制御体積(controlledvolume)の薬剤の組合せを含有する医療デバイス用組成物
本発明は、一般に、例えば医療デバイス内に存在してもよく又は医療デバイスにコーティングとして付着されてもよい制御体積の材料、並びにこれらの材料を付着させる方法を包含する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
発明の分野
[0001]本発明は、一般に医療デバイスに関し、より詳細には、薬剤の組合せを含有する医療デバイスに関する。
【0002】
現況技術の説明
[0002]バイオマテリアルの研究における現在のパラダイムとは、移植材料表面へのタンパク質の吸着を、制御することである。移植材料表面への制御されていないタンパク質吸着が、現在のバイオマテリアル移植材料に関する問題であり、移植材料表面に、一部変性したタンパク質の混合層がもたらされる。一部変性したタンパク質のこの混合層は、例えば、フィブリノゲンや免疫グロブリンGなどの吸着された血漿タンパク質から細胞結合部位を提供することによって、疾患をもたらす。血小板と、例えば単球やマクロファージ、好中球などの炎症性細胞は、細胞結合部位に付着する。広く様々な炎症誘発性及び増殖性因子が分泌され、罹患状態をもたらす可能性がある。したがって、この一部変性したタンパク質の層で汚損されない、又は少ししか汚損されない表面である、非汚損表面が望ましい。
【0003】
[0003]ステントは、非汚損表面によって利益を得ることができる、移植材料の一例である。ステントは、医薬品として活性な薬剤を送達するための媒体として使用することができる、機械的介入である。機械的介入として、ステントは、物理的に開通した状態に保つ(hold open)ことができ、必要に応じて被験者の内部で通路を延ばすことができる。典型的な場合、ステントは、圧縮され、カテーテルを通して小血管内に挿入され、次いで適正部位に配置されたらより大きい直径にまで拡がってもよい。ステントを開示する特許の例には、米国特許第4733665号、第4800882号、及び第4886062号が含まれる。
【0004】
[0004]ステントは、例えば、心疾患を治療するのに使用される処置である経皮的冠動脈形成術(PTCA)など、様々な医療処置において重要な役割を演じる。PTCAでは、バルーンカテーテルを上腕又は大腿動脈内に挿入し、冠動脈閉塞部上に位置決めし、アテローム斑が圧縮して冠動脈管腔が開くように膨張させ、収縮させ、引き出す。PTCAに関する問題には、内膜剥離又は引き裂かれた動脈内層の形成が含まれ、その両方とも、冠動脈管腔内に別の閉塞をもたらす可能性がある。さらに、血栓及び再狭窄が処置後数カ月で生ずる可能性があり、血管形成術又は外科的バイパス術をさらに行う必要が生ずる。ステントは一般に、閉塞を低減させ、血栓及び再狭窄を阻害し、例えば冠動脈の管腔など、血管の管腔内の開通性を維持するために移植する。
【0005】
[0005]ステントは、薬剤の局所送達をもたらすためにも開発されている。薬剤の局所送達は、薬剤の全身送達、特に、被験者の特定部位で効果を発揮するのに高い全身用量が必要とされる場合、即ち、薬剤の高い全身用量が被験者にしばしば副作用をもたらす可能性がある場合よりも、しばしば好ましい。提示される1つの局所送達方法は、医療用品の表面をポリマー担体でコーティングするステップと、このポリマー担体に薬剤を付着させ又は薬剤をブレンドするステップとを含む。
【0006】
[0006]薬剤コーティングステントは、再狭窄に伴う組織増殖を阻害することによって、ステント再狭窄の速度を劇的に低下することが実証された。再狭窄は非常に複雑な過程であり、薬剤は、再狭窄過程の回避の試みと併せて付着させている。複数の薬剤を付着させる1つの方法では、これらの薬剤を1つの製剤として一緒にブレンドし、このブレンドを、ポリマーマトリックスに溶かしてステント表面に付着させる。この方法の欠点は、薬剤が、ブレンドを通してマトリックスから放出され、放出の際に互いに競合することである。薬剤放出の制御は、重要な設計上の課題であり、ステント技術の開発における次の特徴である。
【0007】
[0007]そのようなマトリックスからの薬剤の放出プロファイルは、制御するのが難しい。いくつかの適用例では、薬剤の放出プロファイルの制御は、薬剤に求められる効果を発揮させるのに重要である可能性がある。ポリマーコーティングマトリックスにおける非常に数多くの薬剤放出に関する課題には、限定するものではないが、マトリックス中のポリマーにおける官能基のばらつき;溶質に依存する可能性のある、マトリックス中のポリマーの形態;ポリマーの相溶性及び形態に影響を及ぼす、マトリックス中のポリマーの溶解度パラメーターが含まれる。薬剤をポリマーと組み合わせる手法は、例えば、この薬剤がポリマーと結合しようと又はポリマーとブレンドされようと、著しい影響を及ぼす可能性もある。薬剤同士の相互作用も、薬剤の放出プロファイルに影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
[0008]したがって、医療デバイス、及び薬剤の組合せを含むコーティングであって、この薬剤のそれぞれは、(i)他の薬剤からの交差汚染が無い状態でデバイス又はコーティングに組み込むことができ、(ii)他の薬剤からの干渉が実質的に無い状態でその機能を発揮することができ、(iii)薬剤が所定の放出速度及び吸収速度を有するようにデバイス又はコーティングに組み込むことができ、(iv)生物活性があり、生物学的に有益であり、診断的であり、及び/又は医療デバイスの物理的性質又は機械的性質を制御する他の薬剤と組み合わせることができるものである、コーティングが求められている。
【0009】
[概要]
[0009]本発明の実施形態は、一般に、例えば医療デバイスに含まれており又はコーティングとして医療デバイスに付着させてもよい、制御体積の材料を包含する。これらの材料は、ステントを含む医療デバイスで使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイスであって、複数の薬剤の組合せ中の薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積内で位置決めされている医療デバイスを含むことができる。
【0010】
[0010]その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、薬剤が、デバイス上、デバイス内、デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積内で位置決めされているコーティングを含むことができる。その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを選択するステップと、薬剤の組合せからの1種の薬剤を、コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積内で付着させるステップとを含む、医療デバイスをコーティングする方法を含むことができる。
【0011】
[0011]その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、薬剤の組合せを選択するステップを含む方法を使用して形成されたコーティングを含むことができる。薬剤の組合せには、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含めることができる。この方法は、薬剤の組合せからの1種の薬剤を、コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積内で付着させるステップを含む。付着させるステップは、音響エネルギーの使用を含む方法によって、制御体積を形成するステップを含む。
【0012】
[詳細な説明]
[0022]以下により詳細に論じるように、本発明の実施形態は、一般に、医療用品と共に使用するために、例えば治療薬、予防薬、診断薬、及び/又はその他の薬剤などの薬剤の組合せを含む組成物を包含する。また本発明は、この組成物を製作するための方法も包含する。医療用品には、例えばステントなどの移植可能な医療デバイスなど、任意の医療デバイスが含まれる。いくつかの実施形態では、組成物を、移植可能な基材上のコーティングとして使用することができる。その他の実施形態では、ステントなどの医療デバイスは、その全体又は一部が組成物から作製される。
【0013】
[0023]「薬剤」は、生物活性であり、生物学的に有益であり、診断的であり、可塑的であり、又はこれらの特徴の組合せを有してもよい部分(moiety)にすることができる。「部分」は、少なくとも1個の原子からなる官能基、巨大分子中で結合した残基、コポリマー中の個々の単位、又はポリマーブロック全体にすることができる。本明細書に記述される教示によって改善することができる任意の医療デバイスは、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0014】
[0024]医療デバイスの例には、ステント、ステント−グラフト、血管グラフト、人工心臓弁、卵円孔閉鎖デバイス、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、ガイドワイヤ、心室支援デバイス、心肺バイパス回路、血液酸素化装置、冠動脈シャント(AXIUS(商標)、Guidant Corp.)、及び心内膜リード(FINELINE(登録商標)及びENDOTAK(登録商標)、Guidant Corp.)含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ステントには、管状ステント、自己拡張型ステント、コイルステント、リングステント、及びマルチデザインステントなどが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、ステントは、金属、低−強磁性、非強磁性、生物学的に安定なポリマー、生分解性ポリマー、又は生分解性金属である。いくつかの実施形態では、ステントには、血管ステント、腎臓ステント、胆管ステント、肺ステント、及び胃腸ステントが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0015】
[0025]医療デバイスは、限定するものではないがELASTINITE(登録商標)(Guidant Corp.)、NITINOL(登録商標)(Nitinol Devices and Components)、ステンレス鋼、タンタル、タンタルを主成分とした合金、ニッケル−チタン合金、白金、白金を主成分とした合金、例えば白金−イリジウム合金など、イリジウム、金、マグネシウム、チタン、チタンを主成分とした合金、ジルコニウムを主成分とした合金、コバルト及びクロムを含む合金(ELGILOY(登録商標)、Elgiloy Specialty Metals,Inc.;MP35N及びMP20N、SPS Technologies)、又はこれらの組合せを含めた金属又は合金からなるものにすることができる。商標「MP35N」及び「MP20N」は、コバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金を示す。MP35Nは、コバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。MP20Nは、コバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。生体吸収性ポリマー又は生物安定性ポリマーからなる構造的構成要素を有する医療デバイスも、本発明の範囲内に含まれる。
【0016】
[0026]本明細書に記述されるデバイスの実施形態は、ステントによって例示してもよい。図1は、本発明のいくつかの実施形態による、ステント101の3次元図の一例を示す。ステントは、あるパターンを形成するいくつかの相互接続構造要素又はストラット(strut)102で構成してもよい。本明細書に開示される実施形態は、図1に示されるステント又はステントパターンに限定するものではなく、その他のパターン及びその他のデバイスに容易に適用可能である。パターンの構造の変化は、事実上無限である。
【0017】
[0027]多くの医療用移植材料は、その製造中及び使用中に多くの歪みを受け、その結果、構造上の欠陥が生じる可能性がある。構造上の欠陥は、被験者の内部に移植材料を配置する準備としてこの移植材料を操作する結果として、またこの移植材料を被験者の所望の部位に配置する間に、生ずる可能性がある。典型的な場合、ステントを圧縮し、カテーテルを通して小血管に挿入し、次いで被験者の内部でより大きい直径にまで拡げてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤含有組成物は、ストラット102がその拡張及び収縮時に少しの応力及び歪みを受けるステントの選択領域で、液滴などの制御体積の形で付着させることができる。例えば、ステントの低歪み領域103に薬剤を付着させることにより、ステントの高歪み領域104、105、106で生ずる可能性のある亀裂や薄片化などの問題を、回避することができる。
【0018】
[0028]その他の実施形態では、薬剤含有組成物を、例えばステントなどの医療デバイスの外面(abluminal surface)に選択的に付着させることができる。ほとんどの実施形態では、ステントを、バルーン拡張式ステント又は自己拡張式ステントにすることができる。「外側」面は、医療デバイスが展開されている器官の管腔から離れた方向に向けられた、医療デバイスの表面を指す。一例では、管腔が動脈管腔であり、ステントの外面は、動脈内壁に接触して配置された表面である。
【0019】
[0029]図2は、本発明の制御体積のコーティング方法を使用して、薬剤の組合せで選択的にコーティングすることができる、ステントの外側部分の選択領域を示す。この実施形態では、薬剤A204を領域202に選択的に付着させることができ、薬剤B205を、領域203に選択的に付着させることができる。この薬剤の選択的付着は、各薬剤をステント201の表面に付着させる手法の独立した選択を可能にすることによって、各薬剤の制御放出を可能にする。例えば薬剤は、単独で付着させてもよく、薬剤の放出速度に影響を及ぼすポリマーと組み合わせてもよく、ポリマー層の間に挟んでもよく、ポリマー網状構造内に包んでもよく、又はこれらの任意の組合せでもよい。
【0020】
薬剤含有組成物
[0030]本発明の薬剤含有組成物は、ポリマー、コポリマー、及び薬剤の任意の組合せを含み、この組合せは、薬剤の組合せを含んでいる。薬剤の組合せを含むポリマーは、例えば、化学的部分の間に存在することができるエステル基など、例えばポリマー網状構造内の化学官能基の不安定な性質によって、生分解性にすることができる。したがってこれらの組成物は、哺乳類によって分解され、吸収され、再吸収され、排除することができるように設計することができる。本発明の組成物は、例えば医療用品及びコーティングを形成するのに使用することができる。
【0021】
[0031]「組み合わせる」、「組み合わされた」、「組み合わせている」、及び「組合せ」という用語は全て、組成物の成分同士の関係を指し、組成物を形成する成分のブレンド、混合物、連結、及びこれらの組合せが含まれる。連結は、物理的、化学的、又はこれらの組合せである接続にすることができる。物理的接続の例には、例えば相互侵入網状構造及び鎖の絡み合いで引き起こすことのできる、成分の相互連結が含まれるが、これらに限定するものではない。化学的接続の例には、共有結合及び非共有結合が含まれるが、これらに限定するものではない。共有結合には、単純な共有結合及び配位結合が含まれるが、これらに限定するものではない。非共有結合には、イオン結合と、例えば水素結合などの分子間引力、誘起及び永久双極子−双極子相互作用によってもたらされる引力が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
[0032]生体内使用のために選択される組成物は、組成物の物理的、機械的、化学的、及び生物学的性質に関する要件を満たすべきである。生体内での生分解性組成物の性能に影響を及ぼすことができる物理的性質の例は、水の摂取である。生体内での組成物の性能に影響を及ぼすことができる機械的性質の例は、例えば亀裂や薄片化、剥離、破砕など、組成物の機械的欠陥を引き起こす可能性のある応力に、この組成物が耐えることのできる能力である。生体内で生分解性組成物の性能に影響を及ぼすことができる化学的性質の例は、被験者による組成物の吸収速度である。生体内で組成物の性能に影響を及ぼすことができる生物学的性質の例は、組成物の、生物活性及び/又は生物学的に有益な性質であり、その両方について以下に述べる。「被験者」及び「患者」という用語は、同義に使用することができ、限定するものではないが例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、及びマウスなどの非霊長類と、例えばサルやヒトなどの霊長類を含めた哺乳類などの動物を指す。
【0023】
[0033]いかなる理論又は動作メカニズムにも拘泥するものではないが、組成物による水の摂取は、組成物設計の際の重要な特徴になり得る。水は、組成物の機械的性質を修正するための可塑剤として働くことができる。水の摂取の制御では、コーティングの加水分解の若干の制御も行うことができ、したがって、生体内での医療用品又はコーティングの分解速度、吸収速度、及び薬剤放出速度の制御を行うことができる。いくつかの実施形態では、加水分解が増加すると、被験者内部の組成物から薬剤を拡散させるための輸送経路として働くことができる医療用品又はコーティング内でのチャネルの生成によって、薬剤の放出速度を高めることもできる。
【0024】
[0034]本発明の組成物は、薬剤の組合せを含んだ医療デバイス及びコーティングを形成するのに使用することができ、薬剤のそれぞれは、(i)その他の薬剤からの交差汚染が無い状態で、医療デバイス又はコーティングに組み込むことができ、(ii)その他の薬剤による干渉が実質的に無い状態で、その機能を発揮することができ、(iii)薬剤が所定の放出速度及び吸収速度を有するように、医療デバイス又はコーティングに組み込むことができ、(iv)生物活性であり、生物学的に有益であり、診断的であるその他の薬剤と組み合わせることができ、及び/又は医療デバイスの物理的性質又は機械的性質を制御することができる。
【0025】
[0035]本発明においては、ポリマー又はコーティングは、生体内環境又は代表的な生体外に曝されたとき、完全に又は実質的に分解し又は腐食することが可能な、「生分解性」である。ポリマー又はコーティングは、例えば被験者内部での加水分解、酵素性分解、酸化、代謝過程、バルク又は表面腐食などによって徐々に分解し、再吸収され、吸収され、及び/又は排除されるときに、分解又は腐食することが可能である。微量のポリマー又はポリマーの残留物は、生分解の後に、医療デバイス上、医療デバイスの部位付近、又は生分解性デバイスの部位付近に残されたままでもよいことを理解すべきである。「生体吸収性」及び「生分解性」という用語は、本出願では同義に使用する。
【0026】
[0036]本発明で使用されるポリマーは、生分解性でもよく、限定するものではないが縮合ポリマーを含めてもよく、組成物から形成されることになる生成物の、所望の性能パラメーターに応じて選択すべきである。そのような性能パラメーターには、例えば、医療デバイス又はコーティングの靭性、薬剤の投入濃度のキャパシティ(capacity for the loading concentration)、及び被験者からの組成物の生分解及び排除の速度を含めてもよい。組成物中のその他のポリマーが非生分解性である場合、そのポリマーは、組成物の生分解後に被験者から取り除くことができるポリマー断片が生成されるように、サイズを決めるべきである。
【0027】
[0037]ほとんどの実施形態では、使用することができるポリマーには、天然又は合成ポリマー;ホモポリマー及びコポリマー、例えばランダム、交互、ブロック、グラフト、及び/又は架橋されたコポリマー;又は任意の組合せ及び/又はこれらのブレンドが含まれる。コポリマーには、例えばターポリマーなど、2つよりも多い異なるタイプの反復単位を有するポリマーが含まれる。
【0028】
[0038]いくつかの実施形態では、ポリマー断片の数平均分子量は、約40000ダルトン以下であるべきであり、又はその中の任意の範囲であるべきである。その他の実施形態では、断片の分子量は、約300ダルトンから約40000ダルトンに及び、約8000ダルトンから約30000ダルトンに及び、約10000ダルトンから約20000ダルトンに及び、又はその中の任意の範囲である。分子量は、本明細書では、数平均分子量として教示されている。
【0029】
[0039]本発明の薬剤と組み合わせることができるポリマーの例には、ポリ(ブチルメタクリレート)やポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシルエチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート)などのポリ(アクリレート)、エチレン−メチルメタクリレートのコポリマー;ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)と、アミノプロピルメタクリルアミドのポリマー及びコポリマー;ポリ(シアノアクリレート);ポリ(カルボン酸);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(無水マレイン酸)、及び無水マレイン酸のコポリマー;ポリ(フッ化ビニリデン)やポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、及び発泡ポリ(テトラフルオロエチレン)などのフッ素化ポリマー又はコポリマー;ポリ(スルホン);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アミノカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(ヒドロキシバレレート);ポリ(L−乳酸);ポリ(L−ラクチド);ポリ(カプロラクトン);ポリ(ラクチド−co−グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(オルトエステル);ポリ(無水物);ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコリド);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(D,L−ラクチド);ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート);ポリ(ホスホエステル);ポリ(ホスホエステルウレタン);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);ポリ(エチレン);ポリ(プロピレン)co−ポリ(エーテル−エステル)、例えばポリ(ジオキサノン)やポリ(エチレンオキシド)/ポリ(乳酸)など;ポリ(無水物)、ポリ(アルキレンオキサレート);ポリ(ホスファゼン);ポリ(ウレタン);シリコーン;ポリ(エステル);ポリ(オレフィン);ポリ(イソブチレン)のコポリマー;エチレン−アルファオレフィンのコポリマー;ポリ(塩化ビニル)などのビニルハロゲン化物ポリマー及びコポリマー;ポリ(ビニルメチルエーテル)などのポリ(ビニルエーテル);ポリ(ビニリデンハロゲン化物)、例えばポリ(塩化ビニリデン)など;ポリ(アクリロニトリル);ポリ(ビニルケトン);ポリ(スチレン)などのポリ(ビニル芳香族);ポリ(酢酸ビニル)などのポリ(ビニルエステル);ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)などのビニルモノマー及びオレフィンのコポリマー、アクリロニトリル−スチレンのコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン−酢酸ビニルのコポリマー;ナイロン66やポリ(カプロラクタム)などのポリ(アミド);アルキド樹脂;ポリ(カーボネート);ポリ(オキシメチレン);ポリ(イミド);ポリ(エステルアミド);ポリ(アルキレングリコール)を含むポリ(エーテル)、例えばポリ(エチレングリコール)やポリ(プロピレングリコール)など;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;生体分子、例えばフィブリンやフィブリノゲン、デンプン、ポリ(アミノ酸)など;ペプチド、タンパク質、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸(D−グルクロン酸又はL−イズロン酸及びN−アセチル−D−ガラクトサミンのコポリマー)、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びグルコサミノグリカン;その他の多糖、例えばポリ(N−アセチルグルコサミン)やキチン、キトサン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロース;及びこれらの誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せなどが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ポリマーは、これらのポリマーのいずれか1種又は任意の組合せを特に除外するように選択される。
【0030】
[0040]いくつかの実施形態では、ポリマーは、生分解性にすることができる。生分解性ポリマーの例には、例えばα−ヒドロキシカルボン酸や、α−ヒドロキシカルボン酸の環状ジエステル、ジオキサノン、ラクトン、環状カーボネート、環状オキサレート、エポキシド、グリコール、無水物、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、エチレンオキシド、エチレングリコール、又はこれらの組合せなどの反復単位を有するポリマーが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、生分解性ポリマーには、ポリエステル、ポリ(エステルアミド);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、アミノ酸;PEG及び/又はアルコール基、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、コポリ(エーテル−エステル)(例えばPEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0031】
[0041]その他の実施形態では、ポリマーは、ポリ(セバシン酸グリセロール);例えばデスアミノチロシル−チロシンエチルエステルなどのデスアミノチロシル−チロシンアルキルエステルを含有するチロシン誘導ポリカーボネート(ポリ(DTEカーボネート));及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及び組合せにすることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、本明細書に教示されるポリマーのいずれか1種又はいずれかの任意の組合せを特に排除するように選択される。
【0032】
[0042]いくつかの実施形態では、ポリマーは、共有結合によって薬剤に化学的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーは、例えばイオン結合や分子間引力、これらの組合せなどの、非共有結合によって、薬剤に化学的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーを、薬剤に物理的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーを、薬剤に化学的及び物理的に接続することができる。イオン結合の例には、ポリマー間での陰イオン部位と陽イオン部位とのイオン結合を含めることができるが、これに限定するものではない。いくつかの実施形態では、陰イオン部位を第4級アミンに結合することができる。分子間引力の例には、例えば、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アミド、及びスルフヒドリル基間、及びこれらの組合せの間での永久双極子相互作用などの水素結合が含まれるが、これらに限定するものではない。物理的接続の例には、相互侵入網目構造及び鎖の絡み合いを含めることができるが、これらに限定するものではない。ポリマーは、薬剤とブレンドし又は混合することもできる。
【0033】
薬剤
生物学的に利益がある生物活性の薬剤
[0043]「生物活性薬剤」とは、ポリマーと組み合わせることができ、治療効果、予防効果、治療と予防の両方の効果、又はその他の生物学的に活性な効果を被験者内部で発揮する部分である。さらに、本発明の生物活性薬剤は、ポリマーの一部に連結させたままでもよく、又はポリマーから解放してもよい。「生物学的に利益がある薬剤」とは、ポリマーと組み合わせることができ、必ずしもポリマーから解放する必要なしに、被験者内部で生物学的利益を発揮する薬剤である。
【0034】
[0044]ある実施例において、生物学的利益とは、ポリマー又はコーティングが、タンパク質の吸収が阻害され又は予防されて血栓塞栓の形成が回避されるように、非血栓形成性になることであり;血管内の内皮形成が過剰増殖せずに健康で機能的な内皮層が形成されるように、治癒を促進させることであり;又は、生物学的に利益のある薬剤がバイオミミック(biomimic)として働き、それによって、炎症を引き起こす現象又は現象のカスケードをもたらす可能性のある単球及び好中球の引き付けが受動的に回避されるように、非炎症性であることでもある。
【0035】
[0045]「診断薬」は、例えば、被験者における疾患又は病状の存在、性質、又は範囲を診断する際に使用することができる、生物活性剤のタイプである。一実施形態では、診断薬は、患者の内部領域の画像形成及び/又は患者に疾患があるか無いかを診断するための方法と関連付けて使用してもよい、任意の薬剤にすることができる。診断薬には、例えば、超音波画像形成、磁気共鳴画像形成(MRI)、核磁気共鳴(NMR)、コンピュータ断層撮影(CT)、電子スピン共鳴(ESR)、核医学画像形成、光学画像形成、弾性画像形成、及び高周波(RF)、及びマイクロ波レーザと関連付けて使用される、造影剤が含まれる。診断薬は、画像形成方法を用いるか否かに関わらず、患者の疾患又はその他の状態を診断を容易にするのに有用な任意のその他の薬剤を含んでもよい。
【0036】
