説明

制御された形態を有するチーグラー・ナッタ触媒系を生じさせる方法

ブチルエチルマグネシウムをアルコールと反応させることでマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせた後に前記マグネシウムアルコキサイド化合物を燐化合物と接触させることでマグネシウムアルコキサイドと燐化合物の混合物を生じさせることを通して触媒前駆体を生じさせる。次に、前記マグネシウムアルコキサイドと燐化合物の混合物をTiClと反応させることでMgClである担体を生じさせる。次に、前記MgClである担体を内部供与体と接触させながら加熱することで1番目の触媒スラリーを生じさせた後、それをTiClと接触させながら加熱することで2番目の触媒スラリーを生じさせる。次に、前記2番目の触媒スラリーをTiClと接触させながら加熱することで3番目の触媒スラリーを生じさせ、それを洗浄した後、乾燥させると、結果として、制御された形態を有していて高い活性を示す触媒前駆体がもたらされる。その触媒前駆体を1種以上の共触媒および場合により1種以上の外部電子供与体と一緒にすることで活性のある触媒系を生じさせることができ、この触媒系はオレフィンの重合で使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アルファ−オレフィン、例えばポリプロピレンの重合で用いるに適したチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)触媒系を生じさせることに関する。より具体的には、本発明は、触媒の担体である塩化マグネシウムの沈澱が促されるように、ブチルエチルマグネシウムとアルコールを反応させることで生じさせておいたマグネシウムアルコキサイド成分を燐化合物と反応させることでチーグラー・ナッタ触媒前駆体(pre−catalyst)成分を生じさせることに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン(またアルケンとも呼ばれている)は不飽和炭化水素であり、これの分子は二重結合で一緒に結合している対の炭素原子を1対以上含有する。オレフィンに重合工程を受けさせると、それはポリオレフィン、例えばポリプロピレンなどに変化する。通常用いられる1つの重合工程は、オレフィン単量体をチーグラー・ナッタ触媒系と接触させることを伴うが、そのようなチーグラー・ナッタ触媒系は通常のチーグラー・ナッタ触媒前駆体(本明細書ではまた触媒前駆体成分とも呼ぶ)、共触媒および1種以上の電子供与体を含有する。そのような触媒系の例が特許文献1、2、3、4、5、6、7および8(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に与えられている。
【0003】
通常のチーグラー・ナッタ触媒系の触媒前駆体成分は、不活性固体、例えばマグネシウム化合物などに担持されている遷移金属化合物で構成されている。そのような遷移金属化合物は一般に式:
MR
[式中、Mは遷移金属であり、Rはハロゲン、アルコキシまたはヒドロカルビル基であり、そしてxは前記遷移金属の原子価である]
で表される。典型的に、MはIV−VIB族の金属、例えばチタン、クロムまたはバナジウムなどであり、そしてRは塩素、臭素、カーボネート、エステルまたはアルコキシ基である。一般的遷移金属化合物はTiCl、TiBr、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC13Cl、Ti(OCBrおよびTi(OC1225)Clである。
【0004】
典型的には、チーグラー・ナッタ触媒前駆体を生じさせている間にこれに内部電子供与体(internal electron donor)を添加した後、それを担体と一緒にするか或は遷移金属化合物と一緒に錯体を形成させてもよい。内部電子供与体の例には、アミン、アミド、エステル、ケトン、ニトリル、エーテルおよびホスフィンが含まれる。そのような内部電子供与体は、結果として生じるアタクティック形態の重合体を減少させることで生じた樹脂に含まれるキシレン可溶画分の量を少なくする目的で用いられる。重合体のペンダント型基が重合体鎖の両側に無作為様式で配列している場合、そのような重合体は「アタクティック」である。それとは対照的に、重合体のペンダント型基の全部が重合体鎖の同じ側に配列している場合、そのような重合体は「イソタクティック」であり、そして重合体のペンダント型基が重合体鎖の向かい合う側に交互に位置する場合、そのような重合体は「シンジオタクティック」である。イソタクティックおよびシンジオタクティックポリオレフィンが示す機械的特性の方がアタクティックポリオレフィンが示すそれよりも良好である。例えば、イソタクティックおよびシンジオタクティックポリオレフィンは、アタクティックポリオレフィンとは異なり、それらの原子が規則的に配列していることで容易に一緒に詰め込まれ得ることから、結晶(crystals)および繊維に成形可能である。
【0005】
外部電子供与体は、生じるアタクティック重合体の量を更に制御する目的で重合工程中に当該触媒系の別の成分として添加され得る。通常用いられる外部電子供与体の例には、有機ケイ素化合物、例えばジフェニルジメトキシシラン(DPMS)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDS)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(CPDS)などが含まれる。また、当該触媒系を活性にする目的で、共触媒、例えば有機アルミニウム化合物などをチーグラー・ナッタ触媒前駆体と協力させて用いることも可能である。
