説明

制汗剤または脱臭剤組成物

制汗剤または脱臭剤回転塗布式組成物が塗布後に長期間にわたって芳香剤を送達できることが望ましいが、以前に考慮されたカプセル化材料はデンプンまたは同様の水溶性もしくは分散性シェル材料をベースとしていたため、カプセル化材料は水性エマルション中で無効となっていた。定義された粒径、シェル厚および硬度基準を満足する架橋コアセルベート化ゼラチンシェルの芳香剤のカプセルによって、回転塗布式組成物を、組成物が皮膚に局所塗布された後に放出可能な芳香剤をカプセル化した水性制汗剤または脱臭剤組成物中に配合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制汗剤または脱臭剤組成物に、特に香料の遅延放出を送達する水性エマルションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カプセル化された芳香剤を含む制汗剤組成物は当分野で公知である。これらの組成物の大半は、本発明で利用する不溶性剪断感受性カプセル化材料ではなく、感湿性カプセル化材料、例えばアラビアゴム(gum arabic)またはアカシアゴム(gum acacia)、デンプンまたはある修飾デンプンをベースとするカプセル化材料を含む。
【0003】
WO2006/056096(Givaudan SA)は、主に繊維柔軟仕上げ剤組成物での使用に焦点を当てて、剪断感受性カプセル化材料を開示している。繊維柔軟仕上げ剤の実施例の中で、実施例9として、20%の芳香剤を含有するゼラチンカプセル剤を含む無水制汗剤組成物も開示されている。従来技術は、より高レベルのカプセル化芳香剤およびより低レベルのカプセル化シェルを有するカプセル剤を含む制汗剤組成物に関して言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/056096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも幾つかの実施形態における本発明の目的は、芳香剤を制汗剤または脱臭剤組成物中に包含する問題の1つ以上を改善または克服することである。
【0006】
本発明の幾つかのまたは他の実施形態のさらなる目的は、組成物の皮膚への塗布後に長期間にわたって芳香剤の放出を誘発させることを可能にする水性制汗剤または脱臭剤組成物を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様により、
制汗剤または脱臭活性成分が溶解または分散した連続水相;
分散油相;
非イオン性乳化剤または乳化剤の混合物、
分散粒状剪断感受性カプセル化香料、および
場合により連続相のための増粘剤
を含み、香料カプセル化材料が、0.25から9μmの厚さを有し、10から40重量%のカプセル剤、25から70μmの体積平均粒径、1:5から1:120の範囲のシェル厚対平均粒径の比、および1.5MPaから50MPaの範囲のヒシトロン硬度を有する架橋ゼラチンコアセルベートのシェルを有する、水中油型エマルションの形の制汗剤または脱臭剤組成物が提供される。
【0008】
本発明の使用により、発汗が発生しているもしくは発生していないときに、または発汗が発生したか否かとは無関係に、皮膚表面での衣服の通過によって、または腋窩などの、皮膚の1つの範囲の別の範囲に対する移動によって破裂することができる、高い芳香油含量を有する剪断感受性カプセル化香料粒子の残留分を皮膚に被着させることができる。従って、衣服または皮膚の皮膚に対する相対移動により破裂する、皮膚表面上のこのようなカプセルの感受性が利用される。場合により濃密化またはゲル化された液体担体の存在によって、従来の接触アプリケータからまたは従来のエアゾールディスペンサから、かなりの割合のカプセルをこのように被着させることができる。このことにより、長期間にわたる悪臭のマスキングの改善および芳香剤の知覚の向上が可能になる。
【0009】
低いシェル材料含有率(10から40重量%)を有するカプセル化材料を配合することによって、高い香料装入を達成することができるが、不安定性がもたらされることがある。本発明者らは、カプセル化材料のパラメータを慎重に選択することおよび1つ以上の非イオン性界面活性剤を慎重に配合することによって、香料カプセル化材料が良好な貯蔵安定性を示すが、塗布後に長時間にわたって実質的な香料をなお与えることができる、水中油型エマルション制汗剤または脱臭剤組成物が実現され得ることを見出した。
【0010】
本発明の第二の態様により、発汗が発生していないときでも、または発汗が発生したか否かとは無関係に、同時にa)第一の態様による組成物の局所塗布によって局所的発汗を防止または低減するおよびb)香料の知覚を延長するもしくは体から発生する悪臭をマスキングする、第一の態様による組成物の使用が提供される。
【0011】
「エマルション」という用語は本明細書では単に、油が、油相と水相との界面に存在する乳化剤によって連続水相中に不均一に分散されることが必要である。エマルションは、油が分散液滴として存在する組成物を含む。
【0012】
本発明は、剪断感受性カプセル化香料のエマルション制汗剤または脱臭剤回転塗布式組成物への配合に関し、カプセル剤という用語は本明細書では、マイクロカプセルおよびカプセル化材料を含む。剪断感受性は本明細書では、制汗剤組成物が塗布された上腕または腋窩の皮膚を擦ることと同じく、上腕を胸壁に接触させて、胸壁に接触させたままで前後に擦ることによって、または上腕もしくは胸部に着用した衣服を擦ることによって、カプセル剤がこの香料内容物を放出できることを考慮する。または剪断感受性カプセル剤は、「摩擦感受性」または「感圧性」と呼ばれ得る。
【0013】
剪断感受性カプセル剤のカプセル化材料は、本発明の組成物に特有のほぼ水性環境で存続するために不水溶性である。カプセル剤が感水性でないこと、即ち水が存在するだけで破壊または破裂しないことも必要である。
【0014】
本明細書の剪断感受性カプセル剤のためのカプセル化材料は望ましくは、架橋ゼラチンから選択される。剪断感受性カプセル剤を形成するのに好適な1つのカプセル化プロセスは、複合コアセルベーションと呼ばれることが多く、例えばUSP6045835に記載されており、このプロセスの記述は本明細書に組み入れられている。このようなプロセスにおいて、カチオン性ポリマー、一般にゼラチンまたは密接に関連するカチオン性ポリマーの水溶液は、ゼラチンを溶解させるのに十分高い温度にて、一般に少なくとも40℃にて形成され、多くの例では70℃を超える必要はない。40から60℃の範囲が非常に好都合である。溶液は通例希薄であり、1から10w/w%および特に2から5w/w%の範囲に含まれることが多い。ゼラチンの溶解の前または後のどちらかに、所望ならば場合により希釈油と共に香油を導入することによって、水中油型エマルションが形成される。
