説明

制御方法および制御装置

【課題】過渡状態における相対量の制御性と整定状態における制御の安定性とを両立させる。
【解決手段】特定の状態量を基準状態量とし、基準状態量との相対量が規定値を維持するよう制御される状態量を追従状態量とする。算出部6−1〜6−3は、内部入力値を基準状態量に対する第1の要素と相対量に対する第2の要素との和とし、基準状態量に対する制御演算用入力値の要素を第1の要素とし、相対量に対する制御演算用入力値の要素に係数Biを掛けた値を第2の要素として、追従状態量設定値を内部入力値に変換する。係数Bi切換判断部10は、追従状態量計測値PViが追従状態量設定値SPiから遠いときは係数Biとして第1の値を選択し、設定値SPiから近いときは、計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合が第1の値よりも弱い第2の値を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス制御技術に関するものであり、特に少なくとも2個の制御ループを有する制御系において計測される状態量差などの相対量を制御対象とする制御方法および制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5(a)に、従来の制御装置である温度調節計の構成を示す(例えば特許文献1参照)。炉1001内には、熱処理ワーク1016が搬入され、またヒータ1011と、制御温度TC1を検出する検出手段1012と、ワーク1016の表面温度TC2を検出する検出手段1013と、ワーク1016の最深温度TC3を検出する検出手段1014とが配設されている。1002は電力調整器を示している。制御部1003は、制御温度TC1と実行プログラムパターン設定値1033とを比較する比較器1031と、比較器1031の出力により制御されるPID等の制御演算部1032と、ワーク1016の表面温度TC2と最深温度TC3との差を検出する温度差検出器1034と、予め定められた温度差を設定する温度差設定器1035と、温度差検出器1034の出力と温度差設定器1035の出力とを比較する比較器1036と、最深温度TC3の温度変化率を検出する変化率検出器1038と、変化率検出器1038の出力と予め定められた温度変化率を設定する変化率設定器1039の出力とを比較する比較器1040と、比較器1036の出力と比較器1040の出力に基づいて傾斜演算し実行プログラムパターン設定値1033を制御する傾斜演算器1037とを有している。
【0003】
温度差設定器1035には許容可能な最大の温度差が設定され、また変化率設定器1039には許容可能な最大の温度変化率が設定される。図5(a)の構成により、熱処理ワーク1016内の温度差、温度変化率の一方もしくは両方が指定された温度許容値以内に入るように、実行プログラムパターン設定値1033中の傾斜が常時修正される。
図5(a)中の破線で囲まれている部分に着目すると、計測された複数の温度TC1,TC2,TC3に基づき温度差(TC2−TC3)および温度変化率dTC3/dtを算出する状態量変換が行なわれていることが理解できる。すなわち、図5(a)の温度調節計は、温度差(TC2−TC3)および温度変化率dTC3/dtを算出する状態量変換部1041を備えていることになる(図5(b))。
【0004】
図6(a)に、従来の他の制御装置である温度調整装置の構成を示す(例えば特許文献2参照)。図中の2002は縦型熱処理装置2020の反応管であり、この反応管2002の内部には、ウエハボ−ト2021に搭載された半導体ウエハの近傍の温度を検出する温度センサAが設けられると共に、反応管2002の外面の温度を検出する温度センサBが設けられている。偏差回路部2031は、温度センサAの目標値から後述する補正値を引いた偏差、すなわち温度センサBの目標値を出力する。偏差回路部2032は、温度センサBの目標値から温度センサBの検出値を引いた偏差をPID調節部2004に出力する。PID調節部2004は、入力された偏差に基づいてPID演算を行い、その演算結果を電力制御部2005に出力し、電力制御部2005は、PID調節部2004の出力値に基づいて縦型熱処理装置2020の加熱源であるヒ−タ2006への電力供給量を制御する。一方、補正値出力部2007は、温度センサBの検出値が目標値に収束したとき、この収束した時点の温度センサAの検出値と温度センサBの検出値との差(A−B)を補正値とし、温度センサBの目標値を補正値分だけ修正する。図6(a)の構成により、温度センサAの検出値が目標値に収束する。
【0005】
図6(a)中の破線で囲まれている部分に着目すると、計測された複数の温度A,Bに基づき温度差(A−B)を算出する状態量変換が行なわれていることが理解できる。すなわち、図6(a)の温度調整装置は、温度差(A−B)を算出する状態量変換部2008を備えていることになる(図6(b))。
以上のように、実際の状態量そのものだけではなく、複数の状態量間の差を制御系に取り込む努力は従来から行なわれている。
【0006】
さらに、本発明の発明者は、コントローラの操作量と実際のアクチュエータの出力とが1対1に対応する形式で、状態量差のような相対的な状態量を優先的に制御しながら、状態量平均値のような基準となる絶対的な状態量も同時に制御できる制御方法を提案した(特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。この特許文献3、特許文献4、特許文献5に開示された制御方法(以下、先行出願の制御方法と呼ぶ)の原理を説明する。
【0007】
まず、先行出願と本発明では、状態量平均値のような基準となる絶対的な状態量を基準状態量、基準状態量との相対量(例えば状態量差)が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量と称する。また、基準状態量に対する設定値を基準状態量設定値、基準状態量の計測値を基準状態量計測値、追従状態量に対する設定値を追従状態量設定値、追従状態量の計測値を追従状態量計測値、基準状態量と追従状態量との相対量に対する設定値を追従状態量相対設定値、基準状態量と追従状態量との相対量の計測値を追従状態量相対計測値、基準状態量に対してコントローラの内部に設定される内部設定値を基準状態量内部設定値、追従状態量に対してコントローラの内部に設定される内部設定値を追従状態量内部設定値と称する。状態量としては、例えば温度、圧力、流量などがある。
【0008】
先行出願の制御方法では、外部から与えられる状態量設定値SPとは別に、コントローラの内部に設定される状態量内部設定値SP’を用いて、操作量MVを算出する。このとき、状態量内部設定値SP’は、基準状態量に対する要素SPmと、基準状態量と追従状態量との相対量に対する要素ΔSPとに分離しておく(SP’=SPm+ΔSP)。また、先行出願の制御方法では、状態量計測値との内挿外挿演算(SP’=ASP+(1−A)PV)により、実際に与えられている設定値SPmやΔSPをそのまま適用する場合よりも、実質的にコントローラの特性を低感度側にシフトさせたり、高感度側にシフトさせたりできることに着目し、基準状態量の感度と、基準状態量と追従状態量との相対量の感度とを、各々個別にシフトできる状態量内部設定値SP’に変換する。
【0009】
このように、先行出願の制御方法では、状態量内部設定値SP’を基準状態量に対する要素SPmと基準状態量と追従状態量との相対量に対する要素ΔSPとに分離し、この状態量内部設定値SP’を状態量設定値SPと状態量計測値PVとの内挿外挿演算により求めて操作量MVの算出に用いる構成とする。これにより、先行出願の制御方法では、状態量平均値のような基準状態量については応答特性を低感度側にシフトさせ、状態量差のような、基準状態量と追従状態量との相対量については応答特性を高感度側にシフトさせれば、基準状態量計測値PVmが基準状態量設定値SPmに追従するよりも前に、追従状態量相対計測値ΔPVが追従状態量相対設定値ΔSPに追従するようになるので、基準状態量と追従状態量との相対量を所望の値に維持しながら、基準状態量を所望の値に変更するような制御が可能になる。
