説明

制御装置およびデータ処理装置

【課題】HDDを有するデータ処理装置において、HDDの寿命を損ねることなく節電効果を向上させる。
【解決手段】HDDの所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定されている場合、所定期間内にHDDの電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値を格納しておき、HDDを電源オフする旨の要求が入力されると、格納されている許容値が残っている場合にHDDの電源をオフする。そして、HDDの電源がオフされた場合に格納されている許容値を減じる。所定期間が経過した場合、所定期間が経過した時に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDD(Hard Disk Drive)装置を制御するための制御装置および、HDD装置を備えたデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や印刷装置等の画像処理装置では、処理しようとする画像データを格納するためにHDDが用いられるものがある。このHDDでは、ディスクの起動/停止の制御はモータにより行われている。このHDDに設けられているモータの寿命は他の部品と比較して短く、その寿命は作動する回数によって大きな影響を受ける。そのため、HDDの電源オン/オフの回数には、モータ寿命を考慮した制限が設けられている。例えば、96回/24時間という性能仕様が定められている場合、24時間における電源オン/オフ回数が96回を越えないようにする必要がある。
【0003】
また、複写機等の画像処理装置では、一定時間以上何の処理も行われない場合、印刷モジュールのような消費電力の大きなモジュールを電源オフとすることにより消費電力の削減を図る節電モード(省エネモード)が設けられている。そして、HDDの消費電力も比較的大きいため、節電モードに移行した場合には、HDDの電源もオフされることになる。
【0004】
しかし、節電モードに移行する毎にHDDの電源もオフするように制御すると、画像処理装置が節電モードに煩雑に移行するような使い方をされた場合、HDDの電源も煩雑にオン/オフされることになってしまう。その結果、HDDの電源オン/オフ回数の規定を遵守することができなくなり、HDDの寿命を短くしてしまうことになる。
【0005】
このような頻繁な節電モードへの移行・復帰によるHDD寿命への悪影響を防止するために、ディスクの起動回数と停止回数情報を管理し、所定回数に近づいた場合にユーザに通知し、電源の遮断を制限する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、この特許文献1に開示されて方法では、所定期間に所定回数の設定がHDD仕様に応じて設定されるのみであり、ユーザの使用環境によっては、十分に節電効果が得られない。
【0007】
【特許文献1】特開2004−157961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術では、HDD等の記憶装置の電源オン/オフの規定は遵守されるが、十分な節電効果を得ることができない場合があるという問題点があった。
【0009】
本発明の目的は、HDD等の記憶装置の寿命を損ねることなく節電効果を向上することが可能なデータ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[制御装置]
上記目的を達成するために、本発明の制御装置は、所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置を制御する制御装置であって、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間が経過した場合、前記格納手段に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段とを有する。
【0011】
本発明では、所定期間が経過した際に、格納手段に残っていた許容値に、所定期間毎に設定されている許容値を加算した値が新たな許容値として格納手段に設定される。従って、本発明によれば、記憶装置に許容される電源オンまたはオフ回数の規定の範囲内で記憶装置の電源がオフされる確率が高くなり、節電効果が向上する。
【0012】
また、本発明の制御装置は、所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置を制御する制御装置であって、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間の開始時刻と電源がオンされた時刻との差から、前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したと判定された場合、所定期間を経過した回数に応じた許容値を前記格納手段に対して設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段とを有する。
【0013】
本発明では、記憶装置の電源オフ中に所定期間が経過した場合、所定期間を経過した回数(所定期間をまたいだ回数)に応じた許容値が格納手段に設定される。従って、本発明によれば、記憶装置に許容される電源オンまたはオフ回数の規定の範囲内で記憶装置の電源がオフされる確率が高くなり、節電効果が向上する。
【0014】
好ましくは、前記設定手段は、所定期間を経過した回数に所定期間毎に設定されている許容値を乗算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する。
【0015】
また、好ましくは、前記記憶装置を電源オフする旨の要求が入力されると、前記格納手段に格納されている許容値が残っている場合に前記記憶装置の電源をオフするよう制御する電源制御手段をさらに有する。
【0016】
