説明

制御弁および制御弁付シリンダ

【課題】停電などの緊急時の回路の遮断、およびフラッシングや液漏れ検査をする際、離れた場所から弁を開閉することができる制御弁およびその制御弁を備えたシリンダを提供する。
【解決手段】制御弁100は、シリンダ12に開口された第1ポート12eと接続する第1給排管23を遠隔操作によって電動で開閉する第1弁101を有した第1弁本体10と、シリンダ12に開口された第2ポート12dと接続する第2給排管24を遠隔操作によって電動で開閉する第2弁102を有した第2弁本体20と、を備えており、第1弁本体10および第2弁本体20が、夫々第1ポート12eまたは第2ポート12dに直結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁の開閉によって、緊急時の回路の遮断、およびフラッシングや液漏れ検査をする制御弁、およびその制御弁を備えたシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリンダに接続される給排管の途中にストップ弁を設けて、シリンダまでの回路を閉鎖してから液体を循環させることで、回路内のフラッシングをしたり、シリンダの液漏れをチェックすることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたチェックシステムおよびチェックシステム付シリンダは、シリンダのロッド側液室に接続される第1通路と、シリンダのピストン側液室に接続される第2通路と、第1通路と第2通路とを連結する第3通路と、第1通路および第2通路の、第3通路よりもシリンダ側に夫々設けられた第1弁および第2弁と、第3通路に設けられた第3弁と、第1通路の第1弁よりもシリンダ側の部分に設けられた液漏れ検知ポートと、第2通路の第2弁よりもシリンダ側に設けられた液漏れ検知ポートと備えている。この発明においては、第1弁〜第3弁を開閉することにより第1通路〜第3通路内の液体の流れを制御し、液漏れ検知ポートによってシリンダの液漏れをチェックしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−194659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたチェックシステムおよびチェックシステム付シリンダは、第1弁〜第3弁を手動で開閉するタイプのものであることが図からも明らかであり、フラッシング時や液漏れの確認をする際、必ず設置された場所まで出向いて弁を開閉する必要がある。特に、停電などの緊急時においては、すぐに回路を遮断することが出来ないため、対応が遅れて大惨事になってしまう恐れがある。さらに、シリンダとチェックシステムとは、必ずしも近接した場所にあるとは限らず、緊急時に弁を閉めたとしてもシリンダと弁との間の給排管に留まる液体の量によって、シリンダに負荷を掛けてしまう恐れもある。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてされたものであり、停電などの緊急時の回路の遮断、およびフラッシングや液漏れ検査をする際、離れた場所から弁を開閉することができる制御弁およびその制御弁を備えたシリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御弁は、シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁を有した第1弁本体と、シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁を有した第2弁本体と、を備え、前記第1弁本体および前記第2弁本体が、夫々前記第1ポートまたは前記第2ポートに直結される。
【0008】
上記の構成によれば、第1弁および第2弁を外部から遠隔操作することにより、第1ポートおよび第2ポートに夫々接続される第1給排管と第2給排管を離れた場所から開放、若しくは遮断することができる。これにより、例えば停電などの緊急時に、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁や第2弁を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管および第2給排管を遮断することができる。さらに、第1弁を有した第1弁本体と第2弁を有した第2弁本体が、夫々シリンダの第1ポートおよび第2ポートに直結されているため、緊急時における第1給排管および第2給排管の遮断はシリンダのすぐ手前でされることになる。これにより、緊急時のシリンダに掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、本発明の制御弁は、シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁と、シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁と、を備え、前記第1弁および前記第2弁が一体となって構成されて前記シリンダに並設され、当該第1弁および当該第2弁のうち一方が前記第1ポートまたは前記第2ポートに直結され、他方が前記シリンダに沿った配管を介して当該第1ポートまたは当該第2ポートに連結される。
【0010】
上記の構成によれば、第1弁および第2弁を外部から遠隔操作することにより、第1ポートおよび第2ポートに夫々接続される第1給排管と第2給排管を離れた場所から開放、若しくは遮断することができる。これにより、例えば停電などの緊急時に、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁や第2弁を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管および第2給排管を遮断することができる。さらに、第1弁および第2弁が一体となって構成されてシリンダに並設され、第1弁および第2弁のうち一方がシリンダの第1ポートまたは第2ポートに直結されているため、緊急時における第1給排管または第2給排管の遮断はシリンダのすぐ手前でされることになる。また、他方の第1弁または第2弁はシリンダに沿った配管を介して第1ポートまたは第2ポートに連結されているため、緊急時における第1給排管または第2給排管の遮断はシリンダの付近でされることになる。これにより、緊急時のシリンダに掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【0011】
