70が接続連通する吸引手段7を作動させて、シリンダ本体部40a内のエアーを吸引することにより、液中に突入させておいた分注シリンダ部40bの筒先から吸い上げられる液が、シリンダ本体部40a内部にまで流入する。このとき、吸引手段7の吸引作動を停止して、シリンダ本体部40a内を密封した状態とすれば、吸引された液は、液面が、分注シリンダ部40bを上方に越したシリンダ本体部40a内に位置する一定の水位に保持される。この液が一定の水位に保持されているところに、ピストン41を、分注作業を開始するときのスタート位置である(イ)の位置となるまで下降させれば、ピストン41は液中に没入して、それの下端面及び上面が液に直接に接触して、下端面と液との間に空気層がない状態となる。そして、このピストン41を液中に没入した状態から(ロ)の位置を占める下降ストロークのエンド位置まで下降させれば、ピストン41の下面に空気層がないことで、分注シリンダ部40b内の、(イ)の位置から(ロ)の位置までの間に秤量された量の液が、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから正確に吐出して分注されることになる。
【0025】
このとき、分注作動を終えたピストン41の上面には、シリンダ本体部40a内においてピストン41を上方に越えるまでに存在していた液がピストン41の下降に伴いそれに追従して分注シリンダ部40b内に流入してくることで、図6の(3)図にあるように、分注完了位置である下降ストロークのエンド位置に達したピストン41の上面に、残存液として存在するようになり、ピストン41を吸引・分注する検体・試薬の液中に位置する状態とする。
【0026】
これにより、ピストン41をこの下降ストロークのエンドの(ロ)の位置からスタート位置(イ)までの設定したストロークの上昇による吸引作動を行わせれば、ピストン41の下面側に空気層がなく、その下面が直接液に接した状態で液を吸引していくようになってピストン41のストロークにより、設定した量の液を正確に分注シリンダ部40b内に吸引していくようになる。
【0027】
そして、このピストン41を液中に存在させて行うピストン41の昇降による吸引・分注の作動は、昇降速度を早くしても、ピストンの下面に空気層を介在させることがないから、正確な量の分注が行えることになる。
【0028】
この本発明手段において、分注作業を開始する際に、ピストン41が液中に位置する状態とするため、ピストン41を分注シリンダ部40bから抜き上げてシリンダ本体部40a内に位置させた状態において、シリンダ本体部40a内に対し吸引口70を接続させる吸引手段7は、シリンダ本体部40a内に吸引圧を作用させ、それにより、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから吸い上げる検体・試薬の液体を、それの液面がシリンダ本体部40a内に位置するまで吸い上げ得るようになればよく、適宜に構成してよいものである。この例においては、図7に示しているように、分注ヘッドaの器体内に装備せしめた取付機枠(図示省略)に装架せる吸引シリンダ71と、クランクホイル72の回動により往復動して前記吸引シリンダ71に対して出没自在に嵌合するピストン73と、からなる吸引ポンプpの吸気口を、ポートp1とポートp2とポートp3を具備する切換バルブvの前記ポートp1に接続し、切換バルブvのポートp2に吸気パイプ74を接続し、その吸気パイプ74の先端側を、分注ヘッドaの器体内に設けた組付ブロック50の下面に装設せる組付筒部51に設けておく透孔を介してシリンダ本体部40a内に挿通し、その先端の吸気口70を該シリンダ本体部40a内に開口させることで構成してある。
【0029】
そして、これにより、前述の図6の(1)図の如くシリンジ4のピストン41がシリンダ本体部40a内まで引き上げた状態において、切換バルブvを、同6図の(2)図にあるようポートp1とポートp2とが、ポンプpとシリンダ本体部40aに対し連通する状態に切り換えて、ポンプpに吸引作動を行わせることで、ピストン73のストロークに対応する量の空気をシリンダ本体部40a内から引き出し、この空気量に対応する容量の液をシリンダ本体部40a内に吸い上げ、それにより、液が図7にあるよう分注シリンダ部40bを越してシリンダ本体部40aにまで吸引され、その吸引された液の液面Gが、ピストン41の分注作動時におけるスタート位置(イ)を越した状態とする。
【0030】
そして、この状態において、ポンプpの作動を停止して、シリンダ本体部40a内の空気圧を一定に保持しておいて、ピストン41を、図6の(2)図にあるように、スタート位置(イ)の位置を占めるまで下降させることで、ピストン41が液中に没入した状態となる。次いで、ポンプpの切換バルブvを、図6の(3)にあるように、ポートp2が大気開放のポートp3に接続する状態に切り換え、ピストンPに下降作動を行わせ、ピストン41を分注終了位置((ロ)の位置)まで下降させれば、ピストン41の(イ)・(ロ)の間のストロークに対応する量の液が分注シリンダ部40bの下端の滴下口40cから押し出されて、図6の(3)図にあるよう配置しておく滴定プレートeの試験ホールに分注され、同時にこの吐出して分注した液の液量に対応する量の空気が、ポンプ装置pの切換バルブvの大気開放のポートp3から、シリンダ本体部40a内に流入し、分注量を正確なものとする。
【0031】
この吸引手段7は、分注作業を開始する際に、シール部41aが液中に没入する位置を占める状態とするように、シリンダ本体部40a内にまで液を吸引させるためのものであり、分注作動をピストン41を図6の(1)図にあるよう引き上げて、シリンダ本体部40aにまで液を吸い上げた状態から、ピストン41を、図6の(2)図の如く、スタート位置(イ)まで下降させて、そのピストン41を液中に位置させた後に、このピストン41をこのスタート位置(イ)と分注完了位置(ロ)の間を、昇降させることで行うのであるから吸引・分注の作動時にはこの吸引手段7は作用させる必要がなく、吸引・分注の作動時には、図10にあるように切換バルブvの大気開放のポートp3が、シリンダ本体部40a内に連通する図6の(3)の状態として放置される。
【0032】
図5乃至図9において、鎖線で囲い符号を8を付して指示している装置手段は、分注ヘッドaの器体に設けた組付ブロック50の下面に装設せる組付筒部51に装着した分注シリンジ4により、検体・試薬等の液の吸引・分注の作業を終えたときに、その分注シリンジ4の内部を洗浄水によって洗浄するため、分注ヘッドaの器体に組み付けている洗浄水噴射手段である。
【0033】
この洗浄水噴射手段8は、図9において構成を説明すると、モータ(図示省略)により駆動されて作動して吸引口から気体または液体を吸引して吐出口から吐出する気液ポンプspと、その気液ポンプspの吸引口に切換バルブvを介して接続する洗浄水タンクtと、気液ポンプspで汲み上げた洗浄水を、分注ヘッドaに付設の組付ブロック50(図示省略)下面に設けた組付筒部51に装着してある分注シリンジ4内に導くよう気液ポンプspの吐出口に接続した接続パイプ80とからなり、その接続パイプ80は、先端側が、前述の組付ブロック50に設けた透孔及び組付筒部51に設けた透孔を介して、組付筒部に装着してある分注シリンジ4の、シリンダ本体部40a内に突入させてあり、その先端部にはノズル81が装着してある。また、切換バルブvは、気液ポンプspの吸引口に対して接続させるためのポートp4と、大気に開放するポートp5と、洗浄水が張り込まれる洗浄水タンクtに対して接続させるためのポートp6とを具備して、気液ポンプspの吸引口を、洗浄水タンクtに連通させる状態と、大気に開放させる状態とに切り換える三方弁に構成してある。
