説明

利用者情報管理システムおよび利用者情報管理方法

【課題】異なる周波数が割り当てられた複数の無線セルが地理的に重複して設定された環境で、個々の無線セルに在圏する移動局の中から、ある対象領域内に在圏する移動局を把握可能な利用者情報管理システムを提供する。
【解決手段】3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が設定した複数の無線セルに対応する報知情報であって、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が出力する報知情報とは異なる報知情報を基地局40が対象領域Xに向けて出力し、無線セル200を形成する。無線セル200内に進入してきた移動局500は無線セル200の報知情報を受信して位置登録処理を実施する。これにより、異なる周波数が割り当てられた複数の無線セルが地理的に重複して設定された環境であっても、情報管理装置30は、位置登録処理に基づいて移動局500の把握を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局の利用者情報管理システムおよび利用者情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動局の通信システムは、通信システム全体での移動局収容能力を向上させるため、複数の周波数(バンド・キャリア)が用いられている。移動局は、その内の1つの周波数が割り当てられたセルに在圏し、在圏するセルの周波数を通じて通信を行っている。このような、複数の周波数を用いた通信システムとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−18649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のセルに散らばった移動局の中から、ある対象領域内に在圏する移動局のみを把握したいという要望がある。この場合、当該対象領域を包含する複数のセル内の全ての移動局に対して、ネットワーク側から全ての移動局にGPS(Global Positioning System)機能を用いた位置の測位を行わせ、測位結果から上記対象域内に存在する移動局を特定することが考えられる。しかしながら、GPS機能に非対応の移動局は、位置の測位を行うことができず、網羅性に欠ける。また、対象領域を包含する全てのセルを対象範囲とするため、位置特定の必要のない対象領域外の移動局に対してもGPS機能による位置の測位を行わせてしまうことになり、効率性に欠ける。更には屋内でGPS機能を用いた位置の測位を実施した場合は測位誤差が大きくなる可能性が高く、精度に欠ける。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、異なる周波数が割り当てられた複数の異なるセルが地理的に重複して設定された環境で、個々のセルに在圏する移動局の中から、ある対象領域内に在圏する移動局を把握可能な利用者情報管理システムおよび利用者情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の利用者情報管理システムは、複数の周波数が割り当てられた第1領域に在圏する移動局の通信を制御する第1基地局と、前記第1領域内において前記第1領域よりも小さい第2領域を通信範囲とする第2基地局と、前記第2基地局と通信可能に接続された情報管理装置と、を含んで構成された利用者情報管理システムであって、前記第2基地局は、前記第1基地局が出力する報知情報とは異なる報知情報を、前記第2領域に向けて出力する報知情報出力部と、前記移動局が前記報知情報の切り替わりを検出したときに出力する応答情報を前記移動局から受信する応答情報受信部と、前記応答情報受信部が受信した前記応答情報を前記情報管理装置へ送信する応答情報送信部と、を備え、前記情報管理装置は、前記応答情報送信部より送信された応答情報を取得する応答情報取得部と、取得された前記応答情報に基づいて、前記第2領域内の前記移動局の把握を行う移動局把握部と、前記移動局把握部による把握結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
また、本発明の利用者情報管理方法は、複数の周波数が割り当てられた第1領域に在圏する移動局の通信を制御する第1基地局と、前記第1領域内において前記第1領域よりも小さい第2領域を通信範囲とする第2基地局と、前記第2基地局と通信可能に接続された情報管理装置と、を含んで構成された利用者情報管理システムにおいて実行される利用者情報管理方法であって、前記第2基地局が、前記第1基地局が出力する報知情報とは異なる報知情報を、前記第2領域に向けて出力する報知情報出力ステップと、前記第2基地局が、前記移動局が前記報知情報の切り替わりを検出したときに出力する応答情報を前記移動局から受信する応答情報受信ステップと、前記第2基地局が、前記応答情報受信ステップにおいて受信された前記応答情報を前記情報管理装置へ送信する応答情報送信ステップと、前記情報管理装置が、前記応答情報送信ステップにおいて送信された応答情報を取得する応答情報取得ステップと、前記情報管理装置が、取得された前記応答情報に基づいて、前記第2領域内の前記移動局の把握を行う移動局把握ステップと、前記情報管理装置が、前記移動局把握ステップによる把握結果を出力する出力ステップと、を備える。
