説明

切り出し計数装置

【課題】 錠剤などの被計数物の正確な所定数の切り出しを可能とする切り出し計数装置を提供する。
【解決手段】 錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパの排出部3aに連結されて、被計数物を切り出す切り出し筒4と、切り出し筒を回転させる回転手段5と、切り出し筒の排出側の端部4dに回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、被計数物を個別に収納する複数の溝7aを円筒形の周辺部に備え、切り出し筒と共に回転可能に設けた計数アダプタ7と、被計数物の個数を計数する計数用センサ16を備え、この計数アダプタの溝と咬合して計数アダプタの回転と共に、切り出し筒の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心を有して回転する歯車状の突起7baを有する羽根板7bを計数アダプタの内部に備え、羽根板に設けられた突起の一枚が開口部7eaに最も深く挿入される位置に来るように羽根板の回転中心を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤などの粒体を計数して袋詰めする切り出し計数装置に関し、切り出し筒の排出側の端面に錠剤を個別に切り出す溝を有する計数アダプタを備えた切り出し計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切り出し計数装置として、例えば、微粒や粉状のかやくを袋に収納するなど計量して小袋に袋詰めする切り出し秤量装置を用いて、錠剤などの小粒の粒体の秤量値を1個当たりの重さを用いて所定数だけ小袋に袋詰めする切り出し計数装置がある。以下に切り出し秤量装置を用いて計数した場合を説明する。
図5は、従来の切り出し秤量装置の概略を示す正面断面図である。
図5に示すように、切り出し秤量装置110は、被秤量物111を収納するホッパ112と、このホッパ112の排出部112aに連結されて、被秤量物111を切り出す下方傾斜した適度な長さの切り出し筒113と、この切り出し筒113を回転させる回転手段(モータ回転機構)115と、排出口116aに開閉蓋117が設けられて、切り出し筒113から投下された被秤量物111を受ける受け部材116と、この受け部材116が受けた被秤量物111を秤量する秤量器118と、受け部材116に設けられた開閉蓋117を開閉する開閉手段(ソレノイド)119を備えている。
なお、ここでいう被秤量物111とは、ホッパ112内から切り出し可能な粉粒体、片状体、小塊状体などをいう。
【0003】
また、この切り出し秤量装置110は、ホッパ112の排出部112aと切り出し筒113との間に、被秤量物111の切り出し調整可能な筒状のアタッチメント141を着脱可能に設けるように構成されている。このアタッチメント141は、内部流路の内径を異ならせて被秤量物111の切り出し調整をするものである。
このアタッチメント141には、ホッパ112側の端部に被秤量物111の切り出し突起141aが設けられ、また、ホッパ112側の排出部112aに被秤量物111の切り出し螺旋体141dが設けられている。
【0004】
これによってホッパ112の排出部112aから排出された被秤量物111は、回転手段115により回転している下方傾斜した切り出し筒113から、連続的に切り出されて受け部材116内に投下され、秤量器118により秤量され、所定重量に達したら開閉手段119により受け部材116の開閉蓋116aを開いて、秤量された被秤量物111を排出するので、正確な所定量の切り出しができて、被秤量物111の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。ここで、特に回転する下方傾斜した適度な長さの切り出し筒113内を被秤量物111が徐々に流れるので、被秤量物111の均一化が行なわれ、切り出し筒113の下端から定量排出が行なわれる。また、切り出し量の調整は、切り出し筒113の回転速度および/または傾斜を変えることによって可能である。
【0005】
また、ホッパ112の排出部112aと切り出し筒113との間に着脱可能なアタッチメント141を装着するので、ホッパ内の被秤量物を切り出し筒113内へ導入する切り出し調整が、被秤量物111の大きさや形状などの品種に応じてできる。
さらに、ホッパ112の排出部112aから排出された流動性の良い被秤量物(例えば胡麻)111は、アタッチメント141を通過する際に、その内径が異なる(有効通過断面積が異なる)内部流路を通過して流量調整されるので、粒径の小さな被秤量物111の流量調整が容易にできる。
【0006】
そして、切り出し筒113と共にアタッチメント141が回転すると、その切り出し突起141aが、例えばホッパ112の排出部112a付近にある固まった被秤量物111を掻き崩すので、切り出しにおいて、被秤量物111がホッパ112の排出部112a付近で詰まり難い。