また、本発明の制御弁は、シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁と、シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁と、を備え、前記第1弁および前記第2弁が、一体となって構成されて前記シリンダに並設され、前記シリンダに沿った配管を介して夫々当該第1ポートまたは当該第2ポートに連結される。
【0012】
上記の構成によれば、第1弁および第2弁を外部から遠隔操作することにより、第1ポートおよび第2ポートに夫々接続される第1給排管と第2給排管を離れた場所から開放、若しくは遮断することができる。これにより、例えば停電などの緊急時に、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁や第2弁を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管および第2給排管を遮断することができる。さらに、第1弁および第2弁が一体となって構成されてシリンダに並設され、第1弁および第2弁はシリンダに沿った配管を介して第1ポートまたは第2ポートに連結されているため、緊急時における第1給排管および第2給排管の遮断はシリンダの付近でされることになる。これにより、緊急時のシリンダに掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【0013】
また、本発明の制御弁は、外部からの遠隔操作によって電動で開閉することによって、前記第1給排管と前記第2給排管との間を開放、若しくは遮断する第3弁をさらに備えていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、第3弁によって第1給排管と第2給排管との間が開放、若しくは遮断される。これにより、第1弁および第2弁によって第1給排管と第2給排管を遮断し、第3弁によって第1給排管と第2給排管との間を開放することによって、シリンダを介することなく、第1給排管および第2給排管内のフラッシングをすることができる。また、第3弁を外部から遠隔操作することができるため、フラッシング時にわざわざ設置された場所まで出向いて第3弁を開閉する必要がなく、安全であり、時間の短縮にもなる。
【0015】
また、本発明の制御弁は、前記第1弁の前記シリンダの反対側と前記第3弁との間に設けられ、圧力計を備えるための第1圧力検知ポートと、前記第2弁の前記シリンダの反対側と前記第3弁との間に設けられ、圧力計を備えるための第2圧力検知ポートと、前記第1弁の前記シリンダ側、若しくは前記第2弁の前記シリンダ側の少なくとも一方に設けられ、圧力計を備えるためのシリンダ側圧力検知ポートと、をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、第1弁と第2弁と第3弁とを閉めることによって、第1給排管および第2給排管を遮断できる。そのため、液体を圧入して第1圧力検知ポートおよび第2圧力検知ポートに備えられた圧力計で管内の圧力を一定時間測定することによって、第1弁に至るまでの第1給排管、第2弁に至るまでの第2給排管の液漏れを確認することができる。また、第3弁を閉めて、第1給排管、シリンダ、および第2給排管を連通させた状態で、シリンダ側圧力検知ポートが設けられた方の第1弁または第2弁を閉め、さらにシリンダ内のピストンをシリンダ側圧力検知ポートが設けられた側にストロークエンドに固定することによって、シリンダ側圧力検知ポートに備えられた圧力計を用いてシリンダ内における液体の漏れを確認することができる。また、これらの液体の漏れを確認する際の第1弁、第2弁、および第3弁の開閉は、外部からの遠隔操作で離れた場所からすることができる。これにより、万一、液体の漏れがあった場合でも離れた場所から安全に液漏れの確認することができる。
【0017】
また、本発明の制御弁は、前記第1弁と、前記第2弁と、前記第3弁と、前記第1圧力検知ポートと、前記第2圧力検知ポートと、前記シリンダ側圧力検知ポートと、が一体的に構成されていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、一体的に構成されているため、コンパクトであり、設置する際の作業時間や手間が短縮される。
【0019】
また、本発明の制御弁付シリンダは、シリンダ内にロッド付ピストンが進退するシリンダと、前記制御弁と、を備えていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、制御弁とシリンダとが一体的に構成されているため、全体をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の制御弁によると、例えば停電などの緊急時に、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁や第2弁を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管および第2給排管を遮断することができる。さらに、緊急時における第1給排管および第2給排管の遮断はシリンダのすぐ手前でされることになるため、緊急時のシリンダに掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)本発明の第1実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける常用操作時を示す模式図である。(b)本発明の第1実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるフラッシング時を示す模式図である。(c)本発明の第1実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける管路漏液診断時を示す模式図である。(d)本発明の第1実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるシリンダ漏液診断時を示す模式図である。
【図2】(a)本発明の第1実施形態に係る制御弁の平面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る制御弁における図2(a)のA方向矢視側面図である。(c)本発明の第1実施形態に係る制御弁における図2(a)のB方向矢視側面図である。
【図3】(a)本発明の第1実施形態に係る制御弁における図2(b)のC方向矢視側面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る制御弁におけるモータが90℃回転後の図2(b)のC方向矢視側面図である。
