制御盤及びポンプ装置
【課題】小型化が可能、且つ、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能な制御盤及びポンプ装置を提供することを目的としている。
【解決手段】ポンプ装置100に用いられる制御盤1は、その背面が開口する筐体10と、筐体10内に配置される電気部品12と、筐体10の背面の開口を閉塞するとともに、電気部品12を挿通可能な開口部52を有する背面板23と、電気部品12を固定し、且つ、固定した電気部品12を開口部52から挿通させるとともに、背面板23に固定される取付部材13と、を備える構成とする。
【解決手段】ポンプ装置100に用いられる制御盤1は、その背面が開口する筐体10と、筐体10内に配置される電気部品12と、筐体10の背面の開口を閉塞するとともに、電気部品12を挿通可能な開口部52を有する背面板23と、電気部品12を固定し、且つ、固定した電気部品12を開口部52から挿通させるとともに、背面板23に固定される取付部材13と、を備える構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品が用いられた制御盤及び制御盤を用いたポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポンプを制御盤により制御することで、自動給水するポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置は、キャビネット内にポンプやモータを収納するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ポンプ装置は、制御基板、インバータ、漏電ブレーカー、ノイズフィルタ、直流リアクトル、マグネットコンタクタ及び冷却ファン等の電気部品をその内部に有する制御盤が、キャビネット上部に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−350957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した制御盤では、以下の問題があった。即ち、制御盤及びポンプ装置は、据付面積の低減及び小型化の要求から、省スペース化、即ち制御盤の内部のスペースの低減が求められている。しかし、制御盤内の各電気部品を近接して配置すると、各電気部品の発熱による影響により、電気部品の寿命の低下を招く。
【0005】
また、制御盤の小型化のために、制御盤内の各電気部品を互いに近接させて配置させると、各電気部品の接続配線が近接し、このため、制御盤内の電気部品が故障した場合に、当該故障した電気部品の交換作業において、接続配線に悪影響を与える虞がある。
【0006】
このような従来の技術の問題について、図13及び図14を用いて説明する。
図13中左図に示すように、制御盤内に設けられた電気部品200には、ボルト等の締結部材Bにより、接続配線201が固定されている。故障した電気部品200の交換作業においては、電気部品200を制御盤の取付板202から取り外す場合に、締結部材Bによる接続配線201の締結を解除し、電気部品200から接続配線201を取り外す。
【0007】
しかし、図13中右図に示すように、取り外された接続配線201は、電気部品200を取付板202から除去する場合に電気部品200と干渉するため、当該接続配線201を折り曲げることがある。また、当該作業において接続配線が電気部品に干渉する虞や、当該干渉による接続配線の被覆の損傷の虞等もある。
【0008】
このため、交換頻度の高い電気部品については、図14に示すように、故障頻度の高い電気的機能部211と、ターミナル部212とを備え、図14に実線及び二点差線で示すように、電気的機能部211をターミナル部212から分離可能な電気部品210を用いる技術も知られている。
【0009】
このような電気部品210は、電気的機能部211が故障しても新たな電気的機能部211と交換すればよく、高いメンテナンス性を有し、且つ、ランニングコストを低減することができる。また電気部品210は、取付板202にターミナル部(ソケット端子台)212を固定させ、且つ、接続配線201がターミナル部212に接続した状態で電気的機能部211を交換できるため、接続配線201の損傷を防止することが可能となる。
【0010】
しかし、このような電気的機能部211とターミナル部212とが分離可能な電気部品210は高価であり、また、分離ができない電気部品よりも大型であることから、製造コストの増大及び大型化となる。
【0011】
また、制御盤の主要部品であるインバータ、漏電ブレーカー及びマグネットコンタクタ等においては、電気的機能部211がターミナル部212と分離可能なものが少ない。
【0012】
そこで本発明は、小型化が可能であって、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能な制御盤及びポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の制御盤及びポンプ装置は次のように構成されている。
【0014】
本発明の一態様として、制御盤は、その背面が開口する筐体と、前記筐体内に配置される電気部品と、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板と、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材と、を備える。
【0015】
本発明の一態様として、ポンプ装置は、モータと、モータにより流体を圧送するポンプと、その背面が開口する筐体、前記筐体内に配置され、前記モータ又は前記ポンプと接続された電気部品、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板、及び、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材を具備する前記モータを制御する制御盤と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能であって、小型化が可能な制御盤及びポンプ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図。
【図2】同ポンプ装置の構成を示す上面図。
【図3】同ポンプ装置に用いられる制御盤の構成を示す正面図。
【図4】同制御盤の構成を模式的に示す正面図。
【図5】同制御盤の構成を模式的に示す断面図。
【図6】同制御盤の構成を模式的に示す断面図。
【図7】同制御盤に用いられる電気部品の構成を模式的に示す正面図。
【図8】同電気部品の構成を模式的に示す底面図。
【図9】同電気部品の構成を模式的に示す背面図。
【図10】同制御盤の背面板の構成を模式的に示す正面図。
