説明

制御方法、制御装置、移動体端末装置および通信システム

【課題】移動体端末装置にサーバ機能が備えられる場合に、移動体端末装置に対するアクセスを制御したい。
【解決手段】入力部148は、クライアントとしての処理等を実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含む移動体端末装置へのデータ送信要求を受信する。取得部150は、受信したデータ送信要求が、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求である場合に、所定の位置に配置されたテーブルであって、かつ移動体端末装置の動作状況が示されたテーブルから、動作状況を取得する。決定部320は、取得した動作状況と、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、転送を決定する。出力部154は、転送を決定した場合に、移動体端末装置における第2処理部へデータ送信要求を転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御技術に関し、特にサーバに対する通信を制御する制御方法、制御装置、移動体端末装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルサーバは、公衆無線基地局を介して公衆電話網に接続する。公衆電話網は、インターネットアクセスポイントを介してインターネットに接続されているので、モバイルサーバに対するインターネットからのアクセスが可能になる。しかしながら、モバイルサーバへのアクセスの有無にかかわらず、モバイルサーバが公衆電話網に接続されている場合、消費電力、無線リソースが無駄に使用される。そのため、モバイルサーバは、アクセスがない場合に待ち受け状態になり、着信通知を受けつけることによって公衆電話網に接続する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−14188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
携帯電話通信システムにおける移動体端末装置は、一般的に、通話機能に加えて、電子メール機能やWWW(World Wide Web)アクセス機能も備えている。そのような移動体端末装置にサーバ機能を備えさせれば、ユーザは、モバイルサーバを所有しなくても、サーバによるデータの提供が可能になる。本発明者はこうした状況下、以下の課題を認識するに至った。移動体端末装置の処理能力は、一般的に、通常のサーバ装置と比較して低いので、それに応じて移動体端末装置によって処理可能なデータ量が少なくなる。また、移動体端末装置が接続されている携帯電話通信システムの帯域は、通常のサーバ装置が接続されているネットワークの帯域よりも狭いので、これに応じても移動体端末装置によって処理可能なデータ量が少なくなる。さらに、移動体端末装置は、サーバ機能以外の用途にも使用されているので、移動体端末装置がサーバ機能を備える場合であっても、サーバ機能以外の用途が制限されるべきではない。そのため、移動体端末装置にサーバ機能を含める場合、移動体端末装置に対するアクセス制御が必要になる。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体端末装置にサーバ機能が備えられる場合に、移動体端末装置に対するアクセスを制御する通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の制御装置は、移動体ネットワークに接続される移動体端末装置へのデータ送信要求の転送を制御する制御装置であって、クライアントとしての処理、通話のための処理、移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含む移動体端末装置へのデータ送信要求を受信する第1通信部と、第1通信部において受信したデータ送信要求が、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求である場合に、所定の位置に配置されたテーブルであって、かつ移動体端末装置の動作状況が示されたテーブルから、動作状況を取得する取得部と、取得部において取得した動作状況と、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、転送を決定する制御部と、制御部において転送を決定した場合に、移動体端末装置における第2処理部へデータ送信要求を転送する第2通信部と、を備える。
【0006】
この態様によると、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動端末装置における動作状況と条件とをもとに、当該データ送信要求を転送するかを決定するので、移動体端末装置に対するアクセスを制御できる。
【0007】
取得部において参照されるテーブルには、移動体端末装置の動作状況として、第1処理部の動作状況が示されており、制御部は、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件として、第1処理部の動作状況に対する条件を規定しており、取得部において取得した第1処理部の動作状況と当該条件とをもとに、第2処理部へのデータ送信要求の転送を決定してもよい。この場合、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、第1処理部の動作状況をもとに転送を決定するので、第1処理部の動作状況を考慮できる。
【0008】
取得部において参照されるテーブルには、移動体端末装置の動作状況として、移動体端末装置の存在位置が示されており、制御部は、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件として、移動体端末装置の存在位置に対する条件を規定しており、取得部において取得した移動体端末装置の存在位置と当該条件とをもとに、第2処理部へのデータ送信要求の転送を決定してもよい。この場合、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動体端末装置の存在位置をもとに転送を決定するので、移動体端末装置の存在位置を考慮できる。
【0009】
取得部において参照されるテーブルは、移動体端末装置によって更新されていてもよい。この場合、テーブルは移動体端末装置によって更新されるので、新たな状況を反映できる。
【0010】
本発明の別の態様は、移動体端末装置である。この装置は、移動体ネットワークでの通信を実行する移動体端末装置であって、クライアントとしての処理、通話のための処理、本移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部と、第1処理部および第2処理部での処理を制御する制御部とを備える。制御部は、移動体ネットワークから受信したデータ送信要求が、第2処理部へのデータ送信要求である場合、移動体端末装置の動作状況と、第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件とをもとに、第2処理部へデータ送信要求を出力するかを決定する。
【0011】
この態様によると、第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動端末装置における動作状況と条件とをもとに、当該データ送信要求に応答するかを決定するので、移動体端末装置に対するアクセスを制御できる。
【0012】
制御部は、移動体端末装置の動作状況として、第1処理部の動作状況を管理する管理部と、第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件として、第1処理部の動作状況に対する条件を記憶する記憶部と、管理部において管理している動作状況と、記憶部に記憶した条件とをもとに、第2処理部へのデータ送信要求の出力を決定する決定部と、を備えてもよい。この場合、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、第1処理部の動作状況をもとに応答するかを決定するので、第1処理部の動作状況を考慮できる。
【0013】
制御部は、移動体端末装置の動作状況として、移動体端末装置の存在位置を管理する管理部と、第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件として、移動体端末装置の存在位置に対する条件を記憶する記憶部と、管理部において管理している動作状況と、記憶部に記憶した条件とをもとに、第2処理部へのデータ送信要求の出力を決定する決定部と、を備えてもよい。この場合、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動体端末装置の存在位置をもとに応答するかを決定するので、移動体端末装置の存在位置を考慮できる。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、通信システムである。この通信システムは、クライアントとしての処理、通話のための処理、本移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含み、かつ移動体ネットワークに接続される移動体端末装置と、移動体ネットワークを介して移動体端末装置と接続する制御装置とを備える。制御装置は、受信した移動体端末装置へのデータ送信要求が、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求である場合に、移動体端末装置の動作状況と、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、移動体端末装置における第2処理部へデータ送信要求を転送するかを決定する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、制御方法である。この方法は、移動体ネットワークに接続される移動体端末装置へのデータ送信要求の転送を制御する制御方法であって、クライアントとしての処理、通話のための処理、移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含む移動体端末装置へのデータ送信要求を受信するステップと、受信したデータ送信要求が、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求である場合に、移動体端末装置の動作状況と、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、移動体端末装置における第2処理部へデータ送信要求を転送するかを決定するステップと、を備える。
