説明

加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品

【課題】150℃温度等級の要求を満たす2層プラスチックチューブ部品を提供すること。
【解決手段】本発明は内層および外層を有する加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品に関する。該内層は、弾性共重合オレフィンと、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドと、ホモポリアミドを含む第1混合物から形成される。該外層は、ホモポリアミドを含む第2混合物から形成される。内層および外層の両方の混合物は、融点200℃以上、かつ、1モノマー単位あたりの平均炭素原子数8以上の同じホモポリアミドを含み、該両方の混合物のそれぞれに、酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類に由来する耐衝撃性改良剤が添加される。本発明に係る2層プラスチックチューブ部品は自動車用流体導管として、特に自動車用冷却系統として形成されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2010年3月15日出願の欧州特許出願第10156529.9号および2011年2月7日出願の欧州特許出願第11153562.1号の優先権を主張するものである。これらの先の出願における全ての内容を、あらゆる目的のために、明示的な参考文献としてここで引用する。
本発明は、内層および外層を有する、加圧流体導管(pressurized fluid conduit)としての2層プラスチックチューブ部品(two-layered plastic tubing piece)に関するものである。該内層は、弾性共重合オレフィンと、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドと、ホモポリアミドとを含む第1混合物から形成される。該外層は、ホモポリアミドを含む第2混合物から形成される。このようなチューブまたはパイプは、とりわけ生産業および自動車製造業において使用され、ここでは自動車の冷却系統(cooling lines)で使用されることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
冷却液体用導管の経済的な系(イー・エム・エス−ケミー社(EMS-CHEMIE AG)による設計、ドマット/イー・エム・エス(Domat/Ems)、スイス国)はエコシス(ECOSYS)という名称のもとでよく知られており、これらの冷却液体用導管は、ゴムの替わりに熱可塑性樹脂からなっている。従来のゴムチューブと同等の曲げ柔軟性(flexural flexibility)を達成するために、プラスチックチューブ(少し硬い材料からなる)はしばしば断面において波形を付けるように設計される。プラスチック製冷却液体用導管はたいてい2層または3層を有し、内層は、エンジン冷却回路における熱水/グリコール混合液に対して耐加水分解性を有さなければならない。
【0003】
外層は外的な影響からの保護(例えば、衝撃に対する機械的保護)を提供しなければならず、(例えば、冬における道路の塩に対して)化学的耐性を有さなければならない。加えて、このようなチューブは全体として破裂圧に対する耐性を有さなければならず(冷却回路は流体の内部圧力下にあるため)、さらにエンジン近傍で冷却流体の高温と周囲の空気温度とに長時間耐えなければならない。
【0004】
ポリオレフィン類(十分な耐熱性を有するもの)は、ある弾性的挙動を示し有利であるので、主に内層として考えられており、例えば、弾性共重合オレフィン類、または部分結晶性ポリオレフィン類(例えばポリプロピレン=PP)および合成オレフィンゴム類((例えばエチレンプロピレンジエンゴム=EPDM)のブレンドが挙げられる。当該弾性は、接続品にホースを据え付けるときに密封機能を付与する。
【0005】
ポリオレフィンエラストマー類はPPとEPDMのブレンドが好適であり、当該EPDMは架橋されていることが好ましい。このようなブレンドは、例えば、商標名サントプレーネ(商標)(SantopreneTM)(エクソン・モービル社の商標名、アービング、TX75039、米国)のもとで市販されている。場合によっては、このような特別なタイプのブレンドには、例えばポリアミドへ接着するように、接着を促進する添加剤または官能性の添加剤を含有させることができる。
【0006】
ポリアミド類を含有する多層プラスチックパイプは既知のものであり、車両構造体において、例えば、自動車の冷却系統に使用されている:
【0007】
特許文献1によれば、流体用多層チューブは、ポリアミド外層、および完全に架橋されたゴム相を有する変性熱可塑性エラストマー、例えば、EPDM、からなるプラスチック内層を含むものである。特許文献1によれば、主成分としての官能性ポリオレフィン類のコポリマーおよびポリアミドを含有するプラスチック内層のエラストマーの結果として、これらの2層を結合する接着促進剤(すなわち接着促進剤層)を省略することができる。
【0008】
特許文献2によれば、加圧流体導管は、平滑なように、または少なくとも部分的な波形壁を有するように、造形することができ、そのため波形多層ポリマーチューブの長さのバリエーションは減少した。当該加圧流体導管はいわゆる「ハード−ソフトコンビネーション(hard-soft combination)」からなるものであり、より硬いポリマーまたはポリマー混合物からなる外層およびゴム弾性ポリマーまたはポリマー混合物からなる内層を有するものである。当該流体用導管は、さらなる接着促進剤または接着促進剤層なしに、2層が直接的に、かつ互いに対向して接着する共押出法により製造されることが好ましい(例えば、特許文献3から既知である)。
【0009】
未審査の特許文献4は、少なくとも2層を含む自動車冷却系用多層ホースを開示するものであり、内層用材料は、カルボキシル基を有するポリマーおよび/またはその誘導体およびカルボキシル基を有する熱可塑性エラストマーおよび/またはその誘導体を含有する混合物である。熱可塑性エラストマーは、エチレンおよび炭素原子数3〜12のα−オレフィンのエチレン−α−オレフィンコポリマー部分を有する力学的に架橋されたオレフィンエラストマーである。熱可塑性エラストマーはプロピレン樹脂部分をさらに含有する。外層の材料は、熱可塑性ポリアミド樹脂を含む。
【0010】
既知のエコシス2系(ECOSYS 2 system)(イー・エム・エス−ケミー社(EMS-CHEMIE AG)による設計、ドマット/イー・エム・エス、スイス国)において、冷却流体用2層導管の外層はポリアミド12(PA12)からなり、内層はサントプレーネエラストマーからなる(特許文献2も参照)。しかしながらこの解決策は、特に、より新規なエンジン周りの125℃超という空気温度を長期にわたって利用することから生じる、より高い要求をもはや満足しない。
【0011】
例えば、非特許文献1から既知の正確な運転条件およびその結果得られる温度等級(temperature classes)を以下の表1に再現する(当該非特許文献1の第11/26頁の表を参照)。
【0012】
【表1】

