説明

別の抗糖尿病薬を用いた先の治療に抵抗性を有する2型糖尿病患者をSGLT2阻害剤およびその組成物を用いて治療する方法

本発明は、1つまたはそれ以上の経口および/または注射用抗糖尿病薬を用いて行われた治療レジメンが失敗に終わった2型糖尿病患者の治療方法であって、治療上の有効量のSGLT2阻害剤を単独、別の1つの抗糖尿病薬および/または別の治療薬との組み合わせでかかる患者に投与することを特徴とする方法を提供する。ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−S−プロピレングリコール溶媒和物ならびに1つまたはそれ以上の糖尿病薬および/または別の治療薬を含み、本発明で開示される方法に用いられる医薬組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたはそれ以上の経口および/または注射用抗糖尿病薬による治療に失敗した2型糖尿病患者の治療方法であって、SGLT2阻害剤を単独または別の1つの抗糖尿病薬および/または別の治療薬との組み合わせで用いる方法を提供し、かかる方法に用いる医薬組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
高血糖は血糖値が上昇した状態であり、糖尿病の特徴である。血漿中のグルコースは通常腎臓の糸球体で濾過されるが、腎近位尿細管で積極的に再吸収される。ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2はこの部位での再取り込みにおける主要な輸送体と考えられる。SGLT阻害剤フロリジンおよびそれに密接に関連するアナログは、糖尿病げっ歯類およびイヌにおいてこの再取り込みの過程を阻害し、低血糖の副作用を起こすことなく、グルコース排泄を促進することにより血漿中のグルコースレベルの正常化を引き起こす。ズッカー糖尿病ラットのSGLT2阻害剤を用いた長期間(6ヶ月)の治療により、腎臓における検出可能な病変および血漿中の電解質不均衡を引き起こすことなく、糖血症に対するインスリン応答およびインスリン感受性が改善され、これらの動物における神経障害および腎障害の発症が遅延されることが報告されている。糖尿病患者におけるSGLT2の選択的阻害により、グルコースの尿中排泄を促進することにより血漿中のグルコース量が正常化され、それによりインスリン感受性が改善され、糖尿病合併症の発症が遅延されることが期待される。
【0003】
糖尿病の治療は重要な健康問題であり、幅広い療法が利用可能であるにもかかわらず、糖尿病の蔓延が続いている。2型糖尿病(T2DM)はインスリン抵抗性および膵β細胞機能の低下により引き起こされる進行性の疾患である。インスリンは膵β細胞により産生され、グルコースの細胞取り込みおよびクリアランスを仲介する。インスリン抵抗性はこのホルモンの作用に対する応答の欠如を特徴とし、循環血中からのグルコースの細胞によるクリアランスの低下および肝臓におけるグルコースの過剰な産生を招く。
【0004】
現在利用可能な2型糖尿病の治療方法は、血中グルコースを低下させるためにインスリンの作用または送達を増強するものである。しかしながら、これらの治療方法があるにもかかわらず、多くの患者において2型糖尿病がコントロールできない。米国全国健康・栄養調査(NHANES)IIIによると、現在の治療方法では2型糖尿病のわずか36%の患者しかA1C<7.0%で定義される血糖コントロールを達成できていない。2型糖尿病を治療しようとする試みにおいて、複数の薬剤を用いた積極的な療法が処方されることがある。インスリンに加えての経口の薬剤の使用は、NHANES IIからIIIにかけて約3から11%増加した。
【0005】
故に、2型糖尿病(T2DM)における高血糖の治療は、特に疾患が進行するにつれインスリンを必要とする患者において、大きな課題を残す。インスリンと経口抗糖尿病薬(OAD)の様々な組み合わせが近年研究され、これらのレジメンが用いられる患者が増加している(Poulsen、M.K. et al., “The combined effect of triple therapy with rosiglitazone, metformin, and insulin in type 2 diabetic patients”, Diabetes Care, 26(12):3273−3279 (2003); Buse, J., “Combining insulin and oral agents”, Am. J. Med., 108(Supp. 6a):23S−32S (2000))。特に体重の増加およびインスリン抵抗性の悪化によりインスリン応答経路が障害されるため、しばしば、これらの組み合わせの療法では長期間に亘る高血糖のコントロールにおける効果が見られなくなる。
【0006】
高血糖、体重増加、およびそれに続くインスリン抵抗性の上昇は、インスリン用量の至適化およびインスリンの効果を制限する重要な因子である(Holman、R.R. et al., “Addition of biphasic, prandial, or basal insulin to oral therapy in type 2 diabetes”, N. Engl. J. Med., 357(17):1716−1730 (2007))。インスリン療法における体重増加は主に糖尿の減少によるものであり、糖血症の矯正に相関すると考えられる(Makimattila, S. et al., “Causes of weight gain during insulin therapy with and without metformin in patients with Type II diabetes mellitus”, Diabetologia, 42(4):406−412 (1999))。インスリンは単独またはOADと組み合わせて用いられると体重増加を加速する(Buse, J., 前記)。いくつかの場合、強力なインスリン療法により、カロリー過剰、高インスリン血症、脂質生合成の亢進、体脂肪蓄積の亢進、インスリン抵抗性の上昇、β細胞毒性、および高血糖のスパイラルを通し、脂質の過剰な蓄積および疾患合併症の進行が悪化することがある(Unger, R.H., “Reinventing type 2 diabetes: pathogenesis, treatment, and prevention”, JAMA, 299(10):1185−1187 (2008))。一般的に用いられるOADの内、チアゾリジンジオン(TZD)およびスルホニル尿素は、血糖コントロールの改善による糖尿の消失に伴う体重増加への寄与が大きい。体重増加はメトホルミン(肝グルコース産生の抑制を通して作用する)またはインクレチン関連DPP−4阻害薬においては顕著ではない。全体として、体重増加または低血糖のリスクの上昇を伴わず、安全にインスリン依存的療法に加えて用いることにより目標血糖値の達成を補助することができる新たな薬剤に対する差し迫った必要性が存在する。
【0007】
高血糖症の治療への新しいアプローチは、腎臓におけるグルコース再吸収を行うグルコース輸送体を標的とすることに関連する(Kanai, Y. et al., “The human kidney low affinity Na+/glucose cotransporter SGLT2. Delineation of the major renal reabsorptive mechanism for D−glucose”, J. Clin. Invest., 93(1):397−404 (1994))。腎近位尿細管に存在するナトリウム−グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に遮断する薬剤は、グルコースの再吸収を阻害し、尿中排泄によるグルコースの消失を誘起し得る(Brown, G.K., “Glucose transporters: structure, function and consequences of deficiency”, J. Inherit. Metab. Dis., 23(3):237−246 (2000))。前臨床モデルにおいて、SGLT2阻害がインスリンと独立して血糖値を低下させることが示されている(Han, S. et al., “dapagliflozin, a selective SGLT2 inhibitor, improves glucose homeostasis in normal and diabetic rats”, Diabetes, 57(6):1723−1729 (2008);Katsuno, K. et al., “Sergliflozin, a novel selective inhibitor of low−affinity sodium glucose cotransporter (SGLT2), validates the critical role of SGLT2 in renal glucose reabsorption and modulates plasma glucose level”, J. Pharmacol. Exp. Ther., 320(1):323−330 (2007))。
【0008】
ダパグリフロジン(米国特許番号第6,515,117号に開示)はSGLT2阻害による腎臓におけるナトリウム−グルコース再吸収の阻害剤であり、グルコースの尿中排泄を亢進する。この効果により、インスリン非依存的に血漿中のグルコースが低下する。
【0009】
ダパグリフロジンは現在、2型糖尿病治療のために臨床開発中である(Han, S. et al., supra; Meng, W. et al., “Discovery of dapagliflozin: a potent, selective renal sodium−dependent glucose cotransporter 2 (SGLT2) inhibitor for the treatment of type 2 diabetes”, J. Med. Chem., 51(5):1145−1149 (2008))。ダパグリフロジンの第2a相および第2b相の治験により、T2DM患者に単独またはメトホルミンとの組み合わせで用いることが高血糖の軽減に効果的であることが示された(Komoroski, B. et al., “Dapagliflozin, a novel、selective SGLT2 inhibitor, improved glycemic control over 2 weeks in patients with type 2 diabetes mellitus”, Clin. Pharmacol. Ther., 85(5):513−519 (2009); List, J.F. et al., “Dapagliflozin−induced glucosuria is accompanied by weight loss in type 2 diabetic patients”, 68th Scientific Sessions of the American Diabetes Association, San Francisco, CA, June 6−10, 2008, Presentation No. 0461P)。
【0010】
ダパグリフロジンはインスリンシグナリング経路を通して作用しないこと、およびインスリンシグナリングが正常に機能しない患者において血糖をコントロールすることに有効であることが分かっている。これは、2型糖尿病における極度のインスリン抵抗性、ならびに、例えば、インスリン受容体の突然変異によるインスリン抵抗性症候群にも適用される。
【発明の開示】
【0011】
本発明によると、1つまたはそれ以上の経口抗糖尿病薬および/または注射用糖尿病薬(インスリンを含んでいてもよい)を用いた先の治療が失敗した、ヒトの対象または患者を含む哺乳類の対象または患者における2型糖尿病を治療するための方法であって、治療が必要な哺乳類の対象または患者に治療上の有効量のSGLT2阻害剤を投与する段階を特徴とする方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬を用いた治療が失敗したヒトの対象または患者を含む哺乳類の対象または患者における2型糖尿病を治療するための本発明の方法は、治療上の有効量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(別名ダパグリフロジンプロピレングリコール溶媒和物またはダパグリフロジン−PGS)を投与する段階を特徴とする。
【0013】
さらに本発明によると、開示されるいずれの方法において、該方法は、治療上の有効量のSGLT2阻害剤(ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSなど)および少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、またはアジュバントを含む医薬組成物を哺乳類の対象または患者に投与する段階を特徴とする。例えば、本発明のいずれの方法において、該方法は、治療上の有効量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGS、例えば1日当たり約1から約200mg、および少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、またはアジュバントを含む医薬組成物を哺乳類の対象または患者に投与することを特徴とする。
【0014】
本発明のいずれの方法において、例えば1日当たり約0.5から約350mgのSGLT2阻害剤(ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSなど)は、1つまたはそれ以上の別の経口および/または注射用抗糖尿病薬と組み合わせて投与されてもよく、それらは本明細書中に記載される別の1つのSGLT2阻害剤および/またはSGLT2阻害剤以外の1つもしくはそれ以上の抗糖尿病薬でもよく、インスリン、および/または別の1つまたはさらなる治療薬(抗肥満薬、抗高脂血症薬、アテローム動脈硬化症治療薬、降圧薬、および/または抗血栓薬もしくは血小板凝集抑制剤などの抗凝固薬でもよい)が含まれる。実施態様の1つにおいて、抗糖尿病薬(単数または複数)および/または別の治療薬(単数または複数)の治療上の有効量が投与される。
【0015】
本発明の方法の実施態様の1つ(ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤(単数または複数)ならびに抗糖尿病薬、および/または別の1つの治療薬(抗肥満薬、抗高脂血症薬、アテローム動脈硬化症の治療薬、降圧薬、および/または抗血栓薬もしくは血小板凝集抑制剤などの抗凝固薬が用いられる)において、別の抗糖尿病薬(SGLT2阻害剤と組み合わせて用いられる)の投与量は、通常糖尿病治療で推奨される量の最低約20%から最高約100%である。
【0016】
本発明の実施態様の別の1つにおいて、該患者はダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬(ここで、該抗糖尿病薬は、メトホルミンといったビグアナイド、グリブリドもしくはグリピジドといったスルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、aP2阻害剤、DPP4阻害剤、ロシグリタゾンもしくはピオグリタゾンといったインスリン増感剤、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、DGAT阻害剤、CCR2アンタゴニスト、11−β−HSD(ヒドロキシステロイド脱水素酵素)、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせから選択される)で治療される。
【0017】
実施態様の別の1つにおいて、本発明は、哺乳類、特にヒトにおける2型糖尿病の治療方法であって、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤を1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬(ここで、該抗糖尿病薬はメトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、エクセナチド、クロルプロパミド、グリクラジド、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、Gl−262570、イサグリタゾン、JTT−501、NN−2344、L895645、YM−440、R−119702、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、AR−HO39242、GW−409544、KRP297、AC2993、LY315902もしくはNVP−DPP−728A、または2つもしくはそれ以上のそれらの組み合わせから選択される)と組み合わせて投与する段階を特徴とする。
【0018】
本発明の方法の実施態様の別の1つにおいて、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSは、1日当たり約0.5から約200mgの範囲の投与量において、医師により処方される投与量もしくはフィジシャンズ デスク リファレンス(Physicians’ Desk Reference (PDR))最新版に開示される投与量のインスリンおよび/または1日当たり約500から約2000mgの範囲の投与量のメトホルミンおよび/または1日当たり約0.5から約25mgの範囲の投与量のロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標)、Glaxo−Wellcome)もしくは1日当たり約0.5から約75mgの範囲の投与量のピオグリタゾン(ACTOS(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals America, Inc.)と組み合わせて投与される。
【0019】
本発明の方法の実施態様の別の1つにおいて
(a)1日当たり約0.5から約200mgの投与量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSは、医師により処方される投与量またはPDRに記載される投与量のインスリンと組み合わせて投与されるか;
(b)1日当たり約0.5から約200mgの投与量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSは、医師により処方される投与量またはPDRに記載される投与量のインスリン、および1日当たり約500から約2000mgの投与量のメトホルミンと組み合わせて投与されるか;
(c)1日当たり約0.5から約200mgの投与量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSは、医師により処方される投与量またはPDRに記載される投与量のインスリン、および1日当たり約0.5から約75mgの投与量のピオグリタゾン(ACTOS(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals America, Inc.)もしくは1日当たり約0.5から約25mgの投与量のロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標)、Glaxo−Wellcome)と組み合わせて投与されるか;
(d)1日当たり約0.5から約200mgの投与量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSは、医師により処方される投与量またはPDRに記載される投与量のインスリン、1日当たり約500から2000mgの投与量のメトホルミン、および1日当たり約0.5から約75mgの投与量のピオグリタゾンもしくは1日当たり約0.5から約25mgの投与量のロシグリタゾンと組み合わせて投与される。
【0020】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤の哺乳類、特にヒトにおける2型糖尿病の治療薬の製造における使用である。
【0021】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤ならびに1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬および/または1つまたはそれ以上の抗肥満薬の組み合わせの、2型糖尿病の治療薬の製造における使用である。該抗糖尿病薬および/または抗肥満薬は、該SGLT2阻害剤に先立って、後に、または同時に投与される。
【0022】
本発明の実施態様の別の1つは、本明細書中で定義されるように、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤の2型糖尿病の治療薬の製造における使用であり、かかる治療は、哺乳類にSGLT2阻害剤ならびに抗糖尿病薬および/または抗肥満薬の組み合わせを、同時もしくは時間差で、いずれの順序で投与する段階を特徴とする。
【0023】
本発明の実施態様の別の1つは、本明細書中で定義されるように、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤ならびに1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせの2型糖尿病の治療薬の製造における使用であり、ここで、該抗糖尿病薬は、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、aP2阻害剤、DPP4阻害剤、インスリン増感剤、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、DGAT阻害剤、CCR2アンタゴニスト、11−β−HSD、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、または2つもしくはそれ以上のそれらの組み合わせである。該抗糖尿病薬は、SGLT2阻害剤に先立って、後で、または同時に投与される。
【0024】
本発明の実施態様の別の1つにおいて、本明細書中で定義されるように、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤の2型糖尿病の治療薬の製造における使用であり、かかる治療は、1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬との組み合わせを同時または時間差で、いずれの順序において哺乳類に投与する段階を特徴とし、ここで、該抗糖尿病薬は、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、aP2阻害剤、DPP4阻害剤、インスリン増感剤、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、DGAT阻害剤、CCR2アンタゴニスト、11−β−HSD、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、または2つもしくはそれ以上のそれらの組み合わせから選択される。
【0025】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤の別の1つまたはさらなる治療剤(抗肥満薬、抗高脂血症薬、もしくはアテローム動脈硬化症の治療に用いられる薬剤、即ちHMG−CoA還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブリン酸誘導体、アスピリン、胆汁酸捕捉剤、ACAT阻害剤、LDL受容体活性の上昇剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステリルエステル転送タンパク(CETP)阻害剤、回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤、フィトエストロゲン、ベータラクタム系コレステロール吸収阻害剤、HDL上昇剤、PPARα−アゴニストおよび/またはFXRアゴニスト;LDL代謝促進剤、例えばナトリウム−プロトン交換阻害剤、LDL受容体誘導剤もしくはステロイド配糖体、抗酸化剤、または抗ホモシステイン薬、イソニアジド、HMG−CoA合成酵素阻害剤、またはラノステロール脱メチル化酵素阻害剤、PPARδアゴニスト、またはステロイド調節エレメント結合タンパク−I(SREBP−1)であるか;
別の治療薬は降圧剤(ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L−タイプおよび/またはT−タイプ)、利尿薬、レニン阻害剤、ACE阻害剤、AT−1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニスト、デュアルET/AIIアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤(デュアルNEP−ACE阻害剤)または硝酸塩であるか;あるいは
別の治療薬は、血小板凝集抑制剤(クロピドグレルまたはチクロピジンまたはプラスグレルまたはアスピリン)である)の組み合わせの使用である。
【0026】
さらなる治療剤はSGLT2阻害剤に先立って、後で、または同時に投与される。
【0027】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤および前記の別の1つまたはさらなる治療薬の2型糖尿病の治療薬の製造における使用である。
【0028】
別のまたはさらなる治療薬は、SGLT2阻害剤に先立って、後で、または同時に投与される。
【0029】
SGLT2阻害剤および別のまたはさらなる治療薬(単数または複数)の組み合わせを用いる本発明の方法の実施態様の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は別のまたはさらなる治療薬(単数または複数)に対する重量比が、約200:1から約0.1:1の範囲の量において用いられる。別の実施態様の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は別のまたはさらなる治療薬(単数または複数)に対する重量比が、約100:1から約0.2:1の範囲の量において用いられる。
【0030】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせの2型糖尿病の治療薬の製造における使用である(ここで、該抗糖尿病薬は、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、Gl−262570、イサグリタゾン、JTT−501、エクセナチド、NN−2344、L895645、YM−440、R−119702、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、AR−HO39242、GW−409544、KRP297、AC2993、LY315902もしくはNVP−DPP−728A、または2つもしくはそれ以上のそれらの組み合わせから選択される)。該抗糖尿病薬は、SGLT2阻害剤に先立って、後で、または同時に投与される。
【0031】
本発明の実施態様の別の1つは、ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤とインスリン単独、メトホルミン単独、チアゾリジンジオン(ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなど)単独の組み合わせ、またはダパグリフロジンもしくはダパグリフロジン−PGSおよびメトホルミンおよびインスリンの組み合わせ、またはダパグリフロジンもしくはダパグリフロジン−PGSおよびインスリンおよびチアゾリジンジオンの組み合わせ、ダパグリフロジンもしくはダパグリフロジン−PGSおよびメトホルミンおよびチアゾリジンジオンの組み合わせ、またはダパグリフロジンもしくはダパグリフロジン−PGSおよびインスリン、メトホルミンおよびチアゾリジンジオンの組み合わせ(ここで、該チアゾリジンジオンは好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンである)の、本発明の方法における使用である。
【0032】
本発明の方法で用いられるSGLT2阻害剤は、以下で詳細に述べるように、C−アリールグルコシド類(別名C−グルコシド類)またはO−アリールグルコシド類(別名O−グルコシド類)でもよい。
【0033】
ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSといったSGLT2阻害剤および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせを用いる本発明の方法の実施態様の1つにおいて、SGLT2阻害剤は別の抗糖尿病薬に対する重量比が約200:1から約0.1:1の量において用いられる。実施態様の別の1つにおいて、SGLT2阻害剤は別の抗糖尿病薬に対する重量比が約100:1から約0.2:1の量において用いられる。
【0034】
本発明は2型糖尿病の治療薬の製造におけるSLGT2阻害剤の使用を提供する。実施態様の1つにおいて、本発明は、2型糖尿病の治療薬の製造におけるC−アリールグルコシド類またはO−アリールグルコシド類の使用および2型糖尿病の治療における1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の使用を提供する。例えば、本発明は、2型糖尿病の治療薬の製造におけるダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSの使用を提供する。上記のいずれの使用においても、該SLGT2阻害剤はその治療上の有効量において投与される。
【0035】
本発明は、2型糖尿病の治療薬としてのSLGT2阻害剤および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせを提供する。実施態様の1つにおいて、本発明は、2型糖尿病の治療薬としてのC−アリールグルコシド類またはO−アリールグルコシド類および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせを提供する。例えば、本発明は、2型糖尿病の治療薬としてのダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSおよび1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬の組み合わせを提供する。上記のいずれの使用においても、該SLGT2阻害剤はその治療上の有効量において投与される。
【0036】
用語「極度のインスリン抵抗性」、別名「重篤なインスリン抵抗性」は、本明細書中で用いられるように、≧50単位/日のインスリンに加え、経口のインスリン増感剤(チアゾリジンジオン、例えばピオグリタゾンもしくはロシグリタゾンおよび/またはメトホルミンなど)による治療を受けているにもかかわらず、血糖コントロールが不適切であることを意味する。
【0037】
用語「治療上の有効量のSLGT2阻害剤」は、本明細書中で用いられるように、哺乳類の対象または患者において、医学的に許容されるレベル(ADAスタンダードにより決定される)に血糖値を低下させるSLGT2阻害剤の量または投与量を意味する。
【0038】
用語「ダパグリフロジン−PGS」は、本明細書中で用いられるように、ダパグリフロジンプロピレングリコール溶媒和物またはダパグリフロジンプロピレングリコール水和物を意味し、ダパグリフロジンプロピレングリコールの(S)体および(R)体を包含する。
【0039】
用語「低血糖」は、本明細書中で用いられるように、血糖値が60mg/デシリットル(dL)を下回ることを意味する。
【0040】
用語「糖尿病」は、本明細書中で用いられるように、2型(またはII型)糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)を意味し(ここで、患者は食事性または運動性の不十分な血糖コントロール(HbA1c<7%)を呈する)、高血糖を包含し、極度のインスリン抵抗性を包含し得る。
【0041】
用語「高血糖」は、本明細書中で用いられるように、血糖値が180mg/デシリットル(dL)を上回ることを意味する。
【0042】
1つまたはそれ以上の経口抗糖尿病薬および/または注射用抗糖尿病薬を用いた治療に「失敗した」は、かかる治療によりHbA1c<7.0%で定義される血糖コントロールが達成できなかった2型糖尿病患者を意味する。
【0043】
用語「医薬的に許容される担体」は、本明細書中で用いられるように、無毒、不活性な固体、半固体もしくは液体の増量剤、希釈剤、封入材料またはいずれのタイプの製剤補助剤を意味する。医薬的に許容される担体として用いられ得る材料の例は、糖類、例えば乳糖、グルコースおよびスクロース;デンプン類、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤用ワックス;油脂、例えばピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール類、例えばプロピレングリコール;エステル類、例えばオレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱性物質除去水;等張生理食塩水;リンガー液;エチルアルコール;およびリン酸緩衝溶液、ならびに別の無毒な適合性の滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム;着色料;放出剤;コーティング剤;甘味料;香料;および芳香剤;保存剤;および抗酸化剤である。
【0044】
本発明は、SGLT2阻害剤(好ましくはダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGS)を単独または1つもしくはそれ以上の抗糖尿病薬(メトホルミンおよびチアゾリジンジオンなど)、および/または1つまたはそれ以上の治療薬(抗肥満薬など)との組み合わせで含み、以下に述べるように、1つまたはそれ以上の無毒な医薬的に許容される担体、希釈剤、またはアジュバントとともに製剤化される医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、固体または液体の経口投与のための製剤、非経口の注射のための製剤または直腸投与のための製剤に製剤化されてもよい。適切な水性または非水性の担体、希釈剤、溶媒または媒体の例は、例えば、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、適切なそれらの混合物、植物油(オリーブ油など)および注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)である。例えば、レシチンのコーティングの使用により、分散系の場合は必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。
【0045】
これらの組成物はまた、アジュバント(保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤など)を含んでいてもよい。微生物の活動の阻害は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより確保することができる。等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましいこともある。注射用医薬剤形の持続的吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを用いることにより行うことができる。
【0046】
哺乳類の対象または患者の治療のための本発明の方法の実行において、該SGLT2阻害剤単独または1つもしくはそれ以上の別の抗糖尿病薬および/または1つもしくはそれ以上の別の治療薬は、治療が必要な哺乳類の対象または患者に、糖尿病(血糖値が上昇した状態)の治療に用いられるのと同様の高い量であるが、低血糖を起こす量よりは少ない量において投与されてもよい。1日当たりの投与量は哺乳類の該対象または該患者、用いられる特定のSGLT2阻害剤および別の抗糖尿病薬に応じて調整される。2型糖尿病およびおそらくは極度のインスリン抵抗性の治療の成功が達成されれば、投与量を減らしてもよい。実施態様の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は、哺乳類の対象または患者に、糖尿病(血糖値が上昇した状態)の治療に十分であり低血糖を起こす量よりは少ない量において投与される。例えば、実施態様の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は、1日当たり約1mgから約1000mgの投与量において経口投与される。実施態様の別の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は、1日当たり約0.5mgから約350mgの投与量において経口投与される。他の実施態様において、該SGLT2阻害剤は、1日当たり約1から約200mg、または1日あたり約2.5mgから約75mgの投与量において経口投与される。実施態様の別の1つにおいて、該SGLT2阻害剤は、1日当たり約5mgから約50mgの投与量において経口投与される。記載される全ての投与量は、単回投与、または、例えば1日あたり1から4回の個別の投与により投与されてもよい。
【0047】
実施態様の1つにおいて、本発明の方法はSGLT2阻害剤ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(ダパグリフロジン−PGSまたはダパ−PGSと表記、米国出願番号第11/765,481号(US 2008/0004336 A1として刊行)に開示され、引用によりその全体を目的に応じて本明細書中に取り込む)を投与する段階を特徴とする。ダパ−PGSは(S)体または(R)体でもよい。ダパ−PGSの(S)体を化合物Iとして下に示す:
【化1】

