剥離性シール部を有するプラスチックパウチ
【課題】多室パウチ内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には剥離性シール部を容易に連通させて混合することができるプラスチックパウチを提供する。
【解決手段】パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成することにより連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得る。
【解決手段】パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成することにより連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性シール部を有するプラスチックパウチに関する。本発明のプラスチックパウチは、粉末や液体を剥離性シール部で分離して収納室に収納し、使用時に押圧をかけて剥離性シール部を開封し、収納室を連通させて内容物を混合後使用する多室パウチとして好適に用いられる。また、内容物を充填密封した状態で電子レンジで加熱調理する際に、内圧の上昇を開放して破裂を防止するプラスチックパウチとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
複数の収納室が連通可能な剥離性シール部で仕切られた多室パウチは、各成分を予め混合した状態で保存すると反応を起こし変質する、例えば、医療用輸液とその溶解液、注射用粉末製剤とその溶解液、調味料、混合型接着剤などの内容物を分離収納するために用いられる。こうした容器は、使用時には混合比を調整することなく容易に混合することができ、しかも外部からの異物の混入を防止できることから医療用等各種の用途において需要が増大しており、種々のタイプのものが提案されている。(例えば、特許文献1〜4参照)
【特許文献1】実公平8−5708号公報
【特許文献2】特開平11−227841号公報
【特許文献3】特開2000−309350号公報
【特許文献4】特開2003−54621号公報
【0003】
このようなプラスチックパウチでは、内容物を剥離性シール部で分離してそれぞれの収納室内に充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時に、落下等の衝撃により剥離性シール部からなる仕切り部が剥離して連通するのを防止するとともに、パウチの使用時にはパウチを押圧して剥離性シール部を容易に剥離・連通させて混合することが求められる。しかしながら、前記従来のプラスチックパウチでは、このような相反する要求を同時に満たすことは困難であった。
一方、電子レンジで加熱調理するプラスチックパウチでは、内容物の加熱調理時の圧力を容易に開放して、パウチの破裂(バースト)による内容物の飛散、電子レンジ内の汚れ等を防止する簡易的な手段が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、多室パウチ内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には剥離性シール部を容易に連通させて混合することができるプラスチックパウチを提供することを目的とする。
また、内容物を充填したプラスチックパウチを、電子レンジで加熱調理する際のバーストを防止する簡易的な手段を備えたプラスチックパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、前記課題を解決するために次の1〜15の構成を採用する。
1.パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成したことを特徴とする連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチ。
2.前記スポット状の未シール部を複数1列に設けたことを特徴とする1に記載のプラスチックパウチ。
3.前記スポット状の未シール部を複数列設けたことを特徴とする1に記載のプラスチックパウチ。
4.前記剥離性シール部の幅が4〜15mmであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
5.前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離が0.5〜4mmであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
6.前記剥離性シール部のパウチの幅方向における長さをシール部の両側で異なる長さとしたことを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
7.前記シール材の一方のシール面をパウチを構成する一方の包材の内面と強固に接合したタイトシール部とし、前記シール材の他方のシール面をパウチを構成する他方の包材の内面と弱く接合した弱シール部としたことを特徴とする1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
8.前記シール材がパウチ内壁とのシール部を構成する樹脂上層及び樹脂下層と、該樹脂上層とヒートシール性を有しない中間層の三層から成り、該樹脂上層と中間層との間の層間剥離によって剥離されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
9.前記パウチ内壁と樹脂下層の連通側の未シール部近傍に肉溜まりを設けたことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
10.前記プラスチックパウチが、前記剥離性シール部により隔離された複数の収納室を有する多室プラスチックパウチであることを特徴とする1〜9のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
11.前記剥離性シール部を挟んで前記剥離性シール部の片側に固形物を収納する副室を配置し、前記剥離性シール部の他方側に該固形物の溶解液を収納する主室を配置したことを特徴とする10に記載のプラスチックパウチ。
12.前記副室を主室の側壁から分岐させて形成し、副室内に前記剥離性シール部を設けたことを特徴とする11に記載の多室プラスチックパウチ。
13.前記プラスチックパウチがスタンディングパウチであることを特徴とする12に記載のプラスチックパウチ。
14.前記スタンディングパウチの底部を透明材料により構成したことを特徴とする13に記載のプラスチックパウチ。
15.前記プラスチックパウチの少なくとも1つの収納室に内部が透視可能となる透視窓を設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多室プラスチックパウチ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉末や液体を分離して収納し、使用時に押圧をかけて剥離性シール部を開封して収納室を連通させ内容物を混合後使用する多室パウチにおいて、パウチ内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には手指等による押圧によって容易に連通させることができる、剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得ることができる。
また、内容物を充填密封した状態で電子レンジで加熱調理するプラスチックパウチにおいて、加熱調理時の内圧の上昇により、剥離性シール部を容易に連通させてバーストを防止することができる、剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。本発明のプラスチックパウチを多室パウチとして構成した場合には、主室と副室という用語を使用することがあるが、これらの用語は単に複数の収納室を区別するために使用するものであり、主及び副という用語が収納室の大小関係を表すものではない。
図1〜図4は本発明を多室パウチに適用した1例を示す図であり、図1は内容物充填前のパウチを開いた状態を示す平面図、図2は内容物充填後のパウチを開いた状態の断面模式図、そして図3は内容物充填後多室パウチを折り曲げた状態を示す断面図である。また、図4はパウチの剥離性シール部の拡大模式図である。
【0008】
