説明

分離制御および傾斜異方性を有する垂直磁気記録媒体のシステム、方法および装置

【課題】 分離制御および傾斜異方性を有する垂直磁気記録媒体のシステム、方法および装置を提供する。
【解決手段】 高性能な垂直磁気記録媒体の構造は、接着層、第1の軟磁性下地層(SUL)、結合層、第2のSUL、シード層、Ru層および、オンセット層を含む複数の順次層を有する基板と、当該オンセット層上にあり且つ媒体の上書き性能を向上させる傾斜異方性を示す組成を有する少なくとも1つの酸化物層と、少なくとも1つの酸化物層上の交換結合層(ECL)と、キャップ層と、ECL上でキャップ層内の横方向の交換結合を減らすためにECLとキャップ層との間に設けられた分離制御層と、キャップ層上の炭素保護膜とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にハードディスクドライブに関し、より具体的には分離制御層および傾斜異方性を有する垂直磁気記録(PMR)媒体のシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、基板23、接着層25、および結合層31により結合された一対の軟磁性下地層(SUL)27、29を含む従来のPMR媒体21を示す。SUL29から上はシード層33、Ru層35、オンセット層37、均一な酸化物層39、交換結合層(ECL)41、キャップ層43、および炭素保護膜(COC)45が順次積層されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】D.Suessら、Journal of Magnetism and Magnetic Materials(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より高い面密度を実現しようとする場合、信号対雑音比(SNR)、上書き性能(OW)、および磁気コア幅(MCW)等、PMR媒体21の性能パラメータには困難なトレードオフが生じる。しかし、より高性能のPMR媒体は、これら全てのパラメータを継続的に向上させる必要がある。所与のMCWについてSNRとOWを同時に向上させる新規の構造および設計を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
分離制御層および傾斜異方性を有する垂直磁気記録(PMR)媒体のシステム、方法、および装置の実施形態を開示する。いくつかの実施形態において、PMR媒体は、接着層、第1の軟磁性下地層(SUL)、結合層、第2のSUL、シード層、Ru層、およびオンセット層を含む複数の順次層を有する基板を含んでいる。少なくとも1つの酸化物層がオンセット層上にあって、PMR媒体の上書き性能を向上させる傾斜異方性を示す組成を有している。交換結合層(ECL)が酸化物層上にあって、これにキャップ層が続く。ECL上のキャップ層の横方向の交換結合を減らすために分離制御層がECLとキャップ層との間に配置されている。
【0006】
これらの実施形態の上述および他の目的および利点は、添付の請求項および図面と合わせて以下の詳細説明から当業者には明らかになろう。
【0007】
実施形態の特徴および利点を実現する方法をより詳細に理解できるよう、添付の図面に例示されたこれらの実施形態を参照しながらより具体的な記述を行なう。しかし、図面はいくつかの実施形態だけを例示するものであり、従って他の同様に効果的な実施形態も可能なため、本発明の範囲がこれらに限定されると考えてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来のPMR構造の模式的断面図である。
【図2】PMR構造の実施形態の模式的断面図である。
【図3】保磁力を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図4】核生成磁場を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図5】スイッチング磁場分布を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図6】飽和磁場を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図7】上書き性能を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図8】磁気コア幅を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図9】信号対雑音比を、従来の媒体と各種実施形態による媒体の構造の性能について比較したプロット図である。
【図10】ソフトエラー率を、従来の構造と実施形態による媒体構造の磁気コア幅の関数として比較したプロット図である。
【図11】上書き性能を、従来の構造と実施形態による媒体構造の磁気コア幅の関数として比較したプロット図である。
【図12】ディスクドライブの実施形態の模式図である。
【0009】
