説明

力センサを有する輪郭読取り装置

本発明は、物品、例えば眼鏡用のフレームリムの輪郭読取り方法であって、物品を保持する支持体及び支持体に対して回転軸線回りに回転するような仕方で設けられると共に遠位端部を備えたフィンガ(9)及びロッド(12)から成るセンサ(8)を備えた読取り組立部品を支持した回転プラットホームを有する装置を用いる方法に関する。本発明の方法によれば、遠位端部を輪郭に沿って変位させ、遠位端部の一連の位置を検出する。本方法は、変位ステップが、プラットホームとロッド(12)との間でロッドに平行に及ぼされる力を測定する測定ステップと、フィンガ(9)とプラットホームとの間の距離を前記力の強さが所定のしきい値よりも低いままであるような仕方で前記力に応じて制御する制御ステップとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の着用者に合った眼鏡の作製に用いられる寸法測定装置の包括的な技術分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、フィーラの助けにより、支持体上に設けられた物品の形状を求めるようになった輪郭読取り方法及び輪郭読取り装置に関する。形状がトレースされる物品は、一般に、眼鏡フレームリム又はオフサルミックレンズである。
【背景技術】
【0003】
この種の装置は、例えば、フレームリムのベゼルの形状、即ち、フレームリムの内部に沿ってぐるりと延び、フレームリム内にオフサルミックレンズを保持する溝の形状を測定するために用いられる。この目的のため、フィーラは、ベゼル内に挿入されてベゼルの輪郭を辿り、その間、装置は、フィーラの経路に沿うフィーラの位置の座標を測定し、それによりベゼルの輪郭のディジタル画像をストレージする。次に、オフサルミックレンズのブランクをベゼルの寸法形状に合わせてトリムしてこのブランクを完全にフレームリム内に挿入できるようにするのがよい。
【0004】
上述した周囲の輪郭読取り装置は、特許文献である米国特許第5,121,550号明細書から知られている。この装置は、形状がトレースされるべき物品を保持する支持体を有する。円形プラットホームが、支持体に対して回転するよう設けられ、このプラットホームは、フィーラを有する読取り組立部品(サブアセンブリ)を支持している。フィーラは、ロッド及びこのロッドから延びるフィンガを有する。フィンガの遠位端部は、輪郭に沿って動くようになっている。
【0005】
読取り組立部品は、フィーラに取り付けられた可動キャリジが取り付けられた滑り面を有する。
【0006】
この装置は、フィーラの経路に沿う極座標を測定し、この場合、角度寸法(偏角)(θ)は、回転プラットホームの回転量に相当し、径方向寸法(ρ)は、滑り面上でのキャリジの並進運動の量に相当している。
【0007】
フィンガは、リムのベゼルの底部内で動き、このフィンガは、フィンガをベゼルに当接保持するよう加えられる半径方向力の効果によりベゼル底部と接触状態のままである。
形状がトレースされるべき物品が立体である場合、フィーラは、寸法(ρ,θ)を含む平面に対して横方向の運動に対応した軸線(z)に沿って動くことができなければならない。
【0008】
これら装置は、フィーラがベゼルに向かい合うまでフィーラを軸線(z)に沿って当初駆動するモータを有している。フィンガを滑り面に沿う並進運動によりいったんベゼルに接触させると、モータを切り又は受動式にして輪郭の読取り中、軸線(z)に沿う運動が妨げられないようにする。
【0009】
読み取られるべき物品が中位の曲率を有するフレームリムである場合、軸線(z)に沿うフィーラの運動は、振幅が小さいものであり、フィンガは、容易にベゼルの底部と接触したままである。
【0010】
他方、湾曲度の大きな部分を備えていて、したがって、軸線(z)に沿う振幅が大きいフレームリムの場合、軸線(z)に沿うフィンガの自由運動により、フィンガは、ベゼルの底部内に留まるのが困難になる。
【0011】
ベゼルの底部から離れて動く恐れを制限するため、フィンガが例えば湾曲度の大きな部分を有する場合、回転速度を減少させることが必要である。
【0012】
また、特許文献である米国特許第6,325,700号明細書から、フィンガがベゼルの底部から遠ざかるのを阻止する目的で、3つの方向における、特に軸線(z)に沿う読み取られるべき輪郭の振幅を予測する計算手段を有する輪郭読取り装置が知られている。これら計算手段は、動かされるべき部分の軸線(z)に沿う変化を既に動いた部分の測定座標の関数として推定する。フィーラを軸線(z)に沿って位置決めするモータが、計算推定計算値の関数として制御される。フィーラは、これが輪郭を辿るときに案内されるが、フィンガがベゼルの底部内に留まるという保証は何ら存在しない。