また、切り出し筒113と共にアタッチメント141が回転すると、その切り出し螺旋体141dが所定方向へ回転するが、切り出し螺旋体141dの曲がり方向と同一方向に回転する場合には、ホッパ112の排出部112a付近にある被秤量物111の切り出し筒113側への流入を促進し、また切り出し螺旋体141dの曲がり方向と反対方向に回転する場合には、ホッパ112の排出部112a付近の被秤量物111の切り出し筒113側への流入を抑制し、被秤量物111の品種に合わせて、その回転方向を正逆選択することにより、被秤量物111の切り出し調整の幅が広がる。このようにホッパ112内の被秤量物111を、軸芯aが下方傾斜した切り出し筒113を回転手段130により回転させながら、徐々に受け部材116に投下し、それを秤量器118により秤量するようにしたので、正確な所定量の切り出しができて、被秤量物111の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
特に、ホッパ112の排出部112aに着脱可能に装着されたアタッチメント141により、ホッパ112内の被秤量物111を切り出し筒113内へ導入する切り出し調整が、被秤量物111の大きさや形状などの品種に応じて簡単にできる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2649335号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、微粒や粉状のかやくを袋に収納するなど計量して小袋に袋詰めする切り出し秤量装置を用いて、錠剤などの小粒の粒体を計量して所定量を小袋に袋詰めして所定数の錠剤の計数に兼用した場合に一個でも計数を間違うと再工事をしなければならず余分な工数が発生する可能性があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、切り出し筒の排出側の端部に複数の溝やこの溝と咬合して被計数物を押し出す歯車状の突起を備えた計数アダプタを設けることによって、錠剤などの被計数物の正確な所定数の切り出しを可能とし、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる切り出し計数装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明の切り出し計数装置1は、錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパ3の排出部3aに連結されて、前記被計数物2を切り出す切り出し筒4と、この切り出し筒4を回転させる回転手段5と、前記切り出し筒4の排出側の端部4dに前記切り出し筒4と回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、前記被計数物2を個別に収納する複数の溝7aを前記円筒形の周辺部に備え、前記切り出し筒4と共に回転可能に設けた計数アダプタ7と、前記計数アダプタ7から排出された前記被計数物2の個数を計数する計数用センサ16と、を備える切り出し計数装置1において、前記計数アダプタ7は、この計数アダプタ7の前記溝7aと咬合して前記計数アダプタ7の回転と共に、前記切り出し筒4の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心を有して回転する歯車状の突起7baを有する羽根板7bを前記計数アダプタ7の内部に備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の切り出し計数装置1であって、前記計数アダプタ7には、前記被計数物2を排出する開口部7eaが設けられ、前記羽根板7bに設けられた前記突起7baの一枚が前記開口部7eaに最も深く挿入される位置に来るように前記羽根板7bの回転中心を固定することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の切り出し計数装置1であって、前記開口部は計数アダプタの溝が最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の切り出し計数装置1であって、前記羽根板7bは、ジュラコンで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、錠剤などの粒体からなる被計数物を切り出す切り出し筒の排出側の端部に切り出し筒と回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、被計数物を個別に収納する複数の溝を円筒形の周辺部に備え、切り出し筒と共に回転可能に設けた計数アダプタの前記溝と咬合して前記計数アダプタの回転と共に、前記切り出し筒の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心を有して回転する歯車状の突起を有する羽根板を前記計数アダプタの内部に備えたことによって、錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しが確実に可能となり、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる切り出し計数装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、羽根板に設けられた突起の一枚が開口部に最も深く挿入される位置に来るように羽根板の回転中心を固定することによって、計数アダプタの溝と咬合して、計数アダプタの溝の回転と共に回転して、羽根板に設けられた突起の一枚が開口部に深く挿入されて錠剤などの粒体からなる被計数物を開口部から確実に押し出すことができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、開口部を計数アダプタの溝が最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口していることによって、被計数物をその自重による飛び出しとともにほぼ斜め下から遅くともわずかに斜め上に飛び出させることができるため、錠剤などの粒体からなる被計数物を開口部から確実に押し出すことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、羽根板をジュラコンで形成することによって、柔軟さと耐久性を備え、錠剤などの粒体からなる被計数物を排出ミスすることなく、開口部から確実に押し出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る切り出し計数装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を説明するための切り出し計数装置の正面図である。図2は、本発明の実施形態に係る切り出し筒の周辺を示す正面図である。
図1および図2に示すように、切り出し計数装置1は、錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパ3の排出部3aに連結されて、被計数物2を切り出す切り出し筒4と、この切り出し筒4を回転させる電動機である回転手段5と、切り出し筒4から排出された被計数物2を計数する計数用センサ16と、切り出し筒4の排出側の端部4dに被計数物2を個別に収納する溝7a(図4参照)を有し、円筒形で回転可能に設けられた計数アダプタ7を備えている。
【0019】
また、この切り出し筒4から投下された被計数物2を受ける受け部材6と、この受け部材6の排出口6aに設けられた開閉蓋8と、この開閉蓋8の開閉手段9とを備え、切り出し筒4は、外筒4aと、この外筒4aに着脱自在に外嵌された内筒4bと、外筒4aのホッパ側の端部4aaに当接されている内筒4bのフランジ4bbとを備える。内筒4bは、摩擦係数の小さいジュラコンを用いて形成した。このフランジ4bbを外筒4aのホッパ3側の端部4aaに当接させて、内筒4bと外筒4aとを着脱可能に嵌挿することによって、被計数物2が流動する部品を取り外して洗浄するのに都合の良い構造とすることができる。また、切り出し筒4の内筒4bの洗浄後には、内筒4bを外筒4aに挿入して外筒4aの端部4aaに、この内筒4bのフランジ4bbを当接させることで位置決めされる。
【0020】
また、切り出し筒4の外筒4aのほぼ両端部がリング状のベアリングに嵌挿された状態で架台12上に回転可能に配置され、この切り出し筒4の上部にそれぞれの切り出し筒4に対応したモータ回転機構5が配置されている。そして、外筒4aの周囲に外嵌して固定された第1の歯車(平歯車)10と、回転手段5の回転軸5aに固定された第2の歯車(平歯車)11とが咬合するように配設され、第2の歯車11の回転駆動力が第1の歯車10に伝達されて、外筒4aおよび内筒4bを回転させる。架台12は支柱13と支柱14に支持されている。支柱13と架台12とは、軸12aによって回動可能に設けられている。また、支柱14には支柱14の長さを調節することが可能なように高さ調節構造がナット14aを回転させることで機能するように設けられている。そして支柱14と架台12とは、架台12が軸12aを支点にして上下するように軸12bが架台12の軸穴12cを摺動可能に設けられている。なお、高さ調整構造はローレット切りのナット14aを回転させることで支柱14を上下させるが、電動機で回転させて自動調整させても構わない。
このように、外筒4aの周囲に外嵌して固定された第1の歯車10と、回転手段5の回転軸5aに固定された第2の歯車11とが咬合するように配設されることによって、被計数物が流動する部品を取り外して洗浄するのに都合の良い構造とすることができ、内筒4bが簡単に取り外され、被計数物が切り出される内面4baの洗浄を容易にした衛生的な切り出し計数装置を提供することができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る切り出し筒の周辺を示す側面図であり、図3の(a)は1つの切り出し筒を設けた場合を示し、図3の(b)は3つの切り出し筒を設けた場合を示している。図4は、本発明の実施形態に係る計数アダプタを示し、図4の(a)は正面図、図4の(b)は(a)に示すB矢視図である。