異なる図面において同一参照符号を使用している場合、類似または同一部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
分離制御層および傾斜異方性を有する垂直磁気記録(PMR)媒体のシステム、方法および装置の実施形態を開示する。図2に示すように、PMR媒体50の実施形態は、分離制御層(DCL)51を用いて構造のキャップ層53における横方向の交換結合を減らす。DCL51はいくつかのバージョンにおいてCoCrPtB酸化物材を含んでいる。他の実施形態において、Ti、Ta、Ru、Ni、Fe等を有するCoPtCrBRu酸化物、CoPtCrTaBRu酸化物、またはCoCrPt酸化物を用いてもよい。材料の酸化物部分は、TiO、SiO、Ta、B、CoO、ZrO、Al、Crを含んでいてもよい。
【0011】
PMR媒体50は更に、基板61と、基板61上にあって接着層63および結合層69により結合された一対の軟磁性下地層(SUL)65、67を含む順次層とを含んでいてもよい。シード層71、Ru等の下地層73、オンセット層75、および二重または三重酸化物等、1つ以上の酸化物層55がSUL67から上に順次積層されている。炭素保護膜(COC)77がキャップ層53の上に形成されている。
【0012】
基板61は、ガラス材料で形成されていてもよく、その上に形成された他の層よりも厚くてもよい。接着層63は、アルミニウム、チタン、またはこれらの組成物を含んでいてもよく、基板61の上に形成された層が使用中に「剥離する」ことを防止するために機能することができる。SUL65、67は、反強磁性結合(AFC)層69、通常はRuその他のAFC材料により分離される。SUL65、67は、好適には高いモーメントを与えるコバルト、鉄、タンタル、ジルコニウム、またはこれらの組成物を含んでいてもよい。シード層71は、ニッケル、タングステン、クロミウム、チタン、それらの組合せ等、当分野で知られた任意の適切な材料を含んでいてもよい。オンセット層75は、ルテニウム、チタンおよび/または酸化物等を含んでいてもよい。酸化物磁性層55は、CoCrPtX+酸化物またはOを含んでいてもよく、ここでXはB、Ta、Si、Ru、Ti等であってもよく、酸化物はTiO、SiO、B、W、Ta等であってもよい。
【0013】
DCL51は所与の磁気コア幅(MCW)において信号対雑音比(SNR)を向上させるが、同時に上書き性能(OW)を低下させる。図2に示すように、OWの損失は、酸化物層55に傾斜異方性構造を与えることにより回復できる。従来の媒体と比較して、酸化物層55内でDCL51と傾斜異方性を示す組成を更に組合せることにより所与のMCWにおけるPMR媒体50のOWおよびSNR/ビットまたはソフトエラー率(SER)が同時且つ大幅に向上する。
【0014】
ポテンシャル井戸内の粒子の場合、これをある最低準位から別の最低準位へ動かすために必要な最大の力は勾配に依存する。勾配は、水平方向のエネルギー地形をスケーリングすることで下げることができる。磁気特性を用いて、エネルギー地形のスケーリングは、磁気異方性定数が異なる磁性層の導入により実現することができる。層全体の厚さが増した場合、全磁気モーメントが増大してエネルギー地形の最大傾斜が下がる。従って、エネルギー障壁を変えることなく、粒子のスイッチングに必要な磁場を減衰させることができる。(非特許文献1)参照。
【0015】
構造を等級付けすることにより傾斜異方性が得られる。例えば、CoCrPtRu−SiO−Ta酸化物合金の場合、Ptの含有量は磁気異方性Kに比例するが、CrおよびRuの含有量は異方性Kに反比例する。異方性は、酸化物の含有量との強い相関を有していない。底部酸化物ではKが高く、中間の酸化物ではKが中程度、最上部酸化物ではKより低いことが有利な場合がある。例えば、CoPtCrRu酸化物合金の場合、組成勾配は、Pt(底部)>Pt(中間)>Pt(最上部)、Cr(底部)<Cr(中間)<Cr(最上部)、およびRu(底部)<Ru(中間)<Ru(最上部)であってもよい。これは、全ての酸化物含有合金について一般化することができる。例えば、底部酸化物合金は、Pt=17〜22at%、Cr=8〜14at%、Ru=0〜4at%であってもよい。材料の酸化物部分は例えば、TiO、SiO、Ta、B、CoO、ZrO、AlまたはCrを含んでいてもよい。酸化物の総含有量は、選択された単一または複数の酸化物に応じて0.5%〜15%の範囲で変化する場合がある。
【0016】
これらの改良により、図3〜9において、従来の媒体の性能を構造的に拡張された媒体の各種実施形態と比較する。例えば、これら各図面の0/60データ点は、DCLを有しておらず(すなわち厚さが0Å)且つキャップの厚さが60Åである従来の媒体の性能を表す。図3〜9はまた、厚さが以下の組合せである媒体の3つの実施形態の性能を示す。すなわち(a)53Åのキャップを有する7ÅのDCL、(b)46Åのキャップを有する14ÅのDCL、および30Åのキャップを有する30ÅのDCLである。
【0017】
