副鼻腔及び鼻腔内組織の除去方法
低侵襲性のアプローチを用いて、副鼻腔炎、腫瘍、感染、骨折、及び副鼻腔の他の疾患を診断及び/又は治療する。アクセス装置を使用して、カテーテル、バルーンカテーテル、拡張カテーテル、組織切断又は再形成装置、吸引又は灌流装置、及び生検装置などの作動装置の挿入を容易にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年12月28日出願の米国特許仮出願第61/290,341号、及び2010年1月27日出願の米国特許仮出願第61/298,800号に基づく利益を主張するものであり、これらの内容を援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、医療装置、システム及び方法に関し、より詳細には、副鼻腔内の治療を行うための低侵襲性装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性副鼻腔炎は、米国内で年間3千万人を超える人々が罹患する、広く見られる消耗性の病態である。耳鼻咽喉科(ENT)の医師は、通常は鼻腔ステロイド剤及び/又は抗生物質によって副鼻腔炎の治療を行うが、これらの薬剤はしばしば効果を示さず、このため患者は単に症状に耐えるか、あるいは苦痛をともなう手術を受ける決断を下さなくてはならない。慢性副鼻腔炎の症状には、頭痛、呼吸困難、頭及び顔面における強い圧迫感、歯痛、鼻詰まり、並びに鼻水などがあり、しばしば患者の生活の質を著しく低下させる。
【0004】
機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)は現在、慢性副鼻腔炎の治療に最も一般的に用いられている手術である。一般的なFESS手術では、剛性の内視鏡を、1又は2以上の剛性の手術器具とともに鼻孔内に挿入し、器具を使用して、鼻腔及び副鼻腔に通じる開口部の骨及び粘膜組織を除去することによってこうした開口部を拡張し、これにより願わくは副鼻腔の排液を改善し、副鼻腔炎の症状を緩和する。多くのFESS手術では、少なくとも1つの副鼻腔の自然口(例えば、開口部)を外科的に拡張して洞腔からの排液を改善する。FESS手術は、副鼻腔炎の治療、並びに腫瘍、ポリープ及び他の鼻からの異常増殖の除去に効果的であるが、鼻腔からの多量の組織の除去は、出血並びに術後の痛み及び瘢痕化を引き起こし、一般的に鼻腔タンポン挿入及びデブリードマン(瘢痕組織の除去)を必要とし、これらはいずれも患者にとって困難なものであり、更なる通院を必要とする。
【0005】
FESS手術では、通常、1又は2以上の副鼻腔に通じる開口部にアクセスするために正常な解剖学的構造の外科的除去又は改変を行う。例えば、多くのFESS手術においては、上顎洞の小口及び/又は篩骨胞を可視化し、これらへのアクセスを可能とするために手術の開始時に全鉤切除術(total uncinectomy)(例えば、鼻管内の鉤状突起の除去)が行われる。一般的に、より多くの組織が除去されるほど、患者の術後回復はより長時間を要し、より苦痛をともなう。同時に、副鼻腔手術を行う際にポリープ又は骨増殖などの一部の組織を除去することがしばしば有利な場合がある。
【0006】
より最近では、慢性副鼻腔炎を緩和又は軽減する目的で、副鼻腔に通じる開口部を拡張するためのより侵襲性の手術を可能とする新たな装置、システム及び方法が開発されている。1つの例では、バルーン拡張カテーテルを副鼻腔自然口内に進めて膨らませることによって小口を拡張する。このようなBalloon Sinuplasty(商標)術を行うためのシステムが、カリフォルニア州メンロー所在のアクラレント社(Acclarent,Inc.)によって提供されている(www.acclarent.com)。この方法、装置及びシステム並びに他の方法、装置及びシステムの例は、例えば、発明の名称が「副鼻腔炎、並びに耳、鼻及び/又は咽喉の他の疾患を診断及び治療するための装置、システム、並びに方法(Devices,Systems and Methods for Diagnosing and Treating Sinusitis and Other Disorders of the Ears,Nose and/or Throat)」である、米国特許出願第10/829,917号、発明の名称が「副鼻腔の小口及び他の鼻腔内又は副鼻腔内構造を拡張及び改変するための装置並びに方法(Apparatus and Methods for Dilating and Modifying Ostia of Paranasal Sinuses and Other Intranasal or Paranasal Structures)」である米国特許出願第10/944,270号、発明の名称が「耳、鼻、咽喉、及び副鼻腔内で手術を行うための方法並びに装置(Methods and Devices for Performing Procedures Within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses)」である米国特許出願第11/116,118号、並びに発明の名称が「副鼻腔炎の治療に使用可能な装置、システム及び方法(Devices,Systems And Methods Useable For Treating Sinusitus)」である米国特許出願第11/150,847号に述べられており、これらをいずれもその全容において援用するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
場合により、耳鼻咽喉科医は、同じ患者において従来のFESS手術と同様に組織を除去する一方で、1又は2以上のバルーン拡張をも行う。このような組織除去/バルーン拡張複合手術は、除去される組織量が最小に抑えられる一方で、患者にとって望ましい結果を与えることから理想的である。また、こうした手術は、医師にとって比較的単純であることからも理想的である。これらの目的のうちの少なくとも一部のものは、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示では、副鼻腔を治療するための方法、装置及びシステムについて述べる。異なる実施形態において、治療される(1又は2以上の)副鼻腔には、上顎洞、前頭洞、篩骨洞及び/又は蝶形骨洞の1以上が含まれうる。やはり異なる実施形態において、本開示の方法、装置及びシステムでは、1又は2以上の副鼻腔及び/若しくは鼻腔からの組織及び/若しくは物質の除去、1又は2以上の副鼻腔に通じる1又は2以上の開口部の拡張、鼻腔内の他の領域/構造の拡張、又はこれらの手術の任意の適当な組み合わせを含みうる。副鼻腔に通じる開口部を拡張する実施形態では、この開口部は副鼻腔自然口又は人工的な開口部のいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、1つの副鼻腔の副鼻腔自然口及び別の副鼻腔の人工開口部を同じシステムを用いて拡張することができる。いくつかの実施形態では、これらに限定されるものではないが、前頭洞の流出路、中鼻道自然口ルート(osteomeatal complex)などの領域を拡張することができる。本明細書において述べられるこれら又は他の手術工程の任意の適当な組み合わせが考えられる。
【0009】
本発明の一態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、拡張装置をガイド装置に沿って患者の頭部内に進めることと、拡張装置を使用して、副鼻腔につながる開口部を拡張することと、ガイドを患者の頭部内に留置したまま、拡張装置を頭部から抜去することと、ガイドに沿って副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、組織除去装置を使用して、患者の副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含みうる。異なる実施形態において、ガイド装置は、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、又はガイドカテーテルとガイドワイアとの組み合わせであってよい。一実施形態では、拡張装置はバルーンカテーテルである。
【0010】
本方法の一実施形態では、組織を除去することは、組織除去装置内に組織を吸引することと、組織除去装置のカッターを使用して、吸引された組織を切断することと、を含む。異なる実施形態において、組織を除去することは、副鼻腔につながる開口部から組織を除去すること、副鼻腔の内部から組織を除去すること、又は両者の組み合わせを含む。
【0011】
一実施形態では、開口部を拡張することは、前頭洞の小口及び前頭洞の流出路の少なくとも一方を拡張することを含み、組織を除去することは、前頭洞の流出路から組織を除去することを含む。一実施形態では、開口部を拡張することは、副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、組織を除去することは、骨破片を除去することを含む。別の実施形態では、開口部を拡張することは、副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、組織を除去することは、篩骨洞の少なくとも一部を除去することを含む。これらに限定されるものではないが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び/又は粘液胞を含む任意の適当な種類の組織を、この方法を使用して除去することができる。同様に、組織を除去することでは、これらに限定されるものではないが、モルセレータ、スネア、複合スネア/カッター、フィルター、高周波切断及び/若しくは凝固装置、収縮可能なメッシュ装置、ブレードを備えたバルーン、骨カッターアセンブリ、カッターと組み合わされた開口部を有するチューブ、高圧スプレー装置、並びに/又はピンセット把持器アセンブリを含む任意の適当な装置を使用することができる。
【0012】
本発明の別の態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、患者の頭部内にガイドカテーテルを進めることと、ガイドカテーテルを通じ、副鼻腔につながる開口部を通じてガイドワイアを進めることと、ガイドワイア上でガイドを通じてバルーン拡張カテーテルを進めて、開口部内にカテーテルのバルーンを配置することと、バルーンを膨張させることによって開口部を拡張することと、バルーンを抜去して、少なくともガイドワイアを定位置に留置することと、組織除去装置をガイドワイア上で患者の頭部内に進めることと、組織除去装置によって、患者の副鼻腔、異なる副鼻腔、及び鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、組織除去装置及びガイドワイアを患者の頭部から抜去することと、を含みうる。
【0013】
別の態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、患者の頭部内にガイド装置を進めることと、組織拡張及び除去装置をガイド装置に沿って進めて、装置の拡張要素を副鼻腔につながる開口部内に配置することと、拡張要素を膨張させることによって開口部を拡張することと、組織拡張及び除去装置を使用して、副鼻腔から組織を除去することと、組織拡張及び除去装置とガイド装置とを患者の頭部から抜去することと、を含みうる。
【0014】
更なる別の態様では、患者の副鼻腔を治療するためのシステムは、副鼻腔を治療するために、患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、副鼻腔につながる開口部を拡張するための、ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、副鼻腔の内部から組織を除去するための、ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含みうる。
【0015】
上記に述べたように、異なる実施形態において、ガイド装置は、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、又はこれらの両方を含みうる。一実施形態では、拡張装置はバルーンカテーテルであってよい。異なる実施形態において、組織除去装置は以下のもの、すなわち、吸引サブ構造、カッター、スネア、及び/又は無線周波エネルギー供給部材の1又は2以上を備えうる。やはり異なる実施形態において、組織除去装置は、これらに限定されるものではないが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び/又は粘液胞を含む組織を除去するように構成することができる。
【0016】
別の態様では、患者の副鼻腔を治療するためのシステムは、副鼻腔を治療するために、患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、ガイド装置に沿って通されるように構成されている組織拡張及び除去装置と、を含みうる。
【0017】
更なる態様、詳細、及び実施形態について、下記及び添付図面において述べるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ヒト患者に副鼻腔手術を行うために使用されている、カテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムの一例の一般的な動作環境の概略図。
【図1A】ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムを示した、図1の領域1Aの拡大図。
【図1B】ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用の治療トレイの斜視図。
【図2】塑性変形可能な(順応性)領域を含むガイドカテーテルの斜視図。
【図3】真っ直ぐなハイポチューブを備えるガイドカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図3A】平面3A−3Aで切った図7のガイドカテーテルの断面。
【図4A】図2Fのガイドカテーテルを使用して上顎洞の小口にアクセスする方法を示す、副鼻腔の解剖学的構造の冠状断面。
【図4B】図8Fのガイドカテーテルを使用して上顎洞の小口にアクセスするための図8Gの方法を示す副鼻腔の解剖学的構造の矢状断面。
【図5】小口若しくは他の開口部を拡張又は改変するための装置群の斜視図。
【図6】サイズ測定バルーン及び拡張バルーンを含むバルーンカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図6A】平面6A−6Aで切った図6の断面図。
【図6B】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図6C】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図6D】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図7】切断顎部材を備える切断装置の斜視図。
【図7A】切断装置の遠位端から見た場合に切断顎部材が閉じている、図7の切断装置の遠位側領域の斜視図。
【図7B】図7の切断装置の切断顎部材の一実施形態の斜視図。
【図7C】切断平面7C−7Cで切った図7の切断装置の断面図。
【図8A】切断又は把持顎部材を備える装置の代替的な実施形態の斜視図。
【図8B】切断装置の切断又は把持顎部材同士が閉じた配置にある、図8Aの装置の斜視図。
【図9A】小口拡張装置及び/又はマイクロシェーバーの一実施形態の斜視図。
【図9B】組織又は物質の除去に使用されている図9Aの装置の一実施形態。
【図9C】組織又は物質を削ぎ取るために使用されている図9Aの装置の別の実施形態。
【図9D】図9Cの装置の分解図。
【図10A】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図10B】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図10C】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11A】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11B】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11C】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12A】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12B】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12C】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13A】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13B】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13C】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14A】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14B】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14C】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15A】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15B】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15C】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16A】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16B】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16C】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16D】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16E】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17A】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17B】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17C】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17D】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18A】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18B】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18C】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19A】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19B】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