説明

判定帰還型等化器を用いた受信機のためのクロック回復回路

【課題】 本発明は、判定帰還型等化器を用いた受信機のためのクロック回復回路を提供する。
【解決手段】 特定の実施形態では、方法は、判定帰還型等化器(DFE)により、送信データを有する第1の信号を受信し、前記DFEにより、前記送信データを有する等化信号に前記第1の信号を調整し、位相誤り検出器により、前記送信データの4分の1のデータ・レート以下のデータ・レートで位相誤りを検出し、前記位相誤り検出器により、前記検出された位相誤りに基づき位相誤りレベルを生成し、前記DFE及び前記位相誤り検出器のためのクロック回復回路により、前記位相誤りレベルに基づき前記送信データに関連するクロック信号を回復する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に高速通信に関する。
【背景技術】
【0002】
高速電気通信では、受信信号は、例えば表皮効果及び誘電損失のような周波数に依存する損失のためにしばしば乱され、符号間干渉(inter-symbol interference:ISI)を引き起こす。等化器は、ISIを補償して最大チャネル長を増大させるか又は通信速度を増大させるためにしばしば用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、判定帰還型等化器を用いた受信機のためのクロック回復回路を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】例であるISIを有するチャネルの例であるパルス応答を示す。
【図2】例である等化器を示す。
【図3】1つのプレカーソル・タップと1つのポストカーソル・タップを有する例である3タップ有限インパルス応答(finite-impulse-response:FIR)フィルタを示す。
【図4】例である適応型位相等化器システムを示す。
【図5】別の例である適応型位相等化器システムを示す。
【図6】別の例である適応型位相等化器システムを示す。
【図7】例である3タップFIRフィルタの線形等化器利得及びプリエンファシス係数に対する例である適応制御を示す。
【図8】例である位相等化の例である効果を示す。
【図9】例である位相歪みを示す。
【図10】f/4及びf/6の間の周波数に依存する位相を検出する例であるフィルタ・パターン・デコーダ(filter-pattern decoder:FPD)を示す。
【図11】例である位相歪み検出器を示す。
【図12】f/2及びf/4の間の周波数に依存する位相を検出する例であるFPDを示す。
【図13】f/6及びf/8の間の周波数に依存する位相を検出する例であるFPDを示す。
【図14】f/4及びf/6の間の周波数に依存する位相を検出するFPDとf/6及びf/8の間の周波数に依存する位相を検出する別のFPDとを有する複数のFPDを用いた例である多次元位相歪み検出器を示す。
【図15】データ・クロックによりサンプリングされた誤りに基づく符号間干渉に対し複数のFPDを用いる例である位相歪み検出器を示す。
【図16】データ・クロックによりサンプリングされた誤り情報に基づく位相歪みのための例であるFPDを示す。
【図17】判定帰還型等化器(decision-feedback equalizer:DFE)のクロック回復方法を示す。
【図18】位相誤り検出器を示す。
【図19】例である判定帰還型等化器(decision-feedback equalizer:DFE)の例であるクロック回復方法のための例である位相誤り検出器を示す。
【図20】1つのプレカーソル・タップを有する例である2タップFIRフィルタを示す。
【図21】2つのプレカーソル・タップを有する例である4タップFIRフィルタを示す。
【図22】位相等化器の例である1次連続時間線形等化器(continuous-time linear equalizer:CTLE)を示す。
【図23】例である位相等化器の例である1次CTLEの例である実施を示す。
【図24】例である位相等化器の例である1次CTLEの別の例である実施を示す。
【図25】例である1次CTLEを示す。
【図26】別の例である1次CTLEを示す。
【図27】例である位相等化器の例である2次CTLEを示す。
【図28】例である位相等化器の例である2次CTLEの例である実施を示す。
【図29】例である位相等化器の例である2次CTLEの別の例である実施を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