【0010】
また、先行出願の制御方法の構成によれば、通常の制御系との相違点は、状態量設定値SPが状態量内部設定値SP’に変換されることだけになる。すなわち、コントローラの操作量と実際のアクチュエータの出力とが1対1に対応する形式で、基準状態量と追従状態量との相対量を優先的に制御しながら、基準状態量も同時に制御する制御方法を提供することができる。
【0011】
ここで、上記の2つの着眼点のうち、状態量設定値SPと状態量計測値PVとの内挿外挿演算による状態量内部設定値SP’の算出(以下、第1の着眼点と呼ぶ)について説明する。状態量設定値SPと状態量計測値PVとを参照し、特定の係数Aを用いて、以下の数式によりコントローラの内部に設定される状態量内部設定値SP’に変換することを考える。
SP’=ASP+(1−A)PV ・・・(1)
ただし、係数Aは0より大きい実数とする。このとき、A=1とすれば、SP’=SPとなり、状態量設定値SPは全く変換されないことを意味する。
【0012】
式(1)において係数Aの値を0<A<1とすれば、変換された状態量内部設定値SP’は、元の状態量設定値SPと状態量計測値PVとの間の数値(内挿関係)になる。したがって、例えばPIDコントローラなどで偏差を算出する場合、状態量設定値SPと状態量計測値PVとの偏差Er=SP−PVよりも、状態量内部設定値SP’と状態量計測値PVとの偏差Er’=SP’−PVの方が、絶対値が小さい値になる。その結果、コントローラが偏差Erに基づいて操作量MVを算出する場合よりも、偏差Er’に基づいて操作量MV’を算出する場合の方が、操作量の変化は緩くなる。すなわち、係数Aの値を0<A<1とすれば、コントローラの応答特性は安定性重視の方向(低感度)の特性にシフトする。
【0013】
一方、係数Aの値をA>1とすれば、変換された状態量内部設定値SP’は、元の状態量設定値SPよりも更に状態量計測値PVから離れた数値(外挿関係)になる。したがって、例えばPIDコントローラなどで偏差を算出する場合、状態量設定値SPと状態量計測値PVとの偏差Er=SP−PVよりも、状態量内部設定値SP’と状態量計測値PVとの偏差Er’=SP’−PVの方が、絶対値が大きい値になる。その結果、コントローラが偏差Erに基づいて操作量MVを算出する場合よりも、偏差Er’に基づいて操作量MV’を算出する場合の方が、操作量の変化は激しくなる。すなわち、係数Aの値をA>1とすれば、コントローラの応答特性は即応性重視の方向(高感度)の特性にシフトする。
【0014】
次に、上記の2つの着眼点のうち、状態量内部設定値SP’を基準状態量に対する要素と基準状態量と追従状態量との相対量に対する要素とに分離する点(以下、第2の着眼点と呼ぶ)について説明する。基準状態量と、基準状態量と追従状態量との相対量とを同時に制御する場合、状態量設定値SPは、次式のように、基準状態量に対する要素SPmと、基準状態量と追従状態量との相対量に対する要素ΔSPmとに分離できる。
SP=SPm+ΔSPm ・・・(2)
【0015】
また、状態量設定値SPに合わせて、状態量計測値PVについても、次式のように、基準状態量計測値PVmと、追従状態量相対計測値ΔPVmとに分離できる。
PV=PVm+ΔPVm ・・・(3)
【0016】
ここで、第1の着眼点と第2の着眼点とをまとめると、式(1)〜式(3)より以下のようになる。
SP’=A(SPm+ΔSPm)+(1−A)(PVm+ΔPVm)
=ASPm+(1−A)PVm+AΔSPm+(1−A)ΔPVm
・・・(4)
【0017】
このとき、式(4)中のASPm+(1−A)PVmは基準状態量に関する要素であり、AΔSPm+(1−A)ΔPVmは基準状態量と追従状態量との相対量に関する要素である。すなわち、両者は各々個別に内挿関係と外挿関係を与える線形結合式に分離されている形になるので、以下のように個別の係数A,Bにより、内挿関係と外挿関係を与えることが可能になる。
SP’=ASPm+(1−A)PVm+BΔSPm+(1−B)ΔPVm
・・・(5)
【0018】
式(5)において、Aは基準状態量に関する係数、Bは基準状態量と追従状態量との相対量に関する係数となる。複数の制御ループがある場合、基準状態量と追従状態量との相対量に関する係数Bは特に各制御ループ個別に与えられることが好ましく、その場合、複数の制御ループにおけるi(iは1,2,3・・・・)番目の追従状態量について、以下のような状態量設定値SPiの変換を実施すれば良い。
SPi’=AmSPm+(1−Am)PVm+BiΔSPim
+(1−Bi)ΔPVim ・・・(6)
【0019】
式(6)において、SPi’はi番目の追従状態量に対する内部設定値、ΔSPimは基準状態量とi番目の追従状態量との相対量の設定値である追従状態量相対設定値、ΔPVimは基準状態量とi番目の追従状態量との相対量の計測値である追従状態量相対計測値、Biは基準状態量とi番目の追従状態量との相対量に関する係数である。なお、基準状態量に関する係数Amは、各制御ループ共通に与えても各制御ループ個別に与えてもかまわない。
【0020】
また式(6)において、ΔSPim=SPi−SPm、ΔPVim=PVi−PVmであることは言うまでもなく、以下のような等価な置換は容易に可能である。
SPi’=AmSPm+(1−Am)PVm+BiΔSPim
+(1−Bi)(PVi−PVm) ・・・(7)
SPi’=AmSPm+(1−Am)PVm+Bi(SPi−SPm)
+(1−Bi)(PVi−PVm) ・・・(8)
【0021】
以上の原理により、基準状態量の感度と、基準状態量と追従状態量との相対量の感度とを、各々個別にシフトできる状態量内部設定値SP’が得られる。続いて、基準状態量と追従状態量との相対量を優先的に制御する原理について説明する。式(8)において、基準状態量に関する係数Amと基準状態量と追従状態量との相対量に関する係数Biとの関係をAm=Bi=1とすれば、SPi’=SPiになる。このときの状態量内部設定値SPi’は状態量設定値SPiから全く変化しておらず、感度についても通常の制御と全く変化はない。ここで、特に重要なのは基準状態量と追従状態量との相対量に関する係数Biであり、Bi>1とすることで基準状態量と追従状態量との相対量について特に感度が向上するので、相対量を優先的に制御するように制御装置を動作させることができる。
【0022】
【特許文献1】特開平8−095647号公報
【特許文献2】特開平9−199491号公報
【特許文献3】特開2005−309941号公報
【特許文献4】特開2005−309942号公報
【特許文献5】特開2005−309943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
先行出願の制御方法では、相対量に関する係数Biは予め設定された一定値として扱われている。制御の過渡状態において状態量差を所望の範囲に制御し、かつ整定状態において安定的な挙動を得ることができるならば、係数Biを一定値として扱うことに全く問題はない。しかし、過渡状態において状態量差を高い精度で所望の範囲に制御しようとする場合は、係数Biを十分に大きな値にしなければならないが、係数Biを過度に大きくすると、整定状態での安定性が損なわれやすくなり、状況によっては係数Biを大きな値にしたことが制御の不安定化の要因になることもある。以下、係数Biの増大による制御の不安定化について図を用いて説明する。
【0024】
