説明

分離器

【課題】流体の流れが正方向、逆方向でも混入物を分離することのできる分離装置を得る。
【解決手段】サイクロンを発生させて流体に混入している混入物を分離させるための分離器であって、略々円筒形のシェル1と、シェル1の外周面に設けられ、シェル1の内部に連絡している複数の接続口2〜5とを有し、接続口2〜5のうちの少なくとも1つは流体の入口および出口の両方に切り替え可能で、流体は、入口とする接続口2,4の外端部から流入され、旋回流となって、接続口2,4の内端部、シェル1の内部でかつ内筒6の外部、内筒6の下端部、内筒6の内部、および、出口とする接続口3,5の内端部を介して、接続口3,5の外端部から外部に排出される。旋回流によるサイクロン効果により、比重の重い混入物が分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は分離器に関し、特に、流体に含まれる混入物をサイクロンで分離する分離器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のサイクロン式分離器は一方向にしか機能せず、逆方向に対しては別途分離器及び切換え装置を設置する必要がある。このため、正方向流路と逆方向流路を持つ必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、分離物が分離物出口で詰まるため逆洗浄機構、閉塞除去装置等を必要とする物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2596973号公報
【特許文献2】特許第2858980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサイクロン式分離器は、逆流すると分離できず、また、分離物が詰まるため、逆洗浄機構を必要とする等の問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、流体の流れが正方向、逆方向でも混入物を分離することのできる分離装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、サイクロンを発生させて流体に混入している混入物を分離させるための分離器であって、略々円筒形の本体と、前記本体の外周面に設けられ、前記本体の内部に連絡している複数の接続口とを備え、前記複数の接続口のうちの少なくとも1つは前記流体の入口および出口の両方に切り替え可能で、前記流体は、入口とする接続口の外端部から流入され、当該入口とする接続口の内端部、本体の内部、および、出口とする接続口の内端部を介して、当該出口とする接続口の外端部から排出されることを特徴とする分離器である。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、サイクロンを発生させて流体に混入している混入物を分離させるための分離器であって、略々円筒形の本体と、前記本体の外周面に設けられ、前記本体の内部に連絡している複数の接続口とを備え、前記複数の接続口のうちの少なくとも1つは前記流体の入口および出口の両方に切り替え可能で、前記流体は、入口とする接続口の外端部から流入され、当該入口とする接続口の内端部、本体の内部、および、出口とする接続口の内端部を介して、当該出口とする接続口の外端部から排出されることを特徴とする分離器であるので、接続口を入口、出口のどちらに使用した場合でもサイクロンが発生するように配置したので、流体の流れが正方向、逆方向でも混入物を分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る双方向型分離器におけるサイクロン部構造図である。図2はこの発明の実施の形態1における流体の正方向フロー、図3は逆方向フローを示すものである。また、図4は、図1の構成の変形例で、入口出口専用接続口を使用した構造を示す。図5は図4の構成における流体の正方向フロー、図6は図4の構成における逆方向フローを示すものである。図1〜図6のいずれにおいても、(a)は水平方向の断面図、(b)は軸断面図である。なお、以下では流体として説明するが、流体には液体および気体が含まれているものとする。
【0010】