【0015】
ポリアニオンなどの負に荷電したポリマーを導入して、組成物を系の等電点より低いpH、例えばpH5以下、および特にpH3.5からpH4.5が達成されるまで希釈すると、ここで複合コアセルベートが分散した香油液滴の周囲に形成される。ポリアニオンは一般にアラビアゴムまたは荷電カルボキシルメチルセルロース誘導体、例えばアルカリ金属塩を含み、ナトリウム塩は最も一般的に挙げられる例である。
【0016】
得られたシェルは、次に、短鎖脂肪族ジアルデヒド、例えば特にグルタルアルデヒドを含むC−Cジアルデヒドによって架橋される。架橋工程は一般に室温以下の温度にて、例えば5から15℃、および特に10℃の領域において行われる。反応物の代表的な重量および割合ならびに好適な操作条件は、上述のUS 6045835の実施例1、2または3に示されている。当業者はそこに概説された一般的なプロセス内でのパラメータの好適な選択により、30から100μm、特に75μmまで、およびとりわけ40から60μmの範囲の体積平均粒径を有するカプセル剤を十分産生することができる。
【0017】
シェルが架橋コアセルベート化ゼラチンを含むカプセル化香料を形成するために同様に好適な第二のカプセル化方法は、WO2006/056096で考慮されるような上のプロセスの変形を含む。このような変形において、ブランクのハイドロゲルシェルを含むマイクロカプセルが乾燥状態で最初に形成され、芳香剤化合物、一般に希釈油によって希釈された芳香剤化合物の水性または水性/アルコール性混合物と接触させられる。芳香剤化合物はハイドロゲルシェルを通じて水性拡散により輸送され、内部に保持される。所望ならば得られた芳香剤含有マイクロカプセルは、乾燥せずにペーストもしくは液体分散物として使用できるか、または乾燥させて、実用的な目的のために無水である粉末にすることができる。芳香油の希釈油に対する比の選択は製造者の裁量により、広範囲で変化し得るが、芳香剤:希釈油の比は1:2から1:1の、および特に3:4から1:1の範囲から選択されることが多い。
【0018】
シェル材料のコア香油に対する割合は製造者の裁量により、エマルション中の成分の割合を適切に変化させることによって達成できる。シェル材料がカプセル剤の10から40重量%の、特に12から25重量%を構成することが必須である。シェルおよびコアの割合を変更することによって、シェルの物理的強度を変更させることができる(同じ体積平均粒径のカプセル剤の場合)。従って特徴の所望の組合せを有するカプセル剤を選択することができる。
【0019】
本発明の幾つかの好ましい実施形態において、芳香油はカプセル化材料の70から85重量%を構成し、このような実施形態では残量はシェルによって供給される。
【0020】
他の好ましい実施形態によって、芳香油は油希釈剤と共に存在して、例えばシェル内に保持される油混合物の25から75重量%、およびとりわけ40から60重量%を供給する。このような実施形態において望ましくは、シェルはカプセル化材料の12から25重量%を構成する。このような好ましい実施形態において、芳香剤はカプセル化材料の35から50重量%を構成して、35から50重量%の希釈油によって補完される。所望ならば、また他の実施形態において、組成物は、希釈油を含有する幾つかのカプセル化材料および希釈油を含有しない他のカプセル化材料を含有し、2組のカプセル化材料の重量比は製造者の判断により、25:1から1:25の範囲で選択される。
【0021】
カプセル剤の体積平均粒径(サイズ)は少なくとも40μmであることが好ましく、多くの所望の実施形態においては、直径最大60μmである。本明細書では他に示さない限り、カプセル化材料の体積平均粒径(D[4,3])はマルバーン・マスタサイザを使用して得られるものであり、2100rpmの分散モジュールミキサ速度を使用して、カプセル化材料をシクロペンタシロキサン(DC245)に分散させる。計算は、粒子形状を球形と仮定して、通常の計算感度で、汎用モデルを使用して行う。シェル厚は、半透明油中のカプセルの分散物を固化させて、固体塊の薄片を切断して、走査型電子顕微鏡を使用して切断した個々のカプセル剤の画像を得て、それによりこの環状シェルの内側輪郭および外側輪郭、それゆえこの厚さを明らかにすることによって、測定することができる。
【0022】
マイクロカプセルのシェル厚は、粒径が増大するにつれて厚くなる傾向がある。従ってシェル厚は、主に0.25から9μmの厚さ範囲内に及ぶことが多く、コアセルベート化ゼラチンから作製されたシェルを有する多くの所望のカプセル剤では、カプセル剤の少なくとも90体積%が最大2.5μmの厚さのシェルを有する。望ましくは、カプセル剤の少なくとも95体積%が少なくとも0.25μmのシェル厚を有する。本明細書で望ましくは使用されるマイクロカプセルの平均シェル厚は最大1.5μmである。同じまたは他の好適なゼラチンコアセルベートカプセルは、少なくとも0.4μmの平均シェル厚を有する。直径が最大40μmのカプセルでは、シェル厚は0.75μm以下、例えば0.25μmから0.75μm未満であることが多いのに対して、少なくとも40μmの粒子では、シェル厚は0.6から2.5μmであることが多い。
【0023】
本発明の制汗剤組成物に配合させるための芳香剤含有カプセルは一般に、10:1から100:1の範囲であり多くの所望のこのようなカプセルにおいて、30:1または40:1から80:1の範囲の体積平均直径:平均シェル厚の比を有するように選択される。
【0024】
カプセルの粒径およびシェル厚によって、芳香油やもし存在すれば希釈油を含有するコアの平均体積%は、50から90%の範囲に、多くの実施形態では70から87.5%の範囲になることが多い。
【0025】
カプセルの硬度はヒシトロン・トリボ・インデンタで測定され、重要な特徴であって、カプセルを皮膚と皮膚または衣服との間の摩擦接触によって剪断される能力を維持したまま本発明の処方に効果的に配合することができる。その硬度は望ましくは、0.5から50MPa、とりわけ2.5または5から最大25MPa、多くの実施形態において最大10MPaの範囲にある。ある好ましい実施形態において、その硬度は3.5から5.5MPaの範囲内にある。