図7は、温度制御ループが3個の場合のPID制御によるステップ応答のシミュレーション結果を示す図である。図8、図9は、先行出願の制御方法において、温度制御ループが3個で、基準状態量として3個の制御ループの状態量平均値を採用すると共に追従状態量として3個の制御ループの各状態量を採用し、各制御ループの温度差を小さくすることを目的とした場合のシミュレーション結果を示す図である。図7(a)、図8(a)、図9(a)は、温度設定値SP1,SP2,SP3を0から40に変更したときの制御系のステップ応答を示す図であり、図7(b)、図8(b)、図9(b)は、それぞれ図7(a)、図8(a)、図9(a)を拡大した図である。なお、シミュレーションの詳細な条件については後述する。
【0025】
通常のPID制御は3個の制御ループに相互作用を持たせていないため、図7(a)、図7(b)に示すPID制御のシミュレーション結果では、過渡状態における温度差(温度計測値PV1,PV2,PV3の差)が大きい。
図8(a)、図8(b)に示すシミュレーション結果は、先行出願の制御方法において係数Amの値を1.0に設定し、係数B1,B2,B3の値を3.0に設定したものであり、図7(a)、図7(b)の場合に比べて過渡状態における温度差がかなり小さくなっているが、図8(b)を詳細に見ると温度差を小さくする効果が不十分なことが分かる。
【0026】
図9(a)、図9(b)に示すシミュレーション結果は、先行出願の制御方法において係数Amの値を1.0に設定し、係数B1,B2,B3の値を6.7に設定したものであり、図8(a)、図8(b)の場合に比べて過渡状態における温度差がさらに小さくなっているが、温度差を小さくしようとする作用が強いため、温度計測値PV1,PV2,PV3が温度設定値SP1,SP2,SP3に到達する付近で温度計測値PV1,PV2,PV3に上下動が発生し、制御特性が劣化していることが分かる。
【0027】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の状態量間の状態量差等の相対量を所望の値に維持しつつ、複数の状態量の平均値等の絶対量を所望の値に変更する制御を行う制御系において、過渡状態における相対量の制御性と整定状態における制御の安定性とを両立させることができる制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、少なくとも2個の制御ループを有する制御系の制御方法において、特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、前記追従状態量を制御するコントローラに入力される複数の制御演算用入力値の一部である追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差に基づいて、前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数を切り換える切換判断手順と、前記複数の制御演算用入力値のうち1つを内部入力値に変換した上で前記コントローラに入力する算出手順とを備え、前記算出手順は、前記内部入力値を前記基準状態量に対する第1の要素と前記相対量に対する第2の要素との和とし、前記基準状態量に対する前記制御演算用入力値の要素を前記第1の要素とし、前記相対量に対する前記制御演算用入力値の要素に前記第1の係数を掛けた値を前記第2の要素とすることで、前記内部入力値を算出し、前記切換判断手順は、前記追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記第1の係数として所定の第1の値を選択し、前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い所定の第2の値を前記第1の係数として選択するようにしたものである。
【0029】
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記切換判断手順は、予め設定された判断指標Crを超える前記追従状態量設定値SPiの変化があった時点で、この時点以降は前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあると判断し、追従状態量毎の前記偏差を代表する値が予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあると判断するようにしたものである。
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量設定値SPiであり、前記内部入力値は、追従状態量内部設定値SPi’である。
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量計測値PViであり、前記内部入力値は、追従状態量内部計測値PVi’である。
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量偏差Eriであり、前記内部入力値は、追従状態量内部偏差Eri’である。
【0030】
また、本発明は、少なくとも2個の制御ループを有する制御系の装置において、特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、追従状態量毎に設けられ、追従状態量を制御するための操作量を算出して、算出した操作量を対応する制御ループの制御対象に出力するコントローラと、追従状態量毎に設けられ、前記前記コントローラに入力される複数の制御演算用入力値のうちの1つを内部入力値に変換した上で、対応する前記コントローラに入力する内部入力値算出部と、前記複数の制御演算用入力値の一部である追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差に基づいて、前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数を切り換える係数切換判断部とを備え、前記内部入力値算出部は、前記内部入力値を前記基準状態量に対する第1の要素と前記相対量に対する第2の要素との和とし、前記基準状態量に対する前記制御演算用入力値の要素を前記第1の要素とし、前記相対量に対する前記制御演算用入力値の要素に所定の第1の係数を掛けた値を前記第2の要素とすることで、前記内部入力値を算出し、前記係数切換判断部は、前記追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記第1の係数として所定の第1の値を選択し、前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い所定の第2の値を前記第1の係数として選択するものである。
【0031】
また、本発明の制御装置は、特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、追従状態量iに関する制御系iの構成として、追従状態量iを制御するための操作量を算出して、算出した操作量を対応する制御ループの制御対象に出力するコントローラと、前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数Biとして、第1の値と前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い第2の値とを記憶する係数記憶部と、前記コントローラに入力される複数の制御演算用入力値のうちの1つである追従状態量設定値SPiを追従状態量内部設定値SPi’に変換に変換した上で、対応する前記コントローラに入力する追従状態量内部設定値算出部とを、追従状態量i毎に備え、前記基準状態量に関する構成として、追従状態量毎の追従状態量設定値SPiから基準状態量設定値SPmを算出する基準状態量設定値算出部と、追従状態量毎の追従状態量計測値PViから基準状態量計測値PVmを算出する基準状態量計測値算出部とを備え、前記第1の係数Biの切り換えに関する構成として、前記追従状態量設定値SPiと前記追従状態量計測値PViとの偏差の絶対値から追従状態量毎の前記偏差を代表する値である基準偏差Ermを算出する基準偏差算出部と、追従状態量毎の前