説明

制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置

【課題】より適切な制動制御を実行させること
【解決手段】車輌の目標車輌制動制御値を算出する目標車輌制動制御値算出手段1aと、その目標車輌制動制御値に基づいて制御対象の車輪10FL,10FR,10RL,10RRの目標車輪制動制御値を算出する目標車輪制動制御値算出手段1bと、その目標車輪制動制御値を該当する車輪に対して発生させるよう制動装置(ブレーキアクチュエータ45)の駆動制御を行う制動装置制御手段1cと、ブレーキペダル20のペダル踏面上の押圧力を検知する押圧力検知手段(感圧素子23A1,23A2)と、その検知結果に基づいてペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段1fと、そのペダル踏面の押圧分布の変移に基づいてブレーキペダル20の操作形態を推定するペダル操作形態推定手段1dと、この推定された操作形態に応じて目標車輌制動制御値を補正する目標車輌制動制御値補正手段1eと、を備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に機械的な制動トルクを発生させる制動装置の制御を行う制動力制御装置と、運転者によるブレーキペダルの操作形態を推定するブレーキペダル操作形態推定装置と、制動装置に対して運転者の制動要求とを伝えるブレーキペダル装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制動装置は、運転者によるブレーキペダルへのペダル踏力やブレーキペダルの踏み込み位置(所謂ペダルストローク位置)に基づいて制御され、そのペダル踏力等に応じた制動力を夫々の車輪に働かせる。つまり、従来においては、運転者によるブレーキペダルの操作状況量(ペダル踏力やペダルストローク位置等)から運転者の意思(車輌への要求制動力)を判断し、その意思が満たされるように制動制御が実行されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、ペダルストローク位置と圧力センサの検出値とに基づいて各車輪の制動力の配分を制御する技術について開示されている。尚、その圧力センサは、ブレーキペダルの四隅に各車輪に対応させるものとして夫々配備されたものである。従って、例えば右前輪の制動力を他よりも大きくしたいのであれば、運転者は、その右前輪に対応する圧力センサが配備されたペダル位置を踏まなければならない。
【0004】
また、下記の特許文献2には、操作プレートに平面的に配設した圧力センサの検出値に基づいて制動力を制御する技術について開示されている。
【0005】
ここで、下記の特許文献3には、クレビスに設けた歪みセンサの検出値に基づいてペダル踏力の検出を行う技術について開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−82787号公報
【特許文献2】特開2005−35494号公報
【特許文献3】特開平11−255084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来においては、運転者によるブレーキペダルの操作形態(例えば、足首ブレーキ操作や脚ブレーキ操作)を明らかにすることができないので、これまで以上に適切な制動力を夫々の車輪に与えることができない。つまり、運転者によるブレーキペダルの操作状況量が同じであっても、その操作形態が異なれば各車輪に付与すべき制動力の大きさが変わってくる。従って、その場合には、例えば、運転者が望む以上の制動力が働いたり、希望通りの制動力が働かなかったりする可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、より適切な制動制御を実行させることのできる制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、車輌の目標車輌制動制御値を算出する目標車輌制動制御値算出手段と、その目標車輌制動制御値に基づいて制御対象の車輪の目標車輪制動制御値を算出する目標車輪制動制御値算出手段と、その目標車輪制動制御値を該当する車輪に対して発生させるよう制動装置の駆動制御を行う制動装置制御手段と、を備えた制動力制御装置において、ブレーキペダルのペダル踏面上の押圧力を検知する押圧力検知手段と、この押圧力検知手段の検知結果に基づいてペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、この押圧分布算出手段の演算結果から求めたペダル踏面の押圧分布の変移に基づいて運転者によるブレーキペダルの操作形態を推定するペダル操作形態推定手段と、このペダル操作形態推定手段により推定された操作形態に応じて目標車輌制動制御値を補正する目標車輌制動制御値補正手段と、を備えている。
【0010】
この請求項1記載の制動力制御装置においては、ペダル踏面の押圧分布を観ることによって運転者によるブレーキペダルの操作形態を把握することができる。例えば、この制動力制御装置においては、その押圧分布から押圧力の集中しているペダル踏面上の位置を知ることができるので、運転者がその位置を中心にブレーキペダルを踏み込んでブレーキ操作を行っているとの把握が可能になる。また、この制動力制御装置においては、その押圧分布の変移に基づいて運転者がどの様な動きをしてブレーキ操作を行っているのか把握することができる。このように、この制動力制御装置においては、運転者によるブレーキペダルの操作形態が把握でき、その操作形態に応じた目標車輌制動制御値への補正が可能になる。
【0011】
ここで、例えば、ペダルストローク量の増加に伴い車輌搭載状態におけるペダル踏面において押圧分布が下部から上部へと変移している場合には、踵を床に着け、その踵を支点に足首を前方に動かしてブレーキ操作(足首ブレーキ操作)を行っていると推定することができ、また、ペダルストローク量が大きいにも拘わらずペダル踏面の押圧分布の変移量が小さい場合には、足を床に着けずに脚全体を動かしてブレーキ操作(脚ブレーキ操作)を行っていると推定することができる。つまり、足首ブレーキ操作の場合には、ペダル踏面の下部から上部への押圧分布の変移量が大きくなればペダルストローク位置が深くなる(換言すれば、ペダルストローク量が大きくなる)という相関関係が成立する。従って、その相関関係を観ることによって足首ブレーキ操作との推定が可能になる。一方、脚ブレーキ操作の場合には、ペダル踏面における上下方向の押圧分布の変移量が小さいにも拘わらずペダルストローク位置が深くなる(ペダルストローク量が大きくなる)という相関関係が成立する。従って、その相関関係を観ることによって脚ブレーキ操作との推定が可能になる。
【0012】
また、上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の制動力制御装置において、車輌搭載状態におけるペダル踏面の少なくとも上部と下部で押圧力の検出が行われるよう押圧力検知手段を構成している。
【0013】
これにより、この請求項2記載の制動力制御装置においては、上述した足首ブレーキ操作であるのか脚ブレーキ操作であるのかについての識別が可能になる。
【0014】
また、上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の制動力制御装置において、押圧力検知手段の検知結果に基づいて運転者によるブレーキペダルのペダル押圧位置を推定し、目標車輌制動制御値補正手段は、更にその推定されたペダル押圧位置に応じて目標車輌制動制御値の補正を行うよう押圧分布算出手段を構成している。
【0015】
例えば、上述した足首ブレーキ操作の場合には、ペダル押圧位置がペダル踏面の下部にあれば制動初期、ペダル踏面の中央部にあれば制動中期、ペダル踏面の上部にあれば制動後期と推定することができる。そして、車輌の制動力は、その大きさを制動時期によって変化させることがある。これが為、この請求項3記載の制動力制御装置においては、制動時期に応じた目標車輌制動制御値の補正を行い、運転者によるブレーキペダルの操作形態に更に適応した良好な制動制御の実行が可能になる。
【0016】
また、上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の制動力制御装置において、ブレーキペダルのペダルストローク量に対するペダル踏面における押圧分布の下から上への変移量が所定値以上の場合、ブレーキペダルのペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以上になったときに目標車輌制動制御値を増大補正させるよう目標車輌制動制御値補正手段を構成している。
【0017】
この請求項4記載の制動力制御装置においては、ブレーキペダルのペダルストローク量に対する押圧分布のペダル踏面の上部側への変移量が所定値以上の場合に、上述した足首ブレーキ操作であるとの推定を行う。そして、足首ブレーキ操作の場合には、ペダルストローク位置が深くなっていくと、支点として作用していた踵が或る時点において動いてペダル踏力を低下させてしまう。この請求項4記載の制動力制御装置においては、そのようなペダル踏力の低下が懸念されるとき(ペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以上になったとき)に目標車輌制動制御値が増大補正されるので、運転者によるブレーキペダルの操作形態に更に適応した良好な制動制御の実行が可能になる。
【0018】
また、上記目的を達成する為、請求項5記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の制動力制御装置において、ブレーキペダルのペダルストローク量に対するペダル踏面における押圧分布の上下方向への変移量が所定値よりも少ない場合、ブレーキペダルのペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以下のときに目標車輌制動制御値を減少補正させるよう目標車輌制動制御値補正手段を構成している。
【0019】
この請求項5記載の制動力制御装置においては、ブレーキペダルのペダルストローク量に対するペダル踏面の押圧分布の上下方向への変移量が所定値以下の場合に、上述した脚ブレーキ操作であるとの推定を行う。そして、脚ブレーキ操作の場合には、ある時点まで脚全体の慣性力が大きく、この慣性力がそのままペダル踏力に加わるので、その時点までのペダル踏力が運転者の意思に反して大きくなってしまう。この請求項5記載の制動力制御装置においては、そのようなペダル踏力の増大が懸念されている間(ペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以下のとき)目標車輌制動制御値が減少補正されるので、運転者によるブレーキペダルの操作形態に更に適応した良好な制動制御の実行が可能になる。
【0020】
また、上記目的を達成する為、請求項6記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の制動力制御装置において、運転席前後位置検出手段により検出された運転席の前後位置が基準位置に対して後方寄りの場合に目標車輌制動制御値を減少補正させるよう目標車輌制動制御値補正手段を構成している。