【0026】
本発明のカプセルに関連して対象のさらなるパラメータ、および特に本発明の組成物およびプロセスにおいて摩擦により剪断されるこの能力は、この「見かけの換算弾性率(Er)である。望ましくは、Erは20から35MPaの範囲であり、多くの好都合な実施形態においては、22から30MPaの範囲である。
【0027】
ヒシトロン硬度(H)および見かけの換算弾性率(Er)の測定値は、以下の様式で得る。
【0028】
所与のカプセルを適切に取り付けてから、ベルコビッチチップ(三角錐)を装着したトリボ・インデンタのヘッドでカプセルを圧縮する。装置は、試料を75μNの初期接触力によって10秒間、続いて位置保持段階によって1秒間および減圧段階によって10秒間圧縮することにより、圧入を行うようにプログラムされる。装置により非常に小さい荷重(通例約15から30μN)が達成される。以下の式を使用して、力たわみデータの緩和段階から、ヒシトロン硬度(MPa)および見かけの換算弾性率(同じくMPa)を計算する。
【0029】
【数1】

W=圧縮力
A=接触面積(A≒24.56hc
【0030】
【数2】

S=接触剛性(dW/dh
=総侵入深さ
γ=1.034
【0031】
【数3】

K=3/4
=接触深さ
【0032】
製造プロセス条件の制御により、本明細書に記載する粒径および平均直径の範囲または好ましい範囲に規定された特徴を有する、結果として生じるカプセルを得ることができる。
【0033】
剪断感受性カプセル化材料は制汗剤組成物において、製造者の判断による量で使用することができる。一般に、量は、組成物の少なくとも0.05%、多くの例において少なくとも0.1%およびしばしば少なくとも0.3重量%である。通常、量は、組成物の最大5%、望ましくは最大4%および多くの例において最大3重量%である。好都合な範囲は、組成物の0.5から2.5重量%である。
【0034】
本明細書で剪断感受性カプセル、および/または他のカプセルおよび/または非カプセル化に使用できる香油は、所望の美的結果を達成するのに慣習的であるように選択することができ、通常は少なくとも5つの構成要素の、およびしばしば少なくとも20の構成要素のブレンドを含む。構成要素は合成または天然抽出物であることが可能であり、天然油または天然油を模倣して産生された油の場合には、個別の香料化合物の混合物であることが多い。香油は特に、F A Fazzalariによって編集され、American Society for Testing and Materialsによって1978年に発表されたCompilation of Odor and Taste Threshold Values Dataで、香気(2)としてコード化された任意の化合物または任意の2つ以上のこのような化合物の混合物を含むことができる。
【0035】
しばしば、しかし限定的ではないが、ブレンド中で香料成分または成分として作用する香料化合物は、少なくとも0.5のClogP(オクタノール/水分配係数)を、および多くは少なくとも1のClogPを有する。本明細書で使用できる香料成分の多くは、アルデヒド、ケトン、アルコール、エステル、テルペン、ニトリルおよびピラジンの化学分類から選択される、ヒトが識別できる香気を有する有機化合物を含むことができる。調香師の技能および専門知識を用いて、分類内でまたは2つ以上の分類の化合物の混合物を共にブレンドして所望の芳香効果を達成することができる。周知のように、同分類内でより低い分子量、しばしば最大約200を有する化合物は、より低い沸点を有し、「トップノート」として分類される傾向があるのに対して、より高い分子量を有する化合物は、より高い沸点を有し、ミドルノートまたはベースノートとして分類される傾向がある。しかし区別がある程度まで任意に単純化されているのは、芳香油は連続体を形成し、この特徴は250℃または275℃の沸点などの任意の境界のどちら側の付近でも大きく異ならない。本明細書では、香料は250℃以下で沸騰する油の任意のブレンドを(例えば1から99%または4から96%、10から90%または25から60%の範囲で)含むことができ、残量は250℃を超える沸点を有する化合物によって供給される。調香師は、化合物が露出後により急速に蒸発する傾向があるのに対して、沸点のより高い化合物はより低速で蒸発する傾向があるため、所望の美的効果は、より高速およびより低速の化合物の割合を選択することによって達成することが可能であり、より高速の化合物は即時の「ヒット」を与えるが、より低速の化合物は、より長時間の持続的な影響を及ぼすことを認識している。高度の影響などの用語が低い沸点の香料化合物を説明するためにも使用されていることも認識される。化合物の特性は、これらが高度の影響またはトップノートの成分と呼ばれるか否かとは無関係に、同じままである。
【0036】
香料化合物のさらなる特徴は、この香気検出閾値(ODT)である。幾つかの香油は、他のものよりヒトの鼻によってはるかに容易に検出されるが、これは非常に主観的な測定値であり、試験が行われる方法、一般の条件ならびにパネルの構成、例えば年齢、性別および民族性に応じて大幅に変化する。化合物の美的属性を区別して、比較的容易に検出される成分を調香師が選択できるようにする定量的な手段として、ODTは有用な指針となるが、定量的にはより疑わしい。
【0037】
幾つかの香料の原材料は、低い香気検出閾値を有することが一般に公知である幾つかを含めて、250℃以下の沸点を有する。香料原材料の前記リスト内の他の原材料は、250℃を超える沸点を有し、この幾つかは低い香気検出閾値を有することも一般的に公知である。
【0038】
もしくはまたは加えて、カプセル中に包含される芳香剤は、香料エッセンシャルオイルの1つまたはそれぞれおよび/もしくは合成類似体のどちらかと混合された混合物および/またはおそらく花、葉、種子果実または他の植物材料から抽出された1つ以上の個別の香料化合物を含むことができる。本明細書で考慮する油は:ベルガモット、シダーアトラス、シダーウッド、クローブ、ゼラニウム、グアヤクウッド、ジャスミン、ラベンダー、レモングラス、スズラン、ライム、ネロリ、ムスク、オレンジブロッサム、パチョリ、ピーチブロッサム、プチグレン(petotgrain)、ピメント、バラ、ローズマリーおよびタイムによる油を含む。
【0039】