記追従状態量設定値SPiのうち少なくとも1つに予め設定された判断指標Crを超える変化があった時点で、この時点以降は前記第1の係数Biとして前記第1の値を出力するよう前記係数記憶部に指示し、前記基準偏差Ermが予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は前記第1の係数Biとして前記第2の値を出力するよう前記係数記憶部に指示する係数切換判断部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、少なくとも2個の制御ループを有する制御系において、特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、追従状態量を制御するコントローラに入力される複数の制御演算用入力値のうち1つを内部入力値に変換した上でコントローラに入力する算出手順を実行し、この算出手順において内部入力値を基準状態量に対する第1の要素と相対量に対する第2の要素との和として算出することにより、基準状態量と追従状態量との状態量差などの相対量を所望の値に維持しつつ、状態量平均値などの基準状態量を所望の値に変更する制御を実現することができる。また、本発明では、コントローラの操作量と実際のアクチュエータの出力とが1対1に対応する制御系を構成することができるので、積分ワインドアップを防止することができ、従来考案されているパラメータ調整方法や自動調整機能などを適用してコントローラを調整することができる。また、内部入力値の第2の要素として、相対量に対する制御演算用入力値の要素に第1の係数を掛けた値を使用することにより、相対量を優先的に制御しながら、基準状態量も同時に制御することができる。さらに、本発明では、追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに追従状態量計測値PViがあるときは、第1の係数として所定の第1の値を選択し、追従状態量設定値SPiから特定の範囲内の近いポイントに追従状態量計測値PViがあるときは、追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合が第1の値よりも弱い所定の第2の値を第1の係数として選択することにより、過渡状態では相対量が所望の値に追従する効果を強く得ることができ、かつ整定状態に近づいたときは相対量を制御する効果を弱くして、追従状態量計測値の上下動を抑えることができるので、過渡状態における相対量の制御性と整定状態における制御の安定性とを両立させることができる。
【0033】
また、本発明では、予め設定された判断指標Crと追従状態量設定値SPiの変化とを比較することにより、追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに追従状態量計測値PViがある否かを判断することができ、追従状態量毎の偏差を代表する値と予め設定された判断指標Csとを比較することにより、追従状態量設定値SPiから特定の範囲内の近いポイントに追従状態量計測値PViがあるか否かを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[発明の原理]
過渡状態において、追従状態量設定値SPiから追従状態量計測値PViが比較的離れたポイントにあるときは、状態量差を小さくする効果が強めに働いた方が好ましく、このとき追従状態量計測値PViと追従状態量設定値SPiが離れているために追従状態量計測値PViの上下動は実質的には目立たない。一方、追従状態量設定値SPiから追従状態量計測値PViが比較的近いポイントにあるときは、状態量差を小さくする効果が強めに働く必要性が小さくなるのと同時に、追従状態量計測値PViの上下動が目立つようになる。本発明は、この点に着眼する。すなわち、ステップ応答について言えば、追従状態量設定値SPiから追従状態量計測値PViが比較的離れた応答前半においては図9(a)、図9(b)のような動きが好ましく、追従状態量設定値SPiから追従状態量計測値PViが比較的近い応答後半においては図8(a)、図8(b)のような動きが好ましい。
【0035】
本発明は、上記着眼点に基づき、追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに追従状態量計測値PViがあるときは、係数Biとして所定の第1の値を選択し、追従状態量設定値SPiから特定の範囲内の近いポイントに追従状態量計測値PViがあるときは、追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合が第1の値よりも弱い所定の第2の値を係数Biとして選択するように切り換えることで、前述の課題を解決する。
【0036】
具体的には、予め設定された判断指標Crを超える追従状態量設定値SPiの変化があった時点で、この時点以降は係数Biとして第1の値を選択するように切り換え、追従状態量毎の偏差を代表する値が予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は係数Biとして第2の値を選択するように切り換える形に構成する。追従状態量毎の偏差を代表する値としては、例えば追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差の絶対値の平均値がある。なお、係数Biを第1の値と第2の値の2つに限らず、3つ以上用意して、追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合をさらに細かく切り換えるようにしてもよい。
【0037】
本発明では、n個の制御ループに対して、相対量を所望の値に維持する制御、より具体的には状態量差を小さくする制御を想定する。ステップ応答時の過渡状態では、状態量変化の速度が大きいため状態量差が目標水準(あるいは許容水準)に対して外れる確率は当然高くなる。すなわち、例えば2個の状態量があり、ある制御周期(計測周期)において全く同じ状態量値(追従状態量計測値)にあったとき、次の制御周期で観測される2個の状態量変化幅の比が4:3であったとき、状態量変化の速度が大きいほどこの比の差は大きな状態量差として現れる。逆にほぼ整定状態にあるときに、同様に2個の状態量変化幅の比が4:3であっても、状態量変化の速度が小さいのであるから、この比の差が状態量差として現れても小さな状態量差にしかならない。したがって、状態量変化の速度が大きい過渡状態ほど、状態量差を小さくするような作用が強めに働く必要がある。
【0038】
一方、整定状態あるいは追従状態量計測値PViが全体的に追従状態量設定値SPiから特定の範囲以内に収束した状態では、基本的に状態量差自体も所望の許容範囲内に収束していることになるので、状態量差を小さくしようとする必要性も小さいし、むしろ状態量差を小さくするためにむやみに操作量MViを動かさない方が好ましいぐらいになる。したがって、整定状態あるいはそれに準ずる状態では、状態量差を小さくするような作用が強めに働く必要はない。
【0039】
[実施の形態]
図1は本発明の実施の形態となる制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、制御ループが3個で、基準状態量として3個の制御ループの状態量平均値を採用し、追従状態量として3個の制御ループの各状態量を採用する場合の例であるが、2個以上の制御ループであれば同様の原理で、同様の制御系を構成できる。
【0040】