19C】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20A】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20B】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20C】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21A】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21B】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21C】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22A】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22B】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22C】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23A】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23B】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23C】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23D】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図24A】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24B】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24C】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24D】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24E】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図25A】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25B】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25C】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25D】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25E】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明、添付図面、及び上記に記載した図面の簡単な説明は、必ずしもすべてではないが、本発明の例又は実施形態の一部を説明することを目的とするものである。この詳細な説明、添付図面、及び図面の簡単な説明の内容は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
本願の多くの図面は、耳、鼻及び咽頭の解剖学的構造を示している。一般的にこれらの解剖学的構造は、以下の参照文字によって示される。
【表1】
【0021】
図1は、ヒト患者に副鼻腔手術を行うために使用されている、カテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムの一例の一般的な動作環境の概略図を示したものである。ヒト患者は作動装置10によって治療されている。作動装置10は、治療トレイ12上に置かれた1又は2以上の補助的装置と接続することができる。Cアーム型X線透視装置14が、手術中の解剖領域のX線像を与える。1又は2以上の機能モジュール18からなる器具コンソール16が用いられる場合もある。本発明と使用することが可能な機能モジュールの例としては以下のものがある。
1.制御された量の陰圧又は真空を吸引装置に供給するための吸引ポンプ。
2.生理食塩水、抗生物質溶液、又は他の適当な灌流媒質を供給する灌流ポンプ。
3.電力をドリル又は他の電気的装置に供給する電力モジュール。
4.器具、薬剤などを保管する保管モジュール。
5.高周波、レーザ、超音波又は他の治療用エネルギーを外科装置に供給するエネルギー供給モジュール。
6.各種の診断又は治療処置中に用いられる装置に接続されるか、又はこれらと相互作用するX線透視装置、MRI、CT、ビデオ、内視鏡若しくはカメラ、又は他のイメージングモジュール。
7.例えば内視鏡、X線透視装置、又は他のデータ若しくはイメージングモジュールなどの各種モジュールからのデータを表示するための、例えばLCD、CRT又はホログラフィックスクリーンなどのディスプレイモジュール。
8.操作者による1又は2以上の機能モジュール18の1又は2以上のパラメータの制御を可能とする遠隔制御モジュール。
9.1又は2以上の機能モジュール18などの1又は2以上の動作設定値を記憶することが可能なプログラム可能なマイクロプロセッサ。
10.安定化アーム、テーブル、クリップ、鼻腔内若しくは鼻腔外膨張式支持体、又はロボット制御可能な装置を含みうる、手術中に各種装置を保持するための安定化装置。
11.ドリル又は錐のような回転式装置を回転させるための回転駆動モジュール(例えば、回転駆動軸又は回転駆動ケーブルが取り付けられたモーターなど)。
【0022】
1又は2以上の機能モジュール18を、作動装置10に接続することができる。器具コンソールモジュール16は、例えば、フットペダルコントローラ、リモートコントローラなどのコンソール制御手段20によって制御することが可能である。器具コンソール16には、操作者が手術場において器具コンソール16の位置を変えられるように車輪が装着されていてもよい。一実施形態では、器具コンソールモジュール16及びCアーム型X線透視装置14は単一のユニットに一体化される。
【0023】
図1Aは、ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムを示した、図1の領域1Aの拡大図を示したものである。図1Aでは、作動装置10の例としてバルーンカテーテルが用いられている。作動装置10は、バルーン膨張シリンジ22、ガイドワイア24及び吸引又は灌流チューブ26などの各種の補助的装置用のアタッチメントを有している。作動装置10及び補助的装置は、治療トレイ12に着脱可能に取り付けることができる。治療トレイ12は、1又は2以上の治療パラメータを制御するための1又は2以上の治療トレイコントローラ28を備えてよい。治療トレイ12は、例えば灌流ボトル、綿棒などの手術中に使用される装置を保管するための1又は2以上の保管モジュールを備えてもよい。
【0024】
図1Bは、ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用の治療トレイの斜視図を示したものである。治療トレイ12は、手術中に装置を着脱可能に保持するための1又は2以上の装置ホルダー30を備えている。一実施形態では、装置ホルダー30は、治療トレイ12上の装置ホルダースロット32に着脱可能に取り付けられる。これにより、治療トレイ12上の装置ホルダー30の位置を、装置ホルダースロット32から装置ホルダー30を取り外し、新たな装置ホルダースロット32に移すことによって変えることができる。
【0025】
本明細書において開示されるいずれの診断又は治療装置も、1又は2以上の順応性領域を含みうる。例えば、図2は、塑性変形可能な(順応性)領域を含むガイドカテーテルの斜視図を示したものである。このようなガイドカテーテル100は、副鼻腔内の標的部位に組織又は生物学的物質除去装置を配置する目的で使用することができる。ガイドカテーテル100は、シャフト102の遠位側領域に順応性領域104が配置されたシャフト102を備えている。シャフト102は、例えば編組構造、ハイポチューブのような剛性付与要素を有しうる。順応性領域104は、順応性の金属チューブ、ロッド(例えば、シャフト102内に埋め込まれたロッドなど)、ワイアなどを含みうる。順応性領域104を形成するために使用可能な金属の例としては、順応性ステンレス鋼、完全に焼き鈍しされたステンレス鋼、銅、アルミニウムなどである。ガイドカテーテル100は、シャフト102の近位端に配置されたねじ付きルアー106を更に備える。この例では、順応性領域104は、ガイドカテーテル100の遠位端に配置されている。順応性領域104は、シャフト102の近位側領域又は他の任意の中間領域に配置することもできる。シャフト102は複数の順応性領域を含んでもよい。1又は2以上の順応性領域を含むこのような構成は、作動要素を備えたカテーテル、ガイドカテーテル、予め設定された形状を有するガイドカテーテル、方向操作可能なガイドカテーテル、方向操作可能なカテーテル、ガイドワイア、予め設定された形状を有するガイドワイア、方向操作可能なガイドワイア、ポート、導入子、シース、又は他の診断若しくは治療装置などの、本明細書において述べられる装置のいずれにおいても使用することができる。
【0026】
図3は、真っ直ぐなハイポチューブを備えるガイドカテーテルの一実施形態の斜視図を示したものである。この構造もまた、所望の治療を達成するために、副鼻腔内に組織又は物質除去装置を配置するために使用することができる。ガイドカテーテル110は、管状要素112、及び管状要素112の外表面に取り付けられたハイポチューブ114を備えている。ハイポチューブ114を形成するのに適した材料は、ステンレス鋼304、ニチノールなどである。一実施形態では、ハイポチューブ114は、管状要素112の外表面に焼き付けられる。管状要素112は、Pebax、HDPEなどの様々な材料で形成することができる。管状要素112は、編組構造又はジャケットを有してもよい。一実施形態では、管状要素112は、その内表面上に潤滑性コーティング115を有する。潤滑性コーティング115は、テフロンなどの適当な潤滑性材料で形成することができる。一実施形態では、管状要素112は、管状要素112の遠位端付近に屈曲又は折曲領域を含む。屈曲又は折曲領域は、0°〜180°の角度を有しうる。更にこの屈曲又は折曲領域は、平面の外側に折れ曲がることによって複合3次元末端形状を与えてもよい。ハイポチューブ114は、順応性のものであっても又はほぼ剛性のものであってもい。順応性ハイポチューブは、患者の解剖学的構造に一致するように形状を最適化するために、ガイドカテーテル110を曲げるか又は捻る必要があるような状況において使用することができる。順応性ハイポチューブを形成するために使用することが可能な材料の例としては、順応性ステンレス鋼、完全に焼き鈍しされたステンレス鋼、銅、アルミニウムなどである。ほぼ剛性のハイポチューブは、ガイドカテーテル110を通じて装置を導入又は抜去するために更なる支持が必要とされるような状況において使用することができる。ほぼ剛性のハイポチューブを形成するために使用することが可能な材料としては、ステンレス鋼304、ニチノールなどである。ハイポチューブ114は、2次元又は3次元形状に折り曲げることができる。管状要素112の遠位端部は、例えば標準的なX線不透過性のマーカーバンドのようなX線不透過性マーカー111を有してよい。管状要素112の近位側領域は、ねじ付きルアーを備えている。
【0027】
図3Aは、平面3A−3Aで切った図7のガイドカテーテル110の断面図を示したものである。ガイドカテーテル110の断面には、管状部材112を包囲した外側ハイポチューブ114が示されており、更に管状部材112は管状部材112の内表面上に配置された潤滑性コーティング115を有している。
【0028】
図4Aは、図2のガイドカテーテル100を使用して上顎洞の小口にアクセスする方法を示す、副鼻腔の解剖学的構造の冠状断面を示したものである。ガイドカテーテル100は鼻孔から導入され、非侵襲性先端部104が上顎洞の小口MSOの内部又はその近傍に位置するように副鼻腔の解剖学的構造内に進められる。近位側の屈曲、湾曲、又は折曲領域102により、ガイドカテーテル100を下鼻甲介ITを回り込んで配置することが可能である。同様に、遠位側の屈曲、湾曲又は折曲領域104により、ガイドカテーテル100を中鼻甲介MTを回り込んで配置することが可能である。これにより、ガイドワイア又は適当な診断若しくは治療装置を、ガイドカテーテル100の管腔を通じて上顎洞MS内に導入することができる。図8Bは、図2のガイドカテーテル100を使用して上顎洞の小口にアクセスするための図8Gの方法を示す副鼻腔の解剖学的構造の矢状断面を示したものである。
【0029】
図5は、副鼻腔又は他の身体の空洞の小口又は他の開口部を拡張又は改変するための装置群の斜視図を示したものである。ガイドカテーテル200は、シャフト202の近位端にねじ付きルアー204を有するシャフト202を備えている。シャフト202の遠位端は、X線像において医師がシャフト202の先端部を特定することを可能とするX線不透過性マーカーバンドMBを有している。シャフト202の遠位端はほぼ真っ直ぐでもよく、あるいは1又は2以上の屈曲又は折曲領域を含んでもよい。1又は2以上の距離マーキングDMがシャフト202上に更に配置されてもよい。場合により用いられる副次選択的カテーテル806が、装置群に更に含まれていてもよい。副次選択的カテーテル206は、シャフト208の近位端にねじ付きルアー210を有するシャフト208を備えている。シャフト208の内径は、シャフト202の内径よりも小さい。シャフト208の遠位端は、X線像において医師がシャフト208の先端部を特定することを可能とするX線不透過性マーカーバンドMBを有している。シャフト208の遠位端はほぼ真っ直ぐでもよく、あるいは1又は2以上の屈曲又は折曲領域を含んでもよい。1又は2以上の距離マーキングDMがシャフト208上に更に配置されてもよい。作動装置212は、シャフト214の遠位側領域に作動要素216が配置されたシャフト214、及びシャフト214の近位端に配置されたねじ付きルアー218を備えている。作動要素216は拡張バルーンであってもよく、あるいは、吸引若しくは灌流装置、ニードル、ポリープ切除術用器具、ブラシ、ブラシ、アブレーション装置などのエネルギー放射装置、レーザー装置、センサー若しくは送信器を有するイメージガイド装置、内視鏡、カッターなどの組織改変装置、生検装置、診断薬若しくは治療薬を注入するための装置、物質溶出装置などの薬物送達装置、物質送達インプラントなどの1又は2以上の組み合わせであってもよい。
【0030】
1つの方法の一実施形態では、ガイドカテーテル200を、ガイドカテーテル200の遠位端が解剖学的領域(例えば、副鼻腔)の解剖学的開口部(例えば、小口)の付近に位置するように患者の体内に導入する。この後、ガイドワイア220をガイドカテーテル200を通じて、例えば副鼻腔のような解剖学的領域内に導入する。必要な場合、ガイドカテーテル200を抜去し、より小径の副次選択的カテーテル206をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入することができる。この後、作動装置212をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入し、作動装置212によって診断又は治療処置を行う。上記の装置群を使用する方法の別の実施形態では、副次選択的カテーテル206を手術から省略する。これに加えて、更なる別の手法では、より大径のガイドカテーテル200をガイドワイア220上で導入することができる。次いで、作動装置212をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入し、作動装置212によって診断又は治療処置を行う。この方法の実施形態により、使用者が、より大径の作動装置212を解剖学的領域に導入することが可能となる。
【0031】
図6は、サイズ測定バルーン及び拡張バルーンを含むバルーンカテーテルの一実施形態の斜視図を示したものである。バルーンカテーテルは、組織又は生物学的物質の除去と組み合わせて1つの治療法として使用することができる。サイズ測定バルーンの下側の拡張バルーンを示すために、サイズ測定バルーンの一部を取り除いてある。バルーンカテーテル250は、シャフト252及びシャフト252の遠位側領域に配置された拡張バルーン254を備えている。拡張バルーン254は、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの適当な非柔軟性材料で形成することができる。拡張バルーン254は、第1のバルーン膨張開口部255を通じて膨らまされる。バルーンカテーテル250は、拡張バルーン254の周囲に配置されたサイズ測定バルーン256を更に含む。サイズ測定バルーン256は、架橋ポリエチレン又は他のポリオレフィン類、ポリウレタン、可撓性ポリ塩化ビニル、ナイロンなどの柔軟性又は半柔軟性材料で形成することができる。サイズ測定バルーン256は、第2のバルーン膨張開口部257を通じて膨らまされる。拡張バルーン254及びサイズ測定バルーン256は、バルーン間容積258を包囲している。図6Aは、平面6A−6Aで切った図6のバルーンカテーテルの断面を示す。シャフト252は、ガイドワイア管腔260、図14の第1のバルーン膨張開口部255において遠位側が終端する第1の膨張管腔262、及び、図6の第2のバルーン膨張開口部257において遠位側が終端する第2の膨張管腔264を有している。
【0032】
図6B〜6Dは、図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程を示したものである。図6Bでは、バルーンカテーテル250は、拡張しようとする解剖学的開口部266内にガイドワイアGW上を導入されている。本発明により拡張することが可能な解剖学的開口部266の種類の例としては、副鼻腔の小口、エウスタキオ管、涙管の小口などが挙げられる。この後、図6Cにおいて、サイズ測定バルーン256を像視可能な膨張媒質を用いて膨らませる。適当な像視可能な膨張媒質の例としては、X線不透過性の造影剤を含んだ生理食塩水、二酸化炭素ガスなどがある。次いでバルーンカテーテル250の遠位側領域が、X線透視装置又はX線撮影装置などの適当なイメージング法を使用して画像化される。これにより、操作者が解剖学的開口部266のサイズを推定することが可能である。このようなバルーンカテーテルは、バルーン拡張のような診断又は治療処置を行うのに先立って、例えばエウスタキオ管のような管状の解剖学的領域内の最も狭い領域の直径を推定するうえでも適している。工程6C中に得られる情報に基づいて、バルーンカテーテル250の位置を修正し、必要であれば工程6Cを繰り返すことができる。この後、工程6Dにおいて、サイズ測定バルーン256を萎ませる。工程6Dではまた、拡張バルーン254を膨らませて解剖学的開口部266内の標的領域を拡張する。この後、拡張バルーン254を萎ませ、バルーンカテーテル250を解剖学的開口部266から引き抜く。一実施形態では、サイズ測定バルーン256をバルーン拡張処置の後で再び膨らませることによって、バルーン拡張処置の効果についてのフィードバックを得ることができる。
【0033】