【0034】
そして、この洗浄水噴射手段8は、図9にあるように、分注ヘッドaの器内に、前述した吸引手段7と、左右に対称するように配置して分注ヘッドaに組み付けてある。
【0035】
この洗浄水噴射手段8による分注シリンジ4の内部の洗浄は、次の行程で行われる。
気液ポンプspの吸引口が洗浄水タンクtと接続するよう切換バルブvを切り換えておいて、気液ポンプspを作動させ、洗浄水タンクtから汲み上げた洗浄水を、ノズル81から分注シリンジ4のシリンダ本体部40aに噴射し、そのシリンダ本体部40a内に洗浄水を注入する。このとき、昇降機構6を作動させて、分注シリンジ4のピストン41を、分注完了位置((ロ)の位置)を占める下降ストロークのエンド位置まで下降させておき、洗浄水が分注シリンダ部40bの内部にまで満たされるようにする。また、分注シリンジ4の内部への洗浄水の注入を迅速にするため、分注シリンジ4に排気口(図示省略)を設けているときは、その排気口を開放し、前述した吸引手段7を組み付け装備せしめているときは、その吸引手段7の切換バルブvを、それのポートp3とポートp2が連通して、分注シリンジ4の内部が吸引手段7の大気開放のポートp3を介し大気に連通する状態としておく。
【0036】
分注シリンジ4内に、所定量の洗浄水が注入されたところで、気液ポンプspの作動を停止し、分注シリンジ4に設けた排気口を閉じるか、吸引手段7のバルブvを、大気開放のポートp3が閉塞されるポジションに切り換え、分注シリンジ4の内部の外気との連通を遮断して、注入された洗浄水が分注シリンジ4の内部に保持される状態とし、この状態において、昇降機構6を作動させてピストン41に昇降作動を繰り返させ、これにより、分注シリンジ4の内部の洗浄を行う。
【0037】
このピストン41の昇降作動による洗浄が完了したところで、排気口または吸引手段7のバルブvの大気開放のポートp3は、閉じた状態に保持したまま、ピストン41を、シリンダ本体部40a内に位置するまで引き上げ、洗浄水噴射手段8のバルブvを、気液ポンプspの吸引口がポートp5を介して大気に通ずるポジションに切り換え、図10に示す状態とし、この状態において、気液ポンプspを作動させ、ポートp5から引き込む外気を、ノズル81から勢いよく分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内に噴射し、その噴射圧で、分注シリンジ4の内部の洗浄水を、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから外部に排出して、洗浄を終了する。
【0038】
この洗浄水噴射手段8を装備せしめた分注装置は、分注ヘッドaの下部に装着した分注シリンジ4を、一回の分注作動の度ごとに、新たなものと交換することなく、洗浄水による洗浄によって、コンタミンの防止が行えることになる。
【実施例2】
【0039】
図11乃至図18は、別の実施例を示している。この例の分注装置は、前述の実施例の分注装置が分注ヘッドaの底部に装着する分注シリンジ4がシングルであるのに対し、分注シリンジ4を多連に並列させて装着するようにしている点と、並列させて装着した分注シリンジ4を、装着した状態に保持せしめるために押さえ部材9を装備せしめている点と、分注シリンジ4の、シリンダ本体部40aの下方に連続させて設けている小径の分注シリンダ部40bの筒先の、滴下口40cを、分注シリンダ部40bの内径と対応する口径の開放口に形成している点とにおいて差異があるだけのもので、基本的には、変わりがないものである。
【0040】
図において具体的に説明すれば、図11の全体の斜視図において、1は機体、10は機体1の上面の後端側の部位に立設せる機筐状の機枠、aはその機枠10の前面に装架した分注ヘッド、4はその分注ヘッドaの底部に装着せる分注シリンジ、Sは、前記機枠10の前面側に位置する機体1の上面側の前半側に形設したステーション、dはそのステーションSの上面の後端側で、前記分注ヘッドaの下方に位置する部位に配位して設置した検体・試薬等の液が注入してある容器(瓶)cを並列支架せしめたラック、eは、このラックdの手前側の部位に配位してステーションS上に設置した滴定プレート、Rは、前記滴定プレートeの手前でステーションSの上面の前端側の部位に配位して、設置したチップラックを示す。
【0041】
分注ヘッドaは、底部に設けた分注シリンジ4による検体・試薬の液体の吸引・分注が行えるよう機枠10の前面に、機枠10に対し移動可能に装架せしめるが、この例においては、検体等の液が注入されている容器(瓶)cを並列支架したラックdおよび滴定プレートeならびにチップラックRが、分注ヘッドaの前面側に前後方向に整列して配置してあることから、機枠10に対し、上下方向(Y方向)と前後方向(Z方向)との2方向の移動が可能としてある。
【0042】
また、分注ヘッドaの器体には、図面では一部の明示を省略しているが、分注シリンジ4のピストンロッド41’を昇降作動させるための、昇降機構6を、前述の実施例のものと同様に、ステッピングモータMの制御作動により螺子軸60を正または逆に回転させることで、この螺子軸60に螺合する作動部材61が上昇または下降して、この作動部材61に連繋するピストン21を昇降作動させるように構成して、装備してある。
【0043】
しかし、この実施例の昇降機構6は、ステッピングモータMの出力軸から螺子軸60に回転動力を伝える経路及び、作動部材61とピストン41との連繋手段において、前述の実施例1のものと差異のあるものである。
【0044】
前述の実施例1のものでは、図5にあるようにステッピングモータMの出力軸は、螺子軸60の下端部に対し直結的に伝導接続させ、螺子軸60に螺合して昇降する作動部材61は、作動ロッド62を介しピストン41のピストンロッド41’に接続連結するようにしているが、この実施例の昇降機構6では、出願人が先に開発して特許公報特公平1−46032号として公告されている分注装置に、用いられている形態のものを採用し、前記特許公報の第2図を援用する図12に示しているごとく、ステッピングモータMの出力軸には、スプロケット64を組み付け、これに掛け回した伝導チェンを、並列させて設けた螺子軸60の各上端側に組み付けたスプロケット64に掛け回すことで、ステッピングモータMの出力軸を伝導チェン65を介して螺子軸60に回転動力を伝導するようにし、また作動部材61は、横長の平板状に形成して、前記螺子軸60の下端側に螺合させ、この平板状の作動部材61に、分注ヘッドaの底部側に多連に並列させて組み付けたシリンジ4の、それぞれのピストン41の上端側を組み付け連結することで、多連に設けたシリンジ4のそれぞれのピストン41を一斉に昇降させ得るようにしている。
【0045】
また、該分注ヘッドaの器内には、前述の実施例1の分注ヘッドaと同様に、吸引手段7および洗浄水噴射手段8が組み込まれている。
【0046】