図1の制御装置は、第1の追従状態量に関する第1の制御系の構成として、追従状態量設定値SP1入力部1−1と、追従状態量計測値PV1入力部2−1と、操作量MV1出力部3−1と、PID制御演算部(PIDコントローラ)4−1と、追従状態量計測値PV1の基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する係数B1として、第1の値と追従性の度合が第1の値よりも弱い第2の値とを記憶する係数B1記憶部5−1と、追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1とを備える。また、図1の制御装置は、第2の追従状態量に関する第2の制御系の構成として、追従状態量設定値SP2入力部1−2と、追従状態量計測値PV2入力部2−2と、操作量MV2出力部3−2と、PID制御演算部(PIDコントローラ)4−2と、追従状態量計測値PV2の基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する係数B2として、第1の値と追従性の度合が第1の値よりも弱い第2の値とを記憶する係数B2記憶部5−2と、追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2とを備える。また、図1の制御装置は、第3の追従状態量に関する第3の制御系の構成として、追従状態量設定値SP3入力部1−3と、追従状態量計測値PV3入力部2−3と、操作量MV3出力部3−3と、PID制御演算部(PIDコントローラ)4−3と、追従状態量計測値PV3の基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する係数B3として、第1の値と追従性の度合が第1の値よりも弱い第2の値とを記憶する係数B3記憶部5−3と、追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3とを備える。
【0041】
また、図1の制御装置は、基準状態量に関する構成として、追従状態量設定値SP1とSP2とSP3の平均値を基準状態量設定値SPmとして算出する基準状態量設定値SPm算出部7と、追従状態量計測値PV1とPV2とPV3の平均値を基準状態量計測値PVmとして算出する基準状態量計測値PVm算出部8と、係数Am記憶部9とを備える。
【0042】
さらに、図1の制御装置は、係数Bi(iは追従状態量の個数で、本実施の形態ではi=1,2,3)の切り換えに関する構成として、追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差の絶対値から追従状態量毎の偏差を代表する値である基準偏差Ermを算出し、追従状態量設定値SPiのうち少なくとも1つに予め設定された判断指標Crを超える変化があった時点で、この時点以降は係数Biとして第1の値を出力するよう係数B1記憶部5−1と係数B2記憶部5−2と係数B3記憶部5−3に指示し、基準偏差Ermが予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は係数Biとして第2の値を出力するよう係数B1記憶部5−1と係数B2記憶部5−2と係数B3記憶部5−3に指示する係数Bi切換判断部10を備える。この係数Bi切換判断部10は、基準偏差Ermを算出する基準偏差算出部(不図示)を内部に備えている。
【0043】
図2は本実施の形態における制御系のブロック線図である。図2において、Er1’は第1の追従状態量の内部設定値SP1’と第1の追従状態量の計測値PV1との偏差、Er2’は第2の追従状態量の内部設定値SP2’と第2の追従状態量の計測値PV2との偏差、Er3’は第3の追従状態量の内部設定値SP3’と第3の追従状態量の計測値PV3との偏差、Amは基準状態量に関する係数、B1は第1の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数、B2は第2の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数、B3は第3の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数、A1は第1の追従状態量を制御するアクチュエータ、A2は第2の追従状態量を制御するアクチュエータ、A3は第3の追従状態量を制御するアクチュエータ、P1は第1の追従状態量に係る制御対象プロセス、P2は第2の追従状態量に係る制御対象プロセス、P3は第3の追従状態量に係る制御対象プロセス、Gp1はアクチュエータA1とプロセスP1とを含むブロックの伝達関数、Gp2はアクチュエータA2とプロセスP2とを含むブロックの伝達関数、Gp3はアクチュエータA3とプロセスP3とを含むブロックの伝達関数である。
【0044】
追従状態量設定値SP1入力部1−1と、追従状態量計測値PV1入力部2−1と、操作量MV1出力部3−1と、PID制御演算部4−1と、追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1と、アクチュエータA1と、プロセスP1とは、第1の制御系(第1の制御ループ)を構成している。追従状態量設定値SP2入力部1−2と、追従状態量計測値PV2入力部2−2と、操作量MV2出力部3−2と、PID制御演算部4−2と、追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2と、アクチュエータA2と、プロセスP2とは、第2の制御系(第2の制御ループ)を構成している。そして、追従状態量設定値SP3入力部1−3と、追従状態量計測値PV3入力部2−3と、操作量MV3出力部3−3と、PID制御演算部4−3と、追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3と、アクチュエータA3と、プロセスP3とは、第3の制御系(第3の制御ループ)を構成している。
【0045】
次に、本実施の形態の制御装置の動作を図3を用いて説明する。まず、追従状態量設定値SP1は、制御装置のオペレータによって設定され、追従状態量設定値SP1入力部1−1を介して追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1と基準状態量設定値SPm算出部7と係数Bi切換判断部10とに入力される(図3ステップS101)。追従状態量設定値SP2は、オペレータによって設定され、追従状態量設定値SP2入力部1−2を介して追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2と基準状態量設定値SPm算出部7と係数Bi切換判断部10とに入力される(ステップS102)。追従状態量設定値SP3は、オペレータによって設定され、追従状態量設定値SP3入力部1−3を介して追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3と基準状態量設定値SPm算出部7と係数Bi切換判断部10とに入力される(ステップS103)。
【0046】
追従状態量計測値PV1は、図示しない第1の検出手段によって検出され、追従状態量計測値PV1入力部2−1を介してPID制御演算部4−1と追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1と基準状態量計測値PVm算出部8と係数Bi切換判断部10とに入力される(ステップS104)。追従状態量計測値PV2は、図示しない第2の検出手段によって検出され、追従状態量計測値PV2入力部2−2を介してPID制御演算部4−2と追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2と基準状態量計測値PVm算出部8と係数Bi切換判断部10とに入力される(ステップS105)。追従状態量計測値PV3は、図示しない第3の検出手段によって検出され、追従状態量計測値PV3入力部2−3を介してPID制御演算部4−3と追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3と基準状態量計測値PVm算出部8と係数Bi切換判断部10とに入力される(ステップS106)。
【0047】