【図11】同背面板の要部構成を拡大して示す説明図。
【図12】同制御盤の要部構成を模式的に示す説明図。
【図13】従来の制御盤に用いられる電気部品の交換作業を模式的に示す説明図。
【図14】従来の制御盤に用いられる電気部品の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係るポンプ装置100を、図1乃至図12を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るポンプ装置100の構成を示す側面図、図2はポンプ装置100の構成を示す上面図、図3はポンプ装置100に用いられる制御盤1の構成を示す正面図、図4は制御盤1の内部構成を模式的に示す正面図、図5は制御盤1の構成を図3中V−V断面で模式的に示す断面図、図6は制御盤1の構成を図3中VI−VI断面で模式的に示す断面図、図7は制御盤1に用いられる電気部品12であるインバータ31の構成及び制御盤1への設置を模式的に示す正面図、図8はインバータ31の構成及び制御盤1への設置を模式的に示す底面図、図9はインバータ31の構成及びインバータ31の制御盤1への設置を模式的に示す背面図、図10は制御盤1の背面板23の構成を模式的に示す正面図、図11は背面板23の要部構成である切欠部51及び開口部52の構成を拡大して示す説明図、図12は制御盤1の背面板23へのインバータ31を取り付ける取付部材41の設置を模式的に示す説明図である。
【0019】
なお、図2中、Fは流体の流れを示す。また、図2乃至図4中、接続配線36の記載は一部省略するが、各電気部品12は、接続配線36で制御基板11等に接続されている。
【0020】
図1に示すように、ポンプ装置100は、ポンプ部101と、ポンプ部101を設置させるベース102と、ベース102上部に支持台103を介して固定される制御盤1とを備えている。
【0021】
ポンプ部101は、ベース102上に配置されたモータ112及びポンプ113と、ポンプ113の吐出側を合流させる吐出配管114と、吐出配管114に接続された圧力タンク115と、を備えている。
【0022】
モータ112及びポンプ113は、単数又は複数設けられる。本実施の形態においては、モータ112及びポンプ113は、2台設けられる構成にて説明する。ポンプ113は、給水源と配管等を介して接続可能なフランジ113aを有する吸込口113bを備えている。また、ポンプ113は、その吐出口が、吐出配管114に接続されている。
【0023】
支持台103は、その上部に制御盤1を載置可能に形成されている。
【0024】
図1乃至図6に示すように、制御盤1は、筐体10と、制御基板11と、複数の電気部品12と、取付手段13と、報知部材14と、を備えている。
【0025】
筐体10は、前面及び背面が開口する方体状の箱体21と、箱体21の前面を覆う前面板22と、箱体21の背面に固定された箱体21の背面を覆う背面板23と、を備えている。前面板22は、その上端縁又は下端縁の一方、図1の実施形態においては下端縁に、箱体21に接続されるヒンジ部24を有し、当該ヒンジ部24を支点に回動可能に形成されている。即ち、前面板22は、ヒンジ部24を支点に回動することで、箱体21の前面の開口を開閉する。また、前面板22は、その開閉を規制するキーシリンダ22aと、制御盤1の操作及び状態の説明等の情報を記載した案内表示部22bと、を備えている。なお、キーシリンダ22aは、キーにより回動されることで、箱体21に係合し、前面板22を固定可能に形成されている。
【0026】
背面板23は、電気部品12の一部、及び、取付手段13を取り付け可能に形成されている。背面板23は、箱体21に溶接や締結部材等により固定されている。背面板23は、電気部品12の一部及び取付手段13を取り付ける複数の被取付部25を備えている。また、背面板23は、被取付部25の上方を覆うカバー26を備えている。
【0027】
被取付部25は、後述するインバータ31を取り付ける取付部材41を固定する第1被取付部25Aと、インバータ31を除く電気部品12を取り付ける雌ねじ孔等の第2被取付部25Bと、を備えている。
【0028】
制御基板11は、前面板22に配置される。制御基板11は、電装部27と、表示部28と、を備えている。電装部27は、モータ及びポンプの運転制御等のソフトウェアを記憶可能なメモリと、ポンプの流量情報や吐出圧力情報を入力可能な入力部と、メモリ及び入力部等の情報からポンプの運転を制御する制御部と、を備えている。
【0029】
表示部28は、ポンプの制御の状態や、警告等を表示可能なディスプレイである。表示部28は、視認性を向上させるバックライトを点灯可能に形成されている。表示部28は、一定時間経過後に、バックライト及び表示を消灯させて消費電力を抑えることが可能に形成されている。
【0030】
図2乃至図4に示すように、複数の電気部品12は、インバータ31、漏電ブレーカー32、ノイズフィルタ33、直流リアクトル34、及び、冷却ファン35等である。複数の電気部品12は、背面板23に固定される。また、複数の電気部品12は、少なくともその一部が、背面板23に取付手段13を介して固定される。また、複数の電気部品12は、制御基板11や他の電気部品12と接続配線36により電気的に接続される。
【0031】
インバータ31は、モータ112に接続される。本実施の形態においては、インバータ31は、二台のモータ112にそれぞれ接続される構成を説明する。また、インバータ31は、制御基板11の制御部からの運転指令に基づいてモータ112を駆動することで、ポンプを低速運転及び可変速制御運転が可能に形成されている。
【0032】
インバータ31は、モータ112の回転速度を可変可能に形成されている。また、インバータ31は、温度サーマル及び電子サーマルを有し、これら温度サーマル及び電子サーマルの故障の前に停止する機能、及び、当該停止状態を表示部28に表示する機能を有している。
【0033】
インバータ31は、ヒートシンクが外表面に形成された発熱部37を有している。なお、この発熱部37は、インバータ31の一方側に配置される。インバータ31は、取付手段13に固定されるとともに、当該取付手段13を介して背面板23の第1被取付部25Aに固定される。
【0034】
漏電ブレーカー32は、インバータ31にそれぞれ設けられる。漏電ブレーカー32は、インバータ31の故障時に、電気回路を遮断することで電力の供給を遮断する。なお、漏電ブレーカー32は、少なくともインバータ31の交換時に、インバータ31への電力の供給を遮断可能であればよい。漏電ブレーカー32は、取付手段13に固定されるとともに、当該取付手段13を介して背面板23の第2被取付部25Bに固定される。
【0035】