分注ヘッドaの底部に装着する分注シリンジ4は、前述の実施例の分注シリンジ4と同様に、シリンダ40を、大径のシリンダ本体部40aの下方に小径の分注シリンダ部40bが連続する形態に成形し、これをチップbとして、分注ヘッドaの器体に設けた組付ブロック50の下面に垂設せるニップル状の組付筒部51に嵌合させることで装脱自在に装着させるようにするが、該分注シリンジ4の下半側の小径とした分注シリンダ部40bの下端は、図15乃至図19に示しているように、先端に向け先細りとした筒先部のない、分注シリンダ部40bを切り離した形態の開放口とし、この開放口をもって滴下口40cを構成するようにしてある。そして、ピストンロッド41’の下端部に装設せるピストン41は、図17にあるように、下方に向け先細りとした砲弾型の形状として、下降ストロークのエンドの分注完了位置に達したときにピストン41の先端が分注シリンダ部40bの下端の開放口から外部に露出してくるようにしてある。
【0047】
また、チップbを構成する分注シリンジ4のシリンダ40を嵌合させて装着せしめるニップル状の組付筒部51は、組み付けブロック50を、左右方向に長い角棒状に形成し、これの下面に多連に並列させて垂設してあり、この並列する組付筒部51のそれぞれに、チップbを構成するシリンダ40を嵌合させて装着することで、分注ヘッドaの底部に、分注シリンジ4が多連に並列して装設されるようにしてある。そして、装着した各チップbの装着した状態の保定は、分注ヘッドaの器体の、前記組み付けブロック50の後方に寄る部位に、図17にあるよう支軸90により上方に向け回動する板状の押さえ部材9を支架し、この押さえ部材9には、上方に回動させたときに並列させて装着してあるチップb(分注シリンジ4のシリンダ部40)と重合する部位に、そのチップbの外周に嵌り合う切欠部(図示省略)を設けておき、チップbを組付筒部51に嵌挿して装着したところに、この押さえ部材9を回動させて、切欠部をチップの外周に嵌合させ、図19にあるよう、チップbの上端部に形設してある鍔部を下方から押さえて支承させ、この状態で押さえ部材9を、係止部材(図示省略)により係止することで、嵌挿して装着した各チップbを装着した状態に保持するようにしてある。
【0048】
また、角棒状に形成して、下面にチップb(分注シリンジ4のシリンダ40)を装着するための組付筒部51には、それの内部に、図13・図14・図18・図19に示しているように、該組付ブロック50の長手方向に沿う軸穴状の送気管路52と、導液管路53とを設けて、それら管路52・53の途中で、並列して垂設してある組付筒部51のそれぞれと対応する部位に、図14にあるよう枝管状に接続する送気管54及び導液管55を設けて、これら送気管54及び導液管55を組付ブロック50の下面に並列させて垂設してある組付筒部51に設けた透孔に嵌挿して、組付筒部51の下面側に先端側を突出させて、組付筒部51に嵌挿して装着せる分注シリンジ5のシリンダ本体部40aの内部にエアおよび洗浄水を噴射するノズルに構成している。そして、角棒状の組付ブロック50内に形設した前述の送気管路52および導液管路53は、一端側を封栓し、他端側にそれぞれ接続パイプ56・57を接続し、それら接続パイプ56・57を、洗浄水噴射手段8の気液ポンプspの吐出口に対し、切換バルブ(図示省略)を介して交互に連通するように接続させてある。
【0049】
そして、これにより、洗浄水噴射手段8を作動させて、分注ヘッドaに装備せる分注シリンジ4の内部を洗浄する際、気液ポンプspが洗浄水を汲み上げて吐出口から送出するときにあっては、送り出される洗浄水が、導液管路53に流れて、枝管状の導液管55を介して、並列する組付筒部51に嵌装してあるそれぞれの分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内に噴射され、また、洗浄水による洗浄を終えて、気液ポンプspがエアーを送出するときは、送り出されてくるエアーが、送気管路52に流れて、枝管状の送気管55を介し、並列する組付筒部51に装着してある分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内にそれぞれ噴出していくようになり、これによって、多連に並設した分注シリンジ4が同時に洗浄水で洗浄されるようにしてある。
【符号の説明】
【0050】
G 液面
H 空気層
M ステッピングモータ
R チップラック
R’ 保持穴
S ステーション
a 分注ヘッド
b チップ
c 容器
d ラック
e 滴定プレート
p 吸引ポンプ
p1 p2 p3 p4 p5 p6 ポート
sp 気液ポンプ
t 洗浄水タンク
v 切換バルブ
1 機体
10 機枠
11 架台
13 支持台
14 チェン
15 スプロケット
16 螺子杆
17 昇降板
18 下位支持台
2 シリンジ
20 シリンダ
20a 先端部
21 ピストン
3 昇降機構
30 チェンベルト
31 スプロケット
32 螺子軸
33 作動部材
4 分注シリンジ
40 シリンダ
40b 分注シリンダ部
40c 滴下口
41 ピストン
41’ ピストンロッド
41a シール部
50 組付ブロック
51 組付筒部
52 送気管路
53 導液管路
54 送気管
55 導液管
56 57 接続パイプ
6 昇降機構
60 螺子軸
61 作動部材
62 作動ロッド
63 接続器
7 吸引手段
70 吸引口
71 吸引シリンダ
72 クランクホイル
73 ピストン
74 吸気パイプ
8 洗浄水噴射手段
80 接続パイプ
81 ノズル
9 押さえ部材
90 支軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療において、患者から採取した血液・血清等の検体や試薬を、シリンジの作動で吸引して、滴定プレートに並列装設してあるホールのそれぞれに分注していく分注装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
分注装置は、通常、図1に示しているように、機体1(図では大半を省略して一部を鎖線で表している)に、左右・前後・上下の三方向に移動可能に支架した分注ヘッドa(図では内部構造を省略し、外郭の輪郭を鎖線で表している)の底部側に、シリンダ20とこれに摺動自在に嵌合するピストン21とからなるシリンジ2を、シリンダ20が固定されピストン21が自在に昇降する状態として組み付け支架し、このシリンジ2のピストン21の上端側を、分注ヘッドaの器内に設けたステッピングモータMにより駆動されて螺子軸32が正または逆に回転することにより作動部材33が昇降作動する昇降機構3の、前記作動部材33に連繋して、昇降機構3を下降作動させると、図1の左側の図にあるように、ピストン21が下降して吐出作動を行い、昇降機構3を上昇作動させると、図1の右側の図にあるように、ピストン21が上昇して吸引作動を行うようにし、このシリンジ2の下端側に設けたノズル部20aに、別に成形しておくチップbを装脱自在に嵌挿して装着することで構成してあり、これにより、吸引・分注の作業を行うときは、分注ヘッドaの移動作動で、シリンジ2を、検体・試薬等の液が注入されている容器cの上方に位置させ、次いで分注ヘッドaの下降作動で、図2の左側の図にあるように、シリンジ2のノズル部20aに装着したチップbの先端が、容器c内の液中に突入した状態とし、この状態から、昇降機構3の上昇作動でピストン21を上昇させて、吸引作動を行わせ、図2の右側の図にあるように、チップb内に液を吸い上げ、この状態から、分注ヘッドaの移動作動で、滴定プレートなどの、分注すべき器体の上方に位置させ、そこで、ピストン21を下降作動させることで、チップb内に吸い上げていた液を押し出し分注するようにしている。
【0003】
この従前の分注装置には以下の問題が生じている。