【0008】
この発明によれば、第2基地局は、第1基地局が出力する報知情報とは異なる報知情報を第2領域に向けて出力し、第2領域内の移動局が送信した応答情報を受信する。情報管理装置は、この応答情報に基づいて移動局の把握を行うことができる。このように、異なる周波数が割り当てられた複数の異なるセルが地理的に重複して設定された環境であっても、移動局の把握を行うことが可能となる。
【0009】
また、前記報知情報出力部は、前記第1基地局が設定した複数の周波数毎に、所定の順序に従って当該周波数に対応する報知情報を順次出力することが好ましい。これにより、各周波数に対応した報知情報の出力および応答情報の受信を行う無線通信装置を、各周波数毎に実装する必要がなく、簡素な構成とすることができる。
【0010】
また、前記第2基地局は、前記第1基地局に設定されたRouting Area情報とは異なるRouting Area情報、および、前記第1基地局に設定されたLocation Area情報とは異なるLocation Area情報の少なくとも一方が前記複数の周波数毎に設定され、前記報知情報出力部は、設定された前記情報に基づいて前記報知情報を出力することが好ましい。これにより、全ての移動局が対応している情報を用いて、他の無線セルの報知情報と異なる報知情報を容易に設定することができる。
【0011】
また、前記移動局把握部は、さらに前記移動局の把握結果に基づいて、他の基地局から得られた前記移動局の把握結果も含めて前記移動局の動態情報を算出し、前記出力部は、さらに前記移動局把握部によって算出された動態情報を出力することが好ましい。このように、移動局の把握結果より移動局の動態情報を網羅的に取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異なる周波数が割り当てられた複数の異なる無線セルが地理的に重複して設定された環境であっても、移動局の把握を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の利用者情報管理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】情報管理装置および基地局の構成を示す図である。
【図3】各無線セルに設定されるRA/LAを示す図である。
【図4】移動局の把握処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】基地局が無線セルを順次形成する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0015】
[利用者情報管理システムの全体構成]
図1は、本実施形態の利用者情報管理システム1のシステム構成を示す図である。図1に示すように、この利用者情報管理システム1は、3G(3rd Generation)の無線通信方式を形成する3G公衆基地局11(特許請求の範囲における第1基地局)および無線通信制御局10と、LTE(Long Term Evolution)の無線通信方式を形成するLTE公衆基地局21(特許請求の範囲における第1基地局)および交換局20と、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が形成する無線セル内の領域に無線セルを形成する基地局40(特許請求の範囲における第2基地局)と、基地局40と通信可能に接続された情報管理装置30とを含んで構成されている。利用者情報管理システム1は、3Gの無線通信方式とLTEの無線通信方式とが共存していてもよい。
【0016】
3G公衆基地局11は、周波数の異なる無線セル100,101(特許請求の範囲における第1領域)を形成している。またLTE公衆基地局21は、周波数の異なる無線セル102,103(特許請求の範囲における第1領域)を形成している。なお、3G公衆基地局11が形成する無線セルとLTE公衆基地局21が形成する無線セルとは周波数が異なっている。また、これらの無線セル100,101,102,103は、少なくとも所定の領域A上で重なるようにして形成されているものとする。また、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21は、それぞれ2つの無線セルを形成するものとしたが、設定する無線セルの数はこれに限定されるものではない。また、図1では、領域Aを含むようにして形成された無線セル100,101,102,103を階層的に分けて図示している。