高速電気通信では、受信信号は、符号間干渉(inter-symbol interference:ISI)を引き起こしうる例えば表皮効果及び誘電損失のような周波数に依存する損失のために屡々乱される。図1は、例であるISIを有するチャネルの例であるパルス応答を示す。パルス応答は、ピーク・パルス応答(カーソル)、カーソルの前のISI(プレカーソルISI)及びカーソルの後のISI(ポストカーソルISI)を有する。プレカーソルISI及びポストカーソルISIの両者は、隣接ビットの受信に干渉し、ビット誤り率(bit error rate:BER)を悪化させうる。チャネル長が増大するにつれ、パルス応答は時間的に広く広がり、高いISIを引き起こしうる。データ・レートが増大するにつれ、送信側(又はTx)出力における理想的なパルス幅は減少するが、受信側(又はRx)入力におけるパルス幅は絶対時間尺度であまり変化しない。単位間隔(unit interval:UI)はデータ・レートが増大するにつれて減少するので、ISIは事実上増大する。
【0006】
等化器は、ISIを補償して最大チャネル長を増大させるか又は通信速度を増大させるためにしばしば用いられる。通常、等化器は、チャネル伝達関数の逆関数を近似しチャネルによる歪みを除去するフィルタである。等化器は、線形等化器(linear equalizer:LE)、判定帰還型等化器(decision-feedback equalizer:DFE)又はLE及びDFEの組合せであってもよい。
【0007】
図2は、例である等化器を示す。LEの入力は、チャネル内の高周波数の減衰によりプレカーソルISI及びポストカーソルISIを有する。LEは減衰した高周波数成分を増幅し、プレカーソルISI及び一部のポストカーソルISIを除去する。DFE入力における残存ISIは、判定回路出力を用いてDFE内の帰還フィルタによりエミュレートされる。エミュレートされたISIは、DFE入力信号から減算される。従って、ISIは判定回路入力において完全に除去されうる。
【0008】
如何なるDFEも存在しない場合、特定の実施形態では、LEは全てのポストカーソルISIを除去する。しかし、LEのみの方式は、高周波数雑音を増幅してしまう傾向があるという欠点を有する。図2では、DFEはLEの後段にあり、LEは、DFEにより除去される一部のポストカーソルISIを残してもよい。判定回路は雑音を取り除くので、エミュレートされたISIは実質的に無雑音である。従って、DFEの利点は、雑音を増幅せずに実質的にISIを除去することである。しかしながら、帰還フィルタの各タップは1単位間隔(UI)のタイム・スパンの間しかISIをエミュレートしないので、DFEのISIを除去する能力は限られている。更に、DFEは前の判定を用いてISIをエミュレートするので、DFEは実質的にプレカーソルISIを除去できない。DFEの別の欠点は、誤り伝搬である。つまり、回復したデータに誤りがあると、その誤りは、DFEの間違った帰還のために次に続くデータ内で再び発生する可能性がある。
【0009】
LEの特性は、離散時間領域又は連続時間領域の伝達関数により表される。離散時間領域のLEは、有限インパルス応答(FIR)フィルタ又は無限インパルス応答(IIR)フィルタの何れかである。連続時間領域のLEは、連続時間線形等化器(CTLE)である。LEは、FIRフィルタ、IIRフィルタ及びCTLEの組合せであってもよい。
【0010】
LEは図2のRx側にあるが、Tx側に置かれ、信号が送信前にプレディストーションされるようにしてもよい。代替として、LEはTx側とRx側の両方に分けられてもよい。他方で、DFEは直前に受信されたデータ値を用いるので、DFEはRx側に存在するべきである。
【0011】
図3は、1つのプレカーソル・タップと1つのポストカーソル・タップを有する例である3タップFIRフィルタを示す。図3中、Z−1は単位遅延を表す。Cは、タップ係数の中で最大の大きさを有するカーソル・タップ係数である。該カーソル・タップはセンタ・タップ又はメイン・タップとも称される。C−1は、主としてプレカーソルISIを除去するプレカーソル・タップ係数である。Cは、主としてポストカーソルISIを除去するポストカーソル・タップ係数である。特定の実施形態では、チャネル特性は不明でありうるので、チャネル特性に自動的に適応する係数を有することが望ましい。
【0012】
図4は、例である適応型位相等化器システムを示す。図4では、送信信号は、チャネルを介した送信中に位相が歪みうる。特定の実施形態では、位相の歪んだ信号は、プレカーソル・タップを有するFIRフィルタのような位相等化器により位相を等化され、位相等化信号が生成されてもよい。特定の実施形態では、データ検出器は、位相等化信号から送信データを回復してもよい。特定の実施形態では、位相歪み検出器は、データ検出器出力でデータ検出器入力を調べ、データ検出器入力に残存する位相歪みを検出してもよい。特定の実施形態では、残存する位相歪みは、位相等化レベルを生成するために積分器により積分されてもよい。特定の実施形態では、位相等化レベルは、位相等化器の係数として用いられてもよい。特定の実施形態では、適応型位相等化器システムは、振幅等化器を有してもよい。特定の実施形態では、位相等化器は、振幅歪みと同時に位相歪みも等化してもよい。また、データ検出器はDFEを有してもよい。
