説明

制御装置および制御装置の更新方法

【課題】従来よりも短時間で画像を含むソフトウェアのリプログラムが行える車両の制御装置および制御装置の更新方法を提供する。
【解決手段】車両のECUのリプログラム(リプログ)処理において、プログラムのリプログでは、更新用のプログラムをCAN通信などを用いてデジタルデータとして送信する。静止画像5b(車室内の表示装置に表示される車両の画像210eやメッセージの文字画像212bなどを含む)のリプログでは、更新用の静止画像5bをNTSCエンコーダ回路45によって、テレビジョン放送で用いられる動画伝送形式の1つであるNTSC方式の信号に変換した後に、車両に装備されたカメラ画像の通信線を通じて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および制御装置の更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車両には各種の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が搭載されて、車両の各種制御や運転者を支援するための情報提供などの処理を実行する。ECUはCPU(Central Processing Unit)を備えて、所定のプログラムを実行することによって所定の処理を実行する。
【0003】
したがって、ECUに備えられたプログラムや、そのプログラムを実行する際に使用される各種データ(画像データなど)を更新(アップデート、リプログラム略してリプログ)したい場合がある。例えば下記特許文献1には、不揮発メモリに搭載されている制御用ソフトウェアの書き換え処理を、より短時間で行うことができる自動車用制御ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−301960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両における各種ECUのリプログの場合、通常ECUには外部記憶メディア装着部が装備されていないので、シリアル通信やCAN通信によってプログラムや画像のリプログを実行する必要がある。しかしシリアル通信やCAN通信の場合、画像のリプログに時間がかかる問題がある(例えば500kbpsのシリアル通信やCAN通信の場合、900キロバイトの画像のリプログに10分程度かかる)。したがってより短時間で画像のリプログが行えるシステムの開発が望まれる。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、従来よりも短時間で画像を含むソフトウェアのリプログラムが行える車両の制御装置および制御装置の更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る制御装置は、車両に搭載された電気機器の制御を司るプログラムと、そのプログラムを実行する際に使用される静止画像と、を記憶する不揮発性の記憶手段と、デジタルデータ通信を行うための第1通信線と、動画伝送方式によって動画を通信するための第2通信線と、前記記憶手段に記憶されたプログラムを、前記第1通信線を通じて送信された更新用プログラムへと更新する第1更新手段と、前記記憶手段に記憶された静止画像を更新するための更新用静止画像が変換された動画を、前記第2通信線を通じて受信する受信手段と、その受信手段が受信した動画を前記更新用静止画像へと変換する変換手段と、前記記憶手段に記憶された静止画像を、前記変換手段によって変換された更新用静止画像へと更新する第2更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより本発明に係る制御装置では、車両に搭載された電気機器を制御するプログラムと静止画像のいわゆるリプログ処理において、プログラムは1つの通信線を通じてデジタル信号として送信し、静止画像は別の通信線を通じて動画に変換して動画伝送方式のもとで送信する。したがって従来技術のように静止画像もデジタル信号として送信することによりリプログに長い時間を要していたことが回避できて、動画伝送方式によって短時間で画像を送信することにより、短時間でリプログ処理が完了できる制御装置が実現できる。
【0009】
また車両に装備されて動画を撮影する撮影手段と、その撮影手段によって撮影された動画を送信する第3通信線と、を備え、前記第2通信線と前記第3通信線とは少なくとも一部が共有され、前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行している期間は、前記第2通信線に前記撮影手段によって撮影された動画を送信せず、前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行していない期間に、前記第2通信線に前記撮影手段によって撮影された動画を送信するように制御する制御手段を備えたとしてもよい。