【0021】
一般に、体格の大きな運転者は、脚力が強いので、相対的にペダル踏力が大きくなる。この請求項6記載の制動力制御装置においては、運転席の前後位置から運転者の体格を推定し、体格が大きいほどに目標車輌制動制御値が減少補正されるので、運転者の体格に合わせた良好な制動制御の実行が可能になる。
【0022】
また、上記目的を達成する為、請求項7記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の制動力制御装置において、運転席前後位置検出手段により検出された運転席の前後位置が基準位置に対して前方寄りの場合に目標車輌制動制御値を増大補正させるよう目標車輌制動制御値補正手段を構成している。
【0023】
一般に、体格の小さな運転者は、脚力が弱いので、相対的にペダル踏力が小さくなる。この請求項7記載の制動力制御装置においては、運転席の前後位置から運転者の体格を推定し、体格が小さいほど目標車輌制動制御値が増大補正されるので、運転者の体格に合わせた良好な制動制御の実行が可能になる。
【0024】
また、上記目的を達成する為、請求項8記載の発明では、上記請求項1から7の内の何れか1つに記載の制動力制御装置において、押圧力検知手段により検出されたペダル踏面における上部及び下部の夫々の押圧力と、その夫々の押圧力の荷重方向と、に基づいて運転者によるブレーキペダルへのペダル踏力を算出するペダル踏力算出手段を設けている。
【0025】
この請求項8記載の制動力制御装置においては、ペダル踏面の押圧分布とペダル踏面へのペダル踏力とを1つの検知手段(押圧力検知手段)によって取得することができるので、ペダル踏力検出センサ等が不要になり、構成の簡素化が図れる。
【0026】
上記目的を達成する為、請求項9記載の発明では、ブレーキペダルのペダル踏面上の押圧力を検知する押圧力検知手段と、この押圧力検知手段の検知結果に基づいてペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、この押圧分布算出手段の演算結果から求めたペダル踏面における押圧分布の下部側から上部側への変移量が所定値以上のときに、運転者による前記ブレーキペダルの操作形態が踵を支点に足首を前方に動かしてペダル操作を行う足首ブレーキ操作であると推定するペダル操作形態推定手段と、を備えてブレーキペダル操作形態推定装置を構成している。
【0027】
また、上記目的を達成する為、請求項10記載の発明では、上記請求項9記載のブレーキペダル操作形態推定装置において、ペダル踏面における押圧分布の上下方向への変移量が所定値よりも少ないときに運転者によるブレーキペダルの操作形態が脚全体を動かしてペダル操作を行う脚ブレーキ操作であると推定するようペダル操作形態推定手段を構成している。
【0028】
これら請求項9又は10に記載のブレーキペダル操作形態推定装置においては、上記の制動力制御装置で説明したように、ペダル踏面の押圧分布を観ることによって運転者によるブレーキペダルの操作形態を把握することができる。
【0029】
上記目的を達成する為、請求項11記載の発明では、ブレーキペダルのペダル踏面における所定の部位に複数配設され、その部位に押圧力が働いた際に通電して部位毎に異なる出力信号を出力させる複数の押圧力検知部を有する押圧力検知手段と、その出力信号を出力させた押圧力検知部が配されている部位の位置情報に基づいてペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、を備えてブレーキペダル装置を構成している。
【0030】
例えば、請求項12記載の発明の如く、その押圧力検知部は、ペダル踏面に押圧力が働いた際に作動するスイッチと、このスイッチの作動に伴って通電される抵抗素子と、で構成し、更に、その抵抗素子には、夫々の押圧力検知部毎に異なる抵抗値のものを用意する。
【0031】
また例えば、請求項13記載の発明の如く、その各押圧力検知部は、夫々に異なる圧電特性を有する複数枚のペダルパッドとして構成する。
【0032】
これにより、この請求項11,12又は13に記載のブレーキペダル装置においては、このブレーキペダルを運転者が操作することによってペダル踏面の押圧分布を把握させることができる。
【0033】
また、上記目的を達成する為、請求項14記載の発明では、上記請求項11,12又は13に記載のブレーキペダル装置において、ペダル踏面における隣り合う押圧力検知部の間に溝部を設けている。
【0034】
この請求項14記載のブレーキペダル装置においては、隣り合う押圧力検知部の接触を防ぐことができるので、押圧力の誤検知の回避が可能になり、精度良くペダル踏面の押圧分布を求めさせることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置は、運転者によるブレーキペダルの操作形態が把握できるので、その操作形態に応じた目標車輌制動制御値へと補正することによって、その操作形態に適した良好な制動制御を実行することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例1を図1から図12に基づいて説明する。
【0038】
最初に、本実施例1の制動力制御装置の構成について図1を用いて説明する。この図1には、その制動力制御装置が適用される車輌を示している。
【0039】
本実施例1の車輌には、各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに機械的な車輪制動トルクを発生させる制動装置が設けられている。この制動装置は、電子制御装置(ECU)1によってその動作が制御され、目標車輌制動制御値に応じた車輪制動トルクを各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに発生させる。
【0040】
従って、本実施例1の電子制御装置1には、その目標車輌制動制御値を求める目標車輌制動制御値算出手段1aと、その目標車輌制動制御値を満足させる夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRの目標車輪制動制御値を求める目標車輪制動制御値算出手段1bと、制動装置を駆動制御してその目標車輪制動制御値を夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに働かせる制動装置制御手段1cと、が用意されている。
【0041】
その目標車輌制動制御値とは、主として運転者によるブレーキペダル20の操作状況量(ペダルストローク量やペダルストローク位置、ペダル踏力やペダル操作速度等)に応じた車輌の制動に要する目標値のことであり、具体的に目標車輌制動力や目標車輌減速度等が該当する。例えば、ブレーキペダル20の操作状況量が大きい(即ち、ペダルストローク量が多い、ペダルストローク位置が深い、ペダル踏力が強い、ペダル操作速度が早い)ほどに目標車輌制動制御値を大きくして、車輌に大きな制動力(減速度)を働かせる。本実施例1においては、その操作状況量に対応する目標車輌制動制御値を予め実験やシミュレーションによって求め、その対応関係をマップデータとして用意しておく。
【0042】
このように、ここでは、ブレーキペダル20の操作状況量が目標車輌制動制御値を設定する際の重要な因子となっている。これが為、本実施例1においては、その操作状況量を検出可能なブレーキペダル操作状況量検出手段が必要であり、このブレーキペダル操作状況量検出手段として、ペダルストローク位置の検出を行うペダルストローク位置検出手段31やペダル踏力の検出を行うペダル踏力検出手段32が用意されている。そのペダルストローク位置検出手段31は、この技術分野における周知の構成により成るものであり、例えばブレーキペダル20に配設したペダルストローク位置検出センサ等が考えられる。ここでは、このペダルストローク位置検出手段31により検出されたペダルストローク位置の情報の変化を観ながら目標車輌制動制御値算出手段1aがペダルストローク量を算出する。また、そのペダル踏力検出手段32についても、この技術分野における周知の構成により成るものであり、例えばブレーキペダル20に配設したペダル踏力検出センサやペダル踏力検出スイッチ等が考えられる。尚、ペダル操作速度については、そのペダルストローク量とブレーキペダル20の移動時間とに基づいて求めることができる。
【0043】
更に、上述した目標車輪制動制御値とは、目標車輌制動制御値を車輌に働かせる為に各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに分担させる制動目標値のことであり、具体的に目標車輪制動トルクや目標車輪制動力等が該当する。本実施例1の目標車輪制動制御値算出手段1bは、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して発生させる目標車輪制動制御値を目標車輌制動制御値が満たされるように求めるが、その演算の際に例えば車輌前後加速度,車輌横加速度,ヨーモーメントや各車輪10FL,10FR,10RL,10RRのスリップ率等を勘案することが望ましい。つまり、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの目標車輪制動制御値については、少なくとも車輌の挙動が不安定にならない範囲内で目標車輌制動制御値を各々に分担させることが好ましい。
【0044】
ここで、本実施例1の制動装置としては、油圧の力により夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに機械的な車輪制動トルクを付与し、これにより車輌制動力を発生させる所謂油圧ブレーキ装置を例示する。例えば、この制動装置は、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに配設したキャリパーやブレーキパッド、ディスクロータ等からなる油圧制動手段41FL,41FR,41RL,41RRと、これら各油圧制動手段41FL,41FR,41RL,41RRのキャリパーに対して各々に油圧(即ち、ブレーキオイル)を供給する油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRと、運転者によりブレーキペダル20に入力されたペダル踏力を倍化させる制動倍力手段(ブレーキブースタ)43と、この制動倍力手段43により倍化されたペダル踏力をブレーキ液の液圧(油圧)へと変換するマスタシリンダ44と、その変換された油圧をそのまま又は調節して各油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRに伝える油圧調節手段(以下、「ブレーキアクチュエータ」という。)45と、を備えている。
【0045】