図2の左側の図に示しているように、検体または試薬が注入されている容器c内に、シリンジ2の先端部20aに装着したチップbの先端を挿入し、この状態から、ステッピングモータMの作動で昇降機構3を駆動してピストン21を上昇させ、そのピストン21の上昇ストロークとピストン21の断面積とで算出される容積に対応する容量の液体をチップb内に吸い上げたとき、ピストン21の上昇による吸引作動が、シリンダ20の内腔の下端部からチップbの内腔に渡る範囲に残存している空気を、ピストン21が抜き上げられたあとのシリンダ20内に引き込み、これに追従して検体・試薬の液体が吸い上げられるようになることで、チップb内に吸い上げた液体の液面Gの上方とピストン21の下端面の間には、エア溜まりが形成され、図2の右側の図にある如く、ピストン21の下端面からチップb内に吸い上げられた液の液面Gに渡る範囲に空気層が存在するようになる。
【0004】
この、エア溜まりによりピストン21の下端面とチップb内に吸い上げられた検体・試薬の液面との間に存在するようになる空気層Hは、ピストン21を押し下げてチップb内の検体の分注を行うときには、液面Gをこの空気層Hを介して押し下げ、クッションとして作用する。この空気層Hによるクッションとしての作用は、ピストン21をゆっくりと下降させてチップb内の検体・試薬等の液体を押し出し分注を行うときは、空気層Hの圧縮・膨張が殆どなく、ピストン21の動きをそのままチップb内の液の液面Gに伝えるようになって、ピストン21の下降ストロークが、イコール分注量となるように作用するので、分注作業に悪影響を生ぜしめることはない。
【0005】
しかし、分注装置による分注作業は、検体・試薬等の液体を、ラックに並列支架した試験管、または滴定プレートに整列させて開設した試験ホールに、次々と分注する動作を繰り返すので、例えば、検体等が集まる検査センターのように、多数の検体を一度に検定するところでは、分注作業に時間がかかる等作業能率を低下させる問題が生じている。
【0006】
そこで、作業能率を向上させるよう、ピストン21の下降速度を早くすると、空気層が圧縮されることによるクッション作用が生じ、下降ストロークに対応した正確な分注量が得られない問題がでてくる。この問題は、微量の検体・試薬の液体を次々と迅速に分注する分注作業において顕著に現れてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平1−46032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した如く分注装置のピストンは、上昇により液体を吸い上げ下降より吸い上げた液体を分注する。特に液体の吸い上げ時にピストンを上昇させると液体の吸い上げと同時にチップ内の空気も一緒に吸い上げシリンダ内部にエアー溜まりが作られる。
【0009】
エアー溜まりは、ピストンを押し下げたときにピストン先端と液面との間の空気層となりクッションとして作用する。空気層によるクッションとしての作用は、ゆっくりと下降させながら分注する分注作業時には下降ストロークイコール分注量となり分注作業に悪影響は起きない。反面、分注作業は試薬等の液体を次々と分注する動作を繰り返す為に、例えば検体等が集まる検査センターのように多数の検体を一度に検査するところでは分注作業に時間がかかる等作業能率の面で望ましくない。
【0010】
そこで作業能率の面を考えてピストンの下降速度を早くすると空気層によるクッション作用によって下降ストロークに対応した正確な分注量が得られにくい問題が発生する。この問題は、例えば微量の試薬等の液体を次々と迅速に分注する分注作業時に顕著に現れる。そこで本発明にあっては分注作業能率の向上が得られると共に下降ストロークに対応した正確な分注量が得られるようにする手段を構成することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上述の課題を解決するための手段として、内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいることを特徴とする分注装置、および、
前記シリンダ本体部及び分注シリンダ部は、独立した一体形状に形成され前記分注ヘッドの底面ノズル部に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1記載の分注装置、および、
前記ピストンは、駆動手段によって間欠的な下降制御が可能であることを特徴とする請求項1記載の分注装置、および、
前記分注ヘッドは、シリンダ本体の内部空間内へ洗浄水を噴射する洗浄水噴射装置の洗浄ノズルを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の分注装置を提起するものである。
【0012】
この本発明手段は、分注ヘッドに設けたシリンジのピストンの昇降作動により検体・試薬の液体を吸引し吐出せしめて行う分注作業において、作業能率を高めるために、ピストンの下降ストロークの作動を早めると、ストロークに対応する正確な分注量が得られなくなる問題は、ピストンを上昇させて、検体・試薬の液体を吸引させる吸引作動の際に、液体と一緒に吸引されるシリンダ内の残存空気が、下降ピストンの昇降ストロークの際ピストンの下端面と液面との間に空気層となって存在するようになり、この空気層がクッションとして作用することに起因する。この問題は、ピストンの上昇・下降のストロークの際、ピストンの下端面と液面との間に、空気層が存在しないようにすれば解消し得る。これには、ピストンの昇降作動を、ピストンロッドの先端に設けたピストン(シール部)が、空気との接触がなく、そのピストンの下面と上面とには、液が直接に接している状態、即ち、ピストンが液中に位置している状態において行われるようにすればよいことに想到したことによって、上述した如く構成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明による分注装置は、分注シリンダ部に嵌挿されて、その分注シリンダ部内の上端部に設定したスタート位置と下端部に設定した分注完了位置との間を昇降して、検体・試薬の液体の吸引・分注の作動を行うピストンが、液中に位置して昇降作動しているのだから、空気層によるクッションの影響を受けずに済むため、ピストンをゆっくり下降させても、あるいは、迅速に下降させても、ピストンの下降ストロークに対応した正確な分注量の分注を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従前の分注装置の分注シリンジ部の、概要説明図である。
【図2】同上分注シリンジ部の、吸引作動の説明図である。
【図3】本発明による分注装置の一実施例の斜視図である。
【図4】同上実施例の、分注シリンジの組付部の一部破断した正面図である。
【図5】同上実施例の分注機構部の、展開した縦断正面図である。
【図6】同上分注機構部の、ピストンの昇降作動の説明図で、(1)図は、ピストンを、それの先端のシール部が分注作動のスタート位置よりも上方で、シリンダ本体部内に位置するまで引き上げて、液を吸引した状態時の展開した縦断正面図、(2)図は、(1)図の状態からピストンを下降させ、そのピストンのシール部を液中に没入させて、分注作動のスタート位置に位置させた状態時の縦断正面図、(3)図は、(2)図の状態からピストンを下降ストロークのエンドの分注完了の位置まで下降させた状態時の縦断正面図である。
【図7】同上分注機構部の、ピストンを分注始動位置より上方に引き上げて吸引手段の作動によって容器内の液体をシリンダ本体部内まで汲み上げた状態時の縦断正面図である。