【0013】
ここで周囲温度は、冷却系統がその寿命(lifetime)の99%にわたって露出される外部温度を示す。ピーク温度は、冷却系統がその寿命の1%にわたって露出される外部温度を示す。1つの等級を有効にするためには、同じ材料の、より低い全ての温度等級を有効にする必要があり、標準的には等級125および150が最も重要な等級であるものと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】DE4428236C1
【特許文献2】EP1362890A1
【特許文献3】EP0745898B1
【特許文献4】DE10116427A1
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】2004年8月5日付PSA標準B22 6142(プジョー−シトロエン)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、150℃温度等級の要求を満たす2層プラスチックチューブ部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本目的はここで開示される特徴によって達成される;すなわち、内層および外層を有する加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品。該内層は、弾性共重合オレフィン(elastomeric co-polyolefin)と、または部分結晶性ポリオレフィン(partially crystalline polyolefin)および合成オレフィンゴムのブレンドと、ホモポリアミドを含む第1混合物から形成される。該外層は、ホモポリアミドを含む第2混合物から形成される。本発明に係る加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品は、内層および外層を形成する両方の混合物が、融点200℃以上、かつ、1モノマー単位あたりの平均炭素原子数8以上の同じホモポリアミドを含むこと、および該両方の混合物のそれぞれに、酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類に由来する耐衝撃性改良剤が添加されることを特徴とする。
【0018】
さらに好ましい本発明の特徴は従属請求項から得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品は以下の利点を有する;
−当該2層プラスチックチューブの2つの層はいずれも、同じホモポリアミドおよび酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類由来の耐衝撃性改良剤をそれぞれに含む混合物から形成される。両方の層に共通するこれらの成分により、当該2つの層は、接着促進剤のさらなる添加を必要とすることなく、または内層と外層との間に接着促進剤層をさらに配置することなく、互いによく接着する。
−特に好ましく使用されるポリアミドPA612は、外層として以前に使用されていたポリアミドPA12と比較して高融点を有し(178℃の代わりに215℃)、これによって従来から使用されていたPA12からなる外層と比較して耐熱性が高まる。
−特に好ましいPA612は、同様の融点を有し、かつ場合によっては検討もされるポリアミドPA6と比較すると、1モノマー単位あたりの平均炭素原子数が多いので(その結果、疎水性(hydrophobia)が高いので)、耐加水分解性が非常に高く、そのため内層の材料成分として使用することもできる、という利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ポリアミド類は、前記利点を有し、かつ請求項1の詳しい構成の範囲内にある適切な好ましいものとして、特に好ましいPA612に加えて、PA610、PA614およびPA616も挙げられる。
【0021】
内層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤は該混合物100重量%に対して2〜55重量%で存在することが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは25〜35重量%で存在する。内層用混合物における耐衝撃性改良剤の含量は30重量%がかなり好ましい。
【0022】
外層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤は該混合物100重量%に対して1〜50重量%で存在することが好ましく、より好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%で存在する。外層用混合物における耐衝撃性改良剤の含量は20重量%がかなり好ましい。
【0023】
ポリアミド成形材料の好適な耐衝撃性改良剤は、例えば、EP0654505B1から当該分野の当業者に知られており、そこでは第[0035]〜[0052]段落において様々な種類の耐衝撃性改良剤が記載されている。
【0024】
内層および外層を形成する両方の混合物中において、酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類由来の耐衝撃性改良剤は、MAH(該MAHは無水マレイン酸の略号である)でグラフトされたエチレンプロピレン/エチレンブチレンコポリマーが好ましい。対応する製品であるタフマー(TAFMER)MC201(三井化学社製、東京、日本国)が耐衝撃性改良剤として特に好ましい。タフマーMC201において、グラフトされたMAHの含量は0.5〜0.7重量%であり、EP(エチレンプロピレン)コポリマー部は65〜70重量%であり、EB(エチレンブチレン)コポリマー部は30〜35重量%である;加えて、230℃および2.16kg重量で測定されたMFR値(メルトフローレート)は好ましくは1.2〜1.4g/10分である。
【0025】
内層および外層を形成する両方の混合物中において、ホモポリアミドは、ポリアミドPA612が特に好ましい。このホモポリアミドは以下の構造式を有する;
【0026】
【化1】