【0016】
本発明のさらに別の態様もまた、制御方法である。この方法は、移動体ネットワークに接続される移動体端末装置におけるクライアントとしての処理、移動体端末装置における通話のための処理、移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とに対する処理を制御する制御方法であって、移動体ネットワークから受信したデータ送信要求が、第2処理部へのデータ送信要求である場合、移動体端末装置の動作状況と、第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件とをもとに、第2処理部へデータ送信要求を出力するかを決定する。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動体端末装置にサーバ機能が備えられる場合に、移動体端末装置に対するアクセスを制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、携帯電話通信システムのごとく、移動体ネットワークのような無線ネットワークにて移動体端末装置を接続するとともに、非移動体ネットワークのような有線ネットワークにてインターネットにも接続する通信システムに関する。移動体端末装置は、前述のごとく、通話機能、電子メール機能、WWWアクセス機能に加えて、撮像機能、テレビジョン放送の受像機能等を備える。さらに、移動体端末装置は、サーバ機能も備える。このような移動体端末装置へのアクセスを制御するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。
【0020】
ゲートウエイサーバは、通信システムのコアネットワークとインターネットとの境界部分に配置され、インターネットから、移動体端末装置に対するデータ送信要求を受信する。また、HLR(Home Location Register)は、通信システムのコアネットワーク内に配置され、移動体端末装置がどのページングエリアに属しているかを管理する。さらに、本実施例において、移動体端末装置は、サーバ機能のON/OFF、通話中、撮像中、受像中などの動作状況をHLRに報告し、HLRは、移動体端末装置の動作状況を登録する。
【0021】
ゲートウエイサーバは、データ送信要求を受信すると、HLRを参照することによって、移動体端末装置の動作状況を取得する。また、ゲートウエイサーバは、移動体端末装置の動作状況に対する条件を定めており、取得した動作状況と条件とをもとに、データ送信要求を移動体端末装置へ転送するかを決定する。例えば、通話中でなければ転送するとの条件が規定されている場合、ゲートウエイサーバは、移動体端末装置の状況が通話中であるか否かによって転送するかを決定する。
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、移動体端末装置10、基地局装置12、関門交換局14、HLR16、ゲートウエイサーバ20、課金管理サーバ22、インターネット24、PC26を含む。また、移動体端末装置10は、端末用アンテナ30を含み、基地局装置12は、基地局用アンテナ28を含む。
【0023】
移動体端末装置10は、携帯電話装置や移動端末装置とも呼ばれ、端末用アンテナ30を介して基地局装置12との通信を実行する。移動体端末装置10と基地局装置12との間の無線通信方式が、例えば、第3世代携帯電話システムである場合、移動体端末装置10は、第3世代携帯電話システムの端末装置の機能を有する。第3世代携帯電話システムの端末装置の機能として、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。なお、移動体端末装置10は、一般的に、バッテリによって駆動される。また、移動体端末装置10は、基地局装置12までの無線ネットワークを経由して、基地局装置12からPC26へ至る有線ネットワークに接続される。
【0024】
移動体端末装置10は、(1)通話機能、(2)クライアント機能、(3)内部処理機能、(4)外部接続機能を有する。「クライアント機能」は、電子メール機能、WWWアクセス機能等に相当し、図示しないサーバへのアクセスがなされる処理に相当する。また、「内部処理機能」は、撮像機能による撮像処理、テレビジョン受像機能による再生処理、音楽再生機能による再生処理等に相当し、移動体端末装置10単独でなされる処理に相当する。また、「外部接続機能」は、第3世代携帯電話システムとは別の近距離無線通信システムや有線ケーブル等によって、図示しない外部機器と接続するための通信機能に相当する。図示しない外部機器の一例は、カーナビゲーションシステムである。
【0025】
なお、移動体端末装置10は、(1)から(4)のすべてを備える必要はなく、少なくともひとつを備えればよい。ここでは、すべてを備えるものとして説明する。さらに、移動体端末装置10は、(5)サーバ機能も有する。サーバ機能とは、他の通信装置、例えば、PC26からの要求を受けつけて、当該要求に応じた処理を実行することである。ここでは、説明を明瞭にするために、サーバ機能とは、移動体端末装置10がデータを記憶しており、PC26からのデータ送信要求を受けつけると、記憶したデータをPC26へ送信することとする。このようなサーバ機能によって、移動体端末装置10は、PC26に備えられたWebブラウザとの間でHTTP通信を実行する。なお、クライアント機能およびサーバ機能は、データ通信機能と総称される。
【0026】
基地局装置12は、一端にて基地局用アンテナ28を備え、無線ネットワークを介して移動体端末装置10と接続する。基地局装置12は、他端にて有線ネットワークを介して、ゲートウエイサーバ20からPC26に接続される。ここで、基地局装置12からゲートウエイサーバ20までの間が、コアネットワークに相当する。また、コアネットワークは、ATM(Asynchronous Transfer Mode)に対応し、コアネットワークおよびインターネット24は、IPプロトコルに対応する。なお、説明を明瞭にするために、ここでは、ひとつの基地局装置12を示しているが、実際には、複数の基地局装置12が設けられる。その際、各基地局装置12によって形成されるサービスエリアが互いにずれるように、基地局装置12は設置される。さらに、所定の範囲内に設置された基地局装置12によって、ページングエリアが形成されている。
【0027】
関門交換局14は、移動体端末装置10においてなされる処理がデータ通信機能か通話機能かに応じて、回線を設定する。処理がデータ通信機能に対応する場合、関門交換局14は、ゲートウエイサーバ20と移動体端末装置10とを接続する。一方、処理が通話機能に対応する場合、関門交換局14は、図示しない固定電話網と移動体端末装置10とを接続する。このような回線設定は、移動体端末装置10からの発信要求、移動体端末装置10への着信通知のタイミングにおいてなされる。
【0028】
ここでは、着信通知を入力した場合の回線設定の動作を説明する。関門交換局14は、ゲートウエイサーバ20から着信通知を入力する。着信通知には、宛先となる移動体端末装置10に予め付与したIPアドレスが含まれている。また、関門交換局14は、移動体端末装置10の識別番号(以下、「移動体端末装置番号」という)とIPアドレスとの対応を記憶しており、着信通知に含まれたIPアドレスに対応した移動体端末装置番号を特定する。ここで、HLR16は、移動体端末装置10が存在するページングエリアに関する情報を管理する。具体的には、ページングエリアを識別するための番号(以下、「ページングエリア番号」という)と移動体端末装置番号との対応が管理されている。
【0029】
関門交換局14は、HLR16を参照することによって、移動体端末装置番号に対応したページングエリア番号を特定する。関門交換局14は、ページングエリア番号に対応した基地局装置12へ着信通知を送信する。以上の処理の前提として、移動体端末装置10は、HLR16に対して位置登録を予め実行しており、その結果が、ページングエリア番号と移動体端末装置番号との対応に反映されている。なお、位置登録として公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0030】
ゲートウエイサーバ20は、有線ネットワークに接続される。また、ゲートウエイサーバ20は、関門交換局14側、つまりゲートウエイサーバ20から移動体端末装置10の間におけるプロトコルと、課金管理サーバ22側、つまりゲートウエイサーバ20からPC26の間におけるプロトコルとを変換する。関門交換局14側ではW−TCPが使用され、課金管理サーバ22側ではTCPが使用されている場合、ゲートウエイサーバ20は、W−TCPとTCPとの間の変換を実行する。このようなプロトコル変換には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0031】