また、好ましくは、前記所定期間および該所定期間何に許容される電源オンまたはオフ回数を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記設定手段は、前記受付手段により受け付けられた所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数に基づいて前記格納手段に許容値の設定を行う。
【0017】
本発明によれば、所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数を任意に設定することができる。
【0018】
[データ処理装置]
本発明のデータ処理装置は、所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置と、
前記記憶装置を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間が経過した場合、前記格納手段に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段とを有する。
【0019】
また、本発明のデータ処理装置は、所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置と、
前記記憶装置を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間の開始時刻と電源がオンされた時刻との差から、前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したと判定された場合、所定期間を経過した回数に応じた許容値を前記格納手段に対して設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段とを有する。
【0020】
好ましくは、前記設定手段は、所定期間を経過した回数に所定期間毎に設定されている許容値を乗算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する。
【0021】
また、好ましくは、前記記憶装置を電源オフする旨の要求が入力されると、前記格納手段に格納されている許容値が残っている場合に前記記憶装置の電源をオフするよう制御する電源制御手段をさらに有する。
【0022】
また、好ましくは、前記制御装置は、前記所定期間および該所定期間何に許容される電源オンまたはオフ回数を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記設定手段は、前記受付手段により受け付けられた所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数に基づいて前記格納手段に許容値の設定を行う。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、記憶装置に許容される電源オンまたはオフ回数の規定の範囲内で記憶装置の電源がオフされる確率が高くなり、節電効果を向上することができるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の画像処理システム10の構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、画像処理システム10は、ネットワーク16を介して接続された画像処理装置12および端末装置14を含む。端末装置14は、印刷ジョブ等の印刷データを生成して、画像処理装置12に対して送信する。画像処理装置10は、端末装置12から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を印刷用紙上に出力する。本実施形態における画像処理装置12は、印刷機能、ファクシミリ機能および複写機能を備えた複合機である。
【0026】
次に、本実施形態の画像処理装置12のハードウェア構成を図2に示す。
画像処理装置12は、図2に示されるように、読取モジュール20と、印刷モジュール22と、操作パネルモジュール24と、コントロールモジュール26と、インタフェース部28と、電源供給部30とから構成されている。
【0027】
また、コントロールモジュール26は、ROM32と、CPU34と、RAM36と、記憶装置であるHDD38と、モジュール制御部40と、インタフェース制御部42とから構成されている。そして、これらの構成要素は、制御バス44を介して互いに接続されている。
【0028】
HDD38は、所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置である。
CPU34は、ROM32、RAM36またはHDD38に格納された画像処理プログラムに基づいて所定の処理を実行して、コントロールモジュール26の動作を制御する。
【0029】
図3は、上記の画像処理プログラムが実行されることにより実現されるコントロールモジュール26の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
本実施形態におけるコントロールモジュール26は、図3に示されるように、制御装置50と、送受信部51とを備えている。
そして、制御装置50は、タイマ61と、許容値設定部62と、許容値受付部63と、動作モード管理部64と、電源制御部65と、許容値格納部66とを有している。
【0031】
タイマ61は、設定されたタイマ値を一定間隔で減算することにより時間を測定する。具体的には、タイマ61は、通常状態から第1節電モードに移行するための時間を測定する第1節電モード移行タイマ、第1節電モードから第2節電モードに移行するための時間を測定する第2節電モード移行タイマ、許容値を更新する所定期間を測定する所定期間計時タイマ等により構成される。
【0032】
動作モード管理部64は、画像処理装置12の動作モードを管理していて、選択した動作モードに基づいて電源制御部65を制御することによりHDD38、読取モジュール20、印刷モジュール22等の各モジュールの電源のオン/オフを管理する。
【0033】