【図8】同上分注機構部の、ピストンを下降作動させた状態時の縦断正面図である。
【図9】同上分注機構部の、洗浄水噴射手段を作動させて、洗浄水を分注シリンジのシリンダ内に噴射させている状態時の縦断正面図である。
【図10】同上分注機構部の、洗浄水噴射手段の作動により、分注シリンジのシリンダ内にエアーを噴射して、シリンダ内の洗浄水を滴下口から排出している状態における縦断正面図である。
【図11】別の実施例の、全体斜視図である。
【図12】昇降機構の説明図である。
【図13】同上別の実施例の分注シリンジの組付部の、一部を省略した正面図である。
【図14】同上実施例の分注シリンジの組付部の側面図である。
【図15】同上実施例のチップラックの一部を省略した正面図である。
【図16】同上実施例の分注シリンジの組付部の、分注シリンジを組み付け装着した状態における一部を縦断した正面図である。
【図17】同上実施例の同上組付部の、一部縦断した側面図である。
【図18】同上実施例の同上組付部の、チップ(分注シリンダ)を装着した状態時の一部縦断した側面図である。
【図19】同上実施例の同上組付部の、装着したチップを押さえ部材で保定した状態時の一部縦断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0016】
図3において、1は機体、10は機体1の後半側に装架した機筐状の機枠、aはその機枠10の前面側に装架した分注ヘッド、4はその分注ヘッドaの底部に組み付け装設せる分注シリンジ、Sは機体1の上面側で前記機枠10の前面に設けたステーション、RはそのステーションS上に設置したチップ(この例においては前述の分注シリンジ4)を並列支架せるチップラック、dはそのチップラックRに並列させてステーション上に設置した検体・試薬の容器cを並列支架せるラック、eは前記ステーション上に設置した試験ホールが整列して形設してある滴定プレートを示す。分注ヘッドaは機枠10の前面に装架せる作動機構(図示省略)により、左右方向のX方向及び上下方向のZ方向ならびに前後方向のY方向の三方向の移動が可能としてある。
【0017】
分注ヘッドaの底部に組み付け装着せる分注シリンジ4は、それのシリンダ40が、図4に示しているように、内部空間を円筒形状に形成し下端側を下方に向かい次径する漏斗状に形成した大径のシリンダ本体部40aの下方に、内部空間を前記シリンダ本体部40aの内部空間より小径の円筒形状に形成し下端側に滴下口40cを具備せしめた小径の分注シリンダ部40bが連続する形状に成形してある。
【0018】
この大径のシリンダ本体部40aの下方に小径の分注シリンダ部40bを連続させた形状のシリンダ40は、独立した一体形状のものとして形成してあり、分注ヘッドaに対して、図4に示しているよう分注ヘッドaの器体の底部に設けた組付ブロック50の下面に装設せるニップル状の組付筒部51の外周に、シリンダ本体部40aの上端側の開放口を嵌合させることで装着してある。そして、この例においては、シリンダ40の分注ヘッドaの組付筒部51に対する装着が、着脱自在の嵌着としてあって、これにより、チップとして、ステーションS上に設置しておくチップラックRに並列支架せしめて多数用意しておき、これと随時脱着交換するようにしてある。
【0019】
このシリンダ40に対し摺動自在に嵌挿されるピストンロッド41は、棒状のピストンロッド41’の先端側に取り付けて、シリンダ40の上端側の開放口を形成しているシリンダ本体部40aの上端の開放口から出没自在に嵌挿することについては、通常のシリンジのピストンと同様に構成してよいものであるが、この例においては、ピストンロッド41’を、図5にあるよう、分注シリンダ部40bの内部空間の内径より小径に形成して、それの下端部に装設してあり、かつ、樹脂材または弾性材により、小径に形成した分注シリンダ部40bの筒状の内部空間に水密に嵌合するシール部となるように成形してあって、このピストンロッド41’の下端のピストン41が小径の分注シリンダ部40bの内腔に水密に嵌合して昇降することで、検体・試薬の液体の吸引・吐出の作動を行うようにしてある。
【0020】
ピストン41に連結するピストンロッド41’の上端側は、前述の分注ヘッドaの底部に設けた組付筒部51の軸芯部位に開設せる透孔、及び、組付ブロック50に開設せる透孔を通して分注ヘッドaのカバーで囲われた器内に突入して、分注ヘッドaの器内に装備せる昇降機構6に連繋してあり、その昇降機構6の作動によって、該ピストンロッド41’の昇降が行われ、これによりピストン41が昇降するようにしてある。
【0021】
昇降機構6は、この例においては、図5にあるよう、分注ヘッドaの器体に設けた組付機枠(図示省略)に組み付け支架せるステッピングモータMと、そのモータMの作動により駆動されて回転する縦方向の螺子軸60に螺合する作動部材61と、これに連結する作動ロッド62と、その作動ロッド62の下端部と前記ピストンロッド41’の上端部とを接続する接続器63とにより構成してあって、ステッピングモータMの正または逆の回転作動により螺子軸60が正転または逆転方向に回転する作動によって、この軸60に螺合する作動部材61が、上昇または下降することで、ピストン41を上昇または下降させるようにしてある。
【0022】
この昇降機構6によるピストン41の昇降作動を制御するステッピングモータMは、さらに、ピストン41の昇降による検体・試薬の液の吸引・分注の作動がピストン41を液中に位置させた状態において行わせるための液体の吸引が行えるよう、分注作業を始めるときに、ピストン41を、図6の(1)図にあるよう、分注シリンダ部40bから上方に抜け出て、ピストン41による分注シリンダ部40bのシールを解放するシリンダ本体部40aの内腔に露出する位置(同上(1)図において(ハ)の位置)を占めるまで上昇してくる制御に切り換えられるようにしてある。
【0023】
この昇降機構6の作動によるピストン41の昇降作動は、ステッピングモータMの制御により、下降ストロークにあっては、ピストン41が、分注シリンダ部40bの内腔の下端部に達して、吸引していた液体の分注を終えたときの位置(図6の(3)図において符号(ロ)に示している位置)をエンドとし、上昇ストロークにあっては、ピストン41が、分注シリンダ部40bの内腔への液体の吸引を終えて、分注作動のスタート位置(図6の(2)図に示している(イ)の位置)に達した位置をエンドとするよう、設定してあり、これにより、ステッピングモータMを作動させて、昇降機構6を駆動することで、ピストン41が、前述の(イ)の位置と(ロ)との間を昇降して、分注シリンダ部40b内にピストン41のストロークにより設定される容量の液の吸引と、その液の分注(吐出)とが行えるようにしてある。
【0024】
ピストン41が引き上げられて、分注シリンダ部40bから抜け出てシリンダ本体部40a内に位置すれば、ピストン41による分注シリンダ部40bの内腔のシールが解放されることで、この状態において、後述するシリンダ本体部40aに吸引口70が接続連通する吸引手段7を作動させて、シリンダ本体部40a内のエアーを吸引することにより、液中に突入させておいた分注シリンダ部40bの筒先から吸い上げられる液が、シリンダ本体部40a内部にまで流入する。このとき、吸引手段7の吸引作動を停止して、シリンダ本体部40a内を密封した状態とすれば、吸引された液は、液面が、分注シリンダ部40bを上方に越したシリンダ本体部40a内に位置する一定の水位に保持される。この液が一定の水位に保持されているところに、ピストン41を、分注作業を開始するときのスタート位置である(イ)の位置となるまで下降させれば、ピストン41は液中に没入して、それの下端面及び上面が液に直接に接触して、下端面と液との間に空気層がない状態となる。そして、このピストン41を液中に没入した状態から(ロ)の位置を占める下降ストロークのエンド位置まで下降させれば、ピストン41の下面に空気層がないことで、分注シリンダ部40b内の、(イ)の位置から(ロ)の位置までの間に秤量された量の液が、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから正確に吐出して分注されることになる。