また、ゲートウエイサーバ20は、移動体端末装置10におけるサーバ機能に対するデータ送信要求を受信した場合に、関門交換局14を介してHLR16へアクセスすることによって、移動体端末装置10の状況を取得する。なお、前提として、移動体端末装置10は、前述の(1)から(5)の機能に対する状況を関門交換局14へ適宜登録する。ここで、(1)から(5)の機能に対する動作状況および登録の処理については、後述する。また、ゲートウエイサーバ20は、移動体端末装置10へデータ送信要求を転送するための条件を予め記憶する。ゲートウエイサーバ20は、取得した動作状況と条件とをもとに、移動体端末装置10におけるサーバ機能へデータ送信要求を転送するかを決定する。転送を決定した場合、ゲートウエイサーバ20は、第3世代携帯電話システムを介して接続した移動体端末装置10へデータ送信要求を転送する。一方、転送を決定しなかった場合、ゲートウエイサーバ20は、その旨をPC26へ返信する。なお、ゲートウエイサーバ20は、電子メールのメールサーバの機能も備える。
【0032】
課金管理サーバ22は、通信システム100のパケット通信サービスに加入している移動体端末装置10を識別するための端末識別IDなどの諸々の顧客情報を管理する。課金管理サーバ22では、予め定められたサービス提供条件に照らし合わせて、送受信されるデータの拡張ヘッダなどに課金情報を加える。課金情報には、例えば、定額課金対象、従量課金対象、非課金対象などが含まれる。インターネット24は、前述のごとく、IPプロトコルに対応しており、PC26は、インターネット24に接続される。その結果、インターネット24は、PC26とコアネットワークとを接続する。
【0033】
以下の説明では、PC26が、インターネット24を介して、ゲートウエイサーバ20へのアクセスを実行し、ゲートウエイサーバ20を介して、移動体端末装置10に記憶されたコンテンツデータを取得する状況を前提とする。その際、PC26は、宛先を移動体端末装置10としたデータ送信要求を送信する。なお、データ送信要求は、移動体端末装置10のクライアント機能に対するデータ送信要求であってもよいが、ここでは、説明を明瞭にするために、移動体端末装置10のサーバ機能に対するデータ送信要求を主として説明する。
【0034】
図2は、移動体端末装置10の構成を示す。移動体端末装置10は、端末用アンテナ30、スピーカ部32、マイク部34、モニタ部36、操作部38、第1処理部44、第2処理部46、通信部48、制御部300を含む。また、第1処理部44は、通話処理部52、クライアント処理部54、記憶部60、外部接続部306、内部処理部308を含み、内部処理部308は、撮像部310、受像部312、再生部314を含む。また、第2処理部46は、サーバ処理部56、記憶部58を含む。また、制御部300は、監視部302、生成部304を含む。
【0035】
スピーカ部32は、移動体端末装置10が通話機能、テレビジョン受像機能による再生処理、音楽再生機能による再生処理等を実行する際に、制御部300から音声信号を電気信号として入力し、音声を出力する。なお、スピーカ部32は、図示しないヘッドフォンへ音声を出力してもよい。マイク部34は、移動体端末装置10が通話機能を実行する際に、移動体端末装置10の利用者の発した音声を入力し、音声信号を電気信号として制御部300へ出力する。モニタ部36は、ディスプレイによって構成されており、制御部300からの指示に応じた内容を表示する。操作部38は、ボタン等によって構成されており、ユーザからの各種指示を受けつける。操作部38は、受けつけた指示を制御部300へ出力する。制御部300は、通信の対象となる情報の入力元や出力先であるスピーカ部32、マイク部34、モニタ部36、操作部38と、通信機能を実行する第1処理部44、第2処理部46、通信部48との間でデータを中継する。また、制御部300は、第1処理部44や第2処理部46に対する動作を制御する。
【0036】
通信部48は、端末用アンテナ30を介して、図示しない基地局装置12との通信を実行する。ここで、基地局装置12との通信は、第3世代携帯電話システムに対応した通信であり、音声通信あるいはデータ通信に相当する。その結果、通信部48は、無線ネットワークを経由して、図示しない有線ネットワークとの通信を実行する。また、通信部48は、以上の通信の前提となる位置登録処理も実行するが、ここでは説明を省略する。第1処理部44は、前述の(1)から(4)の処理を実行する。つまり、第1処理部44は、サーバ機能以外の処理を実行する。さらに、第1処理部44の構成に対応づけると、通話処理部52は(1)の処理を実行し、クライアント処理部54は、(2)の処理を実行し、内部処理部308は、(3)の処理を実行し、外部接続部306は、(4)の処理を実行する。一方、第2処理部46は、前述の(5)の処理を実行する。
【0037】
通話処理部52は、通信部48を使用しながら、通話処理を実行する。例えば、通話処理部52は、通信部48を介して、通話を開始する際の契機となる発信要求や着信応答を公知の技術にて実行する。また、通話中において、通話処理部52は、制御部300を介してマイク部34から音声信号を入力する。通話処理部52は、入力した音声信号を符号化した後に、通信部48へ出力する。通信部48は、図示しない基地局装置12、関門交換局14を介して、固定電話網に接続された電話装置へ信号を送信する。一方、通信部48は、図示しない関門交換局14、基地局装置12を介して、固定電話網に接続された電話装置からの信号を受信する。通話処理部52は、通信部48からの信号を入力する。通信部48は、入力した信号を復号した後に、制御部300、スピーカ部32へ音声信号として出力する。
【0038】
クライアント処理部54は、通信部48を使用しながら、クライアントとしての処理を実行する。ここで、クライアントとしての処理には、電子メールの送受信、WWWアクセスが含まれる。これらの処理には、公知の技術が使用されればよいが、ここでは、前者の動作を簡単に説明する。電子メールを送信する際、クライアント処理部54は、制御部300を介して操作部38から、送信対象となる電子メールの本文を受けつける。クライアント処理部54は、通信部48を介して、発信要求を実行する。
【0039】
回線が設定された後、クライアント処理部54は、通信部48、図示しない基地局装置12、関門交換局14を介して、ゲートウエイサーバ20へ電子メールのデータを送信する。一方、電子メールを受信する際、通信部48が着信通知を受信すると、クライアント処理部54は、通信部48を介して、着信応答を実行する。回線が設定された後、クライアント処理部54は、関門交換局14、基地局装置12、通信部48を介して、ゲートウエイサーバ20からの電子メールのデータを受信する。また、クライアント処理部54は、制御部300を介して、モニタ部36に電子メールの本文を表示する。記憶部60は、クライアントとしての処理に使用されるデータを記憶する。
【0040】
内部処理部308は、通信部48を使用せずになされる処理を実行する。ここでは、内部処理として、撮像、テレビジョン放送の受像、音楽再生を例示する。撮像部310は、撮像した画像を生成し、生成した画像を制御部300や記憶部60へ出力する。以下では、画像そのものあるいはデータ形式の画像を区別せずに「画像」と呼ぶ。受像部312は、図示しないアンテナを備え、当該アンテナを介して地上波ディジタルテレビジョン放送の信号(以下、「放送信号」という)を受信する。なお、地上波ディジタルテレビジョン放送として、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)、DVB(Digital Video Broadcasting)が使用されればよいが、ここでは説明を省略する。
【0041】
なお、ISDB−Tにおけるワンセグメント放送が使用されてもよい。受像部312は、放送信号を復調することによって、放送信号に含まれた番組を再生する。受像部312は、再生した番組を制御部300へ出力する。再生部314は、制御部300に記憶された音楽データを取得し、当該音楽データを再生する。ここで、音楽データは、例えば、MP3(MPEG Audio Layer−3)形式にて規定される。再生部314は、再生した音楽データを制御部300へ出力する。なお、撮像部310、受像部312、再生部314の起動、動作、停止に関する指示は、制御部300を介して操作部38から受けつけられる。
【0042】
外部接続部306は、第3世代携帯電話システムとは別の近距離無線通信システムに対応した通信処理を実行する。近距離無線通信システムの一例は、IEEE802.15.1規格やIEEE802.15.4規格に準拠したWPAN(Wireless Personal Area Network)であるが、これらに限定されるものではない。また、近距離無線通信システムのかわりに、ケーブルが使用されてもよい。外部接続部306は、近距離無線通信システム等を使用することによって、図示しない外部機器と通信する。前述のごとく、図示しない外部機器の一例は、カーナビゲーションシステムである。また、外部接続部306は、制御部300と図示しない外部機器との間において、データを中継する。
【0043】