【図4】(a)本発明の第1実施形態に係る制御弁における図2(b)のD−D´方向矢視断面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る制御弁における図2(a)のE−E´方向矢視断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る制御弁付シリンダの正面図である。
【図6】(a)本発明の第2実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける常用操作時を示す模式図である。(b)本発明の第2実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるフラッシング時を示す模式図である。(c)本発明の第2実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける管路漏液診断時を示す模式図である。(d)本発明の第2実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるシリンダ漏液診断時を示す模式図である。
【図7】(a)本発明の第3実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける常用操作時を示す模式図である。(b)本発明の第3実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるフラッシング時を示す模式図である。(c)本発明の第3実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける管路漏液診断時を示す模式図である。(d)本発明の第3実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるシリンダ漏液診断時を示す模式図である。
【図8】(a)本発明の第4実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける常用操作時を示す模式図である。(b)本発明の第4実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるフラッシング時を示す模式図である。(c)本発明の第4実施形態に係る制御弁およびシリンダにおける管路漏液診断時を示す模式図である。(d)本発明の第4実施形態に係る制御弁およびシリンダにおけるシリンダ漏液診断時を示す模式図である。
【図9】(a)本発明の第2〜4実施形態に用いられる電磁弁が閉まった状態を示す説明図である。(b)本発明の第2〜4実施形態に用いられる電磁弁が開いた状態を示す説明図である。
【図10】(a)本発明の第4実施形態に用いられる4方向切替電磁弁が閉まった状態を示す説明図である。(b)本発明の第4実施形態に用いられる4方向切替電磁弁が開いた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(制御弁100)
図1に示すように、本実施形態に係る制御弁100は、シリンダ12のロッド側液室S1に開口された第1ポート12eと接続する第1給排管23を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁101を有した第1弁本体10と、シリンダ12のピストン側液室S2に開口された第2ポート12dと接続する第2給排管24を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁102を有した第2弁本体20と、を備え、第1弁本体10および第2弁本体20が、夫々第1ポート12eまたは第2ポート12dに直結されている。
【0025】
また、本実施形態に係る制御弁100は、シリンダ12のロッド側液室S1に開口された第1ポート12eと接続する第1給排管23を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁101と、シリンダ12のピストン側液室S2に開口された第2ポート12dと接続する第2給排管24を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁102と、を備え、第1弁101および第2弁102が一体となって構成されてシリンダ12に並設され、第1弁101および第2弁102のうち一方が第1ポート12eまたは第2ポート12dに直結され、他方がシリンダ12に沿った配管を介して第1ポート12eまたは第2ポート12dに連結されている。
【0026】
また、本実施形態に係る制御弁100は、シリンダ12のロッド側液室S1に開口された第1ポート12eと接続する第1給排管23を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁101と、シリンダ12のピストン側液室S2に開口された第2ポート12dと接続する第2給排管24を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁102と、を備え、第1弁101および第2弁102が、一体となって構成されてシリンダ12に並設され、シリンダ12に沿った配管を介して夫々第1ポート12eまたは第2ポート12dに連結されている。
【0027】
また、本実施形態に係る制御弁100は、外部からの遠隔操作によって電動で開閉することによって、第1給排管23と第2給排管24との間を開放、若しくは遮断する第3弁103をさらに備えている。
【0028】
また、本実施形態に係る制御弁100は、第1弁101のシリンダ12の反対側と第3弁103との間に設けられ、圧力計を備えるための第1圧力検知ポート33と、第2弁102のシリンダ12の反対側と第3弁103との間に設けられ、圧力計を備えるための第2圧力検知ポート34と、第1弁101のシリンダ12側、若しくは第2弁102のシリンダ12側の少なくとも一方に設けられ、圧力計を備えるためのシリンダ側圧力検知ポート31(32)と、をさらに備えている。
【0029】
また、本実施形態に係る制御弁100は、第1弁101と、第2弁102と、第3弁103と、第1圧力検知ポート33と、第2圧力検知ポート34と、シリンダ側圧力検知ポート31(32)と、が一体的に構成されている。
【0030】
ここで、図2〜図5に示した制御弁100は、第1弁101および第2弁102が一体となって構成されてシリンダ12に並設され、第2弁102が第2ポート12dに直結され、第1弁101がシリンダ12に沿った配管21を介して第1ポート12eに連結されるタイプのものである。
【0031】