【0006】
重合工程中に重合体鎖形成を停止させて重合体の分子量およびメルトフロー率(melt flow rate)を制御しようとする時には水素を当該触媒系に供給する。当該チーグラー・ナッタ触媒系が示す水素反応によって生じる重合体の分子量が影響を受ける。特に、水素反応が高いともたらされる重合体の分子量が低くなり(即ち鎖長が短くなり)、そして水素反応が低いともたらされる重合体の分子量が高くなる(即ち鎖長が長くなる)。重合体の分子量が低くなるにつれてそれが示すメルトフロー率(MFR)が高くなる。比較的高いMFR値を示すポリオレフィンは加工で数多くの利点を示す。例えば、そのようなポリオレフィンを押出し加工する時に要する温度は低くかつダイスの圧力も低い。その上、そのようなポリオレフィンを用いると押出し加工装置の摩耗も減少する。従って、チーグラー・ナッタ触媒を用いて生じさせる重合体が示す分子量の制御をより良好に行う目的で、水素反応が比較的高いチーグラー・ナッタ触媒系が求められている。
【0007】
生じる重合体の特性は重合触媒系の特性の影響を受ける。例えば、重合体の形態は典型的に触媒の形態に依存する。重合体の形態が良好であることには、粒径および粒子形状が均一であること、そして重合体に含まれる非常に小さな粒子(即ち微細物)の数が最小限であることで工程移送および再循環ラインの詰まりが回避させることが含まれる。また、重合反応槽内に塊も糸状物も生じないように非常に大きな粒子の数も最小限にすべきである。不幸なことに、形態が最適になるように通常の担持触媒に修飾を受けさせると、典型的に、当該触媒の元々の活性および立体特異性が犠牲になる。
【0008】
本発明は、所望特性のポリオレフィンを製造する目的で使用可能なチーグラー・ナッタ触媒系を生じさせる方法を提供するものである。本発明に従って生じさせる触媒前駆体は高い活性を示しかつ満足される形態も有し、これは、本触媒系を生じさせる時に用いる燐化合物の量を変えることで制御可能である。その上、本触媒は比較的高い水素反応も示すことで、重合体鎖が示す分子量の制御をより良好に行うことが可能になる。また、本ポリプロピレンが含有するキシレン可溶物の濃度も低く、このことは、また、アタクティック形態の重合体の濃度も低いことを示している。
【特許文献1】米国特許第4,107,413号
【特許文献2】米国特許第4,294,721号
【特許文献3】米国特許第4,439,540号
【特許文献4】米国特許第4,114,319号
【特許文献5】米国特許第4,220,554号
【特許文献6】米国特許第4,460,701号
【特許文献7】米国特許第4,562,173号
【特許文献8】米国特許第5,066,738号
【発明の開示】
【0009】
(発明の要約)
本発明は、オレフィン、特にプロピレンの重合で用いるに適した触媒系を生じさせる方法を包含する。本方法は、ブチルエチルマグネシウム(BEM)をアルコールと反応させることでマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせた後に前記マグネシウムアルコキサイド化合物を燐化合物と接触させることでマグネシウムアルコキサイドと燐の混合物を生じさせることを通して触媒前駆体を生じさせることを含んで成る。1つの態様における
燐化合物はトリ−n−ブチルホスフェート(BP)である。次に、前記マグネシウムアルコキサイドと燐の混合物を沈澱剤、例えば四塩化チタン(TiCl)などと反応させることで主に塩化マグネシウム(MgCl)である担体を生じさせる。
【0010】
次に、前記MgCl含有担体を内部供与体、例えばジ−n−ブチルフタレート(DBP)などと接触させることで1番目の触媒スラリーを生じさせる。次に、前記1番目の触媒スラリーをTiClと接触させることで2番目の触媒スラリーを生じさせる。次に、前記2番目の触媒スラリーをTiClと接触させることで3番目の触媒スラリーを生じさせる。その3番目の触媒スラリーを洗浄した後、場合により乾燥させることで、望ましい形態を有していて後に高い活性を示すようになる触媒前駆体を生じさせる。その触媒前駆体を1種以上の共触媒および場合により1種以上の外部電子供与体と一緒にすることで活性のある触媒系を生じさせることができ、この触媒系はオレフィンの重合で使用可能である。
【0011】
(好適な態様の詳細な説明)
本発明の1つの態様に従い、数段階を包含する方法を用いてチーグラー・ナッタ触媒前駆体を生じさせる。最初に、アルキルマグネシウム化合物[即ち、Mg(R’)、ここで、R’は、炭素原子数が約1から10の同一もしくは異なるアルキル基であってもよい]、例えばBEMなどとアルコールを溶媒、例えばヘプタンまたはトルエンなど中で一緒にする。前記BEMに場合により1種以上の粘度修飾剤(viscosity modifying agnts)、例えばトリエチルアルミニウム(TEAl)などを含有させてもよいが、それを含有させるのは担体調製中が有利であり得る。高い溶解性を示す前記BEMと前記アルコールを下記の反応:
BEM+2ROH→Mg(OR)
[ここで、Rは、炭素原子を例えば約1から20個含有するアルキル基である]