サーバ処理部56は、通信部48を使用しながら、サーバとしての処理を実行する。サーバとしての処理とは、前述のごとく、データ送信要求に応じて、データを送信する処理である。記憶部58は、サーバ処理部の処理に使用されるデータを記憶する。記憶部58は、電源オフ後も記憶内容を保持可能な記憶装置であり、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等の半導体メモリを含む。なお、記憶部58と記憶部60とは、一体的に構成されていてもよい。ここで、記憶部58に記憶されたデータは、画像、音楽データ、テキストデータ等に相当する。サーバ処理部56は、通信部48を介して、図示しないPC26からのデータ送信要求を受信する。当該データ送信要求は、ゲートウエイサーバ20、関門交換局14、基地局装置12を経由して通信部48に受信される。
【0044】
サーバ処理部56は、データ送信要求に対応したデータを記憶部58から抽出する。サーバ処理部56は、通信部48を介して、抽出したデータをPC26へ送信する。データは、基地局装置12、関門交換局14、ゲートウエイサーバ20を経由される。また、サーバ処理部56は、制御部300を介して、操作部38からのテキストデータ、撮像部310からの画像、マイク部34からの音楽データを受けつけ、これらをデータとして記憶部58に記憶させる。ここで、サーバ処理部56は、これらのデータが記憶部58に記憶されたタイミングにて、これらのデータを送信の対象にする。つまり、これらのデータが提供される。
【0045】
監視部302は、第1処理部44、第2処理部46の動作を監視する。つまり、監視部302は、移動体端末装置10の動作状況を監視する。監視部302において監視されている動作状況は、任意のものでよい。ここでは一例として次の組合せとするが、限定されるものではない。組合せには、(A)サーバON/OFF、(B)サーバ処理量、(C)サーバ更新中、(D)メール中、(E)WWWアクセス中、(F)通話中、(G)撮像部310動作中、(H)受像部312動作中、(I)音楽再生中、(J)バッテリ残量、(K)外部接続中である。(A)は、サーバ処理部56の機能がオンになっているか、オフになっているかに関する。(B)は、サーバ処理部56の処理量がどの程度であるかに関する。ここでは、説明を簡単にするために、処理量がしきい値よりも大きい場合を「High」とし、処理量がしきい値以下である場合を「Low」とする。
【0046】
(C)は、サーバ処理部56にて提供すべきデータを更新している場合か否かに関する。(D)は、クライアント処理部54において電子メールの送受信がなされている場合か否かに関する。(E)は、クライアント処理部54においてWWWのアクセスがなされている場合か否かに関する。(F)は、通話処理部52において通話がなされている場合か否かに関する。(G)は、撮像部310が動作しているか否かに関する。(H)は、受像部312が動作しているか否かに関する。(I)は、再生部314において音楽データが再生されているか否かに関する。(J)は、図示しないバッテリの残量がどの程度であるかに関する。ここでは、説明を簡単にするために、残量がしきい値よりも大きい場合を「High」とし、残量がしきい値以下である場合を「Low」とする。(K)は、外部接続部306において外部機器との通信がなされているか否かに関する。監視部302は、以上の組合せの監視結果を生成部304へ出力する。
【0047】
生成部304は、監視部302から監視結果を受けつける。生成部304は、監視結果に変化があった場合に、監視結果から情報信号を生成する。情報信号は、移動体端末装置10の動作状況が示された信号といえる。図3は、生成部304において生成される情報信号のデータ構造を示す。情報信号は、図示のごとく、項目欄250、内容欄252によって形成されている。項目欄250には、前述の(A)から(K)が含まれており、内容欄252は、各項目に対する監視結果が含まれている。図2に戻る。生成部304は、第1処理部44、通信部48を介して、図示しないHLR16に情報信号を送信する。これは、移動体端末装置10の状況をHLR16に登録することに相当する。なお、当該登録は、位置登録と同様の手順によってなされればよいので、ここでは説明を省略する。
【0048】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0049】
図4は、関門交換局14の構成を示す。関門交換局14は、通信部70、交換部72、回線交換処理部74、パケット交換処理部76、制御部78を含む。通信部70は、一端に図示しない基地局装置12を接続し、基地局装置12との間で、ATM形式のデータを送受信する。このようなデータには、通話機能のためのデータとデータ通信機能のためのデータとが含まれている。また、通信部70は、他端に交換部72を接続することによって、交換部72と図示しない基地局装置12との間でのデータを中継する。
【0050】
回線交換処理部74は、一端に交換部72を接続し、他端に図示しない固定電話網を接続する。交換部72は、交換部72から入力したデータを固定電話網へ出力し、固定電話網から入力したデータを交換部72へ出力する。ここで、交換部72にて処理されるデータは、ATM形式に対応し、固定電話網にて処理されるデータは、STM(Synchronous Transfer Mode)形式に対応する。そのため、回線交換処理部74は、ATM形式とSTM形式との間でデータ形式を変換する。
【0051】
パケット交換処理部76は、一端に交換部72を接続し、他端に図示しないゲートウエイサーバ20を接続する。パケット交換処理部76は、交換部72から入力したデータをゲートウエイサーバ20へ出力し、ゲートウエイサーバ20から入力したデータを交換部72へ出力する。また、パケット交換処理部76は、GTPと呼ばれるトンネリングプロトコルを実行する。
【0052】
交換部72は、図示しない移動体端末装置10に対する回線を設定する。また、交換部72は、回線交換処理部74やパケット交換処理部76から入力したデータを通信部70へ出力し、通信部70から入力したデータを回線交換処理部74やパケット交換処理部76へ出力する。さらに、交換部72は、回線交換処理部74やパケット交換処理部76から着信通知を入力した場合、HLR16に記憶されたページングエリアに関する情報を参照することによって、当該着信通知の宛先に対応したページングエリアを特定する。また、交換部72は、ページングエリアに含まれた基地局装置12へ着信通知を出力する。
【0053】
交換部72は、パケット交換処理部76からデータ送信要求を入力した場合、HLR16に記憶されたページングエリアに関する情報を参照することによって、当該データ送信要求の宛先に対応したページングエリアを特定する。また、交換部72は、ページングエリアに含まれた基地局装置12へデータ送信要求を出力する。ここで、パケット交換処理部76からの着信通知やデータ送信要求には、それらの宛先がIPアドレスとして示されている。交換部72は、IPアドレスと移動体端末装置番号との対応を記憶しており、IPアドレスに対応した移動体端末装置番号を特定する。また、交換部72は、移動体端末装置番号をもとに、HLR16を参照する。
【0054】
以上の処理の前提として、交換部72は、通信部70を介して図示しない移動体端末装置10から、位置登録の要求や情報信号を受けつける。また、交換部72は、位置登録の要求をもとに、移動体端末装置10に対するページングエリアをHLR16へ登録する。また、交換部72は、情報信号をもとに、移動体端末装置10の動作状況をHLR16へ登録する。HLR16に登録したこれらの情報は、「端末情報」と総称される。また、交換部72は、パケット交換処理部76を介して、図示しないゲートウエイサーバ20から端末情報の問合せを受けつける。交換部72は、問合せに応じてHLR16を参照し、パケット交換処理部76を介して図示しないゲートウエイサーバ20へ、該当する端末情報を送信する。
【0055】
図5は、HLR16に記憶したテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、移動体端末装置番号欄260、ページングエリア番号欄262、サーバON/OFF欄264、サーバ処理量欄266、サーバ更新中欄268、メール中欄270、WWWアクセス欄272、通話中欄274、撮像部動作中欄276、受像部動作中欄278、音楽再生中欄280、バッテリ残量欄282、外部接続中欄284が含まれる。移動体端末装置番号欄260、ページングエリア番号欄262には、各移動体端末装置10に対応したページングエリア番号が記憶されており、位置登録によって記録される。一方、サーバON/OFF欄264から外部接続中欄284には、各移動体端末装置10に対応した状況が記憶されており、情報信号によって記憶される。図4に戻る。制御部78は、関門交換局14の動作を制御する。
【0056】
図6は、ゲートウエイサーバ20の構成を示す。ゲートウエイサーバ20は、プロトコル変換部140、移動体端末装置管理部142、記憶部144、制御部146を含む。移動体端末装置管理部142は、入力部148、取得部150、決定部320、出力部154を含む。
【0057】
プロトコル変換部140は、一端をゲートウエイサーバ20側(以下、「コアネットワーク側」という)に接続し、他端を課金管理サーバ22側(以下、「インターネット側」という)に接続する。前述のごとく、コアネットワーク側はW−TCPに対応し、インターネット側はTCPに対応するので、プロトコル変換部140は、両者を変換する。例えば、プロトコル変換部140は、インターネット側からのデータを受信し、TCPからW−TCPへデータを変換した後、データをコアネットワーク側へ送信する。また、逆の処理も実行される。移動体端末装置管理部142は、プロトコル変換部140に接続され、移動体端末装置10の第2処理部46に対するデータ送信要求を当該移動体端末装置10へ転送するか否かを決定する。つまり、移動体端末装置管理部142は、移動体端末装置10へのデータ送信要求の転送を制御する。
【0058】