図3〜9において、以下パラメータの観点から従来の媒体の性能を媒体の実施形態と比較する。すなわちそれぞれ、保磁力(Hc)、核生成磁場(Hn)、スイッチング磁場分布(SFD)、飽和磁場(Hs)、上書き性能(OW)、磁気コア幅(MCW)、および信号対雑音比(SNR)である。DCLの厚さが増大するにつれて、Hc、SFDおよびHsが高くなり、Hnの負の絶対値が小さくなる。このことは、キャップ層における横方向の交換結合が抑制されていることを示す。
【0018】
従来の設計において、キャップ層の合金は通常、これらの合金を用いるフィルムが強い粒子間結合を有するように低いCrおよび高いBを含んでいる。酸化物層が等級付けされていなければ、キャップ層内の強い結合が上書き性能を促進する唯一の方法であろう。しかし、キャップ層内の強い結合のより結果的に高い媒体雑音が生じて、SNRの向上が制約される。本明細書に開示するDCLを用いて、キャップ層内の粒子間結合を減らす。再び、粒子間結合の減少に起因する磁気特性の変化が図3〜9から見て取れる。粒子間結合が減少するにつれて、Hcが増大し、Hnの負の絶対値が小さくなって、SFDおよびHsも増大する。これらの説明は、DCLがキャップ層内の粒子間結合を抑制するという事実を裏付ける。
【0019】
表1に、従来の媒体と媒体の実施形態を比較したGuzikスピンスタンド試験からのデータを要約している。これらのデータからも、従来の媒体に対してOW、SERおよびSNRが向上していることがわかる。
【0020】
【表1】

【0021】
図10、11は、各々従来の構造および構造の実施形態のMCWの関数として、SERおよびOWを比較したプロット図である。所与のMCWにおいて、媒体の実施形態は、従来の媒体よりもSERが約0.4多く、OWが1.5dB高い。
【0022】
DCLがキャップ層内の粒子間結合を抑制するため、媒体雑音(N)が減少する。この事実は、SNRと同様に、分離信号(SoNR)により正規化された雑音に見ることができる。SoNRの分離は、隣接信号から信号干渉を除去する媒体雑音減少の正味効果を示す。SNRは、DCLに起因する雑音減少および隣接信号からの干渉に起因する信号減少を含んでいる。いくつかの実施形態において、隣接信号からの干渉は変化しないため、SNRの向上は主に雑音減少に起因する。このため、SoNRおよびSNRが0.4〜0.5dBとほぼ同程度向上していることがわかる。これはSERの向上のほぼ0.5のオーダーを反映している。
【0023】
本明細書で説明するように、DCLはキャップ層内の粒子間結合を抑制する結果、高いHc、SFDおよびHsが得られるため古い信号を上書きすることが困難になる。上書き性能が低いことで磁気コア幅が狭くなる。上書き性能を向上させながらトラック密度を上げるには磁気コア幅を狭い状態に維持することが望ましい。図11に示すように、本明細書に記述する傾斜媒体を使用することで所与のMCWにおいてOWが向上する。
【0024】
いくつかの実施形態において、PMR媒体は、接着層、第1の軟磁性下地層(SUL)、結合層、第2のSUL、シード層、Ru層、およびオンセット層を含む複数の順次層を有する基板と、当該オンセット層上にあり且つPMR媒体の上書き性能(OW)を向上させる傾斜異方性を示す組成を有する少なくとも1つの酸化物層と、少なくとも1つの酸化物層上の交換結合層(ECL)と、キャップ層と、ECL上でキャップ層内の横方向の交換結合を減らすためにECLとキャップ層との間に設けられた分離制御層(DCL)と、キャップ層上の炭素保護膜(COC)とを含んでいる。
【0025】
少なくとも1つの酸化物層の組成は、軟異方性を有するオンセット層に隣接する第1の部分、軟異方性を上回る適度な異方性を有する第2の部分、および第2の部分より高い異方性を有する第3の部分を含んでいてもよい。
【0026】
DCLはTi、Ta、Ru、NiまたはFeを有するCoCrPtB酸化物またはCoCrPt酸化物を含んでいてもよく、DCLの酸化物はTiO、SiO、Ta、B、CoO、ZrO、AlまたはCrを含んでいる。DCLおよびキャップ層を組み合わせた全体の厚さは約20〜80Å(いくつかの実施形態では約60Å)であってもよく、DCL対ECLの厚さの比率は約0.05〜0.8である。
【0027】
図12に、ハードディスクドライブアセンブリ100の実施形態の模式図を表す。ハードディスクドライブアセンブリ100は一般に、本明細書に記述するように1つ以上のディスクを有する筐体または容器を含んでいる。ディスクは、動作中はスピンドルモーター(図示せず)により高速回転する磁気記録媒体111(本明細書に記述)を含んでいる。情報を受け取って保存するためにディスク表面の片面または両面に同心データトラック113が磁気的に形成されている。
【0028】