【0013】
特定の実施形態では、図5に示されたように、適応型位相等化器システムの位相等化器は、Tx側に置かれてもよい。位相等化器は、信号がチャネルを介して送信される前に、該信号をプレディストーションし、チャネル出力において位相等化されるようにしてもよい。逆方向チャネルは、Tx側に係数制御情報を返送する必要があってもよい。特定の実施形態では、位相等化器の機能はTxとRxとの間で分けられてもよい。
【0014】
図6は、別の例である適応型位相等化器システムを示す。図6に示されるように、位相等化器回路は、Tx側にプレカーソル・タップを有する3タップFIRフィルタにより実現されてもよい。Rx側は、線形等化器、DFEを有するデータ及び誤り検出器、デマルチプレクサ、クロック回復回路、並びに等化器制御回路を有してもよい。特定の実施形態では、等化器制御は、LE制御、検出器及びDFE制御、並びにプリエンファシス制御を生成してもよい。特定の実施形態では、プリエンファシス制御のための情報は、逆方向制御チャネルを通じてTx側に返送されてもよい。図6中、「データ」は受信信号から回復されたデータであり、「誤り」はクロック回復及び等化器制御のための誤り情報である。
【0015】
図7は、例である3タップFIRフィルタのLE利得及びプリエンファシス係数に対する例である適応制御を示す。特定の実施形態では、ISIのフィルタ・パターン・デコーダ(FPD)は残存するISIを検出し、例として及び限定ではなく参照されることにより本願明細書に組み込まれる米国特許公開番号2009/0316767、「Detecting Residual Intersymbol Interference (ISI) Components Using Two Data Patterns」に記載されているように4つの時間段階でResISI信号を生成してもよい。特定の実施形態では、4つの時間段階のResISI信号は、重み定数で乗算され、フィルタ・パターン平衡器により選択され、DCに対して4分の1のレートで線形等化器の利得を表すQRGainを生成するために積分されてもよい。特定の実施形態では、例として及び限定ではなく参照されることにより本願明細書に組み込まれる米国特許公開番号2009/0316771、「Sign-Based General Zero-Forcing Adaptive Equalizer Control」に記載されているように、収束はResISI信号の平均の重み付けされた和をゼロにさせてもよい。特定の実施形態では、単一の制御ループは、Rx線形等化器とTxプリエンファシスとの間で、それらの強度を等化し2つの類似する制御ループ間の結合を回避するために、共有されてもよい。特定の実施形態では、QRGainは、PEGainテーブルに具現化されたアンチディザリングで、テーブル索引により、LEGain及びPEGainに変換されてもよい。
【0016】
図7の下の経路は、図4及び図5に示した位相歪み検出器及び積分器の例を示す。特定の実施形態では、位相歪み回路のためのFPDは、残存する位相歪みを検出し、位相歪みを表すResPDを生成してもよい。特定の実施形態では、ResPDは、PhaseEQに統合され、位相等化の要求されるレベルを表してもよい。特定の実施形態では、収束はResPDをゼロにしてもよい。
【0017】
特定の実施形態は、PEGainをC(0)/{C(0)+C(−1)+C(+1)}と定める。これはDCに対して4分の1のレートで相対利得を近似しうる。特定の実施形態は、PhaseEQを−C(−1)/C(0)と定める。これは位相等化の量を近似しうる。特定の実施形態では、C(0)、C(−1)及びC(+1)は、係数の符号及び係数の大きさの一定和に関する制約を用いて、PEGain及びPhaseEQから導き出されてもよい。
【0018】
図8は、例である位相等化の例である効果を示す。図8中、種々の期間を有する周期的な波形は、ナイキスト周波数で32dBの損失を有するチャネルを介して送信した後に、Rx側にある1タップDFEの入力で測定される。振幅等化器は、1タップDFEに対して最適化されてもよいが、位相等化は異なってもよい。0101の振幅パターンは回復されないが、DFEはナイキスト周波数成分を回復するので、これはDFEを用いたデータ回復にとって必ずしも問題ではない。