ノイズフィルタ33は、高調波成分を除去するコイル及びコンデンサを備える複合回路部品と、外来サージを吸収するアレスタと、を備えている。また、ノイズフィルタ33は、外部からの電源入力端子台と、ポンプのヒータ等をON−OFF可能なスイッチと、漏電ブレーカー32及び制御基板11に電力を供給する端子台と、を備えている。また、ノイズフィルタ33は、これら複合回路部品と、アレスタと、電源入力端子台と、スイッチと、端子台とを配置し、且つ、背面板23に固定される支持台39を備えている。
【0036】
直流リアクトル34は、高調波成分の抑制とインバータ31の電源側の入力力率改善が可能に形成されている。直流リアクトル34は、各インバータ31にそれぞれ接続され、背面板23に固定される。なお、直流リアクトル34は、冷却ファン35に近接して配置される。
【0037】
冷却ファン35は、背面板23に固定される。冷却ファン35は、制御基板11に接続され、インバータ31の温度や筐体10内の温度に基づいてその駆動及び停止の制御がなされる。
【0038】
取付手段13は、インバータ31を背面板23に固定する複数の取付部材41と、インバータ31以外の電気部品12を背面板23に固定する締結部材と、を備えている。取付部材41は、背面板23に沿って設けられインバータ31の発熱部37と対向する開口43aを有する排熱板43と、背面板23に固定されるとともに、インバータ31の発熱部37を固定する一対の吊下部材44である。排熱板43及び吊下部材44は、金属材料により一体に形成されている。
【0039】
吊下部材44は、排熱板43の両側端に設けられる。吊下部材44は、発熱部37の両側面に嵌合又は締結部材による締結等により固定される。吊下部材44は、その上下端側であって、背面板23と対向する部位(前面)に突出部45を備えている。突出部45は、その下面と吊下部材44の前面との稜部に、重力方向に伸びる溝部46を有する。
【0040】
図10及び図11に示すように、取付部材41が取り付く背面板23の第1被取付部25Aは、吊下部材44の上端側に設けられた突出部45をそれぞれ挿通させる切欠部51と、インバータ31及び吊下部材44の下端側に設けられた突出部45を挿通させる開口部52と、を備えている。即ち、第1被取付部25Aは、背面板23に形成された開口である。切欠部51は、その幅が突出部45と同一又は突出部45の幅よりも若干広く形成される。
【0041】
また、背面板23の切欠部51の下端部、及び、開口部52の下端部の厚みが溝部46の幅と略同一に形成されている。切欠部51及び開口部52は、突出部45の挿通後、上方の突出部45の溝部46と切欠部51の下端部、及び、下方の突出部45の溝部46と開口部52の下端部とが、それぞれ嵌合可能に形成されている。即ち、切欠部51及び開口部52は、突出部45と嵌合する嵌合部である。
【0042】
なお、切欠部51が背面板23に設けられたカバー26に位置する場合には、切欠部51は、背面板23及びカバー26の両方に亘って設けられる。また、溝部46は、背面板23及びカバー26に形成された切欠部51の下端部の厚みと略同一に形成されていればよい。
【0043】
このように構成されたポンプ装置100は、制御盤1の複数の電気部品12のインバータ31が、取付部材41により筐体10の背面側から背面板23に固定することが可能となる。以下、電気部品12の一である、インバータ31の取付けについて説明する。
【0044】
先ず、インバータ31の発熱部37の側面を、一対の吊下部材44に固定させる。次に、図4乃至図9及び図12に示すように、インバータ31が固定された吊下部材44の突出部45,45を、対応する切欠部51及び開口部52に挿入させる。
【0045】
切欠部51及び開口部52に突出部45,45が挿入した状態で、インバータ31を重力方向に移動させて、溝部46と切欠部51及び開口部52の下端部とをそれぞれ嵌合させる。この嵌合により、インバータ31は、背面板23に固定される。
【0046】
このとき、インバータ31の前後方向の重い側に溝部46を中心とした回転モーメントが加わり、当該回転モーメントにより、溝部46の内面及び/又は吊下部材44の前面と背面板23の外面とが互いに当接する。
【0047】
このように、インバータ31が固定された一対の吊下部材44を背面板23に吊下げることで、インバータ31の自重による重力方向の力と溝部46を支点とした回転モーメントとにより、背面板23に取付部材41が固定され、背面板23にインバータ31が固定される。これにより、インバータ31が固定された取付部材41は、背面板23に、重力方向、背面板23の面方向、並びに、重力方向及び背面板23の面方向と直交する方向(背面板23に対して離接する方向)の3軸方向で固定される。
【0048】
このようにインバータ31を背面板23に取付部材41を介して固定後、図5に示すように、インバータ31と接続配線36を接続させる。
【0049】
このように構成されたポンプ装置100によれば、制御盤1は、筐体10の背面側から電気部品12を取付けることが可能となるため、電気部品12の着脱が容易となる。具体的に説明すると、電気部品12を制御盤1の正面側から見た場合に、図4に示すように、電気部品12とオーバーラップする状態で、接続配線36が配置される。
【0050】
図13に示すように、従来の技術においては、電気部品200の故障等において、当該故障した電気部品200を交換するときは、接続配線201と電気部品200の接続を解除し、接続配線201はそのままで電気部品200を取付板202から取り外す。この電気部品200を筐体10の正面からを取り出す場合には、図9に示すように接続配線201を折り曲げる必要があり、また、故障した電気部品200が接続配線201と干渉する場合がある。
【0051】
しかし、本発明の制御盤1は、筐体10の背面側から電気部品12を挿入し、且つ、背面側(背面板23)に取付部材41を介して電気部品12を固定する構成であるため、接続配線36と電気部品12との接続を解除後、電気部品12は、筐体10の背面側から取り外せばよい。即ち、電気部品12の取り外しにおいて、接続配線36との干渉を防止することが可能となり、作業性の向上が可能となる。
【0052】
また、制御盤1は、取付手段13を筐体10の被取付部25に取り付けるだけでよく、位置決め及び取付が容易となり、電気部品12の背面板23への組立作業の作業性の向上となる。特に、組立作業については、作業者の熟練度に係らず、溝部46を切欠部51及び開口部52に挿入するだけで、電気部品12の位置決めがされるため、品質の確保が容易となる。
【0053】
また、制御盤1は、取付手段13への電気部品12の取付によって、必要に応じて、電気部品12の一部を筐体10の外側に配置することも可能となる。即ち、電気部品12の高温となる部位を筐体10の外側に配置することで、筐体10内の温度上昇を防止することが可能となる。
【0054】