入力部148は、プロトコル変換部140を介して、図示しないPC26からのデータ送信要求を受信する。このようなデータ送信要求には、移動体端末装置10の第2処理部46に対するデータ送信要求と、第1処理部44に対するデータ送信要求が含まれる。入力部148は、データ送信要求を決定部320へ出力する。決定部320は、入力部148から入力したデータ送信要求が、移動体端末装置10における第1処理部44へのデータ送信要求である場合に、出力部154に対して、移動体端末装置10へデータ送信要求を転送させる。つまり、決定部320は、第1処理部44へのデータ送信要求をそのまま転送するので、当該データ送信要求の転送を制御しない。一方、決定部320は、入力部148から入力したデータ送信要求が、移動体端末装置10における第2処理部46へのデータ送信要求である場合に、データ送信要求の宛先である移動体端末装置10のIPアドレスを特定する。
【0059】
取得部150は、プロトコル変換部140を介して関門交換局14へ、IPアドレスに対応した移動体端末装置10の端末情報を問い合わせる。関門交換局14は、問い合わせを受信すると、IPアドレスを移動体端末装置番号に変換した後、移動体端末装置番号をもとにHLR16を参照することによって、端末情報を特定する。取得部150は、プロトコル変換部140を介して、関門交換局14から端末情報を受信する。つまり、取得部150は、コアネットワーク上のHLR16に配置されたテーブルであって、かつ各移動体端末装置10の動作状況が示されたテーブルから、移動体端末装置10の動作状況を取得する。
【0060】
前述のごとく、取得部150において参照されるテーブルには、移動体端末装置10の動作状況として、第1処理部44の動作状況、第2処理部46の動作状況、移動体端末装置10のページングエリアが示されている。また、取得部150において参照されるテーブル、つまりHLR16に記憶されたテーブルは、移動体端末装置10によって適宜更新されている。取得部150は、取得した端末情報を決定部320へ出力する。
【0061】
記憶部144は、移動体端末装置10へデータ送信要求を転送するための条件を予め記憶する。条件の一例は、移動体端末装置10での通話処理部52において通話がなされていないことである。図7は、記憶部144に記憶した条件のデータ構造を示す。図示のごとく、移動体端末装置番号欄400、ページングエリア番号欄402、サーバON/OFF欄404、サーバ処理量欄406、サーバ更新中欄408、メール中欄410、WWWアクセス欄412、通話中欄414、撮像部動作中欄416、受像部動作中欄418、音楽再生中欄420、バッテリ残量欄422、外部接続中欄424が含まれる。
【0062】
例えば、サーバON/OFF欄404には、図5のサーバON/OFF欄264に対する条件が、各移動体端末装置10に対して「A1’」、「A2’」のごとく含まれる。ここで、移動体端末装置番号「C1」の移動体端末装置10に対する条件は、ページングエリア番号欄402から外部接続中欄424のすべてについて、「A1’」、「B1’」のように含まれているが、ページングエリア番号欄402から外部接続中欄424の一部にのみ条件が設定されていてもよい。ページングエリア番号欄402に含まれた条件は、存在位置に対する条件に相当する。
【0063】
サーバON/OFF欄404からサーバ更新中欄408に含まれた条件は、第2処理部46に対する条件に相当する。メール中欄410およびWWWアクセス欄412は、クライアント処理部54に対する条件に相当する。通話中欄414は、通話処理部52に対する条件に相当する。撮像部動作中欄416からバッテリ残量欄422は、内部処理部308に対する条件に相当する。外部接続中欄424は、外部接続部306に対する条件に相当する。さらに、条件は、移動体端末装置10ごとに規定されている。なお、このような条件は、ユーザによって移動体端末装置10を介して設定されてもよいし、通信事業者によって図示しない通信装置を介して設定されてもよい。図6へ戻る。
【0064】
決定部320は、取得部150から、転送の宛先となりうる移動体端末装置10に対する端末情報を受けつける。これは、当該移動体端末装置10の動作状況を受けつけることに相当する。また、決定部320は、記憶部144を参照することによって、当該移動体端末装置10に対する条件を取得する。決定部320は、動作状況と条件とをもとに、転送を決定する。具体的に説明すると、決定部320は、動作状況が条件を満たしていれば、転送を決定する。前述のごとく、動作状況および条件は、複数の項目によって構成されているので、決定部320は、すべての動作状況が条件を満たした場合に、転送を決定する。なお、条件を満たした動作状況の数が、予め定めた数よりも多くなった場合に、決定部320は、転送を決定してもよい。このような処理の結果、例えば、決定部320は、第1処理部44の動作状況と、第1処理部44に対する条件とをもとに、第2処理部46へのデータ送信要求の転送を決定する。また、決定部320は、移動体端末装置10の存在位置と、移動体端末装置10の存在位置に対する条件とをもとに、第2処理部46へのデータ送信要求の転送を決定する。
【0065】
出力部154は、決定部320において転送を決定した場合に、プロトコル変換部140を介して、関門交換局14、基地局装置12を経由して移動体端末装置10へデータ送信要求を送信する。特に、出力部154は、移動体端末装置10における第2処理部46へデータ送信要求を転送する。一方、出力部154は、決定部320において転送を決定しなかった場合に、プロトコル変換部140を介して、データ送信要求の送信元になるPC26へメッセージを送信する。当該メッセージは、転送を決定しない場合のメッセージである。図8(a)−(b)は、決定部320において転送を決定しない場合のメッセージを示す。メッセージは、図8(a)のごとく、「現在応答できません」と示される。また、メッセージは、図8(b)のごとく、「現在通話中のため応答できません」と示されてもよい。つまり、決定部320において条件を満たさなかった項目を明示することによって、応答できない理由がユーザへ通知される。
【0066】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図9は、通信システム100における移動体端末装置10の状況の登録手順を示すシーケンス図である。移動体端末装置10は、動作状況の遷移を検出する(S10)と、情報信号を生成する(S12)。移動体端末装置10と関門交換局14との間の回線が設定される(S14)。移動体端末装置10は、情報信号を関門交換局14へ送信する(S16)。関門交換局14は、移動体端末装置10の動作状況をHLR16へ登録する(S18)。関門交換局14は、登録を移動体端末装置10へ通知する(S20)。
【0067】
図10は、通信システム100におけるデータの送信手順を示すシーケンス図である。PC26は、ゲートウエイサーバ20へデータ送信要求を送信する(S40)。ゲートウエイサーバ20は、端末情報の問合せを関門交換局14へ送信し(S42)、関門交換局14は、端末情報の応答をゲートウエイサーバ20へ送信する(S44)。ゲートウエイサーバ20は、データ送信要求の転送を決定する(S46)。ゲートウエイサーバ20は、関門交換局14へデータ送信要求を送信し(S48)、関門交換局14は、移動体端末装置10へデータ送信要求を送信する(S50)。移動体端末装置10は、関門交換局14へデータを送信し(S52)、関門交換局14は、ゲートウエイサーバ20へデータを送信し(S54)、ゲートウエイサーバ20は、PC26へデータを送信する(S56)。
【0068】
図11は、移動体端末装置10における移動体端末装置10の状況の登録手順を示すフローチャートである。監視部302は、動作状況の遷移を検出しなければ(S70のN)、待機する。一方、監視部302が、動作状況の遷移を検出すれば(S70のY)、生成部304は、情報信号を生成する(S72)。第1処理部44、通信部48は、基地局装置12との間で回線を設定し(S74)、関門交換局14へ情報信号を送信する(S76)。また、制御部300は、通信部48、第1処理部44を介して、関門交換局14からの登録通知を受信する(S78)。
【0069】
図12は、関門交換局14における移動体端末装置の状況の登録手順を示すフローチャートである。交換部72は、通信部70を介して、移動体端末装置10からの情報信号を受信しなければ(S90のN)、待機する。一方、交換部72は、通信部70を介して、移動体端末装置10からの情報信号を受信すれば(S90のY)、情報信号に含まれた移動体端末装置番号をもとに、HLR16の端末情報を更新する(S92)。交換部72は、通信部70を介して、登録通知を移動体端末装置10へ送信する(S94)。
【0070】
図13は、ゲートウエイサーバ20におけるデータ送信要求の転送手順を示すフローチャートである。入力部148は、プロトコル変換部140を介して、移動体端末装置10宛のデータ送信要求を受けつける(S110)。取得部150は、プロトコル変換部140を介して関門交換局14へ端末情報を問い合わせ(S112)、端末情報応答を受けつける(S114)。端末情報に含まれた動作状況が条件を満足していれば(S116のY)、決定部320は、移動体端末装置10へのデータ送信要求の転送を決定する(S118)。出力部154は、プロトコル変換部140を介してデータ送信要求を転送する(S120)。プロトコル変換部140は、データを受信し(S122)、データをPC26へ送信する(S124)。一方、端末情報に含まれた動作状況が条件を満足していなければ(S116のN)、出力部154は、プロトコル変換部140を介して、応答できない旨をPC26へ通知する(S126)。