図3の(a)(b)および図4の(a)(b)に示すように、切り出し筒4の排出側の端部4dに切り出し筒4と回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、被計数物2を個別に収納する複数の溝7aを円筒形の周辺部に備え、切り出し筒4と共に回転可能な計数アダプタ7が設けられている。この計数アダプタ7は、円筒形の基部7gと、基部7gから基部7gの円筒中心軸方向に沿って等間隔に設けられた複数の突起7fと、基部7gおよび突起7fの外周を覆う囲い部7eとを備え、隣接する2つの突起7f、7fと、囲い部7eとの間には溝7aが形成されている。なお、計数アダプタ7は、回転しない囲い部7eと、回転するそれ以外の計数アダプタ本体とに分けて考える。この囲い部7eは回転することなく切り出し計数装置1本体のいずれかに固定されている。すなわち、計数アダプタ7は、切り出し筒4の排出側の端部4dに挿入可能な円筒形に形成され、円筒形の内側には円筒中心軸方向に沿って複数の溝7a、7a…が設けられている。溝7aは被計数物である粒体の形状に合った形状に形成されている。また、溝7aは円筒軸中心から放射状に形成されて、溝7a、7a…は等間隔に設けられている。
【0022】
このように、錠剤などの粒体からなる被計数物2を切り出す切り出し筒4の排出側の端部4dに計数アダプタ7を設けることによって、被計数物2である錠剤などの粒体が溝7aにきちんと収まる。また、溝7aを円筒軸中心に対して放射状および等間隔に設けたことによって、均一なスピードで錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しが可能になる。また、溝7aは隣接する2個の羽根状の突起7f、7fの間に形成されている。つまり、隣接する2個の羽根状の突起7f、7fに囲まれた空間とその周囲を覆っている囲い部7eによってコの字形の溝7aが形成されることになる。このように、計数アダプタ7の円筒形内面に沿って隣接する2個の羽根状の突起7f、7fを設けることによって8か所に溝7aが形成され、錠剤などの粒体2、2…を一個ずつ個別に切り出し続けることができる。また、溝7aの数は8箇所としたが、24箇所の実施例もあり、用途次第で適宜増減可能である。
また、溝7aの外側を覆う囲い部7eは、計数アダプタ7が回転するとともに摺動可能に設けられている。この囲い部7eには開口部7eaが一か所設けられている。この開口部7eaは計数アダプタ7が最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口されている。なお、囲い部7eは円筒形でも良いし、被計数物2を排出するまでの一部の溝7aだけを囲う曲面を備えた板であっても構わない。なお、60〜100度の角度は、計数アダプタから錠剤が排出され易いように適宜微調整可能であり、60〜100度の角度の前後に及んでも構わない。
【0023】
計数アダプタ7は、この計数アダプタ7の溝7aと咬合して計数アダプタ7の回転と共に、切り出し筒4の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心を有して回転する歯車状の突起7baを有するジュラコンで形成された羽根板7bを計数アダプタ7の内部に備えている。この羽根板7bに設けられた突起7baの一枚が開口部7eaに最も深く挿入される位置に来るように羽根板7bの回転中心7bbを固定されている。
このように、錠剤などの粒体からなる被計数物を切り出す切り出し筒の排出側の端部に切り出し筒と回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、被計数物を個別に収納する複数の溝を円筒形の周辺部に備え、切り出し筒と共に回転可能に設けた計数アダプタの溝と咬合して計数アダプタの回転と共に、切り出し筒の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心を有して回転する歯車状の突起を有する羽根板を計数アダプタの内部に備えたことによって、錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しが確実に可能となり、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる切り出し計数装置を提供することができる。
【0024】
また、羽根板に設けられた突起の一枚が開口部に最も深く挿入される位置に来るように羽根板の回転中心を固定することによって、計数アダプタの溝と咬合して、計数アダプタ本体の回転と共に回転して、羽根板に設けられた突起の一枚が開口部に深く挿入されて錠剤などの粒体からなる被計数物を開口部から確実に押し出すことができる。
【0025】
さらに、開口部が計数アダプタの溝が最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口されていることによって、被計数物をその自重による飛び出しとともにほぼ斜め下から遅くともわずかに斜め上に飛び出させることができるため、錠剤などの粒体からなる被計数物を開口部から確実に押し出すことができる。
