説明

切削加工装置

【課題】ワークの切削時とフランジの端面修正時とでワーク保持用の保持部材とフランジ端面修正治具とを置き換える必要がない切削加工装置を提供する。
【解決手段】ワークを保持する保持テーブル20と保持テーブル20を回転させる回転支持部と回転支持部を囲む支持部カバー23とを有する保持手段2と、保持テーブル20に保持されたワークを切削加工する切削ブレードと切削ブレードを回転させるスピンドルとスピンドルの先端に切削ブレードを端面で挟持して固定するフランジとを有する切削手段とを備えた切削加工装置において、保持テーブル20に隣接して支持部カバー23にサブテーブル4を配設し、サブテーブル4は、切削ブレードをドレスするドレスボード7と、フランジの端面を研削する研削砥石82と研削砥石82を支持する砥石支持部材81とを有する端面修正治具8とを選択的に吸引保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削ブレードを用いて各種の被加工物を切削する切削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、回路が形成された領域を区画する所定のストリート(切断ライン)に沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このように半導体ウェーハをダイシングする装置としては、一般に切削加工装置が用いられている。半導体ウェーハをダイシングする切削加工装置は、ワークを負圧により保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたワークを切削する切削ブレードを備えた切削機構とを具備している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
切削ブレードには、ワッシャーブレードと呼ばれる円環状に成形された砥石部のみからなるタイプのものと、ハブブレードと呼ばれる円盤状基台の外周に円環状の砥石が固着されたタイプのものがあり、ワッシャーブレードは、2つのフランジで挟持された状態でスピンドルの先端にナットで固定され、ハブブレードは、1つのフランジに対峙した状態でスピンドルの先端にナットで固定される。
【0004】
このように、切削ブレードはフランジに接触した状態で固定されるため、フランジの切削ブレードに接触する面とスピンドルの回転中心線とがなす角度が90度でないと、スピンドルの回転時にフランジの端面ブレが生じ、精密な加工ができなくなるという問題がある。このため、本出願人は、かかる問題を解決するために、フランジの端面を研削して修正するフランジ端面治具の発明についての特許出願をしている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2記載のフランジ端面修正治具は、フランジの研削を行う研削ブロックを備えており、研削ブロック自体は、これを吸引保持する保持手段の保持面よりも下面の面積が小さいため、研削ブロックが板状部材に固定され、その板状部材が保持手段に保持される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−25209号公報
【特許文献2】特許第3472390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2記載の発明によって汎用性の高い端面修正治具が提供された。しかし、近年の大型化したワークを保持する保持手段の保持面を覆う大きさの板状部材を使用すると部品が大型化し扱い難く、高い平坦精度をもって形成された保持手段の保持面を誤って傷つけてしまう場合もあった。一方、板状部材を保持手段の保持面よりも小さくすると端面修正時には個別に専用の端面修正保持手段を用意し、ワークを保持する保持テーブルと置き換えて作業をする必要があった。さらに、端面修正治具をワーク保持用の保持テーブルに置き換えた場合は、切削時の切り込み深さの基準となる保持テーブルの上面位置の測定なども必要となる。従来のフランジ端面修正治具には、このような問題があった。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主な技術的課題は、端面修正を行う際に上記の様な煩雑な作業を行う必要がなく、小型で扱いやすい端面修正治具を使用できる切削加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ワークを保持する保持テーブルと保持テーブルを回転させる回転支持部と回転支持部を囲む支持部カバーとを有する保持手段と、保持テーブルに保持されたワークを切削加工する切削ブレードと切削ブレードを回転させるスピンドルとスピンドルの先端に切削ブレードを端面で挟持して固定するフランジとを有する切削手段とを有する切削加工装置に関するもので、保持テーブルに隣接して支持部カバーにサブテーブルが配設されていて、サブテーブルは、切削ブレードをドレスするドレスボードと、フランジの端面を研削する研削砥石と研削砥石を支持する砥石支持部材とを有する端面修正治具とを選択的に吸引保持する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る切削加工装置は、ドレスボードと端面修正治具とを選択的に吸引保持するサブテーブルを備えたため、サブテーブルにおいてドレスボードまたは端面修正治具を保持することにより、ワーク保持用の保持手段においてワークを保持したまま、切削ブレードのドレッシングを行ったり、切削手段を構成するフランジの端面を研削したりすることができる。