【0071】
本発明の実施例によれば、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動端末装置における動作状況と条件とをもとに、当該データ送信要求を転送するかを決定するので、移動体端末装置の動作状況を考慮しながら、アクセスを制御できる。また、移動体端末装置の動作状況を考慮しながら、アクセスを制御するので、移動体端末装置にサーバ機能を搭載する場合であっても、移動体端末装置の利便性の低下を抑制できる。また、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、第1処理部の動作状況をもとに転送を決定するので、移動体端末装置における第1処理部の動作に与える影響を低減できる。
【0072】
また、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動体端末装置の存在位置をもとに転送を決定するので、存在位置に応じてトラヒックを制御できる。また、HLRに記憶された端末情報は移動体端末装置によって更新されるので、新たな状況を反映できる。また、新たな状況が反映されるので、アクセス制御を適切に実行できる。また、端末情報はHLRに予め登録されるので、データ送信要求を受信したときに処理を直ちに実行できる。また、アクセス制御をコアネットワーク内において実行するので、ユーザだけではなく通信事業者によっても容易に条件を設定できる。また、第2処理部へのデータ送信要求に対してアクセス制御を実行するが、第1処理部への信号に対してアクセス制御を実行しないので、第1処理部の動作に与える影響を低減できる。
【0073】
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1と同様に、サーバ機能を有した移動体端末装置が含まれた通信システムに関する。実施例1では、移動体端末装置のサーバ機能に対するアクセス制御をゲートウエイサーバにて実行している。つまり、ゲートウエイサーバが、移動体端末装置へサーバ機能へのデータ送信要求を転送するかを制御する。その際、移動体端末装置の動作状況と、動作状況に対する条件とをもとに、ゲートウエイサーバは転送するか否かを決定する。一方、実施例2では、移動体端末装置が、サーバ機能に対するアクセス制御を自ら実行する。つまり、移動体端末装置は、動作状況に対する条件を予め記憶し、動作状況を取得すると、動作状況と条件とをもとに、データ送信要求に応答するかを決定する。このような実施例1に係る通信システム100は、図1と同様のタイプであるが、ここでは、差異を中心に説明する。
【0074】
図14は、本発明の実施例2に係る移動体端末装置10の構成を示す。図14に示された移動体端末装置10では、図2に示された移動体端末装置10と比較して、制御部300の構成が異なる。制御部300は、状況把握部330、条件設定部332、受付部334を含む。受付部334は、通信部48、サーバ処理部56またはクライアント処理部54を介して、図示しないPC26からのデータ送信要求を受けつける。受付部334は、受けつけたデータ送信要求が、第2処理部46へのデータ送信要求である場合、データ送信要求を決定部336へ出力する。一方、受付部334は、受けつけたデータ送信要求が、第1処理部44へのデータ送信要求である場合、当該データ送信要求に対する応答を第1処理部44へ指示する。つまり、受付部334は、図6の入力部148と同様に、第1処理部44に対するデータ送信要求をそのまま処理するので、当該データ送信要求の応答を制御しない。
【0075】
状況把握部330は、図2の監視部302と同様に、第1処理部44、第2処理部46の動作状況を管理するとともに、移動体端末装置10の存在位置を管理する。以下では、これらを「移動体端末装置10の動作状況」という。移動体端末装置10の存在位置を管理することは、接続している基地局装置12を管理することであってもよい。また、第1処理部44、第2処理部46の動作状況は、例えば、前述の(A)から(K)の組合せ、あるいはそれらのうちの少なくともひとつであればよい。また、別の項目が含まれていてもよい。状況把握部330は、移動体端末装置10の動作状況を決定部336へ出力する。
【0076】
条件設定部332は、第2処理部46に対してデータ送信要求へ応答させるための条件を予め記憶する。第2処理部46に対してデータ送信要求へ応答させるための条件は、図6の記憶部144と同様に、第1処理部44の動作状況に対する条件、第2処理部46の動作状況に対する条件、移動体端末装置10の存在位置に対する条件として規定される。つまり、第2処理部46に対してデータ送信要求へ応答させるための条件は、移動体端末装置10の動作状況に対する条件として規定される。なお、このような条件は、ユーザによって操作部38を介して設定される。条件設定部332は、条件を決定部336へ出力する。
【0077】
決定部336は、受付部334から、データ送信要求を受けつけた場合に、状況把握部330から動作状況を受けつけるとともに、条件設定部332から条件を受けつける。決定部336は、動作状況と条件とをもとに、第2処理部46へデータ送信要求を出力するかを決定する。具体的に説明すると、決定部336は、動作状況が条件を満たしていれば、出力を決定する。前述のごとく、動作状況および条件は、複数の項目によって構成されているので、決定部336は、すべての動作状況が条件を満たした場合に、出力を決定する。なお、条件を満たした動作状況の数が、予め定めた数よりも多くなった場合に、決定部336は、出力を決定してもよい。
【0078】
このような処理の結果、例えば、決定部336は、第1処理部44の動作状況と、第1処理部44に対する条件とをもとに、第2処理部46へのデータ送信要求の出力を決定する。また、決定部320は、移動体端末装置10の存在位置と、移動体端末装置10の存在位置に対する条件とをもとに、第2処理部46へのデータ送信要求の出力を決定する。サーバ処理部56は、データ送信要求に応じて、記憶部58に記憶されたデータを通信部48から送信する。一方、決定部320において、第2処理部46へのデータ送信要求の出力が決定されなかった場合、決定部336は、第2処理部46、通信部48を介して、図8(a)−(b)のような応答を実行しない旨のメッセージをPC26へ出力する。
【0079】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図15は、移動体端末装置10における受信信号に対する応答手順を示すフローチャートである。受付部334は、第1処理部44あるいは通信部48を介して、信号を受信する(S140)。受信した信号が、第2処理部46へのデータ送信要求であれば(S142のY)、状況把握部330、条件設定部332、決定部336は、応答判定処理を実行する(S144)。一方、受信した信号が、第2処理部46へのデータ送信要求でなければ(S142のN)、第1処理部44は、着信や着呼に対する処理を実行する(S146)。
【0080】
図16は、移動体端末装置10における応答判定処理の手順を示すフローチャートである。受付部334は、データ送信要求を受けつける(S160)と、決定部336は、状況把握部330から、移動体端末装置10の動作状況を受けつけるとともに、条件設定部332から条件を受けつける。動作状況が条件を満足していれば(S162のY)、決定部336は、第2処理部46へデータ送信要求を出力する(S164)。また、第2処理部46は、通信部48を介して、データを送信する(S166)。一方、動作状況が条件を満足していなければ(S162のN)、決定部336は、通信部48を介して、応答できない旨を送信する(S168)。
【0081】
本発明の実施例によれば、第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動端末装置における動作状況と条件とをもとに、当該データ送信要求に応答するかを決定するので、移動体端末装置において自らに対するアクセスを制御できる。また、移動端末装置における動作状況をもとに、当該データ送信要求に応答するかを決定するので、移動体端末装置にサーバ機能を搭載する場合であっても、他の処理に対する影響を低減できる。また、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、第1処理部の動作状況をもとに応答するかを決定するので、第1処理部の動作に与える影響を低減できる。
【0082】
また、移動体端末装置における第2処理部へのデータ送信要求を受信した場合に、移動体端末装置の存在位置をもとに応答するかを決定するので、サーバ機能を実行させたい場所や実行させたくない場所を容易に設定できる。また、移動体端末装置においてアクセスを制御するので、コアネットワークでの処理を低減できる。また、第2処理部へのデータ送信要求に対してアクセス制御を実行するが、第1処理部への信号に対してアクセス制御を実行しないので、第1処理部の動作に与える影響を低減できる。
【0083】
(実施例3)
本発明の実施例3も、実施例1と同様に、サーバ機能を有した移動体端末装置が含まれた通信システムに関する。実施例1において、ゲートウエイサーバは、転送しないことを決定した場合にその旨を通知する。一方、実施例3では、コアネットワーク内にクローンサーバを設置する。クローンサーバには、移動体端末装置に記憶されたデータが複製されている。ゲートウエイサーバは、移動体端末装置へデータ送信要求を転送せずに、クローンサーバへデータ送信要求を転送する。
【0084】