天然由来油はこれ自体多くの構成要素のブレンドを含み、香油は一般に複数の合成または天然香料化合物のブレンドを含むため、カプセル化材料内に存在する各個別の化合物は単一の沸点、ClogPまたはODTを示すが、カプセル化材料内の香油自体は単一の沸点、ClogPまたはODTを示さないことが認識される。
【0040】
所望ならば、組成物は魅力的に香る以上にさらなる機能を備えた1つ以上の香料成分を含むことができる。このさらなる機能は、脱臭性を含むことができる。各種のエッセンシャルオイルおよび香料成分、例えばUS 4278658に記載されているような脱臭値試験に合格したエッセンシャルオイルおよび香料成分は、脱臭性ならびに悪臭マスキングを提供する。
【0041】
本発明は、制汗または脱臭活性成分の有効濃度、即ち発汗を低減もしくは制御するまたは体臭を低減もしくは除去するのに十分である濃度を使用する。多くの望ましい実施形態において、組成物は少なくとも1%の制汗活性成分を含有し、好ましくは少なくとも5%、しばしば少なくとも10%である。一般に制汗活性成分の濃度は30%を超えず、多くの実際的な実施形態では25.5%を超えず、%は本明細書では別途示さない限り、組成物に基づく重量である。制汗活性成分の好ましい濃度範囲は、10から20%である。
【0042】
制汗活性成分は便利に収斂性アルミニウムおよび/またはジルコニウム塩であり、収斂性無機塩、有機アニオンによる収斂性塩およびこのような塩の複合体を含む。好ましい収斂性塩は、アルミニウム、ジルコニウムおよびアルミニウム/ジルコニウムハライドならびにハロハイドレート塩、例えばとりわけクロロハイドレートを含む。所望ならば、活性化クロロハイドレートを包含することができる。
【0043】
アルミニウムハロハイドレートは通常、一般式Al(OH)・wHOによって定義され、式中、Qはそれぞれ塩素、臭素またはヨウ素(およびとりわけクロロハイドレートを形成するために塩素)を表し、xは2から5の変数であり、x+y=6であり、ここでwHOは可変量の水和を表す。
【0044】
ジルコニウム活性成分は通常、経験的一般式:ZrO(OH)2n−nz・wHOによって表すことが可能であり、式中、zは、2n−nzがゼロまたは正であるような0.9から2.0の範囲内の変数であり、nはBの価数であり、Bは、塩素(クロロハイドレートを形成するために)、他のハライド、スルファメート、サルフェートおよびこの混合物から成る群より選択される。変動可能な程度まで可能な水和は、wHOによって表される。好ましくはBは塩素を表し、変数zは1.5から1.87の範囲にある。実際にこのようなジルコニウム塩は通常、単独では使用されないが、複合アルミニウムおよびジルコニウムベース制汗剤の構成要素として使用される。
【0045】
上のアルミニウム塩およびジルコニウム塩は、各種の量の配位水および/もしくは結合水を有し得る、および/またはポリマー種、混合物もしくは複合体として存在し得る。特にジルコニウムヒドロキシ塩は、各種の量のヒドロキシ基を有する一連の塩を表すことが多い。ジルコニウムアルミニウムクロロハイドレートは特に好ましいことがある。
【0046】
上述の収斂性アルミニウム塩および/またはジルコニウム塩に基づく制汗剤複合体が使用できる。複合体はカルボキシレート基を有する化合物を使用することが多く、好都合にはこれはアミノ酸である。好適なアミノ酸の例は、dl−トリプトファン、dl−β−フェニルアラニン、dl−バリン、dl−メチオニンおよびβ−アラニン、ならびに好ましくは式CH(NH)COOHを有するグリシンを含む。
【0047】
幾つかの組成物において、アミノ酸、例えばグリシンを共に含む、アルミニウムクロロハイドレートおよびジルコニウムクロロハイドレートの組合せの複合体を使用することが非常に望まれ、このことはUS−A−3792068(Lueddersら)に開示されている。これらのAl/Zr複合体の幾つかは文献で一般にZAGと呼ばれる。ZAG活性成分は概して、2から10、とりわけ2から6のAl/Zr比、2.1から0.9のAl/Cl比のアルミニウム、ジルコニウムおよびクロリド、ならびに可変量のグリシンを含有する。この好ましい種類の活性成分は、Giulini、SummitおよびReheisから入手できる。
【0048】
本発明の組成物は所望ならば、本明細書で上述した制汗活性成分以外の脱臭活性成分を含むことができる。このような代わりの脱臭活性成分は、化粧品分野で公知の任意の脱臭活性成分、例えば抗菌活性成分、例えばポリヘキサメチレンビグアニド、例えば商標名コスモシル(商標)で入手できるものまたは塩素化芳香族、例えば商標名イルガサン(商標)で入手できるトリクロサン、非抗菌性脱臭活性成分、例えばトリエチルシトレート、殺菌薬および静菌薬から便利に選択できる。また他の脱臭活性成分は殺菌性亜鉛塩、例えば亜鉛リシノレアートを含むことができる。このような代わりの脱臭活性成分の濃度は望ましくは組成物の0.01から5重量%であり、多くの例において、0.1から1重量%である。
【0049】
多くの非常に望まれる本発明の組成物には、制汗活性成分が存在する。
【0050】
非常に望ましくは、本発明のエマルションはどちらも、従来はC6までの短鎖脂肪族一価アルコール、および特にエタノールを少なくとも実質的に含まない。実質的にこの文脈では、組成物の5重量%未満、好ましくは3重量%未満、特に1重量%未満およびさらに特に0.5重量%未満を意味する。とりわけ好ましくは、前記アルコールおよび特にエタノールは、完全に存在しないか、または最悪の場合でも0.1重量%未満で存在する。
【0051】
本発明の組成物の必須成分は、乳化剤系を形成する非イオン性乳化剤または乳化剤の混合物である。このような乳化剤は、本発明でも使用される非常に薄壁の香料カプセル化材料と適合性があることが見出されている。このような乳化剤系は好都合に、約5から約12の、特に6から約10の領域に平均HLB値を有する。とりわけ望ましい平均HLB値は7mから9である。このような平均HLB値は、このようなHLB値を有する乳化剤を選択することによって、またはさらに好ましくは少なくとも2つの乳化剤、即ち2から6.5の、例えば特に4から6の範囲のHLB値を有する第一の(より低い)HLB乳化剤および約6.5から18および特に約12から約18の範囲のHLB値を有する第二の(より高い)HLB乳化剤の組合せを使用することによって提供され得る。乳化剤の組合せることで、平均HLB値は構成成分の乳化剤のHLB値の重量平均によって得ることができる。