係数Bi切換判断部10は、次式に示すように追従状態量設定値SP1と追従状態量計測値PV1との偏差の絶対値|Er1|、追従状態量設定値SP2と追従状態量計測値PV2との偏差の絶対値|Er2|、および追従状態量設定値SP3と追従状態量計測値PV3との偏差の絶対値|Er3|を算出し、さらに偏差の絶対値|Er1|と|Er2|と|Er3|の平均値を基準偏差Ermとして算出する(ステップS107)。
|Er1|=|SP1−PV1| ・・・(9)
|Er2|=|SP2−PV2| ・・・(10)
|Er3|=|SP3−PV3| ・・・(11)
Erm=(|Er1|+|Er2|+|Er3|)/3 ・・・(12)
【0048】
そして、係数Bi切換判断部10は、追従状態量設定値SP1,SP2,SP3のうち少なくとも1つに1制御周期あたりの変化量が予め設定された判断指標Crよりも大きい変化が生じた時点で、追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに追従状態量計測値PViがあると判断して、この時点以降は係数B1,B2,B3として所定の第1の値を出力するよう係数B1記憶部5−1と係数B2記憶部5−2と係数B3記憶部5−3に指示する(ステップS108)。また、係数Bi切換判断部10は、基準偏差Ermが予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、追従状態量設定値SPiから特定の範囲内の近いポイントに追従状態量計測値PViがあると判断して、この時点以降は係数B1,B2,B3として所定の第2の値を出力するよう係数B1記憶部5−1と係数B2記憶部5−2と係数B3記憶部5−3に指示する(ステップS108)。
【0049】
次に、基準状態量設定値SPm算出部7は、次式のように、追従状態量設定値SP1と追従状態量設定値SP2と追従状態量設定値SP3との平均値を基準状態量設定値SPmとして算出し、この基準状態量設定値SPmを追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1と追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2と追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3とに出力する(ステップS109)。
SPm=(SP1+SP2+SP3)/3 ・・・(13)
【0050】
基準状態量計測値PVm算出部8は、次式のように、追従状態量計測値PV1と追従状態量計測値PV2と追従状態量計測値PV3との平均値を基準状態量計測値PVmとして算出し、この基準状態量計測値PVmを追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1と追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2と追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3とに出力する(ステップS110)。
PVm=(PV1+PV2+PV3)/3 ・・・(14)
【0051】
係数Am記憶部9は、基準状態量に関する係数Amを予め記憶している。係数B1記憶部5−1は、第1の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数B1として第1の値と第2の値を記憶しており、この第1の値と第2の値のうち係数Bi切換判断部10から指示された方の値を追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1に出力する。追従状態量内部設定値SP1’算出部6−1は、係数Am,B1と基準状態量設定値SPmと基準状態量計測値PVmと追従状態量設定値SP1と追従状態量計測値PV1とに基づき、追従状態量内部設定値SP1’を次式のように算出する(ステップS111)。
SP1’=AmSPm+(1−Am)PVm+B1(SP1−SPm)
+(1−B1)(PV1−PVm) ・・・(15)
【0052】
係数B2記憶部5−2は、第2の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数B2として第1の値と第2の値を記憶しており、この第1の値と第2の値のうち係数Bi切換判断部10から指示された方の値を追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2に出力する。追従状態量内部設定値SP2’算出部6−2は、係数Am,B2と基準状態量設定値SPmと基準状態量計測値PVmと追従状態量設定値SP2と追従状態量計測値PV2とに基づき、追従状態量内部設定値SP2’を次式のように算出する(ステップS112)。
SP2’=AmSPm+(1−Am)PVm+B2(SP2−SPm)
+(1−B2)(PV2−PVm) ・・・(16)
【0053】
係数B3記憶部5−3は、第3の追従状態量と基準状態量との状態量差に関する係数B3として第1の値と第2の値を記憶しており、この第1の値と第2の値のうち係数Bi切換判断部10から指示された方の値を追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3に出力する。追従状態量内部設定値SP3’算出部6−3は、係数Am,B3と基準状態量設定値SPmと基準状態量計測値PVmと追従状態量設定値SP3と追従状態量計測値PV3とに基づき、追従状態量内部設定値SP3’を次式のように算出する(ステップS113)。
SP3’=AmSPm+(1−Am)PVm+B3(SP3−SPm)
+(1−B3)(PV3−PVm) ・・・(17)
【0054】
次に、PID制御演算部4−1は、次式の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV1を算出する(ステップS114)。
MV1=(100/Pb1){1+(1/Ti1s)+Td1s}(SP1’
−PV1) ・・・(18)
式(18)において、Pb1は比例帯、Ti1は積分時間、Td1は微分時間、sはラプラス演算子である。なお、PID制御演算部4−1は、算出した操作量MV1がアクチュエータA1の出力の下限値OL1より小さい場合、操作量MV1=OL1とし、算出した操作量MV1がアクチュエータA1の出力の上限値OH1より大きい場合、操作量MV1=OH1とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
【0055】
積分ワインドアップとは、設定値SPに対して状態量計測値PVが低い場合にコントローラがアクチュエータ出力の上限値を無視して必要以上に大きな操作量MVを算出したために、設定値SPが小さい値に変更されたときに操作量MVの降下が遅れる現象であり、コントローラがアクチュエータの物理的な上下限を考慮して操作量を算出しないことに起因する。
【0056】
PID制御演算部4−2は、次式の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV2を算出する(ステップS115)。
MV2=(100/Pb2){1+(1/Ti2s)+Td2s}(SP2’
−PV2) ・・・(19)
式(19)において、Pb2は比例帯、Ti2は積分時間、Td2は微分時間である。なお、PID制御演算部4−2は、算出した操作量MV2がアクチュエータA2の出力の下限値OL2より小さい場合、操作量MV2=OL2とし、算出した操作量MV2がアクチュエータA2の出力の上限値OH2より大きい場合、操作量MV2=OH2とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
【0057】
PID制御演算部4−3は、次式の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV3を算出する(ステップS116)。