【0048】
ダパ−PGSの(R)体を化合物IAとして下に示す:
【化2】

【0049】
ダパ−PGSの結晶構造は、1つまたはそれ以上の下記の項目により特徴付けられる:
a)単位格子パラメーターは下記とほぼ同様である:
格子定数:
a=11.2688(8)オングストローム
b=4.8093(3)オングストローム
c=46.723(3)オングストローム
α=90度
β=90度
γ=90度
空間群=P212121
分子/非対称単位=1
ここで、該結晶構造の測定は室温で行われ、米国仮出願番号第60/817,118号、表4および米国非仮出願番号第11/765,481号(US 2008/0004336 A1)に記載されているように、主に分率座標により特徴付けを行った。
b)室温において、3.8±0.1、7.6±0.1、8.1±0.1、8.7±0.1、15.2±0.1、15.7.4±0.1、17.1±0.1、18.9±0.1および20.1±0.1からなる群より選択される2θ値(CuKα λ=1.5418オングストローム)を含む粉末X線結晶回折パターン;
c)400MHz分光計でTMSを0とした相対的比較により決定した固体13C NMRスペクトルにおける、16.2、17.6、39.3、60.9、63.3、69.8、76.9、78.7、79.4、113.8、123.6、129.3、130.5、132.0、135.7、139.1および158.0ppmとほぼ同様のピーク;
d)約50℃から78℃の、または米国仮出願番号第60/817,118号、図7および米国非仮出願番号第11/765,481号(US 2008/0004336 A1)に示されるような吸熱ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラム;
e)室温から約240℃の間で約18.7%である、または米国仮出願番号第60/817,118号、図5および米国非仮出願番号第11/765,481号(US 2008/0004336 A1)に示されるような重量損失を有する熱重量測定曲線;または
f)米国仮出願番号第60/817,118号、表1Aおよび米国非仮出願番号第11/765,481号(US 2008/0004336 A1)に示されるのとほぼ同様のピーク位置を有するプロトンNMRを有すること。
【0050】
本発明による使用に適したSGLT2阻害剤には、C−アリールグルコシド類およびO−アリールグルコシド類が含まれる。
【0051】
本発明の方法に有用なC−アリールグルコシド類(別名C−グルコシド類)のSGLT2阻害剤の例は、例えば、限定されないが:
1)米国特許番号第6,515,117号およびPCT/US03/15591に開示されるC−アリールグルコシド類(引用によりその全体を目的に応じて本明細書中に取り込む)。実施態様の1つにおいて、該C−アリールグルコシド類はダパグリフロジンまたは(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール、化合物IIとして下に示される化合物:
【化3】