【0027】
PA612は1モノマー単位あたりの平均炭素原子数が9である。本発明において「1モノマー単位あたりの平均炭素原子数」は、使用されるモノマーにおける合計炭素原子数を、使用されるモノマー数で割ることにより計算された炭素原子数として理解される。PA612は1,6−ヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカン二酸の縮合生成物である。すなわち、PA612の1モノマー単位あたりの平均炭素原子数は(6+12):2=9で計算される。
【0028】
内層を形成する混合物中、選択されたホモポリアミドは2〜55重量%で存在することが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは25〜35重量%で存在する。内層用混合物におけるホモポリアミドの含量は30重量%がかなり好ましく、いずれの値も該混合物100重量%に対する値である。
【0029】
外層を形成する混合物中、選択されたホモポリアミドは該混合物100重量%に対して少なくとも55重量%で存在することが好ましく、より好ましくは少なくとも65重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%で存在する。外層用混合物におけるホモポリアミドの含量は77.8重量%がかなり好ましい。
【0030】
内層に弾性共重合オレフィンを使用する場合、好ましくはEPMを考慮に入れる(=エチレンおよびプロピレンの共重合オレフィン)。別法として、部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドを用いる。本発明において合成オレフィンゴムは架橋性弾性共重合オレフィンと理解される。
【0031】
合成オレフィンゴムはEPDMが好ましく、EPDMは架橋された形態で存在することが好ましい。好ましい組成として、EPDMは55〜75重量%のエチレン、2〜12重量%のジエン、およびプロピレンを含有する。当該好ましいジエン率は1000炭素原子あたり3〜16個の二重結合率に相当する。加えて、部分結晶性ポリオレフィンはポリプロピレン(PP)であることが好ましい。内層を形成する混合物中、部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドはEPDM/PPブレンドであることが特に好ましい。当該ブレンドは商標名サントプレーネ(商標)(SantopreneTM)のもと市販されており、サントプレーネTM101−80および/またはサントプレーネTM121−75 M100および/またはサントプレーネTM121−80 M100はかなり好ましく、本発明によく適している。
【0032】
EP0753027B1には本願の内層材料と一定の類似点を有する熱可塑性成形材料も開示されている。しかしながら、そこでは、PA6、PA66およびPA12が好ましいポリアミド成分とされており(第6頁第35行参照)、すなわちこれらのホモポリアミドは本発明の選択されたホモポリアミドの特定の要件を満たさない。EP0753027B1では、本発明の外層のための好ましいポリアミドは認識もされていなかった。
【0033】
本発明の内層を形成する混合物中、弾性共重合オレフィン、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンド(例えば、サントプレーネTM101−80またはサントプレーネTM121−75 M100またはサントプレーネTM121−80 M100)は、該混合物100重量%に対して10〜70重量%で存在することが好ましく、より好ましくは20〜60重量、特に好ましくは30〜50重量%で存在する。当該内層用混合物におけるサントプレーネTM101−80(またはサントプレーネTM121−75 M100またはサントプレーネTM121−80 M100)の含量は約40重量%がかなり好ましい。
【実施例】
【0034】
本発明に係る2層プラスチックチューブ部品の好ましい具体例および実施例ならびに対応する試験結果を参照しながら、本発明を詳しく説明する。実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、限定的に理解されるべきではない。
【0035】
本発明に係る2層プラスチックチューブ部品の試験片を製造した。内層用混合物は以下の材料を含有した:
【表2A】