【0017】
また、複数の移動局50,51,52,53,54(以下、これらの移動局を総称して移動局500と言う)が、各無線セル100,101,102,103に在圏している。具体的には、移動局50,51が、3G公衆基地局11が形成する無線セル100に在圏し、移動局52が、3G公衆基地局11が形成する無線セル101に在圏している。また、移動局53が、LTE公衆基地局21が形成する無線セル102に在圏し、移動局54が、LTE公衆基地局21が形成する無線セル103に在圏している。
【0018】
基地局40は、当該基地局40が形成する無線セル200(特許請求の範囲における第2領域)が、利用者情報管理システム1を用いて移動局500の把握を行いたい対象領域Xと同一となるように設定される。なお、基地局40として、例えば、設置を簡易にするための自動コンフィギュレーションを具備し、家庭等の小規模なエリアに設置されるフェムト基地局(Home NodeB/HomeeNodeB)を利用することができる。
【0019】
なお、情報管理装置30、基地局40、移動局500はいずれも、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成(即ち、CPU、RAM、ROM、情報やコマンド等を入力するための入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記憶する記憶デバイス、及び、ディスプレイ等の出力デバイスなど)を備えることは言うまでもない。
【0020】
[情報管理装置および基地局の詳細構成]
次に、情報管理装置30および基地局40の構成について詳細に説明する。図2は、情報管理装置30および基地局40の詳細構成を示す図である。図2に示すように、基地局40は、報知情報を出力する報知情報出力部401と、移動局500が送信した応答情報を受信する応答情報受信部402と、受信された応答情報を情報管理装置30へ送信する応答情報送信部403とを含んで構成される。
【0021】
ここで、基地局40には、移動局500との通信に用いられるRouting Area情報(以下、単に「RA」と言う)およびLocation Area情報(以下、単に「LA」と言う)が、無線セル100,101,102,103のRAおよびLAとは少なくともどちらか一つが異なるように設定されている。また基地局40は、各無線セル100,101,102,103に対応する周波数毎に無線セル200をそれぞれ形成する。
【0022】
図3に、基地局40に設定されたRAおよびLAの例を示す。図3(a)に示すように、3G公衆基地局11が形成する無線セル100のRAが「AAAAAA」およびLAが「111111」の場合、無線セル100に対応する周波数に形成される無線セル200のRAが「BBBBBB」およびLAが「222222」となるように、基地局40にRAおよびLAが設定される。同様に、図3(b)に示すように、LTE公衆基地局21が形成する無線セル102のRAが「XXXXXX」およびLAが「333333」の場合、無線セル102に対応する周波数に形成される無線セル200のRAが「YYYYYY」およびLAが「444444」となるように、基地局40にRAおよびLAが設定される。
【0023】
なお、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21は、各無線セルに対して報知情報を出力している。そのため、基地局40の設定時に、無線セル100,101,102,103の報知情報からRAおよびLAを抽出し、抽出したRAおよびLAと異なるRAおよびLAを、基地局40のRAおよびLAとして自動設定することもできる。
【0024】
図2に戻り、報知情報出力部401は、各無線セル100,101,102,103と対応する周波数の無線セル200を形成し、設定されたRAおよびLAに基づいて、対象領域Xに向けて報知情報を出力する。この報知情報は、移動局500に対して、当該移動局500がどの無線セルに在圏しているかを報知するものである。
【0025】
ここで、移動局500は、当該移動局500の移動等によって、受信する報知情報(LAもしくはRA)の切り替わりを検出すると、当該移動局500の位置を報知するための応答情報を基地局40に送信するものである。すなわち、移動局500は無線セル200に入圏または離圏したときに、報知情報の切り替わりを検出し、応答情報を送信する。基地局40の応答情報受信部402は、無線セル200に入圏または離圏した移動局500から送信された応答情報を受信する。応答情報送信部403は、受信された応答情報を情報管理装置30へ送信するものである。
【0026】