図2および図3に示すように、制御弁100は、直方体状の筐体67の上面に3つの支持台69が所定の間隔で設けられている。各支持台69は、4隅に設けられた4つのネジ35によって夫々筐体67に固定されている。各支持台69の上空からは、コの字型のケース65が嵌め込まれており、各支持台69の側面とケース65の内面とがネジ36によって固定されている。また、ケース65の上面の中心部には、孔が形成されている。そして、各ケース65の上面には、外部からの遠隔操作で駆動するモータ61・62・63が夫々設けられており、形成された孔から各モータ61・62・63の回転軸37が通されている。
【0032】
各モータ61・62・63の回転軸37は、連結解除部64を介して軸68と連結されており、モータ61・62・63の駆動によって回転軸37が左右方向に回転することにより、軸68も左右方向に回転するようになっている。なお、連結解除部64は、スパナなどの工具を用いて回転軸37と軸68の連結部を解除することができる。そのため、モータに異常があった場合などは、回転軸37と軸68の連結部を解除し、軸68を手動で回転させることができるようになっている。また、軸68は、バネ66によって付勢されており、回転軸37と軸68との連結部の外周には、円筒状のカバー38が被せられている。
【0033】
図2(b)に示すように、筐体67における一方の長い方の側面には、第1圧力検知ポート33、第2圧力検知ポート34、シリンダ側圧力検知ポート31、およびシリンダ側圧力検知ポート32が突出しており、この各ポートから圧力計を備えられるようになっている。なお、圧力計は制御弁100から離れた場所から確認できるように配線される。また、図2(c)に示すように、他方の長い方の側面には、2つの配管口13・14が設けられており、ここから図1に示すように第1給排管23と第2給排管24を夫々繋げて、例えば液体タンクなどへ回路を形成することができるようになっている。また、図3(a)、(b)に示すように、筐体67における一方の短い方の側面には、配管口17が設けられており、ここから配管21を繋げてシリンダ12の第1ポート12eと連結される。さらに、筐体67の底面における端部には、配管口18が設けられており、ここからシリンダ12の第2ポート12dと直結される。
【0034】
また、図4に示すように、制御弁100は、筐体67の内部において、各モータ61・62・63の下方位置に、夫々第1球弁111、第2球弁112、および第3球弁113が設けられている。第1球弁111、第2球弁112、および第3球弁113は、各モータ61・62・63の回転軸37に連結された各軸68に連結されており、各モータ61・62・63の駆動によって、第1球弁111、第2球弁112、および第3球弁113の夫々が各軸68を中心軸として左右方向に回転するようになっている。配管口17と配管口13は、第1通路2によって接続されており、その途中経路に第1球弁111が設けられている。そして、第1球弁111は、モータ61の駆動で左右方向に回転することによって、配管口17と配管口13との間の第1通路2を開放、若しくは遮断できるようになっている。このように、モータ61と、モータ61に付属する回転軸37、軸68、およびバネ66と、第1球弁111と、第1通路2と、から第1弁101は少なくとも構成されている。そして、第1弁101を開閉することによって、配管口17と配管口13との間の第1通路2、即ち、配管口17に接続される第1ポート12eと配管口13に接続される第1給排管23との間を開放、若しくは遮断できるようになっている。
【0035】
また、配管口18と配管口14とは、第2通路3によって接続されており、その途中経路に第2球弁112が設けられている。第2球弁112は、左右方向と上下方向とに向けてL字型の通路を有している。これにより、第2球弁112は、モータ61の駆動で左右方向に回転することによって、配管口18と配管口14との間の第2通路3をを開放、若しくは遮断できるようになっている。このように、モータ61と、モータ62に付属する回転軸37、軸68、およびバネ66と、第2球弁112と、第2通路3と、から第2弁102は少なくとも構成されている。そして、第2弁102を開閉することによって、配管口18と配管口14との間の第2通路3、即ち、配管口18に接続される第2ポート12dと配管口14に接続される第2給排管24との間を開放、若しくは遮断できるようになっている。
【0036】
また、第1通路2と第2通路3とは、第3通路4によって接続されており、その途中経路に第3球弁113が設けられている。さらに、第3球弁113は、左右方向と奥行き方向とに向けてL字型の通路を有している。これにより、第3球弁113は、モータ61の駆動で左右方向に回転することによって、第1通路2と第2通路3との間の第3通路4を開放、若しくは遮断できるようになっている。このように、モータ63と、モータ63に付属する回転軸37、軸68、およびバネ66と、第3球弁113と、第3通路4と、から第3弁103は少なくとも構成されている。そして、第3弁103を開閉することよって、第1通路2と第2通路3との間の第3通路4、即ち、第1給排管23と第2給排管24との間を開放、若しくは遮断できるようになっている。
【0037】
このように、第1弁101および第2弁102を外部から遠隔操作することにより、第1ポート12eおよび第2ポート12dに夫々接続される第1給排管23と第2給排管24を離れた場所から開放、若しくは遮断することができる。これにより、例えば停電などの緊急時に、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁101や第2弁102を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管23および第2給排管24を遮断することができる。また、制御弁100は、第1弁101と、第2弁102と、第3弁103と、第1圧力検知ポート33と、第2圧力検知ポート34と、シリンダ側圧力検知ポート31と、シリンダ側圧力検知ポート32と、が一体的に構成されているため、コンパクトであり、設置する際の作業時間や手間が短縮される。
【0038】
(制御弁付シリンダ500)