本実施例1においては、夫々の油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRの油圧を個別に調節可能なブレーキアクチュエータ45について例示する。つまり、本実施例1の制動装置においては、各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して夫々独立した大きさの車輪制動トルクを発生させることができる。例えば、そのブレーキアクチュエータ45は、オイルリザーバ,オイルポンプ,夫々の油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRの油圧を各々に増減する為の増減圧制御弁の如き種々の弁装置等を含み、その弁装置等を電子制御装置1の制動装置制御手段1cに駆動制御させることによって所謂ABS制御やブレーキアシスト制御等が行われるように構成されている。その増減圧制御弁は、通常時にはマスタシリンダ44により制御されて各油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRの油圧を夫々調節する。一方、この増減圧制御弁は、ABS制御時等のように必要に応じて制動装置制御手段1cによってデューティ比制御され、各油圧配管42FL,42FR,42RL,42RRの油圧の調節を夫々に行う。
【0046】
ところで、運転者によるブレーキペダル20の操作形態は、必ずしもあらゆる状況下で不変であるとは限らない。例えば、その操作形態は、踵を床(floor)に着け、その踵を支点に足首を前後に動かしてブレーキペダル20の操作を行う図2に示す足首ブレーキ操作と、脚全体を動かしてブレーキペダル20の操作を行う図3に示す脚ブレーキ操作と、に大別される。通常、足首ブレーキ操作は、ブレーキペダル20の操作状況量(ペダルストローク量やペダルストローク位置、ペダル踏力やペダル操作速度等)を細かく調節する場合などに効果的であり、また、脚ブレーキ操作は、急制動等の様に車輌に大きな制動力を働かせたい場合などに効果的である。尚、これはあくまでも一例であり、その操作状況量を微調整するときに脚ブレーキ操作を行ってもよく、車輌制動力を大きくしたいときに足首ブレーキ操作を行ってもよい。つまり、どの様な操作形態でブレーキペダル20を操作するのかについては、運転者の意思や癖などに依存する。
【0047】
ここで、一般に、足首ブレーキ操作の場合には、ブレーキペダル20の踏み込み量が大きくなると(換言すれば、ペダルストローク位置が深くなると)、ある時点で足首の自由度が無くなって、これ以上踵を支点にしたブレーキペダル20の踏み込みを行い難くなる。そして、その際には、図4に示す如く、踵が床(floor)の上をずれていくと共に爪先がブレーキペダル20のペダル踏面21aの上を滑っていく。これが為、足首ブレーキ操作によってブレーキペダル20がある程度まで深く踏み込まれていったときには、その踵ずれによってペダル踏力が減少してしまう(換言すれば、ペダルストローク量が小さくなってしまう)ので、運転者が望んでいるよりも目標車輌制動制御値が小さく設定されて、車輌に対して所望の車輌制動力(車輌減速度)を発生させることができない。
【0048】
一方、脚ブレーキ操作の場合には、一般に足を床(floor)に着けることなくペダル踏面21aよりも上から踏み下ろすので、所定のペダルストローク位置に達するまでの間は踏み込みの慣性力が大きくなる。そして、これによりその間のペダル踏力が運転者の意図するよりも慣性力の分だけ大きくなるので、その間においては、運転者が望んでいるよりも大きい目標車輌制動制御値が設定されて、車輌に対して必要以上に大きな車輌制動力(車輌減速度)が発生してしまう。
【0049】
従って、ここでは、ブレーキペダル20の操作状況量が同じであっても、そのブレーキペダル20の操作形態如何で最適な目標車輌制動制御値が異なるので、その操作形態に応じて目標車輌制動制御値を調節させることが好ましい。そこで、本実施例1においては、運転者によるブレーキペダル20の操作形態を推定するペダル操作形態推定手段1dと、その操作形態に応じて目標車輌制動制御値を補正する目標車輌制動制御値補正手段1eと、を電子制御装置1に用意する。
【0050】
先ず、ペダル操作形態推定手段1dについて説明する。
【0051】
足首ブレーキ操作の場合には、図2に示す如く、車輌搭載状態のペダル踏面21aにおける足裏との接点(即ち、ペダル押圧位置Pp)が下から上へと大きく移動しながらペダルストローク量Dsが増加していく。一方、脚ブレーキ操作の場合には、図3に示す如く、その接点(ペダル押圧位置Pp)の上下方向の移動が小さいままペダルストローク量Dsが増加していく。つまり、ペダルストローク量Dsに対するペダル踏面21aにおける接点(ペダル押圧位置Pp)の上下方向の移動量が大きければ足首ブレーキ操作と判断することができる一方、ペダルストローク量Dsに対するその接点(ペダル押圧位置Pp)の上下方向の移動量が小さければ脚ブレーキ操作と判断することができる。従って、運転者によるブレーキペダル20の操作形態については、ペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppの上下方向の軌跡を明らかにすることによって推定できるようになる。
【0052】
そこで、本実施例1においては、ペダル踏面21a上の押圧力を検知する押圧力検知手段を設けると共に、その検知結果に基づいてペダル踏面21aの押圧分布を求める押圧分布算出手段1fを電子制御装置1に用意しておく。
【0053】
例えば、その押圧力検知手段としては、圧力を検知する感圧手段が考えられる。以下に、その感圧手段が用意されたブレーキペダル20の一例について示す。
【0054】
図5に示すブレーキペダル20Aは、ペダル踏面21aを形成するペダル21Aと、このペダル21Aを保持するペダルアーム22と、そのペダル21Aの内部に配設した感圧手段としての感圧素子(例えば、圧電素子)23A1,23A2と、を備えて構成されたものである。
【0055】
その感圧素子23A1,23A2は、ペダル主体211に覆設された弾性体のペダルパッド212Aの内部に車輌搭載状態のペダル踏面21aの上部と下部とに分けて各々埋設され、そのペダルパッド212Aの変形に応じて圧力を検知するものである。尚、そのペダルパッド212Aの表面がペダル踏面21aを成している。これが為、運転者がペダル踏面21aを踏んだ際には、そのペダル押圧力が感圧素子23A1,23A2によって検出され、この検出信号が電線やワイヤー等の夫々の通信線24A1,24A2を介して電子制御装置1に送信される。従って、その検出信号を受け取った電子制御装置1の押圧分布算出手段1fは、そのペダル踏面21aにおける押圧分布を求めることができ、その押圧分布に変化があれば、その変移の演算が可能になる。更に、この押圧分布算出手段1fは、感圧素子23A1,23A2の検出結果や押圧分布の演算結果に基づいてペダル押圧位置Ppを求めることもできる。
【0056】
ここで、その通信線24A1,24A2は、ペダル主体211に形成した図6に示す貫通孔211aを介してペダル21Aの裏面(ペダル踏面21aとは反対側の面)へと導き出される。そして、この夫々の通信線24A1,24A2は、ペダルアーム22に沿って配索され、このペダルアーム22に対して図6,7に示すクリップ等の通信線保持体25によって固定される。従って、ここでは、ペダル操作する際の通信線24A1,24A2の断線を防ぐことができ、ペダル押圧位置Pp検知の信頼性を高めることができる。
【0057】
本実施例1においては、このようにペダル踏面21aの上部と下部とに少なくとも1つずつ感圧素子23A1,23A2を配置したが、感圧素子(感圧手段)は、そのペダル踏面21aの車輌搭載状態における上下方向に更に分けて多数配置してもよい。これにより、その場合には、更に精度の高いペダル踏面21aの押圧分布とペダル押圧位置Ppの検知が可能になる。
【0058】
このように、ここでは、上述したブレーキペダル20Aと電子制御装置1の押圧分布算出手段1fとによって、ペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppを検知可能な本実施例1のブレーキペダル装置が構成される。
【0059】
本実施例1のペダル操作形態推定手段1dには、そのペダル踏面21aにおける押圧分布の上下方向の変移の結果と検出したペダルストローク量Dsとに基づいて足首ブレーキ操作であるのか脚ブレーキ操作であるのかについての判別を実行させる。
【0060】
本実施例1においては、そのペダルストローク量Dsに対する押圧分布の上下方向への変移量を所定値と比較し、ペダル踏面21aの下部側から上部側への変移量が所定値以上の場合に足首ブレーキ操作と推定させ、その上下方向の変移量が所定値よりも少ない場合に脚ブレーキ操作と推定させるようペダル操作形態推定手段1dを構成しておく。その所定値としては、足首ブレーキ操作と脚ブレーキ操作との境界に該当する閾値(ペダルストローク量に対する押圧分布の上下方向への変移量)を予め実験やシミュレーションにより求め、これを設定すればよい。
【0061】
このように、本実施例1においては、押圧分布検出手段たる感圧素子23A1,23A2と、電子制御装置1のペダル操作形態推定手段1d及び押圧分布算出手段1fと、によってブレーキペダル操作形態推定装置が構成される。
【0062】
本実施例1の目標車輌制動制御値補正手段1eには、そのペダル操作形態推定手段1dの推定結果に応じて目標車輌制動制御値算出手段1aにより算出された目標車輌制動制御値を補正させる。
【0063】
例えば、この目標車輌制動制御値補正手段1eは、足首ブレーキ操作と推定された場合、ブレーキペダル20(20A)のペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以上になったときに目標車輌制動制御値を増大させる補正値の算出を行うよう構成する。その基準ペダルストローク位置としては、例えば、上述した踵ずれが起こる手前のペダルストローク位置を車輌の平均的な運転者の体格を参考にして予め設定しておく。また、その際の補正値については、予め実験やシミュレーションを行い、例えばペダルストローク位置に対応させた足首ブレーキ操作時の図8に示すマップデータとして用意しておく。この補正値は、その図8に示す如く、ペダルストローク位置が基準ペダルストローク位置を超えて深くなるほどに増大側へと大きく補正されるよう設定している。つまり、ペダルストローク位置が基準ペダルストローク位置を超えて深くなるほどに運転者のペダル踏力が低下していくので、少なくともその低下分が補われるように目標車輌制動制御値を徐々に増大させていく。
【0064】
一方、この目標車輌制動制御値補正手段1eは、脚ブレーキ操作と推定された場合、ブレーキペダル20(20A)のペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以下のときに目標車輌制動制御値を減少させる補正値の算出を行うよう構成する。このときの基準ペダルストローク位置としては、例えば、上述した慣性力が大から小へと変化する変化点におけるペダルストローク位置を車輌の平均的な運転者の体格を参考にして予め設定しておく。また、その際の補正値については、予め実験やシミュレーションを行い、例えばペダルストローク位置に対応させた脚ブレーキ操作時の図9に示すマップデータとして用意しておく。この補正値は、その図9に示す如く、ペダルストローク位置が深くなりながら基準ペダルストローク位置に近づくほどに目標車輌制動制御値の減少度合いが少なくなるよう設定している。つまり、ペダルストローク位置が基準ペダルストローク位置に到達するまではペダルストローク位置が浅いほど運転者のペダル踏力が慣性力で強くなっているので、少なくともその強くなった分が補われるように目標車輌制動制御値を減少させていく。