である。実施態様の別の1つにおいて、該C−アリールグルコシド類はダパグリフロジンのテトラアセテートアナログまたは(2R,3R,4R,5S,6S)−2−(アセトキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテートであり、これらもまた米国特許番号第6,515,117号およびPCT/US03/15591に開示され、下に化合物IIAとして示す:
【化4】

2)米国特許番号第6,414,126号およびPCT/US00/27187(これらの開示を目的に応じて引用によりその全体をここに取り込む)に開示されるC−アリールグルコシド類、またはその医薬的に許容される塩。式(III):
【化5】

[式中、
、RおよびR2aは独立して水素、OH、OR、アルキル、CF、OCHF、OCF、SR5iまたはハロゲンであるか、R、RおよびR2aの内の2つはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成してもよく;
およびRは独立して水素、OH、OR5a、Oアリール、OCHアリール、アルキル、シクロアルキル、CF、−OCHF、−OCF、ハロゲン、−CN、−CO5b、−COH、−COR6b、−CH(OH)R6c、−CH(OR5h)R6d、−CONR6a、−NHCOR5c、−NHSO5d、−NHSOアリール、アリール、−SR5e、−SOR5f、−SO5g、−SOアリール、または5、6もしくは7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)であるか、RおよびRはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g、R5hおよびR5iは独立してアルキルであり;
、R6a、R6b、R6cおよびR6dは独立して水素、アルキル、アリール、アルキルアリールまたはシクロアルキルであるか、RおよびR6aはそれらが結合した窒素と共に縮環した5、6または7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し;
AはO、S、NH、または(CH(ここで、nは0−3である)、その医薬的に許容される塩ならびに全ての立体異性体、および全てのプロドラッグエステルであり、ただし、Aが(CH(ここで、nは0、1、2、または3である)であるかAがOであり、R、R、およびR2aの少なくとも1つがOHまたはORであるとき、R、R、およびR2aの少なくとも1つはCF、OCF、もしくはOCHFおよび/またはRおよびRの少なくとも1つはCF、−OCHF、−OCF、CH(OR5h)R6d、CH(OH)R6c、COR6b、−CN、−CO2R5b、−NHCOR5c、−NHSO5d、−NHSOアリール、アリール、−SR5e、−SOR5f、−SO5gもしくは−SOアリールである]
の化合物も含まれる。
実施態様の別の1つにおいて、該化合物は、米国特許出願番号第11/233,617号およびUS 2006/0063722に開示される(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールであり、以下の化合物IIIAとして示される:
【化6】

3)PCT/US02/11066、US 2003/0064935、および米国特許番号第6,774,112号に開示される、D−またはL−アミノ酸の結晶性錯体であるC−アリールグルコシド類(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。該C−アリールグルコシド類は式IV:
【化7】

[式中、
、RおよびR2aは独立して水素、OH、OR、アルキル、−OCHF、−OCF、−SR5aまたはハロゲンであり;
およびRは独立して水素、OH、OR5b、アルキル、シクロアルキル、CF、−OCHF、−OCF、ハロゲン、−CONR6a、−CO2R5c、−COH、−COR6b、−CH(OH)R6c、−CH(OR5d)R6d、−CN、−NHCOR5e、−NHSO5f、−NHSOアリール、−SR5g、−SOR5h、−SO5f、または5、6もしくは7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)であるか、RおよびRはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、SOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g、R5hおよびR5iは独立してアルキルであり;
、R6a、R6b、R6cおよびR6dは独立して水素、アルキル、アリール、アルキルアリールまたはシクロアルキルであるか、RおよびR6aはそれらが結合した窒素と共に縮環した5、6または7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成する]
の結晶性D−またはL−アミノ酸錯体(肥満に治療に有用であるとして開示された)を含む。
実施態様の1つにおいて、該結晶性アミノ酸錯体は、L−プロリン、L−フェニルアラニン、およびD−フェニルアラニン錯体(ここで、R2a、R、およびRは水素であり、Rは4−Clであり、Rは4−Cまたは4−OCである)を含む。
4)式V:
【化8】

(式中、R、R、R、R、R、R、R7a、R7bおよびR7cはUS 2005/0209166と同義である)のグルコピラノシル−置換ベンゼン誘導体またはその医薬的に許容される塩(US 2005/0209166に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
5)式VI:
【化9】

(式中、R、R、R、R、R、R7a、R7b、R7c、XおよびZはUS 2006/0074031と同義である)のD−ピラノシル−置換フェニル化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0074031に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
6)式VII:
【化10】

(式中、
【化11】

は単結合または二重結合を表し、Cy、R、R、R、R、R、R、R7a、R7b、R7c、XおよびZはUS 2006/0035841と同義である)のD−キシロピラノシル−置換化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0035841に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
7)式VIII
【化12】

(式中、R、R、R、R、R、R7a、R7b、R7c、XおよびZはUS 2006/0009400と同義である)のD−キシロピラノシル−置換フェニル化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0009400に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
8)式IX
【化13】

(式中、
【化14】

は単結合または二重結合を表し、Cy、R、R、R、R、R、R、R7a、R7b、R7c、R7dまたはZはUS 2006/0025349と同義である)のD−グルコピラノシル−フェニル−置換化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0025349に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
9)式X
【化15】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X、AおよびBはUS 2006/0122126と同義である)のC−グリコシド誘導体またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0122126に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
10)式XI:
【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R7a、R7b、R7c、XおよびZはUS 2006/0019948と同義である)のD−キシロピラノシル−置換フェニル化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0019948に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
【0052】
本発明の方法に有用なO−グルコシド類のSGLT2阻害剤の例は、限定されないが、以下である:
1)式XII
【化17】

(式中、R1A、R2A、R3A、R4A、R、R、R、R、R、Q、XおよびBはUS 2006/0194809と同義である)の5−チオ−β−D−グルコピラノシド化合物またはその医薬的に許容される塩(US 2006/0194809に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
2)式XIII
【化18】

[式中、
は水素、ヒドロキシル、適宜置換されていてもよいアミノ、シアノ、カルバモイル、適宜置換されていてもよい低級アルキル、適宜置換されていてもよい低級アルコキシ、または適宜置換されていてもよい環状アミノを表し;
は水素または低級アルキルを表し;
は適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいシクロアルキル、適宜置換されていてもよい脂肪族ヘテロ環基、または適宜置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基を表す]
のグルコピラニルオキシベンゼン誘導体、その医薬的に許容される塩またはプロドラッグ(WO 03/01180に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
3)式XIVまたはXV:
【化19】

[式中、
Xはβ−D−グルコピラノシル基を表し(ここで、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基はアシル化されていてもよい);
Yは低級アルキル基またはペルフルオロ低級アルキル基を表し;
Zは、置換基(単数または複数)を有していてもよい環状アルキル基、置換基(単数または複数)を有していてもよい環状不飽和アルキル基、置換基(単数または複数)を有していてもよい環状アルキル基を有する低級アルキル基、または置換基(単数または複数)を有していてもよい環状不飽和アルキル基を有する低級アルキル基を表し;
からRは、同一または異なってそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、ペルフルオロ低級アルキル基、低級アルキルオキシ基、ペルフルオロアルコキシル基、低級アルキルチオ基、ペルフルオロ低級アルキルチオ基、低級アルキルアミノ基、ハロゲン基、低級アルカノイル基、アルケニル基、環状アルケニル基、アルキニル基、置換基(単数または複数)を有していてもよいフェニル基、または低級アルコキシカルボニル基であり;nは0から3の整数である]
のピラゾール誘導体(以下の化合物:
【化20】

を含む)またはその医薬的に許容される塩(米国特許番号第6,908,905に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
4)式XVIまたはXVII:
【化21】

[式中、
Xはβ−D−グルコピラノシル基(1つまたはそれ以上のヒドロキシル基がアシル化されていてもよい)またはβ−D−グルクロニル基(1つまたはそれ以上のヒドロキシル基がアシル化されていてもよく、カルボキシル基がエステル化されていてもよい)を表し;
Yは低級アルキル基またはペルフルオロ低級アルキル基を表し;
Zは水素原子、低級アルキル基、ペルフルオロ低級アルキル基、アラルキル基またはフェニル基を表し;
、R、RおよびRは同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、低級アルキル基、ペルフルオロ基、低級アルコキシ基、フルオロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ペルフルオロ低級アルキルチオ基、低級アルキルアミノ基、ハロゲン基、低級アルカノイル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基を表し;nは0から3の整数を表し、
ここで、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基、1から6個の炭素原子を有する低級アルキルチオ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルケニル基または低級アルキニル基を表し;Rは1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基、1から6個の炭素原子を有する低級アルキルチオ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、または低級アルキニル基を表す]
のピラゾール化合物またはその医薬的に許容される塩(米国特許番号第6,815,428号に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
5)式XVIII:
【化22】

[式中、
nは0、1または2であり;
Aは
【化23】

またはヘテロアリール(置換基RおよびRを有し、N、O、S、SO、および/またはSOから選択され得る1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)であり;
は水素、OR、低級アルキル、アリール、アリールアルキル、NHCOR、NR6a、またはハロゲンから選択され;
は水素、OH、OR5a、または低級アルキルから選択され;
およびRは同一または異なって独立して水素、OH、OR5b、Oアリール、OCHアリール、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、CF、−SCF、−OCHF、−OCF、ハロゲン、−CN、−CO5c、−COH、−CONR6b、R6c、−NR6d6e、−SONH、−NHCOR5d、−NHSO5e、−NHSOアリール、−SR5f、−SOR5g、−SO5h、−SOアリール、−OCHCO5i、−OCHCOH、−OCHCONR6f6g、−OCHCHNR6h6i、または5、6または7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)から選択されるか、RおよびRはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g、R5h、およびR5iは独立して低級アルキルであり;
、R6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、およびR6iは同一または異なって独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはシクロアルキルから選択される]
のO−グルコシル化ベンズアミド化合物またはその医薬的に許容される塩(米国特許番号第6,555,519号に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
6)式XIX:
【化24】

[式中、
Yが
【化25】

またはヘテロアリールのとき;
、R、R、およびRは同一または異なって独立して水素、OH、OR、低級アルキル、またはハロゲンから選択されるか、R、R、R、およびRの内の2つはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
およびRは同一または異なって独立して水素、OH、OR7a、−Oアリール、−OCHアリール、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、CF、アリールアルケニル、−OCHF、−OCF、ハロゲン、−CN、−CO7b、−COH、COR8f、CHOHR8g、CH(OR7h)R8h、−CONR8a、−NHCOR7c、−NHSO7d、−NHSOアリール、−SR7e、−SOR7f、−SO7g、−SOアリール、−OCHCO7i、−OCHCOH、−OCHCONR8b8c、−OCHCHNR8d8e、または5、6もしくは7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)から選択されるか、RおよびRはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R7g、R7h、およびR7iは独立して低級アルキルであり;
、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R8g、およびR8hは同一または異なって独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルから選択されるか、それらが結合した窒素と共に縮環した5、6または7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
AはO(CH、S、NH(CH、または(CHである(ここで、nは0−3であり、mは0−2である)]
のO−アリールグルコシド化合物またはその医薬的に許容される塩(米国特許番号第6,683,056号に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)。
【0053】
本発明に用いることができる他のO−アリールグルコシド類のSGLT2阻害剤は以下の引用文献に開示され、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む:
1)EP 598359 A1(JP 035988およびUS 5,731,292、該開示を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XX:
【化26】

の化合物を開示する。
2)EP 0850948 A1(US 6,048,842、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XXI:
【化27】

3)JP 09188625 A(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XXII:
【化28】

(式中、RはHであり、
【化29】

は単結合または二重結合を表し、X=SまたはCHである)
の化合物を開示する。
4)JP 09124685 A(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XXIII:
【化30】

(式中、C(O)−アリールまたはC(O)O−アリールのアリール基は置換された安息香酸もしくはピリジルカルボン酸または対応するフェノール由来のウレタンである)の誘導体を含む。
5)JP 09124684(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XXIV:
【化31】

の誘導体を開示する。
6)EP 773226 A1(US 5,767,094、該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、式XXV:
【化32】