バルーンカテーテルの移植の前、後、又は同時に、組織及び/又は生物学的物質を治療部位から捕捉又は除去することができる。このような捕捉及び除去装置は、ガイドワイア上で展開させるか、又は介入部位に直接配置することが可能な構造として実現することができる。図21は、切断顎部材を備える切断装置のアプローチの1つを示したものである。切断装置300は、シャフト302の遠位端に上側顎部材304及び下側顎部材306が配置されたシャフト302を備える。シャフト302の近位側領域は、ハンドルを備えたハサミ状の装置、又は上側顎部材304及び/又は下側顎部材306の運動を制御するために使用可能な他の適当な制御装置308を有している。上側顎部材304と下側顎部材306とは互いにヒンジ連結されているため、組織を挟む、掴む、又は切断するためにハサミ型ハンドル308によってこれらを開閉することができる。一実施形態では、上側顎部材304及び下側顎部材306の刃先には切断歯列が設けられる。また、上側顎部材304及び下側顎部材306の刃先には、鋭利な刃先、鈍磨な把持歯列などを設けてもよい。シャフト302は管腔310を有する。これにより、切断装置300をガイドワイアのようなアクセス装置上に進めて、標的とする解剖学的領域にアクセスすることが可能である。切断装置300を形成するために使用可能な材料の例としては、ステンレス鋼304、ステンレス鋼316、チタン、チタン合金などがある。
【0034】
図7Aは、切断顎部材が閉じた状態の図7の切断装置の遠位側領域の斜視図を示したものである。
【0035】
図7Bは、図7の切断装置の顎部材の一実施形態の斜視図を示したものである。上側顎部材304は、上側顎部材切欠き部312を有している。一実施形態では、上側顎部材切欠き部312の形状は半円形である。同様に、下側顎部材306は、下側顎部材切欠き部314を有している。一実施形態では、下側顎部材切欠き部314の形状は半円形である。この設計により、上側顎部材304と下側顎部材306とが閉じられている場合であっても、ガイドワイアは切断装置300の遠位端の隙間を通過することが可能である。別の実施形態では、ガイドワイアは、上側顎部材304又は下側顎部材306のいずれかに配置された開口部を通過する。上側顎部材304及び下側顎部材306の形状は、正方形、卵形、台形又は円形であってもよい。
【0036】
図7Cは、平面7C−7Cで切った図7の切断装置の断面図を示したものである。切断装置300のシャフト302は、ガイドワイアのようなアクセス装置用の管腔310を有している。シャフト302は、上側顎部材304及び下側顎部材306を制御装置308に連結する1又は2以上の引張りワイア316を更に有する。制御装置308が動かされると、引張りワイア316がこの運動を上側顎部材304及び下側顎部材306に伝達し、上側顎部材304及び下側顎部材306を開閉させる。
【0037】
図8Aは、切断又は把持顎部材を備えた装置の代替的な実施形態の斜視図を示したものである。切断装置320は、シャフト322を備えている。切断装置320の遠位端は、第1のヒンジ328において互いにヒンジ連結されている上側顎部材324と下側顎部材326とを備えている。上側顎部材324の近位端は第1の細長い部材330を備え、第2の顎状部材326の近位端は第2の細長い部材332を備えている。第1の細長い部材330の近位端は第2のヒンジ334に連結され、第2のヒンジ334は更に第3の細長い部材336に連結されている。第2の細長い部材332の近位端は第3のヒンジ338に連結され、第3のヒンジ338は更に第4の細長い部材340に連結されている。第3の細長い部材336及び第4の細長い部材340の近位端は、第4のヒンジ332によって、シャフト322に通された引張りワイア344に連結されている。図8Aは、上側顎部材334と下側顎部材326とが開いた配置にある切断装置330を示している。引張りワイア344が近位端方向に引っ張られると、第4のヒンジ342がシャフト322内部に引っ張られる。これにより、第3の細長い部材336及び第4の細長い部材340の遠位端同士が互いに接近する。これにより更に、第1の細長い部材330及び第2の細長い部材332の近位端同士が互いに接近する。これにより更に、上側顎部材324と下側顎部材326とが閉じる。同様に、引張りワイア344を遠位方向に押すと、上側顎部材324と下側顎部材326とが開く。一実施形態では、切断装置320は、上側顎部材324と下側顎部材326とを開いた配置、又は閉じた配置に付勢する、引張りワイア344とシャフト322との間に配置されたバネ機構を備える。
【0038】
図8Bは、切断装置の顎部材同士が閉じた配置にある、図9Aの装置の斜視図を示す。
【0039】
図9Aは、マイクロシェーバー又は小口拡張装置350の一実施形態の斜視図を示したものである。装置350は、近位側部分352と遠位側部分353とを備えている。近位側部分352は中空であり、近位側部分352の遠位端には、例えば鋭利な切断歯などの近位側切断表面354が配置されている。遠位側部分353の近位端には、例えば鋭利な切断歯などの遠位側切断表面356が配置されている。遠位側部分353は、ガイドワイア管腔360を含む引張りシャフト358に更に連結されている。ガイドワイア管腔360により、マイクロシェーバー350をガイドワイアGW上で標的とする解剖学的構造内に導入することができる。引張りシャフト358と近位側部分352との間の領域には吸引管腔362が含まれる。吸引管腔362を利用して、標的とする解剖学的構造から吸引によって固体の破片又は液体を除去することができる。近位側部分352、遠位側部分353、及び引張りシャフト358は、ステンレス鋼などの適当な生体適合性材料で形成することができる。
【0040】
図9Bは、組織又は物質を除去するために図9Aの装置350を使用することが可能な1つの方法を示す、副鼻腔の断面図を示したものである。装置350が、ガイドワイアGW上を副鼻腔364内に導入される。次いで装置350は、組織又は物質が近位側切断表面354と遠位側切断表面356との間に位置するように配置される。この後、この実施形態では、引張りシャフト358が近位方向に引っ張られる。これにより、遠位側領域353が、近位側部分352に対して近位方向に動く。これにより更に、円筒状の遠位側カッター356が円筒状の近位側カッター354の内部に強制的に引き込まれることによって、これらの間に捕捉された組織又は物質が切断又は破断される。場合により、この実施形態では、円筒状の遠位側カッター356及び円筒状の近位側カッター354を他方に対して回転させることにより、組織を更に切断又は削ぎ取ることができる。更に、場合によりこの実施形態では、吸引管腔352を利用して、手術中に発生するあらゆる固体破片又は液体を除去することができる。
【0041】
図9C及び9Dは、(組織又は物質を削ぎ取るために)装置350を使用することが可能な別の方法の一例を示す。この装置350によって削ぎ取ることが可能な解剖学的構造の例としては、骨、エウスタキオ管の軟骨及び軟組織、鼻甲介、涙管、副鼻腔の小口、涙管の小口のような解剖学的開口部、並びに耳、鼻、咽喉、又は口腔の他の領域が挙げられる。図9Cに示されるように、この実施形態では、近位方向に動かすことが可能な引張りシャフト358は必要ではなく、その代わりに、遠位側切断表面356が円筒状の近位側切断表面354内に配置された状態に維持されるようにしてもよい。各切断表面を、削ぎ取ろうとする組織又は物質に接して配置し、円筒状の遠位側カッター356及び/又は円筒状の近位側カッター354を回転させて組織又は物質を削ぎ取る。管腔362を通じて吸引を行って組織又は物質をスロット359内に引き込むことにより、回転する近位側カッター354によって組織又は物質が削ぎ取られるようにしてもよい。
【0042】
次に図10A〜Cを参照すると、一実施形態では、組織除去装置380は細長い管状部材382及びスネア384を備えうる。組織除去装置380は、図6に示されるもののような拡張カテーテルの使用の前、後、又は同時に、鼻腔から、及び/又は副鼻腔の内部から組織を除去するために使用することができる。異なる実施形態において、組織除去装置380を使用して1又は2以上の副鼻腔内、鼻腔内、又はその両方において組織を除去することができる。細長い管状部材382は、管状部材382の内部に負の圧力勾配を形成する装置に取り付けられるように構成された近位端を有してもよい。一実施形態では、細長い管状部材382は、装置380によって鼻腔又は副鼻腔内の組織を除去し、鼻腔又は副鼻腔内の開口部又は他の空間を拡張することの両方を可能とするバルーン又は他の膨張可能な部材を更に含んでもよい。一実施形態では、組織除去装置380は、ガイドワイア上で、かつ/又は、既に示した図2及び3を参照して上記に述べたもののような導入子若しくはガイドカテーテルを通じて進めることができる。代替的な実施形態では、組織除去装置382をガイド装置を使用せずに進めることができる。
【0043】
細長い管状部材382は、スネア384を受容するようなサイズ及び形状の内部管腔を有してもよい。スネア384は、細長い管状部材380に対して長手方向に動かすことができるため、スネア384を細長い管状部材380の遠位端を超えて進め、かつ管状部材380の内部管腔内に完全に引き込むことができる。異なる実施形態において、スネア384を、ワイアのような材料の単純な機械的ループとするか、又は無線周波エネルギーを発信するようなものとすることができる。後者の実施形態では、スネア384の近位端を無線周波エネルギー発信装置に接続することができる。
【0044】
図10B及び10Cに示されるように、組織除去装置380を患者の鼻腔364(及び/又は1又は2以上の副鼻腔)内に進めて、組織又は他の生物学的物質に引っ掛けることができる。これらの及び続く図面群では、説明を容易とするために、各装置は鼻腔から組織を除去している状態を示している。しかしながら、すべてではないにしても多くの実施形態において、これらの図面に使用状態が示されている各装置及び方法は、1又は2以上の副鼻腔から組織を除去するためにも使用することができる。装置380を進める際、又はその後のある時点において、スネア384を細長い管状部材382から外に進め、標的組織又は物質にスネアを引っ掛けて切断するように操作することができる。純粋に機械的なアプローチでは、スネア384を標的組織の周囲に掛けて引き抜くことで副鼻腔から組織を切除することができる。あるいは、無線周波エネルギーを伝送して組織の切断を行うこともできる。この切断動作と同時に、又はその後で、細長い管状部材382から吸引力を作用させる。スネア384を吸引及び引き抜くことで、標的組織の捕捉を行う。次いで装置380及び切断された組織/物質を介入部位から除去するか、あるいは部位が望ましいきれいな状態となるまで物質の更なる切断及び回収を行うことができる。
【0045】
次に図11A〜11Cを参照すると、関連するアプローチにおいて、副鼻腔から生物学的物質を除去するための治療システム400は、遠位端部にモルセレータ404が設けられた細長い管状吸引部材402を備えうる。この場合もやはり、副鼻腔のバルーン拡張又は他の手段による拡張を、標的組織の除去と並行して行うことができる。更に、細長い管状部材402は、細長い管状部材402の全長にわたって延びる管腔内に吸引力を発生する装置に接続されることを想定したものである。モルセレータ404は、患者の副鼻腔内に見られる生物学的物質を破砕、切断、又は切開するように設計された各種のサブアセンブリを画定しうる。図面に示されるアプローチにおいては、モルセレータ404は、中心ハブを中心として回転する複数のブレードを有しうる。モルセレータ404には制御装置を取り付け、モルセレータ404の回転動作を行うことができるように操作者にまで近位方向に延びるようにしてもよい。
【0046】
使用時には、副鼻腔のバルーン拡張と組み合わせるか、又はこれとは別に、吸引及びモルセレータアセンブリ400の遠位端を、上記に述べたように除去の標的となる物質に接して副鼻腔内に配置することができる。次いで細長い管状部材402内に吸引圧力を発生させて、物質回収プロセスを開始することができる。次いで、モルセレータ404を作動させて標的物質を切断、切開、又は切り刻む。次いで標的となる生物学的物質を細長い管状部材402内に吸い込み、患者の副鼻腔から除去することができる。この手順を必要なだけ繰り返すことによって、副鼻腔を所望の程度にまできれいにする。副鼻腔を完全に治療するために更なるバルーン拡張を行うこともできる。
【0047】
次に図12A〜12Cを参照すると、吸引管状部材420の別の実施形態が開示されている。副鼻腔の開口部又は他の鼻腔/副鼻腔領域のバルーン拡張とは独立して、又はこれと並行して、吸引管状部材を、副鼻腔を治療するための治療処置に使用することができる。上記に述べたように、吸引管状部材420は、副鼻腔の解剖学的構造を拡張するためのバルーン又は他の膨張可能な部材を更に有してもよく、あるいは別のカテーテルをこの目的で使用することもできる。この場合もやはり、装置420の近位端を吸引力を発生するアセンブリに取り付ける。本発明のアプローチでは、吸引管状部材420の遠位端には、吸引力を利用して組織を可逆的に吸着するための複数の穴422が形成された単一の先端部が設けられる。図に示されるように、組織の操作に対するこのような比較的低侵襲性のアプローチを用いて、副鼻腔及び/又は鼻腔の解剖学的構造から組織365又は他の物質を捕捉かつ除去することができる。
【0048】
更なる別の関連するアプローチ(図13A〜13C)では、副鼻腔の解剖学的構造から組織を切断、捕捉、又は除去するための、概ね細長い管状体構造及び刃先432を備えた遠位端を有する組織捕捉吸引装置430が考えられる。このアセンブリもまた、ガイドワイア上及び/又はガイドカテーテル内に進めることが可能であり、あるいはそれ自体がガイドカテーテルを画定しうるものである。更に、この装置を、副鼻腔及び/又は鼻腔の解剖学的構造を拡張するためのバルーンカテーテル又は他の構造とともに、又はこれらと独立して使用するか、あるいは膨張可能な構造を管状体に直接組み込むことができる。
【0049】
図に示されるように、管状体の全周にわたって延びる刃先432は、管状捕捉吸引装置430の内部管腔壁と、その外表面との間の鋭い角度によって画定される。遠位側の管状部分の全周にわたっては延びない鋭利な刃先など、切断表面の様々な他のアプローチも考えられる。組織捕捉吸引装置430は、捕捉された物質を装置内に留めるためのフィルター434を更に備える。
【0050】
使用時には、バルーン又は他の副鼻腔拡張手段とは別に、又はこれらと同時に、組織捕捉吸引装置430を、回収しようとする物質と接して介入部位に配置する。吸引サブアセンブリへの接続を介して、除去の標的となる物質と接触し、これを切断するように刃先432を操作しながら吸引力を作用させる。除去の標的となる物質を装置が除去すると、物質は吸引力によって細長い管状部材内に引き込まれ、フィルター434が物質を定位置に保持するように機能する。
【0051】
また、図14A〜14Cに示されるように、組織捕捉装置450は、切断表面454で終端する細長い管状部材452、及び、管状部材452の近位端に取り付けられた容器458を含む捕捉サブアセンブリ456を備えてもよい。操作を容易にするため、細長い管状部材452は、捕捉サブアセンブリ456に対して回転可能であることによって、標的となる生物学的物質と接触してこれを切断することができる。この実施形態は、直前に述べた実施形態とその構造及び使用の両面において特徴を共有するものであるが、ここでは、捕捉された物質を保持するために捕捉サブアセンブリ456の内部にフィルターが設けられている。これにより、捕捉された物質を介入部位から移動させ、より大量の物質を回収することが可能である。
【0052】
図15A〜15Cに示されるもののような捕捉スクリーン装置470を使用して、副鼻腔からの除去の標的となる生物学的物質を切断及び回収することもできる。上記に述べた実施形態と同様、捕捉スクリーン装置470は吸引力の使用とは独立して標的組織を回収するために使用されるため、この装置は、吸引力を作用させながら使用することができる。更に、上記に述べたのと同様、この装置に、バルーン又は副鼻腔の解剖学的構造の他の拡張手段を組み込むことが可能であり、更にこの装置がガイドカテーテルの一部を構成してもよく、かつ/又はガイドカテーテル内、又はガイドワイア上で展開することが可能である。本発明において想到される捕捉スクリーン装置470は、ほぼ管状のチューブ474の内部で長手方向に運動可能な、展開及び折り畳み可能なスクリーン472を備える。この場合もやはり、チューブ474を、必要に応じて吸引サブアセンブリに取り付けることができる。更に、スクリーンの展開を助け、又は副鼻腔の解剖学的構造の拡張に寄与するように、スクリーン472の内部にバルーン(図に示されていない)を配置してもよい。
【0053】
使用時には、捕捉スクリーン装置470を鼻腔又は副鼻腔内部の介入部位に配置する。所望の通りに配置されたなら、スクリーン装置472を管状部材474の遠位端を超えて進め、自己展開させるか、あるいはスクリーン472を画定する部材(スクリーンの遠位端に取り付けられた引張りワイアなど、図に示されていない)の互いに逆向きの運動によって展開する。切断しようとする物質は、スクリーン472が展開されると、スクリーン構造472の交差するストラット476間に捕捉される。スクリーン472の操作及び/又はこれに続く管状部材474内へのスクリーンの引き込み及び折り畳みの両方により、副鼻腔内部からの標的となる生物学的物質の切断及びスクリーンの内部での物質の回収が実現される。治療は、介入部位から回収された物質が入ったスクリーンを抜去することで完了する。回収工程を必要なだけ何回も繰り返して、所望の治療を完了することができる。
【0054】
次に図16A〜16Eを参照すると、生物学的組織又は物質の捕捉及び除去を行う治療法に対する別のアプローチが示されている。切断要素を備えた外側表面を有するバルーン491を含むバルーンカテーテル490が、この目的では考えられる。このような装置は、上記に開示したようにガイドワイア上及びガイドカテーテル内で進めることが可能であり、更に、吸引又は切断された組織を除去するための他の捕捉手段とともに、副鼻腔の解剖学的構造の独立した拡張とともに、又はこれとは独立して使用することが可能である。1つのアプローチでは、切断バルーン490は、バルーン本体491に沿って長手方向に延びる1又は2以上のブレード492を有しうる(図16A)。ブレードは、図16B及び16Cに示されるようなスクーパー状の構成494又は螺旋パターン496をなしてもよい。介入部位において治療を行うためには、バルーンカテーテル470を膨張させてブレード492、494、496を完全に露出させる。ブレード492、494、496が標的組織365と接触してこれを切断するようにバルーン490を操作することにより、副鼻腔を画定する壁から組織が剥離する。次いで切断された組織365を、洗浄により、あるいは吸引部材(図に示されていない)を使用することによって除去することができる。
【0055】
代替的なアプローチの1つでは、標的組織の切断は、スピンカッター装置500を使用して実現することができる(図17A〜17Dを参照)。この場合もやはり、スピンカッター装置500は、副鼻腔を拡張するための拡張カテーテルとともに使用することが可能であり、装置はガイドカテーテル内及び/又はガイドワイア上に進めることができる。図に示されるように、スピンカッター装置500は、組織保持部を画定する湾曲かつ丸まった断面形状を有する切断ブレード504が設けられた外表面を有する細長いほぼ円筒状の部材502を備えている。スピンカッター装置500が副鼻腔の解剖学的構造内に所望の通りに配置された時点でスピンカッター装置500を回転させると、切断ブレード504がその丸められた構造内において組織を切断して捕捉する。この装置は必要なだけ再使用してから、シースを使用して部位から引き抜くことによってその領域の組織への外傷を避けることができる。
【0056】