図1〜図3に示すように、本実施の形態1に係る双方向型分離器の本体は、円筒型または概ね円筒型のシェル形状を有したシェル1であり、サイクロン機能を有して、シェル1内でサイクロンを発生させて、流体に混入している混入物を遠心分離方式により流体から分離させるための分離器である。なお、本実施の形態においては、双方向の流れに切り替えることができ、双方向の流れのいずれにおいても流体に含まれる混入物を分離することができる。図1に示すように、シェル1の外周面から、シェル1を貫通して、略々円筒型の4つの双方向接続口2,3,4,5が四方に突出するように設けられている。これらの双方向接続口2,3,4,5は、4つとも同じ形状を有し、図1(a)に示されるように、点対称の位置に設けられており、隣接している双方向接続口どうしが90°の角度になるように配置されている。すなわち、シェル1を90°回転させても、同じ配置になる。また、図1(b)に示すように、双方向接続口2,3,4,5は、いずれも、シェル1の軸方向に対して、略々45°の角度をなして、かつ、上向きに設置されている。なお、双方向接続口2,3,4,5のシェル1に対する角度・直進性は、配置および分離性能により変化する。また、双方向接続口2,3,4,5の配置はこの場合に限らず、全てが同一方向のサイクロンを発生する向きであれば、この例以外の配置でもよいものとする。
【0011】
図1(b)に示すように、シェル1の下方は、コーン形状(円錐型)をしており、下端部分(以下、サイクロン終端部とする)は開口されている。円筒形状部分のシェル1の内部には円筒形状あるいは概ね円筒形状の内筒6が設けられている。内筒6の外径はシェル1の内径よりも小さいため、互いに接することなく、内筒6の外周とシェル1の内周との間は、図1(b)に示すような空間が形成されている。内筒6の下方はコーン形状(円錐型)で、その下端は開口されており、サイクロン終端部に連絡されている。また、内筒6の上方には4つの穴が設けられており、それぞれ、連絡管2A,3A,4A,5Aを介して、双方向接続口2,3,4,5の内端部に連絡されている。双方向接続口2,3,4,5の外端部は、外部に対して開口しており、流体が出入口となっている。また、シェル1のサイクロン終端部には分離した混入物が排出するための排出口7が設けられている。なお、双方向接続口2,3,4,5の内端部に接続されている連絡管2A,3A,4A,5Aの部分は、図1(a)に示されるように、流路を絞られている(すなわち、連絡管2A,3A,4A,5Aの内径は、双方向接続口2,3,4,5の部分の内径よりも小さい。)。
【0012】
次に、図4の構成について説明する。図4〜図6において、シェル1の外周面から入口接続口9、出口接続口10、および、双方向接続口4が設けられている。出口接続口10と双方向接続口4とは、図4(a)に示すように、同一方向に外端部が向くように、平行して設けられている。双方向接続口4と入口接続口9とは点対称の位置に設けられている。また、シェル1の上端面は開口されており、当該上端面から出口接続口11が上方向に延設されている。シェル1の内部には、図1の構成と同様に、サイクロン終端部と接続口4,9,10,11と連絡している内筒6が設けられている。また、シェル1のサイクロン終端部には、分離した混入物を排出するための排出口7が設けられている。双方向接続口4と内筒6とは連絡管4Aを介して連絡されている。また、双方向接続口4の連絡管4A部分は流路を絞られている。また、入口接続口9の内端部分も流路が絞られている。出口接続口10,11は、直接、内筒6に連結される。他の構成については、図1の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、接続口4,9,10の配置はこの場合に限らず、流体の入口と出口とを切り換えても同一方向のサイクロンを発生する向きであれば、この例以外の配置でもよいものとする。
【0013】
動作について説明する。まずはじめに、図1の構成における動作について説明する。図1の構成において、入口とする双方向接続口2,4から、出口とする双方向接続口3,5までの主流体の正方向フローについて説明する。このように構成された図2において、入口とする双方向接続口2,4から流入した流体は、それぞれ、双方向接続口2,4の内端部から、流路が絞られている連絡管2A,4Aを通って、シェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、同方向の旋回流となって、サイクロン効果が発生する。このように、接続口2,4を入口として使用した場合には、連絡管2A,4Aの部分でエジェクトが発生し、内筒6からの吸引が起こる(一方、エジェクトが不十分な場合は、吹き出しとなり、内筒6から直接排出されるものが出る)。これにより、比重の大きい混入物を流体から分離することができる。混入物が分離された流体は、内筒6の下端から内筒6の内部に流入し、連絡管3A,5Aを通り、出口とする双方向接続口3,5の外端部から外部に排出される。このように、接続口3,5を出口として使用した場合には、内筒6から押し出された流体は連絡管から出口に吐き出される。一部は、内端部でエジェクトされシェル1に戻る。一方、分離した混入物は排出口7から外部に排出される。また、シェル1及び内筒6のサイクロン終端部の位置、長さ、形状を選定することで分離状態を調整することができる。