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点を同時に無くし、使用するのが特に簡単且つ便利な輪郭読取り方法を提供することにある。本発明のもう1つの目的は、任意のタイプの輪郭に合わされ、このような方法の実施に適した読取り装置を提案することにある。
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,121,550号明細書
【特許文献2】米国特許第6,325,700号明細書
【発明の開示】
【0015】
この目的のため、本発明は、物品、例えば眼鏡フレームリムの輪郭読取り方法であって、前記物品を保持する支持体及び前記支持体に対して回転軸線回りに回転するよう設けられた回転プラットホームを有する装置が用いられ、前記回転プラットホームが、読取り組立部品を支持し、前記読取り組立部品が、フィンガを備えたフィーラ及び前記フィンガに対して横方向に延びるロッドを有し、前記フィンガが、遠位端部を備えており、前記方法が、前記遠位端部を前記輪郭に沿って変位させるステップと、前記遠位端部の一連の位置を測定するステップとを有する方法において、前記変位ステップは、前記プラットホームと前記ロッドとの間で前記ロッドに平行に及ぼされる力を測定するステップと、前記フィンガと前記プラットホームとの間の距離を前記力の関数として制御して前記力の強さが所定のしきい値よりも低いままであるようにするステップとを有する方法を提案する。
【0016】
したがって、フィンガは、読取られるべき物品によりフィーラに及ぼされる特定の力に相当する回転プラットホームからの距離のところに常時位置し、それにより、フィンガは、所定の経路を辿ることができ、特に、フィンガが輪郭から外れて落ちるのを阻止する。さらに、力は、一方向にのみ測定され、それにより測定が単純化される。
【0017】
本発明は又、物品、例えば眼鏡フレームリムの輪郭読取り装置であって、前記物品を保持する支持体及び前記支持体に対して回転軸線回りに回転するよう設けられた回転プラットホームを有し、前記回転プラットホームが、読取り組立部品を支持し、前記読取り組立部品が、フィンガを備えたフィーラ及び前記フィンガに対して横方向に延びるロッドを有し、前記フィンガが、前記輪郭に沿って変位されるようになった遠位端部を有する輪郭読取り装置において、前記読取り組立部品は、前記ロッドが固定されていて、全体として前記ロッドに対して横方向に延びる部材と、前記フィンガと前記プラットホームとの間の距離を制御する前記部材の駆動モータと、前記部材に設けられていて、前記部材が前記ロッドに平行な方向に受ける力を測定する力センサと、前記センサ及び前記モータに接続されていて、前記力の強さが所定しきい値よりも低いままであるように前記モータを制御するようになった制御手段とを更に有する輪郭読取り装置を提案する。
【0018】
ロッドに対するこの部材の位置により、プラットホームの下に利用できる比較的広い受入れ空間を利用することができる。さらに、力センサがこの受入れ空間内のフィンガから遠ざかって位置しているので、外部からの接近ができず、したがって、この力センサは、ユーザ又はダストによる偶発的な調整不良から保護されるようになる。
【0019】
一実施形態では、前記制御手段は、前記力が第1の方向に加えられた場合、前記力の強さが第1のしきい値よりも低いままであり、前記力が前記第1の方向とは逆の第2の方向に加えられた場合、前記力の強さが第2のしきい値よりも低いままであるように前記モータを制御するようになっている。フィーラがフレームリムを読み取っている場合、フィンガは、ベゼルの底部に常時密接しており、この場合、力が加わらず、読取りは高速で実施できる。
【0020】
特許文献である米国特許第5,341,079号明細書から、フィーラヘッド及びフィンガを有する複製機械が既に知られており、この機械では、フィーラヘッドは、溝によりフィンガに及ぼされる力を測定する力センサを有することが注目されよう。このセンサは、フィーラヘッドを基準として取った状態でフィンガの微小変位を三次元で測定し、これら微小変位は、溝によりフィンガに及ぼされる力に対応している。
【0021】
特許文献である米国特許第5,477,119号明細書は、上述した形式のフィーラヘッドを有する溝トレース機械を記載しており、この装置では、フィーラヘッドを駆動する手段は、検出された力の関数として、フィンガに対して横の方向の力をゼロ(0)にすると共にフィンガの主軸線に沿う力の合力を所定の値に等しくするよう指令される。すると、フィンガは、溝内に心出しされると共に溝底部と接触したままである。この装置は、輪郭に沿うフィーラの位置を三次元で検出する位置センサを更に備えている。この位置は、装置の固定支持体を基準とした状態で測定される。