【0019】
如何なる位相等化もない場合、4UI周期パターン(00110011)は8UI(00001111)及び16UI(0*8/1*8)パターンより後に現れる。これは、プレカーソル・タップが用いられない場合である。実質的に最適な位相等化では、4UI、8UI及び16UIパターンは良好に位置を合わせられる。過度な位相等化では、4UIパターンは8UI及び16UIパターンより早く現れる。図8中、時間の線はダイアグラム間で合わせられている。位相等化が増大するにつれ、4UI、8UI及び16UIパターンは異なるレートで遅延されるが、2UI周期パターン(0101)は、そのプレカーソル・タップがそのポストカーソル・タップと実質的に同一なので、遅延されない。結果として、最適な位相等化では、0101パターンは他のパターンと位相がずれている。再び、DFEはナイキスト周波数成分を回復するので、これはDFEを用いたデータ回復にとって問題ではない。
【0020】
図8に基づき、特定の実施形態は、図9に示されるように周波数に依存する位相として位相歪みを定めてもよい。位相等化が不十分な場合、低周波数パターン(例えば、16UI又は8UI周期パターン)は、早い位相を有してもよく、一方で高周波数パターン(例えば、4UI周期パターン)は遅い位相を有してもよい。位相等化が過度な場合、低周波数パターンは遅い位相を有してもよく、一方で高周波数パターンは早い位相を有してもよい。非常に高い周波数パターン(例えば、2UI周波数パターン)は、振幅が等化されない限り、実質的に無視されてもよい。
【0021】
図10は、f/4及びf/6の間の周波数に依存する位相を検出する例であるFPDを示す。特定の実施形態は、FP0(000E111)及びFP1(100E110)のフィルタ・パターンにおける位相誤りを比較することにより、位相歪みを検出してもよい。ここで、Eは立ち上がりエッジの位置を示す。特定の実施形態では、立ち下がりエッジを有する反転されたパターン、例えば111E000及び011E001が用いられてもよい。図10中、FP0は、少なくとも6UIの周期を有する低周波数パターンを表し、FP1は4UIの周期を有する高周波数パターンを表してもよい。
【0022】
図10で、位相誤りがFP0で遅れ、FP1で早い場合、ResPDは+1を割り当てられ、不十分な位相等化を示す。位相誤りがFP0で早く、FP-1で遅い場合、ResPDは−1を割り当てられ、過度な位相等化を示す。
【0023】
図10で、位相誤りがFP0及びFP1の両方で早いか、又はFP0及びFP1の両方で遅い場合、ResPDは+1及び−1を割り当てられ、ゼロ平均出力を生成する。特定の実施形態では、受信データ・シーケンスの統計に無関係にこのような状況で平均ResPDが完全にゼロになることを保証するため、FPDは同一回数、各フィルタ・パターンを交互に調べてもよい。
【0024】
図10の位相歪みのためのFPDは、+2.5UI及び−2.5UIの時間インデックスに対して2つのISI成分の検出を実行し、同時に反対の極性を用いてもよい。例として及び限定でなく、D乃至E2.5からの影響は、+2.5UIの時間インデックスでポストカーソルISIであってもよく、一方でD乃至E2.5からの影響は、−2.5UIの時間インデックスでプレカーソルISIであってもよい。ResPDは、プレカーソルISIと正に関連付けられ、ポストカーソルISIと負に関連付けられてもよい。特定の実施形態では、位相歪みは、+2.5UIと−2.5UIの時間インデックス間のようなプレカーソルISIとポストカーソルISIとの間の不均衡として検出されてもよい。
【0025】
特定の実施形態は、図11に示されるように、ISIのために複数のFPDを有する位相歪み検出器を実施してもよい。図11では、ResISI−2.5のためのFPDは残存プレカーソルISIを−2.5UIの時間インデックスで検出し、ResISI+2.5のためのFPDは残存ポストカーソルISIを+2.5UIの時間インデックスで検出してもよい。特定の実施形態では、時間インデックス−2.5UIにおける残存プレカーソルISI及び時間インデックス+2.5UIにおける残存ポストカーソルISIは、反対の極性で重み付けされ、信号ResPDを生成するためにフィルタ・パターン平衡器により等しく選択されてもよい。
【0026】
図12は、f/2及びf/4の間の周波数に依存する位相を検出する例であるFPDを示す。図12では、プレカーソルISIのためのFPDは残存プレカーソルISIを時間インデックス−1.5UIで検出し、ポストカーソルISIのためのFPDは残存ポストカーソルISIを時間インデックス+1.5UIで検出してもよい。特定の実施形態は、図13に示されるように、f/4より低い周波数で位相歪みを検出してもよい。図13では、位相歪みは、f/6とf/8の間の周波数に依存する位相として検出されてもよい。