次に、上記のような構成を有する制御弁100がシリンダ12に取り付けられた制御弁付シリンダ500の構成を説明する。先ず、図1に示すように、シリンダ12は、円筒状のシリンダケース12cと、シリンダケース12c内を長手方向に進退するピストンロッド12bと、ピストンロッド12bの先端に設けられたピストン12aと、を備えている。上記のピストン12aは、図中示すように、2箇所のシールリング12f、12gを介してシリンダケース12cの内周に摺動自在に密着しており、シリンダケース12c内をロッド側液室S1とピストン側液室S2の2室に分ける。このシールリング12gは、ロッド側液室S1からピストン側液室S2への漏れを止め、シールリング12fはピストン側液室S2からロッド側液室S1への漏れを止める。そして、ロッド側液室S1に第1ポート12eが、ピストン側液室S2に第2ポート12dが設けられている。また、図5に示すように、シリンダケース12cの両端部には接合部154・156が設けられている。接合部154には、取付孔153が設けられており、この孔を利用してシリンダ12が用いられる装置などに取り付けられる。また、接合部156からは、ピストンロッド12bがシリンダケース12cの内部から突出しており、これが左右方向に摺動する。さらに、ピストンロッド12bには、取付孔157が設けられており、この孔を利用してシリンダ12が用いられる装置などに取り付けられる。制御弁100は、上記のような構成を有するシリンダ12に並設されており、配管口17からシリンダ12に沿った配管21を介してシリンダ12の第1ポート12eに連結される。そして、配管口18は、シリンダ12の第2ポート12dに直結されて、制御弁100がシリンダ12に取り付けられる。
【0039】
このように、第1弁101および第2弁102が一体となって構成されてシリンダ12に並設され、第2弁102がシリンダ12の第2ポート12dに直結されているため、緊急時における第2給排管24の遮断はシリンダ12のすぐ手前でされることになる。また、他方の第1弁101はシリンダ12に沿った配管21を介して第1ポート12eに連結されているため、緊急時における第1給排管23の遮断はシリンダ12の付近でされることになる。これにより、緊急時のシリンダ12に掛かる負荷を最小限に抑えることができる。また、制御弁付シリンダ500は、制御弁100とシリンダ12とが一体的に構成されているため、全体をコンパクトにすることができる。
【0040】
以上、説明した制御弁100は、第1弁101および第2弁102が一体となって構成されてシリンダ12に並設され、第2弁102が第2ポート12dに直結され、第1弁101がシリンダ12に沿った配管21を介して第1ポート12eに連結されるタイプのものであるが、これ以外の構造および取り付け方でも構わない。例えば、第1弁101および第2弁102が一体となって構成されてシリンダ12に並設され、第1弁101が第1ポート12eに直結され、第2弁102がシリンダ12に沿った配管を介して第2ポート12dに連結されていてもよい。この場合、緊急時における第1給排管23の遮断はシリンダ12のすぐ手前でされることになり、第2給排管24の遮断はシリンダ12の付近でされることになる。これにより、緊急時のシリンダ12に掛かる負荷を最小限に抑えることができる。また、第1弁101および第2弁102が、一体となって構成されてシリンダ12に並設され、シリンダ12に沿った配管を介して夫々第1ポート12eまたは第2ポート12dに連結されていてもよい。この場合、緊急時における第1給排管23および第2給排管24の遮断はシリンダ12の付近でされることになる。これにより、緊急時のシリンダ12に掛かる負荷を最小限に抑えることができる。さらに、図1に示すように、第1弁101を有した第1弁本体10と第2弁102を有した第2弁本体20が、夫々シリンダ12の第1ポート12eおよび第2ポート12dに直結されていてもよい。この場合、緊急時における第1給排管23および第2給排管24の遮断はシリンダ12のすぐ手前でされることになる。これにより、緊急時のシリンダ12に掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【0041】
(制御弁100の動作:常用操作時)
次に、本実施形態に係る制御弁100の動作について説明する。制御弁100の常用操作時は、図1(a)に示すように、第1弁101と第2弁102とを開け、第3弁103を閉めた状態にして、第1給排管23、シリンダ12、第2給排管24の回路を形成する。これにより、第1給排管23を流過して制御弁100に流入した液体は、制御弁100内の第1通路2を通ってシリンダ12に供給され、制御弁100内の第2通路3を通って制御弁100から第2給排管24へ流出する。なお、液体の流れ方向は、上記の逆であってもよい。また、この常用操作時において、シリンダ側圧力検知ポート31・32に接続された圧力計で圧力を常時測定することによって、離れた場所からでもシリンダ12の動作を確認することも可能である。
【0042】
(制御弁100の動作:フラッシング時)
制御弁100のフラッシング時は、図1(b)に示すように、第1弁101と第2弁102とを閉め、第3弁103を開けた状態にして、第1給排管23と第2給排管24との間の通路を開放する。これにより、第1給排管23を流過して制御弁100に流入した液体は、制御弁100内の第1通路2の途中まで流過するが、第1弁101によって通路が遮断されているためそれ以上先には流過できない。そのため、制御弁100内の第3通路4を流過して配管口14を介して制御弁100から第2給排管24へ流出する。これにより、シリンダ12を介することなく、第1給排管23および第2給排管24内のフラッシングをすることができる。また、第3弁103を外部から遠隔操作することにより、離れた場所から第1給排管23と第2給排管24との間を開放、若しくは遮断することができるため、フラッシング時にわざわざ設置された場所まで出向いて第3弁103を開閉する必要がなく、安全であり、時間の短縮にもなる。なお、液体の流れ方向は、上記の逆であってもよい。
【0043】
(制御弁100の動作:管路漏液診断時)
制御弁100の管路漏液診断時は、図1(c)に示すように、第1弁101、第2弁102、および第3弁103を閉めた状態にして、第1給排管23、第2給排管24、および第1給排管23と第2給排管24との間の通路を全て遮断する。これにより、第1給排管23を流過して制御弁100に流入した液体は、制御弁100内の第1通路2および第3通路4の途中まで流過するが、第1弁101および第3弁103によって通路が遮断されているため、それ以上先には流過できないようになっている。そこで、液体を圧入して第1給排管23内をある値の圧力とした後、その状態を保ち、一定時間経過後に第1圧力検知ポート33に接続された圧力計によって圧力が変化するか否かを確認する。もし圧力が減少するようであれば、第1給排管23、第1弁101に至るまでの第1通路2、および第3弁103に至るまでの第3通路4の何れかから液漏れが生じていることが分かる。また、同様にして、第2給排管24を介して制御弁100に液体を流入させることによって、第2給排管24、第2弁102に至るまでの第2通路3、および第3弁103に至るまでの第3通路4の液漏れを確認することができる。
【0044】
(制御弁100の動作:シリンダ漏液診断時)