組織の回収及び除去に対する一層更なるアプローチが、図18A〜18C及び19A〜19Cに示されている。このような更なるアプローチは、副鼻腔又は鼻腔の解剖学的構造のバルーンによる拡張、吸引圧力、ガイドワイア上での前進、及びガイドカテーテルによる導入とは独立して、又はこれらの1又は2以上のものと組み合わせて行うことが可能である。図18A〜18Cに示されるように、バックカッター装置520を使用して、副鼻腔からの除去の標的となる生物学的物質365を捕捉することができる。バックカッター装置520は、長手方向部材524上に支持された円錐部材522を備えてよく、これらはいずれもほぼ管状の回収スリーブ526に対して動くことができる。一実施形態では、長手方向部材524がスリーブ526の内部で摺動し、円錐部材522はスリーブ526の遠位端内部に受容されるようなサイズとなっている。円錐部材522の近位端及びスリーブ526の遠位端の一方又は両方が、副鼻腔の内部において一般的に見られる生物学的物質を切断するための構造を有しうる点は想到される。この点に関し、上記に述べたように、円錐部材522及びスリーブ526の両方を画定する構造は、円錐部材522及びスリーブ526の中心の周囲、又はこれらの外周の一部に鋭い角度を有しうる。切断を行うには、標的物質365を円錐部材522とスリーブ526との間に配置し、長手方向部材524を回転させることによって円錐部材522の切断表面が標的物質365を切断する。更に、標的物質365を切断するためにスリーブ526を回転させてもよい。充分な切断が行われたものと判断された時点で、長手方向部材524を近位方向に引くことにより、切断された物質が円錐部材522とスリーブ526との間に捕捉される。
【0057】
関連する実施形態(図19A〜19C)では、バルーン及びカッター装置540は、副鼻腔及び/又は鼻腔内の生物学的組織365を切断及び捕捉するように構成される。この場合、装置540は、側面に沿って延びる膨張可能なバルーン、及び、バルーン542と反対側の装置の側面に配置された開放窓544の両方が設けられた遠位端部を備えている。窓544の内部には、カップ状カッター546が設けられ、その近位端は操作者にまで延びる操作部材548に連結されている。装置のバルーン部分542を利用して副鼻腔内の小口又は他の空間を開くか、又は組織回収用の装置を固定することができる。組織の回収は、切断及び除去しようとする組織又は他の物質上に窓544を配置することによって行うことができる。次いでカップ状カッター546を、切断しようとする物質に対して回転及び/又は前進させることによって組織を切断及び捕捉することができる。次いで、患者からバルーン及びカッター装置を引き抜くことによって、捕捉された物質を部位から除去することができる。
【0058】
図20A〜20Cに示されるような、回転成形カッター装置560を上記で述べたようにして使用して、副鼻腔からの除去の標的となる組織にアクセスし、組織に接して配置することもできる。この装置は、刻み目がつけられた細長い部材564を受容するようなサイズに構成された略管状体562を備えており、管状体562の遠位側の終端は成形カッター566を有している。1つのアプローチでは、カッター566は高い可撓性を有しており、細長い部材564の操作を通じてカッター566を回転させて組織を切断する。成形カッター566を進める深さは、管状体562の近位端に対する細長い部材564上の刻み目の位置に注意することによって監視される。開示される治療装置の他の実施形態において同様の刻み目を利用して、装置の配置を監視することができる。更に、内視鏡法及び/又はX線透視法などの直接又は遠隔視認技術を用いて、組織の切断及び捕捉を補助することができる。
【0059】
副鼻腔治療に対する更なる別のアプローチ(図21A〜21C)では、患者の鼻腔364及び/又は副鼻腔内部から物質を剥離するために高圧流体供給システム580を使用することができる。システム580は、管状体582を通じて治療部位から剥離した物質を吸引するように構成してもよく、システムを安定化させるか又は小口若しくは他の副鼻腔を拡張するために使用することが可能なバルーン584を備えてもよい。
【0060】
治療装置600は、複数の開口部604が形成された略管状部材602によって更に規定することができる(図22A〜22Cを参照)。この応用例では、硬組織又は骨を切り進むことが困難と思われるような場合、カッター606は、超音波スピン又は切断能力を高める他の振動運動に反応するか又はこれを作用させるように構成される。すなわち、スピン又は振動のような運動は、摩擦をなくし、切断能力を更に高める微小運動を誘導しうる。更にカッター600を必要なだけ引くことによって、装置本体602に形成された穴604に隣接する、又は穴604内部に延びる組織を切断することができる。
【0061】
一層更なる別のアプローチ(図23A〜23D)では、副鼻腔の解剖学的構造のバルーン拡張と組み合わせて、副鼻腔、副鼻腔の開口部、及び/又は鼻腔内部の組織と接触し、これを除去するためのピンセット把持装置620が提供される。装置620は、再使用可能なハンドル622及び交換可能な把持器構造624を備えうる。装置全体を使い捨て式又は再使用可能とすることもできる。更に、ピンセット把持装置620は、ガイド部材(図に示されていない)を通じて配置できるようなサイズ及び形状とすることができる。いずれの場合においても、指受け穴626が近位側に便宜よく配置されており、組織の取り出しを遠隔で行うことが可能である。
【0062】
副鼻腔を機械的に擦り、きれいにし、スワブするための様々なアプローチが図24A〜24Eに示されている。すなわち、鋭利なブレード状の物体を使用する代わりに、綿棒630(図24A)、布部材632(図24B)、又は微細ブラシ634によって副鼻腔を治療することが考えられる。図24Dに示されるワイアスクラバー636の使用も考えられる。これらの物体のそれぞれについて、スクラブ部材又はスワブ部材をシース640に通して進め、副鼻腔の内部の表面と効果的に接触するのに適した形態へと自己展開させることができる。剥離した物質は、直接、スワブ/スクラブ装置によって、更に、他の開示される方法(すなわち、吸引)によって、治療部位から引き抜くことができる。
【0063】
除去装置には上記に述べたもののいずれも含まれうる。異なる実施形態において、除去装置は図に示されるようにガイドを通じて進めるか、又はガイドを使用せずにそれ自体で進めることができる。異なる実施形態において、内視鏡を使用して手術の全体又は一部を見ることができる。一実施形態では、その開示内容の全体を本明細書に援用するところの、発明の名称が「旋回プリズム型内視鏡(Swing Prism Endoscope)」である米国特許出願第12/502,101号に述べられる旋回プリズム型内視鏡などの可変視野角内視鏡を使用することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、組織除去装置は、例えば組織カッターを収容したカテーテルシャフトに取り付けられたバルーン拡張カテーテルを備えうる。したがって、いくつかの実施形態では、拡張機能及び組織除去機能を同じ装置によって実現することができる。いくつかの実施形態では、このような複合装置をガイド上に、又はガイドを通して進めることができるが、代替的な実施形態では、複合装置はガイドを必要としない場合もある。
【0065】
図25A〜25Eに示される方法は、上顎洞、蝶形骨洞、及び篩骨洞などの他の副鼻腔に適用することもできる。篩骨洞は一般的に、他の副鼻腔のように1個の別個の自然口を有していないが、いくつかの実施形態において拡張及び組織除去のいくつかの組み合わせを使用することで、篩骨洞及び/又は中鼻道自然口ルートなどの鼻孔の領域を治療することが可能である。この場合では、バルーンカテーテル650が、ガイドカテーテル652を通じて、前頭洞654につながる小口又は流出路653の内部へと進められる。バルーンカテーテルのバルーン656を膨張させることにより(図25B)、小口又は流出路が開かれる。この後、バルーンカテーテル650は抜去され、ガイドカテーテルが定位置に留置される(図25C)。骨の破片又は他の生物学的物質660が、その部位に残っている可能性がある。このため、上記に述べたもののような組織除去装置670を、ガイド652を通じて部位にまで進めることができる(図25D)。そこに到達した時点で破片を除去することが可能であり、これにより拡張されたきれいな状態の流出路及び小口が残る。
【0066】
異なる代替的な実施形態において、上記に述べた装置、システム及び方法を、耳、鼻、咽喉、又は口腔内の構造の狭窄又は閉塞によって引き起こされる他の状態の診断又は治療を行うために使用することができる。また、異なる実施形態において、カテーテルなどの本明細書において述べる装置は、両端間に延びる管腔、ジッパー型管腔、迅速交換用管腔、ジャケットによって包囲された平行管腔などの1又は2以上の管腔を有しうるものである。
【0067】
上記の説明文は多くの例及び実施形態を与えるものであるが、これらの例及び実施形態には、本発明の意図する趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な追加、削除、変更及び改変を行いうるものである。例えば、1つの実施形態又は例の任意の要素又は属性は、そうすることによってその実施形態又は例がその目的とする用途にそぐわないものとならないかぎりにおいて、別の実施形態又は例に取り入れるか、あるいは別の実施形態又は例と共に使用することが可能である。すべての妥当な追加、削除、改変及び変更は、述べられた例及び実施形態の均等物とみなし、以下の「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
拡張装置をガイド装置に沿って前記患者の頭部内に進めることと、
前記拡張装置を使用して、前記副鼻腔につながる開口部を拡張することと、
前記ガイドを前記患者の頭部内に留置したまま、前記拡張装置を前記頭部から抜去することと、
前記ガイドに沿って前記副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、
前記組織除去装置を使用して、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含む、方法。
(2) 前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、及びガイドカテーテルとガイドワイアとの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記拡張装置がバルーンカテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記開口部を拡張することが、副鼻腔の小口を拡張することを含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記開口部を拡張することが、人工的な開口部を拡張することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記組織を除去することが、
前記組織除去装置内に前記組織を吸引することと、
前記組織除去装置のカッターを使用して、前記吸引された組織を切断することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記組織を除去することが、前記副鼻腔につながる前記開口部から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記組織を除去することが、前記副鼻腔の内部から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記開口部を拡張することが、前頭洞の小口及び前頭洞の流出路の少なくとも一方を拡張することを含み、前記組織を除去することが、前記前頭洞の流出路から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0069】
(11) 前記開口部を拡張することが、前記副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、前記組織を除去することが、骨破片を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記開口部を拡張することが、前記副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、前記組織を除去することが、篩骨洞の少なくとも一部を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記組織を除去することが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される種類の組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記組織を除去することが、モルセレータ、スネア、複合スネア/カッター、フィルター、高周波切断及び/又は凝固装置、収縮可能なメッシュ装置、ブレードを備えたバルーン、骨カッターアセンブリ、カッターと組み合わされた開口部を有するチューブ、高圧スプレー装置、並びにピンセット把持器アセンブリからなる群から選択される装置を使用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
前記患者の頭部内にガイドカテーテルを進めることと、
前記ガイドカテーテルを通じ、前記副鼻腔につながる開口部を通じてガイドワイアを進めることと、
前記ガイドワイア上で前記ガイドを通じてバルーン拡張カテーテルを進めて、前記開口部内に前記カテーテルのバルーンを配置することと、
前記バルーンを膨張させることによって前記開口部を拡張することと、
前記バルーンを抜去して、少なくとも前記ガイドワイアを定位置に留置することと、
組織除去装置を前記ガイドワイア上で前記患者の頭部内に進めることと、
前記組織除去装置によって、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、及び鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、
前記組織除去装置及び前記ガイドワイアを前記患者の頭部から抜去することと、を含む、方法。
(16) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
前記患者の頭部内にガイド装置を進めることと、
組織拡張及び除去装置を前記ガイド装置に沿って進めて、前記装置の拡張要素を前記副鼻腔につながる開口部内に配置することと、
前記拡張要素を膨張させることによって前記開口部を拡張することと、
前記組織拡張及び除去装置を使用して、前記副鼻腔から組織を除去することと、
前記組織拡張及び除去装置と前記ガイド装置とを前記患者の頭部から抜去することと、を含む、方法。
(17) 患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、
前記副鼻腔の内部から組織を除去するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含む、システム。
(18) 前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテルを含む、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記ガイド装置がガイドワイアを更に含む、実施態様19に記載のシステム。
【0070】
(21) 前記拡張装置がバルーンカテーテルである、実施態様19に記載のシステム。
(22) 前記開口部が副鼻腔の小口である、実施態様20に記載のシステム。
(23) 前記開口部が人工の開口部である、実施態様20に記載のシステム。
(24) 前記組織除去装置が吸引サブ構造を備える、実施態様20に記載のシステム。
(25) 前記組織除去装置がカッターを備える、実施態様20に記載のシステム。
(26) 前記組織除去装置が、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される組織を除去するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(27) 前記組織除去装置がスネアを備える、実施態様20に記載のシステム。
(28) 前記組織除去装置が、無線周波エネルギーを供給するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(29) 患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に前記副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、前記ガイド装置に沿って通されるように構成されている、組織拡張及び除去装置と、を含む、システム。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年12月28日出願の米国特許仮出願第61/290,341号、及び2010年1月27日出願の米国特許仮出願第61/298,800号に基づく利益を主張するものであり、これらの内容を援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、医療装置、システム及び方法に関し、より詳細には、副鼻腔内の治療を行うための低侵襲性装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性副鼻腔炎は、米国内で年間3千万人を超える人々が罹患する、広く見られる消耗性の病態である。耳鼻咽喉科(ENT)の医師は、通常は鼻腔ステロイド剤及び/又は抗生物質によって副鼻腔炎の治療を行うが、これらの薬剤はしばしば効果を示さず、このため患者は単に症状に耐えるか、あるいは苦痛をともなう手術を受ける決断を下さなくてはならない。慢性副鼻腔炎の症状には、頭痛、呼吸困難、頭及び顔面における強い圧迫感、歯痛、鼻詰まり、並びに鼻水などがあり、しばしば患者の生活の質を著しく低下させる。
【0004】
機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)は現在、慢性副鼻腔炎の治療に最も一般的に用いられている手術である。一般的なFESS手術では、剛性の内視鏡を、1又は2以上の剛性の手術器具とともに鼻孔内に挿入し、器具を使用して、鼻腔及び副鼻腔に通じる開口部の骨及び粘膜組織を除去することによってこうした開口部を拡張し、これにより願わくは副鼻腔の排液を改善し、副鼻腔炎の症状を緩和する。多くのFESS手術では、少なくとも1つの副鼻腔の自然口(例えば、開口部)を外科的に拡張して洞腔からの排液を改善する。FESS手術は、副鼻腔炎の治療、並びに腫瘍、ポリープ及び他の鼻からの異常増殖の除去に効果的であるが、鼻腔からの多量の組織の除去は、出血並びに術後の痛み及び瘢痕化を引き起こし、一般的に鼻腔タンポン挿入及びデブリードマン(瘢痕組織の除去)を必要とし、これらはいずれも患者にとって困難なものであり、更なる通院を必要とする。
【0005】
FESS手術では、通常、1又は2以上の副鼻腔に通じる開口部にアクセスするために正常な解剖学的構造の外科的除去又は改変を行う。例えば、多くのFESS手術においては、上顎洞の小口及び/又は篩骨胞を可視化し、これらへのアクセスを可能とするために手術の開始時に全鉤切除術(total uncinectomy)(例えば、鼻管内の鉤状突起の除去)が行われる。一般的に、より多くの組織が除去されるほど、患者の術後回復はより長時間を要し、より苦痛をともなう。同時に、副鼻腔手術を行う際にポリープ又は骨増殖などの一部の組織を除去することがしばしば有利な場合がある。
【0006】