具体的に説明すると、制御盤1は、例えば、電気部品12の一であるインバータ31の取付において、取付部材41の吊下部材44にインバータ31の発熱部37を固定する。このインバータ31が固定された取付部材41を、当該発熱部37を筐体10の外側に配置し、且つ、他部を筐体10の内部に配置させて背面板23に吊下げる構成とすることで、発熱部37を筐体10の外側に位置させることが可能となる。
【0055】
また、取付部材41は、排熱板43に開口43aを設けることで、発熱部37を極力外気に曝露することが可能となる。このため、発熱部37を効率よく冷却することが可能となる。
【0056】
特に、インバータ31は、その発熱量が他の電気部品12に比べて大であり、このため、インバータ31の発熱部37を筐体10の外に配置させることで、制御盤1内の温度上昇を抑えるとともに、効率的な冷却が可能となる。これにより、他の電気部品12への熱影響を低減させ、制御盤1(各電気部品12)の寿命の低下を防止することが可能となる。
【0057】
また、インバータ31等の重量が比較的重い電気部品12の場合には、従来では筐体10の背面を下方となるように横置きさせて、電気部品12の着脱を行っていた。しかし、本願発明の制御盤1のように、筐体10の背面板23に取付部材41により電気部品12を吊下げることで、当該電気部品12を筐体10に固定させる際に、筐体10を横置きとする必要がない。
【0058】
また、取付部材41により電気部品12が背面板23に吊下げられるため、当該吊下後に電気部品12を作業する場合に、作業者が電気部品12を支持する必要が殆どない。このように、取付部材41を使用することで、比較的重い電気部品12を容易に筐体10に固定可能となる。
【0059】
さらに、上述したように電気部品12の取り外しにおいて、接続配線36との干渉を防止可能、且つ、熱影響を極力防止可能とすることで、各電気部品12を互いに近接させて配置することが可能となる。これにより、電気部品12の収納スペース(筐体10)の小型化となるとともに、電気部品12の配置の自由度が向上し、結果、制御盤1の小型化が可能となる。
【0060】
上述したように本実施の形態に係る制御盤1及びポンプ装置100によれば、取付部材41によって、制御盤1の背面側からに電気部品12を制御盤1内に挿入し、且つ、固定することで、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能、且つ、小型化が可能となる。
【0061】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、取付手段13の取付部材41は、突出部45を切欠部51及び開口部52に挿入して吊下げ、溝部46を切欠部51及び開口部52の下端部(背面板23)に嵌合させて、電気部品12を固定させる構成を説明したが、これに限定されない。
【0062】
例えば、取付部材41を、溝部46と背面板23とを嵌合させたあと、さらに、締結部材により背面板23に電気部品12及び/又は取付部材41を固定する構成であってもよい。これにより、取付部材41及び電気部品12がより強固に筐体10に固定されることとなる。また、取付部材41は、背面板23に吊下げられる構成であるため、締結部材で締結する際に取付部材41を支える等の必要がなく、吊下げ後の締結部材による締結作業の作業性がよい。
【0063】
さらに、上述した例では、電気部品12のうち、インバータ31を取付部材41により筐体10に取り付ける構成を説明したが、これに限定されない。他の電気部品12を取付部材41により背面板23に固定させてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…制御盤、10…筐体、11…制御基板、12…電気部品、21…箱体、22…カバー、23…背面板、24…ヒンジ部、25…被取付部、25A…第1被取付部、25B…第2被取付部、27…電装部、28…表示部、31…インバータ、32…漏電ブレーカー、33…ノイズフィルタ、34…直流リアクトル、35…冷却ファン、36…接続配線、37…発熱部、39…支持台、41…取付部材、44…吊下部材、45…突出部、46…溝部、47…取付板、51…切欠部(嵌合部)、52…開口部(嵌合部)、54…開口部、55…挿通孔、100…ポンプ装置、101…ポンプ部、110…ベース部、111…架台、112…モータ、113…ポンプ、114…カバー、115…吸込管、116…吐出管、200…電気部品、201…接続配線、202…取付板、210…電気部品、211…電気的機能部、212…ターミナル部、B…締結部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品が用いられた制御盤及び制御盤を用いたポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポンプを制御盤により制御することで、自動給水するポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置は、キャビネット内にポンプやモータを収納するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ポンプ装置は、制御基板、インバータ、漏電ブレーカー、ノイズフィルタ、直流リアクトル、マグネットコンタクタ及び冷却ファン等の電気部品をその内部に有する制御盤が、キャビネット上部に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−350957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した制御盤では、以下の問題があった。即ち、制御盤及びポンプ装置は、据付面積の低減及び小型化の要求から、省スペース化、即ち制御盤の内部のスペースの低減が求められている。しかし、制御盤内の各電気部品を近接して配置すると、各電気部品の発熱による影響により、電気部品の寿命の低下を招く。
【0005】
また、制御盤の小型化のために、制御盤内の各電気部品を互いに近接させて配置させると、各電気部品の接続配線が近接し、このため、制御盤内の電気部品が故障した場合に、当該故障した電気部品の交換作業において、接続配線に悪影響を与える虞がある。
【0006】
このような従来の技術の問題について、図13及び図14を用いて説明する。
図13中左図に示すように、制御盤内に設けられた電気部品200には、ボルト等の締結部材Bにより、接続配線201が固定されている。故障した電気部品200の交換作業においては、電気部品200を制御盤の取付板202から取り外す場合に、締結部材Bによる接続配線201の締結を解除し、電気部品200から接続配線201を取り外す。
【0007】
しかし、図13中右図に示すように、取り外された接続配線201は、電気部品200を取付板202から除去する場合に電気部品200と干渉するため、当該接続配線201を折り曲げることがある。また、当該作業において接続配線が電気部品に干渉する虞や、当該干渉による接続配線の被覆の損傷の虞等もある。
