説明

剥皮用カプセル

− カプセルの材料が25℃において固体の化粧品に通常使用される脂質、ワックス、乳化剤、天然または合成の重合体、或いは化粧品に通常使用される1種またはそれ以上の脂質、ワックス、乳化剤、および天然または合成の重合体の群から選ばれる物質から成る25℃で固体の混合物から選ばれたカプセルの外被;並びに
− − 25℃において3〜50000mPas、好ましくは10000〜8000mPas、特に好ましくは2000〜4000mPasの粘度を示す油または脂質、および
− 1種またはそれ以上の研磨作用をする固体物質から成るカプセルの充填剤
を含んで成ることを特徴とするカプセルの形をした化粧品用の剥皮組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形状安定性をもったカプセルの外被および充填物を備えたカプセルの形をした化粧品用および皮膚科用の剥皮(peeling)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮は種々のタイプの細胞から構成されている。即ち胚芽層(Keimschicht、Stratum germinativum)、顆粒層(Koernerschicht、Stratum granulosum)および角質層(Hornschicht、Stratum corneum)である。胚芽層の中では分裂によって新しい細胞が生成され、たえず皮膚の表面を動き回る。その道筋において顆粒層の中でこの細胞は角質化し徐々に死んでゆく。これらの死んだ角質細胞は柱状の角質として皮膚の中で細胞の大部分をなしている。28日以内に表皮は再生する。死んだ角質細胞は次第に見えなくなりひとりでに剥離してゆく。
【0003】
酷使する体の部位、例えば手、足または膝には、皮膚が非常に乾燥している場合、増加した角質の残骸が集積し、これはひとりでには剥がれず、従ってきたなく、くすんだ、部分的にはほつれたような皮膚を生じる。
【0004】
このような過剰の角質の残骸を皮膚から除去するためにはいくつかの可能な方法がある。先ず種々の道具、例えば軽石、浴用タオルまたはヘチマの根がある。次に、例えば砂、塩、砂糖または粗い小麦粉のようなゆるい粒子を用いて皮膚を擦ることは広く行われている。さらに化粧品組成物、例えば研磨作用をもった樹脂の粒子を含んだ洗浄剥皮剤がある。これらの樹脂粒子を再び皮膚から除去するのを容易にするために、大部分の洗浄用剥皮剤には表面活性剤が添加されている。しかしこれらの表面活性剤は樹脂の粒子ばかりではなく皮膚の上に存在する皮膚の脂質も除去し、従って使用した後しばしば皮膚を緊張させる。
【0005】
化粧品組成物に同時に油および脂質を添加すれば、皮膚を緊張をさせないですますことができる。特に滲出する油を戻す(rueckfettende)化粧品組成物の例は油/塩混合物である。
【0006】
剥皮組成物として使用するために油の中に塩を懸濁させることは少しばかり前から使用者には知られていた(例:非特許文献1)。このような混合物はまた完成した化粧製品として販売されている(例:Alessandro(R) Hands!Up Magic Manicure(R))。これらの混合物中の細かい塩の粒子は時間と共に容器の底に沈澱し、そこで目に見える塩の層をつくる。両方の層を混合するには、使用された塩の粒子の大きさに依存して時間および労力が非常にかかる。しばしば生成物を均一に混合することは不可能であり、その結果油は劣悪な環境で使用される。この場合殆ど乾燥して堅くなった塩の層が容器の底に残り、これはもはや使用不可能である。
【0007】
このような欠点を除去する試みは特許文献1および2の乳化液カプセルに記載されている。
【0008】
これらの発見の範囲内では、塩の沈降の問題は使い捨て包装品として塩の懸濁物をカプセルの中に組み込むことにより解決すべきである。化粧品用の活性物質を賦与する形としての化粧品用のカプセル、或いは単に特有の使用体験を備えた組成物の形としての化粧品用のカプセルはそれ自体いずれも公知である。これらは例えば特許文献3および4に記載
されている。
【0009】
このような乳化液のカプセルの欠点は、カプセルの外被がしばしば好ましくない方法で粗い破片になって皮膚の上を汚すことである。
【発明の概要】
【0010】
当業界の技術の現状においてこの問題は、
− カプセルの材料は25℃において固体の化粧品に通常使用される脂質、ワックス、乳化剤、天然または合成の重合体、或いは化粧品に通常使用される1種またはそれ以上の脂質、ワックス、乳化剤、および天然または合成の重合体の群から選ばれる物質から成る25℃で固体の混合物から選ばれたカプセルの外被;並びに