より最近では、慢性副鼻腔炎を緩和又は軽減する目的で、副鼻腔に通じる開口部を拡張するためのより侵襲性の手術を可能とする新たな装置、システム及び方法が開発されている。1つの例では、バルーン拡張カテーテルを副鼻腔自然口内に進めて膨らませることによって小口を拡張する。このようなBalloon Sinuplasty(商標)術を行うためのシステムが、カリフォルニア州メンロー所在のアクラレント社(Acclarent,Inc.)によって提供されている(www.acclarent.com)。この方法、装置及びシステム並びに他の方法、装置及びシステムの例は、例えば、発明の名称が「副鼻腔炎、並びに耳、鼻及び/又は咽喉の他の疾患を診断及び治療するための装置、システム、並びに方法(Devices,Systems and Methods for Diagnosing and Treating Sinusitis and Other Disorders of the Ears,Nose and/or Throat)」である、米国特許出願第10/829,917号、発明の名称が「副鼻腔の小口及び他の鼻腔内又は副鼻腔内構造を拡張及び改変するための装置並びに方法(Apparatus and Methods for Dilating and Modifying Ostia of Paranasal Sinuses and Other Intranasal or Paranasal Structures)」である米国特許出願第10/944,270号、発明の名称が「耳、鼻、咽喉、及び副鼻腔内で手術を行うための方法並びに装置(Methods and Devices for Performing Procedures Within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses)」である米国特許出願第11/116,118号、並びに発明の名称が「副鼻腔炎の治療に使用可能な装置、システム及び方法(Devices,Systems And Methods Useable For Treating Sinusitus)」である米国特許出願第11/150,847号に述べられており、これらをいずれもその全容において援用するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
場合により、耳鼻咽喉科医は、同じ患者において従来のFESS手術と同様に組織を除去する一方で、1又は2以上のバルーン拡張をも行う。このような組織除去/バルーン拡張複合手術は、除去される組織量が最小に抑えられる一方で、患者にとって望ましい結果を与えることから理想的である。また、こうした手術は、医師にとって比較的単純であることからも理想的である。これらの目的のうちの少なくとも一部のものは、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示では、副鼻腔を治療するための方法、装置及びシステムについて述べる。異なる実施形態において、治療される(1又は2以上の)副鼻腔には、上顎洞、前頭洞、篩骨洞及び/又は蝶形骨洞の1以上が含まれうる。やはり異なる実施形態において、本開示の方法、装置及びシステムでは、1又は2以上の副鼻腔及び/若しくは鼻腔からの組織及び/若しくは物質の除去、1又は2以上の副鼻腔に通じる1又は2以上の開口部の拡張、鼻腔内の他の領域/構造の拡張、又はこれらの手術の任意の適当な組み合わせを含みうる。副鼻腔に通じる開口部を拡張する実施形態では、この開口部は副鼻腔自然口又は人工的な開口部のいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、1つの副鼻腔の副鼻腔自然口及び別の副鼻腔の人工開口部を同じシステムを用いて拡張することができる。いくつかの実施形態では、これらに限定されるものではないが、前頭洞の流出路、中鼻道自然口ルート(osteomeatal complex)などの領域を拡張することができる。本明細書において述べられるこれら又は他の手術工程の任意の適当な組み合わせが考えられる。
【0009】
本発明の一態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、拡張装置をガイド装置に沿って患者の頭部内に進めることと、拡張装置を使用して、副鼻腔につながる開口部を拡張することと、ガイドを患者の頭部内に留置したまま、拡張装置を頭部から抜去することと、ガイドに沿って副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、組織除去装置を使用して、患者の副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含みうる。異なる実施形態において、ガイド装置は、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、又はガイドカテーテルとガイドワイアとの組み合わせであってよい。一実施形態では、拡張装置はバルーンカテーテルである。
【0010】
本方法の一実施形態では、組織を除去することは、組織除去装置内に組織を吸引することと、組織除去装置のカッターを使用して、吸引された組織を切断することと、を含む。異なる実施形態において、組織を除去することは、副鼻腔につながる開口部から組織を除去すること、副鼻腔の内部から組織を除去すること、又は両者の組み合わせを含む。
【0011】
一実施形態では、開口部を拡張することは、前頭洞の小口及び前頭洞の流出路の少なくとも一方を拡張することを含み、組織を除去することは、前頭洞の流出路から組織を除去することを含む。一実施形態では、開口部を拡張することは、副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、組織を除去することは、骨破片を除去することを含む。別の実施形態では、開口部を拡張することは、副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、組織を除去することは、篩骨洞の少なくとも一部を除去することを含む。これらに限定されるものではないが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び/又は粘液胞を含む任意の適当な種類の組織を、この方法を使用して除去することができる。同様に、組織を除去することでは、これらに限定されるものではないが、モルセレータ、スネア、複合スネア/カッター、フィルター、高周波切断及び/若しくは凝固装置、収縮可能なメッシュ装置、ブレードを備えたバルーン、骨カッターアセンブリ、カッターと組み合わされた開口部を有するチューブ、高圧スプレー装置、並びに/又はピンセット把持器アセンブリを含む任意の適当な装置を使用することができる。
【0012】
本発明の別の態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、患者の頭部内にガイドカテーテルを進めることと、ガイドカテーテルを通じ、副鼻腔につながる開口部を通じてガイドワイアを進めることと、ガイドワイア上でガイドを通じてバルーン拡張カテーテルを進めて、開口部内にカテーテルのバルーンを配置することと、バルーンを膨張させることによって開口部を拡張することと、バルーンを抜去して、少なくともガイドワイアを定位置に留置することと、組織除去装置をガイドワイア上で患者の頭部内に進めることと、組織除去装置によって、患者の副鼻腔、異なる副鼻腔、及び鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、組織除去装置及びガイドワイアを患者の頭部から抜去することと、を含みうる。
【0013】
別の態様では、患者の副鼻腔を治療するための方法は、患者の頭部内にガイド装置を進めることと、組織拡張及び除去装置をガイド装置に沿って進めて、装置の拡張要素を副鼻腔につながる開口部内に配置することと、拡張要素を膨張させることによって開口部を拡張することと、組織拡張及び除去装置を使用して、副鼻腔から組織を除去することと、組織拡張及び除去装置とガイド装置とを患者の頭部から抜去することと、を含みうる。
【0014】
更なる別の態様では、患者の副鼻腔を治療するためのシステムは、副鼻腔を治療するために、患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、副鼻腔につながる開口部を拡張するための、ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、副鼻腔の内部から組織を除去するための、ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含みうる。
【0015】
上記に述べたように、異なる実施形態において、ガイド装置は、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、又はこれらの両方を含みうる。一実施形態では、拡張装置はバルーンカテーテルであってよい。異なる実施形態において、組織除去装置は以下のもの、すなわち、吸引サブ構造、カッター、スネア、及び/又は無線周波エネルギー供給部材の1又は2以上を備えうる。やはり異なる実施形態において、組織除去装置は、これらに限定されるものではないが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び/又は粘液胞を含む組織を除去するように構成することができる。
【0016】
別の態様では、患者の副鼻腔を治療するためのシステムは、副鼻腔を治療するために、患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、ガイド装置に沿って通されるように構成されている組織拡張及び除去装置と、を含みうる。
【0017】
更なる態様、詳細、及び実施形態について、下記及び添付図面において述べるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ヒト患者に副鼻腔手術を行うために使用されている、カテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムの一例の一般的な動作環境の概略図。
【図1A】ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムを示した、図1の領域1Aの拡大図。
【図1B】ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用の治療トレイの斜視図。
【図2】塑性変形可能な(順応性)領域を含むガイドカテーテルの斜視図。
【図3】真っ直ぐなハイポチューブを備えるガイドカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図3A】平面3A−3Aで切った図7のガイドカテーテルの断面。
【図4A】図2Fのガイドカテーテルを使用して上顎洞の小口にアクセスする方法を示す、副鼻腔の解剖学的構造の冠状断面。
【図4B】図8Fのガイドカテーテルを使用して上顎洞の小口にアクセスするための図8Gの方法を示す副鼻腔の解剖学的構造の矢状断面。
【図5】小口若しくは他の開口部を拡張又は改変するための装置群の斜視図。
【図6】サイズ測定バルーン及び拡張バルーンを含むバルーンカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図6A】平面6A−6Aで切った図6の断面図。
【図6B】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図6C】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図6D】図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程。
【図7】切断顎部材を備える切断装置の斜視図。
【図7A】切断装置の遠位端から見た場合に切断顎部材が閉じている、図7の切断装置の遠位側領域の斜視図。
【図7B】図7の切断装置の切断顎部材の一実施形態の斜視図。
【図7C】切断平面7C−7Cで切った図7の切断装置の断面図。
【図8A】切断又は把持顎部材を備える装置の代替的な実施形態の斜視図。
【図8B】切断装置の切断又は把持顎部材同士が閉じた配置にある、図8Aの装置の斜視図。
【図9A】小口拡張装置及び/又はマイクロシェーバーの一実施形態の斜視図。
【図9B】組織又は物質の除去に使用されている図9Aの装置の一実施形態。
【図9C】組織又は物質を削ぎ取るために使用されている図9Aの装置の別の実施形態。
【図9D】図9Cの装置の分解図。
【図10A】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図10B】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図10C】吸引及びスネア装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11A】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11B】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図11C】吸引及びモルセレータ装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12A】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12B】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図12C】吸引把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13A】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13B】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図13C】組織捕捉吸引装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14A】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14B】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図14C】捕捉容器を備える組織捕捉装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15A】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15B】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図15C】捕捉スクリーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16A】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16B】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16C】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16D】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図16E】捕捉及び切断バルーン装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17A】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17B】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17C】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図17D】は、スピンカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18A】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18B】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図18C】バックカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19A】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19B】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図19C】バルーン及びカッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20A】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20B】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図20C】回転成形カッター装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21A】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21B】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図21C】高圧洗浄装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22A】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22B】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図22C】超音波攪拌装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23A】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23B】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23C】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図23D】ピンセット把持装置、並びにその装置を使用して生物学的物質を捕捉及び除去する異なる工程。
【図24A】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24B】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24C】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24D】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図24E】スクラブ及びスワブ装置の異なる装置。
【図25A】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25B】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25C】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25D】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【図25E】副鼻腔を治療するためのアプローチの1つ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明、添付図面、及び上記に記載した図面の簡単な説明は、必ずしもすべてではないが、本発明の例又は実施形態の一部を説明することを目的とするものである。この詳細な説明、添付図面、及び図面の簡単な説明の内容は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
本願の多くの図面は、耳、鼻及び咽頭の解剖学的構造を示している。一般的にこれらの解剖学的構造は、以下の参照文字によって示される。