【0014】
また、図1の構成において、連絡管2A,3A,4A,5Aの副流体の流れについて説明する。入口とする双方向接続口2,4から流入した流れは、連絡管2A,4Aで断面(流路)を絞られるため、流速が早くなり、周囲より低圧となるため、連絡管2A,4Aから内筒6内の流体を引出し、旋回流に加わる循環流を形成する。また、流体の出口となる双方向接続口3,5の内端部部分では、入口とする接続口2,4からの旋回流のため、周囲より低圧となり、連絡管3A,5Aから内筒6内の流体を引出し、旋回流に加わる循環流を形成する。
【0015】
次に、図1の構成において、入口と出口とを切換えた場合の主流体の逆方向フローにっいて説明する。図3において、入口とする双方向接続口3,5から流入した流体は双方向接続口3,5の内端部からシェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、入口と出口とを切換える前と同じ方向の旋回流となり、サイクロン効果が発生する。これにより混入物が分離され、混入物が分離された流体は内筒6の下端から内筒6内に流入し、連絡管2A,4Aを通り、出口とする接続口2,4から外部に排出される。また、分離された混入物は排出口7から外部に排出される。
【0016】
次に、図4の構成における動作について説明する。図4の構成において、入口とする入口接続口9および入口とする双方向接続口4から出口とする出口接続口10,11までの主流体の正方向フローについて説明する。なお、入口接続口9には連絡管が設けられておらず、双方向接続口4は連絡管4A部分で流路が絞られており、その部分で副流が発生する。このように構成されているので、図5に示すように、入口とする入口接続口9から流入した流体は、入口接続口9および双方向接続口4の内端部から、シェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、旋回流となって、サイクロン効果が発生する。これにより、比重の大きい混入物を流体から分離することができる。混入物が分離された流体は、内筒6の下端から内筒6の内部に流入し、出口とする接続口10,11の外端部から外部に排出される。一方、分離した混入物は排出口7から外部に排出される。また、シェル1及び内筒6のサイクロン終端部の位置、長さ、形状を選定することで分離状態を調整することができる。
【0017】
また、図4の構成において、連絡管4Aの副流体の流れについて説明する。入口とする双方向接続口4から流入した流れは、内端部で断面(流路)を絞られるため、流速が早くなり、周囲より低圧となるため、双方向接続口4の内端部から内筒6内の流体を引出し、旋回流に加わる循環流を形成する。
【0018】
次に、図4の構成において、双方向接続口4の入口と出口とを切換えた場合の主流体の逆方向フローについて説明する。図6において、入口接続口9および入口とする双方向接続口4から流入した流体は、入口接続口9および双方向接続口4の内端分からシェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、入口と出口とを切換える前と同じ方向の旋回流となり、サイクロン効果が発生する。これにより混入物が分離され、混入物が分離された流体は内筒6の下端から内筒6内に流入し、出口とする接続口10,11から外部に排出される。また、分離された混入物は排出口7から外部に排出される。
【0019】
以上のように、流体の方向が逆転してもサイクロンが機能するようにしているので、双方向の流れのいずれにおいても、混入物を分離することができる。流量と流体抵抗とがバランスするまで、副流体が内部循環し、循環流量および循環速度がともに大きくなり、サイクロン効果を良好にする。なお、排出口7は必ずしも設ける必要はなく、排出口7がなくシェル1の下端が開口していない場合には、分離した混入物はシェル1内に貯留することになる。また、本実施の形態においては、内筒6を設けているため、サイクロンの中心部のガイドとなり、サイクロンの形成を助け、異物の多い部分と排気とを隔てることができ、分離効率を向上させることができる。なお、内筒6は必ずしも設けなくてもよく、流体と混入物との比重差が大きい場合には、本実施の形態と同様に動作する。