したがって、切削ブレードのドレス時やフランジの端面研削時にワーク保持用の保持手段から保持テーブルを取り外して端面修正治具に置き換え、切削ブレードのドレス終了後または端面研削終了後にドレスボードまたは端面修正治具を保持手段から取り外して保持テーブルに置き換えるといった煩雑な作業を行う必要がない。また、ワーク保持用の保持手段とは別にサブテーブルを設けたことにより、端面修正治具は、ワークの大型化にともなう保持手段の大型化の影響を受けることがないため、保持手段の吸着面を誤って傷つけるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】切削加工装置の一例を示す斜視図である。
【図2】ハブブレードがスピンドルに装着された状態を示す断面図である。
【図3】ワッシャーブレードがスピンドルに装着された状態を示す断面図である。
【図4】図1のC部を拡大して示すとともにドレスボード及び端面修正治具を示した斜視図である。
【図5】サブテーブルを示す斜視図である。
【図6】保持手段及びサブテーブルを略示的に示す断面図である。
【図7】端面修正治具の研削砥石を切削手段のフランジの端面に対面させた状態を略示的に示す断面図である。
【図8】研削砥石を切削手段のフランジの端面に接触させた状態を略示的に示す断面図である。
【図9】研削砥石を用いて切削手段のフランジの端面を研削する状態を示す説明図である。
【図10】切削ブレードをドレスする状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す切削加工装置1は、X方向に移動可能な保持手段2に保持された被加工物(ワーク)に対して2つの切削手段3a、3bがY方向及びZ方向に移動しながら切削加工を施す装置である。ここで、X方向は、保持手段2の移動方向であり、Y方向は、X方向に対して水平な方向に直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向である。
【0013】
保持手段2は、ワークを保持する保持テーブル20を備えている。保持テーブル20には、図示しない吸引部と連通しワークを吸引する吸引面21が形成されている。また、吸引面21の周囲には、図1に示すようにワークWがテープTに貼着されテープTの外周部分に貼着されたリング状のフレームFと一体化される場合において、フレームFを固定するクランプ部22が配設されている。クランプ部22は、水平方向の回転軸を中心として回転してフレームFを押さえる押さえ部220を有している。保持テーブル20は支持部カバー23によって周囲から囲まれ、支持部カバー23のX方向の両端には蛇腹24が連結されており、保持手段2は、蛇腹24の伸縮をともなってX方向に移動する構成となっている。
【0014】
2つの切削手段3a、3bは同様に構成されるため、共通の符号を付して説明する。切削手段3a、3bは、Y軸方向の回転軸を有するスピンドル31に切削ブレード30が装着され、スピンドル31の回転により切削ブレード30が回転する構成となっている。切削手段3a、3bには、保持テーブル2に保持された被加工物の切削すべき位置を検出するための撮像手段38a、38bが固定されている。切削手段3a、3bは、2つのZ方向移動手段5a、5bによってそれぞれ駆動されてZ方向に移動可能となっているとともに、2つのY方向移動手段6a、6bによってそれぞれ駆動されてY方向に移動可能となっている。
【0015】
2つのZ方向移動手段5a、5bは同様に構成されるため、共通の符号を付して説明する。Z方向移動手段5は、鉛直方向の回転軸を有するボールスクリュー50と、ボールスクリュー50と平行に配設されたガイドレール51と、ボールスクリュー50の一端に連結されたパルスモータ52と、側部がガイドレール51に摺接するとともに内部の図示しないナットがボールスクリュー50に螺合する昇降基台53とを備えており、パルスモータ52によって駆動されたボールスクリュー50が回動することにより昇降基台53がガイドレール51にガイドされてZ方向に移動し、昇降基台53に固定された切削手段3a、3bをZ方向に昇降させる構成となっている。
【0016】
2つのY方向移動手段6a、6bは同様に構成されるため、共通の符号を付して説明する。Z方向移動手段6は、Y軸方向の回転軸を有するボールスクリュー60と、ボールスクリュー60と平行に配設されたガイドレール61と、ボールスクリュー60の一端に連結されたパルスモータ62と、側部がガイドレール61に摺接するとともに内部の図示しないナットがボールスクリュー60に螺合する移動基台63とを備えており、パルスモータ62によって駆動されたボールスクリュー60が回動することにより移動基台63がガイドレール61にガイドされてY軸方向に移動して切削手段3a、3bをY方向に移動させる構成となっている。
