説明

切換要素のピストンの近傍に設けられた皿ばね装置

皿ばね(2)の指部が、ハウジング(4)内の冠部を通って突出すると共に、切換要素(3)のハウジング(4)内に保持された金属ブシュ(5)と当接しており、閉じたリングとして形成された皿ばね(2)の外径側部(7)が、切換要素(3)のピストン(1)に当接している切換要素(3)のピストン(1)の近傍に設けられた皿ばね装置(2)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念に従う、切換要素のピストンの近傍に設けられた皿ばね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE−OS2124008により、軸方向に移動自在に配置された構成部材に対して上作用する1つまたは複数のばね、とりわけ、圧力媒体によって加圧可能な摩擦クラッチまたはブレーキの環状ピストンに作用する戻りばね、のための止め具が知られている。ここでは、ばねの支持のために、一部材または複数部材からなる横断面において二重コーナー状(doppelwinkelformig)に形成された支持部材が設けられている。これは、固定された構造部材の溝の凹部に一方の脚が嵌め込まれており、他方の脚にばねが直接または中間部材を介して当接している。
【0003】
従来技術によれば、内部に横たわっている指部を有する皿ばねを、切換要素のピストンに直接組み入れることもまた知られている。この場合、皿ばねの指部の配置がピストンの激しい摩耗を引き起こすという不利益が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、それによって簡単な方法でピストンの摩耗が避けられるような切換要素のピストンの近傍に設けられる皿ばね装置を提供することである。とても小さく制限された構造空間のみを使用するため、本発明による皿ばね装置は、ピストン、ピストン指部、皿ばね、および、止め座金、の場所をとらない配置を保証する。
【0005】
この課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴により解決される。本発明による更なる実施の形態及び利点が、下位請求項から理解される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、皿ばねの指部が、ハウジング内の冠部(Kronen)を通って突出すると共に、切換要素のハウジング内に保持された金属ブシュと当接しており、閉じたリングとして形成された皿ばねの外径側部が切換要素のピストンに当接している、という皿ばね装置が提供される。このことにより、ピストンの圧縮が低減され、従ってピストンの摩耗が低減される。皿ばねに前負荷(予張力)を与えておけば、更に、金属ブシュの緩みを防止することができる。
【0007】
本発明の特に有利な実施の形態において、金属ブシュは、バヨネット(差し込み)継手またはバヨネット(差し込み)金具によってハウジング内に保持されている。
【0008】
また、更なる有利な別の実施の形態によれば、ピストン指部が、切換要素の操作のために、皿ばねの指部の間を貫通して延びている。このことは、有利な態様では、かなりコンパクトな構造をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明による皿ばね装置の具体例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、皿ばね装置のために必要とされる金属ブシュの実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、以下に、添付した図面に基づいて例示的に詳述される。
【0011】
図には、符号1が付された切換要素3のピストンと、符号2が付された皿ばねが示されている。この皿ばね2は、当該皿ばね2の指部が、ハウジング4内の冠部を通って突出すると共に、切換要素3のハウジング4内に保持された金属ブシュ5と当接する、というように配置されている。
【0012】
本発明のとりわけ有利な実施の形態において、金属ブシュ5は、バヨネット継手またはバヨネット金具6によってハウジング4内に保持されている。この目的のために、ハウジング4は、複数の溝を有している。金属ブシュ5は、好ましくは、バヨネットリングとして形成されて、複数の突出部9を有している。これらの突出部9は、ハウジング側に設けられた溝内に挿入可能であり、回動することによってロック可能となっている。
【0013】
図2の対象は、金属ブシュ5の可能な一実施例である。ここでは、ブシュ5の一部が示されており、突出部に参照符号9が付されている。
【0014】
また、皿ばね2の外形側部7は、切換要素のピストン1に当接している。上述したように、ピストン指部8が、切換要素の操作のために、皿ばね2の指部の間を貫通して延びている。
【0015】
本発明によれば、必要とされるスペースが低減されると共に、ピストンの摩耗を低減させるという結果が得られるような、切換要素の皿ばね装置が提供される。
【符号の説明】
【0016】
1 ピストン
2 皿ばね
3 切換要素
4 ハウジング
5 金属ブシュ
6 バヨネット(差し込み)継手
7 皿ばねの外径側部
8 ピストン指部
9 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切換要素のピストンの近傍に設けられた皿ばね装置において、
皿ばね(2)の指部が、ハウジング(4)内の冠部(Kronen)を通って突出すると共に、切換要素(3)のハウジング(4)内に保持された金属ブシュ(5)と当接しており、
閉じたリングとして形成された皿ばね(2)の外径側部(7)が、切換要素(3)のピストン(1)に当接している、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
金属ブシュ(5)は、バヨネット(差し込み)継手またはバヨネット(差し込み)金具(6)によってハウジング(4)内に保持されており、
ハウジング(4)は、溝を有しており、
金属ブシュ(5)は、バヨネット(差し込み)リングとして形成されて、複数の突出部(9)を有しており、
前記突出部は、ハウジング側に設けられた前記溝に挿入可能であり、回動することによってロック可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の切換要素のピストンの近傍に設けられた皿ばね装置。
【請求項3】
ピストン指部(8)が、切換要素(3)の操作のために、皿ばね(2)の指部の間を貫通して延びている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の切換要素のピストンの近傍に設けられた皿ばね装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−525275(P2010−525275A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504603(P2010−504603)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053977
【国際公開番号】WO2008/128866
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】