に従って反応させることで高い溶解性を示すマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせる。前記式ROHで表されるアルコールは分枝しているか或は分枝していないくてもよい。適切なアルコールの例には、2−エチルヘキサノール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、s−ブタノールおよびこれらの組み合わせが含まれる。適切なアルコールは2−エチルヘキサノールである。
【0012】
BEMとアルコール1種または2種以上をマグネシウムアルコキサイド化合物に変化させるに適した如何なる反応条件も使用可能である。1つの態様では、その反応を周囲の温度および圧力下で約2時間実施する。
【0013】
その後、その結果として生じたマグネシウムアルコキサイド化合物が入っている溶液に燐含有化合物を添加することで前記2種類の化合物の混合物を生じさせる。そのような燐化合物は、一般に、式
PX
[式中、nは3、4または5であり、そして各Xは、同一もしくは異なってもよく、17族の元素(即ちフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を包含するハロゲン)、18族の元素(即ち酸素、硫黄、セレン、テルルを包含するカルコゲン)、R、ChR、(RO)P(O)または(RO)P(O)Oから成る群から選択され、ここで、Chはカルコゲンを表し、そしてRは水素またはヒドロカルビル基、望ましくは炭素原子を約1から12個含有するヒドロカルビル基を表す]
で表される単一の燐化合物または燐化合物の組み合わせであってもよい。そのような燐化合物は有機ホスフェート、有機ホスフィンまたはこれらの組み合わせであってもよい。1つの態様における燐化合物はPH、P10、トリブチルホスフェートまたはこれらの組み合わせである。1つの態様における燐化合物はトリ−n−ブチルホスフェート(BP)である。
【0014】
前記マグネシウムアルコキサイド化合物と混合するBPの量の範囲は約0.1から約3.0モル当量のBP、望ましくは約0.5から約1.5モル当量のBPであり、ここで、本明細書では、用語「モル当量」をBEM中のMg 1モルを基準にしたモル当量であるとして定義する。この上に示した反応で分かるように、BPの望ましい当量は1.0である。本方法では、マグネシウムアルコキサイドと燐の複合体が生じるに適した如何なる条件も使用可能である。1つの態様では、本方法を周囲温度で約10分間実施する。
【0015】
次に、前記マグネシウムアルコキサイドと燐の複合体と沈澱剤を溶媒、例えばヘプタンまたはトルエンなど中で一緒にすることでMgClである担体を生じさせる。そのような混合物と接触した時にMgCl沈澱物を生じさせるに適した如何なる化合物も沈澱剤として使用可能であり、例えばハロゲン化チタン化合物などを用いてもよい。1つの態様における沈澱剤はTiClである。前記混合物の溶液に導入するTiClの量は約1から約500モル当量、別法として約1から約100モル当量、別法として約1から約10モル当量である。その反応はMgClを含んで成る担体が沈澱するに適した如何なる条件でも実施可能である。反応温度は約0℃から約50℃、望ましくは約25℃であってもよい。1つの態様では、前記溶液を周囲温度に維持しながら、この溶液にTiClを約1時間かけて滴下する。MgClを含んで成る担体が析出する速度は固体状粒子が生じるに充分なほど比較的ゆっくりである。
【0016】
その担体を反応混合物から分離した後、その担体を例えばトルエンなどで洗浄し、次に場合により乾燥させてもよい。次に、その担体を溶媒、例えばトルエンなどと一緒にした後、その結果として生じたスラリーを約70℃から約110℃の範囲の温度に加熱する。その後、そのスラリーに内部供与体(internal donor)を添加した後、そのスラリーの加熱を継続することで下記の反応を起こさせる:
担体+0.12 DBP→触媒スラリーA
前記担体と相溶し得る如何なる電子供与体も内部電子供与体として使用可能である。適切な内部電子供与体の例には、米国特許第5,945,366号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている如きジエーテル、スクシネート、フタレート、米国特許第6,399,837号(引用することによって本明細書に組み入れら)に開示されている如きジアルコキシベンゼン、およびこれらの組み合わせが含まれる。そのような内部電子供与体はフタレート分子を含んで成っていてもよい。1つの態様における内部電子供与体は、芳香族ジカルボン酸のジエステルおよび/またはフタル酸のジエステルであり、そのエステルの中のR基は一般的ヒドロカルビルから選択されるR基である。1つの態様における内部電子供与体はジ−n−ブチルフタレート(DBP)である。1つの態様では、MgCl担体にDBPを約0から1.0モル当量、別法として約0.06から約0.12モル当量添加した後、約85℃の温度に約10分間加熱する。
【0017】
固体をスラリーAから分離した後、その固体に溶媒、例えばトルエンなどを加える。次に、その結果として生じた溶液を約25℃から約150℃、望ましくは約70℃から約115℃の範囲の温度に加熱した後、その溶液にハロゲン化Ti化合物、例えばTiClなどを添加する。そのTiClを1回の処理で高濃度で添加してもよいか、或は別法として、より低い濃度を用いて複数回の処理段階、望ましくは以下に記述するように2処理段階で添加する方が効率が良い可能性がある。その溶液の加熱を継続することで下記の反応を起こさせる:
触媒スラリーA+3TiCl→触媒スラリーB
1つの態様では、スラリーAにTiClを約1から約500モル当量、別法としてTiClを約3から約12モル当量加えた後、約85℃の温度に約1時間加熱することでスラリーBを生じさせる。次に、下記の式に従って、スラリーBにスラリーAに受けさせた手順と同じ手順を受けさせることで触媒スラリーCを生じさせる:
触媒スラリーB+3TiCl→触媒スラリーC
望ましくは、スラリーCを1,2−ジクロロエタン(DCE)で1回そしてヘキサンで洗浄した後、場合により真空下で乾燥させることで、本触媒前駆体の生成を完結させる。前記DCEによる洗浄は任意であり、前記担体を生じさせる時およびTiCl処理中にTiClを充分な量で用いた時には必要でないかもしれない。その結果として得た触媒前駆体はTiを約1−5重量%、Mgを約14−25重量%、Clを約55−75重量%およびDBPを約2−35重量%含んで成り、別法として、Tiを約2重量%、Mgを約18重量%、Clを約62重量%およびDBPを約10重量%含んで成るが、これらは全部本触媒前駆体の総重量を基準にしている。本触媒前駆体は主に凝集回転楕円体で構成されており、そして重合体粒子の重量平均粒径(d50)は約150から約500ミクロメートル(ミクロン)である。
【0018】
本触媒前駆体を1種以上の共触媒および場合により1種以上の外部電子供与体と一緒にすることで活性のある触媒系を生じさせることができ、その触媒系をオレフィンの重合で用いることができる。使用に適した共触媒には、公知のチーグラー・ナッタ共触媒、例えばアルミニウム化合物、特に有機アルミニウム化合物などが含まれる。有機アルミニウム化合物の例には、式AlR’[式中、R’は、炭素原子数が1から約8のアルキルであり、ここで、R’は同一もしくは異なってもよい]で表されるアルキルアルミニウムが含まれる。アルキルアルミニウムの例には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEAl)およびトリイソブチルアルミニウム(TiBAl)が含まれる。1つの態様における共触媒はTEAlである。
【0019】
本触媒系で用いるに適した外部電子供与体には、公知のチーグラー・ナッタ外部電子供与体、例えば単官能もしくは多官能カルボン酸、無水カルボン酸およびカルボン酸エステルなど、またケトン、エーテル、アルコール、ラクトンおよび有機燐および有機ケイ素化合物が含まれる。そのような外部電子供与体化合物は本触媒前駆体化合物を生じさせる時に用いる内部電子供与体化合物と同じか或は異なってもよい。外部電子供与体化合物の例には、式RSi(OR[式中、Rは、同一もしくは異なり、各々、C−C20−アルキル基、5から7員のシクロアルキル基(C−C10−アルキル基を置換基として持っていてもよい)、C−C18−アリール基またはC−C18−アリール−C−C10−アルキル基であり、Rは、同一もしくは異なり、各々、C−C20−アルキル基であり、そしてnは1、2または3である]で表される有機ケイ素化合物が含まれる。この有機ケイ素化合物の特定態様におけるRはC−C−アルキル基または5から7員のシクロアルキル基またはヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和基[これは環状もしくは非環状または分枝形態であってもよく、水素原子を除いて原子を3から18個含有し、ヘテロ原子はN、O、P、Al、BまたはSiであり得る]であり、そしてRはC−C−アルキル基であり、そしてnは1または2である。適切な有機ケイ素化合物の例には、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDS)、イソプロピル−t−ブチルジメトキシシラン、イソブチル−s−ブチルジメトキシシランおよびイソプロピル−s−ブチルジメトキシシランが含まれる。1つの態様における外部供与体はCMDSである。
【0020】
この上に記述した方法に従って生じさせた触媒系は、制御された形態特徴を有することに加えてオレフィンの重合、特にプロピレンの重合で高い活性を示しかつ高い水素反応性を示す。本触媒系が示す活性は、特に、触媒1g当たり約35,000から約56,000gの重合体/時である。本触媒系はオレフィン単量体、例えばアルファ−オレフィン単量体、例えばエチレン、プロピレン、ブテンおよびこれらの組み合わせなどを重合させてホモ重合体または共重合体を生じさせるに適した重合条件下で使用可能である。1つの態
様において、本触媒を用いて生じさせたポリプロピレンが含有するキシレン可溶物の量は約0.7から約7.0重量%であり、このことは、アタクティック形態の重合体の濃度が低いことを示している。本ポリプロピレン粒子に含まれる微細物(即ち大きさが106ミクロン未満)の量は約1重量%未満である。本ポリプロピレンが示すかさ密度は約0.36から約0.43g/cmである。Hに対する反応が良好なことで重合体の分子量を制御することができることから、比較的高いMFR、即ち約2から約100g/10分のMFRを達成することができる。重合体の重量平均粒径(d50)は約150から約500でありそしてスパン((d50−d10)/d50)は約0.5から約3.0である。また、本重合体が示す分子量分布(MWD=M/M)が約6から約10の範囲であることも満足されることである。その上、この重合体が示す結晶化度(またイソタクティック性または13C NMRで測定した時のmmmmとも呼ばれる)は約94.0から約97.0モル%の範囲であり、このことは、この重合体がフィルム、繊維および射出成形用途で用いるに適し得ることを示唆している。