この多室パウチ1では、同一平面内で隣接するように副室2と、主室3が設けられ、副室2と主室3は剥離性シール部4により仕切られている。この多室パウチ1は、副室2及び主室3にそれぞれ内容物を充填した後に図3のように折り曲げて、周縁シール部6に設けた固定部8で固定しそのままの状態で輸送や貯蔵することができる。
そして、この多室パウチを使用する際には、図2のように多室パウチ1を拡げて主室3を押圧すると(符号30の矢印)、その圧力が主室3内の内容物により伝達されて(符号30’の矢印)剥離性シール部4が破壊され、主室3の内容物が副室2に流入して両室に収納された内容物の混合溶液が得られる。得られた混合溶液は注出口7から導出される。
【0009】
この多室パウチ1の剥離性シール部4には、図4にみられるように、複数のスポット状の未シール部12、12が1列に設けられている。
そして、剥離性シール部4の一方の側に固形物(図示せず)を収納する副室2を配置し、前記剥離性シール部4の他方の側に該固形物の溶解液を収納する主室3を配置したもので、主室3を押圧することにより剥離性シール部4を剥離させて両室を連通させる。
そして、本発明のプラスチックパウチの剥離性シール部4は、このようなスポット状の未シール部12を1列に設けることによって、主室3を押圧したときに容易に剥離するようにしたものである。
【0010】
前記剥離性シール部4の幅(図4のW)は、パウチのサイズや内容物の種類に応じて任意に選択することができるが、通常は4〜15mm程度とすることが好ましい。また、前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離(図4のL1、L2)も任意に選択することができるが、通常は0.5〜4mm程度とすることが好ましい。さらに、L1はL2より幅狭とすることが好ましい。
【0011】
前記剥離性シール部4は、パウチの壁材9、10とこれら壁材とは別体のシール材15をヒートシールすることによって形成するのが好ましい。シール材15の片面は壁材9と強固に接合するタイトシール部16を形成し、シール材15の他面は壁材10と弱い接合力で接合する易剥離性シール部17を形成している(図2参照)。
このように接合力の異なるシール面を有する剥離性シール部を形成するには、例えば、シール材の断面の拡大模式図である図5にみられるように、シール材15の一面にパウチ内壁と同種のヒートシール性樹脂層25を設け、他面には異種のヒートシール性樹脂層26を設けた2層構成のシール材15を使用する。これにより、パウチ内壁とシール材15をヒートシールした際に、シール材15の片面25はパウチ内壁とタイトシール部16を形成し、他面26は界面剥離し易い易剥離性シール部17を形成する。
【0012】
また、シール材15を、例えばその断面拡大模式図である図6にみられるように、3層構成として、両面にパウチ内壁とのヒートシール性を有する樹脂層を設け(符号25、27)、中間層26を前記樹脂層25、27とのヒートシール性を有しない樹脂層としてもよい。この場合、剥離力が作用した際に、前記樹脂層25、27の少なくとも一方の樹脂層と中間層26との間で層間剥離によって剥離されることになるが、剥離を確実に行う点から、前記樹脂層25、27の何れか一方の樹脂層と中間層26との間で層間剥離が生じるように前記樹脂層25、27及び中間層26のそれぞれの材料を適宜選択するが好ましい。
【0013】
図7は、剥離性シール部4の断面構造の1例を説明する模式図で、図7(A)は、パウチ内壁と剥離性シール部4を構成する図6に例示したシール材15をヒートシールして、剥離性シール部4を形成する工程を説明する図である。また、同図(B)は、剥離性シール部4が剥離する状態を説明する図である。
この例では、図7(A)に示すように、パウチ内壁と剥離性シール部4を構成するシール材15とをタイトシール部16側からヒートシールする際、ヒートシール圧力を高くすることでパウチの壁材9を溶融させて、壁材9と樹脂下層27との連通側(剥離力が作用する側)のシール材未シール部22に、壁材9の肉溜り20を形成したものである。そして、図7(B)に示すように、この肉溜り20が形成されることによって、パウチの壁材9と樹脂下層27との界面剥離を防ぎ、剥離性シール部4を剥離する応力が、パウチの壁材10と剥離性シール部4の樹脂上層25の間に作用し、樹脂上層25と中間層26との間の界面剥離を容易に行うことができる。
尚、前記シール材未シール部22は、シール材15を用い、ヒートシールによって剥離性シール部4を形成する際に、前記剥離性シール部4のシール部の幅W(図4参照)の両外側部に形成される。この、シール材未シール部22を残存させることにより、容易かつ確実に剥離性シール部4を形成することができる。
【0014】
本発明では、剥離性シール部4を前記のような構成とすることによって、多室パウチの収納室内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には剥離性シール部を容易に連通させて、主室3及び副室2に収納した内容物を混合することができるプラスチックパウチを得ることができる。
【0015】
本発明のプラスチックパウチは、単層又は複層のプラスチックフィルムにより構成されるが、使用するプラスチックフィルムとしては特に制限はなく、通常パウチに用いられるものはいずれも使用可能であるが、少なくとも内層としてヒートシール性のある樹脂層を有するプラスチックフィルムを使用する。
プラスチックフィルムを構成するのに適したプラスチック材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0016】
ヒートシール性のあるプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用される。
これらのプラスチック材料からなるフィルムは未延伸の、或いは一軸又は二軸延伸したフィルムとして用いられる。
【0017】
本発明のパウチに使用するプラスチックフィルムは、これらのプラスチックフィルムを単層で、又は2種以上を積層して構成することができ、また、これらのプラスチックフィルムの1種又は2種以上と、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等を貼合せて構成することもできる。
特に、ガスバリヤー性を必要とする内容物の場合には、ポリ塩化ビニリデン樹脂、EVAケン化物、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等の樹脂層、酸化アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物の蒸着膜を有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔を含む積層フィルムを使用することが好ましい。これらの積層フィルムを製造する際には、各層間に必要に応じてエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂等からなるアンカー剤を介在させることもできる。
【0018】
パウチを構成するフィルムに剛性や断熱性等を付与するために、各種合成樹脂の発泡体からなるフィルムを使用することもでき、また各種合成樹脂に酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボン等の添加剤を充填したフィルムを使用することもできる。プラスチックフィルムを単層とするか、又はどのような層構成のものとするかは、パウチに充填する内容物の性状に応じて選択すればよい。
プラスチックフィルムの製造は、キャスト法、Tダイ法、カレンダー法又はインフレーション法等の通常の方法により行うことができる。また、積層フィルムの製造は、あらかじめ形成したフィルムのドライラミネーション、基体フィルムへのコーティング、溶融共押し出し等通常の方法により行うことができる。
【0019】
次に、本発明のプラスチックパウチの他の形態を図面に基づいてさらに説明する。
図8〜図10は本発明のプラスチックパウチの他の例を示す図であり、図8はパウチの斜視図、図9は内容物充填後のパウチの縦断面図、そして図10は剥離性シール部4を開封する状態を説明する縦断面図である。
このパウチ21はいわゆるスタンディングパウチの1種であり、パウチ底面を構成する底部材19をパウチ側壁にヒートシールすることによって、内容物を充填した際にパウチに自立性を持たせたものである。