− − 25℃において3〜50000mPas、好ましくは1000〜8000mPas、特に好ましくは2000〜4000mPasの粘度を示し、
− 1種またはそれ以上の研磨作用をする固体物質から成るカプセルの充填剤
を含んで成るカプセルの形をした化粧品用の剥皮組成物を提供することによって解決されるであろうということは、当業界における技術の現状から見て簡単に予想できることではなかった。
【0011】
使用する際には、外被並びに充填剤を含むカプセル全体を擦り込む。充填剤の中の研磨作用をする1種またはそれ以上の固体物質により剥皮効果が得られ、油は先ず研磨作用をする固体物質の滑りを良くし、次いで皮脂を戻すように作用する。
【0012】
カプセルの外被が溶解する際、内部にある研磨作用をもった固体がこれを助ける。乳化剤のカプセルの場合に観測されるカプセルの外被がうまく分散しない問題は、研磨作用をする固体物質を添加することにより改善することができる。カプセルの外被のワックスは保護フィルムを形成する。徹底的に擦り込み分散させた後、残った残骸は水で洗い流すことができる。
【0013】
好ましくは外被の性質は、
・ 皮膚の上に組成物を擦り込むか分散させると、外被は熔融するか、および/または剪断力のために完全にまたは部分的に液体になるか、および/または
・ 充填剤および/または皮脂の脂質の中に溶解するか、或いは内部の相および外被材料の混合により溶解する、
であることを特徴としており、従って使用者にとって外被はもはや組成物と共に存在する組成物の成分と区別して感じられないものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「球」、「カプセル」、または「カプセルの形の組成物」のような多くの概念は、原則的には本発明のカプセルを記述するために引用することができるが、これらの概念は状況に応じ種々の意味をもつように分類されている。
【0015】
本発明に従えば一般にカプセルは例えばほぼ球形か回転楕円体の形をし、明らかに周囲から区別し得る物体であり、軽く圧力をかけた場合、即ち例えば包装から取り出す際に手でつかむことによってその形が変化したりまたは実質的に変化することはない。本明細書の範囲内においてカプセルのこのような状態は「形状的に安定な」または「かたい」と言われる。
【0016】
しかし本発明に従えば、カプセル、カプセルの外被および充填物の上記の特徴が保持されている限り、他の形のカプセルまたは組成物を考えることができる。
【0017】
本発明のカプセルは平均の直径が典型的には5〜50mmであり、好ましくはエンドウ豆ないしはサクランボの大きさ、即ち直径8〜15mmである。従ってカプセルは手でつまんで使用することができる。
【0018】
外被は好ましくはワックス、例えばセレシン、地蝋(Ozokerit)、エステルワックス、グリセリドワックスおよび/または脂肪アルコール、並びに固体の乳化剤、およびこれらの混合物から構成されている。ワックスは天然産のもの、変性された天然ワックス、半合成品または完全合成品であることができる。
【0019】
本発明の外被材料は好ましくは
・ 天然産のワックス、特に好適にはカルナウバワックス、カンデリラワックス、シェラックワックス、液果ワックス(Rhus Verniciflura)、水素化された植物油、例えば水素化されたパーム油または菜種油、蜜蝋、羊毛ワックス(Eucerit)、ヒマワリワックス、ホホバワックス、
・ 炭素原子数10〜40の高級飽和脂肪酸から得られるモノ−、ジ−およびトリグリセリドまたはこれらの混合物、特に好ましくはグリセリルトリパルミテート(Dynasan 116)および/またはグリセリルステアレート、Kahlwachs 6447(脂肪酸エステルと炭化水素重合体との混合物)、グリセリルトリベヘネート(Syncrowax HRC)、
・ 高級飽和脂肪アルコール、特に好ましくは炭素原子数14〜30のもの、極めて好ましくはステアリルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール、および/またはセチルアルコール、
・ 合成エステル、好ましくはC16〜36アルキルヒドロキシステアロイルステアレート、ステアリルステアレート、セテアリル(Cetearyl)ベヘネート、C20〜40アルキルステアレート、特に好ましくはセチルパルミテート、メチルパルミテート、ミリスチルミリステート、
・ 重合体ワックス、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルエーテル、ポリデセン、特に好ましくはポリビニルステアリルエーテルおよび水素化されたポリデセン、
・ 共重合体、特に好ましくはエチレン−およびビニルアセテートからつくられたもの、並びにポリビニルピロリドンおよびヘキサデセンからつくられたもの、