【0008】
このため、交換頻度の高い電気部品については、図14に示すように、故障頻度の高い電気的機能部211と、ターミナル部212とを備え、図14に実線及び二点差線で示すように、電気的機能部211をターミナル部212から分離可能な電気部品210を用いる技術も知られている。
【0009】
このような電気部品210は、電気的機能部211が故障しても新たな電気的機能部211と交換すればよく、高いメンテナンス性を有し、且つ、ランニングコストを低減することができる。また電気部品210は、取付板202にターミナル部(ソケット端子台)212を固定させ、且つ、接続配線201がターミナル部212に接続した状態で電気的機能部211を交換できるため、接続配線201の損傷を防止することが可能となる。
【0010】
しかし、このような電気的機能部211とターミナル部212とが分離可能な電気部品210は高価であり、また、分離ができない電気部品よりも大型であることから、製造コストの増大及び大型化となる。
【0011】
また、制御盤の主要部品であるインバータ、漏電ブレーカー及びマグネットコンタクタ等においては、電気的機能部211がターミナル部212と分離可能なものが少ない。
【0012】
そこで本発明は、小型化が可能であって、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能な制御盤及びポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の制御盤及びポンプ装置は次のように構成されている。
【0014】
本発明の一態様として、制御盤は、その背面が開口する筐体と、前記筐体内に配置される電気部品と、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板と、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材と、を備える。
【0015】
本発明の一態様として、ポンプ装置は、モータと、モータにより流体を圧送するポンプと、その背面が開口する筐体、前記筐体内に配置され、前記モータ又は前記ポンプと接続された電気部品、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板、及び、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材を具備する前記モータを制御する制御盤と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能であって、小型化が可能な制御盤及びポンプ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図。
【図2】同ポンプ装置の構成を示す上面図。
【図3】同ポンプ装置に用いられる制御盤の構成を示す正面図。
【図4】同制御盤の構成を模式的に示す正面図。
【図5】同制御盤の構成を模式的に示す断面図。
【図6】同制御盤の構成を模式的に示す断面図。
【図7】同制御盤に用いられる電気部品の構成を模式的に示す正面図。
【図8】同電気部品の構成を模式的に示す底面図。
【図9】同電気部品の構成を模式的に示す背面図。
【図10】同制御盤の背面板の構成を模式的に示す正面図。
【図11】同背面板の要部構成を拡大して示す説明図。
【図12】同制御盤の要部構成を模式的に示す説明図。
【図13】従来の制御盤に用いられる電気部品の交換作業を模式的に示す説明図。
【図14】従来の制御盤に用いられる電気部品の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係るポンプ装置100を、図1乃至図12を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るポンプ装置100の構成を示す側面図、図2はポンプ装置100の構成を示す上面図、図3はポンプ装置100に用いられる制御盤1の構成を示す正面図、図4は制御盤1の内部構成を模式的に示す正面図、図5は制御盤1の構成を図3中V−V断面で模式的に示す断面図、図6は制御盤1の構成を図3中VI−VI断面で模式的に示す断面図、図7は制御盤1に用いられる電気部品12であるインバータ31の構成及び制御盤1への設置を模式的に示す正面図、図8はインバータ31の構成及び制御盤1への設置を模式的に示す底面図、図9はインバータ31の構成及びインバータ31の制御盤1への設置を模式的に示す背面図、図10は制御盤1の背面板23の構成を模式的に示す正面図、図11は背面板23の要部構成である切欠部51及び開口部52の構成を拡大して示す説明図、図12は制御盤1の背面板23へのインバータ31を取り付ける取付部材41の設置を模式的に示す説明図である。
【0019】
なお、図2中、Fは流体の流れを示す。また、図2乃至図4中、接続配線36の記載は一部省略するが、各電気部品12は、接続配線36で制御基板11等に接続されている。
【0020】
図1に示すように、ポンプ装置100は、ポンプ部101と、ポンプ部101を設置させるベース102と、ベース102上部に支持台103を介して固定される制御盤1とを備えている。
【0021】
ポンプ部101は、ベース102上に配置されたモータ112及びポンプ113と、ポンプ113の吐出側を合流させる吐出配管114と、吐出配管114に接続された圧力タンク115と、を備えている。
【0022】
モータ112及びポンプ113は、単数又は複数設けられる。本実施の形態においては、モータ112及びポンプ113は、2台設けられる構成にて説明する。ポンプ113は、給水源と配管等を介して接続可能なフランジ113aを有する吸込口113bを備えている。また、ポンプ113は、その吐出口が、吐出配管114に接続されている。
【0023】
支持台103は、その上部に制御盤1を載置可能に形成されている。
【0024】
図1乃至図6に示すように、制御盤1は、筐体10と、制御基板11と、複数の電気部品12と、取付手段13と、報知部材14と、を備えている。
【0025】
筐体10は、前面及び背面が開口する方体状の箱体21と、箱体21の前面を覆う前面板22と、箱体21の背面に固定された箱体21の背面を覆う背面板23と、を備えている。前面板22は、その上端縁又は下端縁の一方、図1の実施形態においては下端縁に、箱体21に接続されるヒンジ部24を有し、当該ヒンジ部24を支点に回動可能に形成されている。即ち、前面板22は、ヒンジ部24を支点に回動することで、箱体21の前面の開口を開閉する。また、前面板22は、その開閉を規制するキーシリンダ22aと、制御盤1の操作及び状態の説明等の情報を記載した案内表示部22bと、を備えている。なお、キーシリンダ22aは、キーにより回動されることで、箱体21に係合し、前面板22を固定可能に形成されている。