【0022】
特に露出されるが、小さな体積のものであるべき力センサの遠位端部の位置決めとは別に、このセンサは、3つの方向の力を測定し、そしてフィーラヘッドの位置をこの3つの方向で調節するが、これは、比較的複雑である(本発明の装置は、たった1つの方向で同一の結果を達成することができる)。
【0023】
製作と使用の両方の観点で特に簡単且つ好都合な他の具体的特徴によれば、
−前記部材は、第1の支持部材であり、前記読取り組立部品は、前記プラットホームに対して横方向に突き出た第2の支持部材を更に有し、前記第1の支持部材は、前記回転軸線に平行な方向に並進可能に前記第2の支持部材に取り付けられ、
−前記回転プラットホームは、前記ロッドを挿通させた開口部を有し、前記フィンガは、前記プラットホームの第1の側に位置し、前記第2の支持部材、前記第1の支持部材及び前記フィンガと反対側の前記ロッドの近位端部は、前記プラットホームの第2の側に位置し、
−前記第2の支持部材は、支持シャフトを含み、
−前記第1の支持部材は、2つの端部を備えたプレートを含む支持アームであり、2つの平行なブレードが前記第2の端部から横方向に延び、各ブレードは、前記回転軸線に平行に変形可能であり、スリーブが、プレートと反対側の前記ブレードの2つの端部相互間に延びており、前記スリーブは、前記ロッドの前記近位端部を把持するようになっており、
−各ブレードは、前記プレートと反対側のその端部のうちの一方のところに、前記スリーブ内に把持された前記ロッドを受け入れるようになった円形開口部を有し、
−前記第2の支持部材は、支持シャフトを含み、前記支持アームは、ボールブッシュを介して前記支持シャフトと中心が一致するよう配置されたリングを有し、前記ボールブッシュは、前記支持シャフトに対する前記リングの前記並進を可能にし、
−前記駆動モータは、前記リングに締結されたラックと噛み合うピニオンを有し、
−前記駆動モータは、前記第2の支持部材に対する前記第1の支持部材の位置を測定するコーダを有し、
−前記第1の部材は更に、前記第2の部材の回りに回転するよう設けられ、
−前記力センサは、互いに向かい合って設けられた検出セルとフラグを有し、
−前記検出セルは、光電式セルであり、
−前記第1の支持部材は、2つの端部を備えたプレートを含む支持アームであり、2つの平行なブレードが前記第2の端部から横方向に延び、前記検出セル及び前記フラグは、前記2つのブレード相互間に位置し、
−前記検出セル及び前記フラグはそれぞれ、前記プレート及び前記プレートと反対側の前記ブレードの2つの端部相互間に延びるスリーブに固定的に取り付けられており、前記読取り組立部品は、前記駆動モータに接続された信号処理ユニットを有し、前記検出セルは、それ自体に対する前記フラグの位置を検出する手段及び前記位置の関数として信号を前記信号処理ユニットに送る手段を有し、
−前記フィーラは、前記回転軸線に平行に動くことができると共に前記回転軸線に対して横方向に動くことができる。
【0024】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照して好ましい例示として与えられる以下の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、輪郭読取り装置1をそのユーザの見た状態で示す全体図である。この装置1は、上方中央部分を除き、装置の全体を覆う上方カバー2を有している。
【0026】
回転プラットホーム6が、装置1のシャーシ5に対して回転するよう設けられている。この回転プラットホーム6は、円弧の形状の長円形開口部7を有し、フィーラ8がこの開口部を貫通して突き出ており、このフィーラは、遠位端部にフィンガ9を備えたロッド12を有している。
【0027】
図1の装置1は、フレーム10を受け入れるようになっている。
【0028】
図2で分かるように、装置1は、2つの互いに平行なジョー3及び4つのクランプを備えたフレーム10を把持する装置を有している。各クランプは、2つのスタッド4を有し、各クランプは、一方のジョー3に、他方のジョー3のクランプと向かい合った状態で設けられている。
【0029】
ジョー3のうち少なくとも一方は、フレーム10を把持するよう他方のジョーに近づいたりこれから遠ざかるようになっている。フレーム10が把持された状態の位置では、クランプは、フレームが着用されているときの垂直方向に一致し、フレームが装置1内に配置されているの水平方向に一致する方向で各リム上に向かい合った状態で配置される。このクランプのスタッド4を互いに近づけると、スタッドは、リムをクランプしてフレーム10を読取りのために保持することができる。