【0010】
この発明によれば、撮影手段を備えて、その撮影手段からの動画を送信する通信線とリプログ用の通信線とを兼用にし、リプログ中は、その通信線を撮影手段からの通信には用いないように制御するので、予め装備された撮影手段を含む構成を利用して画像の高速なリプログが実行できるとともに、撮影に関する構成とリプログに関する構成とを共有にして、全体の構成を簡素化することができる。したがって、例えば車両の周辺や車室内の画像を撮影して各種制御を行うECUに本発明を適用すれば、カメラで撮影した動画を送信する通信線を利用して、高速で画像のリプログも行える制御装置が実現できる。
【0011】
また前記第3通信線は前記第2通信線の途中から前記撮影手段へ分岐するように配置された通信線であり、前記制御手段は、前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行している期間は、前記撮影手段から前記第2通信線に動画が出力されないように前記撮影手段への電力供給を制御する電力制御手段を備えたとしてもよい。
【0012】
この発明によれば、撮影手段への通信線がリプログのための通信線から分岐する簡素な構成として、リプログ中には撮影手段に電力を供給しないように制御するので、簡素な構成によって、リプログ中は撮影手段のために通信線を用いないように制御できる。したがって簡素な構成で、例えば車両の周辺や車室内の画像を撮影して各種制御を行うECUにおいて、カメラで撮影した動画を送信する通信線を利用して、高速で画像のリプログも行える制御装置が実現できる。
【0013】
また外部記憶メディアを装着する装着部を備えないとしてもよい。
【0014】
この発明によれば、外部記憶メディアを装着できない車載用制御装置においては従来、外部記憶メディアからの高速のリプログが使用できず、CAN通信などによるリプログしかできなかった点を克服して、静止画像を動画伝送方式のもとで動画として送信することにより高速で画像がリプログできる制御装置が実現できる。
【0015】
また前記動画伝送方式は、テレビジョン放送における動画伝送方式であるとしてもよい。
【0016】
この発明によれば、広く普及したテレビジョン放送における動画伝送形式を用いるので、周知技術を有効に利用して、静止画像を動画伝送方式のもとで動画として送信することにより高速で画像のリプログができる制御装置が実現できる。
【0017】
また前記動画伝送方式は、NTSC方式であるとしてもよい。
【0018】
この発明によれば、テレビジョン放送において広く普及したNTSC方式の動画伝送形式を用いるので、周知のNTSC方式の技術を有効に利用して、静止画像を動画伝送方式のもとで動画として送信することにより高速で画像のリプログができる制御装置が実現できる。
【0019】
また本発明に係る制御装置の更新方法は、車両に搭載された電気機器の制御を司るプログラムと、そのプログラムを実行する際に使用される静止画像と、を記憶する不揮発性の記憶手段と、デジタルデータ通信を行うための第1通信線と、動画伝送方式によって動画を通信するための第2通信線と、を備えた制御装置の更新方法であって、前記記憶手段に記憶されたプログラムを、前記第1通信線を通じて送信された更新用プログラムへと更新する第1更新工程と、前記記憶手段に記憶された静止画像を更新するための更新用静止画像が変換された動画を、前記第2通信線を通じて受信する受信工程と、その受信工程で受信された動画を前記更新用静止画像へと変換する変換工程と、前記記憶手段に記憶された静止画像を、前記変換工程によって変換された更新用静止画像へと更新する第2更新工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
これにより本発明に係る制御装置の更新方法では、車両に搭載された電気機器を制御するプログラムと静止画像のいわゆるリプログ処理において、プログラムは1つの通信線を通じてデジタル信号として送信し、静止画像は別の通信線を通じて動画に変換して動画伝送方式のもとで送信する。したがって従来技術のように静止画像もデジタル信号として送信することリプログに長い時間を要していたことが回避できて、動画伝送方式によって短時間で画像を送信することにより、短時間でリプログ処理が完了できる制御装置の更新方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例における車両に搭載された電子制御装置の構成図。
【図2】リプログラムの処理手順例を示すフローチャート。