【0036】
外層用混合物は以下の材料を含有した:
【表2B】

【0037】
充填剤について強化材は試験片に添加しなかった。
【0038】
ポリアミドPA612に基づく個々の試験生成物およびサントプレーネ材料の耐熱−耐酸化性を調べるために、それらから製造された標準化引張試験片を炉中、かなりの長時間、様々な温度に置いた。試料を様々な時間で炉から取り出した後、引張試験で熱老化挙動(heat ageing behavior)について試験した。特に興味深かったのは、力学的な値(一方で引張弾性率および他方で引裂強さ)が減少する可能性があるということであった。当該値はISO標準527(ISO Standard 527)に従って常態引張試験片(dry tensile test specimens)について測定した。
【0039】
【表3】

【0040】
「黒」という所見は試験片の外観に関するものであり、黒色に起因する。当該材料は一般にすすも含有し得る。
【0041】
【表4】

【0042】
注目すべきことは、試験された全ての層材料が130℃または150℃の温度での1000時間にわたる貯蔵によく耐えたということである。
【0043】
【表5】

【0044】
試験された層材料は、170℃であっても、1000時間にわたる貯蔵に耐えた(150時間後の内層の弾性率は明らかに孤立値(outlier)であった)。しかしながら、サントプレーネTMの場合、サントプレーネTMは融点が約162℃であるために溶融するので、この測定をもはや別個に行うことはできなかった。
【0045】
これらの結果から、本発明に係る2層プラスチックチューブ部品に従って製造された加圧流体導管は短期ピーク温度(short-term peak temperatures)175℃に耐えることができ、このためPSA標準B22 6142の温度等級150℃の要求を満たすことができると判断できる。
【0046】
【表6】

【0047】
注目すべきことは、試験された全ての層材料が130℃の温度での1000時間にわたる貯蔵によく耐えたということである。
【0048】
【表7】

【0049】
注目すべきことは、試験された層材料(サントプレーネTMを除く)が150℃の温度での1000時間にわたる貯蔵に実際によく耐えたということである。内層はまだ許容範囲内である。
【0050】
【表8】

【0051】
注目すべきことは、試験された全ての層材料が170℃の温度での1000時間にわたる貯蔵に耐えるわけではないということである。しかしながら、この程度の高さの短期ピーク温度にとって、内層の結果はまだ十分である。サントプレーネTMは、上記で詳しく述べた理由より、融点が170℃未満にあるので、この温度で別個に測定することができなかった。
【0052】
さらに、150℃等級に従う本発明の完全2層プラスチックパイプによる結果を示す。以下、エコシスC150(ECOSYS C150)と呼ぶものとする。
【0053】
【表9】