【0025】
このとき、分注作動を終えたピストン41の上面には、シリンダ本体部40a内においてピストン41を上方に越えるまでに存在していた液がピストン41の下降に伴いそれに追従して分注シリンダ部40b内に流入してくることで、図6の(3)図にあるように、分注完了位置である下降ストロークのエンド位置に達したピストン41の上面に、残存液として存在するようになり、ピストン41を吸引・分注する検体・試薬の液中に位置する状態とする。
【0026】
これにより、ピストン41をこの下降ストロークのエンドの(ロ)の位置からスタート位置(イ)までの設定したストロークの上昇による吸引作動を行わせれば、ピストン41の下面側に空気層がなく、その下面が直接液に接した状態で液を吸引していくようになってピストン41のストロークにより、設定した量の液を正確に分注シリンダ部40b内に吸引していくようになる。
【0027】
そして、このピストン41を液中に存在させて行うピストン41の昇降による吸引・分注の作動は、昇降速度を早くしても、ピストンの下面に空気層を介在させることがないから、正確な量の分注が行えることになる。
【0028】
この本発明手段において、分注作業を開始する際に、ピストン41が液中に位置する状態とするため、ピストン41を分注シリンダ部40bから抜き上げてシリンダ本体部40a内に位置させた状態において、シリンダ本体部40a内に対し吸引口70を接続させる吸引手段7は、シリンダ本体部40a内に吸引圧を作用させ、それにより、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから吸い上げる検体・試薬の液体を、それの液面がシリンダ本体部40a内に位置するまで吸い上げ得るようになればよく、適宜に構成してよいものである。この例においては、図7に示しているように、分注ヘッドaの器体内に装備せしめた取付機枠(図示省略)に装架せる吸引シリンダ71と、クランクホイル72の回動により往復動して前記吸引シリンダ71に対して出没自在に嵌合するピストン73と、からなる吸引ポンプpの吸気口を、ポートp1とポートp2とポートp3を具備する切換バルブvの前記ポートp1に接続し、切換バルブvのポートp2に吸気パイプ74を接続し、その吸気パイプ74の先端側を、分注ヘッドaの器体内に設けた組付ブロック50の下面に装設せる組付筒部51に設けておく透孔を介してシリンダ本体部40a内に挿通し、その先端の吸気口70を該シリンダ本体部40a内に開口させることで構成してある。
【0029】
そして、これにより、前述の図6の(1)図の如くシリンジ4のピストン41がシリンダ本体部40a内まで引き上げた状態において、切換バルブvを、同6図の(2)図にあるようポートp1とポートp2とが、ポンプpとシリンダ本体部40aに対し連通する状態に切り換えて、ポンプpに吸引作動を行わせることで、ピストン73のストロークに対応する量の空気をシリンダ本体部40a内から引き出し、この空気量に対応する容量の液をシリンダ本体部40a内に吸い上げ、それにより、液が図7にあるよう分注シリンダ部40bを越してシリンダ本体部40aにまで吸引され、その吸引された液の液面Gが、ピストン41の分注作動時におけるスタート位置(イ)を越した状態とする。
【0030】
そして、この状態において、ポンプpの作動を停止して、シリンダ本体部40a内の空気圧を一定に保持しておいて、ピストン41を、図6の(2)図にあるように、スタート位置(イ)の位置を占めるまで下降させることで、ピストン41が液中に没入した状態となる。次いで、ポンプpの切換バルブvを、図6の(3)にあるように、ポートp2が大気開放のポートp3に接続する状態に切り換え、ピストンPに下降作動を行わせ、ピストン41を分注終了位置((ロ)の位置)まで下降させれば、ピストン41の(イ)・(ロ)の間のストロークに対応する量の液が分注シリンダ部40bの下端の滴下口40cから押し出されて、図6の(3)図にあるよう配置しておく滴定プレートeの試験ホールに分注され、同時にこの吐出して分注した液の液量に対応する量の空気が、ポンプ装置pの切換バルブvの大気開放のポートp3から、シリンダ本体部40a内に流入し、分注量を正確なものとする。
【0031】
この吸引手段7は、分注作業を開始する際に、シール部41aが液中に没入する位置を占める状態とするように、シリンダ本体部40a内にまで液を吸引させるためのものであり、分注作動をピストン41を図6の(1)図にあるよう引き上げて、シリンダ本体部40aにまで液を吸い上げた状態から、ピストン41を、図6の(2)図の如く、スタート位置(イ)まで下降させて、そのピストン41を液中に位置させた後に、このピストン41をこのスタート位置(イ)と分注完了位置(ロ)の間を、昇降させることで行うのであるから吸引・分注の作動時にはこの吸引手段7は作用させる必要がなく、吸引・分注の作動時には、図10にあるように切換バルブvの大気開放のポートp3が、シリンダ本体部40a内に連通する図6の(3)の状態として放置される。
【0032】
図5乃至図9において、鎖線で囲い符号を8を付して指示している装置手段は、分注ヘッドaの器体に設けた組付ブロック50の下面に装設せる組付筒部51に装着した分注シリンジ4により、検体・試薬等の液の吸引・分注の作業を終えたときに、その分注シリンジ4の内部を洗浄水によって洗浄するため、分注ヘッドaの器体に組み付けている洗浄水噴射手段である。
【0033】
この洗浄水噴射手段8は、図9において構成を説明すると、モータ(図示省略)により駆動されて作動して吸引口から気体または液体を吸引して吐出口から吐出する気液ポンプspと、その気液ポンプspの吸引口に切換バルブvを介して接続する洗浄水タンクtと、気液ポンプspで汲み上げた洗浄水を、分注ヘッドaに付設の組付ブロック50(図示省略)下面に設けた組付筒部51に装着してある分注シリンジ4内に導くよう気液ポンプspの吐出口に接続した接続パイプ80とからなり、その接続パイプ80は、先端側が、前述の組付ブロック50に設けた透孔及び組付筒部51に設けた透孔を介して、組付筒部に装着してある分注シリンジ4の、シリンダ本体部40a内に突入させてあり、その先端部にはノズル81が装着してある。また、切換バルブvは、気液ポンプspの吸引口に対して接続させるためのポートp4と、大気に開放するポートp5と、洗浄水が張り込まれる洗浄水タンクtに対して接続させるためのポートp6とを具備して、気液ポンプspの吸引口を、洗浄水タンクtに連通させる状態と、大気に開放させる状態とに切り換える三方弁に構成してある。
【0034】
そして、この洗浄水噴射手段8は、図9にあるように、分注ヘッドaの器内に、前述した吸引手段7と、左右に対称するように配置して分注ヘッドaに組み付けてある。
【0035】
この洗浄水噴射手段8による分注シリンジ4の内部の洗浄は、次の行程で行われる。