制御弁100のシリンダ漏液診断時は、図1(d)に示すように、第1弁101を開け、第2弁102および第3弁103を閉めた状態にする。そして、シリンダ12内のピストン12aをピストン側液室S2のストロークエンドに設置した状態で、第1給排管23から液体を流入する。すると、液体は、制御弁100内の第1通路2を流過し、第1ポート12eからロッド側液室S1に供給される。このとき、シリンダ12のピストン12aの周囲(シールリング12g)で液漏れが生じると、液体が第2ポート12dから排出され、第2通路3に送られる。そして、シリンダ側圧力検知ポート32に接続された圧力計にて液体の漏れが検出される。
【0045】
また、同様にして、第2弁102を開け、第1弁101および第3弁103を閉めた状態にする。そして、シリンダ12内のピストン12aをロッド側液室S1のストロークエンドに設置した状態で、第2給排管24から液体を流入する。すると、液体は、制御弁100内の第2通路3を流過し、第2ポート12dからピストン側液室S2に供給される。このとき、シリンダ12のピストン12aの周囲(シールリング12f)で液漏れが生じると、液体が第1ポート12eから排出され、第1通路2に送られる。そして、シリンダ側圧力検知ポート31に接続された圧力計にて液体の漏れが検出される。
【0046】
このとき、もし第1給排管23、第1弁101に至るまでの第1通路2、または第2給排管24、第2弁102に至るまでの第2通路3に液漏れが生じていれば、シリンダ12の液漏れを正確に検出することができないが、予めこの部分には液漏れが生じないと確認されており、液漏れの原因はシリンダ12としか考えられないので、液漏れの原因を確実に特定することができる。
【0047】
また、これらの液体の漏れを確認する際の第1弁101、第2弁102、および第3弁103の開閉は、外部からの遠隔操作で離れた場所からすることができるため、万一、液体の漏れがあった場合でも離れた場所から安全に液漏れの確認することができる。
【0048】
(制御弁100の動作:緊急時)
停電などの緊急時においては、回路内におけるポンプなどの機器を即座に停止させるが、同時にシリンダ12周りの回路も遮断する必要がある。この時、本実施形態に係る制御弁100の場合、外部からの遠隔操作によってモータ61・62・63を駆動させて第1弁101、第2弁102、および第3弁103を即座に閉める。これにより、わざわざ設置された場所まで出向いて第1弁101、第2弁102、および第3弁103を開閉する必要がなく、離れた場所から即座に第1給排管23、第2給排管24、第1給排管23および第2給排管24との間を遮断することができる。さらに、第1弁101、第2弁102、および第3弁103は、シリンダ12のロッド側液室S1に開口された第1ポート12eとピストン側液室S2に開口された第2ポート12dに直結、或いはシリンダ12と同じくらいの長さを有する配管を介して連結されているため、シリンダ12の限りなく手前で通路を遮断することができる。そのため、第1給排管23および第2給排管24からシリンダ12に供給される液体を最小限に抑えることができるため、緊急時のシリンダ12に掛かる負荷を最小限に抑えることができる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態を説明した。なお、本発明は上記の実施形態に限定される必要はない。
【0050】
(第2実施形態)
例えば、図6に示すように、本発明の第2実施形態に係る制御弁200は、モータ61・62・63の駆動で開閉する第1弁101、第2弁102、および第3弁103の代わりに、図9に示す電磁弁70を用いた第1弁5、第2弁6、および第3弁7を用いていてもよい。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じものを用いている場合には同様の番号を付記し、その説明を割愛する。
【0051】
(電磁弁70)
図9に示すように、電磁弁70は、円筒状の筐体79と、筐体79内に設けられた開閉部77と、スリーブ73と、作動部71と、を備えている。開閉部77は、ピストン76と、ボールポペット75と、ボールポペット75を左右方向に支持する支持部74と、支持部74に設けられた左右方向に伸縮自在なバネ72と、から構成されている。開閉部77は、バネ72の伸縮によって、筐体79内を左右方向に摺動するようになっている。また、筐体79内には、上下に2箇所の弁座78が形成されており、弁座78同士の間隔は、ボールポペット75の上下方向の長さよりも短く設定されている。そのため、バネ72が伸びている時は、ボールポペット75が上下の弁座78に当接し、上下の弁座78の間に蓋をする。一方、バネ72が縮んでいる時は、ボールポペット75が上下の弁座78から離れて通路が形成される。また、筐体79内には、液体が給排する2つのポートが形成されており、一方のポート70Aはスリーブ73の下方に形成され、他方のポート70Bはボールポペット75の下方に形成されている。そして、ポート70AとポートBとは、ボールポペット75が上下の弁座78から離れた時に形成される通路によって連通されるようになっている。作動部71は、図示しないソレノイドが通電されて作動することによって、スリーブ73内を左右方向に摺動し、ピストン76を押圧するようになっている。なお、ソレノイドの作動は遠隔操作によって、離れた場所からできるようになっている。
【0052】
上記のような構成を有する電磁弁70は、図9(a)に示すように、ソレノイドが作動していない時に、ボールポペット75が弁座78に当接して上下の弁座78の間に蓋がされる。この時、ボールポペット75は、バネ72の付勢力と、ボールポペット75の両端にかかる圧力のバランスによって静止されている。これにより、ポート70Aとポート70Bとの間が安定して遮断されるため、ポート70Aから流入された液体がポート70Bへと流過できないようになっている。一方、図9(b)に示すように、ソレノイドが作動すると、作動部71が矢印方向に動き、ピストン76を押圧する。そして、バネ72の付勢力よりも大きな押圧力になると、次第にピストン76を介してボールポペット75が上下の弁座78から離れる。これにより、上下の弁座78の間に通路が形成され、ポート70Aとポート70Bとが連通される。従って、ポート70Aから流入された液体がポート70Bへと流過できるようになっている。このように、遠隔操作によって、ソレノイドを作動させるか否かにより、電磁弁70を開閉することができる。
【0053】
第2実施形態に係る制御弁200は、上記のような構成を有する電磁弁70を用いて、離れた場所から第1給排管23、第2給排管24、第1給排管23および第2給排管24との間を開放、若しくは遮断することができる。これにより、図6(a)に示す常用操作時、図6(b)に示すフラッシング時、図6(c)に示す管路漏液診断時、図6(d)に示す油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時の切り替えを即座にすることができる。なお、常用操作時、フラッシング時、管路漏液診断時、油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時における制御弁200の動作は、第1実施形態と同様であるため割愛する。