【0054】
未処理の原パイプならびに内部温度95℃(流体充填)および周囲温度150℃(空気)に500時間または750時間露出させた処理パイプについて上記の試験を行った。1000時間にわたる極限条件では、パイプを、内部温度135℃(流体充填)および周囲温度150℃(空気)に露出させた。表2Aおよび表2Bに記載の材料から本発明に従って製作された2層パイプは当該試験に耐えた。当然に満足する条件については試験しなかった。
【0055】
本発明に係る2層プラスチックチューブ部品の応用としては、加圧流体導管(液体用、スチーム用またはガス用)、特に冷却液導管、好ましくは自動車の冷却液導管として設置または運転される配管系統(pipelines)および/またはパイプ系統(hose lines)を製造することが挙げられる。従って、本発明に係る2層プラスチックチューブ部品は自動車用流体導管として使用されることが好ましい。当該流体導管は冷却系統(cooling line)として使用されることが特に好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)弾性共重合オレフィンと、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドと、ホモポリアミドを含む第1混合物から形成される内層;および
(b)ホモポリアミドを含む第2混合物から形成される外層
を有する加圧流体導管用2層プラスチックチューブ部品であって、
前記内層および外層を形成する両方の混合物が同じホモポリアミドを含み、
該両方の混合物のそれぞれに、酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類に由来する耐衝撃性改良剤が添加され、
前記ホモポリアミドの融点が200℃以上であり、かつ、1モノマー単位あたりの平均炭素原子数が8以上である2層プラスチックチューブ部品。
【請求項2】
内層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して2〜55重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項3】
内層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して15〜45重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項4】
内層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して25〜35重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項5】
外層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して1〜50重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項6】
外層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して10〜30重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項7】
外層を形成する混合物中、耐衝撃性改良剤が該混合物100重量%に対して15〜25重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項8】
内層および外層を形成する2つの混合物中のホモポリアミドがPA610、PA612、PA614およびPA616からなる群から選択される請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項9】
内層および外層を形成する2つの混合物中のホモポリアミドがPA612である請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項10】
内層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して2〜55重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項11】
内層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して15〜45重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項12】
内層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して25〜35重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項13】
外層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して少なくとも55重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項14】
外層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して少なくとも65重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項15】
外層を形成する混合物中、ホモポリアミドが該混合物100重量%に対して少なくとも75重量%で存在する請求項8または9に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項16】
内層および外層を形成する両方の混合物中、酸変性エチレン−α−オレフィンコポリマー類由来の耐衝撃性改良剤が、無水マレイン酸でグラフトされたエチレンプロピレン/エチレンブチレンコポリマーである請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項17】
内層を形成する混合物中、弾性共重合オレフィン、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドが、該混合物100重量%に対して10〜70重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項18】
内層を形成する混合物中、弾性共重合オレフィン、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドが、該混合物100重量%に対して20〜60重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項19】
内層を形成する混合物中、弾性共重合オレフィン、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドが、該混合物100重量%に対して30〜50重量%で存在する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項20】
内層を形成する第1混合物が、
(i)弾性共重合オレフィン、または部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンド40重量%;
(ii)ホモポリアミド30重量%;および
(iii)無水マレイン酸でグラフトされたエチレンプロピレン/エチレンブチレンコポリマー30重量%;を含み、
外層を形成する第2混合物が、
(iv)ホモポリアミド77.8重量%;および
(v)無水マレイン酸でグラフトされたエチレンプロピレン/エチレンブチレンコポリマー20重量%;を含み、
該2つの混合物が、酸化防止剤、安定剤、染料およびすすを含む群から選択される添加剤を含有する請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項21】
合成オレフィンゴムがEPDMである請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項22】
EPDMが架橋されている請求項21に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項23】
部分結晶性ポリオレフィンがポリプロピレンである請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項24】
部分結晶性ポリオレフィンおよび合成オレフィンゴムのブレンドがEPDM/PPブレンドである請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項25】
2層プラスチックチューブ部品が配管系統および/またはパイプ系統として形成される請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項26】
2層プラスチックチューブ部品が自動車用流体導管として形成される請求項1に記載の2層プラスチックチューブ部品。
【請求項27】
流体導管が自動車用冷却系統として形成される請求項26に記載の2層プラスチックチューブ部品。

【公開番号】特開2011−189736(P2011−189736A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−53668(P2011−53668)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(505343930)エムス−パテント アクチエンゲゼルシャフト (10)
【Fターム(参考)】