このパウチ21では、副室2はパウチ本体を構成する主室3の側壁を外側に伸張させて分岐した小室として形成されており、副室2内の分岐部5に近い位置に図4と同様の剥離性シール部4が設けられている。副室2の先端部中央には、パウチ21の使用時に内容物を注出する栓体からなる注出口7が設けられている。
【0020】
主室3と副室2には、それぞれ液状の内容物が充填してある。内容物は、主室3側はパウチの頂部18より充填し、ヒートシールにより密封してある。副室2側は栓体7から充填してもよいし、側縁部に未シール部を設け、そこから充填してもよい。また、副室2の端部より内容物を充填した後、注出口7となる栓体をヒートシールして取り付けてもよい。
このパウチ21では、底部材19を透明なプラスチック材料により構成することにより、パウチの内部を透視可能としてある。透明な底部材19を使用する代わりに、或いは透明な底部材19とともに、パウチの主室3又は副室2に内部が透視可能となる透視窓を設けるようにしてもよい。
【0021】
このパウチ1を使用する際には、図10にみられるように、主室3に沿わせていた副室2を、分岐部5を支点としてパウチの頂部18側に開き、逆にパウチの頂部18を主収納室3側に折り曲げて沿わせて、平坦な台上に載置する。この状態でパウチの主室3を手で押し潰すと、主室3と副室2とが直線状となっているため、主室3の内圧は剥離性シール部4の端部に剥離力として作用し、剥離性シール部4が剥離し主室3と副室2が連通してその内容物が混合される。
【0022】
図11は、本発明のプラスチックパウチのさらに他の例を示す斜視図である。このパウチ31では、図8〜10のパウチ21において、注出口7をパウチ31の頂部18に設けたものである。パウチ31の他の構成は、パウチ21と同様である。
このパウチ31では、主室3を押圧して剥離性シール部4を剥離させ、副室2内に収納した固形物を主室3内に収納した溶解液により溶解した後に、スパウトからなる注出口7から注出する。このパウチ31は、副室2に粉末状又は粒状のサプリメントを、そして主室3にその溶解液を収納し、剥離性シール部4を、前述した主室3側から剥離させてサプリメントを溶解させた後に、溶解した液をスパウト7から飲用するパウチとして好適に用いられる。
【0023】
図12は、本発明のプラスチックパウチを電子レンジ調理用パウチに適用した1例を示す斜視図である。
このプラスチックパウチ41は、1つの収納室3を有するスタンディングパウチとして構成したもので、収納室3の上部には図4と同様の剥離性シール部4が設けられ、剥離性シール部4には、複数のスポット状の未シール部12が1列に設けられている。この剥離性シール部4と上縁の周縁シール部6の間には未シール部2’が設けられ、この未シール部2’にはパウチを開封するためのミシン目、スコア加工、レーザー加工等による易開封加工部29が形成されている。
【0024】
このパウチ41を電子レンジで加熱して内容物を調理するには、手指等により易開封加工部29からパウチを開封した後に、電子レンジでパウチを加熱調理する。加熱に伴って、内容物から発生した水蒸気によりパウチの内圧が上昇して一定の圧力に達すると、剥離性シール部4が、収納室3側から剥離してパウチが開口し、内圧が解放されると共に内容物の調理が完了する。
このパウチ41では、パウチの内圧の上昇に伴って剥離性シール部4が自動的に開口するので、パウチが破裂して内容物が飛散するのを防止することができる。また、内圧が一定の圧力に達するまでパウチ内が密封状態に保たれるので、蒸らし効果により内容物の食味が向上する。
【0025】
図13は、本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
この剥離性シール部4’は、図4の剥離性シール部4において、スポット状の未シール部12を2列設け、隣り合う列の未シール部12を剥離性シール部4の幅方向で重ならないように配置したものである。剥離性シール部4’の他の構成は、図4の剥離性シール部4と同様である。
尚、本例においては、図示しないが隣り合う列の未シール部12を剥離性シール部4’の幅方向で重なり合うように配置しても良い。
【0026】
図14は、本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部のさらに他の例を示す模式図である。
この剥離性シール部4”は、図13の剥離性シール部4’において、スポット状の未シール部12の数と密度を増やしたものである。剥離性シール部4”の他の構成は、図13の剥離性シール部4’と同様である。
【実施例】
【0027】
つぎに、本発明を実施例によりさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
1.分岐型パウチ
パウチを構成する包材として、外層から2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、2軸延伸ナイロンフィルム(15μm)、線状低密度ポリエチレンフィルム(70μm)をウレタン系接着剤でラミネートした多層フィルムを用いた。
また、易剥離性シール部を構成するシール材として、プロピレン−エチレン−ブテンの三元共重合体、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる上層A(10μm)、プロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる中間層B(30μm)、前記中間層Bよりも線状低密度ポリエチレンのブレンド比が大きいプロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる下層C(10μm)、からなる総厚み50μmの3層フィルム(オカモト(株)製アロマーフィルムTLP5)から成る幅15mmのテープ状フィルム片を用いた。
そして、パウチの表裏の包材とシール材をヒートシールしてスパウトを主室の頂部に有し、副室を主室の側壁から分岐させ、易剥離性シール部を前記副室の分岐部近傍に設けた、図11のスタンディングパウチを作製した。
【0028】
2.測定、試験
(1)開通力測定
作製したプラスチックパウチの主室3に水400g、副室2に小麦粉50gをそれぞれ充填した分岐型パウチを用意し、パウチをスパウト7が上面となるように主室及び副室を開いて水平状にテーブル上に置く。ついで、テンシロン型試験機(UCT-5T (株)ティーエスエンジニアリング製)を用い、主室3の略中心位置に直径90mm、厚さ10mmの鉄製の円盤を乗せ、速度300mm/分で押圧し、前記の剥離シール部4のシール材15を構成する、プロピレン−エチレン−ブテンの三元共重合体、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる上層Aと、プロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる中間層Bが完全に層間剥離するまでの最大荷重を測定し、これを開通力(N)とした。
尚、測定数は各5袋とし、その平均値を測定した。
また、前記開通力(N)の基準は、図1に示す形状を有し、従来の剥離性シール部を設けた市販の2室輸液バッグについて開通力を測定した結果である250〜350N、及び人が立ち姿勢で3秒間持続して押し下げる押圧力の平均値が約250N程度[松下電工技報21(1980年)]との記載から、パウチの開通力の目標値を200N以下とした。
【0029】
(2)落下試験
前記プラスチックパウチを、主室と副室を折り畳んで主室を下にした状態で、室温5℃下で地上120cmの高さからコンクリート面に水平に落下させた。これを10回繰り返す中で、剥離性シール部の剥離の有無を目視により観察し、次の基準で評価した。
・剥離性シール部の剥離無し:○
・剥離性シール部が部分的に剥離し一部後退有り:△
・剥離性シール部が完全に剥離:×
尚、この落下試験においても、プラスチックパウチの試験数は各5袋とし、1袋でも剥離性シール部の後退や完全剥離が生じたものは、それぞれ△、×とした。
【0030】
3.評価(開通評価)
主室に水、副室に小麦粉をそれぞれ充填した分岐型パウチを5℃で保管後、開通評価を行った。開通評価は、モニター5名による定性的な評価で行い、27℃の環境でモニター5名(女性:4名、男性:1名)が、椅子に座った状態で前記プラスチックパウチの主室と副室を開き、主室が上面を向いた状態でパウチをテーブル上に置き、主室を両手で押圧して開通評価を行った。