・ 炭化水素/パラフィンワックス、特に好ましくはCera Microcristallina、パラフィンワックス、セレシン、地蝋、
・ シリコーンワックス、
・ 化学的に変性されたワックス、
・ 上記の群のワックスの任意の混合物
から成る群から選ばれるワックスから構成されている。
【0020】
本発明の外被をつくるための本発明の特に好適なワックスはセチルパルミテート、蜜蝋、水素化されたココグリセリド、メチルパルミテート、カンデリラワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、セレシン、地蝋、ミリスチルミリステート、トリパルミチン、トリベヘニン、グリセリルパルミトステアレート、水素化された菜種油、C15〜40アルキルステアリルステアレートおよびC18〜36脂肪酸トリグリセリドである。
【0021】
本明細書の範囲内において、当業界の専門家には公知のように、脂肪、油、ワックス、および同様なものの上位概念としてしばしば「脂質」と言う言葉が使用される。また「油相」および「脂質相」という概念は同義語として使用される。
【0022】
本発明の組成物の内部の油相は、極性をもった油の群、例えばレシチンおよび脂肪酸トリグリセリド、即ち飽和および不飽和の,分岐したおよび/または分岐しない鎖長が8〜
24で、特に炭素数が12〜18のアルカンカルボン酸のトリグリセリンエステルから成る群から選ばれることが好ましい。脂肪酸トリグリセリドは例えば合成された、半合成の、および天然産の油、例えばココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココヤシ油、ひまし油、麦芽油、ブドウの種油、マツヨイグサ油、マカダミアナッツ油(Macadamianussloel)等々から成る群から選ばれることが好適である。
【0023】
本発明の目的においてさらに好適な極性をもった油成分は、飽和および不飽和の,分岐したおよび/または分岐しない鎖長が炭素数3〜30のアルカンカルボン酸、および飽和および不飽和の,分岐したおよび/または分岐しない鎖長が炭素数3〜30のアルコールのエステルから成る群、並びに芳香族カルボン酸と飽和および不飽和の,分岐したおよび/または分岐しない鎖長が炭素数3〜30のアルコールのエステルから成る群から選ばれる。このようなエステル油はオクチルパルミテート、オクチルココエート、オクチルイソステアレート、オクチルドデシルミリステート、オクチルドデカノール、セテアリルイソノナノエート、イソプロピルミルステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、ステアリルヘプタノエート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、並びにこのようなエステルの合成、半合成、および天然産の混合物、例えばホホバ油から成る群から選ぶことができる。
【0024】
さらに油相はジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネートから成る群から有利に選ばれ、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol OE)および/またはジカプリリルカーボネート、例えばCetiol CCの商品名で入手可能なものが有利である。
【0025】
さらに好ましくは、油成分はイソエイコサン、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、カプリリック/カプリック/ジグリセリルスクシネート、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、C12〜13−アルキルラクテート、ジ−C12〜13−アルキルタータレート、トリイソステアリン、ジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート、プロピレングリコールモノイソステアレート、トリカプリリン、ジメチルイソソルビッドが選ばれる。本発明の組成物の油相がC12〜15−アルキルベンゾエートを含んでいるか、あるいは全部これから成っている場合は特に有利である。
【0026】
またこのような油相およびワックスの成分の任意の混合物も本発明の目的に対して有利に含いんでいることができる。
【0027】
さらにまた油相は無極性の油、例えば分岐したおよび分岐しない炭化水素およびワックス、特に鉱油、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクワレンおよびスクワラン、ポリオレフィン、水素化されたポリイソブテンおよびイソヘキサデカンから成る群から選ばれるものを有利に含んでいることができる。ポリオレフィンの中ではポリデカンが好適な物質である。