【0065】
このように、本実施例1においては、目標車輌制動制御値を運転者によるブレーキペダル20の操作形態(足首ブレーキ操作又は脚ブレーキ操作)に応じた適切な値へと補正することができる。
【0066】
更に、この目標車輌制動制御値補正手段1eは、ペダル押圧位置Ppに応じた目標車輌制動制御値の補正値の算出を行うよう構成する。つまり、一般に、運転者は、ブレーキペダル20の踏み込み量(ペダルストローク量Ds)を多くするほど大きな車輌制動力(車輌減速度)が車輌に働くことを望んでいるものである。そして、足首ブレーキ操作の場合には、ペダルストローク量Dsに応じてペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppが下から上へと移動していくので、そのことから運転者の意思を知ることができる。これが為、本実施例1の目標車輌制動制御値補正手段1eには、ペダル押圧位置Ppが上へと移動するにつれて車輌に大きな車輌制動力(車輌減速度)が働くように補正値を設定させる。これにより、本実施例1においては、目標車輌制動制御値を運転者によるブレーキペダル20の操作状況に応じた適切な値へと補正することができる。
【0067】
ここで、その補正値は、ペダル押圧位置Ppに対応する値を予め実験やシミュレーションによって求め、例えば図10に示すマップデータとして用意しておく。この図10のマップデータにおいては、ペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの上部へと近づくにつれて補正値が大きくなるように設定されている。また、例えば、ペダル踏面21aの押圧分布が下部に集中していれば制動初期と推定でき、その押圧分布が中央に集中していれば制動中期と推定でき、その押圧分布が上部に集中していれば制動後期と推定できるので、ここでの補正値については、その制動時期に適応させた値を予め実験やシミュレーションによって求め、マップデータとして用意しておいてもよい。
【0068】
尚、大方の運転者は、ペダル踏面21aの下部よりも上部を踏み込むことによって大きな車輌制動力(車輌減速度)を車輌に働かせようとするものである。従って、このペダル押圧位置Ppに応じた目標車輌制動制御値の補正については、ブレーキペダル20の操作形態に拘わらず実行させてもよい。
【0069】
ところで、本実施例1においては、上述した目標車輌制動制御値補正手段1eによって運転者によるブレーキペダル20の操作形態や操作状況に適応させた目標車輌制動制御値を設定することができるが、厳密に言えば、運転者の体格についても考慮した上で最終的な目標車輌制動制御値を設定すべきである。つまり、一般的には体格の小さな運転者よりも体格の大きな運転者の方が相対的に力(主に脚力等)が強く、体格が大きくなるにつれてペダル踏力が強くなるものであるので、体格の大きな運転者ほど目標車輌制動制御値を下げなければ、必要以上に車輌制動力(車輌減速度)が働いてしまい、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。そして、運転者の体格の差は、運転席の前後位置に表れるものである。
【0070】
そこで、本実施例1においては、運転席の前後位置を検出する運転席前後位置検出手段33を設け、その前後位置に応じて目標車輌制動制御値の補正値を求めるよう目標車輌制動制御値補正手段1eを構成する。
【0071】
例えば、この場合の目標車輌制動制御値補正手段1eには、その前後位置が基準位置に対して後方寄りであればあるほど目標車輌制動制御値を減少させる補正値の算出を行わせる一方、その前後位置が基準位置に対して前方寄りであればあるほど目標車輌制動制御値を増大させる補正値の算出を行わせる。その補正値については、運転席の前後位置に対応させた値を予め実験やシミュレーションによって求め、図11に示すマップデータとして用意しておく。また、ここでは、その前後位置が基準位置と同じであれば、目標車輌制動制御値の補正が為されないようにする。その基準位置とは、例えば、車輌の購買対象者における平均的な体格の者が着座したときの前後位置を設定しておけばよい。このように、本実施例1においては、運転者の体格をも考慮に入れて最終的な目標車輌制動制御値を設定する。
【0072】
ここで、本実施例1の運転席前後位置検出手段33としては、例えば、運転席の前後位置を検出可能な位置センサを用いてもよく、また、電動で前後位置や座面位置等を変更できる運転席(所謂電動パワーシート)であれば電動モータの駆動時間や主軸の回転角度等を利用してもよい。
【0073】
以下に、本実施例1の制動力制御装置の動作について図12のフローチャートに基づき説明する。
【0074】
先ず、本実施例1の電子制御装置1には、運転者による制動要求時(ブレーキペダル20が操作されたとき)に、ブレーキペダル20の操作状況量(ペダルストローク位置,ペダルストローク量Ds,ペダル踏力及びペダル操作速度等)の情報が取得される(ステップST1)。
【0075】
ここでの電子制御装置1は、ペダルストローク位置検出手段31とペダル踏力検出手段32から夫々送られてきた検出結果に基づいてペダルストローク位置とペダル踏力の各情報を取得する。また、ペダルストローク量Dsは、電子制御装置1がペダルストローク位置の変化に基づき算出することによって取得できる。また、ペダル操作速度は、電子制御装置1がペダルストローク量Dsとブレーキペダル20の移動時間(操作時間)とから算出することによって取得できる。
【0076】
続いて、この電子制御装置1の目標車輌制動制御値算出手段1aは、そのブレーキペダル20の操作状況量に応じた目標車輌制動制御値(目標車輌制動力や目標車輌減速度)を上述したマップデータから求める(ステップST2)。
【0077】
また、この電子制御装置1は、その押圧分布算出手段1fによってペダル踏面21aの押圧分布とペダル押圧位置Ppを検知する(ステップST3)。その押圧分布算出手段1fは、上述したように、押圧力検知手段(ここでは、感圧素子23A1,23A2)により検知されたペダル踏面21aに対するペダル押圧力を観ることで当該ペダル踏面21aの押圧分布を求め、この押圧分布からペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの上下方向の何処に位置しているのかを把握する。このステップST3は、ペダル操作が継続中であれば繰り返し実行される。
【0078】
そして、この電子制御装置1の目標車輌制動制御値補正手段1eは、上記ステップST3で検知されたペダル押圧位置Ppに対応する補正値(ここでの説明においては、便宜上「第1補正値」という。)を上述したマップデータから求める(ステップST4)。
【0079】
更に、この電子制御装置1は、そのペダル操作形態推定手段1dにより、運転者によるブレーキペダル20の操作形態(足首ブレーキ操作であるのか脚ブレーキ操作であるのか)を推定する(ステップST5)。ここでは、上述したようにペダルストローク量Dsに対する押圧分布の上下方向への変移量に基づいて操作形態の推定を実行させるが、そのペダルストローク量Dsに対するペダル押圧位置Ppの上下方向への変移量を観ることによって操作形態を推定してもよい。
【0080】
そして、目標車輌制動制御値補正手段1eは、その推定されたブレーキペダル20の操作形態に対応する補正値(ここでの説明においては、便宜上「第2補正値」という。)を上述したが如くして求める(ステップST6)。尚、その第2補正値は、制動初期の様にペダルストローク位置が浅ければ、足首ブレーキ操作のときに算出されず、脚ブレーキ操作のときに算出される。一方、この第2補正値は、制動後期の様にペダルストローク位置が深ければ、足首ブレーキ操作のときに算出され、脚ブレーキ操作のときに算出されない。
【0081】
続けて、この目標車輌制動制御値補正手段1eは、運転席前後位置検出手段33から検出された運転席の前後位置に対応する補正値(ここでの説明においては、便宜上「第3補正値」という。)を上述したマップデータから求める(ステップST7)。つまり、このステップST7においては、運転者の体格に応じた第3補正値を求める。
【0082】
以上の様にして第1から第3の補正値を求めた後、目標車輌制動制御値補正手段1eは、上記ステップST2で求めた目標車輌制動制御値を第1から第3の補正値で補正する(ステップST8)。例えば、その第1から第3の補正値は、目標車輌制動制御値に加算する補正量であってもよく、その目標車輌制動制御値に対して乗算する補正量であってもよい。
【0083】
次に、この電子制御装置1の目標車輪制動制御値算出手段1bは、その補正後の目標車輌制動制御値が車輌に働くように車輌前後加速度や車輌横加速度等を考慮して夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRの目標車輪制動制御値(目標車輪制動トルクや目標車輪制動力)を求める(ステップST9)。そして、この電子制御装置1の制動装置制御手段1cは、その夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して各々の目標車輪制動制御値が働くようにブレーキアクチュエータ45を駆動制御し、その各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの制動制御を実行する(ステップST10)。
【0084】
これにより、本実施例1の車輌においては、運転者のペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Pp,運転者によるブレーキペダル20の操作形態(足首ブレーキ操作であるのか脚ブレーキ操作であるのか)及び運転者の体格に応じた適切な車輌制動力(車輌減速度)が働く。つまり、本実施例1のブレーキペダル装置によって的確なペダル踏面21aの押圧分布が検知されると共に、本実施例1のブレーキペダル操作形態推定装置によって運転者によるブレーキペダル20の操作形態が的確に推定されるので、本実施例1の制動力制御装置によれば、運転者に合わせた最適な制動状態となるように車輌制動力(車輌減速度)を制御することができる。従って、車輌が制動力不足や制動力過多とならずに済むので、車輌は挙動の安定した制動動作を行うことができ、更に、運転者にとっては制動力不足や制動力過多による違和感を覚えることなくブレーキ操作を続けることができる。
【0085】
ここで、上述した本実施例1の各種構成においてペダル踏面21aの左右の押圧分布についても検知させる場合には、押圧力検知手段(感圧手段)を更にペダル踏面21aの左側と右側とに分けて配設すればよい。
【実施例2】
【0086】
次に、本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例2を図13から図18に基づいて説明する。
【0087】