【0052】
乳化剤のとりわけ望ましい範囲は、ポリアルキレンオキシド(ポリグリコール)によって供給される親水性部分、および好ましくは少なくとも10個の炭素を含有し、一般に直鎖の脂肪族炭化水素によって供給される疎水性部分を含む。疎水性および親水性部分は、エステルまたはエーテル結合を介して、おそらく中間ポリオール、例えばグリセロールを介して連結できる。
【0053】
好ましくは疎水性脂肪族置換基は、少なくとも12個の炭素を含有し、ラウリル、パルミチル、セチル、ステアリル、オレイル(olearyl)およびべへニルアルコール、ならびにとりわけセチル、ステアリルおよびセチルおよびステアリルアルコールの混合物からまたは対応するカルボン酸から得ることができる。ポリアルキレンオキシドエーテルを含む乳化剤を使用することが特に好都合である。
【0054】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドまたはエチレオキシドのコポリマーから選択されることが多く、ポリエチレンオキシドを含む。好適な乳化剤中のアルキレンオキシド単位およびとりわけエトキシレート単位の数は、2から100の範囲内から選択されることが多い。2の領域にエトキシレート単位の平均数を有する乳化剤は6.5以下のより低いHLB値を、少なくとも4個のこのような単位を有する乳化剤は、とりわけ少なくとも10個のエトキシレート単位を含有する乳化剤は6.5を超えるより高いHLB値を与えることができる。好ましい組合せは、2単位を含有するエトキシレートおよび10から40単位を含有するエトキシレートの混合物を含む。特に好都合には、乳化剤の組合せはステアレス−2およびステアレス−15からステアレス−30からの選択を含む。
【0055】
エトキシル化アルコール乳化剤の混合物を、6.5未満のより低いHLB値を有する乳化剤の、8を超えるより高いHLB値を有する乳化剤に対する、1.5:1から6:1および特に2:1から5:1の重量比で使用することが望ましい。
【0056】
組成物中での乳化剤の総割合は通常、少なくとも1.5%および特に少なくとも2重量%である。一般に乳化剤は、6%を上回って存在せず、しばしば5重量%以下、および多くの好ましい実施形態において最大4重量%である。乳化剤のとりわけ望ましい濃度範囲は2.5から4重量%である。
【0057】
本発明の組成物の他の必須成分は油であり、油は水非混和性である液体を意味する。このような油は、20℃にて(1大気圧にて)液体であることを特徴として、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油およびアルコール油またはこのような分類の油から選択される2つ以上の油の混合物から選択されることが多い。油は約100℃好ましくは150℃を超える沸点を有することが非常に望ましい。
【0058】
油は植物油がよく、特にトリグリセリド油である。このような油は植物の種子からの抽出によって得られることが多い。適当な植物油は、ヒマワリ種子油、トウモロコシ油、マツヨイグサ油、コリアンダー種子油、ベニバナ油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油およびルリヂサ種子油を含む。特に1または多不飽和長鎖脂肪族カルボキシレート置換基を含む油、例えばとりわけ1、2または3の不飽和度を含有し、この2以上が共役し得るC18カルボキシレートを使用することが望ましい。他の考慮される適当な油は、ホホバ油を含む。
【0059】
もしくはまたは加えて、油は揮発性シリコーン油、即ち25℃にて少なくとも1Paの、通例1または10Paから2kPaの範囲内の測定可能な蒸気圧を有する液体ポリオルガノシロキサンを含むことができる。揮発性ポリオルガノシロキサンは直鎖もしくは環状またはこの混合物であることが可能である。好ましい環状シロキサンは、シクロメチコンと呼ばれることが多く、シクロペンタメチコンおよびヘキサシクロメチコン、およびこの混合物を含む。
【0060】
エステル油は、脂肪族または芳香族であり、一般に10から26個の炭素原子を含有する少なくとも1個の残基を含有する。適当な脂肪族油の例は、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ミリスチルミリステートを含む。好ましくは芳香族エステル油は、安息香酸エステルである。好ましい安息香酸エステルは式Ph−CO−O−Rを満足して、式中、Rは少なくとも8個の炭素、および特に10から20個、例えば12から15個の炭素を含有する脂肪族基であり、この混合物を含む。
【0061】
エーテル油は好ましくは、ポリプロピレングリコール(PPG)の短鎖アルキルエーテルを含み、アルキル基はC2からC6、およびとりわけC4を含み、PPG部分は10から20個の、および特に14から18個のプロピレングリコール単位を含む。とりわけ好ましいエーテル油は、INCI名PPG14−ブチルエーテルを有する。
【0062】
適当な不揮発性炭化水素油の例は、ポリイソブテンおよび水素化ポリデセンを含む。適当な不揮発性シリコーン油の例は、ジメチコンおよび直鎖アルキルアリールシロキサンを含む。ジメチコンは典型的には、20から100個のケイ素原子などの中間鎖長を有する。アルキルアリールシロキサンは特に、2から4個のケイ素原子およびケイ素原子1個に付き少なくとも1個のフェニル置換基、または少なくとも1個のジフェニレン基を含有するアルキルアリールシロキサンである。脂肪族アルコールは望ましくは、12から40個の炭素原子、およびしばしば14から30個の炭素原子を含有する分枝鎖一価アルコール、例えばイソステアリルアルコールである。
【0063】
幾つかの芳香油はエステル基またはエーテル基を含むが、本明細書では、芳香剤がカプセル化されているか、または「遊離」(非カプセル化)しているかにかかわらず、油ブレンドの重量を計算するのに芳香物質の重量は含まれない。芳香剤がカプセル化されているか、または「遊離」しているかにかかわらず、本明細書では油ブレンドの重量を計算するのに芳香物質の重量は含まれない。
【0064】
組成物中の油の割合(存在し得る芳香油の非水溶性成分によるいずれの寄与も除く。)は、少なくとも1%、および一般に少なくとも1.5重量%であることが多い。多くの例では、油の割合は10重量%以下であり、とりわけ5重量%以下である。
【0065】