【0017】
切削手段3a、3bの切削ブレード30としては、例えば、図2に示すハブブレード32と図3に示すワッシャーブレード33という2種類のものがある。図2に示すハブブレード32は、スピンドル31に挿通させるための貫通孔が厚さ方向に形成されリング状に形成された基台320と、基台320の一面側の外周部に電着された切り刃321とから構成される。切り刃321は、例えば、ニッケル母材中にダイヤモンド砥粒が分散して形成されている。一方、図3に示すワッシャーブレード33は、例えば、ニッケル母材中にダイヤモンド砥粒が分散し極薄のリング状に形成された切り刃のみからなるブレードである。
【0018】
図2及び図3に示すように、切削手段3a、3bのスピンドル31にはフランジ34が装着される。フランジ34は、Y方向に突出するボス部340と、ボス部340から拡径する拡径部341とを備えている。ボス部340の先端部には雄ねじ340aが形成されている。また、拡径部341の周縁部には、ハブブレード32またはワッシャーブレード33を側方から支持する端面341aを有している。
【0019】
図2に示すハブブレード32は、切り刃321がフランジ34の端面341aに当接するように挿入される。そして、ナット36がボス部340に形成された雄ねじ340aに螺着されることにより、ハブブレード32は、フランジ34とナット36とによって挟持される。フランジ34とナット36とによって挟持されたハブブレード32は、スピンドル31の先端部に形成された雌ねじ310にボルト35が螺着されることによりスピンドル31の先端に固定される。
【0020】
図3に示すワッシャーブレード33は、一方の面がフランジ34の端面341aに当接するように挿入される。そして、フランジ34と同じ外径を有する着脱フランジ37をボス部340に挿入し、ナット36をボス部340に形成された雄ねじ340aに螺着することにより、ワッシャーブレード33は、フランジ34と着脱フランジ37とによって挟持され、フランジ34及び着脱フランジ37によって挟持されたワッシャーブレード33は、スピンドル31の先端部に形成された雌ねじ310にボルト35が螺着されることによりスピンドル31の先端に固定される。
【0021】
図4に示すように、保持テーブル20に隣接する位置には、サブテーブル4が配設されている。サブテーブル4は、平面状の載置面40aを有する載置部40を備え、載置部40には吸引溝400が形成されている。吸引溝400は、吸引部41に連通しており、吸引溝400に作用する負圧によって、ドレスボード7及び端面修正治具8を選択的に吸引保持することができる。
【0022】
図4に示すドレスボード7は、グリーンカーボランダム、アランダム等からなる砥粒をレジンボンド等の結合剤によって板状に固めて成形したものであり、サブテーブル4の載置部40の上に吸引溝400がすべて覆われるようにして載置し、吸引溝400に負圧を作用させることにより吸引保持される。このドレスボード7に対して図2、3に示したハブブレード32の切り刃321、ワッシャーブレード33を切り込ませることにより、ハブブレード32の切り刃321及びワッシャーブレード33の目立て、真円出し等の外形形状の修正、整形を行うことができる。
【0023】
図4に示す端面修正治具8は、平板状の板部材80と、板部材80の上面に固定された砥石支持部材81と、砥石支持部材81によって支持された砥石支持部材81から水平方向に突出するチップ状の研削砥石82とから構成されており、サブテーブル4の載置部40の上に吸引溝400がすべて覆われるようにして載置し、吸引溝400に負圧を作用させることにより吸引保持される。この端面修正治具8は、図2、3に示したフランジ34の端面341aに研削砥石82を接触させて研削することにより端面341aの面の角度を修正することができる。
【0024】
図4に示すように、サブテーブル4の一端部には、ドレスボード7又は端面修正治具8を固定するとともに、ドレスボード7の反りを押さえる反り押さえ部42が配設されている。図5に示すように、反り押さえ部42は第一の押さえ部43と第二の押さえ部44とで構成され、それぞれは板バネによって構成されている。第一の押さえ部43及び第二の押さえ部44は、屈曲部430、440において屈曲した形状に形成されている。屈曲部430、440から垂下する被固定部431、441は、ボルト432、442によってそれぞれがサブテーブル4の側面45に固定されている。屈曲部430、440から若干下降しながらほぼ水平方向にのびる押さえ部材433、443は、湾曲部434、444において先端が上方に向けて湾曲した形状となっている。
【0025】