の誘導体を開示する。
7)JP 08027006 A(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、様々な組み合わせのグルコースのヒドロキシルを有する、EP 598359 A1に開示されるものに類似の式XXVの誘導体を開示する。
8)EP 684254 A1(該開示の全体を目的に応じて引用により本明細書中に取り込む)は、JP 09188625 Aに開示されるものに類似した式XXII(前記)の化合物を開示する。
【0054】
本発明の方法に用いられ得るSGLT2阻害剤を開示する別の開示および刊行物は以下の通りである:
9)Tsujihara, K. et al., Chem. Pharm. Bull., 44:1174−1180 (1996);
10)Hongu, M. et al., Chem. Pharm. Bull., 46:22−33 (1998);
11)Hongu, M. et al., Chem. Pharm. Bull., 46:1545−1555 (1998);および
12)Oku, A. et al., Diabetes, 48:1794−1800 (1999)。
13)JP 10245391(Dainippon)は500個の構造を糖尿病治療のための血糖降下薬として開示する。これらはヒドロキシル化クマリンのO−グルコシド類である。
【0055】
前記のSGLT2阻害剤に加え、本発明の方法に用いられ得る別のSGLT2阻害剤は、例えば、US 2005/0233982(Boehringer Ingelheim Corp.)、US 2005/0119192(Kissei Pharmaceutical Co.)、WO 2006/035796(Kissei Pharmaceutical Co.)、JP 2006/117651(Taisho Pharmaceutical Co.)、JP 2004/4359630(Yamanouchi Pharmaceutical Co.)、WO 2006/080421(Chugai Seiyaku Kabushiki Kaishi)、US 2005/0233988(Tanabe Seiyaku Co.)、WO 2005/012321(Tanabe Seiyaku Co.)、U.S. Patent No. 7,015,201(Ajinomoto Co.)、WO 2006/058597(Merck Patent GmbH)、WO 2006/011469(Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha)、US 2003/0195235(Johnson & Johnson)、およびWO 2006/037537(Boehringer Ingelheim)に開示されるものであり、該開示の全体を目的に応じて本明細書中に取り込む。
【0056】
望ましい場合、SGLT2阻害剤は1つまたはそれ以上の別の抗糖尿病薬および/または別の治療薬(例えば抗肥満薬、抗高脂血症薬、抗動脈硬化薬、降圧薬、および/または血小板凝集抑制剤)との組み合わせで用いられてもよく、それらは同一の投与剤形により経口で、別々の投与剤形により経口で、または注射で投与されてもよい。
【0057】
本発明の方法によりSGLT2阻害剤と組み合わせて適宜用いられてもよい別の抗糖尿病薬は、1つまたはそれ以上の高血糖治療薬、例えば、インスリン分泌促進剤もしくはインスリン増感剤、または好ましくはSGLT2阻害とは異なる作用機序を有する他の抗糖尿病薬であるが、SGLT2阻害剤でもよい。別の抗糖尿病薬は、例えば、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオンなどのPPARγアゴニスト、aP2阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害剤、および/またはメグリチニド、ならびにインスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、DGAT阻害剤、CCR2アンタゴニスト、11−β−HSD、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤および/またはグルコース−6−ホスファターゼ阻害剤である。
【0058】
これらの別の抗糖尿病薬は経口の高血糖治療薬でもよく、好ましくはメトホルミンもしくはフェンホルミンなどのビグアナイドまたはその塩であり、好ましくはメトホルミンHClである。
【0059】
別の抗糖尿病薬がビグアナイドの場合、SGLT2阻害剤はビグアナイドに対する重量比が約0.01:1から約l00:l、好ましくは約0.1:1から約5:1の範囲において用いられる。
【0060】
別の抗糖尿病薬は、好ましくはスルホニル尿素(グリブリド(別名グリベンクラミド)、グリメピリド(米国特許番号第4,379,785号に開示)、グリピジド、グリクラジドもしくはクロルプロパミド、他の既知のスルホニル尿素またはβ細胞のATP依存性チャネルに作用する他の高血糖治療薬でもよく、好ましくはグリブリドおよびグリピジドである。これらの別の抗糖尿病薬は、同一または別々の経口投与剤形で投与されてもよい。
【0061】
SGLT2阻害剤は好ましくは、スルホニル尿素に対する重量比が約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.2:1から約10:1の範囲において用いられ得る。
【0062】
経口抗糖尿病薬は、アカルボース(米国特許番号第4,904,769号に開示)またはミグリトール(米国特許番号第4,639,436号に開示)といったグルコシダーゼ阻害剤でもよく、同一または別々の投与剤形で投与されてもよい。
【0063】
SGLT2阻害剤は好ましくは、グルコシダーゼ阻害剤に対する重量比が約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.5:1から約50:1の範囲において用いられ得る。
【0064】
SGLT2阻害剤はまた、チアゾリジンジオン経口抗糖尿病薬といったPPARγアゴニストもしくは他のインスリン増感剤(NIDDM患者においてインスリン感受性亢進効果を有するもの、例えば、トログリタゾン(Warner−Lambert’s REZULIN(登録商標)、米国特許番号第4,572,912号に開示)、ロシグリタゾン(SKB)、ピオグリタゾン(Takeda)、Mitsubishi’s MCC−555(米国特許番号第5,594,016号に開示)、Glaxo−Wellcome’s GL−262570、エングリタゾン(CP−68722、Pfizer)もしくはダルグリタゾン(CP−86325、Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT−501(JPNT/P&U)、L−895645(Merck)、R−119702(Sankyo/WL)、NN−2344(Dr. Reddy/NN)、またはYM−440(Yamanouchi)、好ましくはピオグリタゾンおよびロシグリタゾンである)と組み合わせて用いられてもよい。
【0065】
SGLT2阻害剤は好ましくは、チアゾリジンジオンに対する重量比が約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.2:1から約10:1の範囲において用いられる。
【0066】
該実施態様において、スルホニル尿素およびチアゾリジンジオンは、約150mgの経口抗糖尿病薬を超えない量において投与され、SGLT2阻害剤と共に単一の錠剤に組み込まれてもよい。
【0067】
SGLT2阻害剤はまた、インスリンなどの高血糖治療薬、またはGLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)(Habenerに対する米国特許番号第5,614,492号に開示、該開示を引用により本明細書中に取り込む)、ならびにAC2993(Amylen)およびLY−315902(Lilly)といったグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)と組み合わせて用いられてもよい。これらの抗糖尿病薬は注射、鼻腔内、または経皮もしくは口腔内装置により投与することができる。
【0068】
用いる場合、メトホルミン、スルホニル尿素(グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミドおよびグリクラジドなど)ならびにグルコシダーゼ阻害剤(アカルボースもしくはミグリトール)またはインスリン(注射用、経肺、口腔内、または経口)は前記の製剤により、フィジシャンズ デスク リファレンス(PDR)またはRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co., Easton, PA)で示される投与量および投与経路において用いることができる。
【0069】
用いる場合、メトホルミンまたはその塩は、好ましくは1日当たり約500から約2000mgの範囲の量において用い、単回または1日1回から4回に分割して投与することができる。メトホルミンまたはその塩は、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンといったチアゾリジンジオンと組み合わせて、SGLT2阻害剤と共に用いることができる。
【0070】
用いる場合、ロシグリタゾンまたはピオグリタゾンといったチアゾリジンジオン抗糖尿病薬は、好ましくは約0.01から約150mg/日の投与量において用い、単回または1日1回から4回に分割して投与することができる。
【0071】
用いる場合、インスリンはフィジシャンズ デスク リファレンス(PDR)またはRemington’s Pharmaceutical Sciencesで示される製剤、量、投与経路において用いることができる。
【0072】
用いる場合、GLP−1ペプチドは、好ましくは、米国特許番号第5,346,701号(TheraTech)、5,614,492号および5,631,224号に記載される(それぞれの全体を引用により本明細書中に取り込む)ように、経口口腔内製剤、鼻腔内投与または非経口投与により用いることができる。
【0073】
別の抗糖尿病薬はまた、PPARα/γデュアルアゴニスト(AR−HO39242(Astra/Zeneca)、GW−409544(Glaxo−Wellcome)、KRP297(Kyorin Merck)ならびにMurakami et al., “A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation−Activated Receptor Alpha (PPAR alpha) and PPAR gamma. Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats”, Diabetes, 47:1841−1847 (1998)および米国特許番号第6,414,002号(それぞれの開示の全体を引用により本明細書中に取り込む)に開示されるもの(それぞれで設定される投与量において用いられる)など)でもよく、そこで好ましいと指定される化合物は本願の使用に好ましいものである。
【0074】
別の抗糖尿病薬はまた、WO 2008/005964に開示されるようなグルコキナーゼ活性化剤および/またはUS2008/0090876A1に開示されるようなDGAT−1阻害剤でもよい。
【0075】
別の抗糖尿病剤はまた、米国特許番号第6,548,529号に開示されるようなaP2阻害剤(該開示で設定される投与量において用いられる)でもよい。好ましい化合物は、上記の出願で好ましいと指定される化合物である。
【0076】
別の抗糖尿病薬はまた、DPP4阻害剤(米国特許番号第6,395,767号、WO 99/38501、WO 99/46272、WO 99/67279(PROBIODRUG)、WO 99/67278(PROBIODRUG)、WO 99/61431(PROBIODRUG)に開示されるもの、Hughes et al., Biochemistry, 38(36):11597−11603 (1999)に開示されるNVP−DPP728A(1−[[[2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン)(Novartis)(好ましい)、TSL−225(トリプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Yamada et al., Bioorg. & Med. Chem. Lett., 8:1537−1540 (1998)に開示);Ashworth et al、Bioorg. & Med. Chem. Lett., 6(22):1163−1166および2745−2748 (1996)に開示される2−シアノピロリジド類および4−シアノピロリジド類(サクサグリプチン、ビルダグリプチンおよびシタグリプチンが好ましい)など、上記の引用文献で設定される投与量で用いられる)でもよい。
【0077】
本発明のSGLT2阻害剤と適宜組み合わせて用いられ得るメグリチニド類は、レパグリニド、ナテグリニド(Novartis)またはKAD1229(PF/Kissei)であり、レパグリニドが好ましい。
【0078】
SGLT2阻害剤は、好ましくはメグリチニド、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、aP2阻害剤またはDPP4阻害剤に対する重量比が約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.2:1から約10:1の範囲において用いられる。
【0079】
本発明の方法においてSGLT2阻害剤と適宜組み合わせて用いられ得る抗糖尿病薬は、1つまたはそれ以上の以下のものを含む:ベータ3アドレナリンアゴニスト(単数または複数)、リパーゼ阻害剤(単数または複数)、セロトニン(およびドパミン)再取込阻害剤(単数または複数)、甲状腺ホルモン受容体ベータ薬(単数または複数)、MCH−1受容体アンタゴニスト(単数または複数)、5−HT2c受容体アゴニスト(単数または複数)、食欲抑制剤(単数または複数)、NPY5アンタゴニストおよびNPY2アンタゴニストといったニューロペプチドY(NPY)アンタゴニスト(単数または複数)、レプチンアナログ(単数または複数)、MC4受容体アゴニスト(単数または複数)、および/またはカンナビノイド受容体アンタゴニスト(単数または複数)。
【0080】
SGLT2阻害剤と適宜組み合わせて投与され得る適切なベータ3アドレナリンアゴニストの例は、例えば、限定されないが、AJ9677(Takeda/Dainippon)、SB−418790、L750355(Merck)、CP331648(Pfizer)、ならびに米国特許番号第5,541,204号、5,770,615号、5,491,134号、5,776,983号および5,488,064号に開示される他のベータ3アドレナリンアゴニストである。実施態様の1つにおいて、ベータ3アドレナリンアゴニストはAJ9677、L750355、およびCP331648からなる群より選択される。
【0081】
SGLT2阻害剤と適宜組み合わせて投与され得る適切なリパーゼ阻害剤の例は、例えば、限定されないが、オルリスタットおよびATL−962(Alizyme)である。実施態様の1つにおいて、リパーゼ阻害剤はオルリスタットである。
【0082】
SGLT2阻害剤と適宜組み合わせて投与され得る適切なセロトニン(およびドパミン)再取込阻害剤は、例えば、限定されないが、シブトラミン、トピラメート(Johnson & Johnson)、AXOKINE(登録商標)(Regeneron)、デクスフェンフルラミン、およびテトラヒドロリポスタチンである。実施態様の1つにおいて、セロトニン(およびドパミン)再取込阻害剤は、シブトラミンおよびトピラメートからなる群より選択される。
【0083】
SGLT2阻害剤と適宜組み合わせて投与され得る適切な甲状腺ホルモン受容体ベータ化合物の例は、例えば、限定されないが、WO 97/21993(U. Cal SF)、WO 99/00353(KaroBio)およびWO 00/039077(KaroBio)に開示される甲状腺ホルモン受容体リガンドである。実施態様の1つにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータ化合物は、WO 99/00353およびWO 00/039077に開示されるものから選択される。
【0084】
SGLT2阻害剤と適宜組み合わせて投与され得る適切な食欲抑制剤の例は、例えば、限定されないが、デクスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンおよびマジンドールである。実施態様の1つにおいて、食欲抑制剤はデクスアンフェタミンである。
【0085】
前記の様々な抗糖尿病薬は、SGLT2阻害剤と同一または異なる投与剤形において、当業者に周知またはフィジシャンズ デスク リファレンスに記載される投与量およびレジメンにおいて用いることができる。
【0086】
本発明の方法によると、SGLT2阻害剤は抗高脂血症薬(もしくは脂質低下薬)、またはアテローム動脈硬化症の治療に用いられる薬剤と組み合わせて用いられてもよい。脂質低下薬またはアテローム動脈硬化症の治療に用いられる薬剤の例は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、限定されないが、メバスタチンおよび米国特許番号第3,983,140号に開示される関連化合物、ロバスタチン(メビノリン)および米国特許番号第4,231,938号に開示される関連化合物、プラバスタチンおよび米国特許番号第4,346,227号に開示される関連化合物、シンバスタチンならびに米国特許番号第4,448,784号および4,450,171号に開示される関連化合物)である。本発明で用いられ得る他のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、例えば、限定されないが、フラバスタチン(米国特許番号第5,354,772号で開示)、セリバスタチン(米国特許番号第5,006,530号および5,177,080号で開示)、アトルバスタチン(米国特許番号第4,681,893号、5,273,995号、5,385,929号および5,686,104号で開示)、ピタバスタチン(Nissan/Sankyoのニバスタチン(NK−104)またはイタバスタチン)(米国特許番号第5,011,930号で開示)、Shionogi−Astra/Zenecaのロスバスタチン(ビサスタチン(ZD−4522))(米国特許番号第5,260,440号で開示)および米国特許番号第5,753,675号で開示される関連スタチン化合物、米国特許番号第4,613,610号で開示されるメバロノラクトン誘導体のピラゾールアナログ、PCT出願WO 86/03488で開示されるメバロノラクトン誘導体のインデンアナログ、米国特許番号第4,647,576号で開示される6−[2−(置換−ピロール−1−イル)−アルキル)ピラン−2−オン類およびその誘導体、SearleのSC−45355(3−置換ペンタン二酸誘導体)ジクロロアセテート、PCT出願WO 86/07054で開示されるメバロノラクトンのイミダゾールアナログ、仏特許番号第2,596,393号で開示の3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体、欧州出願番号第0221025号で開示の2,3−二置換ピロール、フランおよびチオフェン誘導体、米国特許番号第4,686,237号で開示のメバロノラクトンのナフチル誘導体、米国特許番号第4,499,289号で開示されるようなオクタヒドロナフタレン化合物、欧州特許第0142146A2号で開示のメビノリン(ロバスタチン)のケトアナログ、ならびに米国特許番号第5,506,219号および5,691,322号で開示のキノリンおよびピリジン誘導体、ロスバスタチンカルシウムおよび関連化合物である。さらに、HMG−CoAレダクターゼの阻害に用いられる本発明における使用に適したホスフィン酸化合物が、GB 2205837に開示される。
【0087】
本発明の使用に適切なスクアレン合成酵素阻害剤は、例えば、限定されないが、米国特許番号第5,712,396号に開示されるα−ホスホノ−スルホネート、Biller et al., J. Med. Chem., 31:1869−1871 (1998)に開示されるもの、例えば、イソプレノイド(ホスフィニル−メチル)ホスホネート、ならびに他の周知のスクアレン合成酵素阻害剤、例えば、米国特許番号第4,871,721号、第4,924,024号およびBiller, S.A. et al., Current Pharmaceutical Design, 2:1−40 (1996)に開示されるものである。
【0088】
さらに、本発明の使用に適切な他のスクアレン合成酵素阻害剤は、例えば、Ortiz de Montellano, P. et al., J. Med. Chem., 20:243−249 (1977)に開示のテルペノイドピロホスフェート、Corey et al., J. Am. Chem. Soc., 98:1291−1293 (1976)荷開示のファルネシルジホスフェートアナログAおよびプレスクアレン(PSQ−PP)アナログ、McClard, R.W. et al., J. Am. Chem. Soc., 109:5544 (1987)で報告されたホスフィニルホスホネート、およびCapson, T.L., Ph.D. dissertation、June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah、Abstract, Table of Contents, pp. 16, 17, 40−43, 48−51, Summaryで報告されたシクロプロパン化合物である。
【0089】
本発明の使用に適切な別の脂質低下薬は、例えば、限定されないが、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、ベザフィブレート、シプロフィブレート、クリノフィブレートなどといったフィブリン酸誘導体および米国特許番号第3,674,836に開示の関連化合物(プロブコールおよびゲムフィブロジルが好ましい)、コレスチラミン、コレスチポルおよびDEAE−Sephadex(SECHOLEX(登録商標)、Policexide)およびコレスタゲル(Sankyo/Geltex)といった胆汁酸捕捉剤、ならびにLIPOSTABIL(登録商標)(Rhone−Poulenc)、EISAI(登録商標) E−5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(Tanabe Seiyoku)、Ajinomoto AJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58−035、American Cyanamid CL−277,082およびCL−283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸(ナイアシン)、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、ポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体(米国特許番号第4,759,923号に開示のものなど)、4級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)および米国特許番号第4,027,009に開示のものといったイオネン類、ならびに他の周知の血清コレステロール低下薬である。
【0090】
別の脂質低下薬は、Drugs of the Future, 24:9−15 (1999)(Avasimibe); Nicolosi et al., “The ACAT inhibitor, Cl−1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”, Atherosclerosis(Shannon、Irel.), 137(1):77−85 (1998); Ghiselli、G., “The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100−containing lipoprotein”, Cardiovasc. Drug Rev., 16(1):16−30 (1998); Smith, C. et al., “RP 73163: a bioavailable alkylsulfinyl−diphenylimidazole ACAT inhibitor”, Bioorg. Med. Chem. Lett., 6(1):47−50 (1996); Krause, B.R. et al., Chapter 6: “ACAT Inhibitors: Physiologic Mechanisms for Hypolipidemic and Anti−Atherosclerotic Activities in Experimental Animals”, Inflammation: Mediators and Pathways, CRC Press, Inc., publ., Ruffolo, Jr., R.R. et al., eds., pp. 173−198 (1995); Sliskovic et al., “ACAT inhibitors: potential anti−atherosclerotic agents”, Curr. Med. Chem., 1(3):204−225 (1994); Stout et al., “Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol O−acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water−soluble ACAT inhibitor with lipid−regulating activity. Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted N−phenyl−N’−[(1−phenylcyclopentyl)−methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”, Chemtracts: Org. Chem., 8(6):359−362 (1995)に開示されるもの、またはTS−962(Taisho Pharmaceutical Co. Ltd)、ならびにF−1394、CS−505、F−12511、HL−004、K−10085およびYIC−C8−434などのACAT阻害剤(抗アテローム動脈硬化症活性も有する)でもよい。
【0091】
脂質低下薬は、MD−700(Taisho Pharmaceutical Co. Ltd)およびLY295427(Eli Lilly)といったLDL受容体活性の上昇剤でもよい。脂質低下薬は、コレステロール吸収阻害剤、好ましくはSchering−PloughのSCH48461(エゼチミベ)ならびにAtherosclerosis, 115:45−63 (1995)およびJ. Med. Chem., 41:973 (1998)に開示されるものでもよい。
【0092】
別の脂質薬または脂質調節薬は、Pfizerの CP−529,414、ならびにWO/0038722ならびにEP 818448(Bayer)およびEP 992496に開示されるもの、ならびにPharmaciaのSC−744およびSC−795、ならびにCETi−1およびJTT−705といったコレステリルエステル転送タンパク阻害剤(CETP)でもよい。
【0093】
脂質低下薬は、Drugs of the Future, 24:425−430 (1999)に開示されるものといった回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害剤でもよい。本発明の組み合わせに用いられ得るATPクエン酸リアーゼ阻害剤は、例えば、米国特許番号第5,447,954号に開示されるものでもよい。
【0094】
別の脂質薬は、WO 00/30665に開示されるようなフィトエストロゲン化合物、例えば、大豆タンパク質、大豆タンパク質濃縮物もしくは大豆粉ならびにイソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインまたはエクオールなど)、またはフィトステロール、フィトスタノールもしくはトコトリエノール(WO 2000/015201に開示される);ベータ−ラクタム系コレステロール吸収阻害剤、例えば、EP 675714に開示されるもの;HDL上昇剤、例えば、LXRアゴニスト、PPARα−アゴニストおよび/またはFXRアゴニスト;EP 1022272に開示されるようなLDL代謝促進剤;DE 19622222に開示されるようなナトリウム−プロトン交換阻害剤;米国特許番号第5,698,527号およびGB 2304106に開示されるようなLDL受容体誘導剤もしくはステロイド系配糖体;WO 94/15592に開示されるようなベータ−カロテン、アスコルビン酸、α−トコフェロールもしくはレチノール、ならびにビタミンCおよび葉酸、葉酸塩、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンEといった抗酸化剤;WO 97/35576に開示されるようなイソニアジド;WO 97/48701に開示されるようなコレステロール吸収阻害剤、HMG−CoA合成酵素阻害剤、またはラノステロール脱メチル化酵素阻害剤;脂質異常症の治療のためのPPARδアゴニスト;またはWO 2000/050574に開示されるようなステロール調節エレメント結合タンパク質−1(SREBP−1)、例えば、スフィンゴ脂質(セラミドなど)、もしくは中性スフィンゴミエリナーゼ(N−SMase)もしくはその断片などである。好ましい脂質低下薬は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、およびエゼチミベ、ならびにナイアシンおよび/またはコレスタゲルである。
【0095】
SGLT2阻害剤は、本発明の方法において1つまたはそれ以上の降圧薬と組み合わせて用いてもよい。本発明の化合物と組み合わせて用いることに適した降圧剤の例は、例えば、ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L−タイプおよび/またはT−タイプ;例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル)、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸およびトリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムトレネン、アミロリド、スピロノラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン、アトルセンタンならびに米国特許番号第5,612,359号および6,043,265号に開示されるもの)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO 00/01389に開示されるもの)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤(デュアルNEP−ACE阻害剤)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラト)、および硝酸塩である。
【0096】
SGLT2阻害剤はまた、1つまたはそれ以上の抗血栓薬または抗凝固薬(例えば、トロンビン阻害剤、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル(Eli Lilly)、PAI−1阻害剤(XR−330およびT−686など)、α−2−プラスミンインヒビター(抗α−2−プラスミンインヒビター抗体など)およびトロンボキサン受容体アンタゴニスト(イフェトロバンなど)の血小板凝集抑制剤、プロスタサイクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(ジピリダモールまたはシロスタゾール)、アスピリン、イフェトロバン、ピコタミド、ケタンセリンなど)と組み合わせて本発明の方法に用いてもよい。
【0097】
前記の特許および特許出願を引用により本明細書中に取り込む。
【0098】
前記の抗糖尿病薬および別の治療薬は、本発明の方法においてSGLT2阻害剤と組み合わせて用いられる場合、例えば、これらの薬剤を開示する特許または特許出願で設定されるようにフィジシャンズ デスク リファレンス(PDR)もしくはRemington’s Pharmaceutical Sciencesで指示される量、または当業者により決定される量において用いることができる。
【0099】
本発明の方法の実施時において、SGLT2阻害剤、1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬および/または1つまたはそれ以上の治療薬を含むもしくは含まず、医薬的媒体または担体を含む医薬組成物が用いられる。該医薬組成物は、一般的な固体もしくは液体の媒体または希釈剤および目的の投与方式に適した種類の医薬的添加剤を用いて製剤化することができる。該化合物は哺乳類、例えば、ヒト、サル、イヌなどに、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒または粉剤の形態で経口投与経路により、または注射用製剤の形態で非経口投与経路により、または鼻腔内もしくは経皮パッチにより投与することができる。成人に対する投与量は1日当たり0.5から350mg、好ましくは1日当たり1から200mg、より好ましくは1日当たり2.5から100mgであってもよく、単回投与でも1日1−4回の個別の投与剤形でもよい。
【0100】
本発明の方法の実施時において、SGLT2阻害剤および1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬および/または1つまたはそれ以上の治療薬(前記)を、医薬的担体、媒体または希釈剤を伴って含む医薬組成物が用いられる。該医薬組成物は、一般的な固体もしくは液体の媒体または希釈剤および目的の投与方式に適した種類の医薬的添加剤を用いて製剤化することができる。該医薬組成物は、哺乳類、例えば、ヒト、サル、イヌなどに、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒または粉剤の形態で経口投与経路により、または注射溶性剤の形態で非経口投与経路により、または、例えば、鼻腔内もしくは経皮パッチにより投与することができる。
【0101】
治療効果に必要な量の薬剤は、選択される薬剤、病状の性質および重篤度、ならびに治療下にある哺乳類に依存して異なり、最終的には医師の決定に委ねられる。さらに、薬剤の至適量および個々の投与間隔は目的の体重減少量、投与剤形、投与経路、および投与部位、治療される特定の哺乳類または患者の性質および度合いにより決定される。投与量は、哺乳類または患者の年齢、体重および病状、ならびに投与経路、投与剤形およびレジメン、ならびに目標の効果により調整される。かかる投与量および投与剤形は一般的な技法を用いて決定される。最適な治療コース、つまり投与回数は、一般的な治療コース決定試験を用いて当業者により決定されることも好ましい。
【0102】
前記の投与剤形はまた、必要な生理的に許容される担体物質、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、抗生物質、増量剤(マンニトールなど)などを含んでいてもよい。
【0103】
本発明の方法に用いられる様々な製剤または組成物は、1つまたはそれ以上の増量剤または賦形剤を、約0%から約90重量%、好ましくは約1%から約80重量%の範囲において適宜含んでいてもよい。適切な賦形剤の例は、例えば、限定されないが、乳糖、砂糖、トウモロコシデンプン、変性トウモロコシデンプン、マンニトール、ソルビトール、無機塩(炭酸カルシウムなど)、ならびにセルロース誘導体(木材セルロースおよび結晶セルロースなど)である。
【0104】
1つまたはそれ以上の結合剤が増量剤に加えて、または増量剤の代わりに約0%から約35%の範囲において存在してもよい。実施態様の1つにおいて、組成物の約0.5重量%から約30重量%において存在する。適切な結合剤の例は、例えば、ポリビニルピロリドン(分子量約5000から約80,000、好ましくは約40,000)、乳糖、デンプン(トウモロコシデンプン、変性トウモロコシデンプン)、糖類、アラビアゴムなど、ならびに微粒子化されたワックス系結合剤(500ミクロン未満)(カルナバ・ワックス、パラフィン、鯨蝋、ポリエチレン類および微結晶蝋など)である。
【0105】
組成物が錠剤の形態である場合、1つまたはそれ以上の錠剤用滑沢剤を、組成物の約0.2重量%から約8重量%の範囲の量において含んでいてもよい。実施態様の1つにおいて、滑沢剤は組成物の約0.5重量%から約2重量%の範囲の量において存在する。適切な滑沢剤の例は、例えば、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバ・ワックス、などである。別の成分、例えば、保存剤、安定化剤、着色料、粘着防止剤およびシリカフローコンディショナーもしくは流動促進剤(シロイドブランドの二酸化ケイ素)を適宜含んでいてもよい。
【0106】
本発明の方法に用いられる錠剤はまた、錠剤の約0重量%から約15重量%からなるコーティング層を適宜含んでいてもよい。該コーティング層はいずれの一般的なコーティング処方、例えば、1つまたはそれ以上のフィルム形成剤もしくは結合剤および/または1つまたはそれ以上の可塑剤を含んでいてもよい。適切なフィルム形成剤または結合剤は、例えば、限定されないが、親水性重合体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、疎水性重合体(メタクリン酸エステルなど)、中性重合体、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸共重合体、β−ピネン重合体、樹脂のグリセリルエステルなどである。適切な可塑剤の例は、例えば、限定されないが、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、グリセリン、フタル酸ブチル、ヒマシ油などである。素錠部およびコーティング処方は共に着色するためにアルミニウム・レーキを含んでいてもよい。
【0107】
フィルム形成剤は、1つまたはそれ以上の溶媒、例えば、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなど)、ケトン類(アセトンおよびエチルメチルケトンなど)、塩素化炭化水素(メチレンクロリド、ジクロロエタン、および1,1,1−トリクロロエタンなど)を含む溶媒系を用いて適用してもよい。
【0108】
着色料を用いる場合、着色料はフィルム形成剤、可塑剤、および溶媒組成物と共に適用される。
【0109】
本発明の方法に用いられるSGLT2阻害剤を含む製剤または組成物の例、および製剤の製造過程は米国特許出願番号第60/896,286号(2007年3月22日出願)で設定されており、引用によりその全体を目的に応じて本明細書中に取り込む。
【0110】
本発明の方法に用いられる錠剤またはカプセル剤の特定の実施態様のいくつかを下に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表2】