【0021】
[実施例]
本発明を一般的に記述してきたが、以下に示す実施例を本発明の個々の態様として示すことで本発明の実施および利点を立証する。本実施例は説明として示すものであり、決して本明細書も本請求の範囲も限定することを意図するものでないことは理解されるであろう。
【実施例1】
【0022】
本発明に従う触媒前駆体成分サンプルを調製した後、それを用いてポリプロピレンサンプルを調製した。前記触媒成分サンプルの調製に必要な化合物の数種、即ち2−エチルヘキサノール、トリ−n−ブチルホスフェート(BP)、トリ−n−ブチルフタレート(DBP)、TiClおよび1,2−ジクロロエタン(DCE)をAldrich Chemical Companyから購入して、受け取ったまま用いた。ヘプタンにBEMが24.7重量%とTEAlが0.47重量%入っているブチルエチルマグネシウム(BEM)溶液をAkzo Nobelから購入して、受け取ったまま用いた。トルエンおよびヘキサンをAldrichから購入して、本実験では調製時に活性アルミナを用いて乾燥させた。
【0023】
最初に、丸底フラスコに前記BEM溶液を13.3g(24.6ミリモル)およびトルエンを25mL仕込むことを通して、本触媒前駆体サンプル用の担体を生じさせた。撹拌を行ないながら、2−エチルヘキサノールをトルエンに入れることで生じさせた溶液(2.2Mの溶液を23ml)を1時間かけて加えた。その結果として生じた溶液を更に1時間撹拌した。次に、この混合物にBPを6.6mL(24.2ミリモル)加えた後、15分間撹拌した。次に、前記混合物にTiClをトルエンに入れて(1.92Mの溶液を50mL)1時間かけて滴下した。TiClの滴下量が約1.0モル当量になった時に沈澱物を観察した。このTiCl添加が完了した後の混合物を更に1時間撹拌した後、乱さないで放置した。その後、カニューレを用いて上澄み液を除去した。次に、その固体状沈澱物にトルエンを100ml加えた後、そのスラリーを5分間撹拌した。その固体を沈降させた後、上澄み液を除去した。
【0024】
その後、その固体状担体にトルエンを80mL加えた後、そのスラリーを85℃になるまで加熱した。次に、そのスラリーにDBPを790μL(2.96ミリモル)加えた後、そのスラリーを10分間撹拌した。この時点で、そのスラリーにTiClを8.1mL(73.4ミリモル)加えて、そのスラリーを85℃で1時間反応させた。そのスラリーに入っている固体を沈降させた後、その上澄み液を除去した。次に、その固体にトルエンを80mL加えた後、その結果として生じたスラリーを85℃に加熱した。次に、そのスラリーに再びTiClを8.1ml加えた後、そのスラリーを85℃で1時間反応
させた。その上澄み液を除去した後、、その固体を周囲温度になるまで冷却した。次に、その固体に1,2−ジクロロエタンを80mL加えることで前記固体にDCEによる処理を受けさせた後、そのスラリーを5分間撹拌した。その固体を沈降させた後、その上澄み液を除去した。次に、その固体をヘキサン(4x80mL)で洗浄した後、場合により真空下50℃の温度で15分間乾燥させてもよい。
重合:
2リットルの実験室規模のZipperclaveバッチ重合反応槽を用いてプロピレンを重合させた。その重合反応槽を乾燥窒素で絶えずパージ洗浄しながら100℃以上の温度に最低で20分間加熱することであらゆる痕跡量の水分も空気も排除した。その反応槽を窒素下で周囲温度(25℃)になるまで冷却した後、この反応槽にHを16ミリモル(0.09モル%)およびプロピレンを0.7L導入した。そのHとプロピレンを1300rpmで撹拌した。次に、40ccの管状反応容器にトリエチルアルミニウム(TEAl)を1.0ミリモルおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDS)を0.1ミリモル加えることで、それぞれ共触媒および外部電子供与体として働かせた。そのTEAlとCMDSと前記触媒前駆体(10mg)を鉱油に入れて懸濁状態で約1分間接触させた後、その反応容器を前記反応槽の入り口地点に取り付けた。その反応容器の内容物および0.7Lのプロピレンを周囲温度で前記反応槽に一気に入れた。前記反応槽に存在する液状プロピレンの総量は約1.4L(720g)であった。次に、その反応槽の温度を70℃にまで上昇させた。重合反応を1時間進行させ、その時点で余分なプロピレンを排出させることで重合を停止させた。その反応槽を周囲温度になるまで冷却した後、重合体生成物を反応槽から取り出し、乾燥させ、重量を測定した後、分析した。この反応では、共触媒のモル量を本触媒前駆体のモル量で割ることでAl/Tiモル比を計算した。共触媒のモル量を外部電子供与体のモル量で割ることでAl/Siモル比を計算し、その結果として得たモル比は約10であった。本実施例の触媒および重合体特性を以下の表1に示す。キシレン可溶物(XS)の測定では、重合体を熱キシレンに溶解させ、その溶液を0℃に冷却してイソタクティック部分を沈澱させることを通して測定を行った。XS%は、冷キシレンの中に溶解したままである部分の%(元々の量に対する)である。メルトフロー率の測定では、ASTM D 1238−95の標準的熱可塑性プラスチックフロー率試験方法に従い、押出し型プラストメータを用い、荷重を2060gにして230℃で測定した。かさ密度をASTM D 1895に従って測定した。平均粒径をふるい分けで測定した。分子量分布をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