【図3】NTSC信号への変換例を示す図。
【図4】表示装置における表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明の実施例に係る制御システム1(システム)の装置構成図である。システム1は、自動車車両2に搭載された周辺監視ECU3を備える。またシステム1はツール4(工場ツール、ディーラーツール)、記憶メディア5を備える。
【0023】
車両2は、バッテリー20、表示装置21、4台のカメラ22、23、24、25、通信線26、27、28を備える。バッテリー20は、車両の各種機器、例えばエンジン始動のためのセルモータ等へ電力を供給する。本実施例ではカメラ22、23、24、25への電力供給を行う。表示装置21は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、車両2の車室内に装備されて車両2の周辺の画像を表示する。
【0024】
カメラ22、23、24、25は、それぞれ例えば車両2の前部、左側方部、右側方部、後部に配置されて、車両2の周辺の画像を撮影する。カメラ22、23、24、25が撮影する画像は動画、例えばアナログの動画信号として、周辺監視ECU3へ送信する。
【0025】
アナログ動画信号の種別としては、例えばテレビジョン放送で用いられているNTSC(National Television System Committee)方式のコンポジット動画信号(以下、NTSC信号)とすればよい。
【0026】
周知のとおり、コンポジット動画信号では、カラー動画の場合、動画の各フレームにおける走査線上の点のR(赤)G(緑)B(青)コンポーネントの情報が、輝度(Y)、2つの色差(Cb、Cr)の情報に変換されて、輝度と色差によって搬送波が変調される。具体的には、輝度によって搬送波の直流成分が、2つの色差によって搬送波の2位相成分の振幅が変調される。さらに走査線の切れ目に水平同期信号、フレームの切れ目に垂直同期信号が重畳されて、コンポジット動画信号が形成される。
【0027】
テレビジョン放送で用いられるコンポジット動画信号には、NTSC、PAL(Phase Alteration by Line)、SECAM(Sequentiel couleur a memoire)の3方式があり、NTSC方式では走査線数525本、1秒当たり30フレーム、PAL方式やSECAM方式では走査線数625本、1秒当たり25フレームなどの違いがある(PAL方式やSECAM方式では、変調方法が異なる)。
【0028】
通信線26、27は、後述するように周辺監視ECU3で使用されるプログラム32a及び静止画像32bの更新の際に、ツール4側から送信された更新用のプログラム5a及び静止画像5bを送信する通信線である。
【0029】
本実施例では4台のカメラのうちひとつ(図1の例ではカメラ25)から動画を送信する通信線28を用いて、後述するように周辺監視ECU3で用いる静止画像の更新用の画像を送信する。このため、通信線28を分岐点37から分岐させて、動画を送信する通信線27に接続する。通信線26はデジタルデータ通信に適応した通信線であればよく、例えばシリアル通信やCAN通信に対応した通信線とすればよい。通信線27、28はアナログ動画送信に対応した通信線であればよい。通信線26、27はそれぞれ端子26a、27aを備えて、これらにツール4側からのケーブルが接続される。
【0030】
周辺監視ECU3は、CPU30、RAM31、不揮発メモリ32(フラッシュメモリやEEPROM)、描画IC33、電源回路34、入出力回路35(I/O)を備える。周辺監視ECU3は、例えば駐車時の運転支援に寄与する目的で、車両2の周辺の映像を運転者に提供するためのECUである。CPU30は、そうした目的のための各種演算や指令を実行する。RAM31はCPU30の作業領域としての一時記憶部である。
【0031】
不揮発メモリ32は、記憶内容を書き換え可能な不揮発性の記憶部であり、周辺監視のための各種処理を司るプログラム32aや静止画像32bを記憶する。静止画像32bは、プログラム32aを実行する際に必要となる静止画像である。描画IC33は、カメラ22、23、24、25から送信された画像を座標変換などで変形して、表示装置21に表示される画像を形成する。
【0032】
電源回路34は、バッテリー20から送られた電力をカメラ22、23、24、25へ送る処理を制御する回路である。入出力回路35(I/O)は、周辺監視ECU3と各種機器との間の入出力を司る回路であり、具体的には上述の表示装置21、カメラ22、23、24、25と接続されて、情報の受け渡しが行われる。
【0033】