[0046]生物学的に利益のある薬剤の例には、例えばカルボキシメチルセルロース;例えばPEGなどのポリ(アルキレングリコール);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);ポリ(スチレンスルホネート);例えばスルホン化デキストランなどのスルホン化多糖;例えば硫酸化デキストランや硫酸化デルマタンなどの硫酸化多糖;及び例えばヒアルロン酸やヘパリンなどのグリコサミノグリカン;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せなど、上記にて列挙されたポリマーの多くが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、生物学的に利益のある薬剤は、例えばポリ(エステルアミド)やエラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);及び例えばArg−Gly−Asp(RGD)を含むようなペプチド配列などのプロヒーリング(prohealing)にすることができる。その他の実施形態では、生物学的に利益のある薬剤は、例えばトロンボモジュリンなどの非血栓性に、また例えばオルガノシランなどの抗菌剤にすることができる。当業者なら、グループ、サブグループ、及び個々の生物学的に利益ある薬剤のいくつかは、本発明のいくつかの実施形態で使用されないことを理解すべきであることが分かるであろう。
【0037】
[0047]ヘパリン誘導体の例には、例えばヘパリンナトリウムやヘパリンカリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンマグネシウム、及び低分子量ヘパリンなど、ヘパリンの土類金属塩が含まれるが、これらに限定するものではない。ヘパリン誘導体のその他の例には、硫酸ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリンをベースにした化合物、及び疎水性材料で誘導体化されたヘパリンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0038】
[0048]ヒアルロン酸誘導体の例には、例えばO−硫酸化又はN−硫酸化誘導体などの硫酸化ヒアルロン酸;ヒアルロン酸のエステルであって、エステルを、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式、又はこれらの組合せにすることができるもの;ヒアルロン酸の架橋エステルであって、架橋を多糖鎖のヒドロキシル基で形成することができるもの;ヒアルロン酸の架橋エステルであって、架橋を、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式、又はこれらの組合せにすることができるもの;コハク酸のヘミエステル、又はその重金属塩;ヒアルロン酸の第4級アンモニウム塩又は誘導体であって、例えばO−硫酸化又はN−硫酸化誘導体が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0039】
[0049]ポリ(アルキレングリコール)の例には、PEG、mPEG、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)、及びその任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)がPEGである。その他の実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)が、mPEGである。その他の実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)がポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシブチレート)である。
【0040】
[0050]生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーには、前述の薬剤の例の任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。本発明において、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーの例には、D−グルクロン酸又はL−イズロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンとのコポリマーである硫酸デルマタン;ポリ(エチレンオキシド−co−プロプレンオキシド);PEGとヒアルロン酸とのコポリマー;PEGとヘパリンとのコポリマー;PEGとヒルジンとのコポリマー;ポリ(L−リジン)とPEGとのグラフトコポリマー;PEGと、例えばポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシブチレート)などのポリ(ヒドロキシアルカノエート)とのコポリマー;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、又は組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーは、PEGとヒアルロン酸とのコポリマー、PEGとヒルジンとのコポリマー、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、コポリマー、又は組合せにすることができる。その他の実施形態では、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーは、PEGと、例えばポリ(ヒドロキシブチレート)などのポリ(ヒドロキシアルカノエート)とのコポリマー;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、コポリマー、又は組合せである。
【0041】
[0051]生物活性剤は、哺乳類における治療効果、予防効果、治療と予防の両方の効果、又はその他の生物学的に活性な効果に寄与することが可能な任意の部分にすることができる。薬剤は、診断性を有することもできる。生物活性剤には、小分子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質が含まれるが、これらに限定するものではない。ある実施例では、生物活性剤は、血管平滑筋細胞の活性を阻害する。その他の実施例では、生物活性剤は、最狭窄を阻害するために、平滑筋細胞の移動又は増殖を制御する。
【0042】
[0052]生物活性剤には、抗増殖薬、抗腫瘍薬、抗有糸分裂薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン、抗血栓薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化薬、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。当業者なら、グループ、サブグループ、及び個々の生物活性剤のいくつかは、本発明のいくつかの実施形態で使用されないと理解すべきであることが分かるであろう。
【0043】
[0053]抗増殖薬には、例えばアクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI1、アクチノマイシンX1、アクチノマイシンC1、ダクチノマイシン(COSMEGEN(登録商標)、Merck&Co.,Inc.)、メシル酸イマチニブ、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。抗腫瘍薬又は抗有糸分裂薬には、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Aventis S.A.)、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、Pfizer,Inc.)、及びミトマイシン(MUTAMYCIN(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ミドスタウリン、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。
【0044】
[0054]抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン、及び抗血栓薬には、例えばヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬抗体、組換えヒルジン、及びトロンビン阻害剤(ANGIOMAX(登録商標)、Biogen,Inc.)、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、組合せが含まれる。
【0045】
[0055]細胞静止薬又は抗増殖薬には、例えば、アンギオペプチン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル(CAPOTEN(登録商標)及びCAPOZIDE(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、シラザプリル、又はリジノプリル(PRINIVIL(登録商標)及びPRINZIDE(登録商標)、Merck&Co.,Inc.)など;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルチシン;線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(ω3−脂肪酸);ヒスタミン拮抗薬;ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、Merck&Co.,Inc.);限定するものではないが血小板誘導増殖因子(PDGF)受容体に特異的な抗体を含めたモノクローナル抗体;ニトロプルシド;ホスホジエステル阻害剤;プロスタグランジン阻害剤;スラミン;セロトニン遮断薬;ステロイド;チオプロテアーゼ阻害剤;限定するものではないがトリアゾロピリミジンを含めたPDGF拮抗薬;及び一酸化窒素;及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。抗アレルギー薬には、ペミロラストカリウム(ALAMAST(登録商標)、Santen,Inc.)、及びその任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0046】
[0056]本発明で有用なその他の生物活性剤には、フリーラジカル捕捉剤;一酸化窒素供与体;ラパマイシン;メチルラパマイシン;42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578);40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス);タクロリムス;ピメクロリムス;40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン;40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン;米国特許第6329386号明細書に記載されているような、テトラゾール含有ラパマイシン類似体;エストラジオール;クロベタゾール;イドキシフェン;タザロテン;αインターフェロン;上皮細胞などの宿主細胞;遺伝子組換え上皮細胞;デキサメタゾン、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0047】
[0057]フリーラジカル捕捉剤には、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル(TEMPO);4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル(4−アミノ−TEMPO);4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル(TEMPOL),2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック(SODm)、及びこれらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。一酸化窒素供与体には、S−ニトロソチオール、ナイトライト(nitrite)、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、スペルミンジアゼニウムジオレートなどのジアゼニウムジオレート、及びこれらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0048】
[0058]診断薬の例には放射線不透過性物質が含まれ、限定するものではないが、例えばx線によって検出可能であるイオヘキサールやイオパミドールなどの、ヨウ素又はヨウ素誘導体を含む物質が含まれる。例えば放射性同位元素などのその他の診断薬は、放射性排出物を追跡することによって検出可能である。その他の診断薬には、磁気共鳴画像形成(MRI)、超音波、及びその他の画像形成手順、例えば蛍光及び陽電子放出断層撮影(PET)などによって検出可能なものを含めてもよい。MRIによって検出可能な薬剤の例は、限定するものではないがガドリニウムキレート化合物を含めた常磁性剤である。超音波によって検出可能な薬剤の例には、パーフレキサンが含まれるが、これに限定するものではない。蛍光剤の例には、インドシアニングリーンが含まれるが、これに限定するものではない。診断PETで使用される薬剤の例には、フルオロデオキシグルコース、フッ化ナトリウム、メチオニン、コリン、デオキシグルコース、ブタノール、ラクロプリド、スピペロン、ブロモスピペロン、カーフェンナニル、及びフルマゼニルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0049】
[0059]いくつかの実施形態では、制御体積内にある本明細書に教示される薬剤の組合せを、医療デバイス内、医療デバイス上で適用することができ、或いは、医療デバイス上の所定領域で又は医療デバイスのコーティング内に、制御体積内で位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、薬剤の組合せがエベロリムス及びクロベタゾールを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがタクロリムス及びラパマイシンを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがタクロリムス及びエベロリムスを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがラパマイシン及びパクリタキセルを含むことができる。その他の実施形態では、薬剤の組合せは、例えばコルチコステロイドなどの抗炎症薬と、例えばエベロリムスなどの抗増殖薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤の組合せは、例えばステントの使用によって生ずる可能性のある再狭窄などの状態を、予防し又は阻害するための相乗効果を発揮することができる。
【0050】
可塑化剤
[0060]「可塑剤」及び「可塑化剤」という用語は、本発明において同義に使用することができ、組成物又は組成物から形成された生成物の機械的性質を変更するためにポリマー組成物に添加することができる、上述の任意の薬剤を含めた任意の薬剤を指す。可塑剤は、限定するものではないが組成物中のポリマー鎖間の移動度を高めることも含めた設計上の目的で、例えば結晶化度を低下させ、ガラス転移温度(Tg)を低下させ、又はポリマー間の分子間力を低下させるために添加することができる。変更される機械的性質には、ヤング率、衝撃抵抗(靭性)、引張り強さ、及び引裂き強さが含まれるが、これらに限定するものではない。衝撃抵抗又は「靭性」は、非常に急速な衝撃負荷がかかっているときの、標準寸法及び幾何形状のポリマーサンプルの破砕中に吸収される、エネルギーの尺度である。靭性は、材料の脆弱性を評価するために、シャルピー及びアイゾッド衝撃試験を使用して測定することができる。
【0051】
[0061]可塑剤は、モノマー、ポリマー、コポリマー、又はこれらの組合せにすることができ、生物学的に利益があり生物活性な薬剤に関して既に述べたものと同じ手法で、ポリマー組成物と組み合わせることができる。可塑化と溶解度とは、可塑剤の選択に際して溶媒の選択と同様の問題、例えば極性などの問題があるという意味で、類似している。さらに可塑化は、共重合を通してポリマーの分子構造を変化させることにより、共有結合を介して行うこともできる。
【0052】
[0062]可塑化剤の例には、シングルブロックポリマーやマルチブロックポリマー、コポリマーなどの低分子量ポリマー;乳酸のエチル末端オリゴマーなどのオリゴマー;小有機分子;ヒドロキシル基を含み、及びヒドロキシル基を含まない、水素結合形成有機化合物;脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオールなどのポリオール;ブタノールやペンタノール、ヘキサノールなどのアルカノール;糖アルコール、及び糖アルコールの無水物;ポリ(アルキレングリコール)などのポリエーテル;クエン酸エステルやフタル酸エステル、セバシン酸エステル、アジピン酸エステルなどのエステル;ポリエステル;脂肪族酸;動物性タンパク質や植物性タンパク質などのタンパク質;例えば植物油や動物油などの油;シリコーン;アセチル化モノグリセリド;アミド;アセトアミド;スルホキシド;スルホン;ピロリドン;オキサ酸;ジグリコール酸;及びこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0053】
[0063]いくつかの実施形態では、可塑剤には、例えばカプロラクトンジオールやカプロラクトントリオール、ソルビトール、エリスリトール、グルシドール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トリメチロールプロパンなどのその他のポリオールが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、可塑剤には、例えばエチレングリコールやジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール;例えばモノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルやプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール−エーテル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0054】
[0064]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばジエチレングリコールジベンゾエートやジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールカプレート−カプリレートなどのグリコールエステル;例えばモノステアリン酸グリセロールなどのモノステアリン酸エステル;クエン酸エステル;有機酸エステル;芳香族カルボン酸エステル;脂肪族ジカルボン酸エステル;例えばステアリン酸エステルやオレイン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、セバシン酸エステルなどの脂肪酸エステル;トリアセチン;例えばフタル酸ポリエステルやアジピン酸ポリエステル、グルタミン酸ポリエステル、フタル酸ポリエステルであって、例えばジアルキルフタレート、フタル酸ジメチルやフタル酸ジエチル、フタル酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのポリ(エステル);例えばアルキルセバケート、セバシン酸ジメチルやセバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル;例えば乳酸エステル、アルキルラクテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸アリル、グリコール酸エチル、及びモノステアリン酸グリセロールなどのヒドロキシルエステル;例えばアルキルアセチルシトレート、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、クエン酸トリヘキシルアセチル、アルキルシトレート、クエン酸トリエチル、及びクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル;例えばリシノール酸メチルなどのヒマシ油のエステル;例えばトリメリト酸エステルや安息香酸エステル、テレフタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸エステル;例えばジアルキルアジペート、アルキルアリルエーテルジエステルアジペート、アジピン酸ジブトキシエトキシエチリル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、及び酒石酸エステルなどの脂肪族ジカルボン酸エステル;例えばグリセロールや、モノ−、ジ−、又はトリ酢酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムジエチルなどの脂肪酸エステル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどのエステルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0055】
[0065]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)やポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレン/プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール);例えばPEG400やPEG6000などの低分子量ポリ(エチレングリコール);例えばメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)などのPEG誘導体;例えばジエチレングリコールジベンゾエートやジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールカプレート−カプリレートなどのエステル−エーテル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどのエーテル及びポリエーテルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0056】
[0066]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばオレイン酸アミドやエルカ酸アミド、パルミチン酸アミドなどのアミド;例えばジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミドなどのアルキルアセトアミド;例えばジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;例えばn−メチルピロリドンなどのピロリドン;例えばテトラメチレンスルホンなどのスルホン;例えばオキサ一酸やオキサ二酸であって、例えば3,6,9−トリオキサウンデカンジオン酸やポリオキサ二酸、アセチル化クエン酸のエチルエステル、アセチル化クエン酸のブチルエステル、アセチル化クエン酸のカプリルエステル、及びジメチロールプロピオン酸などのジグリコール酸;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0057】
[0067]その他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないがエポキシド化大豆油;アマニ油;ヒマシ油;ココナツ油;分留ココナツ油;エポキシド化タレート;ステアリン酸やオレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、セバシン酸などの脂肪酸のエステルを含めた植物油にすることができる。その他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないがアンゲリカ油、アニス油、アルニカ油、アウランチイエテロレウム、吉草油、バシリシエテロレウム、ベルガモット油、セイバリー油、バッコエテロレウム、カンファー、カルダモミエテロレウム、カッシア油、ケノポジ油、クリサンテマム油、シナエエテロレウム、シトロネラ油、レモン油、シトラス油、コスタス油、ウコン油、カーリナ油、エレミ油、タラゴン油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、松根油、フィリシスエテロレウム、ガルバナム油、ガウルテリエエテロレウム、ゼラニウム油、グアヤク油、ヘーゼルウォート油、アイリス油、ヒペリカム油、ショウブ油、カモミール油、ファーニードル油、ニンニク油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ラウリエテロレウム、ラベンダー油、レモングラス油、ロバジ油、ベイ油、ルプリストロブリエテロレウム、メース油、マヨラナ油、マンダリン油、メリッサ油、メントール、ミレフォリイエテロレウム、ミント油、サルビア油、ナツメグ油、カンショウ香油、チョウジ油、ネロリ油、ニアウリ油、オリバナム油、オノニディスエテロレウム、オポプラナックス油、オレンジ油、オレガノ油、オルトシフォン油、パチョリ油、パセリ油、プチグレン油、ペパーミント油、ヨモギ油、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ヘンルーダ油、サビネエテロレウム、サフラン油、セージ油、ビャクダン油、サッサフラス油、セロリ油、マスタード油、セルフィリイエテロレウム、イモーテル油、ファー油、ティーツリー油、テルペンチン油、タイム油、トショウ油、オリバナム油、ヒソップ油、シダー油、シナモン油、及びヒノキ油;例えば魚油などのその他の油;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せを含めた精油にすることができる。
【0058】
[0068]可塑剤の分子量は、変えることができる。いくつかの実施形態では、可塑剤の分子量は、約10ダルトンから約50000ダルトン;約25ダルトンから約25000ダルトン;約50ダルトンから約10000ダルトン;約100ダルトンから約5000ダルトン;約200ダルトンから約2500ダルトン;約400ダルトンから約1250ダルトンに及び;またこれらの任意の範囲内にある。その他の実施形態では、可塑剤の分子量は、約400ダルトンから約4000ダルトン;約300ダルトンから約3000ダルトン;約200ダルトンから約2000ダルトン;約100ダルトンから約1000ダルトン;約50ダルトンから約5000ダルトンに及び;またこれらの任意の範囲内にある。分子量は、本明細書では数平均分子量と教示される。
【0059】
[0069]本発明で使用される可塑剤の量は、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対する重量パーセンテージとして、約0.001%から約70%;約0.01%から約60%;約0.1%から約50%;約0.1%から約40%;約0.1から約30%;約0.1%から約25%;約0.1%から約20%;約0.1%から約10%;約0.4%から約40%;約0.6%から約30%;約0.75%から約25%;約1.0%から約20%に及ぶことができ;またこれらの任意の範囲内にある。
【0060】
[0070]上述の可塑剤のいずれか1種又は任意の組合せを、本発明で使用することができることを理解すべきである。例えば、所望の機能を得るために複数の可塑剤を組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対する重量パーセンテージとして約0.001%から約20%;約0.01%から約15%;約0.05%から約10%;約0.75%から約7.5%;約1.0%から約5%に及ぶ量;またこれらの任意の範囲内にある量で、第2の可塑剤を第1の可塑剤と組み合わせる。
【0061】
[0071]可塑剤は、例えば増強された治療、予防、及び/又は診断機能などのその他の所望の機能を得るために、その他の活性剤と組み合わせることができることも理解すべきである。いくつかの実施形態では、可塑剤を、以下により詳細に論じるエーテル、アミド、エステル、オルトエステル、無水物、ケタール、アセタール、炭酸、及び全ての芳香族炭酸結合を通して、その他の薬剤に結合させることができる。
【0062】
[0072]いくつかの実施形態では、薬剤を、共有結合によってポリマーに化学的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、例えばイオン結合や分子間引力、これらの組合せなどの非共有結合によって、ポリマーに化学的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、ポリマーに物理的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、ポリマーに化学的及び物理的に接続することができる。
【0063】
[0073]イオン結合の例には、陰イオン物質とポリマー上の陽イオン部位とのイオン結合、又は陽イオン物質とポリマー上の陰イオン部位とのイオン結合を含めることができるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、陰イオン物質は、ポリマー上の第4級アミンに結合することができる。その他の実施形態では、第4級アミンを有する薬剤を、ポリマー上の陰イオン部位に結合させることができる。分子間引力の例には、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びスルフヒドリル基、及びこれらの組合せの間での、永久双極子相互作用などの水素結合が含まれるが、これらに限定するものではない。物理的接続の例には、相互侵入網状構造及び鎖の絡み合いを含めることができるが、これらに限定するものではない。薬剤は、組成物とブレンドし又は混合することもできる。
【0064】
[0074]いくつかの実施形態では、薬剤は、この薬剤をポリマーに結合するのに使用することができる反応性の官能基を有する。反応性の官能基の例には、ヒドロキシル基、アシル基、アミノ基、アミド基、及びスルフヒドリル基が含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、薬剤をポリマー組成物から放出することができ、又は分離することができる。その他の実施形態では、薬剤は、生物学的に利益があり、生物活性であり、診断的であり、可塑化することができ、又はこれらの特徴の組合せを有することができる。
【0065】
[0075]いくつかの実施形態では、哺乳類から薬剤が確実に排出されるようにするために、薬剤の分子量が、約40000ダルトン以下又はこの任意の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態では、薬剤の分子量は、約300ダルトンから約40000ダルトン、約8000ダルトンから約30000ダルトン、約10000ダルトンから約20000ダルトンに及び、又はこれらの任意の範囲内にある。放出された場合、生物学的に利益のある薬剤は体内で素早く崩壊し、次いで薬剤の分子量が、患者の安全性を損なうことなく約40000ダルトンよりも大きくなる。本明細書で教示される分子量は、数平均分子量である。
【0066】