【0054】
(第3実施形態)
また、図7に示すように、本発明の第3実施形態に係る制御弁300は、図9に示す電磁弁70を用いた図6の第1弁5、第2弁6、および第3弁7の開閉に、パイロット部44・45・46を用いていてもよい。なお、第3実施形態において、第1実施形態および第2実施形態と同じものを用いている場合には同様の番号を付記し、その説明を省略する。パイロット部44・45・46は、図示しない小型のソレノイドの作動によって、夫々の圧力供給管41・42・43から、第1弁5、第2弁6、および第3弁7の各電磁弁70に圧力をかけられるようになっている。そして、電磁弁70にかけられた圧力は、電磁弁70の作動部71を動かし、電磁弁70を開閉することができるようになっている。また、小型のソレノイドへの通電は、遠隔操作によって外部からできるようになっている。これにより、離れた場所から第1給排管23、第2給排管24、第1給排管23および第2給排管24との間を開放、若しくは遮断することができる。さらに、パイロット圧を利用しているため、第2実施形態よりも小電力で第1弁5、第2弁6、および第3弁7を開閉することができる。
【0055】
第3実施形態に係る制御弁300は、上記のような構成を有するパイロット部44・45・46および電磁弁70を用いて、離れた場所から第1給排管23、第2給排管24、第1給排管23および第2給排管24との間を開放、若しくは遮断することができる。これにより、図7(a)に示す常用操作時、図7(b)に示すフラッシング時、図7(c)に示す管路漏液診断時、図7(d)に示す油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時の切り替えを即座にすることができる。なお、常用操作時、フラッシング時、管路漏液診断時、油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時における制御弁300の動作は、第1実施形態と同様であるため割愛する。
【0056】
(第4実施形態)
また、図8に示すように、本発明の第4実施形態に係る制御弁400は、図6および図7に示す第1弁5、第2弁6の代わりに、これらを一つにまとめた図10の4方向切替電磁弁80を用いていてもよい。なお、第4実施形態において、第1実施形態および第2実施形態と同じものを用いている場合には同様の番号を付記し、その説明を省略する。
【0057】
(4方向切替電磁弁80)
図10に示すように、4方向切替電磁弁80には、液体が給排するポート81Pが形成されており、ポート81Pは途中で3方向に分岐している。分岐している3つの通路のうち、1つはパイロット通路82となり、もう2つは弁体通路81L・81Rとなる。弁体通路81Lは、ポート81Bと接続されており、弁体通路81L上に設けられた第1弁体83Lが左右方向に移動することでポート81Pとポート81Bとの間が開放、若しくは遮断されるようになっている。一方、弁体通路81Rは、ポート81Aと接続されており、弁体通路81R上に設けられた第1弁体83Rが左右方向に移動することでポート81Pとポート81Aとの間の通路が開放、若しくは遮断されるようになっている。第1弁体83L・83Rは、夫々の後方に設けられた第2弁体85L・85Rと連結されており、第2弁体85L・85Rが左右方向に移動するに伴い、第1弁体83L・83Rも左右方向に移動するようになっている。第2弁体85L・85Rは、パイロット通路82が分岐して形成された水平パイロット通路88L・88R上に設けられた切替部90L・90Rを介して、背圧通路86L・86Rから液体が流入されると、第2弁体85L・85Rの後端の圧力が高まり、4方向切替電磁弁80の中心方向に移動するようになっている。なお、第2弁体85L・85Rが4方向切替電磁弁80の中心方向に移動することによって、連通するポート81Aとポート81Tとの間と、連通するポート81Bとポート81Tとの間の通路が遮断されるようになっている。一方、流入された液体がポート81Tから外部に流出されると、第2弁体85L・85Rの後端の圧力が低くなり、第2弁体85L・85Rが外側方向に移動し、ポート81Tとポート81Aおよびポート81Bとの間の通路が開放されるようになっている。
【0058】
切替部90L・90Rは、弁座97に当接したり離れたりするように移動する球弁体91と、球弁体91の後端から付勢するバネ92と、球弁体91の後方に設けられた摺動部94と、摺動部94を両端から付勢するバネ93と、摺動部94の後端に設けられた球弁体95と、球弁体95の後端に連結された作動部96と、を有している。また、水平パイロット通路88L・88Rは、夫々切替部90L・90Rの一方側の内面を介して、背圧通路86L・86Rおよびドレン通路87L・87Rに接続されている。なお、ドレン通路87L・87Rは、ポート81Tに接続されている。そして、球弁体91は、水平パイロット通路88L・88Rから流入した液体のバネの付勢力よりも勝る押圧力で押圧されることによって弁座97から離れ、水平パイロット通路88L・88Rから背圧通路86L・86Rへの経路を開放するようになっている。一方、バネの付勢力で球弁体91が弁座97に当接することによって、水平パイロット通路88L・88Rから背圧通路86L・86Rへの経路を遮断するようになっている。また、作動部96は、図示しないソレノイドと接続されており、ソレノイドが通電されて作動されることによって球弁体95を後端から押圧して左右方向に移動させることができる。これにより、球弁体95がドレン通路87L・87Rへの経路を開放、若しくは遮断できるようになっている。
【0059】
上記のような構成を有する4方向切替電磁弁80は、図10(a)に示すように、ソレノイドを作動させていない時に液体をポート81Pから流入した場合、流入した液体は、パイロット通路82、水平パイロット通路88L・88Rを流過して切替部90L・90Rに流入する。そして、切替部90L・90Rに流入した液体の押圧力によって球弁体91が押圧されて、背圧通路86L・86Rへの通路が開放される。この時、球弁体95は動いていないため、ドレン通路87L・87Rへの通路は遮断されている。そして、背圧通路86L・86Rへと流過した液体は、第2弁体85L・85R内に流入する。これにより、第2弁体85L・85R内の圧力が高くなり、第2弁体85L・85Rが第1弁体83L・83Rを押圧しながら4方向切替電磁弁80の中心方向に移動する。これにより、ポート81A、ポート81B、ポート81P、ポート81T、への全ての通路が遮断されるようになっている。