I/O35はNTSCデコーダ36を備える。NTSCデコーダ36は、カメラ22、23、24、25から(あるいは通信線27を通じてツールから)送信されたアナログのNTSC信号を、描画IC33で処理できるようにデジタル信号に変換する。
【0034】
ツール4(工場ツール、ディーラーツール)は、CPU40、RAM41、ROM42、操作入力部43、データ出力部44、NTSCエンコーダ45、メディア制御部46を備える。一般にツール4は工場あるいはディーラーにおいて、車両2に装備された各種装置の故障診断などを行うが、本実施例においてツール4は、周辺監視ECU3におけるリプログ、すなわち周辺監視処理のためのプログラム32a、およびプログラム32aの実行時に使用される静止画像32bの更新処理を行う。
【0035】
CPU40はそのリプログ処理のための各種演算などを実行する。RAM41はCPU40のための作業領域として機能する一時記憶部である。ROM42にはリプログ処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。操作入力部43は、テンキーや各種ボタンなどを備えて、リプログ時に工場やディーラーにおけるオペレータ(操作者)からの操作入力を受け付ける。
【0036】
ツール4は、リプログ時に更新用のプログラム5a、静止画像5bをそれぞれデータ出力部44、NTSCエンコーダ45から出力して、周辺監視ECU3へ送信する。更新用のプログラム5a、静止画像5bはデジタル情報として記憶メディア5に記憶されている。
【0037】
静止画像5bは、例えばビットマップ形式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデジタル静止画像情報とすればよい。メディア制御部46は、記憶メディア5が脱着可能に装備できるスロットを備えるとして、スロットに装着された記憶メディア5を制御する。
【0038】
データ出力部44は、CPU40からの指令により、メディア制御部46によって記憶メディア5から取得された更新用のプログラム5aをデジタルデータの形式のままで送信する。NTSCエンコーダ45は、CPU40からの指令により、メディア制御部46によって記憶メディア5から取得されたデジタルの静止画像5bをアナログのNTSC方式の動画信号に変換して出力する。
【0039】
この変換処理は具体的には、例えば静止画像5bを1フレームのみの動画とみなして、アナログのNTSC方式の動画信号に変換する。デジタル画像をアナログのNTSC方式の動画信号に変換する方法は公知であるので、説明を省略する。
【0040】
ツールは、プログラム5a送信用のケーブルと、画像5bが変換されたNTSC信号の送信用のケーブルとを備え、それぞれのケーブルの端子47、48が端子26a、27aに接続された状態で、ツール4から周辺監視ECU3へ、プログラム5aと、画像5bが変換されたNTSC信号とが送信される。
【0041】
以上の構成のもとで、周辺監視ECU3は、車両2の周辺をカメラ22、23、24、25で撮影して、撮影された動画を表示装置21に表示して、例えば駐車時の運転支援を行う。その際の表示装置21における表示例が図4に示されている。
【0042】
表示装置21の表示領域は3つの表示領域、すなわち左領域210、右上領域211、右下領域212に分割されている。左領域210は、車両2を上方から見た画像が表示される領域であり、車両2の画像210eを中央にして、車両2の前方領域210a、左方領域210b、右方領域210c、後方領域210dに区画されている。
【0043】
前方領域210aにはカメラ22で撮影された動画が表示される。左領域210bにはカメラ23で撮影された動画が表示される。右方領域210cにはカメラ24で撮影された動画が表示される。後方領域210dにはカメラ25で撮影された動画が表示される。
【0044】
その際、図4に示されているとおり、前方領域210a、左領域210b、右方領域210c、後方領域210dはすべて略台形形状であるので、カメラ22、23、24、25で撮影された動画に対して、描画IC33で不必要な部分の削除や座標変換などを施して、前方領域210a、左領域210b、右方領域210c、後方領域210dの形状に適合する画像へと変換される。そして変換された画像を表示する。
【0045】
なお車両2の画像210eは、カメラ22、23、24、25で撮影された画像ではなく、予め不揮発メモリ32に記憶された画像である。画像210eは写真画像でもイラスト画像でもよい。
【0046】
右上領域211には、カメラ25で撮影された動画そのものが表示される。右下領域212は運転者に対するメッセージを表示する領域である。図4の例では「車両周辺を直接確認してください」との文字画像212aが、所定のフォントで表示されている。本システムでは、文字画像212aも予め画像情報として不揮発メモリ32に記憶しておく。