【0111】
カプセル剤または錠剤の表2のフィルムコーティングは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、タルク、および着色料を含む。
【0112】
様々な力価(0.1−50mg)の錠剤またはカプセル剤は、異なる量の本明細書中で開示されるストック顆粒を用いて製造することができる。
【0113】
本発明の方法に用いられる錠剤の形態の医薬製剤は、以下の工程からなるプロセスにより得られる:
a)不活性成分をSGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン−PGS)と混合する;
b)顆粒を製造する;
c)顆粒を乾燥および/または篩過する;
d)顆粒を混合する;
e)(d)で得られた混合物を打錠する
【0114】
実施態様の1つにおいて、プロセスの工程a)では衝撃混合または粉砕および/または整粒装置が用いられる。実施態様の1つにおいて、プロセスの工程b)の顆粒は、乾式造粒、湿式造粒、または直接圧縮により製造される。実施態様の1つにおいて、顆粒は乾式造粒により製造される。実施態様の1つにおいて、プロセスの工程d)の顆粒は打錠補助剤または滑沢剤または増量剤を混合される。
【0115】
カプセルの形態の医薬組成物は、以下の工程を含むプロセスにより得られる:
a)不活性成分を混合および粉砕のプロセスの組み合わせを用いて薬物と混合する;
b)顆粒を製造する;
c)顆粒を乾燥および/または篩過する;
d)顆粒をカプセルに充填する
【0116】
実施態様の1つにおいて、プロセスの工程a)では衝撃混合または粉砕および/または整粒装置が用いられる。実施態様の1つにおいて、プロセスの工程b)の顆粒は、乾式造粒、湿式造粒、または直接圧縮により製造される。実施態様の1つにおいて、顆粒は乾式造粒により製造される。
【0117】
ダパグリフロジンの活性は、例えば、以下の記載されるアッセイ系または当業者に周知のいずれのアッセイ系を用いて決定することができる。標準的な分子生物学的技法により、ヒトSGLT2mRNA(GENBANK(登録商標)、No.M95549)をヒト腎臓mRNAから逆転写反応および増幅によりクローニングした。cDNAをCHO細胞に安定的にトランスフェクションし、主にRyan et al., “HK−2: an immortalized proximal tubule epithelial cell line from normal adult human kidney”, Kidney International, 45:48−57 (1994)の記載に従い、クローンのSGLT2活性を評価した。選択されたクローン由来の細胞株において、SGLT2活性阻害の評価をRyan et al. (1994)の記載に従い行った。ただし、以下のように改変した。細胞を96ウェルプレートにおいて2−4日間、75,000または30,000/ウェルに、F−12栄養混合物(Ham’s F−12)、10%ウシ胎児血清、300μg/ml GENETICIN(登録商標)およびペニシリン−ストレプトマイシン中で培養した。コンフルーエンス時に、細胞を2回10mM Hepes/Tris、pH7.4、137mM N−メチル−D−グルカミン、5.4mM KCl、2.8mM CaCl、1.2mM MgSOで洗浄した。次いで、細胞を10μM [14C]AMG、および10μM阻害剤(DMSO最終濃度=0.5%)/10mM Hepes/Tris、pH7.4、137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl、1.2mM MgSOで、37℃において1.5時間インキュベートした。取り込みアッセイでは、0.5mM フロリジンを含む氷冷1X PBSでクエンチし、細胞を0.1% NaOHで溶解した。MicroScint scintillation fluid添加後、細胞を1時間振盪し、次いで、[14C]AMG(グルコースアナログα−メチル−D−グルコピラノシド)をTOPCOUNT(登録商標)シンチレーションカウンターにより定量した。コントロールはNaCl含有および不含のもので行った。EC50値の決定では10種類の阻害剤(ダパグリフロジン)濃度を2つの対数範囲に亘る適当な応答範囲で用い、3つの複製プレートを平均した。
【0118】
本発明を好ましい実施態様の言及により示し、記載するが、形態および詳細における様々な改変が付属の請求項に包含される本発明の範囲から逸脱することなしに成され得ることは当業者に自明であろう。特に前述の記載および例とは別の方法で本発明が実践され得ることもまた明らかである。前述の指示に基づき本発明には様々な改変および変法が存在し得るが、故に、これらもまた付属の請求項の範囲に包含される。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は本発明をさらに詳しく説明するために提供される。これらの実施例は本発明の実施に最適な形態を説明するものであり、説明する目的で意図され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0120】
以下の実施例は本発明を説明するために提供される。特に指定されない限り、全ての温度は摂氏で表示される。
【0121】
SGLT2阻害剤ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSを含むカプセルを、2.5mg(実施例1)、10mg(実施例2)および100mg(実施例3)(非溶媒和型として)の力価において、ツーピース、灰色、不透明のサイズ#0(2.5mgおよび10mg)ならびにサイズ#00(100mg)のカプセル殻を用いて製造した。
【0122】
実施例1
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、2.5mgの製造
10%ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSを含む250mgのストック顆粒を製造し、灰色、不透明、サイズ#0のカプセル殻に充填した。
A.ストック顆粒の組成
【表3】