【0025】
【表1】

【0026】
前記結果に基づいて、本触媒担体は内部供与体としてのDBPの取り込みおよびTiClによる処理を受け入れる能力を有していた。前記触媒は触媒1g当たり35,000gのPP/時より高い活性で機能した。前記触媒はPP樹脂に望ましい特性を与え、そのPP樹脂の外観は凝集した回転楕円体粒子であった。
【実施例2】
【0027】
触媒前駆体サンプルを生じさせる時の触媒担体の調製でBPを1.0当量用いる代わりにBPを1.5当量用いる以外は実施例1の手順に従い、その触媒前駆体サンプルを用いてPPサンプルを製造した。このPPサンプルの調製ではHを0.09モル%用いた。その結果として得た綿毛状粒子の粒径(d50=340μm)は実施例1で確認した粒径(d50=275μm)よりも大きかった。
【0028】
表1に示すように、BPの量を1.0当量から1.5当量にまで多くするとPPが示すメルトフロー率が低下した。他方、BPの量を1.0当量から1.5当量にまで多くするとキシレン可溶物含有量が少なくなり、結晶化度が高くなりかつかさ密度が高くなること
で、重合体特性の向上が達成された。
【実施例3】
【0029】
触媒前駆体サンプルを生じさせる時にBPを1.0当量用いる代わりにBPを1.5当量用いそしてPPサンプルを製造する時にHを0.09モル%用いる代わりにHを0.45モル%用いる以外は実施例1の手順に従った。
【実施例4】
【0030】
触媒前駆体サンプルを生じさせる時にBPを1.0当量用いる代わりにBPを1.5当量用いそしてPPサンプルを製造する時にCMDSを0.10ミリモル用いる代わりに0.02ミリモル用いる以外は実施例1の手順に従った。
【実施例5】
【0031】
触媒前駆体サンプルを生じさせる時にBPを1.0当量用いる代わりにBPを1.5当量用いそしてPPサンプルを製造する時にCMDSを0.10ミリモル用いる代わりに0.02ミリモル用いかつHを0.09モル%用いる代わりにHを0.45モル%用いる以外は実施例1の手順に従った。
【比較実施例1】
【0032】
本発明の触媒と比較する目的で市販のチーグラー・ナッタ触媒をToho Titanium,Inc.から購入した。この触媒を用いてPPサンプルの調製を実施例1に記述した重合手順に従って実施した。Hを0.08モル%用いてPPサンプルの調製を行った。
【比較実施例2】
【0033】
Toho Titanium,Inc.から購入した同じ市販のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒を用いてPPサンプルの調製を実施例1に記述した重合手順に従って実施したが、但しこのPPサンプルの調製ではHを0.40モル%用いた。
【比較実施例3】
【0034】
Toho Titanium,Inc.から購入した同じ市販のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒を用いてPPサンプルの調製を実施例1に記述した重合手順に従って実施したが、但しこのPPサンプルの調製ではCMDSを0.10ミリモル用いる代わりに0.02ミリモル用いかつHを0.09モル%用いる代わりにHを0.08モル%用いた。
【比較実施例4】
【0035】
Toho Titanium,Inc.から購入した同じ市販のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒を用いてPPサンプルの調製を実施例1に記述した重合手順に従って実施したが、但しこのPPサンプルの調製ではCMDSを0.10ミリモル用いる代わりに0.02ミリモル用いかつHを0.09モル%用いる代わりにHを0.4モル%用いた。
【0036】
図1に、本発明に従って生じさせた実施例1および2のPPサンプルが示した粒径分布とTohoから入手可能な通常のZN触媒を用いて生じさせた比較実施例1のPPサンプルが示した粒径分布の比較を示す。実施例2の綿毛状物が含有する粒子の方が実施例1のそれよりも大きく、このことは、BPの使用量を多くすると綿毛状物の粒径が大きくなることを示している。実施例1および2で得たPPが示した粒径分布の方が有利に比較実施例1のそれよりも狭かった。図1にプロットしたデータを表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
図2に、本発明に従って生じさせた実施例2−5の触媒の活性とTohoから入手可能な通常のZN触媒を用いて生じさせた比較実施例1−4の触媒の活性の比較を示す。より具体的には、図2に、触媒の活性を外部供与体として用いたCMDSの量の関数としてプロットする。CMDSの量を多くすると触媒活性が若干低下した。実施例2−5の触媒サンプルが示した活性の方が比較実施例1−4のそれよりも高かった。その上、PP樹脂を生じさせる時に用いるHの量を多くした時には一般に本触媒が示した活性の方が高かった。図2−4にプロットしたデータを表3に示す。
【0039】
図3に、本発明に従って生じさせた実施例2−5の触媒の水素反応と比較実施例1−4の水素反応の比較を示す。より具体的には、図3に、メルトフロー(MF)率を個々のPP鎖の成長を停止させる目的で用いたHの量の関数としてプロットする。結果として得たPP樹脂が示したMF率は一般にHの量を多くすると高くなった。本発明の実施例1および2の触媒サンプルが示したH反応の方が比較触媒サンプルのそれよりも高かった。