【0030】
図2では、ジョー3は、フレーム10を水平に保持するよう互いに近づけられている。スタッド4は、互いに閉じられてフレームリムに当たっている。したがって、フレーム10のリムの各々は、2つのスタッド4相互間に位置する所定の場所へのフィーラの挿入で始まる経路に沿い、次にフレーム10のベゼルに沿っていつでも形状がトレースされてフレームリムの周囲全体に及ぶようになっている。
【0031】
この例では、機械1は、フレームを保持するようになったジョーを備えているが、外部輪郭(外形)が読み取られなければならないオフサルミックレンズを保持する任意他の把持装置、例えばクランプを用いてもよいことが注目される。
【0032】
シャーシ5は、回転プラットホーム6よりも僅かに直径の大きな円形切欠き11が設けられた支持テーブルの形態をしている。円形切欠き11は、回転プラットホーム6を受け入れ、この回転プラットホームは、その周囲に沿って一定間隔で設けられた3つの案内ローラ(見えず)によって案内される。
【0033】
変形例として、ローラは、回転プラットホーム6の制御された回転及び任意の時点でのその角度位置の読取りを可能にするモータ−コーダ(見えず)によって駆動される。
【0034】
円弧の形をした開口部7は、回転プラットホーム6の半径にほぼ一致した長さを有し、この開口部は、回転プラットホーム6の中心とその周囲との間に延びている。
【0035】
また、開口部7は、軸線A(図3)に対して心出しされている。
【0036】
図3で分かるように、溝14が、回転プラットホーム6の縁部にその周囲全体にわたって設けられている。この溝14は、プラットホーム6を保持し、このプラットホームを電動式ローラによりシャーシ5に対して駆動するために用いられる。
【0037】
回転プラットホーム6は、軸受16を含む読取り組立部品(サブアセンブリ)15を支持し、リベット(見えず)により回転プラットホーム6に固定された支持シャフト17が、この軸受に取り付けられている。このシャフト17は、中心が軸線Aと一致している。
【0038】
支持アーム18は、ボールブッシュ19により支持シャフト17に取り付けられている。支持アーム18は、その端部のうちの一方に、ボールブッシュ19及び支持シャフト17を包囲するリング20を有し、ボールブッシュ19により、支持アーム18は、軸線A回りに回転したりその軸線に沿って並進することができる。
【0039】
支持アーム18は、リング20と反対側とその端部に、円筒形スリーブ21を有し、ロッド12は、これが支持シャフト17に平行になるようにこのスリーブ21内に把持されている。
【0040】
次に、図4を参照して支持アーム18について説明する。
【0041】
支持アーム18は、全体として正方形の構成部品である。実質的に矩形のプレート40の2つの端部のところには、2つの同一の横方向に延びるブレード41,42が設けられている。
【0042】
ここでは、各ブレード41,42は、三角形であり、プレート40と反対側に丸形端部を有している。各ブレード41,42は、この端部のところに、ロッド12を把持するスリーブ21を受け入れるようになった円形開口部(見えず)を有している。
【0043】
プレート40は、ねじの2つの対43,44によりプレート40に固定された補強プレート49を支持している。ねじの対43,44も又、プレート40をリング20に固定している。第1の対43は、プレート40の表面と面一をなす2本のねじから成る。
【0044】
第2の対44は、各々がシース45を貫通してプレート40に対して横方向に延びてセル支持体46を、プレート40と反対側であってプレート40に平行なその表面に固定する2つの長いねじから成る。支持体46は、光電式セル47を支持しており、この光電式セルは、互いに平行であって、ブレード41,42及びプレート40に対して横方向の2つの壁48を有している。このセル47は、光束を測定することによりその2つの壁48相互間におけるフラグ51の位置を検出するようになっている。壁48のうちの一方は、光エミッタを有し、他方の壁は、光レシーバを有し、このレシーバは、エミッタから受け取った光の量の関数として変化する値を有する出力信号を生じさせる。ブレード41,42、セル47及びフラグ51は、力センサ64を構成する。電気信号は、信号送信手段(見えず)によりセル47から以下に説明するモータ−コーダ31に送られる。
【0045】
フィーラ8はフィーラロッド12を有し、このフィーラロッドは、アーム18と反対側のその遠位端部のところにフィンガ9を支持している。ロッド12は、スリーブ21によって2つの開口部に対して心出しされると共に固定され、このスリーブは、2つの開口部相互間でこのロッドを包囲し、フィンガ9に向かって短い距離延びている。ロッド12は、フィンガ9と反対側のその近位端部がナット及びボルト50によって対応のブレード41の開口部に固定されている。