【0123】
ダパグリフロジンの量は理論的には81.29%のダパグリフロジンプロピレングリコール水和物と同等であり、どちらを用いてもよい。ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物の実際の量は純度に依存する。結晶セルロースは補足的な賦形剤であり、その量は用いられる実際のダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムの量により変化する。好ましいステアリン酸マグネシウムの量は1.25%(w/w)である。用いることができる範囲は1.25−1.50%(w/w)である。
【0124】
パートAのストック顆粒および実施例1のカプセルを以下の方法により製造した。
B.実施例1のストック顆粒の製造方法
1.ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSを篩過する。
2.二酸化ケイ素を篩過する。
3.二酸化ケイ素をダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSと適切なブレンダーで混合する。
4.アルファ化デンプンおよび結晶セルロースを、必要ならば篩過する。
5.工程4の成分を適切なブレンダーに加える。
6.工程3の混合物を工程5の混合物に加え、混合する。
7.デンプングリコール酸ナトリウムを篩過する。
8.工程7の成分を工程6の混合物に加え、混合する。
9.工程8の混合物を篩過し、混合する。
10.ステアリン酸マグネシウムの一部を篩過する。
11.工程10の成分を工程9の混合物に加え、混合する。
12.工程11の混合物を圧縮する。
13.工程12で圧縮した混合物を粉末化する。
14.残りのステアリン酸マグネシウムを篩過する。
15.工程14の成分を工程13の顆粒に加え、混合する。
C.実施例1の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、2.5mg
1.十分な量の実施例1、パートAのカプセル用ストック顆粒(非溶媒和型として10.0%(w/w))を空のカプセル殻に充填し、2.5mgカプセルを得る。
2.カプセルを除塵する。
【0125】
実施例2
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、10mgの製造
A.ストック顆粒の組成
ストック顆粒は実施例1Aに記載の組成で製造した。
【0126】
B.実施例2のストック顆粒の製造
ストック顆粒の造粒は実施例1Bの記載に従い行った。
C.実施例2の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、10mg
1.実施例1、パートAのカプセル用ストック顆粒(非溶媒和型として10.0%(w/w))を空のカプセル殻に充填し、10mgカプセルを得る。
2.カプセルを除塵する。
3.カプセルを重量選別する。
【0127】
実施例3
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、100mgの製造
組成物:438.6mgのダパグリフロジン(実施例3、パートA)のカプセル用ストック顆粒(22.8%w/w)を灰色、不透明、サイズ#0のカプセル殻に充填して製造した。
A.ストック顆粒の組成
【表4】

【0128】
ダパグリフロジンの量は理論的には81.29%のダパグリフロジンPG溶媒和物と同等であり、どちらを用いてもよい。ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物の実際の量はその純度に依存する。結晶セルロースは補足的な賦形剤であり、その量は用いられるダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムの実際の量により変化する。好ましいステアリン酸マグネシウムの量は1.25%(w/w)である。用いることができる範囲は1.25−1.50%(w/w)である。
【0129】
パート3Aのストック顆粒および実施例3のカプセルを以下の製造方法により製造した。
B.ストック顆粒の製造方法
1.二酸化ケイ素を篩過する。
2.二酸化ケイ素とダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSを適切なブレンダーで混合する。
3.工程2の混合物を篩過し、再度混合する。
4.アルファ化デンプンおよび結晶セルロースを、必要ならば篩過する。
5.工程4の成分を工程3の混合物に加え、混合する。
6.デンプングリコール酸ナトリウムを篩過する。
7.工程6の成分を工程5の混合物に加え、混合する。
8.ステアリン酸マグネシウムの一部を篩過する。
9.工程8の成分を工程7の混合物に加え、混合する。
10.工程9の混合物を圧縮する。
11.工程10で圧縮した混合物を粉末化する。
12.残りのステアリン酸マグネシウムを篩過する。
13.工程12の成分を工程11の顆粒に加え、混合する。
C.実施例3の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGSカプセル、100mg
1.空のカプセル殻に実施例3のカプセル用ストック顆粒(非溶媒和型として22.8%w/w)を充填する。
2.カプセルを除塵する。
3.カプセルを重量選別する。
【0130】
製造した実施例1(2.5mg)、実施例2(10mg)、および実施例3(100mg)のカプセルを2型糖尿病の治療に用いる。
【0131】
実施例4
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、2.5mgの製造
構造Ia(ダパグリフロジン(S)−プロピレングリコール溶媒和物)のSGLT2阻害剤を含む錠剤を、2.5mg(実施例4)、10mg(実施例5)および50mg(実施例6)の力価において以下のように製造した。
製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、2.5mg
A.錠剤の組成
【表5】

【0132】
ダパグリフロジンの量は理論的には81.29%のダパグリフロジンPG溶媒和物と同等であり、どちらを用いてもよい。ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物の実際の量はその純度に依存する。結晶セルロースは補足的な賦形剤であり、その量は用いられるダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムの実際の量により変化する。ステアリン酸マグネシウムの好ましい量は1.94mgである。許容範囲は約1.55から約2.33mgである。
【0133】
パート4Aのストック顆粒および実施例4の錠剤を以下の製造方法により製造した。
B.ストック顆粒の製造方法
1.適切な篩を用い、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムを別々に脱塊する。
2.適切なミキサーでダパグリフロジンプロピレングリコール水和物を結晶セルロースの一部と混合し;臼で挽き;適切なブレンダーに移す。
3.工程2の混合に用いたミキサーを結晶セルロースの一部により「乾燥下で洗浄(Dry Rinse)」する。
4.工程3の混合物を工程2の混合物に加える。
5.工程4の混合物を残りの結晶セルロース、クロスポビドンの一部、クロスカルメロースナトリウムの一部、二酸化ケイ素の一部および無水乳糖と混合する。
6.工程5の混合物にタルクおよび粒状ステアリン酸マグネシウムを加え、混合する。
7.工程6の粉末混合物を圧縮する。
8.工程7で圧縮した混合物を造粒する。
9.工程8の顆粒を残りのクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよび二酸化ケイ素と混合する。
10.工程9の顆粒と残りのステアリン酸マグネシウムを混合する。
C.実施例4の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、2.5mg
1.打錠装置を準備する。
2.実施例4のストック顆粒を打錠する。
【0134】
実施例5
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、10mg
製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、10mg
A.錠剤の組成
【表6】

ダパグリフロジンの量は理論的には81.29%のダパグリフロジンPG溶媒和物と同等であり、どちらを用いてもよい。ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物の実際の量はその純度に依存する。結晶セルロースは補足的な賦形剤であり、その量は用いられるダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムの実際の量により変化する。ステアリン酸マグネシウムの好ましい量は1.94mgである。許容範囲は約1.55から約2.33mgである。
【0135】
パート5Aのストック顆粒および実施例5の錠剤を以下の製造方法により製造した。
B.ストック顆粒の製造方法
1.適切な篩を用い、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムを別々に脱塊する。
2.結晶セルロース、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、クロスポビドンの一部、クロスカルメロースナトリウムの一部、二酸化ケイ素の一部および無水乳糖を適切なブレンダーで混合する。
3.タルクおよび粒状のステアリン酸マグネシウムを工程2の混合物に加え、適切なブレンダーで混合する。
4.工程3の粉末混合物を圧縮する。
5.工程4で圧縮した混合物を造粒する。
6.工程5の顆粒を残りのクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよび二酸化ケイ素と混合する。
7.工程6の顆粒を残りのステアリン酸マグネシウムと混合する。
C.実施例5の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、10mg
1.打錠装置を準備する。
2.実施例5のストック顆粒を打錠する。
【0136】
実施例6
ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、50mgの製造
製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、50mg
A.錠剤の組成
【表7】