前述した実施例1においては、ペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppを検知する為に感圧手段による押圧力検知手段をペダル21Aの内部に配設した。本実施例2は、その実施例1とは異なる以下に示す押圧力検知手段を設け、それによってペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppを検知させる。尚、本実施例2においては、その変更点に係る構成以外、実施例1の制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置と同様に構成している。以下に、本実施例2のブレーキペダル20について幾つか例示する。
【0088】
図13に示すブレーキペダル20Bは、ペダル踏面21aを形成するペダル21Bと、このペダル21Bを保持するペダルアーム22と、そのペダル21Bの内部に配設した押圧力検知手段を成す第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3と、を備えて構成されたものである。
【0089】
その第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3とは、各々図14の模式図に示すように、電源51に接続されたスイッチSW1〜SW3と、これら各スイッチSW1〜SW3に夫々接続された抵抗体R1〜R3と、これら各抵抗体R1〜R3に夫々接続された電線やワイヤー等の通信線24B1〜24B3と、を備えて構成されたものであり、夫々にペダル踏面21aの上部,中央部,下部に配置させる。
【0090】
例えば、その第1押圧力検知部23B1は、図15に示す如く、少なくともスイッチSW1がペダル主体211と弾性体のペダルパッド212Bとの間に配設されたものであり、ペダル踏力に伴うペダルパッド212Bの変形に従ってスイッチSW1が投入され、抵抗体R1への通電が行われる。そして、この第1押圧力検知部23B1は、その抵抗体R1への通電に伴う電圧降下を測定し、その出力電圧を通信線24B1から電子制御装置1へと送る。例えば、その通信線24B1は、実施例1のペダル主体211と同様の貫通孔211a(図示略)を介してペダル21Bの裏面に導き出され、通信線保持体25によってペダルアーム22に固定される。また、通常のペダル主体211は金属等の導電性材料で成型されているので、スイッチSW1は、そのペダル主体211との間に絶縁層213Bを介装して配設することが望ましい。
【0091】
ここで、その図15においては第1押圧力検知部23B1のみを図示しているが、残りの第2及び第3の押圧力検知部23B2,23B3についても第1押圧力検知部23B1と同様に構成する。つまり、その第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3においては、夫々に専用の出力系統(出力1〜出力3)が用意されているので、何れが通電しているか(即ち、何れの通信線24B1〜24B3から出力されているか)を観るによってペダル踏面21aの何処に配置されたものであるかを自身の位置情報から知ることができ、ペダル押圧位置Ppが何処にあるのかを把握することができる。例えば、第1押圧力検知部23B1の通信線24B1からの出力信号を検知した際には、電子制御装置1の押圧分布算出手段1fは、ペダル踏面21aの上部がペダル押圧位置Ppとなっており、この上部に押圧分布が集中していると判断する。
【0092】
ところで、本実施例2のペダルパッド212Bには、図13及び図14に示す如く、隣り合う押圧力検知部(第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3)の間に切り欠き等の溝部212B1を設けている。この溝部212B1は、隣り合う押圧力検知部同士が接触しないような位置関係に形成される。従って、この溝部212B1は、隣り合う押圧力検知部同士の通電を回避し、ペダル押圧位置Ppの誤検知を防ぐことができる。更に、この溝部212B1は、足裏の滑り止めの機能も為している。
【0093】
以上示したように、この本実施例2の押圧力検知手段の場合には、上述したが如く、出力系統が第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3毎に用意されているので、各抵抗体R1〜R3の抵抗値の大きさに拘わらずペダル踏面21aのペダル押圧位置Ppと押圧分布を検知することができる。
【0094】
一方、その図13〜図15の押圧力検知手段において夫々の抵抗体R1〜R3の抵抗値の大きさを変えた場合には、第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3毎に出力電圧が異なるので、出力系統が一纏めになっていても、どのスイッチSW1〜SW3が投入されているのか判断することが可能である。従って、異なる抵抗値の抵抗体R1〜R3を用いる場合には、図16及び図17に示すブレーキペダル20Cの様に構成したとしても、そのブレーキペダル20Bと同様にペダル踏面21aのペダル押圧位置Ppと押圧分布を検知することができる。つまり、このブレーキペダル20Cにおいては、押圧力検知手段が抵抗値切替手段として構成されており、ペダル押圧位置Ppに従い抵抗値が切り替えられて出力電圧が変化するので、そのペダル押圧位置Ppの把握が可能になる。そして、このブレーキペダル20Cは、上述したブレーキペダル20Bよりも部品点数(通信線24B1〜24B3)を簡素化することができるので、コスト低減にも寄与することができる。
【0095】
具体的に、そのブレーキペダル20Cは、図16に示す如く、ペダル踏面21aを形成するペダル21Cと、このペダル21Cを保持するペダルアーム22と、そのペダル21Cの内部に配設した押圧力検知手段を成す第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3と、これら第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3からの出力電圧の情報を電子制御装置1に伝える電線やワイヤー等の通信線24Cと、を備えて構成されたものである。
【0096】
その第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3は、各々図17の模式図に示すように、電源51に接続されたスイッチSW1〜SW3と、これら各スイッチSW1〜SW3に夫々接続された異なる抵抗値の抵抗体R1〜R3と、を備えて構成され、夫々にペダル踏面21aの上部,中央部,下部に上述した第1から第3の押圧力検知部23B1〜23B3と同等の配置で配備される。つまり、これら第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3においても、少なくともスイッチSW1〜SW3がペダル主体211と弾性体のペダルパッド212Cとの間に配設されている。尚、そのペダルパッド212Cには、上述したペダル21Bの溝部212B1と同じ機能を為す溝部212C1が隣り合う押圧力検知部(第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3)の間に設けられている。
【0097】
ここで例示する押圧力検知手段においては、第1から第3の押圧力検知部23C1〜23C3の夫々の抵抗体R1〜R3が1本の通信線24Cに接続されている。つまり、ここでの押圧力検知手段は、出力系統が上記とは異なり1つに集約されている。尚、この押圧力検知手段においては、その1本の通信線24Cが実施例1のペダル主体211と同様の貫通孔211a(図示略)を介してペダル21Cの裏面に導き出され、通信線保持体25によってペダルアーム22に固定される。
【0098】
ここで、上述した2種類の本実施例2のブレーキペダル20B,20Cは3つの押圧力検知部を備えるものとして例示したが、押圧力検知手段としては、その押圧力検知部を少なくともペダル踏面21aの上部と下部に2つ備えていればよい。例えば、その押圧力検知手段を2つの押圧力検知部で構成する場合には、次のようにしてペダル踏面21aのペダル押圧位置Ppと押圧分布を検知させればよい。
【0099】
この場合のブレーキペダルは、これまで説明した本実施例2のブレーキペダル20B,20Cにおいて、押圧力検知手段を図18の模式図に示す2つの押圧力検知部(第1及び第2の押圧力検知部23D1,23D2)を有する押圧力検知手段へと置き換えたものである。
【0100】
例えば、その第1及び第2の押圧力検知部23D1,23D2は、電源51に接続されたスイッチSW1,SW2と、これら各スイッチSW1,SW2に夫々接続された異なる抵抗値の抵抗体R1,R2と、を備えて構成され、夫々にペダル踏面21aの上部と下部に上記と同様にして配置される。そして、その夫々の抵抗体R1,R2は、上述したブレーキペダル20Cと同様に1本の通信線24Dに接続される。つまり、ここで示す押圧力検知手段は、ブレーキペダル20Cの押圧力検知手段においてペダル踏面21aの中央部の第2押圧力検知部23C2を取り除いたものと同じである。
【0101】
尚、このペダル21Dを成す弾性体のペダルパッド212Dには、上述した溝部212B1,溝部212C1と同じ機能を為す溝部212D1が第1押圧力検知部23D1と第2押圧力検知部23D2との間に設けられている。
【0102】
このブレーキペダルにおいては、出力電圧に基づき電子制御装置1の押圧分布算出手段1fがスイッチSW1のみON状態にあると判断した場合、ペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの上部に存在していると把握させる。また、これと同様に、押圧分布算出手段1fには、出力電圧に基づきスイッチSW2のみがON状態にあると判断した場合、ペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの下部に存在していると把握させる。一方、この押圧分布算出手段1fには、出力電圧に基づいてスイッチSW1,SW2の双方がON状態にあると判断した場合、ペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの中央部に存在していると把握させる。
【0103】
ところで、上述した本実施例2の各種構成においてペダル踏面21aの左右の押圧分布についても検知させる場合には、押圧力検知部を更にペダル踏面21aの左側と右側とに分けて配設すればよい。
【実施例3】
【0104】
次に、本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例3を図19に基づいて説明する。
【0105】
前述した各実施例1,2においては、別構成の押圧力検知手段を用いてペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppと押圧分布を検知させている。本実施例3は、そのような別構成の押圧力検知手段を用意することなくペダルに押圧力検知手段を構築したものである。
【0106】