開通評価は、前記分岐型パウチの剥離性シール部の開通のし易さを10段階評価で行い、点数の高いものを上位とし、モニター5名の平均値を用いて評価した。
【0031】
[実施例1]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の形状を図4に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:6mm、長さX:90mm、前記剥離性シール部側端からスポット状未シール部12の外側端部までの距離L1、L2:各1mm、一辺の長さS:4mmの正方形のスポット状未シール部12を8個等間隔に設けたプラスチックパウチを作製し、このパウチに内容物を充填して、測定、試験及び評価を行った。
【0032】
[実施例2]
パウチの剥離性シール部4の前記剥離性シール部側端からスポット状未シール部12の外側端部までの距離L1、L2を各2mmとした以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0033】
[実施例3]
プラスチックパウチの剥離性シール部の形状を図13に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:6mm、長辺の長さ:4mmで短辺の長さ:2mmの長方形のスポット状未シール部12を主室3側に4個、副室2側に3個等間隔に設けた以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0034】
[実施例4]
プラスチックパウチの剥離性シール部の形状を図14に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:8mm、長辺の長さ:4mmで短辺の長さ:2mmの長方形のスポット状未シール部12を、易剥離性シール部の幅W方向に2mmの間隙を形成して主室3側に8個、副室2側に7個等間隔に設けた以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0035】
[比較例1]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の幅W:6mm、長さX:90mmとし、スポット状未シール部を設けなかった以外は、実施例1と同様のパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0036】
[比較例2]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の幅W:8mm、長さX:90mmとし、スポット状未シール部を設けなかった以外は、実施例1と同様のパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0037】
前記実施例及び比較例で得られた各プラスチックパウチについて、測定、試験及び評価を行った結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1によれば、本発明のプラスチックパウチは、剥離性シール部が開通し易く、また、開通力が低いにもかかわらず、落下強度(耐衝撃性)に優れることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のプラスチックパウチの一例を示す平面図である。
【図2】図1のパウチに内容物を充填した状態を示す断面模式図である。
【図3】図1のパウチに内容物を充填し折り曲げた状態を示す断面模式図である。
【図4】図1のパウチの剥離性シール部の拡大模式図である。
【図5】剥離性シール部を構成する別体のシール材の一例を示す断面模式図である。
【図6】剥離性シール部を構成する別体のシール材の他の例を示す断面模式図である。
【図7】パウチ内壁と剥離性シール部を構成するシール材をヒートシールする状態と、剥離性シール部が剥離する状態を示す断面模式図である。
【図8】本発明をスタンディングパウチに適用した一例を示す斜視図である。
【図9】図8のパウチに内容物を充填した状態を示す縦断面図である。
【図10】図8のパウチの剥離性シール部を開封する状態を示す断面図である
【図11】本発明をスタンディングパウチに適用した他の例を示す斜視図である。
【図12】本発明を電子レンジ用パウチに適用した一例を示す斜視図である。
【図13】本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
【図14】本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31,41 プラスチックパウチ
2 副室
2’ 未シール部
3 主室
4,4',4" 剥離性シール部
5 折返し部
6 周縁シール部
7 注出口
8 固定部
9,10 壁材
12 スポット状未シール部
15 シール材
16 タイトシール部
17 易剥離性シール部
18 パウチ頂部
19 底部材
20 肉溜り
23 ヒートシール方向
25,26,27 ヒートシール性樹脂層
29 易開封加工部
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性シール部を有するプラスチックパウチに関する。本発明のプラスチックパウチは、粉末や液体を剥離性シール部で分離して収納室に収納し、使用時に押圧をかけて剥離性シール部を開封し、収納室を連通させて内容物を混合後使用する多室パウチとして好適に用いられる。また、内容物を充填密封した状態で電子レンジで加熱調理する際に、内圧の上昇を開放して破裂を防止するプラスチックパウチとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
複数の収納室が連通可能な剥離性シール部で仕切られた多室パウチは、各成分を予め混合した状態で保存すると反応を起こし変質する、例えば、医療用輸液とその溶解液、注射用粉末製剤とその溶解液、調味料、混合型接着剤などの内容物を分離収納するために用いられる。こうした容器は、使用時には混合比を調整することなく容易に混合することができ、しかも外部からの異物の混入を防止できることから医療用等各種の用途において需要が増大しており、種々のタイプのものが提案されている。(例えば、特許文献1〜4参照)
【特許文献1】実公平8−5708号公報
【特許文献2】特開平11−227841号公報
【特許文献3】特開2000−309350号公報
【特許文献4】特開2003−54621号公報
【0003】
このようなプラスチックパウチでは、内容物を剥離性シール部で分離してそれぞれの収納室内に充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時に、落下等の衝撃により剥離性シール部からなる仕切り部が剥離して連通するのを防止するとともに、パウチの使用時にはパウチを押圧して剥離性シール部を容易に剥離・連通させて混合することが求められる。しかしながら、前記従来のプラスチックパウチでは、このような相反する要求を同時に満たすことは困難であった。
一方、電子レンジで加熱調理するプラスチックパウチでは、内容物の加熱調理時の圧力を容易に開放して、パウチの破裂(バースト)による内容物の飛散、電子レンジ内の汚れ等を防止する簡易的な手段が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、多室パウチ内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には剥離性シール部を容易に連通させて混合することができるプラスチックパウチを提供することを目的とする。
また、内容物を充填したプラスチックパウチを、電子レンジで加熱調理する際のバーストを防止する簡易的な手段を備えたプラスチックパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、前記課題を解決するために次の1〜15の構成を採用する。
1.パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成したことを特徴とする連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチ。
2.前記スポット状の未シール部を複数1列に設けたことを特徴とする1に記載のプラスチックパウチ。
3.前記スポット状の未シール部を複数列設けたことを特徴とする1に記載のプラスチックパウチ。