ダパグリフロジンの量は理論的には81.29%のダパグリフロジンPG溶媒和物と同等であり、どちらを用いてもよい。ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物の実際の量はその純度に依存する。結晶セルロースは補足的な賦形剤であり、その量は用いられるダパグリフロジンプロピレングリコール水和物およびステアリン酸マグネシウムの実際の量により変化する。ステアリン酸マグネシウムの好ましい量は4.85mgである。許容範囲は約3.76から約5.95mgである。
【0137】
パート6Aのストック顆粒および実施例6の錠剤を以下の製造方法により製造した。
B.ストック顆粒の製造方法
1.ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、結晶セルロース、無水乳糖、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルクおよび二酸化ケイ素を適切なブレンダーで混合する。
2.工程1の混合物を適切な臼で挽く。
3.工程1の収率を決定し、必要なステアリン酸マグネシウムの量を算出する。
4.工程2の混合物を適切なブレンダーで混合する。
5.工程4の混合物をステアリン酸マグネシウムと混合する。
6.工程5の粉末混合物を乾燥する。
7.工程6の顆粒を区分する。
8.工程7に基づき収率を決定する。
9.工程8の顆粒を残りのクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよび二酸化ケイ素と混合する。
10.工程9の顆粒を残りのステアリン酸マグネシウムと混合する。
C.実施例6の製剤:ダパグリフロジン/ダパグリフロジン−PGS錠剤、50mg
1.打錠装置を準備する。
2.実施例6のストック顆粒を打錠する。
【0138】
実施例4(2.5mg)、実施例5(10mg)および実施例6(50mg)で製造した錠剤を2型糖尿病の治療に用いる。
【0139】
実施例7
ダパグリフロジンを用いた2型糖尿病の治療
2型糖尿病(T2DM)が進行するにつれ、多くの糖尿病患者はインスリンおよび経口抗糖尿病薬(OAD)の組み合わせを必要とする。不運なことに、かかる治療の効果は体重の増加、インスリン抵抗性および低血糖によりしばしば制限される。ダパグリフロジンは腎近位尿細管におけるグルコースの再吸収を選択的に阻害し、故にインスリン非依存性療法に用いることができる。
【0140】
インスリン依存性のメカニズムで作用するインスリンと経口療法の組み合わせに対する反応が芳しくなかったT2DMの患者において、ダパグリフロジンが血糖値の低下に効果的であるかどうかを決定するためにパイロット研究をデザインした。この概念実証治験では、インスリン抵抗性を有する患者(外因性インスリンならびにメトホルミンおよび/またはTZDでは管理されにくい患者)にダパグリフロジンを12週間投与した。患者の糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖値(FPG)、食後血糖値(PPG)、総体重を分析し、安全性および低血糖発作をモニターした。
【0141】
方法
研究のデザイン
本研究は、インスリンに高い抵抗性を有するT2DM患者(インスリンならびにメトホルミンおよび/またはチアゾリジンジオンではうまく管理できない患者)において、ダパグリフロジンが効果的に高血糖を低下させるかどうかを決定するための無作為化、単盲検化および二重盲検化された、3群間並行比較を行う、プラセボ対照試験であった。該治験は、10から21日間の認定期間、12週間の治療フェーズ、および4週間のフォローアップフェーズから構成される。認定期間中および1日目までは、患者には既定量のオープンラベルのOADおよび処方されたインスリンの既定量の投与が維持された。
【0142】
治療フェーズでは2種類のコホートのアダプティブデザインが用いられた:コホート1、インスリン投与量設定群;およびコホート2、主被検群。コホート1の目的は、ダパグリフロジンが加えられた際に低血糖症を起こすインスリンの適当な開始投与量の最小値の決定である。コホート1では、4人の患者に1日目にインスリンを各人の投与量から50%(このアダプティブデザインにおいて可能な最大の減少量である)減量して投与後、20mgの単盲検化ダパグリフロジンを割り当てた。これらの患者において治療フェーズの最初の週に48時間の連続的血糖モニタリング(CGM)を行った。プロトコルに準拠し、少なくとも1人の患者がCGM値≦100mg/dL(血糖自己測定(SMBG)により確認)を記録した場合、コホート2の患者の1日当たりの総インスリン投与量を通常投与量の50%(平均52から54単位のインスリンであり、インスリン投与量のさらなる減量は試験しなかった)と設定することにした。コホート1において少なくとも一人の患者がこの50%インスリン減量条件に合致したため、コホート2におけるインスリンの減少量を50%とした。コホート2の患者を1日目に、二重盲検化プラセボ、1日当たり10mgダパグリフロジン、または20mgダパグリフロジン(これらはオープンラベルのOADおよび通常量の50%のインスリン(平均して1日当たり52から54単位のインスリンである)に加えて投与される)の群に1:1:1の比率で無作為に分けた。
【0143】
患者は治療の1、2、4、6、8、10、および12週目に受診し、受診の3から5日前に1日5回のSMBGを行うよう計画された。治療フェーズ期間中、盲検の薬物またはOADの投与量の変更は行われなかった。高血糖および低血糖を管理するためのガイドラインが治験期間中を通して設置された。低血糖となった、またはそのリスクを有した患者については、SMBGレベルが<54mg/dL、1日平均血糖値が<100mg/dL、または担当医により臨床的必要性が認識された場合に、インスリンを漸減することにした。低血糖のリスクの管理が臨床的に指示された場合、さらに漸減を行った。患者において重篤な低血糖症(血糖値<54mg/dL、錯乱状態/見当識障害、異常行動または意識消失の少なくとも1つの症状、および炭水化物、グルコースまたはグルカゴンによる第3の治療で定義される)が現れた場合、中止とした。
【0144】
高血糖症管理の判断基準は空腹時血糖値(FPG)の測定により決定された。FPG値が4週目および6週目において>240mg/dL、8週目において>220mg/dL、または10週目において>200mg/dLのいずれかである患者は、3から5日以内にフォローアップの受診をするよう予定された。FPGがフォローアップ時においても依然として閾値より高い場合、臨床的に指示される量にインスリン投与量を増量するための受診がスケジュールされた。漸増にもかかわらず血糖制御が行われなかった患者、または変更されたインスリン投与量がベースラインを超えた患者は盲検治療を中止し、フォローアップに入ることとした。
【0145】
治療フェーズまたは時期を早めて治療を中止した全ての患者は4週間の安全性観察期間に入った。患者においては必要に応じて投与量を調整したオープンラベルのOADおよびインスリン療法を継続したが、さらに試験療法を受けることはなかった。フォローアップの受診は14および16週目とした。
【0146】
患者集団
適格な患者は、T2DMの男性および女性、18から75歳、BMI≦45kg/mであり、血糖コントロールが適切に行われていない(HbA1c≧7.5%および≦10%で定義される)患者である。全ての患者は登録の少なくとも6週間前からインスリン増感剤療法中であり、少なくとも12週間前からインスリン療法中である。本研究のプロトコルは、インスリン増感剤療法をメトホルミン(継続投与量≧1000mg)および/またはピオグリタゾン(継続投与量≧30mg)もしくはロシグリタゾン(継続投与量4mg)と定義した。インスリン療法は、登録前の少なくとも12週間にわたり1日当たり50単位(全試験群中の中央値は85から93単位)に相当するU100インスリンを少なくとも1日2回皮下投与されていることと定義した。インスリンレジメンは少なくとも6週間は継続していなければならないこととした。1日当たり10mgダパグリフロジンもしくは20mgダパグリフロジンまたはプラセボに加え、74.6%の患者がメトホルミン(≧1000mg/日)およびインスリン;16.9%の患者がメトホルミン(≧1000mg/日)およびピオグリタゾン(≧30mg/日)またはロシグリタゾン(4mg/日)およびインスリン、8.5%の患者がピオグリタゾン(≧30mg/日)またはロシグリタゾン(4mg/日)およびインスリンを投与された。
【0147】
コホート2の患者は平均して1日当たり52から54単位のインスリンを投与された。
【0148】
検査医学的基準は、空腹時C−ペプチド≧0.8ng/mL;血清クレアチニン<1.5mg/dL(男性)/<1.4mg/dL(女性);および尿中マイクロアルブミン/クレアチニン比<300mg/gを含み、スポットチェックにおいて超えていた場合、24時間蓄尿の総タンパク<3g/24時間とした。
【0149】
主な排除基準は、1型糖尿病の病歴;ASTおよび/またはALT>2.5xULN;クレアチンキナーゼ≧3xULN;重度のコントロール不良の糖尿病の症状(例えば、登録直前の3ヶ月間における>10%の体重減少を伴う著しい多尿および多飲症、または別の兆候および症状);重篤な低血糖症または無自覚性低血糖の病歴;ならびに不安定または重篤な心血管系、腎臓、心臓、血液、腫瘍、内分泌、精神、またはリウマチ性の疾患である。
【0150】
治験アウトカム
コホート1の患者においては安全性のみが評価された。コホート2の患者では、安全性および有効性が評価された。主要治療効果指標は、12週目(最終観察の引き延ばし補完法(Last Observation Carried Forward、LOCF))におけるHbA1cのベースラインからの変化である。12週目の評価が利用可能でない場合、12週以前で最も直近のデータが用いられた。第2の治療効果指標は、例えば、FPGおよびインスリン投与量の12週目(LOCF)におけるベースラインからの変化、12週目(LOCF)においてHbA1cのベースラインから>0.5%の減少を達成した患者の割合、および12週目(LOCF)においてHbA1c<7%を達成した患者の割合である。第3のエンドポイントは、例えば、総体重のベースラインからの変化、および経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で測定した食後血糖値(PPG)のベースラインからの変化である。
【0151】
コホート2の患者において安全性および有効性が評価された。主要治療効果指標は、12週目(最終観察の引き延ばし補完法(Last Observation Carried Forward、LOCF))におけるHbA1cのベースラインからの変化である。インスリン投与漸増後のデータは排除して解析を行った。12週目の評価が利用可能でない場合、12週明善の最も直近のデータを用いた。
【0152】
安全性のアウトカムは、有害事象、バイタルサイン、ECGおよび検査医学的測定(例えば、尿量および電解質の検査用の24時間蓄尿検査)により評価された。
【0153】
統計学的解析および被験者数
コホート2において、目標被験者数(治療群あたり22人の患者)を、主要エンドポイントの95%信頼区間を各治療群において0.42%の半値幅で算出できるよう選択した。これはダパグリフロジンおよびプラセボ各群における主要エンドポイントの標準偏差を1%と想定したものである。同様の想定により、いずれの2群における変化の平均値の差の95%信頼区間の半値幅は0.59%と推定された。主要治療効果データは、治療フェーズ中に少なくとも1回の二重盲検薬の投与を受けた全ての無作為化された患者を含むよう設定された。治療効果変数の解析(インスリン投与量のベースラインからの変化は除く)はインスリン漸増後のデータを排除して行われた。12週目(LOCF)のHbA1c、FPG、インスリン投与量、および総体重のベースラインからの変化の解析は、治療群を治療効果およびベースラインの共変数として用いて共分散分析(ANCOVA)モデルにより行った。点推定値および95%信頼区間は、各治療群の変化の平均値ならびにダパグリフロジンおよびプラセボ群間の変化の平均値の差について算出した。
【0154】
主要アウトカムの測定
12週目(最終観察の引き延ばし補完法(LOCF))における糖化ヘモグロビン(HbA1c)のベースラインからの変化。
【0155】
結果
患者集団
総患者の内11人をコホート1に、163人を米国およびカナダの26拠点におけるコホート2に選抜した。コホート1の4人の患者に単盲検のダパグリフロジン20mgを割り当てた。コホート2の71人の患者をプラセボ、10mgおよび20mgダパグリフロジン群(それぞれ23、24、および24人)に無作為に分けた。
【0156】
結果および結論の概要
12週目において(LOCF)、ダパグリフロジン10および20mg群でHbA1cのベースラインからの変化のプラセボに比べての平均値の差が−0.70%および−0.78%であることが示された。両方のダパグリフロジン群において、65.2%がHbA1cのベースラインからの減少≧0.5%を達成した(プラセボ群では15.8%)。12週目(LOCF)における空腹時血糖値(FPG)のベースラインからの変化の平均値は17.8mg/dL、2.4mg/dL、および−9.6mg/dL(プラセボ、10および20mgダパグリフロジン群)であった。食後120分においてOGTTにより測定された食後血糖値(PPG)のダパグリフロジンによる減少も、用量依存性を示した。12週目(LOCF)における総体重の変化の平均値は−1.9kg、−4.5kg、および−4.3kg(プラセボ、10および20mgダパグリフロジン群)であった。
【0157】
得られた結果に基づくと、ベースラインのインスリンを50%減量したインスリン抵抗性患者において、ダパグリフロジンはHbA1c、PPGおよび体重をプラセボよりも減少させ、FPGに対し用量依存性の効果を示した。
【0158】
結果の詳細な議論
表1にコホート2の治療効果アウトカムの概要を示す。10mgおよび20mgダパグリフロジン治療群において、12週目(LOCF)のHbA1cにおいてベースラインからの減少が起こり、プラセボと比較して−0.70%および−0.78%(表1)の変化の平均値の差が生じた。表1に12週目(LOCF)におけるHbA1cの変化の平均値を示す。12週目(LOCF)では、両方のダパグリフロジン群において65.2%の患者がHbA1cの少なくとも0.5%の減少を達成したが、プラセボ群で達成したのは15.8%であった(表1)。1日当たりのインスリンの総投与量におけるベースラインからの有意な変化は見られなかった。5人の患者(ダパグリフロジン20mgおよびプラセボ群から各1人ずつ、ならびに10mgダパグリフロジン群から3人)がHbA1c<7%で定義される治療反応を示した(表1)。12週間の二重盲検期間を通し、プラセボ群の4人の患者がインスリンの漸増を必要としたが、それに比べ、ダパグリフロジン10mg群では1人、ダパグリフロジン20mg群では3人であった。両方のダパグリフロジン群において、66.7%の患者がインスリンの漸増前に≧84日間の試験薬物の曝露を受けたが、プラセボ群では39.1%であった。
【0159】
プラセボと比べ、ダパグリフロジンのFPGに対する効果は用量依存的であった(表1)。12週目(LOCF)において、ベースラインからの変化の平均値は、プラセボ、10mgおよび20mgダパグリフロジン群において、それぞれ17.8mg/dL、2.4mg/dL、および−9.6mg/dLであった。食後120分においてOGTTにより測定されたPPGもまた、用量依存的性質を示した(表1)。ダパグリフロジンはプラセボに比べ、より体重を減少させる傾向を示した。12週目(LOCF)において、総体重の変化の平均値はプラセボにおいて−1.9kg、10mgダパグリフロジンにおいて−4.5kg、20mgダパグリフロジンにおいて−4.3kgであった(表1)。
【0160】
バイタルサインおよび検査医学的アウトカム
プラセボ群において、12週目で立位血圧にわずかな上昇が認められたが、両方のダパグリフロジン群においては、立位収縮期および拡張期血圧において平均して改善が認められた(−7.2収縮期/−1.2拡張期mmHg[10mgダパグリフロジン]、−6.1収縮期/−3.9拡張期mmHg[20mgダパグリフロジン])。20mgダパグリフロジン群において、臥位血圧は低下した(変化の平均値:−5.5収縮期/−5.8拡張期mmHg)。
【0161】
12週目における尿中グルコース排泄のベースラインからの変化は、−1.5g/24時間(プラセボ)、83.5g/24時間(ダパグリフロジン10mg)、および85.2g/24時間(ダパグリフロジン20mg)であった。24時間尿排泄量の平均値は、プラセボで1869.6から2124.6mLに増加し、10mgダパグリフロジンで1921.0から2285.8mLに、20mgダパグリフロジンで1808.8から2253.1mLに増加した。ベースラインと比較して、治療終了時の糸球体濾過率は、プラセボならびにダパグリフロジン10および20mgにおいてそれぞれ−0.58、−0.84、1.45mL/分/1.73mとわずかに減少したが正常であった。概して、主要な検査医学的パラメーターにおけるベースラインからの大きな変化は認められなかった。血清尿酸のベースラインからの変化の平均値は両方のダパグリフロジン群において−0.30mg/dLであった。12週目における血清ヘマトクリットのベースラインからの増加は、ダパグリフロジン10および20mg群においてそれぞれ2.5%および3.05%であった。
【0162】
安全性および副作用
副作用は全ての群において同様に認められ、プラセボ、10mgおよび20mgダパグリフロジン群においてそれぞれ65.2%、75.0%および66.7%の患者で報告された。プラセボ群の3人の患者、ダパグリフロジン10mg群の7人の患者、および20mgダパグリフロジン群の6人の患者において、低血糖の出現が報告された。これらの内、プラセボ群の1人の患者において重篤な低血糖症が報告された。本治験において死亡は確認されず、2人の患者で重篤な副作用(プラセボ群で1人、ダパグリフロジン20mg群で1人)が見られた。3つの各治療群の1人の患者において中止に繋がる副作用が見られた。
【0163】
二重盲検期間中、6人の患者において生殖管感染症が出現した:5人は20mgダパグリフロジン群、1人はプラセボ群であり、10mgダパグリフロジン群では見られなかった。ダパグリフロジン20mg群の1人の患者において尿路感染症が報告された。
【0164】
頻尿症の発症が全ての群において報告された:4人(プラセボ)、2人(10mgダパグリフロジン)、および3人(20mgダパグリフロジン)である。各ダパグリフロジン群の1人の患者が多尿と報告された。ダパグリフロジン20mg群の1つのミクロアルブミン尿症のケースは、本治験からの離脱とした。
【0165】
10mgダパグリフロジンで腎前性高窒素血症の発症が1件生じた。該患者は長期間にわたり降圧剤の多剤療法(エナラプリル、カルベジロールおよびフロセミドを含む)を受けていた。治験薬開始から11日後、該患者は脱水および腎前性高窒素血症のため治験から離脱した。フロセミドおよびエナラプリル療法を休止し、腎前性高窒素血症は経口補水により解消した。
【0166】
コメント
T2DMの疾患進行は、しばしば、ベータ細胞の機能低下および進行性のインスリン分泌不全による血糖コントロール不良、既存のインスリン抵抗性を悪化させる体重の増加、ならびに、さらなる治療の必要性のサイクルを伴う。インスリン供給または分泌に依存する治療は低血糖、体重増加、インスリン感受性の低下、および最終的には有効性の喪失を伴う。故に、有効な治療様式の発見は困難である。このような失望を伴う臨床状況の最も劇的な例は、持続性の血糖コントロール不良、インスリン抵抗性の上昇およびインスリン必要用量の上昇のサイクルを伴うにもかかわらず、血糖コントロールを維持するための高用量のインスリン(しばしば、メトホルミンおよび/またはTZDなどの経口薬との組み合わせで)を必要とする末期T2DM患者である。最終的には、25%を超える患者がインスリンに基づくレジメン(しばしば、OADと組み合わされる)に行き着く(Koro、C.E. et al., “Glycetnic control from 1988 to 2000 among U.S. adults diagnosed with type 2 diabetes: a preliminary report”, Diabetes Care, 27(1):17−20 (2004))。インスリンと独立して糖血症をコントロールする新しいストラテジーは、グルコースがSGLT2受容体を介して再吸収される腎近位尿細管においてグルコースの再吸収を制限することに関連する。ダパグリフロジンはSGLT2を選択的に阻害し、故に、グルコースの再吸収を阻害し、用量依存的な糖尿を引き起こす。
【0167】
本治験に動員された患者は、積極的なインスリンおよびそれに加えてのOADレジメンにもかかわらず、血糖コントロール不良を有する患者である。この高いインスリン抵抗性を有する集団でインスリン投与量を50%減量した結果、プラセボ群の患者では体重は減少したがHbA1cは殆ど変化せず、この集団においてインスリン投与量を増やすことによるさらなる利益は限られていることが強調された。インスリン比依存性のメカニズムの作用によるダパグリフロジンの用いた治療は、プラセボに比べ、−2.5kgのさらなる体重の減少および血糖コントロールの改善を伴った。全体的な低血糖の出現はダパグリフロジン治療においてプラセボよりも多かったが、重度/軽度の出現は全ての群において均等であった。
【0168】
ダパグリフロジンによるHbA1cの減少、ならびにFPGおよびPPGのプラセボと比べての改善は用量依存的であった。用量依存性はまた、20mg投与群で最も頻回に見られた生殖管感染症に関し、潜在的な安全性シグナルの特徴であると考えられる。しかしながら、これらのパラメーターで見られる見かけの用量依存的関連は、主要な薬力学的測定値である24時間尿血糖では顕著ではなかった(12週目の10mgおよび20mgダパグリフロジン群において1日当たり〜85グラム上昇した)。妥当な説明は、20mgダパグリフロジンは、別のケースで見られるように、10mgに比べて本治験の早期により高い糖尿を引き起こしたが(Komoroski、B. et al., supra; List、J.F. et al., supra; Komoroski、B. et al., “Dapagliflozin, a novel SGLT2 inhibitor, induces dose−dependent glucosuria in healthy subjects”, Clin. Pharmacol. Ther., 85(5):520−526 (2009))、20mg投与群において引き起こされた糖血症のより大きな減弱が腎臓における濾過量の減少に繋がり、12週目までにダパグリフロジン投与群間の尿糖量が均等になってしまった可能性があることであろう。
【0169】
本治験により、コントロールされた薬理的様式で糖尿を再開することで高いインスリン抵抗性を有する患者におけるインスリン投与量の上昇スパイラルを打ち破ることができ、血糖コントロールの改善およびインスリン投与量の大幅な減量設定(50%)による体重減少が達成できるということの概念実証が確立された。
【表8−1】