例えば、ここでは、感圧ゴム等の弾性を有する圧電材料で成型した複数枚のペダルパッドをペダル踏面21aとして用意し、押圧力が働いたペダルパッドからの出力電圧によってペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppと押圧分布を検知させる。つまり、本実施例3においては、既知の構成部品たるペダルパッド自体に押圧力検知手段としての機能を担わせて構成の簡素化を図る。尚、本実施例3においては、その変更点に係る構成以外、実施例1の制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置と同様に構成している。
【0107】
この種のブレーキペダル20Eは、図19に示す如く、ペダル踏面21aを形成すると共に押圧力検知手段としての機能をも為すペダル21Eと、このペダル21Eを保持するペダルアーム22と、を備えている。ここでのペダル21Eは、これまでと同様のペダル主体211と、このペダル主体211のペダル踏面21a側の面に配設された絶縁層213Eと、この絶縁層213Eの上に配設されたペダルパッド212Eと、によって構成する。そして、ここでは、ペダル踏面21aの上部を成す上部ペダルパッド212E1と、ペダル踏面21aの下部を成す下部ペダルパッド212E2と、を少なくとも備えてペダルパッド212Eを構成する。これら上部ペダルパッド212E1と下部ペダルパッド212E2の間には隙間を設け、お互いの出力に影響を与えないようにする。つまり、このブレーキペダル20Eにおいては、その上部ペダルパッド212E1からの出力のみが検出された場合にペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの上部に存在していると把握させ、その下部ペダルパッド212E2からの出力のみが検出された場合にペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの下部に存在していると把握させる。また、その双方(上部ペダルパッド212E1と下部ペダルパッド212E2)からの出力が検出された場合には、ペダル押圧位置Ppがペダル踏面21aの中央部に存在していると把握させる。
【0108】
ここで、その上部ペダルパッド212E1と下部ペダルパッド212E2は、夫々の通信線24E1,24E2によって出力信号を電子制御装置1に送らせるものとして例示する。従って、この場合には、上部ペダルパッド212E1と下部ペダルパッド212E2の出力電圧(換言すれば、抵抗値)の一致、不一致に拘わらずペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppと押圧分布の検知が可能である。その通信線24E1,24E2は、実施例1,2のペダル主体211と同様の貫通孔211a(図示略)を介してペダル21Eの裏面に導き出され、通信線保持体25によってペダルアーム22に固定される。
【0109】
ところで、その夫々の通信線24E1,24E2は一纏めにしてもよく(即ち、出力系統を1つにしてもよく)、その場合の上部ペダルパッド212E1と下部ペダルパッド212E2は、夫々に異なる圧電特性の圧電材料で成型して各々の出力電圧(抵抗値)が異なる値になるように設定しておき、ペダル踏面21aのペダル押圧位置Ppと押圧分布が的確に把握されるようにする必要がある。
【0110】
また、本実施例3の構成においてペダル踏面21aの左右の押圧分布についても検知させる場合には、ペダルパッド212Eをペダル踏面21aの左側と右側にも分割して配設すればよい。
【実施例4】
【0111】
次に、本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例4を図20から図24に基づいて説明する。
【0112】
前述した夫々の実施例1,3の押圧力検知手段は、少なくともペダル踏面21aの上下方向における何処に押圧力が働いているのかを検出できればよいので、その押圧力の原因たる運転者のペダル踏力の大きさまでは詳細に検出することができない。また、前述した実施例2の押圧力検知手段は、ペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppを検知できさえすればよいので、ペダル踏力の大きさを検出することができない。従って、これら各実施例1〜3においては、運転者のペダル踏力の大きさの検出を行うペダル踏力検出手段32が用意されている。
【0113】
本実施例4は、その実施例1〜3とは異なる構成で押圧力検知手段を構築し、更にその押圧力検知手段の検知結果を利用してペダル踏力の算出も行えるように構成する。つまり、本実施例4においては、以下に示す押圧力検知手段を用いて、ペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppを検知させると共にペダル踏力の大きさまでも算出させる。従って、本実施例4においては、図20に示す如く車輌にペダル踏力検出手段32が用意されていないものとして説明する。尚、ここでは、その変更点に係る構成以外、実施例1の制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置と同様に構成している。
【0114】
本実施例4のブレーキペダル20Fは、図21に示す如く、ペダル踏面21aを形成するペダル21Fと、このペダル21Fを保持するペダルアーム22と、そのペダル21Fとペダルアーム22の間に配備した押圧力検知手段と、を備えて構成する。
【0115】
先ず、本実施例4のペダル21Fは、曲面を有するペダル主体211と、このペダル主体211の曲面に積層した弾性体のペダルパッド212Fと、を備えている。このペダル21Fにおいては、そのペダルパッド212Fの外側の曲面がペダル踏面21aを成している。
【0116】
次に、本実施例4の押圧力検知手段は、図21及び図22に示す如く、ペダル21Fとペダルアーム22とを連結する上部連結体(左側上部連結体26FL1,右側上部連結体26FR1)と、下部連結体(左側下部連結体26FL2,右側下部連結体26FR2)と、その上部連結体及び下部連結体に働く力を各々検出可能な上部検出子及び下部検出子(左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2,右側下部検出子27FR2)と、その上部検出子及び下部検出子の検出信号を受信して電子制御装置1に送信する電線やワイヤー等の通信線24FL1,24FR1,24FL2,24FR2と、を備える。尚、その図22においては、括弧無しの符号が図21のZ1−Z1線で切った断面の部品を示しており、括弧有りの符号が図21のZ2−Z2線で切った断面の部品を示している。
【0117】
上部連結体は、その両端が夫々ペダル主体211の裏面(ペダル踏面21aとは反対側の面)の第1突設部211bとペダルアーム22とにネジ等で固定される。また、下部連結体についても同様に、その両端が夫々ペダル主体211の裏面(ペダル踏面21aとは反対側の面)の第2突設部211cとペダルアーム22とにネジ等で固定される。ここでは、その上部連結体と下部連結体とが図21に示す取付角θの角度で固定されている。
【0118】
また、左側上部連結体26FL1と右側上部連結体26FR1、左側下部連結体26FL2と右側下部連結体26FR2は、夫々に図22に示すペダル21Fの左右方向の中心線CLを中心にして同じ幅で左右対称の位置関係に設置されている。以下においては、その中心線CLを中心にして左右を定義する。
【0119】
ここで、上部検出子及び下部検出子としては、例えば、ペダル踏面21aにペダル踏力Fが働いた際の上部連結体及び下部連結体の歪み(長手方向の長さ変化)を夫々に検出する歪みゲージが考えられる。このような歪みゲージを用いる場合には、上部連結体と下部連結体を金属等の硬質の部材で成型し、更に、その検出結果からペダル踏力Fの分力F1,F2をベクトル量として演算させるように電子制御装置1を構成しておく。その上部検出子により検出される分力F1は、言い換えるならば、その大きさがペダル踏面21aの上部における押圧力となり、その向きがペダル踏面21aの上部における押圧力の荷重方向となる。同様に、下部検出子により検出される分力F2は、その大きさがペダル踏面21aの下部における押圧力となり、その向きがペダル踏面21aの下部における押圧力の荷重方向となる。その夫々の分力F1,F2の成す角度は、上述した上部連結体と下部連結体の取付角θに一致する。
【0120】
本実施例4においては上部検出子が左側上部検出子27FL1と右側上部検出子27FR1とに分けて用意されているので、その上部検出子の分力F1については、左側上部検出子27FL1により検出された左側上部押圧力FL1と、右側上部検出子27FR1により検出された右側上部押圧力FR1と、を用いて下記の式1で表すことができる。また、これと同様に、下部検出子の分力F2については、左側下部検出子27FL2により検出された左側下部押圧力FL2と、右側下部検出子27FR2により検出された右側下部押圧力FR2と、を用いて下記の式2で表すことができる。
【0121】
【数1】

【0122】
【数2】

【0123】
つまり、上述した夫々の分力F1,F2は、左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の全ての検出結果から求めることができる。そして、本実施例4の電子制御装置1にはペダル踏力を求める図20に示すペダル踏力算出手段1gが設けられており、そのペダル踏力算出手段1gには、夫々の分力F1,F2の大きさと、これら各分力F1,F2の成す角度θ(ペダル固有の一定値)と、を用いてペダル踏力を算出させる。
【0124】
具体的に、これら分力F1,F2の大きさと角度θとペダル踏力Fとの間には図23に示す直角三角形の関係が成立するので、ピタゴラスの定理から下記の式3を導くことができ、ペダル踏力Fの演算式(下記の式4)を求めることができる。ここで、その式4の「A」は、左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の検出信号(例えば、電圧値)を力の単位(例えば、「N」)へと換算する為の係数である。
【0125】
【数3】

【0126】
【数4】

【0127】
従って、本実施例4のペダル踏力算出手段1gには、左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の検出値と、既定値たる分力F1,F2の成す角度θ及び係数Aと、を式1,2,4に代入してペダル踏力Fの大きさを算出させる。
【0128】
更に、本実施例4においては、左側の検出子(左側上部検出子27FL1,左側下部検出子27FL2)により得られた図24に示す左側押圧力FLと、右側の検出子(右側上部検出子27FR1,右側下部検出子27FR2)により得られた図24に示す右側押圧力FRと、を利用して電子制御装置1の押圧分布算出手段1fにペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppの検知を行わせる。その左側押圧力FLは、左側上部検出子27FL1と左側下部検出子27FL2から検出された左側上部押圧力FL1と左側下部押圧力FL2の合力のことであり、上記式4の「F」を「FL」,「F1」を「FL1」,「F2」を「FL2」に置き換えた式から演算可能である。また、右側押圧力FRは、右側上部検出子27FR1と右側下部検出子27FR2から検出された右側上部押圧力FR1と右側下部押圧力FR2の合力のことであり、上記式4の「F」を「FR」,「F1」を「FR1」,「F2」を「FR2」に置き換えた式から演算可能である。