多くの適当な実施形態において、乳化剤および油(芳香油を除く。)の全体の割合は、エマルションの4から7.5重量%の範囲で選択される。
【0066】
適当に選択された濃度での乳化剤の組合せは多くの実施形態において、組成物が回転塗布式ディスペンサで有効に機能できる適当な粘度を生成できる。しかし望ましくは、水溶性もしくは水分散性増粘剤および/もしくは粒状非溶解性増粘剤を使用して、組成物の粘度を上昇させて、これにより使用される乳化剤の全体の濃度をより低くすることができる。このような増粘剤は水溶性または水分散性ポリマーを含み、水溶性または水分散性ポリマーはセルロース誘導体、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロースポリマー、ヒドロキシエチルセルロースポリマー、およびセルロースエーテルポリマー、ならびに/またはゼラチンおよび/または植物抽出物ポリサッカライド増粘剤、例えば海藻からの抽出物を含む。他の有効なポリマー増粘剤は、典型的には少なくとも100,000の分子量を有するポリエチレンオキシド、およびポリアクリル酸を含む。粒状増粘剤は、シリカ場合により表面が修飾されており、ならびに粘土、例えばモンモリロナイト、ベントナイトおよびヘクトライトを含む。粒状増粘剤は微粉化され、一般に100μm以下の粒径を有する。このような増粘剤の十分量を使用して、回転塗布式組成物の粘度を所望の値に上昇させる。
【0067】
組成物の好ましい成分は、粒状シリカ、例えばアモルファスシリカ、例えばヒュームドシリカを含む。特に疎水性処理されたヒュームド(時には焼成と呼ばれる)シリカを使用することが望ましい。このような物質は疎水性シリカの名称で市販されている。疎水性シリカは、おそらくシリカの表面を親水性にした中間処理に続いて、疎水性置換基、例えばとりわけシロキサン基をシリカの表面に化学結合させることによって得られる。疎水性置換基を生成する適当な反応物質は、ハロシランならびに特にクロロシランおよびメチル化シラザン、例えばヘキサメチルジシラザンを含む。植物油などの油を増粘することができるシリカを使用することが特に望ましい。
【0068】
望ましくはシリカ、例えばヒュームドシリカ、およびとりわけ疎水性シリカは、少なくとも100m/gおよび特に150から400m/gのBET比表面積を有する。シリカは非常に微細な粒子を有し、ヒュームドシリカは一般に40nm以下の個々の粒子の直径を有し、多くの例において、少なくとも99重量%が40nm以下である。供給されたままのヒュームドシリカでは、多少の凝集が起こることがあるため、多くの実施形態において、供給されたシリカは1000nm以下の、好ましくは500nm以下の平均粒径(直径)、即ち平均重量のシリカ粒子の直径を有する。少なくとも幾つかの望ましい実施形態において、供給されたままのシリカ粒子の少なくとも99重量%は、10から500nmの範囲内である。
【0069】
配合物中のシリカの重量比は、最終的な配合物の望ましい粘度を、他の属性、例えば配合物の乾燥速度に対するこの効果、この知覚された油被覆性および/またはこの知覚された粘着性と共に考慮して選択されることが多い。組成物中のシリカの重量濃度は望ましくは、少なくとも0.2重量%、しばしば少なくとも0.3重量%であり、多くの望ましい実施形態において少なくとも0.5重量%である。この濃度は一般に、2%以下、しばしば1.5%以下であり、幾つかの非常に望ましい処方において1.0%以下である。シリカ濃度の好ましい重量範囲は0.6から0.8%である。
【0070】
組成物の含水率は一般に、65から93重量%の、しばしば70または75から85重量%の範囲で選択される。
【0071】
本発明のエマルションにおけるシリカの水に対する重量比は一般に、少なくとも1:400から1:40までの範囲から選択され、しばしば少なくとも1:275および多くの例において好ましくは少なくとも1:200である。1:75までの重量比を使用することがしばしば便利である。
【0072】
上述の必須成分に加えて、遊離芳香剤を例えば0.05または0.1から4重量%の、特に0.3から2重量%の割合で含むことが好ましい。
【0073】
幾つかの非常に望まれる実施形態において、本発明の組成物は、重量により:
70から85%の水;
10から20%の制汗活性成分、例えば本明細書で上述した活性成分;
2.5から4.0%の、好ましくは7から9のHLB値を有するエトキシル化エーテル乳化剤または乳化剤の混合物;
1.5から4重量%の植物油、例えば不飽和脂肪酸トリグリセリド;
0.5から1.0%の疎水性ヒュームドシリカ
0.5から2.0%の芳香剤のコアセルベート化ゼラチンカプセルおよび
0.3から2%の遊離芳香剤
の1つ以上を含む。
【0074】
上で開示した割合の範囲内で上記の成分の割合を選択することによって、1000から7000mPa.s、および特に2500から5500mPa.sの好ましい範囲内に含まれる粘度を有するエマルションを得ることが可能である。本明細書では粘度は、別途示さない限り、25℃にて20rpmで回転するスターラーTAおよびヘリパスを装備した、ブルックフィールドRVT粘度計で測定する。このようなエマルションは生成物の属性、例えば粒状シリカを含まないエマルションと比較して望まれる乾燥速度、塗布時の優れた油被覆性および過剰な粘着性の回避ならびに局所塗布後の皮膚で擦ることまたは衝撃による長期間にわたる優れた芳香剤放出の保持の、特に望ましい組合せを明らかにしている。
【0075】
好ましくはエマルションは、水性混合物および油混合物を最初に別個に調製して、これを剪断前に一緒にして作製される。水相は一般に、制汗活性成分を含有する。混合乳化剤系を使用する場合、特に6.5未満の低いHLB値を有する任意の乳化剤を油相に、特に6.5を超える高いHLB値を有する乳化剤を水相に配合することが望ましい。必要な場合には、乳化剤の溶解を加速するために、各相の温度を例えば50℃超に上昇させることができる。
【0076】
水相によってシリカおよびとりわけ疎水性シリカを配合することが非常に望ましい。
【0077】
とりわけ乳化剤の溶解を加速するためにどちらかまたは両方の相が加熱されているときには、任意の芳香剤を最後に、および全体の混合物が剪断される直前に配合することが好ましい。使用者の習慣は様々であるが、一般に使用者は各塗布時に組成物約0.2から0.4gを腋窩に塗布する。
【0078】