【0040】
図4に、本発明に従って生じさせた触媒実施例2−5が示した供与体反応とToho触媒を用いて生じさせた比較実施例1−4が示した外部供与体反応の比較を示す。より具体的には、図4に、キシレン可溶物の濃度を外部供与体として用いたCMDSの量の関数としてプロットする。PP樹脂中のキシレン可溶物量は一般にCMDSの量を多くするにつれて少なくなり、このことは、アタクティック形態の重合体が外部電子供与体の量を多くすると少なくなることを示している。本発明の実施例2−5の触媒が示した供与体反応の方が類似比較実施例1−4が示したそれよりも高かった。
【0041】
【表3】

【0042】
従って、本発明の触媒系はToho触媒よりも狭い粒径分布、高い触媒活性、高い水素反応および高い外部供与体反応を示す。
【0043】
本発明の好適な態様を示しかつ説明してきたが、それに関して本分野の技術者は本発明の精神および教示から逸脱することのない修飾を成し得るであろう。本明細書に記述した態様は単に例であり、限定することを意図するものでない。本明細書に開示した本発明の数多くの変形および修飾形が可能であり、それらも本発明の範囲内である。従って、この上に挙げた説明で保護の範囲を限定するものでなく、限定するのは本請求の範囲によってのみであるが、その範囲には、本請求の範囲の主題事項の均等物の全部が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
前記説明を添付図と協力させて参照することで本発明に加えて本発明のさらなる利点が最良に理解されるであろう。
【図1】図1に、実施例1および2そして比較実施例1で生じさせたPPサンプルが示した相対的粒径分布を示す。
【図2】図2に、実施例2−5そして比較実施例1−4で生じさせた触媒が示した相対的活性を示す。
【図3】図3に、実施例2−5そして比較実施例1−4で生じさせたPPサンプルが示した相対的水素反応を示す。
【図4】図4に、実施例2−5そして比較実施例1−4で生じさせたPPサンプル中のキシレン可溶物の相対的濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン重合用の触媒前駆体を生じさせる方法であって、
(a)アルキルマグネシウム化合物をアルコールと一緒にすることでマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせ、
(b)前記マグネシウムアルコキサイド化合物を燐化合物と一緒にすることで混合物を生じさせ、そして
(c)前記混合物を沈澱剤と一緒にすることで塩化マグネシウム担体を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記アルコールが一般に式ROH[式中、Rは炭素原子を約1から20個含有するアルキル基である]で表される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アルコールが2−エチルヘキサノールである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記アルキルマグネシウム化合物が式Mg(R’)[式中、R’は、炭素原子数が約1から10の同一もしくは異なるアルキル基であってもよい]で表される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記アルキルマグネシウム化合物がブチルエチルマグネシウムである請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記燐化合物が一般に式
PX
[式中、nは3、4または5であり、そして各Xは、同一もしくは異なってもよく、17族の元素、18族の元素、R、ChR、(RO)P(O)または(RO)P(O)Oから成る群から選択され、ここで、Chはカルコゲンを表し、そしてRは水素またはヒドロカルビル基を表す]
で表される請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記燐化合物がトリ−n−ブチルホスフェートである請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記燐化合物がトリ−n−ブチルホスフェートである請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記沈澱剤が四塩化チタンである請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記沈澱剤が四塩化チタンである請求項8記載の方法。
【請求項11】
更に前記塩化マグネシウム担体を内部供与体と一緒にすることで1番目のスラリーを生じさせることも含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記内部供与体がジ−n−ブチルフタレートである請求項11記載の方法。
【請求項13】
更に前記塩化マグネシウム担体をジ−n−ブチルフタレートと一緒にすることで1番目のスラリーを生じさせることも含んで成る請求項10記載の方法。
【請求項14】
更に前記1番目のスラリーを四塩化チタンと一緒にすることで2番目のスラリーを生じさせることも含んで成る請求項11記載の方法。