許容値格納部66は、所定期間内にHDD38の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される。
【0034】
許容値設定部62は、所定期間が経過した場合、所定期間が経過した時に許容値格納部66に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として許容値格納部66に設定する。
【0035】
また、許容値設定部62は、HDD38の電源がオフされた場合に許容値格納部66に格納されている許容値を減じる減算手段として機能する。
【0036】
電源制御部65は、HDD38を電源オフする旨の要求が入力されると、許容値格納部66に格納されている許容値が残っている場合にHDD38の電源をオフするよう制御する。
【0037】
許容値受付部63は、所定期間および所定期間何に許容される電源オンまたはオフ回数を、操作パネルも24から受け付ける。
【0038】
所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数は予め設定された固定値を用いてもよいが、許容値設定部62は、許容値受付部63により受け付けられた所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数に基づいて許容値格納部66に許容値の設定を行うようにしてもよい。
【0039】
次に、本実施形態の画像処理装置12が取り得る動作モードについて説明を行なう。本実施形態の画像処理装置12には、動作モードとして、以下に示すような、通常状態、第1から第3の節電モードの4つの動作モードが設定されている。
【0040】
(1)通常状態
通常状態とは、全てのモジュールが通電状態となっている状態を示している。
【0041】
(2)第1の節電モード
第1の節電モードとは、例えば、読取モジュール20、操作パネルモジュール24の電源供給を停止し、読取モジュール20および操作パネルモジュール24に関連するコントロールモジュール26内の部位の動作を停止した状態をいう。この第1の節電モードでは、印刷モジュール22の電源はオンのままであるため、印刷が指示された場合には直ぐに印刷処理を実行することが可能である。その代わり、消費電力の削減量は、第2の節電モードと比較して少ない。
【0042】
(3)第2の節電モード
第2の節電モードとは、第1の節電モードよりさらに印刷モジュール22、印刷モジュール22に関連するコントロールモジュール26内の部位の動作およびHDD38を停止した状態をいう。この第2の節電モードでは、印刷モジュール22やHDD38までもが電源オフの状態となるため、大幅な消費電力の削減を実現することが可能であるが印刷指示を受けた場合、印刷処理を実行するためには復帰時間が必要となり直ぐには印刷処理を実行することはできない。
【0043】
(4)第3の節電モード
第3の節電モードとは、第2の節電モードにおいて、HDD38のみに電源供給を行った状態をいう。つまり、消費電力が大きな印刷モジュール22の電源はオフしたままでHDD38のみが電源オンされる。
【0044】
本実施形態の画像処理装置12では、何の操作も行われなかった場合、通常状態→第1の節電モード→第2の節電モードの順に動作モードが移行して消費電力を削減している。そして、第2の節電モードに移行した後に、HDD38に対するアクセスが発生した場合、他のモジュールの電源をオンすることなくHDD38のみの電源をオンして要求された処理を実行するのが第3の節電モードである。例えば、端末装置14上のアプリケーションからネットワーク16を介してHDD38内に格納されたログ情報等を取得する場合、読取モジュール20、印刷モジュール22等の電源はオフしたままHDD38のみに電源をオンすることで処理が実現される。
【0045】
なお、第3の節電モードから第2の節電モードに移行するためには、ある一定のタイマを設けてもよいし、HDD38にアクセスする処理が終了すると直ぐに移行するようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態の画像処理装置12の動作を図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
先ず、動作モード管理部64による動作モードの管理方法を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
画像処理装置12の電源がオンされた場合、動作モード管理部64は、動作モードを通常状態とする(S101)。そして、第1の節電モード移行タイマが0となるまで外部から何の処理も行われなかった場合(S102)、動作モード管理部64は、動作モードを第1の節電モードに移行させる(S103)。第1の節電モードに移行した後に復帰要求がないまま(S104)、第2の節電モード移行タイマが0となった場合(S105)、許容値設定部62は、許容値格納部66に格納されている許容値を1減算し(S106)、動作モード管理部64は、動作モードを第2の節電モードに移行させる(S107)。
【0049】
例えば、第1の節電モード移行タイマのタイマ時間が15分で、第2の節電モード移行タイマが45分であったとする。この場合には、何の処理も行われない期間が15分を超えると、画像処理装置12は、通常状態から第1の節電モードに移行し、その状態がさらに45分継続すると第1の節電モードから第2の節電モードに移行する。
【0050】
このような第2の節電モード中に復帰要求があった場合(S108)、動作モード管理部64は、HDD38のみ電源オンすれば処理が可能な処理であるか否かを判定する(S109)。そして、HDD38のみ電源オンしただけでは処理することは不可能な処理だと判定した場合、動作モード管理部64は、動作モードを通常状態に移行して要求された処理が実行できるようにする(S101)。
【0051】
S109において、HDD38のみ電源オンしただけで処理することが可能であると判定した場合、動作モード管理部64は、動作モードを第3の節電モードに移行する(S110)。この第3の節電モードに移行することにより、電源制御部65は、第2の節電モードからHDD38の電源のみをオンさせる。