【0047】
本実施例では、文字画像212aは既成のフォントを用いて作成された文字でなくてもよく、絵柄、図柄などを組み合わせてもよい。また文字画像212aは図4の例に限定されず、運転者に対する駐車支援のメッセージであればよい。以上の表示処理は、不揮発メモリ32に記憶されたプログラム32aによって実行される。
【0048】
以上のとおり、不揮発メモリ32には、表示装置32における表示処理を司るプログラム32a、そのプログラム32aの実行時に用いられる画像32bが記憶されている。画像32bの例は、上述の車両の画像210e、文字画像212aである。プログラム32a、画像32bはデジタル情報である。
【0049】
これらのプログラム32a、画像32bは、更新(リプログラム、略してリプログ)したい場合がある。従来技術では、プログラム32aのリプログと画像32bのリプログとは、同じ様にデジタル情報として順次送信して行っていたが、車両に装備されたシリアル通信やCAN通信の場合、画像のリプログに時間がかかっていた。そこで本実施例では、画像のリプログでは、テレビジョン放送で用いられている動画伝送方式で送信する。
【0050】
そのリプログ処理の手順が図2に示されている。図2の処理は、例えばツール4の操作入力部43に対するオペレータの指令によって開始されて、CPU40、30によって自動的に処理されるとすればよい。リプログ処理における各種指令は、例えばデータ出力部44や通信線26を通じて、ツール4と周辺監視ECU3の間(あるいはCPU40とCPU30の間)でデジタル情報として送受信されるとすればよい。
【0051】
図2の処理手順は予めプログラム化されて、ROM42などに記憶しておけばよい。図2のリプログ処理は、端子47、48が端子26a、27aに接続されて、記憶メディア5がメディア制御部46に装着された状態で実行すればよい。
【0052】
図2の処理では、まずS10でCPU40は、リプログラム指令を受けたことを検知する。この指令は、例えばオペレータが操作入力部43を用いて指令すればよい。
【0053】
次にS20でCPU30は、リプログラム処理の開始を受けて、カメラ22、23、24、25への電力供給を停止するように、電源回路34に指令する。なお、この時点で既にカメラ22、23、24、25への電力供給が行われていなければS20の処理はスキップすればよい。
【0054】
次にS30でCPU40は、データ出力部44に記憶メディア5内の更新用のプログラム5aの送信を指令する。これを受けてデータ出力部44は、プログラム5aの送信を実行する。そしてS40で周辺監視ECU3は、I/O35を通じてプログラム5aを受信し、不揮発メモリ32内のプログラム32aをプログラム5aに書き換える。
【0055】
次にS50でCPU40は、NTSCエンコーダ45に、記憶メディア5内の更新用の静止画像5bのNTSC信号への変換を指令する。そしてS60で、作成されたNTSC信号の送信を指令する。これを受けてNTSCエンコーダ45は、上述のとおり記憶メディア5内の更新用の静止画像5bを例えば1フレームのみの動画とみなして、NTSC信号に変換して送信する。
【0056】
その例が図3に示されている。更新用のデジタル静止画像データ5bは、上述のとおり例えば車両の画像210eや文字画像212a等とすればよい。NTSCエンコーダ回路45は、これらのデジタル画像をNTSC信号に変換する。
【0057】
図2に戻って、S70で周辺監視ECU3は、I/O35でNTSC信号を受信して、受信したアナログのNTSC信号をNTSCデコーダ36でデジタル信号に変換する。そしてS80でCPU30は、不揮発メモリ32内の画像32bを、S70で形成されたデジタル静止画像に書き換える。以上が図2の処理手順である。
【0058】
上記実施例は特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してよい。例えば上記では、リプログする更新用の静止画像をNTSC信号へ変換したが、これをPALやSECAMなどの他の動画伝送方式に変更してもよい。また上記では静止画像を1フレームのみの動画とみなしたが、これを所定数(複数)のフレームに同じ画像が続く動画とみなすように変更してもよい。この場合、動画から静止画への再変換において、複数フレームの例えば平均(多数決)をとることにより、伝送による画像の劣化が回避できる。
【0059】