図17は、本発明の実施例3に係る通信システム100の構成を示す。図17に示された通信システム100は、図1に示した通信システム100にクローンサーバ18を追加する。ゲートウエイサーバ20は、移動体端末装置10へデータ通信要求を転送しないことを決定した場合、クローンサーバ18へデータ通信要求を転送する。クローンサーバ18は、コアネットワーク、例えば、通信事業者が設備するパケット通信ネットワークに接続される。クローンサーバ18としてひとつだけ配置されてもよいし、複数に分散されて配置されてもよい。
【0085】
ここで、複数に分散されている場合、データは、複数のクローンサーバ18にそのまま複製されていてもよいし、複数のクローンサーバ18に断片化されて複製されていてもよい。断片化されている場合、データの断片化および断片化されたデータの利用には、例えば、P2P(Peer to Peer)技術が使用される。クローンサーバ18は、移動体端末装置10に記憶されたデータの少なくとも一部を所定のタイミングにおいて複製することによって、移動体端末装置10におけるサーバ機能を代行する。ここで、クローンサーバ18に記憶されたデータの内容は、移動体端末装置10に記憶したデータの内容に完全に一致しなくてもよい。そのため、クローンサーバ18に記憶したデータは、移動体端末装置10に記憶したデータの一部であったり、移動体端末装置10に過去に記憶されていたデータであったりしてもよい。
【0086】
以上の処理を具体的に説明すると、クローンサーバ18は、ゲートウエイサーバ20からのデータ送信要求を受信することによって、移動体端末装置10のサーバ機能を代行し、データをPC26へ送信する。例えば、クローンサーバ18は、ゲートウエイサーバ20が移動体端末装置10へデータ通信要求を転送しない場合に、サーバ機能を代行する。なお、クローンサーバ18は、移動体端末装置10内のコンテンツデータだけではなく、図8(a)−(b)に示したようなメッセージも保持し、データの代わりにPC26へ送信してもよい。
【0087】
図18は、クローンサーバ18の構成を示す。クローンサーバ18は、通信部110、クローン処理部112、制御部122を含む。また、クローン処理部112は、データ受付部114、サーバ処理部116、管理部118、記憶部120を含む。
【0088】
通信部110は、コアネットワーク内に配置され、一端に図示しない関門交換局14を接続し、他端に図示しないゲートウエイサーバ20を接続する。通信部110は、受信したデータの宛先がクローンサーバ18でない場合、データをそのまま送信する。つまり、通信部110は、関門交換局14からのデータをそのままゲートウエイサーバ20へ出力し、ゲートウエイサーバ20からのデータをそのまま関門交換局14へ出力する。データ受付部114は、通信部110を介して、関門交換局14、基地局装置12を経由して移動体端末装置10との通信を実行する。データ受付部114は、移動体端末装置10に記憶されたデータの少なくとも一部を移動体端末装置10から受信する。その際、移動体端末装置10に対応した移動体端末装置番号あるいはIPアドレスも受信する。なお、移動端末装置番号とIPアドレスとの組合せが受信されてもよい。また、IPアドレスの代わりに、文字列からなるURL(Uniform Resource Locator)でもよいが、以下では、これらを区別せずに使用する。
【0089】
データ受付部114は、受信したデータやIPアドレス等を管理部118へ出力し、管理部118は、データとIPアドレス等とを対応づけながら、記憶部120に記憶する。その結果、記憶部120は、移動体端末装置10に対応づけながらデータを記憶する。これは、移動体端末装置10に記憶されたデータを複製することに相当する。また、記憶部120は、図8(a)−(b)に示したようなメッセージも記憶する。サーバ処理部116は、図示しない移動体端末装置10におけるサーバ処理部56と同様の処理を実行する。サーバ処理部116は、通信部110を介して、図示しないゲートウエイサーバ20からデータ送信要求を受信する。
【0090】
このデータ送信要求は、本来、図示しないPC26から移動体端末装置10へ送信されており、ゲートウエイサーバ20が、宛先を移動体端末装置10からクローンサーバ18へ変更したものである。そのため、データ送信要求の中には、本来の宛先である移動体端末装置10に関する情報が含まれている。移動体端末装置10に関する情報は、前述の移動体端末装置番号あるいはIPアドレス、またはそれらの組合せに相当する。サーバ処理部116は、データ送信要求に対応したデータの抽出を管理部118へ要求する。管理部118は、データ送信要求に対応した移動体端末装置10のデータを記憶部120から抽出し、抽出したデータをサーバ処理部116へ出力する。サーバ処理部116は、通信部110を介して、データをゲートウエイサーバ20、PC26へ送信する。このように、サーバ処理部116は、データ送信要求に応じたデータを送信するので、移動体端末装置10におけるサーバ機能を代行するといえる。なお、管理部118は、記憶部120に記憶したメッセージを抽出し、サーバ処理部116は、通信部110を介して、メッセージをゲートウエイサーバ20、PC26へ送信してもよい。制御部122は、クローンサーバ18の動作を制御する。
【0091】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図19は、通信システム100におけるコンテンツデータの複製手順を示すシーケンス図である。移動体端末装置10においてコンテンツデータが作成される(S210)。移動体端末装置10は、コンテンツデータを提供する(S212)。これは、コンテンツデータを再生対象に設定することに相当する。移動体端末装置10は、基地局装置12を介してクローンサーバ18の通信状態を確認する(S214)。クローンサーバ18におけるトラヒック量がしきい値よりも小さければ、移動体端末装置10は、クローンサーバ18へコンテンツデータを送信する(S216)。クローンサーバ18は、移動体端末装置10と対応づけながらコンテンツデータを記憶する(S218)。
【0092】
図20は、通信システム100におけるデータの送信手順を示すシーケンス図である。PC26は、ゲートウエイサーバ20へデータ送信要求を送信する(S290)。ゲートウエイサーバ20は、端末情報の問合せを関門交換局14へ送信し(S292)、関門交換局14は、端末情報の応答をゲートウエイサーバ20へ送信する(S294)。ゲートウエイサーバ20は、移動体端末装置10へデータ送信要求を転送しないことを決定する(S296)。ゲートウエイサーバ20は、クローンサーバ18へデータ送信要求を送信し(S298)、クローンサーバ18は、ゲートウエイサーバ20へデータを送信する(S300)。ゲートウエイサーバ20は、PC26へデータを送信する(S302)。PC26は、データを受信する(S304)。ここで、ステップ300からステップ304におけるデータがメッセージであってもよい。
【0093】
図21は、ゲートウエイサーバ20におけるデータ送信要求の転送手順を示すフローチャートである。図21のステップ310から324は、図13のステップ110から124と同様であるので、ここでは、説明を省略する。端末情報に含まれた動作状況が条件を満足していなければ(S316のN)、出力部154は、プロトコル変換部140を介して、データ送信要求をクローンサーバ18へ出力する(S326)。なお、実施例3は、実施例2に適用されてもよい。実施例3では、ゲートウエイサーバ20が、移動体端末装置10へデータ送信要求を転送するかを決定していたが、移動体端末装置10が、データ送信要求に応答するかを決定する。また、応答しないことを決定した場合に、移動体端末装置10は、クローンサーバ18へデータ送信要求を転送する。
【0094】
本発明の実施例によれば、移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件を満たさない場合に、当該データ送信要求への応答をクローンサーバにさせるので、ユーザの利便性を向上できる。また、データ送信要求への応答をクローンサーバにさせるので、ゲートウエイサーバの処理量を低減できる。また、クローンサーバが移動体端末装置に変わってデータを送信するので、システムの信頼性を向上できる。
【0095】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0096】
本発明の実施例1において、端末情報は、HLR16に記憶されている。しかしながらこれに限らず例えば、端末情報は、HLR16ではなく、コアネットワークに配置された別の装置に記憶されてもよい。そのため、端末情報は、ゲートウエイサーバ20の記憶部144に記憶されていてもよい。その場合、取得部150は、記憶部144から端末情報を取得する。本変形例によれば、通信システム100の構成の自由度を向上できる。
【0097】
本発明の実施例1から3において、決定部320や決定部336は、動作状況が条件を満たしている場合に、転送や応答を決定する。しかしながらこれに限らず例えば、決定部320や決定部336は、動作状況が条件を満たしていない場合に、転送しないことや応答しないことを決定してもよい。本変形例によれば、条件の設定の自由度を向上できる。
【0098】
本発明の実施例1から3を任意に組み合わせてもよい。例えば、ゲートウエイサーバ20および移動体端末装置10が、第2処理部に対するアクセス制御を実行してもよい。本変形例によれば、本発明の実施例1から3の任意の組合せによる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の移動体端末装置の構成を示す図である。
【図3】図1の生成部において生成される情報信号のデータ構造を示す図である。
【図4】図1の関門交換局の構成を示す図である。
【図5】図4のHLRに記憶したテーブルのデータ構造を示す図である。
【図6】図1のゲートウエイサーバの構成を示す図である。