気液ポンプspの吸引口が洗浄水タンクtと接続するよう切換バルブvを切り換えておいて、気液ポンプspを作動させ、洗浄水タンクtから汲み上げた洗浄水を、ノズル81から分注シリンジ4のシリンダ本体部40aに噴射し、そのシリンダ本体部40a内に洗浄水を注入する。このとき、昇降機構6を作動させて、分注シリンジ4のピストン41を、分注完了位置((ロ)の位置)を占める下降ストロークのエンド位置まで下降させておき、洗浄水が分注シリンダ部40bの内部にまで満たされるようにする。また、分注シリンジ4の内部への洗浄水の注入を迅速にするため、分注シリンジ4に排気口(図示省略)を設けているときは、その排気口を開放し、前述した吸引手段7を組み付け装備せしめているときは、その吸引手段7の切換バルブvを、それのポートp3とポートp2が連通して、分注シリンジ4の内部が吸引手段7の大気開放のポートp3を介し大気に連通する状態としておく。
【0036】
分注シリンジ4内に、所定量の洗浄水が注入されたところで、気液ポンプspの作動を停止し、分注シリンジ4に設けた排気口を閉じるか、吸引手段7のバルブvを、大気開放のポートp3が閉塞されるポジションに切り換え、分注シリンジ4の内部の外気との連通を遮断して、注入された洗浄水が分注シリンジ4の内部に保持される状態とし、この状態において、昇降機構6を作動させてピストン41に昇降作動を繰り返させ、これにより、分注シリンジ4の内部の洗浄を行う。
【0037】
このピストン41の昇降作動による洗浄が完了したところで、排気口または吸引手段7のバルブvの大気開放のポートp3は、閉じた状態に保持したまま、ピストン41を、シリンダ本体部40a内に位置するまで引き上げ、洗浄水噴射手段8のバルブvを、気液ポンプspの吸引口がポートp5を介して大気に通ずるポジションに切り換え、図10に示す状態とし、この状態において、気液ポンプspを作動させ、ポートp5から引き込む外気を、ノズル81から勢いよく分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内に噴射し、その噴射圧で、分注シリンジ4の内部の洗浄水を、分注シリンダ部40bの筒先の滴下口40cから外部に排出して、洗浄を終了する。
【0038】
この洗浄水噴射手段8を装備せしめた分注装置は、分注ヘッドaの下部に装着した分注シリンジ4を、一回の分注作動の度ごとに、新たなものと交換することなく、洗浄水による洗浄によって、コンタミンの防止が行えることになる。
【実施例2】
【0039】
図11乃至図18は、別の実施例を示している。この例の分注装置は、前述の実施例の分注装置が分注ヘッドaの底部に装着する分注シリンジ4がシングルであるのに対し、分注シリンジ4を多連に並列させて装着するようにしている点と、並列させて装着した分注シリンジ4を、装着した状態に保持せしめるために押さえ部材9を装備せしめている点と、分注シリンジ4の、シリンダ本体部40aの下方に連続させて設けている小径の分注シリンダ部40bの筒先の、滴下口40cを、分注シリンダ部40bの内径と対応する口径の開放口に形成している点とにおいて差異があるだけのもので、基本的には、変わりがないものである。
【0040】
図において具体的に説明すれば、図11の全体の斜視図において、1は機体、10は機体1の上面の後端側の部位に立設せる機筐状の機枠、aはその機枠10の前面に装架した分注ヘッド、4はその分注ヘッドaの底部に装着せる分注シリンジ、Sは、前記機枠10の前面側に位置する機体1の上面側の前半側に形設したステーション、dはそのステーションSの上面の後端側で、前記分注ヘッドaの下方に位置する部位に配位して設置した検体・試薬等の液が注入してある容器(瓶)cを並列支架せしめたラック、eは、このラックdの手前側の部位に配位してステーションS上に設置した滴定プレート、Rは、前記滴定プレートeの手前でステーションSの上面の前端側の部位に配位して、設置したチップラックを示す。
【0041】
分注ヘッドaは、底部に設けた分注シリンジ4による検体・試薬の液体の吸引・分注が行えるよう機枠10の前面に、機枠10に対し移動可能に装架せしめるが、この例においては、検体等の液が注入されている容器(瓶)cを並列支架したラックdおよび滴定プレートeならびにチップラックRが、分注ヘッドaの前面側に前後方向に整列して配置してあることから、機枠10に対し、上下方向(Y方向)と前後方向(Z方向)との2方向の移動が可能としてある。
【0042】
また、分注ヘッドaの器体には、図面では一部の明示を省略しているが、分注シリンジ4のピストンロッド41’を昇降作動させるための、昇降機構6を、前述の実施例のものと同様に、ステッピングモータMの制御作動により螺子軸60を正または逆に回転させることで、この螺子軸60に螺合する作動部材61が上昇または下降して、この作動部材61に連繋するピストン21を昇降作動させるように構成して、装備してある。
【0043】
しかし、この実施例の昇降機構6は、ステッピングモータMの出力軸から螺子軸60に回転動力を伝える経路及び、作動部材61とピストン41との連繋手段において、前述の実施例1のものと差異のあるものである。
【0044】
前述の実施例1のものでは、図5にあるようにステッピングモータMの出力軸は、螺子軸60の下端部に対し直結的に伝導接続させ、螺子軸60に螺合して昇降する作動部材61は、作動ロッド62を介しピストン41のピストンロッド41’に接続連結するようにしているが、この実施例の昇降機構6では、出願人が先に開発して特許公報特公平1−46032号として公告されている分注装置に、用いられている形態のものを採用し、前記特許公報の第2図を援用する図12に示しているごとく、ステッピングモータMの出力軸には、スプロケット64を組み付け、これに掛け回した伝導チェンを、並列させて設けた螺子軸60の各上端側に組み付けたスプロケット64に掛け回すことで、ステッピングモータMの出力軸を伝導チェン65を介して螺子軸60に回転動力を伝導するようにし、また作動部材61は、横長の平板状に形成して、前記螺子軸60の下端側に螺合させ、この平板状の作動部材61に、分注ヘッドaの底部側に多連に並列させて組み付けたシリンジ4の、それぞれのピストン41の上端側を組み付け連結することで、多連に設けたシリンジ4のそれぞれのピストン41を一斉に昇降させ得るようにしている。
【0045】
また、該分注ヘッドaの器内には、前述の実施例1の分注ヘッドaと同様に、吸引手段7および洗浄水噴射手段8が組み込まれている。
【0046】
分注ヘッドaの底部に装着する分注シリンジ4は、前述の実施例の分注シリンジ4と同様に、シリンダ40を、大径のシリンダ本体部40aの下方に小径の分注シリンダ部40bが連続する形態に成形し、これをチップbとして、分注ヘッドaの器体に設けた組付ブロック50の下面に垂設せるニップル状の組付筒部51に嵌合させることで装脱自在に装着させるようにするが、該分注シリンジ4の下半側の小径とした分注シリンダ部40bの下端は、図15乃至図19に示しているように、先端に向け先細りとした筒先部のない、分注シリンダ部40bを切り離した形態の開放口とし、この開放口をもって滴下口40cを構成するようにしてある。そして、ピストンロッド41’の下端部に装設せるピストン41は、図17にあるように、下方に向け先細りとした砲弾型の形状として、下降ストロークのエンドの分注完了位置に達したときにピストン41の先端が分注シリンダ部40bの下端の開放口から外部に露出してくるようにしてある。
【0047】