【0046】
スリーブ21は、2つのブレード41,42相互間にフラグ51を支持し、このフラグは、そのコーナ部のうちの1つが2つの壁48相互間の空間の一部を占めるように延びている。
【0047】
各ブレード41,42は、その形状のおかげで全体的に剛性を備えるようになっている。それにもかかわらず、各ブレード41,42は、ロッド12に平行な方向に湾曲できるよう僅かに可撓性を有する。
【0048】
フィーラ8を保持する2つのブレード41,42が設けられていることにより、支持アーム18の横方向可撓性が得られる。さらに、フィーラ8を2つの開口部の高さ位置に保持することにより、フィーラ8が単一のブレードに設けられている場合に生じうるフィーラ8の回動が回避される。
【0049】
かくして、力センサ64は、比較的広い受入れ空間を備えた装置1の領域内に位置決めされる。装置1がいつでも使用可能な状態にあるとき、力センサ64には外部から接近できず、したがって、この力センサは、ダストから保護されると共に更に装置1のユーザによる不用意な、特に知らず知らずのうちに行われる介在から保護され、それにより、センサ64の調節不良が回避される。
【0050】
支持アーム18が軸線Aの回りに回転するよう設けられていることにより、フィーラ8は、回転プラットホーム6の回転軸線(R)に対して横方向の平面内で円弧をなして開口部7に沿って動くことができ、この回転軸線(R)はここでは、軸線Aに平行である。さらに、フィーラ8は、支持アーム18が軸線Aに沿って摺動する場合、回転プラットホーム6の平面に対するフィンガ9の出入り運動を引き起こすことができる。装置が動作状態にあるとき、フィンガ9及びロッド12の一部だけがプラットホームの上に突き出ており、組立部品15の残部は、その他方の側に位置している。
【0051】
読取り組立部品15は、軸受(見えず)を介してシャフト17のベースに取り付けられた案内アーム22を更に有し、かかる軸受により、案内アーム22は、軸線A回りにのみ回転することができる。この案内アーム22は、開口部7に達するのに十分な長さを有し、この案内アームは、開口部7に向いた固定止り24及び軸受25を有している。
【0052】
固定止り24及び軸受25は、互いに並んで配置されており、相互の離隔距離は、ロッド12の厚さに実質的に一致している。
【0053】
案内アーム22を支持シャフト17に回転可能に取り付けることにより、固定止り24及び軸受25は、軸線A回りの案内アーム22の角度位置がどのようなものであっても、開口部7に向いた状態のままである。支持アーム18及び案内アーム22は、ロッド12が固定止り24と軸受25との間に把持されるように配置されている。したがって、軸線A回りの支持アーム18及び案内アーム22の角変位は、共同して行われる。
【0054】
案内アーム22は、中心が軸線Aに一致した弧状の歯付き半円形部分26を更に有している。この部分26の歯は、中間ピニオン27と噛み合い、この中間ピニオンはそれ自体、回転プラットホーム6に固定されたヨーク29に取り付けられているモータ−コーダ28のピニオン(見えず)と噛み合っている。図面を分かりやすくするために、中間ピニオン27の歯は、示されていない。
【0055】
案内アーム22は、軸線Aに平行な垂直ヨーク30を更に有し、このヨークには、モータ−コーダ31が固定され、このモータ−コーダのピニオン32は、支持アーム18のリング20に固定されたバック33と噛み合っている。ラック33は、軸線Aに平行である。上述したのと同じ図面を分かりやすくする理由で、ピニオン32の歯は、示されていない。
【0056】
モータ−コーダ31は、電気信号を受け取り、そしてその信号の関数としてピニオン32の運動を選択的に指令するようになった制御手段(見えず)を有している。
【0057】
モータ−コーダ28,31のコーダは、半径方向及び垂直方向におけるフィーラ8の位置を測定する。
【0058】
図5及び図6A〜図6Cで分かるように、読取り中、フィーラ8は、一定の圧力を輪郭に及ぼしがちである。この圧力は、モータ−コーダ28によって及ぼされる半径方向力に起因して生じる。
【0059】
この場合、読取られるべき輪郭は、フレームリムのベゼル60である。ベゼル60は、2つの枝部61,62を備えたV字形の溝の形態をしている。フィーラのフィンガは、2つの枝部61,62上でベゼル内を動く。枝部61,62の接合部をベゼル60の底部63と称する。
【0060】