4.前記剥離性シール部の幅が4〜15mmであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
5.前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離が0.5〜4mmであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
6.前記剥離性シール部のパウチの幅方向における長さをシール部の両側で異なる長さとしたことを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
7.前記シール材の一方のシール面をパウチを構成する一方の包材の内面と強固に接合したタイトシール部とし、前記シール材の他方のシール面をパウチを構成する他方の包材の内面と弱く接合した弱シール部としたことを特徴とする1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
8.前記シール材がパウチ内壁とのシール部を構成する樹脂上層及び樹脂下層と、該樹脂上層とヒートシール性を有しない中間層の三層から成り、該樹脂上層と中間層との間の層間剥離によって剥離されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
9.前記パウチ内壁と樹脂下層の連通側の未シール部近傍に肉溜まりを設けたことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
10.前記プラスチックパウチが、前記剥離性シール部により隔離された複数の収納室を有する多室プラスチックパウチであることを特徴とする1〜9のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
11.前記剥離性シール部を挟んで前記剥離性シール部の片側に固形物を収納する副室を配置し、前記剥離性シール部の他方側に該固形物の溶解液を収納する主室を配置したことを特徴とする10に記載のプラスチックパウチ。
12.前記副室を主室の側壁から分岐させて形成し、副室内に前記剥離性シール部を設けたことを特徴とする11に記載の多室プラスチックパウチ。
13.前記プラスチックパウチがスタンディングパウチであることを特徴とする12に記載のプラスチックパウチ。
14.前記スタンディングパウチの底部を透明材料により構成したことを特徴とする13に記載のプラスチックパウチ。
15.前記プラスチックパウチの少なくとも1つの収納室に内部が透視可能となる透視窓を設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多室プラスチックパウチ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉末や液体を分離して収納し、使用時に押圧をかけて剥離性シール部を開封して収納室を連通させ内容物を混合後使用する多室パウチにおいて、パウチ内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には手指等による押圧によって容易に連通させることができる、剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得ることができる。
また、内容物を充填密封した状態で電子レンジで加熱調理するプラスチックパウチにおいて、加熱調理時の内圧の上昇により、剥離性シール部を容易に連通させてバーストを防止することができる、剥離性シール部を有するプラスチックパウチを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。本発明のプラスチックパウチを多室パウチとして構成した場合には、主室と副室という用語を使用することがあるが、これらの用語は単に複数の収納室を区別するために使用するものであり、主及び副という用語が収納室の大小関係を表すものではない。
図1〜図4は本発明を多室パウチに適用した1例を示す図であり、図1は内容物充填前のパウチを開いた状態を示す平面図、図2は内容物充填後のパウチを開いた状態の断面模式図、そして図3は内容物充填後多室パウチを折り曲げた状態を示す断面図である。また、図4はパウチの剥離性シール部の拡大模式図である。
【0008】
この多室パウチ1では、同一平面内で隣接するように副室2と、主室3が設けられ、副室2と主室3は剥離性シール部4により仕切られている。この多室パウチ1は、副室2及び主室3にそれぞれ内容物を充填した後に図3のように折り曲げて、周縁シール部6に設けた固定部8で固定しそのままの状態で輸送や貯蔵することができる。
そして、この多室パウチを使用する際には、図2のように多室パウチ1を拡げて主室3を押圧すると(符号30の矢印)、その圧力が主室3内の内容物により伝達されて(符号30’の矢印)剥離性シール部4が破壊され、主室3の内容物が副室2に流入して両室に収納された内容物の混合溶液が得られる。得られた混合溶液は注出口7から導出される。
【0009】
この多室パウチ1の剥離性シール部4には、図4にみられるように、複数のスポット状の未シール部12、12が1列に設けられている。
そして、剥離性シール部4の一方の側に固形物(図示せず)を収納する副室2を配置し、前記剥離性シール部4の他方の側に該固形物の溶解液を収納する主室3を配置したもので、主室3を押圧することにより剥離性シール部4を剥離させて両室を連通させる。
そして、本発明のプラスチックパウチの剥離性シール部4は、このようなスポット状の未シール部12を1列に設けることによって、主室3を押圧したときに容易に剥離するようにしたものである。
【0010】
前記剥離性シール部4の幅(図4のW)は、パウチのサイズや内容物の種類に応じて任意に選択することができるが、通常は4〜15mm程度とすることが好ましい。また、前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離(図4のL1、L2)も任意に選択することができるが、通常は0.5〜4mm程度とすることが好ましい。さらに、L1はL2より幅狭とすることが好ましい。
【0011】
前記剥離性シール部4は、パウチの壁材9、10とこれら壁材とは別体のシール材15をヒートシールすることによって形成するのが好ましい。シール材15の片面は壁材9と強固に接合するタイトシール部16を形成し、シール材15の他面は壁材10と弱い接合力で接合する易剥離性シール部17を形成している(図2参照)。
このように接合力の異なるシール面を有する剥離性シール部を形成するには、例えば、シール材の断面の拡大模式図である図5にみられるように、シール材15の一面にパウチ内壁と同種のヒートシール性樹脂層25を設け、他面には異種のヒートシール性樹脂層26を設けた2層構成のシール材15を使用する。これにより、パウチ内壁とシール材15をヒートシールした際に、シール材15の片面25はパウチ内壁とタイトシール部16を形成し、他面26は界面剥離し易い易剥離性シール部17を形成する。
【0012】
また、シール材15を、例えばその断面拡大模式図である図6にみられるように、3層構成として、両面にパウチ内壁とのヒートシール性を有する樹脂層を設け(符号25、27)、中間層26を前記樹脂層25、27とのヒートシール性を有しない樹脂層としてもよい。この場合、剥離力が作用した際に、前記樹脂層25、27の少なくとも一方の樹脂層と中間層26との間で層間剥離によって剥離されることになるが、剥離を確実に行う点から、前記樹脂層25、27の何れか一方の樹脂層と中間層26との間で層間剥離が生じるように前記樹脂層25、27及び中間層26のそれぞれの材料を適宜選択するが好ましい。
【0013】
図7は、剥離性シール部4の断面構造の1例を説明する模式図で、図7(A)は、パウチ内壁と剥離性シール部4を構成する図6に例示したシール材15をヒートシールして、剥離性シール部4を形成する工程を説明する図である。また、同図(B)は、剥離性シール部4が剥離する状態を説明する図である。
この例では、図7(A)に示すように、パウチ内壁と剥離性シール部4を構成するシール材15とをタイトシール部16側からヒートシールする際、ヒートシール圧力を高くすることでパウチの壁材9を溶融させて、壁材9と樹脂下層27との連通側(剥離力が作用する側)のシール材未シール部22に、壁材9の肉溜り20を形成したものである。そして、図7(B)に示すように、この肉溜り20が形成されることによって、パウチの壁材9と樹脂下層27との界面剥離を防ぎ、剥離性シール部4を剥離する応力が、パウチの壁材10と剥離性シール部4の樹脂上層25の間に作用し、樹脂上層25と中間層26との間の界面剥離を容易に行うことができる。