【表1】
【0021】
図1は、ヒト患者に副鼻腔手術を行うために使用されている、カテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムの一例の一般的な動作環境の概略図を示したものである。ヒト患者は作動装置10によって治療されている。作動装置10は、治療トレイ12上に置かれた1又は2以上の補助的装置と接続することができる。Cアーム型X線透視装置14が、手術中の解剖領域のX線像を与える。1又は2以上の機能モジュール18からなる器具コンソール16が用いられる場合もある。本発明と使用することが可能な機能モジュールの例としては以下のものがある。
1.制御された量の陰圧又は真空を吸引装置に供給するための吸引ポンプ。
2.生理食塩水、抗生物質溶液、又は他の適当な灌流媒質を供給する灌流ポンプ。
3.電力をドリル又は他の電気的装置に供給する電力モジュール。
4.器具、薬剤などを保管する保管モジュール。
5.高周波、レーザ、超音波又は他の治療用エネルギーを外科装置に供給するエネルギー供給モジュール。
6.各種の診断又は治療処置中に用いられる装置に接続されるか、又はこれらと相互作用するX線透視装置、MRI、CT、ビデオ、内視鏡若しくはカメラ、又は他のイメージングモジュール。
7.例えば内視鏡、X線透視装置、又は他のデータ若しくはイメージングモジュールなどの各種モジュールからのデータを表示するための、例えばLCD、CRT又はホログラフィックスクリーンなどのディスプレイモジュール。
8.操作者による1又は2以上の機能モジュール18の1又は2以上のパラメータの制御を可能とする遠隔制御モジュール。
9.1又は2以上の機能モジュール18などの1又は2以上の動作設定値を記憶することが可能なプログラム可能なマイクロプロセッサ。
10.安定化アーム、テーブル、クリップ、鼻腔内若しくは鼻腔外膨張式支持体、又はロボット制御可能な装置を含みうる、手術中に各種装置を保持するための安定化装置。
11.ドリル又は錐のような回転式装置を回転させるための回転駆動モジュール(例えば、回転駆動軸又は回転駆動ケーブルが取り付けられたモーターなど)。
【0022】
1又は2以上の機能モジュール18を、作動装置10に接続することができる。器具コンソールモジュール16は、例えば、フットペダルコントローラ、リモートコントローラなどのコンソール制御手段20によって制御することが可能である。器具コンソール16には、操作者が手術場において器具コンソール16の位置を変えられるように車輪が装着されていてもよい。一実施形態では、器具コンソールモジュール16及びCアーム型X線透視装置14は単一のユニットに一体化される。
【0023】
図1Aは、ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用のシステムを示した、図1の領域1Aの拡大図を示したものである。図1Aでは、作動装置10の例としてバルーンカテーテルが用いられている。作動装置10は、バルーン膨張シリンジ22、ガイドワイア24及び吸引又は灌流チューブ26などの各種の補助的装置用のアタッチメントを有している。作動装置10及び補助的装置は、治療トレイ12に着脱可能に取り付けることができる。治療トレイ12は、1又は2以上の治療パラメータを制御するための1又は2以上の治療トレイコントローラ28を備えてよい。治療トレイ12は、例えば灌流ボトル、綿棒などの手術中に使用される装置を保管するための1又は2以上の保管モジュールを備えてもよい。
【0024】
図1Bは、ヒト患者のカテーテルによる低侵襲性副鼻腔手術用の治療トレイの斜視図を示したものである。治療トレイ12は、手術中に装置を着脱可能に保持するための1又は2以上の装置ホルダー30を備えている。一実施形態では、装置ホルダー30は、治療トレイ12上の装置ホルダースロット32に着脱可能に取り付けられる。これにより、治療トレイ12上の装置ホルダー30の位置を、装置ホルダースロット32から装置ホルダー30を取り外し、新たな装置ホルダースロット32に移すことによって変えることができる。
【0025】
本明細書において開示されるいずれの診断又は治療装置も、1又は2以上の順応性領域を含みうる。例えば、図2は、塑性変形可能な(順応性)領域を含むガイドカテーテルの斜視図を示したものである。このようなガイドカテーテル100は、副鼻腔内の標的部位に組織又は生物学的物質除去装置を配置する目的で使用することができる。ガイドカテーテル100は、シャフト102の遠位側領域に順応性領域104が配置されたシャフト102を備えている。シャフト102は、例えば編組構造、ハイポチューブのような剛性付与要素を有しうる。順応性領域104は、順応性の金属チューブ、ロッド(例えば、シャフト102内に埋め込まれたロッドなど)、ワイアなどを含みうる。順応性領域104を形成するために使用可能な金属の例としては、順応性ステンレス鋼、完全に焼き鈍しされたステンレス鋼、銅、アルミニウムなどである。ガイドカテーテル100は、シャフト102の近位端に配置されたねじ付きルアー106を更に備える。この例では、順応性領域104は、ガイドカテーテル100の遠位端に配置されている。順応性領域104は、シャフト102の近位側領域又は他の任意の中間領域に配置することもできる。シャフト102は複数の順応性領域を含んでもよい。1又は2以上の順応性領域を含むこのような構成は、作動要素を備えたカテーテル、ガイドカテーテル、予め設定された形状を有するガイドカテーテル、方向操作可能なガイドカテーテル、方向操作可能なカテーテル、ガイドワイア、予め設定された形状を有するガイドワイア、方向操作可能なガイドワイア、ポート、導入子、シース、又は他の診断若しくは治療装置などの、本明細書において述べられる装置のいずれにおいても使用することができる。
【0026】
図3は、真っ直ぐなハイポチューブを備えるガイドカテーテルの一実施形態の斜視図を示したものである。この構造もまた、所望の治療を達成するために、副鼻腔内に組織又は物質除去装置を配置するために使用することができる。ガイドカテーテル110は、管状要素112、及び管状要素112の外表面に取り付けられたハイポチューブ114を備えている。ハイポチューブ114を形成するのに適した材料は、ステンレス鋼304、ニチノールなどである。一実施形態では、ハイポチューブ114は、管状要素112の外表面に焼き付けられる。管状要素112は、Pebax、HDPEなどの様々な材料で形成することができる。管状要素112は、編組構造又はジャケットを有してもよい。一実施形態では、管状要素112は、その内表面上に潤滑性コーティング115を有する。潤滑性コーティング115は、テフロンなどの適当な潤滑性材料で形成することができる。一実施形態では、管状要素112は、管状要素112の遠位端付近に屈曲又は折曲領域を含む。屈曲又は折曲領域は、0°〜180°の角度を有しうる。更にこの屈曲又は折曲領域は、平面の外側に折れ曲がることによって複合3次元末端形状を与えてもよい。ハイポチューブ114は、順応性のものであっても又はほぼ剛性のものであってもい。順応性ハイポチューブは、患者の解剖学的構造に一致するように形状を最適化するために、ガイドカテーテル110を曲げるか又は捻る必要があるような状況において使用することができる。順応性ハイポチューブを形成するために使用することが可能な材料の例としては、順応性ステンレス鋼、完全に焼き鈍しされたステンレス鋼、銅、アルミニウムなどである。ほぼ剛性のハイポチューブは、ガイドカテーテル110を通じて装置を導入又は抜去するために更なる支持が必要とされるような状況において使用することができる。ほぼ剛性のハイポチューブを形成するために使用することが可能な材料としては、ステンレス鋼304、ニチノールなどである。ハイポチューブ114は、2次元又は3次元形状に折り曲げることができる。管状要素112の遠位端部は、例えば標準的なX線不透過性のマーカーバンドのようなX線不透過性マーカー111を有してよい。管状要素112の近位側領域は、ねじ付きルアーを備えている。
【0027】
図3Aは、平面3A−3Aで切った図7のガイドカテーテル110の断面図を示したものである。ガイドカテーテル110の断面には、管状部材112を包囲した外側ハイポチューブ114が示されており、更に管状部材112は管状部材112の内表面上に配置された潤滑性コーティング115を有している。
【0028】
図4Aは、図2のガイドカテーテル100を使用して上顎洞の小口にアクセスする方法を示す、副鼻腔の解剖学的構造の冠状断面を示したものである。ガイドカテーテル100は鼻孔から導入され、非侵襲性先端部104が上顎洞の小口MSOの内部又はその近傍に位置するように副鼻腔の解剖学的構造内に進められる。近位側の屈曲、湾曲、又は折曲領域102により、ガイドカテーテル100を下鼻甲介ITを回り込んで配置することが可能である。同様に、遠位側の屈曲、湾曲又は折曲領域104により、ガイドカテーテル100を中鼻甲介MTを回り込んで配置することが可能である。これにより、ガイドワイア又は適当な診断若しくは治療装置を、ガイドカテーテル100の管腔を通じて上顎洞MS内に導入することができる。図8Bは、図2のガイドカテーテル100を使用して上顎洞の小口にアクセスするための図8Gの方法を示す副鼻腔の解剖学的構造の矢状断面を示したものである。
【0029】
図5は、副鼻腔又は他の身体の空洞の小口又は他の開口部を拡張又は改変するための装置群の斜視図を示したものである。ガイドカテーテル200は、シャフト202の近位端にねじ付きルアー204を有するシャフト202を備えている。シャフト202の遠位端は、X線像において医師がシャフト202の先端部を特定することを可能とするX線不透過性マーカーバンドMBを有している。シャフト202の遠位端はほぼ真っ直ぐでもよく、あるいは1又は2以上の屈曲又は折曲領域を含んでもよい。1又は2以上の距離マーキングDMがシャフト202上に更に配置されてもよい。場合により用いられる副次選択的カテーテル806が、装置群に更に含まれていてもよい。副次選択的カテーテル206は、シャフト208の近位端にねじ付きルアー210を有するシャフト208を備えている。シャフト208の内径は、シャフト202の内径よりも小さい。シャフト208の遠位端は、X線像において医師がシャフト208の先端部を特定することを可能とするX線不透過性マーカーバンドMBを有している。シャフト208の遠位端はほぼ真っ直ぐでもよく、あるいは1又は2以上の屈曲又は折曲領域を含んでもよい。1又は2以上の距離マーキングDMがシャフト208上に更に配置されてもよい。作動装置212は、シャフト214の遠位側領域に作動要素216が配置されたシャフト214、及びシャフト214の近位端に配置されたねじ付きルアー218を備えている。作動要素216は拡張バルーンであってもよく、あるいは、吸引若しくは灌流装置、ニードル、ポリープ切除術用器具、ブラシ、ブラシ、アブレーション装置などのエネルギー放射装置、レーザー装置、センサー若しくは送信器を有するイメージガイド装置、内視鏡、カッターなどの組織改変装置、生検装置、診断薬若しくは治療薬を注入するための装置、物質溶出装置などの薬物送達装置、物質送達インプラントなどの1又は2以上の組み合わせであってもよい。
【0030】
1つの方法の一実施形態では、ガイドカテーテル200を、ガイドカテーテル200の遠位端が解剖学的領域(例えば、副鼻腔)の解剖学的開口部(例えば、小口)の付近に位置するように患者の体内に導入する。この後、ガイドワイア220をガイドカテーテル200を通じて、例えば副鼻腔のような解剖学的領域内に導入する。必要な場合、ガイドカテーテル200を抜去し、より小径の副次選択的カテーテル206をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入することができる。この後、作動装置212をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入し、作動装置212によって診断又は治療処置を行う。上記の装置群を使用する方法の別の実施形態では、副次選択的カテーテル206を手術から省略する。これに加えて、更なる別の手法では、より大径のガイドカテーテル200をガイドワイア220上で導入することができる。次いで、作動装置212をガイドワイア220上で副鼻腔内に導入し、作動装置212によって診断又は治療処置を行う。この方法の実施形態により、使用者が、より大径の作動装置212を解剖学的領域に導入することが可能となる。
【0031】
図6は、サイズ測定バルーン及び拡張バルーンを含むバルーンカテーテルの一実施形態の斜視図を示したものである。バルーンカテーテルは、組織又は生物学的物質の除去と組み合わせて1つの治療法として使用することができる。サイズ測定バルーンの下側の拡張バルーンを示すために、サイズ測定バルーンの一部を取り除いてある。バルーンカテーテル250は、シャフト252及びシャフト252の遠位側領域に配置された拡張バルーン254を備えている。拡張バルーン254は、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの適当な非柔軟性材料で形成することができる。拡張バルーン254は、第1のバルーン膨張開口部255を通じて膨らまされる。バルーンカテーテル250は、拡張バルーン254の周囲に配置されたサイズ測定バルーン256を更に含む。サイズ測定バルーン256は、架橋ポリエチレン又は他のポリオレフィン類、ポリウレタン、可撓性ポリ塩化ビニル、ナイロンなどの柔軟性又は半柔軟性材料で形成することができる。サイズ測定バルーン256は、第2のバルーン膨張開口部257を通じて膨らまされる。拡張バルーン254及びサイズ測定バルーン256は、バルーン間容積258を包囲している。図6Aは、平面6A−6Aで切った図6のバルーンカテーテルの断面を示す。シャフト252は、ガイドワイア管腔260、図14の第1のバルーン膨張開口部255において遠位側が終端する第1の膨張管腔262、及び、図6の第2のバルーン膨張開口部257において遠位側が終端する第2の膨張管腔264を有している。
【0032】
図6B〜6Dは、図6のバルーンカテーテルを使用して解剖学的開口部を拡張する異なる工程を示したものである。図6Bでは、バルーンカテーテル250は、拡張しようとする解剖学的開口部266内にガイドワイアGW上を導入されている。本発明により拡張することが可能な解剖学的開口部266の種類の例としては、副鼻腔の小口、エウスタキオ管、涙管の小口などが挙げられる。この後、図6Cにおいて、サイズ測定バルーン256を像視可能な膨張媒質を用いて膨らませる。適当な像視可能な膨張媒質の例としては、X線不透過性の造影剤を含んだ生理食塩水、二酸化炭素ガスなどがある。次いでバルーンカテーテル250の遠位側領域が、X線透視装置又はX線撮影装置などの適当なイメージング法を使用して画像化される。これにより、操作者が解剖学的開口部266のサイズを推定することが可能である。このようなバルーンカテーテルは、バルーン拡張のような診断又は治療処置を行うのに先立って、例えばエウスタキオ管のような管状の解剖学的領域内の最も狭い領域の直径を推定するうえでも適している。工程6C中に得られる情報に基づいて、バルーンカテーテル250の位置を修正し、必要であれば工程6Cを繰り返すことができる。この後、工程6Dにおいて、サイズ測定バルーン256を萎ませる。工程6Dではまた、拡張バルーン254を膨らませて解剖学的開口部266内の標的領域を拡張する。この後、拡張バルーン254を萎ませ、バルーンカテーテル250を解剖学的開口部266から引き抜く。一実施形態では、サイズ測定バルーン256をバルーン拡張処置の後で再び膨らませることによって、バルーン拡張処置の効果についてのフィードバックを得ることができる。
【0033】
バルーンカテーテルの移植の前、後、又は同時に、組織及び/又は生物学的物質を治療部位から捕捉又は除去することができる。このような捕捉及び除去装置は、ガイドワイア上で展開させるか、又は介入部位に直接配置することが可能な構造として実現することができる。図21は、切断顎部材を備える切断装置のアプローチの1つを示したものである。切断装置300は、シャフト302の遠位端に上側顎部材304及び下側顎部材306が配置されたシャフト302を備える。シャフト302の近位側領域は、ハンドルを備えたハサミ状の装置、又は上側顎部材304及び/又は下側顎部材306の運動を制御するために使用可能な他の適当な制御装置308を有している。上側顎部材304と下側顎部材306とは互いにヒンジ連結されているため、組織を挟む、掴む、又は切断するためにハサミ型ハンドル308によってこれらを開閉することができる。一実施形態では、上側顎部材304及び下側顎部材306の刃先には切断歯列が設けられる。また、上側顎部材304及び下側顎部材306の刃先には、鋭利な刃先、鈍磨な把持歯列などを設けてもよい。シャフト302は管腔310を有する。これにより、切断装置300をガイドワイアのようなアクセス装置上に進めて、標的とする解剖学的領域にアクセスすることが可能である。切断装置300を形成するために使用可能な材料の例としては、ステンレス鋼304、ステンレス鋼316、チタン、チタン合金などがある。
【0034】
図7Aは、切断顎部材が閉じた状態の図7の切断装置の遠位側領域の斜視図を示したものである。
【0035】
図7Bは、図7の切断装置の顎部材の一実施形態の斜視図を示したものである。上側顎部材304は、上側顎部材切欠き部312を有している。一実施形態では、上側顎部材切欠き部312の形状は半円形である。同様に、下側顎部材306は、下側顎部材切欠き部314を有している。一実施形態では、下側顎部材切欠き部314の形状は半円形である。この設計により、上側顎部材304と下側顎部材306とが閉じられている場合であっても、ガイドワイアは切断装置300の遠位端の隙間を通過することが可能である。別の実施形態では、ガイドワイアは、上側顎部材304又は下側顎部材306のいずれかに配置された開口部を通過する。上側顎部材304及び下側顎部材306の形状は、正方形、卵形、台形又は円形であってもよい。
【0036】
図7Cは、平面7C−7Cで切った図7の切断装置の断面図を示したものである。切断装置300のシャフト302は、ガイドワイアのようなアクセス装置用の管腔310を有している。シャフト302は、上側顎部材304及び下側顎部材306を制御装置308に連結する1又は2以上の引張りワイア316を更に有する。制御装置308が動かされると、引張りワイア316がこの運動を上側顎部材304及び下側顎部材306に伝達し、上側顎部材304及び下側顎部材306を開閉させる。
【0037】
図8Aは、切断又は把持顎部材を備えた装置の代替的な実施形態の斜視図を示したものである。切断装置320は、シャフト322を備えている。切断装置320の遠位端は、第1のヒンジ328において互いにヒンジ連結されている上側顎部材324と下側顎部材326とを備えている。上側顎部材324の近位端は第1の細長い部材330を備え、第2の顎状部材326の近位端は第2の細長い部材332を備えている。第1の細長い部材330の近位端は第2のヒンジ334に連結され、第2のヒンジ334は更に第3の細長い部材336に連結されている。第2の細長い部材332の近位端は第3のヒンジ338に連結され、第3のヒンジ338は更に第4の細長い部材340に連結されている。第3の細長い部材336及び第4の細長い部材340の近位端は、第4のヒンジ332によって、シャフト322に通された引張りワイア344に連結されている。図8Aは、上側顎部材334と下側顎部材326とが開いた配置にある切断装置330を示している。引張りワイア344が近位端方向に引っ張られると、第4のヒンジ342がシャフト322内部に引っ張られる。これにより、第3の細長い部材336及び第4の細長い部材340の遠位端同士が互いに接近する。これにより更に、第1の細長い部材330及び第2の細長い部材332の近位端同士が互いに接近する。これにより更に、上側顎部材324と下側顎部材326とが閉じる。同様に、引張りワイア344を遠位方向に押すと、上側顎部材324と下側顎部材326とが開く。一実施形態では、切断装置320は、上側顎部材324と下側顎部材326とを開いた配置、又は閉じた配置に付勢する、引張りワイア344とシャフト322との間に配置されたバネ機構を備える。