軸線A及びフィーラロッド12に平行な方向をzに沿う方向と称し、ベゼル60の曲率半径の方向をρに沿う方向と称する。
【0061】
接触圧力は、ρに沿って及ぼされ、それにより、ベゼル60によりフィンガ9の先端部65に及ぼされる力がzに沿って生じる。先端部65が、枝部61と接触状態にあるとき、zに沿う力は、第1の方向で枝部62に差し向けられる。先端部65が、枝部62と接触状態にあるとき、zに沿う力は、第2の方向で枝部61に差し向けられる。先端部が、ベゼル60の底部63に当たっているとき、zに沿う方向でベゼルに及ぼされる力の合力は、ゼロである。
【0062】
図5は、先端部65が、枝部62に当たって位置しているときのブレード41,42の状態を示している。zに沿う方向で先端部65に加えられた力は、フィーラ8の残部に伝達され、この力の反射的結果として、フィーラ8に締結されたブレード41,42の変形が生じる。
【0063】
フィーラ8に締結されたフラグ51は、ブレード41,42の変形の結果として静止セル47の前で微小変位を行う。光束の変化は、セル47によって検出される。
【0064】
図7に示すように、センサ64は、ケーブルによって処理ユニット66に接続され、この処理ユニットは、センサ64によって放出され、光束に対応した電気信号を受け取るようになっている。処理ユニット66はそれ自体、ケーブルによってモータ31に接続されている。処理ユニット66とモータ31との間の電気接続方式は、2方向接続方式である。
【0065】
処理ユニット66は、センサ64から受け取った信号を、この場合力についてゼロの値に相当する所定の設定値と比較することによりかかる信号を処理し、対応の出力信号をモータ31に送る。他方、モータ31は、軸線(z)に沿うフィーラ8の位置に対応した信号を処理ユニット66に送る。
【0066】
具体的に説明すると、基準位置に対するフラグ51の微小変位の検出により、センサ64のセル47は、微小変位、特にその向きに対応した信号を処理ユニット66に送ることになる。処理ユニット66は、処理ユニット66内に保持されている所定の設定値との比較を行う。この値が設定値よりも大きいことを条件として、処理ユニット66は、モータ31に指令を出してピニオン32を働かせる。
【0067】
すると、ピニオン32は、フィーラ8の微小変位とは逆の方向、即ち、軸線(z)に沿ってフィンガ9に加わる力を減少させる方向でラック33と噛み合う。
【0068】
より一般的に説明すると、輪郭の読取りは、フィーラのフィンガ9を輪郭に当てることで始まり、そして、フィーラフィンガ9をモータ31によって所要の高さに配置し、フィンガ9と輪郭との接触状態をモータ28によって維持し、このモータは、フィーラ8が一定の接触圧力を輪郭に及ぼすように制御される。この場合に注目されるように、フィンガ9をベゼル60の底部63内に保持することにより、先行技術の装置における加えられた半径方向の力と比較して、加えられる半径方向の力の値が減少する。また、半径方向の圧力を一定に維持すれば十分であることも又注目されよう。
【0069】
次に、ローラを駆動して回転プラットホーム6が、トレースされるべき輪郭の一回りに対応して丸一回転するようになる。
【0070】
また、回転プラットホーム6の回転速度は、比較的早いのがよい。
【0071】
この回転中、センサ64は、物品によりフィンガ9に及ぼされる力に対応してアーム18に及ぼされる力を測定する。モータ31は、フィーラ8を駆動することによりフィンガ9とプラットホーム6との間の距離を力の関数として制御する。
【0072】
より詳細に説明すると、モータ−コーダ31は、処理ユニット66から生じる設定値に追従する。力が設定値に一致した場合、モータは、軸線Aに沿う支持アーム18の連続位置(プラットホーム6に対するフィンガ9の高さに相当する)を測定するコーダとして働くに過ぎず、その間、フィンガ9はフィンガ9と係合している形状を辿っている。
【0073】
変形例によれば、セル47により検出された力のゼロではないしきい値を定め、かかるしきい値以下では、先端部65は、たとえ先端部65が正確にベゼルの底部のところに位置していない場合でも、ベゼル60の底部63に十分に近接していると見なされる。
【0074】
別の変形例によれば、2つの別々の検出された力のしきい値を定める。フィンガが枝部62と接触状態にあるとき、即ち、力がブランチ61に差し向けられているとき、超えるべきでない力のしきい値は、先の2つの値のうちの最初の方である。フィンガが枝部61と接触状態にあるとき、考慮に入れられるのは、後の方のしきい値である。
【0075】