【0052】
そして、第3節電モード中に復帰要求があった場合(S111)、動作モード管理部64は、動作モードを通常状態に移行する(S101)。そして、第3節電モード中に復帰要求がなかった場合(S111)、許容値設定部62は、許容値格納部66に格納されている許容値を確認して0より大きいか否かを判定する(S112)。そして、許容値が0より大きい場合には、許容値設定部62は、許容値格納部66に格納されている許容値を減算し(S113)、動作モード管理部64は、動作モードを第2節電モードに移行する(S107)。
【0053】
次に、本実施形態の画像処理装置12における許容値の設定動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
先ず、画像処理装置12の電源が最初にオンされた場合、許容値設定部62は、許容値格納部66に許容値を設定する(S201)。ここでは、所定期間Aとして1時間が設定され、この所定期間A内にHDD38の電源をオフすることが許容される回数が4回である場合を用いて説明を行なう。つまり、許容値設定部62は、所定期間A毎に許容値格納部66に“4”という値をセットするものとする。
【0055】
許容値のセットが終了すると、許容値設定部62は、所定期間A計時タイマをセットする(S202)。ここでは、1時間に相当するタイマ値がセットされるものとする。
【0056】
そして、所定期間A計時タイマのタイマ値が減算され0になるまでの期間が経過すると(S203)、許容値設定部62は、所定期間A計時タイマのタイマ値をリセットし(S204)、許容値格納部66に格納されている許容値の値が“4”となるように再セットする(S205)。
【0057】
さらに、前回の許容値に残量があったか否かが判定され(S206)、残量があった場合、許容値設定部63は、現在許容値格納部66に設定されている許容値“4”に、残量分の値を加算する(S207)。S206において、残量がなかった場合には、許容値格納部66に設定されている許容値は“4”のままとなる。
【0058】
次に、上記で説明した本実施形態の画像処理装置12の動作を図6を参照して説明する。図6の時刻t1において、許容値が“4”に設定された場合、時刻t2においてHDD38の電源がオフされることにより許容値は1減算されて“3”となる。として、時刻t3において何らかの復帰要求があり、HDD38の電源がオンされた状態で時刻t4において所定期間Aが経過すると、その時点において残っていた許容値“3”と、所定期間A毎に設定される許容値“4”とを加算した値“7”が新たな許容値として設定されることになる。
【0059】
つまり、所定期間A毎に設定されている許容値“4”が、その所定期間A内に全て使用されずに残った場合、次の所定期間Aに対して設定される許容値に対して繰り越されて加算されることになる。
【0060】
このような許容値の繰り越しが行われることにより、図6に示した例では、次の所定期間Aにおいて7回までHDD38の電源をオフすることが可能となり、4回までしか電源をオフすることが許されなかった場合と比較して、第3の節電モードから第2の節電モードに移行する可能性が高くなる。その結果、より高い節電効果を得ることが可能となる。
【0061】
そして、このような制御が行われることによっても電源オフの頻度が4回/時間という規定は守られるため、HDD38の寿命を短くすることなく節電効果を向上することが可能となる。
【0062】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の画像処理装置について説明する。
【0063】
上記で説明した第1の実施形態では、所定期間毎に設定される許容値がある所定期間が終了した時点において残っていた場合、次の所定期間における許容値には残量値を加算した値を設定するものであった。
【0064】
本実施形態では、所定期間をまたぐような長期間において電源がオフされたような場合、電源オフの期間に応じた許容値を設定する。
【0065】
本実施形態における許容値設定部62は、第1の実施形態における許容値設定部62の機能に加えて、所定期間の開始時刻と、HDD38の電源がオンされた時刻との差から、HDD38の電源がオフされていた間に所定期間が経過したか否かを判定する機能と、HDD38の電源がオフされていた間に所定期間が経過したと判定された場合、所定期間を経過した回数に応じた許容値を許容値格納部66に対して設定する。
【0066】
具体的には、許容値設定部62は、所定期間を経過した回数に所定期間毎に設定されている許容値を乗算した値を、新たな許容値として許容値格納部66に設定する。
【0067】
本実施形態の画像処理装置の初回電源オン時の動作を図7のフローチャートに示す。図7に示したフローチャートは、図5に示したフローチャートに対して、ステップS301〜S304を追加したものである。なお、図7において、図5中のステップと同一内容のステップには同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0068】
先ず、画像処理装置12の電源が最初に投入された場合、許容値設定部62は、電源が投入された時刻を所定期間開始時刻αとして保存する(S301)。そして、許容値設定部62は、許容値格納部66に許容値を設定し(S201)、所定期間A計時タイマをセットする(S202)。
【0069】
HDD38の電源オフが検知されなない場合(S302)、第1の実施形態と同様の処理が行われる(S203〜S207)。ただし、本実施形態では、所定期間が終了する毎に、現在の時刻により所定期間開始時刻αが更新される(S303)。
【0070】
そして、HDD38の電源オフが検知された場合(S302)、許容値設定部62は、許容値格納部66に格納された許容値を1減算して処理を終了する(S304)。
【0071】
また、本実施形態の画像処理装置の、初回以外の電源オン時の動作を図8のフローチャートに示す。
【0072】