【図7】図6の記憶部に記憶した条件のデータ構造を示す図である。
【図8】図8(a)−(b)は、図6の決定部において転送を決定しない場合のメッセージを示す図である。
【図9】図1の通信システムにおける移動体端末装置の状況の登録手順を示すシーケンス図である。
【図10】図1の通信システムにおけるデータの送信手順を示すシーケンス図である。
【図11】図2の移動体端末装置における移動体端末装置の状況の登録手順を示すフローチャートである。
【図12】図4の関門交換局における移動体端末装置の状況の登録手順を示すフローチャートである。
【図13】図6のゲートウエイサーバにおけるデータ送信要求の転送手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例2に係る移動体端末装置の構成を示す図である。
【図15】図14の移動体端末装置における受信信号に対する応答手順を示すフローチャートである。
【図16】図14の移動体端末装置における応答判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例3に係る通信システムの構成を示す図である。
【図18】図17のクローンサーバの構成を示す図である。
【図19】図17の通信システムにおけるコンテンツデータの複製手順を示すシーケンス図である。
【図20】図17の通信システムにおけるデータの送信手順を示すシーケンス図である。
【図21】図17のゲートウエイサーバにおけるデータ送信要求の転送手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
10 移動体端末装置、 12 基地局装置、 14 関門交換局、 16 HLR、 20 ゲートウエイサーバ、 22 課金管理サーバ、 24 インターネット、 26 PC、 28 基地局用アンテナ、 30 端末用アンテナ、 100 通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体ネットワークに接続される移動体端末装置へのデータ送信要求の転送を制御する制御装置であって、
クライアントとしての処理、通話のための処理、前記移動体端末装置単独でなされる処理、前記移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含む前記移動体端末装置へのデータ送信要求を受信する第1通信部と、
前記第1通信部において受信したデータ送信要求が、前記移動体端末装置における前記第2処理部へのデータ送信要求である場合に、所定の位置に配置されたテーブルであって、かつ前記移動体端末装置の動作状況が示されたテーブルから、動作状況を取得する取得部と、
前記取得部において取得した動作状況と、前記移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、転送を決定する制御部と、
前記制御部において転送を決定した場合に、前記移動体端末装置における前記第2処理部へデータ送信要求を転送する第2通信部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記取得部において参照されるテーブルには、前記移動体端末装置の動作状況として、前記第1処理部の動作状況が示されており、
前記制御部は、前記移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件として、前記第1処理部の動作状況に対する条件を規定しており、前記取得部において取得した前記第1処理部の動作状況と当該条件とをもとに、前記第2処理部へのデータ送信要求の転送を決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記取得部において参照されるテーブルには、前記移動体端末装置の動作状況として、前記移動体端末装置の存在位置が示されており、
前記制御部は、前記移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件として、前記移動体端末装置の存在位置に対する条件を規定しており、前記取得部において取得した前記移動体端末装置の存在位置と当該条件とをもとに、前記第2処理部へのデータ送信要求の転送を決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記取得部において参照されるテーブルは、前記移動体端末装置によって更新されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
移動体ネットワークでの通信を実行する移動体端末装置であって、
クライアントとしての処理、通話のための処理、本移動体端末装置単独でなされる処理、前記移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、
サーバとしての処理を実行する第2処理部と、
前記第1処理部および前記第2処理部での処理を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記移動体ネットワークから受信したデータ送信要求が、前記第2処理部へのデータ送信要求である場合、前記移動体端末装置の動作状況と、前記第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件とをもとに、前記第2処理部へデータ送信要求を出力するかを決定することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記移動体端末装置の動作状況として、前記第1処理部の動作状況を管理する管理部と、
前記第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件として、前記第1処理部の動作状況に対する条件を記憶する記憶部と、
前記管理部において管理している動作状況と、前記記憶部に記憶した条件とをもとに、前記第2処理部へのデータ送信要求の出力を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の移動体端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記移動体端末装置の動作状況として、前記移動体端末装置の存在位置を管理する管理部と、
前記第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件として、前記移動体端末装置の存在位置に対する条件を記憶する記憶部と、
前記管理部において管理している動作状況と、前記記憶部に記憶した条件とをもとに、前記第2処理部へのデータ送信要求の出力を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の移動体端末装置。
【請求項8】
クライアントとしての処理、通話のための処理、本移動体端末装置単独でなされる処理、移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含み、かつ移動体ネットワークに接続される移動体端末装置と、
移動体ネットワークを介して前記移動体端末装置と接続する制御装置とを備え、
前記制御装置は、受信した前記移動体端末装置へのデータ送信要求が、前記移動体端末装置における前記第2処理部へのデータ送信要求である場合に、前記移動体端末装置の動作状況と、前記移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、前記移動体端末装置における前記第2処理部へデータ送信要求を転送するかを決定することを特徴とする通信システム。
【請求項9】
移動体ネットワークに接続される移動体端末装置へのデータ送信要求の転送を制御する制御方法であって、
クライアントとしての処理、通話のための処理、前記移動体端末装置単独でなされる処理、前記移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とを含む前記移動体端末装置へのデータ送信要求を受信するステップと、
受信したデータ送信要求が、前記移動体端末装置における前記第2処理部へのデータ送信要求である場合に、前記移動体端末装置の動作状況と、前記移動体端末装置へデータ送信要求を転送するための条件とをもとに、前記移動体端末装置における前記第2処理部へデータ送信要求を転送するかを決定するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
移動体ネットワークに接続される移動体端末装置におけるクライアントとしての処理、前記移動体端末装置における通話のための処理、前記移動体端末装置単独でなされる処理、前記移動体ネットワークとは別のネットワークにて通信するための処理のうちの少なくともひとつを実行する第1処理部と、サーバとしての処理を実行する第2処理部とに対する処理を制御する制御方法であって、
前記移動体ネットワークから受信したデータ送信要求が、前記第2処理部へのデータ送信要求である場合、前記移動体端末装置の動作状況と、前記第2処理部に対してデータ送信要求へ応答させるための条件とをもとに、前記第2処理部へデータ送信要求を出力するかを決定することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−28466(P2010−28466A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187639(P2008−187639)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(591112522)株式会社ACCESS (91)
【Fターム(参考)】