また、羽根板をジュラコンで形成することによって、柔軟さと耐久性を備え、錠剤などの粒体からなる被計数物を排出ミスすることなく、開口部から確実に押し出すことができる。
【0026】
また、開口部7eaの外側には受け部材6との間の位置に計数アダプタ7から排出された被計数物2の個数を計数する計数用センサ16が設けられている。この計数用センサ16は光透過型センサを採用しているが、落下する粒体の個数を計数出来るものであればこれに限定するものではなく、反射式センサでも、アクチュエータ式であっても構わない。これによって、円筒形の回転の最下点に来た溝7aの中に錠剤などの被計数物2が収まり、この収まった被計数物2が最下点から60度の角度付近に上がって来たとき、遠心力と重力によって、開口部7eaからこぼれるように受け部材6側へ飛び出す。このとき落下している錠剤などの被計数物2が計数用センサ16の光を遮ることによって、被計数物2の個数が計数される。そして受け部材6に所定の個数が収納されると開閉蓋8が開き、所定の数の錠剤の被計数物2が小袋に収納される。
計数アダプタ7は、本願発明では特にジュラコンで形成した例で説明している。これによれば、計数アダプタ7の本体を形成する基部7gや突起7f、囲い部7eおよび羽根板7bをジュラコンで形成することによって、柔軟さと耐久性を備え、錠剤などの粒体からなる被計数物を排出ミスすることなく、開口部から確実に押し出すことができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0027】
次に、切り出し計数装置の動作を説明する。図1〜図4に示すように、ホッパ3の排出部3aから排出された被計数物2は、回転手段5により回転している切り出し筒4から、連続的に切り出されて受け部材6内に投下され、受け部材6の被計数物2が所定数に達したら、電動の開閉手段9により受け部材6の開閉蓋8を開いて、計数された被計数物2を排出する。ここで、回転駆動される切り出し筒4内を被計数物2が徐々に流れるので、被計数物2の均一化が図られ、切り出し筒4の排出側の下端から定量排出が行なわれる。また、切り出し量の調整は、切り出し筒4の回転速度を変えることによって可能である。
【0028】
この切り出し筒4は、水平ラインaに対して0〜10°、好ましくは2〜5°前後ほど軸芯bが下方傾斜した円筒形の筒体である。ただし、切り出し筒4の傾斜角は、これらの数値に限定されるものではない。なお、この切り出し筒4の長さは少なくとも内径の3〜5倍程度となっている。この切り出し筒4の排出側の端部4dに設けられた計数アダプタ7に送られてきた被計数物2は、その計数アダプタ7の円筒形の最下点にある溝7aに落し込まれ、計数アダプタ7の回転と共に溝7aに位置決めされて上昇して行く。計数アダプタ7の最下点に位置する溝7aから60〜100度回転した位置に設けられた、囲い部7eによって囲まれていない開口部7eaから、被計数物2が計数アダプタ7の外部に送り出され下方の受け部材6へ落下する。このとき計数用センサ16が被計数物2の通過を検出して、排出された被計数物2の計数結果を積算し、予め設定された所定数だけ受け部材6内に被計数物2が溜まったときに、制御装置(図略)は切り出し筒4から受け部材6への被計数物2の投下を止めて、ソレノイド駆動の開閉装置9によって開閉蓋8が開蓋される。これにより、計数済みの被計数物2は、受け部材6から、シュート15を介して、袋詰め装置(図略)に送られる。次いで、開閉蓋8を閉め、以下、これまでの計数操作を繰り返す。
従来の計数装置は、平面状ドラム式が用いられ、大型化する傾向にあったが、本願発明の計数装置は、小径管(パイプ)を用いて計数を可能とした本分野では画期的な計数装置である。
【0029】
このように、錠剤などの粒体からなる被計数物を切り出す切り出し筒の排出側の端部に計数アダプタを設けることによって、錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる切り出し計数装置を提供することができる。
計数アダプタを切り出し筒の排出側の端部に挿入可能な円筒形に形成し、円筒形の内側には円筒中心軸方向に複数の溝を設けることによって、粒体が溝にきちんと収まり正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0030】
溝が粒体の形状に合った形状に形成されることによって、被計数物である錠剤などの粒体が溝にきちんと収まり正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
溝を円筒軸中心に対して放射状に形成することによって、正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
溝を等間隔に設けることによって、均一なスピードで錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0031】
計数アダプタの円筒形内面に隣接する2個の羽状の突起を設けることによって溝が形成され、正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