【0027】
特定の実施形態は、(例えば、図10のFPD及び図13のFPDのような)2以上のFPDを一緒に用いて、例として且つ限定でなく図14に示されたような2以上のプレカーソル・タップを有するFIRフィルタのような多次元位相等化器を制御してもよい。図14では、f/4とf/6の間の周波数歪み(又は高周波数位相歪み)のためのFPDが第1のプレカーソル・タップC(−1)を制御するために用いられ、f/6とf/8の間の周波数歪み(又は低周波数位相歪み)のためのFPDが第2のプレカーソル・タップC(−2)を制御するために用いられてもよい。特定の実施形態は、3次元(又は、更に高次の)位相等化器に拡張しうる。
【0028】
特定の実施形態は、エッジ・クロックではなく、データ・クロックによりサンプリングされた誤り情報から位相歪みを検出してもよい。図15は、データ・クロックによりサンプリングされた誤りに基づくISIのための2つのFPDを用いた例である位相歪み検出器を示す。図15では、ResISI−2.0のためのFPDは残存プレカーソルISIを時間インデックス−2.0UIで検出し、ResISI+2.0のためのFPDは残存ポストカーソルISIを時間インデックス+2.0UIで検出してもよい。特定の実施形態では、時間インデックス−2.0UIにおける残存プレカーソルISI及び時間インデックス+2.0UIにおける残存ポストカーソルISIは、反対の極性で重み付けされ、信号ResPDを生成するためにフィルタ・パターン平衡器により等しく選択されてもよい。
【0029】
図15の例である位相歪み検出器の代替として、図16に示されるように、FPDはデータ・クロックによりサンプリングされた誤り情報から位相歪みを直接検出してもよい。図16の例である方法は、ResISI−2.0及びResISI+2.0を一緒に反対の極性で同時に検出しうるので、図15の例である位相歪み検出と実質的に等価である。
【0030】
図8に示されるように、位相は4UI、8UI及び16UI周期パターンの間で一致してもよいが、2UI周期パターン、例えば0101は、他のパターンと位相がずれていてもよい。DFEはナイキスト周波数成分を回復するので、これはDFEを用いたデータ回復では問題とならないが、任意のデータの変化において位相誤り情報を用いる従来のクロック回復方式では、0101の位相がずれると、データに依存するジッタ(受信機のジッタ耐性を劣化させる)を生じうるので、問題となりうる。
【0031】
図17はDFEのクロック回復方法を示し、図18は位相誤り検出器を示す。図18に示されるように、位相誤りは、DとDとの間の誤り値E2.5をD及びDと比較することにより、DからDへのデータの変化があるときは何時でも検出される。
【0032】
図19は、例であるDFEの例であるクロック回復方法のための例である位相誤り検出器を示す。特定の実施形態では、クロック回復は、00E11(又は11E00)パターンにおける位相誤り情報を用い、他のパターンにおける位相誤り情報を無視してもよい。例えば、図19の例である方法は、4分の1レート以下の周波数における位相誤り情報を用いてもよい。特定の実施形態では、図19の例である方法は、他のクロック回復方法に対して利点を有しうる。何故なら、(1)10E10パターンの振幅は非常に小さい、(2)10E10パターンの位相は他の低周波数パターンに揃っていない、(3)00E11パターンにクロック位相をロックすることは、図19の例である方法で位相歪みを検出する感度を向上する、又は(4)図19の例である方法は、他のクロック回復方法よりも、DFE誤り伝搬に対するクロック回復を強くさせうる、からである。他のクロック回復方法は、屡々DFE誤り伝搬の傾向がある。DFE誤り伝搬は1010パターンと共に継続し、間違った位相誤り情報を生成してしまうからである。一方で、DFE入力信号誤り伝搬は、同一値の2以上の隣接ビットのような低周波数パターンで生じうる。
【0033】
図4及び図5で、非最小位相特性を有する線形フィルタ(FIRフィルタ、CTLE、又はそれらの組合せ)は、位相等化器として用いられてもよい。特定の実施形態では、線形フィルタは非最小位相特性を有し、その伝達関数はz平面内の単位円の外側の離散時間領域で1又は複数のゼロ又は極性、又はs平面の右半分の連続時間領域で1又は複数のゼロ又は極性を有してもよい。例えば、例として且つ限定でなく図20に示されるような1つのプレカーソル・タップを有する2タップFIRフィルタは、離散時間領域で次の伝達関数を有してもよい。
【数1】

【0034】
例として且つ限定でなく、伝達関数(式1)は
【数2】