【0060】
一方、図10(b)に示すように、遠隔操作によってソレノイドを作動した場合、作動部96によって、球弁体95が移動される。そして、球弁体95の移動に伴い、ドレン通路87L・87Rへの通路が開放される。従って、第2弁体85L・85R内に滞留していた液体は、背圧通路86L・86Rおよびドレン通路87L・87Rを介してポート81Tから外部へ流出される。そのため、第2弁体85L・85R内の圧力が低くなり、第2弁体85L・85Rと第1弁体83L・83Rとが4方向切替電磁弁80の外側方向に移動する。これにより、ポート81A、ポート81B、ポート81P、ポート81T、への全ての通路が開放されるようになっている。
【0061】
第4実施形態に係る制御弁400は、例えば、ポート81Pを第1給排管23に、ポート81Tを第2給排管24に接続し、ポート81Aをシリンダ12の第1ポート12eに、ポート81Aを第2ポート12dに連結して用いることができる。そして、上記のような構成を有する4方向切替電磁弁80を用いて、離れた場所から第1給排管23および第2給排管24を開放、若しくは遮断することができる。これにより、図8(a)に示す常用操作時、図8(b)に示すフラッシング時、図8(c)に示す管路漏液診断時、図8(d)に示す油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時の切り替えを即座にすることができる。なお、常用操作時、フラッシング時、管路漏液診断時、油圧シリンダ漏液診断時、および緊急時における制御弁400の動作は、第1実施形態と同様であるため割愛する。なお、図8(d)に示す油圧シリンダ漏液診断時の場合は、第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態とは異なり、シリンダ側圧力検知ポート31とシリンダ側圧力検知ポート32の両方を用いて圧力を測定し、その圧力差が所定時間経過後に変化するか否かを確認することによってシリンダ12の液漏れを検出することができる。
【0062】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施形態に記載された、作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、緊急時の回路の遮断、およびフラッシングや液漏れ検査をする制御弁について利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
2 第1通路
3 第2通路
4 第3通路
10 第1弁本体
12 シリンダ
12a ピストン
12b ピストンロッド
12c シリンダケース
12d 第2ポート
12e 第1ポート
12f シールリング
12g シールリング
13 配管口
14 配管口
17 配管口
18 配管口
20 第2弁本体
23 第1給排管
24 第2給排管
31 シリンダ側圧力検知ポート
32 シリンダ側圧力検知ポート
33 第1圧力検知ポート
34 第2圧力検知ポート
100 制御弁
101 第1弁
102 第2弁
103 第3弁
S1 ロッド側液室
S2 ピストン側液室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁を有した第1弁本体と、
シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁を有した第2弁本体と、を備え、
前記第1弁本体および前記第2弁本体が、夫々前記第1ポートまたは前記第2ポートに直結されることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁と、
シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁と、を備え、
前記第1弁および前記第2弁が一体となって構成されて前記シリンダに並設され、当該第1弁および当該第2弁のうち一方が前記第1ポートまたは前記第2ポートに直結され、他方が前記シリンダに沿った配管を介して当該第1ポートまたは当該第2ポートに連結されることを特徴とする制御弁。
【請求項3】
シリンダのロッド側液室に開口された第1ポートと接続する第1給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第1弁と、
シリンダのピストン側液室に開口された第2ポートと接続する第2給排管を外部からの遠隔操作によって電動で開閉する第2弁と、を備え、
前記第1弁および前記第2弁が、一体となって構成されて前記シリンダに並設され、前記シリンダに沿った配管を介して夫々当該第1ポートまたは当該第2ポートに連結されることを特徴とする制御弁。
【請求項4】
外部からの遠隔操作によって電動で開閉することによって、前記第1給排管と前記第2給排管との間を開放、若しくは遮断する第3弁をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の制御弁。
【請求項5】
前記第1弁の前記シリンダの反対側と前記第3弁との間に設けられ、圧力計を備えるための第1圧力検知ポートと、
前記第2弁の前記シリンダの反対側と前記第3弁との間に設けられ、圧力計を備えるための第2圧力検知ポートと、
前記第1弁の前記シリンダ側、若しくは前記第2弁の前記シリンダ側の少なくとも一方に設けられ、圧力計を備えるためのシリンダ側圧力検知ポートと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の制御弁。
【請求項6】
前記第1弁と、前記第2弁と、前記第3弁と、前記第1圧力検知ポートと、前記第2圧力検知ポートと、前記シリンダ側圧力検知ポートと、が一体的に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の制御弁。
【請求項7】
シリンダ内にロッド付ピストンが進退するシリンダと、
請求項1ないし6の何れか1項に記載の前記制御弁と、
を備えたことを特徴とする制御弁付シリンダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−185373(P2011−185373A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52172(P2010−52172)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(500408854)株式会社ユーテック (12)
【Fターム(参考)】