【0020】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、サイクロンを一定方向にするようにしたものであるが、本実施の形態2においては、サイクロン方向を反転あるいは撹拝する場合について説明する。図7はこのような場合におけるサイクロン部構造図、図8はこの発明の実施の形態2における流体の正方向フロー、図9は逆方向フローを示すものである。図7〜図9のいずれにおいても、(a)は水平方向の断面図、(b)は軸断面図である。
【0021】
図7〜図9において、シェル1の外周面から入口とする双方向接続口2、出口とする双方向接続口3が設けられ、シェル1の内部にはサイクロン終端部と双方向接続口2,3とを連絡する内筒6が設けられている。シェル1のサイクロン終端部には分離した混入物のための排出口7が設けられている。双方向接続口2,3と内筒6は連絡管2A,3Aにて連結されている。また、双方向接続口2,3の連絡管2A,3Aは流路を絞られている。本実施の形態においては、図7(a)に示されるように、双方向接続口2,3は、線対称の位置に、内筒6を挟んで対向して、平行に設けられており、双方向接続口2,3の外端部は同一方向に向いている。
【0022】
動作について説明する。入口とする双方向接続口2から、出口とする双方向接続口3までの主流体の正方向のフローについて説明する。このように構成された図8において、入口とする双方向接続口2から流入した流体は双方向接続口2の内端部からシェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、旋回流となる。これにより混入物を分離し、混入物を分離した流体は内筒6に流入し、連絡管3Aを通り、出口となる双方向接続口3から外部に排出される。一方、分離した混入物は排出口7から排出される。
【0023】
次に、双方向接続口2,3の入口と出口とを切換えた場合の主流体の逆方向のフローについて説明する。本実施の形態においては、双方向接続口2,3を線対称の位置に設けているため、図9において、入口とする双方向接続口3から流入した流体は双方向接続口3の内端部からシェル1の内部でかつ内筒6の外部である空間に入り、入口と出口とを切換える前と反対方向の旋回流となる。これにより混入物を分離し、混入物を分離した流体は内筒6に流入し連絡管2Aを通り、出口となる双方向接続口2から排出される。分離した混入物は排出口7から排出される。なお、このときに、図8に示す正方向のフローにおいて、図8(b)に示されるように、分離した混合物がサイクロン終端部で堆積し堆積物になっていたと仮定する。本実施の形態においては、図9の逆方向のフローにおいては、入口と出口とを切換える前と反対方向の旋回流が形成されるので、図9(b)に示されるように、堆積物に流体がぶつかり堆積物をシェル1の内壁から剥がし取るので、堆積物は排出口7から外部に排出される。
【0024】
以上のように、本実施の形態においては、入口と出口との切換え時に流体方向が変わり流れを乱すため、サイクロン終端部で安定して堆積した混入物に逆方向の力を加えることになり、その衝撃により堆積した混入物は排出口7へ移動することになる。堆積した混入物が除去されることで、その後は安定した旋回流となる。
【0025】
実施の形態3.
上述の実施の形態1および2では、シェル1、双方向接続口2,3,4,5、内筒6、入口接続口9、および、出口接続口10,11は一体構造とするか、あるいは、接続口2,3,4,5、入口接続口9、出口接続口10,11と内筒6をシールする必要があるが、本実施の形態3においては、接続口3,4,9,10と内筒6との間にすき間を設けて間接的に連携することで、分離製作が可能な構造で、内部循環量を積極的に増加することが可能な実施の形態について説明する。本実施の形態においては、図10(b)に示されるように、図1の構成と比較すると、そのすき間分だけ、接続口3,4,9,10の位置が下方にずれている。また、本実施の形態においては、主に流れの方向を案内すると共に内筒側と接続口側の開口寸法およびすき間寸法を調整するガイドを設けて、このガイドにより、この部分から接続口に流入する流体を内筒外周とするか内筒内とするかを調整するようにしている。なお、この調整は設計段階で行われ、当該調整によりガイドは固定されている。図10(a)に示されるように、入口接続口9と内筒6とは、直接、連絡しておらず、離間して設けられている。出口接続口10の内端部を閉鎖短縮あるいは方向を変えて、連絡管10A,ガイド10Bを介し、内筒6に接続するようにしている。なお、ここで、閉鎖短絡とはすき間が無い場合のことで、その場合には、出口接続口10の内端部の開口が直接、内筒6に連通するため、その状態を、閉鎖短絡と呼ぶこととする。