本発明のさらなる態様において、本発明の第一の態様による組成物をヒト皮膚に局所塗布することを含む、発汗を抑制するおよび/または悪臭知覚に対抗する方法が提供される。好都合には、組成物は体の局所的な部位、例えばとりわけ腋窩に塗布されるが、組成物は体の他の閉塞部位、例えば乳房基部または足底にも塗布される。
【0079】
本発明の組成物は拭き取り用布または汗用リストバンドによっても塗布することができる。組成物は、制汗剤組成物に慣例であるように、体の所定の場所に長期間にわたって、一般に最大24時間、多くの例において5から18時間にわたって残され、その後、石鹸および水の使用などの従来の様式での洗浄またはシャワーゲルを使用するシャワーによって除去される。
【0080】
本発明の処方は、回転塗布式ディスペンサ、例えばボトルの上壁に突き出ている回転式部材、一般に球状ボールまたはあまり一般的でないシリンダのための保持ハウジングを画定する開口部を一端に有するボトルを含む、任意のディスペンサによって非常に好適に供給される。適当なディスペンサの例はEP1175165に記載されているか、またはUSP6511243もしくはWO2006/007987もしくはWO2006/007991に記載されているような反転ディスペンサである。ボトル開口部は、ハウジングのネジ山と螺合するネジ山を通例有する、または交互配置されたバヨネット/ラグの複数の組合せによる革新的な設計のキャップによって、通例覆われている。過去には、ボトルは一般に、ガラスから作製され、ボトルの開口部に熱可塑性ハウジングが取り付けられたが、現在、大半の回転塗布式ディスペンサは完全に熱可塑性ポリマーから作製される。
【0081】
望ましい例と共に、本発明を要約しさらに詳細に説明したが、ここで具体的な実施形態を実施例のみによってさらに十分に説明する。
【実施例】
【0082】
本明細書に記載するカプセルE1およびE2は、ゼラチンと、それぞれアラビアゴム、またはグルタルアルデヒドによって架橋されたカルボキシメチルセルロースとの複合コアセルベートから作製されたシェルで構成された。各例で表1に詳説する具体的な特徴を獲得するように制御された条件を用いて、E1はWO2006/056096のプロセスに従って、しかしより高レベルの香料を配合して調製され、E2はUS6045835のプロセスに従って、しかし再び、より高いレベルの香料を配合するように調製される。
【0083】
【表1】

【0084】
マルバーン・マスタサイザ2000、以下のパラメータを使用して、揮発性シリコーン(シクロペンタジメチコン)への分散後のカプセルの平均粒径:D[4,3]を得た。
・分散剤のRl=1.397
・分散モジュールミキサ速度=2100rpm。
・結果計算モデル=汎用。
・計算感度=通常。
・粒子形状=球状
【0085】
シェル厚さ:粒径が規定されたカプセル化材料でSEMによって測定。非球状カプセル化材料では、厚さをカプセル化材料の最小直径にてまたはこの付近で測定した。
【0086】
シェル厚さ(計算値):カプセルが球状で単一コアを有し、シェルおよびコアが同じ密度を有すると仮定した計算値。
【0087】
DRは、平均粒径:測定シェル厚の比である。
【0088】
(実施例1)
本実施例では、フローラル(Bm)非カプセル化芳香剤を含有して、カプセル化芳香剤製品を含有するかまたは含有しないかのどちらかであるエマルション制汗剤組成物E1またはE2(カプセル化フローラルグリーン芳香剤を含有)の有効性を測定および比較した。組成を表2に示す。
【0089】
有効性は、24から26名のパネリストが、全体的な無作為化左右バランスまたは約2秒間のスプレーによって、実施例のスティック生成物約0.3gを左または右の腋窩に、比較生成物を反対の腋窩に自分で塗布する以下の試験で決定した。
【0090】
制汗剤の処方を塗布後に、使用者は通常の衣服を着用して、香気の強度を2時間間隔で、0から10まで上昇する知覚スケールで評価した。スコアを平均して、非カプセル化試料のスコアをカプセル化試料のスコアから引いた。3つのスコア、即ち香料自体の強度、衣服を通じて検知された強度および任意の悪臭の最終的な強度を測定した。結果を表3にまとめる。
【0091】
【表2】

【0092】
E1およびE2から使用した芳香剤の割合はほぼ同じで、約0.6%であった。
【0093】
【表3】

【0094】
結果は、カプセル化芳香剤の存在が、組成物が塗布された後に何時間にもわたる悪臭抑制で著しい改善を示す傾向にあったことを示している。
【0095】
(実施例2)
回転塗布式組成物から塗布されたカプセル化(試験)芳香剤と非カプセル化(対照)芳香剤との間の悪臭抑制の相違を証明するために臨床試験を行った。実施例2で使用した処方は、非カプセル化芳香剤が別のフローラルフルーティ芳香剤(Cn)であることを除いて、実施例1で使用したものと同じであった。
【0096】
本実施例では、試験および対照製品を毎日パネリストの腋窩に塗布して(0.3g+/−0.03g)、パネリストは5時間後または24時間後まで通常の日常活動を行い、芳香剤の有効性を訓練された評価者が腋窩をラテックス製手袋をはめた手で軽く擦ること(10回)によって評価した。2分後に悪臭を評価したが、スケールは0から5であった。これを4日間反復して、パネリストは試験の間に腋窩を洗ったり、または任意のその他の制汗剤もしくは脱臭剤を塗布したりしないように指示された。結果を表4に示す。
【0097】
【表4】

【0098】
これらの結果により、組成物はカプセル化芳香剤が存在すると24時間後でも悪臭をより良好に制御できることが確認される。
【0099】
(実施例3から8)
実施例1と同じ一般的な方法で作製したこれらの実施例の組成物を、下の表5にまとめる。
【0100】
【表5】

*1 アルミニウムクロロハイドレート(50w/w%水性溶液−クロロヒドロール(商標)溶液−レヘイス)
*2 テゴアルカノールS2(商標)−デグサ
*3 Brij 78(商標)−ユニケマ
*4 高オレイン酸−ヘンリー・ラモット
*5 フィンソルブTN−フィンテックス
*6 フルイドAP−ユーコン
*7 カボシル−カボット
*8 HDK H30(商標)−ワッカーケミー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制汗剤または脱臭活性成分が溶解または分散した連続水相;
分散油相;
非イオン性乳化剤または乳化剤の混合物;および
分散粒状剪断感受性カプセル化香料