また、チップbを構成する分注シリンジ4のシリンダ40を嵌合させて装着せしめるニップル状の組付筒部51は、組み付けブロック50を、左右方向に長い角棒状に形成し、これの下面に多連に並列させて垂設してあり、この並列する組付筒部51のそれぞれに、チップbを構成するシリンダ40を嵌合させて装着することで、分注ヘッドaの底部に、分注シリンジ4が多連に並列して装設されるようにしてある。そして、装着した各チップbの装着した状態の保定は、分注ヘッドaの器体の、前記組み付けブロック50の後方に寄る部位に、図17にあるよう支軸90により上方に向け回動する板状の押さえ部材9を支架し、この押さえ部材9には、上方に回動させたときに並列させて装着してあるチップb(分注シリンジ4のシリンダ部40)と重合する部位に、そのチップbの外周に嵌り合う切欠部(図示省略)を設けておき、チップbを組付筒部51に嵌挿して装着したところに、この押さえ部材9を回動させて、切欠部をチップの外周に嵌合させ、図19にあるよう、チップbの上端部に形設してある鍔部を下方から押さえて支承させ、この状態で押さえ部材9を、係止部材(図示省略)により係止することで、嵌挿して装着した各チップbを装着した状態に保持するようにしてある。
【0048】
また、角棒状に形成して、下面にチップb(分注シリンジ4のシリンダ40)を装着するための組付筒部51には、それの内部に、図13・図14・図18・図19に示しているように、該組付ブロック50の長手方向に沿う軸穴状の送気管路52と、導液管路53とを設けて、それら管路52・53の途中で、並列して垂設してある組付筒部51のそれぞれと対応する部位に、図14にあるよう枝管状に接続する送気管54及び導液管55を設けて、これら送気管54及び導液管55を組付ブロック50の下面に並列させて垂設してある組付筒部51に設けた透孔に嵌挿して、組付筒部51の下面側に先端側を突出させて、組付筒部51に嵌挿して装着せる分注シリンジ5のシリンダ本体部40aの内部にエアおよび洗浄水を噴射するノズルに構成している。そして、角棒状の組付ブロック50内に形設した前述の送気管路52および導液管路53は、一端側を封栓し、他端側にそれぞれ接続パイプ56・57を接続し、それら接続パイプ56・57を、洗浄水噴射手段8の気液ポンプspの吐出口に対し、切換バルブ(図示省略)を介して交互に連通するように接続させてある。
【0049】
そして、これにより、洗浄水噴射手段8を作動させて、分注ヘッドaに装備せる分注シリンジ4の内部を洗浄する際、気液ポンプspが洗浄水を汲み上げて吐出口から送出するときにあっては、送り出される洗浄水が、導液管路53に流れて、枝管状の導液管55を介して、並列する組付筒部51に嵌装してあるそれぞれの分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内に噴射され、また、洗浄水による洗浄を終えて、気液ポンプspがエアーを送出するときは、送り出されてくるエアーが、送気管路52に流れて、枝管状の送気管55を介し、並列する組付筒部51に装着してある分注シリンジ4のシリンダ本体部40a内にそれぞれ噴出していくようになり、これによって、多連に並設した分注シリンジ4が同時に洗浄水で洗浄されるようにしてある。
【符号の説明】
【0050】
G 液面
H 空気層
M ステッピングモータ
R チップラック
R’ 保持穴
S ステーション
a 分注ヘッド
b チップ
c 容器
d ラック
e 滴定プレート
p 吸引ポンプ
p1 p2 p3 p4 p5 p6 ポート
sp 気液ポンプ
t 洗浄水タンク
v 切換バルブ
1 機体
10 機枠
11 架台
13 支持台
14 チェン
15 スプロケット
16 螺子杆
17 昇降板
18 下位支持台
2 シリンジ
20 シリンダ
20a 先端部
21 ピストン
3 昇降機構
30 チェンベルト
31 スプロケット
32 螺子軸
33 作動部材
4 分注シリンジ
40 シリンダ
40b 分注シリンダ部
40c 滴下口
41 ピストン
41’ ピストンロッド
41a シール部
50 組付ブロック
51 組付筒部
52 送気管路
53 導液管路
54 送気管
55 導液管
56 57 接続パイプ
6 昇降機構
60 螺子軸
61 作動部材
62 作動ロッド
63 接続器
7 吸引手段
70 吸引口
71 吸引シリンダ
72 クランクホイル
73 ピストン
74 吸気パイプ
8 洗浄水噴射手段
80 接続パイプ
81 ノズル
9 押さえ部材
90 支軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記シリンダ本体部及び分注シリンダ部は、独立した一体形状に形成され前記分注ヘッドの底面ノズル部に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項3】
前記ピストンは、駆動手段によって間欠的な下降制御が可能であることを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項4】
前記分注ヘッドは、シリンダ本体の内部空間内へ洗浄水を噴射する洗浄水噴射装置の洗浄ノズルを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の分注装置。
【請求項1】
内部空間が円筒状に形成されたシリンダ本体部から下方へ延長され前記内部空間より径の小さい分注シリンダ部を有する分注ヘッドと、前記シリンダ本体の内部空間から分注シリンダ部内へ挿入され前記分注シリンダ部上方のスタート位置及び下方の分注完了位置まで上下動可能なピストンと、前記分注シリンダ部先端の滴下口から内部空間内まで液体を吸い上げ前記分注シリンダ部上方のスタート位置を液面下とする吸引手段とを備え、前記ピストンは分注初期動作時に液面下のスタート位置に臨んでいることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記シリンダ本体部及び分注シリンダ部は、独立した一体形状に形成され前記分注ヘッドの底面ノズル部に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項3】
前記ピストンは、駆動手段によって間欠的な下降制御が可能であることを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項4】
前記分注ヘッドは、シリンダ本体の内部空間内へ洗浄水を噴射する洗浄水噴射装置の洗浄ノズルを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の分注装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−220301(P2012−220301A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85335(P2011−85335)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(591058127)メディカテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(591058127)メディカテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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