MV3=(100/Pb3){1+(1/Ti3s)+Td3s}(SP3’
−PV3) ・・・(20)
式(20)において、Pb3は比例帯、Ti3は積分時間、Td3は微分時間である。なお、PID制御演算部4−3は、算出した操作量MV3がアクチュエータA3の出力の下限値OL3より小さい場合、操作量MV3=OL3とし、算出した操作量MV3がアクチュエータA3の出力の上限値OH3より大きい場合、操作量MV3=OH3とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
【0058】
操作量MV1出力部3−1は、PID制御演算部4−1によって算出された操作量MV1をアクチュエータA1に出力する(ステップS117)。アクチュエータA1は、操作量MV1に基づいて第1の追従状態量を制御するために動作する。
操作量MV2出力部3−2は、PID制御演算部4−2によって算出された操作量MV2をアクチュエータA2に出力する(ステップS118)。アクチュエータA2は、操作量MV2に基づいて第2の追従状態量を制御するために動作する。
操作量MV3出力部3−3は、PID制御演算部4−3によって算出された操作量MV3をアクチュエータA3に出力する(ステップS119)。アクチュエータA3は、操作量MV3に基づいて第3の追従状態量を制御するために動作する。
【0059】
以上のようなステップS101〜S119の処理が例えばオペレータによって制御の終了が指示されるまで(ステップS120においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
【0060】
図4に本実施の形態の制御装置の動作のシミュレーション結果を示す。図4(a)は追従状態量設定値SP1,SP2,SP3を0から40に変更したときの制御系のステップ応答を示す図であり、図4(b)は図4(a)を拡大した図である。シミュレーションの条件は以下の通りである。
【0061】
まず、アクチュエータA1とプロセスP1とを含むブロックの伝達関数Gp1、アクチュエータA2とプロセスP2とを含むブロックの伝達関数Gp2、アクチュエータA3とプロセスP3とを含むブロックの伝達関数Gp3を次式のように設定する。ここでは、制御ループ間の干渉はないものとする。
Gp1=3.6exp(−2.0s)/{(1+70.0s)(1+10.0s)}
・・・(21)
Gp2=4.8exp(−2.0s)/{(1+60.0s)(1+10.0s)}
・・・(22)
Gp3=6.0exp(−2.0s)/{(1+50.0s)(1+10.0s)}
・・・(23)
【0062】
PID制御演算部4−1の操作量下限値OL1を0%、上限値OH1を100%とし、PID制御演算部4−2の操作量下限値OL2を0%、上限値OH2を100%とし、PID制御演算部4−3の操作量下限値OL3を0%、上限値OH3を100%とする。
操作量MV1,MV2,MV3に応じて追従状態量計測値PV1,PV2,PV3は、次式のように定まる。
PV1=Gp1MV1 ・・・(24)
PV2=Gp2MV2 ・・・(25)
PV3=Gp3MV3 ・・・(26)
【0063】
PID制御演算部4−1のPIDパラメータである比例帯Pb1を150.0、積分時間Ti1を35.0、微分時間Td1を20.0とし、PID制御演算部4−2のPIDパラメータである比例帯Pb2を200.0、積分時間Ti2を35.0、微分時間Td2を20.0とし、PID制御演算部4−3のPIDパラメータである比例帯Pb3を300.0、積分時間Ti3を35.0、微分時間Td3を20.0とする。なお、前記の図7〜図9についても、以上の条件でシミュレーションを行っている。
【0064】
図4(a)、図4(b)に示すシミュレーション結果は、本実施の形態においてAm=1.0と設定し、係数Biの第1の値をB1=B2=B3=6.7と設定し、係数Biの第2の値をB1=B2=B3=3.0と設定し、判断指標をCr=Cs=4.0と設定したことにより得られたものである。図4(a)、図4(b)の例では、PVi=36付近(Erm=4.0)のところで第1の値から第2の値に切り換えられている。図4(a)、図4(b)から分かるように、PVi=37付近までは図9(a)、図9(b)と同じように状態量差が小さく、PVi=37付近を通過した以降はPViの上下動が減少しており、図9(a)、図9(b)のような状態量差の大きな乱れは軽減されている。よって、本実施の形態では、過渡状態における状態量差の制御性と整定状態における制御の安定性とを両立できていることが分かる。
【0065】
なお、本実施の形態で説明した制御装置は、演算装置、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、特許文献3に開示された構成に基づいて、PID制御演算部に入力される複数の制御演算用入力値のうち追従状態量設定値SPiを内部入力値である追従状態量内部設定値SPi’に変換した上でPID制御演算部に入力するようにしているが、本発明の原理は他の制御演算用入力値を内部入力値に変換する場合でも適用可能であり、本実施の形態と同じ効果を得ることができる。他の制御演算用入力値としては、特許文献4で用いた追従状態量計測値PViや、特許文献5で用いた追従状態量偏差Eriがある。
【0067】
i番目の追従状態量計測値PViを内部入力値である追従状態量内部計測値PVi’に変換する場合には、次式により変換すればよい。
PVi’=(1−Am)SPm+AmPVm+(1−Bi)(SPi−SPm)
+Bi(PVi−PVm) ・・・(27)
そして、i番目のPID制御演算部に対して、追従状態量内部計測値PVi’を入力すると共に、追従状態量設定値SPiを変換せずにそのまま入力すればよい。このとき、PID制御演算部は、次式により操作量MViを算出する。
MVi=(100/Pbi){1+(1/Tiis)+Tdis}(SPi
−PVi’) ・・・(28)
式(28)において、Pbiは比例帯、Tiiは積分時間、Tdiは微分時間である。
【0068】
一方、i番目の追従状態量偏差Eriを内部入力値である追従状態量内部偏差Eri’に変換する場合には、次式により変換すればよい。
Eri’=Am(SPm−PVm)
+Bi{(SPi−SPm)−(PVi−PVm)} ・・・(29)
そして、i番目のPID制御演算部に対して、追従状態量内部偏差Eri’を入力すればよい。このとき、PID制御演算部は、次式により操作量MViを算出する。
MVi=(100/Pbi){1+(1/Tiis)+Tdis}Eri’
・・・(30)
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、プロセス制御技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態となる制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における制御系のブロック線図である。
【図3】図1の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の制御装置によるステップ応答のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】従来の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の他の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】従来のPID制御によるステップ応答のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】先行出願の制御方法によるステップ応答のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】先行出願の制御方法によるステップ応答のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