【0026】
背面板23は、電気部品12の一部、及び、取付手段13を取り付け可能に形成されている。背面板23は、箱体21に溶接や締結部材等により固定されている。背面板23は、電気部品12の一部及び取付手段13を取り付ける複数の被取付部25を備えている。また、背面板23は、被取付部25の上方を覆うカバー26を備えている。
【0027】
被取付部25は、後述するインバータ31を取り付ける取付部材41を固定する第1被取付部25Aと、インバータ31を除く電気部品12を取り付ける雌ねじ孔等の第2被取付部25Bと、を備えている。
【0028】
制御基板11は、前面板22に配置される。制御基板11は、電装部27と、表示部28と、を備えている。電装部27は、モータ及びポンプの運転制御等のソフトウェアを記憶可能なメモリと、ポンプの流量情報や吐出圧力情報を入力可能な入力部と、メモリ及び入力部等の情報からポンプの運転を制御する制御部と、を備えている。
【0029】
表示部28は、ポンプの制御の状態や、警告等を表示可能なディスプレイである。表示部28は、視認性を向上させるバックライトを点灯可能に形成されている。表示部28は、一定時間経過後に、バックライト及び表示を消灯させて消費電力を抑えることが可能に形成されている。
【0030】
図2乃至図4に示すように、複数の電気部品12は、インバータ31、漏電ブレーカー32、ノイズフィルタ33、直流リアクトル34、及び、冷却ファン35等である。複数の電気部品12は、背面板23に固定される。また、複数の電気部品12は、少なくともその一部が、背面板23に取付手段13を介して固定される。また、複数の電気部品12は、制御基板11や他の電気部品12と接続配線36により電気的に接続される。
【0031】
インバータ31は、モータ112に接続される。本実施の形態においては、インバータ31は、二台のモータ112にそれぞれ接続される構成を説明する。また、インバータ31は、制御基板11の制御部からの運転指令に基づいてモータ112を駆動することで、ポンプを低速運転及び可変速制御運転が可能に形成されている。
【0032】
インバータ31は、モータ112の回転速度を可変可能に形成されている。また、インバータ31は、温度サーマル及び電子サーマルを有し、これら温度サーマル及び電子サーマルの故障の前に停止する機能、及び、当該停止状態を表示部28に表示する機能を有している。
【0033】
インバータ31は、ヒートシンクが外表面に形成された発熱部37を有している。なお、この発熱部37は、インバータ31の一方側に配置される。インバータ31は、取付手段13に固定されるとともに、当該取付手段13を介して背面板23の第1被取付部25Aに固定される。
【0034】
漏電ブレーカー32は、インバータ31にそれぞれ設けられる。漏電ブレーカー32は、インバータ31の故障時に、電気回路を遮断することで電力の供給を遮断する。なお、漏電ブレーカー32は、少なくともインバータ31の交換時に、インバータ31への電力の供給を遮断可能であればよい。漏電ブレーカー32は、取付手段13に固定されるとともに、当該取付手段13を介して背面板23の第2被取付部25Bに固定される。
【0035】
ノイズフィルタ33は、高調波成分を除去するコイル及びコンデンサを備える複合回路部品と、外来サージを吸収するアレスタと、を備えている。また、ノイズフィルタ33は、外部からの電源入力端子台と、ポンプのヒータ等をON−OFF可能なスイッチと、漏電ブレーカー32及び制御基板11に電力を供給する端子台と、を備えている。また、ノイズフィルタ33は、これら複合回路部品と、アレスタと、電源入力端子台と、スイッチと、端子台とを配置し、且つ、背面板23に固定される支持台39を備えている。
【0036】
直流リアクトル34は、高調波成分の抑制とインバータ31の電源側の入力力率改善が可能に形成されている。直流リアクトル34は、各インバータ31にそれぞれ接続され、背面板23に固定される。なお、直流リアクトル34は、冷却ファン35に近接して配置される。
【0037】
冷却ファン35は、背面板23に固定される。冷却ファン35は、制御基板11に接続され、インバータ31の温度や筐体10内の温度に基づいてその駆動及び停止の制御がなされる。
【0038】
取付手段13は、インバータ31を背面板23に固定する複数の取付部材41と、インバータ31以外の電気部品12を背面板23に固定する締結部材と、を備えている。取付部材41は、背面板23に沿って設けられインバータ31の発熱部37と対向する開口43aを有する排熱板43と、背面板23に固定されるとともに、インバータ31の発熱部37を固定する一対の吊下部材44である。排熱板43及び吊下部材44は、金属材料により一体に形成されている。
【0039】
吊下部材44は、排熱板43の両側端に設けられる。吊下部材44は、発熱部37の両側面に嵌合又は締結部材による締結等により固定される。吊下部材44は、その上下端側であって、背面板23と対向する部位(前面)に突出部45を備えている。突出部45は、その下面と吊下部材44の前面との稜部に、重力方向に伸びる溝部46を有する。
【0040】
図10及び図11に示すように、取付部材41が取り付く背面板23の第1被取付部25Aは、吊下部材44の上端側に設けられた突出部45をそれぞれ挿通させる切欠部51と、インバータ31及び吊下部材44の下端側に設けられた突出部45を挿通させる開口部52と、を備えている。即ち、第1被取付部25Aは、背面板23に形成された開口である。切欠部51は、その幅が突出部45と同一又は突出部45の幅よりも若干広く形成される。
【0041】
また、背面板23の切欠部51の下端部、及び、開口部52の下端部の厚みが溝部46の幅と略同一に形成されている。切欠部51及び開口部52は、突出部45の挿通後、上方の突出部45の溝部46と切欠部51の下端部、及び、下方の突出部45の溝部46と開口部52の下端部とが、それぞれ嵌合可能に形成されている。即ち、切欠部51及び開口部52は、突出部45と嵌合する嵌合部である。
【0042】
なお、切欠部51が背面板23に設けられたカバー26に位置する場合には、切欠部51は、背面板23及びカバー26の両方に亘って設けられる。また、溝部46は、背面板23及びカバー26に形成された切欠部51の下端部の厚みと略同一に形成されていればよい。
【0043】
このように構成されたポンプ装置100は、制御盤1の複数の電気部品12のインバータ31が、取付部材41により筐体10の背面側から背面板23に固定することが可能となる。以下、電気部品12の一である、インバータ31の取付けについて説明する。
【0044】
先ず、インバータ31の発熱部37の側面を、一対の吊下部材44に固定させる。次に、図4乃至図9及び図12に示すように、インバータ31が固定された吊下部材44の突出部45,45を、対応する切欠部51及び開口部52に挿入させる。