尚、前記シール材未シール部22は、シール材15を用い、ヒートシールによって剥離性シール部4を形成する際に、前記剥離性シール部4のシール部の幅W(図4参照)の両外側部に形成される。この、シール材未シール部22を残存させることにより、容易かつ確実に剥離性シール部4を形成することができる。
【0014】
本発明では、剥離性シール部4を前記のような構成とすることによって、多室パウチの収納室内に内容物を充填する際や、内容物を充填後密封したパウチの流通時や保管時における剥離性シール部からなる仕切部の剥離を防止することができるとともに、パウチの使用時には剥離性シール部を容易に連通させて、主室3及び副室2に収納した内容物を混合することができるプラスチックパウチを得ることができる。
【0015】
本発明のプラスチックパウチは、単層又は複層のプラスチックフィルムにより構成されるが、使用するプラスチックフィルムとしては特に制限はなく、通常パウチに用いられるものはいずれも使用可能であるが、少なくとも内層としてヒートシール性のある樹脂層を有するプラスチックフィルムを使用する。
プラスチックフィルムを構成するのに適したプラスチック材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0016】
ヒートシール性のあるプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用される。
これらのプラスチック材料からなるフィルムは未延伸の、或いは一軸又は二軸延伸したフィルムとして用いられる。
【0017】
本発明のパウチに使用するプラスチックフィルムは、これらのプラスチックフィルムを単層で、又は2種以上を積層して構成することができ、また、これらのプラスチックフィルムの1種又は2種以上と、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等を貼合せて構成することもできる。
特に、ガスバリヤー性を必要とする内容物の場合には、ポリ塩化ビニリデン樹脂、EVAケン化物、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等の樹脂層、酸化アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物の蒸着膜を有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔を含む積層フィルムを使用することが好ましい。これらの積層フィルムを製造する際には、各層間に必要に応じてエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂等からなるアンカー剤を介在させることもできる。
【0018】
パウチを構成するフィルムに剛性や断熱性等を付与するために、各種合成樹脂の発泡体からなるフィルムを使用することもでき、また各種合成樹脂に酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボン等の添加剤を充填したフィルムを使用することもできる。プラスチックフィルムを単層とするか、又はどのような層構成のものとするかは、パウチに充填する内容物の性状に応じて選択すればよい。
プラスチックフィルムの製造は、キャスト法、Tダイ法、カレンダー法又はインフレーション法等の通常の方法により行うことができる。また、積層フィルムの製造は、あらかじめ形成したフィルムのドライラミネーション、基体フィルムへのコーティング、溶融共押し出し等通常の方法により行うことができる。
【0019】
次に、本発明のプラスチックパウチの他の形態を図面に基づいてさらに説明する。
図8〜図10は本発明のプラスチックパウチの他の例を示す図であり、図8はパウチの斜視図、図9は内容物充填後のパウチの縦断面図、そして図10は剥離性シール部4を開封する状態を説明する縦断面図である。
このパウチ21はいわゆるスタンディングパウチの1種であり、パウチ底面を構成する底部材19をパウチ側壁にヒートシールすることによって、内容物を充填した際にパウチに自立性を持たせたものである。
このパウチ21では、副室2はパウチ本体を構成する主室3の側壁を外側に伸張させて分岐した小室として形成されており、副室2内の分岐部5に近い位置に図4と同様の剥離性シール部4が設けられている。副室2の先端部中央には、パウチ21の使用時に内容物を注出する栓体からなる注出口7が設けられている。
【0020】
主室3と副室2には、それぞれ液状の内容物が充填してある。内容物は、主室3側はパウチの頂部18より充填し、ヒートシールにより密封してある。副室2側は栓体7から充填してもよいし、側縁部に未シール部を設け、そこから充填してもよい。また、副室2の端部より内容物を充填した後、注出口7となる栓体をヒートシールして取り付けてもよい。
このパウチ21では、底部材19を透明なプラスチック材料により構成することにより、パウチの内部を透視可能としてある。透明な底部材19を使用する代わりに、或いは透明な底部材19とともに、パウチの主室3又は副室2に内部が透視可能となる透視窓を設けるようにしてもよい。
【0021】
このパウチ1を使用する際には、図10にみられるように、主室3に沿わせていた副室2を、分岐部5を支点としてパウチの頂部18側に開き、逆にパウチの頂部18を主収納室3側に折り曲げて沿わせて、平坦な台上に載置する。この状態でパウチの主室3を手で押し潰すと、主室3と副室2とが直線状となっているため、主室3の内圧は剥離性シール部4の端部に剥離力として作用し、剥離性シール部4が剥離し主室3と副室2が連通してその内容物が混合される。
【0022】
図11は、本発明のプラスチックパウチのさらに他の例を示す斜視図である。このパウチ31では、図8〜10のパウチ21において、注出口7をパウチ31の頂部18に設けたものである。パウチ31の他の構成は、パウチ21と同様である。
このパウチ31では、主室3を押圧して剥離性シール部4を剥離させ、副室2内に収納した固形物を主室3内に収納した溶解液により溶解した後に、スパウトからなる注出口7から注出する。このパウチ31は、副室2に粉末状又は粒状のサプリメントを、そして主室3にその溶解液を収納し、剥離性シール部4を、前述した主室3側から剥離させてサプリメントを溶解させた後に、溶解した液をスパウト7から飲用するパウチとして好適に用いられる。
【0023】
図12は、本発明のプラスチックパウチを電子レンジ調理用パウチに適用した1例を示す斜視図である。
このプラスチックパウチ41は、1つの収納室3を有するスタンディングパウチとして構成したもので、収納室3の上部には図4と同様の剥離性シール部4が設けられ、剥離性シール部4には、複数のスポット状の未シール部12が1列に設けられている。この剥離性シール部4と上縁の周縁シール部6の間には未シール部2’が設けられ、この未シール部2’にはパウチを開封するためのミシン目、スコア加工、レーザー加工等による易開封加工部29が形成されている。
【0024】
このパウチ41を電子レンジで加熱して内容物を調理するには、手指等により易開封加工部29からパウチを開封した後に、電子レンジでパウチを加熱調理する。加熱に伴って、内容物から発生した水蒸気によりパウチの内圧が上昇して一定の圧力に達すると、剥離性シール部4が、収納室3側から剥離してパウチが開口し、内圧が解放されると共に内容物の調理が完了する。
このパウチ41では、パウチの内圧の上昇に伴って剥離性シール部4が自動的に開口するので、パウチが破裂して内容物が飛散するのを防止することができる。また、内圧が一定の圧力に達するまでパウチ内が密封状態に保たれるので、蒸らし効果により内容物の食味が向上する。
【0025】
図13は、本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
この剥離性シール部4’は、図4の剥離性シール部4において、スポット状の未シール部12を2列設け、隣り合う列の未シール部12を剥離性シール部4の幅方向で重ならないように配置したものである。剥離性シール部4’の他の構成は、図4の剥離性シール部4と同様である。
尚、本例においては、図示しないが隣り合う列の未シール部12を剥離性シール部4’の幅方向で重なり合うように配置しても良い。