で1つのゼロを有し、最初に1つの極を有する。|C|>|C−1|、Cはカーソル・タップである場合、ゼロはz平面内の単位円の外側であってもよい。従って、C−1がゼロでない限り、1つのプレカーソル・タップを有する2タップFIRフィルタは、非最小位相特性を有し、特定の実施形態では位相等化器として用いられてもよい。特定の実施形態では、2タップFIRフィルタの位相等化レベルは、|C−1|と関連付けられてもよい。C−1がゼロのとき、プレカーソル・タップはディスエーブルされ、2タップFIRフィルタは最小位相特性を有し、位相歪みを等化しない。大きさ|C−1|が増大するにつれ、位相等化レベルも増大する。
【0035】
同様に、図3に示されるような1つのプレカーソル・タップを有する3タップFIRフィルタは、離散時間領域で次の伝達関数を有してもよい。
【数3】

【0036】
例として且つ限定でなく、伝達関数(式2)はzで1つのゼロを有し、zでもう1つのゼロを有し、最初に2つの極を有する。|C|>|C−1|+|C|、Cはカーソル・タップである場合、z又はzの何れかはz平面内の単位円の外側であってもよい。従って、C−1がゼロでない限り、1つのプレカーソル・タップを有する3タップFIRフィルタは、非最小位相特性を有し、特定の実施形態では位相等化器として用いられてもよい。図3の3タップFIRフィルタの位相等化レベルは、|C−1|と関連付けられてもよい。C−1がゼロのとき、プレカーソル・タップはディスエーブルされ、3タップFIRフィルタは最小位相特性を有し、位相歪みを等化しない。大きさ|C−1|が増大するにつれ、位相等化レベルも増大する。
【0037】
例として且つ限定でなく図21に示されるように、2つのプレカーソル・タップを有する4タップFIRフィルタは、非最小位相特性を有し、C−1又はC−2がゼロでない限り、位相等化器として用いられてもよい。C−1及びC−2が両方ともゼロのとき、プレカーソル・タップはディスエーブルされ、4タップFIRフィルタは最小位相特性を有し、位相歪みを等化しない。大きさ|C−1|及び/又は|C−2|が増大するにつれ、位相等化レベルも増大する。|C−2|は|C−1|より低い周波数で位相等化に関連付けられる。
【0038】
特定の実施形態では、CTLEは、連続時間領域のゼロがs平面の右半分にある場合、位相等化器として用いられてもよい。図22は、次の伝達関数を有する位相等化器の例である1次CTLEを示す。
【数4】

【0039】
特定の実施形態では、伝達関数(式3)は、
【数5】

で1つのゼロを有してもよい。C>0且つC<0の場合、ゼロはs平面の右半分にあり、このCTLEは非最小位相特性を有し、位相等化器として用いられてもよい。
【0040】
図22の例である1次CTLEは、C>0且つC>0を有するデータ伝送のための一般的な1次CTLEと異なる。このような条件ではゼロはs平面の左半分にあるので、データ伝送のための一般的な1次CTLEは、s平面の左半分にゼロを有し、最小位相特性を有し、特定の実施形態では位相等化器として用いることができない。
【0041】
図23及び図24は、(図22の位相等化器のような)例である位相等化器の例である1次CTLEの例である実施を示す。DC経路及び1次微分(derivative)経路は反対の極性を有しうるので、特定の実施形態は別個の信号経路を用い、出力で相互接続してもよい。利得段は、(図23に示されるように)別個であってもよく又は(図24に示されるように)結合されてもよい。
【0042】
図25及び図26は、DC経路及び1次微分経路が同一極性を有する例である1次CTLEを示す。図26では、DC経路及び1次微分経路は、同一極性なので結合されてもよい。最小位相特性により、図25及び図26の1次CTLEは、特定の実施形態では位相等化器として用いることができない。
【0043】
図27は、次の伝達関数を有する例である位相等化器の例である2次CTLEを示す。
【数6】

【0044】
特定の実施形態では、伝達関数は、zで1つのゼロを有し、zでもう1つのゼロを有してもよい。C>0、C>0且つC<0の場合、z又はzの一方はs平面の右半分にある。図27のCTLEは、非最小位相特性を有し、特定の実施形態では位相等化器として用いられてもよい。図27のCTLEは、C>0、C>0且つC>0であるデータ伝送のための他の2次CTLEと異なる。z及びzの両方がs平面の左半分にあるので、データ伝送のための他の2次CTLEは、最小位相特性を有し、特定の実施形態では位相等化器として用いることができない。
【0045】