図6に示すように、保持テーブル20は、回転支持部25に連結され、回転支持部25が図示しないモータによって回転駆動されることにより保持テーブル20も回転する構成となっている。回転支持部25の内部には、吸引部26に連通する吸引路250が形成され、吸引路250は吸引面21に連通している。回転支持部25は、その周囲を回転支持部25とは連結も接触もしない別部材である支持部カバー23によって囲まれている。サブテーブル4は、支持部カバー23に固定された状態で配設されており、保持テーブル20及び回転支持部24には連結されていない。反り押さえ部42の上端部は、吸引面21より低い位置にあり、切削ブレード30が反り押さえ部42に接触しにくくなっている。なお、図6では図1及び図4に示したクランプ部22は図示していない。
【0026】
このように構成される切削加工装置1においては、図2及び図3に示したフランジ34の端面341aとスピンドル31の回転軸線とがなす角度を90度として精密な切削を行うために、端面341aを研削する。かかる研削には、図4に示した端面修正治具8を用いる。
【0027】
フランジ34の端面341aを研削するにあたっては、まず、図4及び図5に示したサブテーブル4の載置部40に端面修正治具8を載置し、図7に示すように、載置面40aに負圧を作用させることにより端面修正治具8を吸引保持する。また、反り押さえ部42を構成する第一の押さえ部43及び第二の押さえ部44によって端面修正治具8の板部材80を押さえる。そして、例えば切削手段3aを構成するフランジ34の端面341aを研削してその端面形状を修正する場合は、切削手段3aに切削ブレードが装着されていない状態で、保持テーブル20及びサブテーブル4をX方向に移動させるとともに、図1に示したZ方向移動手段5aにより切削手段3aをZ方向に移動させ、図7に示すように、フランジ341の端面341aの下端と研削砥石82とのX方向及びZ方向の位置合わせを行う。
【0028】
こうしてフランジ341の端面341aと研削砥石73とのX方向及びZ方向の位置合わせが行われた後、切削手段3aをY方向に移動させて端面341aを研削砥石82に近づけ、図8に示すように、フランジ341の端面341aの下端と研削砥石82とを当接させる。
【0029】
次に、端面341aの下端と研削砥石82とが当接した状態から、切削手段3aをZ方向に上昇させた後、図9に示すように、スピンドル31をA方向に回転させながらサブテーブル4をX方向に複数回往復移動させることにより、フランジ341の端面341aを研削する。また、フランジ341をY方向に所定距離ずつインデックス送りし、同様の研削を行う。そうすると、切削手段3aを構成するフランジ34の端面341aが平坦化されるとともに、スピンドル31の軸線と端面341aとが直角となる。切削手段3bを構成するフランジ34の端面341aを研削する場合は、端面修正治具6を、図7及び図8に示した向きとは逆向きに、すなわち、研削砥石82の先端部が切削手段3b側に向くようにしてサブテーブル4に載置し、上記と同様の研削を行う。
【0030】
このようにして切削手段3a、3bの端面341aの形状が修正されると、図2に示したハブブレード32または図3に示したワッシャーブレード33を切削手段3a、3bの切削ブレード30としてスピンドル31に装着する。図1を参照して説明すると、保持テーブル2においては、テープTを介してフレームFに支持されたワークWを保持する。このワークWの表面には、ストリートSによって区画されて複数のデバイスDが形成されている。なお、ワークは特に限定はされないが、例えばシリコンウェーハ、ガリウム砒素、シリコンカーバイド等の半導体ウェーハや、チップ実装用としてウェーハの裏面に設けられるDAF(Die Attach Film)等の粘着部材、半導体製品のパッケージ、セラミックス、ガラス、サファイア(Al2O3)系の無機材料基板、液晶ディスプレイドライバー等の各種電子部品、さらには、ミクロンオーダーの加工位置精度が要求される各種加工材料が挙げられる。
【0031】
ワークWが保持テーブル20において保持されると、保持テーブル20のX方向の移動及び切削手段3a、3bのY方向及びZ方向の移動により、撮像手段38a、38bをワークWの上方に位置させ、ワークWを撮像して切削すべきストリートSをそれぞれ検出する。そして、切削手段3a、3bの切削ブレード30を、位置を検出したストリートSにそれぞれ位置合わせた後、切削ブレード30を高速回転させながら降下させ、保持テーブル2をX方向に移動させることによりワークWに切削ブレード30を切り込ませてストリートSの切削を2本ずつ行う。ワークWに対する切削ブレード30のZ方向の切り込み量は、保持テーブル20の上面を基準としてZ方向移動手段5a、5bによって制御される。このような切削は、切削手段3a、3bをY方向にインデックス送りしながら他のストリートについても同様に行う。さらに、保持テーブル2を90度回転させてから同様の切削を行うと、すべてのストリートSが切削されて個々のデバイスDに分割される。
【0032】