[0076]本発明の薬剤は、生物学的に利益があり、生物活性であり、診断的であり、可塑化することができ、又はこれらの組合せである性質を有することができることも理解すべきである。例えば、薬剤を生物学的に利益のある薬剤として分類することは、この薬剤を、生物活性剤、診断薬、及び/又は可塑化剤として使用することを除外するものではない。同様に、薬剤を生物活性剤として分類することは、この薬剤を、診断薬、生物学的に利益のある薬剤、及び/又は可塑化剤として使用することを除外するものではない。さらに、薬剤を可塑化剤として分類することは、この薬剤を、生物学的に利益のある薬剤、生物活性剤、及び/又は診断薬として使用することを除外するものではない。前述の薬剤のいずれかを、例えば医療デバイスや医療デバイス用コーティングなどの形で組成物と組み合わせることができることも理解すべきである。非限定的な例として、本発明の組成物でコーティングされたステントは、パクリタキセル、ドセタキセル、ラパマイシン、メチルラパマイシン、ABT−578、エベロリムス、又はクロベタゾールを含有することができる。
【0067】
薬剤の濃度
[0077]本発明の薬剤は、ポリマー組成物のその他の所望の機能が得られるように、組み合わせて添加することができる。ポリマー組成物を構成する薬剤の量は、限定するものではないが薬剤の生物活性;被験者の年齢、体重、応答、又は過去の病歴;アテローム硬化性疾患のタイプ;例えば糖尿病などの全身性疾患の存在;薬剤又は薬剤の組合せの薬物動態的及び薬力学的効果;薬剤を持続放出するための組成物の設計を含めた様々な要因に応じて変化する。これらのような要因は、被験者に薬剤を投与する場合に当業者によって通常考慮されるものである。
【0068】
[0078]薬剤を持続放出するための組成物の設計は、例えば患者の治療上、予防上、回復上、又は診断上のニーズなどの様々な要因に依存する可能性があることが理解されよう。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗増殖薬を含むことができ、約1週間から約10週間、約2週間から約8週間、約3週間から約7週間、約4週間から約6週間に及び、またその任意の範囲内にある持続放出を有するべきである。その他の実施形態では、薬剤は、抗炎症薬を含むことができ、約6時間から約3週間、約12時間から約2週間、約18時間から約10日、約1日から約7日、約2日から約6日に及び、またこれらの任意の範囲内にある持続放出を有するべきである。一般に、持続放出は、約4時間から約12週間;或いは約6時間から約10週間;又は約1日から約8週間に及ぶべきである。
【0069】
[0079]有効量は、例えば生体外又は動物モデルシステムから推定してもよい。いくつかの実施形態では、薬剤又は薬剤の組合せは、約0.001%から約75%;約0.01%から約70%;約0.1%から約60%;約0.25%から約60%;約0.5%から約50%;約0.75%から約40%;約1.0%から約30%;約2%から約20%に及び;またこれらの任意の範囲内にある濃度であって、このパーセンテージがポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対するものである濃度を有する。
【0070】
医療物品の形成
[0080]薬剤は、移植材料の形成プロセス中に、移植材料に単分散させ局在化させることができ、この局在化は、例えば選択領域での少量の薬剤の使用;例えば所望の効力又はより速い浸出速度を有する薬剤などの、好ましい薬剤の選択領域での使用;移植材料の選択領域の機械的性質の変更;被験者による排出に合わせた少量の薬剤の浸出;及びこれらの組合せなどの、様々な理由で役立てることができる。いくつかの実施形態では、移植材料における高歪み領域の外側領域では、薬剤が存在しなくてもよい。その他の実施形態では、移植材料における高歪み領域の外側領域には、少量の薬剤が存在してもよい。高歪み領域の外側領域において少量の薬剤が望まれる実施形態では、高歪み領域の外側領域での薬剤の量は、高歪み領域よりも2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はこれらの任意の範囲内だけ少ない薬剤を有することができる。
【0071】
[0081]医療物品を形成するための方法には、鋳造、成型、コーティング、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、移植材料が鋳造法で形成され、移植材料の高歪み領域の機械的性質は、高歪み領域の薬剤の濃度を高めることによって、又は高歪み領域で異なる薬剤を使用することによって、又は高歪み領域でのみ薬剤を使用することによって、又はこれらの組合せによって制御される。移植材料の鋳造では、液体ポリマー組成物を型に注ぐ。一実施形態では、そのような鋳造中の移植材料における薬剤の局在化は、形成された移植材料中で薬剤が局在化するように、注ぐ間にポリマー組成物中の薬剤の量及び/又はタイプを望み通りに変えることによって得ることができる。
【0072】
[0082]その他の実施形態では、移植材料は、限定するものではないが圧縮成型、押出し成型、射出成型、及び発泡成型を含めた成型法で形成される。移植材料の高歪み領域の機械的性質は、高歪み領域の薬剤の濃度を高めることによって、又は高歪み領域で異なる薬剤を使用することによって、又は高歪み領域でのみ薬剤を使用することによって、又はこれらの組合せによって制御される。
【0073】
[0083]圧縮成型では、固体のポリマー材料を型に添加し、このポリマー材料が型に一致するまで圧力及び熱を加える。この固体の形では、所望の形の最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような圧縮成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、望み通りに型に固体のポリマー材料を添加することによって得ることができる。
【0074】
[0084]押出し成型では、固体のポリマー材料を、ダイに強制的に通される連続溶融物に添加し、固体形態になるまで冷却する。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような押出し成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、押出しの型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0075】
[0085]射出成型では、固体のポリマー材料を、加熱したシリンダに添加し、軟化させ、圧力下で型に強制的に押し遣って、固体の形態を生成する。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような射出成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、射出の型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0076】
[0086]発泡成型では、固体のポリマー材料を所望の形に膨張させ成型するために、発泡剤を使用し、この固体のポリマー材料を、その当初の体積の約2から約50倍に及ぶ体積まで膨張させることができる。ポリマー材料は、水蒸気及び空気を使用して予備膨張させ、次いで追加の水蒸気で型内に形成することができ;又は気体と混合して、より低い圧力の型に強制的に押し遣られるポリマー/気体混合物を形成することができる。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような発泡成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、発泡の型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0077】
[0087]その他の実施形態では、ステントは、チューブを射出成型し又は押出し成型し、その後、チューブにステントのパターンを切り取ることによって形成される。これらの実施形態では、ポリマーと薬剤との混合物を、射出成型又は押出し成型前に添加することができ、或いは薬剤は、ステントが形成された後にこのステントに吸収させることができる。
【0078】
コーティングの形成
[0088]本発明のいくつかの実施形態では、組成物が、例えはバルーン拡張式ステントや自己拡張式ステントなどの医療デバイス用コーティングの形をとる。本発明の範囲内には多くのコーティング構成があり、各構成は、任意の数及び組合せの層を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明のコーティングは、下記の4タイプの層、即ち:
(a)ポリマー及び薬剤を含んでもよく、或いはポリマーを含まない薬剤を含んでもよい薬剤層;
(b)移植可能な基材上、又は事前に形成された層上の、これに続く層の接着を改善することができる、任意選択のプライマー層;
(c)薬剤の放出速度を制御する方法として働くことができる、任意選択のトップコート層;及び
(d)コーティングの生体適合性を改善することができる、任意選択の生体適合性の仕上げ層
の、1つ又は組合せを含むことができる。
【0079】
[0089]一実施形態では、薬剤層は、少なくとも1種の生物活性剤の貯蔵部として働くように、純粋な薬剤として、移植可能な基材の少なくとも一部に直接付着させることができる。別の実施形態では、薬剤は、マトリックスとしての生分解性ポリマーと組み合わせることができ、このときの薬剤は、ポリマーに結合してもしなくてもよい。別の実施形態では、任意選択のプライマー層は、移植可能な基材と薬剤層との間に付着させて、薬剤層と移植可能な基材との接着を改善することができ、また任意選択で薬剤を含むことができる。別の実施形態では、純粋な薬剤層を、生分解性ポリマーを含む層の間に挟むことができる。別の実施形態では、任意選択のトップコート層は、生物活性剤の放出速度を制御する膜として働くように薬剤層の少なくとも一部に付着させることができ、また任意選択で薬剤を含むことができる。別の実施形態では、生体適合性の仕上げ層は、例えば急な血液適合性を増大させることによってコーティングの生体適合性を増大させるために付着させることもでき、また薬剤を含むこともできる。
【0080】
[0090]本発明の組成物は、複数の層の1つ又は任意の組合せに使用することができ、1つの層は、例えばデバイス上又はコーティング内の所定領域で制御体積内で位置決めされた薬剤として作用する、選択的に配置された液滴などの1つ又は複数の制御体積を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に教示されるポリマーのいずれかを、層の1つとして使用することができ、或いは本明細書に教示される実施形態の組成物とブレンドし又は架橋することができる。
【0081】
[0091]いくつかの実施形態では、本発明の方法を使用して例えば液滴などの制御体積から形成された層で医療デバイスをコーティングするために、本発明の方法を使用することができる。一例では、液滴は、純粋な薬剤又は溶媒に分散させた薬剤からのみ形成することができる。別の例では、液滴を、薬剤とポリマーとの組合せから形成することができる。別の例では、液滴は、ポリマーによってカプセル状に包み込まれた薬剤から形成することができ、この例では、カプセル化によって薬剤の制御放出を行うことができ、薬剤を保護して有効期間を改善することができ、又はこれらの組合せが可能である。別の例では、液滴は、複数の成分のいずれか1種又は任意の組合せから形成し、次いでトップコート層でコーティングして薬剤の制御放出を行い、薬剤を保護して有効期間を改善し、又はこれらの組合せを行うことができる。
【0082】
[0092]別の例では、液滴は、コーティング組成物と共に懸濁液として形成し付着させることができ、このコーティング組成物は、例えば噴霧や浸漬などの伝統的なコーティング方法を使用して付着させることができる。別の例では、液滴を、医療デバイスの構造を形成するのに使用されるポリマー組成物中に、形成し分散させることができる。別の例では、液滴を様々なサイズで形成することができ、このサイズは、薬剤の量、カプセル化ポリマーの量、又はこれらの組合せに応じて変えることができるものである。別の例では、液滴は、液滴又は例えば噴霧や浸漬などのより伝統的なコーティング技法から形成することができる、1つ又は複数のその他の層の間に挟むことができる。
【0083】
[0093]多くの実施形態では、各層を、限定するものではないが浸漬、噴霧、注入、ブラッシング、スピンコーティング、ローラコーティング、メニスカスコーティング、パウダーコーティング、インクジェット型塗布、ドロップオンデマンドなどの制御体積塗布、又はこれらの組合せを含めた任意の方法によって、移植可能な基材に付着させることができる。一例では、層の少なくとも1つは、1種又は複数の生分解性ポリマーを、任意選択で非生分解性ポリマーと共に1種又は複数の溶媒に溶解し、(i)この溶液をステント表面に噴霧することによって、又は(ii)この溶液にステントを浸漬することによって、ステント表面に形成することができる。この例では、溶媒が蒸発する場合、ステント表面に生分解性ポリマーのドライコーティングを形成してもよい。
【0084】
[0094]その他の実施形態では、スパッタリング及び気相重合を含めてもよい方法を使用して、ステントなどの医療デバイスをポリマー材料でコーティングすることができる。スパッタリングは、ポリマー材料のターゲットを伝導性の環境内に配置し、ポリマー材料にエネルギーを加え、このターゲットから医療デバイスにポリマー材料をスパッタリングして、医療デバイス表面にポリマー材料のコーティングを形成することを含む方法である。同様に、気相重合法は、気相中でのモノマーからポリマーの形成をもたらす伝導性の環境内で、気相中のモノマーにエネルギーを加えることを含み、この形成されたポリマーが医療デバイスをコーティングする。
【0085】
[0095]スパッタリング及び気相重合には、ディップコーティング及びスプレーコーティング技法において存在する可能性のあるものと同様の欠点がある。この欠点には、医療デバイスのコーティングに使用することができるポリマーの選択が限られることに加え、医療デバイスをコーティングすることができる幾何形状パターンの制御が不十分であることが含まれる。さらに、医療デバイスをポリマーと薬物との組合せでコーティングすることは、例えばコーティング塗布中に薬物の分解が生じることなどにより、コーティングプロセスの結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0086】
[0096]図3a及び3bは、本発明のいくつかの実施形態によるサンドイッチコーティングのデザインを示す。図3aは、ステントストラット301の断面を示し、外面302は、外面302に付着された薬剤Bを含有する第1の層303と、薬剤Bを含有する層303上に付着され、薬剤Aを含有する第2の層304を含んでいる。これらの層のそれぞれは、上述の方法のいずれか1つ又は任意の組合せによって形成することができ、ステント全体又はステントの選択領域上に付着させることができる。一実施例では、第1の層303は、その全体を制御体積の液滴で形成することができ、第2の層304は、薬剤Bと選択されたポリマーとのブレンドにすることができる。別の実施例では、第1の層303を、薬剤Bと選択されたポリマーとのブレンドにすることができ、第2の層304は、その全体を制御体積の液滴で形成することができる。別の実施例では、第1の層303及び第2の層304の全体を、制御体積の液滴で形成することができる。図3bは、ステントストラット301の断面であって、第1の層303及び第2の層304が第3の層305によってコーティングされている状態を示す。第3の層305は、例えば、薬剤又は生物学的に利益のある層の放出速度の制御を支援する速度制御生分解性ポリマーなど、本明細書に教示される任意の組合せを含有することができる。
【0087】
[0097]図4は、本発明のいくつかの実施形態によりいくつかのセクションがコーティングされた、ステントの外面の平面図を示すことによって、格子縞型コーティングのデザインを例示する。ステントの外面401をセクション402ごとにコーティングするプロセスは、同時に行うことができ、又は一連のコーティングステップとして行うことができる。格子縞型コーティングのデザインの各セクションは、制御体積の液滴として個々に付着された、又は各セクション402内で複数の制御体積の液滴として付着された、セクション402を有することができる。一実施例では、セクション402のそれぞれは、単一の薬剤を含有する。別の実施例では、各セクション402が、複数の薬剤を含有する。別の実施例では、各セクション402は、類似の又は等しい薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、薬剤に応じて異なる薬剤濃度を含有する。
【0088】
[0098]別の実施例では、各セクション402は、例えば薬剤と組み合わされる生分解性ポリマーを添加することによって制御することができる、薬剤の所望の放出プロファイルに応じて異なる薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、薬剤が置かれているステント領域に応じて様々に異なる薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、類似又は同じ厚さを有する。別の実施例では、各セクション402は、上記要因のいずれか1つ又は任意の組合せに応じて、その厚さを変えることができる。
【0089】
[0099]図5a及び5bは、本発明のいくつかの実施形態による、彫り込みを有するステントの外面の平面図を示すことによって、彫り込み型コーティングのデザインを例示する。彫り込みは、例えばチャネルやピットなど、任意の形状、サイズ、又は形をとることができる。図5aは、ステントの外面501上の単一チャネル502を示し、図5bは、ステントの外面501上の、平行トラック型コーティングのデザイン503を示す。
【0090】
[00100]一実施例では、チャネル幅は、約0.0005インチから約0.005インチに及ぶことができる。別の実施例では、チャネル幅は、約0.001インチから約0.004インチに及ぶことができる。別の実施例では、チャネル幅は、約0.001インチから約0.002インチに及ぶことができる。別の実施例では、単一のピットを存在させることができる。別の実施例では、彫り込みは、例えば連続チャネルのように、ステントの各ストラット上の外面に連続させることができる。別の実施例では、彫り込みを不連続にし、ステントの外面の選択領域に配置することができる。別の実施例では、ステントは、例えばチャネルとピットの組合せなど、任意の形状の彫り込みの組合せを有することができる。ピット及びチャネルは、例えばレーザ切断や押出し、成型などの、当業者に知られている任意の方法を使用して形成することができる。
【0091】
[00101]図6は、本発明のいくつかの実施形態によるステントコーティング装置を示す。ステント603を支持するためのステントマンドレル取付け具602を含む装置601は、支持部材604、マンドレル605、及び任意選択のロック部材606を含む状態が示されている(例えばステント603を、マンドレル605そのものによって支持することができる場合)。支持部材604は、コーティングプロセス中に、矢印608によって示されるように、ステント603の長軸を中心にした回転運動が得られるようモータ607に接続することができる。支持部材604を、レール610に沿って線形方向の前後に移動させるため、別のモータ609を設けることもできる。
【0092】
[00102]支持部材604は、内向きに先細りになっている円錐先端部分611を含む。本発明の一実施形態によれば、マンドレル605は、円錐先端部分611に永久に固定することができる。或いは支持部材604は、マンドレル605の第1の端部を受容するためのボア612を含むことができる。マンドレル605の第1の端部は、ボア612にねじ込まれるように、ねじ山を切ることができ、或いは摩擦嵌めによってボア612内に保持することができる。ボア612は、マンドレル605が支持部材604としっかり結合するように、十分深くあるべきである。ボア612の深さは、有意な長さのマンドレル605がボア612に侵入し又はねじ込まれるように、過剰に延ばすこともできる。ボア612は、支持部材604内に完全に延ばすこともできる。これにより、マンドレル605の長さを、様々なサイズのマンドレルに適応するように調節することができる。マンドレル605は、剛性を付加し、コーティングプロセス中にステント603を支持するための、複数の隆起部613を含んでもよい。隆起部613は、ステント603の内径よりもわずかに小さい直径を有する。3つの隆起部613が示されているが、当業者なら、追加の又はより少ない隆起部が存在し又は隆起部が無くてもよく、任意の隆起部が均等に又は不均等に間隔を空けてもよいことが理解されよう。コーティング組成物の画像形成及び付着の際には、最少量のランアウト(run−out)であることが通常は好ましいので、いくつかの実施形態では、堅いマンドレル605がコーティングプロセスの精度の改善を助けることができる。
【0093】
[00103]ロック部材606は、内向きに先細りになっている円錐先端部分614を含む。マンドレル605の第2の端部は、第1の端部が支持部材604から係合解除される場合、ロック部材606に永久に固定することができる。或いは別の実施形態によれば、マンドレル605は、ロック部材606のボア615にねじ込むための、ねじ山が切られた第2の端部を有することができる。ボア615は、ロック部材606を支持部材604付近に漸増的に移動させることが可能な、任意の適切な深さにすることができる。ボア615は、ロック部材606内に完全に延ばすこともできる。したがって、任意の長さのステント603を、支持部材604とロック部材606との間でしっかりと締め付けることができる。さらに別の実施形態によれば、ねじ山が切られていない第2の端部とボア615との組合せを用い、それによって第2の端部をボア615にプレス嵌めし又は摩擦嵌めし、ステントマンドレル取付け具602上のステント603が移動しないようにすることができる。
【0094】
[00104]ステント603から離れた位置(例えば、ステント603の上方)には、ステント603に付着されるコーティング組成物を保持する貯蔵部616が、位置決めされている。貯蔵部616は、アパーチャ618を有するエジェクタ617と流体接続している。エジェクタ617も、ステント603から離れた位置に(例えば、ステント603の上方、下方、及び/又はステント603とある角度をなして)位置決めされている。コーティング組成物を定量吐出するために、例えば静水圧、油圧、空気圧、毛管圧力、又は当業者に知られている任意のその他の圧力源などの、圧力源を使用することができる。例えばいくつかの実施形態では、トランスデューサをエジェクタ617内に配置して、電気エネルギーを、音又は超音波の形の振動エネルギーに変換することができる。音又は超音波を、本明細書では「音響」エネルギーと呼び、このエネルギーによって、例えばコーティング組成物の液滴などの制御体積が、アパーチャ618からステント603上に排出される。本発明の実施形態では、トランスデューサからの各音響パルスは、アパーチャ618から1滴を吐出することができる。
【0095】
[00105]貯蔵部616は、コーティング組成物をエジェクタ617に定量吐出し、この組成物を、アパーチャ618を通して排出する。アパーチャ618は、直径が約50μmから約250μmに及ぶ小さい開口を有し、したがってコーティング組成物は、トランスデューサが起動しない限り、コーティング組成物の表面張力によってアパーチャ618から出て行かないことになる。いくつかの実施形態では、コーティングを使用してアパーチャ618の表面エネルギーを制御することができ、したがって例えばTEFLONを使用して、低表面エネルギーのコーティングを得ることができる。ステント603のある特定のセクションが他のセクションよりも多くのコーティングを受容することができるように、トランスデューサを調節して、定量吐出されるコーティングの速度を制御することができる。
【0096】
[00106]エジェクタ617は、それぞれの個々のステントストラットと並べることができる。コーティングはエジェクタ617に流入し、トランスデューサによって制御可能にアパーチャ618からステントストラット上に排出され、それによって、コーティングを外面のステントストラット上に限定するが、これは噴霧及び浸漬技法よりも優れた利点である。いくつかの実施形態では、ステントストラットの側壁を部分的にコーティングすることができる。その他の実施形態では、側壁の部分コーティングは偶発的又は意図的にすることができる。
【0097】
[00107]エジェクタ617には、コーティング組成物をステント603の一部に付着させる前及び又は付着させた後に、ステント603の画像形成を行う第1の画像形成装置619を連結することができる。第1の画像形成装置619は、ステント603から離れて位置付けられている第2の画像形成装置620と一緒に、配線式又は無線式の技法を使用して共に連絡可能に光フィードバックシステム621に連結されている。貯蔵部616も、配線式又は無線式の技法を使用して、光フィードバックシステム621に連絡可能に連結してもよい。画像形成装置619及び620によって提供されたイメージに基づき、光フィードバックシステム621は、要求に応じて、ステントと並んだアパーチャ618を保持するために、モータ607及び609を使用してステント603の移動を制御する。
【0098】
[00108]ステントコーティング装置601の動作中、光フィードバックシステム621は、フィードバックシステム621によってモータ607がステント603を回転さたときに、画像形成装置620でステント603の全表面の画像形成を行う。最初の画像形成の後、光フィードバックシステム621は画像形成装置619を使用して、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させることによりアライメントが実現するまで、アパーチャ618とステントストラットとの位置合わせを行う。次いで光フィードバックシステム621では、アパーチャ618にあるコーティング組成物に向かって音響エネルギーを放出することにより、トランスデューサによってコーティング物質がアパーチャ618を通して定量吐出される。
【0099】
[00109]コーティング物質が定量吐出されるにつれ、光フィードバックシステム621は、モータ607及び609を回転させて、ステント603をアパーチャ618に関連付けて並進させ、その結果、ステントストラットの残りの所望のセクションがアパーチャ618に沿って位置決めされ、それによってストラットの所望の外面をコーティングする。一実施例では、ステントの全外面を組成物でコーティングする。別の実施例では、選択領域を第1の組成物でコーティングし、このプロセスを、1種又は複数の追加の組成物に関して繰り返す。別の実施例では、このプロセスを、ステントの所望の面を同時にコーティングするために、複数のアパーチャ618とこれらに対応する複数の組成物とを使用して行う。
【0100】
[00110]ステントストラットの一部をコーティングした後、光フィードバックシステム621では、トランスデューサによってコーティング組成物の定量吐出を停止し、画像形成装置619によってステントストラットの画像形成を行って、ストラットが適切にコーティングされているか否か判断する。この判断は、コーティングプロセスの前後での、ステントストラットの色及び/又は反射率の差を測定することによって行うことができる。ストラットが適切にコーティングされている場合、光フィードバックシステム621では、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させ、アパーチャ618がコーティングされていないステント603セクションと位置合わせされるようにし、次いで上記プロセスを繰り返す。ステントストラットが適切にコーティングされていない場合、光フィードバックシステム621では、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させ、トランスデューサによりコーティング組成物を定量吐出して、ステントストラットを再度コーティングする。本発明の別の実施形態では、光フィードバックシステム621によって、ステント603の全体が各コーティング通路を通った後に、ステント603の点検及び再コーティングを行うことができる。
【0101】
[00111]本発明の実施形態では、画像形成装置619及び620は、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子を含むことができる。本発明の実施形態では、画像形成装置619及び620を、単一の画像形成装置に組み合わせることができる。さらに当業者なら、画像形成装置619及び620の配置は、これらの装置によってステント603の許容可能な像が得られる限り、変えることができることが理解されよう。さらに当業者なら、ステントマンドレル取付け具602は、ステント603を所定の位置にしっかりと保持することが可能である限り、任意の形又は形状をとることができることが理解されよう。
【0102】
[00112]したがって、本発明の実施形態によれば、ステント603の特定の面を精巧にコーティングすることができ、それによって、スプレーコーティング法及びディップコーティング法で生ずる可能性のあるコーティングの欠陥が回避され、このコーティングを、ステント603の外面及び/又は側壁のみに限定することができる。ステントストラット間のギャップにコーティングを付着させることは、本明細書に教示される技法を使用して部分的に又は完全に回避することができる。
【0103】
[00113]多くの実施形態では、コーティングは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6395326号明細書に記載されるように、デポー(depot)又はパターンを含むことができる。いくつかの実施形態では、事前に選択された幾何形状パターンを、音響エジェクタアセンブリなどのディスペンサアセンブリを移動させることによって所定の経路に沿って堆積することができ、それと同時に、例えばプロテアーゼやステントなどの固定医療デバイス上に、組成物を堆積することがきる。その他の実施形態では、固定ディスペンサアセンブリにより医療デバイス上に組成物を堆積させながら、所定の経路に沿って、医療デバイスを支持するアセンブリを移動させるステップを含む方法を使用して、事前に選択された幾何形状パターンを堆積することができる。その他の実施形態では、医療デバイスを支持するアセンブリとディスペンサアセンブリの両方を移動させて、事前に選択したパターンを医療デバイス上に形成することができる。
【0104】
[00114]コーティング組成物の、事前に選択された幾何形状は、実質的な直線であり或いは湾曲し又は角度のついたパターンである、連続した流れとして付着させてもよい。事前に選択された幾何形状パターンは、直線であり、湾曲し又は角度のついた線であり、少なくとも1つのビーズを含み、又は単一のビーズである、断続的なパターンでもよい。
【0105】
[00115]いくつかの実施形態では、デバイス上へのコーティング組成物の付着の後、このデバイスに沿って組成物の再分配が行われる。この再分配は、例えば空気圧、遠心力、又は第2の溶媒を使用することによって実現してもよい。