図7のフローチャートにより示す処理が行われた後に電源がオンされた場合、許容値設定部62は、現在の時刻を電源投入時刻βとして保存する(S401)。として、所定期間開始時刻αと電源投入時刻βとの差(β−α)が、所定期間Aよりも長いか否かを判定することにより、電源オフの期間が所定期間をまたいだか否かを判定する(S402)。
【0073】
S402において電源オフの期間が所定期間をまたいだと判定された場合、許容値設定部62は、電源オフの期間が所定期間Aをまたいだ回数nを下記の式により算出する(S403)。
n=(β−α)/A
【0074】
そして、許容値設定部62は、所定期間Aをまたいだ回数n分の許容値を、現在の許容値に加算する(S404)。
【0075】
最後に、許容値設定部62は、所定期間A計時タイマに(n+1)A−(β−α)分のタイマ値を設定する(S406)。
【0076】
また、S402において電源オフの期間が所定期間をまたいでいないと判定された場合、許容値設定部62は、電源オフの期間が所定期間Aをまたいだ回数n=0とする(S405)。そして、許容値設定部62は、所定期間A計時タイマに(n+1)A−(β−α)、つまりA−(β−α)分のタイマ値を設定する(S406)。
【0077】
本実施形態の画像処理装置の具体的な動作を図9、図10を参照して説明する。
【0078】
図9は、本実施形態の画像処理装置における、電源オフ期間が所定期間を超えない場合の動作を説明するための図である。また、図10は、本実施形態の画像処理装置における、電源オフ期間が所定期間を超える場合の動作を説明するための図である。
【0079】
図9では、時刻t1において所定期間開始時刻αが保存され、時刻t2においてHDD38の電源がオフされている。そして、時刻t3においてHDD38の電源がオンされ、この時刻t3が電源投入時刻βとして保存されている。
【0080】
そのため、許容値設定部62は、電源投入時刻βと所定期間開始時刻αとの差、つまり時刻t3−t1を算出し、この差が所定期間Aよりも長いか否かを判定する。図9では、この差β−αは所定期間Aよりも短いため、許容値設定部62は、HDD38が電源オフの間に、所定期間は経過していないと判定する。そして、許容値設定部62は、A−(β−α)に相当するタイマ値を所定期間経時タイマに設定する。なお、時刻t4において所定期間が終了すると、第1の実施形態の場合と同様に、残存許容値3が、所定期間A毎の許容値4に加算されて許容値格納部66に格納されている。
【0081】
また、図10では、時刻t1において所定期間開始時刻αが保存され、時刻t2までにHDD38の電源のオン/オフが4回実行されている。そのため、時刻t2において許容値は0となっている。そして、時刻t3においてHDD38の電源がオフされ、この時刻t3が電源投入時刻βとして保存されている。
【0082】
そのため、許容値設定部62は、電源投入時刻βと所定期間開始時刻αとの差、つまり時刻t3−t1を算出し、この差が所定期間Aよりも長いか否かを判定する。図10では、この差β−αは所定期間Aよりも長いため、許容値設定部62は、HDD38が電源オフの間に、所定期間が経過したと判定する。そのため、許容値設定部62は、電源オフの間に所定期間を経過した回数nを(β−α)/Aにより算出する。ここでは、(β−α)/Aの少数部分を切り捨てることにより、n=2という値が得られる。そのため、許容値設定部62は、2×4(所定期間毎に設定されている許容値)=8という値を許容値として許容値格納部66に設定する。最後に、許容値設定部62は、3×A−(β−α)に相当するタイマ値を所定期間経時タイマに設定する。
【0083】
なお、所定期間Aは、あくまでも初回電源オンから最後まで一定の間隔で計時されるものであり、電源オフ期間、所定期間A内での複数の電源オン/オフによって左右されるものではない。つまり、図9、図10中の時刻t2、時刻t3から再度所定期間Aの計時がスタートするものではない。
【0084】
本実施形態の画像処理装置では、電源オフ中に所定期間Aが経過した場合、所定期間Aを経過した回数(所定期間をまたいだ回数)に応じた許容値が許容値格納部66に設定される。従って、本実施形態の画像処理装置によれば、HDD38に許容される電源オンまたはオフ回数の規定の範囲内でHDD38の電源がオフされる確率が高くなり、節電効果が向上する。
【0085】
[変形例]
さらに、上記実施形態では、画像データを処理するための画像処理装置に本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばHDD装置を備えた電子計算機等のように、電源オン/オフにより寿命が短くなるような記憶装置を備えたデータ処理装置であれば同様に本発明を適用することができるものである。このようなデータ処理装置は、HDD装置と、このHDD装置を制御するための制御装置とを有し、この制御装置が上記で説明した処理を行うことにより本発明は実現される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像処理システム10の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像処理装置12のハードウェア構成を示す図である。
【図3】コントロールモジュール26の機能構成を示すブロック図である。
【図4】動作モード管理部64による動作モードの管理方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】許容値設定部62による許容値の設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態の画像処理装置12の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の画像処理装置の初回電源オン時の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の画像処理装置の電源オン時の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態の画像処理装置における、電源オフ期間が所定期間を超えない場合の動作を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像処理装置における、電源オフ期間が所定期間を超える場合の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