【0028】
さらにまた油相は環式または直鎖のシリコーンを含んでいるか、或いはは全部このような油から成っていることができ、この場合1種またはそれ以上のシリコーン油の他にそれ以外の油相成分を追加的な量で使用することが特に好適である。
【0029】
シリコーン油は高分子量の合成重合体化合物であり、珪素原子は酸素原子の上に鎖状のおよび/または網状の結合をしており、珪素の残りの原子価は炭化水素基(大部分の場合メチル、稀にエチル、プロピル、フェニル基等)により飽和している。体系的にはシリコーン油はポリ有機シロキサンと呼ばれている。これらの群の中で量的に最も重要な化合物であり、下記構造式
【0030】
【化1】

【0031】
により示されるメチル置換ポリ有機シロキサンはまたポリジメチルシロキサンまたはジメチコン(Dimethicon(INCI))とも呼ばれている。ジメチコンは種々の鎖長ないしは種々の分子量のものが存在している。
【0032】
本発明の目的において特に有利なポリ有機シロキサンは例えばジメチルポリシロキサン[ポリ(ジメチルシロキサン)]であり、これは例えばTh.Goldschmidt社からAbil 10ないし10000の商品名で市販されている。さらに有利なものはフェニルメチルポリシロキサン(INCI:フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン)、INCIに従えばシクロメチコンと呼ばれている環式シロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサンまたはデカメチルシクロペンタシロキサン)、アミノ変性シリコーン(INCI:アモジメチコン)およびシリコーンワックス、例えばポリシロキサン−ポリアルキレン共重合体(INCI:ステアリルジメチコンおよびセチルジメチコン)およびジアルコキシジメチルポリシロキサン(ステアロキシジメチコンおよびベヘノキシステアリルジメチコン)があり、これらはTh.Goldschmidt社から種々のAbil−Waxタイプのものが市販されている。しかし本発明の目的に対しては例えばセチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)のような他のシリコーン油も有利である。
【0033】
内部の油相に使用できる油はまた外被材料に対する有利な添加物である。
【0034】
好適な研磨作用をする固体物質は結晶性の食塩である。しかし海水から得た天然塩(海水塩)、岩塩、沸騰させてつくった塩、塩田製の塩、並びにヒマラヤ塩も使用される。
【0035】
これらの代りにまたはこれらに加えて、天然産および合成品をベースにしたすべての有機性または無機性の固体物質から成る、研磨作用をもった固体粒子の群から選ばれるさらに他の研磨作用を有する固体物質を使用することも有利である。
【0036】
本発明による充填剤は無機性または有機性の珪素化合物の群から得られる。
【0037】
無機性の珪素化合物の中で層状の珪酸塩が特に好ましい。この中でさらに好適なものはカオリン、タルクおよび雲母である。
【0038】
それ以外には、表面を有機材料で変性した球状の粒子も好適な無機性の珪素化合物に属している。
【0039】
この中でポリメチルシルセスキオキサンおよび疎水性をもつように変性されたエーロシル(Aerosile)、例えばAerosil R 972が特に好適である。
【0040】
有機性の珪素化合物に属するものはシロキサンエラストマーおよびシロキサン樹脂である。この中でShin Etsu社製のKSPタイプ、並びにトリメチルシロキシシリケートが特に好適である。
【0041】
さらに他の本発明の好適な充填剤は球状の粒子から得られる。平均粒径が20μmより小さいものが特に好適である。それ以外には有機由来の球状の粒子が有利に選ばれる。
【0042】
平均粒径が10μmより小さい球状の粒子がさらに好適である。その中で例えばFirma KoboからSP−501またはSP−500として市販されているナイロン−12が特に好ましい。その他、例えばLCWからCovabead LH 85の商品名で市販されているポリメチルメタクリレートが好適である。
【0043】
さらにまた澱粉誘導体を混入することが好適である。この中でアルミニウム澱粉オクテニルスクシネート、トウモロコシ澱粉またはナトリウムトウモロコシ澱粉オクテニルスクシネートが特に好適である。
【0044】
本発明に従えば、組成物は該組成物の全重量に関し0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特に1〜4重量%の1種またはそれ以上の充填剤を含んでいることが有利である。