【0026】
図10はこのような場合におけるサイクロン部構造図、図11はこの発明の実施の形態3における流体の正方向フロー、図12は逆方向フローを示すものである。図10〜図12のいずれにおいても、(a)は水平方向の断面図、(b)は軸断面図である。図10〜12において、シェル1の外周面から入口接続口9、入口とする双方向接続口4、出口とする双方向接続口3、出口接続口10、内筒6の上端面から出口接続口11が設けられ、シェル1の内面にはサイクロン終端部と双方向接続口3,4及び出口接続口10,11と連絡する内筒6が設けられている。シェル1のサイクロン終端部には分離した混入物のための排出口7が設けられている。この内筒6は、連絡管3A,4A,10Aが設けられ、また、双方向接続口3,4及び出口接続口10にはガイド3B,4B,10Bが設けられている。ガイド3B,4B,10Bにより、接続口に流入する流体を内筒6の外周とするか、内筒6内とするかを、調整することができる。また、内筒6は、図10(b)に示すように、シェル1にガスケット8を介して取付けられている。出口接続口11は内筒6に、直接、取付けられる。図27に、詳細な拡大図を示す。図27に示すように、ガスケット8は、シェル1に形成されている接続口3,4,9,10と内筒6との間のすき間に介在されて、スタッドボルト、ナット、ワッシャ等により固定されている。これをスタッド座形と呼ぶ。変形例のフランジ座形を図28に示す。図28の場合は、ワッシャを用いてボルトとナットで上下から固定している。図27および図28においては、わかりやすくするために、ガスケット8の上下にすき間があるように図示されているが、実際には、ガスケット8の上下のすき間が無くなるまで、スタッドボルトまたはボルトを締めて、しっかりと固定されている。また、内筒6はシェル1と一体構造とすることもできる。なお、図10ではガスケット8としているが、この場合に限らず、大きさが小さいものではねじ込み式(図29参照)、Oリング一止め輪式(図30参照)などとすることができる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、図10(a)に示すように、シェル1の外周面から4つの接続口3,4,9,10が四方に突出するように設けられている。これらの接続口3,4,9,10は、図10(a)に示されるように、隣接している接続口どうしが90°の角度になるように配置されている。また、図10(b)に示すように、接続口3,4,9,10は、いずれも、シェル1の軸方向に対して、略々45°の角度をなして、かつ、上向きに設置されている。
【0028】
次に、図11を用いて、連絡管3A,4A,10A及びガイド3B,4B,10Bでの流れを説明する。入口接続口9から流入した流れは旋回流となる。また、入口とする双方向接続口4から流入した流れはガイド4Bで周囲より低圧となり、連絡管4Aを通して内筒6の流体を引出すと同時に内筒6の外周面からも流体を引出し、旋回流に加える循環流を形成する。出口とする双方向接続口3の内部端では入口とする双方向接続口4からの旋回流のため周囲より低圧となりガイド3Bから連絡管3Aを通して内筒6の流体を引出すと同時に内筒6の外周面からも流体を引出し、旋回流に加える循環流を形成する。この際に内筒6の外周面から流入する流体の一部は主流に混ざり接続口3から排出される。出口接続口10では流入した流体が主に内筒6から噴出され、その外端から排出される。この際にガイド10Bと連絡管10Aの位置、寸法、形状の関係によりその間隙からシェル内の流体を吸出また噴出す。出口接続口11では内筒6から噴出する系内で最も異物の少ない流体が排出される。図12に双方向接続口の入口と出口とを逆にした場合を示す。
【0029】
以上のように、内筒6を分離できる構造にすると、シェル1、入口接続口9、双方向接続口3、4、出口接続口10の製作組立を容易にすることができる。また、ガイド3B,4B,10Bと連絡管3A,4A,10Aの位置関係、大きさ、形状等により流体の引出し量を調整することができる。
【0030】
実施の形態4.