4−1,4−2,4−3…PID制御演算部、5−1…係数B1記憶部、5−2…係数B2記憶部、5−3…係数B3記憶部、6−1…追従状態量内部設定値SP1’算出部、6−2…追従状態量内部設定値SP2’算出部、6−3…追従状態量内部設定値SP3’算出部、7…基準状態量設定値SPm算出部、8…基準状態量計測値PVm算出部、9…係数Am記憶部、10…係数Bi切換判断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の制御ループを有する制御系の制御方法において、
特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、
前記追従状態量を制御するコントローラに入力される複数の制御演算用入力値の一部である追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差に基づいて、前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数を切り換える切換判断手順と、
前記複数の制御演算用入力値のうち1つを内部入力値に変換した上で前記コントローラに入力する算出手順とを備え、
前記算出手順は、前記内部入力値を前記基準状態量に対する第1の要素と前記相対量に対する第2の要素との和とし、前記基準状態量に対する前記制御演算用入力値の要素を前記第1の要素とし、前記相対量に対する前記制御演算用入力値の要素に前記第1の係数を掛けた値を前記第2の要素とすることで、前記内部入力値を算出し、
前記切換判断手順は、前記追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記第1の係数として所定の第1の値を選択し、前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い所定の第2の値を前記第1の係数として選択することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の制御方法において、
前記切換判断手順は、予め設定された判断指標Crを超える前記追従状態量設定値SPiの変化があった時点で、この時点以降は前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあると判断し、追従状態量毎の前記偏差を代表する値が予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあると判断することを特徴とする制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の制御方法において、
前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量設定値SPiであり、前記内部入力値は、追従状態量内部設定値SPi’であることを特徴とする制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の制御方法において、
前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量計測値PViであり、前記内部入力値は、追従状態量内部計測値PVi’であることを特徴とする制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の制御方法において、
前記内部入力値に変換される制御演算用入力値は、追従状態量偏差Eriであり、前記内部入力値は、追従状態量内部偏差Eri’であることを特徴とする制御方法。
【請求項6】
少なくとも2個の制御ループを有する制御系の装置において、
特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、
追従状態量毎に設けられ、追従状態量を制御するための操作量を算出して、算出した操作量を対応する制御ループの制御対象に出力するコントローラと、
追従状態量毎に設けられ、前記前記コントローラに入力される複数の制御演算用入力値のうちの1つを内部入力値に変換した上で、対応する前記コントローラに入力する内部入力値算出部と、
前記複数の制御演算用入力値の一部である追従状態量設定値SPiと追従状態量計測値PViとの偏差に基づいて、前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数を切り換える係数切換判断部とを備え、
前記内部入力値算出部は、前記内部入力値を前記基準状態量に対する第1の要素と前記相対量に対する第2の要素との和とし、前記基準状態量に対する前記制御演算用入力値の要素を前記第1の要素とし、前記相対量に対する前記制御演算用入力値の要素に所定の第1の係数を掛けた値を前記第2の要素とすることで、前記内部入力値を算出し、
前記係数切換判断部は、前記追従状態量設定値SPiから特定の範囲よりも遠いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記第1の係数として所定の第1の値を選択し、前記追従状態量設定値SPiから前記特定の範囲内の近いポイントに前記追従状態量計測値PViがあるときは、前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い所定の第2の値を前記第1の係数として選択することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
少なくとも2個の制御ループを有する制御系の装置において、
特定の基準となる状態量を基準状態量とし、この基準状態量との相対量が予め規定された値を維持するように制御される状態量を追従状態量としたとき、
追従状態量iに関する制御系iの構成として、
追従状態量iを制御するための操作量を算出して、算出した操作量を対応する制御ループの制御対象に出力するコントローラと、
前記追従状態量計測値PViの基準状態量計測値PVmへの追従性の度合を規定する第1の係数Biとして、第1の値と前記追従性の度合が前記第1の値よりも弱い第2の値とを記憶する係数記憶部と、
前記コントローラに入力される複数の制御演算用入力値のうちの1つである追従状態量設定値SPiを追従状態量内部設定値SPi’に変換に変換した上で、対応する前記コントローラに入力する追従状態量内部設定値算出部とを、追従状態量i毎に備え、
前記基準状態量に関する構成として、
追従状態量毎の追従状態量設定値SPiから基準状態量設定値SPmを算出する基準状態量設定値算出部と、
追従状態量毎の追従状態量計測値PViから基準状態量計測値PVmを算出する基準状態量計測値算出部とを備え、
前記第1の係数Biの切り換えに関する構成として、
前記追従状態量設定値SPiと前記追従状態量計測値PViとの偏差の絶対値から追従状態量毎の前記偏差を代表する値である基準偏差Ermを算出する基準偏差算出部と、
追従状態量毎の前記追従状態量設定値SPiのうち少なくとも1つに予め設定された判断指標Crを超える変化があった時点で、この時点以降は前記第1の係数Biとして前記第1の値を出力するよう前記係数記憶部に指示し、前記基準偏差Ermが予め設定された判断指標Csよりも小さくなった時点で、この時点以降は前記第1の係数Biとして前記第2の値を出力するよう前記係数記憶部に指示する係数切換判断部とを備えることを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−183855(P2007−183855A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2173(P2006−2173)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】