【0045】
有利なカプセル充填剤は
− 液体の油ないしは液体の脂質混合物、対
− 1種またはそれ以上の研磨作用を行う固体物質の割合が容積比として70:30〜40:60の範囲に選ばれていることを特徴としている。
【0046】
本発明のカプセルの形をした組成物を製造するには、先ず最初に外被および充填物を互いに別々に製造する。外被材料による充填剤の被覆は、充填剤または外被の組成に無関係に、種々の技術により行われる。
【0047】
例えば、充填剤を凍結させ、ついで熔融させた外被材料の中に浸漬し、これによって充填剤の上に堅い固体の閉じた外被をつくることができる。
【0048】
しかしまた熔融した外被材料を中空の球体に注ぎ込み、これを球体の壁にある孔を通して随時充填剤で充填することもできる。しかる後この孔を外被材料の栓で閉じる。他の可能性としていわゆるワン・ショット法による製造法がある。この場合外被材料および充填剤を同時に注入する。注入機は両方の材料を分割された容器から同心円をなした環状のノズルを通してブリスター(blister)の形に供給する。最初外被の材料が環の隙間に注入され、次いで少し遅れて充填剤が内部ノズルの上に供給される。このようにして一回の処置で完成したカプセルが注入されて成形される。この方法は本発明における好適な製造方法である。
【0049】
また、最初中空の球体の半分に注入を行い、随時これに充填し、また覆いをし、最後に熱処理により互いに熔融する。さらに二つのこのような半球体をつくり、この際後で充填するためにその一つまたは両方に一つの孔を開け、次いで熔接して一つの中空の球体にし、充填用の孔を通して充填を行い、上記のようにして密閉することができる。
【0050】
必ずしも必要なことではないが、本発明においては剥皮用カプセルは公知方法に従って錠剤化を行うことが有利である。本発明に従えば錠剤化の材料は通常この目的に使用される糖の群から選ぶのが有利であるが、また通常の錠剤化用ラッカー、例えばポリメタクリ
レートまたはメチルセルロース或いは塩の硬皮(Salzkruste)をベースにしたものを用いることができる。
【0051】
貯蔵安定性および破壊強度を改善するために、外被の上に重合体を被覆することができる。適当な重合体はセルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート、並びにエウドラギット(Eudragit)である。
【0052】
さらに、カプセルを艶だしワックスまたは硬質ワックスで被覆することが有利である。これに対しては特にシェラックワックス、カルナウバワックスまたは蜜蝋、並びにラッカーワックスが挙げられる。
【0053】
錠剤化という言葉は、糖衣層で内部の核となる材料を覆うことを意味する。現在では常にしばしば他の被覆材料が使用されている。被覆される層は糖(=古典的な糖衣錠)または他のフィルム生成剤(フィルム錠剤)のいずれかである。層は大部分の場合着色されており、完成した薬剤の性質(臭い、風味....)を所望の方法で変化させるために随時さらに他の物質を含んでいることができる。糖衣錠の製造は古典的な錠剤化の方法、即ち核となる物質を糖の溶液で被覆する方法である。製造コストが高く(工程を自動化することが困難)、1回の原料装入に対し最大1週間という長い製造時間がかかるために、この方法はフィルム錠剤によって常に取って代わられている。
【0054】
低温錠剤化の際には、常温において糖の溶液を被覆し、温かい状態で錠剤化を行う場合(高温錠剤化)には、加温した糖のシロップ(約50〜60℃)を用いる。
【0055】
この工程は錠剤化用の釜の中で行い、釜の中でドラムを回転させて核となる物質をロール状にする。錠剤化用の液を加え、次第に核の上に被覆してゆく。同時に慎重に乾燥させる(温かい空気または紫外線を用いる)。加温に敏感な物質の場合には、冷たい空気を通して乾燥することができる。
【0056】
核を形成するのに十分な厚さおよび安定性が得られるまでこの工程を繰り返す。これには最大50回の錠剤化工程が必要である。これによって核は大きさおよび容積が増大する。
【0057】
個別的な錠剤化工程:
・ 含浸
錠剤化の液体が核の中に侵入する前に保護を行うために、例えばシェラクラッカー(Schellackloesungen)の溶液または重合体で含浸する。
・ 予備被覆
被覆を機械的に保護し予備的に被覆するために行う。予備被覆用のシロップは糖の他に接合剤(PVP、セルロース等)を含んでいる。
・ 被覆(最高50回)
被覆は本来の錠剤化工程である。所望の厚さになるまで繰り返す。
・ 着色
着色を行うために最後の被覆層に染料を加える(1〜3%)。