【0026】
図14は、本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部のさらに他の例を示す模式図である。
この剥離性シール部4”は、図13の剥離性シール部4’において、スポット状の未シール部12の数と密度を増やしたものである。剥離性シール部4”の他の構成は、図13の剥離性シール部4’と同様である。
【実施例】
【0027】
つぎに、本発明を実施例によりさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
1.分岐型パウチ
パウチを構成する包材として、外層から2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、2軸延伸ナイロンフィルム(15μm)、線状低密度ポリエチレンフィルム(70μm)をウレタン系接着剤でラミネートした多層フィルムを用いた。
また、易剥離性シール部を構成するシール材として、プロピレン−エチレン−ブテンの三元共重合体、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる上層A(10μm)、プロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる中間層B(30μm)、前記中間層Bよりも線状低密度ポリエチレンのブレンド比が大きいプロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる下層C(10μm)、からなる総厚み50μmの3層フィルム(オカモト(株)製アロマーフィルムTLP5)から成る幅15mmのテープ状フィルム片を用いた。
そして、パウチの表裏の包材とシール材をヒートシールしてスパウトを主室の頂部に有し、副室を主室の側壁から分岐させ、易剥離性シール部を前記副室の分岐部近傍に設けた、図11のスタンディングパウチを作製した。
【0028】
2.測定、試験
(1)開通力測定
作製したプラスチックパウチの主室3に水400g、副室2に小麦粉50gをそれぞれ充填した分岐型パウチを用意し、パウチをスパウト7が上面となるように主室及び副室を開いて水平状にテーブル上に置く。ついで、テンシロン型試験機(UCT-5T (株)ティーエスエンジニアリング製)を用い、主室3の略中心位置に直径90mm、厚さ10mmの鉄製の円盤を乗せ、速度300mm/分で押圧し、前記の剥離シール部4のシール材15を構成する、プロピレン−エチレン−ブテンの三元共重合体、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる上層Aと、プロピレンエチレンランダム共重合体及び線状低密度ポリエチレンのブレンド物からなる中間層Bが完全に層間剥離するまでの最大荷重を測定し、これを開通力(N)とした。
尚、測定数は各5袋とし、その平均値を測定した。
また、前記開通力(N)の基準は、図1に示す形状を有し、従来の剥離性シール部を設けた市販の2室輸液バッグについて開通力を測定した結果である250〜350N、及び人が立ち姿勢で3秒間持続して押し下げる押圧力の平均値が約250N程度[松下電工技報21(1980年)]との記載から、パウチの開通力の目標値を200N以下とした。
【0029】
(2)落下試験
前記プラスチックパウチを、主室と副室を折り畳んで主室を下にした状態で、室温5℃下で地上120cmの高さからコンクリート面に水平に落下させた。これを10回繰り返す中で、剥離性シール部の剥離の有無を目視により観察し、次の基準で評価した。
・剥離性シール部の剥離無し:○
・剥離性シール部が部分的に剥離し一部後退有り:△
・剥離性シール部が完全に剥離:×
尚、この落下試験においても、プラスチックパウチの試験数は各5袋とし、1袋でも剥離性シール部の後退や完全剥離が生じたものは、それぞれ△、×とした。
【0030】
3.評価(開通評価)
主室に水、副室に小麦粉をそれぞれ充填した分岐型パウチを5℃で保管後、開通評価を行った。開通評価は、モニター5名による定性的な評価で行い、27℃の環境でモニター5名(女性:4名、男性:1名)が、椅子に座った状態で前記プラスチックパウチの主室と副室を開き、主室が上面を向いた状態でパウチをテーブル上に置き、主室を両手で押圧して開通評価を行った。
開通評価は、前記分岐型パウチの剥離性シール部の開通のし易さを10段階評価で行い、点数の高いものを上位とし、モニター5名の平均値を用いて評価した。
【0031】
[実施例1]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の形状を図4に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:6mm、長さX:90mm、前記剥離性シール部側端からスポット状未シール部12の外側端部までの距離L1、L2:各1mm、一辺の長さS:4mmの正方形のスポット状未シール部12を8個等間隔に設けたプラスチックパウチを作製し、このパウチに内容物を充填して、測定、試験及び評価を行った。
【0032】
[実施例2]
パウチの剥離性シール部4の前記剥離性シール部側端からスポット状未シール部12の外側端部までの距離L1、L2を各2mmとした以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0033】
[実施例3]
プラスチックパウチの剥離性シール部の形状を図13に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:6mm、長辺の長さ:4mmで短辺の長さ:2mmの長方形のスポット状未シール部12を主室3側に4個、副室2側に3個等間隔に設けた以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0034】
[実施例4]
プラスチックパウチの剥離性シール部の形状を図14に示す形状とし、前記剥離性シール部の幅W:8mm、長辺の長さ:4mmで短辺の長さ:2mmの長方形のスポット状未シール部12を、易剥離性シール部の幅W方向に2mmの間隙を形成して主室3側に8個、副室2側に7個等間隔に設けた以外は、実施例1と同様のプラスチックパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0035】
[比較例1]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の幅W:6mm、長さX:90mmとし、スポット状未シール部を設けなかった以外は、実施例1と同様のパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0036】
[比較例2]
プラスチックパウチの剥離性シール部4の幅W:8mm、長さX:90mmとし、スポット状未シール部を設けなかった以外は、実施例1と同様のパウチとし、測定、試験及び評価を行った。
【0037】
前記実施例及び比較例で得られた各プラスチックパウチについて、測定、試験及び評価を行った結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1によれば、本発明のプラスチックパウチは、剥離性シール部が開通し易く、また、開通力が低いにもかかわらず、落下強度(耐衝撃性)に優れることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のプラスチックパウチの一例を示す平面図である。
【図2】図1のパウチに内容物を充填した状態を示す断面模式図である。
【図3】図1のパウチに内容物を充填し折り曲げた状態を示す断面模式図である。
【図4】図1のパウチの剥離性シール部の拡大模式図である。
【図5】剥離性シール部を構成する別体のシール材の一例を示す断面模式図である。
【図6】剥離性シール部を構成する別体のシール材の他の例を示す断面模式図である。
【図7】パウチ内壁と剥離性シール部を構成するシール材をヒートシールする状態と、剥離性シール部が剥離する状態を示す断面模式図である。
【図8】本発明をスタンディングパウチに適用した一例を示す斜視図である。
【図9】図8のパウチに内容物を充填した状態を示す縦断面図である。
【図10】図8のパウチの剥離性シール部を開封する状態を示す断面図である
【図11】本発明をスタンディングパウチに適用した他の例を示す斜視図である。
【図12】本発明を電子レンジ用パウチに適用した一例を示す斜視図である。