情報管理装置30の応答情報取得部301は、基地局40の応答情報送信部403から送信された応答情報を取得する。移動局把握部302は、取得された応答情報に基づいて、基地局40が形成する無線セル200内に在圏する移動局500の台数の把握や、移動局500の台数に基づいて各種の統計処理などを行うものである。更には他の基地局から得られた前記移動局の把握結果も含めて前記移動局の動態情報を網羅的に算出するものである。この統計処理には、例えば、移動局500の利用者の属性情報が格納された外部のデータベースから対象領域X内に存在する移動局500の利用者の情報を抽出し、統計処理を行うことなども含まれる。出力部303は、移動局把握部302の処理結果を出力する。ここでの「出力」は、表示出力および印刷出力を広く含むことは言うまでもない。即ち、処理結果を、ディスプレイ等に表示出力されてもよいし、プリンタ等から印刷出力されてもよいし、表示と印刷の両方で出力されてもよい。
【0027】
[移動局の把握処理]
次に、無線セル100,101,102,103に対応する周波数毎に基地局40が無線セル200を順次形成し、移動局500の把握を行う処理について説明する。これは、対象領域Xに存在する移動局500を情報管理装置30で把握する、即ち基地局40が形成する無線セル200内であることを移動局500に認識させて情報管理装置30側に通知させるものである。図4は、移動局の把握処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、基地局40が無線セル100,101,102,103に対応する周波数毎に無線セル200を順次形成する様子を示す図である。なお、本実施形態において、基地局40は、形成する無線セル200の周波数を所定の時間(例えば1分)毎に切り替えて、無線セル100,101,102,103内に無線セル200を順次形成し、この処理を繰り返すものである。
【0028】
まず、基地局40の報知情報出力部401は、予め定められた条件に従い、初めに形成する無線セル200の周波数を決定して無線セル200を形成し、当該無線セル200内に報知情報を出力する(ステップS1(特許請求の範囲における報知情報出力ステップ))。具体的には、図5(a)に示すように、予め定められた条件に従い、無線セル100に対応する周波数の無線セル200を無線セル100内に形成し、無線セル200内に報知情報を送信する。
【0029】
報知情報出力部401が報知情報を出力しているときに、図5(a)に示すように、無線セル200内に移動局50が入圏した場合、移動局50は、3G公衆基地局11が送信した報知情報から基地局40が送信した報知情報に切り替わったことを検出し、応答情報を送信する。移動局50から送信された応答情報を応答情報受信部402が受信する(ステップS2(特許請求の範囲における応答情報受信ステップ))と、応答情報送信部403は、受信された応答情報を情報管理装置30へ送信する(ステップS3(特許請求の範囲における応答情報送信ステップ))。ここでは、無線セル200内に移動局が入圏した場合を説明したが、無線セル200から離圏する場合であっても、離圏する移動局が3G公衆基地局11もしくはLTE公衆基地局21に送信した応答情報を情報管理装置30に送信することで、無線セル200から離圏したことを検出できる。なお、応答情報送信部403が送信する応答情報は、移動局50が無線セル200内に存在するか否かを示す情報が含まれていれば、応答情報受信部402で受信された応答情報に加工処理を行った情報であってもよい。
【0030】
報知情報出力部401は、無線セル200を形成してから所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS4)。所定時間が経過していない場合(ステップS4:NO)には、ステップS1に戻り、上述したように、無線セル200内に報知情報を継続して出力し、無線セル200内に入圏または離圏した移動局500が送信する応答情報を受信する処理を繰り返す。
【0031】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS4:YES)に、報知情報出力部401は、別の無線セル200を形成する周波数を選択し、各部の設定変更を行い(ステップS5)、ステップS1に戻り上述の処理を行う。これにより、図5(b)に示すように、3G公衆基地局11が形成する無線セル101内に無線セル200が形成されるとともに報知情報出力部401から無線セル200内に報知情報が出力され、上記と同様に、移動局から応答情報を取得することができる。このように、基地局40は、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)に示すように、無線セル100,101,102,103内に無線セル200を所定時間毎に切り替えることにより、各無線セルに在圏する移動局500から順次応答情報を取得することができる。
【0032】