・ 平滑化
非平面性を除去するために平滑化用のシロップを被覆する。ゆっくりと乾燥することが重要であるから、熱を加えてはならない。
・ 艶だし
外観を改善するために、加熱することなく油および艶だしワックス、特にフェルトを被覆したドラムを駆動する。
・ 急速錠剤化
急速錠剤化は上記の本質的な操作工程において対応している。ほぼ70〜90%薄い層の厚さで満足することによって時間が節約される。さらに急速錠剤化には錠剤化用の乳化液が使用される。このようにして少ない時間で錠剤が得られる。
【0058】
下記実施例により本発明のカプセルの形をした組成物を説明する。特記しない限り与えられた%の値は組成物の全重量に基づいている。
【実施例】
【0059】
処方例:
外被材料:
I.
18−36脂肪酸トリグリセリド 12.2 %
水素化されたココグリセリド 60.96 %
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 12.2 %
シクロメチコン 12.2 %
シリカジメチルシリレート 2.44 %

II.
イソプロピルステアレート 47.17 %
グリセリルステアレート 1 %
ポリエチレン 10 %
シリカジメチルシリレート 5 %
トリセテアレト−4 フォスフェート 0.3 %
セチルアルコール 36.5 %

充填剤:
III.
ホホバ油 50 %
食塩 50 %

IV.
ステアリルアルコール 0.25 %
蜜蝋 0.25 %
18−36脂肪酸トリグリセリド 2.75 %
パラフィン油 46.55 %
香料 0.2 %
食塩 50 %

V.
セチルアルコール 10 %
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 40 %
塩化ナトリウム 50 %

【実施例1】
【0060】
IVを用いる製造例:
18〜36脂肪酸トリグリセリド、水素化されたココグリセリド、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよびシクロメチコンを80℃に加温する。引き続き撹拌しながらシリカジメチルシリレートを熔融した脂質混合物に加える。
【0061】
ステアリルアルコール、蜜蝋、C18〜36脂肪酸トリグリセリド、およびパラフィン油を同様にして熔融し、海水塩と混合する。
【0062】
ワン・ショット法を用い、外被材料および充填剤を一度に注入してカプセルにする。
【0063】
次いで錠剤化用の釜の中で砂糖の溶液またはワックスの分散液を用いて錠剤にする。
【実施例2】
【0064】
IIIを用いる製造例:
外被材料をつくるためにイソプロピルステアレート、グリセリルステアレート、トリセテアレト−4 フォスフェートおよびセチルアルコールを80℃に加温する。引き続き撹拌しながら熔融した脂質混合物の下方でシリカジメチルシリレートおよびポリエチレンを混合する。
【0065】
充填剤のためにホホバ油および食塩を1:1の比率で混合する。
【0066】
ワン・ショット法を用い、外被材料および充填剤を一度に注入してカプセルにする。
【0067】
次いで錠剤化用の釜の中で砂糖の溶液またはワックスの分散液をもちいて錠剤にする。
【実施例3】
【0068】
Vを用いる製造例:
18〜36脂肪酸トリグリセリド、水素化されたココグリセリド、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよびシクロメチコンを80℃に加温する。引き続き撹拌しながらシリカジメチルシリレートを熔融した脂質混合物に加える。
【0069】
セチルアルコールおよびカプリル/カプリン酸トリグリセリドを同様にして熔融し、塩化ナトリウムと混合する。
【0070】
ワン・ショット法を用い、外被材料および充填剤を一度に注入してカプセルにする。
【0071】
次いで錠剤化用の釜の中で砂糖の溶液またはワックスの分散液を用いて錠剤にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】国際公開第00/04867号パンフレット。
【特許文献2】米国特許第5,866,145号明細書。
【特許文献3】国際公開第05/20940号パンフレット。
【特許文献4】国際公開第05/20949号パンフレット。
【非特許文献】
【0073】
【非特許文献1】「Grossmutters Hausmittel,neu entdeckt」,(C)2000,Reader’s Digest,Verlag Das Beste GmbH,Stuttgart,Zurich,Wien。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− カプセルの材料が25℃において固体の化粧品に通常使用される脂質、ワックス、乳化剤、天然または合成の重合体、或いは化粧品に通常使用される1種またはそれ以上の脂質、ワックス、乳化剤、および天然または合成の重合体の群から選ばれる物質から成る25℃で固体の混合物から選ばれたカプセルの外被;並びに