【0106】
[00116]ステント603の外面にコーティングした後、ステント603は、例えばエレクトロスプレーやスプレーコーティングなどのその他のコーティング方法を使用して、コーティングされたその他の面、例えば内面を有することができる。ステント603の外面をマスクせずに、エレクトロスプレー及びスプレーコーティングの両方を使用して、所望の組成物をステント603の外面及び側壁に付着させてもよい。しかし内面は、ステント603の外面をコーティングするのに使用した組成物とは異なる単一の組成物で、実質的に単独でコーティングされる。したがって当業者なら、この実施形態は、異なる組成物を用いてステント603の内面及び外面をコーティングできることが理解されよう。例えば管腔面は、所望の薬剤又は薬剤の組合せを有する組成物(例えば、ヘパリンなどの抗凝固薬;及び/又はPEGの形などの非汚損薬)でコーティングすることができ、それと共にステント603の外面は、血管壁への局所送達のための薬剤又は薬剤の組合せを有する組成物(例えば、抗炎症薬及び/又は抗増殖薬)でコーティングすることができる。
【0107】
[00117]本発明の制御体積は、コーティング組成物を送達するためにノズルを組み込んだシステム、又はノズル無しでコーティング組成物を送達することができるシステムに送達することができる。図7a〜7cは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを組み込んだアセンブリを示す。いくつかの実施形態では、アセンブリは、図6のアパーチャ618を表すのに使用することができる。ディスペンサアセンブリ701は、デバイスの表面への組成物702の制御送達及び堆積のために使用することができる。
【0108】
[00118]図7aに示すように、ディスペンサアセンブリ701は、送達前に組成物702を保持する貯蔵部703と、内部を通過して組成物702が送達されるオリフィス又はアパーチャ705を有するノズル704とを備える、単一のデバイスにすることができる。一実施例では、ディスペンサアセンブリ701は、インクジェット式プリントヘッドにすることができる。別の実施例では、ディスペンサアセンブリ701は、約2nLから約70nLに及ぶ少量を射出することが可能なマイクロインジェクタにすることができる(例えば、World Precision Instrumentsから入手可能なNanoLiter 2000、又はCell Technology Systemから入手可能なMicropipetteを備えたPneumatic PicoPumps PV830)。これらの微量注入シリンジは、適切なデザインの顕微鏡と併せて用いてもよい。
【0109】
[00119]ノズル704は、永久に、又は取外し可能に、又は使い捨て可能に貯蔵部703に固定してもよく、限定するものではないがガラス、金属、サファイヤ、及びプラスチックを含めた任意の適切な材料で作製してもよい。ノズル704の破損を避けるため、組成物702の堆積の際にガラスノズル704が医療デバイスの表面に確実に接触しないようにするために、特別な注意が払われるべきである。また、プラスチックノズル704が組成物702と確実に適合するようにするために、特別な注意が払われるべきである。ノズル704は、限定するものではないが図7b及び7cによって例示されるデザインを含めた、任意の適切なデザインのものでもよい。図7cに示されるノズル704は、図示されるノズル704のデザインによって最後の液滴706がオリフィス705内に捕捉されるので、組成物702の最後の液滴706を浮き上がらせることが望ましい適用例において特に役立てることができる。さらに、ディスペンサアセンブリ701は、複数のコーティング組成物を定量吐出することができるように、複数の貯蔵部703及びノズル704を含んでもよい。
【0110】
[00120]ノズル704のオリフィス705は、その直径が、約0.5μmから約150μmに及ぶことができる。オリフィス705の特定のサイズは、組成物702の構成要素や付着される組成物702の粘度、望まれる堆積パターン、使用される医療デバイスのタイプなどの要因に依存する。例えば、医療デバイス内の個別のチャネル又はキャビティに組成物702を付着させるオリフィス705よりも大きいオリフィス705を利用して、組成物702を医療デバイスの外面全体に付着させてもよい。いくつかの実施形態では、コーティング組成物を付着する間のノズル704の中心軸の向きは、コーティングされる医療デバイスの表面に対して90°をなすことができる。その他の実施形態では、コーティング組成物を付着する間のノズル704の中心軸の向きを、コーティングされる医療デバイスの表面に対して90°未満にすることができる。
【0111】
[00121]ディスペンサアセンブリ701を使用した組成物702の送達は、受動的又は能動的に実現することができる。いくつかの実施形態では、送達は、毛管作用を通して受動的に実現することができる。或いは、また上述のように、送達は、図7aに示される貯蔵部703内の組成物702に、圧力源(P)を加えることにより、能動的に実現することもできる。組成物702の連続的な流れの堆積が望まれる場合は、連続的に圧力を加える。組成物702の断続的な堆積パターンが望まれる場合は、圧力を一気に加えることができる。当業者に知られており当業者が利用可能な任意の形の圧力を、使用することができる。
【0112】
[00122]図8a及び8bは、本発明のいくつかの実施形態によるノズルを必要としないエジェクタアセンブリを示す。いくつかの実施形態では、エジェクタアセンブリ801は、ノズルを必要としないコーティング組成物の制御送達のために、図6のアパーチャ618の代わりに使用することができる。図8aは、貯蔵部ハウジング802とトランスデューサ803を備えたエジェクタアセンブリ801の断面を示す。トランスデューサ803は、貯蔵部804で、その内部にあるコーティング組成物805の表面に集束させた音響エネルギーを出力する。各パルスは、液滴806中の既知の量のコーティング組成物805を貯蔵部804から医療デバイス上に排出し、それによって、貯蔵部804内のコーティング組成物805のレベルを低下させる。したがって、音響エネルギーの各パルスの後に、トランスデューサ803は、貯蔵部804内の新たなレベルに再び焦点を合わすことができる。
【0113】
[00123]代替の実施形態では、貯蔵部804に常に補充することができ、それによって、コーティングプロセスの全体を通してコーティング組成物805のレベルを同じに保つことができる。本発明のいくつかの実施形態では、貯蔵部804はそれぞれ異なるコーティング物質を保持することができる。一実施例では、第1の貯蔵部がコーティング組成物805を保持することができ、その一方で第2の貯蔵部は、コーティング組成物807を保持することができる。次いでトランスデューサ803は、異なるコーティング物質の排出を、単一のコーティングプロセス中に医療デバイスに向けて引き起こすことができる。さらに、トランスデューサ803と貯蔵部804とは接触していないので、貯蔵部804同士の交差汚染の機会が最小限に抑えられ、又は無くなっており、どのエジェクタアセンブリ801も詰まる可能性がない。
【0114】
[00124]図8bに示される実施形態では、貯蔵部804の1つ又は複数に、2種の異なるコーティング物質、即ち第1の物質807及び第2の物質808が入っていてもよく、これら2種の物質間の界面に音響エネルギー810のパルスを集束させることによって、トランスデューサ803が、組み合わされた液滴809を貯蔵部804から排出できるようにする。音響エネルギー810のパルスは、レンズ811によって集束される。したがっていくつかの実施形態では、医療デバイスは、第1の物質807が第2の物質808をカプセル状に包み込むような2種の異なるコーティング物質で、同時にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、第1の物質807は、所望の生物活性剤にすることができる第2の物質808の放出を制御するために選択された生分解性ポリマーにすることができる。その他の実施形態では、第1の物質807を第1の薬剤にすることができ、第2の物質808を第2の薬剤にすることができ、但しこれらの薬剤は、本明細書に教示される任意の薬剤にすることができる。
【0115】
[00125]図8a及び8bに示されるエジェクタアセンブリ801の利点は、真の「ドロップオンデマンド(drop−on−demand)」又は「単分散」の形をとる液滴などの、制御体積を排出する能力が改善されることである。いくつかの実施形態では、制御体積を特定の部位に1滴ずつ送達することができる。その他の実施形態では、制御体積を例えば高周波音響エネルギーを使用して、連続した一続きのものとして送達することができる。
【0116】
[00126]制御体積は、様々なサイズで送達することができる。いくつかの実施形態では、制御体積を、約1フェムトリットルから約1マイクロリットル、約1フェムトリットルから約100ナノリットル、約1フェムトリットルから約10ナノリットル、約10フェムトリットルから約0.1ナノリットル約10フェムトリットルから約100ピコリットル、約100フェムトリットルから約10ピコリットルに及ぶ体積、またこれらの任意の範囲内の体積で分散させることができる。いくつかの実施形態では、単分散の液滴の均等な分布を補助するために、制御体積が10ピコリットルよりも小さい。この広範な制御体積の利点は、極めて強力な薬剤を所望の量で単独で、医療デバイスの表面上の所望領域に送達することができることである。この広範な制御体積の別の利点は、複数の薬剤を独立に又は組み合わせて大量に(in a range of quantities)、医療デバイスの所望領域範囲及び複数の表面に送達することができることである。
【0117】
[00127]エジェクタアセンブリ801の別の利点は、制御体積が上向きに又は下向きに排出されるように、システムを設計できることである。図9は、制御体積を、本発明のいくつかの実施形態によるステントの外面に向かって下向きに排出する方法を示す。エジェクタアセンブリ901は、レンズ904で、トランスデューサ903からの音響エネルギー902を集束させる。単分散の液滴、又は制御体積905は、アパーチャ908でコーティング組成物907によって生成された、流体メニスカス906で生成される。所望の薬剤を、ステント909の外面などの、デバイス上の所定領域にある単分散の液滴905内に、又はデバイス上のコーティング内に、位置決めすることができる。
【0118】
[00128]図10a及び10bは、本発明のいくつかの実施形態による音響エジェクタアセンブリの代替のデザインを示す。図10に示されるように、図8a及び8bに最初に示されるエジェクタアセンブリ801は、トランスデューサ803及びレンズ810がコーティング組成物805と直接接触するように、又は結合流体10を通してコーティング組成物805と間接的に接触するように、設計することができる。図10aに示される直接接触デザインは、貯蔵部804のそれぞれに関してトランスデューサ803を使用し、それに対して図10bに示される間接接触デザインは、複数の貯蔵部804に関して単一のトランスデューサ803を使用する。どの実施形態においても、エジェクタアセンブリ801は、図9に示されるステント909の外面などの、デバイス上の所定領域又はデバイス上のコーティング内に、薬剤11、12、13を単分散させ付着させる能力を有する。
【0119】
[00129]本明細書に教示されるコーティングプロセスでは、キャスティング溶媒を使用してもよい。キャスティング溶媒は、基材上にコーティングとして付着させてもよい溶液を形成するために、ポリマーを可溶化することのできる液体媒体である。キャスティング溶媒は、例えば下に存在するプライマー層のような、下に存在する材料又は剥き出しのステント構造に、悪影響を及ぼさないよう選択しなければならない。一実施例では、プライマー層を形成するのに使用される材料は、高い極性のキャスティング溶媒に可溶であるが、低い極性のキャスティング溶媒には適度に不溶である。材料が、得られる生成物の性能に著しい影響を及ぼすような十分に大きな範囲まで可溶化しない場合、この材料は、溶媒に「適度に不溶」であり、即ち生成物が依然として、その意図する目的に使用できることを意味する。この実施例では、低極性のキャスティング溶媒に可溶である、上に存在する薬剤層を、プライマー層の構造を破壊することなく下に存在するプライマー層に付着させることができる。
【0120】
[00130]キャスティング溶媒は、例えばその極性、水素結合能力、分子サイズ、揮発性、生体適合性、反応性、及び純度も含めたいくつかの基準に基づいて選択してもよい。キャスティング溶媒中のポリマーの溶解限度、キャスティング溶媒中の酸素及びその他の気体の存在、キャスティング溶媒とポリマーとを組み合わせたものの粘度及び蒸気圧、キャスティング溶媒が下に存在する材料を通して拡散する能力、及びキャスティング溶媒の熱安定性を含めたキャスティング溶媒のその他の物理的特徴を考慮してもよい。
【0121】
[00131]当業者なら、広く様々なポリマーの溶解度に関する科学文献及びデータを入手することができる。さらに当業者なら、入手可能な熱力学的データを使用して、溶解に関するギブスの自由エネルギーを計算することにより、キャスティング溶媒の選択を経験的に開始してもよいことが理解されよう。そのような計算によれば、実験室で試験をするために可能性ある溶媒を予備的に選択することが可能となる。プロセス条件は、下に存在する材料の化学構造に影響を及ぼす可能性があり、したがってキャスティング溶媒への溶解度に影響を及ぼす可能性があることが理解される。また、例えば下に存在する材料がゆっくり溶解することは、生成物を比較的素早く生成した場合のその生成物の性能特性に影響を及ぼさないので、溶解速度(kinetics of dissolution)はキャスティング溶媒を選択する際に考慮される要因であることも理解される。
【0122】
[00132]本発明で使用される例示的なキャスティング溶媒には、DMAC、DMF、THF、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、及びジオキサンが含まれるが、これらに限定するものではない。溶媒混合物も同様に使用することができる。混合物の代表的な例には、DMAC及びメタノール(50:50w/w);水、i−プロパノール、及びDMAC(10:3:87w/w);i−プロパノール及びDMAC(80:20、50:50、又は20:80w/w);アセトン及びシクロヘキサノン(80:20、50;50、又は20:80w/w);アセトン及びキシレン(50:50w/w);アセトン、キシレン、及びFLUX REMOVER AMS(登録商標)(93.7%の3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンと、これらの残りであるメタノール及び微量のニトロメタン;Tech Spray,Inc.)(10:40:50w/w);及び1,1,2−トリクロロエタン及びクロロホルム(80:20w/w)含まれるが、これらに限定するものではない。
【0123】
[00133]医療物品又はコーティングを形成するプロセスは、例えば熱や電磁放射、電子線、イオン又は荷電粒子線、中性原子線、化学エネルギーなどのエネルギーの使用など、追加のプロセスステップを含むことができることを理解すべきである。乾燥プロセスは、より高い温度を使用することによって、加速させることができる。いくつかの実施形態では、エネルギー印加の制御に、作業者による手動制御が含まれる。その他の実施形態では、エネルギー印加の制御には、プログラム可能な加熱制御システムが含まれる。いくつかの実施形態では、エネルギーを加えることによって、約35℃から約100℃、約35℃から約80℃、約35℃から約55℃、又はこれらの任意の範囲内に及ぶコーティング組成物温度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、当業者に知られている乾燥又は切断のための任意の手順が、本発明の範囲内にある。
【0124】
[00134]医療物品又はコーティングは、組成物の機械的性質を高めるためにアニールすることもできる。アニーリングは、応力亀裂欠陥が極めて危険なものになり得る複雑な医療デバイスなどの適用例において、部分応力を下げるのを助けるために使用することができ、また安全性に関する別の尺度をもたらすことができる。アニーリングは、約30℃から約200℃、約35℃から約190℃、約40℃から約180℃、約45℃から約175℃、又はこれらの任意の範囲に及ぶ温度で行うことができる。アニーリング時間は、約1秒から約60秒、約1分から約60分、約2分から約45分、約3分から約30分、約5分から約20分、又はこれらの任意の範囲に及ぶことができる。アニーリングは、加熱を冷却と共に繰り返すことによって行うこともでき、このときの加熱及び冷却に要する合計時間が、アニーリングのサイクル時間である。
【0125】
[00135]下記の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示するために提供する。
【0126】
実施例1
[00136]2つのコーティング層を有する医療物品は、第1の組成物及び第2の組成物を調製することによって、エベロリムス及びクロベタゾールを含むように製作することができる。第1の組成物は、第1の生分解性ポリマー、例えばポリ(L−ラクチド)のマトリックスと、クロベタゾールとを含む薬剤層にすることができ;第2の組成物は、第2の生分解性ポリマー、例えばポリ(D,L−ラクチド)のマトリックスと、エベロリムスとを含む薬剤層にすることができる。
【0127】
[00137]第1の組成物は、第1のコーティング組成物を形成するために第1の生分解性ポリマーとエベロリムスとをクロロホルム中で混合することによって、調製することができる。第1のコーティング組成物は、単分散形態で、剥き出しの12mm VISION(商標)ステント(Guidant Corp.)(「実施例ステント」)の外面に付着させ、乾燥して、第1のコーティングを形成することができる。第2のコーティング組成物は、この第2のコーティング組成物を形成するために第2の生分解性ポリマーとエベロリムスとをメチル−エチル−ケトン中で混合することによって、調製することができる。第2のコーティング組成物は、単分散形態で、ステントの外面上の選択領域のみに付着させることができる。単分散液滴サイズは、約1ピコリットルから約10ピコリットルに及ぶことができる。
【0128】
[00138]薬剤放出の制御を補助するために、トップコート層を任意選択で付着させることができる。トップコート層に関する例示的なコーティング技法は、ステントのコーティングされた外面に、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)/エタノール混合物を付着させるステップを含む。最後の通過(final pass)の後に、約50℃で約1時間、コーティングをベークして、乾燥薬剤層を形成する。
【0129】
実施例2
[00139]3つのコーティング層を有する医療物品は、第1の組成物、第2の組成物、及び第3の組成物を調製することによって、エベロリムス及びタクロリムスを含むように製作することができる。第1の組成物は、ポリ(ヒドロキシルアルカノエート)とタクロリムスとの混合物のプライマー層にすることができる。第2の組成物は、エベロリムスの純粋な薬剤層にすることができ、第3の組成物は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)のトップコート層にすることができる。
【0130】
[00140]第1の組成物は、無水エタノールに溶かした約2%(w/w)のポリ(ヒドロキシルアルカノエート)と、適当量のタクロリムスとを混合することによって調製することができ、音響エジェクタアセンブリ技法を使用して実施例ステントの表面に付着させることにより、乾燥プライマー層を形成することができる。乾燥プライマー層は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)約100μgとテクロリムスの適当量とを組み合わせて含有することができる。第2の組成物は、無水エタノールに約2%(w/w)のエベロリムスを混合し、この混合物を、音響エジェクタアセンブリ技法を使用してプライマー層に付着させることにより調製することができ、その結果、制御体積のエベロリムスを含んだ純粋な薬剤層を形成することができる。第3の組成物は、無水エタノールに約2%(w/w)のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を混合し、この混合物を、実施例1の実施例コーティング技法を使用してプライマー層に付着させることにより調製することができ、その結果、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含むトップコート層を形成することができる。
【0131】
[00141]本発明の特定の実施形態について図示し記述してきたが、当業者なら、本発明の教示の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に変更及び修正を加えることができることに留意されたい。医療デバイス製造のための制御体積を形成する数多くのコーティング装置、ポリマー、薬剤、及び方法を、本明細書に教示してきた。当業者なら、そのような教示は、単なる例示として提供され、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明のいくつかの実施形態による、ステント101の3次元図の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態による、薬剤の組合せで選択的にコーティングすることができるステントの、外側部分の選択領域を示す図である。
【図3】図3a及び図3bは、本発明のいくつかの実施形態による、サンドイッチ型コーティングのデザインを示す図である。
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態による、部分的にコーティングされたステントの外面の上面図を示すことによって、格子縞型のコーティングデザインを例示する図である。
【図5】図5a及び図5bは、本発明のいくつかの実施形態による、彫り込みを有するステントの外面の上面図を示すことによって、彫り込み型のコーティングデザインを例示する図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態による、ステントコーティング装置を示す図である。
【図7】図7a−図7cは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを組み込んだアセンブリを示す図である。
【図8】図8a及び図8bは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを必要としないエジェクタアセンブリを示す図である。
【図9】本発明のいくつかの実施形態による、ステントの外面に向かって下向きに制御体積を排出する方法を示す図である。
【図10】図10a及び図10bは、本発明のいくつかの実施形態による、音響エジェクタアセンブリの代替のデザインを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
発明の分野
[0001]本発明は、一般に医療デバイスに関し、より詳細には、薬剤の組合せを含有する医療デバイスに関する。
【0002】
現況技術の説明
[0002]バイオマテリアルの研究における現在のパラダイムとは、移植材料表面へのタンパク質の吸着を、制御することである。移植材料表面への制御されていないタンパク質吸着が、現在のバイオマテリアル移植材料に関する問題であり、移植材料表面に、一部変性したタンパク質の混合層がもたらされる。一部変性したタンパク質のこの混合層は、例えば、フィブリノゲンや免疫グロブリンGなどの吸着された血漿タンパク質から細胞結合部位を提供することによって、疾患をもたらす。血小板と、例えば単球やマクロファージ、好中球などの炎症性細胞は、細胞結合部位に付着する。広く様々な炎症誘発性及び増殖性因子が分泌され、罹患状態をもたらす可能性がある。したがって、この一部変性したタンパク質の層で汚損されない、又は少ししか汚損されない表面である、非汚損表面が望ましい。
【0003】
[0003]ステントは、非汚損表面によって利益を得ることができる、移植材料の一例である。ステントは、医薬品として活性な薬剤を送達するための媒体として使用することができる、機械的介入である。機械的介入として、ステントは、物理的に開通した状態に保つ(hold open)ことができ、必要に応じて被験者の内部で通路を延ばすことができる。典型的な場合、ステントは、圧縮され、カテーテルを通して小血管内に挿入され、次いで適正部位に配置されたらより大きい直径にまで拡がってもよい。ステントを開示する特許の例には、米国特許第4733665号、第4800882号、及び第4886062号が含まれる。
【0004】
[0004]ステントは、例えば、心疾患を治療するのに使用される処置である経皮的冠動脈形成術(PTCA)など、様々な医療処置において重要な役割を演じる。PTCAでは、バルーンカテーテルを上腕又は大腿動脈内に挿入し、冠動脈閉塞部上に位置決めし、アテローム斑が圧縮して冠動脈管腔が開くように膨張させ、収縮させ、引き出す。PTCAに関する問題には、内膜剥離又は引き裂かれた動脈内層の形成が含まれ、その両方とも、冠動脈管腔内に別の閉塞をもたらす可能性がある。さらに、血栓及び再狭窄が処置後数カ月で生ずる可能性があり、血管形成術又は外科的バイパス術をさらに行う必要が生ずる。ステントは一般に、閉塞を低減させ、血栓及び再狭窄を阻害し、例えば冠動脈の管腔など、血管の管腔内の開通性を維持するために移植する。
【0005】
[0005]ステントは、薬剤の局所送達をもたらすためにも開発されている。薬剤の局所送達は、薬剤の全身送達、特に、被験者の特定部位で効果を発揮するのに高い全身用量が必要とされる場合、即ち、薬剤の高い全身用量が被験者にしばしば副作用をもたらす可能性がある場合よりも、しばしば好ましい。提示される1つの局所送達方法は、医療用品の表面をポリマー担体でコーティングするステップと、このポリマー担体に薬剤を付着させ又は薬剤をブレンドするステップとを含む。
【0006】
[0006]薬剤コーティングステントは、再狭窄に伴う組織増殖を阻害することによって、ステント再狭窄の速度を劇的に低下することが実証された。再狭窄は非常に複雑な過程であり、薬剤は、再狭窄過程の回避の試みと併せて付着させている。複数の薬剤を付着させる1つの方法では、これらの薬剤を1つの製剤として一緒にブレンドし、このブレンドを、ポリマーマトリックスに溶かしてステント表面に付着させる。この方法の欠点は、薬剤が、ブレンドを通してマトリックスから放出され、放出の際に互いに競合することである。薬剤放出の制御は、重要な設計上の課題であり、ステント技術の開発における次の特徴である。
【0007】
[0007]そのようなマトリックスからの薬剤の放出プロファイルは、制御するのが難しい。いくつかの適用例では、薬剤の放出プロファイルの制御は、薬剤に求められる効果を発揮させるのに重要である可能性がある。ポリマーコーティングマトリックスにおける非常に数多くの薬剤放出に関する課題には、限定するものではないが、マトリックス中のポリマーにおける官能基のばらつき;溶質に依存する可能性のある、マトリックス中のポリマーの形態;ポリマーの相溶性及び形態に影響を及ぼす、マトリックス中のポリマーの溶解度パラメーターが含まれる。薬剤をポリマーと組み合わせる手法は、例えば、この薬剤がポリマーと結合しようと又はポリマーとブレンドされようと、著しい影響を及ぼす可能性もある。薬剤同士の相互作用も、薬剤の放出プロファイルに影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
[0008]したがって、医療デバイス、及び薬剤の組合せを含むコーティングであって、この薬剤のそれぞれは、(i)他の薬剤からの交差汚染が無い状態でデバイス又はコーティングに組み込むことができ、(ii)他の薬剤からの干渉が実質的に無い状態でその機能を発揮することができ、(iii)薬剤が所定の放出速度及び吸収速度を有するようにデバイス又はコーティングに組み込むことができ、(iv)生物活性があり、生物学的に有益であり、診断的であり、及び/又は医療デバイスの物理的性質又は機械的性質を制御する他の薬剤と組み合わせることができるものである、コーティングが求められている。
【0009】
[概要]
[0009]本発明の実施形態は、一般に、例えば医療デバイスに含まれており又はコーティングとして医療デバイスに付着させてもよい、制御体積の材料を包含する。これらの材料は、ステントを含む医療デバイスで使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイスであって、複数の薬剤の組合せ中の薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積内で位置決めされている医療デバイスを含むことができる。
【0010】
[0010]その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、薬剤が、デバイス上、デバイス内、デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積内で位置決めされているコーティングを含むことができる。その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを選択するステップと、薬剤の組合せからの1種の薬剤を、コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積内で付着させるステップとを含む、医療デバイスをコーティングする方法を含むことができる。
【0011】
[0011]その他の実施形態では、本発明は、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、薬剤の組合せを選択するステップを含む方法を使用して形成されたコーティングを含むことができる。薬剤の組合せには、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含めることができる。この方法は、薬剤の組合せからの1種の薬剤を、コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積内で付着させるステップを含む。付着させるステップは、音響エネルギーの使用を含む方法によって、制御体積を形成するステップを含む。
【0012】
[詳細な説明]
[0022]以下により詳細に論じるように、本発明の実施形態は、一般に、医療用品と共に使用するために、例えば治療薬、予防薬、診断薬、及び/又はその他の薬剤などの薬剤の組合せを含む組成物を包含する。また本発明は、この組成物を製作するための方法も包含する。医療用品には、例えばステントなどの移植可能な医療デバイスなど、任意の医療デバイスが含まれる。いくつかの実施形態では、組成物を、移植可能な基材上のコーティングとして使用することができる。その他の実施形態では、ステントなどの医療デバイスは、その全体又は一部が組成物から作製される。