図4に戻り、基地局40の応答情報送信部403から応答情報が送信されると、情報管理装置30の応答情報取得部301は、送信された応答情報を取得する(ステップS6(特許請求の範囲における応答情報取得ステップ))。移動局把握部302は、取得された応答情報に基づいて対象領域X内に存在する移動局の台数の把握や、移動局の台数に基づいて各種の統計処理などを行う(ステップS7(特許請求の範囲における移動情報把握ステップ))。更には他の基地局から得られた前記移動局の把握結果も含めて前記移動局の動態情報を網羅的に算出する(ステップS7(特許請求の範囲における移動情報把握ステップ))。出力部303は、移動局把握部302の処理結果を出力する(ステップS8(特許請求の範囲における出力ステップ))。
【0033】
以上のように、対象領域Xに存在する全ての周波数(3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が無線セルを形成した周波数)に対して、基地局40によって無線セル200が順次形成される。無線セル200を各周波数に対して順次形成することにより、対象領域X(無線セル200)内に存在する移動局を全周波数に対して網羅的に把握することが可能になり、また、全周波数分の無線送受信機を基地局40に設ける必要がない。このように、基地局40が形成する無線セル200は、通信を提供する無線セルとしてではなく、その領域内に存在する移動局を把握するセンサー機能の役割を有するものといえる。更には通常の基地局と同様、通信を提供するものであってもよい。なお無線セル200を各周波数毎に切り替えるタイミングで通信中の移動機が存在する場合は、基地局40が形成する無線セル200を包含している無線セル100,101,102,103にハンドオーバさせても良い。
【0034】
また、対象領域X(基地局40が形成する無線セル200)を情報管理装置30側で一意に特定する方法として、Cell Identityなどの無線セルを特定できる全国で唯一のIDを用いる方法があり、この場合には、報知情報および応答情報を用いた移動局の位置登録処理で情報管理装置30側に全国で唯一のIDが通知されるので、該当IDから対象領域Xを情報管理装置30側で一意に特定することができる。その他にも、全国で唯一のRA/LAを基地局40が形成する無線セル200に設定することで、RA/LAを情報管理装置30側で対象領域Xを一意に特定できる全国で唯一のIDとして利用することも可能である。
【0035】
[作用および効果について]
次に、本実施形態における利用者情報管理システム1の作用および効果について説明する。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が設定した複数の無線セルに対応する報知情報であって、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が出力する報知情報とは異なる報知情報を、基地局40が対象領域X内に向けて出力し無線セル200を形成する。無線セル200内に進入してきた移動局500は無線セル200の報知情報を受信して位置登録処理を実行する。これにより、情報管理装置30は、異なる周波数が割り当てられた複数の異なる無線セルが地理的に重複して設定された環境であっても、位置登録処理に基づいて移動局500の把握を行うことができる。
【0037】
また、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において3G方式(無線通信制御局10、3G公衆基地局11)やLTE方式(交換局20、LTE公衆基地局21)もしくはそれらが共存する通信システムにおいても、基地局40が他の無線セルの報知情報とは異なる報知情報を無線セル200内に出力することにより、移動局500の把握を行うことができる。
【0038】
また、店舗やブースや会場などの所定の対象領域Xをカバーするように基地局40を設置し、対象領域X内に存在する移動局500の把握を行うことで、来客者数、来客者の属性情報の統計データ等を把握することが可能となる。さらに、対象領域X内に存在する移動局500を把握することができるので、対象領域X内の移動局500の情報に基づいて、来客者だけにクーポンなどの情報を配信することもできる。
【0039】
また、本実施形態によれば、3G公衆基地局11およびLTE公衆基地局21が形成する無線セル内に、基地局40が順次無線セル200を形成することにより、各周波数に対応した報知情報の出力および応答情報の受信を行う無線通信装置を、各周波数毎に実装する必要がなく、基地局40を簡素な構成とすることができる。
【0040】
また、本発明によれば、全ての移動局50が対応しているRAおよびLAに基づいて報知情報を設定することにより、他の無線セルの報知情報と異なる報知情報を、報知情報出力部401が容易に生成することができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0042】