計数アダプタをジュラコンで形成することによって、錠剤などの粒体を滑らかに容易に正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
切り出し筒から排出された被計数物を受ける受け部材と、この受け部材の排出側に設けられた開閉蓋と、この開閉蓋を開閉する開閉手段と、を備えることによって、所定の数量を一度に袋詰めするなどの収納が可能となり、正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0032】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。本実施の形態では、受け部材6に一旦収納して所定数が溜まったときに開閉蓋8を開放して袋詰めされるように説明したが、受け部材で必ずしも一旦溜めずに直接袋詰めされても良いし、その他の収納装置に連結しても構わない。また、ホッパの形状や切り出し筒の形状など、実施例のものに限定されない。被計数物として錠剤を採用したが、食品、お菓子などの固形物などであっても構わないし、ホッパ内から切り出し可能な粒体、片状体、小塊状体などであっても構わない。計数アダプタの溝の形状は、その用途や取り扱う被計数物に応じて、適宜選択しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態を説明するための切り出し計数装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る切り出し筒を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る切り出し筒を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る計数アダプタを示し、(a)は正面図、(b)は(a)に示すB矢視図である。
【図5】従来の実施形態に係る計数装置として用いた切り出し秤量装置の正面図である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しを可能とし、切り出し筒の排出側先端に計数アダプタを設けることによって、正確な所定数の切り出しを容易にする切り出し計数装置に適用される。
【符号の説明】
【0035】
1 切り出し計数装置
2 被計数物
3 ホッパ
3a 排出部
4 切り出し筒
4a 外筒
4aa 端部
4b 内筒
4bb フランジ
4d 端部
5 回転手段、モータ
6 受け部材
6a 排出口
7 計数アダプタ
7a 溝
7b 羽根板
7ba 突起
7e 囲い部
7ea 開口部
7f 突起
7g 基部
8 開閉蓋
9 開閉手段、ソレノイド
10 第1の歯車
11 第2の歯車
12 架台
13 支柱
14 支柱
14c 高さ調整構造
15 シュート
16 計数用センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤などの粒体からなる被計数物(2)を収納するホッパ(3)と、
このホッパの排出部(3a)に連結されて、前記被計数物を切り出す切り出し筒(4)と、
この切り出し筒を回転させる回転手段(5)と、
前記切り出し筒の排出側の端部(4d)に、前記切り出し筒と回転中心を同一にして装着可能な円筒形で形成され、前記被計数物を個別に収納する複数の溝(7a)を前記円筒形の周辺部に備え、前記切り出し筒と共に回転可能に設けた計数アダプタ(7)と、
前記計数アダプタから排出された前記被計数物の個数を計数する計数用センサ(16)と、
を備える切り出し計数装置(1)において、
前記計数アダプタは、この計数アダプタの前記溝と咬合して前記計数アダプタの回転と共に、前記切り出し筒の回転中心とは異なる一定位置に固定された回転中心(7bb)を有して回転する歯車状の突起(7ba)を有する羽根板(7b)を前記計数アダプタの内部に備えたことを特徴とする切り出し計数装置。
【請求項2】
前記計数アダプタには、前記被計数物を排出する開口部(7ea)が設けられ、前記羽根板に設けられた前記突起の一枚が前記開口部に最も深く挿入される位置に来るように前記羽根板の回転中心を固定することを特徴とする請求項1に記載の切り出し計数装置。
【請求項3】
前記開口部は計数アダプタの溝が最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口されていることを特徴とする請求項2に記載の切り出し計数装置。
【請求項4】
前記羽根板は、ジュラコンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切り出し計数装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58969(P2012−58969A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200921(P2010−200921)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(599093225)株式会社プラスワンテクノ (13)
【Fターム(参考)】