【0038】
図8Bは、切断装置の顎部材同士が閉じた配置にある、図9Aの装置の斜視図を示す。
【0039】
図9Aは、マイクロシェーバー又は小口拡張装置350の一実施形態の斜視図を示したものである。装置350は、近位側部分352と遠位側部分353とを備えている。近位側部分352は中空であり、近位側部分352の遠位端には、例えば鋭利な切断歯などの近位側切断表面354が配置されている。遠位側部分353の近位端には、例えば鋭利な切断歯などの遠位側切断表面356が配置されている。遠位側部分353は、ガイドワイア管腔360を含む引張りシャフト358に更に連結されている。ガイドワイア管腔360により、マイクロシェーバー350をガイドワイアGW上で標的とする解剖学的構造内に導入することができる。引張りシャフト358と近位側部分352との間の領域には吸引管腔362が含まれる。吸引管腔362を利用して、標的とする解剖学的構造から吸引によって固体の破片又は液体を除去することができる。近位側部分352、遠位側部分353、及び引張りシャフト358は、ステンレス鋼などの適当な生体適合性材料で形成することができる。
【0040】
図9Bは、組織又は物質を除去するために図9Aの装置350を使用することが可能な1つの方法を示す、副鼻腔の断面図を示したものである。装置350が、ガイドワイアGW上を副鼻腔364内に導入される。次いで装置350は、組織又は物質が近位側切断表面354と遠位側切断表面356との間に位置するように配置される。この後、この実施形態では、引張りシャフト358が近位方向に引っ張られる。これにより、遠位側領域353が、近位側部分352に対して近位方向に動く。これにより更に、円筒状の遠位側カッター356が円筒状の近位側カッター354の内部に強制的に引き込まれることによって、これらの間に捕捉された組織又は物質が切断又は破断される。場合により、この実施形態では、円筒状の遠位側カッター356及び円筒状の近位側カッター354を他方に対して回転させることにより、組織を更に切断又は削ぎ取ることができる。更に、場合によりこの実施形態では、吸引管腔352を利用して、手術中に発生するあらゆる固体破片又は液体を除去することができる。
【0041】
図9C及び9Dは、(組織又は物質を削ぎ取るために)装置350を使用することが可能な別の方法の一例を示す。この装置350によって削ぎ取ることが可能な解剖学的構造の例としては、骨、エウスタキオ管の軟骨及び軟組織、鼻甲介、涙管、副鼻腔の小口、涙管の小口のような解剖学的開口部、並びに耳、鼻、咽喉、又は口腔の他の領域が挙げられる。図9Cに示されるように、この実施形態では、近位方向に動かすことが可能な引張りシャフト358は必要ではなく、その代わりに、遠位側切断表面356が円筒状の近位側切断表面354内に配置された状態に維持されるようにしてもよい。各切断表面を、削ぎ取ろうとする組織又は物質に接して配置し、円筒状の遠位側カッター356及び/又は円筒状の近位側カッター354を回転させて組織又は物質を削ぎ取る。管腔362を通じて吸引を行って組織又は物質をスロット359内に引き込むことにより、回転する近位側カッター354によって組織又は物質が削ぎ取られるようにしてもよい。
【0042】
次に図10A〜Cを参照すると、一実施形態では、組織除去装置380は細長い管状部材382及びスネア384を備えうる。組織除去装置380は、図6に示されるもののような拡張カテーテルの使用の前、後、又は同時に、鼻腔から、及び/又は副鼻腔の内部から組織を除去するために使用することができる。異なる実施形態において、組織除去装置380を使用して1又は2以上の副鼻腔内、鼻腔内、又はその両方において組織を除去することができる。細長い管状部材382は、管状部材382の内部に負の圧力勾配を形成する装置に取り付けられるように構成された近位端を有してもよい。一実施形態では、細長い管状部材382は、装置380によって鼻腔又は副鼻腔内の組織を除去し、鼻腔又は副鼻腔内の開口部又は他の空間を拡張することの両方を可能とするバルーン又は他の膨張可能な部材を更に含んでもよい。一実施形態では、組織除去装置380は、ガイドワイア上で、かつ/又は、既に示した図2及び3を参照して上記に述べたもののような導入子若しくはガイドカテーテルを通じて進めることができる。代替的な実施形態では、組織除去装置382をガイド装置を使用せずに進めることができる。
【0043】
細長い管状部材382は、スネア384を受容するようなサイズ及び形状の内部管腔を有してもよい。スネア384は、細長い管状部材380に対して長手方向に動かすことができるため、スネア384を細長い管状部材380の遠位端を超えて進め、かつ管状部材380の内部管腔内に完全に引き込むことができる。異なる実施形態において、スネア384を、ワイアのような材料の単純な機械的ループとするか、又は無線周波エネルギーを発信するようなものとすることができる。後者の実施形態では、スネア384の近位端を無線周波エネルギー発信装置に接続することができる。
【0044】
図10B及び10Cに示されるように、組織除去装置380を患者の鼻腔364(及び/又は1又は2以上の副鼻腔)内に進めて、組織又は他の生物学的物質に引っ掛けることができる。これらの及び続く図面群では、説明を容易とするために、各装置は鼻腔から組織を除去している状態を示している。しかしながら、すべてではないにしても多くの実施形態において、これらの図面に使用状態が示されている各装置及び方法は、1又は2以上の副鼻腔から組織を除去するためにも使用することができる。装置380を進める際、又はその後のある時点において、スネア384を細長い管状部材382から外に進め、標的組織又は物質にスネアを引っ掛けて切断するように操作することができる。純粋に機械的なアプローチでは、スネア384を標的組織の周囲に掛けて引き抜くことで副鼻腔から組織を切除することができる。あるいは、無線周波エネルギーを伝送して組織の切断を行うこともできる。この切断動作と同時に、又はその後で、細長い管状部材382から吸引力を作用させる。スネア384を吸引及び引き抜くことで、標的組織の捕捉を行う。次いで装置380及び切断された組織/物質を介入部位から除去するか、あるいは部位が望ましいきれいな状態となるまで物質の更なる切断及び回収を行うことができる。
【0045】
次に図11A〜11Cを参照すると、関連するアプローチにおいて、副鼻腔から生物学的物質を除去するための治療システム400は、遠位端部にモルセレータ404が設けられた細長い管状吸引部材402を備えうる。この場合もやはり、副鼻腔のバルーン拡張又は他の手段による拡張を、標的組織の除去と並行して行うことができる。更に、細長い管状部材402は、細長い管状部材402の全長にわたって延びる管腔内に吸引力を発生する装置に接続されることを想定したものである。モルセレータ404は、患者の副鼻腔内に見られる生物学的物質を破砕、切断、又は切開するように設計された各種のサブアセンブリを画定しうる。図面に示されるアプローチにおいては、モルセレータ404は、中心ハブを中心として回転する複数のブレードを有しうる。モルセレータ404には制御装置を取り付け、モルセレータ404の回転動作を行うことができるように操作者にまで近位方向に延びるようにしてもよい。
【0046】
使用時には、副鼻腔のバルーン拡張と組み合わせるか、又はこれとは別に、吸引及びモルセレータアセンブリ400の遠位端を、上記に述べたように除去の標的となる物質に接して副鼻腔内に配置することができる。次いで細長い管状部材402内に吸引圧力を発生させて、物質回収プロセスを開始することができる。次いで、モルセレータ404を作動させて標的物質を切断、切開、又は切り刻む。次いで標的となる生物学的物質を細長い管状部材402内に吸い込み、患者の副鼻腔から除去することができる。この手順を必要なだけ繰り返すことによって、副鼻腔を所望の程度にまできれいにする。副鼻腔を完全に治療するために更なるバルーン拡張を行うこともできる。
【0047】
次に図12A〜12Cを参照すると、吸引管状部材420の別の実施形態が開示されている。副鼻腔の開口部又は他の鼻腔/副鼻腔領域のバルーン拡張とは独立して、又はこれと並行して、吸引管状部材を、副鼻腔を治療するための治療処置に使用することができる。上記に述べたように、吸引管状部材420は、副鼻腔の解剖学的構造を拡張するためのバルーン又は他の膨張可能な部材を更に有してもよく、あるいは別のカテーテルをこの目的で使用することもできる。この場合もやはり、装置420の近位端を吸引力を発生するアセンブリに取り付ける。本発明のアプローチでは、吸引管状部材420の遠位端には、吸引力を利用して組織を可逆的に吸着するための複数の穴422が形成された単一の先端部が設けられる。図に示されるように、組織の操作に対するこのような比較的低侵襲性のアプローチを用いて、副鼻腔及び/又は鼻腔の解剖学的構造から組織365又は他の物質を捕捉かつ除去することができる。
【0048】
更なる別の関連するアプローチ(図13A〜13C)では、副鼻腔の解剖学的構造から組織を切断、捕捉、又は除去するための、概ね細長い管状体構造及び刃先432を備えた遠位端を有する組織捕捉吸引装置430が考えられる。このアセンブリもまた、ガイドワイア上及び/又はガイドカテーテル内に進めることが可能であり、あるいはそれ自体がガイドカテーテルを画定しうるものである。更に、この装置を、副鼻腔及び/又は鼻腔の解剖学的構造を拡張するためのバルーンカテーテル又は他の構造とともに、又はこれらと独立して使用するか、あるいは膨張可能な構造を管状体に直接組み込むことができる。
【0049】
図に示されるように、管状体の全周にわたって延びる刃先432は、管状捕捉吸引装置430の内部管腔壁と、その外表面との間の鋭い角度によって画定される。遠位側の管状部分の全周にわたっては延びない鋭利な刃先など、切断表面の様々な他のアプローチも考えられる。組織捕捉吸引装置430は、捕捉された物質を装置内に留めるためのフィルター434を更に備える。
【0050】
使用時には、バルーン又は他の副鼻腔拡張手段とは別に、又はこれらと同時に、組織捕捉吸引装置430を、回収しようとする物質と接して介入部位に配置する。吸引サブアセンブリへの接続を介して、除去の標的となる物質と接触し、これを切断するように刃先432を操作しながら吸引力を作用させる。除去の標的となる物質を装置が除去すると、物質は吸引力によって細長い管状部材内に引き込まれ、フィルター434が物質を定位置に保持するように機能する。
【0051】
また、図14A〜14Cに示されるように、組織捕捉装置450は、切断表面454で終端する細長い管状部材452、及び、管状部材452の近位端に取り付けられた容器458を含む捕捉サブアセンブリ456を備えてもよい。操作を容易にするため、細長い管状部材452は、捕捉サブアセンブリ456に対して回転可能であることによって、標的となる生物学的物質と接触してこれを切断することができる。この実施形態は、直前に述べた実施形態とその構造及び使用の両面において特徴を共有するものであるが、ここでは、捕捉された物質を保持するために捕捉サブアセンブリ456の内部にフィルターが設けられている。これにより、捕捉された物質を介入部位から移動させ、より大量の物質を回収することが可能である。
【0052】
図15A〜15Cに示されるもののような捕捉スクリーン装置470を使用して、副鼻腔からの除去の標的となる生物学的物質を切断及び回収することもできる。上記に述べた実施形態と同様、捕捉スクリーン装置470は吸引力の使用とは独立して標的組織を回収するために使用されるため、この装置は、吸引力を作用させながら使用することができる。更に、上記に述べたのと同様、この装置に、バルーン又は副鼻腔の解剖学的構造の他の拡張手段を組み込むことが可能であり、更にこの装置がガイドカテーテルの一部を構成してもよく、かつ/又はガイドカテーテル内、又はガイドワイア上で展開することが可能である。本発明において想到される捕捉スクリーン装置470は、ほぼ管状のチューブ474の内部で長手方向に運動可能な、展開及び折り畳み可能なスクリーン472を備える。この場合もやはり、チューブ474を、必要に応じて吸引サブアセンブリに取り付けることができる。更に、スクリーンの展開を助け、又は副鼻腔の解剖学的構造の拡張に寄与するように、スクリーン472の内部にバルーン(図に示されていない)を配置してもよい。
【0053】
使用時には、捕捉スクリーン装置470を鼻腔又は副鼻腔内部の介入部位に配置する。所望の通りに配置されたなら、スクリーン装置472を管状部材474の遠位端を超えて進め、自己展開させるか、あるいはスクリーン472を画定する部材(スクリーンの遠位端に取り付けられた引張りワイアなど、図に示されていない)の互いに逆向きの運動によって展開する。切断しようとする物質は、スクリーン472が展開されると、スクリーン構造472の交差するストラット476間に捕捉される。スクリーン472の操作及び/又はこれに続く管状部材474内へのスクリーンの引き込み及び折り畳みの両方により、副鼻腔内部からの標的となる生物学的物質の切断及びスクリーンの内部での物質の回収が実現される。治療は、介入部位から回収された物質が入ったスクリーンを抜去することで完了する。回収工程を必要なだけ何回も繰り返して、所望の治療を完了することができる。
【0054】
次に図16A〜16Eを参照すると、生物学的組織又は物質の捕捉及び除去を行う治療法に対する別のアプローチが示されている。切断要素を備えた外側表面を有するバルーン491を含むバルーンカテーテル490が、この目的では考えられる。このような装置は、上記に開示したようにガイドワイア上及びガイドカテーテル内で進めることが可能であり、更に、吸引又は切断された組織を除去するための他の捕捉手段とともに、副鼻腔の解剖学的構造の独立した拡張とともに、又はこれとは独立して使用することが可能である。1つのアプローチでは、切断バルーン490は、バルーン本体491に沿って長手方向に延びる1又は2以上のブレード492を有しうる(図16A)。ブレードは、図16B及び16Cに示されるようなスクーパー状の構成494又は螺旋パターン496をなしてもよい。介入部位において治療を行うためには、バルーンカテーテル470を膨張させてブレード492、494、496を完全に露出させる。ブレード492、494、496が標的組織365と接触してこれを切断するようにバルーン490を操作することにより、副鼻腔を画定する壁から組織が剥離する。次いで切断された組織365を、洗浄により、あるいは吸引部材(図に示されていない)を使用することによって除去することができる。
【0055】
代替的なアプローチの1つでは、標的組織の切断は、スピンカッター装置500を使用して実現することができる(図17A〜17Dを参照)。この場合もやはり、スピンカッター装置500は、副鼻腔を拡張するための拡張カテーテルとともに使用することが可能であり、装置はガイドカテーテル内及び/又はガイドワイア上に進めることができる。図に示されるように、スピンカッター装置500は、組織保持部を画定する湾曲かつ丸まった断面形状を有する切断ブレード504が設けられた外表面を有する細長いほぼ円筒状の部材502を備えている。スピンカッター装置500が副鼻腔の解剖学的構造内に所望の通りに配置された時点でスピンカッター装置500を回転させると、切断ブレード504がその丸められた構造内において組織を切断して捕捉する。この装置は必要なだけ再使用してから、シースを使用して部位から引き抜くことによってその領域の組織への外傷を避けることができる。
【0056】
組織の回収及び除去に対する一層更なるアプローチが、図18A〜18C及び19A〜19Cに示されている。このような更なるアプローチは、副鼻腔又は鼻腔の解剖学的構造のバルーンによる拡張、吸引圧力、ガイドワイア上での前進、及びガイドカテーテルによる導入とは独立して、又はこれらの1又は2以上のものと組み合わせて行うことが可能である。図18A〜18Cに示されるように、バックカッター装置520を使用して、副鼻腔からの除去の標的となる生物学的物質365を捕捉することができる。バックカッター装置520は、長手方向部材524上に支持された円錐部材522を備えてよく、これらはいずれもほぼ管状の回収スリーブ526に対して動くことができる。一実施形態では、長手方向部材524がスリーブ526の内部で摺動し、円錐部材522はスリーブ526の遠位端内部に受容されるようなサイズとなっている。円錐部材522の近位端及びスリーブ526の遠位端の一方又は両方が、副鼻腔の内部において一般的に見られる生物学的物質を切断するための構造を有しうる点は想到される。この点に関し、上記に述べたように、円錐部材522及びスリーブ526の両方を画定する構造は、円錐部材522及びスリーブ526の中心の周囲、又はこれらの外周の一部に鋭い角度を有しうる。切断を行うには、標的物質365を円錐部材522とスリーブ526との間に配置し、長手方向部材524を回転させることによって円錐部材522の切断表面が標的物質365を切断する。更に、標的物質365を切断するためにスリーブ526を回転させてもよい。充分な切断が行われたものと判断された時点で、長手方向部材524を近位方向に引くことにより、切断された物質が円錐部材522とスリーブ526との間に捕捉される。
【0057】
関連する実施形態(図19A〜19C)では、バルーン及びカッター装置540は、副鼻腔及び/又は鼻腔内の生物学的組織365を切断及び捕捉するように構成される。この場合、装置540は、側面に沿って延びる膨張可能なバルーン、及び、バルーン542と反対側の装置の側面に配置された開放窓544の両方が設けられた遠位端部を備えている。窓544の内部には、カップ状カッター546が設けられ、その近位端は操作者にまで延びる操作部材548に連結されている。装置のバルーン部分542を利用して副鼻腔内の小口又は他の空間を開くか、又は組織回収用の装置を固定することができる。組織の回収は、切断及び除去しようとする組織又は他の物質上に窓544を配置することによって行うことができる。次いでカップ状カッター546を、切断しようとする物質に対して回転及び/又は前進させることによって組織を切断及び捕捉することができる。次いで、患者からバルーン及びカッター装置を引き抜くことによって、捕捉された物質を部位から除去することができる。
【0058】
図20A〜20Cに示されるような、回転成形カッター装置560を上記で述べたようにして使用して、副鼻腔からの除去の標的となる組織にアクセスし、組織に接して配置することもできる。この装置は、刻み目がつけられた細長い部材564を受容するようなサイズに構成された略管状体562を備えており、管状体562の遠位側の終端は成形カッター566を有している。1つのアプローチでは、カッター566は高い可撓性を有しており、細長い部材564の操作を通じてカッター566を回転させて組織を切断する。成形カッター566を進める深さは、管状体562の近位端に対する細長い部材564上の刻み目の位置に注意することによって監視される。開示される治療装置の他の実施形態において同様の刻み目を利用して、装置の配置を監視することができる。更に、内視鏡法及び/又はX線透視法などの直接又は遠隔視認技術を用いて、組織の切断及び捕捉を補助することができる。
【0059】
副鼻腔治療に対する更なる別のアプローチ(図21A〜21C)では、患者の鼻腔364及び/又は副鼻腔内部から物質を剥離するために高圧流体供給システム580を使用することができる。システム580は、管状体582を通じて治療部位から剥離した物質を吸引するように構成してもよく、システムを安定化させるか又は小口若しくは他の副鼻腔を拡張するために使用することが可能なバルーン584を備えてもよい。
【0060】