例えば、上記実施形態では、基地局40が形成する無線セル200の周波数を所定の時間(例えば1分)毎に切り替えて、無線セル100,101,102,103内に無線セル200を順次形成するものとしたが、無線セル100内に無線セル200を30秒間形成し、無線セル200の形成を2分間休止した後、次の無線セル101内に無線セル200を30秒間形成するなど、適宜のタイミングや周期を設定することができる。
【0043】
また、報知情報出力部401は、設定されたRAおよびLAに基づいて、報知情報を出力するものとしたが、RAおよびLAの一方の情報のみを用いて報知情報を出力してもよい。この場合であっても、各無線セル100,101,102,103の報知情報と無線セル200の報知情報とは異なるものとなり、移動局500の把握を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1…利用者情報管理システム、10…無線通信制御局、11…3G公衆基地局、20…交換局、21…LTE公衆基地局、30…情報管理装置、40…基地局、50〜54,500…移動局、100〜103,200…無線セル、301…応答情報取得部、302…移動局把握部、303…出力部、401…報知情報出力部、402…応答情報受信部、403…応答情報送信部、X…対象領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数が割り当てられた第1領域に在圏する移動局の通信を制御する第1基地局と、前記第1領域内において前記第1領域よりも小さい第2領域を通信範囲とする第2基地局と、前記第2基地局と通信可能に接続された情報管理装置と、を含んで構成された利用者情報管理システムであって、
前記第2基地局は、
前記第1基地局が出力する報知情報とは異なる報知情報を、前記第2領域に向けて出力する報知情報出力部と、
前記移動局が前記報知情報の切り替わりを検出したときに出力する応答情報を前記移動局から受信する応答情報受信部と、
前記応答情報受信部が受信した前記応答情報を前記情報管理装置へ送信する応答情報送信部と、
を備え、
前記情報管理装置は、
前記応答情報送信部より送信された応答情報を取得する応答情報取得部と、
取得された前記応答情報に基づいて、前記第2領域内の前記移動局の把握を行う移動局把握部と、
前記移動局把握部による把握結果を出力する出力部と、
を備える利用者情報管理システム。
【請求項2】
前記報知情報出力部は、前記第1基地局が設定した複数の周波数毎に、所定の順序に従って当該周波数に対応する報知情報を順次出力する請求項1に記載の利用者情報管理システム。
【請求項3】
前記第2基地局は、前記第1基地局に設定されたRouting Area情報とは異なるRouting Area情報、および、前記第1基地局に設定されたLocation Area情報とは異なるLocation Area情報の少なくとも一方が前記複数の周波数毎に設定され、
前記報知情報出力部は、設定された前記情報に基づいて前記報知情報を出力する請求項1または2に記載の利用者情報管理システム。
【請求項4】
前記移動局把握部は、さらに前記移動局の把握結果に基づいて、他の基地局から得られた前記移動局の把握結果も含めて前記移動局の動態情報を算出し、
前記出力部は、さらに前記移動局把握部によって算出された動態情報を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の利用者情報管理システム。
【請求項5】
複数の周波数が割り当てられた第1領域に在圏する移動局の通信を制御する第1基地局と、前記第1領域内において前記第1領域よりも小さい第2領域を通信範囲とする第2基地局と、前記第2基地局と通信可能に接続された情報管理装置と、を含んで構成された利用者情報管理システムにおいて実行される利用者情報管理方法であって、
前記第2基地局が、前記第1基地局が出力する報知情報とは異なる報知情報を、前記第2領域に向けて出力する報知情報出力ステップと、
前記第2基地局が、前記移動局が前記報知情報の切り替わりを検出したときに出力する応答情報を前記移動局から受信する応答情報受信ステップと、
前記第2基地局が、前記応答情報受信ステップにおいて受信された前記応答情報を前記情報管理装置へ送信する応答情報送信ステップと、
前記情報管理装置が、前記応答情報送信ステップにおいて送信された応答情報を取得する応答情報取得ステップと、
前記情報管理装置が、取得された前記応答情報に基づいて、前記第2領域内の前記移動局の把握を行う移動局把握ステップと、
前記情報管理装置が、前記移動局把握ステップによる把握結果を出力する出力ステップと、
を備える利用者情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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