10 画像処理システム
12 画像処理装置
14 端末装置
16 ネットワーク
20 読取モジュール
22 印刷モジュール
24 操作パネルモジュール
26 コントロールモジュール
28 インタフェース部
30 電源供給部
32 ROM
34 CPU
36 RAM
38 HDD(Hard Disk Drive)
40 モジュール制御部
42 インタフェース制御部
44 制御バス
50 制御装置
51 送受信部
61 タイマ
62 許容値設定部
63 許容値受付部
64 動作モード管理部
65 電源制御部
66 許容値格納部
S101〜S113 ステップ
S201〜S207 ステップ
S301〜S304 ステップ
S401〜S406 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置を制御する制御装置であって、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間が経過した場合、前記格納手段に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段と、
を有する制御装置。
【請求項2】
所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置を制御する制御装置であって、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間の開始時刻と電源がオンされた時刻との差から、前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したと判定された場合、所定期間を経過した回数に応じた許容値を前記格納手段に対して設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段と、
を有する制御装置。
【請求項3】
前記設定手段は、所定期間を経過した回数に所定期間毎に設定されている許容値を乗算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記記憶装置を電源オフする旨の要求が入力されると、前記格納手段に格納されている許容値が残っている場合に前記記憶装置の電源をオフするよう制御する電源制御手段をさらに有する請求項1から3のいずれか1項記載の制御装置。
【請求項5】
前記所定期間および該所定期間何に許容される電源オンまたはオフ回数を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記設定手段は、前記受付手段により受け付けられた所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数に基づいて前記格納手段に許容値の設定を行う請求項1から4のいずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置と、
前記記憶装置を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間が経過した場合、前記格納手段に格納されていた残存許容値と所定期間毎に設定されている許容値とを加算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段と、
を有するデータ処理装置。
【請求項7】
所定期間内の電源オンまたはオフ回数の上限が規定された記憶装置と、
前記記憶装置を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
所定期間内に前記記憶装置の電源オンまたはオフが許容される回数を示す許容値が格納される格納手段と、
所定期間の開始時刻と電源がオンされた時刻との差から、前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記憶装置の電源がオフされていた間に所定期間が経過したと判定された場合、所定期間を経過した回数に応じた許容値を前記格納手段に対して設定する設定手段と、
前記記憶装置の電源がオフされた場合に前記格納手段に格納されている許容値を減じる減算手段と、
を有するデータ処理装置。
【請求項8】
前記設定手段は、所定期間を経過した回数に所定期間毎に設定されている許容値を乗算した値を、新たな許容値として前記格納手段に設定する請求項7記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記記憶装置を電源オフする旨の要求が入力されると、前記格納手段に格納されている許容値が残っている場合に前記記憶装置の電源をオフするよう制御する電源制御手段をさらに有する請求項6から8のいずれか1項記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記所定期間および該所定期間何に許容される電源オンまたはオフ回数を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記設定手段は、前記受付手段により受け付けられた所定期間および許容される電源オンまたはオフ回数に基づいて前記格納手段に許容値の設定を行う請求項6から9のいずれか1項記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114571(P2008−114571A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302489(P2006−302489)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】