【0129】
ここでは、その左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の夫々の検出値を利用し、左側押圧力FLと右側押圧力FRの夫々のベクトル量の比率に基づいてペダル押圧位置Ppを求めさせる。
【0130】
具体的に、本実施例4においては、ペダル踏面21aの中心線CL上で上述した分力F1,F2の内の何れかの荷重方向に踏み込んだと仮定した際のペダル押圧位置を基準位置Pd(図21及び図22)として予め設定しておく。ここでは、ペダル踏面21aの下部側(分力F2側)に基準位置Pdを設定する。そして、押圧分布算出手段1fには、その基準位置Pdに対するペダル踏面21aの上下方向と左右方向の夫々のずれ量(オフセット量)を求めることによってペダル押圧位置Ppを推定させる。
【0131】
先ず、基準位置Pdに対するペダル踏面21aの上下方向のずれ量については、図23に示す如く、基準位置Pdを包含する分力F2の荷重方向(基準線)とペダル踏力Fの荷重方向の成す角度θ1が明らかになれば求めることができる。ここでは、上述した図23の直角三角形の関係を利用して下記の式5の関係式が成り立つので、この式5から角度θ1の演算式たる下記の式6が導かれる。このように、基準線に対するペダル踏力Fの荷重方向の成す角度θ1については、左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の検出値を利用して上記式1,2から演算できる分力F1,F2の大きさと、既定値たる分力F1,F2の成す角度θと、を用いて求めることができる。
【0132】
【数5】

【0133】
【数6】

【0134】
また、基準位置Pdに対するペダル踏面21aの左右方向のずれ量LOSについては、ペダル踏力Fと左側押圧力FLと右側押圧力FRとが或る点に働かせるモーメントの関係式から導き出すことができる。例えば、ここでは、右側の検出子(右側上部検出子27FR1,右側下部検出子27FR2)に働くモーメントの関係式が図24に示す例示において下記の式7の様に表される。尚、その式7の「Lw」は、左側の検出子(左側上部検出子27FL1,左側下部検出子27FL2)と右側の検出子(右側上部検出子27FR1,右側下部検出子27FR2)のペダル踏面21aの幅方向における間隔を表す。
【0135】
【数7】

【0136】
ここでは、ペダル踏力Fの荷重方向を正方向と定義し、これと同じ荷重方向を左側押圧力FLと右側押圧力FRの夫々の正方向と定義する。これが為、左側押圧力FLの矢印は、本来ならば図24においても右側押圧力FRと同じ方向のものを図示すべきであるが、その図24では便宜上負の方向のものとして図示している。これは、その図24のペダル押圧位置Ppでは、右側の検出子(右側上部検出子27FR1,右側下部検出子27FR2)にペダル踏力Fの荷重方向と同じ圧縮荷重が働き、左側の検出子(左側上部検出子27FL1,左側下部検出子27FL2)にそれとは反対方向の引張荷重が働くからである。更に、ここでは、右側へのペダル押圧位置Ppのずれ量LOSを正方向のずれと定義するので、そのずれ量LOSが正の値として求められれば中心線CL(基準位置Pd)に対して右側にペダル押圧位置Ppがずれていると判断でき、負の値として求められれば中心線CL(基準位置Pd)に対して左側にペダル押圧位置Ppがずれていると判断できる。
【0137】
ここで、ペダル踏力Fと左側押圧力FLと右側押圧力FRとの間には、下記の式8の関係が成立している。従って、この式8と上記式7によって、ペダル押圧位置Ppのペダル踏面21aの基準位置Pdに対する左右方向のずれ量LOSを求める下記の式9の演算式が導かれる。このように、そのずれ量LOSについては、左側上部検出子27FL1,右側上部検出子27FR1,左側下部検出子27FL2及び右側下部検出子27FR2の検出値と既定値たる分力F1,F2の成す角度θとを利用して上記式4から演算できる左側押圧力FL及び右側押圧力FRと、既定値たる左側の検出子と右側の検出子のペダル踏面21aの幅方向における間隔Lwと、を用いて求めることができる。
【0138】
【数8】

【0139】
【数9】

【0140】
以上示した如く、本実施例4によれば、押圧力検知手段の検知結果に基づきペダル踏面21aの押圧分布やペダル押圧位置Ppが判断できるようになるだけでなく、ペダル踏力検出手段32が無くてもその検知結果を利用してペダル踏力の大きさまでも算出できるようになる。
【0141】
ところで、本実施例4においては上部連結体及び上部検出子の組と下部連結体及び下部検出子の組を夫々2組ずつ配設したが、これらについては、少なくとも1組ずつ用意されていればよい。
【0142】
また、本実施例4の検出子としては、圧電素子を利用してもよい。この場合、例えば、連結体を2分割し、その間に圧電素子を配設することによって上述したものと同様の検出子として機能させる。
【0143】
このように、各実施例1〜4においては、ペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppの上下方向の押圧分布の変移を検知することができ、その検知結果から運転者によるブレーキペダル20の操作形態(足首ブレーキ操作又は脚ブレーキ操作)の判別ができるので、その操作形態に合わせた良好な制動制御を行うことが可能になる。他方、上述した実施例4においては、ペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppの左右方向のずれについても検知することができる。また、各実施例1〜3においては、夫々で既に説明したように、そのような検知ができるように構成することも可能である。そして、このような各実施例1〜4においては、その左右方向のずれの検知結果に基づいて次のような効果を得ることができる。
【0144】
例えば、大方の運転者は、右足でアクセル操作を行い、制動時にその右足でブレーキ操作を行うものである。一方、一部の運転者は、右足でアクセル操作を行う点で共通するが、普段から又は意図的に左足でブレーキ操作を行うことがある。そして、このような左足ブレーキを行う運転者の多くは、ブレーキ操作時による制動動作とアクセル操作に伴う加速動作の双方を同時に望むことはなく、多くの場合、右足をアクセルペダルから離すものである。
【0145】
しかしながら、その運転者が必ず制動時に右足をアクセルペダルから離すとは言い切れず、また、その離す時機が遅れることもある。そして、右足のアクセル操作と左足のブレーキ操作が同時に行われているときには、夫々の車輪間(特に、駆動輪と従動輪との間)に働く回転方向の力(駆動力や制動力)の均衡が崩れてしまい、車輌の挙動が不安定になってしまう虞がある。
【0146】
そこで、車輌の挙動を安定させる為には、運転者がどちらの足でブレーキ操作を行っているのか推定し、その推定結果に応じて車輌の挙動制御を行えばよい。上述した各実施例1〜4においては、ペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppの左右方向のずれが検知できるので、その検知結果からどの足でブレーキ操作を行っているのか推定可能である。例えば、押圧分布算出手段1fが中心線CLよりも左側へのずれを検知した場合には、左足ブレーキと推定させ、右側へのずれを検知した場合には、右足ブレーキと推定させればよい。
【0147】
ここで、その車輌の挙動制御の一例について図25のフローチャートを用いて説明する。
【0148】
先ず、電子制御装置1には、運転者によるブレーキ操作を検知したか否か判断させる(ステップST11)。このステップST11においては、例えば、ペダルストローク位置検出手段31の検出信号の受信に伴いブレーキ操作有りと判断し、その検出信号の未受信時にブレーキ操作無しと判断する。
【0149】
このステップST11においてブレーキ操作無しと判断された場合には、本処理を一旦終了させてステップST11の判断を繰り返す。一方、このステップST11においてブレーキ操作有りと判断された場合、この電子制御装置1は、その押圧分布算出手段1fにペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppを検知させる(ステップST12)。このペダル押圧位置Ppの検知については、上述した各実施例1〜4における夫々の方法で行う。
【0150】
そして、その検知後には、電子制御装置1に用意してある車輌挙動制御手段(図示略)によって右足ブレーキか否かを判断させる(ステップST13)。
【0151】
ここで、右足ブレーキと判断された場合には、電子制御装置1に各車輪に対する制動制御を実行させる(ステップST14)。何故ならば、この場合には、右足がアクセルペダルから離れており、電子制御装置1がそのまま通常の制動制御(例えば、上述した運転者によるブレーキペダル20の操作形態に応じた制動制御)を実行することによって車輌の挙動の安定状態を保つことができるからである。
【0152】
一方、上記ステップST13で左足ブレーキと判断された場合、次に、その車輌挙動制御手段は、アクセルペダルが現状でも操作されているのか否か判断する(ステップST15)。つまり、このステップST15においては、右足のアクセル操作と左足のブレーキ操作が同時に行われているのか否かについての判断を行う。例えば、このステップST15では、アクセルペダルの操作量(図示しないアクセル開度センサの検出信号等)を観て判断する。
【0153】
このステップST15でアクセルペダルが操作されていないと判断された場合には、右足がアクセルペダルから離れているので、上記ステップST14に進んで通常の制動制御を行えばよい。
【0154】
また、このステップST15でアクセルペダルが操作されていると判断された場合、電子制御装置1は、車輌挙動制御手段に駆動力の軽減制御(例えば、図示しないスロットルバルブの閉弁制御)を行わせた後に(ステップST16)、上記ステップST14へと進んで制動制御を実行させる。尚、ここでは、電子制御装置1がスロットルバルブの開弁角度を自在に制御できる内燃機関について例示している。そして、そのステップST16においては、車輌の挙動を不安定にさせることのない回転方向の力(駆動力や制動力)が夫々の車輪に働くようにスロットルバルブの開弁角度を調節する。その調節量(制御後のスロットルバルブの開弁角度)については、予め実験やシミュレーションを行って求めておく。従って、このステップST16においては、スロットルバルブが全閉又は所定の角度まで閉弁させられる。
【0155】
このように、ペダル踏面21aにおけるペダル押圧位置Ppの左右方向のずれについても検知し、これに合わせて駆動力を制御することによって、夫々の実施例1〜4に例示した車輌は、運転者によるブレーキペダル20の操作形態が右足ブレーキであろうと左足ブレーキであろうと挙動の安定した制動動作を行うことができるようになる。
【0156】