図28及び図29は、(図27の位相等化器のような)例である位相等化器の例である2次CTLEの例である実施を示す。特定の実施形態は、図28に示されるように、DC経路、1次微分経路、及び2次微分経路を分けてもよい。特定の実施形態は、DC経路及び1次微分経路が同一極性を有するので、図29に示されるようにDC経路及び1次微分経路を結合してもよい。利得段は、(図28に示されるように)別個であってもよく又は(図29に示されるように)微分段と結合されてもよい。
【0046】
本願明細書で、「又は」は、他に明示的に示されない限り又は文脈上特に示されない限り、包括的であり、排他的ではない。従って、本願明細書では、特に明示的に示されない限り又は文脈上別に示されない限り、「A又はB」は「A、B、又は両方」を意味する。更に、「及び」は、他に明示的に示されない限り又は文脈上特に示されない限り、結合及び幾つかの両方である。従って、本願明細書では、特に明示的に示されない限り又は文脈上別に示されない限り、「A及びB」は「A及びB、一緒に又は別々に」を意味する。
【0047】
本開示は、当業者が考え得る、本願明細書に記載された例である実施形態の全ての変更、代替、変形、選択肢、及び修正を包含する。同様に、適切な場合には、特許請求の範囲は、当業者が考え得る、本願明細書に記載された例である実施形態の全ての変更、代替、変形、選択肢、及び修正を包含する。更に、特定の機能を実行するよう、適応され、配置され、可能にされ、構成され、実行可能なように、動作可能なように、又は機能するようにされた装置又はシステム又は採用されている装置若しくはシステムの構成要素への添付の特許請求の範囲中の参照は、それ又は該特定の機能が作動され、オンに切り替えられ、又は解除されているか否かに拘わらず、該装置、システム又は構成要素がそのように適応され、配置され、可能にされ、構成され、使用可能にされ、動作可能にされ又は機能するようにされている限り、該装置、システム、構成要素を包含する。
【符号の説明】
【0048】
DFE 判定帰還型等化器
LE 線形等化器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データを有する第1の信号を受信し、該送信データを有する等化信号に該第1の信号を調整するようにされた判定帰還型等化器(DFE)と、
前記送信データの4分の1のデータ・レート以下のデータ・レートで位相誤りを検出し、該検出された位相誤りに基づき位相誤りレベルを生成する位相誤り検出器と、
前記位相誤りレベルに基づき前記送信データに関連するクロック信号を回復するようにされた、前記DFE及び前記位相誤り検出器のためのクロック回復回路と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記位相誤り検出器は、1又は複数のフィルタ・パターン・デコーダ(FPD)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
判定帰還型等化器(DFE)により、送信データを有する第1の信号を受信し、
前記DFEにより、前記送信データを有する等化信号に前記第1の信号を調整し、
位相誤り検出器により、前記送信データの4分の1のデータ・レート以下のデータ・レートで位相誤りを検出し、
前記位相誤り検出器により、前記検出された位相誤りに基づき位相誤りレベルを生成し、
前記DFE及び前記位相誤り検出器のためのクロック回復回路により、前記位相誤りレベルに基づき前記送信データに関連するクロック信号を回復する、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記位相誤り検出器は、1又は複数のフィルタ・パターン・デコーダ(FPD)を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
送信データを有する第1の信号を受信する手段と、
該送信データを有する等化信号に該第1の信号を調整する手段と、
前記送信データの4分の1のデータ・レート以下のデータ・レートで位相誤りを検出する手段と、
該検出された位相誤りに基づき位相誤りレベルを生成する手段と、
前記位相誤りレベルに基づき前記送信データに関連するクロック信号を回復する手段と、
を有するシステム。
【請求項6】
前記送信データのデータ・レートの4分の1以下のデータ・レートで位相誤りを検出する手段は、1又は複数のフィルタ・パターン・デコーダ(FPD)を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−170081(P2012−170081A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29858(P2012−29858)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】