治療装置600は、複数の開口部604が形成された略管状部材602によって更に規定することができる(図22A〜22Cを参照)。この応用例では、硬組織又は骨を切り進むことが困難と思われるような場合、カッター606は、超音波スピン又は切断能力を高める他の振動運動に反応するか又はこれを作用させるように構成される。すなわち、スピン又は振動のような運動は、摩擦をなくし、切断能力を更に高める微小運動を誘導しうる。更にカッター600を必要なだけ引くことによって、装置本体602に形成された穴604に隣接する、又は穴604内部に延びる組織を切断することができる。
【0061】
一層更なる別のアプローチ(図23A〜23D)では、副鼻腔の解剖学的構造のバルーン拡張と組み合わせて、副鼻腔、副鼻腔の開口部、及び/又は鼻腔内部の組織と接触し、これを除去するためのピンセット把持装置620が提供される。装置620は、再使用可能なハンドル622及び交換可能な把持器構造624を備えうる。装置全体を使い捨て式又は再使用可能とすることもできる。更に、ピンセット把持装置620は、ガイド部材(図に示されていない)を通じて配置できるようなサイズ及び形状とすることができる。いずれの場合においても、指受け穴626が近位側に便宜よく配置されており、組織の取り出しを遠隔で行うことが可能である。
【0062】
副鼻腔を機械的に擦り、きれいにし、スワブするための様々なアプローチが図24A〜24Eに示されている。すなわち、鋭利なブレード状の物体を使用する代わりに、綿棒630(図24A)、布部材632(図24B)、又は微細ブラシ634によって副鼻腔を治療することが考えられる。図24Dに示されるワイアスクラバー636の使用も考えられる。これらの物体のそれぞれについて、スクラブ部材又はスワブ部材をシース640に通して進め、副鼻腔の内部の表面と効果的に接触するのに適した形態へと自己展開させることができる。剥離した物質は、直接、スワブ/スクラブ装置によって、更に、他の開示される方法(すなわち、吸引)によって、治療部位から引き抜くことができる。
【0063】
除去装置には上記に述べたもののいずれも含まれうる。異なる実施形態において、除去装置は図に示されるようにガイドを通じて進めるか、又はガイドを使用せずにそれ自体で進めることができる。異なる実施形態において、内視鏡を使用して手術の全体又は一部を見ることができる。一実施形態では、その開示内容の全体を本明細書に援用するところの、発明の名称が「旋回プリズム型内視鏡(Swing Prism Endoscope)」である米国特許出願第12/502,101号に述べられる旋回プリズム型内視鏡などの可変視野角内視鏡を使用することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、組織除去装置は、例えば組織カッターを収容したカテーテルシャフトに取り付けられたバルーン拡張カテーテルを備えうる。したがって、いくつかの実施形態では、拡張機能及び組織除去機能を同じ装置によって実現することができる。いくつかの実施形態では、このような複合装置をガイド上に、又はガイドを通して進めることができるが、代替的な実施形態では、複合装置はガイドを必要としない場合もある。
【0065】
図25A〜25Eに示される方法は、上顎洞、蝶形骨洞、及び篩骨洞などの他の副鼻腔に適用することもできる。篩骨洞は一般的に、他の副鼻腔のように1個の別個の自然口を有していないが、いくつかの実施形態において拡張及び組織除去のいくつかの組み合わせを使用することで、篩骨洞及び/又は中鼻道自然口ルートなどの鼻孔の領域を治療することが可能である。この場合では、バルーンカテーテル650が、ガイドカテーテル652を通じて、前頭洞654につながる小口又は流出路653の内部へと進められる。バルーンカテーテルのバルーン656を膨張させることにより(図25B)、小口又は流出路が開かれる。この後、バルーンカテーテル650は抜去され、ガイドカテーテルが定位置に留置される(図25C)。骨の破片又は他の生物学的物質660が、その部位に残っている可能性がある。このため、上記に述べたもののような組織除去装置670を、ガイド652を通じて部位にまで進めることができる(図25D)。そこに到達した時点で破片を除去することが可能であり、これにより拡張されたきれいな状態の流出路及び小口が残る。
【0066】
異なる代替的な実施形態において、上記に述べた装置、システム及び方法を、耳、鼻、咽喉、又は口腔内の構造の狭窄又は閉塞によって引き起こされる他の状態の診断又は治療を行うために使用することができる。また、異なる実施形態において、カテーテルなどの本明細書において述べる装置は、両端間に延びる管腔、ジッパー型管腔、迅速交換用管腔、ジャケットによって包囲された平行管腔などの1又は2以上の管腔を有しうるものである。
【0067】
上記の説明文は多くの例及び実施形態を与えるものであるが、これらの例及び実施形態には、本発明の意図する趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な追加、削除、変更及び改変を行いうるものである。例えば、1つの実施形態又は例の任意の要素又は属性は、そうすることによってその実施形態又は例がその目的とする用途にそぐわないものとならないかぎりにおいて、別の実施形態又は例に取り入れるか、あるいは別の実施形態又は例と共に使用することが可能である。すべての妥当な追加、削除、改変及び変更は、述べられた例及び実施形態の均等物とみなし、以下の「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
拡張装置をガイド装置に沿って前記患者の頭部内に進めることと、
前記拡張装置を使用して、前記副鼻腔につながる開口部を拡張することと、
前記ガイドを前記患者の頭部内に留置したまま、前記拡張装置を前記頭部から抜去することと、
前記ガイドに沿って前記副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、
前記組織除去装置を使用して、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含む、方法。
(2) 前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテル、ガイドワイア、及びガイドカテーテルとガイドワイアとの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記拡張装置がバルーンカテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記開口部を拡張することが、副鼻腔の小口を拡張することを含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記開口部を拡張することが、人工的な開口部を拡張することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記組織を除去することが、
前記組織除去装置内に前記組織を吸引することと、
前記組織除去装置のカッターを使用して、前記吸引された組織を切断することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記組織を除去することが、前記副鼻腔につながる前記開口部から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記組織を除去することが、前記副鼻腔の内部から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記開口部を拡張することが、前頭洞の小口及び前頭洞の流出路の少なくとも一方を拡張することを含み、前記組織を除去することが、前記前頭洞の流出路から組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0069】
(11) 前記開口部を拡張することが、前記副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、前記組織を除去することが、骨破片を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記開口部を拡張することが、前記副鼻腔の副鼻腔自然口を拡張することを含み、前記組織を除去することが、篩骨洞の少なくとも一部を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記組織を除去することが、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される種類の組織を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記組織を除去することが、モルセレータ、スネア、複合スネア/カッター、フィルター、高周波切断及び/又は凝固装置、収縮可能なメッシュ装置、ブレードを備えたバルーン、骨カッターアセンブリ、カッターと組み合わされた開口部を有するチューブ、高圧スプレー装置、並びにピンセット把持器アセンブリからなる群から選択される装置を使用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
前記患者の頭部内にガイドカテーテルを進めることと、
前記ガイドカテーテルを通じ、前記副鼻腔につながる開口部を通じてガイドワイアを進めることと、
前記ガイドワイア上で前記ガイドを通じてバルーン拡張カテーテルを進めて、前記開口部内に前記カテーテルのバルーンを配置することと、
前記バルーンを膨張させることによって前記開口部を拡張することと、
前記バルーンを抜去して、少なくとも前記ガイドワイアを定位置に留置することと、
組織除去装置を前記ガイドワイア上で前記患者の頭部内に進めることと、
前記組織除去装置によって、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、及び鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、
前記組織除去装置及び前記ガイドワイアを前記患者の頭部から抜去することと、を含む、方法。
(16) 患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
前記患者の頭部内にガイド装置を進めることと、
組織拡張及び除去装置を前記ガイド装置に沿って進めて、前記装置の拡張要素を前記副鼻腔につながる開口部内に配置することと、
前記拡張要素を膨張させることによって前記開口部を拡張することと、
前記組織拡張及び除去装置を使用して、前記副鼻腔から組織を除去することと、
前記組織拡張及び除去装置と前記ガイド装置とを前記患者の頭部から抜去することと、を含む、方法。
(17) 患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、
前記副鼻腔の内部から組織を除去するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含む、システム。
(18) 前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテルを含む、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記ガイド装置がガイドワイアを更に含む、実施態様19に記載のシステム。
【0070】
(21) 前記拡張装置がバルーンカテーテルである、実施態様19に記載のシステム。
(22) 前記開口部が副鼻腔の小口である、実施態様20に記載のシステム。
(23) 前記開口部が人工の開口部である、実施態様20に記載のシステム。
(24) 前記組織除去装置が吸引サブ構造を備える、実施態様20に記載のシステム。
(25) 前記組織除去装置がカッターを備える、実施態様20に記載のシステム。
(26) 前記組織除去装置が、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される組織を除去するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(27) 前記組織除去装置がスネアを備える、実施態様20に記載のシステム。
(28) 前記組織除去装置が、無線周波エネルギーを供給するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(29) 患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に前記副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、前記ガイド装置に沿って通されるように構成されている、組織拡張及び除去装置と、を含む、システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、
前記副鼻腔の内部から組織を除去するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含む、システム。
【請求項2】
前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガイド装置がガイドワイアを更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記拡張装置がバルーンカテーテルである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記開口部が副鼻腔の小口である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記開口部が人工の開口部である、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記組織除去装置が吸引サブ構造を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記組織除去装置がカッターを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記組織除去装置が、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される組織を除去するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記組織除去装置がスネアを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
前記組織除去装置が、無線周波エネルギーを供給するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に前記副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、前記ガイド装置に沿って通されるように構成されている、組織拡張及び除去装置と、を含む、システム。
【請求項14】
患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
拡張装置をガイド装置に沿って前記患者の頭部内に進めることと、
前記拡張装置を使用して、前記副鼻腔につながる開口部を拡張することと、
前記ガイドを前記患者の頭部内に留置したまま、前記拡張装置を前記頭部から抜去することと、
前記ガイドに沿って前記副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、
前記組織除去装置を使用して、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含む、方法。
【請求項1】
患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された拡張装置と、
前記副鼻腔の内部から組織を除去するための、前記ガイド装置に沿って通されるように構成された組織除去装置と、を含む、システム。
【請求項2】
前記副鼻腔が、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞、及び篩骨洞からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガイド装置が、管腔を有するガイドカテーテルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガイド装置がガイドワイアを更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記拡張装置がバルーンカテーテルである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記開口部が副鼻腔の小口である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記開口部が人工の開口部である、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記組織除去装置が吸引サブ構造を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記組織除去装置がカッターを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記組織除去装置が、ポリープ、粘膜組織、嚢胞、骨破片、骨、及び粘液胞からなる群から選択される組織を除去するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記組織除去装置がスネアを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
前記組織除去装置が、無線周波エネルギーを供給するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
患者の副鼻腔を治療するためのシステムであって、
前記副鼻腔を治療するために、前記患者の頭部内に1又は2以上の装置を案内するためのガイド装置と、
前記副鼻腔につながる開口部を拡張し、更に前記副鼻腔から組織を除去するための複合組織拡張及び除去装置であって、前記ガイド装置に沿って通されるように構成されている、組織拡張及び除去装置と、を含む、システム。
【請求項14】
患者の副鼻腔を治療するための方法であって、
拡張装置をガイド装置に沿って前記患者の頭部内に進めることと、
前記拡張装置を使用して、前記副鼻腔につながる開口部を拡張することと、
前記ガイドを前記患者の頭部内に留置したまま、前記拡張装置を前記頭部から抜去することと、
前記ガイドに沿って前記副鼻腔内に組織除去装置を進めることと、
前記組織除去装置を使用して、前記患者の前記副鼻腔、異なる副鼻腔、又は鼻腔の少なくとも1つから組織を除去することと、を含む、方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【公表番号】特表2013−515590(P2013−515590A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547157(P2012−547157)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061850
【国際公開番号】WO2011/082074
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506353574)アクラレント インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061850
【国際公開番号】WO2011/082074
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506353574)アクラレント インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]