図示していない実施形態によれば、必要な改造を施すことを条件として、本発明は、レンズの読取りに同じように当てはまり、即ち、レンズが溝を有している場合、フィンガは、フレームリムについて上述したフィンガと同一である。レンズが凸状プロフィールを有している場合、フィーラの背部は、凹部を備える。この凹部も又、上述したように力センサにより検出される方向zにおける力を受け取る。
【0076】
図示していない実施形態によれば、力センサは、ひずみ計又は圧電スペーサである。本発明の装置の一実施形態を説明したが、それにもかかわらず、本発明は、フィーラの動力学的挙動について種々の実施形態を備える装置に同じように当てはまり、構成部品の必要な改造により、種々の実施形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の輪郭読取り装置の斜視図である。
【図2】図1に類似した図であり、リムの形状がフィーラによって読み取られるべき眼鏡フレームを受け入れる輪郭読取り装置を示す図である。
【図3】回転プラットホームの下から見た斜視図であり、回転プラットホームにより支持された読取り組立部品を示す図である。
【図4】フィーラ、支持アーム及び力センサを有する読取り組立部品の一部の斜視図である。
【図5】力がフィーラに及ぼされる状況でロッド及び支持アームのブレードの略図である。
【図6A】溝内におけるフィンガの位置の関数としてフィーラ、フィンガ及び溝に作用する力の向きの1つの形態を示す略図である。
【図6B】溝内におけるフィンガの位置の関数としてフィーラ、フィンガ及び溝に作用する力の向きの別の形態を示す略図である。
【図6C】溝内におけるフィンガの位置の関数としてフィーラ、フィンガ及び溝に作用する力の向きの別の形態を示す略図である。
【図7】フィーラの位置の制御に関する理論図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品、例えば眼鏡フレームリムの輪郭読取り方法であって、前記物品を保持する支持体(3,4)及び前記支持体(3,4)に対して回転軸線(R)回りに回転するよう設けられた回転プラットホーム(6)を有する装置が用いられ、前記回転プラットホーム(6)が、読取り組立部品(15)を支持し、前記読取り組立部品(15)が、フィンガ(9)を備えたフィーラ(8)及び前記フィンガに対して横方向に延びるロッド(12)を有し、前記フィンガ(9)が、遠位端部を備えており、前記方法が、前記遠位端部を前記輪郭に沿って変位させるステップと、前記遠位端部の一連の位置を測定するステップとを有する方法において、前記変位ステップは、前記プラットホーム(6)と前記ロッド(12)との間で前記ロッドに平行に及ぼされる力を測定するステップと、前記フィンガ(9)と前記プラットホーム(6)との間の距離を前記力の関数として制御して前記力の強さが所定のしきい値よりも低いままであるようにするステップとを有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法の実施に適した、物品、例えば眼鏡フレームリム(10)の輪郭読取り装置(1)であって、前記物品を保持する支持体(3,4)及び前記支持体(3,4)に対して回転軸線(R)回りに回転するよう設けられた回転プラットホーム(6)を有し、前記回転プラットホーム(6)が、読取り組立部品(15)を支持し、前記読取り組立部品(15)が、フィンガ(9)を備えたフィーラ(8)及び前記フィンガに対して横方向に延びるロッド(12)を有し、前記フィンガ(9)が、前記輪郭に沿って変位されるようになった遠位端部を有する輪郭読取り装置において、前記読取り組立部品(15)は、前記ロッド(12)が固定されていて、全体として前記ロッド(12)に対して横方向に延びる部材(18)と、前記フィンガ(9)と前記プラットホーム(6)との間の距離を制御する前記部材(18)の駆動モータ(31)と、前記部材(18)に設けられていて、前記部材が前記ロッド(12)に平行な方向に受ける力を測定する力センサ(64)と、前記センサ(64)及び前記モータ(31)に接続されていて、前記力の強さが所定しきい値よりも低いままであるように前記モータ(31)を制御するようになった制御手段とを更に有する、輪郭読取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記力が第1の方向に加えられた場合、前記力の強さが第1のしきい値よりも低いままであり、前記力が前記第1の方向とは逆の第2の方向に加えられた場合、前記力の強さが第2のしきい値よりも低いままであるように前記モータ(31)を制御するようになっている、請求項2記載の輪郭読取り装置。
【請求項4】