【表8−2】

【表8−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つもしくはそれ以上の経口抗糖尿病薬および/または1つもしくはそれ以上の注射用抗糖尿病薬による治療を既に受け、該治療が失敗した2型糖尿病の哺乳類の患者の治療方法であって、治療上の有効量のSGLT2阻害剤を治療が必要な該患者に投与することを特徴とする方法。
【請求項2】
治療対象の患者が既にインスリンおよび/または1つもしくはそれ以上の抗糖尿病薬による治療を受けていた患者である請求項1で定義される方法。
【請求項3】
該患者が既にメトホルミンおよび/またはチアゾリジンジオンおよび/またはインスリンによる治療を受けていた患者である請求項1で定義される方法。
【請求項4】
該患者が1つもしくはそれ以上の経口抗糖尿病薬および/または1つもしくはそれ以上の注射用抗糖尿病薬と組み合わせて、SGLT2阻害剤により治療される請求項1で定義される方法。
【請求項5】
該SGLT2阻害剤が1日当たり約0.5から約350mgの範囲の量で投与される請求項1で定義される方法。
【請求項6】
該患者が
a)インスリン;または
b)インスリンおよびメトホルミン;または
c)インスリンおよびチアゾリジンジオン;または
d)インスリンおよびメトホルミンおよびチアゾリジンジオン
と組み合わせて、SGLT2阻害剤により治療される請求項4で定義される方法。
【請求項7】
該SGLT2阻害剤が構造:
【化1】

[式中、
、RおよびR2aは独立して水素、OH、OR、アルキル、CF、OCHF、OCF、SR5iまたはハロゲンであるか、R、RおよびR2aの内の2つはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいていてもよい)を形成してもよく;
およびRは独立して水素、OH、OR5a、Oアリール、OCHアリール、アルキル、シクロアルキル、CF、−OCHF、−OCF、ハロゲン、−CN、−CO5b、−COH、COR6b、−CH(OH)R6c、−CH(OR5h)R6d、−CONR6a、−NHCOR5c、−NHSO5d、−NHSOアリール、アリール、−SR5e、−SOR5f、−SO5g、−SOアリール、または5、6もしくは7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)であるか、RおよびRはそれらが結合した炭素と共に縮環した5、6または7員の炭素環またはヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g、R5hおよびR5iは独立してアルキルであり;
、R6a、R6b、R6c、およびR6dは独立して水素、アルキル、アリール、アルキルアリールまたはシクロアルキルであるか、RおよびR6aはそれらが結合した窒素と共に縮環した5、6または7員のヘテロシクリル(N、O、S、SO、および/またはSOである1から4個のヘテロ原子を環に含んでいてもよい)を形成し;
AはO、S、NH、または(CH(ここで、nは0−3である)である]
を有するか、またはその医薬的に許容される塩、立体異性体もしくはプロドラッグであり;
ただし、Aが(CH(ここで、nは0、1、2、または3である)であるかAがOであり、R、R、およびR2aの少なくとも1つがOHまたはORである場合、R、R、およびR2aの少なくとも1つがCF、OCF、またはOCHFであり、および/またはRおよびRの少なくとも1つがCF、−OCHF、−OCF、−CN、−CO5b、CH(OR5h)R6d、CH(OH)R6c、COR6b、−NHCOR5c、−NHSO5d、−NHSOアリール、アリール、−SR5e、−SOR5f、−SO5gもしくは−SOアリールである構造を有するか、あるいはその医薬的に許容される塩、全ての立体異性体、またはそのプロドラッグエステルもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該SGLT2阻害剤が構造:
【化2】

を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該SGLT2阻害剤がダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSであって、
(a)ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSが、1日当たり約0.5から約200mgの投与量において、医師の処方またはPDRに記載の投与量のインスリンと組み合わせて投与されるか;
(b)ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSが、1日当たり約0.5から約200mgの投与量において、医師の処方またはPDRに記載の投与量のインスリンおよび1日当たり約500から約2000mgの投与量のメトホルミンと組み合わせて投与されるか;
(c)ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSが、1日当たり約0.5から約200mgの投与量において、医師の処方またはPDRに記載の投与量のインスリン、1日当たり約0.5から約75mgの投与量のピオグリタゾン(Actos、Takeda Pharmaceuticals America、Inc.)、または1日当たり約0.5から約25mgの投与量のロシグリタゾン(Avandia、Glaxo−Wellcome)と組み合わせて投与されるか;あるいは
(d)ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSが、1日当たり約0.5から約200mgの投与量において、医師の処方またはPDRに記載の投与量のインスリン、1日当たり約500から約2000mgの投与量のメトホルミン、および1日当たり約0.5から約75mgの投与量のピオグリタゾンもしくは1日当たり約0.5から25mgの投与量のロシグリタゾンと組み合わせて投与される、
請求項6で定義される方法。
【請求項10】
該患者が1つまたはそれ以上の抗肥満薬で治療されている請求項1で定義される方法。
【請求項11】
投与される該SGLT2阻害剤が約0.5から約350mgの投与量のダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSであって、
別の1つの抗糖尿病薬および/または別の治療薬(ここで、抗糖尿病薬はビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARαアゴニスト、PPARδアンタゴニストもしくはアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、11−β−HSD−1阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害剤、SGLT2阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、メグリチニド、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、GLP−1受容体アゴニスト、および/またはPTP−1B阻害剤(プロテインチロシンホスファターゼ−1B阻害剤)もしくはインスリン、グルコキナーゼ活性化薬、DGAT阻害剤、CCR2アンタゴニストもしくは11−β−HSDであるインスリン分泌促進剤もしくはインスリン増感剤であり;
別の治療薬は抗高脂血症薬もしくはアテローム動脈硬化症の治療に用いられる薬剤、降圧薬もしくは血小板凝集抑制薬であるか、抗肥満薬であり、ならびに、ここで、別の治療薬は抗高脂血症薬、またはアテローム動脈硬化症の治療に用いられる薬剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブリン酸誘導体、アスピリン、胆汁酸分泌促進剤、ACAT阻害剤、LDL受容体活性増強剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステリルエステル転送タンパク(CETP)阻害剤、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害剤、フィトエストロゲン、β−ラクタム系コレステロール吸収阻害剤、HDL増加薬、PPARα−アゴニストおよび/またはFXRアゴニスト;LDL代謝促進剤、例えばナトリウム−プロトン交換阻害剤、LDL受容体誘導剤もしくはステロイド配糖体、抗酸化剤、または抗ホモシステイン薬、イソニアジド、HMG−CoA合成酵素阻害剤、またはラノステロール脱メチル化酵素阻害剤、PPARδアゴニスト、またはステロール調節エレメント結合タンパク質−1(SREBP−1))であるか;
別の薬剤は降圧薬(ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L−タイプおよび/またはT−タイプ)、利尿薬、レニン阻害剤、ACE阻害剤、AT−1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニスト、デュアルET/AIIアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤(デュアルNEP−ACE阻害剤)または硝酸塩)であるか;
別の治療薬は血小板凝集抑制薬(クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレルまたはアスピリンである)であるか;あるいは
別の治療薬は抗肥満薬(SGLT2阻害剤、β−3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(およびドパミン)再取込阻害剤、甲状腺ベータ化合物、食欲低下薬、NPYアンタゴニスト、レプチンアナログ、MC4アゴニスト、MCH−1受容体アンタゴニスト、または5−HT2c受容体アゴニストもしくはカンナビノイド受容体アンタゴニスト)である)と組み合わせて投与される、請求項1で定義される方法。
【請求項12】
別の抗糖尿病薬がメトホルミン、グリブリド、インスリン、グリピジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、サクサグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチンまたはエクセナチド(Byetta)であるか;あるいは
別の治療薬がアトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンカルシウム、フルバスタチン、クロピドグレル、アスピリン、チクロピジンまたはプラスグレルであり、また別の治療薬がオルリスタット、シブトラミン、MCHR1アンタゴニスト、フェンテルミン、リモナバン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、メタンフェタミン、フェンジメトラジン、ATL−962、AJ9677、L750355、CP331648、トピラメート、アキソキン、デクスアンフェタミン、フェニルプロパノールアミンおよびマジンドールから選択される抗肥満薬である請求項11で定義される方法。
【請求項13】
ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PGSが、
a)メトホルミン;
b)ピオグリタゾンもしくはロシグリタゾン;
c)インスリン;
d)メトホルミンおよびインスリン;
e)ピオグリタゾンもしくはロシグリタゾンおよびメトホルミン;
f)ピオグリタゾンもしくはロシグリタゾンおよびインスリン;あるいは
g)メトホルミン、ピオグリタゾンもしくはロシグリタゾンおよびインスリン
と組み合わせて用いられる請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該SGLT2阻害剤ダパグリフロジンまたはダパグリフロジン−PDSが、1日当たり約0.5から約200mgの範囲の投与量において、医師の処方またはフィジシャンズ デスク リファレンス(PDR)最新版に開示の投与量のインスリン、および/または1日当たり約500から約2000mgの範囲の投与量のメトホルミン、および/または1日当たり約0.5から約25mgの範囲の投与量のロシグリタゾン(Avandia、Glaxo−Wellcome)または1日当たり約0.5から約75mgの範囲の投与量のピオグリタゾン(Actos、Takeda Pharmaceuticals America、Inc.)と組み合わせて投与される請求項13で定義される方法。
【請求項15】
ダパグリフロジンもしくはダパグリフロジン−PGSおよびメトホルミンおよび/またはピオグリタゾンもしくはロシグリタゾン、ならびに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−528170(P2012−528170A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513184(P2012−513184)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036120
【国際公開番号】WO2010/138535
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【Fターム(参考)】