【請求項15】
更に前記1番目のスラリーを四塩化チタンと一緒にすることで2番目のスラリーを生じ
させることも含んで成る請求項13記載の方法。
【請求項16】
更に前記2番目のスラリーを四塩化チタンと一緒にすることで3番目のスラリーを生じさせることも含んで成る請求項14記載の方法。
【請求項17】
更に前記2番目のスラリーを四塩化チタンと一緒にすることで3番目のスラリーを生じさせることも含んで成る請求項15記載の方法。
【請求項18】
更に1種以上の共触媒を前記触媒前駆体に添加することも含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種の共触媒が有機アルミニウム化合物である請求項18記載の方法。
【請求項20】
更に1種以上の外部電子供与体を前記触媒前駆体と共触媒に添加することも含んで成る請求項18記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の外部供与体が有機ケイ素化合物である請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記共触媒がトリエチルアルミニウムでありそして前記電子供与体がシクロヘキシルメチルジメトキシシランである請求項20記載の方法。
【請求項23】
オレフィン重合用触媒系であって、
(a)ブチルエチルマグネシウムをアルコールと一緒にすることでマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせ、
(b)前記マグネシウムアルコキサイド化合物を燐化合物と一緒にすることで混合物を生じさせ、そして
(c)前記混合物を沈澱剤と一緒にすることで塩化マグネシウム担体を生じさせる、
ことを含んで成る方法で生じた触媒前駆体を有する触媒系。
【請求項24】
該触媒系が触媒1g当たり約35,000から約56,000gの重合体/時の活性を示す請求項23記載の触媒系。
【請求項25】
前記触媒前駆体が各々前記触媒前駆体の総重量を基準にしてTiを約1−5重量%、Mgを約14−25重量%、Clを約55−75重量%およびDBPを約2−35重量%含んで成る請求項23記載の触媒系。
【請求項26】
前記触媒前駆体が各々前記触媒前駆体の総重量を基準にしてTiを約2重量%、Mgを約18重量%、Clを約62重量%およびDBPを約10重量%含んで成る請求項23記載の触媒系。
【請求項27】
更に1種以上の共触媒も含んで成る請求項24記載の触媒系。
【請求項28】
少なくとも1種の共触媒が有機アルミニウム化合物である請求項27記載の触媒系。
【請求項29】
更に1種以上の外部電子供与体も含んで成る請求項27記載の触媒系。
【請求項30】
少なくとも1種の外部供与体が有機ケイ素化合物である請求項29記載の触媒系。
【請求項31】
前記共触媒がトリエチルアルミニウムでありそして前記電子供与体がシクロヘキシルメチルジメトキシシランである請求項29記載の触媒系。
【請求項32】
重合体であって、
(a)アルキルマグネシウム化合物をアルコールと一緒にすることでマグネシウムアルコキサイド化合物を生じさせ、
(d)前記マグネシウムアルコキサイド化合物を燐化合物と一緒にすることで混合物を生じさせ、そして
(e)前記混合物を沈澱剤と一緒にすることで塩化マグネシウム担体を生じさせる、
ことを含んで成る方法で生じた触媒前駆体を有する触媒系と1種以上のオレフィン単量体を重合に適した反応条件下で一緒にすることで作られた重合体。
【請求項33】
該重合体がキシレン可溶物を約0.7から約7.0重量%有するポリプロピレンである請求項32記載の重合体。
【請求項34】
該重合体の粒子が約150から約500ミクロンの重量平均粒径を有する凝集回転楕円体で本質的に構成されている請求項32記載の重合体。
【請求項35】
前記ポリプロピレンが約6から約10の分子量分布を示す請求項33記載の重合体。
【請求項36】
前記ポリプロピレンが約94.0から約97.0モル%のイソタクティック性を示す請求項35記載の重合体。
【請求項37】
前記ポリプロピレンが有する微細物が約1重量%未満である請求項36記載の重合体。
【請求項38】
前記ポリプロピレンが約150から約500の重量平均粒径(d50)を示す請求項37記載の重合体。
【請求項39】
前記ポリプロピレンが約0.5から約3.0のスパン((d50−d10)/d50)を示す請求項38記載の重合体。
【請求項40】
前記ポリプロピレンが約2から約50g/10分のメルトフロー率を示す請求項39記載の重合体。
【請求項41】
前記ポリプロピレンが約0.36から約0.43g/cmのかさ密度を示す請求項40記載の重合体。
【請求項42】
請求項32記載の重合体を含んで成るフィルム、繊維または加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505205(P2007−505205A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533376(P2006−533376)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/016327
【国際公開番号】WO2004/106387
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】