尚、上述した各実施例1〜4においては、車輌搭載状態で上下方向に延びたペダル踏面21aを有するブレーキペダル20を例に挙げて説明したので、そのペダル踏面21aにおける押圧力検知手段の配置を上下方向と定義した。しかしながら、ペダル踏面が車輌搭載状態にて車輌前後方向に延びるブレーキペダルについても存在しているので、このようなブレーキペダルの場合には、各実施例1〜4で示した上下を前後に読み替えて本発明を適用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置は、ペダル踏面の押圧分布の変移を検知させ、それを利用してより適切な制動制御を実行させることのできる技術に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例1〜3における構成を示すブロック図である。
【図2】足首ブレーキ操作について説明する図である。
【図3】脚ブレーキ操作について説明する図である。
【図4】足首ブレーキ操作時の踵ずれについて説明する図である。
【図5】実施例1のブレーキペダルの構成について説明する図である。
【図6】実施例1のブレーキペダルを図5の矢印Aの方向から見た図である。
【図7】実施例1のブレーキペダルを図6のX−X線で切った断面図である。
【図8】ペダルストローク位置に対する足首ブレーキ操作時における目標車輌制動制御値の補正値を求める為のマップデータの一例を示す図である。
【図9】ペダルストローク位置に対する脚ブレーキ操作時における目標車輌制動制御値の補正値を求める為のマップデータの一例を示す図である。
【図10】ペダル押圧位置に対する目標車輌制動制御値の補正値を求める為のマップデータの一例を示す図である。
【図11】運転席前後位置に対する目標車輌制動制御値の補正値を求める為のマップデータの一例を示す図である。
【図12】本発明に係る制動力制御装置の制動動作や本発明に係るブレーキペダル操作形態推定装置の操作形態推定動作について説明するフローチャートである。
【図13】実施例2のブレーキペダルの構成について説明する図である。
【図14】図13に示す実施例2のブレーキペダルにおける押圧力検知手段の構成について説明する模式図である。
【図15】実施例2のブレーキペダルを図13のY−Y線で切った断面図である。
【図16】実施例2のブレーキペダルの他の構成について説明する図である。
【図17】図16に示す実施例2のブレーキペダルにおける押圧力検知手段の構成について説明する模式図である。
【図18】実施例2のブレーキペダルにおける他の押圧力検知手段の構成について説明する模式図である。
【図19】実施例3のブレーキペダルの構成について説明する図である。
【図20】本発明に係る制動力制御装置及びブレーキペダル操作形態推定装置及びブレーキペダル装置の実施例4における構成を示すブロック図である。
【図21】実施例4のブレーキペダルの構成について説明する図である。
【図22】実施例4のブレーキペダルを図21のZ1−Z1線又はZ2−Z2線で切った断面図である。
【図23】実施例4におけるペダル踏力及びペダル押圧位置の演算式を導き出す為の説明図である。
【図24】実施例4のブレーキペダルを図21のZ3−Z3線で切った断面図である。
【図25】各実施例1〜4の車輌挙動制御動作について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0159】
1 電子制御装置(ECU)
1a 目標車輌制動制御値算出手段
1b 目標車輪制動制御値算出手段
1c 制動装置制御手段
1d ペダル操作形態推定手段
1e 目標車輌制動制御値補正手段
1f 押圧分布算出手段
1g ペダル踏力算出手段
10FL,10FR,10RL,10RR 車輪
20,20A,20B,20C,20E,20F ブレーキペダル
21A,21B,21C,21D,21E,21F ペダル
21a ペダル踏面
23A1,23A2 感圧素子(押圧力検知手段)
23B1,23B2,23B3,23C1,23D1,23D2 押圧力検知部(押圧力検知手段)
24A1,24A2,24B1,24C,24D,24E1,24E2,24FL1,24FR1,24FL2,24FR2 通信線
25 通信線保持体
26FR1 右側上部連結体
26FR2 右側下部連結体
26FL1 左側上部連結体
26FL2 左側下部連結体
27FR1 右側上部検出子
27FR2 右側下部検出子
27FL1 左側上部検出子
27FL2 左側下部検出子
31 ペダルストローク位置検出手段
32 ペダル踏力検出手段
33 運転席前後位置検出手段
41FL,41FR,41RL,41RR 油圧制動手段
42FL,42FR,42RL,42RR 油圧配管
43 制動倍力手段
44 マスタシリンダ
45 ブレーキアクチュエータ
51 電源
211 ペダル主体
211a 貫通孔
212A,212B,212C,212D,212E,212F ペダルパッド
212E1 上部ペダルパッド
212E2 下部ペダルパッド
212B1,212C1,212D1 溝部
213B,213E 絶縁層
CL 中心線
Ds ペダルストローク量
F ペダル踏力
F1,F2 分力
FL 左側押圧力
FL1 左側上部押圧力
FL2 左側下部押圧力
FR 右側押圧力
FR1 右側上部押圧力
FR2 右側下部押圧力
OS ペダル押圧位置の左右方向のずれ量
Lw 左側の検出子と右側の検出子のペダル踏面の幅方向における間隔
Pd 基準位置
Pp ペダル押圧位置
R1,R2 抵抗体
SW1,SW2 スイッチ
θ 分力F1,F2の成す角度
θ1 基準線に対するペダル踏力の荷重方向の成す角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌の目標車輌制動制御値を算出する目標車輌制動制御値算出手段と、該目標車輌制動制御値に基づいて制御対象の車輪の目標車輪制動制御値を算出する目標車輪制動制御値算出手段と、該目標車輪制動制御値を該当する車輪に対して発生させるよう制動装置の駆動制御を行う制動装置制御手段と、を備えた制動力制御装置において、
ブレーキペダルのペダル踏面上の押圧力を検知する押圧力検知手段と、
この押圧力検知手段の検知結果に基づいて前記ペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、
この押圧分布算出手段の演算結果から求めた前記ペダル踏面の押圧分布の変移に基づいて運転者による前記ブレーキペダルの操作形態を推定するペダル操作形態推定手段と、
このペダル操作形態推定手段により推定された操作形態に応じて前記目標車輌制動制御値を補正する目標車輌制動制御値補正手段と、
を備えたことを特徴とする制動力制御装置。
【請求項2】
前記押圧力検知手段は、車輌搭載状態における前記ペダル踏面の少なくとも上部と下部で押圧力の検出が行われるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。
【請求項3】
前記押圧分布算出手段は、前記押圧力検知手段の検知結果に基づいて運転者による前記ブレーキペダルのペダル押圧位置を推定し、前記目標車輌制動制御値補正手段は、更に当該推定されたペダル押圧位置に応じて前記目標車輌制動制御値の補正を行うよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
【請求項4】
前記ブレーキペダルのペダルストローク量に対する前記ペダル踏面における押圧分布の下から上への変移量が所定値以上の場合、前記目標車輌制動制御値補正手段は、前記ブレーキペダルのペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以上になったときに前記目標車輌制動制御値を増大補正させるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
【請求項5】
前記ブレーキペダルのペダルストローク量に対する前記ペダル踏面における押圧分布の上下方向への変移量が所定値よりも少ない場合、前記目標車輌制動制御値補正手段は、前記ブレーキペダルのペダルストローク位置が所定の基準ペダルストローク位置以下のときに前記目標車輌制動制御値を減少補正させるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
【請求項6】
前記目標車輌制動制御値補正手段は、運転席前後位置検出手段により検出された運転席の前後位置が基準位置に対して後方寄りの場合に前記目標車輌制動制御値を減少補正させるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
【請求項7】
前記目標車輌制動制御値補正手段は、運転席前後位置検出手段により検出された運転席の前後位置が基準位置に対して前方寄りの場合に前記目標車輌制動制御値を増大補正させるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
【請求項8】
前記押圧力検知手段により検出された前記ペダル踏面における上部及び下部の夫々の押圧力と、該夫々の押圧力の荷重方向と、に基づいて運転者によるブレーキペダルへのペダル踏力を算出するペダル踏力算出手段を設けたことを特徴とする請求項1から7の内の何れか1つに記載の制動力制御装置。
【請求項9】
ブレーキペダルのペダル踏面上の押圧力を検知する押圧力検知手段と、
この押圧力検知手段の検知結果に基づいて前記ペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、
この押圧分布算出手段の演算結果から求めた前記ペダル踏面における押圧分布の下部側から上部側への変移量が所定値以上のときに、運転者による前記ブレーキペダルの操作形態が踵を支点に足首を前方に動かしてペダル操作を行う足首ブレーキ操作であると推定するペダル操作形態推定手段と、
を備えたことを特徴とするブレーキペダル操作形態推定装置。
【請求項10】
前記ペダル操作形態推定手段は、前記ペダル踏面における押圧分布の上下方向への変移量が所定値よりも少ないときに運転者による前記ブレーキペダルの操作形態が脚全体を動かしてペダル操作を行う脚ブレーキ操作であると推定するよう構成したことを特徴とする請求項9記載のブレーキペダル操作形態推定装置。
【請求項11】
ブレーキペダルのペダル踏面における所定の部位に複数配設され、該部位に押圧力が働いた際に通電して部位毎に異なる出力信号を出力させる複数の押圧力検知部を有する押圧力検知手段と、
該出力信号を出力させた押圧力検知部が配されている部位の位置情報に基づいて前記ペダル踏面の押圧分布を算出する押圧分布算出手段と、
を備えたことを特徴とするブレーキペダル装置。
【請求項12】
前記押圧力検知部は、ペダル踏面に押圧力が働いた際に作動するスイッチと、該スイッチの作動に伴って通電される抵抗素子と、で構成し、該抵抗素子は、夫々の前記押圧力検知部毎に異なる抵抗値のものを用意したことを特徴とする請求項11記載のブレーキペダル装置。
【請求項13】
前記各押圧力検知部は、夫々に異なる圧電特性を有する複数枚のペダルパッドであることを特徴とする請求項11記載のブレーキペダル装置。
【請求項14】
前記ペダル踏面における隣り合う前記押圧力検知部の間に溝部を設けたことを特徴とする請求項11,12又は13に記載のブレーキペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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