【図13】本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
【図14】本発明のプラスチックパウチに形成する連通可能な剥離性シール部の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31,41 プラスチックパウチ
2 副室
2’ 未シール部
3 主室
4,4',4" 剥離性シール部
5 折返し部
6 周縁シール部
7 注出口
8 固定部
9,10 壁材
12 スポット状未シール部
15 シール材
16 タイトシール部
17 易剥離性シール部
18 パウチ頂部
19 底部材
20 肉溜り
23 ヒートシール方向
25,26,27 ヒートシール性樹脂層
29 易開封加工部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成したことを特徴とする連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチ。
【請求項2】
前記スポット状の未シール部を複数1列に設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックパウチ。
【請求項3】
前記スポット状の未シール部を複数列設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックパウチ。
【請求項4】
前記剥離性シール部の幅が4〜15mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項5】
前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離が0.5〜4mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項6】
前記剥離性シール部のパウチの幅方向における長さをシール部の両側で異なる長さとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項7】
前記シール材の一方のシール面をパウチを構成する一方の包材の内面と強固に接合したタイトシール部とし、前記シール材の他方のシール面をパウチを構成する他方の包材の内面と弱く接合した弱シール部としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項8】
前記シール材がパウチ内壁とのシール部を構成する樹脂上層及び樹脂下層と、該樹脂上層とヒートシール性を有しない中間層の三層から成り、該樹脂上層と中間層との間の層間剥離によって剥離されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項9】
前記パウチ内壁と樹脂下層の連通側の未シール部近傍に肉溜まりを設けたことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
【請求項10】
前記プラスチックパウチが、前記剥離性シール部により隔離された複数の収納室を有する多室プラスチックパウチであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項11】
前記剥離性シール部を挟んで前記剥離性シール部の片側に固形物を収納する副室を配置し、前記剥離性シール部の他方側に該固形物の溶解液を収納する主室を配置したことを特徴とする請求項10に記載のプラスチックパウチ。
【請求項12】
前記副室を主室の側壁から分岐させて形成し、副室内に前記剥離性シール部を設けたことを特徴とする請求項11に記載の多室プラスチックパウチ。
【請求項13】
前記プラスチックパウチがスタンディングパウチであることを特徴とする請求項12に記載のプラスチックパウチ。
【請求項14】
前記スタンディングパウチの底部を透明材料により構成したことを特徴とする請求項13に記載のプラスチックパウチ。
【請求項15】
前記プラスチックパウチの少なくとも1つの収納室に内部が透視可能となる透視窓を設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多室プラスチックパウチ。
【請求項1】
パウチを構成する表裏の包材と別体のシール材をヒートシールすることにより構成した剥離性シール部を有するプラスチックパウチにおいて、前記剥離性シール部にスポット状の未シール部を形成したことを特徴とする連通可能な剥離性シール部を有するプラスチックパウチ。
【請求項2】
前記スポット状の未シール部を複数1列に設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックパウチ。
【請求項3】
前記スポット状の未シール部を複数列設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックパウチ。
【請求項4】
前記剥離性シール部の幅が4〜15mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項5】
前記剥離性シール部の側端部からスポット状の未シール部の外側端部までの距離が0.5〜4mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項6】
前記剥離性シール部のパウチの幅方向における長さをシール部の両側で異なる長さとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項7】
前記シール材の一方のシール面をパウチを構成する一方の包材の内面と強固に接合したタイトシール部とし、前記シール材の他方のシール面をパウチを構成する他方の包材の内面と弱く接合した弱シール部としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項8】
前記シール材がパウチ内壁とのシール部を構成する樹脂上層及び樹脂下層と、該樹脂上層とヒートシール性を有しない中間層の三層から成り、該樹脂上層と中間層との間の層間剥離によって剥離されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項9】
前記パウチ内壁と樹脂下層の連通側の未シール部近傍に肉溜まりを設けたことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
【請求項10】
前記プラスチックパウチが、前記剥離性シール部により隔離された複数の収納室を有する多室プラスチックパウチであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項11】
前記剥離性シール部を挟んで前記剥離性シール部の片側に固形物を収納する副室を配置し、前記剥離性シール部の他方側に該固形物の溶解液を収納する主室を配置したことを特徴とする請求項10に記載のプラスチックパウチ。
【請求項12】
前記副室を主室の側壁から分岐させて形成し、副室内に前記剥離性シール部を設けたことを特徴とする請求項11に記載の多室プラスチックパウチ。
【請求項13】
前記プラスチックパウチがスタンディングパウチであることを特徴とする請求項12に記載のプラスチックパウチ。
【請求項14】
前記スタンディングパウチの底部を透明材料により構成したことを特徴とする請求項13に記載のプラスチックパウチ。
【請求項15】
前記プラスチックパウチの少なくとも1つの収納室に内部が透視可能となる透視窓を設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多室プラスチックパウチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−195453(P2008−195453A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159595(P2007−159595)
【出願日】平成19年6月16日(2007.6.16)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月16日(2007.6.16)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
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