【0045】
切欠部51及び開口部52に突出部45,45が挿入した状態で、インバータ31を重力方向に移動させて、溝部46と切欠部51及び開口部52の下端部とをそれぞれ嵌合させる。この嵌合により、インバータ31は、背面板23に固定される。
【0046】
このとき、インバータ31の前後方向の重い側に溝部46を中心とした回転モーメントが加わり、当該回転モーメントにより、溝部46の内面及び/又は吊下部材44の前面と背面板23の外面とが互いに当接する。
【0047】
このように、インバータ31が固定された一対の吊下部材44を背面板23に吊下げることで、インバータ31の自重による重力方向の力と溝部46を支点とした回転モーメントとにより、背面板23に取付部材41が固定され、背面板23にインバータ31が固定される。これにより、インバータ31が固定された取付部材41は、背面板23に、重力方向、背面板23の面方向、並びに、重力方向及び背面板23の面方向と直交する方向(背面板23に対して離接する方向)の3軸方向で固定される。
【0048】
このようにインバータ31を背面板23に取付部材41を介して固定後、図5に示すように、インバータ31と接続配線36を接続させる。
【0049】
このように構成されたポンプ装置100によれば、制御盤1は、筐体10の背面側から電気部品12を取付けることが可能となるため、電気部品12の着脱が容易となる。具体的に説明すると、電気部品12を制御盤1の正面側から見た場合に、図4に示すように、電気部品12とオーバーラップする状態で、接続配線36が配置される。
【0050】
図13に示すように、従来の技術においては、電気部品200の故障等において、当該故障した電気部品200を交換するときは、接続配線201と電気部品200の接続を解除し、接続配線201はそのままで電気部品200を取付板202から取り外す。この電気部品200を筐体10の正面からを取り出す場合には、図9に示すように接続配線201を折り曲げる必要があり、また、故障した電気部品200が接続配線201と干渉する場合がある。
【0051】
しかし、本発明の制御盤1は、筐体10の背面側から電気部品12を挿入し、且つ、背面側(背面板23)に取付部材41を介して電気部品12を固定する構成であるため、接続配線36と電気部品12との接続を解除後、電気部品12は、筐体10の背面側から取り外せばよい。即ち、電気部品12の取り外しにおいて、接続配線36との干渉を防止することが可能となり、作業性の向上が可能となる。
【0052】
また、制御盤1は、取付手段13を筐体10の被取付部25に取り付けるだけでよく、位置決め及び取付が容易となり、電気部品12の背面板23への組立作業の作業性の向上となる。特に、組立作業については、作業者の熟練度に係らず、溝部46を切欠部51及び開口部52に挿入するだけで、電気部品12の位置決めがされるため、品質の確保が容易となる。
【0053】
また、制御盤1は、取付手段13への電気部品12の取付によって、必要に応じて、電気部品12の一部を筐体10の外側に配置することも可能となる。即ち、電気部品12の高温となる部位を筐体10の外側に配置することで、筐体10内の温度上昇を防止することが可能となる。
【0054】
具体的に説明すると、制御盤1は、例えば、電気部品12の一であるインバータ31の取付において、取付部材41の吊下部材44にインバータ31の発熱部37を固定する。このインバータ31が固定された取付部材41を、当該発熱部37を筐体10の外側に配置し、且つ、他部を筐体10の内部に配置させて背面板23に吊下げる構成とすることで、発熱部37を筐体10の外側に位置させることが可能となる。
【0055】
また、取付部材41は、排熱板43に開口43aを設けることで、発熱部37を極力外気に曝露することが可能となる。このため、発熱部37を効率よく冷却することが可能となる。
【0056】
特に、インバータ31は、その発熱量が他の電気部品12に比べて大であり、このため、インバータ31の発熱部37を筐体10の外に配置させることで、制御盤1内の温度上昇を抑えるとともに、効率的な冷却が可能となる。これにより、他の電気部品12への熱影響を低減させ、制御盤1(各電気部品12)の寿命の低下を防止することが可能となる。
【0057】
また、インバータ31等の重量が比較的重い電気部品12の場合には、従来では筐体10の背面を下方となるように横置きさせて、電気部品12の着脱を行っていた。しかし、本願発明の制御盤1のように、筐体10の背面板23に取付部材41により電気部品12を吊下げることで、当該電気部品12を筐体10に固定させる際に、筐体10を横置きとする必要がない。
【0058】
また、取付部材41により電気部品12が背面板23に吊下げられるため、当該吊下後に電気部品12を作業する場合に、作業者が電気部品12を支持する必要が殆どない。このように、取付部材41を使用することで、比較的重い電気部品12を容易に筐体10に固定可能となる。
【0059】
さらに、上述したように電気部品12の取り外しにおいて、接続配線36との干渉を防止可能、且つ、熱影響を極力防止可能とすることで、各電気部品12を互いに近接させて配置することが可能となる。これにより、電気部品12の収納スペース(筐体10)の小型化となるとともに、電気部品12の配置の自由度が向上し、結果、制御盤1の小型化が可能となる。
【0060】
上述したように本実施の形態に係る制御盤1及びポンプ装置100によれば、取付部材41によって、制御盤1の背面側からに電気部品12を制御盤1内に挿入し、且つ、固定することで、熱影響及び接続配線の干渉を防止可能、且つ、小型化が可能となる。
【0061】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、取付手段13の取付部材41は、突出部45を切欠部51及び開口部52に挿入して吊下げ、溝部46を切欠部51及び開口部52の下端部(背面板23)に嵌合させて、電気部品12を固定させる構成を説明したが、これに限定されない。
【0062】
例えば、取付部材41を、溝部46と背面板23とを嵌合させたあと、さらに、締結部材により背面板23に電気部品12及び/又は取付部材41を固定する構成であってもよい。これにより、取付部材41及び電気部品12がより強固に筐体10に固定されることとなる。また、取付部材41は、背面板23に吊下げられる構成であるため、締結部材で締結する際に取付部材41を支える等の必要がなく、吊下げ後の締結部材による締結作業の作業性がよい。
【0063】