上述の実施の形態1,2,3では内筒6を必要としたが、本実施の形態4においては、内筒を使用しないサイクロンで、簡易に混入物を分離することが可能な場合を示す。図13はこのような場合におけるサイクロン部構造図、図14はこの発明の実施の形態4における流体の正方向フロー、図15は逆方向フローを示すものである。また、図16〜図18に排出口を設けない場合の構造を示す。さらに、図19〜図21に、ガイドを設けない場合の構造を示す。図13〜図21のいずれにおいても、(a)は水平方向の断面図、(b)は軸断面図である。図13〜図21において、シェル1の外周面から入口とする双方向接続口2,4、出口とする双方向接続口3,5が設けられている。これらの双方向接続口2,3,4,5には、ガイド2B,3B,4B,5Bが設けられている。これらの双方向接続口2,3,4,5は、図13(a)〜図21(a)に示されるように、隣接している双方向接続口どうしが90°の角度になるように、点対称の位置に、配置されている。また、図13(b)〜図21(b)に示すように、双方向接続口2,3,4,5は、いずれも、同一形状を有し、シェル1の軸方向に対して、略々45°の角度をなして、かつ、上向きに設置されている。なお、双方向接続口2,3,4,5の配置はこの場合に限らず、全てが同一方向のサイクロンを発生する向きであれば、この例以外の配置でもよいものとする。また、図13〜図15および図19〜図21の例においては、シェル1のサイクロン終端部に分離物の排出口7が設けられている。他の構成については、上述の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
次に、このように構成された図13〜15において、図14に示すように、入口とする双方向接続口2,4からの流れはシェル1内で旋回流となり、混入物を分離する。混入物を分離した流体はサイクロン渦心を通り、ガイド3B,5Bから双方向接続口3,5に流入し外部に排出される。入口とする双方向接続口2,4のガィド2B,4Bでは周囲より低圧となり循環流を引出す。また、出口とする双方向接続口3,5の内端も周囲より低圧となり、ガイド3B,5Bから循環流を引出す。この際、内筒による連携が無いため、入口とする双方向接続口2,4から流入する流体の一部は双方向接続口2,4の内端及びガイド2B,4Bから双方向接続口2,4へ排出される。双方向接続口2,4の内端では複流となる。なお、流体から分離した混入物は、排出口7から外部に排出される。
【0032】
図16〜図18に示した構成における動作は、同様であるため、ここでは説明を省略する。但し、図16〜図18の例においては、シェル1の底部は閉鎖されており、排出口7が設けられていないため、流体から分離した混入物はシェル1の底部に堆積する。堆積した混入物を取り出し可能にするために、この場合には、接続口2,3,4,5またはシェル1の底部をネジやフランジで固定しておいて分解可能な構造にしておくことが望ましい。
【0033】
一方、図19〜図21のガイド3B,5Bがない場合は、双方向接続口3,5の内端から入り、排出される。図21において、入口とする接続口3,5からの流れは、シェル1内で旋回流となり、混入物を分離し、混入物を分離した流体はサイクロン渦心を通り、ガイド2B,4Bから接続口2,4に流入し排出される。入口とする双方向接続口3,5のガイド3B,5Bでは、周囲より低圧となり、循環流を引出す。また、出口とする双方向接続口2,4の内端も周囲より低圧となり、ガイド2B,4Bから循環流を引出す。この際、内筒による連携が無いため、入口とする双方向接続口3,5から流入する流体の一部は双方向接続口3,5の内端及びガイド3B,5Bから双方向接続口3,5へ排出される。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、内筒をなくした簡易構造ができる。また、図13〜図18においては、ガイド2B,3B,4B,5Bの位置、大きさ、形状等により流体の引出し量、混入物の分離状態を調整することができる。
【0035】
実施の形態5.