を含み、該香料カプセル化材料が、0.25から9μmの厚さを有し、10から40重量%のカプセル剤、25から70μmの体積平均粒径、1:5から1:120の範囲のシェル厚対平均粒径の比、および1.5MPaから50MPaの範囲のヒシトロン硬度を有する架橋ゼラチンコアセルベートのシェルを有する、
水中油型エマルションの形の制汗剤または脱臭剤組成物。
【請求項2】
コアセルベートがゼラチンを5以下のpHのアラビアゴムまたは荷電カルボキシメチルセルロースのどちらかと接触させることによって得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コアセルベートがグルタルアルデヒドによって架橋されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カプセルが40から60μmの範囲の粒径D[4,3]を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
カプセルが2.5μmまでの範囲の測定されたシェル厚を有する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
カプセルが0.3から0.8μmの範囲の測定された平均シェル厚を有する、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
カプセルが40:1から80:1の範囲の平均粒径:シェル厚比を有する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
カプセルが35から55体積%の平均コア体積を有する、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
カプセル化材料が2.5から4MPaの範囲のヒシトロン硬度を有する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
カプセルが10から3MPaの範囲の見かけの換算弾性率を有する、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
0.1から4重量%のカプセルを含有する、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
非カプセル化芳香剤をさらに含有する、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
乳化剤が非イオン性乳化剤の混合物を含み、第一の非イオン性乳化剤が2から6.5のHLB値を有し、第二の非イオン性乳化剤が6.5から18のHLB値を有する、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
乳化剤が、2:1から5:1の重量比で有する、6.5未満のHLB値を有する第一の乳化剤および8を超えるHLB値を有する第二の乳化剤の混合物を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
乳化剤または乳化剤の混合物が合わせて、組成物の2.5から4重量%の量で存在する、請求項1から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
油が組成物の少なくとも1.5重量%の量で存在する、請求項1から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
油がトリグリセリド油である、請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
油を加えた乳化剤の全割合が組成物の4から7.5重量%の範囲である、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
ヒュームドシリカを少なくとも0.5重量%の量で含有する、請求項1から18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
ヒュームドシリカが疎水性であり、0.5から2.0重量%の量で存在する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
制汗(antipersirant)活性成分が場合により複合体化されたアルミニウムおよび/またはジルコニウムクロロハイドレートである、請求項1から20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
0.1重量%未満のエタノールを含有するまたはエタノールを含有しない、請求項1から21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
組成物が70から85重量%の水および10から20重量%の制汗活性成分を含有する、請求項1から22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
この塗布に適する回転塗布式ディスペンサ内の、請求項1から23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
6.5未満のHLB値を有する乳化剤を含有する油相および制汗または脱臭活性成分および6.5を超えるHLB値を有する乳化剤を含有し、ならびに水相用の増粘剤を場合により含有する水相を個別に形成する工程と、
2つの相を共に混合し、得られた混合物を剪断してエマルションを形成する工程と、
剪断される直前の混合物中に請求項1から11のいずれか一項に記載の粒状剪断感受性カプセル化香料を導入する工程と、
を含む、制汗剤または脱臭剤組成物の製造プロセス。
【請求項26】
請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物をヒト皮膚に局所塗布することを含む、発汗を抑制するおよび/または悪臭知覚に対抗する方法。

【公表番号】特表2012−506844(P2012−506844A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532573(P2011−532573)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062900
【国際公開番号】WO2010/049235
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】