【0013】
[0023]「薬剤」は、生物活性であり、生物学的に有益であり、診断的であり、可塑的であり、又はこれらの特徴の組合せを有してもよい部分(moiety)にすることができる。「部分」は、少なくとも1個の原子からなる官能基、巨大分子中で結合した残基、コポリマー中の個々の単位、又はポリマーブロック全体にすることができる。本明細書に記述される教示によって改善することができる任意の医療デバイスは、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0014】
[0024]医療デバイスの例には、ステント、ステント−グラフト、血管グラフト、人工心臓弁、卵円孔閉鎖デバイス、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、ガイドワイヤ、心室支援デバイス、心肺バイパス回路、血液酸素化装置、冠動脈シャント(AXIUS(商標)、Guidant Corp.)、及び心内膜リード(FINELINE(登録商標)及びENDOTAK(登録商標)、Guidant Corp.)含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ステントには、管状ステント、自己拡張型ステント、コイルステント、リングステント、及びマルチデザインステントなどが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、ステントは、金属、低−強磁性、非強磁性、生物学的に安定なポリマー、生分解性ポリマー、又は生分解性金属である。いくつかの実施形態では、ステントには、血管ステント、腎臓ステント、胆管ステント、肺ステント、及び胃腸ステントが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0015】
[0025]医療デバイスは、限定するものではないがELASTINITE(登録商標)(Guidant Corp.)、NITINOL(登録商標)(Nitinol Devices and Components)、ステンレス鋼、タンタル、タンタルを主成分とした合金、ニッケル−チタン合金、白金、白金を主成分とした合金、例えば白金−イリジウム合金など、イリジウム、金、マグネシウム、チタン、チタンを主成分とした合金、ジルコニウムを主成分とした合金、コバルト及びクロムを含む合金(ELGILOY(登録商標)、Elgiloy Specialty Metals,Inc.;MP35N及びMP20N、SPS Technologies)、又はこれらの組合せを含めた金属又は合金からなるものにすることができる。商標「MP35N」及び「MP20N」は、コバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金を示す。MP35Nは、コバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。MP20Nは、コバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。生体吸収性ポリマー又は生物安定性ポリマーからなる構造的構成要素を有する医療デバイスも、本発明の範囲内に含まれる。
【0016】
[0026]本明細書に記述されるデバイスの実施形態は、ステントによって例示してもよい。図1は、本発明のいくつかの実施形態による、ステント101の3次元図の一例を示す。ステントは、あるパターンを形成するいくつかの相互接続構造要素又はストラット(strut)102で構成してもよい。本明細書に開示される実施形態は、図1に示されるステント又はステントパターンに限定するものではなく、その他のパターン及びその他のデバイスに容易に適用可能である。パターンの構造の変化は、事実上無限である。
【0017】
[0027]多くの医療用移植材料は、その製造中及び使用中に多くの歪みを受け、その結果、構造上の欠陥が生じる可能性がある。構造上の欠陥は、被験者の内部に移植材料を配置する準備としてこの移植材料を操作する結果として、またこの移植材料を被験者の所望の部位に配置する間に、生ずる可能性がある。典型的な場合、ステントを圧縮し、カテーテルを通して小血管に挿入し、次いで被験者の内部でより大きい直径にまで拡げてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤含有組成物は、ストラット102がその拡張及び収縮時に少しの応力及び歪みを受けるステントの選択領域で、液滴などの制御体積の形で付着させることができる。例えば、ステントの低歪み領域103に薬剤を付着させることにより、ステントの高歪み領域104、105、106で生ずる可能性のある亀裂や薄片化などの問題を、回避することができる。
【0018】
[0028]その他の実施形態では、薬剤含有組成物を、例えばステントなどの医療デバイスの外面(abluminal surface)に選択的に付着させることができる。ほとんどの実施形態では、ステントを、バルーン拡張式ステント又は自己拡張式ステントにすることができる。「外側」面は、医療デバイスが展開されている器官の管腔から離れた方向に向けられた、医療デバイスの表面を指す。一例では、管腔が動脈管腔であり、ステントの外面は、動脈内壁に接触して配置された表面である。
【0019】
[0029]図2は、本発明の制御体積のコーティング方法を使用して、薬剤の組合せで選択的にコーティングすることができる、ステントの外側部分の選択領域を示す。この実施形態では、薬剤A204を領域202に選択的に付着させることができ、薬剤B205を、領域203に選択的に付着させることができる。この薬剤の選択的付着は、各薬剤をステント201の表面に付着させる手法の独立した選択を可能にすることによって、各薬剤の制御放出を可能にする。例えば薬剤は、単独で付着させてもよく、薬剤の放出速度に影響を及ぼすポリマーと組み合わせてもよく、ポリマー層の間に挟んでもよく、ポリマー網状構造内に包んでもよく、又はこれらの任意の組合せでもよい。
【0020】
薬剤含有組成物
[0030]本発明の薬剤含有組成物は、ポリマー、コポリマー、及び薬剤の任意の組合せを含み、この組合せは、薬剤の組合せを含んでいる。薬剤の組合せを含むポリマーは、例えば、化学的部分の間に存在することができるエステル基など、例えばポリマー網状構造内の化学官能基の不安定な性質によって、生分解性にすることができる。したがってこれらの組成物は、哺乳類によって分解され、吸収され、再吸収され、排除することができるように設計することができる。本発明の組成物は、例えば医療用品及びコーティングを形成するのに使用することができる。
【0021】
[0031]「組み合わせる」、「組み合わされた」、「組み合わせている」、及び「組合せ」という用語は全て、組成物の成分同士の関係を指し、組成物を形成する成分のブレンド、混合物、連結、及びこれらの組合せが含まれる。連結は、物理的、化学的、又はこれらの組合せである接続にすることができる。物理的接続の例には、例えば相互侵入網状構造及び鎖の絡み合いで引き起こすことのできる、成分の相互連結が含まれるが、これらに限定するものではない。化学的接続の例には、共有結合及び非共有結合が含まれるが、これらに限定するものではない。共有結合には、単純な共有結合及び配位結合が含まれるが、これらに限定するものではない。非共有結合には、イオン結合と、例えば水素結合などの分子間引力、誘起及び永久双極子−双極子相互作用によってもたらされる引力が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
[0032]生体内使用のために選択される組成物は、組成物の物理的、機械的、化学的、及び生物学的性質に関する要件を満たすべきである。生体内での生分解性組成物の性能に影響を及ぼすことができる物理的性質の例は、水の摂取である。生体内での組成物の性能に影響を及ぼすことができる機械的性質の例は、例えば亀裂や薄片化、剥離、破砕など、組成物の機械的欠陥を引き起こす可能性のある応力に、この組成物が耐えることのできる能力である。生体内で生分解性組成物の性能に影響を及ぼすことができる化学的性質の例は、被験者による組成物の吸収速度である。生体内で組成物の性能に影響を及ぼすことができる生物学的性質の例は、組成物の、生物活性及び/又は生物学的に有益な性質であり、その両方について以下に述べる。「被験者」及び「患者」という用語は、同義に使用することができ、限定するものではないが例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、及びマウスなどの非霊長類と、例えばサルやヒトなどの霊長類を含めた哺乳類などの動物を指す。
【0023】
[0033]いかなる理論又は動作メカニズムにも拘泥するものではないが、組成物による水の摂取は、組成物設計の際の重要な特徴になり得る。水は、組成物の機械的性質を修正するための可塑剤として働くことができる。水の摂取の制御では、コーティングの加水分解の若干の制御も行うことができ、したがって、生体内での医療用品又はコーティングの分解速度、吸収速度、及び薬剤放出速度の制御を行うことができる。いくつかの実施形態では、加水分解が増加すると、被験者内部の組成物から薬剤を拡散させるための輸送経路として働くことができる医療用品又はコーティング内でのチャネルの生成によって、薬剤の放出速度を高めることもできる。
【0024】
[0034]本発明の組成物は、薬剤の組合せを含んだ医療デバイス及びコーティングを形成するのに使用することができ、薬剤のそれぞれは、(i)その他の薬剤からの交差汚染が無い状態で、医療デバイス又はコーティングに組み込むことができ、(ii)その他の薬剤による干渉が実質的に無い状態で、その機能を発揮することができ、(iii)薬剤が所定の放出速度及び吸収速度を有するように、医療デバイス又はコーティングに組み込むことができ、(iv)生物活性であり、生物学的に有益であり、診断的であるその他の薬剤と組み合わせることができ、及び/又は医療デバイスの物理的性質又は機械的性質を制御することができる。
【0025】
[0035]本発明においては、ポリマー又はコーティングは、生体内環境又は代表的な生体外に曝されたとき、完全に又は実質的に分解し又は腐食することが可能な、「生分解性」である。ポリマー又はコーティングは、例えば被験者内部での加水分解、酵素性分解、酸化、代謝過程、バルク又は表面腐食などによって徐々に分解し、再吸収され、吸収され、及び/又は排除されるときに、分解又は腐食することが可能である。微量のポリマー又はポリマーの残留物は、生分解の後に、医療デバイス上、医療デバイスの部位付近、又は生分解性デバイスの部位付近に残されたままでもよいことを理解すべきである。「生体吸収性」及び「生分解性」という用語は、本出願では同義に使用する。
【0026】
[0036]本発明で使用されるポリマーは、生分解性でもよく、限定するものではないが縮合ポリマーを含めてもよく、組成物から形成されることになる生成物の、所望の性能パラメーターに応じて選択すべきである。そのような性能パラメーターには、例えば、医療デバイス又はコーティングの靭性、薬剤の投入濃度のキャパシティ(capacity for the loading concentration)、及び被験者からの組成物の生分解及び排除の速度を含めてもよい。組成物中のその他のポリマーが非生分解性である場合、そのポリマーは、組成物の生分解後に被験者から取り除くことができるポリマー断片が生成されるように、サイズを決めるべきである。
【0027】
[0037]ほとんどの実施形態では、使用することができるポリマーには、天然又は合成ポリマー;ホモポリマー及びコポリマー、例えばランダム、交互、ブロック、グラフト、及び/又は架橋されたコポリマー;又は任意の組合せ及び/又はこれらのブレンドが含まれる。コポリマーには、例えばターポリマーなど、2つよりも多い異なるタイプの反復単位を有するポリマーが含まれる。
【0028】
[0038]いくつかの実施形態では、ポリマー断片の数平均分子量は、約40000ダルトン以下であるべきであり、又はその中の任意の範囲であるべきである。その他の実施形態では、断片の分子量は、約300ダルトンから約40000ダルトンに及び、約8000ダルトンから約30000ダルトンに及び、約10000ダルトンから約20000ダルトンに及び、又はその中の任意の範囲である。分子量は、本明細書では、数平均分子量として教示されている。
【0029】
[0039]本発明の薬剤と組み合わせることができるポリマーの例には、ポリ(ブチルメタクリレート)やポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシルエチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート)などのポリ(アクリレート)、エチレン−メチルメタクリレートのコポリマー;ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)と、アミノプロピルメタクリルアミドのポリマー及びコポリマー;ポリ(シアノアクリレート);ポリ(カルボン酸);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(無水マレイン酸)、及び無水マレイン酸のコポリマー;ポリ(フッ化ビニリデン)やポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、及び発泡ポリ(テトラフルオロエチレン)などのフッ素化ポリマー又はコポリマー;ポリ(スルホン);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アミノカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(ヒドロキシバレレート);ポリ(L−乳酸);ポリ(L−ラクチド);ポリ(カプロラクトン);ポリ(ラクチド−co−グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(オルトエステル);ポリ(無水物);ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコリド);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(D,L−ラクチド);ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート);ポリ(ホスホエステル);ポリ(ホスホエステルウレタン);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);ポリ(エチレン);ポリ(プロピレン)co−ポリ(エーテル−エステル)、例えばポリ(ジオキサノン)やポリ(エチレンオキシド)/ポリ(乳酸)など;ポリ(無水物)、ポリ(アルキレンオキサレート);ポリ(ホスファゼン);ポリ(ウレタン);シリコーン;ポリ(エステル);ポリ(オレフィン);ポリ(イソブチレン)のコポリマー;エチレン−アルファオレフィンのコポリマー;ポリ(塩化ビニル)などのビニルハロゲン化物ポリマー及びコポリマー;ポリ(ビニルメチルエーテル)などのポリ(ビニルエーテル);ポリ(ビニリデンハロゲン化物)、例えばポリ(塩化ビニリデン)など;ポリ(アクリロニトリル);ポリ(ビニルケトン);ポリ(スチレン)などのポリ(ビニル芳香族);ポリ(酢酸ビニル)などのポリ(ビニルエステル);ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)などのビニルモノマー及びオレフィンのコポリマー、アクリロニトリル−スチレンのコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン−酢酸ビニルのコポリマー;ナイロン66やポリ(カプロラクタム)などのポリ(アミド);アルキド樹脂;ポリ(カーボネート);ポリ(オキシメチレン);ポリ(イミド);ポリ(エステルアミド);ポリ(アルキレングリコール)を含むポリ(エーテル)、例えばポリ(エチレングリコール)やポリ(プロピレングリコール)など;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;生体分子、例えばフィブリンやフィブリノゲン、デンプン、ポリ(アミノ酸)など;ペプチド、タンパク質、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸(D−グルクロン酸又はL−イズロン酸及びN−アセチル−D−ガラクトサミンのコポリマー)、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びグルコサミノグリカン;その他の多糖、例えばポリ(N−アセチルグルコサミン)やキチン、キトサン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロース;及びこれらの誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せなどが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ポリマーは、これらのポリマーのいずれか1種又は任意の組合せを特に除外するように選択される。
【0030】
[0040]いくつかの実施形態では、ポリマーは、生分解性にすることができる。生分解性ポリマーの例には、例えばα−ヒドロキシカルボン酸や、α−ヒドロキシカルボン酸の環状ジエステル、ジオキサノン、ラクトン、環状カーボネート、環状オキサレート、エポキシド、グリコール、無水物、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、エチレンオキシド、エチレングリコール、又はこれらの組合せなどの反復単位を有するポリマーが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、生分解性ポリマーには、ポリエステル、ポリ(エステルアミド);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、アミノ酸;PEG及び/又はアルコール基、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、コポリ(エーテル−エステル)(例えばPEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0031】
[0041]その他の実施形態では、ポリマーは、ポリ(セバシン酸グリセロール);例えばデスアミノチロシル−チロシンエチルエステルなどのデスアミノチロシル−チロシンアルキルエステルを含有するチロシン誘導ポリカーボネート(ポリ(DTEカーボネート));及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及び組合せにすることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、本明細書に教示されるポリマーのいずれか1種又はいずれかの任意の組合せを特に排除するように選択される。
【0032】
[0042]いくつかの実施形態では、ポリマーは、共有結合によって薬剤に化学的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーは、例えばイオン結合や分子間引力、これらの組合せなどの、非共有結合によって、薬剤に化学的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーを、薬剤に物理的に接続することができる。その他の実施形態では、ポリマーを、薬剤に化学的及び物理的に接続することができる。イオン結合の例には、ポリマー間での陰イオン部位と陽イオン部位とのイオン結合を含めることができるが、これに限定するものではない。いくつかの実施形態では、陰イオン部位を第4級アミンに結合することができる。分子間引力の例には、例えば、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アミド、及びスルフヒドリル基間、及びこれらの組合せの間での永久双極子相互作用などの水素結合が含まれるが、これらに限定するものではない。物理的接続の例には、相互侵入網目構造及び鎖の絡み合いを含めることができるが、これらに限定するものではない。ポリマーは、薬剤とブレンドし又は混合することもできる。
【0033】
薬剤
生物学的に利益がある生物活性の薬剤
[0043]「生物活性薬剤」とは、ポリマーと組み合わせることができ、治療効果、予防効果、治療と予防の両方の効果、又はその他の生物学的に活性な効果を被験者内部で発揮する部分である。さらに、本発明の生物活性薬剤は、ポリマーの一部に連結させたままでもよく、又はポリマーから解放してもよい。「生物学的に利益がある薬剤」とは、ポリマーと組み合わせることができ、必ずしもポリマーから解放する必要なしに、被験者内部で生物学的利益を発揮する薬剤である。
【0034】
[0044]ある実施例において、生物学的利益とは、ポリマー又はコーティングが、タンパク質の吸収が阻害され又は予防されて血栓塞栓の形成が回避されるように、非血栓形成性になることであり;血管内の内皮形成が過剰増殖せずに健康で機能的な内皮層が形成されるように、治癒を促進させることであり;又は、生物学的に利益のある薬剤がバイオミミック(biomimic)として働き、それによって、炎症を引き起こす現象又は現象のカスケードをもたらす可能性のある単球及び好中球の引き付けが受動的に回避されるように、非炎症性であることでもある。
【0035】
[0045]「診断薬」は、例えば、被験者における疾患又は病状の存在、性質、又は範囲を診断する際に使用することができる、生物活性剤のタイプである。一実施形態では、診断薬は、患者の内部領域の画像形成及び/又は患者に疾患があるか無いかを診断するための方法と関連付けて使用してもよい、任意の薬剤にすることができる。診断薬には、例えば、超音波画像形成、磁気共鳴画像形成(MRI)、核磁気共鳴(NMR)、コンピュータ断層撮影(CT)、電子スピン共鳴(ESR)、核医学画像形成、光学画像形成、弾性画像形成、及び高周波(RF)、及びマイクロ波レーザと関連付けて使用される、造影剤が含まれる。診断薬は、画像形成方法を用いるか否かに関わらず、患者の疾患又はその他の状態を診断を容易にするのに有用な任意のその他の薬剤を含んでもよい。
【0036】
[0046]生物学的に利益のある薬剤の例には、例えばカルボキシメチルセルロース;例えばPEGなどのポリ(アルキレングリコール);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);ポリ(スチレンスルホネート);例えばスルホン化デキストランなどのスルホン化多糖;例えば硫酸化デキストランや硫酸化デルマタンなどの硫酸化多糖;及び例えばヒアルロン酸やヘパリンなどのグリコサミノグリカン;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せなど、上記にて列挙されたポリマーの多くが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、生物学的に利益のある薬剤は、例えばポリ(エステルアミド)やエラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);及び例えばArg−Gly−Asp(RGD)を含むようなペプチド配列などのプロヒーリング(prohealing)にすることができる。その他の実施形態では、生物学的に利益のある薬剤は、例えばトロンボモジュリンなどの非血栓性に、また例えばオルガノシランなどの抗菌剤にすることができる。当業者なら、グループ、サブグループ、及び個々の生物学的に利益ある薬剤のいくつかは、本発明のいくつかの実施形態で使用されないことを理解すべきであることが分かるであろう。
【0037】
[0047]ヘパリン誘導体の例には、例えばヘパリンナトリウムやヘパリンカリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンマグネシウム、及び低分子量ヘパリンなど、ヘパリンの土類金属塩が含まれるが、これらに限定するものではない。ヘパリン誘導体のその他の例には、硫酸ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリンをベースにした化合物、及び疎水性材料で誘導体化されたヘパリンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0038】
[0048]ヒアルロン酸誘導体の例には、例えばO−硫酸化又はN−硫酸化誘導体などの硫酸化ヒアルロン酸;ヒアルロン酸のエステルであって、エステルを、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式、又はこれらの組合せにすることができるもの;ヒアルロン酸の架橋エステルであって、架橋を多糖鎖のヒドロキシル基で形成することができるもの;ヒアルロン酸の架橋エステルであって、架橋を、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式、又はこれらの組合せにすることができるもの;コハク酸のヘミエステル、又はその重金属塩;ヒアルロン酸の第4級アンモニウム塩又は誘導体であって、例えばO−硫酸化又はN−硫酸化誘導体が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0039】
[0049]ポリ(アルキレングリコール)の例には、PEG、mPEG、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)、及びその任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)がPEGである。その他の実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)が、mPEGである。その他の実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)がポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシブチレート)である。
【0040】
[0050]生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーには、前述の薬剤の例の任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。本発明において、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーの例には、D−グルクロン酸又はL−イズロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンとのコポリマーである硫酸デルマタン;ポリ(エチレンオキシド−co−プロプレンオキシド);PEGとヒアルロン酸とのコポリマー;PEGとヘパリンとのコポリマー;PEGとヒルジンとのコポリマー;ポリ(L−リジン)とPEGとのグラフトコポリマー;PEGと、例えばポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシブチレート)などのポリ(ヒドロキシアルカノエート)とのコポリマー;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、又は組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーは、PEGとヒアルロン酸とのコポリマー、PEGとヒルジンとのコポリマー、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、コポリマー、又は組合せにすることができる。その他の実施形態では、生物学的に利益のある薬剤として使用してもよいコポリマーは、PEGと、例えばポリ(ヒドロキシブチレート)などのポリ(ヒドロキシアルカノエート)とのコポリマー;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同属種、塩、コポリマー、又は組合せである。
【0041】
[0051]生物活性剤は、哺乳類における治療効果、予防効果、治療と予防の両方の効果、又はその他の生物学的に活性な効果に寄与することが可能な任意の部分にすることができる。薬剤は、診断性を有することもできる。生物活性剤には、小分子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質が含まれるが、これらに限定するものではない。ある実施例では、生物活性剤は、血管平滑筋細胞の活性を阻害する。その他の実施例では、生物活性剤は、最狭窄を阻害するために、平滑筋細胞の移動又は増殖を制御する。
【0042】
[0052]生物活性剤には、抗増殖薬、抗腫瘍薬、抗有糸分裂薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン、抗血栓薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化薬、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。当業者なら、グループ、サブグループ、及び個々の生物活性剤のいくつかは、本発明のいくつかの実施形態で使用されないと理解すべきであることが分かるであろう。
【0043】
[0053]抗増殖薬には、例えばアクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI1、アクチノマイシンX1、アクチノマイシンC1、ダクチノマイシン(COSMEGEN(登録商標)、Merck&Co.,Inc.)、メシル酸イマチニブ、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。抗腫瘍薬又は抗有糸分裂薬には、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Aventis S.A.)、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、Pfizer,Inc.)、及びミトマイシン(MUTAMYCIN(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ミドスタウリン、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。
【0044】
[0054]抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン、及び抗血栓薬には、例えばヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬抗体、組換えヒルジン、及びトロンビン阻害剤(ANGIOMAX(登録商標)、Biogen,Inc.)、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、組合せが含まれる。
【0045】