− − 25℃において3〜50000mPas、好ましくは1000〜8000mPas、特に好ましくは2000〜4000mPasの粘度を示す油または脂質、および
− 1種またはそれ以上の研磨作用を行う固体物質から成るカプセルの充填剤
を含んで成ることを特徴とするカプセルの形をした化粧品用の剥皮組成物。
【請求項2】
カプセル材料は少なくとも35℃の温度まで固体であるかまたは形状的に安定であることを特徴とする請求項1記載の剥皮用組成物。
【請求項3】
ワックスはセチルパルミテート、セチルリジノエート(Cetylrizinoleat)、密蝋、水素化されたココグリセリド、メチルパルミテート、カンデリラワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、セレシン、地蝋、ミリスチルミリステート、トリパルミチン、トリベヘニン、グリセリルパルミトステアレート、水素化された菜種油、および/またはC15〜40アルキルステアリルステアレート、好ましくはセレチンおよび/または地蝋の群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の剥皮用組成物。
【請求項4】
実質的に球形をなし、カプセルの平均直径が5〜50mm、好ましくは8〜15mmであることを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。
【請求項5】
カプセルの平均容積が0.25〜25mlであることを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。
【請求項6】
カプセルの外被の平均の厚さが0.001〜3mmであることを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。
【請求項7】
研磨作用を行う固体物質は食塩、岩塩、沸騰させてつくった塩、海水塩、またはヒマラヤ塩の群から選ばれ、好ましくは例えばビスコース、セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アラミド、ナイロン、ケブラー、ポリビニル誘導体、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、および/またはポリエチレンから成る合成樹脂の粒子、並びに難溶性または不溶性の結晶、例えば硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、カプセルに容れられたまたはカプセルに容れられていない結晶、例えば塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、砂糖、珪酸塩、例えば海砂、アルミナ、泥、粗挽きされたまたは挽かれた天然の産物、例えば小麦、亜麻の種子、米、トウモロコシ、アーモンド、クルミ、クルミの殻、カボチャの種子、キュンメル、泥、粗挽きされたまたは挽かれた天然のスポンジ、例えばヘチマ、天然産または合成品のワックス、例えば米糠、カルナウバワックス、ホホバワックス、蜜蝋を使用することができることを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。
【請求項8】
カプセルの充填剤は、
− 液体の油ないしは液体の脂質混合物、対
− 1種またはそれ以上の研磨作用を行う固体物質の比が、容積比として70:30〜40:60の範囲になるように選ばれていることを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。
【請求項9】
使用される研磨作用を行う物質の粒子の大きさは40〜2000μmの範囲にあり、特に好ましくは800μmよりも小さいことを特徴とする上記請求項のいずれか一つに記載された剥皮用組成物。

【公表番号】特表2010−504294(P2010−504294A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528630(P2009−528630)
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008051
【国際公開番号】WO2008/034565
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】