上述の実施の形態1〜4では、サイクロン部がシェル1に対し、1:1の構成としているが、本実施の形態5においては、シェル1をボディー12とし、サイクロン部をボディー12に対し、1:複数とすることで、コンパクト化および取付けの容易化を図ることが可能な場合を示す。図22〜図26にその一例を示す。図22は水平方向の断面図、図23は軸断面図である。図24〜図26は、図23における記号A,B,Cの位置から見た各分離器の側面を示した側面図である。
【0036】
図22〜図26の例においては、実施の形態3および4を変形させて組み合わせたものを示すが、この場合に限らず、他のいずれの実施の形態をそのままもしくは変形させて組み合わせてもよく、その場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。他の構成および動作については、上述の実施の形態と同じであるため、ここではその説明は省略する。但し、図23等において、13はプラグを示す。
【0037】
以上のように、本実施の形態においては、サイクロン部をボディーに対し1:複数として複合化するようにしたので、分離器を取り付ける構造が兼用できるため、取付け部分が少なくなり、省スペース化が図れるとともに、取付け工程の手間を省くことができる。
【0038】
なお、上記の実施の形態1〜5においては、図示された接続口を常に全て使用する例について説明しているが、その場合に限らず、各接続口は選択して使用することも可能である。すなわち、例えば、図1の例で説明すると、図1では接続口2,4と接続口3,5の組み合わせで使用すると説明したが、接続口4,5を閉止し、接続口2,3の組み合わせでの使用も可能であり、さらに、その使用状態から、接続口3,5を閉止し、接続口2,4の組み合わせの使用に切り換えることも可能であって、その場合にはシェル1が分岐路の機能をもつことになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態2における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図15】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図16】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図17】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図18】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図19】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図20】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図21】この発明の実施の形態4における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図22】この発明の実施の形態5における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図23】この発明の実施の形態5における双方向型分離器の構造を示す断面図である。
【図24】この発明の実施の形態5における双方向型分離器の構造を示す側面図である。
【図25】この発明の実施の形態5における双方向型分離器の構造を示す側面図である。
【図26】この発明の実施の形態5における双方向型分離器の構造を示す側面図である。
【図27】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の構造を示す部分拡大図である。
【図28】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の変形例の構造を示す部分拡大図である。
【図29】この発明の実施の形態3における双方向型分離器の他の変形例の構造を示す部分拡大図である。
【図30】この発明の実施の形態3における双方向型分離器のさらなる他の変形例の構造を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シェル、2 双方向接続口、2A 連絡管、2B ガイド、3 双方向接続口、3A 連絡管、3B ガイド、4 双方向接続口、4A 連絡管、4B ガイド、5 双方向接続口、5A 連絡管、5B ガイド、6 内筒、7 排出口、8 ガスケット、9 入口接続口、10 出口接続口、10A 連絡管、10B ガイド、11 出口接続口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロンを発生させて流体に混入している混入物を分離させるための分離器であって、
略々円筒形の本体と、
前記本体の外周面に設けられ、前記本体の内部に連絡している複数の接続口と
を備え、
前記複数の接続口のうちの少なくとも1つは前記流体の入口および出口の両方に切り替え可能で、また、接続口は選択しても使用することが可能で、
前記流体は、入口とする接続口の外端部から流入され、当該入口とする接続口の内端部、本体の内部、および、出口とする接続口の内端部を介して、当該出口とする接続口の外端部から排出される
ことを特徴とする分離器。
【請求項2】
前記接続口の少なくとも1つと前記本体との間に設けられた連絡管をさらに備え、
前記連絡管部分で流路を絞ることを特徴とする請求項1に記載の分離器。
【請求項3】
前記接続口の少なくとも1つは、入口専用接続口または出口専用接続口であることを特徴とする請求項1または2に記載の分離器。
【請求項4】
前記サイクロンは一定方向に生成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項5】
前記接続口の入口と出口とを切り替えたときに、前記サイクロンの方向が反対方向に切り替わることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項6】
前記本体の内部に設けられ、前記本体の内径よりも小さい外径を有する内筒をさらに備え、
前記流体は、入口とする接続口の外端部から流入され、当該入口とする接続口の内端部、内筒の外部、内筒の下端部、内筒の内部、および、出口とする接続口の内端部を介して、当該出口とする接続口の外端部から排出される
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項7】
前記接続口と前記内筒との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の分離器。
【請求項8】
前記本体の下端は開口しており、
前記開口に設けられ、分離後の前記混入物を排出するための排出口をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項9】
前記本体の下端は閉鎖されており、
分離後の前記混入物は前記本体の底部に堆積されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−314917(P2006−314917A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139703(P2005−139703)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】