[0055]細胞静止薬又は抗増殖薬には、例えば、アンギオペプチン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル(CAPOTEN(登録商標)及びCAPOZIDE(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、シラザプリル、又はリジノプリル(PRINIVIL(登録商標)及びPRINZIDE(登録商標)、Merck&Co.,Inc.)など;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルチシン;線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(ω3−脂肪酸);ヒスタミン拮抗薬;ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、Merck&Co.,Inc.);限定するものではないが血小板誘導増殖因子(PDGF)受容体に特異的な抗体を含めたモノクローナル抗体;ニトロプルシド;ホスホジエステル阻害剤;プロスタグランジン阻害剤;スラミン;セロトニン遮断薬;ステロイド;チオプロテアーゼ阻害剤;限定するものではないがトリアゾロピリミジンを含めたPDGF拮抗薬;及び一酸化窒素;及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれる。抗アレルギー薬には、ペミロラストカリウム(ALAMAST(登録商標)、Santen,Inc.)、及びその任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0046】
[0056]本発明で有用なその他の生物活性剤には、フリーラジカル捕捉剤;一酸化窒素供与体;ラパマイシン;メチルラパマイシン;42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578);40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス);タクロリムス;ピメクロリムス;40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン;40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン;米国特許第6329386号明細書に記載されているような、テトラゾール含有ラパマイシン類似体;エストラジオール;クロベタゾール;イドキシフェン;タザロテン;αインターフェロン;上皮細胞などの宿主細胞;遺伝子組換え上皮細胞;デキサメタゾン、及びこれらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0047】
[0057]フリーラジカル捕捉剤には、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル(TEMPO);4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル(4−アミノ−TEMPO);4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル(TEMPOL),2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック(SODm)、及びこれらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。一酸化窒素供与体には、S−ニトロソチオール、ナイトライト(nitrite)、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、スペルミンジアゼニウムジオレートなどのジアゼニウムジオレート、及びこれらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0048】
[0058]診断薬の例には放射線不透過性物質が含まれ、限定するものではないが、例えばx線によって検出可能であるイオヘキサールやイオパミドールなどの、ヨウ素又はヨウ素誘導体を含む物質が含まれる。例えば放射性同位元素などのその他の診断薬は、放射性排出物を追跡することによって検出可能である。その他の診断薬には、磁気共鳴画像形成(MRI)、超音波、及びその他の画像形成手順、例えば蛍光及び陽電子放出断層撮影(PET)などによって検出可能なものを含めてもよい。MRIによって検出可能な薬剤の例は、限定するものではないがガドリニウムキレート化合物を含めた常磁性剤である。超音波によって検出可能な薬剤の例には、パーフレキサンが含まれるが、これに限定するものではない。蛍光剤の例には、インドシアニングリーンが含まれるが、これに限定するものではない。診断PETで使用される薬剤の例には、フルオロデオキシグルコース、フッ化ナトリウム、メチオニン、コリン、デオキシグルコース、ブタノール、ラクロプリド、スピペロン、ブロモスピペロン、カーフェンナニル、及びフルマゼニルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0049】
[0059]いくつかの実施形態では、制御体積内にある本明細書に教示される薬剤の組合せを、医療デバイス内、医療デバイス上で適用することができ、或いは、医療デバイス上の所定領域で又は医療デバイスのコーティング内に、制御体積内で位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、薬剤の組合せがエベロリムス及びクロベタゾールを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがタクロリムス及びラパマイシンを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがタクロリムス及びエベロリムスを含む。その他の実施形態では、薬剤の組合せがラパマイシン及びパクリタキセルを含むことができる。その他の実施形態では、薬剤の組合せは、例えばコルチコステロイドなどの抗炎症薬と、例えばエベロリムスなどの抗増殖薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤の組合せは、例えばステントの使用によって生ずる可能性のある再狭窄などの状態を、予防し又は阻害するための相乗効果を発揮することができる。
【0050】
可塑化剤
[0060]「可塑剤」及び「可塑化剤」という用語は、本発明において同義に使用することができ、組成物又は組成物から形成された生成物の機械的性質を変更するためにポリマー組成物に添加することができる、上述の任意の薬剤を含めた任意の薬剤を指す。可塑剤は、限定するものではないが組成物中のポリマー鎖間の移動度を高めることも含めた設計上の目的で、例えば結晶化度を低下させ、ガラス転移温度(Tg)を低下させ、又はポリマー間の分子間力を低下させるために添加することができる。変更される機械的性質には、ヤング率、衝撃抵抗(靭性)、引張り強さ、及び引裂き強さが含まれるが、これらに限定するものではない。衝撃抵抗又は「靭性」は、非常に急速な衝撃負荷がかかっているときの、標準寸法及び幾何形状のポリマーサンプルの破砕中に吸収される、エネルギーの尺度である。靭性は、材料の脆弱性を評価するために、シャルピー及びアイゾッド衝撃試験を使用して測定することができる。
【0051】
[0061]可塑剤は、モノマー、ポリマー、コポリマー、又はこれらの組合せにすることができ、生物学的に利益があり生物活性な薬剤に関して既に述べたものと同じ手法で、ポリマー組成物と組み合わせることができる。可塑化と溶解度とは、可塑剤の選択に際して溶媒の選択と同様の問題、例えば極性などの問題があるという意味で、類似している。さらに可塑化は、共重合を通してポリマーの分子構造を変化させることにより、共有結合を介して行うこともできる。
【0052】
[0062]可塑化剤の例には、シングルブロックポリマーやマルチブロックポリマー、コポリマーなどの低分子量ポリマー;乳酸のエチル末端オリゴマーなどのオリゴマー;小有機分子;ヒドロキシル基を含み、及びヒドロキシル基を含まない、水素結合形成有機化合物;脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオールなどのポリオール;ブタノールやペンタノール、ヘキサノールなどのアルカノール;糖アルコール、及び糖アルコールの無水物;ポリ(アルキレングリコール)などのポリエーテル;クエン酸エステルやフタル酸エステル、セバシン酸エステル、アジピン酸エステルなどのエステル;ポリエステル;脂肪族酸;動物性タンパク質や植物性タンパク質などのタンパク質;例えば植物油や動物油などの油;シリコーン;アセチル化モノグリセリド;アミド;アセトアミド;スルホキシド;スルホン;ピロリドン;オキサ酸;ジグリコール酸;及びこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0053】
[0063]いくつかの実施形態では、可塑剤には、例えばカプロラクトンジオールやカプロラクトントリオール、ソルビトール、エリスリトール、グルシドール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トリメチロールプロパンなどのその他のポリオールが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の実施形態では、可塑剤には、例えばエチレングリコールやジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール;例えばモノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルやプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール−エーテル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0054】
[0064]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばジエチレングリコールジベンゾエートやジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールカプレート−カプリレートなどのグリコールエステル;例えばモノステアリン酸グリセロールなどのモノステアリン酸エステル;クエン酸エステル;有機酸エステル;芳香族カルボン酸エステル;脂肪族ジカルボン酸エステル;例えばステアリン酸エステルやオレイン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、セバシン酸エステルなどの脂肪酸エステル;トリアセチン;例えばフタル酸ポリエステルやアジピン酸ポリエステル、グルタミン酸ポリエステル、フタル酸ポリエステルであって、例えばジアルキルフタレート、フタル酸ジメチルやフタル酸ジエチル、フタル酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのポリ(エステル);例えばアルキルセバケート、セバシン酸ジメチルやセバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル;例えば乳酸エステル、アルキルラクテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸アリル、グリコール酸エチル、及びモノステアリン酸グリセロールなどのヒドロキシルエステル;例えばアルキルアセチルシトレート、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、クエン酸トリヘキシルアセチル、アルキルシトレート、クエン酸トリエチル、及びクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル;例えばリシノール酸メチルなどのヒマシ油のエステル;例えばトリメリト酸エステルや安息香酸エステル、テレフタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸エステル;例えばジアルキルアジペート、アルキルアリルエーテルジエステルアジペート、アジピン酸ジブトキシエトキシエチリル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、及び酒石酸エステルなどの脂肪族ジカルボン酸エステル;例えばグリセロールや、モノ−、ジ−、又はトリ酢酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムジエチルなどの脂肪酸エステル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどのエステルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0055】
[0065]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)やポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレン/プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール);例えばPEG400やPEG6000などの低分子量ポリ(エチレングリコール);例えばメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)などのPEG誘導体;例えばジエチレングリコールジベンゾエートやジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールカプレート−カプリレートなどのエステル−エーテル;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどのエーテル及びポリエーテルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0056】
[0066]その他の実施形態では、可塑剤には、例えばオレイン酸アミドやエルカ酸アミド、パルミチン酸アミドなどのアミド;例えばジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミドなどのアルキルアセトアミド;例えばジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;例えばn−メチルピロリドンなどのピロリドン;例えばテトラメチレンスルホンなどのスルホン;例えばオキサ一酸やオキサ二酸であって、例えば3,6,9−トリオキサウンデカンジオン酸やポリオキサ二酸、アセチル化クエン酸のエチルエステル、アセチル化クエン酸のブチルエステル、アセチル化クエン酸のカプリルエステル、及びジメチロールプロピオン酸などのジグリコール酸;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0057】
[0067]その他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないがエポキシド化大豆油;アマニ油;ヒマシ油;ココナツ油;分留ココナツ油;エポキシド化タレート;ステアリン酸やオレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、セバシン酸などの脂肪酸のエステルを含めた植物油にすることができる。その他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないがアンゲリカ油、アニス油、アルニカ油、アウランチイエテロレウム、吉草油、バシリシエテロレウム、ベルガモット油、セイバリー油、バッコエテロレウム、カンファー、カルダモミエテロレウム、カッシア油、ケノポジ油、クリサンテマム油、シナエエテロレウム、シトロネラ油、レモン油、シトラス油、コスタス油、ウコン油、カーリナ油、エレミ油、タラゴン油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、松根油、フィリシスエテロレウム、ガルバナム油、ガウルテリエエテロレウム、ゼラニウム油、グアヤク油、ヘーゼルウォート油、アイリス油、ヒペリカム油、ショウブ油、カモミール油、ファーニードル油、ニンニク油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ラウリエテロレウム、ラベンダー油、レモングラス油、ロバジ油、ベイ油、ルプリストロブリエテロレウム、メース油、マヨラナ油、マンダリン油、メリッサ油、メントール、ミレフォリイエテロレウム、ミント油、サルビア油、ナツメグ油、カンショウ香油、チョウジ油、ネロリ油、ニアウリ油、オリバナム油、オノニディスエテロレウム、オポプラナックス油、オレンジ油、オレガノ油、オルトシフォン油、パチョリ油、パセリ油、プチグレン油、ペパーミント油、ヨモギ油、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ヘンルーダ油、サビネエテロレウム、サフラン油、セージ油、ビャクダン油、サッサフラス油、セロリ油、マスタード油、セルフィリイエテロレウム、イモーテル油、ファー油、ティーツリー油、テルペンチン油、タイム油、トショウ油、オリバナム油、ヒソップ油、シダー油、シナモン油、及びヒノキ油;例えば魚油などのその他の油;これらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び組合せを含めた精油にすることができる。
【0058】
[0068]可塑剤の分子量は、変えることができる。いくつかの実施形態では、可塑剤の分子量は、約10ダルトンから約50000ダルトン;約25ダルトンから約25000ダルトン;約50ダルトンから約10000ダルトン;約100ダルトンから約5000ダルトン;約200ダルトンから約2500ダルトン;約400ダルトンから約1250ダルトンに及び;またこれらの任意の範囲内にある。その他の実施形態では、可塑剤の分子量は、約400ダルトンから約4000ダルトン;約300ダルトンから約3000ダルトン;約200ダルトンから約2000ダルトン;約100ダルトンから約1000ダルトン;約50ダルトンから約5000ダルトンに及び;またこれらの任意の範囲内にある。分子量は、本明細書では数平均分子量と教示される。
【0059】
[0069]本発明で使用される可塑剤の量は、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対する重量パーセンテージとして、約0.001%から約70%;約0.01%から約60%;約0.1%から約50%;約0.1%から約40%;約0.1から約30%;約0.1%から約25%;約0.1%から約20%;約0.1%から約10%;約0.4%から約40%;約0.6%から約30%;約0.75%から約25%;約1.0%から約20%に及ぶことができ;またこれらの任意の範囲内にある。
【0060】
[0070]上述の可塑剤のいずれか1種又は任意の組合せを、本発明で使用することができることを理解すべきである。例えば、所望の機能を得るために複数の可塑剤を組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対する重量パーセンテージとして約0.001%から約20%;約0.01%から約15%;約0.05%から約10%;約0.75%から約7.5%;約1.0%から約5%に及ぶ量;またこれらの任意の範囲内にある量で、第2の可塑剤を第1の可塑剤と組み合わせる。
【0061】
[0071]可塑剤は、例えば増強された治療、予防、及び/又は診断機能などのその他の所望の機能を得るために、その他の活性剤と組み合わせることができることも理解すべきである。いくつかの実施形態では、可塑剤を、以下により詳細に論じるエーテル、アミド、エステル、オルトエステル、無水物、ケタール、アセタール、炭酸、及び全ての芳香族炭酸結合を通して、その他の薬剤に結合させることができる。
【0062】
[0072]いくつかの実施形態では、薬剤を、共有結合によってポリマーに化学的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、例えばイオン結合や分子間引力、これらの組合せなどの非共有結合によって、ポリマーに化学的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、ポリマーに物理的に接続することができる。その他の実施形態では、薬剤を、ポリマーに化学的及び物理的に接続することができる。
【0063】
[0073]イオン結合の例には、陰イオン物質とポリマー上の陽イオン部位とのイオン結合、又は陽イオン物質とポリマー上の陰イオン部位とのイオン結合を含めることができるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、陰イオン物質は、ポリマー上の第4級アミンに結合することができる。その他の実施形態では、第4級アミンを有する薬剤を、ポリマー上の陰イオン部位に結合させることができる。分子間引力の例には、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びスルフヒドリル基、及びこれらの組合せの間での、永久双極子相互作用などの水素結合が含まれるが、これらに限定するものではない。物理的接続の例には、相互侵入網状構造及び鎖の絡み合いを含めることができるが、これらに限定するものではない。薬剤は、組成物とブレンドし又は混合することもできる。
【0064】
[0074]いくつかの実施形態では、薬剤は、この薬剤をポリマーに結合するのに使用することができる反応性の官能基を有する。反応性の官能基の例には、ヒドロキシル基、アシル基、アミノ基、アミド基、及びスルフヒドリル基が含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、薬剤をポリマー組成物から放出することができ、又は分離することができる。その他の実施形態では、薬剤は、生物学的に利益があり、生物活性であり、診断的であり、可塑化することができ、又はこれらの特徴の組合せを有することができる。
【0065】
[0075]いくつかの実施形態では、哺乳類から薬剤が確実に排出されるようにするために、薬剤の分子量が、約40000ダルトン以下又はこの任意の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態では、薬剤の分子量は、約300ダルトンから約40000ダルトン、約8000ダルトンから約30000ダルトン、約10000ダルトンから約20000ダルトンに及び、又はこれらの任意の範囲内にある。放出された場合、生物学的に利益のある薬剤は体内で素早く崩壊し、次いで薬剤の分子量が、患者の安全性を損なうことなく約40000ダルトンよりも大きくなる。本明細書で教示される分子量は、数平均分子量である。
【0066】
[0076]本発明の薬剤は、生物学的に利益があり、生物活性であり、診断的であり、可塑化することができ、又はこれらの組合せである性質を有することができることも理解すべきである。例えば、薬剤を生物学的に利益のある薬剤として分類することは、この薬剤を、生物活性剤、診断薬、及び/又は可塑化剤として使用することを除外するものではない。同様に、薬剤を生物活性剤として分類することは、この薬剤を、診断薬、生物学的に利益のある薬剤、及び/又は可塑化剤として使用することを除外するものではない。さらに、薬剤を可塑化剤として分類することは、この薬剤を、生物学的に利益のある薬剤、生物活性剤、及び/又は診断薬として使用することを除外するものではない。前述の薬剤のいずれかを、例えば医療デバイスや医療デバイス用コーティングなどの形で組成物と組み合わせることができることも理解すべきである。非限定的な例として、本発明の組成物でコーティングされたステントは、パクリタキセル、ドセタキセル、ラパマイシン、メチルラパマイシン、ABT−578、エベロリムス、又はクロベタゾールを含有することができる。
【0067】
薬剤の濃度
[0077]本発明の薬剤は、ポリマー組成物のその他の所望の機能が得られるように、組み合わせて添加することができる。ポリマー組成物を構成する薬剤の量は、限定するものではないが薬剤の生物活性;被験者の年齢、体重、応答、又は過去の病歴;アテローム硬化性疾患のタイプ;例えば糖尿病などの全身性疾患の存在;薬剤又は薬剤の組合せの薬物動態的及び薬力学的効果;薬剤を持続放出するための組成物の設計を含めた様々な要因に応じて変化する。これらのような要因は、被験者に薬剤を投与する場合に当業者によって通常考慮されるものである。
【0068】
[0078]薬剤を持続放出するための組成物の設計は、例えば患者の治療上、予防上、回復上、又は診断上のニーズなどの様々な要因に依存する可能性があることが理解されよう。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗増殖薬を含むことができ、約1週間から約10週間、約2週間から約8週間、約3週間から約7週間、約4週間から約6週間に及び、またその任意の範囲内にある持続放出を有するべきである。その他の実施形態では、薬剤は、抗炎症薬を含むことができ、約6時間から約3週間、約12時間から約2週間、約18時間から約10日、約1日から約7日、約2日から約6日に及び、またこれらの任意の範囲内にある持続放出を有するべきである。一般に、持続放出は、約4時間から約12週間;或いは約6時間から約10週間;又は約1日から約8週間に及ぶべきである。
【0069】
[0079]有効量は、例えば生体外又は動物モデルシステムから推定してもよい。いくつかの実施形態では、薬剤又は薬剤の組合せは、約0.001%から約75%;約0.01%から約70%;約0.1%から約60%;約0.25%から約60%;約0.5%から約50%;約0.75%から約40%;約1.0%から約30%;約2%から約20%に及び;またこれらの任意の範囲内にある濃度であって、このパーセンテージがポリマーと薬剤又は薬剤の組合せとの全重量に対するものである濃度を有する。
【0070】
医療物品の形成
[0080]薬剤は、移植材料の形成プロセス中に、移植材料に単分散させ局在化させることができ、この局在化は、例えば選択領域での少量の薬剤の使用;例えば所望の効力又はより速い浸出速度を有する薬剤などの、好ましい薬剤の選択領域での使用;移植材料の選択領域の機械的性質の変更;被験者による排出に合わせた少量の薬剤の浸出;及びこれらの組合せなどの、様々な理由で役立てることができる。いくつかの実施形態では、移植材料における高歪み領域の外側領域では、薬剤が存在しなくてもよい。その他の実施形態では、移植材料における高歪み領域の外側領域には、少量の薬剤が存在してもよい。高歪み領域の外側領域において少量の薬剤が望まれる実施形態では、高歪み領域の外側領域での薬剤の量は、高歪み領域よりも2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はこれらの任意の範囲内だけ少ない薬剤を有することができる。
【0071】
[0081]医療物品を形成するための方法には、鋳造、成型、コーティング、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、移植材料が鋳造法で形成され、移植材料の高歪み領域の機械的性質は、高歪み領域の薬剤の濃度を高めることによって、又は高歪み領域で異なる薬剤を使用することによって、又は高歪み領域でのみ薬剤を使用することによって、又はこれらの組合せによって制御される。移植材料の鋳造では、液体ポリマー組成物を型に注ぐ。一実施形態では、そのような鋳造中の移植材料における薬剤の局在化は、形成された移植材料中で薬剤が局在化するように、注ぐ間にポリマー組成物中の薬剤の量及び/又はタイプを望み通りに変えることによって得ることができる。
【0072】
[0082]その他の実施形態では、移植材料は、限定するものではないが圧縮成型、押出し成型、射出成型、及び発泡成型を含めた成型法で形成される。移植材料の高歪み領域の機械的性質は、高歪み領域の薬剤の濃度を高めることによって、又は高歪み領域で異なる薬剤を使用することによって、又は高歪み領域でのみ薬剤を使用することによって、又はこれらの組合せによって制御される。
【0073】
[0083]圧縮成型では、固体のポリマー材料を型に添加し、このポリマー材料が型に一致するまで圧力及び熱を加える。この固体の形では、所望の形の最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような圧縮成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、望み通りに型に固体のポリマー材料を添加することによって得ることができる。
【0074】
[0084]押出し成型では、固体のポリマー材料を、ダイに強制的に通される連続溶融物に添加し、固体形態になるまで冷却する。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような押出し成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、押出しの型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0075】
[0085]射出成型では、固体のポリマー材料を、加熱したシリンダに添加し、軟化させ、圧力下で型に強制的に押し遣って、固体の形態を生成する。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような射出成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、射出の型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0076】
[0086]発泡成型では、固体のポリマー材料を所望の形に膨張させ成型するために、発泡剤を使用し、この固体のポリマー材料を、その当初の体積の約2から約50倍に及ぶ体積まで膨張させることができる。ポリマー材料は、水蒸気及び空気を使用して予備膨張させ、次いで追加の水蒸気で型内に形成することができ;又は気体と混合して、より低い圧力の型に強制的に押し遣られるポリマー/気体混合物を形成することができる。固体形態は、所望の形をした最終製品を得るのに追加の処理が必要になる。固体のポリマー材料は、約1nmから約1cm、約1nmから約10mm、約1nmから約1mm、約1nmから約100nm、又はこれらの任意の範囲内で平均直径を変えることができる、粒子の形をとることができる。一実施形態では、そのような発泡成型中の移植材料における薬剤の局在化は、固体のポリマー材料中の薬剤の量及び/又はタイプを変えることによって、またそれと同時に、形成された移植材料中に薬剤が局在化するように、発泡の型に固体のポリマー材料を望み通りに添加することによって得ることができる。
【0077】
[0087]その他の実施形態では、ステントは、チューブを射出成型し又は押出し成型し、その後、チューブにステントのパターンを切り取ることによって形成される。これらの実施形態では、ポリマーと薬剤との混合物を、射出成型又は押出し成型前に添加することができ、或いは薬剤は、ステントが形成された後にこのステントに吸収させることができる。
【0078】
コーティングの形成