また上記では、周辺監視ECUの例を示したが、本発明はこれに限定されず、カメラを用いる他のECUにも用いることができる。例えば、車室内を撮影するカメラを装備して、窓ガラスを割るなどして車内に不法に侵入した人間の画像を撮影する処理を制御するECU(リモートセキュリティECU)でもよい。あるいは車室内を撮影して、車室内に置き忘れた物を検知する処理を制御するECUでもよい。あるいは運転者の顔画像を撮影して、撮影画像に対して画像解析(画像認識)処理を行って運転者の眠気の程度や脇見の程度を算出し、眠気の程度や脇見の程度が大きければ運転者に警報を発する処理を制御するECUでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 制御システム
2 車両
3 周辺監視ECU(制御装置)
4 ツール
5 外部記憶メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電気機器の制御を司るプログラムと、そのプログラムを実行する際に使用される静止画像と、を記憶する不揮発性の記憶手段と、
デジタルデータ通信を行うための第1通信線と、
動画伝送方式によって動画を通信するための第2通信線と、
前記記憶手段に記憶されたプログラムを、前記第1通信線を通じて送信された更新用プログラムへと更新する第1更新手段と、
前記記憶手段に記憶された静止画像を更新するための更新用静止画像が変換された動画を、前記第2通信線を通じて受信する受信手段と、
その受信手段が受信した動画を前記更新用静止画像へと変換する変換手段と、
前記記憶手段に記憶された静止画像を、前記変換手段によって変換された更新用静止画像へと更新する第2更新手段と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
車両に装備されて動画を撮影する撮影手段と、
その撮影手段によって撮影された動画を送信する第3通信線と、
を備え、
前記第2通信線と前記第3通信線とは少なくとも一部が共有され、
前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行している期間は、前記第2通信線に前記撮影手段によって撮影された動画を送信せず、前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行していない期間に、前記第2通信線に前記撮影手段によって撮影された動画を送信するように制御する制御手段を備えた請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第3通信線は前記第2通信線の途中から前記撮影手段へ分岐するように配置された通信線であり、
前記制御手段は、前記第2更新手段が前記記憶手段に記憶された静止画像を更新する処理を実行している期間は、前記撮影手段から前記第2通信線に動画が出力されないように前記撮影手段への電力供給を制御する電力制御手段を備えた請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
外部記憶メディアを装着する装着部を備えない請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記動画伝送方式は、テレビジョン放送における動画伝送方式である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記動画伝送方式は、NTSC方式である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
車両に搭載された電気機器の制御を司るプログラムと、そのプログラムを実行する際に使用される静止画像と、を記憶する不揮発性の記憶手段と、
デジタルデータ通信を行うための第1通信線と、
動画伝送方式によって動画を通信するための第2通信線と、
を備えた制御装置の更新方法であって、
前記記憶手段に記憶されたプログラムを、前記第1通信線を通じて送信された更新用プログラムへと更新する第1更新工程と、
前記記憶手段に記憶された静止画像を更新するための更新用静止画像が変換された動画を、前記第2通信線を通じて受信する受信工程と、
その受信工程で受信された動画を前記更新用静止画像へと変換する変換工程と、
前記記憶手段に記憶された静止画像を、前記変換工程によって変換された更新用静止画像へと更新する第2更新工程と、
を有することを特徴とする制御装置の更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−106593(P2012−106593A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256528(P2010−256528)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】