このようにして行う切削の過程、具体的には1枚のワークの切削の途中、又は、ワークの切削終了後次のワークを切削するまでの間に、切削ブレード3a、3bの切削ブレード30に目詰まりが生じることがある。そこで、例えば所定距離切削した後、ストリートSを所定数切削した後など、適宜のタイミングで切削ブレード30(図2に示したハブブレード32のおける切り刃321または図3に示したワッシャーブレード33)のドレスを行う。切削ブレード30のドレスを行うには、サブテーブル4から端面修正治具8を取り外し、ドレスボード7をサブテーブル4に載置し吸引保持する。また、図10に示すように、反り押さえ部42を構成する第一の押さえ部43及び第二の押さえ部44によってドレスボード7を押さえる。なお、サブテーブル4においては、フランジ34の端面修正が終了した直後にドレスボード7に置き換えておいてもよい。また、ワークWについては、たとえ切削途中であっても、保持テーブル20に保持されたままとしておく。
【0033】
次に、図10に示すように、ドレス対象の切削ブレード30の切り刃321(33)をドレスボード7のX方向の延長線上に位置させ、切削ブレード30をB方向に回転させるとともにサブテーブル4をX方向に移動させ、切削ブレード30とドレスボード7とをX方向に相対移動させて切り刃321(33)をドレスボード7に切り込ませることにより、切り刃の目立てや真円出し等の形状修正を行う。かかるドレスの後は、再びワークの切削を行う。切削再開にあたっては、ワークを保持する保持テーブル20とドレスボード7との置き換えが不要であることで、保持テーブル20の上面位置が当初から変わらないため、保持テーブル20の上面位置の測定は不要である。
【0034】
以上のように、切削加工装置1には、切削ブレード30をドレスするドレスボード7と、切削手段3a、3bのフランジ34の端面341aを研削する端面修正治具8とを選択的に吸引保持することができるサブテーブル4を設けたため、ワークを保持する保持テーブル20において端面修正治具8を保持する必要がない。したがって、保持手段2においてワークを保持する保持テーブル20と端面修正治具8との置き換えの必要がなく、端面修正前後の煩雑な作業が不要となる。ワークを保持する保持テーブル20と端面修正治具8との置き換えが不要であることで、端面修正後に保持テーブル20の上面位置の測定は不要である。また、ワーク保持用の保持手段2とは別にサブテーブル4を設けたことにより、端面修正治具8は、ワークの大型化にともなう保持手段2の大型化の影響を受けることがないため、吸着面21を誤って傷つけるのを防ぐことができる。
【0035】
また、図6に示したように、サブテーブル4は支持部カバー23に固定され、保持テーブル20及び回転支持部24には連結されていないため、端面修正やドレスの際に端面修正治具8やドレスボード7に対して強い力がかかっても、端面修正治具8やドレスボード7がブレることがなく、安定的に支持された状態で切削ブレードのドレスや端面の研削を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1:切削加工装置
2:保持手段
20:保持テーブル 21:吸引面
22:クランプ部 220:押さえ部 23:支持部カバー 24:蛇腹
25:回転支持部 250:吸引路 26:吸引部
3a、3b:切削手段 30:切削ブレード 31:スピンドル 310:雌ねじ
32:ハブブレード 320:基台 321:切り刃
33:ワッシャーブレード
34:フランジ 340:ボス部 340a:雄ねじ 341:拡径部 341a:端面
35:ボルト 36:ナット 37:着脱フランジ
4:サブテーブル
40:載置部 40a:載置面 400:吸引溝
41:吸引部
42:反り押さえ部
43:第一の押さえ部 44:第二の押さえ部
430、440:屈曲部 431、441:被固定部 432:442:ボルト
433、443:押さえ部材 434、444:湾曲部
45:側面
38a、38b:撮像手段
5a、5b:Z方向移動手段
50:ボールスクリュー 51:ガイドレール 52:パルスモータ 53:昇降基台
6a、6b:Y方向移動手段
60:ボールスクリュー 61:ガイドレール 62:パルスモータ 63:移動基台
7:ドレスボード
8:端面修正治具 80:板部材 81:砥石支持部材 82:研削砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する保持テーブルと、該保持テーブルを回転させる回転支持部と、該回転支持部を囲む支持部カバーと、を有する保持手段と、
該保持テーブルに保持されたワークを切削加工する切削ブレードと、該切削ブレードを回転させるスピンドルと、該スピンドルの先端に該切削ブレードを端面で挟持して固定するフランジと、を有する切削手段と、
を有する切削加工装置であって、
該保持テーブルに隣接して該支持部カバーにサブテーブルが配設されていて、
該サブテーブルは、
該切削ブレードをドレスするドレスボードと、該フランジの該端面を研削する研削砥石と該研削砥石を支持する砥石支持部材とを有する端面修正治具とを選択的に吸引保持する切削加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−255458(P2011−255458A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131836(P2010−131836)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】