[0088]本発明のいくつかの実施形態では、組成物が、例えはバルーン拡張式ステントや自己拡張式ステントなどの医療デバイス用コーティングの形をとる。本発明の範囲内には多くのコーティング構成があり、各構成は、任意の数及び組合せの層を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明のコーティングは、下記の4タイプの層、即ち:
(a)ポリマー及び薬剤を含んでもよく、或いはポリマーを含まない薬剤を含んでもよい薬剤層;
(b)移植可能な基材上、又は事前に形成された層上の、これに続く層の接着を改善することができる、任意選択のプライマー層;
(c)薬剤の放出速度を制御する方法として働くことができる、任意選択のトップコート層;及び
(d)コーティングの生体適合性を改善することができる、任意選択の生体適合性の仕上げ層
の、1つ又は組合せを含むことができる。
【0079】
[0089]一実施形態では、薬剤層は、少なくとも1種の生物活性剤の貯蔵部として働くように、純粋な薬剤として、移植可能な基材の少なくとも一部に直接付着させることができる。別の実施形態では、薬剤は、マトリックスとしての生分解性ポリマーと組み合わせることができ、このときの薬剤は、ポリマーに結合してもしなくてもよい。別の実施形態では、任意選択のプライマー層は、移植可能な基材と薬剤層との間に付着させて、薬剤層と移植可能な基材との接着を改善することができ、また任意選択で薬剤を含むことができる。別の実施形態では、純粋な薬剤層を、生分解性ポリマーを含む層の間に挟むことができる。別の実施形態では、任意選択のトップコート層は、生物活性剤の放出速度を制御する膜として働くように薬剤層の少なくとも一部に付着させることができ、また任意選択で薬剤を含むことができる。別の実施形態では、生体適合性の仕上げ層は、例えば急な血液適合性を増大させることによってコーティングの生体適合性を増大させるために付着させることもでき、また薬剤を含むこともできる。
【0080】
[0090]本発明の組成物は、複数の層の1つ又は任意の組合せに使用することができ、1つの層は、例えばデバイス上又はコーティング内の所定領域で制御体積内で位置決めされた薬剤として作用する、選択的に配置された液滴などの1つ又は複数の制御体積を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に教示されるポリマーのいずれかを、層の1つとして使用することができ、或いは本明細書に教示される実施形態の組成物とブレンドし又は架橋することができる。
【0081】
[0091]いくつかの実施形態では、本発明の方法を使用して例えば液滴などの制御体積から形成された層で医療デバイスをコーティングするために、本発明の方法を使用することができる。一例では、液滴は、純粋な薬剤又は溶媒に分散させた薬剤からのみ形成することができる。別の例では、液滴を、薬剤とポリマーとの組合せから形成することができる。別の例では、液滴は、ポリマーによってカプセル状に包み込まれた薬剤から形成することができ、この例では、カプセル化によって薬剤の制御放出を行うことができ、薬剤を保護して有効期間を改善することができ、又はこれらの組合せが可能である。別の例では、液滴は、複数の成分のいずれか1種又は任意の組合せから形成し、次いでトップコート層でコーティングして薬剤の制御放出を行い、薬剤を保護して有効期間を改善し、又はこれらの組合せを行うことができる。
【0082】
[0092]別の例では、液滴は、コーティング組成物と共に懸濁液として形成し付着させることができ、このコーティング組成物は、例えば噴霧や浸漬などの伝統的なコーティング方法を使用して付着させることができる。別の例では、液滴を、医療デバイスの構造を形成するのに使用されるポリマー組成物中に、形成し分散させることができる。別の例では、液滴を様々なサイズで形成することができ、このサイズは、薬剤の量、カプセル化ポリマーの量、又はこれらの組合せに応じて変えることができるものである。別の例では、液滴は、液滴又は例えば噴霧や浸漬などのより伝統的なコーティング技法から形成することができる、1つ又は複数のその他の層の間に挟むことができる。
【0083】
[0093]多くの実施形態では、各層を、限定するものではないが浸漬、噴霧、注入、ブラッシング、スピンコーティング、ローラコーティング、メニスカスコーティング、パウダーコーティング、インクジェット型塗布、ドロップオンデマンドなどの制御体積塗布、又はこれらの組合せを含めた任意の方法によって、移植可能な基材に付着させることができる。一例では、層の少なくとも1つは、1種又は複数の生分解性ポリマーを、任意選択で非生分解性ポリマーと共に1種又は複数の溶媒に溶解し、(i)この溶液をステント表面に噴霧することによって、又は(ii)この溶液にステントを浸漬することによって、ステント表面に形成することができる。この例では、溶媒が蒸発する場合、ステント表面に生分解性ポリマーのドライコーティングを形成してもよい。
【0084】
[0094]その他の実施形態では、スパッタリング及び気相重合を含めてもよい方法を使用して、ステントなどの医療デバイスをポリマー材料でコーティングすることができる。スパッタリングは、ポリマー材料のターゲットを伝導性の環境内に配置し、ポリマー材料にエネルギーを加え、このターゲットから医療デバイスにポリマー材料をスパッタリングして、医療デバイス表面にポリマー材料のコーティングを形成することを含む方法である。同様に、気相重合法は、気相中でのモノマーからポリマーの形成をもたらす伝導性の環境内で、気相中のモノマーにエネルギーを加えることを含み、この形成されたポリマーが医療デバイスをコーティングする。
【0085】
[0095]スパッタリング及び気相重合には、ディップコーティング及びスプレーコーティング技法において存在する可能性のあるものと同様の欠点がある。この欠点には、医療デバイスのコーティングに使用することができるポリマーの選択が限られることに加え、医療デバイスをコーティングすることができる幾何形状パターンの制御が不十分であることが含まれる。さらに、医療デバイスをポリマーと薬物との組合せでコーティングすることは、例えばコーティング塗布中に薬物の分解が生じることなどにより、コーティングプロセスの結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0086】
[0096]図3a及び3bは、本発明のいくつかの実施形態によるサンドイッチコーティングのデザインを示す。図3aは、ステントストラット301の断面を示し、外面302は、外面302に付着された薬剤Bを含有する第1の層303と、薬剤Bを含有する層303上に付着され、薬剤Aを含有する第2の層304を含んでいる。これらの層のそれぞれは、上述の方法のいずれか1つ又は任意の組合せによって形成することができ、ステント全体又はステントの選択領域上に付着させることができる。一実施例では、第1の層303は、その全体を制御体積の液滴で形成することができ、第2の層304は、薬剤Bと選択されたポリマーとのブレンドにすることができる。別の実施例では、第1の層303を、薬剤Bと選択されたポリマーとのブレンドにすることができ、第2の層304は、その全体を制御体積の液滴で形成することができる。別の実施例では、第1の層303及び第2の層304の全体を、制御体積の液滴で形成することができる。図3bは、ステントストラット301の断面であって、第1の層303及び第2の層304が第3の層305によってコーティングされている状態を示す。第3の層305は、例えば、薬剤又は生物学的に利益のある層の放出速度の制御を支援する速度制御生分解性ポリマーなど、本明細書に教示される任意の組合せを含有することができる。
【0087】
[0097]図4は、本発明のいくつかの実施形態によりいくつかのセクションがコーティングされた、ステントの外面の平面図を示すことによって、格子縞型コーティングのデザインを例示する。ステントの外面401をセクション402ごとにコーティングするプロセスは、同時に行うことができ、又は一連のコーティングステップとして行うことができる。格子縞型コーティングのデザインの各セクションは、制御体積の液滴として個々に付着された、又は各セクション402内で複数の制御体積の液滴として付着された、セクション402を有することができる。一実施例では、セクション402のそれぞれは、単一の薬剤を含有する。別の実施例では、各セクション402が、複数の薬剤を含有する。別の実施例では、各セクション402は、類似の又は等しい薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、薬剤に応じて異なる薬剤濃度を含有する。
【0088】
[0098]別の実施例では、各セクション402は、例えば薬剤と組み合わされる生分解性ポリマーを添加することによって制御することができる、薬剤の所望の放出プロファイルに応じて異なる薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、薬剤が置かれているステント領域に応じて様々に異なる薬剤濃度を含有する。別の実施例では、各セクション402は、類似又は同じ厚さを有する。別の実施例では、各セクション402は、上記要因のいずれか1つ又は任意の組合せに応じて、その厚さを変えることができる。
【0089】
[0099]図5a及び5bは、本発明のいくつかの実施形態による、彫り込みを有するステントの外面の平面図を示すことによって、彫り込み型コーティングのデザインを例示する。彫り込みは、例えばチャネルやピットなど、任意の形状、サイズ、又は形をとることができる。図5aは、ステントの外面501上の単一チャネル502を示し、図5bは、ステントの外面501上の、平行トラック型コーティングのデザイン503を示す。
【0090】
[00100]一実施例では、チャネル幅は、約0.0005インチから約0.005インチに及ぶことができる。別の実施例では、チャネル幅は、約0.001インチから約0.004インチに及ぶことができる。別の実施例では、チャネル幅は、約0.001インチから約0.002インチに及ぶことができる。別の実施例では、単一のピットを存在させることができる。別の実施例では、彫り込みは、例えば連続チャネルのように、ステントの各ストラット上の外面に連続させることができる。別の実施例では、彫り込みを不連続にし、ステントの外面の選択領域に配置することができる。別の実施例では、ステントは、例えばチャネルとピットの組合せなど、任意の形状の彫り込みの組合せを有することができる。ピット及びチャネルは、例えばレーザ切断や押出し、成型などの、当業者に知られている任意の方法を使用して形成することができる。
【0091】
[00101]図6は、本発明のいくつかの実施形態によるステントコーティング装置を示す。ステント603を支持するためのステントマンドレル取付け具602を含む装置601は、支持部材604、マンドレル605、及び任意選択のロック部材606を含む状態が示されている(例えばステント603を、マンドレル605そのものによって支持することができる場合)。支持部材604は、コーティングプロセス中に、矢印608によって示されるように、ステント603の長軸を中心にした回転運動が得られるようモータ607に接続することができる。支持部材604を、レール610に沿って線形方向の前後に移動させるため、別のモータ609を設けることもできる。
【0092】
[00102]支持部材604は、内向きに先細りになっている円錐先端部分611を含む。本発明の一実施形態によれば、マンドレル605は、円錐先端部分611に永久に固定することができる。或いは支持部材604は、マンドレル605の第1の端部を受容するためのボア612を含むことができる。マンドレル605の第1の端部は、ボア612にねじ込まれるように、ねじ山を切ることができ、或いは摩擦嵌めによってボア612内に保持することができる。ボア612は、マンドレル605が支持部材604としっかり結合するように、十分深くあるべきである。ボア612の深さは、有意な長さのマンドレル605がボア612に侵入し又はねじ込まれるように、過剰に延ばすこともできる。ボア612は、支持部材604内に完全に延ばすこともできる。これにより、マンドレル605の長さを、様々なサイズのマンドレルに適応するように調節することができる。マンドレル605は、剛性を付加し、コーティングプロセス中にステント603を支持するための、複数の隆起部613を含んでもよい。隆起部613は、ステント603の内径よりもわずかに小さい直径を有する。3つの隆起部613が示されているが、当業者なら、追加の又はより少ない隆起部が存在し又は隆起部が無くてもよく、任意の隆起部が均等に又は不均等に間隔を空けてもよいことが理解されよう。コーティング組成物の画像形成及び付着の際には、最少量のランアウト(run−out)であることが通常は好ましいので、いくつかの実施形態では、堅いマンドレル605がコーティングプロセスの精度の改善を助けることができる。
【0093】
[00103]ロック部材606は、内向きに先細りになっている円錐先端部分614を含む。マンドレル605の第2の端部は、第1の端部が支持部材604から係合解除される場合、ロック部材606に永久に固定することができる。或いは別の実施形態によれば、マンドレル605は、ロック部材606のボア615にねじ込むための、ねじ山が切られた第2の端部を有することができる。ボア615は、ロック部材606を支持部材604付近に漸増的に移動させることが可能な、任意の適切な深さにすることができる。ボア615は、ロック部材606内に完全に延ばすこともできる。したがって、任意の長さのステント603を、支持部材604とロック部材606との間でしっかりと締め付けることができる。さらに別の実施形態によれば、ねじ山が切られていない第2の端部とボア615との組合せを用い、それによって第2の端部をボア615にプレス嵌めし又は摩擦嵌めし、ステントマンドレル取付け具602上のステント603が移動しないようにすることができる。
【0094】
[00104]ステント603から離れた位置(例えば、ステント603の上方)には、ステント603に付着されるコーティング組成物を保持する貯蔵部616が、位置決めされている。貯蔵部616は、アパーチャ618を有するエジェクタ617と流体接続している。エジェクタ617も、ステント603から離れた位置に(例えば、ステント603の上方、下方、及び/又はステント603とある角度をなして)位置決めされている。コーティング組成物を定量吐出するために、例えば静水圧、油圧、空気圧、毛管圧力、又は当業者に知られている任意のその他の圧力源などの、圧力源を使用することができる。例えばいくつかの実施形態では、トランスデューサをエジェクタ617内に配置して、電気エネルギーを、音又は超音波の形の振動エネルギーに変換することができる。音又は超音波を、本明細書では「音響」エネルギーと呼び、このエネルギーによって、例えばコーティング組成物の液滴などの制御体積が、アパーチャ618からステント603上に排出される。本発明の実施形態では、トランスデューサからの各音響パルスは、アパーチャ618から1滴を吐出することができる。
【0095】
[00105]貯蔵部616は、コーティング組成物をエジェクタ617に定量吐出し、この組成物を、アパーチャ618を通して排出する。アパーチャ618は、直径が約50μmから約250μmに及ぶ小さい開口を有し、したがってコーティング組成物は、トランスデューサが起動しない限り、コーティング組成物の表面張力によってアパーチャ618から出て行かないことになる。いくつかの実施形態では、コーティングを使用してアパーチャ618の表面エネルギーを制御することができ、したがって例えばTEFLONを使用して、低表面エネルギーのコーティングを得ることができる。ステント603のある特定のセクションが他のセクションよりも多くのコーティングを受容することができるように、トランスデューサを調節して、定量吐出されるコーティングの速度を制御することができる。
【0096】
[00106]エジェクタ617は、それぞれの個々のステントストラットと並べることができる。コーティングはエジェクタ617に流入し、トランスデューサによって制御可能にアパーチャ618からステントストラット上に排出され、それによって、コーティングを外面のステントストラット上に限定するが、これは噴霧及び浸漬技法よりも優れた利点である。いくつかの実施形態では、ステントストラットの側壁を部分的にコーティングすることができる。その他の実施形態では、側壁の部分コーティングは偶発的又は意図的にすることができる。
【0097】
[00107]エジェクタ617には、コーティング組成物をステント603の一部に付着させる前及び又は付着させた後に、ステント603の画像形成を行う第1の画像形成装置619を連結することができる。第1の画像形成装置619は、ステント603から離れて位置付けられている第2の画像形成装置620と一緒に、配線式又は無線式の技法を使用して共に連絡可能に光フィードバックシステム621に連結されている。貯蔵部616も、配線式又は無線式の技法を使用して、光フィードバックシステム621に連絡可能に連結してもよい。画像形成装置619及び620によって提供されたイメージに基づき、光フィードバックシステム621は、要求に応じて、ステントと並んだアパーチャ618を保持するために、モータ607及び609を使用してステント603の移動を制御する。
【0098】
[00108]ステントコーティング装置601の動作中、光フィードバックシステム621は、フィードバックシステム621によってモータ607がステント603を回転さたときに、画像形成装置620でステント603の全表面の画像形成を行う。最初の画像形成の後、光フィードバックシステム621は画像形成装置619を使用して、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させることによりアライメントが実現するまで、アパーチャ618とステントストラットとの位置合わせを行う。次いで光フィードバックシステム621では、アパーチャ618にあるコーティング組成物に向かって音響エネルギーを放出することにより、トランスデューサによってコーティング物質がアパーチャ618を通して定量吐出される。
【0099】
[00109]コーティング物質が定量吐出されるにつれ、光フィードバックシステム621は、モータ607及び609を回転させて、ステント603をアパーチャ618に関連付けて並進させ、その結果、ステントストラットの残りの所望のセクションがアパーチャ618に沿って位置決めされ、それによってストラットの所望の外面をコーティングする。一実施例では、ステントの全外面を組成物でコーティングする。別の実施例では、選択領域を第1の組成物でコーティングし、このプロセスを、1種又は複数の追加の組成物に関して繰り返す。別の実施例では、このプロセスを、ステントの所望の面を同時にコーティングするために、複数のアパーチャ618とこれらに対応する複数の組成物とを使用して行う。
【0100】
[00110]ステントストラットの一部をコーティングした後、光フィードバックシステム621では、トランスデューサによってコーティング組成物の定量吐出を停止し、画像形成装置619によってステントストラットの画像形成を行って、ストラットが適切にコーティングされているか否か判断する。この判断は、コーティングプロセスの前後での、ステントストラットの色及び/又は反射率の差を測定することによって行うことができる。ストラットが適切にコーティングされている場合、光フィードバックシステム621では、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させ、アパーチャ618がコーティングされていないステント603セクションと位置合わせされるようにし、次いで上記プロセスを繰り返す。ステントストラットが適切にコーティングされていない場合、光フィードバックシステム621では、モータ607及び609を回転させてステント603を並進させ、トランスデューサによりコーティング組成物を定量吐出して、ステントストラットを再度コーティングする。本発明の別の実施形態では、光フィードバックシステム621によって、ステント603の全体が各コーティング通路を通った後に、ステント603の点検及び再コーティングを行うことができる。
【0101】
[00111]本発明の実施形態では、画像形成装置619及び620は、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子を含むことができる。本発明の実施形態では、画像形成装置619及び620を、単一の画像形成装置に組み合わせることができる。さらに当業者なら、画像形成装置619及び620の配置は、これらの装置によってステント603の許容可能な像が得られる限り、変えることができることが理解されよう。さらに当業者なら、ステントマンドレル取付け具602は、ステント603を所定の位置にしっかりと保持することが可能である限り、任意の形又は形状をとることができることが理解されよう。
【0102】
[00112]したがって、本発明の実施形態によれば、ステント603の特定の面を精巧にコーティングすることができ、それによって、スプレーコーティング法及びディップコーティング法で生ずる可能性のあるコーティングの欠陥が回避され、このコーティングを、ステント603の外面及び/又は側壁のみに限定することができる。ステントストラット間のギャップにコーティングを付着させることは、本明細書に教示される技法を使用して部分的に又は完全に回避することができる。
【0103】
[00113]多くの実施形態では、コーティングは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6395326号明細書に記載されるように、デポー(depot)又はパターンを含むことができる。いくつかの実施形態では、事前に選択された幾何形状パターンを、音響エジェクタアセンブリなどのディスペンサアセンブリを移動させることによって所定の経路に沿って堆積することができ、それと同時に、例えばプロテアーゼやステントなどの固定医療デバイス上に、組成物を堆積することがきる。その他の実施形態では、固定ディスペンサアセンブリにより医療デバイス上に組成物を堆積させながら、所定の経路に沿って、医療デバイスを支持するアセンブリを移動させるステップを含む方法を使用して、事前に選択された幾何形状パターンを堆積することができる。その他の実施形態では、医療デバイスを支持するアセンブリとディスペンサアセンブリの両方を移動させて、事前に選択したパターンを医療デバイス上に形成することができる。
【0104】
[00114]コーティング組成物の、事前に選択された幾何形状は、実質的な直線であり或いは湾曲し又は角度のついたパターンである、連続した流れとして付着させてもよい。事前に選択された幾何形状パターンは、直線であり、湾曲し又は角度のついた線であり、少なくとも1つのビーズを含み、又は単一のビーズである、断続的なパターンでもよい。
【0105】
[00115]いくつかの実施形態では、デバイス上へのコーティング組成物の付着の後、このデバイスに沿って組成物の再分配が行われる。この再分配は、例えば空気圧、遠心力、又は第2の溶媒を使用することによって実現してもよい。
【0106】
[00116]ステント603の外面にコーティングした後、ステント603は、例えばエレクトロスプレーやスプレーコーティングなどのその他のコーティング方法を使用して、コーティングされたその他の面、例えば内面を有することができる。ステント603の外面をマスクせずに、エレクトロスプレー及びスプレーコーティングの両方を使用して、所望の組成物をステント603の外面及び側壁に付着させてもよい。しかし内面は、ステント603の外面をコーティングするのに使用した組成物とは異なる単一の組成物で、実質的に単独でコーティングされる。したがって当業者なら、この実施形態は、異なる組成物を用いてステント603の内面及び外面をコーティングできることが理解されよう。例えば管腔面は、所望の薬剤又は薬剤の組合せを有する組成物(例えば、ヘパリンなどの抗凝固薬;及び/又はPEGの形などの非汚損薬)でコーティングすることができ、それと共にステント603の外面は、血管壁への局所送達のための薬剤又は薬剤の組合せを有する組成物(例えば、抗炎症薬及び/又は抗増殖薬)でコーティングすることができる。
【0107】
[00117]本発明の制御体積は、コーティング組成物を送達するためにノズルを組み込んだシステム、又はノズル無しでコーティング組成物を送達することができるシステムに送達することができる。図7a〜7cは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを組み込んだアセンブリを示す。いくつかの実施形態では、アセンブリは、図6のアパーチャ618を表すのに使用することができる。ディスペンサアセンブリ701は、デバイスの表面への組成物702の制御送達及び堆積のために使用することができる。
【0108】
[00118]図7aに示すように、ディスペンサアセンブリ701は、送達前に組成物702を保持する貯蔵部703と、内部を通過して組成物702が送達されるオリフィス又はアパーチャ705を有するノズル704とを備える、単一のデバイスにすることができる。一実施例では、ディスペンサアセンブリ701は、インクジェット式プリントヘッドにすることができる。別の実施例では、ディスペンサアセンブリ701は、約2nLから約70nLに及ぶ少量を射出することが可能なマイクロインジェクタにすることができる(例えば、World Precision Instrumentsから入手可能なNanoLiter 2000、又はCell Technology Systemから入手可能なMicropipetteを備えたPneumatic PicoPumps PV830)。これらの微量注入シリンジは、適切なデザインの顕微鏡と併せて用いてもよい。
【0109】
[00119]ノズル704は、永久に、又は取外し可能に、又は使い捨て可能に貯蔵部703に固定してもよく、限定するものではないがガラス、金属、サファイヤ、及びプラスチックを含めた任意の適切な材料で作製してもよい。ノズル704の破損を避けるため、組成物702の堆積の際にガラスノズル704が医療デバイスの表面に確実に接触しないようにするために、特別な注意が払われるべきである。また、プラスチックノズル704が組成物702と確実に適合するようにするために、特別な注意が払われるべきである。ノズル704は、限定するものではないが図7b及び7cによって例示されるデザインを含めた、任意の適切なデザインのものでもよい。図7cに示されるノズル704は、図示されるノズル704のデザインによって最後の液滴706がオリフィス705内に捕捉されるので、組成物702の最後の液滴706を浮き上がらせることが望ましい適用例において特に役立てることができる。さらに、ディスペンサアセンブリ701は、複数のコーティング組成物を定量吐出することができるように、複数の貯蔵部703及びノズル704を含んでもよい。
【0110】
[00120]ノズル704のオリフィス705は、その直径が、約0.5μmから約150μmに及ぶことができる。オリフィス705の特定のサイズは、組成物702の構成要素や付着される組成物702の粘度、望まれる堆積パターン、使用される医療デバイスのタイプなどの要因に依存する。例えば、医療デバイス内の個別のチャネル又はキャビティに組成物702を付着させるオリフィス705よりも大きいオリフィス705を利用して、組成物702を医療デバイスの外面全体に付着させてもよい。いくつかの実施形態では、コーティング組成物を付着する間のノズル704の中心軸の向きは、コーティングされる医療デバイスの表面に対して90°をなすことができる。その他の実施形態では、コーティング組成物を付着する間のノズル704の中心軸の向きを、コーティングされる医療デバイスの表面に対して90°未満にすることができる。
【0111】
[00121]ディスペンサアセンブリ701を使用した組成物702の送達は、受動的又は能動的に実現することができる。いくつかの実施形態では、送達は、毛管作用を通して受動的に実現することができる。或いは、また上述のように、送達は、図7aに示される貯蔵部703内の組成物702に、圧力源(P)を加えることにより、能動的に実現することもできる。組成物702の連続的な流れの堆積が望まれる場合は、連続的に圧力を加える。組成物702の断続的な堆積パターンが望まれる場合は、圧力を一気に加えることができる。当業者に知られており当業者が利用可能な任意の形の圧力を、使用することができる。
【0112】
[00122]図8a及び8bは、本発明のいくつかの実施形態によるノズルを必要としないエジェクタアセンブリを示す。いくつかの実施形態では、エジェクタアセンブリ801は、ノズルを必要としないコーティング組成物の制御送達のために、図6のアパーチャ618の代わりに使用することができる。図8aは、貯蔵部ハウジング802とトランスデューサ803を備えたエジェクタアセンブリ801の断面を示す。トランスデューサ803は、貯蔵部804で、その内部にあるコーティング組成物805の表面に集束させた音響エネルギーを出力する。各パルスは、液滴806中の既知の量のコーティング組成物805を貯蔵部804から医療デバイス上に排出し、それによって、貯蔵部804内のコーティング組成物805のレベルを低下させる。したがって、音響エネルギーの各パルスの後に、トランスデューサ803は、貯蔵部804内の新たなレベルに再び焦点を合わすことができる。
【0113】
[00123]代替の実施形態では、貯蔵部804に常に補充することができ、それによって、コーティングプロセスの全体を通してコーティング組成物805のレベルを同じに保つことができる。本発明のいくつかの実施形態では、貯蔵部804はそれぞれ異なるコーティング物質を保持することができる。一実施例では、第1の貯蔵部がコーティング組成物805を保持することができ、その一方で第2の貯蔵部は、コーティング組成物807を保持することができる。次いでトランスデューサ803は、異なるコーティング物質の排出を、単一のコーティングプロセス中に医療デバイスに向けて引き起こすことができる。さらに、トランスデューサ803と貯蔵部804とは接触していないので、貯蔵部804同士の交差汚染の機会が最小限に抑えられ、又は無くなっており、どのエジェクタアセンブリ801も詰まる可能性がない。
【0114】
[00124]図8bに示される実施形態では、貯蔵部804の1つ又は複数に、2種の異なるコーティング物質、即ち第1の物質807及び第2の物質808が入っていてもよく、これら2種の物質間の界面に音響エネルギー810のパルスを集束させることによって、トランスデューサ803が、組み合わされた液滴809を貯蔵部804から排出できるようにする。音響エネルギー810のパルスは、レンズ811によって集束される。したがっていくつかの実施形態では、医療デバイスは、第1の物質807が第2の物質808をカプセル状に包み込むような2種の異なるコーティング物質で、同時にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、第1の物質807は、所望の生物活性剤にすることができる第2の物質808の放出を制御するために選択された生分解性ポリマーにすることができる。その他の実施形態では、第1の物質807を第1の薬剤にすることができ、第2の物質808を第2の薬剤にすることができ、但しこれらの薬剤は、本明細書に教示される任意の薬剤にすることができる。
【0115】