前記部材は、第1の支持部材(18)であり、前記読取り組立部品(15)は、前記プラットホーム(6)に対して横方向に突き出た第2の支持部材(17)を更に有し、前記第1の支持部材(18)は、前記回転軸線(R)に平行な方向に並進可能に前記第2の支持部材に取り付けられている、請求項2又は3記載の輪郭読取り装置。
【請求項5】
前記回転プラットホーム(6)は、前記ロッド(12)を挿通させた開口部(7)を有し、前記フィンガ(9)は、前記プラットホームの第1の側に位置し、前記第2の支持部材(17)、前記第1の支持部材(18)及び前記フィンガと反対側の前記ロッド(12)の近位端部は、前記プラットホーム(6)の第2の側に位置している、請求項4記載の輪郭読取り装置。
【請求項6】
前記第2の支持部材は、支持シャフト(17)を含む、請求項4又は5記載の輪郭読取り装置。
【請求項7】
前記第1の支持部材は、2つの端部を備えたプレート(40)を含む支持アーム(18)であり、2つの平行なブレード(41,42)が前記第2の端部から横方向に延び、各ブレード(41,42)は、前記回転軸線(R)に平行に変形可能であり、スリーブ(21)が、プレート(40)と反対側の前記ブレードの2つの端部相互間に延びており、前記スリーブ(21)は、前記ロッド(12)の前記近位端部を把持するようになっている、請求項4〜6のうちいずれか一に記載の輪郭読取り装置。
【請求項8】
各ブレード(41,42)は、前記プレート(40)と反対側のその端部のうちの一方のところに、前記スリーブ(21)内に把持された前記ロッド(12)を受け入れるようになった円形開口部を有する、請求項7記載の輪郭読取り装置。
【請求項9】
前記第2の支持部材は、支持シャフト(17)を含み、前記支持アーム(18)は、ボールブッシュ(19)を介して前記支持シャフトと中心が一致するよう配置されたリング(20)を有し、前記ボールブッシュは、前記支持シャフト(17)に対する前記リング(20)の前記並進を可能にする、請求項7又は8記載の輪郭読取り装置。
【請求項10】
前記駆動モータ(31)は、前記リング(20)に締結されたラック(33)と噛み合うピニオン(32)を有する、請求項9記載の輪郭読取り装置。
【請求項11】
前記駆動モータ(31)は、前記第2の支持部材(17)に対する前記第1の支持部材(18)の位置を測定するコーダを有する、請求項4〜10のうちいずれか一に記載の輪郭読取り装置。
【請求項12】
前記第1の部材(18)は更に、前記第2の部材(17)の回りに回転するよう設けられている、請求項4〜11のうちいずれか一に記載の輪郭読取り装置。
【請求項13】
前記力センサ(64)は、互いに向かい合って設けられた検出セル(47)とフラグ(51)を有する、請求項2〜12のうちいずれか一に記載の輪郭読取り装置。
【請求項14】
前記検出セル(47)は、光電式セルである、請求項13記載の輪郭読取り装置。
【請求項15】
前記第1の支持部材は、2つの端部を備えたプレート(40)を含む支持アーム(18)であり、2つの平行なブレード(41,42)が前記第2の端部から横方向に延び、前記検出セル(47)及び前記フラグ(51)は、前記2つのブレード(41,42)相互間に位置している、請求項13又は14記載の輪郭読取り装置。
【請求項16】
前記検出セル(47)及び前記フラグ(51)はそれぞれ、前記プレート(40)及び前記プレートと反対側の前記ブレード(41,42)の2つの端部相互間に延びるスリーブ(21)に固定的に取り付けられており、前記読取り組立部品(15)は、前記駆動モータ(31)に接続された信号処理ユニット(66)を有し、前記検出セル(47)は、それ自体に対する前記フラグ(51)の位置を検出する手段及び前記位置の関数として信号を前記信号処理ユニット(66)に送る手段を有する、請求項15記載の輪郭読取り装置。
【請求項17】
前記フィーラ(8)は、前記回転軸線(R)に平行に動くことができると共に前記回転軸線(R)に対して横方向に動くことができる、請求項2〜16のうちいずれか一に記載の輪郭読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−501112(P2008−501112A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514002(P2007−514002)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001270
【国際公開番号】WO2006/000673
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591019759)エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク (27)
【Fターム(参考)】