読み出し専用または読み出し/書き込みヘッド110の実施形態は、アクチュエータアセンブリ106によりディスク表面を横断的に移動可能であり、ヘッド110が特定のトラック113から磁気データの読み出しまたは書き込みを行なうことができる。アクチュエータアセンブリ106はピボット114の回りをピボット回転できる。アクチュエータアセンブリ106は、振動その他の外乱と同様に磁気記録媒体111の熱膨張を補償するために読み出し/書き込みヘッド110を動的に配置するサーボ制御として知られる閉ループフィードバックシステムの一部を形成していてもよい。サーボ制御システムにはまた、コンピュータからデータアドレス情報を受け取り、媒体111上の場所へ転送して、読み出し/書き込みヘッド110を適宜動かすマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはアナログ信号プロセッサ116により実行される複雑な計算アルゴリズムも関係している。
【0029】
ハードディスクドライブシステムのいくつかの実施形態において、読み出し/書き込みヘッド110はヘッド110の位置決めが正確であることを保証するために、ディスクに記録されたサーボパターンを定期的に参照する。サーボパターンは、読み出し/書き込みヘッド110が特定のトラックを正確に辿ることを保証し、あるトラック113から他のトラックへのヘッド110の遷移を制御および監視するために用いてもよい。サーボパターンを参照した場合、読み出し/書き込みヘッド110はヘッド位置情報を取得して、制御回路116が、検出されたエラーがあれば訂正するためにヘッド110の位置を再調整できるようにする。
【0030】
いくつかの実施形態において、ディスクドライブの性能向上のためにサーボパターンを頻繁にサンプリングできるように複数のデータトラック113内に埋め込まれた加工サーボセクション112にサーボパターンが含まれていてもよい。典型的な磁気記録媒体111において、埋め込みサーボセクション112は、車輪の中心から出るスポークの如く、磁気記録媒体111の中心から略放射状に延びている。しかしスポークとは異なり、サーボセクション112は、読み出し/書き込みヘッド110の移動範囲にほぼ一致するように更正された微妙な弧状の経路を形成する。
【0031】
本明細書の記述は例を用いて最良の形態を含む実施形態を開示し、且つ当業者が本発明を実施して使用できるようにする。特許権利化可能な範囲は、請求項により規定されるが、当業者が想到する他の実施形態を含んでいてもよい。そのような他の例は、それらが請求項の字義通りの構造要素を有しているか、またはそれらが請求項の字義文字と本質的には異ならない等価な構造要素を含んでいれば請求項の範囲に含まれることを意図されている。
【0032】
一般的な記述または例を用いて説明した上述の機能の全てが必要な訳ではなく、特定の機能の一部が必要な場合があり、上述のものに加えて1つ以上の更なる機能が実行される場合がある点に注意されたい。また更に、機能を掲示する順序は必ずしもそれらを実行する順序ではない点に注意されたい。
【0033】
上の明細書において、各種概念について特定の実施形態を参照しながら記述してきた。しかし、当業者は、添付の請求項に記述するように本発明の範囲から逸脱することなく各種の変更および修正を行なうことができることを理解するであろう。従って、明細書および図面は、限定目的ではなく説明目的であると考えられ、そのようなあらゆる変更は本発明の範囲に含まれるものとする。
【0034】
本明細書で用いる表現「からなる」、「からなっている」「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」または他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図している。例えば、一覧化された特徴からなる処理、方法、物品、または装置は必ずしもこれらの特徴だけに限定される訳ではなく、明示的には一覧化されていないかまたはそのような処理、方法、物品、または装置に固有でない他の特徴を含んでいてもよい。更に、そうでないことが明示的に言明されていない限り、「または」は、排他論理和ではなく包含的論理和を指す。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれの場合も満たされる。Aが真(または存在する)且つBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)且つBが真(または存在する)、およびAとBが共に真(または存在する)。
【0035】
また、不定冠詞「a」または「an」は本明細書に記述する要素および部品を記述するために使用される。これは、単に便宜上、本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものに過ぎない。本明細書の記述は、1つまたは少なくとも1つを含み、単数形はそうでないことが明らかでない限り、複数も含んでいるものと読むべきである。
【0036】
利点、他の効果、および課題の解決策について特定の実施形態に関して上述した。しかし、これらの利点、効果、課題の解決策、および今後生じるかまたはより顕著になる利点、効果、解決策、および特徴は、請求項のいずれかまたは全てについての重要な、必須の、または本質的な特徴と考えてはならない。
【0037】