[00125]図8a及び8bに示されるエジェクタアセンブリ801の利点は、真の「ドロップオンデマンド(drop−on−demand)」又は「単分散」の形をとる液滴などの、制御体積を排出する能力が改善されることである。いくつかの実施形態では、制御体積を特定の部位に1滴ずつ送達することができる。その他の実施形態では、制御体積を例えば高周波音響エネルギーを使用して、連続した一続きのものとして送達することができる。
【0116】
[00126]制御体積は、様々なサイズで送達することができる。いくつかの実施形態では、制御体積を、約1フェムトリットルから約1マイクロリットル、約1フェムトリットルから約100ナノリットル、約1フェムトリットルから約10ナノリットル、約10フェムトリットルから約0.1ナノリットル約10フェムトリットルから約100ピコリットル、約100フェムトリットルから約10ピコリットルに及ぶ体積、またこれらの任意の範囲内の体積で分散させることができる。いくつかの実施形態では、単分散の液滴の均等な分布を補助するために、制御体積が10ピコリットルよりも小さい。この広範な制御体積の利点は、極めて強力な薬剤を所望の量で単独で、医療デバイスの表面上の所望領域に送達することができることである。この広範な制御体積の別の利点は、複数の薬剤を独立に又は組み合わせて大量に(in a range of quantities)、医療デバイスの所望領域範囲及び複数の表面に送達することができることである。
【0117】
[00127]エジェクタアセンブリ801の別の利点は、制御体積が上向きに又は下向きに排出されるように、システムを設計できることである。図9は、制御体積を、本発明のいくつかの実施形態によるステントの外面に向かって下向きに排出する方法を示す。エジェクタアセンブリ901は、レンズ904で、トランスデューサ903からの音響エネルギー902を集束させる。単分散の液滴、又は制御体積905は、アパーチャ908でコーティング組成物907によって生成された、流体メニスカス906で生成される。所望の薬剤を、ステント909の外面などの、デバイス上の所定領域にある単分散の液滴905内に、又はデバイス上のコーティング内に、位置決めすることができる。
【0118】
[00128]図10a及び10bは、本発明のいくつかの実施形態による音響エジェクタアセンブリの代替のデザインを示す。図10に示されるように、図8a及び8bに最初に示されるエジェクタアセンブリ801は、トランスデューサ803及びレンズ810がコーティング組成物805と直接接触するように、又は結合流体10を通してコーティング組成物805と間接的に接触するように、設計することができる。図10aに示される直接接触デザインは、貯蔵部804のそれぞれに関してトランスデューサ803を使用し、それに対して図10bに示される間接接触デザインは、複数の貯蔵部804に関して単一のトランスデューサ803を使用する。どの実施形態においても、エジェクタアセンブリ801は、図9に示されるステント909の外面などの、デバイス上の所定領域又はデバイス上のコーティング内に、薬剤11、12、13を単分散させ付着させる能力を有する。
【0119】
[00129]本明細書に教示されるコーティングプロセスでは、キャスティング溶媒を使用してもよい。キャスティング溶媒は、基材上にコーティングとして付着させてもよい溶液を形成するために、ポリマーを可溶化することのできる液体媒体である。キャスティング溶媒は、例えば下に存在するプライマー層のような、下に存在する材料又は剥き出しのステント構造に、悪影響を及ぼさないよう選択しなければならない。一実施例では、プライマー層を形成するのに使用される材料は、高い極性のキャスティング溶媒に可溶であるが、低い極性のキャスティング溶媒には適度に不溶である。材料が、得られる生成物の性能に著しい影響を及ぼすような十分に大きな範囲まで可溶化しない場合、この材料は、溶媒に「適度に不溶」であり、即ち生成物が依然として、その意図する目的に使用できることを意味する。この実施例では、低極性のキャスティング溶媒に可溶である、上に存在する薬剤層を、プライマー層の構造を破壊することなく下に存在するプライマー層に付着させることができる。
【0120】
[00130]キャスティング溶媒は、例えばその極性、水素結合能力、分子サイズ、揮発性、生体適合性、反応性、及び純度も含めたいくつかの基準に基づいて選択してもよい。キャスティング溶媒中のポリマーの溶解限度、キャスティング溶媒中の酸素及びその他の気体の存在、キャスティング溶媒とポリマーとを組み合わせたものの粘度及び蒸気圧、キャスティング溶媒が下に存在する材料を通して拡散する能力、及びキャスティング溶媒の熱安定性を含めたキャスティング溶媒のその他の物理的特徴を考慮してもよい。
【0121】
[00131]当業者なら、広く様々なポリマーの溶解度に関する科学文献及びデータを入手することができる。さらに当業者なら、入手可能な熱力学的データを使用して、溶解に関するギブスの自由エネルギーを計算することにより、キャスティング溶媒の選択を経験的に開始してもよいことが理解されよう。そのような計算によれば、実験室で試験をするために可能性ある溶媒を予備的に選択することが可能となる。プロセス条件は、下に存在する材料の化学構造に影響を及ぼす可能性があり、したがってキャスティング溶媒への溶解度に影響を及ぼす可能性があることが理解される。また、例えば下に存在する材料がゆっくり溶解することは、生成物を比較的素早く生成した場合のその生成物の性能特性に影響を及ぼさないので、溶解速度(kinetics of dissolution)はキャスティング溶媒を選択する際に考慮される要因であることも理解される。
【0122】
[00132]本発明で使用される例示的なキャスティング溶媒には、DMAC、DMF、THF、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、及びジオキサンが含まれるが、これらに限定するものではない。溶媒混合物も同様に使用することができる。混合物の代表的な例には、DMAC及びメタノール(50:50w/w);水、i−プロパノール、及びDMAC(10:3:87w/w);i−プロパノール及びDMAC(80:20、50:50、又は20:80w/w);アセトン及びシクロヘキサノン(80:20、50;50、又は20:80w/w);アセトン及びキシレン(50:50w/w);アセトン、キシレン、及びFLUX REMOVER AMS(登録商標)(93.7%の3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンと、これらの残りであるメタノール及び微量のニトロメタン;Tech Spray,Inc.)(10:40:50w/w);及び1,1,2−トリクロロエタン及びクロロホルム(80:20w/w)含まれるが、これらに限定するものではない。
【0123】
[00133]医療物品又はコーティングを形成するプロセスは、例えば熱や電磁放射、電子線、イオン又は荷電粒子線、中性原子線、化学エネルギーなどのエネルギーの使用など、追加のプロセスステップを含むことができることを理解すべきである。乾燥プロセスは、より高い温度を使用することによって、加速させることができる。いくつかの実施形態では、エネルギー印加の制御に、作業者による手動制御が含まれる。その他の実施形態では、エネルギー印加の制御には、プログラム可能な加熱制御システムが含まれる。いくつかの実施形態では、エネルギーを加えることによって、約35℃から約100℃、約35℃から約80℃、約35℃から約55℃、又はこれらの任意の範囲内に及ぶコーティング組成物温度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、当業者に知られている乾燥又は切断のための任意の手順が、本発明の範囲内にある。
【0124】
[00134]医療物品又はコーティングは、組成物の機械的性質を高めるためにアニールすることもできる。アニーリングは、応力亀裂欠陥が極めて危険なものになり得る複雑な医療デバイスなどの適用例において、部分応力を下げるのを助けるために使用することができ、また安全性に関する別の尺度をもたらすことができる。アニーリングは、約30℃から約200℃、約35℃から約190℃、約40℃から約180℃、約45℃から約175℃、又はこれらの任意の範囲に及ぶ温度で行うことができる。アニーリング時間は、約1秒から約60秒、約1分から約60分、約2分から約45分、約3分から約30分、約5分から約20分、又はこれらの任意の範囲に及ぶことができる。アニーリングは、加熱を冷却と共に繰り返すことによって行うこともでき、このときの加熱及び冷却に要する合計時間が、アニーリングのサイクル時間である。
【0125】
[00135]下記の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示するために提供する。
【0126】
実施例1
[00136]2つのコーティング層を有する医療物品は、第1の組成物及び第2の組成物を調製することによって、エベロリムス及びクロベタゾールを含むように製作することができる。第1の組成物は、第1の生分解性ポリマー、例えばポリ(L−ラクチド)のマトリックスと、クロベタゾールとを含む薬剤層にすることができ;第2の組成物は、第2の生分解性ポリマー、例えばポリ(D,L−ラクチド)のマトリックスと、エベロリムスとを含む薬剤層にすることができる。
【0127】
[00137]第1の組成物は、第1のコーティング組成物を形成するために第1の生分解性ポリマーとエベロリムスとをクロロホルム中で混合することによって、調製することができる。第1のコーティング組成物は、単分散形態で、剥き出しの12mm VISION(商標)ステント(Guidant Corp.)(「実施例ステント」)の外面に付着させ、乾燥して、第1のコーティングを形成することができる。第2のコーティング組成物は、この第2のコーティング組成物を形成するために第2の生分解性ポリマーとエベロリムスとをメチル−エチル−ケトン中で混合することによって、調製することができる。第2のコーティング組成物は、単分散形態で、ステントの外面上の選択領域のみに付着させることができる。単分散液滴サイズは、約1ピコリットルから約10ピコリットルに及ぶことができる。
【0128】
[00138]薬剤放出の制御を補助するために、トップコート層を任意選択で付着させることができる。トップコート層に関する例示的なコーティング技法は、ステントのコーティングされた外面に、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)/エタノール混合物を付着させるステップを含む。最後の通過(final pass)の後に、約50℃で約1時間、コーティングをベークして、乾燥薬剤層を形成する。
【0129】
実施例2
[00139]3つのコーティング層を有する医療物品は、第1の組成物、第2の組成物、及び第3の組成物を調製することによって、エベロリムス及びタクロリムスを含むように製作することができる。第1の組成物は、ポリ(ヒドロキシルアルカノエート)とタクロリムスとの混合物のプライマー層にすることができる。第2の組成物は、エベロリムスの純粋な薬剤層にすることができ、第3の組成物は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)のトップコート層にすることができる。
【0130】
[00140]第1の組成物は、無水エタノールに溶かした約2%(w/w)のポリ(ヒドロキシルアルカノエート)と、適当量のタクロリムスとを混合することによって調製することができ、音響エジェクタアセンブリ技法を使用して実施例ステントの表面に付着させることにより、乾燥プライマー層を形成することができる。乾燥プライマー層は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)約100μgとテクロリムスの適当量とを組み合わせて含有することができる。第2の組成物は、無水エタノールに約2%(w/w)のエベロリムスを混合し、この混合物を、音響エジェクタアセンブリ技法を使用してプライマー層に付着させることにより調製することができ、その結果、制御体積のエベロリムスを含んだ純粋な薬剤層を形成することができる。第3の組成物は、無水エタノールに約2%(w/w)のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を混合し、この混合物を、実施例1の実施例コーティング技法を使用してプライマー層に付着させることにより調製することができ、その結果、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含むトップコート層を形成することができる。
【0131】
[00141]本発明の特定の実施形態について図示し記述してきたが、当業者なら、本発明の教示の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に変更及び修正を加えることができることに留意されたい。医療デバイス製造のための制御体積を形成する数多くのコーティング装置、ポリマー、薬剤、及び方法を、本明細書に教示してきた。当業者なら、そのような教示は、単なる例示として提供され、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明のいくつかの実施形態による、ステント101の3次元図の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態による、薬剤の組合せで選択的にコーティングすることができるステントの、外側部分の選択領域を示す図である。
【図3】図3a及び図3bは、本発明のいくつかの実施形態による、サンドイッチ型コーティングのデザインを示す図である。
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態による、部分的にコーティングされたステントの外面の上面図を示すことによって、格子縞型のコーティングデザインを例示する図である。
【図5】図5a及び図5bは、本発明のいくつかの実施形態による、彫り込みを有するステントの外面の上面図を示すことによって、彫り込み型のコーティングデザインを例示する図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態による、ステントコーティング装置を示す図である。
【図7】図7a−図7cは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを組み込んだアセンブリを示す図である。
【図8】図8a及び図8bは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズルを必要としないエジェクタアセンブリを示す図である。
【図9】本発明のいくつかの実施形態による、ステントの外面に向かって下向きに制御体積を排出する方法を示す図である。
【図10】図10a及び図10bは、本発明のいくつかの実施形態による、音響エジェクタアセンブリの代替のデザインを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の組合せの中の薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積以内に位置決めされている、薬剤の組合せを備える医療デバイス。
【請求項2】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項6】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項7】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項10】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
ポリマーが、薬剤を含む制御体積以内で薬剤と組み合わされており、及び/又は薬剤を含む制御体積をカプセル状に包み込んでいる、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
所定領域が、医療デバイスの外面を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層内におけるある部位を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
所定速度で、コーティング及び/又は医療デバイスから放出される薬剤を備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項16】
ステントを備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積以内に位置決めされている、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティング。
【請求項18】
記載なし
【請求項19】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項20】
薬剤の組合せが、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項21】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項22】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項23】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項24】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項25】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項24に記載のコーティング。
【請求項26】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項24に記載のコーティング。
【請求項27】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項28】
ポリマーが、薬剤を含む制御体積以内で薬剤と組み合わされており、及び/又は薬剤を含む制御体積をカプセル状に包み込んでいる、請求項17に記載のコーティング。
【請求項29】
所定領域が、医療デバイスの外面を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項30】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層内におけるある部位を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項31】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項17に記載のコーティング。
【請求項32】
所定速度でコーティングから放出される薬剤を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項33】
薬剤の組合せを選択するステップと、
コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積以内で薬剤の組合せから薬剤を付着させるステップと
を含む医療デバイスをコーティングする方法。
【請求項34】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
薬剤の組合せが、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
薬剤の組合せが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
ポリマーが、薬剤を含む1つ又は複数の制御体積以内の薬剤の組合せからの薬剤と組み合わされる、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
医療デバイスがステントを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
所定領域が、ステントの外面を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層全体にわたるある部位を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
選択するステップが、所定速度でコーティングから薬剤が放出されるように薬剤の組合せを設計するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
付着するステップが、音響エネルギーの使用を通して制御体積を形成するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、
エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む薬剤の組合せを選択するステップと、
コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積以内で薬剤の組合せから薬剤を付着させるステップとを含み、該付着させるステップが、音響エネルギーの使用を含む方法を通して制御体積を形成するステップを含むものであるプロセスを使用して形成されるコーティング。
【請求項1】
薬剤の組合せの中の薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積以内に位置決めされている、薬剤の組合せを備える医療デバイス。
【請求項2】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項6】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項7】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項10】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
ポリマーが、薬剤を含む制御体積以内で薬剤と組み合わされており、及び/又は薬剤を含む制御体積をカプセル状に包み込んでいる、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
所定領域が、医療デバイスの外面を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層内におけるある部位を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
所定速度で、コーティング及び/又は医療デバイスから放出される薬剤を備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項16】
ステントを備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
薬剤が、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス上のコーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、制御体積以内に位置決めされている、薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティング。
【請求項18】
記載なし
【請求項19】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項20】
薬剤の組合せが、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項21】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項22】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項23】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項20に記載のコーティング。
【請求項24】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項25】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項24に記載のコーティング。
【請求項26】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項24に記載のコーティング。
【請求項27】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項28】
ポリマーが、薬剤を含む制御体積以内で薬剤と組み合わされており、及び/又は薬剤を含む制御体積をカプセル状に包み込んでいる、請求項17に記載のコーティング。
【請求項29】
所定領域が、医療デバイスの外面を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項30】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層内におけるある部位を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項31】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項17に記載のコーティング。
【請求項32】
所定速度でコーティングから放出される薬剤を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項33】
薬剤の組合せを選択するステップと、
コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング内、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積以内で薬剤の組合せから薬剤を付着させるステップと
を含む医療デバイスをコーティングする方法。
【請求項34】
薬剤の組合せが、生物活性剤、生物学的に利益のある薬剤、診断薬、可塑化剤、又はこれらの組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
薬剤の組合せが、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非血栓薬、抗菌剤、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、硫酸デルマタン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、エラスチン、シルク−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD);これらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
薬剤の組合せが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、エベロリムス、42−エピ−(テトラゾイルイル)ラパマイシン(ABT−578)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン、これらの任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、同属種、任意の誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチルスルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼミミック;これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、ナイトライト、N−オキソ−N−ニトロサミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート、これらの任意の類似体、同族体、同属種、誘導体、塩、及び組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
薬剤の組合せが、エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
ポリマーが、薬剤を含む1つ又は複数の制御体積以内の薬剤の組合せからの薬剤と組み合わされる、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
制御体積が、約1フェムトリットルから約100ナノリットルに及ぶ、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
医療デバイスがステントを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
所定領域が、ステントの外面を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
コーティングが複数の層を含み、所定領域が、複数の層全体にわたるある部位を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
選択するステップが、所定速度でコーティングから薬剤が放出されるように薬剤の組合せを設計するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
付着するステップが、音響エネルギーの使用を通して制御体積を形成するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
薬剤の組合せを含む医療デバイス用コーティングであって、
エベロリムス、クロベタゾール、タクロリムス、ラパマイシン、ABT−578、又はこれらの任意の組合せを含む薬剤の組合せを選択するステップと、
コーティングが1つ又は複数の制御体積を含むように、医療デバイス上、医療デバイス内、医療デバイス用コーティング、又はこれらの組合せにおける1つ又は複数の所定領域で、1つ又は複数の制御体積以内で薬剤の組合せから薬剤を付着させるステップとを含み、該付着させるステップが、音響エネルギーの使用を含む方法を通して制御体積を形成するステップを含むものであるプロセスを使用して形成されるコーティング。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−539245(P2008−539245A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509020(P2008−509020)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/015541
【国際公開番号】WO2006/116348
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/015541
【国際公開番号】WO2006/116348
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
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