さらに、上述した例では、電気部品12のうち、インバータ31を取付部材41により筐体10に取り付ける構成を説明したが、これに限定されない。他の電気部品12を取付部材41により背面板23に固定させてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…制御盤、10…筐体、11…制御基板、12…電気部品、21…箱体、22…カバー、23…背面板、24…ヒンジ部、25…被取付部、25A…第1被取付部、25B…第2被取付部、27…電装部、28…表示部、31…インバータ、32…漏電ブレーカー、33…ノイズフィルタ、34…直流リアクトル、35…冷却ファン、36…接続配線、37…発熱部、39…支持台、41…取付部材、44…吊下部材、45…突出部、46…溝部、47…取付板、51…切欠部(嵌合部)、52…開口部(嵌合部)、54…開口部、55…挿通孔、100…ポンプ装置、101…ポンプ部、110…ベース部、111…架台、112…モータ、113…ポンプ、114…カバー、115…吸込管、116…吐出管、200…電気部品、201…接続配線、202…取付板、210…電気部品、211…電気的機能部、212…ターミナル部、B…締結部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その背面が開口する筐体と、
前記筐体内に配置される電気部品と、
前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板と、
前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材と、
を備えることを特徴とする制御盤。
【請求項2】
前記取付部材は、前記電気部品の一部に固定された板状の一対の吊下部材と、前記吊下部材の前面に設けられた突出部と、前記突出部の下面と前記吊下部材の前面との稜部に重力方向に沿って設けられた前記背面板を嵌合可能な溝部と、を具備し、
前記背面板は、前記突出部を挿通させる開口であって、前記溝部をその開口の下端部と嵌合させる嵌合部を具備することを特徴とする請求項1に記載の制御盤。
【請求項3】
前記吊下部材に固定される前記電気部品は、その一方側に発熱部を有するインバータであり、
前記吊下部材は、前記発熱部を固定し、前記開口部から前記インバータの他方側を前記筐体内へ挿通させることを特徴とする請求項2に記載の制御盤。
【請求項4】
モータと、
モータにより流体を圧送するポンプと、
その背面が開口する筐体、前記筐体内に配置され、前記モータ又は前記ポンプと接続された電気部品、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板、及び、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材を具備する前記モータを制御する制御盤と、
を備えることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
前記取付部材は、前記電気部品の一部に固定された板状の一対の吊下部材と、前記吊下部材の前面に設けられた突出部と、前記突出部の下面と前記吊下部材の前面との稜部に重力方向に沿って設けられた前記背面板を嵌合可能な溝部と、を具備し、
前記背面板は、前記突出部を挿通させる開口であって、前記溝部をその開口の下端部と嵌合させる嵌合部を具備することを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記吊下部材に固定される前記電気部品は、その一方側に発熱部を有するインバータであり、
前記吊下部材は、前記発熱部を固定し、前記開口部から前記インバータの他方側を前記筐体内へ挿通させることを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
【請求項1】
その背面が開口する筐体と、
前記筐体内に配置される電気部品と、
前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板と、
前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材と、
を備えることを特徴とする制御盤。
【請求項2】
前記取付部材は、前記電気部品の一部に固定された板状の一対の吊下部材と、前記吊下部材の前面に設けられた突出部と、前記突出部の下面と前記吊下部材の前面との稜部に重力方向に沿って設けられた前記背面板を嵌合可能な溝部と、を具備し、
前記背面板は、前記突出部を挿通させる開口であって、前記溝部をその開口の下端部と嵌合させる嵌合部を具備することを特徴とする請求項1に記載の制御盤。
【請求項3】
前記吊下部材に固定される前記電気部品は、その一方側に発熱部を有するインバータであり、
前記吊下部材は、前記発熱部を固定し、前記開口部から前記インバータの他方側を前記筐体内へ挿通させることを特徴とする請求項2に記載の制御盤。
【請求項4】
モータと、
モータにより流体を圧送するポンプと、
その背面が開口する筐体、前記筐体内に配置され、前記モータ又は前記ポンプと接続された電気部品、前記筐体の背面の開口を閉塞するとともに、前記電気部品を挿通可能な開口部を有する背面板、及び、前記電気部品を固定し、且つ、前記固定した前記電気部品を前記開口部から挿通させるとともに、前記背面板に固定される取付部材を具備する前記モータを制御する制御盤と、
を備えることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
前記取付部材は、前記電気部品の一部に固定された板状の一対の吊下部材と、前記吊下部材の前面に設けられた突出部と、前記突出部の下面と前記吊下部材の前面との稜部に重力方向に沿って設けられた前記背面板を嵌合可能な溝部と、を具備し、
前記背面板は、前記突出部を挿通させる開口であって、前記溝部をその開口の下端部と嵌合させる嵌合部を具備することを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記吊下部材に固定される前記電気部品は、その一方側に発熱部を有するインバータであり、
前記吊下部材は、前記発熱部を固定し、前記開口部から前記インバータの他方側を前記筐体内へ挿通させることを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−58633(P2013−58633A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196406(P2011−196406)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(502002407)川本電産株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(502002407)川本電産株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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