本明細書を読んだ後、特定の特徴が、本明細書においては明確にするために別々の実施形態で記述されており、単一の実施形態内で組合せて提供してもよいことが当業者には理解されよう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態で記述されている各種の特徴もまた、別々にまたは任意の副次的な組み合わせで提供できる。更に、範囲を指定して言及された値への参照は、当該範囲内の全ての値を含んでいる。
【符号の説明】
【0038】
21 PMR媒体
23 基板
25 接着層
27 軟磁性下地層
29 軟磁性下地層
31 結合層
33 シード層
35 Ru層
37 オンセット層
39 酸化物層
41 交換結合層
43 キャップ層
45 炭素保護膜
50 PMR媒体
51 分離制御層
53 キャップ層
55 酸化物層
61 基板
63 接着層
65 軟磁性下地層
67 軟磁性下地層
69 結合層
71 シード層
73 Ru層
75 オンセット層
77 炭素保護膜
100 ハードディスクドライブアセンブリ
106 アクチュエータアセンブリ
110 ヘッド
111 磁気記録媒体
112 サーボセクション
113 データトラック
114 ピボット
116 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直磁気記録(PMR)媒体であって、
接着層、第1の軟磁性下地層(SUL)、結合層、第2のSUL、シード層、Ru層、およびオンセット層を含む複数の順次層を有する基板と、
前記オンセット層上にあり傾斜異方性を示す組成を有する少なくとも1つの酸化物層と、
前記少なくとも1つの酸化物層上の交換結合層(ECL)と、
キャップ層と、
前記ECLと前記キャップ層との間に設けられた分離制御層(DCL)と、
前記キャップ層上の炭素保護膜(COC)と
を含むPMR媒体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの酸化物層の組成が、軟異方性を有する前記オンセット層に隣接する第1の部分、前記軟異方性を上回る適度な異方性を有する第2の部分、および前記第2の部分より高い異方性を有する第3の部分を含んでいる、請求項1に記載のPMR媒体。
【請求項3】
前記DCLがCoCrPtB酸化物を含んでいる、請求項1に記載のPMR媒体。
【請求項4】
前記DCLが、Ti、Ta、Ru、NiまたはFeを有するCoCrPt酸化物を含み、前記DCLの酸化物がTiO、SiO、Ta、B、CoO、ZrO、AlまたはCrを含んでいる、請求項1に記載のPMR媒体。
【請求項5】
前記DCLおよび前記キャップ層を組み合わせた全体の厚さが約20〜80Åであり、DCL対ECLの厚さの比率が約0.05〜0.8である、請求項1に記載のPMR媒体。
【請求項6】
容器と、
前記容器に回転可能に搭載されたディスクであって、接着層、第1の軟磁性下地層(SUL)、結合層、第2のSUL、シード層、Ru層、およびオンセット層を含む複数の順次層を有する基板と、前記オンセット層上にあり傾斜異方性を示す組成を有する少なくとも1つの酸化物層と、前記少なくとも1つの酸化物層上の交換結合層(ECL)と、キャップ層と、前記ECLと前記キャップ層との間に設けられた分離制御層(DCL)と、前記キャップ層上の炭素保護膜(COC)とを含む垂直磁気記録(PMR)媒体を有するディスクと、
前記容器に回転可能に搭載され且つ前記PMR媒体からデータを読み取るヘッドを有するアクチュエータと
を含むハードディスクドライブ。
【請求項7】
前記DCLがCoCrPtB酸化物を含んでいる、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの酸化物層の組成が、軟異方性を有する前記オンセット層に隣接する第1の部分、前記軟異方性を上回る適度な異方性を有する第2の部分、および前記第2の部分より高い異方性を有する第3の部分を含んでいる、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項9】
前記DCLが、Ti、Ta、Ru、NiまたはFeを有するCoCrPt酸化物を含み、前記DCLの酸化物がTiO、SiO、Ta、B、CoO、ZrO、AlまたはCrを含んでいる、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項10】
前記DCLおよび前記キャップ層を組み合わせた全体の厚さが約20〜80Åであり、DCL対ECLの厚さの比率が約0.05〜0.8である、請求項6に記載のハードディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−109005(P2012−109005A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240954(P2011−240954)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】